説明

平版印刷版の作製方法及び平版印刷版原版

【課題】本発明は、高感度であるとともに、マイルドな水溶液(pHが2〜10)での現像においても、現像性が良好で、耐刷性に優れる平版印刷版を提供することが可能な平版印刷版原版及び製版方法を提供する。
【解決手段】親水性支持体上に、(A)アミド基、ウレタン基、ウレア基、バルビツル酸基からなる群より選ばれた少なくとも一種を有するラジカル重合性化合物、(B)酸価が0.3meq/g以下であるバインダーポリマー、(C)360〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素、及び(D)開始剤化合物を含有する感光層と、保護層とをこの順に有する平版印刷版原版を、360〜450nmのレーザーで画像露光した後、擦り部材を備えた自動処理機により、pHが2〜10の現像液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより、保護層および非露光部の感光層を除去することを特徴とする平版印刷版の作製方法及びその平版印刷版原版。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平版印刷版原版の製版方法に関し、特に、マイルドな水溶液(pHが2〜10)で現像を行う平版印刷版原版の製版方法、及び、該方法に用いる平版印刷版原版に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に平版印刷版は、親油性の画像部と親水性の非画像部からなる表面を有する。平版印刷は、この版表面に湿し水と油性インキとを交互に与え、水と油が互いに反発する性質を利用して、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)とし、親油性の画像部のみにインキを受容させた後、紙等の被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルム等の原画を通した露光を行った後、画像部となる画像記録層を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液または有機溶剤によって溶解して除去することで親水性の支持体の表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
【0003】
従来の平版印刷版原版の製版工程においては、露光の後、不要な画像記録層を現像液等によって溶解除去する工程が必要であるが、このような付加的に行われる湿式処理を簡易化することが課題の一つとして挙げられている。簡易化の一つとして、中性に近い水溶液または単なる水で現像できることが望まれている。
一方、近年、画像情報を、コンピュータを用いて電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート技術が注目されてきている。従って、このような技術に適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題の一つとなっている。
上述のような背景から、現在、製版作業の簡易化とデジタル化の両面への適合が、従来にも増して、強く望まれるようになってきている。
【0004】
これに対して、例えば、特許文献1には、親水性支持体上に、疎水性化前駆体、親水性樹脂、光熱変換剤を含有する画像形成層を有する平版印刷版原版の画像形成層中に、さらにエチレンオキシド鎖を有する化合物を含有することによって、機上現像のほかに、露光後、水または適当な水溶液を現像液とする液体現像処理を施して印刷に用いることが可能であると記載されている。
また、特許文献2には、(i)親水性支持体、および(ii)ラジカル重合性エチレン状不飽和モノマー、ラジカル重合開始剤および赤外吸収染料を含有し、赤外レーザー露光により硬化し、しかも60質量%以上の水を含有し、pH2.0〜10.0の水性現像液で現像可能な親油性感熱画像形成層からなる平版印刷版原版を用意し、赤外レーザーで画像様に露光し、水性現像液で該感熱層の未硬化領域を除くことからなる平版印刷版原版の処理方法が記載されている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の平版印刷版では、水性現像液により現像するために画像形成層の親水性が高く設定されており、そのため画像部耐水性が弱く十分な印刷枚数が得られないこと、及び高エネルギーの赤外線レーザーにより露光することから印刷版の生産性が低いことが問題であった。
一方、印刷版の生産性を上げる方法として、低エネルギーの可視光線〜紫外線領域のレーザー光線を用いたフォトンモードと呼ばれる印刷版がある。
例えば、付加重合性不飽和結合を有する重合可能な化合物、光重合開始剤及びアルカリ
可溶性高分子化合物を含有する光重合性組成物において、付加重合性不飽和結合を有する重合可能な化合物がシアヌル酸基を有する特定構造の化合物であることを特徴とする光重合性組成物、並びに親水性表面を有する支持体上に該光重合性組成物の層を設けた感光性平版印刷版が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この感光性平版印刷版ではpH12以上のアルカリ水溶液により現像することが可能とされている。
【0006】
また、シアヌル酸基、(メタ)アクリレート基、及びヒドロキシカルボン酸連結された(メタ)アクリレート基を有する特定構造の重合性単量体を含有する感光性組成物、及び、支持体上にこの感光性組成物を設けた感光性平版印刷版が開示されている(例えば、特許文献4参照)。この感光性平版印刷版では特定の有機溶媒とアルカリ剤と水の混合溶液により現像することが可能とされている。
更に、側鎖に重合性二重結合を有する質量平均分子量10,000以上の高分子化合物及びシアヌル酸基、(メタ)アクリレート基、及び(メタ)アクリレート基を有する特定構造の重合性単量体を含有する光重合性組成物が開示されている(例えば、特許文献5照)。この感光性組成物を用いた平版印刷版に関しては、1,1,1−トリクロロエタンでの現像例が記載されている。
【0007】
上記特許文献に記載の平版印刷版によれば、印刷版の生産性は得られるが、pH2〜10の中性〜酸性領域の水性現像液により現像することは不可能である。
【0008】
【特許文献1】特開2002−365789号公報
【特許文献2】米国特許出願公開2004/0013968号明細書
【特許文献3】特開平8−160615号公報
【特許文献4】特開平10−104835号公報
【特許文献5】特開昭62−290705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、高感度で印刷版の生産性が高く、マイルドな水溶液(pHが2〜10)での現像においても、現像性が良好で、耐刷性に優れる平版印刷版を提供することが可能な平版印刷版原版及び製版方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、感光層と保護層とをこの順に有する平版印刷版原版を、360〜450nmのレーザーで画像露光した後、擦り部材を備えた自動処理機により、pHが2〜10の現像液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより、保護層および非露光部の感光層を除去でき、上記目的が達成されることを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0011】
(1)親水性支持体上に、(A)アミド基、ウレタン基、ウレア基、バルビツル酸基からなる群より選ばれた少なくとも一種を有するラジカル重合性化合物、(B)酸価が0.3meq/g以下であるバインダーポリマー、(C)360〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素、及び(D)開始剤化合物、を含有する感光層と保護層とをこの順に有する平版印刷版原版を、360〜450nmのレーザーで画像露光した後、擦り部材を備えた自動処理機により、pHが2〜10の現像液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより、保護層および非露光部の感光層を除去することを特徴とする平版印刷版の作製方
法。
【0012】
(2)バインダーポリマー(B)が質量平均分子量1万以上、ガラス転移点(Tg)80℃以下のポリマ−であることを特徴とする上記(1)に記載の平版印刷版の作製方法。
【0013】
(3)バインダーポリマー(B)が、更に、ラジカル重合性基を有することを特徴とする上記(2)に記載の平版印刷版の作製方法。
(4)露光から現像までの間に、さらに、露光された平版印刷版原版を加熱処理することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の平版印刷版の作製方法。
【0014】
(5)親水性支持体上に、(A)アミド基、ウレタン基、ウレア基、バルビツル酸基からなる群より選ばれた少なくとも一種を有するラジカル重合性化合物、(B)酸価が0.3meq/g以下であるバインダーポリマー、(C)360〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素、及び(D)開始剤化合物を含有する感光層と、保護層とをこの順に有する平版印刷版原版を、360〜450nmのレーザーで画像露光した後、擦り部材を備えた自動処理機により、pHが2〜10の現像液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより、保護層および非露光部の感光層を除去することを特徴とする平版印刷版原版。
(6)露光から現像までの間に、さらに、露光された平版印刷版原版を加熱処理することを特徴とする上記(5)に記載の平版印刷版原版。
【0015】
本発明の作用は以下のように推測している。
すなわち、アミド基、ウレタン基、ウレア基、バルビツル酸基に含まれるCON基は親水性がある。これにより、現像性が向上する一方、CON基は凝集力が高く、重合硬化後には凝集することで膜が強くなり、耐刷性が向上すると考えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、360nm〜450nmの範囲に発振波長を有する光源のレーザーによる書き込みが可能で、pHが2〜10の現像液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより現像可能であり、且つ高耐刷な平版印刷版原版とその製版方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の平版印刷版原版の製版方法について詳細に説明する。
本発明の平版印刷版原版の製版方法は、支持体上に、少なくとも感光層を有する平版印刷版原版を、360nm〜450nmのレーザーで画像露光する製版方法において、親水性支持体上に、(A)アミド基、ウレタン基、ウレア基、バルビツル酸基からなる群より選ばれた少なくとも一種を有するラジカル重合性化合物、(B)酸価が0.3meq/g以下であるバインダーポリマー、(C)360〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素、及び(D)開始剤化合物を含有する感光層と、保護層とをこの順に有する平版印刷版原版を、360〜450nmのレーザーで画像露光した後、擦り部材を備えた自動処理機により、pHが2〜10の現像液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより、保護層および非露光部の感光層を除去することを特徴とする。
まず、本発明の製版方法に用いられる平版印刷版原版について詳細に説明する。
【0018】
<平版印刷版原版>
本発明に用いられる平版印刷版原版は、支持体上に、(A)ラジカル重合性化合物、(B)バインダーポリマー、(C)360nm〜450nmの光を吸収する増感色素、(D)重合開始剤を含有する感光性組成物により形成された感光層を有することを特徴とする。
以下に、平版印刷版原版をさらに詳細に説明する。
【0019】
〔感光層〕
本発明における平版印刷版原版の感光層は、自動処理機によるpHが2〜10の現像液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより除去可能な感光層であり、必須成分として、(A)ラジカル重合性化合物、(B)バインダーポリマー、(C)360nm〜450nmの光を吸収する増感色素、(D)重合開始剤を含有し、更に必要に応じて、着色剤や他の任意成分を含む感光性組成物により形成された重合性ネガ型の感光層である。
感光層の未露光部の現像速度や硬化後の感光層に対する現像液の浸透速度の制御は、上記バインダーポリマーを使用する方法に加えて、常法により行うことができ、例えば、未露光部の現像速度の向上には、親水性の化合物の添加が有用であり、露光部への現像液浸透抑制には、疎水性の化合物の添加手段が有用である。
【0020】
本発明における重合性ネガ型の感光層は、360nm〜450nmの光に感応するため、CTPに有用な青色レーザーに感光することができる。かかる、360nm〜450nmの光を吸収する増感色素は、青色レーザーの照射(露光)に対し高感度で電子励起状態となり、かかる電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動などが、感光層中に併存する重合開始剤に作用して、該重合開始剤に化学変化を生起させてラジカルを生成させる。そして、生成したラジカルにより重合性化合物が重合反応を起こし、露光部が硬化して画像部となる。
【0021】
本発明における平版印刷版原版は、感光層が360nm〜450nmの光を吸収する増感色素を含有することにより、360nm〜450nmの波長を有する青色レーザー光での直接描画される製版に特に好適であり、従来の平版印刷版原版に比べ、高い画像形成性を発現することができる。
以下に、本発明に係る平版印刷版原版の感光層を形成する感光性組成物を構成する各成分について説明する。
【0022】
(A)ラジカル重合性化合物
本発明で用いられるラジカル重合性化合物は、アミド基、ウレタン基、ウレア基、バルビツル酸基からなる群より選ばれた少なくとも一種を有する重合性化合物であり、CON基を有する。CON基を有するラジカル重合性化合物としては、CON基を2つ以上有するラジカル重合性化合物が好ましく、更にラジカル重合性基を2つ以上有するラジカル重合性化合物が特に好ましい。
【0023】
CON基を有するラジカル重合性化合物としては、分子中にCON基及びラジカル重合性官能基を有する限り何れの化合物も好適に使用することができる。かかるラジカル重合性官能基とは、アクリル酸エステル基、メタクリル酸エステル基、イタコン酸エステル基、マレイン酸エステル基、フマル酸エステル基、アクリル酸アミド基、メタクリル酸アミド基、イタコン酸アミド基、マレイン酸アミド基、フマル酸アミド基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、ビニルフェニル基、ビニルカルボニル基、アリル基、及びこれらから誘導される官能基などが挙げられる。中でもアクリル酸エステル基、メタクリル酸エステル基、イタコン酸エステル基、マレイン酸エステル基、フマル酸エステル基、アクリル酸アミド基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、及びビニルフェニル基が好ましく、アクリル酸エステル基及びメタクリル酸エステル基が特に好ましい。
【0024】
以下に本発明で用いられるCON基を有するラジカル重合性化合物の具体例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
【化1】

