説明

少量のシクロブタンジオールを含むポリエステル組成物及びそれらから製造された物品

本発明の一態様として、(a)70〜100モル%のテレフタル酸残基及び30モル%以下の芳香族ジカルボン酸残基又は脂肪族ジカルボン酸残基を有するジカルボン酸成分;並びに(b)11〜25モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基及び75〜89モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を有するグリコール成分を含む(ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)ポリエステルが記載されている。これらのポリエステルからは物品を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮出願第60/691,567号(2005年6月17日出願)、米国仮出願第60/731,454号(2005年10月28日出願)、米国仮出願第60/731,389号(2005年10月28日出願)、米国仮出願第60/739,058号(2005年11月22日出願)、米国仮出願第60/738,869号(2005年11月22日出願)、米国仮出願第60/750,692号(2005年12月15日出願)、米国仮出願第60/750,693号(2005年12月15日出願)、米国仮出願第60/750,682号(2005年12月15日出願)及び米国仮出願第60/750,547号(2005年12月15日出願)に関して、35 U.S.C.§119(e)の利益を請求する。これらの出願を全て引用することによってそっくりそのまま本出願中に組み入れる。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に、テレフタル酸、そのエステル又はそれらの混合物;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール;及び1,4−シクロヘキサンジメタノールから生成された、以下の性質の2つ又はそれ以上の特定の組合せを有するポリエステル組成物に関する:高い衝撃強度、中程度のガラス転移温度(Tg)、靭性、特定のインヘレント粘度、低い延性−脆性遷移温度、良好な色及び明澄度、低い密度、耐薬品性、加水分解安定性及び長い半結晶化時間(それによって物品の形成が容易になる)。
【背景技術】
【0003】
テレフタル酸又はそのエステルと1,4−シクロヘキサンジメタノールのみをベースとするポリエステルであるポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)(PCT)は当業界で知られており、市販されている。このポリエステルは、メルト(溶融体)からの冷却時に急速に結晶化するので、押出、射出成形などのような、当業界で知られた方法によって非晶質物品を形成するのは非常に困難である。PCTの結晶化速度を遅くするために、追加のジカルボン酸又はグリコール、例えばイソフタル酸又はエチレングリコールを含むコポリエステルを製造することができる。これらのエチレングリコール−又はイソフタル酸改質(又は変性)PCTもまた、当業界で知られており、市販されている。
【0004】
フィルム、シート材料及び成形品の製造に使用される1つの一般的なコポリエステルは、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びエチレングリコールから生成される。これらのコポリエステルは、多くの最終用途において有用であるが、半結晶化時間(crystallization half-time)を長くするのに充分な改質用エチレングリコールが配合物中に組み込まれている場合には、ガラス転移温度及び衝撃強度のような性質が欠けている。例えば、充分に長い半結晶化時間を有する、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びエチレングリコールから生成されたコポリエステルは、本明細書中で明らかにする組成物よりも不所望に高い延性−脆性遷移温度及び低いガラス転移温度と考えられるものを示す非晶質製品を生じる可能性がある。
【0005】
4,4’−イソプロピリデンジフェノールのポリカーボネート(ビスフェノールAポリカーボネート)は、当業界において知られたポリエステルの代替品として使用されており、よく知られた成形用エンジニアリングプラスチックである。ビスフェノールAポリカーボネートは、寸法安定性、高い耐熱性及び良好な衝撃強度のような良好な物理的性質を有する、明澄な高性能プラスチックである。ビスフェノールAポリカーボネートは多くの良好な物理的性質を有するが、その比較的高い溶融粘度のために溶融加工性が不良であり、このポリカーボネートは不良な耐薬品性を示す。これは、また、熱成形が困難である。
【0006】
2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含むポリマーもまた、当業界で一般に文献に記載されている。しかし、一般に、これらのポリマーは高いインヘレント粘度、高い溶融粘度及び/又は高いTg(ガラス転移温度)を示すので、当業界において使用される装置は、これらの材料の製造又は後重合プロセスには不充分な可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、当業界で用いられる標準的な装置上での加工性を保持しながら、靭性、中程度のガラス転移温度(Tg)、高い衝撃強度、加水分解安定性、耐薬品性、長い半結晶化時間、低い延性−脆性遷移温度、良好な色及び明澄度、より低い密度、及び/又はポリエステルの熱成形性のうち少なくとも1つから選ばれた2つ又はそれ以上の性質の組合せを有するポリマーが当業界で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
特定のモノマー組成、インヘレント粘度及び/又はガラス転移温度を有する、テレフタル酸若しくはそのエステル又はそれらの混合物;1,4−シクロヘキサンジメタノール;及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールから形成されたある種の組成物は、当業界で知られたポリエステル及びポリカーボネートよりも、高い衝撃強度、加水分解安定性、靭性、耐薬品性、良好な色及び明澄度、長い半結晶化時間、低い延性−脆性遷移温度、より低い比重並びに/又は熱成形性に関して優れていると考えられる。これらの組成物は、耐熱性がポリカーボネートと同様であると考えられ、標準的な工業設備において依然として加工可能である。
【0009】
一態様において、本発明は、
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基10〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜90モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.60〜1.2dL/gであるものに関する。
【0010】
一態様において、本発明は、
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基10〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜90モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.60〜0.9dL/gであるものに関する。
【0011】
一態様において、本発明は、
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基10〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜90モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.65〜1.2dL/gであるものに関する。
【0012】
一態様において、本発明は、
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基11〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜89モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.80dL/g又はそれ以下であるものに関する。
【0013】
一態様において、本発明は、
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基12〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜88モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.80dL/g又はそれ以下であるものに関する。
【0014】
一態様において、本発明は、
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基13〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜87モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.80dL/g又はそれ以下であるものに関する。
【0015】
一態様において、本発明は、
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基14〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜86モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.80dL/g又はそれ以下であるものに関する。
【0016】
一態様において、本発明は、
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基14〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜86モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.75dL/g又はそれ以下であるものに関する。
【0017】
一態様において、本発明は、
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基14〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜86モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.35〜0.75dL/gであるものに関する。
【0018】
一態様において、本発明は、
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基14〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜86モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.50〜0.75dL/gであるものに関する。
【0019】
一態様において、本発明は、
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基14〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜86モル%
を含むグリコール成分;並びに
(c)少なくとも1種の分岐剤からの残基
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.5〜1.2dL/gであるものに関する。
【0020】
一態様において、本発明は、
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基17〜23モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基77〜83モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.60dL/g〜0.72dL/g未満であり、且つ前記ポリエステルのガラス転移温度が95〜115℃であるものに関する。
【0021】
一態様において、本発明は、
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基14〜25モル%;
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜86モル%;及び
iii)エチレングリコール残基0.1モル%〜10モル%未満
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.60〜0.72dL/gであり、且つ前記ポリエステルのガラス転移温度が95〜115℃であるものに関する。
【0022】
一態様において、本発明は、
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基17〜23モル%;
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基77〜83モル%;及び
iii)エチレングリコール残基0.01モル%〜15モル%未満
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなる少なくとも1種のポリエステルを含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.35〜0.75dL/gであるものに関する。
【0023】
一態様において、本発明は、
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基14〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜86モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.75dL/g又はそれ以下であり、且つ前記ポリエステルのガラス転移温度が95〜115℃であるものに関する。
【0024】
一態様において、本発明は、
(I)(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基10〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜90モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステル;更に
(II)少なくとも1種の熱安定剤及び/又はその反応生成物
を含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.5〜1.2dL/gであるものに関する。
【0025】
一態様において、本発明は、
(I)(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基14〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜86モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステル;更に
(II)少なくとも1種の熱安定剤及び/又はその反応生成物
を含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.5〜1.2dL/gであるものに関する。
【0026】
一態様において、本発明は、
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基10〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜90モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.5〜1.2dL/gであり、且つ前記ポリエステルのガラス転移温度が95〜115℃であるものに関する。
【0027】
一態様において、本発明は、
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基14〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜86モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなるポリエステル組成物であって、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.35〜0.75dL/gであり、且つ前記ポリエステルのガラス転移温度が95〜115℃であるものに関する。
【0028】
一態様において、ポリエステル組成物は少なくとも1種のポリカーボネートを含む。
【0029】
一態様において、ポリエステル組成物はポリカーボネートを含まない。
【0030】
一態様において、本発明において有用なポリエステルは15モル%未満のエチレングリコール残基、例えば0.01モル%〜15モル%未満のエチレングリコール残基を含む。
【0031】
一態様において、本発明において有用なポリエステルはエチレングリコール残基を含まない。
【0032】
一態様において、本発明において有用なポリエステル組成物は少なくとも1種の熱安定剤及び/又はその反応生成物を含む。
【0033】
一態様において、本発明において有用なポリエステルは分岐剤を含まないか、或いは少なくとも1種の分岐剤をポリエステルの重合前又は重合中に添加する。
【0034】
一態様において、本発明において有用なポリエステルは、添加の方法又は順序を問わず、少なくとも1種の分岐剤を含む。
【0035】
他の態様において、本発明において有用なポリエステルの製造には、1,3−プロパンジオール又は1,4−ブタンジオールを単独で又は組合せて使用できる。一態様において、本発明において有用なポリエステルの製造には、1,3−プロパンジオール又は1,4−ブタンジオールを単独でも組合せでも用いない。他の態様において、本発明において有用なポリエステルの製造には、1,3−プロパンジオール又は1,4−ブタンジオールを単独で又は組合せて使用できる。
【0036】
本発明の一態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステル中で有用なシス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールのモル%は、50モル%より大きいか、又は55モル%より大きいか、又は70モル%より大きく、シス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール及びトランス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの総モル百分率は合計100モル%に等しい。
【0037】
本発明の一態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステル中で有用な2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの異性体のモル%は、シス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール30〜70モル%とトランス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール30〜70モル%又はシス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール40〜60モル%とトランス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール40〜60モル%であり、シス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール及びトランス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの総モル百分率は合計100モル%に等しい。
【0038】
一態様において、ポリエステル組成物は、射出成形品、押出品、キャスト押出品、異形押出品、溶融紡糸品、熱成形品、押出成形品、射出ブロー成形品、射出延伸ブロー成形品及び押出ブロー成形品を含む(これらに限定するものではないが)押出品、カレンダー加工品及び/又は成形品を含む(これらに限定するものではないが)製造品において有用である。これらの物品としては、フィルム、ボトル(哺乳瓶を含むが、これに限定するものではない)、容器、シート及び/又は繊維が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0039】
一態様において、本発明において有用なポリエステル組成物は、押出フィルム及び/又はシート、カレンダードフィルム及び/又はシート、圧縮成形フィルム及び/又はシート、溶液キャストフィルム及び/又はシートを含む(これらに限定するものではないが)種々の型のフィルム及び/又はシートに使用できる。
【0040】
更に、一態様において、ポリエステル組成物の使用は溶融加工又は熱成形前の乾燥工程を最小限に抑え且つ/又は排除する。
【0041】
一態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステルは非晶質又は半結晶質である。一態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステルは比較的低い結晶化度を有することができる。従って、本発明において有用ないくつかのポリエステルは実質的に非晶質の形態を有することができ、これは、ポリエステルが実質的に不規則なポリマー領域を含むことを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
図1は改質PCTコポリエステルの最も速い半結晶化時間に対するコモノマーの影響を示すグラフである。
【0043】
図2はノッチ付きアイゾッド衝撃強度試験(ASTM D256,厚さ1/8in,ノッチ10mil)における脆性−延性遷移温度(Tbd)に対するコモノマーの影響を示すグラフである。
【0044】
図3はコポリエステルのガラス転移温度(Tg)に対する2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール組成の影響を示すグラフである。
【0045】
本発明は、本発明のいくつかの実施態様及び実施例についての以下の詳細な説明を参照することによって、より理解し易くなるであろう。本発明の目的に従って、本発明のいくつかの実施態様を、前述の「発明の開示」において既に記載し、更に以下に記載する。更に、本発明の他の実施態様もここに記載する。
【0046】
ここに記載する本発明において有用なポリエステルは、高い衝撃強度、中程度のガラス転移温度、耐薬品性、加水分解安定性、靭性、低い延性−脆性遷移温度、良好な色及び明澄度、低い密度、長い半結晶化時間、良好な熱成形性並びに良好な加工性(その結果、物品への形成が容易である)のような物理的性質のうち2つ又はそれ以上の組合せを有することができると考えられる。本発明の実施態様のいくつかにおいては、ポリエステルは、ポリエステルに存在することがこれまでは考えられなかった、良好な衝撃強度、耐熱性、耐薬品性及び密度の性質の独特な組合せ並びに/又は良好な衝撃強度、耐熱性及び加工性の性質の組合せ並びに/又は前記性質の2つ若しくはそれ以上の組合せを有する。
【0047】
ここで使用する用語「ポリエステル」は、「コポリエステル」を含むものとし、1種又はそれ以上の二官能価カルボン酸及び/又は多官能価カルボン酸と1種又はそれ以上の二官能価ヒドロキシル化合物及び/又は多官能価ヒドロキシル化合物との反応によって製造される合成ポリマーを意味するものと解釈する。典型的には、二官能価カルボン酸はジカルボン酸であることができ、二官能価ヒドロキシル化合物は二価アルコール、例えばグリコール及びジオールであることができる。本明細書において使用する用語「グリコール」としては、ジオール、グリコール及び/又は多官能価ヒドロキシル化合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。或いは、二官能価カルボン酸はヒドロキシカルボン酸、例えばp−ヒドロキシ安息香酸であることができ、二官能価ヒドロキシル化合物は2個のヒドロキシル置換基を有する芳香核、例えばヒドロキノンであることができる。ここで使用する用語「残基」は、対応するモノマーから重縮合及び/又はエステル化反応によってポリマー中に組み入れられた任意の有機構造を意味する。ここで使用する用語「反復単位」は、カルボニルオキシ基を介して結合されたジカルボン酸残基及びジオール残基を有する有機構造を意味する。従って、例えば、ジカルボン酸残基はジカルボン酸モノマー若しくはその関連酸ハライド、エステル、塩、無水物又はそれらの混合物に由来することができる。更に、本明細書で使用する用語「二酸」は、多官能価酸、例えば分岐剤を含む。従って、ここで使用する用語「ジカルボン酸」はポリエステルを製造するためのジオールとの反応プロセスにおいて有用なジカルボン酸及びその関連酸ハライド、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物を含む任意のジカルボン酸誘導体又はそれらの混合物を含むものとする。ここで使用する用語「テレフタル酸」は、テレフタル酸自体及びその残基並びにポリエステルを製造するためのジオールとの反応プロセスにおいて有用なテレフタル酸の任意の誘導体、例えばその関連酸ハライド、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物、又はそれらの混合物又はそれらの残基を含むものとする。
【0048】
一実施態様においては、テレフタル酸を出発原料として使用できる。別の実施態様においては、テレフタル酸ジメチルを出発原料として使用できる。更に別の実施態様においては、テレフタル酸とテレフタル酸ジメチルとの混合物を出発原料として及び/又は中間材料として使用できる。
【0049】
本発明において使用するポリエステルは、典型的には、実質的に等しい比で反応し且つ対応する残基としてポリエステルポリマー中に組み入れられるジカルボン酸及びジオールから製造できる。従って、本発明のポリエステルは、実質的に等しいモル比の酸残基(100モル%)並びにジオール(及び/又は多官能価ヒドロキシル化合物)残基(100モル%)を含むことができるので、反復単位の総モルは100モル%に等しい。従って、この開示中において示すモル百分率は、酸残基の総モル、ジオール残基の総モル又は反復単位の総モルに基づくことができる。例えば、総酸残基に基づき30モル%のイソフタル酸を含むポリエステルは、合計100モル%の酸残基のうちイソフタル酸残基を30モル%含むことを意味する。従って、酸残基100モル当たりイソフタル酸残基が30モル存在する。別の例において、総ジオール残基に基づき25モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含むポリエステルは、合計100モル%のジオール残基のうち2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基を25モル%含むことを意味する。従って、ジオール残基100モル当たり2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基が25モル存在する。
【0050】
本発明の組成物は、特に断らない限り、ここに記載したインヘレント粘度範囲の少なくとも1つ及びここに記載した組成物のモノマー範囲の少なくとも1つを有することができると考えられる。また、本発明の組成物は、特に断らない限り、ここに記載したTg範囲の少なくとも1つ及びここに記載した組成物のモノマー範囲の少なくとも1つを有することができると考えられる。また、本発明の組成物は、特に断らない限り、ここに記載したTg範囲の少なくとも1つ、ここに記載したインヘレント粘度範囲の少なくとも1つ及びここに記載した組成物のモノマー範囲の少なくとも1つを有することができると考えられる。
【0051】
本発明の他の態様において、本発明において有用なポリエステルのTgは、以下の範囲:80〜135℃;80〜130℃;80〜125℃;80〜120℃;80〜115℃;80〜110℃;80〜105℃;80〜100℃;80〜95℃;80〜90℃;80〜85℃;85〜125℃;85〜120℃;85〜115℃;85〜110℃;85〜105℃;85〜100℃;85〜95℃;85〜90℃;90〜125℃;90〜120℃;90〜115℃;90〜110℃;90〜105℃;90〜100℃;90〜95℃;95〜125℃;95〜120℃;95〜115℃;95〜110℃;95〜105℃;95℃〜105℃未満;95〜100℃;100〜125℃;100〜120℃;100〜115℃;100〜110℃;105〜125℃;105〜120℃;105〜115℃;105〜110℃;105℃超〜125℃;105℃超〜120℃;105℃超〜115℃;105℃超〜110℃;110〜125℃;110〜120℃;110〜115℃;110℃超〜125℃;110℃超〜120℃;110℃超〜115℃;115〜125℃;及び115〜120℃の少なくとも1つであることができる。
【0052】
本発明の他の態様において、本発明において有用なポリエステルのグリコール成分としては、以下の範囲の組合せ:2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール10〜25モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール75〜90モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール10〜24モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール76〜90モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール10〜20モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール80〜90モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール10モル%〜20モル%未満と1,4−シクロヘキサンジメタノール80モル%超〜90モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール10〜19モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール81〜90モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール10〜18モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール82〜90モル%;及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール10〜15モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール85〜90モル%の少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0053】
本発明の他の態様において、本発明において有用なポリエステルのグリコール成分としては、以下の範囲の組合せ:2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール10モル%超〜25モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール75モル%〜90モル%未満;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール10モル%超〜24モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール76モル%〜90モル%未満;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール10モル%超〜20モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール80モル%〜90モル%未満;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール10モル%モル%超〜20モル%未満と1,4−シクロヘキサンジメタノール80モル%超〜90モル%未満;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール10モル%超〜19モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール81モル%〜90モル%未満;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール10モル%超〜18モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール82モル%〜90モル%未満;及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール10モル%超〜15モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール85モル%〜90モル%未満の少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0054】
