局所露光装置
【課題】基板面内で細かく設定したエリア毎の露光量を調整し、現像処理後のレジスト残膜の均一性を向上し、配線パターンの線幅及びピッチのばらつきを抑制する。
【解決手段】基板搬送路2の上方において、基板搬送方向に交差する方向に配列された複数の発光素子Lを有する光源4と、前記光源を構成する複数の発光素子のうち、1つまたは複数の発光素子を発光制御単位として選択的に発光駆動可能な発光駆動部9と、前記被処理基板が前記光源の下方を搬送されない状態で、前記被処理基板に対する前記光源からの光照射位置に沿って基板幅方向に進退可能に設けられ、前記光源により照射された光の照度を検出する照度検出手段31と、前記照度検出手段が検出した照度と前記発光素子の駆動電流値との関係を相関テーブルT2として記憶すると共に、前記発光駆動部による前記発光素子の駆動を制御する制御部40とを備える。
【解決手段】基板搬送路2の上方において、基板搬送方向に交差する方向に配列された複数の発光素子Lを有する光源4と、前記光源を構成する複数の発光素子のうち、1つまたは複数の発光素子を発光制御単位として選択的に発光駆動可能な発光駆動部9と、前記被処理基板が前記光源の下方を搬送されない状態で、前記被処理基板に対する前記光源からの光照射位置に沿って基板幅方向に進退可能に設けられ、前記光源により照射された光の照度を検出する照度検出手段31と、前記照度検出手段が検出した照度と前記発光素子の駆動電流値との関係を相関テーブルT2として記憶すると共に、前記発光駆動部による前記発光素子の駆動を制御する制御部40とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光膜が形成された被処理基板に対し局所的に露光処理を行う局所露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、FPD(フラットパネルディスプレイ)の製造においては、いわゆるフォトリソグラフィ工程により回路パターンを形成することが行われている。
このフォトリソグラフィ工程では、特許文献1にも記載されている通り、ガラス基板等の被処理基板に所定の膜を成膜した後、フォトレジスト(以下、レジストと呼ぶ)が塗布され、レジスト中の溶剤を蒸発させる予備乾燥処理(減圧乾燥、及びプリベーク処理)によってレジスト膜(感光膜)が形成される。そして、回路パターンに対応して前記レジスト膜が露光され、これが現像処理され、パターン形成される。
【0003】
ところで、このようなフォトリソグラフィ工程にあっては、図15(a)に示すようにレジストパターンRに異なる膜厚(厚膜部R1と薄膜部R2)を持たせ、これを利用して複数回のエッチング処理を行うことによりフォトマスク数、及び工程数を低減することが可能である。尚、そのようなレジストパターンRは、1枚で光の透過率が異なる部分を有するハーフトーンマスクを用いるハーフ(ハーフトーン)露光処理によって得ることができる。
【0004】
このハーフ露光が適用されたレジストパターンRを用いた場合の回路パターン形成工程について図15(a)〜(e)を用いて具体的に説明する。
例えば、図15(a)において、ガラス基板G上に、ゲート電極200、絶縁層201、a−Si層(ノンドープアモルファスSi層)202aとn+a−Si層202b(リンドープアモルファスSi層)からなるSi層202、電極を形成するためのメタル層203が順に積層されている。
また、メタル層203上には、一様にレジスト膜が形成された後、減圧乾燥、及びプリベーク処理によりレジスト中の溶剤が蒸発され、その後、前記ハーフ露光処理、及び現像処理により、レジストパターンRが形成される。
【0005】
このレジストパターンR(厚膜部R1及び薄膜部R2)の形成後、図15(b)に示すように、このレジストパターンRをマスクとして、メタル層203のエッチング(1回目のエッチング)が行われる。
次いで、レジストパターンR全体に対し、プラズマ中でアッシング(灰化)処理が施される。これにより、図15(c)に示すように、膜厚が半分程度に減膜されたレジストパターンR3が得られる。
そして、図15(d)に示すように、このレジストパターンR3をマスクとして利用し、露出するメタル層203やSi層202に対するエッチング(2回目のエッチング)が行われ、最後に図15(e)に示すようにレジストR3を除去することにより回路パターンが得られる。
【0006】
しかしながら、前記のように厚膜R1と薄膜R2とが形成されたレジストパターンRを用いるハーフ露光処理にあっては、レジストパターンRの形成時に、その膜厚が基板面内で不均一の場合、形成するパターンの線幅やパターン間のピッチがばらつくという課題があった。
【0007】
即ち、図16(a)〜(e)を用いて具体的に説明すると、図16(a)は、レジストパターンRのうち、薄膜部R2の厚さt2が、図15(a)に示した厚さt1よりも厚く形成された場合を示している。
この場合において、図14に示した工程と同様に、メタル膜203のエッチング(図16(b))、レジストパターンR全体に対するアッシング処理(図16(c))が施される。
【0008】
ここで、図16(c)に示すように、膜厚が半分程度に減膜されたレジストパターンR3が得られるが、除去されるレジスト膜の厚さは、図15(c)の場合と同じであるため、図示する一対のレジストパターンR3間のピッチp2は、図15(c)に示すピッチp1よりも狭くなる。
したがって、その状態から、メタル膜203及びSi層202に対するエッチング(図16(d)、及びレジストパターンR3の除去(図16(e))を経て得られた回路パターンは、そのピッチp2が図15(e)に示すピッチp1よりも狭いものとなっていた(回路パターンの線幅が広くなっていた)。
【0009】
前記課題に対し、従来は、露光処理時に光を透過させるマスクパターン毎に、レジストパターンRにおける膜厚が所望値よりも厚く形成される所定部位を膜厚測定により特定し、その部位の露光感度を高くする手段がとられている。
即ち、露光処理前にレジスト膜を加熱して溶剤を蒸発させるプリベーク処理において、基板面内の加熱量に差異を持たせ、前記所定部位における露光感度を変化させることにより、現像処理後の残膜厚が調整(面内均一化)されている。
具体的には、プリベーク処理に用いるヒータを複数の領域に分割し、分割されたヒータを独立して駆動制御することによりエリア毎の温度調整が行われている。
更には、基板を支持するプロキシミティピンの高さ変更(ヒータと基板間の距離変更)により加熱温度の調整が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−158253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記のようにプリベークによる加熱処理によって残膜厚の調整を行う場合、分割されたヒータ面積は、ハードウエアの制約上、ある程度の大きさを確保する必要があるため、細かなエリアの加熱調整が出来ないという課題があった。
また、プロキシミティピンの高さによる加熱調整にあっては、ピン高さを変更する作業工数を要するため、生産効率が低下するという課題があった。
【0012】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、基板面内で細かく設定したエリア毎の露光量を容易に調整することができ、現像処理後のレジスト残膜の均一性を向上し、配線パターンの線幅及びピッチのばらつきを抑制することのできる局所露光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記した課題を解決するために、本発明に係る局所露光装置は、被処理基板に形成された感光膜の所定領域に対し、露光処理を施す局所露光装置であって、基板搬送路を形成し、前記被処理基板を前記基板搬送路に沿って平流し搬送する基板搬送手段と、前記基板搬送路の上方において、基板搬送方向に交差する方向にライン状に配列された複数の発光素子を有し、その下方において基板搬送方向に沿って相対的に移動される被処理基板上の感光膜に対し、前記発光素子の発光により光照射可能な光源と、前記光源を構成する複数の発光素子のうち、1つまたは複数の発光素子を発光制御単位として選択的に発光駆動可能な発光駆動部と、前記被処理基板が前記光源の下方を搬送されない状態で、前記被処理基板に対する前記光源からの光照射位置に沿って基板幅方向に進退可能に設けられ、前記光源により照射された光の照度を検出する照度検出手段と、前記照度検出手段が検出した照度と前記発光素子の駆動電流値との関係を相関テーブルとして記憶すると共に、前記発光駆動部による前記発光素子の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記被処理基板に形成された感光膜の所定領域に対し、その膜厚に基づいて照射すべき必要照度を求めると共に、前記所定領域に照射可能な前記光源の発光素子に対して、前記相関テーブルに基づき前記必要照度から駆動電流値を決定し、前記駆動電流値により前記発光素子を発光させるよう前記発光駆動部を制御することに特徴を有する。
【0014】
尚、前記照度検出手段は、前記被処理基板と同じ高さ位置において基板幅方向に進退移動されることが望ましい。
また、前記光源は、前記被処理基板に対し高さ位置可変に設けられ、前記照度検出手段は、前記光源が所定高さに固定された状態で、該光源により照射された光の照度を検出することが望ましい。