【0026】
【化2】

【0027】
これらのラジカル重合性化合物は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用して用いても良い。また、CON基を持たない通常のラジカル重合性化合物と併用することもできる。これらのラジカル重合性化合物及び併用される通常のラジカル重合性化合物の感光
層における含有率は、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上80質量%以下がより好ましい。
【0028】
(B)酸価が0.3meq/g以下であるバインダーポリマー(疎水性バインダーポリマー)
本発明の感光層に使用可能な疎水性バインダーポリマーとしては、非水溶性ポリマーが好ましく用いられる。さらに、本発明に使用可能な疎水性バインダーポリマーは、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基などの酸基を実質的に含有しないものが好ましく、バインダーポリマーの酸価(ポリマー1gあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)は、0.3meq/g以下であり、さらに好ましくは、0.1meq/g以下である。
すなわち、本発明に使用可能な疎水性バインダーポリマーは、水およびpH10以上の水溶液に対し不溶であることが好ましく、疎水性バインダーポリマーの水およびpH10以上の水溶液に対する溶解度が、0.5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1質量%以下である。このような疎水性バインダーポリマーを用いることによって、感光層の膜強度、耐水性および着肉性が向上して、耐刷性の向上が得られる。
【0029】
疎水性バインダーポリマーとしては、本発明の平版印刷版の性能を損なわない限り、好ましくは、上記範囲であれば、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有する線状有機ポリマーが好ましい。
このような疎水性バインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる高分子が好ましい。なかでも、アクリル樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。より具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルまたはアラルキルエステルと(メタ)アクリル酸エステルのエステル残基(−COOR)のRに−CH2CH2O−単位または−CH2CH2NH−単位を含む(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が特に好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの好ましいアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基であり、メチル基がより好ましい。好ましい(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ベンジルが挙げられる。
【0030】
さらに、疎水性バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性をもたせることができる。
バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中または側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により
導入してもよいし、高分子反応によって導入してもよい。
【0031】
ここで架橋性基とは、平版印刷版原版を露光した際に感光層中で起こるラジカル重合反応の過程で高分子バインダーを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性基としては、例えば、チオール基、ハロゲン基、オニウム塩構造等が挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和結合基が好ましく、下記一般式(1)〜(3)で表される官能基が特に好ましい。
【0032】
【化3】

【0033】
上記一般式(1)において、Rl〜R3はそれぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表すが、R1としては、好ましくは、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基
などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基がラジカル反応性の高いことから好ましい。また、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性の高いことから好ましい。
【0034】
Xは、酸素原子、硫黄原子、またはN(R12)−を表し、R12は、水素原子、または1価の有機基を表す。ここで、R12は、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
【0035】
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
【0036】
【化4】

【0037】
上記一般式(2)において、R4〜R8は、それぞれ独立に水素原子または1価の有機基を表すが、R4〜R8は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
【0038】
導入し得る置換基としては、一般式(1)と同様のものが例示される。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、またはN(R12)−を表す。R12は、一般式(1)のR12の場合と同義であり、好ましい例も同様である。
【0039】
【化5】

【0040】
上記一般式(3)において、R9としては、好ましくは、水素原子または置換基を有し
てもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基がラジカル反応性の高いことから好ましい。R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性の高いことから好ましい。
【0041】
ここで、導入し得る置換基としては、一般式(1)と同様のものが例示される。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、または置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
上記の中でも、側鎖に架橋性基を有する(メタ)アクリル酸共重合体およびポリウレタンがより好ましい。
【0042】
架橋性を有する疎水性バインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接にまたは重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。または、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
【0043】
疎水性バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、疎水性バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
【0044】
また、水溶液に対する現像性向上という観点からバインダーポリマーは親水的であることが好ましく、さらに耐刷性向上という観点からバインダーポリマーは感光層中に含まれる重合性化合物と相溶性が良いことが重要であり、すなわち親油的であることが好ましい。このような見地から本発明では、現像性と耐刷性を向上させるため疎水性バインダーポリマー中に親水性基と親油性基とを共重合させることも有効である。親水性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、エチレンオキシ基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシエチル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
【0045】
疎水性バインダーポリマーは、質量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1
万以上がより好ましく、1万〜30万が更に好ましく、また、数平均分子量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(質量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
疎水性バインダーポリマーは、80℃以下のガラス転移点(Tg)を有することが好ましく、70℃以下のTgを有することがより好ましい。Tgは、示差走査型カロリメトリー(Differential Scanning Calorimeter)などにより測定できる。
疎水性バインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
【0046】
疎水性バインダーポリマーは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
疎水性バインダーポリマーの含有量は、感光層の全固形分に対して、5〜90質量%であり、10〜70質量%であるのが好ましく、10〜60質量%であるのがより好ましい。この範囲内で、良好な画像部の強度と画像形成性が得られる。
【0047】
以下に、バインダーポリマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
【化6】

【0049】
(C)360nm〜450nmの光を吸収する増感色素
本発明で使用される上記感光性組成物に用いられる360nm〜450nmの光を吸収する増感色素は、360nmから450nmの波長域に吸収極大を持つことが好ましい。この様な増感色素としては、例えば、下記一般式(I)に示されるメロシアニン色素類、下記一般式(II)で示されるベンゾピラン類、クマリン類、下記一般式(III)で表され
る芳香族ケトン類、下記一般式(IV)で表されるアントラセン類、等を挙げることがで
きる。
【0050】
【化7】

【0051】
(式中、AはS原子もしくは、NR1を表し、R1は一価の非金属原子団を表し、Yは隣接するAおよび、隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、X1、X2は、それぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、X1、X2は互いに結合して色素の酸性核を形成してもよい。)
【0052】
【化8】

【0053】
(式中、=Zは、カルボニル基、チオカルボニル基、イミノ基または上記部分構造式(I')で表されるアルキリデン基を表し、X1、X2は一般式(II)と同義であり、R2〜R7はそれぞれ独立に一価の非金属原子団を表す。)
【0054】
【化9】

【0055】
(式中Ar3は、置換基を有していてもよい芳香族基またはヘテロ芳香族基を表し、R8は一価の非金属原子団を表す。より好ましいR8は、芳香族基またはヘテロ芳香族基であっ
て、Ar3とR8が互いに結合して環を形成してもよい。)
【0056】
【化10】

