説明

屋外防災ボックス

【課題】地震等による火災の発生に際し、早急な消火活動を可能とし、且つ、災害現場周辺の屋外や公共的施設等に居る人々の安全な危機回避行動が可能な屋外防災ボックスを提供する。
【解決手段】あらかじめ定めた要所ごとに屋外の防災用の設備として配置される屋外防災ボックスSであって、震度レベルを計測する計測震度計8および/または出火や出火の前兆を感知する火災発生受信センサ9にて、あらかじめ定めた閾値以上の災害レベルが感知された際に、脱着フレーム10の後ろ側を持ち上げる起伏シリンダ11を作動させ、脱着フレーム10上の消火装置セット1を、自動的に屋外防災ボックスSの前方側から外部へ搬出させ、自由に移動可能な状態に設定する。さらに、広報サーバ15により、テレビモニタ16に危機回避に関する情報を含む災害発生速報を出力するとともに、放送・通報手段19を介し周辺の建物内の端末17や防災センタ22に広報・通報する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外の防災用の設備として屋外の要所(すなわち、複数の設置場所それぞれ)に配置される屋外防災ボックスに関し、特に、内部に装備された各種の災害感知センサ(地震感知(P波感知・予知を含む)や炎・煙感知を行うセンサ等)の感知結果により、あらかじめ定めた閾値以上の災害レベルの地震、火災または火災の前兆を感知した際に、内部に収納された消火装置セットが自動的に外部に積み出される機構を備え、且つ、災害の発生および災害危機回避の広報・通報機構を備えた屋外防災ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
火災発生時の従来の消火方法としては、例えば、特許文献1の特開平02−177660号公報「非常通報装置」に記載のように、非常用電話番号119番への火災発生の通報を行うことにより、消防機関(消防署)が消防ポンプを搭載したポンプ車または小型消防ポンプ積載車を火災現場へ出動することにより消火活動に当たっていた。
【0003】
つまり、火災現場においては、火災現場に到着したポンプ車または小型消防ポンプ積載車を、水源近くに配置して、消防ポンプにより水源から吸い上げた水を放水ホースを通じて火災現場に供給して、火元に向かって放水することにより消火活動を行っていた。
【0004】
また、前述のような、火災現場近傍の水源から水を吸い上げて放水する消防ポンプの他に、放水用タンクを搭載した車両もあり、かくのごとき車両の場合は、火災現場において、火災現場近傍の水源からではなく、防水用タンク内の水を消防ポンプにより吸い上げて、火元に向かって放水することにより消火活動を行っていた。
【0005】
また、街角等の所々に設置されている従来の屋外防災用諸機器は、往来している人が携行中の受信グッズを用いて利用することを主目的としており、往来中等の屋外の人々が非常事態を知るためには、当該屋外防災用諸機器から放送されている非常通報を受信することが可能な受信用のグッズを携行していることが必要であり、よって、屋外の人々が確実に非常事態を知るには乏しい状況であった。
【特許文献1】特開平02−177660号公報(第3−5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
つまり、前述の従来のような防災体制においては、次のような問題があった。
【0007】
すなわち、従来の消火システムにおいては、ポンプ車または小型消防ポンプ積載車等の消防車が、火災発生現場へ到着するまでに、初期消火を行うための貴重な時間を費やしてしまい、特に、大地震による火災発生の場合には、進入道路は陥没や構築物の倒壊等によって不通になっているケースが多々あり、所謂、初期消火を行うことができないという問題があった。
【0008】
さらに、地震火災の場合は、方々から出火することが通例であり、消防車等の消火機材には、その台数等に限界があり、従来の地震火災の実態で示されているように、すべての出火場所に亘る確実な初期消火を実施することができなく、延焼してしまうことが多々あるという問題があった。
【0009】
また、現状では、公共的施設内の集会等に参加したり、屋外を往来したり、屋外の集会等に参加したりしている人々への非常時における警告や危機回避の広報体制は貧弱であり、また、周辺の公共的施設や屋外等に居る人々に対して、非常事態発生に関する警告や正しい避難方法が行き届かないために、危機回避の面で多くの問題が残されている。
【0010】
特に、往来中において、強い地震や出火の現場に突然遭遇した際には、多くの人の心が動揺し、冷静なる行動が難しい状態つまりパニック状態になり、逃げ惑うケースが通例である。よって、かくのごとき課題を払拭するには、屋外に居る人々が、例えば出火現場に当面したとき、消火活動に協力しようとする方向に気持ちが向かうことが重要であり、そのためには、出火現場に当面した屋外の人々の至近において、消火機器が手元に取得することができるとともに、取得した該消火機器を容易に操作または取り扱うことができることが望ましく、かかる消火機器を利用することができない限り、初期消火活動による早期の鎮火は不可能にならざるを得ない。
【0011】
また、現状における気象庁による震度数やマグニチュードの発表は、地震の発生から約5分間の時間を要している。気象庁による地震情報の発表が遅れる要因は、各所に設置した震度計のデータを集計・分析の上、発表するためであり、非常事態に対する対応が遅れてしまい、大災害の発生の抑止や安全な回避行動を採るための時間的な余裕が十分には得られないという問題がある。
