説明

平版印刷用原版の製造方法

【課題】 連続搬送している帯状プラスチックフィルム支持体(以下、支持体とも言う)上にフィラーを含有する塗布液を用いて塗布を行う際、擦り傷の発生もなく、塗布装置内でのフィラーの沈殿もなく、長時間の連続塗布が可能な塗布装置を用いた塗布方法により、少なくとも親水性層、画像形成層を順次設けてなる平版印刷用原版の製造方法の提供。
【解決手段】 連続搬送している帯状プラスチックフィルム支持体上にフィラーを含有する塗布液を塗布装置を用いて塗布し、少なくとも親水性層、画像形成層を順次設けてなる平版印刷用原版の製造方法において、前記塗布装置がアトマイザー方式の噴霧装置であることを特徴とする平版印刷用原版の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続搬送している帯状プラスチックフィルム支持体上にフィラーを含有する塗布液を塗布装置を用いて塗布し、少なくとも親水性層、画像形成層を順次設けてなる平版印刷用原版の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷工程は、原稿画像からネガもしくはポジフィルムを作製し、フィルムを介してアルミ砂目支持体上に感光層を有する平版印刷版材料(平版印刷版原版)に画像を露光し、アルカリ性現像液で現像処理を行うことで平版印刷版を作製し、これを印刷機に取り付け印刷するという手順で行われてきた。
【0003】
近年、コンピューターの普及に伴い、フィルムを介さずに原稿画像データを直接印刷版に描画するコンピューター・トゥー・プレート(CTP)技術が普及しつつあり、フィルム作製に要していた時間短縮、コスト削減が可能となってきている。一方、印刷物のニーズとして、数千枚〜1万枚程度の刷り枚数で多種の高品質画像を印刷する、少部数多品種の傾向が高くなってきた。このため、描画時間が短く、高解像度が得られるヒートモードレーザー記録を用いた刷版作製がCTPの主流となりつつある。
【0004】
CTPの普及と同期して印刷環境もオフィス化が進み、又環境適性の面からもアルカリ現像液を必要としない、更には全く現像処理を必要としない平版印刷版原版が望まれるようになってきた。
【0005】
CTP用に使用する平版印刷版原版の層構成としては、種々の層構成が知られている。例えば、特開平9−131850号、特開平9−127683号には、親水性層を有する支持体上に、熱溶融性物質の粒子(熱溶融性粒子とも言う)を含有し、水で現像可能な画像形成層を有する平版印刷版原版が開示されている。特開平11−109642号には、支持体上に粒子径が0.5〜20μmで、ゴム弾性を有するフィラー粒子を含有させた画像部と非画像部を形成する層を有する平版印刷版原版が開示されている。特開2000−221666には、印刷適正を向上させるために水分散性フィラーを含有した親水性層の上に画像形成層を設けた平版印刷版原版が開示されている。
【0006】
これらの平版印刷版原版は、レーザー光源で画像露光した後、印刷機の版胴に取り付け、インキ、湿し水を用いて印刷機上で現像処理をすることにより平版印刷版を作製し印刷を行うことが可能となっている。このため、これらの平版印刷版原版を用いた印刷システムは別に現像処理で平版印刷版を作製する必要がないため、作業者にとっては現像処理の煩雑さを感じさせない印刷システムとなっている。
【0007】
印刷性能を向上させるために塗布液にフィラーを添加して、支持体上への塗布は例えばディップ塗布装置、ローラ塗布装置、ファウンテン塗布装置、グラビア塗布装置、ブレード塗布装置、バー塗布装置、スライド塗布装置、エクストルージョン塗布装置等を使用し塗工しているが、問題点としてフィラーが塗布液の溶媒よりも重いため沈降し易いことが挙げられる。フィラーが沈降した塗布液を使用した場合、塗膜中のフィラーの分布が一定でない親水性層となるため、この親水性層上に画像形成層を設けた平版印刷版原版から作製された平版印刷版は印刷適正が部分的に異なる様になるため使用不可になってしまう場合がある。代表的な塗布装置であるバー塗布装置とエクストルージョン塗布装置の概略を図12、図13で説明する。
【0008】
図12はバー塗布装置を使用し平版印刷版原版を作製する製造方法の模式図である。
【0009】
図中、1は製造装置を示す。製造装置1は支持体供給部1aと、塗布部1bと、乾燥部1cと、巻き取り部1dと、塗布液供給部1eとを有している。塗布部1bは支持体供給部1aから連続的に搬送される帯状支持体1a1に過剰量の塗布液を塗布する塗布装置1b1と、過剰量の塗布液を掻き落とし塗布する掻き取り部1b2とを有している。1b11は塗布液バットを示し、1b12は塗布液を示す。1b13は搬送される帯状支持体1a1に塗布液1b12を塗布するアプリケーターロールを示す。1b14はアプリケーターロール1b13により帯状支持体1a1に過剰量塗布された塗布液(一次膜)を示す。
【0010】
掻き取り部1b2はバー1b21とバー1b21の支持部材1b22とを有している。バー1b21は、幅方向に均一に塗布するために、帯状支持体1a1の全幅にバー1b21が均一に接触し、過剰の塗布液(一次膜)1b14を均一に掻き落とすことが可能となっている。このバー1b21により帯状支持体1a1に過剰量塗布された塗布液(一次膜)1b14が掻き落とされて、所望の乾燥前の膜厚(2次膜)1b15が得られる。この場合バー1b21は帯状支持体の走行方向とは逆方向にゆっくりと回転している。所望の膜厚(2次膜)1b15を塗布した支持体はその後、乾燥部1cで乾燥され、巻き取り部1dで巻き取られることで、平版印刷版原版の製造が行われる。本図で示されるバー塗布装置の場合の問題点として、塗布液バット1b11内でのフィラーの沈殿と、バー1b21による擦り傷が挙げられる。
【0011】
図13はエクストルージョン塗布装置を使用し平版印刷版原版を作製する製造方法の模式図である。
【0012】
図中、2は製造装置を示す。製造装置2は支持体供給部2aと、塗布部2bと、乾燥部2cと、巻き取り部2dと、塗布液供給部2eとを有している。塗布部2bは支持体供給部2aから連続的に搬送される帯状支持体2a1に塗布液を塗布するエクストルージョン塗布装置2b1と、帯状支持体2a1を支持するバックアップロール2b2とを有している。2e1は塗布液タンクを示し、2e2は撹拌機を示す。2e3はエクストルージョン塗布装置2b1に塗布液を送液するポンプを示す。送られてきた塗布液は、エクストルージョン塗布装置2b1の液溜まり部2b11に一旦溜まり、帯状支持体2a1の幅方向に広がりスリットから押し出され非接触で塗布が行われる。その後、塗膜を形成した支持体は、乾燥部2cで乾燥され、巻き取り部2dで巻き取られることで、平版印刷版原版の製造が行われる。本図で示される非接触方式のエクストルージョン塗布装置の場合の問題点として、接触方式のバー塗布装置と異なり液溜まり部2b11でのフィラーの沈殿が挙げられる。
【0013】
この様に分散物等を含む塗布液において、これらの分散物の沈降を防止し、安定性を維持する方法としては一般的に次の様な技術が知られている。例えば、特開2000−314938には、バインダーの50質量%以上としてガラス転移点温度−30℃以上40℃以下のポリマーラテックスを含む塗布液の沈殿防止に増粘剤を添加する技術が開示されている。特開2002−99051には、ゼラチン水溶液、コロイド銀分散物、有機固体微粒子分散物を含むハロゲン化銀写真感光材料の塗布液の安定性のために増粘剤を使用する技術が開示されている。特開2000−314938には、有機バインダー、ガラスフリットを含有する塗布組成物においてガラスフリットの沈降を防止するために沈降防止剤を使用する技術が開示されている。
【0014】
これら一般に知られている増粘剤又は沈降防止剤を平版印刷版原版用の画像形成層及び親水性層等の塗布液に使用した場合、フィラーの沈降防止には効果を示すが、次の欠点を有している。1)増粘剤の添加量により塗布液の粘度が異なるため、付き量を調整するのが困難となる。2)フィラーの添加量に対応して増粘剤の添加量を変えなければならず層の改質が困難となる。3)増粘剤の添加量が変わる毎に塗布性が変わるため、その都度塗布条件を見直さなければならず生産性が悪くなる。
【0015】
増粘剤又は沈降防止剤を使用した場合、上記の欠点有しているため、増粘剤又は沈降防止剤に頼ることなく、塗布液中のフィラーの沈殿を防止する技術がこれまでに検討されてきた。例えば、塗布装置として、バー塗布装置、エクストルージョン塗布装置等を使用し、フィラーを含む塗布液を塗布する際、フィラーの沈殿を防止するために塗布装置に送る直前に、塗布液を撹拌羽根を使用し撹拌する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0016】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、接触方式の塗布装置であるバー塗布装置及び非接触方式の塗布装置であるエクストルージョン塗布装置ではそれぞれに対応を必要とする問題点に対しては不十分となっている。接触方式の塗布装置であるバー塗布装置では、一次膜を形成するのに供給される塗布液ではフィラーの沈殿が防止される安定した塗布が可能となるが、一次膜を形成している過剰な塗布液をバー掻き取る際、下層の塗膜にバーが接触することで塗膜面に発生する擦り傷が一次膜が安定することで目立つ様になり、最終の検査で擦り傷が発生した箇所を切除しなければならず、生産効率の低下及び煩雑な検査が増え作業効率の低下が発生する。非接触方式のスライド塗布装置、エクストルージョン塗布装置では、連続塗布を行った場合、エクストルージョン塗布装置の液溜まり部にフィラーの沈殿が発生することで長時間の連続塗布を行うことが難しくなっている。
