説明

帯電防止物品、その製造方法、及びそれを有するディスプレイデバイス

基材上に配置された帯電防止層を有する帯電防止物品が、本明細書にて開示されている。前記帯電防止層は、カチオン性コポリマー、非カチオン性(メタ)アクリルポリマー、及び架橋剤から形成される。カチオン性コポリマーは、基本的には、カチオン性モノマー、疎水性モノマー、及び架橋性モノマー、及び任意の窒素含有モノマーから構成される。前記基材は、多層光学フィルムなどの光学フィルム10を含んでよい。帯電防止物品及び帯電防止物品を含有するディスプレイデバイスの製造方法もまた開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン性ポリマーを含む帯電防止層を有する帯電防止物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイデバイスにて使用される光学物品などの物品は、高い光透過率、透明度、及び極めて清浄な外観を包含する厳しい性能基準を満たさなければならない。光学性能にとって有害なのは、粒子、非平面トポグラフィー、及び不均衡な接触度合い(「ウエットアウト」と呼ばれることもある)などの欠陥である。これらの欠陥は、1つには製造、加工、又は組立工程に由来する静電気によってもたらされ得る。
【0003】
例えば静電気は、加工中に、対象となる基材/フィルムから素早く引っ張ったり剥がしたりするテープ(例えば、マスキング)又はその他のフィルムから生じ得る。これらの静電気は引き続いて、フィルム表面近傍に存在し得るほこり又はその他残骸の粒子を引きつける場合がある。最終的に、フィルム上に落ちる又は固定される粒子は、フィルムの当初の目的にとって、不必要な遮光、屈折又は吸光、を引き起こし得る。フィルムの別の部分と共に動き又はクリープが生じている間に、所定位置にて特にフィルム領域を締め付けたり機械的に保持している場合に、不均一な収縮、反り、又はフィルムの膨張によって非平面トポグラフィーが生じる場合がある。しかしながら、別の原因として、締め付けられた又は静止した領域を生じ得る静電気が考えられるが、これはフィルム層間の結合を生じ、これにより不均一又は非同期フィルム変化をもたらし得る。2つの領域間で光の透過率が異なる場合、又は「ニュートンリング」などの干渉縞が観察される場合、「ウエットアウト」現象として知られている光学的欠点が生じ得る。(フィルム製品全体を通してウエットアウトが均一である場合、検出可能な欠陥は最小限となる。)静電気は、2つの層化フィルムの間の特定領域の不均一な引っ張り合いの一因となって、ウェットアウトを引き起す場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、種々の基材上に帯電防止層を形成するために使用可能であって、得られる帯電防止物品が光学用途での使用に好適であるような帯電防止組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
基材上に配置された帯電防止層を含む物品が、本明細書にて開示されている。一態様においては、かかる物品は、基材及び該基材上に配置された帯電防止層;カチオン性コポリマー、非カチオン性(メタ)アクリルポリマー、及び架橋剤を含む帯電防止層;を含む。カチオン性コポリマーは基本的に、i)約20質量%以上約70質量%未満のカチオン性モノマーであって次式を有するもの:
CH=CRCOZ(CHN(R
(式中、ZはO、S、又はNHであり;RはH又はCHであり;Rは独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含み;Xは、ハロゲン、ニトレート、アルキルサルフェート、アルカンスルホネート、及びハロアルカンスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり;かつn=2〜6である);及びii)1〜12個の炭素原子からなる炭化水素基を有する脂肪族アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む約10質量%〜約75質量%の疎水性モノマー;及びiii)約2質量%〜約25質量%の架橋性モノマーであって次式を有するもの:
CH=CR
(式中、RはH又はCHであり;かつYは、COM、L−COM、L−OH、及びCONHからなる群から選択され、ここでMはH又は対イオンであり、かつLは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、又はスルホンアミド基、あるいはこれらの組み合わせを含む二価結合基である);b)非カチオン性(メタ)アクリルポリマー;及びc)メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド、アジリジン、カルボジイミド、イソシアネート、及びエポキシ架橋剤からなる群から選択される架橋剤;から構成される。
【0006】
別の態様では、カチオン性コポリマーは基本的に、i)約20質量%以上約50質量%未満のカチオン性モノマーであって次式を有するもの:
CH=CRCOZ(CHN(R
(式中、ZはO、S、又はNHであり;RはH又はCHであり;Rは独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含み;Xは、ハロゲン、ニトレート、アルキルサルフェート、アルカンスルホネート、及びハロアルカンスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり;かつn=2〜6である);及びii)1〜12個の炭素原子からなる炭化水素基を有する脂肪族アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む約10質量%〜約75質量%の疎水性モノマー;iii)N−ビニルピロリジノン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせを含む約0.5質量%〜約55質量%の窒素含有モノマー;(ただし、カチオン性モノマー及び窒素含有モノマーの量は、約70質量%未満である);及びiv)(メタ)アクリル酸又は次式を有するモノマーを含む、約2質量%〜約25質量%の架橋性モノマー;
CH=CR
(式中、RはH又はCHであり;かつYは、COM、L−COM、L−OH、及びCONHからなる群から選択され、ここでMはH又は対イオンであり、かつLは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、若しくはスルホンアミド基、又はこれらの組み合わせを含む二価結合基である);b)非カチオン性(メタ)アクリルポリマー;及びc)メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド、アジリジン、カルボジイミド、イソシアネート、及びエポキシ架橋剤からなる群から選択される架橋剤;から構成される。
【0007】
本明細書にて開示された物品は、種々の構造、特に光学用途に好適なもので使用することができる。幾つかの実施形態では、基材は、反射性フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、ターンフィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせを含む。帯電防止層は、これら光学フィルムの1つの内層又は外層として組み込むこともできる。一実施形態では、物品は、帯電防止層上に配置された微細構造化層を含み、ここで微細構造化層は、複数の微細構造を有する構造化表面を含み、かつ構造化表面は、物品の外側表面を含む。別の実施形態では、かかる物品は、A)偏光フィルム;B)偏光フィルム上に配置された帯電防止層;C)光学フィルム;及びD)光学フィルムを帯電防止層へ接着させる接着剤層を含む。別の実施形態では、かかる物品は、A)偏光フィルム;B)偏光フィルム上に配置された帯電防止層;C)光学フィルム;及びD)光学フィルムを偏光フィルムへ接着させる接着剤層を含む。
【0008】
別の態様では、物品の製造方法が、本明細書にて開示されている。本方法は、本明細書にて開示された帯電防止組成物を基材上にコーティングし、それによってコーティング基材を形成することを含み、所望により続いてこのコーティング基材を少なくとも1方向に延伸することを含む。更に別の態様では、かかる物品を含むディスプレイデバイスが、本明細書にて開示されている。ディスプレイデバイスは、ディスプレイパネル、1つ以上の光源、及びかかる物品を含む。
【0009】
更に別の態様では、カチオン性コポリマーが、本明細書にて開示されており、かつ基本的には、i)約20質量%以上約50質量%未満のカチオン性モノマーであって次式を有するもの:
CH=CRCOZ(CHN(R
(式中、ZはO、S、又はNHであり;RはH又はCHであり;Rは独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含み;Xは、ハロゲン、ニトレート、アルキルサルフェート、アルカンスルホネート、及びハロアルカンスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり;かつn=2〜6である);及びii)1〜12個の炭素原子からなる炭化水素基を有する脂肪族アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む約10質量%〜約75質量%の疎水性モノマー;iii)N−ビニルピロリジノン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせを含む約0.5質量%〜約55質量%の窒素含有モノマー;(ただし、カチオン性モノマー及び窒素含有モノマーの量は、約70質量%未満である);並びにiv)(メタ)アクリル酸又は次式を有するモノマーを含む、約2質量%〜約25質量%の架橋性モノマー;
CH=CR
(式中、RはH又はCHであり;かつYは、COM、L−COM、L−OH、及びCONHからなる群から選択され、ここでMはH又は対イオンであり、かつLは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、若しくはスルホンアミド基、又はこれらの組み合わせを含む二価結合基である)から構成される。
【0010】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下の説明で更に詳細に記載される。上記概要はいずれも、主張される対象の制限として解釈されるべきではなく、かかる対象は、本明細書に記載される特許請求の範囲によってのみ定義される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、多数の利点を提供する。その1つとして、その1つとして、帯電防止層を帯電防止特性を物品に付与するために使用することができ、 1つ以上の表面に接続された回路(例えば、金属線)を必要とすることなく物品が帯電防止性になる。このような帯電防止物品は、ほこり、汚れ、及びその他の粒子が物品表面に付着するのを最少化するように、十分な帯電防止特性を示す。帯電防止層は、液晶バックライトにて使用される光学フィルム(光学フィルムからの保護膜の除去によって、大きな静電気及び20kV以下の電位が生じることがある)へ十分な帯電防止特性を付与するためにも使用することができる。一般的に、帯電防止物品は、高い抵抗値、例えば約1×10オーム/スクエア超、又は約1×1010オーム/スクエア超を示すことができ、効果的な帯電防止特性を依然として維持する。本明細書にて開示された帯電防止物品は、約40%の相対湿度にて測定した場合、約1×1013オーム/スクエア未満、又は1×1012オーム/スクエア、好ましくは1×1010未満の表面抵抗率を有することができる。1μm未満の厚さの層であっても、この帯電防止性能を得ることができる。
【0012】
別の利点は、高速電荷減衰時間を示す帯電防止物品を提供することが可能なことであり、高速電荷減衰時間は、例えば5000V以上500V未満の、所与の範囲にわたる電圧の初期値の10%まで静電荷を減衰させるのに必要とされる時間である。本明細書にて開示された帯電防止物品は、約40%の相対湿度にて測定した場合、約20秒未満、約10秒未満、約5秒未満、約2秒未満、約0.1秒未満、あるいは0.01秒未満の電荷減衰時間を示してよい。場合によっては、これらの電荷減衰時間は、約20%の相対湿度にて測定した場合に、観察することができる。
【0013】
明瞭にするために、用語「導電性」は多くの場合、業界では「静電気拡散性」、即ち、帯電防止性を指すものとして使用されているが、導電性及び帯電防止性という用語が本発明で使用される場合、同義であることを意図していないことは注意する必要がある。具体的には、導電性材料コーティングは、1×10オーム/スクエア以下の表面抵抗率を有し、これに対して、帯電防止材料コーティングは通常、1×1012オーム/スクエア以下の表面抵抗率を有すると考えられる。これらの用語は一般に、導電性又は帯電防止性の成分又は剤を材料露出表面上に有する材料を説明するために使用される。(比較すると、物品は、帯電防止特性を有さない層間に「埋め込まれた」帯電防止層を有することによって、たとえかかる物品がより大きな表面抵抗率を示す場合であっても、帯電防止性であることができる。)更に、静電気減衰時間は、物品がこれらの高い表面抵抗率値を有する場合であっても維持することができる。