【0057】
(式中、X3、X4、R9〜R16は、それぞれ独立に、1価の非金属原子団を表し、より好
ましいX3、X4はハメットの置換基定数が負の電子供与性基である。)
【0058】
一般式(I)から(IV)における、X1からX4、R1からR16で表される一価の非金属原子団の好ましい例としては、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、イソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2-ノルボルニル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、2-クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N-シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N-フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N-メチルベンゾイルアミノプロピル基、2-オキソエチル基、2-オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N-メチルカルバモイルエチル基、N,N-ジプロピルカルバモイルメチル基、N-(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N-メチル-N-(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N-エチルスルファモイルメチル基、N,N-ジプロピルスルファモイルプロピル基、N-トリルスルファモイルプロピル基、N-メチル-N-(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α-メチルベンジル基、1-メチル-1-フェニルエチル基、p-メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1-プロペニルメチル基、2-ブテニル基、2-メチルアリル基、2-メチルプロペニルメチル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N-フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン、フェノキサジン等)、アルケニル基(例えばビニル基、1-プロペニル基、1-ブテニル基、シンナミル基、2-クロロ-1-エテニル基、等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1-プロピニル基、1-ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等)、ハロゲン原子(-F、-Br、-Cl、-I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N-アルキルアミノ基、N,N-ジアルキルアミノ基、N-アリールアミノ基、N,N-ジアリールアミノ基、N-アルキル-N-アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N-アルキルカルバモイルオキシ基、N-アリールカルバモイルオキシ基、N,N-ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N-ジアリールカルバモイルオキシ基、N-アルキル-N-アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N-アルキルアシルアミノ基、N-アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′-アルキルウレイド基、N',N'-ジアルキルウレイド基、N'-アリールウレイド基、N',N'-ジアリールウレイド基、N'-アルキル-N'-アリールウレイド基、N-アルキルウレイド基、N-アリールウレイド基、N'-アルキル-N-アルキルウレイド基、N'-アルキル-N-アリールウレイド基、N',N'-ジアルキル-N-アルキルウレイド基、N′,N′-ジアルキル-N-アリールウレイド基、N'-アリール-N-アルキルウレイド基、N'-アリール-N-アリールウレイド基、N',N'-ジアリール-N-アルキルウレイド基、N′,N′-ジアリール-N-アリールウレイド基、N'-アルキル-N'-アリール-N-アルキルウレイド基、N'-アルキル-N'-アリール-N-アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N-アルキル-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アルキル-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N-アルキルカルバモイル基、N,N-ジアルキルカルバモイル基、N-アリールカルバモイル基、N,N-ジアリールカルバモイル基、N-アルキル-N-アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(-SO3H)およびその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N-アルキルスルフィナモイル基、N,N-ジアルキルスルフィナモイル基、N-アリールスルフィナモイル基、N,N-ジアリールスルフィナモイル基、N-アルキル-N-アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N-アルキルスルファモイル基、N,N-ジアルキルスルファモイル基、N-アリールスルファモイル基、N,N-ジアリールスルファモイル基、N-アルキル-N-アリールスルファモイル基、ホスフォノ基(-PO32)およびその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(-PO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノ基(-PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノ基(-PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(-PO3H(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(-PO3H(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(-OPO32)およびその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(-OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノオキシ基(-OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノオキシ基(-OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(-OPO3H(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(-OPO3H(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、等が挙げられ、以上の置換基のうち、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基が特に好ましい。
【0059】
一般式(I)に於けるYが隣接するAおよび、隣接炭素原子と共同して形成する色素の塩基性核としては、5、6、7員の含窒素、あるいは含硫黄複素環が挙げられ、好ましくは5、6員の複素環がよい。
【0060】
含窒素複素環の例としては例えば、L. G. Brooker et al., J. Am. Chem. Soc., 73, 5326-5358(1951)および参考文献に記載されるメロシアニン色素類における塩基性核を構成するものとして知られるものをいずれも好適に用いることができる。具体例としては、チアゾール類(例えば、チアゾール、4-メチルチアゾール、4ーフェニルチアゾール、5-メチルチアゾール、5-フェニルチアゾール、4,5-ジメチルチアゾール、4,5-ジフェニルチアゾール、4,5-ジ(p-メトキシフェニルチアゾール)、4-(2-チエニル)チアゾール、等)、ベンゾチアゾール類(例えば、ベンゾチアゾール、4-クロロベンゾチアゾール、5-クロロベンゾチアゾール、6-クロロベンゾチアゾール、7-クロロベンゾチアゾール、4-メチルベンゾチアゾール、5-メチルベンゾチアゾール、6-メチルベンゾチアゾール、5-ブロモベンゾチアゾール、4-フェニルベンゾチアゾール、5-フェニルベンゾチアゾール、4-メトキシベンゾチアゾール、5-メトキシベンゾチアゾール、6-メトキシベンゾチアゾール、5-ヨードベンゾチアゾール、6-ヨードベンゾチアゾール、4-エトキシベンゾチアゾール、5-エトキシベンゾチアゾール、テトラヒドロベンゾチアゾール、5,6-ジメトキシベンゾチアゾール、5,6-ジオキシメチレンベンゾチアゾール、5-ヒドロキシベンゾチアゾール、6-ヒドロキシベンゾチアゾール、6ージメチルアミノベンゾチアゾール、5-エトキシカルボニルベンゾチアゾール等)、ナフトチアゾール類(例えば、ナフト[1,2]チアゾール、ナフト[2,1]チアゾール、5-メトキシナフト[2,1]チアゾール、5-エトキシナフト[2,1]チアゾール、8-メトキシナフト[1,2]チアゾール、7-メトキシナフト[1,2]チアゾール等)、チアナフテノ-7’,6’,4,5-チアゾール類(例えば、4’-メトキシチアナフテノ-7’,6’,4,5-チアゾール等)、オキサゾール類(例えば、4-メチルオキサゾール、5-メチルオキサゾール、4-フェニルオキサゾール、4,5-ジフェニルオキサゾール、4-エチルオキサゾール、4,5-ジメチルオキサゾール、5-フェニルオキサゾール等)、ベンゾオキサゾール類(ベンゾオキサゾール、5-クロロベンゾオキサゾール、5-メチルベンゾオキサゾール、5-フェニルベンゾオキサゾール、6-メチルベンゾオキサゾール、5,6-ジメチルベンゾオキサゾール、4,6-ジメチルベンゾオキサゾール、6-メトキシベンゾオキサゾール、5-メトキシベンゾオキサゾール、4-エトキシベンゾオキサゾール、5-クロロベンゾオキサゾール、6-メトキシベンゾオキサゾール、5-ヒドロキシベンゾオキサゾール、6-ヒドロキシベンゾオキサゾール等)、ナフトオキサゾール類(例えば、ナフト[1,2]オキサゾール、ナフト[2,1]オキサゾール等)、セレナゾール類(例えば、4-メチルセレナゾール、4-フェニルセレナゾール等)、ベンゾセレナゾール類(例えば、ベンゾセレナゾール、5-クロロベンゾセレナゾール、5-メトキシベンゾセレナゾール、5-ヒドロキシベンゾセレナゾール、テトラヒドロベンゾセレナゾール等)、ナフトセレナゾール類(例えば、ナフト[1,2]セレナゾール、ナフト[2,1]セレナゾール等)、チアゾリン類(例えば、チアゾリン、4-メチルチアゾリン等)、2-キノリン類(例えば、キノリン、3-メチルキノリン、5-メチルキノリン、7-メチルキノリン、8-メチルキノリン、6-クロロキノリン、8-クロロキノリン、6-メトキシキノリン、6-エトキシキノリン、6-ヒドロキシキノリン、8-ヒドロキシキノリン等)、4-キノリン類(例えば、キノリン、6-メトキシキノリン、7-メチルキノリン、8-メチルキノリン等)、1-イソキノリン類(例えば、イソキノリン、3,4-ジヒドロイソキノリン、等)、3-イソキノリン類(例えば、イソキノリン等)、ベンズイミダゾール類(例えば、1,3-ジエチルベンズイミダゾール、1-エチル-3-フェニルベンズイミダゾール等)、3,3-ジアルキルインドレニン類(例えば、3,3-ジメチルインドレニン、3,3,5,-トリメチルインドレニン、3,3,7,-トリメチルインドレニン等)、2-ピリジン類(例えば、ピリジン、5-メチルピリジン等)、4-ピリジン(例えば、ピリジン等)等を挙げることができる。
【0061】
また、含硫黄複素環の例としては、例えば、特開平3-296759号公報記載の色素
類におけるジチオール部分構造を挙げることができる。
具体例としては、ベンゾジチオール類(例えば、ベンゾジチオール、5-t-ブチルベンゾジチオール、5-メチルベンゾジチオール等)、ナフトジチオール類(例えば、ナフト
[1,2]ジチオール、ナフト[2,1]ジチオール等)、ジチオール類(例えば、4,5-ジメチルジチオール類、4-フェニルジチオール類、4-メトキシカルボニルジチオー
ル類、4,5-ジメトキシカルボニルベンゾジチオール類、4,5-ジトリフルオロメチルジチオール、4,5-ジシアノジチオール、4-メトキシカルボニルメチルジチオール、4-カルボキシメチルジチオール等を挙げることができる。
【0062】
以上、述べた複素環に関する説明に用いた記述は、便宜上、慣例上、複素環母骨格の名称を用いたが、増感色素の塩基性骨格部分構造をなす場合は例えばベンゾチアゾール骨格の場合は3−置換−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン基のように、不飽和度を一つ下げたアルキリデン型の置換基形で導入される。
【0063】
360nmから450nmの波長域に吸収極大を持つ化合物としての増感色素のうち、高感度の観点からより好ましい色素は下記一般式(V)で表される色素である。
【0064】
【化11】

【0065】
(一般式(V)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、Xは酸素原子、硫黄原子または=N(R19)をあらわす。R17、R18およびR19は、それぞれ独立に、水素原子または一価の非金属原子団を表し、AとR17およびR18とR19はそれぞれ互いに、脂肪族性または芳香族性の環を形成するため結合してもよい。)
【0066】
一般式(V)について更に詳しく説明する。R17、R18およびR19は、それぞれ独立に、水素原子または、一価の非金属原子団であり、好ましくは、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルチオ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子を表す。
【0067】
17、R18およびR19の好ましい例について具体的に述べる。好ましいアルキル基の例としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、および環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、イソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2-ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
【0068】
置換アルキル基の置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(-F、-Br、-Cl、-I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N-アルキルアミノ基、N,N-ジアルキルアミノ基、N-アリールアミノ基、N,N-ジアリールアミノ基、N-アルキル-N-アリールアミノ基
、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N-アルキルカルバモイルオキシ基、N-アリールカルバモイルオキシ基、N,N-ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N-ジアリールカルバモイルオキシ基、N-アルキル-N-アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N-アルキルアシルアミノ基、N-アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N'-アルキルウレイド基、N',N'-ジアルキルウレイド基、N′-アリールウレイド基、N',N'-ジアリールウレイド基、N'-アルキル-N'-アリールウレイド基、N-アルキルウレイド基、N-アリールウレイド基、N'-アルキル-N-アルキルウレイド基、N′-アルキル-N-アリールウレイド基、N',N'-ジアルキル-N-アルキルウレイド基、N',N'-ジアルキル-N-アリールウレイド基、N'-アリール-N-アルキルウレイド基、N'-アリール-N-アリールウレイド基、N',N'-ジアリール-N-アルキルウレイド基、N',N'-ジアリール-N-アリールウレイド基、N'-アルキル-N'-アリール-N-アルキルウレイド基、N'-アルキル-N'-アリール-N-アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N-アルキル-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アルキル-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N-アルキルカルバモイル基、N,N-ジアルキルカルバモイル基、N-アリールカルバモイル基、N,N-ジアリールカルバモイル基、N-アルキル-N-アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(-SO3H)およびその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N-アルキルスルフィナモイル基、N,N-ジアルキルスルフィナモイル基、N-アリールスルフィナモイル基、N,N-ジアリールスルフィナモイル基、N-アルキル-N-アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N-アルキルスルファモイル基、N,N-ジアルキルスルファモイル基、N-アリールスルファモイル基、N,N-ジアリールスルファモイル基、N-アルキル-N-アリールスルファモイル基、ホスフォノ基(-PO32)およびその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(-PO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノ基(-PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノ基(-PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(-PO3H(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(-PO3H(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(-OPO32)およびその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(-OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノオキシ基(-OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノオキシ基(-OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(-OPO3H(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(-OPO3H(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
【0069】
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N-フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。
【0070】
17、R18およびR19として好ましいヘテロアリール基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環、もしくは多環芳香族環が用いられ、特に好ましいヘテロアリール基の例としては、例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン、フェノキサジン等があげられ、これらは、さらにベンゾ縮環してもよく、また置換基を有していてもよい。
【0071】
また、R17、R18およびR19として好ましいアルケニル基の例としては、ビニル基、1-プロペニル基、1-ブテニル基、シンナミル基、2-クロロ-1-エテニル基、等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1-プロピニル基、1-ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(G1CO-)におけるG1としては、水素、ならびに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。これら置換基の内、更により好ましいものとしてはハロゲン原子(-F、-Br、-Cl、-I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N-アルキルアミノ基、N,N-ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N-アルキルカルバモイルオキシ基、N-アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N-アルキルカルバモイル基、N,N-ジアルキルカルバモイル基、N-アリールカルバモイル基、N-アルキル-N-アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N-アルキルスルファモイル基、N,N-ジアルキルスルファモイル基、N-アリールスルファモイル基、N-アルキル-N-アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
【0072】
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
【0073】
該置換基とアルキレン基を組み合わせることにより得られるR17、R18およびR18として好ましい置換アルキル基の、具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2-
クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N-シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N-フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N-メチルベンゾイルアミノプロピル基、2-オキソエチル基、2-オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N-メチルカルバモイルエチル基、N,N-ジプロピルカルバモイルメチル基、N-(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N-メチル-N-(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N-エチルスルファモイルメチル基、N,N-ジプロピルスルファモイルプロピル基、N-トリルスルファモイルプロピル基、N-メチル-N-(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α-メチルベンジル基、1-メチル-1-フェニルエチル基、p-メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1-プロペニルメチル基、2-ブテニル基、2-メチルアリル基、2-メチルプロペニルメチル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、等を挙げることができる。
【0074】
17、R18およびR19として好ましいアリール基の具体例としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0075】
17、R18およびR19として好ましい置換アリール基の具体例としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。この様な、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N-シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N-フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N-メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N-メチルカルバモイルフェニル基、N,N-ジプロピルカルバモイルフェニル基、N-(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N-メチル-N-スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N-エチルスルファモイルフェニル基、N,N-ジプロピルスルファモイルフェニル基、N-トリルスルファモイルフェニル基、N-メチル-N-(ホスフォノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基、ジエチルホスフォノフェニル基、ジフェニルホスフォノフェニル基、メチルホスフォノフェニル基、メチルホスフォナトフェニル基、トリルホスフォノフェニル基、トリルホスフォナトフェニル基、アリル基、1-プロペニルメチル基、2-ブテニル基、2-メチルアリルフェニル基、2-メチルプロペニルフェニル基、2-プロピニルフェニル基、2-ブチニルフェニル基、3-ブチニルフェニル基、等を挙げることができる。
【0076】
次に、一般式(V)におけるAについて説明する。Aは置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環の具体例としては、一般式(V)中のR17、R18およびR19で記載したものと同様のものが挙げられる。
【0077】
上記一般式(V)で表される増感色素は、上に示したような酸性核や、活性メチレン基を有する酸性核と、置換、もしくは非置換の、芳香族環またはヘテロ環との縮合反応によって得られるが、これらは特公昭59-28329号公報を参照して合成することができる。
【0078】
以下に一般式(V)で表される化合物の好ましい具体例(D1)から(D41)を示す。また、酸性核と塩基性核を結ぶ2重結合による異性体については、どちらかの異性体に限定されるものではない。
【0079】
【化12】