【0012】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、地震等による火災の発生に際し、早急な消火活動を可能とし、且つ、災害現場周辺の屋外や公共的施設や居宅に居る人々に対して、安全な危機回避行動に迅速に移行することを可能とする屋外防災ボックスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の課題を解決するため、本発明による屋外防災ボックスは、次のような特徴的な構成を採用している。
【0014】
(1)屋外の防災用の設備としてあらかじめ定めた複数の設置場所それぞれに配置する屋外防災ボックスであって、地震予知および/またはP波を含む地震の震度レベルの計測をする計測震度計と、出火や出火の前兆を感知する火災発生受信センサと、消火用機材を搭載した消火装置セットとを備え、前記計測震度計および/または前記火災発生受信センサにより、周辺建物の内外において初期消火を必要とする災害レベルとしてあらかじめ定めた閾値以上の災害レベルが感知された際に、前記消火装置セットを、自動的に当該屋外防災ボックスの外部へ積み出させて、自由に移動可能な状態に設定する屋外防災ボックス。
(2)前記消火装置セットを当該屋外防災ボックスの外部へ積み出させる機構として、前記消火装置セットを載置した脱着フレームと、該脱着フレームの後ろ側の背面に該脱着フレームの後ろ側を持ち上げる起伏シリンダとを少なくとも備え、前記閾値以上の災害レベルが感知された際に、前記起伏シリンダを作動させることにより、前記脱着フレームの後ろ側を持ち上げて傾斜面を形成させて、前記脱着フレーム上に載置されている前記消火装置セットを、当該屋外防災ボックスの前方側に自動的に移動させて、外部へ積み出させる上記(1)の屋外防災ボックス。
(3)前記消火装置セットに搭載された前記消火用機材として、初期消火用の放水用タンクおよび放水用ポンプを備えるとともに、化学消火器を備えている上記(1)または(2)の屋外防災ボックス。
(4)災害状況に関する情報、危機回避に関する情報を災害発生速報として作成する広報サーバと、前記広報サーバが作成した前記災害発生速報を音声とともに画像として出力するテレビモニタと、前記広報サーバが作成した前記災害発生速報を周辺の建物内に設置されている端末や防災センタに広報・通報する放送・通報手段とを備え、周辺建物の内外において前記閾値以上の災害レベルが感知された際に、前記テレビモニタに前記災害発生速報を出力するとともに、前記放送・通報手段により前記端末や前記防災センタに対して前記災害発生速報を広報・通報する上記(1)ないし(3)のいずれかの屋外防災ボックス。
(5)前記消火装置セットに、災害状況を撮像して前記広報サーバに対してリアルタイムに送信する監視カメラをさらに備え、前記広報サーバは、前記監視カメラにより撮像された災害状況を、前記災害発生速報の一つとして、前記テレビモニタや前記端末や前記防災センタに対して出力する上記(4)の屋外防災ボックス。
(6)前記消火装置セットに、当該消火装置セットの現在位置を検出して、前記広報サーバに対してリアルタイムに送信するGPS(Global Positioning System)機構を備え、前記広報サーバは、災害地点へ移動中の前記消火装置セットに対して、該災害地点への移動経路を案内するガイダンス情報を前記消火装置セットに送信するとともに、前記災害地点に到着した前記消火装置セットの現在位置に基づいて、前記災害地点の位置を、前記災害発生速報の一つとして、前記テレビモニタや前記端末や前記防災センタに対して出力する上記(4)または(5)の屋外防災ボックス。
【発明の効果】
【0015】
本発明の屋外防災ボックスによれば、以下のような効果を得ることができる。
【0016】
本発明の屋外防災ボックスにおいては、地震等による火災の発生を阻止するために、すなわち、初期消火を確実に実施可能とするために、地震や火災やそれらの前兆を感知した有事または異常時において、内部に収納されている消火装置セットが、自動的に、当該屋外防災ボックスの外部に積み出されて、路上等にスタンバイすることができ、また、積み出された消火装置セットの操作方法は、テレビモニタに表示されることも含め、簡単であり、消火体験のない素人であっても、迅速かつ容易に消火用の操作を行うことが可能であり、而して、被害を最小限に喰い止めることができる。
【0017】
また、地震や火災またはその恐れのある際に、周辺の公共的施設や居宅に居る人々や屋外に居る人々に対して、有線・無線の放送・通信手段を用いて、危機回避のための情報に関する広報・通報を行うことが可能であり、而して、周辺の人々は、事後発生する災害への心の準備と対策とをより確実に行うことができ、人の生命、身体、財産を保護することができる。
【0018】
なお、本発明に係る屋外防災ボックスに搭載される計測震度計は、当該屋外防災ボックスが配置されている自局位置に独自に設置されているので、各所の地質や諸事情に関係なく、計測される震度数やマグニチュードは正確であり、且つ、地震発生速報を気象庁の発表よりも約5分間も速くリアルタイムに出力することができる。而して、地震発生後の危機回避のための手段や手順、方法の選択肢に関して、より有効な情報を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明による屋外防災ボックスの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。