また、前記基板搬送路において前記光源よりも上流側に配置され、前記基板搬送手段により搬送される前記被処理基板を検出する基板検出手段を備え、前記制御部は、前記基板検出手段による基板検出信号と基板搬送速度とに基づき基板搬送位置を取得し、前記被処理基板に形成された感光膜の所定領域が前記光源の下方を相対的に移動する際、前記ライン状に配列された複数の発光素子のうち、前記所定領域に照射可能な発光素子のみが発光するよう前記発光駆動部を制御することが望ましい。
【0015】
このように構成することにより、膜厚をより薄くしたい(或いは厚くしたい)任意の部位に対する局所的な露光処理を容易に行うことができ、予め設定された露光量(照度)により所望の膜厚に減膜することができる。
したがって、例えばハーフ露光処理においてレジスト膜に異なる膜厚(厚膜部と薄膜部)を持たせる場合であっても(即ち薄膜部のように薄い膜厚であっても)、現像処理後のレジスト膜厚を均一にし、配線パターンの線幅及びピッチのばらつきを抑制することができる。
また、露光量(照度)の設定にあっては、予め照度検出手段を用いて、発光制御単位となる全ての発光素子に対して測定を行い、その駆動電流値と照度との関係を相関テーブルとして保持することによって、高精度に露光量を調整することができる。
【0016】
また、前記光源の下方には光拡散板が設けられ、前記光源から発光された光は、前記光拡散板を介して前記被処理基板に対し放射されることが望ましい。
このように光拡散板を設けることによって、光源から放射された光は、光拡散板によって適度に拡散されるため、隣接する発光素子の光をライン状に繋げて下方に照射することができる。
【0017】
また、前記制御部は、前記光源を基板幅方向に沿って複数の発光制御グループに分けると共に、前記発光制御グループ毎に、所定範囲内の複数の駆動電流値と、その駆動電流値による照度とを前記相関テーブルに記憶することが望ましい。
このように、光源を複数の発光制御グループに分けることにより、発光素子間の発光照度のばらつきを抑制することができる。
【0018】
また、前記制御部は、前記被処理基板に形成された感光膜の所定領域に対する照射及び現像処理により増減した膜厚の変動値と、前記所定領域に照射した発光素子の駆動電流値との関係を相関テーブルに蓄積し、前記相関テーブルに基づき前記膜厚変動値から駆動電流値を決定し、前記駆動電流値により前記発光素子を発光させるよう前記発光駆動部を制御することが望ましい。
そのように膜厚変動値と駆動電流値との相関データを用いる場合には、パラメータとして照度を省くことができるため(即ち照度と駆動電流値との相関データを利用しなくてよいため)、照度と駆動電流値との相関データの更新作業を省くことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、基板面内で細かく設定したエリア毎の露光量を容易に調整することができ、現像処理後のレジスト残膜の均一性を向上し、配線パターンの線幅及びピッチのばらつきを抑制することのできる局所露光装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明に係る一実施形態の全体概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明に係る一実施形態の全体概略構成を示す斜視図であって、被処理基板が搬入されている状態を示す図である。
【図3】図3は、図2のA−A矢視断面図である。
【図4】図4は、フォトリソグラフィ工程における局所露光装置の配置を模式的に示す図である。
【図5】図5は、光源を構成する発光素子の配列を示す平面図である。
【図6】図6は、本発明に係る局所露光装置が有する発光制御プログラムの設定パラメータを求める工程を示すフローである。
【図7】図7は、本発明に係る局所露光装置において、発光素子の発光制御を説明するための図であって、被処理基板上の局所露光位置を座標で示す被処理基板の平面図である。
【図8】図8は、本発明に係る局所露光装置が有する発光制御プログラムの設定パラメータの例を示す表である。
【図9】図9は、本発明に係る局所露光装置が有する発光制御プログラムにおいて利用される発光素子の駆動電流値と照度との相関テーブルの例を示す表である。
【図10】図10は、本発明に係る局所露光位置による一連の動作を示すフローである。
【図11】図11は、本発明に係る局所露光装置における局所露光の動作を説明するための平面図である。
【図12】図12は、本発明に係る局所露光装置における局所露光の動作を説明するためのグラフである。
【図13】図13は、本発明に係る局所露光装置の応用例を説明するための平面図である。
【図14】図14は、本発明に係る局所露光装置が有する発光制御プログラムにおいて利用可能な発光素子の駆動電流値と膜厚との相関テーブルの応用例を示す表である。
【図15】図15(a)〜図15(e)は、ハーフ露光処理を用いた配線パターンの形成工程を説明するための断面図である。
【図16】図16(a)〜図16(e)は、ハーフ露光処理を用いた配線パターンの形成工程を示す図であって、図15の場合よりもレジスト膜厚が厚い場合を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の局所露光装置にかかる一実施形態を、図面に基づき説明する。図1は、本発明に係る局所露光装置1の全体概略構成を示す斜視図である。また、図2は、図1とは異なる角度からみた局所露光装置1の斜視図であって、被処理基板であるガラス基板Gが搬入されている状態を示す図である。また、図3は、図2のA−A矢視断面図である。また、図4は、フォトリソグラフィ工程における局所露光装置1の配置を模式的に示す図である。
【0022】
図1乃至図3に示す局所露光装置1は、例えば図4(a)〜(c)にそれぞれ示すように、被処理基板をX方向に平流し搬送しながら一連のフォトリソグラフィ工程を行うユニット内に配置される。
即ち、フォトリソグラフィ工程においては、被処理基板に感光膜とするレジスト液を塗布するレジスト塗布装置51(CT)と、減圧されたチャンバ内において基板上のレジスト膜(感光膜)を乾燥する減圧乾燥装置52(DP)とが配置される。更に、基板Gにレジスト膜を定着させるために加熱処理を行うプリベーク装置53(PRB)と、それを所定温度に冷却する冷却装置54(COL)と、レジスト膜に対し所定の回路パターンに露光する露光装置55(EXP)と、露光後のレジスト膜を現像処理する現像装置56(DEV)とが順に配置される。
【0023】
ここで、本発明に係る局所露光装置1(AE)は、例えば、図4(a)〜(c)に示すいずれかの位置に配置される。即ち、プリベーク装置53(PRB)よりも後段、且つ、現像装置56(DEV)よりも前段の所定位置に配置される。
このように配置された局所露光装置1(AE)にあっては、例えば、ポジ型レジストを使用する場合、複数枚の基板Gを連続的に処理する際に、全ての基板Gの所定領域において他の領域よりも配線パターン幅が広くパターン間ピッチが狭くなる場合に、前記所定領域に対する(減膜厚のための)局所露光が施される。
尚、以下の実施形態にあっては、ポジ型レジストの場合を例に説明するが、本発明に係る局所露光装置にあっては、ネガ型レジストの場合にも適用することができ、その場合には、レジスト残膜をより厚く残したい所定領域に対して局所露光が施される。
【0024】
続いて局所露光装置1の構成について詳しく説明する。図1〜図3に示すように局所露光装置1は、基台100上に回転可能に敷設された複数のコロ20によって基板GをX方向に向かって搬送する基板搬送路2を具備する。基板搬送路2は、Y方向に延びる円柱状のコロ20を複数有し、それら複数のコロ20は、X方向に所定の間隔をあけて、それぞれ基台100上に回転可能に配置されている。また、複数のコロ20は、ベルト(図示せず)によって連動可能に設けられ、1つのコロ20がモータ等のコロ駆動装置(図示せず)に接続されている。尚、図1にあっては、この局所露光装置1の構成の説明を容易にするために、図面手前側のコロ20を一部破断して示している。
【0025】
また、図示するように、基板搬送路2の上方には、基板Gに対し局所的な露光(UV光放射)を行うための光照射ユニット3が配置されている。
この光照射ユニット3は、基板幅方向(Y方向)に延びるライン状の光源4を備え、この光源4の下方を基板Gが搬送されることとなる。
前記ライン状の光源4は、所定波長(例えば、g線(436nm)、h線(405nm)、i線(364nm)のいずれかに近い波長)のUV光を発光する複数のUV−LED素子Lが回路基板7上に配列されて構成されている。例えば、図5(a)は、回路基板7を下方から見た平面図である。図5(a)に示すように、回路基板7上には複数のUV−LED素子Lが3列に配列される。
【0026】
ここで、図5(a)に示すように複数個(図では9個)のUV−LED素子Lが、一つの発光制御単位(発光制御グループGR1〜GRnとする)となされる。このように複数個のLED素子Lを発光制御単位とすることにより、発光素子間の発光照度のばらつきを抑制することができる。
尚、より少ないUV−LED素子Lで光源4を構成する場合には、図5(b)のように基板搬送方向(X方向)、及び基板幅方向(Y方向)に素子Lが重なるように千鳥配置することが望ましい。
【0027】