【0014】
別の利点は、帯電防止層が、典型的なポリマー基材及び別の高分子層との間の接着を促進するプライマー層として機能できることである。帯電防止層が、光透過性基材などの光学基材(たとえ後述するような多層光学フィルムであっても)に良好に接着することはとりわけ利点である。帯電防止層が、後述の放射線硬化材料から形成されかつ光学用途での使用に適する層に、良好に接着することもまたとりわけ利点である。帯電防止層が接着剤層に良好に接着することもまたとりわけ利点である。
【0015】
帯電防止物品を提供するために、好適な基材上に帯電防止層を形成した後、基材を配向させるために、物品を1方向又は2方向にて(in one or two dimensions)、幅出しするか又は延伸させることができることも別の利点である。この幅出前帯電防止処理は、別個のコーティング工程の必要性を排除するため、幅出し機加工の観点から望ましい。対照的に、ポリマー及び粒子を包含する、帯電防止特性を提供するために使用される多くの既知の材料は、高温を含む場合がありかつ延伸比があらゆる場所で2:1、4.5:1、あるいは6:1以上である場合がある幅出しには受け入れ難い。控えめに言っても、多くの既知の材料は延伸後に表面抵抗性(surface resistivity properties)を失う。本明細書にて開示された帯電防止層は、表面抵抗性を依然として保持しつつ延伸することができる。
【0016】
更なる別の利点は、かすみ及び光透過率などの望ましい光学特性を示すように帯電防止層を設計できることである。例えば、帯電防止層が好適な基材上に形成される場合、帯電防止物品は、例えば約20%未満の最小かすみを示すことができる。一般に、場合により十分な帯電防止性能は、望ましくない程度のかすみを提供する厚い層によってのみ達成可能であることから、これを既知の帯電防止組成物によって達成することは困難である。望ましくないかすみの別の要因は、表面粗さであるが、これは斑点及びディウェッティングなどの乾燥に関連した現象から発生し得る。この問題は、乾燥プロセスの間に発生する表面張力勾配の理由から、水系コーティング配合物を使用する場合に特に問題となり得る。所望であれば、帯電防止層が好適な基材上に形成される際に、帯電防止物品は最大光透過率、例えば90%超を示すことができる。一般に、帯電防止層は無色であることが好ましい。これらの性質を有することによって、帯電防止物品は、光を管理、増強、操作、制御、維持、透過、反射、屈折、吸収などすることができる光学用途での使用に適する。光学用途は、以下でより詳細に述べる。
【0017】
また更なる別の利点は、本発明のコーティングのための帯電防止性能が20%の低さの相対湿度においても適切であるとともに、材料が約260℃以下の温度での熱処理に耐えることができることである。更に、引き続いて硬化される放射線硬化性組成物で、帯電防止層がオーバーコーティングされた後でさえ、帯電防止特性は維持され得る。これは通常、放射線硬化性組成物が多くの場合100%モノマーであり、したがって帯電防止性コーティングの溶解が顕著であり得ることから、解決困難な問題である。
【0018】
また更なる別の利点は、帯電防止層を形成するために使用される構成成分が、コーティングされる処方物中及び乾燥させた層中の両方において適合性であることである。これは、多くの場合アニオン性分散体パッケージを有している、カチオン性コポリマー及び結合剤材料の間には、容易には相溶性が生じないという、瑣末な利点ではない。このような組み合わせにおいて、沈殿又はゲル化が多くの場合生じる。予想外にも、上述した利点はカチオン性ポリマー、結合剤、及び架橋剤の特定の組み合わせによって得られることが見出された。
【0019】
帯電防止層は、カチオン性コポリマーを含む。一般に、有用なカチオン性コポリマーは、(メタ)アクリル又はビニルモノマーのフリーラジカル重合により調製できるようなものである。本明細書で使用するとき、「(メタ)アクリル」は、アクリル基及びメタクリル基の両方を指すために使用され、かつ(メタ)アクリレート類及び(メタ)アクリルアミド類などの化合物を含む。有用なカチオン性コポリマーは、約10,000超の数平均分子量を有し、高分子量よりも低分子量がより望ましい。有用なカチオン性コポリマーは、米国特許第2007/0082196(A1)号(アリ(Ali)ら)に記載されている。
【0020】
一実施形態では、カチオン性コポリマーは、本質的に、カチオン性モノマー、疎水性モノマー、及び架橋性モノマーから構成される。カチオン性モノマーは、次の化学式を有する。
【0021】
CH=CRCOZ(CHN(R
(式中、ZはO、S、又はNHであり;RはH又はCHであり;Rは独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含み;Xは、ハロゲン、ニトレート、アルキルサルフェート、アルカンスルホネート、及びハロアルカンスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり;かつn=2〜6である)。例えば、カチオン性モノマーは、2−アクリロキシエチルトリアルキルアンモニウムカチオン及びアニオン、並びに好ましくは、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド又は2−アクリロキシエチルブチルジメチルアンモニウムブロマイドを含んでよい。カチオン性モノマーは、カチオン性コポリマーを形成するために使用されるモノマー類の総質量に対して、約20〜70質量%未満、又は約30〜約65質量%で含まれる。カチオン性モノマーは、帯電防止特性を付与するために、カチオン性コポリマー中へ組み込まれてよい。このため、使用されるカチオン性モノマーの特定量は、コポリマーの所望の帯電防止特性に依存する場合があり、かつ更には、帯電防止層を形成するために使用される組成物中でのその他のモノマー及びその他の構成成分との適合性を含むその他の各種要因、並びにそれが形成された後の帯電防止層に依存する。
【0022】
疎水性モノマーは、1〜12個の炭素原子からなる炭化水素基を有する脂肪族アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む。疎水性モノマーは、直鎖、分枝鎖又は環状であることができ、かつ所望により、芳香族基、Oなどのヘテロ原子、及び−CO−などのへテロ原子含有基などの基で置換されることができる。疎水性モノマーは更に、OH、NH、及びSH水素などの活性水素を有さないことができる。例示の疎水性モノマーとしては、エチルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、又はイソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。疎水性モノマーは、カチオン性コポリマーを形成するために使用されるモノマー類の総質量に対して、約10質量%以上約75質量%未満、又は約25質量%〜約50質量%を含む。使用される疎水性モノマーの特定量は、コポリマーの所望の特性、例えば、帯電防止層を形成するために使用される組成物中でのその他のモノマー及びその他の構成成分との適合性、並びに形成後の帯電防止層に、依存し得る。
【0023】
架橋性モノマーは、(メタ)アクリル酸又は次式を有するモノマーを含む。
【0024】
CH=CR
(式中、RはH又はCHであり;かつYは、COM、L−COM、L−OH、及びCONHからなる群から選択され;ここでMはH又は対イオンである)。対イオンは、アルカリ金属;アンモニウム;並びに置換された、モノ−、ジー、及びトリアルキルアンモニウムを有するアルキル又は1〜4個の炭素原子を有するヘテロ原子置換アルキル基からなる群から選択されてよい。Lは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、若しくはスルホンアミド基、又はこれらの組み合わせを含む、二価連結基である。Lとして有用な二価連結基としては、2〜6個の炭素原子を有するアルキレン基が挙げられる。例示の架橋性モノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−(メチロール)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、及び2−カルボキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。架橋性モノマーは、帯電防止組成物中にも存在する架橋剤と反応すると考えられている。このため、使用される特定の架橋性モノマーは、架橋剤の反応性に依存し得る。架橋性モノマーは、カチオン性コポリマーをつくりあげているモノマーの総質量に対して、約2質量%〜約25質量%、又は約5質量%〜約10質量%の量で存在する。使用される架橋性モノマーの特定量は、コポリマーの所望の特性、例えば、帯電防止層を形成するために使用される組成物中でのその他のモノマー及びその他の構成成分との適合性、並びに形成後の帯電防止層に、依存し得る。
【0025】
カチオン性コポリマーは、本質的にはカチオン性、疎水性、及び架橋性モノマーの特定の組み合わせから、構成されていてよい。有用なカチオン性コポリマーの例としては、下表1に列挙されているようなものが挙げられる。一実施形態では、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルアクリレートのアルキル塩;アクリル酸エチルを含む疎水性モノマー、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、又はこれらの組み合わせ;及びヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、のコポリマーから基本的に構成される。別の実施形態では、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルアクリレートのアルキル塩のコポリマーから基本的に構成され;疎水性モノマーは、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせを含み;かつ架橋性モノマーは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含む。
【0026】
別の実施形態では、カチオン性コポリマーは、カチオン性モノマー、疎水性モノマー、窒素含有モノマー、及び架橋性モノマーのコポリマーから本質的に構成される。この場合、カチオン性モノマーは、窒素含有モノマーと併用する場合、カチオン性コポリマーを形成するために使用されるモノマー類の総質量に対して、約20質量%〜約50質量%を構成することを除いて、上記のようなもののいずれかを含んでよい。疎水性モノマーは、上記のようなもののいずれかを含んでよく、かつ、カチオン性コポリマーを形成するために使用されるモノマー類の総質量に対して、約10質量%以上約75質量%未満、又は約20質量%〜約35質量%であってよい。架橋性モノマーは、上記のようなもののいずれかを含んでよく、かつ、カチオン性コポリマーを形成するために使用されるモノマー類の総質量に対して、約2質量%〜約25質量%、又は約5質量%〜約10質量%であってよい。
【0027】
窒素含有モノマーは、N−ビニルピロリジノン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせを含む。窒素含有モノマーは、カチオン性モノマー及び窒素含有モノマーの量が、カチオン性コポリマーを形成するために使用されるモノマー類の総質量に対して約70質量%未満であるという条件で、カチオン性コポリマーを形成するために使用されるモノマー類の総質量に対して、約0.5質量%〜約55質量%、又は約5質量%〜約35質量%を構成する。使用される窒素含有モノマーの特定量は、コポリマーの所望の特性、例えば、帯電防止層を形成するために使用される組成物中でのその他のモノマー及びその他の構成成分との適合性、並びに形成後の帯電防止層に、依存し得る。
【0028】