【0020】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明の屋外防災ボックスにおいては、内部に収納されている脱着式の消火装置セットが、脱着フレーム上に積載されており、且つ、該消火装置セットとして、放水用タンク、小型の防水用ポンプ、および、化学消火器等の消火用機材を少なくとも備え、地震等による火災や出火の恐れがあることを、災害感知センサ(計測震度計や火災発生受信センサなどの感知器)によって感知した際に、自動制御装置を介し、消火装置セットが載置されている脱着フレームの下部に取り付けた起伏シリンダを自動的に駆動することによって、脱着フレームの後ろ側(消火装置セットの後部側の脱着フレーム)が自動的に持ち上げられて、傾斜面を形成して、消火装置セットが車輪により脱着フレーム上を屋外防災ボックスの前方側の外部に向かって移動することになり、消火装置セットが自動的に路上等に積み出されることを特徴としている。
【0021】
よって、出火または出火の恐れがある非常時には、屋外防災ボックスと路上との間において、消火装置セットを自動的に積み降ろしすることができるので、当該消火装置セットに備えられている放水用タンク、小型の防水用ポンプや化学消火器等の消火用機材を用いて、初期消火を行うことが可能である。
【0022】
さらに、本発明の屋外防災ボックスにおいては、災害に関する広報・通報用の手段を備えており、災害感知センサがあらかじめ定めた閾値以上の災害レベルを感知した際に(すなわち、P波の計測や予知を含む震度の測定を行う計測震度計が危機レベルの震度に達したことを感知した場合や火災発生受信センサが出火または出火の恐れを感知した際に)、自動制御装置を介し、当該屋外防災ボックス上部に設置されたテレビモニタ等により、屋外の人々に対して、さらには、有線・無線による放送・通信手段により、往来中の人々や周辺の公共的施設や居宅の端末へ向けて、地震や火災の発生情報や危機回避情報を、災害発生速報として、広報・通報することを特徴としている。
【0023】
よって、地震等による火災発生現場の周辺の人々は、事後発生する恐れがある災害への心の準備と対策とをより確実に行うことができるとともに、危機回避のための最適な方法を選択することによって、生命、身体、財産を守ることができる。
【0024】
(本発明の実施形態)
図1は、本発明の屋外防災ボックスの構成の一例を示すブロック構成図であり、当該屋外防災ボックスの全体構成を示すとともに、当該屋外防災ボックスが機能するための機器や付帯品を同時に示している。
【0025】
図1に示すように、屋外防災ボックスSは、路上の要所要所に例えば100m間隔の格子状に配置された支柱18に固定された形で設置されており、消火装置セット1、計測震度計8、火災発生受信センサ9、脱着フレーム10、起伏シリンダ11、自動制御装置12、広報サーバ15、テレビモニタ16、放送・通信手段19を、少なくとも含んで構成され、周辺で地震等による火災の発生やその恐れを感知した場合、初期消火活動を行うことを可能とするとともに、災害による危機からの回避情報を周辺の人々に広報・通報する。
【0026】
消火装置セット1は、各種の消火用機材を搭載した脱着式の装置であり、出火またはその恐れが感知された際に、収納されていた屋外防災ボックスSの中から外部例えば路上に自動的に積み出されるものであって、しかる後、取っ手すなわち把手14を掴んで引っ張ることにより、出火現場まで容易に車輪7により移動することが可能な移動式消火装置セットでもある。
【0027】
計測震度計8は、地震の震度を計測する感知器(センサ)であり、地震の予知、および/または、S波に先行して発生するP波を感知したりする機能を有している。また、火災発生受信センサ9は、出火やその恐れを感知する感知器(センサ)であり、出火の炎を感知する機能のみならず、さらには、発火する前の煙や匂いを感知したりする機能を有している。なお、災害を感知するための災害感知用センサは、これらの計測震度計8、火災発生受信センサ9のみに限るものではなく、例えば、気温や風速や雨量等を感知する感知センサを含んで構成するようにしても良い。
【0028】
脱着フレーム10はパレット状の部材でなる。消火装置セット1の車輪7は脱着フレーム10の上面に載置される。消火装置セット1の奥端には、起伏シリンダ11の上端が連結されている。起伏シリンダ11は、自動制御装置12からの指示に基づいて長さ(高低)を変動させる機構であり、例えば、油圧ジャッキを応用してなり、自動制御装置12からの指示に基づいて油圧を制御することによって、シリンダの長さ(高低)を変動させる機構である。起伏シリンダ11の長さが伸長されると、脱着フレーム10の後ろ側(屋外防災ボックスSの奥側)が押し上げられるので、脱着フレーム10は、後ろ側が前側より高くなり、傾斜する。このとき、消火装置セット1は、自重により車輪7が回り、屋外防災ボックスSの前方方向へ脱着フレーム10上を移動し、脱着フレーム10から離れ、屋外防災ボックスSの外部、例えば路上、に積み下ろさせる。
【0029】