【0080】
【化13】

【0081】
【化14】

【0082】
【化15】

【0083】
【化16】

【0084】
【化17】

【0085】
上記360nm〜450nmの光を吸収する増感色素は、感光性組成物全成分中の1.0〜10.0質量%の範囲で使用されるのが好ましい。より好ましくは1.5〜5.0質量%の範囲である。
【0086】
(D)重合開始剤
本発明に用いられる重合開始剤は、光または熱エネルギーによりラジカルを発生し、重合性不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進する化合物である。このようなラジカル発生剤としては、公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などから、適宜、選択して用いることができる。
【0087】
上記のラジカルを発生する化合物としては、例えば、有機ハロゲン化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、が挙げられる。
【0088】
上記有機ハロゲン化合物としては、具体的には、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開53−133428号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号の公報、M.P.Hutt,"Journal of Heterocyclic Chemistry",1(No.3)(1970)に記載の化合物が挙げられる。中でも、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物およびS−トリアジン化合物が好適である。
【0089】
より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、またはトリハロゲン置換メチル基が、s−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール環に結合したオキサジアゾール誘導体が挙げられる。具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンや下記化合物等が挙げられる。
【0090】
【化18】

【0091】
【化19】

【0092】
上記カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4'−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
【0093】
上記アゾ化合物としては例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
【0094】
上記有機過酸化物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシルカーボネート、3,3',4,4'−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
【0095】
上記メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)フェニル)チタニウム、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
【0096】
上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号の明細書等に記載の種々の化合物、具体的には、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ブロモフェニル))4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2'−ビス(o,o'−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−メチルフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0097】
上記有機ホウ素化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837号、特開2002−107916号の公報、特許第2764769号明細書、特開2002−116539号公報、および、Kunz,Martin"Rad Tech'98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago"等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体あるいは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が挙げられる。
【0098】
上記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号公報、特開2003−328465号公報等に記載される化合物が挙げられる。
【0099】
上記オキシムエステル化合物としては、J. C. S. Perkin II (1979 ) 1653-1660、J. C. S. Perkin II (1979) 156-162、Journal of Photopolymer Science and Technology (1995) 202-232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物が挙げられる。具体例としては、下記の構造式で示される化合物が挙げられる。
【0100】
【化20】

【0101】
上記オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号公報等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同第4,069,056号の明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の公報に記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、同第390,214号、同第233,567号、同第297,443号、同第297,442号、米国特許第4,933,377号、同第161,811号、同第410,201号、同第339,049号、同第4,760,013号、同第4,734,444号、同第2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同第3,604,580号、同第3,604,581号の明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Tech,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
【0102】
本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、イオン性のラジカル重合開始剤として機能する。
本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩である。
【0103】
【化21】

【0104】
式(RI−I)中、Ar11は置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノ基、炭素数2〜12のアルキルアミド基または炭素数7〜19のアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数6〜18のチオアリール基が挙げられる。Z11-は1価の陰イオンを表し、具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオンおよびスルフィン酸イオンが好ましい。
【0105】
式(RI−II)中、Ar21およびAr22は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノ基、炭素数2〜12のアルキルアミド基または炭素数7〜19のアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数6〜18のチオアリール基が挙げられる。Z21-は1価の陰イオンを表す。具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
【0106】
式(RI−III)中、R31、R32およびR33は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を表す。中でも反応性、安定性の面から好ましいのは、アリール基である。置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノ基、炭素数2〜12のアルキルアミド基または炭素数7〜19のアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数6〜18のチオアリール基が挙げられる。Z31-は1価の陰イオンを表す。具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性、反応性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。より好ましいものとして特開2001−343742号公報記載のカルボン酸イオン、特に好ましいものとして特開2002−148790号公報記載のカルボン酸イオンが挙げられる。
【0107】
以下に一般式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩の具体例を挙げるが
、本発明はこれらに限定されない。
【0108】
【化22】