本発明の他の態様において、本発明において有用なポリエステルのグリコール成分としては、以下の範囲の組合せ:2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール11〜25モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール75〜89モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール11〜24モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール76〜89モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール11〜20モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール80〜89モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール11〜19モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール81〜89モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール11〜18モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール82〜89モル%;及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール11〜15モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール85〜89モル%の少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0055】
本発明の他の態様において、本発明において有用なポリエステルのグリコール成分としては、以下の範囲の組合せ:2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール12〜25モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール75〜88モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール12〜24モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール76〜88モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール12〜20モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール80〜88モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール12〜19モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール81〜88モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール12〜18モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール82〜88モル%;及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール12〜15モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール85〜88モル%の少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定するものではない;
【0056】
本発明の他の態様において、本発明において有用なポリエステルのグリコール成分としては、以下の範囲の組合せ:2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール13〜25モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール75〜87モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール13〜24モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール76〜87モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール13〜20モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール80〜87モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール13〜19モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール81〜87モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール13〜18モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール82〜87モル%;及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール13〜15モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール85〜87モル%の少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0057】
本発明の他の態様において、本発明において有用なポリエステルのグリコール成分としては、以下の範囲の組合せ:2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール14〜25モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール75〜86モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール14〜24モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール76〜86モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール14〜20モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール80〜86モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール14〜19モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール81〜86モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール14〜18モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール82〜86モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール15〜25モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール75〜85モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール15〜24モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール76〜85モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール15〜20モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール80〜85モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール16〜24モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール76〜84モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール16〜23モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール77〜84モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール17〜24モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール76〜83モル%;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール17〜23モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール77〜83モル%;及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール20〜25モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール75〜80モル%の少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0058】
前記ジオールの他に、本発明のポリエステル組成物において有用なポリエステルはまた、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール又はそれらの混合物から生成することもできる。1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール又はそれらの混合物から生成した本発明の組成物は、ここに記載したTg範囲の少なくとも1つ、ここに記載したインヘレント粘度範囲の少なくとも1つ、及び/又はここに記載したグリコール若しくは二酸範囲の少なくとも1つを有することができると考えられる。更に又は代わりに、1,3−プロパンジオール若しくは1,4−ブタンジオール又はそれらの混合物から生成したポリエステルは、以下の量:0.1〜80モル%;0.1〜99モル%;0.1〜90モル%;0.1〜80モル%;0.1〜70モル%;0.1〜60モル%;0.1〜50モル%;0.1〜40モル%;0.1〜35モル%;0.1〜30モル%;0.1〜25モル%;0.1〜20モル%;0.1〜15モル%;0.1〜10モル%;0.1〜5モル%;1〜99モル%;1〜90モル%;1〜80モル%;1〜70モル%;1〜60モル%;1〜50モル%;1〜40モル%;1〜35モル%;1〜30モル%;1〜25モル%;1〜20モル%;1〜15モル%;1〜10モル%;1〜5モル%;5〜99モル%;5〜90モル%;5〜80モル%;5〜70モル%;5〜60モル%;5〜50モル%;5〜40モル%;5〜35モル%;5〜30モル%;5〜25モル%;5〜20モル%;5〜15モル%;5〜10モル%;10〜99モル%;10〜90モル%;10〜80モル%;10〜70モル%;10〜60モル%;10〜50モル%;10〜40モル%;10〜35モル%;10〜30モル%;10〜25モル%;10〜20モル%;10〜15モル%;20〜99モル%;20〜90モル%;20〜80モル%;20〜70モル%;20〜60モル%;20〜50モル%;20〜40モル%;20〜35モル%;20〜30モル%;及び20〜25モル%の少なくとも1つの1,4−シクロヘキサンジメタノールから生成することもできる。
【0059】
本発明のいくつかの実施態様については、本発明において有用なポリエステルは、25℃において60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、以下のインヘレント粘度:0.1〜0.80dL/g;0.1dL/g〜0.80dL/g未満;0.10〜0.75dL/g;0.10dL/g〜0.75dL/g未満;0.10〜0.72dL/g;0.10〜0.70dL/g;0.10dL/g〜0.70dL/g未満;0.10〜0.68dL/g;0.10dL/g〜0.68dL/g未満;0.10〜0.65dL/g;0.20〜0.80dL/g;0.2dL/g〜0.80dL/g未満;0.20〜0.75dL/g;0.20dL/g〜0.75dL/g未満;0.20〜0.72dL/g;0.20〜0.70dL/g;0.20dL/g〜0.70dL/g未満;0.20〜0.68dL/g;0.20dL/g〜0.68dL/g未満;0.20〜0.65dL/g;0.35〜0.80dL/g;0.35dL/g〜0.80dL/g未満;0.35〜0.80dL/g;0.35〜0.75dL/g;0.35dL/g〜0.75dL/g未満;0.35〜0.72dL/g;0.35〜0.70dL/g;0.35dL/g〜0.70dL/g未満;0.35〜0.68dL/g;0.35dL/g〜0.68dL/g未満;0.35〜0.65dL/g;0.40〜0.80dL/g;0.40dL/g〜0.80dL/g未満;0.40〜0.75dL/g;0.40dL/g〜0.75dL/g未満;0.40〜0.72dL/g;0.40〜0.70dL/g;0.40dL/g〜0.70dL/g未満;0.40〜0.68dL/g;0.40dL/g〜0.68dL/g未満;0.40〜0.65dL/g;0.42〜0.80dL/g;0.42dL/g〜0.80dL/g未満;0.42dL/g超〜0.80dL/g;0.42dL/g超〜0.80dL/g未満;0.42dL/g超〜0.75dL/g;0.42dL/g超〜0.75dL/g未満;0.42dL/g超〜0.72dL/g;0.42dL/g超〜0.70dL/g未満;0.42dL/g超〜0.68dL/g;0.42dL/g超〜0.68dL/g未満;及び0.42dL/g超〜0.65dL/gの少なくとも1つを示すことができる。
【0060】
本発明のいくつかの実施態様については、本発明において有用なポリエステルは、25℃において60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、以下のインヘレント粘度:0.45〜0.80dL/g;0.45dL/g〜0.80dL/g未満;0.45〜0.75dL/g;0.45dL/g〜0.75dL/g未満;0.45〜0.72dL/g;0.45〜0.70dL/g;0.45dL/g〜0.70dL/g未満;0.45〜0.68dL/g;0.45dL/g〜0.68dL/g未満;0.45〜0.65dL/g;0.50〜0.80dL/g;0.50dL/g〜0.80dL/g未満;0.50〜0.75dL/g;0.50dL/g〜0.75dL/g未満;0.50〜0.72dL/g;0.50〜0.70dL/g;0.50dL/g〜0.70dL/g未満;0.50〜0.68dL/g;0.50dL/g〜0.68dL/g未満;0.50〜0.65dL/g;0.55〜0.80dL/g;0.55dL/g〜0.80dL/g未満;0.55〜0.75dL/g;0.55dL/g〜0.75dL/g未満;0.55〜0.72dL/g;0.55〜0.70dL/g;0.55dL/g〜0.70dL/g未満;0.55〜0.68dL/g;0.55dL/g〜0.68dL/g未満;0.55〜0.65dL/g;0.58〜0.80dL/g;0.58dL/g〜0.80dL/g未満;0.58〜0.75dL/g;0.58dL/g〜0.75dL/g未満;0.58〜0.72dL/g;0.58〜0.70dL/g;0.58dL/g〜0.70dL/g未満;0.58〜0.68dL/g;0.58dL/g〜0.68dL/g未満;0.58〜0.65dL/g;0.60〜0.80dL/g;0.60dL/g〜0.80dL/g未満;0.60〜0.75dL/g;0.60dL/g〜0.75dL/g未満;0.60〜0.72dL/g;0.60〜0.70dL/g;0.60dL/g〜0.70dL/g未満;0.60〜0.68dL/g;0.60dL/g〜0.68dL/g未満;0.60〜0.65dL/g;0.60dL/g超〜0.80dL/g未満;0.60dL/g超〜0.75dL/g;0.60dL/g超〜0.75dL/g未満;0.60dL/g超〜0.72dL/g;0.65〜0.80dL/g;0.65dL/g〜0.80dL/g未満;0.65〜0.75dL/g;0.65dL/g〜0.75dL/g未満;0.65〜0.72dL/g;0.65〜0.70dL/g;0.65dL/g〜0.70dL/g未満;0.68〜0.80dL/g;0.68〜0.75dL/g;0.68dL/g〜0.75dL/g未満;0.68〜0.72dL/g;0.70〜0.80dL/g;0.70dL/g〜0.80dL/g未満;0.70〜0.75dL/g;及び0.70dL/g〜0.75dL/g未満の少なくとも1つを示すことができる。
【0061】
本発明のいくつかの実施態様については、本発明のフィルム及び/又はシートにおいて有用なポリエステルは、25℃において60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、以下のインヘレント粘度:0.50〜1.2dL/g;0.50〜1.1dL/g;0.50〜1dL/g;0.50dL/g〜1dL/g未満;0.50〜0.98dL/g;0.50〜0.95dL/g;0.50〜0.90dL/g;0.50〜0.85dL/g;0.55〜1.2dL/g;0.55〜1.1dL/g;0.55〜1dL/g;0.55dL/g〜1dL/g未満;0.55〜0.98dL/g;0.55〜0.95dL/g;0.55〜0.90dL/g;0.55〜0.85dL/g;0.58〜1.2dL/g;0.58〜1.1dL/g;0.58〜1dL/g;0.58dL/g〜1dL/g未満;0.58〜0.98dL/g;0.58〜0.95dL/g;0.58〜0.90dL/g;0.58〜0.85dL/g;0.60〜1.2dL/g;0.60〜1.1dL/g;0.60〜1dL/g;0.60dL/g〜1dL/g未満;0.60〜0.98dL/g;0.60〜0.95dL/g;0.60〜0.90dL/g;0.60〜0.85dL/g;0.65〜1.2dL/g;0.65〜1.1dL/g;0.65〜1dL/g;0.65dL/g〜1dL/g未満;0.65〜0.98dL/g;0.65〜0.95dL/g;0.65〜0.90dL/g;0.65〜0.85dL/g;0.68〜1.2dL/g;0.68〜1.1dL/g;0.68〜1dL/g;0.68dL/g〜1dL/g未満;0.68〜0.98dL/g;0.68〜0.95dL/g;0.68〜0.90dL/g;0.68〜0.85dL/g;0.70〜1.2dL/g;0.70〜1.1dL/g;0.70〜1dL/g;0.70dL/g〜1dL/g未満;0.70〜0.98dL/g;0.70〜0.95dL/g;0.70〜0.90dL/g;0.70〜0.85dL/g;0.75〜1.2dL/g;0.75〜1.1dL/g;0.75〜1dL/g;0.75dL/g〜1dL/g未満;0.75〜0.98dL/g;0.75〜0.95dL/g;0.75〜0.90dL/g;0.75〜0.85dL/g;0.76dL/g超〜1.2dL/g;0.76dL/g超〜1.1dL/g;0.76dL/g超〜1dL/g;0.76dL/g超〜1dL/g未満;0.76dL/g超〜0.98dL/g;0.76dL/g超〜0.95dL/g;0.76dL/g超〜0.90dL/g;0.80dL/g超〜1.2dL/g;0.80dL/g超〜1.1dL/g;0.80dL/g超〜1dL/g;0.80dL/g超〜1dL/g未満;0.80dL/g超〜1.2dL/g;0.80dL/g超〜0.98dL/g;0.80dL/g超〜0.95dL/g;0.80dL/g超〜0.90dL/gの少なくとも1つを示すことができる。
【0062】
望ましいポリエステルについては、シス/トランス2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールのモル比はそれぞれの純粋な形態からそれらの混合物まで様々であることができる。いくつかの実施態様において、シス及び/又はトランス2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールに関するモル百分率は、シスが50モル%より多く且つトランスが50モル%未満;又はシスが55モル%より多く且つトランスが45モル%未満;又はシスが30〜70モル%で且つトランスが70〜30モル%である;又はシスが40〜60モル%で且つトランスが60〜40モル%である;又はトランスが50〜70モル%で且つシスが50〜30モル%であるか若しくはシスが50〜70モル%で且つトランスが50〜30モル%である;又はシスが60〜70モル%で且つトランスが30〜40モル%である;又はシスが70モル%より多く且つトランスが30モル%未満であることができ、シス−及びトランス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールのモル百分率の総計は100モル%に等しい。シス/トランス1,4−シクロヘキサンジメタノールのモル比は、50/50〜0/100の範囲内で、例えば40/60〜20/80の範囲内で異なることができる。
【0063】
いくつかの実施態様においては、テレフタル酸、そのエステル、例えばテレフタル酸ジメチル又はテレフタル酸とそのエステルとの混合物が、本発明において有用なポリエステルの形成に使用するジカルボン酸成分のほとんど、又は全て、を構成する。いくつかの実施態様においては、テレフタル酸残基が、少なくとも70モル%、例えば少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%又は100モル%の濃度で本発明のポリエステルの形成に使用するジカルボン酸成分の一部又は全てを構成することができる。いくつかの実施態様においては、衝撃強度がより高いポリエステルを生成するために、より高量のテレフタル酸を使用できる。この開示に関しては、用語「テレフタル酸」及び「テレフタル酸ジメチル」はここでは同義で使用する。一実施態様においては、テレフタル酸ジメチルが、本発明において有用なポリエステルの生成に使用するジカルボン酸成分の一部又は全てである。全ての実施態様において、70〜100モル%;又は80〜100モル%;又は90〜100モル%;又は99〜100モル%の範囲;又は100モル%のテレフタル酸及び/若しくはテレフタル酸ジメチル並びに/又はそれらの混合物を使用できる。
【0064】
テレフタル酸残基の他に、本発明において有用なポリエステルのジカルボン酸成分は、30モル%以下、20モル%以下、10モル%以下、5モル%以下又は1モル%以下の改質用芳香族ジカルボン酸を含むことができる。更に別の実施態様は、0モル%の改質用芳香族ジカルボン酸を含む。従って、存在する場合には、1種又はそれ以上の改質用芳香族ジカルボン酸の量は、これらの前述の端点値のいずれかからの範囲であることができ、例えば0.01〜30モル%、0.01〜20モル%、0.01〜10モル%、0.01〜5モル%及び0.01〜1モル%の範囲であることができると考えられる。一実施態様において、本発明において使用できる改質用芳香族ジカルボン酸としては、直鎖であるか、パラ配向であるか又は対称性を有することができる、炭素数20以下のものが挙げられるが、これらに限定するものではない。本発明において使用できる改質用芳香族ジカルボン酸の例としては、イソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、1,4−、1,5−、2,6−、2,7−ナフタレンジカルボン酸及びトランス−4,4’−スチルベンジカルボン酸並びにそれらのエステルが挙げられるが、これらに限定するものではない。一実施態様において、改質用芳香族ジカルボン酸はイソフタル酸である。
【0065】
本発明において有用なポリエステルのカルボン酸成分は、更に、10モル%以下、5モル%以下又は1モル%以下の、炭素数2〜16の1種又はそれ以上の脂肪族ジカルボン酸、例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びドデカン二酸で改質することができる。いくつかの実施態様はまた、0.01モル%若しくはそれ以上、0.1モル%若しくはそれ以上、1モル%若しくはそれ以上、5モル%若しくはそれ以上又は10モル%若しくはそれ以上の1種又はそれ以上の改質用脂肪族ジカルボン酸を含むことができる。更に別の実施態様は、0モル%の改質用脂肪族ジカルボン酸を含む。従って、存在する場合には、1種又はそれ以上の改質用脂肪族ジカルボン酸の量は、これらの前述の端点値のいずれかからの範囲であることができ、例えば0.01〜10モル%及び0.1〜10モル%の範囲であることができると考えられる。ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%である。
【0066】
テレフタル酸のエステル及び他の改質用ジカルボン酸又はそれらの対応するエステル及び/若しくは塩をジカルボン酸の代わりに使用できる。ジカルボン酸エステルの適当な例としては、ジメチル、ジエチル、ジプロピル、ジイソプロピル、ジブチル及びジフェニルエステルが挙げられるが、これらに限定するものではない。一実施態様において、エステルは、以下:メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びフェニルエステルの少なくとも1つから選ばれる。
【0067】
1,4−シクロヘキサンジメタノールはシス、トランス又はそれらの混合物、例えばシス/トランス比60:40〜40:60であることができる。別の実施態様においては、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールが60〜80モル%の量で存在することができる。
【0068】
本発明において有用なポリエステル組成物のポリエステル部分のグリコール成分は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールでも1,4−シクロヘキサンジメタノールでもない1種又はそれ以上の改質用グリコールを25モル%又はそれ以下含むことができ;一実施態様において、本発明において有用なポリエステルは15モル%未満の1種又はそれ以上の改質用グリコールを含むことができる。別の実施態様において、本発明において有用なポリエステルは10モル%又はそれ以下の1種又はそれ以上の改質用グリコールを含むことができる。別の実施態様において、本発明において有用なポリエステルは5モル%又はそれ以下の1種又はそれ以上の改質用グリコールを含むことができる。別の実施態様において、本発明において有用なポリエステルは3モル%又はそれ以下の1種又はそれ以上の改質用グリコールを含むことができる。別の実施態様において、本発明において有用なポリエステルは0モル%の改質用グリコールを含むことができる。従って、存在する場合には、1種又はそれ以上の改質用グリコールの量は、これらの前述の端点値のいずれかからの範囲であることができ、例えば0.01〜15モル%及び0.1〜10モル%の範囲であることができると考えられる。
【0069】
本発明のポリエステルにおいて有用な改質用グリコールは、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノール以外のジオールを意味し、2〜16個の炭素原子を含むことができる。適当な改質用グリコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、p−キシレングリコール又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。改質用グリコールの一実施態様はエチレングリコールである。他の改質用グリコールとしては、1,3−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオールが挙げられるが、これらに限定するものではない。別の実施態様においては、エチレングリコールは改質用ジオールとしては除外される。別の実施態様においては、1,3−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオールは改質用ジオールとしては除外される。別の実施態様においては、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールは改質用ジオールとしては除外される。
【0070】
本発明のポリエステル組成物において有用なポリエステル及び/又はポリカーボネートは、3個又はそれ以上のカルボキシル置換基、ヒドロキシル置換基又はそれらの組合せを有する分岐剤とも称する分岐モノマーの1種又はそれ以上の残基を、ジオール又は二酸残基の総モル百分率に基づき、それぞれ、0〜10モル%、例えば0.01〜5モル%、0.01〜1モル%、0.05〜5モル%、0.05〜1モル%又は0.1〜0.7モル%又は0.1〜0.5モル%含むことができる。いくつかの実施態様においては、分岐モノマー又は分岐剤は、ポリエステルの重合前及び/又は重合の間及び/又は重合後に、添加することができる。従って、本発明において有用なポリエステルは線状又は分岐状であることができる。ポリカーボネートも線状又は分岐状であることができる。いくつかの実施態様において、分岐モノマー又は分岐剤は、ポリカーボネートの重合前及び/又は重合の間及び/又は重合後に、添加することができる。
【0071】
分岐モノマーの例としては、多官能価酸又は多官能価アルコール、例えばトリメリット酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、クエン酸、酒石酸、3−ヒドロキシグルタル酸などが挙げられるが、これらに限定するものではない。一実施態様において、分岐モノマー残基は、以下:トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、グリセロール、ソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン及び/又はトリメシン酸のうち少なくとも1つから選ばれた1種又はそれ以上の残基を0.1〜0.7モル%含むことができる。分岐モノマーはポリエステル反応混合物に添加することもできるし、或いは例えば米国特許第5,654,347号及び第5,696,176号に記載されたように、コンセントレートの形態でポリエステルとブレンドすることもできる。分岐モノマーに関するこれらの特許の開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0072】
本発明において有用なポリエステルのガラス転移温度(Tg)は、Thermal Analyst Instrument製のTA DSC 2920を用いて、20℃/分の走査速度で測定した。
【0073】
本発明において有用ないくつかポリエステルは170℃において長い半結晶化時間(例えば5分より長い)を示すので、射出成形品、射出ブロー成形品、射出延伸ブロー成形品、押出フィルム、押出シート、押出ブロー成形品、押出延伸ブロー成形品及び繊維を含む(これらに限定するものではないが)物品を製造することが可能である。熱成形可能なシートは、本発明によって提供される製造品の一例である。本発明のポリエステルは非晶質又は半結晶質であることができる。一態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステルは、比較的低い結晶化度を有することができる。従って、本発明において有用ないくつかのポリエステルは実質的に非晶質の形態を有することができ、これはポリエステルが実質的に不規則なポリマー領域を含むことを意味する。
【0074】
一実施態様において、「非晶質」ポリエステルは、170℃において5分より長い、又は170℃において10分より長い、又は170℃において50分より長い、又は170℃において100分より長い半結晶化時間、又は170℃において100分より長い半結晶化時間を有することができる。本発明の一実施態様においては、半結晶化時間は170℃において1,000分より長いことができる。本発明の別の実施態様においては、本発明において有用なポリエステルの半結晶化時間は170℃において10,000分より長いことができる。ここで使用する、ポリエステルの半結晶化時間は、当業者によく知られた方法を用いて測定できる。例えばポリエステルの半結晶化時間t1/2は、温度制御された高温ステージ上でレーザー及び光検知器によってサンプルの光透過率を時間の関数として測定することよって算出できる。この測定は、ポリマーを温度Tmaxに暴露し、次いでそれを所望の温度まで冷却することによって行うことができる。次に、サンプルを、高温ステージによって所望の温度に保持することができ、その間に透過率測定を時間の関数として行う。最初はサンプルは目視によって明澄であって高い光透過率を有することができ、サンプルが結晶化するにつれて不透明になる。半結晶化時間は、光透過率が初期透過率と最終透過率との中間である時間である。Tmaxはサンプルの結晶性ドメインを溶融させる(結晶性ドメインが存在するならば)のに必要な温度と定義する。半結晶化時間の測定前にサンプルを状態調整するために、サンプルをTmaxまで加熱することができる。絶対Tmax温度は組成毎に異なる。例えば、PCTは、結晶性ドメインを溶融させるために、290℃より若干高い温度まで加熱することができる。
【0075】
実施例の表I及び図1に示すように、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールは、半結晶化時間、即ちポリマーがその最大結晶化度の半分に達するのに必要な時間を増加させるのに、エチレングリコール及びイソフタル酸のような他のコモノマーよりも有効である。PCTの結晶化速度を減少させることによって、即ち半結晶化時間を増加させることによって、改質PCTを基材とする非晶質物品は、押出、射出成形などのような当業界で知られた方法によって、二次加工することができる。表Iに示されるように、これらの材料は他の改質PCTコポリエステルよりも高いガラス転移温度及び低い密度を示すことができる。
【0076】
ポリエステルは、本発明の実施態様の一部については、加工性及び靭性の改善を示すことができる。例えば、本発明において有用なポリエステルのインヘレント粘度をわずかに低下させると、靭性及び耐熱性のようなポリエステルの良好な物理的性質を保持しながら、より加工可能な溶融粘度が得られる。
【0077】
テレフタル酸、エチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールをベースとするコポリエステル中の1,4−シクロヘキサンジメタノールの含量を増加させると、ASTM D256によって測定されるノッチ付きアイゾッド衝撃強度試験における脆性−延性遷移温度によって判断できる靭性を改善することができる。1,4−シクロヘキサンジメタノールによる脆性−延性遷移温度の低下による、この靭性の改善は、コポリエステル中の1,4−シクロヘキサンジメタノールの可撓性及び配座挙動によって起こると考えられる。PCT中への2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの組み込みは、実施例の表II及び図2に示されるように、脆性−延性遷移温度を低下させることによって靭性を改善すると考えられる。