自動制御装置12は、脱着式の消火装置セット1の脱着を制御する制御装置であり、計測震度計8や火災発生受信センサ9等の災害感知センサが感知した感知結果を受け取って、初期消火活動の開始レベルとしてあらかじめ定めた閾値を超える災害レベルに達しているか否かを判別して、当該閾値を超える災害レベルに達しているものと判別した場合に、起伏シリンダ11を作動させることによって、屋外防災ボックスSの内部に収納されている消火装置セット1を屋外防災ボックスSの前方に向かって移動させ、屋外防災ボックスSの外部の例えば路上に積み下ろさせて、以降、消火装置セット1を自由に移動可能な状態に設定する。
【0030】
広報サーバ15は、周辺の屋外に居る人々や、周辺の公共的施設や居宅等の建物内に居る人々に対して、災害発生状況や危機回避に関する情報を災害発生速報として作成し、広報・通報する制御を、自動制御装置12と連携して行うものであり、自動制御装置12から受け取った災害の発生状況や消火活動状況さらには災害危機回避に関する各種の情報を編集して、音声情報とともに画像情報として、テレビモニタ16に出力したり、有線・無線の放送・通信手段19を用いて、周辺の公共的施設や居宅の端末17に広報・通報したりする。
【0031】
さらに、広報サーバ15は、有線・無線の放送・通信手段19を用いて、災害発生状況や危機回避に関する情報を、災害発生速報として、各屋外防災ボックスSを管理している防災センタ22に送信するようにしても良い。各屋外防災ボックスSから災害発生速報を受け取った防災センタ22においては、災害発生状況を総合的に判断して、より広域的な観点から見た災害対策や危機回避の選択肢を導出して、各屋外防災ボックスSへ返送したり、関係機関等へ通報したりすることができる。
【0032】
なお、屋外防災ボックスSの放送・通信手段19は、有線および/または無線の通信媒体を用いて、双方向の通信が可能であり、災害発生状況や危機回避情報等の情報を、災害発生速報として、周辺の公共的施設や居宅の端末17に広報・通報したり、防災センタ22に対して通報したりするのみならず、逆に、周辺の公共的施設や居宅側から災害の発生通知や被害発生状況の通知を受信したり、防災センタ22から防災対策用の指示や危機回避方法の通知やあるいは防災に関する広報情報を受信したりすることも可能である。
【0033】
前述したように、本屋外防災ボックスSは、屋外の防災用のカバー領域を示す間隔としてあらかじめ定めた間隔例えば100m間隔の格子状に配置されていて、地震の予知を含めP波の到来を感知し、その後到来するS波の震度、マグニチュードを算出する計測震度計8、出火の前兆を含め火災の発生を感知する火災発生受信センサ9等の災害感知センサおよび消火用機材を搭載した脱着式の消火装置セット1を備えるとともに、自動制御装置12による制御の下、起伏シリンダ11の作動により脱着フレーム10上に載置されている消火装置セット1を自動的に本屋外防災ボックスSの外部に積み出させる消火装置セットの搬出手段を備え、さらに、災害発生現場の位置情報や災害状況や危機回避情報等からなる災害発生速報を音声とともに画像として表示するテレビモニタ16や周辺の建物内に設置された端末17や防災センタ22に対して広報・通報する有線・無線の放送・通信手段19を少なくとも災害広報用機材として備えている。
【0034】
ここに、屋外に配置されている従来の消火設備については、本屋外防災ボックスSと同様、例えば、消火栓が街の所々に設置されているが、一般の人々にとって、必要の都度、消火栓の所在を探さなければならなかった。しかし、本屋外防災ボックスSにおいては、計測震度計8や火災発生受信センサ9等の災害感知センサによって災害の発生を感知した際に、異常事態が発生した旨を示す警告(警報音または警報光)として、災害発生情報や危機回避行動に関する情報が、災害発生速報として、屋外防災ボックスSの上部に配設されているテレビモニタ16に、音声とともに画面表示されるので、周辺の人々にとって、消火装置セット1を備えている屋外防災ボックスSの所在場所を直ちに把握することができる。
【0035】
次に、屋外防災ボックスS内の消火装置セット1を、脱着フレーム10から自動的に切り離し、屋外防災ボックスSの外部の例えば路上等へ積み降ろさせるメカニズムについて、図2を用いてさらに説明する。図2は、屋外防災ボックスSの消火装置セット1を屋外防災ボックスSの外部に積み降ろさせるメカニズムの一例を説明するための説明図である。
【0036】
図2において、計測震度計8がP波や地震予知を含め地震レベルがあらかじめ定めた危機レベル(例えば、震度6弱)に達したことを感知した際、および/または、火災発生受信センサ9が出火(例えば、所定値以上の輻射熱)または出火の前兆(例えば、所定値を超える濃度の煙)を感知した際、つまり、自動制御装置12にて、計測震度計8および火災発生受信センサ9による感知結果が初期消火活動の開始レベルとしてあらかじめ定めた閾値以上の災害レベルに達しているものと判定した際に、自動制御装置12は、消火装置セット1が載置された脱着フレーム10の背面で、支柱18側に位置している起伏シリンダ11を駆動する。例えば、計測震度計8で検知した震度Eに第1の計数kを乗じ、火災発生受信センサ9で検知した輻射熱Hに第2の計数kを乗じ、火災発生受信センサ9で検知した煙濃度Sに第3の計数kを乗じ、それらの和、即ちkE+kH+k=Dを以て災害レベルDとするようにし、但し、震度Eが6弱以上であれば、輻射熱H及び煙濃度Sが平常値であっても、災害レベルDは閾値TThを越えたと判定するように設定したり、或いは、逆にその震度Eが地震とは言えない程度に小さくても、輻射熱Hが所定値HThを超えれば、災害レベルDは閾値TTh越えたと判定するように、災害レベルDを定めることができる。