【0017】
この様な状況から、フィラーを含有する塗布液を用いて塗布を行う際、擦り傷の発生もなく、塗布装置内でのフィラーの沈殿もなく、長時間の連続塗布が可能な塗布装置を用いた塗布方法により、少なくとも親水性層、画像形成層を順次設けてなる平版印刷用原版の製造方法の開発が望まれている。
【特許文献1】特開2004−142384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は、連続搬送している帯状プラスチックフィルム支持体(以下、支持体とも言う)上にフィラーを含有する塗布液を用いて塗布を行う際、擦り傷の発生もなく、塗布装置内でのフィラーの沈殿もなく、長時間の連続塗布が可能な塗布装置を用いた塗布方法により、少なくとも親水性層、画像形成層を順次設けてなる平版印刷用原版の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
【0020】
(請求項1)
連続搬送している帯状プラスチックフィルム支持体上にフィラーを含有する塗布液を塗布装置を用いて塗布し、少なくとも親水性層、画像形成層を順次設けてなる平版印刷用原版の製造方法において、
前記塗布装置がアトマイザー方式の噴霧装置であることを特徴とする平版印刷用原版の製造方法。
【0021】
(請求項2)
前記噴霧装置が1流体型アトマイザー方式であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【0022】
(請求項3)
前記1流体型アトマイザー方式の噴霧装置の塗布液供給量が10〜500ml/minで、且つ、アウターシェルの周速が10〜100m/secであることを特徴とする請求項2に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【0023】
(請求項4)
前記噴霧装置が2流体型アトマイザー方式であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【0024】
(請求項5)
前記2流体型アトマイザー方式の塗布液と気体との混合比が、1:1〜1:106で、且つ、該塗布液の流量が0.1〜100ml/min、気体の流量が0.1〜106であることを特徴とする請求項4に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【0025】
(請求項6)
前記噴霧装置が超音波アトマイザー方式の噴霧装置であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【0026】
(請求項7)
前記超音波アトマイザー方式の噴霧装置のノズル部の発信周波数が10〜200kHzであることを特徴とする請求項6に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【0027】
(請求項8)
前記フィラーは親水性を持つ物質で構成され、且つ、無機粒子を含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【0028】
(請求項9)
前記フィラーの比重が塗布液の溶媒の比重に対して1.5〜5.0倍であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【0029】
(請求項10)
前記塗布液は、フィラーを1〜50質量%含んでいることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【0030】
(請求項11)
前記塗布液は、ゾルゲル分散性を有し、粘度が0.1-4〜5×10-2Pa・sであることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【発明の効果】
【0031】
連続搬送している帯状プラスチックフィルム支持体(以下、支持体とも言う)上にフィラーを含有する塗布液を用いて塗布を行う際、擦り傷の発生もなく、塗布装置内でのフィラーの沈殿もなく、長時間の連続塗布が可能な塗布装置を用いた塗布方法により、少なくとも親水性層、画像形成層を順次設けてなる平版印刷用原版の製造方法を提供することが出来、高品質、高生産性の平版印刷用原版の製造が可能となりコスト低減が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の実施の形態を図1〜図11を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
図1は平版印刷版原版の構成の一例を示す概略図である。図1の(a)は画像部と非画像部とを発現する層を分離して設けられた構成を示す概略図である。図1の(b)は画像部と非画像部とを発現する層が同一層として設けられた構成を示す概略図である。
【0034】
図中、3a、3bは平版印刷版原版を示す。平版印刷版原版3aは、エネルギーを与えられることで画像部を発現する画像形成層3a1と、非画像部を発現する親水性層3a2と、支持体3a3とを有する層構成となっている。
【0035】
平版印刷版原版3bは、エネルギーを与えられることで画像部と、非画像部を発現する画像形成層3b1と、支持体3b2とを有する層構成となっている。画像形成層3b1は、画像形成機能の他に親水性層としての機能を有しており、エネルギーを与えられた箇所に画像が形成され、エネルギーを与えられなかった箇所は親水性となり平版印刷版を作製する過程で除去される。フィラーを含有する層としては、図1の(a)の場合は親水性層3a2であり、図1の(b)の場合は画像形成層3b1である。親水性層とは、印刷時に水、インキに対して、水に親和性のある層を示し、画像形成層とは、レーザー露光により熱で溶融する物質を含む層を示す。
【0036】
図2は1流体型アトマイザー方式の噴霧装置を使用した平版印刷用原版の製造方法の模式図である。
【0037】
図中、4は製造装置を示す。製造装置4は支持体4a1の供給部4aと、塗布部4bと、乾燥部4cと、巻き取り部4dと、塗布液供給部4eとを有している。塗布部4bは非接触方式の1流体型アトマイザー方式の噴霧装置4b1と、バックアップロール4b2とを有している。塗布液供給部4eは、撹拌機4e1を有する塗布液供給タンク4e2と、撹拌機4e3を有する塗布液調製タンク4e4と、送液ポンプ4e5とを有している。4e6は噴霧装置4b1より塗布に関与しなかった塗布液を塗布液供給タンク4e2に回収する回収管を示す。塗布液供給タンク4e2の塗布液は送液ポンプ4e5によりフィルター4e7と流量計4e8を介して噴霧装置4b1に供給される。塗布液調製タンク4e4で調製した塗布液は塗布液供給タンク4e2の使用量に応じて塗布液供給タンク4e2へ補充される様になっている。
【0038】
尚、本図はバックアップロール4b2に支持された支持体4a1の片側に塗布機4b1により塗布する場合を示しているが、支持体4a1をバックアップロール4b2の代わりに2本の支持ロールで保持し、支持ロールで保持されている間の領域に支持体4a1の表側と裏側に塗布機4b1を配設し、両面同時塗布を行うことも可能である。
【0039】
本図に示される製造装置4を使用して、図1(a)に示される平版印刷版原版3aの親水性層3a2を支持体上に形成する迄の概略を説明する。供給部4aに用意されたロール状の支持体4a2から繰り出された支持体4a1は、塗布部4bでバックアップロール4b2で支持された部分に噴霧装置4b1により親水性層形成用の塗布液が塗布されウエット塗膜4a3が形成される。この後、乾燥部4cでウエット塗膜4a3から溶媒を蒸発除去し、ドライ塗膜(親水性層)4a4を形成する。この後、巻き取り部4dで巻き取られる。乾燥部4cは、乾燥ボックス4c1と、支持体4a1の裏面側を支持し搬送する搬送ロール4c2と、乾燥用気体供給口4c3と、乾燥用気体排出口4c4とを有している。この後、形成された親水性層上に画像形成層を同じ方法で塗布、乾燥することで図1(a)に示される平版印刷版原版3aが作製される。尚、塗布が行われている間は、塗布液供給タンク4e2及び塗布液調製タンク4e2の中でフィラーの沈殿を防止するために撹拌機により撹拌を続けることが好ましい。
【0040】
図3は図2のJで示される部分の拡大概略斜視図である。図3の(a)は1流体型アトマイザー方式の噴霧装置を使用した場合の図2のJで示される部分の拡大概略斜視図である。図3の(b)は、図3の(a)に示される噴霧装置の拡大概略斜視図である。
【0041】
図中、4b11は1流体型アトマイザー方式の噴霧装置4b1の本体を示し、5a〜5eは本体4b11に収納されている1流体型アトマイザー方式の噴霧器を示す。1流体型アトマイザー方式の噴霧装置4b1は、本体4b11と噴霧器5a〜5eとを有している。本体4b11に収納される噴霧器5a〜5eの数は塗布幅に応じて適宜選択が可能である。本図の場合は5台の噴霧器5a〜5eを横一列に配置した場合を示している。
【0042】