また、図3に示すように、光源4の下方には、光拡散板からなる光放射窓6が設けられている。即ち、光源4と被照射体である基板Gとの間に光放射窓6が配置されている。
このように光拡散板からなる光放射窓6が設けられることによって、光源4から放射された光は、光放射窓6によって適度に拡散されるため、隣接するUV−LED素子Lの光はライン状に繋がって下方に照射される。
また、図3に示すようにUV−LED素子Lの前後には、基板幅方向(Y方向)に延びる光反射壁8が設けられ、UV−LED素子Lによる発光が効率よく光放射窓6から下方に放射されるように構成されている。
【0028】
また、光源4を構成する各発光制御グループGRは、それぞれ発光駆動部9(図1)により、独立してその発光駆動が制御される。更には、各発光制御グループGR(のUV−LED素子L)に対し供給される順電流値はそれぞれ制御可能となされている。即ち、各発光制御グループGRのUV−LED素子Lは、発光駆動部9によって、その供給電流に応じた発光の放射照度が可変となされている。
尚、前記発光駆動部9は、コンピュータからなる制御部40によって、その駆動が制御される。
【0029】
また、光照射ユニット3は、基板搬送路2を搬送される基板Gに対して、その光放射位置の高さを可変とすることができる。即ち、図3に示すように、光照射ユニット3は、その支持フレーム15の長手方向(Y方向)の両端に設けられた水平板部15aが、一対の昇降軸11によって下方から支持され、昇降軸11は、基台100に設けられた例えばエアシリンダからなる昇降駆動部12(昇降手段)によって上下動可能となされている。
尚、図2,図3に示すように、光照射ユニット3が最も下方に移動した位置においては、前記支持フレーム15の水平板部15aの下面が、基台100に設けられた支持部材16に当接するようになっている。
【0030】
また、基台100において、昇降駆動部12の左右両側には、筒状のガイド部材13がそれぞれ立設されている。一方、前記支持フレーム15の水平板部15aにおいて、その下面には、前記昇降軸11の左右両側に、前記ガイド部材13に係合するガイド軸14がそれぞれ設けられている。これにより、光照射ユニット3の昇降に伴い、ガイド軸14がガイド部材13の中を上下方向に摺動し、光照射ユニット3の光照射窓6の水平度が精度よく維持される構成となっている。
【0031】
また、光照射ユニット3の下方には、光源4から放射され、光放射窓6を通過した光の照度(放射束)を検出するための照度センサユニット30が設けられている。
この照度センサユニット30は、信号の検出部が上方に臨む照度センサ31を備え、この照度センサ31は基板幅方向(Y方向)に移動可能な移動プレート32上に設置されている。また、光源4の直下の基台100上には、光源4に沿って、基板幅方向に延びる一対のレール33a、33bが敷設されている。
【0032】
前記移動プレート32の下面側には、前記一対のレール33a、33bに沿って移動可能なリニアモータ34が設けられ、このリニアモータ34には屈曲自在な蛇腹状のケーブルカバー35内に配された電源ケーブル(図示せず)を介して電源供給がなされている。また、ケーブルカバー35内には、制御部40によってリニアモータ34の動作を制御するための制御ケーブル(図示せず)が配されている。
【0033】
即ち、移動プレート32上の照度センサ31は、レール33a、33bに沿って基板幅方向に移動可能であり、そのとき照度センサ31における検出部が常に基板面の高さに一致するようになされている。言い換えれば、照度センサ31は、基板Gに対する前記光源4からの光照射位置に沿って基板幅方向に進退可能となされている。
また、基板Gが局所露光装置1を搬送されるときには、照度センサ31は、基板Gと干渉しないように、レール33a、33bの一端側に退避するように制御部40によって制御される。
このように構成された照度センサユニット30にあっては、各発光制御グループGRの発光照度を測定し、その発光制御グループGR(のLED素子L)に供給された電流値と発光照度との関係を得るために用いられる。
【0034】
また、この局所露光装置1にあっては、図3に示すように、光照射ユニット3の上流側に、基板搬送路2を搬送される基板Gの所定箇所(例えば先端)を検出するための基板検出センサ39が設けられ、その検出信号を制御部40に出力するようになされている。基板Gは、基板搬送路2上を所定速度(例えば50mm/sec)で搬送されるため、制御部40は、基板Gの搬送位置を前記検出信号と、該検出信号を取得後の時間、及び基板搬送速度によって取得することができる。
【0035】
また、制御部40は、光源4を構成する各発光制御グループGRの輝度、即ち、各発光制御グループGR(を構成するUV−LED素子L)に供給する電流値を所定のタイミングにおいて制御するための発光制御プログラムPを所定の記録領域に有する。
この発光制御プログラムPは、その実行時に用いるレシピのパラメータとして、基板Gの所定位置に対して放射すべき必要照度(発光制御グループGRに供給する電流値)、前記基板Gの所定位置に対し発光制御する発光制御グループGRを特定するための情報等が予め設定されている。
【0036】
ここで、局所露光装置1における準備工程について図6乃至図8を用いて説明する。この準備工程は、露光処理時に光を透過させるマスクパターン毎に、露光処理にかかるパラメータ(レシピと呼ぶ)を決定するために実施される。具体的には、図8に示すようなレシピテーブルT1における各パラメータを埋めるために実施される。尚、このレシピテーブルT1は、制御部40に記憶され保持される。
また、この準備工程には、2種類のサンプリング基板(サンプリング対象1,2と呼ぶ)のうち、いずれかを用いる。先ず、サンプリング対象1は、レジスト塗布後にハーフ露光、及び現像処理が施された被処理基板である。一方、サンプリング対象2は、通常のフォトリソグラフィ工程(局所露光装置1を介さない工程)により配線パターンが形成された被処理基板である。
【0037】
図6に示すようにサンプリング対象1の場合、レジスト塗布後にハーフ露光及び現像処理が施された複数の被処理基板をサンプリングする(図6のステップSt1)。
次いで、サンプリングした基板Gの面内におけるレジスト残膜厚を測定し(図6のステップSt2)、図7に模式的に示すように減膜すべき所定エリアARを複数の二次元座標値(x、y)により特定する(図4のステップSt5)。
【0038】
一方、図6に示すようにサンプリング対象2の場合、通常のフォトリソグラフィ工程(局所露光装置1を介さない工程)により配線パターン形成された複数の被処理基板をサンプリングする(図6のステップSt3)。
次いで、サンプリングした基板Gの面内における配線パターンの線幅、パターン間ピッチを測定し(図6のステップSt4)、図7に模式的に示すように減膜すべき所定エリアARを複数の二次元座標値(x、y)により特定する(図6のステップSt5)。
【0039】
所定エリアARが特定されると、制御部40は、図8のレシピテーブルT1に示すように、所定エリアARにおける各座標値に対して必要な減膜厚(例えば、座標(x1,y1)の場合は1000Å)を算出する(図6のステップSt6)。更に、その減膜厚の値、及びレジスト種類等の諸条件に基づき、減膜のために照射すべき照度(座標(x1,y1)の場合は0.2mJ/cm2)を算出する(図6のステップSt7)。
【0040】
また、制御部40は、図8のレシピテーブルT1に示すように、所定エリアARの各座標値に対して照射可能な発光制御グループGRをそれぞれ特定し(図6のステップSt8)、その発光制御グループGRを所望の照度で発光させるために必要な順電流値を図9に示す相関テーブルT2から求める(図6のステップSt9)。
この相関テーブルT2は、発光制御グループGRごとに測定された照度値と電流値との相関関係を示しており、制御部40の記録エリアに記憶されている。
前記相関テーブルT2は、例えば、次のようにして定期的に更新される。
先ず、光源4(光放射窓6)が所定高さに設定された状態で、制御部40からの制御信号によりリニアモータ34が駆動され、待機位置にあった照度センサ31が光放射窓6の下方に移動される。ここで、光放射窓6と照度センサ31との距離は、光放射窓6と基板G上面との距離に等しいため、照度センサ31によって検出された照度が、基板Gに照射される照度となる。
【0041】
そして、発光制御グループGR毎に、定格電流範囲内で、光源4の発光制御グループGRに供給する順電流値が増減され、その発光照度が照度センサ31により検出され、照度と電流値との関係が前記相関テーブルT2に記憶される。
このように図6のフローに沿って全てのパラメータが求められて図8のレシピテーブルT1に設定され、準備工程が完了する(図6のステップSt10)。
【0042】
続いて、局所露光装置1による局所露光の一連の動作について、更に図10乃至図12を用いて説明する。
前段工程での処理終了後、基板Gが基板搬送路2を搬送され、基板検出センサ39により検出されると、制御部40にその基板検出信号が供給される(図10のステップS1)。
制御部40は、前記基板検出信号と基板搬送速度とに基づいて、基板Gの搬送位置を取得(検出)開始する(図10のステップS2)。
【0043】
そして制御部40は、局所的に露光をすべき所定エリアが光照射ユニット3の下方を通過するタイミングにおいて(図10のステップS3)、図11に模式的に示すように光源4を構成する発光制御グループGR1〜GRnの発光制御を行う(図10のステップS4)。