カチオン性コポリマーは、カチオン性、疎水性、窒素含有、及び架橋性モノマーから、本質的には構成されていてよい。有用なカチオン性コポリマーの例としては、下表2に列挙されているようなものが挙げられる。一実施形態では、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルアクリレートのアルキル塩;エチルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせを含む疎水性モノマー;N−ビニルピロリジノン、ジメチルアミノエチルアクリレート、又はこれらの組み合わせ;及びヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのコポリマーから本質的に構成される。別の実施形態では、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルアクリレートのアルキル塩;フェノキシエチルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソオクチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、又はこれらの組み合わせを含む疎水性モノマー;N−ビニルピロリジノン、ジメチルアミノエチルアクリレート、又はこれらの組み合わせ;並びにヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのコポリマーから本質的に構成される。別の実施形態では、カチオン性ポリマーは、ジメチルアミノエチルアクリレートのアルキル塩を含むカチオン性モノマー;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート又はこれらの組み合わせを含む疎水性モノマー;N−ビニルピロリジノン、ジメチルアミノエチルアクリレート、又はこれらの組み合わせ;及びヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含む架橋性モノマー;のコポリマーから本質的に構成される。
【0029】
カチオン性コポリマーの製造において、典型的なプロセスは、反応開始剤及び溶媒と共に、反応容器内に各モノマーを充填することを含む。好適な反応開始剤としては、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)又は、デュポン・ケミカルズ(DuPont Chemicals)からのバゾ(VAZO)製品として販売されているもの若しくはチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からイルガキュア(IRGACURE)製品として販売されているもののうち任意のものが挙げられる。典型的には、モノマー混合物100部当たり反応開始剤約0.1〜1部を使用する。有用な溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチルアセテート、メチルエチルケトン、水、及びこれらの組み合わせを含む各種アルコールが挙げられるが、これらに限定されない。かかる系は一定期間混合し、反応を進行させる。
【0030】
カチオン性コポリマーは、約25質量%〜約70質量%、又は約33質量%〜約60質量%の帯電防止層を含む。ほとんどの場合、コスト及び物品性能に対するあらゆる悪影響を最小化するために、カチオン性コポリマーの量を最少化することが望ましい。例えば、物品が、無色とされる必要のある光学物品であり、かつカチオン性コポリマーが光学物品に色を付与する能力を有する場合、カチオン性コポリマーの量は、光学物品が無色のままである程度にまで最少化しなければならない。別の例として、帯電防止層が、基材と幾つかのその他の層との間に配置される場合、使用されるカチオン性コポリマーの量は、基材とその他の層との間の接着を阻害してはならない。ASTM D3359は、2つの層の間の接着性を測定するために使用される周知の方法である。
【0031】
特定のカチオン性コポリマー及び使用量は、帯電防止層中に存在するその他の構成成分、特定の基材、所望の帯電防止性能、などが挙げられる種々の要因に依存するであろう。カチオン性コポリマーを選択する1つの方法は、その溶液又は分散体を基材上にコーティングし、次に表面抵抗率を測定することである。理想的には、カチオン性ポリマー単独によって付与された表面抵抗率は、約40%の相対湿度にて測定した場合、約1×1010オーム/スクエア未満である。
【0032】
帯電防止層は、主として結合剤及び/又はプライマーとして機能する非カチオン性(メタ)アクリルポリマーも含む。本材料は、ラテックス、分散体、又はエマルションポリマーと呼ばれることもある。非カチオン性(メタ)アクリルポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートコポリマー又はアクリル系コア/シェルコポリマーを含む。有用なアルキル(メタ)アクリレートコポリマー類としては、ロープレックス(RHOPLEX)3208及びロープレックス(RHOPLEX)3208ER(ローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas Co.))にて利用されているようなものが挙げられる。有用なアクリル系コア/シェルコポリマー類としては、イソボルニルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート共重合をベースにし、かつ国際公開第96/16120号(ラオ(Rao)ら)の実施例1に記載されている方法を使用して調製した、コア/シェルラテックスが挙げられる。その他の有用な結合剤ポリマー系は、米国特許第6,893,731号(カウシュ(Kausch))の実施例29に記載されているようなものである。結合剤ポリマー(単一又は複数)は更に、−OH及び−COHなどの架橋性官能基と共にモノマーを含んでよい。特定の結合剤及び使用量は、帯電防止層を形成するために使用される帯電防止組成物中のその他の構成成分との適合性、並びに形成後の帯電防止層を含む種々の要因に依存し得る。一般的に、帯電防止層は、非カチオン性(メタ)アクリルポリマーの約10質量%〜約50質量%を構成する。
【0033】
帯電防止層は、メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド、アジリジン、カルボジイミド、イソシアネート、及びエポキシ架橋剤からなる群から選択される架橋剤も含む。これらの架橋剤は、架橋モノマーによって付与された際に、結合剤及び/又はカチオン性コポリマーのペンダント架橋基と反応する。架橋剤は、一体性及び任意のその他所望の性質を帯電防止層へ付与するように選択される。有用な架橋剤としては、CYMEL 323、325、327、350、及び373(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals));CX−100(DSMネオレジンズ(Neoresins));及びXAMA−7(ヘキスト・セラニーズ(Hoechst Celanese))が挙げられる。架橋剤及び使用量の特定の選択は、層がコーティングされ及び/又は硬化される前又は後のいずれかにおける層内のその他構成成分との適合性、層の所望の厚み、重合条件、コストなどの種々の要因に依存する。したがって、架橋剤は、約5質量%〜約35質量%の帯電防止層を含んでよい。
【0034】
帯電防止層中で使用される材料の相対量は、使用される特定の材料、並びに層の厚さ、及び物品の使用目的に依存するであろう。一実施形態では、帯電防止層は、約25質量%〜約70質量%のカチオン性コポリマー;約10質量%〜約50質量%の非カチオン性(メタ)アクリルポリマー;及び約5質量%〜約35質量%の架橋剤;を含む。
【0035】
帯電防止層は、硬化及び架橋を促進するために、少なくとも1種の触媒又は熱的に及び/又は光で活性化させた潜触媒を更に含んでよい。触媒種は、コーティングで用いられる架橋化学の種別に応じて、酸性又は塩基性であり得る。有用な酸及び酸性潜在性触媒の例、メラミン−ホルムアルデヒド系架橋システムと共に特に有用なものとしては、p−トルエンスルホン酸及びその誘導体、例えば、CYCAT 4040及び4045(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))が挙げられる。有用な触媒のその他の例としては、塩酸、リン酸、及び硝酸などの鉱酸類、それらのアミン塩類、並びにカルボン酸類及びそれらのアミン塩類が挙げられる。触媒は、ポリ(エチレンイミン)及びその塩又はポリ(アクリル酸)及びそのアンモニウム塩などの高分子種であってもよい。有用な光活性酸触媒の例としては、トリフルオロメタンスルホン酸などの強酸のヨードニウム及びスルホニウム塩が挙げられる。一般的に、触媒又は触媒前駆体の使用量は、総コーティング固形分の約5質量%未満である。
【0036】
帯電防止層及び/又はそれを適用するために使用されるコーティング配合物は、他のタイプの添加剤を含有していてもよい。好ましくは、このような材料は、コーティング及びコーティング配合物の主要構成成分と相容性でなければならず、かつ光学物品の性能属性に悪影響を及ぼしてはならない。これらとしては、界面活性剤及び凝集溶剤などのコーティング補助剤;脱泡剤;例えば、スリップ剤として使用する微粒子;酸化防止剤;及び緩衝剤又はトリアルキルアミンなどのpH調整剤;が挙げられる。pH安定剤として、トリエチルアミン及びジメチルエタノールアミンなどの比較的揮発性のトリアルキルアミンを使用することは、メラミン−ホルムアルデヒド架橋剤を含むコーティング配合物のために特に好ましいが、これは酸性領域へのpH変動によって、好ましくない可使時間の短縮及び早期ゲル化を引き起こす場合があるからである。
【0037】
帯電防止層は、それが所望の帯電防止特性を物品へ付与することができるという条件で、任意の好適な厚みを有することができる。一般に、約25nm〜約400nm、好ましくは約50〜約250nmの厚みが有用である。帯電防止層は、望ましい特性を付与するように十分厚くなければならないが、物品性能を損なうほど厚過ぎてはならない。
【0038】
また本明細書で開示されるのは、帯電防止物品の製造方法である。本方法は、上記帯電防止組成物を基材上にコーティングし、それによってコーティング基材を形成することからなる。通常は、帯電防止組成物中の構成成分は、コーティング工程に好適な溶剤中に溶解、分散、又は懸濁させる。使用される特定溶剤は、特定構成成分、構成成分の所望濃度、層の所望の厚み及び性質、用いられるコーティング方法などに依存する。好適な溶剤としては、水が挙げられる。一般に、帯電防止層を形成するために使用される組成物は、全組成物の質量に対して、約50質量%以下の固形分を含む。
【0039】
帯電防止組成物は、ディップ、ロール、ダイ、ナイフ、エアナイフ、スロット、スライド、巻き線ロッド、及びカーテンコーティングなどの種々のコーティング技術を使用してコーティングしてよい。コーティング技術についての網羅的な議論は、E.コーエン(Cohen)及びE.ガトフ(Gutoff)共著、「最新コーティング・乾燥技術(Modern Coating and Drying Technology)」(VCHパブリッシャーズ、ニューヨーク、1992年、122ページ);並びに、Y.H.Yトリコット(Tricot)著、「界面活性剤:液体フィルムコーティングにおける静的及び動的表面張力(Surfactants: Static and Dynamic Surface Tension In Liquid Film Coating)」(S.F.キイストラー(Kistler)及びP.M.シュヴァイザー(Schweizer)編、チャップマン&ホール(Chapman & Hall)、ロンドン、1997年、99ページ)に見出すことができる。
【0040】
帯電防止組成物は、熱若しくは紫外線照射又は任意の他の好適な硬化技術を使用して硬化することができる。フリーラジカル硬化技術に関する更なる詳細は、例えば、米国特許第4,654,233号、同第4,855,184号、同第6,224,949号に見出すことができる。好ましい1つの硬化方法は、フィルム幅出し工程での潜熱を使用した、帯電防止性コーティングの熱活性化及び架橋である。
【0041】
基材は、ポリエステル類、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ナフタレンジカルボン酸をベースにしたコポリエステル又はポリエステルブレンド;ポリカーボネート;ポリスチレン;スチレン−アクリロニトリル;セルロースアセテート;ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレートなどのポリ(メタ)アクリレート;ポリウレタン;ポリ塩化ビニル;ポリシクロ−オレフィン;ポリイミド;ガラス;紙;又はこれらの組み合わせ若しくはブレンドを包含する種々な材料のいずれかを含んでよい。特定の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、及びセルローストリアセテートが挙げられる。好ましい実施例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルローストリアセテート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド、又はこれらのブレンドが挙げられる。好ましくは、基材は、帯電防止物品の性能が時間の経過によって損なわれないように、温度及びエージングに対して十分な耐性を示す。基材の厚みは、典型的には約2.5mm未満である。基材は更に、幅出し作業における配向前にコーティングされる、キャストウェブ基材などの配向性フィルムであってもよい。
【0042】