501は噴霧器5a〜5eのアウターシェル5a2(図5を参照)を回転させるベルトを示し、本体4b11に収納されている5台の噴霧器5a〜5eを全て回転させる用に取り付けられている。6はベルト501の駆動用のモータを示す。502は噴霧器5a〜5eに塗布液を供給する供給管を示す。噴霧器5a〜5eへ塗布液を供給する方法は、各噴霧器に均等に塗布液が供給することが出来れば特に限定はない。本図の場合は、1本の供給管502で本体4b11まで塗布液を供給した後、分岐し各噴霧器に供給する方法を示している。勿論、各噴霧器毎に塗布液を個別に供給する方法でも構わない。
【0043】
4b12は本体4b11に収納されている各噴霧器5a〜5eに対応して本体4b11に設けられたスリットを示す。スリット4b12はシャッター(不図示)が設けられており、塗布に対応して開閉が可能となっている。例えば、支持体4a1の搬送が開始されるのに合わせ開き、支持体4a1の搬送が止まるのに合わせ閉じる様に制御することが好ましい。4b13はスリット4b12から噴出した塗布液の噴霧膜を示す。噴霧幅は塗布幅規制プレート4b3(図4を参照)により調整可能となっている。
【0044】
図4は図3の(a)の概略平面図である。
【0045】
図中、4b13a〜4b13dは本体4b11に収納されている各噴霧器5a〜5eに対応して本体4b11に設けられたスリット4b12から噴出した噴霧膜4b13が互いに重なり合う塗膜を示す。噴霧膜4b13は各噴霧器5a〜5eの開口部から噴霧された塗布液の噴霧膜5a4(図5の(a)を参照)の一部である。塗膜4b13aは噴霧器5aと噴霧器5bとで作られた噴霧膜が重なり合った部分を示す。塗膜4b13bは噴霧器5bと噴霧器5cとで作られた噴霧膜が重なり合った部分を示す。塗膜4b13cは噴霧器5cと噴霧器5dとで作られた噴霧膜が重なり合った部分を示す。塗膜4b13dは噴霧器5dと噴霧器5eとで作られた噴霧膜が重なり合った部分を示す。支持体4a1の面上でこれらの塗膜4b13a〜4b13dが重なり合った場合は、膜厚が異なった箇所がスジ状になり塗布故障となるため、重なり合わないように各噴霧器5a〜5eの配置を決める必要がある。4b3は噴霧装置4b11とバックアップロール4b2との間に設けられた塗布幅規制板を示す。塗布幅規制板4b3により両端の塗布に不要な噴霧膜の除去が可能となるため、塗布幅に合わせた支持体の選択が可能となる。
【0046】
図5は図3に示す噴霧器の拡大概略図である。図5の(a)は、図3に示す噴霧器の拡大概略平面図である。図5の(b)は、図5の(a)のA−A′に沿った概略断面図である。図5の(c)は、図5の(b)のKで示される部分の拡大概略断面図である。
【0047】
図中、5a1は噴霧器5aを構成している部材のインナーシェルを示し、5a2はアウターシェルを示す。5a4はインナーシェルの中心を通り、アウターシェル5a2の底面5a21の中心に取り付けられた回転軸を示す。回転軸5a4を回転することでアウターシェル5a2はインナーシェル5a1の周りを回る様になっている。5a11はインナーシェル5a1の上面を示し、5a12はインナーシェル5a1の底面を示し、上面5a11と下面5a12とは平行となっている。インナーシェル5a1は断面形状が台形の円錐台形状をしており、上面5a11の直径と底面5a12の直径との比は、塗布液中の固形分の沈降性、液膜の均一な広がり性等を考慮し、10:9〜100:1が好ましい。5a13はインナーシェル5a1の側壁を示す。5a22はアウターシェル5a2の内壁を示し、5a24は底面5a21の内面を示し、5a23はアウターシェル5a2の外壁を示す。内壁5a22は、インナーシェル5a1の側壁5a13と同じ角度を有する斜面となっており、間隙5a3を形成して組み立てられている。
【0048】
インナーシェル5a1の直径は、アウターシェル5a2の直径よりも大きくなっており、インナーシェル5a1の上面5a11と平行に設けられた端部の下面5a14と、アウターシェル5a2の内面5a22とで間隙5a3の開口部(噴出口)5a31を形成している。下面5a14と開口部5a31の近傍の側壁5a13とは曲面で繋がっている。開口部5a31の近傍の内面5a22も側壁5a13の同じRを有する曲面となっている。
【0049】
供給管502はインナーシェル5a1を貫通し底面5a12に開口部502aを有している。アウターシェル5a2の底辺の内面5a24とインナーシェル5a1の底面5a12との間に供給管502の開口部502aから供給された塗布液は、アウターシェル5a2の回転に伴い、間隙5a3を昇り(図中の矢印方向)、開口部5a31から支持体4a1に向けて(図中の矢印方向)噴霧され塗布が行われる。5a4は開口部5a31から噴霧された塗布液の噴霧膜を示す。5a25は塗布に関与しなかった塗布液の排出管を示す。排出管から排出された塗布液は図2に示される塗布液供給タンク4e2へ回収され、再度塗布に使用される。
【0050】
塗布液の供給量は、塗布液中の固形分の沈降性、液膜の均一な広がり性、開口部(噴出口)の塗布液の固着性等を考慮し10〜500ml/minが好ましく、周速は塗布液中の固形分の沈降性、液膜の均一な広がり性、開口部(噴出口)の塗布液の固着性等を考慮し10〜100m/secが好ましい。
【0051】
Oは開口部(噴出口)5a31を形成しているインナーシェル5a1の下面54a14と、アウターシェル5a2の外壁5a23の上端部との距離を示し、塗布液の吐出安定性、塗膜安定性等を考慮し、0.01〜5mmが好ましい。
【0052】
Pはインナーシェル5a1の底面5a12と、アウターシェル5a2の底面5a21の内面5a24との間隙の距離を示す。距離Pは、塗布液の吐出安定性、塗膜安定性等を考慮し、0.01〜5mmが好ましい。
【0053】
Qは開口部(噴出口)5a31と、支持体4a1の塗布面との距離を示し、距離Qは、塗布液の吐出安定性、塗膜安定性等を考慮し、10〜300mmが好ましい。
【0054】
図6は2流体型アトマイザー方式の噴霧装置を使用した平版印刷用原版の製造方法の模式図である。
【0055】
図中、7は製造装置を示す。製造装置7は支持体7a1の供給部7aと、塗布部7bと、乾燥部7cと、巻き取り部7dと、塗布液供給部7eとを有している。塗布部7bは非接触方式の2流体型アトマイザー方式の噴霧装置7b1と、支持体7a1を支持する2本の支持ロール7b2とを有している。塗布液供給部7eは、撹拌機7e1を有する塗布液供給タンク7e2と、送液ポンプ7e3と、気体供給ポンプ7e6とを有している。
【0056】
塗布液供給タンク7e2の塗布液は送液ポンプ7e3によりフィルター7e4と流量計7e5を介して噴霧装置7b1に供給される。尚、塗布液供給タンク7e2は、塗布液調製タンクを兼ねていてもよいし、塗布液調製タンク(不図示)を別に持ち、塗布液供給タンク7e2の使用量に応じて塗布液供給タンク7e2へ塗布液調製タンク(不図示)から補充される様になっていてもかまわない。
【0057】
本図に示される製造装置7を使用して、図1(a)に示される平版印刷版原版3aの親水性層3a2を支持体上に形成する迄の概略を説明する。供給部7aに用意されたロール状の支持体7a2から繰り出された支持体7a1は、塗布部7bで支持ロール7b2により支持された部分に噴霧装置7b1により親水性層形成用の塗布液が塗布されウエット塗膜7a3が形成される。この後、乾燥部7cでウエット塗膜7a3から溶媒を蒸発除去し、ドライ塗膜(親水性層)7a4を形成する。この後、巻き取り部7dで巻き取られる。乾燥部7cは、乾燥ボックス7c1と、支持体7a1の裏面側を支持し搬送する搬送ロール7c2と、乾燥用気体供給口7c3と、乾燥用気体排出口7c4とを有している。この後、形成された親水性層上に画像形成層を同じ方法で塗布、乾燥することで図1(a)に示される平版印刷版原版3aが作製される。尚、塗布が行われている間は、塗布液供給タンク7e2の中でフィラーの沈殿を防止するために撹拌機により撹拌を続けることが好ましい。
【0058】
図7は図6のLで示される部分の拡大概略斜視図である。
【0059】
図中、7b11は2流体型アトマイザー方式の噴霧装置7b1の本体を示し、8a〜8eは本体7b11に収納されている2流体型アトマイザー方式の噴霧器を示す。2流体型アトマイザー方式の噴霧装置7b1は、本体7b11と噴霧器8a〜8eとを有している。本体7b11に収納される噴霧器8a〜8eの数は塗布幅に応じて適宜選択が可能である。本図の場合は5台の噴霧器8a〜8eを横一列に配置した場合を示している。噴霧器の配置の方法は特に限定はなく、例えば、横2列で千鳥状に配列であって構わない。噴霧器の配置は、塗布膜の厚さ、塗布液の種類等により適宜選択することが可能である。
【0060】
7e7は噴霧器8a〜8eに塗布液を供給する塗布液供給管を示す。噴霧器8a〜8eへ塗布液を供給する方法は、各噴霧器に均等に塗布液が供給することが出来れば特に限定はない。本図の場合は、1本の塗布液供給管7e7で塗布液を送液した後、分岐し各噴霧器に供給する方法を示している。勿論、各噴霧器毎に塗布液を個別に供給する方法でも構わない。
【0061】
7e8は噴霧器8a〜8eに気体を供給する気体供給管を示す。噴霧器8a〜8eへ気体を供給する方法は、各噴霧器に均等に気体が供給することが出来れば特に限定はない。本図の場合は、1本の気体供給管7e7で気体を送った後、分岐し各噴霧器に供給する方法を示している。勿論、各噴霧器毎に気体を個別に供給する方法でも構わない。
【0062】