【0109】
【化23】

【0110】
【化24】

【0111】
【化25】

【0112】
【化26】

【0113】
【化27】

【0114】
重合開始剤としては、上記に限定されないが、特に反応性、安定性の面から、トリアジン系開始剤、有機ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩がより好ましい。
【0115】
これらの重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの重合開始剤は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこに添加してもよい。これらの重合開始剤は、感光層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは0.8〜20質量%の割合で添加することができる。
【0116】
(マイクロカプセル)
本発明においては、上記の感光層構成成分および後述のその他の構成成分を感光層に含有させる方法として、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、該構成成分の一部をマイクロカプセルに内包させて感光層に添加することができる。その場合、各構成成分はマイクロカプセル内および外に、任意の比率で含有させることが可能である。
【0117】
感光層構成成分をマイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号、同第2800458号明細書にみられるコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号の各公報にみられる界面重合法による方法、米国特許第3418250号、同第3660304号明細書にみられるポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に見られるイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書にみられる尿素―ホルムアルデヒド系または尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号の各公報にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号、米国特許第3111407号明細書にみられるスプレードライング法、英国特許第952807号、同第967074号の各明細書にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0118】
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に、上記の非水溶性高分子に導入可能なエチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を有する化合物を導入してもよい。
【0119】
上記のマイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
【0120】
(その他の感光層成分)
本発明の感光層には、さらに、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。以下、それらについて説明する。
【0121】
(界面活性剤)
本発明において、感光層には、現像性の促進および塗布面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0122】
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
【0123】
本発明に用いられるアニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
【0124】
本発明に用いられるカチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
【0125】
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
【0126】
更に好ましい界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号および同60−168144号の公報に記載されているフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
【0127】
界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤の含有量は、感光層の全固形分に対して、0.001〜10質量%であるのが好ましく、0.01〜7質量%であるのがより好ましい。
【0128】
(着色剤)
本発明では、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、および特開昭62−293247号公報に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。
【0129】
これらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、画像記録材料全固形分に対し、0.01〜10質量%の割合が好ましい。
【0130】
(重合禁止剤)
本発明の感光層には、感光層の製造中または保存中において、ラジカル重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、感光層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%であるのが好ましい。
【0131】
(高級脂肪酸誘導体等)
本発明の感光層には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光層の全固形分に対して、約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
【0132】
(可塑剤)
本発明の感光層は可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。可塑剤の含有量は、感光層の全固形分に対して、約30質量%以下であるのが好ましい。
【0133】
(無機微粒子)
本発明の感光層は、画像部の硬化皮膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。これらは光熱変換性でなくても、皮膜の強化、表面粗面化による界面接着性の強化等に用いることができる。無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲内であると、感光層中に安定に分散して、感光層の膜強度を十分に保持し、印刷時の汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部を形成することができる。
上述したような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、感光層の全固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
【0134】
(低分子親水性化合物)
本発明の感光層は、現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有することができる。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類およびそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類およびその塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類およびその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類およびその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類およびその塩や、テトラエチルアミン塩酸塩等の有機4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0135】
本発明の感光層には上記以外に、たとえば共増感剤を含有することができる。
【0136】
(感光層の形成)
本発明の感光層は、必要な上記各成分を溶剤に分散または溶解して塗布液を調製し、塗布して形成される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明の感光層は、同一または異なる上記各成分を同一または異なる溶剤に分散、または溶かした塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
【0137】
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感光層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。この範囲内で、良好な感度と感光層
の良好な皮膜特性が得られる。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
【0138】
本発明における平版印刷版原版には、感光層と支持体との間の密着性や汚れ性を改善する目的で、中間層(下塗り層)を設けてもよい。また、露光を大気中で行うために、感光層の上に、更に、保護層(オーバーコート層とも呼ばれる)を設けてもよい。保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。
【0139】
〔保護層〕
本発明の平版印刷版原版には、露光時の重合反応を妨害する酸素の拡散侵入を遮断する
ため、感光層上に保護層(酸素遮断層)を設けることが好ましい。本発明に用いられる保護層は25℃、1気圧下における酸素透過性Aが1.0≦A≦20(mL/m2・day)であることが好ましい。酸素透過性Aが1.0(mL/m2・day)未満で極端に低い場合は、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。逆に、酸素透過性Aが20(mL/m2・day)を超えて高すぎる場合は感度の低下を招く。酸素透過性Aは、より好ましくは1.5≦A≦12(mL/m2・day)、更に好ましくは2.0≦A≦10.0(mL/m2・day)の範囲である。また、保護層に望まれる特性としては、上記酸素透過性以外に、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。この様な保護層に関する工夫が従来なされており、米国特許第3,458,311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
【0140】
保護層に使用できる材料としては例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどのような水溶性ポリマーが挙げられ、これらは単独または混合して使用できる。これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。
【0141】
保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100モル%加水分解され、重合繰り返し単位が300から2400の範囲のものを挙げることができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられ、これらは単独または混合して使用できる。好ましい態様としてはポリビニルアルコールの保護層中の含有率が20〜95質量%、より好ましくは、30〜90質量%である。
【0142】
また、公知の変性ポリビニルアルコールも好ましく用いることができる。例えば、カルボキシル基、スルホ基等のアニオンで変性されたアニオン変性部位、アミノ基、アンモニウム基等のカチオンで変性されたカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位等種々の親水性変性部位をランダムに有す各種重合度のポリビニルアルコール、前記のアニオン変性部位、前記のカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位、更にはアルコキシル変性部位、スルフィド変性部位、ビニルアルコールと各種有機酸とのエステル変性部位、前記アニオン変性部位とアルコール類等とのエステル変性部位、エポキシ変性部位等種々の変性部位をポリマー鎖末端に有す各種重合度のポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0143】
ポリビニルアルコールと混合して使用する成分としてはポリビニルピロリドンまたはその変性物が酸素遮断性、現像除去性といった観点から好ましく、保護層中の含有率が3.5〜80質量%、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは15〜30質量%である。
【0144】
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。上記ポリビニルアルコール(PVA)等の(共)重合体の分子量は、2000〜1000万の範囲のものが使用でき、好ましくは2万〜300万範囲のものが適当である。
【0145】
保護層の他の組成物として、グリセリン、ジプロピレングリコール等を(共)重合体に対して数質量%相当量添加して可撓性を付与することができ、また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を(共)重合体に対して数質量%添加することができる。
【0146】
また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。すなわち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の感光層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これら2層間の接着性を改良すべく種々の提案がなされている。例えば米国特許出願番号第292,501号、米国特許出願番号第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、感光層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
【0147】
さらに、本発明の平版印刷版原版における保護層には、酸素遮断性や感光層表面保護性を向上させる目的で、無機質の層状化合物を含有させることも好ましい。
ここで無機質の層状化合物とは、薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、下記一般式
A(B,C)2-5410(OH,F,O)2
〔ただし、AはK、Na、Caの何れか、BおよびCはFe(II)、Fe(III)、Mn
、Al、Mg、Vの何れかであり、DはSiまたはAlである。〕
で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、式3MgO・4SiO・H2Oで表されるタ
ルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、りん酸ジルコニウムなどが挙げられる。
【0148】
上記雲母群においては、天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母および鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg3 (AlSi310)F2、カリ四ケイ素雲母KMg2.5 Si410)F2等の非膨潤性雲母、およびNaテトラシリリックマイカNaMg2.5 (Si410)F2、NaまたはLiテニオライト(Na,Li)Mg2 Li(Si4 10)F2、モンモリロナイト系のNaまたはLiヘクトライト(Na,Li)1/8 Mg2 /5Li1/8 (Si410)F2等の膨潤性雲母等が挙げられる。更に合成スメクタイトも有用である。
【0149】
本発明においては、上記の無機質の層状化合物の中でも、合成の無機質の層状化合物であるフッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。すなわち、この膨潤性合成雲母や、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト等の膨潤性粘度鉱物類等は、10〜15Å程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他
の粘度鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にNa+、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に層間の陽イオンがLi+ 、Na+ の場合、イオン半径が小さいため層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイトおよび膨潤性合成雲母はこの傾向が強く、本発明において有用であり、特に膨潤性合成雲母が好ましく用いられる。
【0150】
本発明で使用する無機質の層状化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きいほどよい。従って、アスペクト比は20以上であり、好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、たとえば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
【0151】
本発明で使用する無機質の層状化合物の粒子径は、その平均長径が0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。例えば、無機質の層状化合物のうち、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μm程度である。
【0152】
このようにアスペクト比が大きい無機質の層状化合物の粒子を保護層に含有させると、塗膜強度が向上し、また、酸素や水分の透過を効果的に防止しうるため、変形などによる保護層の劣化を防止し、高湿条件下において長期間保存しても、湿度の変化による平版印刷版原版における画像形成性の低下もなく保存安定性に優れる。
【0153】
保護層中の無機質層状化合物の含有量は、保護層に使用されるバインダーの量に対し、質量比で5/1〜1/100であることが好ましい。複数種の無機質の層状化合物を併用した場合でも、これら無機質の層状化合物の合計量が上記の質量比であることが好ましい。
【0154】
次に、保護層に用いる無機質層状化合物の一般的な分散方法の例について述べる。まず、水100質量部に先に無機質層状化合物の好ましいものとして挙げた膨潤性の層状化合物を5〜10質量部添加し、充分水になじませ、膨潤させた後、分散機にかけて分散する。ここで用いる分散機としては、機械的に直接力を加えて分散する各種ミル、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、サンドグラインダーミル、ビスコミル、コロイドミル、ホモジナイザー、ティゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケディミル、ジェットアジター、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置等が挙げられる。上記の方法で分散した無機質層状化合物の5〜10質量%の分散物は高粘度あるいはゲル状であり、保存安定性は極めて良好である。この分散物を用いて保護層塗布液を調製する際には、水で希釈し、充分攪拌した後、バインダー溶液と配合して調製するのが好ましい。
【0155】
この保護層塗布液には、上記無機質層状化合物の他に、塗布性を向上させための界面活性剤や皮膜の物性改良のための水溶性可塑剤など、公知の添加剤を加えることができる。水溶性の可塑剤としては、例えば、プロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーを加えることもできる。さらに、この塗布液には、感光層との密着性、塗布液の経時安定性を向上するための公知の添加剤を加えてもよい。
【0156】
このように調製された保護層塗布液を、支持体上に備えられた感光層の上に塗布し、乾燥して保護層を形成する。塗布溶剤はバインダーとの関連において適宜選択することができるが、水溶性ポリマーを用いる場合には、蒸留水、精製水を用いることが好ましい。保護層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、米国特許第3,458,311号明細書または特公昭55−49729号公報に記載されている方法など公知の方法を適用することができる。具体的には、例えば、保護層は、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等が挙げられる。
【0157】
保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.05〜10g/m2 の範囲であることが好ましく、無機質の層状化合物を含有する場合には、0.1〜0.5g/m2の範囲
であることがさらに好ましく、無機質の層状化合物を含有しない場合には、0.5〜5g/m2の範囲であることがさらに好ましい。
【0158】
〔支持体〕
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体は、特に限定されず、表面が親水性である支持体(親水性支持体)、寸度的に安定な板状な親水性支持体であればよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルムおよびアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
【0159】
アルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、または、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下であるのが好ましい。本発明においては、純アルミニウム板が好ましいが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、わずかに異元素を含有するものでもよい。アルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のものを適宜利用することができる。
【0160】
支持体の厚さは0.1〜0.6mmであるのが好ましく、0.15〜0.4mmであるのがより好ましく、0.2〜0.3mmであるのが更に好ましい。
【0161】
アルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すのが好ましい。表面処理により、親水性の向上および感光層と支持体との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板を粗面化処理するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
【0162】
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中
で交流または直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
【0163】
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理を施され、更に、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
【0164】
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質の使用が可能である。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸またはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温度5〜70℃、電流密度5〜60A/d m2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/m2 であるのが好ましく、1.5〜4.0g/m2 であるのがより好ましい。この範囲内で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られる。