【0037】
起伏シリンダ11が駆動されると、図2の破線に示すように、起伏シリンダ11により脱着フレーム10の後部が押し上げられる。この起伏シリンダ11の作用により、脱着フレーム10は、屋外防災ボックスSの前方側で低く、後方側で高くなった状態の傾斜面を形成する。したがって、消火装置セット1は、車輪7の回転によって、脱着フレーム10の傾斜面上を屋外防災ボックスSの前方方向に移動することになり、屋外防災ボックスSの外部の路上等へ押し出されるとともに、脱着フレーム10から切り離されて、取っ手すなわち把手14を掴んで路上等を自由に移動させることが可能な状態になる。
【0038】
なお、自動制御装置12は、計測震度計8、火災発生受信センサ9による災害感知結果があらかじめ定めた閾値以上の災害レベルに達しているものと判定した際には、同時に、広報サーバ15と連携して、災害発生場所、災害発生場所への経路、災害発生状況、危機回避情報等を災害発生速報としてテレビモニタ16上にリアルタイムに音声とともに画面表示し、さらには、屋外防災ボックスSの外部の路上等へ積み出された消火装置セット1の取扱い方法をテレビモニタ16上に音声とともに画面表示する。さらに、自動制御装置12は、広報サーバ15と連携して、放送・通信手段19を介して、災害発生場所、災害発生場所への経路、災害発生状況、危機回避情報等を災害発生速報として周辺の公共的施設や居宅の端末17に対して広報・通報すると同時に、防災センタ22に対しても通報する。
【0039】
次に、屋外防災ボックスSの外部の路上等へ積み出された消火装置セット1を用いて、一般の人が火元の初期消火活動を行っている情景の一例について、図3によって説明する。図3は、屋外防災ボックスSの消火装置セット1を用いた消火活動の一例を説明するための説明図であり、火元の初期消火を行っている情景を示したものであり、一般人Hが、把手14を掴んで消火装置セット1を火災現場まで引っ張って移動させた後、放水ノズル4を握って、火元Fに向けて放水している様子を示している。
【0040】
ここで、消火機材を搭載した消火装置セット1は、図1ないし図3に示すように、放水用タンク2、放水ホース3、放水ノズル4、放水用ポンプ5、化学消火器6、放水開始ボタン13、把手14、監視カメラ20、GPS21、を少なくとも含んで構成されている。
【0041】
放水用タンク2は、消火用のための水を貯水しているタンクであるが、初期消火として迅速な移動且つ軽快性が要求されるので、あくまでも初期消火のための水量のみを貯水可能な容量としている。放水ホース3は、放水用タンク2と放水ノズル4との間を接続して、放水用ポンプ5の作動により、放水用タンク2の水を放水ノズル4に導いて、放水ノズル4を介して、外部へ放水させる。
【0042】
放水開始ボタン13は、放水ノズル4上に設けられており、図3に示すように、放水ノズル4を握った一般人Hの押下操作により、放水用ポンプ5のエンジンが始動して、放水用タンク2の水を、放水ホース3を介して放水ノズル4から外部に放水させて、放水ノズル4が向けられている火元Fの消火を開始させる。
【0043】
なお、消火装置セット1として、化学消火器6を付帯しており、初期消火用の水のみならず、補足的消火用として、あるいは、出火対象物の性質により、化学的威力を用いて消火活動を行うこともできる。
【0044】
また、放水ノズル4からの放水を開始するまでの操作手順や、化学消火器6の操作方法は、極めて簡単であり、且つ、テレビモニタ16にも画面表示されるので、今まで消火体験がない素人であっても、迅速かつ容易に操作を行うことが可能であり、直ちに、消火活動に参画することが可能である。かくのごとく操作が容易な消火装置セット1が、屋外防災ボックスSから路上等の外部に積み出されて、周辺に居る一般人Hの身近に存在することにより、防災に素人の一般人Hにおいても、防災活動への協力の意欲を高揚させることが容易に可能となっている。
【0045】
把手14は、屋外防災ボックスSの外部の路上等に積み出された消火装置セット1を、消火活動を行おうとする一般人Hが引っ張って移動させるための取っ手であり、車輪7を回転させることによって、テレビモニタ16等の表示によって把握した出火現場まで、車輪7付きの移動式の消火装置セット1を簡単に移動させるために用いられる。
【0046】
監視カメラ20は、災害状況を撮像するために、消火装置セット1に搭載されている撮像手段であり、図3には図示していない無線通信手段により、屋外防災ボックスSの広報サーバ15に対して、撮像した映像を送信する機能を備えている。監視カメラ20により撮像された災害状況の映像を受け取った広報サーバ15は、受け取った映像を、災害発生速報の一つとして、テレビモニタ16に画面表示したり、放送・通信手段19を介して、周辺の公共的施設や居宅の端末17や防災センタ22に送信したりする。
【0047】
また、一般人Hが消火装置セット1の把手14を掴んで消火装置セット1を災害現場へ移動させていく間においても、移動中の付近の状況を監視カメラ20により連続的に撮像していくことも可能である。