【0078】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステルの溶融粘度は、回転メルトレオメーター上で290℃において1ラジアン/秒で測定した場合に、30,000ポアズ未満である。別の実施態様において、本発明において有用なポリエステルの溶融粘度は、回転メルトレオメーター上で290℃において1ラジアン/秒で測定した場合に、20,000ポアズ未満である。
【0079】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステルの溶融粘度は、回転メルトレオメーターで290℃において1ラジアン/秒(rad/sec)で測定した場合に、15,000ポアズ未満である。一実施態様において、本発明において有用なポリエステルの溶融粘度は、回転メルトレオメーターで290℃において1ラジアン/秒(rad/sec)で測定した場合に、10,000ポアズ未満である。別の実施態様において、本発明において有用なポリエステルの溶融粘度は、回転メルトレオメーターで290℃において1ラジアン/秒で測定した場合に、6,000ポアズ未満である。rad/secでの粘度は加工性と関係する。典型的なポリマーは、それらの加工温度で測定する場合には、1ラジアン/秒において測定した場合に、10,000ポアズ未満の粘度を有する。ポリエステルは典型的には、290℃より高温では加工されない。ポリカーボネートは典型的には290℃において加工される。典型的なメルトフローレートが12のポリカーボネートの1rad/secでの粘度は290℃において7000ポアズである。
【0080】
本発明の一実施態様において、本発明において有用なポリエステルは、厚いセクションにおいて優れたノッチ付きアイゾッド衝撃強度を示す。ASTM D256に記載されたノッチ付きアイゾッド衝撃強度は、靭性を測定するための常法である。アイゾッド法によって試験した場合、ポリマーは、破壊モードが完全破壊(試験片が割れて2つの別個の部分になる)であるか、又は破壊モードが部分破壊又は非破壊(試験片が依然として1つの部分である)であることができる。完全破壊の破壊モードは低エネルギー破壊と関連する。部分破壊及び非破壊の破壊モードは高エネルギー破壊と関連する。アイゾッド靭性の測定に使用する典型的な厚さは1/8”である。この厚さでは、部分破壊又は非破壊の破壊モードを示すと考えられるポリマーはほとんどなく、ポリカーボネートが1つの注目に値する例である。しかし、試験片の厚さを1/4”まで増加させた場合に、市販の非晶質材料は部分破壊又は非破壊の破壊モードを示さない。一実施態様において、この例の組成物は、厚さ1/4”の試験片を用いてアイゾッドにおいて試験した場合に、非破壊の破壊モードを示す。
【0081】
本発明において有用なポリエステルは、以下の性質の1つ又はそれ以上を有することができる:一実施態様において、本発明において有用なポリエステルは、ASTM D256に従って測定された、ノッチ10milで厚さ3.2mm(1/8インチ)のバー中での23℃におけるノッチ付きアイゾッド衝撃強度が少なくとも150J/m(3ft−lb/in)であり;一実施態様において、本発明において有用なポリエステルは、ASTM D256に従って測定された、ノッチ10milで厚さ3.2mm(1/8インチ)のバーでの23℃におけるノッチ付きアイゾッド衝撃強度が少なくとも(400J/m)7.5ft−lb/inであり;一実施態様において、本発明において有用なポリエステルは、ASTM D256に従って測定された、ノッチ10milで厚さ3.2mm(1/8インチ)のバーでの23℃におけるノッチ付きアイゾッド衝撃強度が少なくとも1000J/m(18ft−lb/in)である。一実施態様において、本発明において有用なポリエステルは、ASTM D256に従って測定された、ノッチ10milで厚さ6.4mm(1/4インチ)のバーでの23℃におけるノッチ付きアイゾッド衝撃強度が少なくとも150J/m(3ft−lb/in)であり;一実施態様において、本発明において有用なポリエステルは、ASTM D256に従って測定された、ノッチ10milで厚さ6.4mm(1/4インチ)のバーでの23℃におけるノッチ付きアイゾッド衝撃強度が少なくとも(400J/m)7.5ft−lb/inであり;一実施態様において、本発明において有用なポリエステルは、ASTM D256に従って測定された、ノッチ10milで厚さ6.4mm(1/4インチ)のバーでの23℃におけるノッチ付きアイゾッド衝撃強度が少なくとも1000J/m(18ft−lb/in)である。
【0082】
別の実施態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステルは、ASTM D256に従って測定された、ノッチ10milで厚さ1/8インチのバーでは、−5℃において測定した場合に比較して、0℃において測定した場合には、少なくとも3%又は少なくとも5%又は少なくとも10%又は少なくとも15%のノッチ付きアイゾッド衝撃強度の増加を示すことができる。更に、本発明のいくつかの他のポリエステルは、また、ASTM D256に従って測定された、ノッチ10milで厚さ1/8インチのバーで、0〜30℃において測定した場合には±5%の範囲内のノッチ付きアイゾッド衝撃強度の保持を示すことができる。
【0083】
更に別の実施態様において、本発明において有用ないくつかのポリエステルは、ASTM D256に従って測定された、ノッチ10milで厚さ1/4インチのバーで23℃において測定した場合には、ASTM D256に従って測定された、ノッチ10milで厚さ1/8インチのバーで同一温度において測定した場合の同一ポリエステルのノッチ付きアイゾッド衝撃強度に比較して、70%以下の損失でノッチ付きアイゾッド衝撃強度の保持を示すことができる。
【0084】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステルは、ASTM D256によって規定された、ノッチ10milで厚さ1/8インチのバーに基づいて、0℃未満の延性−脆性遷移温度を示すことができる。
【0085】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステルは、密度勾配カラムを用いて23℃において測定された場合に、以下の密度の少なくとも1つを示すことができる:23℃において1.2g/ml未満の密度;23℃において1.18g/ml未満の密度;23℃において0.80〜1.3g/mlの密度;23℃において0.80〜1.2g/mlの密度;23℃において0.80g/ml〜1.2g/ml未満の密度;23℃において1.0〜1.3g/mlの密度;23℃において1.0〜1.2g/mlの密度;23℃において1.0〜1.1g/mlの密度;23℃において1.13〜1.3g/mlの密度;23℃において1.13〜1.2g/mlの密度。
【0086】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステルは、目視によって明澄であることができる。本明細書中では、用語「目視によって明澄な(visually clear)」は、目視検査した場合に曇り(cloudiness)、濁り(haziness)及び/又はくすみ(muddiness)が存在しないことがはっきりと認められることと定義する。別の実施態様において、ポリエステルを、ビスフェノールAポリカーボネートを含む(これに限定するものではないが)ポリカーボネートとブレンドする場合には、ブレンドは目視によって明澄であることができる。
【0087】
本発明の他の実施態様において、本発明において有用なポリエステルは、50未満又は20未満の黄色度指数(yellowness index)(ASTM D−1925)を有することができる。
【0088】
一実施態様において、本発明において有用なポリエステル及び/又は本発明のポリエステル組成物は、トナーの有無にかかわらず、カラー値L*、a*及びb*を有することができ、それらは、Hunter Associates Lab Inc., Reston,Va.製のHunter Lab Ultrascan Spectra Colorimeterを用いて測定できる。カラー測定値はポリエステルのペレット又はそれらから射出成形若しくは押出されたプラック若しくは他の成形品について測定された値の平均値である。これらは、CIE(International Commission on Illumination)のL***表色系(translated)によって測定され、L*は明度座標を表し、a*は赤/緑座標を表し、b*は黄/青座標を表す。いくつかの実施態様において、本発明において有用なポリエステルのb*値は−10から10未満までであることができ、L*値は50〜90であることができる。他の実施態様において、本発明において有用なポリエステルのb*値は、以下の範囲:−10〜9;−10〜8;−10〜7;−10〜6;−10〜5;−10〜4;−10〜3;−10〜2;−5〜9;−5〜8;−5〜7;−5〜6;−5〜5;−5〜4;−5〜3;−5〜2;0〜9;0〜8;0〜7;0〜6;0〜5;0〜4;0〜3;0〜2;1〜10;1〜9;1〜8;1〜7;1〜6;1〜5;1〜4;1〜3;及び1〜2の1つに含まれることができる。他の実施態様において、本発明において有用なポリエステルのL*値は、以下の範囲:50〜60;50〜70;50〜80;50〜90;60〜70;60〜80;60〜90;70〜80;79〜90の1つに含まれることができる。
【0089】
一部の実施態様において、本発明において有用なポリエステル組成物の使用は溶融加工及び/又は熱成形前の乾燥工程を最小限に抑え且つ/又は排除する。
【0090】
本発明において有用なポリエステル組成物のポリエステル部分は、文献から周知の方法によって、例えば均質溶液中における方法によって、メルト中におけるエステル交換法によって及び2相界面法によって、生成させることができる。適当な方法としては、1種又はそれ以上のジカルボン酸と1種又はそれ以上のグリコールとを、温度100〜315℃及び圧力0.1〜760mmHgにおいて、ポリエステルを形成するのに充分な時間反応させる工程が挙げられるが、これに限定するものではない。ポリエステルの製造方法については米国特許第3,772,405号を参照されたい。この方法に関する開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0091】
別の態様において、本発明は、本発明のポリエステル組成物において有用なポリエステルの製造方法に関する。この方法は、
(I)本発明において有用な任意のポリエステルにおいて有用なモノマーを含む混合物を触媒の存在下、150〜240℃の温度で初期ポリエステルの生成に充分な時間加熱し;
(II)工程(I)の初期ポリエステルを240〜320℃の温度で1〜4時間加熱し;そして
(III)未反応のグリコールを全て除去する
ことを含む。
【0092】
この方法に使用するのに適当な触媒としては、有機−亜鉛又は錫化合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。この型の触媒の使用は当業界でよく知られている。本発明において有用な触媒の例としては、酢酸亜鉛、ブチル錫トリス−2−エチルヘキサノエート、ジブチル錫ジアセテート及び/又はジブチル錫オキシドが挙げられるが、これらに限定するものではない。他の触媒としては、チタン、亜鉛、マンガン、リチウム、ゲルマニウム及びコバルトをベースとするものが挙げられるが、これら限定するものではない。触媒の量は、触媒金属に基づき且つ最終ポリマーの重量に基づいて、10〜20,000ppm、又は10〜10,000ppm、又は10〜5000ppm、又は10〜1000ppm、又は10〜500ppm、又は10〜300ppm、又は10〜250ppmの範囲であることができる。この方法は、回分法又は連続法のいずれかで実施することができる。
【0093】
典型的には、工程(I)は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの50重量%又はそれ以上が反応するまで実施できる。工程(I)は、大気圧〜100psigの範囲の加圧下で、実施することができる。本発明において有用な任意の触媒に関連して使用する用語「反応生成物」は、ポリエステル生成に使用する触媒及び任意のモノマーを用いた重縮合又はエステル化反応の任意の生成物並びに触媒と任意の他の型の添加剤との重縮合又はエステル化反応の生成物を意味する。
【0094】
典型的には、工程(II)及び工程(III)は同時に実施することができる。これらの工程は、当業界で知られた方法によって、例えば反応混合物を0.002psig〜大気圧未満の範囲の圧力下に置くことによって、又は高温窒素ガスを混合物全体に吹き付けることによって、実施できる。
【0095】
本発明は、更に、前記方法によって生成されるポリエステル生成物に関する。
【0096】
本発明は更に、ポリマーブレンドに関する。このブレンドは、
(a)少なくとも1種の前記ポリエステル5〜95重量%;及び
(b)少なくとも1種のポリマー成分5〜95重量%
を含む。
【0097】
ポリマー成分の適当な例としては以下のもの:ポリアミド、例えばナイロン;ここに記載したものとは異なる他のポリエステル;ZYTEL(登録商標)(Dupont製);ポリスチレン;ポリスチレンコポリマー;スチレン・アクリロニトリルコポリマー;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンコポリマー;ポリ(メチルメタクリレート);アクリルコポリマー;ポリ(エーテル−イミド)、例えばULTEM(登録商標)(General Electric製のポリ(エーテル−イミド));ポリフェニレンオキシド、例えばポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)又はポリ(フェニレンオキシド)/ポリスチレンブレンド、例えばNORYL 1000(登録商標)(General Electric製のポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)とポリスチレン樹脂とのブレンド);ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンスルフィド/スルホン;ポリ(エステル−カーボネート);ポリカーボネート、例えばLEXAN(登録商標)(General Electric製のポリカーボネート);ポリスルホン;ポリスルホンエーテル;及び芳香族ジヒドロキシ化合物のポリ(エーテル−ケトン);又は前記ポリマーのいずれかの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。ブレンドは、当業界で知られた従来の加工技術によって、例えば溶融ブレンド又は溶液ブレンドによって製造できる。一実施態様において、ポリカーボネートは、ポリエステル組成物中に存在しない。本発明のポリエステル組成物中のブレンド中にポリカーボネートを用いる場合には、ブレンドは目視によって明澄であることができる。本発明において有用なポリエステル組成物は、また、ポリカーボネートの除外もポリカーボネートの包含も考える。
【0098】
本発明において有用なポリカーボネートは、既知の方法に従って、例えば、ジヒドロキシ芳香族化合物とカーボネート前駆体、例えばホスゲン、ハロ蟻酸又は炭酸エステル、分子量調節剤、受酸剤及び触媒を反応させることによって製造できる。ポリカーボネートの製造方法は当業界で知られており、例えば米国特許第4,452,933号に記載されている。ポリカーボネートの製造に関するこの特許の開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0099】
適当なカーボネート前駆体の例としては、臭化カルボニル、塩化カルボニル若しくはそれらの混合物;炭酸ジフェニル;ジ(ハロフェニル)カーボネート、例えばジ(トリクロロフェニル)カーボネート、ジ(トリブロモフェニル)カーボネートなど;ジ(アルキルフェニル)カーボネート、例えばジ(トリル)カーボネート;ジ(ナフチル)カーボネート;ジ(クロロナフチル)カーボネート若しくはそれらの混合物;及び二価フェノールのビス−ハロホルメートが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0100】
適当な分子量調節剤の例としては、フェノール、シクロヘキサノール、メタノール、アルキル化フェノール、例えばオクチルフェノール、p−tert−ブチル−フェノールなどが挙げられるが、これらの限定するものではない。一実施態様において、分子量調節剤はフェノール又はアルキル化フェノールである。
【0101】
受酸剤は有機又は無機受酸剤であることができる。適当な有機受酸剤は第三アミンであることができ、その例としてはピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、トリブチルアミンなどのような物質が挙げられるが、これらに限定するものではない。無機受酸剤はアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩又は燐酸塩であることができる。
【0102】
使用できる触媒としては、モノマーとホスゲンとの重合を典型的に助けるものが挙げられるが、これらに限定するものではない。適当な触媒としては以下のもの:第三アミン、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン、第四アンモニウム化合物、例えばテトラエチルアンモニウムブロミド、セチルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラ−n−ヘプチルアンモニウムヨージド、テトラ−n−プロピルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラ−メチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド及び第四ホスホニウム化合物、例えばn−ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド及びメチルトリフェニルホスホニウムブロミドが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0103】
本発明のポリエステル組成物において有用なポリカーボネートはまた、コポリエステルカーボネート、例えば米国特許第3,169,121号;第3,207,814号;第4,194,038号;第4,156,069号;第4,430,484号、第4,465,820号及び第4,981,898号に記載されたものであることができる。これらの米国特許のそれぞれからのコポリエステルカーボネートに関する開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0104】
本発明において有用なコポリエステルカーボネートは、商業的に入手することができ且つ/又は当業界で知られた方法によって製造できる。例えば、これらは典型的には、少なくとも1種のジヒドロキシ芳香族化合物と、ホスゲンと少なくとも1種のジカルボン酸塩化物、特に塩化イソフタロイル、塩化テレフタロイル又は両者との混合物との反応によって得ることができる。
【0105】
更に、本発明のポリエステルを含むポリエステル組成物及びポリマーブレンド組成物は、また、ポリエステル組成物の総重量の0.01〜25重量%又は0.01〜20重量%又は0.01〜15重量%又は0.01〜10重量%又は0.01〜5重量%の一般的な添加剤、例えば着色剤、染料、離型剤、難燃剤、可塑剤、成核剤、安定剤(UV安定剤、熱安定剤及び/又はそれらの反応混合物を含むが、これらに限定するものではない)、充填剤及び耐衝撃性改良剤を含むことができる。当業界でよく知られ且つ本発明において有用な、典型的な市販の耐衝撃性改良剤の例としては、エチレン/プロピレンターポリマー;官能基化ポリオレフィン、例えばアクリル酸メチル及び/又はメタクリル酸グリシジルを含むもの;スチレン系ブロックコポリマー耐衝撃性改良剤並びに種々のアクリルコア/シェル型耐衝撃性改良剤が挙げられるが、これらに限定するものではない。例えば、UV添加剤は、バルクへの添加によって、ハードコートの適用によって又はキャップ層の同時押出によって、製造品に組み入れることができる。このような添加剤の残基もポリエステル組成物の一部として考えられる。
【0106】
本発明のポリエステルは少なくとも1種の連鎖延長剤を含むことができる。適当な連鎖延長剤としては、多官能価(二官能価を含むが、これに限定するものではない)イソシアネート、多官能価エポキシド、例えばエポキシ化ノボラック及びフェノキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施態様において、連鎖延長剤は、重合プロセスの最後に又は重合プロセスの後に、添加することができる。重合プロセス後に添加する場合には、連鎖延長剤は、射出成形又は押出のような転化プロセスの間に添加によって又は配合によって、組み入れることができる。使用する連鎖延長剤の量は、使用する具体的なモノマー組成及び目的の物理的性質によって異なり得るが、一般にポリエステルの総重量に基づき、約0.1〜約10重量%、好ましくは約0.1〜約5重量%である。
【0107】
熱安定剤は、ポリエステルの製造及び/又は後重合の過程においてポリエステルを安定化させる化合物、例えば燐化合物(これに限定するものではないが)である。燐化合物の例としては、燐酸、亜燐酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、亜ホスホン酸並びにそれらの種々のエステル及び塩が挙げられるが、これらに限定するものではない。これらは、本発明において有用なポリエステル組成物中に存在できる。エステルはアルキル、分岐アルキル、置換アルキル、二官能価アルキル、アルキルエーテル、アリール及び置換アリールであることができる。一実施態様において、個々の燐化合物中に存在するエステル基の数は、ゼロから、使用する熱安定剤上に存在するヒドロキシル基の数に基づいて許容可能な最大までさまざまであることができる。用語「熱安定剤」は、その反応生成物を含むものとする。本発明の熱安定剤に関連して使用する用語「反応生成物」は、ポリエステルの製造に使用する熱安定剤と任意のモノマーとの間の重縮合又はエステル化反応の任意の生成物、及び触媒と任意の他の型の添加剤との間の重縮合又はエステル化反応の生成物を意味する。
【0108】
強化材は本発明の組成物中において有用であることができる。強化材の例としては、炭素フィラメント、シリケート、マイカ、クレイ、タルク、二酸化チタン、ウォラストナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ及び繊維、並びにポリマー繊維、更にそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定するものではない。一実施態様において、強化材は、ガラス、例えばガラス繊維フィラメント、ガラスとタルクとの混合物、ガラスとマイカとの混合物、並びにガラスとポリマー繊維との混合物である。
【0109】
別の実施態様において、本発明は、更に、本明細書中に記載したポリエステル及びブレンドのいずれかを含む製造品、例えば射出成形品、押出品、キャスト押出品、異形押出品、溶融紡糸品、熱成形品、押出成形品、射出ブロー成形品、射出延伸ブロー成形品、押出ブロー成形品及び押出延伸ブロー成形品を含む(これらに限定するものではないが)押出品、カレンダー加工品及び/又は成形品に関する。これらの物品としては、フィルム、ボトル(哺乳瓶を含むが、これに限定するものではない)、容器、シート及び/又は繊維が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0110】
ポリエステルからの繊維、フィルム、成形品、容器及びシート材料の形成方法は当業界で知られている。可能な成形品の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定するものではない:医療機器、例えば透析装置、医療包装、ヘルスケア用品、商業的フードサービス製品、例えばフードパン、スチームトレイ、タンブラー及び貯蔵ボックス、哺乳瓶、フードプロセッサー、ブレンダー及びミキサーボウル、調理用具、ウォーターボトル、クリスパートレイ、洗濯機の表面(おもてめん)、及び電気掃除機部品。他の可能な成形品としては、眼科用レンズ及びフレームが挙げられるであろうが、これらに限定するものではない。例えば、この材料は、明澄で、強靭で、耐熱性であり且つ良好な加水分解安定性を示すので、哺乳瓶を含む(これに限定するものではないが)ボトルの製造に使用できる。
【0111】
別の実施態様において、本発明は更に、ここに記載したポリエステル組成物を含むフィルム及び/又はシートを含む製造品に関する。
【0112】
本発明において有用なフィルム及び/又はシートは、当業者には明白であろう任意の厚さを有することができる。一実施態様において、本発明のフィルムは厚さが40mil以下である。一実施態様において、本発明のフィルムは厚さが35mil以下である。一実施態様において、本発明のフィルムは厚さが30mil以下である。一実施態様において、本発明のフィルムは厚さが25mil以下である。一実施態様において、本発明のフィルムは厚さが20mil以下である。
【0113】
一実施態様において、本発明のシートは厚さが20mil以上である。別の実施態様において、本発明のシートは厚さが25mil以上である。別の実施態様において、本発明のシートは厚さが30mil以上である。別の実施態様において、本発明のシートは厚さが35mil以上である。別の実施態様において、本発明のシートは厚さが40mil以上である。
【0114】
本発明は更に本発明のポリエステル組成物を含むフィルム及び/又はシートに関する。ポリエステルからのフィルム及び/又はシートの形成方法は当業界でよく知られている。本発明のフィルム及び/又はシートの例としては、押出フィルム及び/又はシート、カレンダードフィルム及び/又はシート、圧縮成形フィルム及び/又はシート、溶液キャストフィルム及び/又はシートが挙げられるが、これらに限定するものではない。フィルム及び/又はシートの製造方法としては、押出、カレンダリング、圧縮成形及び溶液キャストが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0115】
フィルム及び/又はシートから製造される可能性のある物品の例としては、一軸伸張フィルイム、二軸伸張フィルム、収縮フィルム(一軸又は二軸伸張されていてもいなくても)、液晶ディスプレイフィルム(拡散シート、補償フィルム(compensation film)及び保護フィルムを含むが、これらに限定するものではない)、熱成形シート、グラフィックアートフィルム、屋外サイン(屋外看板又は屋外標識)、天窓、塗装物品、積層品、ラミネート加工品、及び/又は多層フィルム又はシートが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0116】
グラフィックアートフィルムの例としては、以下のもの:ネームプレート、メンブレンスイッチ・オーバーレイ;店頭ディスプレイ;洗濯機上のフラット又はインモールド化粧パネル;冷蔵庫上のフラットタッチパネル;オーブン上のフラットパネル;自動車用の装飾内装トリム;自動車用のインストルメントクラスター;携帯電話機カバー;暖房及び換気制御ディスプレイ;自動車操作パネル;自動車ギアシフトパネル;自動車計器パネル用制御ディスプレイ又は警告信号;家庭電化製品の表面仕上げ、文字盤又はディスプレイ;洗濯機の表面仕上げ、文字盤又はディスプレイ;食器洗い機の表面仕上げ、文字盤又はディスプレイ;電子装置用のキーパッド;携帯電話機、PDA(携帯用コンピュータ)又はリモコン用のキーパッド;電子装置用ディスプレイ;電話機及びPDAのような携帯電子装置用のディスプレイ;携帯電話機又は標準電話機用のパネル及びハウジング;電子装置上のロゴ;並びに携帯電話機用のロゴが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0117】
多層フィルム又はシートは、垂直なリブによって互いに接続された多層から成る形材として押出されたシートを意味する。多層フィルム又はシートの例としては、温室及び商業用キャノピーが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【実施例】
【0118】
以下の例は、本発明のポリエステル組成物の製造方法及び評価方法を更に示す。これらは、本発明の単なる代表例であって、本発明の範囲を限定するものではない。特に断らない限り、部は重量部であり、温度は℃で表すか又は室温であり、圧力は大気圧又はほぼ大気圧である。本発明に関しては、「wt」は「重量」を意味する。
【0119】
測定方法
ポリエステルのインヘレント粘度は、25℃において60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で0.5g/100mlの濃度で、測定した。
【0120】
特に断らない限り、ガラス転移温度(Tg)は、Thermal Analyst Instruments製のTA DSC 2920計測器を用いて、ASTM D3418に従って20℃/分の走査速度で測定した。
【0121】
組成物のグリコール含量及びシス/トランス比は、プロトン核磁気共鳴(NMR)分光分析法によって測定した。全てのNMRスペクトルを、ポリマーについてはクロロホルム−トリクロロ酢酸(容量/容量70−30)を又はオリゴマーサンプルについては60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン(ロックのために重水素化クロロホルムが添加されている)を用いて、JOEL Eclipse Plus 600MHz核磁気共鳴分光計上に記録した。2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの共鳴のピーク指定は、モデルとなる、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールのモノ安息香酸エステル及びジ安息香酸エステルと比較することによって行った。これらのモデル化合物はポリマー及びオリゴマー中に見られる共鳴位置に非常に似ている。
【0122】
半結晶化時間t1/2は、温度制御された高温ステージ上でレーザー又は光検知器によってサンプルの光透過率を時間の関数として測定することによって算出した。この測定は、ポリマーを温度Tmaxに暴露し、次いでそれを所望の温度まで冷却することによって行った。次に、サンプルを、高温ステージによって所望の温度に保持しながら、透過率測定を時間の関数として行った。最初はサンプルは目視によって明澄であって高い光透過率を有し、サンプルが結晶化するにつれて不透明になった。半結晶化時間は、光透過率が初期透過率と最終透過率との中間である時間として記録した。Tmaxはサンプルの結晶性ドメインを溶融させる(結晶性ドメインが存在するならば)のに必要な温度と定義する。以下の例中に報告したTmaxは、半結晶化時間の測定前にサンプルを状態調整する(condition)ために各サンプルを加熱した温度を表す。Tmax温度は組成によって異なり、典型的にはポリエステル毎に異なる。例えば、PCTは、結晶性ドメインを溶融させるためには、290℃より若干高い温度まで加熱することが必要な可能性がある。
【0123】
密度は、23℃において密度勾配カラム(gradient density column)を用いて測定した。
【0124】
ここに報告した溶融粘度はRheometrics Dynamic Analyzer(RDA II)を用いることによって測定した。溶融粘度は、報告した温度において1〜400rad/secの範囲の周波数において剪断速度の関数として測定した。ゼロ剪断溶融粘度(η0)は、当業界における既知のモデルによってデータを外挿することによって推定されたゼロ剪断速度における溶融粘度である。この工程は、Rheometrics Dynamic Analyzer(RDA II)ソフトウェアによって自動的に実施される。
【0125】
ポリマーは、真空オーブン中で80〜100℃の範囲の温度において24時間乾燥させ、Boy 22S成形機上で射出成形して、1/8×1/2×5インチ及び1/4×1/2×5インチの曲げバー(flexure bar)を生成した。これらのバーを長さ2.5インチに切断し、ASTM D256に従って幅1/2インチに10milのノッチ(切り欠き)を入れた。23℃における平均アイゾッド衝撃強度を、5つの試験片に関する測定値から算出した。
【0126】
更に、脆性−延性遷移温度を測定するために、5つの試験片を5℃刻みで温度を増加させて種々の温度において試験を行った。脆性−延性遷移温度は、ASTM D256によって示されるように試験片の50%が脆性破壊する温度と定義する。
【0127】
ここに報告したカラー値は、Hunter Associates Lab Inc.,Reston,Va.製のHunter Lab Ultrascan Spectra Colorimeterを用いて測定した。カラー測定値は、ポリエステルのペレット又はそれらから射出成形若しくは押出されたプラック若しくは他の成形品について測定された値の平均値であった。これらは、CIE(International Commission on Illumination)のL***表色系(translated)によって測定した。L*は明度座標を表し、a*は赤/緑座標を表し、b*は黄/青座標を表す。
【0128】
更に、10milのフィルムを、Carverプレスを用いて240℃において圧縮成形した。
【0129】
特に断らない限り、以下の例中で用いる1,4−シクロヘキサンジメタノールのシス/トランス比は約30/70であり、35/65〜20/75の範囲であることができた。特に断らない限り、以下の例中で用いる2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールのシス/トランス比は約50/50であった。
【0130】
実施例及び図の全体を通じて、以下の略語を適用する。
【0131】
【表1】