7b12は噴霧器8a〜8eから噴霧された円錐形状の噴霧膜を示す。本図に示される2流体型アトマイザー方式の各噴霧器8a〜8eで噴霧された塗布液は、支持体7a1に塗布される時は円形の面積を持って、噴霧膜7b12が互いに重なり合った状態で塗布される様に各噴霧器8a〜8eが本体に配置されている。7a31は噴霧器8aと噴霧器8bとで作られた噴霧膜が重なり合って形成された塗膜を示す。7a32は噴霧器8bと噴霧器8cとで作られた噴霧膜が重なり合って形成された塗膜を示す。7a33は噴霧器8cと噴霧器8dとで作られた噴霧膜が重なり合って形成された塗膜を示す。7a34は噴霧器8dと噴霧器8eとで作られた噴霧膜が重なり合って形成された塗膜を示す。支持体7a1の面上でこれらの塗膜7a31〜7a34が重なり合った場合は、膜厚が異なった箇所がスジ状になり塗布故障となるため、重なり合わないように各噴霧器8a〜8eの配置を決める必要がある。
【0063】
図8は2流体型アトマイザー方式の噴霧器の概略断面図である。図8の(a)は図7に示す2流体型アトマイザー方式の噴霧器の概略断面図である。図8の(b)は図8の(a)のMで示される部分の拡大概略断面図である。
【0064】
図中、8a1は噴霧器8aの本体を示す。本体8a1は円筒形状をした上部8a11と、円錐形状をした下部8a12と、上部8a11に設けた塗布液供給管7e7から塗布液の供給を受ける塗布液供給口8a2と、下部8a12の先端に設けた塗布液吐出口8a3と、塗布液供給口8a2と塗布液吐出口8a3とを繋ぐ塗布液導入管8a3と、上部8a11に設けた気体供給管7e8から気体の供給を受ける気体供給口8a4と、下部8a12の先端に設けた気体噴出口8a5と、塗布液吐出口8a3と気体噴出口8a5とから構成される噴霧口8a6を有している。
【0065】
8a13は本体8a1の内面に設けられた溝を示し、溝8a13は気体供給管7e8に繋がった気体供給口8a4から気体噴出口8a5まで螺旋状に繋がって設けられている。気体供給口8a4から供給された気体は螺旋状の溝8a13に沿って流れ、渦流となり気体噴出口8a5から加速され噴出する様になっている。塗布液供給管7e7は塗布液供給口8a2から塗布液吐出口8a3までま直径が連続的に小さくなっていることが好ましい。これにより、塗布液吐出口8a3からの吐出速度が加速することが可能となっている。塗布液吐出口8a3から吐出した塗布液は、気体噴出口8a5から渦流となって吐出する気体と衝突することで微粒子化され噴霧されることになる。
【0066】
気体噴出口8a5から吐出する気体と塗布液吐出口8a3とから吐出する塗布液の混合比は、噴霧口での塗布液の固着防止、液滴の安定化、塗膜の安定性等を考慮し1:1〜1:106であることが好ましい。且つ、気体噴出口8a5から吐出する気体の流量は、噴霧口での塗布液の固着防止、液滴の安定化、塗膜の安定性等を考慮し0.1〜100ml/minであることが好ましい。
【0067】
Rは気体噴出口8a5から塗布液吐出口8a3迄の距離を示す。距離Rは、液滴の安定化、塗膜の安定性等を考慮し、−1.0〜+1.0mmが好ましい。より好ましくは−0.5〜+0.5mmであり、更に好ましくは0〜+0.5mmである。
【0068】
Sは気体噴出口8a5の幅を示す。幅Sは、噴霧口での塗布液の固着防止、液滴の安定化、塗膜の安定性等を考慮し、10〜1000μmが好ましい。
【0069】
Tは塗布液吐出口8a3の幅を示す。幅Tは、噴霧口での塗布液の固着防止、液滴の安定化、塗膜の安定性等を考慮し、10〜1000μmが好ましい。
【0070】
Uは噴霧口8a6から支持体7a1の表面までの距離を示す。距離Uは、噴霧口での塗布液の固着防止、液滴の安定化、塗膜の安定性等を考慮し、10〜500mmが好ましい。
【0071】
図9は超音波アトマイザー方式の噴霧装置を使用した平版印刷用原版の製造方法の模式図である。
【0072】
図中、9は製造装置を示す。製造装置9は支持体9a1の供給部9aと、塗布部9bと、乾燥部9cと、巻き取り部9dと、塗布液供給部9eとを有している。塗布部9bは非接触方式の超音波アトマイザー方式の噴霧装置9b1と、支持体9a1を支持する2本の支持ロール9b2とを有している。塗布液供給部9eは、撹拌機9e1を有する塗布液供給タンク9e2と、送液ポンプ9e3とを有している。
【0073】
塗布液供給タンク9e2の塗布液は送液ポンプ9e3によりフィルター9e4と流量計9e5を介して噴霧装置9b1に供給される。尚、塗布液供給タンク9e2は、塗布液調製タンクを兼ねていてもよいし、塗布液調製タンク(不図示)を別に持ち、塗布液供給タンク9e2の使用量に応じて塗布液供給タンク9e2へ塗布液調製タンク(不図示)から補充される様になっていてもかまわない。
【0074】
本図に示される製造装置9を使用して、図1(a)に示される平版印刷版原版3aの親水性層3a2を支持体上に形成する迄の概略を説明する。供給部9aに用意されたロール状の支持体9a2から繰り出された支持体9a1は、塗布部9bで支持ロール9b2により支持された部分に噴霧装置9b1により親水性層形成用の塗布液が塗布されウエット塗膜9a3が形成される。この後、乾燥部9cでウエット塗膜9a3から溶媒を蒸発除去し、ドライ塗膜(親水性層)9a4を形成する。この後、巻き取り部9dで巻き取られる。乾燥部9cは、乾燥ボックス9c1と、支持体9a1の裏面側を支持し搬送する搬送ロール9c2と、乾燥用気体供給口9c3と、乾燥用気体排出口9c4とを有している。この後、形成された親水性層上に画像形成層を同じ方法で塗布、乾燥することで図1(a)に示される平版印刷版原版3aが作製される。尚、塗布が行われている間は、塗布液供給タンク9e2の中でフィラーの沈殿を防止するために撹拌機により撹拌を続けることが好ましい。
【0075】
図10は図9のNで示される部分の拡大概略斜視図である。
【0076】
図中、9b11は超音波アトマイザー方式の噴霧装置9b1の本体を示し、10a〜10eは本体9b11に収納されている超音波アトマイザー方式の噴霧器を示す。超音波アトマイザー方式の噴霧装置9b1は、本体9b11と噴霧器10a〜10eとを有している。本体9b11に収納される噴霧器10a〜10eの数は塗布幅に応じて適宜選択が可能である。本図の場合は5台の噴霧器10a〜10eを横一列に配置した場合を示している。噴霧器の配置の方法は特に限定はなく、例えば、横2列で千鳥状に配列であって構わない。噴霧器の配置は、塗布膜の厚さ、塗布液の種類等により適宜選択することが可能である。
【0077】
9e6は噴霧器10a〜10eに塗布液を供給する塗布液供給管を示す。噴霧器10a〜10eへ塗布液を供給する方法は、各噴霧器に均等に塗布液が供給することが出来れば特に限定はない。本図の場合は、1本の塗布液供給管9e6で塗布液を送液した後、分岐し各噴霧器に供給する方法を示している。勿論、各噴霧器毎に塗布液を個別に供給する方法でも構わない。
【0078】
9b13は、噴霧器10a〜10eの圧電素子を振動させる電流を流す配線を示す。噴霧器10a〜10eへ電流を供給する方法は特に限定はなく、例えば各噴霧器のノズル部10a12(図11を参照)の超音波振動の均一性、安定性等を考慮し、各噴霧器毎に配線する方法が好ましい方法としてあげられる。
【0079】
9b12は噴霧器10a〜10eから噴霧された円錐形状の噴霧膜を示す。本図に示される超音波アトマイザー方式の各噴霧器10a〜10eで噴霧された塗布液は、支持体9a1に塗布される時は円形の面積を持って、噴霧膜9b13が互いに重なり合った状態で塗布される様に各噴霧器10a〜10eが本体に配置されている。9a31は噴霧器10aと噴霧器10bとで作られた噴霧膜が重なり合って形成された塗膜を示す。9a32は噴霧器10bと噴霧器10cとで作られた噴霧膜が重なり合って形成された塗膜を示す。9a33は噴霧器10cと噴霧器10dとで作られた噴霧膜が重なり合って形成された塗膜を示す。9a34は噴霧器10dと噴霧器10eとで作られた噴霧膜が重なり合って形成された塗膜を示す。支持体9a1の面上でこれらの塗膜9a31〜9a34が重なり合った場合は、膜厚が異なった箇所がスジ状になり塗布故障となるため、重なり合わないように各噴霧器10a〜10eの配置を決める必要がある。
【0080】
図11は図10に示す超音波アトマイザー方式の噴霧器の概略断面図である。
【0081】
図中、10a1は噴霧器10aの本体を示す。本体10a1は、振動素子10a13を収納した収納部10a11と、塗布液に超音波振動を付与するノズル部10a12と、塗布液供給管9e6から塗布液の供給を受ける塗布液供給口10a2と、塗布液供給口10a2と塗布液吐出口10a3とを繋ぐ塗布液導入管10a4と、ノズル部10a12の先端に設けられた塗布液吐出口10a3とを有している。
【0082】
塗布液吐出口10a3から吐出される塗布液は、ノズル部10a12の超音波振動により微粒子化され円錐状に噴霧される。
【0083】
ノズル部10a12の発信周波数は、噴霧の安定性、塗膜安定性等を考慮し10〜200kHzが好ましい。Vは塗布液吐出口10a3の幅を示す。幅Vは、噴霧の安定性、塗膜安定性等を考慮し、10〜1000μmが好ましい。Wは噴霧口10a3から支持体9a1の表面までの距離を示す。距離Wは、塗膜安定性着弾安定性等を考慮し、10〜500mmが好ましい。
【0084】
本発明に係わる塗布液は、親水性層の性能維持、塗布液中のフィラーの安定性等を考慮し、フィラーを1〜50質量%含んでいることが好ましい。