帯電防止物品が光学用途での使用に好適であるように、基材は、光透過性基材を含んでよい。有用な光透過性基材は、視覚的に透明でありかつ光の流れを制御するように設計されており、かつ約90%超の透過率を有してもよい。基材は、極めて小さなかすみ(約5%未満、例えば、2%未満、又は1%未満のヘイズ値を有する)を示してよい。好適な基材を選択する際に考慮する性質としては、柔軟性、寸法安定性、自己保持性、及び耐衝撃性などの機械的特性が挙げられる。例えば、基材は、帯電防止物品をディスプレイデバイスの一部として組み立てることができるように、構造的に十分に強い必要がある場合がある。
【0043】
基材は、グラフィックアート及び光学用途などの多種多様な用途で使用される光学フィルムを含んでよい。有用な光学フィルムは、反射性フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、ターンフィルム、ミラーフィルム、又はそれらの組み合わせとして記載されてよい。光学フィルムは、10個以下の層、数百の、あるいは数千の層を有する多層光学フィルムを含んでよく、かかる層は、全てが複屈折である光学層、幾つかは複屈折である光学層、又は全てが等方性の光学層である、幾つかの組み合わせで構成されている。一実施形態では、基材は、第1及び第2光学層の交互層を有する多層光学フィルムであってよく、ここで、第1及び第2光学層の屈折率は、少なくとも1つの軸線に沿って少なくとも0.04は異なる。屈折率の不一致を有する多層光学フィルムは、以下で引用される参考文献にて記載されている。別の実施形態では、基材が、上記の光学フィルムのうち任意の1つ以上の層を含み、帯電防止層がそれらのうち任意の1つの中に埋め込まれて、物品そのものを反射性フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、ターンフィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせとするようにしてよい。
【0044】
有用な基材としては、ビキュイティ(Vikuiti)(商標)デュアル輝度上昇フィルム(Dual Brightness Enhanced Film)(DBEF)、ビキュイティ(Vikuiti)(商標)輝度上昇フィルム(Brightness Enhanced Film)(BEF)、ビキュイティ(Vikuiti)(商標)拡散反射偏光フィルム(Diffuse Reflective Polarizer Film)(DRPF)、ビキュイティ(Vikuiti)(商標)増強正反射体(Enhanced Specular Reflector)(ESR)、及びビキュイティ(Vikuiti)(商標)高度偏光フィルム(Advanced Polarizing Film)(APF)として販売されている市販の光学フィルムが挙げられ、いずれも3M社(3M Company)から入手可能である。有用な光学フィルムについては、米国特許第5,825,543号;同第5,828,488号(オーデルカート(Ouderkirk)ら);同第5,867,316号;同第5,882,774号;同第6,179,948(B1)号(メリル(Merrill)ら);同第6,352,761(B1)号;同第6,368,699(B1)号;同第6,927,900(B2)号;同第6,827,886号(ニーヴィン(Neavin)ら);同第6,972,813(B1)号(豊岡(Toyooka));同第6,991,695号;同第2006/0084780(A1)号(ヘブリンク(Hebrink)ら);同第2006/0216524(A1)号;同第2006/0226561(A1)号(メリル(Merrill)ら);同第2007/0047080(A1)号(ストーヴァー(Stover)ら);国際公開第95/17303号;同第95/17691号;同第95/17692号;同第95/17699号;同第96/19347号、同第97/01440号;同第99/36248号;及び同第99/36262号にもまた記載されており、これらは全て、本明細書に参考として組み込まれている。これらの光学フィルムは単に例示のためのものであり、使用可能な好適な光学フィルムの完全なリストであると意図されたものではない。これらの実施形態の幾つかでは、本発明の帯電防止プライマーコーティングは、多層膜構造内の内部層であってよい。
【0045】
帯電防止層を好適な基材上に形成した後、次に、基材を配向させるために、コーティング基材を幅出しするか又は1つ若しくは2つの方向へ延伸させることができる。フィルム、特にポリエステルフィルムの配向プロセスは、「高分子工業科学百科辞典(Encyclopedia of Polymer Science and Enginering)」(第12巻、第2版、193〜216ページ)に記載されている。二軸配向ポリエステルフィルムの典型的な作製プロセスは、以下の4つの主要工程からなる:(1)ポリエステル樹脂の溶融押出及びそれの急冷によりウェブを形成すること;(2)長手方向又は機械方向へ、ウェブを延伸すること;(3)引き続いて又は同時に、ウェブを横断方向へと延伸してフィルムを作製すること;及び(4)フィルムをヒートセッティングすること。二軸配向が所望される場合、帯電防止組成物は、基材が機械方向に延伸された後に、続いて横断方向が延伸される前に、基材上にコーティングしてよい。高分子フィルムの配向についての更なる議論は、国際公開第2006/130142号及び光学フィルムについての前述の参考文献に見出すことができる。
【0046】
上記物品は、ディスプレイデバイスなどの光学用途に用いるのに好適な種々のその他の物品を製造するために使用することができる。一実施形態では、帯電防止層は、偏光フィルムである基材上に配置された。別の実施形態では、光学用途に用いるのに好適な物品は、以下のものを含む:A)偏光フィルム;B)偏光フィルム上に配置された帯電防止層であって、この帯電防止層が以下のものを含むもの:a)カチオン性コポリマーであって、本質的に以下のものからなるもの:i)約20質量%以上約70質量%未満のカチオン性モノマーであって次式を有するもの:
CH=CRCOZ(CHN(R
(式中、ZはO、S、又はNHであり;RはH又はCHであり;Rは独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含み;Xは、ハロゲン、ニトレート、アルキルサルフェート、アルカンスルホネート、及びハロアルカンスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり;かつn=2〜6である);及びii)1〜12個の炭素原子からなる炭化水素基を有する脂肪族アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む約10質量%〜約75質量%の疎水性モノマー;及びiii)(メタ)アクリル酸又は次式を有するモノマーを含む、約2質量%〜約25質量%の架橋性モノマー:
CH=CR
(式中、RはH又はCHであり;かつYは、COM、L−COM、L−OH、及びCONHからなる群から選択され、ここでMはH又は対イオンであり、かつLは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、若しくはスルホンアミド基、又はこれらの組み合わせを含む二価結合基である);b)非カチオン性(メタ)アクリルポリマー;及びc)メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド、アジリジン、カルボジイミド、イソシアネート、及びエポキシ架橋剤からなる群から選択される架橋剤;C)光学フィルム;及びD)光学フィルムを帯電防止層へ接着させる接着剤層。即ち、本実施形態では、物品は、偏光フィルム上に配置された帯電防止層を備えた4つの層、偏光フィルムの反対にある帯電防止層上に配置された接着剤層、及び帯電防止層の反対にある接着剤層上に配置された光学フィルムを含む。
【0047】
別の実施形態では、光学用途に用いるのに好適な物品は、以下のものを含む:A)偏光フィルム;B)偏光フィルム上に配置された帯電防止層であって、この帯電防止層が以下のものを含むもの;a)カチオン性コポリマーであって、本質的に以下のものからなるもの:i)約20質量%以上約70質量%未満のカチオン性モノマーであって次式を有するもの:
CH=CRCOZ(CHN(R
(式中、ZはO、S、又はNHであり;RはH又はCHであり;Rは独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含み;Xは、ハロゲン、ニトレート、アルキルサルフェート、アルカンスルホネート、及びハロアルカンスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり;かつn=2〜6である)及びii)1〜12個の炭素原子からなる炭化水素基を有する脂肪族アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む約10質量%〜約75質量%の疎水性モノマー;及びiii)(メタ)アクリル酸又は次式を有するモノマーを含む、約2質量%〜約25質量%の架橋性モノマー:
CH=CR
(式中、RはH又はCHであり;かつYは、COM、L−COM、L−OH、及びCONHからなる群から選択され、ここでMはH又は対イオンであり、かつLは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、若しくはスルホンアミド基、又はこれらの組み合わせを含む二価結合基である);b)非カチオン性(メタ)アクリルポリマー;及びc)メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド、アジリジン、カルボジイミド、イソシアネート、及びエポキシ架橋剤からなる群から選択される架橋剤;C)光学フィルム;及びD)光学フィルムを偏光フィルムへ接着させる接着剤層。即ち、本実施形態では、かかる物品は、偏光フィルム上に配置された帯電防止層を備えた4つの層、帯電防止層の反対にある偏光フィルム上に配置された接着剤層、及び偏光フィルムの反対にある接着剤層上に配置された光学フィルムを含む。
【0048】
更に別の実施形態では、光学用途に用いるのに好適な物品は、以下のものを含む:A)偏光フィルム;B)基材上に配置された帯電防止層であって、この帯電防止層が以下のものを含むもの:a)カチオン性コポリマーであって、本質的に以下のものからなるもの:i)約20質量%以上約50質量%未満のカチオン性モノマーであって次式を有するもの:
CH=CRCOZ(CHN(R
(式中、ZはO、S、又はNHであり;RはH又はCHであり;Rは独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含み;Xは、ハロゲン、ニトレート、アルキルサルフェート、アルカンスルホネート、及びハロアルカンスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり;かつn=2〜6である。);及びii)1〜12個の炭素原子からなる炭化水素基を有する脂肪族アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む約10質量%〜約75質量%の疎水性モノマー;iii)N−ビニルピロリジノン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせを含む約0.5質量%〜約55質量%の窒素含有モノマー;(ただし、カチオン性モノマー及び窒素含有モノマーの量は、約70質量%未満である);及びiv)(メタ)アクリル酸又は次式を有するモノマーを含む、約2質量%〜約25質量%の架橋性モノマー;
CH=CR
(式中、RはH又はCHであり;かつYは、COM、L−COM、L−OH、及びCONHからなる群から選択され、ここでMはH又は対イオンであり、かつLは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、若しくはスルホンアミド基、又はこれらの組み合わせを含む二価結合基である);b)非カチオン性(メタ)アクリルポリマー;c)メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド、アジリジン、カルボジイミド、イソシアネート、及びエポキシ架橋剤からなる群から選択される架橋剤;C)光学フィルム;及びD)光学フィルムを帯電防止層へ接着させる接着剤層。即ち、本実施形態では、かかる物品は、偏光フィルム上に配置された帯電防止層を備えた4つの層、偏光フィルムの反対にある帯電防止層上に配置された接着剤層、及び帯電防止層の反対にある接着剤層上に配置された光学フィルムを含む。
【0049】
更に別の実施形態では、光学用途に用いるのに好適な物品は、以下のものを含む:A)偏光フィルム;B)基材上に配置された帯電防止層であって、この帯電防止層が以下のものを含むもの:a)カチオン性コポリマーであって、本質的に以下のものからなるもの:i)約20質量%以上約50質量%未満のカチオン性モノマーであって次式を有するもの:
CH=CRCOZ(CHN(R