【0132】
例1
この例は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールが、PCTの結晶化速度の低下において、エチレングリコール又はイソフタル酸よりも有効であることを示す。更に、この例は、ガラス転移温度及び密度に対する2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールのメリットを示す。
【0133】
種々のコポリエステルを下記のようにして製造した。これらのコポリエステルは全て、結晶化の研究の間における核生成に対する触媒の型及び濃度の影響を最小限に抑えるために、触媒として200ppmのジブチル錫オキシドを用いて生成した。1,4−シクロヘキサンジメタノールのシス/トランス比は31/69とした。2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールのシス/トランス比は表Iに報告してある。
【0134】
この例に関しては、サンプルは充分に類似したインヘレント粘度を有し、その結果、これは結晶化速度測定における変数としては効果的に排除された。
【0135】
メルトからの半結晶化時間の測定は、10℃ずつ温度を増加させながら140〜200℃の温度において行った。この測定値を表Iに報告する。各サンプルについて最も速い半結晶化時間は、温度の関数としての半結晶化時間の最小値とし、これは典型的には約170〜180℃に現れた。サンプルに関する最も速い半結晶化時間を、PCTへのコモノマー改質のモル%の関数として図1にプロットしてある。
【0136】
データは、結晶化速度の低下(即ち半結晶化時間の増加)において、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールが、エチレングリコール及びイソフタル酸よりも有効であることを示している。更に、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールはTgを増加させ、密度を低下させる。
【0137】
【表2】