【0085】
塗布液中に含まれるフィラーは親水性を持つ物質で構成され、且つ、無機粒子を含むことを特徴としており、フィラーの比重が塗布液の溶媒の比重に対して、フィラーの沈降性を考慮し、1.5〜5.0倍であることが好ましい。
【0086】
本発明に係わる塗布液はゾルゲル分散性を有し、粘度は、フィラーの沈降性、噴霧時の液滴形成性、液滴特性等を考慮し、10-4〜5×102Pa・sであることが好ましい。
【0087】
本発明に係わるフィラーとしては、多孔質、無孔質、有機樹脂粒子、無機微粒子を問わず用いてもよく、例えばカーボンブラック、グラファイト、TiO2、BaSO4、ZnS、MgCO3、CaCO3、ZnO、CaO、WS2、MoS2、MgO、SnO2、Al23、α−Fe23、α−FeO(OH)、SiC、CeO2、BN、SiN、MoC、BC、WC、チタンカーバイド、コランダム、人造ダイアモンド、ザクロ石、ガーネット、ケイ石、トリボリ、ケイソウ土、ドロマイト、カオリナイト、ハロイサイト、クリソタイル、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物、及びハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等の無機フィラーやポリエチレン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等の有機フィラーを挙げることが出来る。これらの中でも好ましいフィラーとしては、多孔質シリカ、アルミノケイ酸塩、ゼオライト等の多孔質無機フィラーが挙げられる。
【0088】
多孔質無機フィラーの多孔性としては、分散前の状態で、細孔容積で0.5ml/g以上であることが好ましく、0.8ml/g以上であることがより好ましく、1.0ml/g以上、2.5ml/g以下であることが更に好ましい。細孔容積は塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため塗膜の耐久性が低下する。細孔容積が0.5ml/g未満の場合には、印刷時の汚れ難さ、及び水量ラチチュードの広さが不十分となる。
【0089】
図2〜図11に示される塗布装置を使用してフィラーを含む塗布液を塗布し、平版印刷用原版を製造することにより次の効果が得られる。
1)フィラー同士の凝集をなくし、長時間の連続塗布が可能となり塗布生産性を安定化させることが可能となった。
2)塗布機の液吐出部へ常に剪断をかけながら塗布することで、液吐出部からの塗布液の噴出が安定し、安定して均質な塗膜を形成することが可能となり、品質安定化、塗布生産性を安定化させることが可能となった。
3)複数の塗布機を用いて順次積層し重層塗布を行う場合、非接触塗布を行えるため、既に塗設されている下層を傷つけることなく塗布することが出来、品質安定化、塗布生産性を安定化させることが可能となった。
【0090】
本発明に係る平版印刷版原版を構成する材料を、図1の(a)に示される平版印刷版原版を代表として親水性層、画像形成層、支持体に付き以下に説明する。
【0091】
本発明に係る親水性層の好ましい態様として、上記のフィラー以外にバインダー樹脂、平均粒子径が100nm以下の金属酸化物微粒子、有機の結合剤、カチオン性樹脂、架橋剤等を含有していることが好ましい。
【0092】
バインダー樹脂としては特に制限なく用いることが出来る。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体等の塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリアミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルホルマール等のアセタール系樹脂、及びポリビニルアルコール、ゼラチン等の水溶性樹脂等が挙げられる。
【0093】
平均粒子径が100nm以下の金属酸化物微粒子としては、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でもよい。平均粒子径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒子径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することも出来る。又、粒子表面に表面処理がなされていてもよい。金属酸化物微粒子はその造膜性を利用して、結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水層への使用に適している。上記の中でも特にコロイダルシリカが比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高く好ましい。コロイダルシリカの場合、粒子径は小さいほど結合力が強くなる。粒子径が100nmよりも大きくなると結合力は大きく低下し、結合剤として使用した場合には強度が不足する。
【0094】
これらの金属酸化物微粒子を多孔質シリカ粒子とともに使用する場合は、微粒子自体が陽電荷を帯びている状態で使用することが好ましく、例えば、アルミナゾルや酸性コロイダルシリカを使用することが好ましい。又、これらの金属酸化物微粒子を多孔質アルミノシリケート粒子及び/又はゼオライト粒子とともに使用する場合は、微粒子自体が陰電荷を帯びている状態で使用することが好ましく、例えば、アルカリコロイダルシリカを使用することが好ましい。多孔質シリカ粒子と多孔質アルミノケイ酸塩粒子及び/又はゼオライト粒子とともに使用する場合は、例えば、表面をAlで処理して広いpH範囲での安定性を付与したコロイダルシリカを使用することが好ましい。
【0095】
有機の結合剤としては親水性を有するものが好ましい。例えば、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク等のタンパク質類、キチン類、澱粉類、ゼラチン類、ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0096】
ケイ酸塩水溶液も使用することが出来る。ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが前記多孔質又は薄層状無機粒子の溶解を防止する点から好ましい。
【0097】
又、ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーを使用することが出来る。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫 著/アグネ承風社 発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することが出来る。
【0098】
カチオン性樹脂としては、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンポリアミン等のようなポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等が挙げられる。カチオン性樹脂は微粒子状の形態で添加してもよい。これは、例えば特開平6−161101号に記載のカチオン性マイクロゲルが挙げられる。
【0099】
架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、イソシアネート化合物、イソオキサゾール類、アルデヒド類、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物等を挙げることが出来る。
【0100】
本発明に係る親水層中に含有する上記のような有機成分は、たとえ親水性の樹脂であっても耐久性、耐水性等を向上させるために架橋させた場合は親水性が大きく低下し、印刷時の汚れ原因となる。又、有機成分は多孔質粒子の開口部を塞いだり、孔中に浸透することで親水性層の多孔性を損なって保水性を低下させる可能性もある。以上の理由から有機成分の添加量は少ない方が好ましい。具体的には、好ましくは、親水性層全体に対する有機成分の量が質量比で0〜30%であり、より好ましくは0〜10%であり、更に好ましくは0〜5%である。
【0101】
本発明に係る親水性層は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記以外の成分を含有することが出来る。本発明に係る親水層は、1層で構成しても又2層以上で形成することも出来る。親水性層にはこれらの他に着色剤、必要に応じて潤滑剤、分散剤、帯電防止剤、充填剤、フィラー等と溶媒とを混練して、親水性層塗布液を調製し、支持体上に塗布・乾燥させて形成することが出来る。
【0102】
本発明に係る画像形成層は、熱により融着可能な熱溶融性粒子及び熱により親油性を発現する物質の内から何れかを選択して含有することが出来る。熱により融着可能な熱溶融性粒子としては、ワックス類、アクリル系樹脂、アイオノマー樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、合成ゴム類、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂などの水に分散されたラテックスやエマルジョンから得られるものが挙げられる。これらの内その融点が70〜180℃のものが好ましく、表面エネルギーの親水性成分が100μN/cm2以下であることが好ましい。融点がこの温度より低い場合には、保存時における性能劣化がし易く、この温度より高い場合には画像の強度が得られず耐刷性が劣化し易い。又表面エネルギーがこの範囲であると画像部のインキ着肉性が良好になる。この様な点で熱溶融性物質としてはワックス類、アクリル系樹脂、合成ゴム類が特に好ましい。