ここで、例えば、基板Gの所定エリアARに発光照射する場合には、その上方に配置された発光制御グループGRn−1,GRn−2の発光制御がなされる。より具体的には、図12のグラフ(発光制御グループGRn−1,GRn−2ごとの時間経過に対する放射束(ワット)の大きさ)に示すように、光源下を基板Gの所定エリアARが通過する間、放射束Wの大きさが変化するよう供給される順電流の制御が行われる。
このように、基板Gの所定エリアARに単に照射されるだけでなく、エリアAR内の局所において任意の照度での照射がなされる。
【0044】
また、基板Gにおいて、他に局所的に露光すべきエリアが有る場合(図10のステップS5)、そのエリアにおいて発光制御グループGRの発光制御がなされ、他にない場合は(図10のステップS5)、その基板Gに対する局所露光処理が終了する。
尚、図4に示したように、この局所露光処理(AE)に加え、この前段或いは後段において行われる露光処理(EXP)と併せて、基板Gに対する露光処理が完了し、その露光後のレジスト膜が現像装置56(DEV)により現像処理される。
【0045】
以上のように、本発明に係る実施の形態によれば、基板Gに形成されたレジスト膜厚の任意の部位に対する局所的な露光処理において、基板幅方向(Y方向)にライン状に配置された複数のUV−LED素子Lにより複数の発光制御グループGRが形成され、その下方を搬送される基板Gに対し、選択された発光制御グループGRが発光制御される。
これにより、膜厚をより薄くしたい任意の部位に対する局所的な露光処理を容易に行うことができ、予め設定された露光量(照度)により所望の膜厚に減膜することができる。
したがって、例えばハーフ露光処理においてレジスト膜に異なる膜厚(厚膜部と薄膜部)を持たせる場合であっても(即ち薄膜部のように薄い膜厚であっても)、現像処理後のレジスト膜厚を均一にし、配線パターンの線幅及びピッチのばらつきを抑制することができる。
また、露光量(照度)の設定にあっては、予め照度センサ31を用いて全ての発光制御グループGRに対して測定を行い、その駆動電流値と照度との関係を相関テーブルとして保持することによって、高精度に露光量を調整することができる。
【0046】
尚、前記実施の形態においては、局所的に追加露光を行うエリアを基板面の有効エリア内とした例を示したが、それに限定されるものではない。
例えば、図13に示すように基板Gの縁部領域(有効エリアの周辺)E1を露光する処理に用いることもできる。
また、前記実施の形態においては、複数個のUV−LED素子Lからなる発光制御グループを発光制御単位とした例を示したが、それに限らず、各UV−LED素子Lを発光制御単位として、より細かく局所露光を行うようにしてもよい。
【0047】
また、前記実施形態においては、基板Gを平流し搬送しながら露光処理を行う場合を例に説明したが、本発明にあっては、その形態に限定されず、被処理基板をチャンバ内に静止した状態で保持し、保持した基板に対して露光処理を行う構成であってもよい。
その場合、ライン状光源を被処理基板に対して移動させるようにしてもよい(即ち、ライン状光源と被処理基板とが相対的に逆方向に移動する構成であればよい)。
また、前記実施の形態においては、ハーフ露光処理後のレジスト残膜厚を均一にする場合を例に説明したが、本発明に係る局所露光方法にあっては、ハーフ露光処理に限らず適用することができる。例えば、ハーフ露光処理ではなく通常の露光処理を行う場合であっても、発明に係る局所露光方法を適用することによって、レジスト残膜厚を面内均一とすることができる。
また、図6のステップSt6、St7のように、必要な残膜厚に基づき必要な照度を求めることに限らず、現像処理後のパターン線幅を測定してパターン線幅と照度との相関データを求め、その相関データに基づきレシピテーブルを作成してもよい。
【0048】
また、前記実施の形態においては、相関テーブルT2に基づき、必要照度から電流値を決定し、その電流値のみで照度の制御を行うものとしている。このとき、光照射ユニット3の高さは固定であるが、この高さ位置は適宜調整し、変更するようにしてよい。
例えば、駆動電流が一定であっても、UV−LED素子Lの経年劣化により、その照度が低下してくることが懸念される。そのため、照度測定の結果、UV−LED素子Lに対して最大電流の負荷をかけても所望の照度が得られない場合には、光照度ユニット3を基板Gに近づけて再測定し、その結果、所望の照度が得られた場合には、その高さ位置が光照度ユニット3の高さ位置として新たに設定される。
【0049】
また、前記実施の形態においては、基板Gに形成されたレジスト膜の所定領域の膜厚から照射すべき照度を決定し、相関テーブルに基づき前記照度から駆動電流値を求めるものとした。しかしながら、そのような形態のみに限定するのではなく、前記所定領域における膜厚変動値(減膜厚値)と、その所定領域に照射した発光制御グループGRの駆動電流値との関係を図14に示すような相関テーブルT3にデータベースとして蓄積しておき、それを利用してもよい。即ち、前記相関テーブルT3に基づき前記所定領域の膜厚変動値から直接、駆動電流値を決定し、前記駆動電流値により発光制御グループGRを発光させるようしてもよい。そのように相関テーブルT3を用いる場合には、パラメータとして照度を省くことができるため(即ち照度と駆動電流値との相関テーブルT2を利用しなくてよいため)、照度センサ31を用いた照度測定による定期的な相関テーブルT2の更新作業を省くことができる。
【符号の説明】
【0050】
1 局所露光装置
2 基板搬送路
3 光照射ユニット
4 光源
9 発光駆動部
20 搬送コロ(基板搬送手段)
39 基板検出センサ(基板検出手段)
40 制御部
G ガラス基板(被処理基板)
L UV−LED素子(発光素子)
GR 発光制御グループ
T1 レシピテーブル
T2 相関テーブル
T3 相関テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光膜が形成された被処理基板に対し局所的に露光処理を行う局所露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、FPD(フラットパネルディスプレイ)の製造においては、いわゆるフォトリソグラフィ工程により回路パターンを形成することが行われている。
このフォトリソグラフィ工程では、特許文献1にも記載されている通り、ガラス基板等の被処理基板に所定の膜を成膜した後、フォトレジスト(以下、レジストと呼ぶ)が塗布され、レジスト中の溶剤を蒸発させる予備乾燥処理(減圧乾燥、及びプリベーク処理)によってレジスト膜(感光膜)が形成される。そして、回路パターンに対応して前記レジスト膜が露光され、これが現像処理され、パターン形成される。
【0003】
ところで、このようなフォトリソグラフィ工程にあっては、図15(a)に示すようにレジストパターンRに異なる膜厚(厚膜部R1と薄膜部R2)を持たせ、これを利用して複数回のエッチング処理を行うことによりフォトマスク数、及び工程数を低減することが可能である。尚、そのようなレジストパターンRは、1枚で光の透過率が異なる部分を有するハーフトーンマスクを用いるハーフ(ハーフトーン)露光処理によって得ることができる。
【0004】
このハーフ露光が適用されたレジストパターンRを用いた場合の回路パターン形成工程について図15(a)〜(e)を用いて具体的に説明する。
例えば、図15(a)において、ガラス基板G上に、ゲート電極200、絶縁層201、a−Si層(ノンドープアモルファスSi層)202aとn+a−Si層202b(リンドープアモルファスSi層)からなるSi層202、電極を形成するためのメタル層203が順に積層されている。
また、メタル層203上には、一様にレジスト膜が形成された後、減圧乾燥、及びプリベーク処理によりレジスト中の溶剤が蒸発され、その後、前記ハーフ露光処理、及び現像処理により、レジストパターンRが形成される。
【0005】
このレジストパターンR(厚膜部R1及び薄膜部R2)の形成後、図15(b)に示すように、このレジストパターンRをマスクとして、メタル層203のエッチング(1回目のエッチング)が行われる。
次いで、レジストパターンR全体に対し、プラズマ中でアッシング(灰化)処理が施される。これにより、図15(c)に示すように、膜厚が半分程度に減膜されたレジストパターンR3が得られる。
そして、図15(d)に示すように、このレジストパターンR3をマスクとして利用し、露出するメタル層203やSi層202に対するエッチング(2回目のエッチング)が行われ、最後に図15(e)に示すようにレジストR3を除去することにより回路パターンが得られる。
【0006】
しかしながら、前記のように厚膜R1と薄膜R2とが形成されたレジストパターンRを用いるハーフ露光処理にあっては、レジストパターンRの形成時に、その膜厚が基板面内で不均一の場合、形成するパターンの線幅やパターン間のピッチがばらつくという課題があった。
【0007】
即ち、図16(a)〜(e)を用いて具体的に説明すると、図16(a)は、レジストパターンRのうち、薄膜部R2の厚さt2が、図15(a)に示した厚さt1よりも厚く形成された場合を示している。
この場合において、図14に示した工程と同様に、メタル膜203のエッチング(図16(b))、レジストパターンR全体に対するアッシング処理(図16(c))が施される。