【0138】
前記表中、
Aは、イソフタル酸であり;
Bは、エチレングリコールであり;
Cは、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(シス/トランス約50/50)であり;
Dは、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(シス/トランス98/2)であり;
Eは、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(シス/トランス5/95)である。
【0139】
表I及び図1に示される通り、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールは、半結晶化時間の増加、即ちポリマーが最大結晶化度の半分に達するのに必要な時間の増加において、エチレングリコール及びイソフタル酸のような他のコモノマーよりも有効である。PCTの結晶化速度を減少させる(半結晶化時間を増加させる)ことによって、ここに記載した2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール改質PCTを基材とする非晶質物品は、当業界で知られた方法によって、二次加工することができる。表Iに示されるように、これらの材料は、他の改質PCTコポリエステルよりも高いガラス転移温度及び低い密度を示すことができる。
【0140】
表Iに示したポリエステルの製造について、以下に記載する。
【0141】
例1A
この例は、目標組成がテレフタル酸ジメチル残基80モル%、イソフタル酸ジメチル残基20モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール残基(シス/トランス28/72)100モル%であるコポリエステルの製造を示す。
【0142】
窒素注入口、金属撹拌機及び短蒸留カラムを装着した500mlフラスコ中に、テレフタル酸ジメチル56.63g、1,4−シクロヘキサンジメタノール55.2g、イソフタル酸ジメチル14.16g及びジブチル錫オキシド0.0419gの混合物を入れた。このフラスコを、既に210℃に加熱してあるWood金属浴に入れた。撹拌速度は、実験全体を通して200RPMに設定した。フラスコの内容物を210℃で5分間加熱し、次いで温度を30分にわたって290℃まで徐々に上昇させた。反応混合物を290℃に60分間保持し、次いで、フラスコ内部の圧力が100mmHgに達するまで次の5分間にわたって徐々に真空を適用した。フラスコ内部の圧力を、次の5分間にわたって、0.3mmHgまで更に低下させた。0.3mmHgの圧力を合計90分間保持して、過剰の未反応ジオールを除去した。溶融粘度が高く、目視によって明澄で且つ無色のポリマーが得られ、ガラス転移温度は87.5℃、インヘレント粘度は0.63dL/gであった。NMR分析は、ポリマーが1,4−シクロヘキサンジメタノール残基100モル%及びイソフタル酸ジメチル残基20.2モル%から成ることを示した。
【0143】
例1B
この例は、目標組成がテレフタル酸ジメチル残基100モル%、エチレングリコール残基20モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール残基(シス/トランス32/68)80モル%であるコポリエステルの製造を示す。
【0144】
窒素注入口、金属撹拌機及び短蒸留カラムを装着した500mlフラスコ中に、テレフタル酸ジメチル77.68g、1,4−シクロヘキサンジメタノール50.77g、エチレングリコール27.81g及びジブチル錫オキシド0.0433gの混合物を入れた。このフラスコを、既に200℃に加熱してあるWood金属浴に入れた。撹拌速度は、実験全体を通して200RPMに設定した。フラスコの内容物を200℃で60分間加熱し、次いで温度を5分にわたって210℃まで徐々に上昇させた。反応混合物を210℃に120分間保持し、次いで30分で280℃まで昇温させた。280℃に達したら、フラスコ内部の圧力が100mmHgに達するまで次の5分間にわたって徐々に真空を適用した。フラスコ内部の圧力を、次の10分間にわたって0.3mmHgまで更に低下させた。0.3mmHgの圧力を合計90分間保持して、過剰の未反応ジオールを除去した。溶融粘度が高く、目視によって明澄で且つ無色のポリマーが得られ、ガラス転移温度は87.7℃、インヘレント粘度は0.71dL/gであった。NMR分析は、ポリマーがエチレングリコール残基19.8モル%から成ることを示した。
【0145】
例1C
この例は、目標組成がテレフタル酸ジメチル残基100モル%、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基20モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール残基(シス/トランス31/69)80モル%であるコポリエステルの製造を示す。
【0146】
窒素注入口、金属撹拌機及び短蒸留カラムを装着した500mlフラスコ中に、テレフタル酸ジメチル77.68g、1,4−シクロヘキサンジメタノール48.46g、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール17.86g及びジブチル錫オキシド0.046gの混合物を入れた。このポリエステルを、例1Aに記載したのと同様な方法で製造した。溶融粘度が高く、目視によって明澄で且つ無色のポリマーが得られ、ガラス転移温度は100.5℃、インヘレント粘度は0.73dL/gであった。NMR分析は、ポリマーが1,4−シクロヘキサンジメタノール残基80.5モル%及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基19.5モル%から成ることを示した。
【0147】
例1D
この例は、目標組成がテレフタル酸ジメチル残基100モル%、イソフタル酸ジメチル残基40モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール残基(シス/トランス28/72)100モル%であるコポリエステルの製造を示す。
【0148】
窒素注入口、金属撹拌機及び短蒸留カラムを装着した500mlフラスコ中に、テレフタル酸ジメチル42.83g、1,4−シクロヘキサンジメタノール55.26g、イソフタル酸ジメチル28.45g及びジブチル錫オキシド0.0419gの混合物を入れた。このフラスコを、既に210℃に加熱してあるWood金属浴に入れた。撹拌速度は、実験全体を通して200RPMに設定した。フラスコの内容物を210℃で5分間加熱し、次いで温度を30分にわたって290℃まで徐々に上昇させた。反応混合物を290℃に60分間保持し、次いで、フラスコ内部の圧力が100mmHgに達するまで次の5分間にわたって徐々に真空を適用した。フラスコ内部の圧力を、次の5分間にわたって0.3mmHgまで更に低下させた。0.3mmHgの圧力を合計90分間保持して、過剰の未反応ジオールを除去した。溶融粘度が高く、目視によって明澄で且つ無色のポリマーが得られ、ガラス転移温度は81.2℃、インヘレント粘度は0.67dL/gであった。NMR分析は、ポリマーが1,4−シクロヘキサンジメタノール残基100モル%及びイソフタル酸ジメチル残基40.2モル%から成ることを示した。
【0149】
例1E
この例は、目標組成がテレフタル酸ジメチル残基100モル%、エチレングリコール残基40モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール残基(シス/トランス31/69)60モル%であるコポリエステルの製造を示す。
【0150】
窒素注入口、金属撹拌機及び短蒸留カラムを装着した500mlフラスコ中に、テレフタル酸ジメチル81.3g、1,4−シクロヘキサンジメタノール42.85g、エチレングリコール34.44g及びジブチル錫オキシド0.0419gの混合物を入れた。このフラスコを、既に200℃に加熱してあるWood金属浴に入れた。撹拌速度は、実験全体を通して200RPMに設定した。フラスコの内容物を200℃で60分間加熱し、次いで温度を5分にわたって210℃まで徐々に上昇させた。反応混合物を210℃に120分間保持し、次いで30分で280℃まで昇温させた。280℃に達したら、フラスコ内部の圧力が100mmHgに達するまで次の5分間にわたって徐々に真空を適用した。フラスコ内部の圧力を、次の10分間にわたって0.3mmHgまで更に低下させた。0.3mmHgの圧力を合計90分間保持して、過剰の未反応ジオールを除去した。溶融粘度が高く、目視によって明澄で且つ無色のポリマーが得られ、ガラス転移温度は82.1℃、インヘレント粘度は0.64dL/gであった。NMR分析は、ポリマーがエチレングリコール残基34.5モル%から成ることを示した。
【0151】
例1F
この例は、目標組成がテレフタル酸ジメチル残基100モル%、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基40モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール残基(シス/トランス31/69)60モル%であるコポリエステルの製造を示す。
【0152】
窒素注入口、金属撹拌機及び短蒸留カラムを装着した500mlフラスコ中に、テレフタル酸ジメチル77.4g、1,4−シクロヘキサンジメタノール36.9g、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール32.5g及びジブチル錫オキシド0.046gの混合物を入れた。このフラスコを、既に210℃に加熱してあるWood金属浴に入れた。撹拌速度は、実験全体を通して200RPMに設定した。フラスコの内容物を210℃で3分間加熱し、次いで温度を30分にわたって260℃まで徐々に上昇させた。反応混合物を260℃に120分間保持し、次いで、30分で290℃まで昇温させた。290℃に達したら、フラスコ内部の圧力が100mmHgに達するまで次の5分間にわたって徐々に真空を適用した。フラスコ内部の圧力を、次の5分間にわたって0.3mmHgまで更に低下させた。0.3mmHgの圧力を合計90分間保持して、過剰の未反応ジオールを除去した。溶融粘度が高く、目視によって明澄で且つ無色のポリマーが得られ、ガラス転移温度は122℃、インヘレント粘度は0.65dL/gであった。NMR分析は、ポリマーが1,4−シクロヘキサンジメタノール残基59.9モル%及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基40.1モル%から成ることを示した。
【0153】
例1G
この例は、目標組成がテレフタル酸ジメチル残基100モル%、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基(シス/トランス98/2)20モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール残基(シス/トランス31/69)80モル%であるコポリエステルの製造を示す。
【0154】
窒素注入口、金属撹拌機及び短蒸留カラムを装着した500mlフラスコ中に、テレフタル酸ジメチル77.68g、1,4−シクロヘキサンジメタノー48.46g、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール20.77g及びジブチル錫オキシド0.046gの混合物を入れた。このフラスコを、既に210℃に加熱してあるWood金属浴に入れた。撹拌速度は、実験全体を通して200RPMに設定した。フラスコの内容物を210℃で3分間加熱し、次いで温度を30分にわたって260℃まで徐々に上昇させた。反応混合物を260℃に120分間保持し、次いで、30分で290℃まで昇温させた。290℃に達したら、フラスコ内部の圧力が100mmHgに達するまで次の5分間にわたって徐々に真空を適用し、撹拌速度も100RPMまで低下させた。フラスコ内部の圧力を、次の5分間にわたって0.3mmHgまで更に低下させ、撹拌速度を50RPMまで低下させた。0.3mmHgの圧力を合計60分間保持して、過剰の未反応ジオールを除去した。溶融粘度が高く、目視によって明澄で且つ無色のポリマーが得られ、ガラス転移温度は103℃、インヘレント粘度は0.65dL/gであった。NMR分析は、ポリマーが1,4−シクロヘキサンジメタノール残基85.7モル%及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基14.3モル%から成ることを示した。
【0155】
例1H
この例は、目標組成がテレフタル酸ジメチル残基100モル%、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基(シス/トランス5/95)20モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール残基(シス/トランス31/69)80モル%であるコポリエステルの製造を示す。
【0156】
窒素注入口、金属撹拌機及び短蒸留カラムを装着した500mlフラスコ中に、テレフタル酸ジメチル77.68g、1,4−シクロヘキサンジメタノー48.46g、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール20.77g及びジブチル錫オキシド0.046gの混合物を入れた。このフラスコを、既に210℃に加熱してあるWood金属浴に入れた。撹拌速度を、実験の初めに200RPMに設定した。フラスコの内容物を210℃で3分間加熱し、次いで温度を30分にわたって260℃まで徐々に上昇させた。反応混合物を260℃に120分間保持し、次いで、30分で290℃まで昇温させた。290℃に達したら、次の5分間にわたって真空を整定値100mmHgで徐々に適用し、撹拌速度も100RPMまで低下させた。フラスコ内部の圧力を、次の5分間にわたって0.3mmHgの整定値まで更に低下させ、撹拌速度を50RPMまで低下させた。この圧力を合計60分間保持して、過剰の未反応ジオールを除去した。真空系は前記整定値に達しなかったが、溶融粘度が高く、目視によって明澄で且つ無色の、99℃のガラス転移温度及び0.73dL/gのインヘレント粘度を有するポリマーを生成するのに充分な真空を生じることが認められた。NMR分析は、ポリマーが1,4−シクロヘキサンジメタノール残基85モル%及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基15モル%から成ることを示した。
【0157】
例2
この例は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールが、PCTをベースとするコポリエステル(テレフタル酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノールを含むポリエステル)の靭性を改善することを示す。
【0158】
2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールをベースとするコポリエステルを下記のようにして製造した。1,4−シクロヘキサンジメタノールのシス/トランス比は、全てのサンプルについて約31/69であった。エチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールをベースとするコポリエステルは市販ポリエステルであった。例2A(Eastar PCT 5445)のコポリエステルは、Eastman Chemical Co.から入手した。例2Bのコポリエステルは、Eastman Chemical Co.から商品名Spectarとして入手した。例2C及び2Dは、例1Aに記載した方法を手直しした後で、パイロットプラント規模で(それぞれ15 lbのバッチ)製造し、以下の表IIに記載したインヘレント粘度及びガラス転移温度を有していた。例2Cは、300ppmの目標錫量(ジブチル錫オキシド)を用いて製造した。最終生成物は295ppmの錫を含んでいた。例2Cのポリエステルに関するカラー値は、L*=77.11;a*=−1.50;及びb*=5.79であった。例2Dは、300ppmの目標錫量(ジブチル錫オキシド)を用いて製造した。最終生成物は307ppmの錫を含んでいた。例2Dのポリエステルに関するカラー値は、L*=66.72;a*=−1.22;及びb*=16.28であった。
【0159】
材料をバーに射出成形し、続いてアイゾッド試験のためにノッチ(切り欠き)を入れた。ノッチ付きアイゾッド衝撃強度を温度の関数として得た。これも表IIに報告する。
【0160】
所定のサンプルについて、アイゾッド衝撃強度は短い温度幅で主要な遷移を受ける。例えば、エチレングリコール38モル%をベースとするコポリエステルのアイゾッド衝撃強度は、15〜20℃においてこの遷移を受ける。この遷移温度は破壊モードの変化と関連し;脆性/低エネルギー破壊はより低温において、延性/高エネルギー破壊はより高温において起こる。遷移温度は脆性−延性遷移温度Tbdと示され、靭性の尺度である。Tbdを表IIに報告し、図2にコモノマーのモル%に対してプロットしてある。
【0161】
データは、PCTへの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの添加は、PCTのTbdを増加させるエチレングリコールに比較して、Tbdを低下させ且つ靭性を改善することを示している。
【0162】
【表3】