【0165】
本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされた陽極酸化皮膜を有する基板そのままでもよいが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層改良のため、必要に応じて、特開2001−253181号や特開2001−322365号の公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、および親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。もちろんこれら拡大処理、封孔処理は、これらに記載のものに限られたものではなく従来公知の何れの方法も行うことができる。
【0166】
封孔処理としては、蒸気封孔のほかフッ化ジルコン酸の単独処理、フッ化ナトリウムによる処理など無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、塩化リチウムを添加した蒸気封孔、熱水による封孔処理でも可能である。
なかでも、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理および熱水による封孔処理が好ましい。
【0167】
親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号および同第3,902,734号の明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケート法がある。この方法においては、支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液で浸漬処理し、または電解処理する。そのほかに、特公昭36−22063号公報に記載されているフッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号および同第4,689,272号の明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が挙げられる。
【0168】
本発明の支持体としてポリエステルフィルムなど表面の親水性が不十分な支持体を用いる場合は、親水層を塗布して表面を親水性にすることが望ましい。親水層としては、特開2001−199175号公報に記載の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモンおよび遷移金属から選択される少なくとも一つの元素の酸化物または水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層や、特開2002−79772号公報に記載の、有機親水性ポリマーを架橋あるいは疑似架橋することにより得られる有機親水性マトリックスを有する親水層や、ポリアルコキシシラン、チタネート、ジルコネートまたはアルミネートの加水分解、縮合反応からなるゾル−ゲル変換により得られる無機親水性マトリックスを有する親水層、あるいは、金属酸化物を含有する表面を有する無機薄膜からなる親水層が好ましい。中でも、珪素の酸化物または水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
【0169】
また、本発明の支持体としてポリエステルフィルム等を用いる場合には、支持体の親水性層側または反対側、あるいは両側に、帯電防止層を設けるのが好ましい。帯電防止層を支持体と親水性層との間に設けた場合には、親水性層との密着性向上にも寄与する。帯電防止層としては、特開2002−79772号公報に記載の、金属酸化物微粒子やマット剤を分散したポリマー層等が使用できる。
【0170】
支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであるのが好ましい。この範囲内で、感光層との良好な密着性、良好な耐刷性と良好な汚れ難さが得られる。
また、支持体の色濃度としては、反射濃度値として0.15〜0.65であるのが好ましい。この範囲内で、画像露光時のハレーション防止による良好な画像形成性と現像後の良好な検版性が得られる。
【0171】
〔下塗り層〕
本発明の平版印刷版原版においては、支持体上に重合性基を含有する化合物の下塗り層を設けることが好ましい。下塗り層が用いられるときは、感光層は下塗り層の上に設けられる。下塗り層は、露光部においては支持体と感光層との密着性を強化し、また、未露光部においては、感光層の支持体からの剥離を生じやすくさせるため、現像性が向上する。
下塗り層としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物などが好適に挙げられる。特に好ましい化合物として、メタクリル基、アリル基などの重合性基とスルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基などの支持体吸着性基を有する化合物が挙げられる。重合性基と支持体吸着性基に加えてエチレンオキシド基などの親水性付与基を有する化合物も好適な化合物として挙げることができる。
下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であるのが好ましく、1〜
30mg/m2であるのがより好ましい。
【0172】
〔バックコート層〕
支持体に表面処理を施した後または下塗り層を形成させた後、必要に応じて、支持体の裏面にバックコートを設けることができる。
バックコートとしては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH3 4 、Si(OC2 5 4 、Si(OC3 7 4 、Si(OC4 9 4 等のケイ素のアルコキシ化合物を用いるのが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
【0173】
<製版方法>
以下、上述の平版印刷版原版の製版方法(本発明の製版方法)について説明する。
本発明の平版印刷版原版の製版方法は、上述の平版印刷版原版を、360nm〜450nmの範囲に発振波長を有する光源を搭載した露光装置を用いて露光後、擦り部材を備えた自動処理機により、pHが2〜10の現像液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより、非露光部の感光層を除去して平版印刷版を得る。
【0174】
本発明に使用する露光装置は、360nm〜450nmの範囲に発光極大を有する光源を搭載しており、特に、日亜化学(株)などから市販されている405nmのレーザーが好ましく用いられる。
【0175】
本発明に使用する露光装置は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。また、マルチビーム露光方式で同時に画像を記録することにより、高精度な画像を高速に記録することができる。
また、本発明の平版印刷版原版の露光時において、FMスクリーンにて画像記録を行うことができる。
【0176】
本発明においては、露光処理された平版印刷版原版は、必要に応じ、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。このような加熱により、感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や、感度の安定化といった利点が生じ得る。また、感光層の上に保護層を有する場合は、現像処理前に水洗処理を行うことも好ましい。
【0177】
〔現像〕
本発明における平版印刷版原版を、画像露光した後、pHが2〜10の現像液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより、非露光部の感光層を除去し(さらに、保護層がある場合には、保護層も除去し)、アルミニウム板支持体表面に画像を形成することができる。
【0178】
本発明において用いられる現像液は、pHが2〜10の水溶液である。例えば、水単独または水を主成分(水を60質量%以上含有)とする水溶液が好ましく、特に、一般的に公知な湿し水と同様組成の水溶液、界面活性剤(アニオン系、ノニオン系、カチオン系等)を含有する水溶液や、水溶性高分子化合物を含有する水溶液が好ましい。特に、界面活性剤と水溶性高分子化合物の両方を含有する水溶液が好ましい。該現像液のpHは、より好ましくは3〜8、さらに好ましくは4〜7である。
【0179】
本発明に用いられるアニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類およびアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
【0180】
本発明に用いられるカチオン系界面活性剤としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
【0181】
本発明に用いられるノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型の高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド
付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー等や、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
これらノニオン性界面活系剤は、単独でも、2種以上を混合して用いても良い。本発明においては、ソルビトールおよび/またはソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー、多価アルコールの脂肪酸エステルがより好ましい。
【0182】
また、水に対する安定な溶解性あるいは混濁性の観点から、本発明の現像液に使用するノニオン系界面活性剤としては、HLB(Hydorophile−Lipophile
Balance)値が、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。さらに、現像液中に含有するノニオン性界面活性剤の比率は、0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。
またアセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物、フッ素系、シリコン系等の界面活性剤も同様に使用することができる。
本発明の現像液に使用する界面活性剤としては、抑泡性の観点から、ノニオン性界面活性剤が特に好適である。
【0183】
また、本発明の現像液に用いられる水溶性高分子化合物としては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)およびその変性体、プルラン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
【0184】
上記大豆多糖類は、公知ものが使用でき、例えば市販品として商品名ソヤファイブ(不二製油(株)製)があり、各種グレードのものを使用することができる。好ましく使用できるものは、10質量%水溶液の粘度が10〜100mPa/secの範囲にあるものである。
【0185】
上記変性澱粉も、公知のものが使用でき、トウモロコシ、じゃがいも、タピオカ、米、小麦等の澱粉を酸または酵素等で1分子当たりグルコース残基数5〜30の範囲で分解し、更にアルカリ中でオキシプロピレンを付加する方法等で作ることができる。
【0186】
水溶性高分子化合物は2種以上を併用することもできる。水溶性高分子化合物の現像液中における含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量
%である。
【0187】
また、本発明の現像液には、有機溶剤を含有しても良い。含有可能な有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、”アイソパーE、H、G”(エッソ化学(株)製)あるいはガソリン、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)や、極性溶剤が挙げられる。
【0188】
極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシ
エタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート、レブリン酸ブチル等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルホスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等)等が挙げられる。
【0189】
また、上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能であり、現像液に、有機溶剤を含有する場合は、安全性、引火性の観点から、溶剤の濃度は40質量%未満が望ましい。
【0190】
本発明の現像液には上記の他に、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、無機酸、無機塩などを含有することができる。
【0191】
防腐剤としては、フェノールまたはその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、ニトロブロモアルコール系の2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール等が好ましく使用できる。
【0192】
キレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることができる。上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代りに有機アミンの塩も有効である。
【0193】
消泡剤としては一般的なシリコン系の自己乳化タイプ、乳化タイプ、ノニオン系界面活性剤のHLBが5以下等の化合物を使用することができる。シリコン消泡剤が好ましい。
その中で乳化分散型および可溶化等がいずれも使用できる。
【0194】
有機酸としては、クエン酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、サリチル酸、カプリル酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸などが挙げられる。有機酸は、そのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩の形で用いることもできる。
【0195】
無機酸および無機塩としては、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム
、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケルなどが挙げられる。
【0196】
上記の現像液は、露光されたネガ型平版印刷版原版の現像液および現像補充液として用いることができ、後述の自動処理機に適用することが好ましい。自動処理機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。本発明の平版印刷版の製版方法においてもこの補充方式が好ましく適用される。
【0197】
本発明におけるpH2〜10の水溶液による現像処理は、現像液の供給手段および擦り部材を備えた自動処理機により好適に実施することができる。自動処理機としては、例えば、画像記録後の平版印刷版原版を搬送しながら擦り処理を行う、特開平2−220061号、特開昭60−59351号各公報に記載の自動処理機や、シリンダー上にセットされた画像記録後の平版印刷版原版を、シリンダーを回転させながら擦り処理を行う、米国特許5148746号、同5568768号、英国特許2297719号に記載の自動処理機等が挙げられる。なかでも、擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動処理機が特に好ましい。
【0198】
本発明に好ましく使用できる回転ブラシロールは、画像部の傷つき難さ、さらには、平版印刷版原版の支持体の腰の強さ等を考慮して適宜選択することができる。上記回転ブラシロールとしては、ブラシ素材をプラスチックまたは金属のロールに植え付けて形成された公知のものが使用できる。例えば、特開昭58−159533号公報や、特開平3−100554号公報記載のものや、実公昭62−167253号公報に記載されているような、ブラシ素材を列状に植え込んだ金属またはプラスチックの溝型材を芯となるプラスチックまたは金属のロールに隙間なく放射状に巻き付けたブラシロールが使用できる。
また、ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、および、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することができ、例えば、繊維の毛の直径は、20〜400μm、毛の長さは、5〜30mmのものが好適に使用できる。
さらに、回転ブラシロールの外径は、30〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は、0.1〜5m/secが好ましい。
また、回転ブラシロールは、2本以上の複数本用いることが好ましい。
【0199】
本発明に用いる回転ブラシロールの回転方向は、本発明の平版印刷版原版の搬送方向に対し、同一方向であっても、逆方向であってもよいが、図1に例示した自動処理機のように、2本以上の回転ブラシロールを使用する場合は、少なくとも1本の回転ブラシロールが、同一方向に回転し、少なくとも1本の回転ブラシロールが、逆方向に回転することが好ましい。これにより、非画像部の感熱層の除去が、さらに確実となる。さらに、回転ブラシロールを、ブラシロールの回転軸方向に揺動させることも効果的である。
【0200】
上記現像液の温度は、任意の温度で使用できるが、好ましくは10℃〜50℃である。
【0201】
なお、本発明において、擦り処理後の平版印刷版を、引き続いて、水洗、乾燥処理、不感脂化処理することも任意に可能である。不感脂化処理では、公知の不感脂化液を用いることができる。
【0202】
その他、本発明の平版印刷版原版からの平版印刷版の製版プロセスとしては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。この様な加熱により、該感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や感度の安定化といった利点が生じ得る。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは全面露光を行うことも有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行うことが好ましい。温度が高すぎると、非画像部迄がかぶってしまう等の問題を生じる。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は200〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる。
【0203】
上記製版プロセスについて、さらに詳述する。
本発明においては、上記の通り、露光工程の後、直ちに現像処理を行ってもよいが、露光工程と現像工程との間に加熱処理工程を設けることもできる。この加熱処理は、耐刷性を向上させ、さらに画像硬化度の版面内での均一性を高める効果があり、その条件はそれら効果のある範囲で適宜設定することができる。加熱手段としては、慣用の対流オーブン、IR照射装置、IRレーザー、マイクロ波装置、ウィスコンシンオーブン等を挙げることができる。例えば、版面到達温度が70〜150℃の範囲で、1秒〜5分間の間で保持することにより行なうことができる。好ましくは80℃〜140℃で5〜1分間、より好ましくは90℃〜130℃で10〜30秒間である。この範囲であると上記の効果を効率よく得られ、また熱による印刷版の変形などの悪影響が無い点で好ましい。
また、本発明においては上述の露光工程および、好ましくは加熱処理工程の後に、現像処理工程が施され、平版印刷版を得る。露光工程に用いられるプレートセッタ、加熱処理に用いられる加熱処理手段および現像処理工程に使用される現像装置はお互いに接続されて、自動的に連続処理されることが好ましい。具体的にはプレートセッタと、現像装置がコンベアなどの運搬手段によって結合されている製版ラインである。プレートセッタと現像装置の間に加熱処理手段が入っていても良く、加熱手段と現像装置は一体の装置となっていても良い。
【0204】
使用する印刷版が作業環境における周囲の光の影響を受け易い場合は、上記の製版ラインがフィルタまたはカバーなどで遮光されていることが好ましい。
上記のように画像形成した後、紫外線光などの活性光線で全面露光を行い、画像部の硬化促進を行っても良い。該全面露光時の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀灯、ガリウム灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、各種レーザー光などが挙げられる。さらに、十分な耐刷性を得るためには全面露光量としては少なくとも10mJ/cm2以上が好ましく、より好ましくは100mJ/cm2以上である。
上記全面露光時に同時に加熱を行ってもよく、加熱を行うことによりさらに耐刷性の向上が認められる。加熱装置としては、慣用の対流オーブン、IR照射装置、IRレーザー、マイクロ波装置、ウィスコンシンオーブン等を挙げることができる。このとき版面温度は30℃〜150℃であることが好ましく、より好ましくは、35〜130℃であり、更に好ましくは、40〜120℃である。
【0205】
以上の処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
印刷時、版上の汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、従来知られているPS版用プレートクリーナーが使用され、例えば、CL-1、CL-2、CP、CN-4
、CN、CG-1、PC-1、SR、IC(富士写真フイルム株式会社製)等が挙げられる。
【実施例】
【0206】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0207】
〔支持体1の作製〕
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
【0208】
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dm2であった。
その後、スプレーによる水洗を行った。
【0209】
次に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dm2の条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。この板を15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dm2で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥した。
【0210】
このようにして得た支持体表面の中心線平均粗さRa(JIS B0601)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
更に、下記下塗り液(1)をバー塗布した後、80℃、10秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量が10mg/m2になるよう塗布し、以下の実験に用いる下塗り層を有する支持体1を作製した。
【0211】
<下塗り液(1)>
・下記下塗り化合物(1) 0.017g
・メタノール 9.00g
・水 1.00g
【0212】
【化28】