【0103】
ワックス類としてはカルナバワックス、蜜ろう、鯨ろう、木ろう、ホホバ油、ラノリン、オゾケライト、パラフィンワックス、モンタンワックス類、キャンデリラワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体、高級脂肪酸等が挙げられる。又、乳化し易くするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することも出来る。
【0104】
アクリル系樹脂では、例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、スチレンなどの一種もしくは2種以上を共重合したものが、又合成ゴム類ではポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、メタアクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等が挙げられる。又その他に、アイオノマー樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等が利用出来る。
【0105】
熱により融着可能な熱溶融性粒子を含有する画像形成層には、レーザー露光時の粒子の融着性を阻害しない範囲で画像形成層の皮膜性を付与するために親水性結着剤を含有させてもよい。親水性結着剤としては例えばポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリビニルメチルエーテル、又は天然結合剤、例えばゼラチン、多糖類、例えばデキストラン、プルラン、セルロース、アラビアゴム、アルギニン酸が挙げられる。又親水性結着剤は、フェノール性ヒドロキシ基及び/又はカルボキシル基を有する水に不溶性、アルカリ溶解性又は膨潤性樹脂であってもよい。又種々の界面活性剤、コロイダルシリカなども利用出来る。
【0106】
これらの熱溶融性物質、親水性結着剤等は水分散体の形で利用することが塗工のし易さの面で好ましい。又、別の形態のものとして、特開平7−1849号、同7−1850号、同9−311443号、同10−6468号、同10−1141168号に記載されている熱破壊可能な親水性被覆材に覆われている熱架橋剤、熱により解離する保護基により官能基がブロックされた熱架橋剤が挙げられる。
【0107】
画像形成層にはこれらの他に親水性層に使用するバインダー樹脂及び着色剤、必要に応じて潤滑剤、分散剤、帯電防止剤、充填剤、フィラー等と溶媒とを混練して、画像形成層塗布液を調製し、次いでこれを希釈して塗布用感光層形成組成物とし、支持体上に塗布・乾燥させて形成することが出来る。
【0108】
親水性層及び画像形成層に使用する溶媒としては親水性層及び画像形成層に使用する上記各種添加剤を溶解又は分散出来るものであれば特に制限はなく、例えばアルコール類(エタノール、プロパノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ)、芳香族類(トルエン、キシレン、クロルベンゼン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ハロゲン系溶剤(クロロホルム、ジクロルベンゼン等)、アミド系溶剤(例えばジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)等を用いることが出来る。
【0109】
図1の(b)に示す層構成である画像形成層と親水性層が同一層の場合も図1の(a)に示される平版印刷版原版と同じ材料を使用することが可能である。
【0110】
着色剤層成分の混練分散には二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、コボルミル、トロンミル、サンドミル、サンドグラインダー、Sqegvariアトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、高速ミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機、オープンニーダー、連続ニーダー等を用いることが出来る。
【0111】
本発明に係る支持体に使用する材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アセテート、ナイロン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、セルロースエステル類等を挙げることが出来る。これらプラスチックフィルムは塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行うことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、紫外線照射処理等が挙げられる。又、下塗り層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等が挙げられる。
【0112】
本発明に係る支持体は、親水性層との接着性を高める機能を有する層、親水層を設けた反対の面にカール防止層等を設けてもかまわない。
【0113】
本発明に係る平版印刷版原版にエネルギーを与え画像部及び非画像部を発現するのに使用されるエネルギー源としては、紫外線、可視光線、赤外線が好ましく、このような光エネルギーを印加し得る光源としては、例えばレーザー、発光ダイオード、キセノンフラッシュランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク燈、メタルハライドランプ、タングステンランプ、石英水銀ランプ、高圧水銀ランプ等を挙げることが出来る。これらの光源の中でもレーザーが好ましく、例えば一般によく知られているルビーレーザー、YAGレーザー、ガラスレーザーなどの固体レーザー;He−Neレーザー、Arイオンレーザー、Krイオンレーザー、CO2レーザー、COレーザー、He−Cdレーザー、N2レーザー、エキシマーレーザーなどの気体レーザー;In−Ga−Pレーザー、Al−Ga−Asレーザー、Ga−As−Pレーザー、In−Ga−Asレーザー、In−As−Pレーザー、Cd−Sn−P2レーザー、Ga−Sbレーザーなどの半導体レーザー;化学レーザー、色素レーザー等のレーザー光源が挙げられる。これらの中でも効率的にアブレートを起こさせるためには、波長が600〜1200nmのレーザーが光エネルギーを熱エネルギーに変換出来ることから、感度の面で好ましい。この際加えられるエネルギーは画像形成材料の種類により、露光距離、時間、強度を調整することにより適時選択して用いることが出来る。
【0114】
本発明の印刷方法では、画像情報に基づいて平版印刷版原版にレーザー露光した後、平版印刷版原版を印刷機に取り付け、エッチング液とインキを使用してアルカリ現像処理を施さずに印刷することを特徴とする。
【0115】
以下、実施例を挙げて本発明の具体的な効果を示すが、本発明の態様はこれに限るものではない。尚、以下の「部」は「質量部」を表す。
【実施例】
【0116】
実施例1
〈支持体〉
厚さ100μm、幅1000mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人・デュポンフィルム株式会社HS74)を使用した。
【0117】
〈親水性層の塗設〉
下記塗布液を図3〜図5に示す1流体型アトマイザー方式の噴霧装置を使用した図2に示す製造装置、図7、図8に示す2流体型アトマイザー方式の噴霧装置を使用した図6に示す製造装置、図10、図11に示す超音波アトマイザー方式の噴霧装置を使用し、図9に示す製造装置で上記支持体に各2000mの塗布を行い、試料No.101〜103とした。尚、同じ塗布液を使用し、図12に示すバー塗布装置、図13に示すエクストルージョン塗布装置を使用し各2000mの塗布を行い、比較試料No.104、105とした。尚、乾燥膜厚は10μmとなるようにした。
【0118】
各噴霧装置の塗布条件は以下に示す条件で行った。
【0119】
1流体型アトマイザー方式の噴霧装置の場合
1台の噴霧装置の噴霧幅が10cmである噴霧装置を20台並べた噴霧装置を使用し、一つの噴霧装置への塗布液の供給量を100ml/min、アウターシェルの周速を50m/secとし、支持体の搬送速度を50m/minとした。塗布液の温度は20℃とした。開口部(噴出口)と、支持体の塗布面との距離を100mmとした。インナーシェルとアウターシェルとの間隙は500μmとした。
【0120】
2流体型アトマイザー方式の噴霧装置の場合
1台の噴霧装置の噴霧幅が20cmである噴霧装置を8台並べた噴霧装置を使用し、塗布液吐出口とから吐出する塗布液と気体噴出口から吐出する気体との混合比を、1:20,000とし、且つ気体噴出口から吐出する気体の流量を20l/min、塗布液吐出口から吐出する塗布液の流量を1ml/minとした。支持体の搬送速度を50m/minとした。塗布液の温度は20℃とした。気体の温度は20℃とした。気体噴出口から塗布液吐出口迄の距離は+0.5mmとし、気体噴出口の幅は1000μm、塗布液吐出口の幅は500μm、噴霧口から支持体の表面までの距離を150mmとした。