【0163】
例3
この例は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールが、PCTをベースとするコポリエステル(テレフタル酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノールを含むポリエステル)の靭性を改善できることを示す。この例において製造したポリエステルは、15〜25モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基を含む。
【0164】
表IIIに示した組成及び性質を有する、テレフタル酸ジメチル、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールをベースとするコポリエステルを下記のようにして製造した。表III中のポリエステルのジオール成分の100モル%までの残りは、1,4−シクロヘキサンジメタノール(シス/トランス31/69)であった。
【0165】
材料は厚さ3.2mm及び6.4mmの2つのバーに射出成形し、続いてアイゾッド衝撃試験のためにノッチを入れた。ノッチ付きアイゾッド衝撃強度を23℃において得た。これを表IIIに報告する。密度、Tg及び半結晶化時間を成形バーについて測定した。290℃において溶融粘度をペレットについて測定した。
【0166】
【表4】

【0167】
例3A
テレフタル酸ジメチル21.24 lb(49.71グラム−モル)、1,4−シクロヘキサンジメタノール14.34 lb(45.21グラム−モル)及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール4.58 lb(14.44グラム−モル)を、200ppmの触媒ブチル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)の存在下で一緒に反応させた。反応は、凝縮カラム、真空系及びHELICONE型撹拌機を装着した18ガロンステンレス鋼圧力容器中で窒素ガスパージ下において実施した。撹拌機を25RPMで作動させながら、反応混合物の温度を250℃まで増加させ、圧力を20psigまで増加させた。反応混合物を250℃及び圧力20psigに2時間保持した。次いで、圧力を、3psig/分の速度で0psigまで低下させた。次いで、反応混合物の温度を270℃まで増加させ、圧力を90mmHgまで低下させた。270℃及び90mmHgに1時間保持後、撹拌機速度を15RPMまで低下させ、反応混合物温度を290℃まで増加させ、圧力を<1mmHgまで低下させた。撹拌機へのパワードロー(power draw)がもはや増加しなくなるまで(70分)、反応混合物を290℃及び圧力<1mmHgに保持した。次いで、圧力容器の圧力を、窒素ガスを用いて1気圧まで増加させた。次に、溶融ポリマーを圧力容器から押出した。冷却した押出ポリマーを、6mmの篩を通るように粉砕した。ポリマーは、0.736dL/gのインヘレント粘度及び104℃のTgを有していた。NMR分析は、ポリマーが1,4−シクロヘキサンジメタノール残基85.4モル%及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基14.6モル%から成ることを示した。ポリマーは、L*=78.20、a*=−1.62及びb*=6.23のカラー値を有していた。
【0168】
例3B〜例3D
例3B〜例3Dに記載したポリエステルは、例3Aについて記載したのと同様な方法に従って製造した。これらのポリエステルの組成及び性質を表IIIに示す。
【0169】
例3E
テレフタル酸ジメチル21.24 lb(49.71グラム−モル)、1,4−シクロヘキサンジメタノール12.61 lb(39.77グラム−モル)及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール6.30 lb(19.88グラム−モル)を、200ppmの触媒ブチル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)の存在下で一緒に反応させた。反応は、凝縮カラム、真空系及びHELICONE型撹拌機を装着した18ガロンステンレス鋼圧力容器中で窒素ガスパージ下において実施した。撹拌機を25RPMで作動させながら、反応混合物の温度を250℃まで増加させ、圧力を20psigまで増加させた。反応混合物を250℃及び圧力20psigに2時間保持した。次いで、圧力を、3psig/分の速度で0psigまで低下させた。次いで、反応混合物の温度を270℃まで増加させ、圧力を90mmHgまで低下させた。270℃及び90mmHgに1時間保持後、撹拌機速度を15RPMまで低下させ、反応混合物温度を290℃まで増加させ、圧力を<1mmHgまで低下させた。反応混合物を290℃及び圧力<1mmHgに60分間保持した。次いで、圧力容器の圧力を、窒素ガスを用いて1気圧まで増加させた。次に、溶融ポリマーを圧力容器から押出した。冷却した押出ポリマーを、6mmの篩を通るように粉砕した。ポリマーは、0.715dL/gのインヘレント粘度及び110℃のTgを有していた。X線分析は、ポリエステルが錫を223ppm含むことを示した。NMR分析は、ポリマーが1,4−シクロヘキサンジメタノール残基78.6モル%及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基21.4モル%から成ることを示した。ポリマーは、L*=76.45、a*=−1.65及びb*=6.47のカラー値を有していた。
【0170】
例3F
例3Fに記載したポリエステルは、例3Aについて記載したのと同様な方法に従って製造した。このポリエステルの組成及び性質を表IIIに示す。
【0171】
例3H
テレフタル酸ジメチル21.24 lb(49.71グラム−モル)、1,4−シクロヘキサンジメタノール12.61 lb(39.77グラム−モル)及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール6.30 lb(19.88グラム−モル)を、200ppmの触媒ブチル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)の存在下で一緒に反応させた。反応は、凝縮カラム、真空系及びHELICONE型撹拌機を装着した18ガロンステンレス鋼圧力容器中で窒素ガスパージ下において実施した。撹拌機を25RPMで作動させながら、反応混合物の温度を250℃まで増加させ、圧力を20psigまで増加させた。反応混合物を250℃及び圧力20psigに2時間保持した。次いで、圧力を、3psig/分の速度で0psigまで低下させた。次いで、反応混合物の温度を270℃まで増加させ、圧力を90mmHgまで低下させた。270℃及び90mmHgに1時間保持後、撹拌機速度を15RPMまで低下させ、反応混合物温度を290℃まで増加させ、圧力を<1mmHgまで低下させた。反応混合物を290℃及び圧力<1mmHgに12分間保持した。次いで、圧力容器の圧力を、窒素ガスを用いて1気圧まで増加させた。次に、溶融ポリマーを圧力容器から押出した。冷却した押出ポリマーを、6mmの篩を通るように粉砕した。ポリマーは、0.590dL/gのインヘレント粘度及び106℃のTgを有していた。NMR分析は、ポリマーが1,4−シクロヘキサンジメタノール残基77.1モル%及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基22.9モル%から成ることを示した。ポリマーは、L*=83.27、a*=−1.34及びb*=5.08のカラー値を有していた。
【0172】
例3I
テレフタル酸ジメチル21.24 lb(49.71グラム−モル)、1,4−シクロヘキサンジメタノール12.61 lb(39.77グラム−モル)及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール6.30 lb(19.88グラム−モル)を、200ppmの触媒ブチル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)の存在下で一緒に反応させた。反応は、凝縮カラム、真空系及びHELICONE型撹拌機を装着した18ガロンステンレス鋼圧力容器中で窒素ガスパージ下において実施した。撹拌機を25RPMで作動させながら、反応混合物の温度を250℃まで増加させ、圧力を20psigまで増加させた。反応混合物を250℃及び圧力20psigに2時間保持した。次いで、圧力を、3psig/分の速度で0psigまで低下させた。次いで、反応混合物の温度を270℃まで増加させ、圧力を90mmHgまで低下させた。270℃及び90mmHgに1時間保持後、撹拌機速度を15RPMまで低下させ、反応混合物温度を290℃まで増加させ、圧力を4mmHgに低下させた。反応混合物を290℃及び圧力4mmHgに30分間保持した。次いで、圧力容器の圧力を、窒素ガスを用いて1気圧まで増加させた。次に、溶融ポリマーを圧力容器から押出した。冷却した押出ポリマーを、6mmの篩を通るように粉砕した。ポリマーは、0.531dL/gのインヘレント粘度及び105℃のTgを有していた。NMR分析は、ポリマーが1,4−シクロヘキサンジメタノール残基76.9モル%及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基23.1モル%から成ることを示した。ポリマーは、L*=80.42、a*=−1.28及びb*=5.13のカラー値を有していた。
【0173】
例3J
テレフタル酸ジメチル21.24 lb(49.71グラム−モル)、1,4−シクロヘキサンジメタノール12.61 lb(39.77グラム−モル)及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール6.30 lb(19.88グラム−モル)を、200ppmの触媒ブチル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)の存在下で一緒に反応させた。反応は、凝縮カラム、真空系及びHELICONE型撹拌機を装着した18ガロンステンレス鋼圧力容器中で窒素ガスパージ下において実施した。撹拌機を25RPMで作動させながら、反応混合物の温度を250℃まで増加させ、圧力を20psigまで増加させた。反応混合物を250℃及び圧力20psigに2時間保持した。次いで、圧力を、3psig/分の速度で0psigまで低下させた。次いで、反応混合物の温度を270℃まで増加させ、圧力を90mmHgまで低下させた。270℃及び90mmHgに1時間保持後、撹拌機速度を15RPMまで低下させ、反応混合物温度を290℃まで増加させ、圧力を4mmHgに低下させた。反応混合物温度が290℃となり且つ圧力が4mmHgとなったら、圧力容器の圧力を、窒素ガスを用いて直ちに1気圧に増加させた。次に、溶融ポリマーを圧力容器から押出した。冷却した押出ポリマーを、6mmの篩を通るように粉砕した。ポリマーは、0.364dL/gのインヘレント粘度及び98℃のTgを有していた。NMR分析は、ポリマーが1,4−シクロヘキサンジメタノール残基77.5モル%及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基22.5モル%から成ることを示した。ポリマーは、L*=77.20、a*=−1.47及びb*=4.62のカラー値を有していた。
【0174】
例4(比較例)
この例は、表IV中の比較材料に関するデータを示す。PCは、ビスフェノールA残基100モル%及び炭酸ジフェニル残基100モル%の公称組成を有する、Bayer製のMakrolon 2608であった。Makrolon 2608は、300℃において1.2kgの加重を用いて測定した場合に、20g/10分の公称メルトフローレートを有している。PETは、テレフタル酸100モル%、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)3.5モル%及びエチレングリコール96.5モル%の公称組成を有する、Eastman Chemical Company製のEastar 9921であった。PETGは、テレフタル酸100モル%、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)31モル%及びエチレングリコール69モル%の公称組成を有する、Eastman Chemical Company製のEastar 6763であった。PCTGは、テレフタル酸100モル%、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)62モル%及びエチレングリコール38モル%の公称組成を有する、Eastman Chemical Company製のEastar DN001であった。PCTAは、テレフタル酸65モル%、イソフタル酸35モル%及びシクロヘキサンジメタノール(CHDM)100モル%の公称組成を有する、Eastman Chemical Company製のEastar AN001であった。Polysulfoneは、ビスフェノールA残基100モル%及び4,4−ジクロロスルホニルスルホン残基100モル%の公称組成を有する、Solvay製のUdel 1700であった。Udel 1700は、343℃において2.16kgの加重を用いて測定した場合に、6.5g/10分の公称メルトフローレートを有している。SANは、スチレン76重量%及びアクリロニトリル24重量%の公称組成を有する、Lanxess製のLustran 31であった。Lustran 31は、230℃において3.8kgの加重を用いて測定した場合に、7.5g/10分の公称メルトフローレートを有している。本発明の例は、全ての他の樹脂と比較して、厚さ6.4mmのバーにおいて改善された靭性を示す。
【0175】
【表5】