(式中、ZはO、S、又はNHであり;RはH又はCHであり;Rは独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含み;Xは、ハロゲン、ニトレート、アルキルサルフェート、アルカンスルホネート、及びハロアルカンスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり;かつn=2〜6である);及びii)1〜12個の炭素原子からなる炭化水素基を有する脂肪族アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む約10質量%〜約75質量%の疎水性モノマー;iii)N−ビニルピロリジノン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせを含む約0.5質量%〜約55質量%の窒素含有モノマー;(ただし、カチオン性モノマー及び窒素含有モノマーの量は、約70質量%未満である);及びiv)(メタ)アクリル酸又は次式を有するモノマーを含む、約2質量%〜約25質量%の架橋性モノマー;
CH=CR
(式中、RはH又はCHであり;かつYは、COM、L−COM、L−OH、及びCONHからなる群から選択され、ここでMはH又は対イオンであり、かつLは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、若しくはスルホンアミド基、又はこれらの組み合わせを含む二価結合基である);b)非カチオン性(メタ)アクリルポリマー;c)メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド、アジリジン、カルボジイミド、イソシアネート、及びエポキシ架橋剤からなる群から選択される架橋剤;C)光学フィルム;及びD)光学フィルムを偏光フィルムへ接着させる接着剤層。即ち、本実施形態では、かかる物品は、偏光フィルム上に配置された帯電防止層を備えた4つの層、帯電防止層の反対にある偏光フィルム上に配置された接着剤層、及び偏光フィルムの反対にある接着剤層上に配置された光学フィルムを含む。
【0050】
任意のタイプの偏光フィルムは、光のいくらかの偏光がフィルムを通過する光について観察される限り、光学用途に用いるのに好適な物品を製造するために使用することができる。実施例としては、反射偏光フィルム又は拡散混合反射偏光フィルムなどの単一層及び多層光学フィルム、並びに上述した3M社からのヴィキュイティ(Vikuiti)(商標)フィルムのいずれかが挙げられる。
【0051】
光学フィルムは、光透過性ポリマーフィルムを含むことができ、実施例としては、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類;セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、又はセルローストリアセテートを含むセルロースアセテート類;ポリカーボネート;ポリメタクリレートなどのポリアクリレート類;ポリエチレン、ポリプロピレン、及び環状オレフィン類などのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル;ポリエーテルスルホン、ポリウレタン;シンジオタクチックポリスチレン;ポリイミド類、ポリアミド類、又はこれらのコポリマー類及びブレンド類が挙げられる。実施例としては、上述した3M社からのヴィキュイティ(Vikuiti)(商標)フィルムのいずれかと同様に、更に単一層及び多層フィルムも挙げられる。光学フィルムは、基材のための上記のもののいずれかを含んでよく、例えば、光学フィルムは、プリズムフィルム、拡散フィルム、光導波路、又はこれらの組み合わせを含んでよい。
【0052】
接着剤層は、偏光フィルムと光学フィルムとを結合する。接着剤層を形成するために使用される好ましい接着剤としては、エージング期間の初期あるいはその後のいずれかにおける最終物品の光学性能に対してほとんど影響を与えないか又は全く影響を与えない光学等級接着剤が挙げられる。例えば、接着剤が十分安定しており、時間の経過と共に又は過酷な運転条件への暴露によって黄変しないことが望ましい場合がある。接着剤は、特定用途に応じて、偏光フィルムと光学フィルムとの間の結合強度又は結合強度範囲が最小になるように選択される。結合強度評価のための1つの好適な方法は、ASTM D 3359に記載されており、かつ3M(商標)610セロハン(登録商標)テープ(3Mより)を用いるクロスハッチテープ引っ張り試験を使用した。一般的に、接着性向上が所望され、かつ層剥離は所望されない。
【0053】
一実施形態では、接着剤層は、参考として本明細書に組み込まれている米国特許第2006/0029784(A1)号(ドーン(Doan)ら)にて記載されているように、少なくとも1種の窒素含有ポリマー及び少なくとも1種の重合性エチレン系不飽和希釈剤を含む紫外線硬化性接着剤からなる。他の代表的な接着剤は、米国特許第2003/0012936(A1)号に記載されている。3M社から8141、8142、及び8161の商標名にて入手可能な接着剤、及び東亞合成からUVX−2884及びUVX−1962の商標名にて入手可能な接着剤などの市販の接着剤を使用してもよい。接着剤層は更に、クレイトン・ポリマーズ(Kraton Polymers)から入手可能なクレイトン(KRATON)コポリマー(例えば、クレイトン(KRATON)G−1657)などの水素添加ブロックコポリマーを含んでよい。他の代表的な接着剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、及びエポキシ系接着剤が挙げられる。トランスファーコーティング、ナイフコーティング、スピンコーティング、ダイコーティングなどの様々な既知のコーティング技術を使用して接着剤を塗布することができる。
【0054】
光学用途に用いるのに好適なその他の物品としては、輝度上昇フィルムが挙げられる。一実施形態では、微細構造化層は、基材の反対にある帯電防止層上に配置されるが、ここで微細構造化層は、複数の微細構造を有する構造化表面を含み、かつ構造化表面は、物品の外側表面を含む。輝度上昇フィルムが光の方向を変えることができるように、微細構造化層は、その外側表面上に複数の微細構造を含んでよい。輝度上昇フィルムの例としては、3M社から入手可能なプリズムフィルムのヴィキュイティ(Vikuiti)(商標)BEFファミリーが挙げられる。
【0055】
複数の微細構造は、プリズムアレイを含んでよく、一連の形状には、リッジ、ポスト、ピラミッド、半球、及び錐体が含まれ、かつ/又はそれらは平坦な、尖った、切頭の、若しくは丸められた部分を有する突出部若しくは凹部であってよく、それらのうち任意のものが、表面の平面に対して傾斜した又は垂直の辺を有してよい。任意のレンズ状微細構造が有用であり得るが、例えば、微細構造化表面は、コーナーキューブ要素を含んでよく、各々が、典型的には、単一基準点又は頂点で交差する3つの相互にほぼ垂直である光学面を有する。微細構造化表面は、規則正しい繰り返しパターンを有してもよく、ランダムであってもよく、又はそれらの組合せであってもよい。一般的に、各微細構造は、2mm未満の、少なくとも2つの水平方向寸法(即ち、フィルム平面内寸法)を有する。微細構造化層の厚みは、約10μm〜約200μmであり得る。
【0056】
微細構造化層は、重合性組成物、ネガ型微細構造成形面を有するマスター、及び帯電防止物品を使用して作製してもよい。重合性組成物は、マスターと帯電防止物品の帯電防止層との間に堆積することができ、かつ組成物のビーズを動かして組成物をマスターの微細構造に充填するようにすることができる。重合性組成物を重合して、層を形成し、次にマスターから分離する。マスターは、ニッケル、ニッケルメッキされた銅又は黄銅などの金属であることができ、あるいは、重合条件下にて安定している熱可塑性材料であることができ、かつ、好ましくは重合層をマスターからきれいに除去することを可能にする表面エネルギーを有する熱可塑性材料であることができる。マスターについては、米国特許第4,542,449号、同第5,771,328号、及び同第6,354,709号にて更に記載されている。あるいは、予め形成された微細構造化層は、作製されかつ帯電防止物品へと積層されて、帯電防止層が微細構造化層と基材との間に配置されるようにしてよい。
【0057】
物品は、グラフィックアート用途、例えば、バックライト付きサイン、掲示板などで使用されてもよい。物品は更に、控えめに言っても、1つ以上の光源及びディスプレイパネルを含むディスプレイデバイスにおいて使用してもよい。ディスプレイパネルは、イメージ、グラフィックス、テキストなどを生成可能な任意のタイプのものであってよく、かつ単色若しくは多色、又は透過性若しくは反射性のものであってよい。例として、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、又はタッチスクリーンが挙げられる。光源としては、蛍光ランプ、リン光ライト、発光ダイオード、又はこれらの組み合わせを含んでよい。ディスプレイデバイスの例として、テレビ、モニタ、ラップトップコンピュータ、及び携帯電話、PDA、計算機などの手持ち式デバイスが挙げられる。
【0058】
本発明は、下記の実施例を鑑みれば、更に完全に理解することができる。
【実施例】
【0059】
材料
全ての化学物質は、供給業者から入手し、かつ別途記載のない限り、受け入れたままの状態で使用した。2−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドは、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から、80質量%水溶液として入手した。全てのその他アクリルモノマー及び硝酸リチウムは、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.)から入手した。トマドール(TOMADOL)25−9は、トマ・リザーヴ社(Tomah Reserve, Inc.)から入手した。サイキャット(CYCAT)4040及び4045、サイメル(CYMEL)327及び373、並びにサイアスタット(CYASTAT)609は、サイテック・インダストリーズ社(Cytec Industries Inc.)から入手した。片側をプライム化した厚さ127マイクロメートル(5ミル)のPETフィルムは、デュポン社からメリニックス(MELINIX)618として入手した。トリエチルアンモニウムp−トルエンスルホネートは、p−トルエンスルホン酸水溶液をトリエチルアミン(両方共に、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.)より入手)と中和することにより調製した。リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、3M・フルオラッド(FLUORAD)リチウムHQ−115として3M社から得た。リチウムメタンスルホネート、リチウムp−トルエンスルホネート、及びリチウムポリ(スチレンスルホネート)は、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.)から入手した対応するスルホン酸を水酸化リチウムと水溶液中で中和することにより調製した。
【0060】
結合剤1は、ローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas Co.)から入手したロープレックス(RHOPLEX)3208又は3208ER水性アクリル系分散体を含んでいた。これらの分散体は、約34〜35質量%のアクリル系結合剤、及び約8〜9質量%のホルムアルデヒド−メラミン架橋剤を含んでいた。下表中に記載された層組成物についていえば、結合剤1の量は、アクリル系結合剤のみのものであり、ホルムアルデヒド−メラミン架橋剤が架橋剤の量の中に含まれる。結合剤2は、イソボルニルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート共重合をベースにし、かつ国際公開第96/16120号(ラオ(Rao)ら)の実施例1に記載されている方法を使用して調製した、コア/シェルラテックスであった。
【0061】
表1及び表2に示すカチオン性ポリマーは、以下の基本手順に従って調製した。きれいな反応槽中に、所望のモノマー混合物を100部、デュポン社からのバゾ(VAZO)−67反応開始剤(モノマー濃度を基準にして0.5部)、及びイソプロピルアルコール(200部)を入れた。溶液は、窒素で2分間パージした。槽を封止し、粘稠なポリマー溶液が形成される間、一定温度の回転装置内で18時間65℃に維持した。ポリマー容器を槽から取り出し、室温まで冷却した。反応の完了を確認するために(for the completion of the reaction)、固形分の百分率分析を実施し、ポリマーへの定量的転化率を明らかにした。数多くのコポリマー類について、回転蒸発によって溶媒を除去し、かつ脱イオン水を添加して、固形分含有量を約33質量%に調整した。
【0062】
次の略語を使用する。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
1.HEMAに代えてHEA
2.HEMAに代えてAA
3.AETMACに代えてAEBDMAB
4.AETMACに代えてAEHDMAB
【0066】
【表3−1】