【0008】
ここで、図16(c)に示すように、膜厚が半分程度に減膜されたレジストパターンR3が得られるが、除去されるレジスト膜の厚さは、図15(c)の場合と同じであるため、図示する一対のレジストパターンR3間のピッチp2は、図15(c)に示すピッチp1よりも狭くなる。
したがって、その状態から、メタル膜203及びSi層202に対するエッチング(図16(d)、及びレジストパターンR3の除去(図16(e))を経て得られた回路パターンは、そのピッチp2が図15(e)に示すピッチp1よりも狭いものとなっていた(回路パターンの線幅が広くなっていた)。
【0009】
前記課題に対し、従来は、露光処理時に光を透過させるマスクパターン毎に、レジストパターンRにおける膜厚が所望値よりも厚く形成される所定部位を膜厚測定により特定し、その部位の露光感度を高くする手段がとられている。
即ち、露光処理前にレジスト膜を加熱して溶剤を蒸発させるプリベーク処理において、基板面内の加熱量に差異を持たせ、前記所定部位における露光感度を変化させることにより、現像処理後の残膜厚が調整(面内均一化)されている。
具体的には、プリベーク処理に用いるヒータを複数の領域に分割し、分割されたヒータを独立して駆動制御することによりエリア毎の温度調整が行われている。
更には、基板を支持するプロキシミティピンの高さ変更(ヒータと基板間の距離変更)により加熱温度の調整が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−158253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記のようにプリベークによる加熱処理によって残膜厚の調整を行う場合、分割されたヒータ面積は、ハードウエアの制約上、ある程度の大きさを確保する必要があるため、細かなエリアの加熱調整が出来ないという課題があった。
また、プロキシミティピンの高さによる加熱調整にあっては、ピン高さを変更する作業工数を要するため、生産効率が低下するという課題があった。
【0012】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、基板面内で細かく設定したエリア毎の露光量を容易に調整することができ、現像処理後のレジスト残膜の均一性を向上し、配線パターンの線幅及びピッチのばらつきを抑制することのできる局所露光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記した課題を解決するために、本発明に係る局所露光装置は、被処理基板に形成された感光膜の所定領域に対し、露光処理を施す局所露光装置であって、基板搬送路を形成し、前記被処理基板を前記基板搬送路に沿って平流し搬送する基板搬送手段と、前記基板搬送路の上方において、基板搬送方向に交差する方向にライン状に配列された複数の発光素子を有し、その下方において基板搬送方向に沿って相対的に移動される被処理基板上の感光膜に対し、前記発光素子の発光により光照射可能な光源と、前記光源を構成する複数の発光素子のうち、1つまたは複数の発光素子を発光制御単位として選択的に発光駆動可能な発光駆動部と、前記被処理基板が前記光源の下方を搬送されない状態で、前記被処理基板に対する前記光源からの光照射位置に沿って基板幅方向に進退可能に設けられ、前記光源により照射された光の照度を検出する照度検出手段と、前記照度検出手段が検出した照度と前記発光素子の駆動電流値との関係を相関テーブルとして記憶すると共に、前記発光駆動部による前記発光素子の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記被処理基板に形成された感光膜の所定領域に対し、その膜厚に基づいて照射すべき必要照度を求めると共に、前記所定領域に照射可能な前記光源の発光素子に対して、前記相関テーブルに基づき前記必要照度から駆動電流値を決定し、前記駆動電流値により前記発光素子を発光させるよう前記発光駆動部を制御することに特徴を有する。
【0014】
尚、前記照度検出手段は、前記被処理基板と同じ高さ位置において基板幅方向に進退移動されることが望ましい。
また、前記光源は、前記被処理基板に対し高さ位置可変に設けられ、前記照度検出手段は、前記光源が所定高さに固定された状態で、該光源により照射された光の照度を検出することが望ましい。
また、前記基板搬送路において前記光源よりも上流側に配置され、前記基板搬送手段により搬送される前記被処理基板を検出する基板検出手段を備え、前記制御部は、前記基板検出手段による基板検出信号と基板搬送速度とに基づき基板搬送位置を取得し、前記被処理基板に形成された感光膜の所定領域が前記光源の下方を相対的に移動する際、前記ライン状に配列された複数の発光素子のうち、前記所定領域に照射可能な発光素子のみが発光するよう前記発光駆動部を制御することが望ましい。
【0015】
このように構成することにより、膜厚をより薄くしたい(或いは厚くしたい)任意の部位に対する局所的な露光処理を容易に行うことができ、予め設定された露光量(照度)により所望の膜厚に減膜することができる。
したがって、例えばハーフ露光処理においてレジスト膜に異なる膜厚(厚膜部と薄膜部)を持たせる場合であっても(即ち薄膜部のように薄い膜厚であっても)、現像処理後のレジスト膜厚を均一にし、配線パターンの線幅及びピッチのばらつきを抑制することができる。
また、露光量(照度)の設定にあっては、予め照度検出手段を用いて、発光制御単位となる全ての発光素子に対して測定を行い、その駆動電流値と照度との関係を相関テーブルとして保持することによって、高精度に露光量を調整することができる。
【0016】
また、前記光源の下方には光拡散板が設けられ、前記光源から発光された光は、前記光拡散板を介して前記被処理基板に対し放射されることが望ましい。
このように光拡散板を設けることによって、光源から放射された光は、光拡散板によって適度に拡散されるため、隣接する発光素子の光をライン状に繋げて下方に照射することができる。
【0017】
また、前記制御部は、前記光源を基板幅方向に沿って複数の発光制御グループに分けると共に、前記発光制御グループ毎に、所定範囲内の複数の駆動電流値と、その駆動電流値による照度とを前記相関テーブルに記憶することが望ましい。
このように、光源を複数の発光制御グループに分けることにより、発光素子間の発光照度のばらつきを抑制することができる。
【0018】
また、前記制御部は、前記被処理基板に形成された感光膜の所定領域に対する照射及び現像処理により増減した膜厚の変動値と、前記所定領域に照射した発光素子の駆動電流値との関係を相関テーブルに蓄積し、前記相関テーブルに基づき前記膜厚変動値から駆動電流値を決定し、前記駆動電流値により前記発光素子を発光させるよう前記発光駆動部を制御することが望ましい。
そのように膜厚変動値と駆動電流値との相関データを用いる場合には、パラメータとして照度を省くことができるため(即ち照度と駆動電流値との相関データを利用しなくてよいため)、照度と駆動電流値との相関データの更新作業を省くことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、基板面内で細かく設定したエリア毎の露光量を容易に調整することができ、現像処理後のレジスト残膜の均一性を向上し、配線パターンの線幅及びピッチのばらつきを抑制することのできる局所露光装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明に係る一実施形態の全体概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明に係る一実施形態の全体概略構成を示す斜視図であって、被処理基板が搬入されている状態を示す図である。
【図3】図3は、図2のA−A矢視断面図である。
【図4】図4は、フォトリソグラフィ工程における局所露光装置の配置を模式的に示す図である。
【図5】図5は、光源を構成する発光素子の配列を示す平面図である。
【図6】図6は、本発明に係る局所露光装置が有する発光制御プログラムの設定パラメータを求める工程を示すフローである。
【図7】図7は、本発明に係る局所露光装置において、発光素子の発光制御を説明するための図であって、被処理基板上の局所露光位置を座標で示す被処理基板の平面図である。
【図8】図8は、本発明に係る局所露光装置が有する発光制御プログラムの設定パラメータの例を示す表である。
【図9】図9は、本発明に係る局所露光装置が有する発光制御プログラムにおいて利用される発光素子の駆動電流値と照度との相関テーブルの例を示す表である。
【図10】図10は、本発明に係る局所露光位置による一連の動作を示すフローである。
【図11】図11は、本発明に係る局所露光装置における局所露光の動作を説明するための平面図である。
【図12】図12は、本発明に係る局所露光装置における局所露光の動作を説明するためのグラフである。
【図13】図13は、本発明に係る局所露光装置の応用例を説明するための平面図である。
【図14】図14は、本発明に係る局所露光装置が有する発光制御プログラムにおいて利用可能な発光素子の駆動電流値と膜厚との相関テーブルの応用例を示す表である。
【図15】図15(a)〜図15(e)は、ハーフ露光処理を用いた配線パターンの形成工程を説明するための断面図である。