【0213】
〔平版印刷版原版(1)の作製〕
上記の下塗り層を付与した支持体1上に、下記組成の感光層塗布液(1)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.1g/m2の感光層を形成し、こ
の上に下記組成よりなる保護層塗布液(1)を、乾燥塗布量が0.75g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃、70秒で間乾燥して平版印刷版原版(1)を得た。
【0214】
<感光層塗布液(1)>
・下記バインダーポリマー(1)Tg:35℃ 0.48g
・重合性化合物(M−1) 0.54g
・下記増感色素(1) 0.07g
・下記重合開始剤(1) 0.19g
・下記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・下記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.50g
・メチルエチルケトン 8.00g
【0215】
【化29】

【0216】
<保護層塗布液(1)>
ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500) 40g
ポリビニルピロリドン(分子量5万) 5g
ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル(1/1)分子量7万 0.5g
界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.5g
水 950g
【0217】
さらに、保護層の酸素透過率を以下の条件で測定したところ、上記保護層の酸素透過率は、3.8ml/(m2・day・atom)であった。
【0218】
(酸素透過率の測定方法)
両面を厚さ約20μmのポリエチレンでコートした厚さ約200μmの印画紙の表面に、前記光重合性層上に塗布するのと同様に各保護層を塗布、乾燥し、測定用の試料を作製した。予め測定した印画紙の酸素透過性は、下記測定条件において約700ml/(m2・day)であり、保護層における酸素透過性を測定する際には十分無視できる値であった。
このようにして得られた試料を用い、JIS K7126BおよびASTM D3985に記載の気体透過度試験方法に準じて、モコン社製OX−TRAN2/20を用いて、25℃60%RHの条件で酸素透過率〔ml/(m2・day・atom)〕を測定した。
【0219】
〔平版印刷版原版(2)の作製〕
感光層塗布液(1)を以下に示す感光層塗布液(2)に変更した以外は平版印刷版原版(1)と同様にして平版印刷版原版(2)を作製した。得られた平版印刷版原版(2)の感光層は1.2g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0220】
<感光層塗布液(2)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.50g
・重合性化合物(M−2) 0.52g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.00g
・メチルエチルケトン 3.50g
【0221】
〔平版印刷版原版(3)の作製〕
感光層塗布液(1)を以下に示す感光層塗布液(3)に変更した以外は平版印刷版原版(1)と同様にして平版印刷版原版(3)を作製した。得られた平版印刷版原版(3)の感光層は1.3g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0222】
<感光層塗布液(3)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・重合性化合物(M−3) 0.48g
・上記増感色素(1) 0.05g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.5g
・メチルエチルケトン 6.0g
【0223】
〔平版印刷版原版(4)の作製〕
感光層塗布液(1)を以下に示す感光層塗布液(4)に変更した以外は平版印刷版原版(1)と同様にして平版印刷版原版(4)を作製した。得られた平版印刷版原版(4)の感光層は1.2g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0224】
<感光層塗布液(4)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・重合性化合物(M−7) 0.45g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.5g
・メチルエチルケトン 3.0g
【0225】
〔平版印刷版原版(5)の作製〕
感光層塗布液(1)を以下に示す感光層塗布液(5)に変更した以外は平版印刷版原版(1)と同様にして平版印刷版原版(5)を作製した。得られた平版印刷版原版(5)の感光層は1.4g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0226】
<感光層塗布液(5)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・重合性化合物(M−9) 0.45g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.5g
・メチルエチルケトン 3.0g
【0227】
〔平版印刷版原版(6)の作製〕
感光層塗布液(1)を以下に示す感光層塗布液(6)に変更した以外は平版印刷版原版(1)と同様にして平版印刷版原版(6)を作製した。得られた平版印刷版原版(6)の感光層は1.0g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0228】
<感光層塗布液(6)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・重合性化合物(M−15) 0.48g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.5g
・メチルエチルケトン 6.0g
【0229】
〔平版印刷版原版(7)の作製〕
感光層塗布液(1)を以下に示す感光層塗布液(7)に変更した以外は平版印刷版原版(1)と同様にして平版印刷版原版(7)を作製した。得られた平版印刷版原版(7)の感光層は1.2g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0230】
<感光層塗布液(7)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・重合性化合物(M−16) 0.48g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.06g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 4.5g
・メチルエチルケトン 7.0g
【0231】
〔平版印刷版原版(8)の作製〕
感光層塗布液(1)を以下に示す感光層塗布液(8)に変更した以外は平版印刷版原版(1)と同様にして平版印刷版原版(8)を作製した。得られた平版印刷版原版(8)の感光層は1.3g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0232】
<感光層塗布液(8)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・重合性化合物(M−16) 0.30g
・重合性化合物(M−1) 0.18g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.06g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 4.5g
・メチルエチルケトン 7.0g
【0233】
〔平版印刷版原版(9)の作製〕
感光層塗布液(1)を以下に示す感光層塗布液(9)に変更した以外は平版印刷版原版(1)と同様にして平版印刷版原版(9)を作製した。得られた平版印刷版原版(9)の感光層は1.3g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0234】
<感光層塗布液(9)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・重合性化合物(M−16) 0.30g
・下記重合性化合物(1) 0.18g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.06g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 4.5g
・メチルエチルケトン 7.0g
【0235】
〔平版印刷版原版(10)の作製〕
感光層塗布液(1)を以下に示す感光層塗布液(10)に変更した以外は平版印刷版原版(1)と同様にして平版印刷版原版(10)を作製した。得られた平版印刷版原版(10)の感光層は1.1g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0236】
<感光層塗布液(10)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・下記重合性化合物(1) 0.48g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.06g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シク
ロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
【0237】
〔平版印刷版原版(11)の作製〕
感光層塗布液(1)を以下に示す感光層塗布液(11)に変更した以外は平版印刷版原版(1)と同様にして平版印刷版原版(11)を作製した。得られた平版印刷版原版(11)の感光層は1.0g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0238】
<感光層塗布液(11)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.50g
・下記重合性化合物(2) 0.52g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.06g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 4.5g
・メチルエチルケトン 7.0g
【0239】
〔平版印刷版原版(12)の作製〕
感光層塗布液(1)を以下に示す感光層塗布液(12)に変更した以外は平版印刷版原版(1)と同様にして平版印刷版原版(12)を作製した。得られた平版印刷版原版(12)の感光層は1.2g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0240】
<感光層塗布液(12)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.50g
・下記重合性化合物(3) 0.52g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.00g
・メチルエチルケトン 3.50g
【0241】
〔平版印刷版原版(13)の作製〕
感光層塗布液(1)を以下に示す感光層塗布液(13)に変更した以外は平版印刷版原版(1)と同様にして平版印刷版原版(13)を作製した。得られた平版印刷版原版(13)の感光層は1.3g/m乾燥塗布量を有していた。
【0242】
<感光層塗布液(13)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・下記重合性化合物(4) 0.48g
・上記増感色素(1) 0.05g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.5g
・メチルエチルケトン 6.0g
【0243】
〔平版印刷版原版(14)の作製〕
感光層塗布液(1)を以下に示す感光層塗布液(14)に変更した以外は平版印刷版原版(1)と同様にして平版印刷版原版(14)を作製した。得られた平版印刷版原版(14)の感光層は1.2g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0244】
<感光層塗布液(14)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・下記重合性化合物(5) 0.45g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.5g
・メチルエチルケトン 3.0g
【0245】
【化30】

【0246】
〔平版印刷版原版(15)の作製〕
上記感光層塗布液(1)を下記組成の感光層塗布液(15)に変更した以外は、平版印刷版原版(1)の作製と同様にして、平版印刷版原版(15)を得た。得られた平版印刷版原版(15)の感光層は1.1g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0247】
<感光層塗布液(15)>
・上記バインダーポリマー(1) 3.00g
・重合性化合物(M−1) 6.20g
・上記増感色素(1) 0.10g
・上記重合開始剤(1) 0.20g
・ロイコクリスタルバイオレット 0.20g
・上記のフッ素系界面活性剤(1) 0.10g
・下記のマイクロカプセル液(1) 25.00g
・メチルエチルケトン 35.00g
・1−メトキシー2−プロパノール 35.00g
【0248】
(マイクロカプセル(1)の合成)
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N)10g、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート(東亜合成(株)製アロニックスM−215)4.15g、およびパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液(3)の固形分濃度を、20質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.25μmであった。
【0249】
〔平版印刷版原版(16)の作製〕
上記感光層塗布液(15)を下記組成の感光層塗布液(16)に変更した以外は、平版印刷版原版(15)の作製と同様にして、平版印刷版原版(16)を得た。得られた平版
印刷版原版(16)の感光層は1.2g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0250】
<感光層塗布液(16)>
・上記バインダーポリマー(1) 3.00g
・重合性化合物(M−19) 6.00g
・上記増感色素(1) 0.10g
・上記重合開始剤(1) 0.20g
・ロイコクリスタルバイオレット 0.20g
・上記のフッ素系界面活性剤(1) 0.10g
・上記のマイクロカプセル液(1) 25.00g
・メチルエチルケトン 35.00g
・1−メトキシー2−プロパノール 35.00g
【0251】
〔平版印刷版原版(17)の作製〕
上記感光層塗布液(15)を下記組成の感光層塗布液(17)に変更した以外は、平版印刷版原版(15)の作製と同様にして、平版印刷版原版(17)を得た。得られた平版印刷版原版(17)の感光層は1.1g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0252】
<感光層塗布液(17)>
・上記バインダーポリマー(1) 3.00g
・上記重合性化合物(1) 6.20g
・上記増感色素(1) 0.10g
・上記重合開始剤(1) 0.20g
・ロイコクリスタルバイオレット 0.20g
・上記のフッ素系界面活性剤(1) 0.10g
・上記のマイクロカプセル液(1) 25.00g
・メチルエチルケトン 35.00g
・1−メトキシー2−プロパノール 35.00g
【0253】
〔平版印刷版原版(18)の作製〕
上記感光層塗布液(15)を下記組成の感光層塗布液(18)に変更した以外は、平版印刷版原版(15)の作製と同様にして、平版印刷版原版(18)を得た。得られた平版印刷版原版(18)の感光層は1.2g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0254】
<感光層塗布液(18)>
・上記バインダーポリマー(1) 3.00g
・上記重合性化合物(4) 6.00g
・上記増感色素(1) 0.10g
・上記重合開始剤(1) 0.20g
・ロイコクリスタルバイオレット 0.20g
・上記のフッ素系界面活性剤(1) 0.10g
・上記のマイクロカプセル液(1) 25.00g
・メチルエチルケトン 35.00g
・1−メトキシー2−プロパノール 35.00g
【0255】
〔平版印刷版原版(19)の作製〕
上記感光層塗布液(15)を下記組成の感光層塗布液(19)に変更し、上記保護層塗布液(1)を下記組成の保護層塗布液(2)に変更し、乾燥塗布量が0.2g/m2とな
るようにバーを用いて塗布した以外は、平版印刷版原版(15)の作製と同様にして、平版印刷版原版(19)を得た。得られた平版印刷版原版(19)の感光層は1.1g/m
2乾燥塗布量を有していた。
【0256】
<感光層塗布液(19)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・重合性化合物(M−18) 0.45g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
【0257】
<保護層塗布液(2)>
・下記雲母分散液(1) 13.00g
・ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500) 1.30g
・2−エチルヘキシルスルホコハク酸ソーダ 0.20g
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル=1/1)分子量7万 0.05g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.05g
・水 133.00g
【0258】
(雲母分散液(1)の調製)
水368gに合成雲母(「ソマシフME−100」:コープケミカル社製、アスペクト比:1000以上)32gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)0.5μmになるまで分散し、雲母分散液(1)を得た。
【0259】
〔平版印刷版原版(20)の作製〕
上記感光層塗布液(19)を下記組成の感光層塗布液(20)に変更した以外は、平版印刷版原版(19)の作製と同様にして、平版印刷版原版(20)を得た。得られた平版印刷版原版(20)の感光層は1.2g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0260】
<感光層塗布液(20)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・重合性化合物(M−6) 0.50g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
【0261】
〔平版印刷版原版(21)の作製〕
上記感光層塗布液(19)を下記組成の感光層塗布液(21)に変更した以外は、平版印刷版原版(19)の作製と同様にして、平版印刷版原版(21)を得た。得られた平版印刷版原版(21)の感光層は1.1g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0262】
<感光層塗布液(21)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・上記重合性化合物(2) 0.45g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
【0263】
〔平版印刷版原版(22)の作製〕
上記感光層塗布液(19)を下記組成の感光層塗布液(22)に変更した以外は、平版印刷版原版(19)の作製と同様にして、平版印刷版原版(22)を得た。得られた平版印刷版原版(22)の感光層は1.2g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0264】
<感光層塗布液(22)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・上記重合性化合物(5) 0.50g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
【0265】
〔平版印刷版原版(23)の作製〕
下記支持体2上に、下記組成の感光層塗布液(23)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.1g/m2の感光層を形成し、この上に上記組成よりなる保護層塗布液(2)を、乾燥塗布量が0.75g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃、70秒で間乾燥して平版印刷版原版(23)を得た。
【0266】
<感光層塗布液(23)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・重合性化合物(M−1) 0.40g
・重合性化合物(M−6) 0.08g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・下記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
【0267】
〔支持体2の作製〕
厚さ0.3mmのアルミニウム板を10質量%水酸化ナトリウムに60℃で25秒間浸漬してエッチングし、流水で水洗後、20質量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後30質量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20質量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2の条件で陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように、2分間陽極酸化処理した。その表面の中心線平均粗さ(Ra)を測定したところ、0.3μmであった。
このように処理されたアルミニウム板に、下記下塗り液(2)をバー塗布した後、80℃、20秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量が10mg/m2になるよう塗布し、支持体2を作製した。
【0268】
<下塗り液(2)>
・下記ゾル液 100g
・メタノール 900g
【0269】
(ゾル液)
・ホスマーPE(ユニケミカル(株)製) 5g
・メタノール 45g
・水 10g
・85質量%リン酸 5g
・テトラエトキシシラン 20g
・3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン 15g
【0270】
〔平版印刷版原版(24)作製〕
上記感光層塗布液(23)を下記組成の感光層塗布液(24)に変更した以外は、平版印刷版原版(23)の作製と同様にして、平版印刷版原版(24)を得た。得られた平版印刷版原版(24)の感光層は1.1g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0271】
<感光層塗布液(24)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・重合性化合物(M−16) 0.48g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.5g
・メチルエチルケトン 6.0g
【0272】
〔平版印刷版原版(25)の作製〕
上記感光層塗布液(23)を下記組成の感光層塗布液(25)に変更した以外は、平版印刷版原版(23)の作製と同様にして、平版印刷版原版(25)を得た。得られた平版印刷版原版(25)の感光層は1.1g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0273】
<感光層塗布液(25)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・上記重合性化合物(1) 0.40g
・上記重合性化合物(4) 0.08g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・下記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
【0274】
〔平版印刷版原版(26)の作製〕
上記感光層塗布液(23)を下記組成の感光層塗布液(26)に変更した以外は、平版印刷版原版(23)の作製と同様にして、平版印刷版原版(26)を得た。得られた平版印刷版原版(26)の感光層は1.1g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0275】
<感光層塗布液(26)>
・上記バインダーポリマー(1) 0.54g
・上記重合性化合物(5) 0.48g
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.5g
・メチルエチルケトン 6.0g
【0276】
〔平版印刷版原版(27)の作製〕
上記感光層塗布液(1)中のバインダーポリマー(1)を下記バインダーポリマー(2)に変更した以外は、平版印刷版原版(1)の作製と同様にして、平版印刷版原版(27)を得た。得られた平版印刷版原版(27)の感光層は1.1g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0277】
〔平版印刷版原版(28)の作製〕
上記感光層塗布液(1)中のバインダーポリマー(1)を下記バインダーポリマー(3)に変更した以外は、平版印刷版原版(1)の作製と同様にして、平版印刷版原版(28)を得た。得られた平版印刷版原版(28)の感光層は1.1g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0278】
〔平版印刷版原版(29)の作製〕
上記感光層塗布液(1)中のバインダーポリマー(1)を下記バインダーポリマー(4)に変更した以外は、平版印刷版原版(1)の作製と同様にして、平版印刷版原版(29)を得た。得られた平版印刷版原版(29)の感光層は1.1g/m乾燥塗布量を有していた。
【0279】
〔平版印刷版原版(30)の作製〕
上記感光層塗布液(1)中のバインダーポリマー(1)を下記バインダーポリマー(5)に変更した以外は、平版印刷版原版(1)の作製と同様にして、平版印刷版原版(30)を得た。得られた平版印刷版原版(30)の感光層は1.1g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0280】
〔平版印刷版原版(31)の作製〕
上記感光層塗布液(1)中のバインダーポリマー(1)を下記バインダーポリマー(6)に変更した以外は、平版印刷版原版(1)の作製と同様にして、平版印刷版原版(31)を得た。得られた平版印刷版原版(31)の感光層は1.1g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0281】
〔平版印刷版原版(32)の作製〕
上記感光層塗布液(1)中のバインダーポリマー(1)を下記バインダーポリマー(7)に変更した以外は、平版印刷版原版(1)の作製と同様にして、平版印刷版原版(32)を得た。得られた平版印刷版原版(32)の感光層は1.1g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0282】
〔平版印刷版原版(33)の作製〕
上記感光層塗布液(1)中のバインダーポリマー(1)を下記バインダーポリマー(8)に変更した以外は、平版印刷版原版(1)の作製と同様にして、平版印刷版原版(33)を得た。得られた平版印刷版原版(33)の感光層は1.1g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0283】
〔平版印刷版原版(34)の作製〕
上記感光層塗布液(1)中のバインダーポリマー(1)を下記バインダーポリマー(9
)に変更した以外は、平版印刷版原版(1)の作製と同様にして、平版印刷版原版(34)を得た。得られた平版印刷版原版(34)の感光層は1.1g/m2乾燥塗布量を有していた。
【0284】
【化31】