【0048】
かかる災害状況を示すリアルタイムの映像を視聴することによって、周辺の屋外や建物に居る人々は、災害状況をより正確に把握することができ、より確実な防災措置を講じたり、より安全性が高い危機回避行動を採用したりすることが可能になる。
【0049】
GPS21は、消火装置セット1の現在位置を検出する位置検出手段(GPS:Global Positioning System)であり、図3には図示していない無線通信手段により、屋外防災ボックスSの広報サーバ15に対して、撮像した映像を送信する機能を備えている。GPS21により検出された消火装置セット1の現在位置を受け取った広報サーバ15は、消火装置セット1の現在位置に基づいて、ナビゲーションシステムを検索することによって、移動中の消火装置セット1に対して、災害現場位置までの移動経路を通知したり、あるいは、災害現場位置に到着した消火装置セット1の現在位置に関する情報に基づいて、災害現場の位置を、より正確に把握して、災害発生速報の一つとして、周辺の人々に対して広報・通報したりすることができる。
【0050】
図3に示すように、計測震度計8や火災発生受信センサ9が感知した災害レベルに応じて、初期消火活動を開始すべき災害レベルの閾値以上に達していた場合は、前述のように、消火装置セット1が屋外防災ボックスSの外部の路上等に既に積み出されており、消火装置セット1周辺に居る一般人Hの消火装置セット1の使用に当っても、前述のように、屋外防災ボックスSの上部に設置されているテレビモニタ16によって、消火装置セット1の取扱い方法が音声とともに画像に表示され、且つ、出火または出火の前兆がある地点の位置も表示されている。したがって、消火装置セット1周辺に居る一般人Hが、消火操作の未経験者であっても、消火装置セット1の操作を容易に行うことができ、且つ、火災現場の位置も容易に把握することができる。
【0051】
まず、火元Fの消火を行おうとする一般人Hは、路上等に既に積み出された消火装置セット1の把手14を掴んで引っ張ることにより、出火地点の火元Fの近傍まで消火装置セット1を移動させる。次に、消火装置セット1から放水ホース3を引き出した後、放水ノズル4を持って、火元Fに放水ノズル4の先端を向けた状態にして、放水ノズル4上に取り付けられている放水開始ボタン13を押下操作する。この押下操作によって、放水用ポンプ5のエンジンを簡単に始動させることができ、放水用タンク2の水を、放水ホース3を介して、放水ノズル4から放水させて、火元Fの初期消火を行うことになる。
【0052】
次に、屋外防災ボックスSの災害発生情報や危機回避情報等を含む災害発生速報の広報・通報に関する動作について、図4を用いてさらに説明する。図4は、屋外防災ボックスSの広報サーバ15により編集された災害発生情報や危機回避情報等を災害発生速報としてテレビモニタ16や周辺の建物内の端末17に広報・通報している情景の一例を示す説明図であり、図4(A)は、街角などに設置されている屋外防災ボックスSのテレビモニタ16に、地震の発生を速報する情報とともに、災害危機回避行動に関する情報を音声とともに画面表示している様子を模式的に示し、図4(B)は、公共的施設の一種である周辺の駅構内に設置されている端末17の複数のディスプレイ画面に、地震の発生を速報する情報とともに、災害危機回避行動に関する情報を音声とともに画面表示している様子を模式的に示している。
【0053】
計測震度計8は、独自に、各屋外防災ボックスSが配置される自局位置において設置することが可能であり、前述のごとく、計測震度計8の設置位置における震度が正確に計測され、尚且つ、気象庁の計測の場合と同様に、P波の到来の感知や予知も可能であり、本屋外防災ボックスSの上部のテレビモニタ16並びに周辺の公共的施設や居宅の端末17に対して、主震動を引き起こすS波の到来に先立って、地震発生に関する情報を災害発生速報として通知することができる。
【0054】
従来においては、屋外や建物内に居る一般人が、かくのごとき地震発生速報に関する情報を知るためには、公共的な施設の特設広報案内スクリーンやテレビ、ラジオ放送や聴視覚用の専用グッズ等の災害情報聴視手段を利用することによって可能である。しかしながら、かくのごとき災害情報聴視手段に向かって常にまたは継続的に対峙していることは不可能に近く、特に、屋外や公共的な施設内に居る人々全員が、漏れなく、地震発生速報を知ることは極めて困難であると言わざるを得ない。これに対して、本屋外防災ボックスSの災害広報・通報機構は、周辺の屋外に居る人々や周辺の公共的施設や居宅に居る人々に対して、図4に示すように、警告音声とともに、警告画像として画面表示するものであり、屋外や公共的な施設内に居る人々全員に対して、漏れなく、地震の到来を速報するとともに、地震災害の被害を避け、または、減少させるための効果的な危機回避方法を広報・通報することができる。
【0055】
また、地震発生に際して、気象庁が各報道機関を介して震度等の発表を行う時点が、前述のごとく、地震発生時点から5分程度遅い時点であり、災害対策や危機回避行動を採るための十分な余裕時間がないという問題がある。これに対して、本屋外防災ボックスSの場合は、屋外防災ボックスSに備えられている計測震度計8において感知された感知結果に基づいて、即時に、地震速報情報として広報・通報を行うものであり、該地震発生速報を視聴した人々は、災害対策や危機回避行動を採るための余裕時間を得ることができ、そこに大きなメリットが得られることになる。すなわち、該地震発生速報を視聴した人々は、事後発生する被害を予想し対策を行うことができるわけであって、災害対策の顕著なケースとして、地震火災の発生を阻止するため、または、延焼を防ぐために、前述のように、消火装置セット1による初期消火のためのスタンバイを行うこともできることになる。