【0067】
【表3−2】

【0068】
1.HEMAに代えてHEA
2.NVPに代えてDMAEA
コーティング方法A
後述の配合物は、#6ワイヤー巻きロッドを使用し、41.3cm/秒(81.3フィート/分)にて、押し出したばかりのPETフィルム上に、長手方向に配向させた後で(after length orienting)コーティングした。キャスティングホイール上にポリエチレンテレフタレート樹脂(インヴィスタ(Invista)社)を押し出し、次に、延伸比3.34:1で、長手方向に配向させた(length oriented)。コーティング後に、54℃に設定した乾燥オーブンにフィルムを入れた。乾燥オーブン内の滞留時間は、22秒であった。フィルムは、乾燥オーブンから幅出し機(3つのゾーン、予備加熱、引き伸ばし、及びヒートセットに分かれている)へと移した。温度及び滞在時間はそれぞれ、3つのゾーンについて次の通りであった:予備加熱93℃、12秒;引き伸ばし104℃、18秒;ヒートセット232℃、15秒。引き伸ばしゾーンでの横延伸比(Tranverse draw ratio)は、4.37:1であり、厚さ51μm(2ミル)の最終PETフィルムを得た。
【0069】
コーティング方法B
後述の配合物は、#6ワイヤー巻きロッドを使用し、60cm/秒(118フィート/分)にて、押し出したばかりのPETフィルム上にコーティングした。キャスティングホイール上にポリエチレンテレフタレート樹脂(インヴィスタ(Invista)社)を押し出し、次に、延伸比3.33:1にて、長手方向に配向させた(length oriented)。コーティング後に、フィルムは、幅出し機(3つのゾーン、予備加熱、引き伸ばし、及びヒートセットに分かれている)へと直接移した。温度及び滞在時間はそれぞれ、3つのゾーンについて次の通りであった:予備加熱96℃、8秒;引き伸ばし96℃、13秒;ヒートセット232℃、11秒。引き伸ばしゾーンでの横延伸比(Tranverse draw ratio)は、3.62:1であり、厚さ51μm(2ミル)の最終PETフィルムを得た。
【0070】
コーティング方法C
後述の配合物は、#6ワイヤー巻きロッドを使用し、20cm/秒(38.8フィート/分)にて、押し出したばかりの多層光学フィルムを含む基材上にコーティングした。多層光学フィルムは、米国特許第6,179,948(B1)号(メリル(Merrill)ら);同第6,827,886号(ニーヴィン(Neavin)ら);同第2006/0084780(A1)号(ヘブリンク(Hebrink)ら);同第2006/0226561(A1)号(メリル(Merrill)ら);及び同第2007/0047080(A1)号(ストーヴァー(Stover)ら)に記載されている方法に従って作製した。多層光学フィルムは、SA115ポリカーボネート樹脂及びPETg6763樹脂(共に、イーストマン・ケミカル社から入手可能)の85:15(質量/質量)ブレンドからなるスキン層を含んでいた。光学積層体は、PEN:PET樹脂とPETg6763樹脂及びPEN:PET樹脂の70:30(質量/質量)ブレンドから調製される等方性層との90:10(質量/質量)ブレンドから作製される複屈折交互層を含有していた。コーティング直後に、フィルムは、幅出し機(3つのゾーン、予備加熱、引き伸ばし、及びヒートセットに分かれている)を通過させた。温度及び滞在時間はそれぞれ、3つのゾーンについて次の通りであった:予備加熱139℃、25秒;引き伸ばし139℃、49秒;ヒートセット170℃、21秒。引き伸ばしゾーンでの横延伸比(Tranverse draw ratio)は、7.24:1であり、厚さ43μm(1.7ミル)の最終基材を得た。
【0071】
放射線硬化層の形成
方法A、B及びCにて記載の通りヒートセットした後、米国特許第2006/0004166(A1)号(オルセン(Olsen)ら)にて記載されているように放射線硬化性組成物でサンプルをオーバーコーティングしたが、これは、2−プロペン酸;(1−メチルエチリデン)ビス[(2,6−ジブロモー4,1−フェニレン)オキシ(2−ヒドロキシー3,1−プロパンジイル)]エステル;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートの主要部を含む第1モノマーを含有する。樹脂は更に、光開始剤として0.35質量%のダロキュア(DAROCUR)1173及び0.1質量%のTPOを含有していた。次に、以下の手順を使用して、本組成物をコーティングしかつ硬化した。
【0072】
1)60℃にて1時間、液化するまで樹脂を加熱する。
【0073】
2)100℃のホットプレート上にて、無地の平面ステンレス鋼工具を加熱する。幾つかの実施例(上記の如く)では、米国特許第5,771,328号に記載されているようにして作製された微細構造工具を無地の工具の代わりに使用した。
【0074】
3)PL1200貼合せ機(プロフェッショナル・ラミネーティング・システムズ社(Professional Laminating Systems, Inc.))を約70℃まで加熱し、かつ速度を5.1mm/秒(12インチ/分)(設定#2)に設定する。
【0075】
4)放射線硬化性樹脂のビーズラインを工具に適用する。
【0076】
5)ハンドローラーを使用して、工具に対してPETフィルムのコーティング面を静かに置き、ロールして所定の位置に貼り付ける。
【0077】
6)プライム化されていない大きなPETフィルム2枚の間に、工具及びフィルムサンプルを挟み込み、貼合せ機のロールを保護する。
【0078】
7)サンプルを貼合せ機に通す。これにより、25μm(1ミル)の総樹脂フィルム厚が得られる。
【0079】
8)サンプルは、UV処理装置(Dバルブを装着し、100%の出力及び10cm/秒(20フィート/分)のラインスピードにて窒素パージ下で稼動する、UVフュージョン・ライトハンマー(UV Fusion Lighthammer))に2回通す。
【0080】
9)工具から、フィルムサンプルをゆっくりと取り外す。
【0081】
試験方法
2つの異なるデバイスを使用して、表面抵抗率を測定した。デバイスの1つは、PRF−911コンセントリック・リング固定治具が取り付けられた、プロスタット(Prostat)(登録商標)社からのプロスタット(Prostat)(登録商標)PRS−801抵抗システムセットであった。オームで表した表面抵抗率は、機器に同梱されている説明書に従って測定値に10を乗じることによってオーム/スクエアに変換した。デバイスのもう1つは、エレクトロ−テック・システムズ社(Electro-Tech Systems, Inc.)からの型式880・自動レンジ調節抵抗表示機(値をディケードで出力する)であった。全ての場合について、表面抵抗率測定は、放射線硬化性樹脂の適用及び硬化前に、サンプル上で実施した。特に明記しない限り、実験室での周囲湿度である30〜40%の相対湿度(RH)にて、表面抵抗率を測定した。
【0082】
静電気減衰時間は、エレクトロ−テック・システムズ社(Electro-Tech Systems, Inc.)からの型式406C電荷減衰測定装置(Static Decay Meter)を使用して測定した。本機器は、サンプルを5kVまで帯電させ、静電荷がその初期値の10%まで減衰するのに必要な時間を測定する。幾つかの絶縁サンプルは、5kVまで完全には帯電しないが、このことは、データ表中では「WNC」の表記で表されている。静電荷減衰測定は、放射線硬化性樹脂の適用及び硬化後に、サンプル上で実施した。特に明記しない限り、実験室での周囲湿度である30〜40%の相対湿度(RH)にて、静電荷減衰測定値を測定した。
【0083】
かすみ測定は、BYK−ガードナー(BYK-Gardner)(米国)からのヘイズガード(Hazegard)(登録商標)プラス・ヘイズメーター(Plus Hazemeter)を使用して実施した。放射線硬化性樹脂の適用及び硬化に先立って、かすみを測定した。
【0084】
接着性は、ASTM D3359、3M(商標)610セロハン(登録商標)テープ(3Mより)を使用したクロスハッチテープ引っ張り試験に従って測定した。評価は、0〜5の尺度で行なったが、5は完璧な接着性を意味し、0は完全な剥離を意味する。場合により、サンプルは、金属工具の取り外しを意図的に行なった際に剥離を起こし、コーティングしたフィルムの代わりに、工具上に残存する硬化樹脂層を生じた。この挙動を示すサンプルは、0として評価した。
【0085】
実施例1〜4及び比較実施例1〜3(C1〜C3)
#3ワイヤー巻きロッドを使用して、プライム化されていない127マイクロメートル(5ミル)PETフィルム上に、4質量%のカチオン性ポリマーを脱イオン水中に含有するコーティング配合物をコーティングした。次に、コーティングフィルムを強制空気オーブン内にて100℃で3分間乾燥させた。得られたコーティング上にて表面抵抗率を測定した;結果は表3に示す。
【0086】
【表4】

【0087】
実施例5及び6並びに比較実施例4〜6(C4〜C6)
結合剤1(44質量%固形原料から希釈したもの)、0.1質量%のテルギトール(Tergitol)TMN−6、及び0〜4質量%のP1を含有する一連のコーティング配合物を調製した。コーティング配合物中にて使用されるP1の量は、実施例5の場合は4.0質量%、実施例6の場合は2.0質量%、C4の場合は1.0質量%、C5の場合は0.4質量%であった。次に、#6ワイヤー巻きロッドを使用して、プライム化されていない127マイクロメートル(5ミル)PETフィルム上に、コーティング配合物をコーティングした。次に、コーティングフィルムを強制空気オーブン内にて150℃で15分間乾燥させた。得られたコーティング上で表面抵抗率を測定した;層組成物及び結果は表4に示す。
【0088】
【表5】

【0089】
実施例7〜15並びに比較実施例7及び8(C7及びC8)
カチオン性ポリマーを使用して、5.0質量%のカチオン性ポリマー、5.0質量%のロープレックス(RHOPLEX)3208固形分、2.5質量%のCYMEL 327、0.1質量%のトマドール(TOMADOL)25−9、及び0.03質量%のCYCAT 4045固形分を含有する水性コーティング配合物を調製した。実施例7、10、及び12のための配合物は、コーティング方法Aに従ってコーティングしかつ乾燥し、40質量%のカチオン性コポリマー、32質量%のアクリル系結合剤、及び28質量%の架橋性樹脂を含有するコーティングを得た。実施例8、9、11、13〜15、C7、及びC8の配合物は、コーティング方法Bに従ってコーティングしかつ乾燥し、40質量%のカチオン性コポリマー、32質量%のアクリル系結合剤、及び28質量%の架橋性樹脂を含有するコーティングを得た。かすみ及び表面抵抗率を測定した後、サンプルを放射線硬化性組成物でオーバーコーティングし、次に、米国特許第5,771,328号に記載されているようにして作製された微細構造工具を使用した以外は上記手順を使用して、硬化させた。次に、電荷減衰及び樹脂接着性を測定した;その結果を表5に示す。
【0090】
【表6】

【0091】
1.測定せず
2.RH 20%にて測定した
実施例16〜29及び比較実施例9〜11(C9〜C11)
カチオン性ポリマーP3、結合剤1、及び結合剤2を使用して、表6に記載されている水性コーティング配合物を調製した。幾つかの実施例では、追加の架橋剤である、0.4質量%のCYMEL 327及び0.4質量%のCYMEL 373(計0.8質量%)を配合物へ添加した。各サンプルは更に、0.1質量%のテルギトール(Tergitol)TMN−6及び0.04質量%のトリエチルアンモニウムp−トルエンスルホネートを含有していた。#6ワイヤー巻きロッドを使用して、プライム化されていない127マイクロメートル(5ミル)PETフィルム上に、配合物をコーティングした。次に、コーティングフィルムを強制空気オーブン内にて150℃で15分間乾燥させた。表面抵抗率を測定した後、サンプルを放射線硬化性組成物でオーバーコーティングし、次に硬化させた。次に、電荷減衰及び樹脂接着性を測定した;層組成物及び結果を表7に示す。
【0092】
【表7】

【0093】
【表8】

【0094】
1. 5質量%のLiNOも含有していた
2. 10質量%のLiNOも含有していた
実施例30〜41及び比較実施例12〜15(C12〜C15)
カチオン性ポリマー類P4及びP5、結合剤1、及び結合剤2を使用して、表8に記載されている水性コーティング配合物を調製した。幾つかの実施例では、追加の架橋剤である、0.4質量%のCYMEL 327及び0.4質量%のCYMEL 373(計0.8質量%)を配合物へ添加した。各サンプルは更に、0.1質量%のテルギトール(Tergitol)TMN−6及び0.04質量%のトリエチルアンモニウムp−トルエンスルホネートを含有していた。#6ワイヤー巻きロッドを使用して、プライム化されていない127マイクロメートル(5ミル)PETフィルム上に、配合物をコーティングした。次に、コーティングフィルムを強制空気オーブン内にて150℃で15分間乾燥させた。表面抵抗率を測定した後、サンプルを放射線硬化性組成物でオーバーコーティングし、次に硬化させた。次に、電荷減衰及び樹脂接着性を測定したが、層組成物及び結果を表9に示す。
【0095】
【表9】