【0176】
例5
この例は、本発明のポリエステルの製造に用いた2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの量の、ポリエステルのガラス転移温度への影響を示す。この例において製造したポリエステルは、15〜25モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含む。
【0177】
例5A〜例5G
テレフタル酸ジメチル、1,4−シクロヘキサンジメタノール及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを、500mlの一口丸底フラスコ中に量り入れた。2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール出発原料についてのNMR分析は、53/47のシス/トランス比を示した。この例のポリエステルは、グリコール/酸比1.2/1で製造し、過剰は全て2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールによるものであった。最終ポリマー中の錫が300ppmとなるように、充分なジブチル錫オキシド触媒を加えた。フラスコを、真空低下機能を用いて0.2SCFC窒素ガスパージ下に置いた。フラスコを200℃のBelmont金属浴中に浸漬し、反応体の溶融後に200RPMで撹拌した。約2.5時間後、温度を210℃に上昇させ、これらの条件を更に2時間保持した。温度を285℃まで上昇させ(約25分で)、圧力を5分にわたって0.3mmHgまで低下させた。粘度の増加につれて撹拌を減少させた。使用した最小撹拌は15RPMであった。目標インヘレント粘度を得るために、総重合時間を変えた。重合の完了後、Belmont金属浴を下げ、ポリマーをそのガラス転移温度未満まで冷却させた。約30分後、フラスコをBelmont金属浴中に再び浸漬し(温度はこの30分の待機の間に295℃まで増加していた)、ポリマー塊を、ガラスフラスコから離れるまで加熱した。ポリマー塊を、ポリマーが冷めるまでフラスコ中で中間レベルで撹拌した。ポリマーをフラスコから取り出し、3mmの篩を通るように粉砕した。20モル%の目標組成を有する下記のコポリエステルを製造するために、この方法に変更を行った。
【0178】
インヘレント粘度は、前述の「測定方法」の部分において記載したようにして測定した。ポリエステルの組成は、「測定方法」の部分において前に説明したようにして1H NMRによって測定した。ガラス転移温度は、DSCによって、20℃/分の速度で急冷後の第2加熱を用いて測定した。
【0179】
例5H〜例5Q
これらのポリエステルは、エステル交換反応と重縮合反応を別の段階で実施することによって製造した。エステル交換の実験は、連続温度上昇(CTR)反応器中で行った。CTRは、単一軸羽根撹拌機を装着し、電気加熱マントルで覆い且つ加熱充填還流凝縮カラム(reflux condenser column)を装着した3000mlガラス反応器であった。反応器に、テレフタル酸ジメチル777g(4モル)、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール230g(1.6モル)、シクロヘキサンジメタノール460.8g(3.2モル)及びブチル錫トリス−2−エチルヘキサノエート1.12g(最終ポリマー中の錫金属は200ppmとなるであろう)を装填した。加熱マントルを手動で出力100%に設定した。整定値及びデータ収集は、Camileプロセス制御システムによって容易にした。反応体が溶融したら、撹拌を開始し、ゆっくりと250rpmまで増加させた。反応器の温度が、実行時間につれて徐々に上昇した。収集したメタノールの重量をはかりによって記録した。メタノールの発生が停止した時点で又は事前に選択した260℃のより低い温度において反応を停止させた。オリゴマーを窒素パージによって排出し、室温に冷却した。オリゴマーを液体窒素によって凍結させ、500mlの丸底フラスコ中に量り入れるのに充分に小さい断片に破壊した。
【0180】
重縮合反応においては、500mlの丸底フラスコに、前記で製造したオリゴマー約150gを装填した。フラスコにはステンレス鋼撹拌機及びポリマーヘッドを装着した。ガラス製品をハーフモルポリマーリグ(half mole polymer rig)上にセットし、Camileシーケンス(sequence)を開始した。オリゴマーが溶融したら、撹拌機をフラスコの底から1回転の位置に合わせた。各例に関する、Camileソフトウェアによって制御された温度/圧力/撹拌速度シーケンスを、以下の表に報告する。
【0181】
【表6】

【0182】
【表7】

【0183】
【表8】

【0184】
【表9】

【0185】
得られたポリマーをフラスコから回収し、油圧式チョッパーを用いて細断し、6mmの篩サイズに粉砕した。各粉砕ポリマーのサンプルを、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃における0.5g/100mlの濃度でのインヘレント粘度測定に、螢光X線による触媒レベル(Sn)測定に及び透過分光分析法によるカラー値(L*,a*,b*)の測定に供した。ポリマー組成は、1H NMRによって得た。サンプルを、Rheometrics Mechanical Spectrometer(RMS−800)を用いた熱安定性及び溶融粘度試験に供した。
【0186】
以下の表は、この例のポリエステルに関する実験データを示す。データは、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールのレベルが増加すると、インヘレント粘度が一定の場合はガラス転移温度がほぼ直線的に上昇することを示す。図3はまた、Tgが組成及びインヘレント粘度に左右されることを示す。
【0187】
【表10】

【0188】
例6(比較例)
この例は、100%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールをベースとするポリエステルが遅い半結晶化時間を有することを示す。
【0189】
表VIに示した性質を有する、テレフタル酸及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールのみをベースとするポリエステルを、例1Aに記載した方法と同様な方法で製造した。このポリエステルは、300ppmのジブチル錫オキシドを用いて生成した。2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールのトランス/シス比は65/35であった。
【0190】
フィルムを、粉砕ポリマーから320℃においてプレスした。メルトからの半結晶化時間の測定を、10℃ずつ温度を増加させながら220〜250℃の温度において行った。この測定値を表VIに報告する。各サンプルについて最も速い半結晶化時間は、温度の関数としての半結晶化時間の最小値とした。このポリエステルの最も速い半結晶化時間は約1300分である。この値は、テレフタル酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノールのみをベースとするポリエステル(PCT)(モノマー改質なし)が、図1に示すように極めて短い半結晶化時間(<1分)を有するという事実と対照をなす。
【0191】
【表11】

【0192】
例7
テレフタル酸残基100モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基80モル%及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基20モル%の目標組成で製造されたポリエステルを含むシートを、3.5インチ一軸スクリュー押出機を用いて製造した。シートは連続的に押出し、厚さ177milに合わせ、次いで種々のシートを適当な大きさに切断した。インヘレント粘度及びガラス転移温度は1枚のシートについて測定した。シートのインヘレント粘度は0.69dl/gであることが測定された。シートのガラス転移温度は106℃であることが測定された。次いで、シートを相対湿度50%及び60℃において2週間状態調整した。続いて、シートをBrown熱成形機を用いて絞り比(draw ratio)2.5:1の雌型中に熱成形した。熱成形オーブンヒーターは、上部加熱のみを用いて70/60/60%の出力に設定した。以下の表中に示すように、成形品の品質に対するシート温度の影響を判定するために、シートはオーブン中に種々の時間放置した。成形品の品質は、熱成形品の体積を測定し、絞り(draw)を計算し、熱成形品を目視検査することによって判定した。絞りは、(成形品の体積)÷(この一連の実験において得られる最大成形品体積(例G))として計算した。熱成形品を全てのふくれについて目視検査し、ふくれ度をなし(N)、低(L)又は高(H)と評価した。以下の結果は、熱成形前にシートを予備乾燥させなくてもシートが少なくとも95%の絞りを有し且つふくれがないことからわかるように、ガラス転移温度が106℃のこれらの熱可塑性シートが以下に示した条件下で熱成形することができることを示している。
【0193】
【表12】

【0194】
例8
テレフタル酸残基100モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基80モル%及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基20モル%の目標組成で製造されたポリエステルを含むシートを、3.5インチ一軸スクリュー押出機を用いて製造した。シートは連続的に押出し、厚さ177milに合わせ、次いで種々のシートを適当な大きさに切断した。インヘレント粘度及びガラス転移温度は1枚のシートについて測定した。シートのインヘレント粘度は0.69dl/gであることが測定された。シートのガラス転移温度は106℃であることが測定された。次いで、シートを相対湿度100%及び25℃において2週間状態調整した。続いて、シートをBrown熱成形機を用いて絞り比2.5:1の雌型中に熱成形した。熱成形オーブンヒーターは、上部加熱のみを用いて60/40/40%の出力に設定した。以下の表中に示すように、成形品の品質に対するシート温度の影響を判定するために、シートはオーブン中に種々の時間放置した。成形品の品質は、熱成形品の体積を測定し、絞りを計算し、熱成形品を目視検査することによって判定した。絞りは、(成形品の体積)÷(この一連の実験において得られる最大成形品体積(例G))として計算した。熱成形品を全てのふくれについて目視検査し、ふくれ度をなし(N)、低(L)又は高(H)と評価した。以下の結果は、熱成形前にシートを予備乾燥させなくても少なくとも95%の絞りを有し且つふくれがないシートが製造されることからわかるように、ガラス転移温度が106℃のこれらの熱可塑性シートが以下に示した条件下で熱成形することができることを示している。
【0195】
【表13】

【0196】
例9(比較例)
Kelvx 201から成るシートを、3.5インチの一軸スクリュー押出機を用いて製造した。Kelvxは、PCTG(Eastman Chemical Co.製のEastar;テレフタル酸残基100モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基62モル%及びエチレングリコール残基38モル%を有する)69.85%;PC(ビスフェノールAポリカーボネート)30%;及びWeston 619(Crompton Corporationによって販売されている安定剤)0.15%から成るブレンドである。シートは連続的に押出し、厚さ177milに合わせ、次いで種々のシートを適当な大きさに切断した。ガラス転移温度は1枚のシートについて測定し、100℃であった。次いで、シートを相対湿度50%及び60℃において2週間状態調整した。続いて、シートをBrown熱成形機を用いて絞り比2.5:1の雌型中に熱成形した。熱成形オーブンヒーターは、上部加熱のみを用いて70/60/60%の出力に設定した。以下の表中に示すように、成形品の品質に対するシート温度の影響を判定するために、シートはオーブン中に種々の時間放置した。成形品の品質は、熱成形品の体積を測定し、絞りを計算し、熱成形品を目視検査することによって判定した。絞りは、(成形品の体積)÷(この一連の実験において得られる最大成形品体積(例E))として計算した。熱成形品を全てのふくれについて目視検査し、ふくれ度をなし(N)、低(L)又は高(H)と評価した。以下の結果は、熱成形前にシートを予備乾燥させなくても少なくとも95%の絞りを有し且つふくれがないシートが製造されることからわかるように、ガラス転移温度が100℃のこれらの熱可塑性シートが以下に示した条件下で熱成形することができることを示している。
【0197】
【表14】

【0198】
例10(比較例)
Kelvx 201から成るシートを、3.5インチの一軸スクリュー押出機を用いて製造した。シートは連続的に押出し、厚さ177milに合わせ、次いで種々のシートを適当な大きさに切断した。ガラス転移温度は1枚のシートについて測定し、100℃であった。次いで、シートを相対湿度100%及び25℃において2週間状態調整した。続いて、シートをBrown熱成形機を用いて絞り比2.5:1の雌型中に熱成形した。熱成形オーブンヒーターは、上部加熱のみを用いて60/40/40%の出力に設定した。以下の表中に示すように、成形品の品質に対するシート温度の影響を判定するために、シートはオーブン中に種々の時間放置した。成形品の品質は、熱成形品の体積を測定し、絞りを計算し、熱成形品を目視検査することによって判定した。絞りは、(成形品の体積)÷(この一連の実験において得られる最大成形品体積(例H))として計算した。熱成形品を全てのふくれについて目視検査し、ふくれ度をなし(N)、低(L)又は高(H)と評価した。以下の結果は、熱成形前にシートを予備乾燥させなくても95%超の絞りを有し且つふくれがないシートが製造されることからわかるように、ガラス転移温度が100℃のこれらの熱可塑性シートが以下に示した条件下で熱成形することができることを示している。
【0199】
【表15】

【0200】
例11(比較例)
PCTG 25976(テレフタル酸残基100モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基62モル%及びエチレングリコール残基38モル%)から成るシートを、3.5インチの一軸スクリュー押出機を用いて製造した。シートは連続的に押出し、厚さ118milに合わせ、次いで種々のシートを適当な大きさに切断した。ガラス転移温度は1枚のシートについて測定し、87℃であった。次いで、シートを相対湿度50%及び60℃において4週間状態調整した。水分レベルは0.17重量%であることが測定された。続いて、シートをBrown熱成形機を用いて絞り比2.5:1の雌型中に熱成形した。熱成形オーブンヒーターは、上部加熱のみを用いて70/60/60%の出力に設定した。以下の表中に示すように、成形品の品質に対するシート温度の影響を判定するために、シートはオーブン中に種々の時間放置した。成形品の品質は、熱成形品の体積を測定し、絞りを計算し、熱成形品を目視検査することによって判定した。絞りは、(成形品の体積)÷(この一連の実験において得られる最大成形品体積(例A))として計算した。熱成形品を全てのふくれについて目視検査し、ふくれ度をなし(N)、低(L)又は高(H)と評価した。以下の結果は、熱成形前にシートを予備乾燥させなくても95%超の絞りを有し且つふくれがないシートが製造されることからわかるように、ガラス転移温度が87℃のこれらの熱可塑性シートが以下に示した条件下で熱成形することができることを示している。
【0201】
【表16】

【0202】
例12(比較例)
Teijin L−1250ポリカーボネート(ビスフェノール−Aポリカーボネート)20重量%、PCTG 25976 79.85重量%及びWeston 619 0.15重量%から成る混和性ブレンドを、1.25インチの一軸スクリュー押出機を用いて製造した。次いで、このブレンドから成るシートを、3.5インチの一軸スクリュー押出機を用いて製造した。シートを連続的に押出し、厚さ118milに合わせ、次いで種々のシートを適当な大きさに切断した。ガラス転移温度は1枚のシートについて測定し、94℃であった。次いで、シートを相対湿度50%及び60℃において4週間状態調整した。水分レベルは0.25重量%であることが測定された。続いて、シートをBrown熱成形機を用いて絞り比2.5:1の雌型中に熱成形した。熱成形オーブンヒーターは、上部加熱のみを用いて70/60/60%の出力に設定した。以下の表中に示すように、成形品の品質に対するシート温度の影響を判定するために、シートはオーブン中に種々の時間放置した。成形品の品質は、熱成形品の体積を測定し、絞りを計算し、熱成形品を目視検査することによって判定した。絞りは、(成形品の体積)÷(この一連の実験において得られる最大成形品体積(例A))として計算した。熱成形品を全てのふくれについて目視検査し、ふくれ度をなし(N)、低(L)又は高(H)と評価した。以下の結果は、熱成形前にシートを予備乾燥させなくても95%超の絞りを有し且つふくれがないシートが製造されることからわかるように、ガラス転移温度が94℃のこれらの熱可塑性シートが以下に示した条件下で熱成形することができることを示している。
【0203】
【表17】

【0204】
例13(比較例)
Teijin L−1250ポリカーボネート30重量%、PCTG 25976 69.85重量%及びWeston 619 0.15重量%から成る混和性ブレンドを、1.25インチの一軸スクリュー押出機を用いて製造した。次いで、このブレンドから成るシートを、3.5インチの一軸スクリュー押出機を用いて製造した。シートは連続的に押出し、厚さ118milに合わせ、次に種々のシートを適当な大きさに切断した。ガラス転移温度は1枚のシートについて測定し、99℃であった。次いで、シートを相対湿度50%及び60℃において4週間状態調整した。水分レベルは0.25重量%であることが測定された。続いて、シートをBrown熱成形機を用いて絞り比2.5:1の雌型中に熱成形した。熱成形オーブンヒーターは、上部加熱のみを用いて70/60/60%の出力に設定した。以下の表中に示すように、成形品の品質に対するシート温度の影響を判定するために、シートはオーブン中に種々の時間放置した。成形品の品質は、熱成形品の体積を測定し、絞りを計算し、熱成形品を目視検査することによって判定した。絞りは、(成形品の体積)÷(この一連の実験において得られる最大成形品体積(例A))として計算した。熱成形品を全てのふくれについて目視検査し、ふくれ度をなし(N)、低(L)又は高(H)と評価した。以下の結果は、熱成形前にシートを予備乾燥させなくても95%超の絞りを有し且つふくれがないシートが製造されることからわかるように、ガラス転移温度が99℃のこれらの熱可塑性シートが以下に示した条件下で熱成形することができることを示している。
【0205】
【表18】

【0206】
例14(比較例)
Teijin L−1250ポリカーボネート40重量%、PCTG 25976 59.85重量%及びWeston 619 0.15重量%から成る混和性ブレンドを、1.25インチの一軸スクリュー押出機を用いて製造した。次いで、このブレンドから成るシートを、3.5インチの一軸スクリュー押出機を用いて製造した。シートは連続的に押出し、厚さ118milに合わせ、次に種々のシートを適当な大きさに切断した。ガラス転移温度は1枚のシートについて測定し、105℃であった。次いで、シートを相対湿度50%及び60℃において4週間状態調整した。水分レベルは0.265重量%であることが測定された。続いて、シートをBrown熱成形機を用いて絞り比2.5:1の雌型中に熱成形した。熱成形オーブンヒーターは、上部加熱のみを用いて70/60/60%の出力に設定した。以下の表中に示すように、成形品の品質に対するシート温度の影響を判定するために、シートはオーブン中に種々の時間放置した。成形品の品質は、熱成形品の体積を測定し、絞りを計算し、熱成形品を目視検査することによって判定した。絞りは、(成形品の体積)÷(この一連の実験において得られる最大成形品体積(例8A〜8E))として計算した。熱成形品を全てのふくれについて目視検査し、ふくれ度をなし(N)、低(L)又は高(H)と評価した。以下の結果は、熱成形前にシートを予備乾燥させなくても95%超の絞りを有し且つふくれがないシートが製造されることからわかるように、ガラス転移温度が105℃のこれらの熱可塑性シートが以下に示した条件下で熱成形することができることを示している。
【0207】
【表19】