【0056】
なお、現在、火災原因のトップは、放火または放火の疑いによるものであり、かくのごとき放火については、屋内に居たままでは、屋外からの放火に気付くことは難しい。よって、本屋外防災ボックスSと周辺の施設や居宅等の周辺建物の内外に設置した火災発生受信センサとをネットワーク接続することにより、周辺の施設や居宅に対する放火の際においても、屋外防災ボックスSに配置している火災発生受信センサ9と同様に、消火装置セット1を作動させることにより、周辺の屋外を往来中の人や周辺の施設や居宅の屋内に居る人に対して、火災の発生速報を通報することが可能であり、放火に対する初期消火を行うことが可能になる。この際に、前述の如く、火災の発生速報や危機回避情報の広報・通報や消火装置セット1の操作方法の広報・通報により、周辺の屋外を往来中の人や周辺の施設や居宅の屋内に居る人に対して、消火活動または危機回避の心の準備を与えることができる。
【0057】
最後に、本発明に係る屋外防災ボックスSの自動制御装置12の前述した動作に関する制御系統の例について、図5を用いてさらに説明する。図5は、本発明に係る屋外防災ボックスSの自動制御装置12の制御系統の一例を示す制御系統図である。
【0058】
図5(A)は、計測震度計8が、地震火災が発生する可能性が高く回避行動が必要となる危機レベルを示す閾値以上の震度レベルを感知した場合の自動制御装置12の制御系統を示すものである。自動制御装置12において、計測震度計8の感知結果としてかかる閾値以上の震度レベルであることを認識すると、起伏シリンダ11を作動させて、脱着フレーム10を傾斜させ、脱着フレーム10上の消火装置セット1を、本屋外防災ボックスSの外部の路上等へ自動的に積み出させ、且つ、消火装置セット1を、脱着フレーム10から切り離して、自由に移動可能な状態に設定するように制御する例を示している。
【0059】
図5(B)は、火災発生受信センサ9が、屋外防災ボックスSの周辺の公共的施設や建物等において、出火または出火の前兆(煙や匂い等)を感知した場合の自動制御装置12の制御系統を示すものである。自動制御装置12において、火災発生受信センサ9の感知結果としてかかる出火または出火の前兆があることを認識すると、図5(A)の場合と同様に、起伏シリンダ11を作動させて、脱着フレーム10を傾斜させ、脱着フレーム10上の消火装置セット1を、本屋外防災ボックスSの外部の路上等へ自動的に積み出させ、且つ、消火装置セット1を、脱着フレーム10から切り離して、自由に移動可能な状態に設定するように制御する例を示している。
【0060】
図5(C)は、計測震度計8が、地震火災が発生する可能性が高く回避行動が必要となる危機レベルを示す閾値以上の震度レベルを感知した場合、および/または、火災発生受信センサ9が、屋外防災ボックスSの周辺の公共的施設や建物等において、出火または出火の前兆(煙や匂い等)を感知した場合の自動制御装置12の制御系統を示すものである。自動制御装置12において、計測震度計8の感知結果としてかかる閾値以上の震度レベルであることを、および/または、火災発生受信センサ9の感知結果としてかかる出火または出火の前兆があることを認識すると、広報サーバ15を作動させて、災害発生速報として、災害の発生状況や災害発生場所等を示す情報を作成するとともに、危機回避行動用の情報を作成して、作成した災害発生速報を、屋外防災ボックスSの上部に取り付けられている広報用のテレビモニタ16へ音声とともに画面表示し、且つ、作成した災害発生速報を、放送・通信手段19を介して、周辺の施設や居宅内に設置されている端末17や防災センタ22に対して広報・通報するように制御する例を示している。
【0061】
(本実施形態による効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態に係る屋外防災ボックスSは、初期消火を必要とする災害レベル以上に達したことを感知した有事または異常時において、地震等に伴う火災の発生を阻止するために、すなわち、初期消火を行うために、屋外防災ボックスS内に収納されている消火装置セット1が、自動的に、屋外防災ボックスSの外部に搬出されて路上等にスタンバイすることが可能となるものであり、さらに、消火装置セット1の操作は簡単であり、且つ、該消火装置セット1の操作方法を音声とともに画面表示して、周辺の人々に広報・通報するので、消火体験のない素人であっても、消火装置セット1を用いて、迅速に、且つ、容易に、初期消火活動を行うことが可能である。
【0062】
また、屋外防災ボックスSは、地震や火災またはその恐れのある際に、災害発生状況を示す情報と危機回避のための情報とをテレビモニタ16により屋外の周辺の人々に対して広報・通報したり、放送・通信手段19を用いて、災害発生状況を示す情報と危機回避のための情報とを、周辺の公共的な施設や居宅に設置されている端末17や防災センタ22に対して広報・通報したりする機構を備えているので、人の生命、身体、財産をより安全に保護することが可能である。