【0096】
【表10】

【0097】
1.測定せず
実施例42〜66及び比較実施例16〜32(C16〜C32)
カチオン性ポリマーを使用して、5.0質量%のカチオン性ポリマー、5.0質量%のロープレックス(RHOPLEX)3208固形分、2.5質量%のCYMEL 327、0.1質量%のトマドール(TOMADOL)25−9、及び0.03質量%のCYCAT 4045固形分を含有する水性コーティング配合物を調製した。実施例42〜53、C16〜C20、及びC28の配合物は、コーティング方法Aに従ってコーティングしかつ乾燥し、40質量%のカチオン性コポリマー、32質量%のアクリル系結合剤、及び28質量%の架橋性樹脂を含有するコーティングを得た。実施例54〜66、C21〜C27、及びC29〜C32の配合物は、コーティング方法Bに従ってコーティングしかつ乾燥し、40質量%のカチオン性コポリマー、32質量%のアクリル系結合剤、及び28質量%の架橋性樹脂を含有するコーティングを得た。かすみ及び表面抵抗率を測定した後、サンプルを放射線硬化性組成物でオーバーコーティングしたが、次にこれを、米国特許第5,771,328号に記載されているようにして作製された微細構造工具を使用した以外は上記手順を使用して、硬化させた。電荷減衰及び樹脂接着性を測定した;その結果を表10に示す。
【0098】
【表11−1】

【0099】
【表11−2】

【0100】
1.HEMAに代えてHEA
2.測定せず
3.帯電せず
4.RH 20%にて測定した
実施例67〜72
カチオン性ポリマーを使用して、5.0質量%のカチオン性ポリマー、5.0質量%のロープレックス(RHOPLEX)3208固形分、2.5質量%のCYMEL 327、0.1質量%のトマドール(TOMADOL)25−9、及び0.03質量%のCYCAT 4045固形分を含有する水性コーティング配合物を調製した。配合物は、コーティング方法Cに従ってコーティングしかつ乾燥し、40質量%のカチオン性コポリマー、32質量%のアクリル系結合剤、及び28質量%の架橋性樹脂を含有するコーティングを得た。かすみを測定した後、サンプルを放射線硬化性組成物でオーバーコーティングしたが、これは、それが1.0質量%のダロキュア(DAROCUR)1173及び0.5質量%のTPOを含有していたことを除けば、上記の1つと同様であった。次に、米国特許第5,771,328号に記載されているようにして作製された微細構造工具を使用した以外は上記手順を使用して、放射線硬化性組成物を硬化させた。電荷減衰及び樹脂接着性を測定した;その結果を表11に示す。
【0101】
【表12】

【0102】
比較実施例33〜38(C33〜C38)
以下のリチウム化合物類を評価した:
Li1=リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
Li2=リチウムポリ(スチレンスルホネート)
Li3=リチウムp−トルエンスルホネート
Li4=リチウムメタンスルホネート
Li5=N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−(3’−ドデシルオキシ−2’−ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウムメトサルフェート(サイアスタット(CYASTAT)609)
リチウム化合物類及び結合剤1を使用して、表12に示す水性コーティング配合物を調製した。#6ワイヤー巻きロッドを使用して、プライム化されていない127マイクロメートル(5ミル)PETフィルム上に、配合物をコーティングした。次に、コーティングフィルムを強制空気オーブン内にて100℃又は150℃のいずれかで3分間乾燥させた。得られたコーティング上で表面抵抗率を測定したが、結果は表12に示す。表面抵抗率を測定した後、C33を放射線硬化性組成物でオーバーコーティングし、次に硬化させた。樹脂接着性を決定した。
【0103】
【表13】