【0208】
例15(比較例)
Teijin L−1250ポリカーボネート50重量%、PCTG 25976 49.85重量%及びWeston 619 0.15重量%から成る混和性ブレンドを、1.25インチの一軸スクリュー押出機を用いて製造した。シートを連続的に押出し、厚さ118milに合わせ、次に種々のシートを適当な大きさに切断した。ガラス転移温度は1枚のシートについて測定し、111℃であった。次いで、シートを相対湿度50%及び60℃において4週間状態調整した。水分レベルは0.225重量%であることが測定された。続いて、シートをBrown熱成形機を用いて絞り比2.5:1の雌型中に熱成形した。熱成形オーブンヒーターは、上部加熱のみを用いて70/60/60%の出力に設定した。以下の表中に示すように、成形品の品質に対するシート温度の影響を判定するために、シートはオーブン中に種々の時間放置した。成形品の品質は、熱成形品の体積を測定し、絞りを計算し、熱成形品を目視検査することによって判定した。絞りは、(成形品の体積)÷(この一連の実験において得られる最大成形品体積(例A〜D))として計算した。熱成形品を全てのふくれについて目視検査し、ふくれ度をなし(N)、低(L)又は高(H)と評価した。以下の結果は、熱成形前にシートを予備乾燥させなくても95%超の絞りを有し且つふくれがないシートが製造されることからわかるように、ガラス転移温度が111℃のこれらの熱可塑性シートが以下に示した条件下で熱成形することができることを示している。
【0209】
【表20】

【0210】
例16(比較例)
Teijin L−1250ポリカーボネート60重量%、PCTG 25976 39.85重量%及びWeston 619 0.15重量%から成る混和性ブレンドを、1.25インチの一軸スクリュー押出機を用いて製造した。次いで、このブレンドから成るシートを、3.5インチの一軸スクリュー押出機を用いて製造した。シートは連続的に押出し、厚さ118milに合わせ、次に種々のシートを適当な大きさに切断した。ガラス転移温度は1枚のシートについて測定し、117℃であった。次いで、シートを相対湿度50%及び60℃において4週間状態調整した。水分レベルは0.215重量%であることが測定された。続いて、シートをBrown熱成形機を用いて絞り比2.5:1の雌型中に熱成形した。熱成形オーブンヒーターは、上部加熱のみを用いて70/60/60%の出力に設定した。以下の表中に示すように、成形品の品質に対するシート温度の影響を判定するために、シートはオーブン中に種々の時間放置した。成形品の品質は、熱成形品の体積を測定し、絞りを計算し、熱成形品を目視検査することによって判定した。絞りは、(成形品の体積)÷(この一連の実験において得られる最大成形品体積(例A))として計算した。熱成形品を全てのふくれについて目視検査し、ふくれ度をなし(N)、低(L)又は高(H)と評価した。以下の結果は、熱成形前にシートを予備乾燥させることなしには、95%超の絞りを有し且つふくれがないシートを製造できないことからわかるように、ガラス転移温度が117℃のこれらの熱可塑性シートが以下に示した条件下で熱成形することができないことを示している。
【0211】
【表21】

【0212】
例17(比較例)
Teijin L−1250ポリカーボネート65重量%、PCTG 25976 34.85重量%及びWeston 619 0.15重量%から成る混和性ブレンドを、1.25インチの一軸スクリュー押出機を用いて製造した。次いで、このブレンドから成るシートを、3.5インチの一軸スクリュー押出機を用いて製造した。シートは連続的に押出し、厚さ118milに合わせ、次に種々のシートを適当な大きさに切断した。ガラス転移温度は1枚のシートについて測定し、120℃であった。次いで、シートを相対湿度50%及び60℃において4週間状態調整した。水分レベルは0.23重量%であることが測定された。続いて、シートをBrown熱成形機を用いて絞り比2.5:1の雌型中に熱成形した。熱成形オーブンヒーターは、上部加熱のみを用いて70/60/60%の出力に設定した。以下の表中に示すように、成形品の品質に対するシート温度の影響を判定するために、シートはオーブン中に種々の時間放置した。成形品の品質は、熱成形品の体積を測定し、絞りを計算し、熱成形品を目視検査することによって判定した。絞りは、(成形品の体積)÷(この一連の実験において得られる最大成形品体積(例A))として計算した。熱成形品を全てのふくれについて目視検査し、ふくれ度をなし(N)、低(L)又は高(H)と評価した。以下の結果は、熱成形前にシートを予備乾燥させることなしには95%超の絞りを有し且つふくれがないシートを製造できないことからわかるように、ガラス転移温度が120℃のこれらの熱可塑性シートは以下に示した条件下で熱成形することができないことを示している。
【0213】
【表22】

【0214】
例18(比較例)
Teijin L−1250ポリカーボネート70重量%、PCTG 25976 29.85重量%及びWeston 619 0.15重量%から成る混和性ブレンドを、1.25インチの一軸スクリュー押出機を用いて製造した。次いで、このブレンドから成るシートを、3.5インチの一軸スクリュー押出機を用いて製造した。シートは連続的に押出し、厚さ118milに合わせ、次に種々のシートを適当な大きさに切断した。ガラス転移温度は1枚のシートについて測定し、123℃であった。次いで、シートを相対湿度50%及び60℃において4週間状態調整した。水分レベルは0.205重量%であることが測定された。続いて、シートをBrown熱成形機を用いて絞り比2.5:1の雌型中に熱成形した。熱成形オーブンヒーターは、上部加熱のみを用いて70/60/60%の出力に設定した。以下の表中に示すように、成形品の品質に対するシート温度の影響を判定するために、シートはオーブン中に種々の時間放置した。成形品の品質は、熱成形品の体積を測定し、絞りを計算し、熱成形品を目視検査することによって判定した。絞りは、(成形品の体積)÷(この一連の実験において得られる最大成形品体積(例A及びB))として計算した。熱成形品を全てのふくれについて目視検査し、ふくれ度をなし(N)、低(L)又は高(H)と評価した。以下の結果は、熱成形前にシートを予備乾燥させることなしには、95%超の絞りを有し且つふくれがないシートを製造できないことからわかるように、ガラス転移温度が123℃のこれらの熱可塑性シートは以下に示した条件下で熱成形することができないことを示している。
【0215】
【表23】

【0216】
例19(比較例)
Teijin L−1250ポリカーボネートから成るシートを、3.5インチの一軸スクリュー押出機を用いて製造した。シートは連続的に押出し、厚さ118milに合わせ、次に種々のシートを適当な大きさに切断した。ガラス転移温度は1枚のシートについて測定し、149℃であった。次いで、シートを相対湿度50%及び60℃において4週間状態調整した。水分レベルは0.16重量%であることが測定された。続いて、シートをBrown熱成形機を用いて絞り比2.5:1の雌型中に熱成形した。熱成形オーブンヒーターは、上部加熱のみを用いて70/60/60%の出力に設定した。以下の表中に示すように、成形品の品質に対するシート温度の影響を判定するために、シートはオーブン中に種々の時間放置した。成形品の品質は、熱成形品の体積を測定し、絞りを計算し、熱成形品を目視検査することによって判定した。絞りは、(成形品の体積)÷(この一連の実験において得られる最大成形品体積(例A))として計算した。熱成形品を全てのふくれについて目視検査し、ふくれ度をなし(N)、低(L)又は高(H)と評価した。以下の結果は、熱成形前にシートを予備乾燥させることなしには、95%超の絞りを有し且つふくれがないシートを製造できないことからわかるように、ガラス転移温度が149℃のこれらの熱可塑性シートは以下に示した条件下で熱成形することができないことを示している。
【0217】
【表24】

【0218】
前述の関連実施例におけるデータの比較から、本発明のポリエステルは、ガラス転移温度、密度、遅い結晶化速度、溶融粘度及び靭性に関して、市販のポリエステルよりも明らかに優れていることが明確にわかる。
【0219】
本発明を、本明細書中に開示した実施態様に関して詳述したが、当然のことながら、本発明の精神及び範囲内で変動及び変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0220】
【図1】改質PCTコポリエステルの最も速い半結晶化時間に対するコモノマーの影響を示すグラフである。
【図2】ノッチ付きアイゾッド衝撃強度試験(ASTM D256,厚さ1/8in,ノッチ10mil)における脆性−延性遷移温度(Tbd)に対するコモノマーの影響を示すグラフである。
【図3】コポリエステルのガラス転移温度(Tg)に対する2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール組成の影響を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基11〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜89モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.75dL/g又はそれ以下であるポリエステル組成物。
【請求項2】
前記インヘレント粘度が0.75dL/g未満である請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項3】
前記インヘレント粘度が0.50dL/g〜0.75dL/g未満である請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項4】
前記インヘレント粘度が0.55dL/g〜0.75dL/g未満である請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項5】
前記インヘレント粘度が0.60dL/g〜0.75dL/g未満である請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項6】
前記インヘレント粘度が0.60〜0.72dL/gである請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項7】
前記グリコール成分が12〜25モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基及び75〜88モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項8】
前記グリコール成分が13〜25モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基及び75〜87モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項9】
前記グリコール成分が14〜25モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基及び7〜86モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項10】
前記グリコール成分が17〜23モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基及び77〜83モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項11】
前記グリコール成分が14モル%〜20モル%未満の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基及び80モル%超〜86モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項12】
前記グリコール成分が20モル%超〜25モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基及び75モル%〜80モル%未満の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項13】
前記グリコール成分が17〜23モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基及び77〜83モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を含む請求項6に記載のポリエステル組成物。
【請求項14】
前記グリコール成分が14モル%〜20モル%未満の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基及び80モル%超〜86モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を含む請求項6に記載のポリエステル組成物。
【請求項15】
前記グリコール成分が20モル%超〜25モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基及び75モル%〜80モル%未満の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を含む請求項6に記載のポリエステル組成物。
【請求項16】
前記ジカルボン酸成分が90〜100モル%のテレフタル酸残基を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項17】
前記ポリエステル組成物がポリカーボネートを含まない請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項18】
前記ポリエステルが0.01〜15モル%のエチレングリコール残基を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項19】
前記ポリエステルが0.1〜10モル%のエチレングリコール残基を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項20】
前記2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基がトランス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基70〜30モル%とシス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基30〜70モル%との混合物である請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項21】
前記2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基のシス/トランス比のシス部分が50モル%より大きい請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項22】
前記2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基のシス/トランス比のシス部分が55モル%より大きい請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項23】
前記ポリエステルが非晶質である請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項24】
前記ポリエステルが170℃において5分より長い半結晶化時間を有する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項25】
前記ポリエステルが23℃において1.1g/ml〜1.2g/ml未満の密度を有する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項26】
前記ポリエステルが、23℃において厚さ1/4インチのバーを用いた場合に、少なくとも10ft−lbs/インチのノッチ付きアイゾッド衝撃強度を有する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項27】
ポリアミド、請求項1に記載した以外のポリエステル、ポリスチレン、スチレンコポリマー、スチレン・アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、アクリルポリマー及びコポリマー、ポリ(エーテルイミド)、ポリフェニレンオキシド、ポリ(フェニレンオキシド)/ポリスチレンブレンド、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィド/スルホン、ポリ(エステル−カーボネート)、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリスルホンエーテル若しくはポリ(エーテル−ケトン)又はそれらの混合物から選ばれた少なくとも1種のポリマーを更に含む、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項28】
前記ポリエステルのガラス転移温度が95〜115℃である請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項29】
前記ポリエステルのガラス転移温度が95℃〜105℃未満である請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項30】
前記ポリエステルのガラス転移温度が105℃超〜115℃である請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項31】
前記ポリエステルのガラス転移温度が95〜115℃である請求項6に記載のポリエステル組成物。
【請求項32】
前記ポリエステルのガラス転移温度が95℃〜105℃未満である請求項6に記載のポリエステル組成物。
【請求項33】
前記ポリエステルのガラス転移温度が105℃超〜115℃である請求項6に記載のポリエステル組成物。
【請求項34】
少なくとも1種のポリカーボネートを更に含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項35】
前記ポリエステルが少なくとも1種の分岐剤の残基を、二酸残基又はジオール残基の総モル百分率に基づき、0.01〜10重量%の量で含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項36】
前記ポリエステルの溶融粘度が、回転メルトレオメーターで280℃において1ラジアン/秒で測定した場合に、30,000ポアズ未満である請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項37】
着色剤、染料、離型剤、難燃剤、可塑剤、成核剤、UV安定剤、ガラス繊維、炭素繊維、充填剤、耐衝撃性改良剤及びそれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の添加剤を更に含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項38】
前記ポリエステルが錫化合物若しくはその反応生成物を含む少なくとも1種の触媒の残基を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項39】
請求項1に記載のポリエステル組成物を含んでなる製造品。
【請求項40】
前記ポリエステルが、ASTM D256に従って23℃において、ノッチ10milで厚さ1/8インチのバーで測定した場合に、少なくとも3ft−lbs/inのノッチ付きアイゾッド衝撃強度を有する請求項1に記載のポリエステル組成物を含む製造品。
【請求項41】
前記ポリエステルが、ASTM D256に従って23℃において、ノッチ10milで厚さ1/4インチのバーで測定した場合に、少なくとも10ft−lbs/inのノッチ付きアイゾッド衝撃強度を有する請求項1に記載のポリエステル組成物を含む製造品。
【請求項42】
請求項1に記載のポリエステル組成物を含んでなるフィルム又はシート。
【請求項43】
請求項1に記載のポリエステル組成物を含んでなる液晶ディスプレイフィルム。
【請求項44】
前記液晶ディスプレイフィルムが拡散シートである請求項43に記載の液晶ディスプレイフィルム。
【請求項45】
前記液晶ディスプレイフィルムが補償フィルムである請求項43に記載の液晶ディスプレイフィルム。
【請求項46】
前記液晶ディスプレイフィルムが保護フィルムである請求項43に記載の液晶ディスプレイフィルム。
【請求項47】
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基17〜23モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基77〜83モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.60dL/g〜0.72dL/g未満であり、且つ前記ポリエステルのガラス転移温度が95〜115℃であるポリエステル組成物。
【請求項48】
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基14〜25モル%;
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜86モル%;及び
iii)エチレングリコール残基0.1モル%〜10モル%未満
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなり、前記インヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.60〜0.72dL/gであり、且つ前記ポリエステルのガラス転移温度が95〜115℃であるポリエステル組成物。
【請求項49】
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基17〜23モル%;
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基77〜83モル%;及び
iii)エチレングリコール残基0.1モル%〜10モル%未満
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.60〜0.72dL/gであるポリエステル組成物。
【請求項50】
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基14〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜86モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.75dL/g又はそれ以下であり、且つ前記ポリエステルのガラス転移温度が95〜115℃であるポリエステル組成物。
【請求項51】
前記ポリエステルが95〜105℃のTgを有する請求項50に記載のポリエステル組成物。
【請求項52】
前記ポリエステルが95℃〜105℃未満のTgを有する請求項50に記載のポリエステル組成物。
【請求項53】
前記ポリエステルが105℃超〜115℃のTgを有する請求項50に記載のポリエステル組成物。
【請求項54】
(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基14〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜86モル%
を含むグリコール成分;並びに
(c)少なくとも1種の分岐剤からの残基
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステルを含んでなり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.35dL/g〜1.2dL/g又はそれ以下であるポリエステル組成物。
【請求項55】
前記ポリエステルが分岐剤残基を、二酸残基又はジオール残基の総モル百分率に基づき、0.01〜10重量%の量で含む請求項54に記載のポリエステル組成物。
【請求項56】
前記ポリエステルが0.6〜0.72dL/gのインヘレント粘度を有する請求項54に記載のポリエステル組成物。
【請求項57】
前記ポリエステルが0.6dL/g超〜0.72dL/gのインヘレント粘度を有する請求項54に記載のポリエステル組成物。
【請求項58】
(I)(a)i)テレフタル酸残基70〜100モル%;
ii)炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸残基0〜30モル%;及び
iii)炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜10モル%
を含むジカルボン酸成分;並びに
(b)i)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基14〜25モル%;及び
ii)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基75〜86モル%
を含むグリコール成分
(ここでジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、グリコール成分の総モル%は100モル%である)
を含む少なくとも1種のポリエステル;更に
(II)少なくとも1種の熱安定剤又はその反応生成物
を含んでなり、前記ポリエステルのインヘレント粘度が、60/40(wt/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で25℃において0.5g/100mlの濃度で測定した場合に、0.35dL/g〜1.2dL/g又はそれ以下であるポリエステル組成物。
【請求項59】
前記ポリエステルが0.6〜0.72dL/gのインヘレント粘度を有する請求項58に記載のポリエステル組成物。
【請求項60】
前記ポリエステルが95〜115℃のTgを有する請求項58に記載のポリエステル組成物。
【請求項61】
前記ポリエステルが95〜105℃のTgを有する請求項58に記載のポリエステル組成物。
【請求項62】
前記ポリエステルが95℃〜105℃未満のTgを有する請求項58に記載のポリエステル組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−544037(P2008−544037A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516858(P2008−516858)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/012268
【国際公開番号】WO2006/137954
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】