【0063】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の屋外防災ボックスの構成の一例を示すブロック構成図である。
【図2】屋外防災ボックスの消火装置セットを屋外防災ボックスの外部に積み降ろさせるメカニズムの一例を説明するための説明図である。
【図3】屋外防災ボックスの消火装置セットを用いた消火活動の一例を説明するための説明図である。
【図4】屋外防災ボックスの広報サーバにより編集された災害発生情報や危機回避情報をテレビモニタや周辺の建物内の端末に広報・通報している情景の一例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る屋外防災ボックスの自動制御装置の制御系統の一例を示す制御系統図である。
【符号の説明】
【0065】
1 消火装置セット
2 放水用タンク
3 放水ホース
4 放水ノズル
5 放水用ポンプ
6 化学消火器
7 車輪
8 計測震度計
9 火災発生受信センサ
10 脱着フレーム
11 起伏シリンダ
12 自動制御装置
13 放水開始ボタン
14 把手(取っ手)
15 広報サーバ
16 テレビモニタ
17 端末
18 支柱
19 通信手段
20 監視カメラ
21 GPS21
22 防災センタ
F 火元
H 一般人
S 屋外防災ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外の防災用の設備としてあらかじめ定めた複数の設置場所それぞれに配置する屋外防災ボックスであって、地震予知および/またはP波を含む地震の震度レベルの計測をする計測震度計と、出火や出火の前兆を感知する火災発生受信センサと、消火用機材を搭載した消火装置セットとを備え、前記計測震度計および/または前記火災発生受信センサにより、周辺建物の内外において初期消火を必要とする災害レベルとしてあらかじめ定めた閾値以上の災害レベルが感知された際に、前記消火装置セットを、自動的に当該屋外防災ボックスの外部へ積み出させて、自由に移動可能な状態に設定することを特徴とする屋外防災ボックス。
【請求項2】
前記消火装置セットを当該屋外防災ボックスの外部へ積み出させる機構として、前記消火装置セットを載置した脱着フレームと、該脱着フレームの後ろ側の背面に該脱着フレームの後ろ側を持ち上げる起伏シリンダとを少なくとも備え、前記閾値以上の災害レベルが感知された際に、前記起伏シリンダを作動させることにより、前記脱着フレームの後ろ側を持ち上げて傾斜面を形成させて、前記脱着フレーム上に載置されている前記消火装置セットを、当該屋外防災ボックスの前方側に自動的に移動させて、外部へ積み出させることを特徴とする請求項1に記載の屋外防災ボックス。
【請求項3】
前記消火装置セットに搭載された前記消火用機材として、初期消火用の放水用タンクおよび放水用ポンプを備えるとともに、化学消火器を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の屋外防災ボックス。
【請求項4】
災害状況に関する情報、危機回避に関する情報を災害発生速報として作成する広報サーバと、前記広報サーバが作成した前記災害発生速報を音声とともに画像として出力するテレビモニタと、前記広報サーバが作成した前記災害発生速報を周辺の建物内に設置されている端末や防災センタに広報・通報する放送・通報手段とを備え、周辺建物の内外において前記閾値以上の災害レベルが感知された際に、前記テレビモニタに前記災害発生速報を出力するとともに、前記放送・通報手段により前記端末や前記防災センタに対して前記災害発生速報を広報・通報することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の屋外防災ボックス。
【請求項5】
前記消火装置セットに、災害状況を撮像して前記広報サーバに対してリアルタイムに送信する監視カメラをさらに備え、前記広報サーバは、前記監視カメラにより撮像された災害状況を、前記災害発生速報の一つとして、前記テレビモニタや前記端末や前記防災センタに対して出力することを特徴とする請求項4に記載の屋外防災ボックス。
【請求項6】
前記消火装置セットに、当該消火装置セットの現在位置を検出して、前記広報サーバに対してリアルタイムに送信するGPS(Global Positioning System)機構を備え、前記広報サーバは、災害地点へ移動中の前記消火装置セットに対して、該災害地点への移動経路を案内するガイダンス情報を前記消火装置セットに送信するとともに、前記災害地点に到着した前記消火装置セットの現在位置に基づいて、前記災害地点の位置を、前記災害発生速報の一つとして、前記テレビモニタや前記端末や前記防災センタに対して出力することを特徴とする請求項4または5に記載の屋外防災ボックス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−69008(P2010−69008A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239701(P2008−239701)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(506060672)
【Fターム(参考)】