【0285】
〔実施例1〜23、比較例1〜11〕
(1)露光、現像および印刷
上記平版印刷版原版(1)〜(34)各々について、出力100mWの405nm半導体レーザーを用いて、エネルギー密度を変えて画像様露光を行った。
その後、下記組成の現像液(1)を用い、図1に示す構造の自動現像処理機にて、現像処理を実施した。現像液のpHは、約5であった。自動現像処理機は、回転ブラシロールを2本有する自動処理機であり、回転ブラシロールとしては、1本目のブラシロールに、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径90mmのブラシロールを用い、搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.94m/sec)させ、2本目のブラシロールには、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径60mmのブラシロールを用い、搬送方向と反対方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.63m/sec)させた。
現像液は、循環ポンプによりスプレーパイプからシャワーリングして、版面に供給した。現像液のタンク容量は、10リットルであった。
【0286】
<現像液(1)>
・水 100.00g
・ベンジルアルコール 1.00g
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル
(オキシエチレン平均数n=13) 1.00g
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.50g
・アラビアガム 1.00g
・エチレングリコール 0.50g
・第1リン酸アンモニウム 0.05g
・クエン酸 0.05g
・エチレンジアミンテトラアセテート4ナトリウム塩 0.05g
【0287】
次いで、現像後の平版印刷版を、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mに取り付け、湿し水(EU−3(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行った。
【0288】
(2)評価
先に作製した平版印刷版原版を用いて、現像性、感度、耐刷性を下記のように評価した。結果を表1に示す。
【0289】
<現像性>
上記現像条件において、平版印刷版原版の非画像部を完全に除去するために必要な搬送速度により現像性を評価した。搬送速度が速い程、現像性が高いことを示す。
【0290】
<感度>
上記の通り100枚印刷を行って、非画像部にインキ汚れがない印刷物が得られたことを確認した後、続けて500枚の印刷を行った。合計600枚目の印刷物において、画像部のインキ濃度にムラがない露光量を感度として計測した。
【0291】
<耐刷性>
上述したように印刷枚数を増やしていくと、徐々に画像記録層が磨耗し、インキ受容性が低下するため、印刷用紙におけるインキ濃度が低下した。インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により、耐刷性を評価した。
【0292】
【表1】

【0293】
表1より明らかなように、本発明のCON基を有するラジカル重合性化合物を用いると、用いていない平版印刷版原版に比べて、現像性、感度、耐刷性が向上する。
【0294】
〔実施例24〕
画像露光を行った後、30秒以内に、平版印刷版原版をオーブンに入れ、熱風を吹き付けて平版印刷版原版の全面を加熱し、110℃に、15秒間保持した。その後、30秒以内に、実施例1と同様の現像処理を行う以外は、実施例1と同様に、露光、現像、印刷及び評価を実施した。加熱処理することで、現像性は変わらず130cm/min、感度は、0.05mJ/cm2、耐刷性は12万枚であった。
【0295】
〔実施例25〕
平版印刷版原版(1)をFUJIFILM Electronic Imaging Ltd 製Violet半導体レーザープレートセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー405nm±10nm発光/出力30mWを搭載)により画像露光を実施した。画像は、解像度2438dpiで、富士写真フイルム(株)製FMスクリーン(TAFFETA 20)を用い、35%の平網を、版面露光量0.05mJ/cm2で描画した。露光後の平版印刷版原版を画像露光後、30分以内に、富士写真フイルム(株)製自動現像機LP1250PLXを用いて、現像処理を実施した。前記自動現像機は、加熱ユニット/水洗ユニット/現像ユニット/リンスユニット/フィニッシングユニットの順番に構成されており、加熱ユニットの加熱条件は、100℃、10秒間で行い、水洗ユニット、現像ユニット、リンスユニット/フィニッシングユニットの全ての浴には、前記現像液(1)を仕込んで実施した。現像液の温度は、28℃であり、平版印刷版の搬送は、搬送速度130cm/minで行った。さらに、上記条件で印刷を行った。耐刷性は12万枚であった。
【図面の簡単な説明】
【0296】
【図1】自動現像処理機の構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0297】
61 回転ブラシロール
62 受けロール
63 搬送ロール
64 搬送ガイド板
65 スプレーパイプ
66 管路
67 フィルター
68 給版台
69 排版台
70 現像液タンク
71 循環ポンプ
72 版

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性支持体上に、
(A)アミド基、ウレタン基、ウレア基、バルビツル酸基からなる群より選ばれた少なくとも一種を有するラジカル重合性化合物、
(B)酸価が0.3meq/g以下であるバインダーポリマー、
(C)360〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素、及び
(D)開始剤化合物
を含有する感光層と保護層とをこの順に有する平版印刷版原版を、360〜450nmのレーザーで画像露光した後、擦り部材を備えた自動処理機により、pHが2〜10の現像液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより、保護層および非露光部の感光層を除去することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
【請求項2】
バインダーポリマー(B)が重量平均分子量1万以上、ガラス転移点(Tg)80℃以下のポリマ−であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の作製方法。
【請求項3】
バインダーポリマー(B)が、更に、ラジカル重合性基を有することを特徴とする請求項2に記載の平版印刷版の作製方法。
【請求項4】
露光から現像までの間に、さらに、露光された平版印刷版原版を加熱処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版の作製方法。
【請求項5】
親水性支持体上に、(A)アミド基、ウレタン基、ウレア基、バルビツル酸基からなる群より選ばれた少なくとも一種を有するラジカル重合性化合物、(B)酸価が0.3meq/g以下であるバインダーポリマー、(C)360〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素、及び(D)開始剤化合物を含有する感光層と、保護層とをこの順に有する平版印刷版原版を、360〜450nmのレーザーで画像露光した後、擦り部材を備えた自動処理機により、pHが2〜10の現像液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより、保護層および非露光部の感光層を除去することを特徴とする平版印刷版原版。
【請求項6】
露光から現像までの間に、さらに、露光された平版印刷版原版を加熱処理することを特徴とする請求項5に記載の平版印刷版原版。

【図1】
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【公開番号】特開2007−293222(P2007−293222A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−123826(P2006−123826)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】