【図16】図16(a)〜図16(e)は、ハーフ露光処理を用いた配線パターンの形成工程を示す図であって、図15の場合よりもレジスト膜厚が厚い場合を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の局所露光装置にかかる一実施形態を、図面に基づき説明する。図1は、本発明に係る局所露光装置1の全体概略構成を示す斜視図である。また、図2は、図1とは異なる角度からみた局所露光装置1の斜視図であって、被処理基板であるガラス基板Gが搬入されている状態を示す図である。また、図3は、図2のA−A矢視断面図である。また、図4は、フォトリソグラフィ工程における局所露光装置1の配置を模式的に示す図である。
【0022】
図1乃至図3に示す局所露光装置1は、例えば図4(a)〜(c)にそれぞれ示すように、被処理基板をX方向に平流し搬送しながら一連のフォトリソグラフィ工程を行うユニット内に配置される。
即ち、フォトリソグラフィ工程においては、被処理基板に感光膜とするレジスト液を塗布するレジスト塗布装置51(CT)と、減圧されたチャンバ内において基板上のレジスト膜(感光膜)を乾燥する減圧乾燥装置52(DP)とが配置される。更に、基板Gにレジスト膜を定着させるために加熱処理を行うプリベーク装置53(PRB)と、それを所定温度に冷却する冷却装置54(COL)と、レジスト膜に対し所定の回路パターンに露光する露光装置55(EXP)と、露光後のレジスト膜を現像処理する現像装置56(DEV)とが順に配置される。
【0023】
ここで、本発明に係る局所露光装置1(AE)は、例えば、図4(a)〜(c)に示すいずれかの位置に配置される。即ち、プリベーク装置53(PRB)よりも後段、且つ、現像装置56(DEV)よりも前段の所定位置に配置される。
このように配置された局所露光装置1(AE)にあっては、例えば、ポジ型レジストを使用する場合、複数枚の基板Gを連続的に処理する際に、全ての基板Gの所定領域において他の領域よりも配線パターン幅が広くパターン間ピッチが狭くなる場合に、前記所定領域に対する(減膜厚のための)局所露光が施される。
尚、以下の実施形態にあっては、ポジ型レジストの場合を例に説明するが、本発明に係る局所露光装置にあっては、ネガ型レジストの場合にも適用することができ、その場合には、レジスト残膜をより厚く残したい所定領域に対して局所露光が施される。
【0024】
続いて局所露光装置1の構成について詳しく説明する。図1〜図3に示すように局所露光装置1は、基台100上に回転可能に敷設された複数のコロ20によって基板GをX方向に向かって搬送する基板搬送路2を具備する。基板搬送路2は、Y方向に延びる円柱状のコロ20を複数有し、それら複数のコロ20は、X方向に所定の間隔をあけて、それぞれ基台100上に回転可能に配置されている。また、複数のコロ20は、ベルト(図示せず)によって連動可能に設けられ、1つのコロ20がモータ等のコロ駆動装置(図示せず)に接続されている。尚、図1にあっては、この局所露光装置1の構成の説明を容易にするために、図面手前側のコロ20を一部破断して示している。
【0025】
また、図示するように、基板搬送路2の上方には、基板Gに対し局所的な露光(UV光放射)を行うための光照射ユニット3が配置されている。
この光照射ユニット3は、基板幅方向(Y方向)に延びるライン状の光源4を備え、この光源4の下方を基板Gが搬送されることとなる。
前記ライン状の光源4は、所定波長(例えば、g線(436nm)、h線(405nm)、i線(364nm)のいずれかに近い波長)のUV光を発光する複数のUV−LED素子Lが回路基板7上に配列されて構成されている。例えば、図5(a)は、回路基板7を下方から見た平面図である。図5(a)に示すように、回路基板7上には複数のUV−LED素子Lが3列に配列される。
【0026】
ここで、図5(a)に示すように複数個(図では9個)のUV−LED素子Lが、一つの発光制御単位(発光制御グループGR1〜GRnとする)となされる。このように複数個のLED素子Lを発光制御単位とすることにより、発光素子間の発光照度のばらつきを抑制することができる。
尚、より少ないUV−LED素子Lで光源4を構成する場合には、図5(b)のように基板搬送方向(X方向)、及び基板幅方向(Y方向)に素子Lが重なるように千鳥配置することが望ましい。
【0027】
また、図3に示すように、光源4の下方には、光拡散板からなる光放射窓6が設けられている。即ち、光源4と被照射体である基板Gとの間に光放射窓6が配置されている。
このように光拡散板からなる光放射窓6が設けられることによって、光源4から放射された光は、光放射窓6によって適度に拡散されるため、隣接するUV−LED素子Lの光はライン状に繋がって下方に照射される。
また、図3に示すようにUV−LED素子Lの前後には、基板幅方向(Y方向)に延びる光反射壁8が設けられ、UV−LED素子Lによる発光が効率よく光放射窓6から下方に放射されるように構成されている。
【0028】
また、光源4を構成する各発光制御グループGRは、それぞれ発光駆動部9(図1)により、独立してその発光駆動が制御される。更には、各発光制御グループGR(のUV−LED素子L)に対し供給される順電流値はそれぞれ制御可能となされている。即ち、各発光制御グループGRのUV−LED素子Lは、発光駆動部9によって、その供給電流に応じた発光の放射照度が可変となされている。
尚、前記発光駆動部9は、コンピュータからなる制御部40によって、その駆動が制御される。
【0029】
また、光照射ユニット3は、基板搬送路2を搬送される基板Gに対して、その光放射位置の高さを可変とすることができる。即ち、図3に示すように、光照射ユニット3は、その支持フレーム15の長手方向(Y方向)の両端に設けられた水平板部15aが、一対の昇降軸11によって下方から支持され、昇降軸11は、基台100に設けられた例えばエアシリンダからなる昇降駆動部12(昇降手段)によって上下動可能となされている。
尚、図2,図3に示すように、光照射ユニット3が最も下方に移動した位置においては、前記支持フレーム15の水平板部15aの下面が、基台100に設けられた支持部材16に当接するようになっている。
【0030】
また、基台100において、昇降駆動部12の左右両側には、筒状のガイド部材13がそれぞれ立設されている。一方、前記支持フレーム15の水平板部15aにおいて、その下面には、前記昇降軸11の左右両側に、前記ガイド部材13に係合するガイド軸14がそれぞれ設けられている。これにより、光照射ユニット3の昇降に伴い、ガイド軸14がガイド部材13の中を上下方向に摺動し、光照射ユニット3の光照射窓6の水平度が精度よく維持される構成となっている。
【0031】
また、光照射ユニット3の下方には、光源4から放射され、光放射窓6を通過した光の照度(放射束)を検出するための照度センサユニット30が設けられている。
この照度センサユニット30は、信号の検出部が上方に臨む照度センサ31を備え、この照度センサ31は基板幅方向(Y方向)に移動可能な移動プレート32上に設置されている。また、光源4の直下の基台100上には、光源4に沿って、基板幅方向に延びる一対のレール33a、33bが敷設されている。
【0032】
前記移動プレート32の下面側には、前記一対のレール33a、33bに沿って移動可能なリニアモータ34が設けられ、このリニアモータ34には屈曲自在な蛇腹状のケーブルカバー35内に配された電源ケーブル(図示せず)を介して電源供給がなされている。また、ケーブルカバー35内には、制御部40によってリニアモータ34の動作を制御するための制御ケーブル(図示せず)が配されている。
【0033】
即ち、移動プレート32上の照度センサ31は、レール33a、33bに沿って基板幅方向に移動可能であり、そのとき照度センサ31における検出部が常に基板面の高さに一致するようになされている。言い換えれば、照度センサ31は、基板Gに対する前記光源4からの光照射位置に沿って基板幅方向に進退可能となされている。
また、基板Gが局所露光装置1を搬送されるときには、照度センサ31は、基板Gと干渉しないように、レール33a、33bの一端側に退避するように制御部40によって制御される。
このように構成された照度センサユニット30にあっては、各発光制御グループGRの発光照度を測定し、その発光制御グループGR(のLED素子L)に供給された電流値と発光照度との関係を得るために用いられる。
【0034】
また、この局所露光装置1にあっては、図3に示すように、光照射ユニット3の上流側に、基板搬送路2を搬送される基板Gの所定箇所(例えば先端)を検出するための基板検出センサ39が設けられ、その検出信号を制御部40に出力するようになされている。基板Gは、基板搬送路2上を所定速度(例えば50mm/sec)で搬送されるため、制御部40は、基板Gの搬送位置を前記検出信号と、該検出信号を取得後の時間、及び基板搬送速度によって取得することができる。
【0035】
また、制御部40は、光源4を構成する各発光制御グループGRの輝度、即ち、各発光制御グループGR(を構成するUV−LED素子L)に供給する電流値を所定のタイミングにおいて制御するための発光制御プログラムPを所定の記録領域に有する。
この発光制御プログラムPは、その実行時に用いるレシピのパラメータとして、基板Gの所定位置に対して放射すべき必要照度(発光制御グループGRに供給する電流値)、前記基板Gの所定位置に対し発光制御する発光制御グループGRを特定するための情報等が予め設定されている。