【0104】
1.更に、0.1質量%のテルギトール(Tergitol)TMN6を含有していた。100℃にて乾燥した
2.測定せず
3.更に、0.1質量%のトマドール(TOMADOL)T25−9及び0.06質量%のサイキャット(CYCAT)4040と含有していた。150℃にて乾燥した
実施例73〜74及び比較実施例39(C39)
#3ワイヤー巻きロッドを使用して、プライム化されていない127マイクロメートル(5ミル)PETフィルム上に、4質量%のカチオン性ポリマーを脱イオン水中に含有するコーティング配合物をコーティングした。次に、コーティングフィルムを強制空気オーブン内にて100℃で3分間乾燥させた。得られたコーティング上で表面抵抗率を測定した;結果は表13に示す。
【0105】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)基材;並びに
B)前記基材上に配置された帯電防止層であって、以下のものを含む前記帯電防止層;
a)本質的に以下のものからなるカチオン性コポリマー:
i)次式を有する約20質量%以上70質量%未満のカチオン性モノマー:
CH=CRCOZ(CHN(R
(式中、
ZはO、S、又はNHであり;
はH又はCHであり;
は独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含み;
Xは、ハロゲン、ニトレート、アルキルサルフェート、アルカンスルホネート、及びハロアルカンスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり;かつ
n=2〜6である);及び
ii)1〜12個の炭素原子からなる炭化水素基を有する脂肪族アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む約10質量%〜約75質量%の疎水性モノマー;及び
iii)次式を有する約2質量%〜約25質量%の架橋性モノマー:
CH=CR
(式中、
は、H又はCHであり;かつ
Yは、COM、L−COM、L−OH、及びCONHからなる群から選択され;ここでMはH又は対イオンであり、かつLは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、若しくはスルホンアミド基、又はこれらの組み合わせを含む二価結合基である)
b)非カチオン性(メタ)アクリルポリマー;及び
c)メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド、アジリジン、カルボジイミド、イソシアネート、及びエポキシ架橋剤からなる群から選択される架橋剤;
を含む、物品。
【請求項2】
前記カチオン性モノマーがジメチルアミノエチルアクリレートのアルキル塩を含み;
前記疎水性モノマーが、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせを含み;かつ
前記架橋性モノマーが、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記非カチオン性(メタ)アクリルポリマーが、アルキル(メタ)アクリレートコポリマー又はアクリル系コア/シェルコポリマーを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記帯電防止層が、
約25質量%〜約70質量%のカチオン性コポリマー;
約10質量%〜約50質量%の非カチオン性(メタ)アクリルポリマー;及び
約5質量%〜約35質量%の架橋剤;を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記帯電防止層が、約50nm〜約400nmの厚みを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記光学物品が、相対湿度40%にて約10秒未満の電荷減衰時間を有する、請求項1に記載の光学物品。
【請求項7】
前記光学物品が、相対湿度20%にて約10秒未満の電荷減衰時間を有する、請求項1に記載の光学物品。
【請求項8】
前記光学物品が、約20%未満のヘイズ値を有する、請求項1に記載の光学物品。
【請求項9】
前記基材が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルローストリアセテート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド、又はこれらのブレンドを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記基材が、反射性フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、ターンフィルム(turning film)、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記基材が、第1及び第2光学層の交互層を有する多層光学フィルムを含み、ここで、前記第1及び第2光学層の屈折率は、少なくとも1つの軸線に沿って少なくとも0.04異なる、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記物品が、前記帯電防止層上に配置された微細構造化層を更に含み、該微細構造化層は、複数の微細構造を有する構造化表面を含み、かつ該構造化表面は、前記物品の外側表面を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
前記物品が、反射性フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、ターンフィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載の物品。
【請求項14】
A)偏光フィルム;
B)偏光フィルム上に配置された帯電防止層であって、以下のものを含む前記帯電防止層;
a)本質的に以下のものからなるカチオン性コポリマー:
i)次式を有する約20質量%以上70質量%未満のカチオン性モノマー:
CH=CRCOZ(CHN(R
(式中、
ZはO、S、又はNHであり;
はH又はCHであり;
は独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含み;
Xは、ハロゲン、ニトレート、アルキルサルフェート、アルカンスルホネート、及びハロアルカンスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり;かつ
n=2〜6である);及び
ii)1〜12個の炭素原子からなる炭化水素基を有する脂肪族アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む約10質量%〜約75質量%の疎水性モノマー;及び
iii)(メタ)アクリル酸又は次式を有するモノマーを含む、約2質量%〜約25質量%の架橋性モノマー:
CH=CR
(式中、
は、H又はCHであり;かつ
Yは、COM、L−COM、L−OH、及びCONHからなる群から選択され;ここでMはH又は対イオンであり、かつLは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、若しくはスルホンアミド基、又はこれらの組み合わせを含む二価結合基である)
b)非カチオン性(メタ)アクリルポリマー;及び
c)メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド、アジリジン、カルボジイミド、イソシアネート、及びエポキシ架橋剤からなる群から選択される架橋剤;
C)光学フィルム;並びに
D)前記光学フィルムを前記帯電防止層へ接着させる接着剤層;
を含む、物品。
【請求項15】
前記光学フィルムが、プリズムフィルム、拡散フィルム、光導波路、又はこれらの組み合わせを含む、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
A)偏光フィルム;
B)偏光フィルム上に配置された帯電防止層であって、以下のものを含む前記帯電防止層;
a)本質的に以下のものからなるカチオン性コポリマー:
i)次式を有する約20質量%以上70質量%未満のカチオン性モノマー:
CH=CRCOZ(CHN(R
(式中、
ZはO、S、又はNHであり;
はH又はCHであり;
は独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含み;
Xは、ハロゲン、ニトレート、アルキルサルフェート、アルカンスルホネート、及びハロアルカンスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり;かつ
n=2〜6である);及び
ii)1〜12個の炭素原子からなる炭化水素基を有する脂肪族アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む約10質量%〜約75質量%の疎水性モノマー;及び
iii)(メタ)アクリル酸又は次式を有するモノマーを含む、約2質量%〜約25質量%の架橋性モノマー:
CH=CR
(式中、
は、H又はCHであり;かつ
Yは、COM、L−COM、L−OH、及びCONHからなる群から選択され;ここでMはH又は対イオンであり、かつLは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、若しくはスルホンアミド基、又はこれらの組み合わせを含む二価結合基である)
b)非カチオン性(メタ)アクリルポリマー;及び
c)メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド、アジリジン、カルボジイミド、イソシアネート、及びエポキシ架橋剤からなる群から選択される架橋剤;
C)光学フィルム;並びに
D)光学フィルムを偏光フィルムへ接着させる接着剤層;
を含む、物品。
【請求項17】
前記光学フィルムが、プリズムフィルム、拡散フィルム、光導波路、又はこれらの組み合わせを含む、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
物品を作製する方法であって、
A)以下のものを含む帯電防止組成物を基材上にコーティングすることによってコーティング基材を形成すること:
a)本質的に以下のものからなるカチオン性コポリマー:
i)次式を有する約20質量%以上約70質量%未満のカチオン性モノマー:
CH=CRCOZ(CHN(R
(式中、
ZはO、S、又はNHであり;
はH又はCHであり;
は独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含み;
Xは、ハロゲン、ニトレート、アルキルサルフェート、アルカンスルホネート、及びハロアルカンスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり;かつ
n=2〜6である);
ii)1〜12個の炭素原子からなる炭化水素基を有する脂肪族アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む約10質量%〜約75質量%の疎水性モノマー;及び
iii)(メタ)アクリル酸又は次式を有するモノマーを含む、約2質量%〜約25質量%の架橋性モノマー:
CH=CR
(式中、
は、H又はCHであり;かつ
Yは、COM、L−COM、L−OH、及びCONHからなる群から選択され;ここでMはH又は対イオンであり、かつLは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、若しくはスルホンアミド基、又はこれらの組み合わせを含む二価結合基である)
b)非カチオン性(メタ)アクリルポリマー;及び
c)メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド、アジリジン、カルボジイミド、イソシアネート、及びエポキシ架橋剤からなる群から選択される架橋剤;
B)所望により、前記コーティング基材を少なくとも1方向に延伸すること;を含む、前記方法。
【請求項19】
ディスプレイパネル、
1つ以上の光源、及び
請求項1に記載の物品、を備えるディスプレイデバイス。
【請求項20】
A)基材;並びに
B)基材上に配置された帯電防止層であって、以下のものを含む前記帯電防止層;
a)本質的に以下のものからなるカチオン性コポリマー:
i)次式を有する約20質量%〜約50質量%のカチオン性モノマー:
CH=CRCOZ(CHN(R
(式中、
ZはO、S、又はNHであり;
はH又はCHであり;
は独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含み;
Xは、ハロゲン、ニトレート、アルキルサルフェート、アルカンスルホネート、及びハロアルカンスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり;かつ
n=2〜6である);及び
ii)1〜12個の炭素原子からなる炭化水素基を有する脂肪族アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む約10質量%〜約75質量%の疎水性モノマー;
iii)N−ビニルピロリジノン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせを含む約0.5質量%〜約55質量%の窒素含有モノマー;(ただし、カチオン性モノマー及び窒素含有モノマーの量は、約70質量%未満である);及び
iv)(メタ)アクリル酸又は次式を有するモノマーを含む、約2質量%〜約25質量%の架橋性モノマー:
CH=CR
(式中、
は、H又はCHであり;かつ
Yは、COM、L−COM、L−OH、及びCONHからなる群から選択され;ここでMはH又は対イオンであり、かつLは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、若しくはスルホンアミド基、又はこれらの組み合わせを含む二価結合基である)
b)非カチオン性(メタ)アクリルポリマー;及び
c)メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド、アジリジン、カルボジイミド、イソシアネート、及びエポキシ架橋剤からなる群から選択される架橋剤;
を含む、物品。
【請求項21】
前記カチオン性モノマーがジメチルアミノエチルアクリレートのアルキル塩を含み;
前記疎水性モノマーが、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート又はこれらの組み合わせを含み;かつ
前記架橋性モノマーが、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含む、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
前記非カチオン性(メタ)アクリルポリマーが、アルキル(メタ)アクリレートコポリマー又はアクリル系コア/シェルコポリマーを含む、請求項20に記載の物品。
【請求項23】
前記帯電防止層が、
約25質量%〜約70質量%のカチオン性コポリマー;
約10質量%〜約50質量%の非カチオン性(メタ)アクリルポリマー;及び
約5質量%〜約35質量%の架橋剤;を含む、請求項20に記載の物品。
【請求項24】
前記帯電防止層が、約50nm〜約400nmの厚みを有する、請求項20に記載の物品。
【請求項25】
前記光学物品が、相対湿度40%にて約10秒未満の電荷減衰時間を有する、請求項20に記載の光学物品。
【請求項26】
前記光学物品が、相対湿度20%にて約10秒未満の電荷減衰時間を有する、請求項20に記載の光学物品。
【請求項27】
前記光学物品が、約20%未満のヘイズ値を有する、請求項20に記載の光学物品。
【請求項28】
前記基材が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルローストリアセテート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド、又はこれらのブレンドを含む、請求項20に記載の物品。
【請求項29】
前記基材が、反射性フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、ターンフィルム、ミラーフィルム又はこれらの組み合わせを含む、請求項20に記載の物品。
【請求項30】
前記基材が、第1及び第2光学層の交互層を有する多層光学フィルムを含み、ここで、前記第1及び第2光学層の屈折率は、少なくとも1つの軸線に沿って少なくとも0.04異なる、請求項20に記載の物品。
【請求項31】
前記物品が、前記帯電防止層上に配置された微細構造化層を更に含み、該微細構造化層は、複数の微細構造を有する構造化表面を含み、かつ該構造化表面は、前記物品の外側表面を含む、請求項20に記載の物品。
【請求項32】
前記物品が、反射性フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、ターンフィルム、ミラーフィルム又はこれらの組み合わせである、請求項20に記載の物品。
【請求項33】
A)偏光フィルム;
B)基材上に配置された帯電防止層であって、以下のものを含む前記帯電防止層;
a)本質的に以下のものからなるカチオン性コポリマー:
i)次式を有する約20質量%〜約50質量%のカチオン性モノマー:
CH=CRCOZ(CHN(R
(式中、
ZはO、S、又はNHであり;
はH又はCHであり;
は独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含み;
Xは、ハロゲン、ニトレート、アルキルサルフェート、アルカンスルホネート、及びハロアルカンスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり;かつ
n=2〜6である);及び
ii)1〜12個の炭素原子からなる炭化水素基を有する脂肪族アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む約10質量%〜約75質量%の疎水性モノマー;
iii)N−ビニルピロリジノン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせを含む約0.5質量%〜約55質量%の窒素含有モノマー;(ただし、カチオン性モノマー及び窒素含有モノマーの量は、約70質量%未満である);及び
iv)(メタ)アクリル酸又は次式を有するモノマーを含む、約2質量%〜約25質量%の架橋性モノマー:
CH=CR
(式中、
は、H又はCHであり;かつ
Yは、COM、L−COM、L−OH、及びCONHからなる群から選択され;ここでMはH又は対イオンであり、かつLは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、若しくはスルホンアミド基、又はこれらの組み合わせを含む二価結合基である)
b)非カチオン性(メタ)アクリルポリマー;
c)メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド、アジリジン、カルボジイミド、イソシアネート、及びエポキシ架橋剤からなる群から選択される架橋剤;
C)光学フィルム;並びに
D)光学フィルムを帯電防止層へ接着させる接着剤層、
を含む、物品。
【請求項34】
前記光学フィルムが、プリズムフィルム、拡散フィルム、光導波路、又はこれらの組み合わせを含む、請求項33に記載の物品。
【請求項35】
A)偏光フィルム;
B)基材上に配置された帯電防止層であって、以下のものを含む前記帯電防止層;
a)本質的に以下のものからなるカチオン性コポリマー:
i)次式を有する約20質量%〜約50質量%のカチオン性モノマー:
CH=CRCOZ(CHN(R
(式中、
ZはO、S、又はNHであり;
はH又はCHであり;
は独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含み;
Xは、ハロゲン、ニトレート、アルキルサルフェート、アルカンスルホネート、及びハロアルカンスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり;かつ
n=2〜6である);及び
ii)1〜12個の炭素原子からなる炭化水素基を有する脂肪族アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む約10質量%〜約75質量%の疎水性モノマー;
iii)N−ビニルピロリジノン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせを含む約0.5質量%〜約55質量%の窒素含有モノマー;(ただし、カチオン性モノマー及び窒素含有モノマーの量は、約70質量%未満である);及び
iv)(メタ)アクリル酸又は次式を有するモノマーを含む、約2質量%〜約25質量%の架橋性モノマー:
CH=CR
(式中、
は、H又はCHであり;かつ
Yは、COM、L−COM、L−OH、及びCONHからなる群から選択され;ここでMはH又は対イオンであり、かつLは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、若しくはスルホンアミド基、又はこれらの組み合わせを含む二価結合基である)
b)非カチオン性(メタ)アクリルポリマー;
c)メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド、アジリジン、カルボジイミド、イソシアネート、及びエポキシ架橋剤からなる群から選択される架橋剤;
C)光学フィルム;並びに
D)光学フィルムを偏光フィルムへ接着させる接着剤層、
を含む、物品。
【請求項36】
前記光学フィルムが、プリズムフィルム、拡散フィルム、光導波路、又はこれらの組み合わせを含む、請求項35に記載の物品。
【請求項37】
物品を作製する方法であって、
A)以下のものを含む帯電防止組成物を基材上にコーティングすることによってコーティング基材を形成すること;
a)本質的に以下のものからなるカチオン性コポリマー:
i)次式を有する約20質量%〜約50質量%のカチオン性モノマー:
CH=CRCOZ(CHN(R
(式中、
ZはO、S、又はNHであり;
はH又はCHであり;
は独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含み;
Xは、ハロゲン、ニトレート、アルキルサルフェート、アルカンスルホネート、及びハロアルカンスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり;かつ
n=2〜6である);及び
ii)1〜12個の炭素原子からなる炭化水素基を有する脂肪族アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む約10質量%〜約75質量%の疎水性モノマー;
iii)N−ビニルピロリジノン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせを含む約0.5質量%〜約55質量%の窒素含有モノマー;(ただし、カチオン性モノマー及び窒素含有モノマーの量は、約70質量%未満である);及び
iv)(メタ)アクリル酸又は次式を有するモノマーを含む、約2質量%〜約25質量%の架橋性モノマー:
CH=CR
(式中、
は、H又はCHであり;かつ
Yは、COM、L−COM、L−OH、及びCONHからなる群から選択され;ここでMはH又は対イオンであり、かつLは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、若しくはスルホンアミド基、又はこれらの組み合わせを含む二価結合基である)
b)非カチオン性(メタ)アクリルポリマー;及び
c)メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド、アジリジン、カルボジイミド、イソシアネート、及びエポキシ架橋剤からなる群から選択される架橋剤;
B)所望により、前記コーティング基材を少なくとも1方向に延伸すること、を含む、方法。
【請求項38】
ディスプレイパネル、
1つ以上の光源、及び
請求項20に記載の物品を備える、ディスプレイデバイス。
【請求項39】
本質的に以下のものからなるカチオン性コポリマー:
i)次式を有する約20質量%〜約50質量%のカチオン性モノマー:
CH=CRCOZ(CHN(R
(式中、
ZはO、S、又はNHであり;
はH又はCHであり;
は独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含み;
Xは、ハロゲン、ニトレート、アルキルサルフェート、アルカンスルホネート、及びハロアルカンスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり;かつ
n=2〜6である);
ii)1〜12個の炭素原子からなる炭化水素基を有する脂肪族アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む約10質量%〜約75質量%の疎水性モノマー;
iii)約0.5質量%〜約55質量%のN−ビニルピロリジノン(ただし、カチオン性モノマー及びN−ビニルピロリジノンの量は、約70質量%未満である);及び
iv)(メタ)アクリル酸又は次式を有するモノマーを含む、約2質量%〜約25質量%の架橋性モノマー:
CH=CR
(式中、
は、H又はCHであり;かつ
Yは、COM、L−COM、L−OH、及びCONHからなる群から選択され;ここでMはH又は対イオンであり、かつLは、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、若しくはスルホンアミド基、又はこれらの組み合わせを含む二価結合基である)。

【公表番号】特表2010−534272(P2010−534272A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518271(P2010−518271)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/069490
【国際公開番号】WO2009/014897
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】