【0121】
超音波アトマイザー方式の噴霧装置の場合
1台の噴霧装置の噴霧幅が20cmである噴霧装置を8台並べた噴霧装置を使用し、1台の噴霧装置への塗布液の供給量を1ml/min、噴霧装置のノズル部の発信周波数を120kHzとした。塗布液の温度は20℃とした。噴霧口から支持体の表面までの距離を150mmとした。
【0122】
エクストルージョン塗布装置
塗布液の供給量を500ml/min、塗布液の温度は20℃とした。支持体の搬送速度を50m/minとした。
【0123】
バー塗布装置
バーによる掻き落し量を、一次塗膜の膜厚の70%とした。支持体の搬送速度を50m/minとした。
(親水性層塗布液)
スノーテックス−XS〔日産化学工業株式会社〕
平均粒子径0.005μ、比重1.13 16.3部
シルトンJC−40〔水澤化学工業株式会社〕
平均粒子径4.0μ、比重2.25 2.2部
カルボキシメチルセルロースナトリウム〔関東化学株式会社〕 0.1部
ベンゲル−31〔株式会社豊順洋行〕 0.2部
MF−4500ブラック〔大日精化工業株式会社〕 1.15部
リン酸三ナトリウム・12水〔関東化学株式会社〕 0.05部
純水(比重1.00) 80部
塗布液の固形分は20%である。
【0124】
この時のシルトンJC−40のフィラーの固形分は、全固形分に対して11.0(%)である。
【0125】
〈評価〉
作製した各試料101〜105に付き、塗布開始から200mと、塗布終了から100mを切り取り、mm2当たりのフィラー数を塗布方向に10箇所で、1000倍顕微鏡(株式会社キーエンス製 VH−Z450)にて測定し、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表1に示す。尚、評価はmm2当たりのフィラーの数が理論値(3697個/mm2)に近いほど塗布が安定していることを示す。理論値は乾燥質量と使用したフィラー(シルトンJC−40)の粒度分布と添加量から計算で求めた値である。
【0126】
表中のAは図3に示す1流体型アトマイザー方式の噴霧装置、Bは図4に示す2流体型アトマイザー方式の噴霧装置、Cは図5に示す超音波アトマイザー方式の噴霧装置、Dは図12に示すバー塗布装置、Eは図13に示すエクストルージョン塗布装置を示す。
【0127】
フィラー数(個)の評価ランク
○:フィラー数(平均値)が3000個/mm2以上
△:フィラー数(平均値)が2000個/mm2以上、3000個/mm2未満
×:フィラー数(平均値)が2000個/mm2未満
【0128】
【表1】

【0129】
尚、比較試料No.104はフィラーの数は理論値に近い値を示したが、バーによる擦り傷が発生した。比較試料No.105はエクストルージョン塗布装置の液溜まり部にフィラーの沈殿が発生し、安定した塗布液流量が得られずフィラーの数が理論値よりはずれた結果となった。本発明の有効性が確認された。
【0130】
実施例2
〈平版印刷版原版の作製〉
実施例1で作製した試料No.101〜103の親水性層の上に、更に下記親水性層用塗布液(固形分20%)を乾燥膜厚0.6μmになる様に、実施例1と同じ塗布装置で積層した後、親水性層の上に下記画像形成層用塗布液(固形分5%)を乾燥膜厚0.5μmになるように実施例1と同じ塗布装置で積層し平版印刷版原版を作製し、試料201〜203とした。比較試料として、実施例1で作製した試料No.101の親水性層の上に、噴霧器の代わりに実施例1と同じバー塗布装置を使用し、更に下記親水性層用塗布液(固形分20%)を乾燥膜厚0.6μmになる様に塗布した後、親水性層の上に下記画像形成層用塗布液(固形分5%)を乾燥膜厚0.5μmになるように同じバー塗布装置で積層し平版印刷版原版を作製し、試料No.204とした。親水性層用塗布液の各噴霧装置の塗布条件は以下に示す条件で行った。
【0131】
1流体型アトマイザー方式の噴霧装置の場合
1台の噴霧装置の噴霧幅が20cmである噴霧装置を10台並べた噴霧装置を使用し、1台の噴霧装置への塗布液の供給量を200ml/sec、アウターシェルの周速を50m/minとし、支持体の搬送速度を50m/minとした。塗布液の温度は20℃とした。開口部(噴出口)と、支持体の塗布面との距離を1000mmとした。インナーシェルとアウターシェルとの間隙は500μmとした。
【0132】
2流体型アトマイザー方式の噴霧装置の場合
1台の噴霧装置の噴霧幅が20cmである噴霧装置を8台並べた噴霧装置を使用し、塗布液吐出口とから吐出する塗布液と気体噴出口から吐出する気体との混合比を、1:20,000とし、且つ気体噴出口から吐出する気体の流量を20l/min、塗布液吐出口から吐出する塗布液の流量を1ml/minとした。支持体の搬送速度を50m/minとした。塗布液の温度は20℃とした。気体の温度は20℃とした。気体噴出口から塗布液吐出口迄の距離は+0.5mmとし、気体噴出口の幅は1000μm、塗布液吐出口の幅は500μm、噴霧口から支持体の表面までの距離を150mmとした。
【0133】
超音波アトマイザー方式の噴霧装置の場合
1台の噴霧装置の噴霧幅が20cmである噴霧装置を8台並べた噴霧装置を使用し、1台の噴霧装置への塗布液の供給量を1ml/min、噴霧装置のノズル部の発信周波数を120kHzとした。塗布液の温度は20℃とした。噴霧口から支持体の表面までの距離を150mmとした。
【0134】
バー塗布装置
バーによる掻き落とし量を、一次塗膜の膜厚の70%とした。支持体の搬送速度を50m/minとした。
【0135】
画像形成層用塗布液の各噴霧装置の塗布条件は以下に示す条件で行った。
【0136】
1流体型アトマイザー方式の噴霧装置の場合
1台の噴霧装置の噴霧幅が20cmである噴霧装置を10台並べた噴霧装置を使用し、1台の噴霧装置への塗布液の供給量を200ml/sec、アウターシェルの周速を50m/minとし、支持体の搬送速度を50m/minとした。塗布液の温度は20℃とした。開口部(噴出口)と、支持体の塗布面との距離を1000mmとした。インナーシェルとアウターシェルとの間隙は500μmとした。
【0137】
2流体型アトマイザー方式の噴霧装置の場合
1台の噴霧装置の噴霧幅が20cmである噴霧装置を8台並べた噴霧装置を使用し、塗布液吐出口とから吐出する塗布液と気体噴出口から吐出する気体との混合比を、1:20,000とし、且つ気体噴出口から吐出する気体の流量を20l/min、塗布液吐出口から吐出する塗布液の流量を1ml/minとした。支持体の搬送速度を50m/minとした。塗布液の温度は20℃とした。気体の温度は20℃とした。気体噴出口から塗布液吐出口迄の距離は+0.5mmとし、気体噴出口の幅は1000μm、塗布液吐出口の幅は500μm、噴霧口から支持体の表面までの距離を150mmとした。
【0138】
超音波アトマイザー方式の噴霧装置の場合
1台の噴霧装置の噴霧幅が20cmである噴霧装置を8台並べた噴霧装置を使用し、1台の噴霧装置への塗布液の供給量を1ml/min、噴霧装置のノズル部の発信周波数を120kHzとした。塗布液の温度は20℃とした。噴霧口から支持体の表面までの距離を150mmとした。
【0139】
バー塗布装置
バーによる掻き落とし量を、一次塗膜の膜厚の70%とした。支持体の搬送速度を50m/minとした。
【0140】
親水性層用塗布液
スノーテックス−S〔日産化学工業株式会社〕 7.0部
平均粒子径0.01μm、比重1.21
スノーテックス−PSM〔日産化学工業株式会社〕 10.48部
平均粒子径0.1μm、比重1.13
カルボキシメチルセルロースナトリウム〔関東化学株式会社〕 0.2部
ベンゲル−31〔株式会社豊順洋行〕 0.4部
FZ2161〔日本ユニカー株式会社豊順洋行〕 0.02部
MF−4500ブラック〔大日精化工業株式会社〕 1.8部
リン酸三ナトリウム・12水〔関東化学株式会社〕 0.1部
純水(比重1.00) 80部
画像形成層用塗布液
トレハ〔株式会社林原商事〕 1.875部
HI−DISPER A118〔株式会社岐阜セラック製造所〕 2.0部
ハイミクロンL−271〔中京油脂株式会社〕 1.125部
純水 95部
〈評価〉
作製した各試料201〜204に付き、フィラー数(個)を実施例1と同じ方法で試験し、親水層面の擦り傷の発生状況を以下に示す試験方法で試験し、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表2に示す。表中のEはバー塗布装置を示す。他のA〜Cは実施例1と同じ塗布機である。フィラー数(個)の測定は実施例1と同じ方法で測定した。
【0141】
親水層面の擦り傷の有り無しの確認試験方法
半導体レーザー光源(発光波長830nm、スポット寸法10μmの光源で解像度は走査方向、副走査方向ともに2000dpi)を用いて175線相当で50%網点画像及びベタ画像を、走査速度を変えて画像面における照射エネルギー量が250mJ/cm2で露光した。露光した後、現像処理を行わずに各平版印刷版原版をハイデルGTO印刷機に取り付け、エッチング液としてSEU−3(コニカ(株)製)の45倍水希釈液、インキとしてハイエコー(東洋インキ製造(株)製)を用い、730mm×605mmの大きさの上質紙に印刷を行い、傷の有り無しを目視で観察した。尚、dpiとは2.54cm当たりのドットの数を表す。