【0036】
ここで、局所露光装置1における準備工程について図6乃至図8を用いて説明する。この準備工程は、露光処理時に光を透過させるマスクパターン毎に、露光処理にかかるパラメータ(レシピと呼ぶ)を決定するために実施される。具体的には、図8に示すようなレシピテーブルT1における各パラメータを埋めるために実施される。尚、このレシピテーブルT1は、制御部40に記憶され保持される。
また、この準備工程には、2種類のサンプリング基板(サンプリング対象1,2と呼ぶ)のうち、いずれかを用いる。先ず、サンプリング対象1は、レジスト塗布後にハーフ露光、及び現像処理が施された被処理基板である。一方、サンプリング対象2は、通常のフォトリソグラフィ工程(局所露光装置1を介さない工程)により配線パターンが形成された被処理基板である。
【0037】
図6に示すようにサンプリング対象1の場合、レジスト塗布後にハーフ露光及び現像処理が施された複数の被処理基板をサンプリングする(図6のステップSt1)。
次いで、サンプリングした基板Gの面内におけるレジスト残膜厚を測定し(図6のステップSt2)、図7に模式的に示すように減膜すべき所定エリアARを複数の二次元座標値(x、y)により特定する(図4のステップSt5)。
【0038】
一方、図6に示すようにサンプリング対象2の場合、通常のフォトリソグラフィ工程(局所露光装置1を介さない工程)により配線パターン形成された複数の被処理基板をサンプリングする(図6のステップSt3)。
次いで、サンプリングした基板Gの面内における配線パターンの線幅、パターン間ピッチを測定し(図6のステップSt4)、図7に模式的に示すように減膜すべき所定エリアARを複数の二次元座標値(x、y)により特定する(図6のステップSt5)。
【0039】
所定エリアARが特定されると、制御部40は、図8のレシピテーブルT1に示すように、所定エリアARにおける各座標値に対して必要な減膜厚(例えば、座標(x1,y1)の場合は1000Å)を算出する(図6のステップSt6)。更に、その減膜厚の値、及びレジスト種類等の諸条件に基づき、減膜のために照射すべき照度(座標(x1,y1)の場合は0.2mJ/cm2)を算出する(図6のステップSt7)。
【0040】
また、制御部40は、図8のレシピテーブルT1に示すように、所定エリアARの各座標値に対して照射可能な発光制御グループGRをそれぞれ特定し(図6のステップSt8)、その発光制御グループGRを所望の照度で発光させるために必要な順電流値を図9に示す相関テーブルT2から求める(図6のステップSt9)。
この相関テーブルT2は、発光制御グループGRごとに測定された照度値と電流値との相関関係を示しており、制御部40の記録エリアに記憶されている。
前記相関テーブルT2は、例えば、次のようにして定期的に更新される。
先ず、光源4(光放射窓6)が所定高さに設定された状態で、制御部40からの制御信号によりリニアモータ34が駆動され、待機位置にあった照度センサ31が光放射窓6の下方に移動される。ここで、光放射窓6と照度センサ31との距離は、光放射窓6と基板G上面との距離に等しいため、照度センサ31によって検出された照度が、基板Gに照射される照度となる。
【0041】
そして、発光制御グループGR毎に、定格電流範囲内で、光源4の発光制御グループGRに供給する順電流値が増減され、その発光照度が照度センサ31により検出され、照度と電流値との関係が前記相関テーブルT2に記憶される。
このように図6のフローに沿って全てのパラメータが求められて図8のレシピテーブルT1に設定され、準備工程が完了する(図6のステップSt10)。
【0042】
続いて、局所露光装置1による局所露光の一連の動作について、更に図10乃至図12を用いて説明する。
前段工程での処理終了後、基板Gが基板搬送路2を搬送され、基板検出センサ39により検出されると、制御部40にその基板検出信号が供給される(図10のステップS1)。
制御部40は、前記基板検出信号と基板搬送速度とに基づいて、基板Gの搬送位置を取得(検出)開始する(図10のステップS2)。
【0043】
そして制御部40は、局所的に露光をすべき所定エリアが光照射ユニット3の下方を通過するタイミングにおいて(図10のステップS3)、図11に模式的に示すように光源4を構成する発光制御グループGR1〜GRnの発光制御を行う(図10のステップS4)。
ここで、例えば、基板Gの所定エリアARに発光照射する場合には、その上方に配置された発光制御グループGRn−1,GRn−2の発光制御がなされる。より具体的には、図12のグラフ(発光制御グループGRn−1,GRn−2ごとの時間経過に対する放射束(ワット)の大きさ)に示すように、光源下を基板Gの所定エリアARが通過する間、放射束Wの大きさが変化するよう供給される順電流の制御が行われる。
このように、基板Gの所定エリアARに単に照射されるだけでなく、エリアAR内の局所において任意の照度での照射がなされる。
【0044】
また、基板Gにおいて、他に局所的に露光すべきエリアが有る場合(図10のステップS5)、そのエリアにおいて発光制御グループGRの発光制御がなされ、他にない場合は(図10のステップS5)、その基板Gに対する局所露光処理が終了する。
尚、図4に示したように、この局所露光処理(AE)に加え、この前段或いは後段において行われる露光処理(EXP)と併せて、基板Gに対する露光処理が完了し、その露光後のレジスト膜が現像装置56(DEV)により現像処理される。
【0045】
以上のように、本発明に係る実施の形態によれば、基板Gに形成されたレジスト膜厚の任意の部位に対する局所的な露光処理において、基板幅方向(Y方向)にライン状に配置された複数のUV−LED素子Lにより複数の発光制御グループGRが形成され、その下方を搬送される基板Gに対し、選択された発光制御グループGRが発光制御される。
これにより、膜厚をより薄くしたい任意の部位に対する局所的な露光処理を容易に行うことができ、予め設定された露光量(照度)により所望の膜厚に減膜することができる。
したがって、例えばハーフ露光処理においてレジスト膜に異なる膜厚(厚膜部と薄膜部)を持たせる場合であっても(即ち薄膜部のように薄い膜厚であっても)、現像処理後のレジスト膜厚を均一にし、配線パターンの線幅及びピッチのばらつきを抑制することができる。
また、露光量(照度)の設定にあっては、予め照度センサ31を用いて全ての発光制御グループGRに対して測定を行い、その駆動電流値と照度との関係を相関テーブルとして保持することによって、高精度に露光量を調整することができる。
【0046】
尚、前記実施の形態においては、局所的に追加露光を行うエリアを基板面の有効エリア内とした例を示したが、それに限定されるものではない。
例えば、図13に示すように基板Gの縁部領域(有効エリアの周辺)E1を露光する処理に用いることもできる。
また、前記実施の形態においては、複数個のUV−LED素子Lからなる発光制御グループを発光制御単位とした例を示したが、それに限らず、各UV−LED素子Lを発光制御単位として、より細かく局所露光を行うようにしてもよい。
【0047】
また、前記実施形態においては、基板Gを平流し搬送しながら露光処理を行う場合を例に説明したが、本発明にあっては、その形態に限定されず、被処理基板をチャンバ内に静止した状態で保持し、保持した基板に対して露光処理を行う構成であってもよい。
その場合、ライン状光源を被処理基板に対して移動させるようにしてもよい(即ち、ライン状光源と被処理基板とが相対的に逆方向に移動する構成であればよい)。
また、前記実施の形態においては、ハーフ露光処理後のレジスト残膜厚を均一にする場合を例に説明したが、本発明に係る局所露光方法にあっては、ハーフ露光処理に限らず適用することができる。例えば、ハーフ露光処理ではなく通常の露光処理を行う場合であっても、発明に係る局所露光方法を適用することによって、レジスト残膜厚を面内均一とすることができる。
また、図6のステップSt6、St7のように、必要な残膜厚に基づき必要な照度を求めることに限らず、現像処理後のパターン線幅を測定してパターン線幅と照度との相関データを求め、その相関データに基づきレシピテーブルを作成してもよい。
【0048】
また、前記実施の形態においては、相関テーブルT2に基づき、必要照度から電流値を決定し、その電流値のみで照度の制御を行うものとしている。このとき、光照射ユニット3の高さは固定であるが、この高さ位置は適宜調整し、変更するようにしてよい。
例えば、駆動電流が一定であっても、UV−LED素子Lの経年劣化により、その照度が低下してくることが懸念される。そのため、照度測定の結果、UV−LED素子Lに対して最大電流の負荷をかけても所望の照度が得られない場合には、光照度ユニット3を基板Gに近づけて再測定し、その結果、所望の照度が得られた場合には、その高さ位置が光照度ユニット3の高さ位置として新たに設定される。
【0049】
また、前記実施の形態においては、基板Gに形成されたレジスト膜の所定領域の膜厚から照射すべき照度を決定し、相関テーブルに基づき前記照度から駆動電流値を求めるものとした。しかしながら、そのような形態のみに限定するのではなく、前記所定領域における膜厚変動値(減膜厚値)と、その所定領域に照射した発光制御グループGRの駆動電流値との関係を図14に示すような相関テーブルT3にデータベースとして蓄積しておき、それを利用してもよい。即ち、前記相関テーブルT3に基づき前記所定領域の膜厚変動値から直接、駆動電流値を決定し、前記駆動電流値により発光制御グループGRを発光させるようしてもよい。そのように相関テーブルT3を用いる場合には、パラメータとして照度を省くことができるため(即ち照度と駆動電流値との相関テーブルT2を利用しなくてよいため)、照度センサ31を用いた照度測定による定期的な相関テーブルT2の更新作業を省くことができる。
【符号の説明】
【0050】
1 局所露光装置
2 基板搬送路
3 光照射ユニット
4 光源
9 発光駆動部
20 搬送コロ(基板搬送手段)
39 基板検出センサ(基板検出手段)
40 制御部
G ガラス基板(被処理基板)
L UV−LED素子(発光素子)
GR 発光制御グループ
T1 レシピテーブル
T2 相関テーブル
T3 相関テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板に形成された感光膜の所定領域に対し、露光処理を施す局所露光装置であって、基板搬送路を形成し、前記被処理基板を前記基板搬送路に沿って平流し搬送する基板搬送手段と、前記基板搬送路の上方において、基板搬送方向に交差する方向にライン状に配列された複数の発光素子を有し、その下方において基板搬送方向に沿って相対的に移動される被処理基板上の感光膜に対し、前記発光素子の発光により光照射可能な光源と、前記光源を構成する複数の発光素子のうち、1つまたは複数の発光素子を発光制御単位として選択的に発光駆動可能な発光駆動部と、前記被処理基板が前記光源の下方を搬送されない状態で、前記被処理基板に対する前記光源からの光照射位置に沿って基板幅方向に進退可能に設けられ、前記光源により照射された光の照度を検出する照度検出手段と、前記照度検出手段が検出した照度と前記発光素子の駆動電流値との関係を相関テーブルとして記憶すると共に、前記発光駆動部による前記発光素子の駆動を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記被処理基板に形成された感光膜の所定領域に対し、その膜厚に基づいて照射すべき必要照度を求めると共に、前記所定領域に照射可能な前記光源の発光素子に対して、前記相関テーブルに基づき前記必要照度から駆動電流値を決定し、前記駆動電流値により前記発光素子を発光させるよう前記発光駆動部を制御することを特徴とする局所露光装置。
【請求項2】
前記照度検出手段は、前記被処理基板と同じ高さ位置において基板幅方向に進退移動されることを特徴とする請求項1に記載された局所露光装置。
【請求項3】
前記光源は、前記被処理基板に対し高さ位置可変に設けられ、
前記照度検出手段は、前記光源が所定高さに固定された状態で、該光源により照射された光の照度を検出することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載された局所露光装置。
【請求項4】
前記基板搬送路において前記光源よりも上流側に配置され、前記基板搬送手段により搬送される前記被処理基板を検出する基板検出手段を備え、
前記制御部は、前記基板検出手段による基板検出信号と基板搬送速度とに基づき基板搬送位置を取得し、前記被処理基板に形成された感光膜の所定領域が前記光源の下方を相対的に移動する際、前記ライン状に配列された複数の発光素子のうち、前記所定領域に照射可能な発光素子のみが発光するよう前記発光駆動部を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された局所露光装置。
【請求項5】
前記光源の下方には光拡散板が設けられ、
前記光源から発光された光は、前記光拡散板を介して前記被処理基板に対し放射されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された局所露光装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記光源を基板幅方向に沿って複数の発光制御グループに分けると共に、前記発光制御グループ毎に、所定範囲内の複数の駆動電流値と、その駆動電流値による照度とを前記相関テーブルに記憶することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された局所露光装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記被処理基板に形成された感光膜の所定領域に対する照射及び現像処理により増減した膜厚の変動値と、前記所定領域に照射した発光素子の駆動電流値との関係を相関テーブルに蓄積し、前記相関テーブルに基づき前記膜厚変動値から駆動電流値を決定し、前記駆動電流値により前記発光素子を発光させるよう前記発光駆動部を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された局所露光装置。
【請求項1】
被処理基板に形成された感光膜の所定領域に対し、露光処理を施す局所露光装置であって、基板搬送路を形成し、前記被処理基板を前記基板搬送路に沿って平流し搬送する基板搬送手段と、前記基板搬送路の上方において、基板搬送方向に交差する方向にライン状に配列された複数の発光素子を有し、その下方において基板搬送方向に沿って相対的に移動される被処理基板上の感光膜に対し、前記発光素子の発光により光照射可能な光源と、前記光源を構成する複数の発光素子のうち、1つまたは複数の発光素子を発光制御単位として選択的に発光駆動可能な発光駆動部と、前記被処理基板が前記光源の下方を搬送されない状態で、前記被処理基板に対する前記光源からの光照射位置に沿って基板幅方向に進退可能に設けられ、前記光源により照射された光の照度を検出する照度検出手段と、前記照度検出手段が検出した照度と前記発光素子の駆動電流値との関係を相関テーブルとして記憶すると共に、前記発光駆動部による前記発光素子の駆動を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記被処理基板に形成された感光膜の所定領域に対し、その膜厚に基づいて照射すべき必要照度を求めると共に、前記所定領域に照射可能な前記光源の発光素子に対して、前記相関テーブルに基づき前記必要照度から駆動電流値を決定し、前記駆動電流値により前記発光素子を発光させるよう前記発光駆動部を制御することを特徴とする局所露光装置。
【請求項2】
前記照度検出手段は、前記被処理基板と同じ高さ位置において基板幅方向に進退移動されることを特徴とする請求項1に記載された局所露光装置。
【請求項3】
前記光源は、前記被処理基板に対し高さ位置可変に設けられ、
前記照度検出手段は、前記光源が所定高さに固定された状態で、該光源により照射された光の照度を検出することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載された局所露光装置。
【請求項4】
前記基板搬送路において前記光源よりも上流側に配置され、前記基板搬送手段により搬送される前記被処理基板を検出する基板検出手段を備え、
前記制御部は、前記基板検出手段による基板検出信号と基板搬送速度とに基づき基板搬送位置を取得し、前記被処理基板に形成された感光膜の所定領域が前記光源の下方を相対的に移動する際、前記ライン状に配列された複数の発光素子のうち、前記所定領域に照射可能な発光素子のみが発光するよう前記発光駆動部を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された局所露光装置。
【請求項5】
前記光源の下方には光拡散板が設けられ、
前記光源から発光された光は、前記光拡散板を介して前記被処理基板に対し放射されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された局所露光装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記光源を基板幅方向に沿って複数の発光制御グループに分けると共に、前記発光制御グループ毎に、所定範囲内の複数の駆動電流値と、その駆動電流値による照度とを前記相関テーブルに記憶することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された局所露光装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記被処理基板に形成された感光膜の所定領域に対する照射及び現像処理により増減した膜厚の変動値と、前記所定領域に照射した発光素子の駆動電流値との関係を相関テーブルに蓄積し、前記相関テーブルに基づき前記膜厚変動値から駆動電流値を決定し、前記駆動電流値により前記発光素子を発光させるよう前記発光駆動部を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された局所露光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−173563(P2012−173563A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36248(P2011−36248)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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