【0142】
評価ランク
○:擦り傷の発生は認められない
△:実技上問題とならない僅かな擦り傷が認められる
×:実技上問題となる擦り傷が認められる
【0143】
【表2】

【0144】
比較試料No.204の場合、フィラー数(個)は安定しているが、擦り傷の発生が認められた。本発明の有効性が確認された。
【0145】
実施例3
実施例1の試料No.101を作製する際、使用した1流体型アトマイザー方式の噴霧装置の塗布液の供給量とアウターシェルの周速を表3に示す様に変えた他は、全て同じ条件で支持体に各2000mの塗布を行い、試料No.301〜316とした。
【0146】
評価
作製した試料No.301〜316に付き、mm2当たりのフィラー数を実施例1と同じ方法で測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表3に示す。
【0147】
【表3】

【0148】
本発明の有効性が確認された。
【0149】
実施例4
実施例1の試料No.102を作製する際、使用した2流体型アトマイザー方式の噴霧装置の塗布液と気体との混合比、塗布液の流量及び気体の流量とを表4に示す様に変えた他は、全て同じ条件で支持体に各2000mの塗布を行い、試料No.401〜419とした。
【0150】
評価
作製した試料No.401〜419に付き、mm2当たりのフィラー数を実施例1と同じ方法で測定した結果を表4に示す。
【0151】
【表4】

【0152】
本発明の有効性が確認された。
【0153】
実施例5
実施例1の試料No.103を作製する際、使用した超音波アトマイザー方式の噴霧装置のノズルの発信周波数を表5に示す様に変えた他は、全て同じ条件で支持体に各2000mの塗布を行い、試料No.501〜508とした。
【0154】
評価
作製した試料No.501〜508に付き、mm2当たりのフィラー数を実施例1と同じ方法で測定した結果を表5に示す。
【0155】
【表5】

【0156】
本発明の有効性が確認された。
【0157】
実施例6
実施例1の試料No.101を作製する際、表6に示す様に実施例1で準備した塗布液の溶媒の比重に対して塗布液に使用しているフィラーの比重を変えた親水性層用の塗布液を使用した他は、全て同じ条件で支持体に各2000mの塗布を行い、試料No.601〜614とした。尚、溶媒は水を使用した。
【0158】
評価
作製した試料No.601〜614に付き、mm2当たりのフィラー数を実施例1と同じ方法で測定した結果を表5に示す。
【0159】
【表6】

【0160】
本発明の有効性が確認された。
【0161】
実施例7
実施例6の試料No.605を作製する際、表7に示す様に塗布液中のフィラーの量を変えた親水性層用の塗布液を使用した他は、全て同じ条件で支持体に各2000mの塗布を行い、試料No.701〜707とした。
【0162】
評価
作製した試料No.701〜707に付き、mm2当たりのフィラー数を実施例1と同じ方法で測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表7に示す。
【0163】
【表7】

【0164】
本発明の有効性が確認された。
【0165】
実施例8
実施例1の試料No.102を作製する際、表8に示す様に実施例1で準備した塗布液の粘度を変えた親水性層用の塗布液を使用した他は、全て同じ条件で支持体に各2000mの塗布を行い、試料No.801〜806とした。尚、粘度の変化は増粘剤の添加により行った。
【0166】
評価
作製した試料No.801〜806に付き、mm2当たりのフィラー数を実施例1と同じ方法で測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表8に示す。
【0167】
【表8】

【0168】
本発明の有効性が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】平版印刷版原版の構成の一例を示す概略図である。
【図2】1流体型アトマイザー方式の噴霧装置を使用した平版印刷用原版の製造方法の模式図である。
【図3】図2のJで示される部分の拡大概略斜視図である。
【図4】図3の(a)の概略平面図である。
【図5】図3に示す噴霧器の拡大概略図である。
【図6】2流体型アトマイザー方式の噴霧装置を使用した平版印刷用原版の製造方法の模式図である。
【図7】図6のLで示される部分の拡大概略斜視図である。
【図8】2流体型アトマイザー方式の噴霧器の概略断面図である。
【図9】超音波アトマイザー方式の噴霧装置を使用した平版印刷用原版の製造方法の模式図である。
【図10】図9のNで示される部分の拡大概略斜視図である。
【図11】図10に示す超音波アトマイザー方式の噴霧器の概略断面図である。
【図12】バー塗布装置を使用し平版印刷版原版を作製する製造方法の模式図である。
【図13】エクストルージョン塗布装置を使用し平版印刷版原版を作製する製造方法の模式図である。
【符号の説明】
【0170】
1、4、7、9 製造装置
1a、2a 支持体供給部
1a1 帯状支持体
1b、2b、4b、7b、9b 塗布部
1b2 掻き取り部
1b21 バー
1c、2c、4c、7c、9c 乾燥部
1d、2d、4d、7d、9d 巻き取り部
1e、2e、4e、7e、9e 塗布液供給部
2b1 エクストルージョン塗布装置
3a、3b 平版印刷版原版
3a1、3b1 画像形成層
3a2 親水性層
3a3、3b2 支持体
4b1、7b1、9b1 噴霧装置
4b11、7b11 本体
4b12 スリット
4b13、7b12、9b12 噴霧膜
4b13a〜4b13d、7a31〜7a34、9a31〜9a34 塗膜
5a〜5e、8a〜8e、10a〜10e 噴霧器
5a1 インナーシェル
5a2 アウターシェル
5a31 開口部(噴出口)
8a13 溝
8a3 塗布液吐出口
8a5 気体噴出口
8a6 噴霧口
10a12 ノズル部
10a3 塗布液吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続搬送している帯状プラスチックフィルム支持体上にフィラーを含有する塗布液を塗布装置を用いて塗布し、少なくとも親水性層、画像形成層を順次設けてなる平版印刷用原版の製造方法において、
前記塗布装置がアトマイザー方式の噴霧装置であることを特徴とする平版印刷用原版の製造方法。
【請求項2】
前記噴霧装置が1流体型アトマイザー方式であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【請求項3】
前記1流体型アトマイザー方式の噴霧装置の塗布液供給量が10〜500ml/minで、且つ、アウターシェルの周速が10〜100m/secであることを特徴とする請求項2に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【請求項4】
前記噴霧装置が2流体型アトマイザー方式であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【請求項5】
前記2流体型アトマイザー方式の塗布液と気体との混合比が、1:1〜1:106で、且つ、該塗布液の流量が0.1〜100ml/min、気体の流量が0.1〜106であることを特徴とする請求項4に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【請求項6】
前記噴霧装置が超音波アトマイザー方式の噴霧装置であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【請求項7】
前記超音波アトマイザー方式の噴霧装置のノズル部の発信周波数が10〜200kHzであることを特徴とする請求項6に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【請求項8】
前記フィラーは親水性を持つ物質で構成され、且つ、無機粒子を含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【請求項9】
前記フィラーの比重が塗布液の溶媒の比重に対して1.5〜5.0倍であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【請求項10】
前記塗布液は、フィラーを1〜50質量%含んでいることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の平版印刷用原版の製造方法。
【請求項11】
前記塗布液は、ゾルゲル分散性を有し、粘度が0.1-4〜5×10-2Pa・sであることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の平版印刷用原版の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−1231(P2007−1231A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186227(P2005−186227)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】