説明

広域抗菌スペクトルを有する改変ココナッツ油

本発明は、1,3位特異的リパーゼの触媒活性から得られる改変ココナッツ油及びパーム核油の抗菌組成物を開示する。前記改変油組成物は、遊離脂肪酸(>9.4%)、モノグリセリド(>1.3%)、ジグリセリド(>22.8%)並びにトリグリセリド(>25%)(これらはグラム陽性菌(すなわち黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aurous aureus)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogene))、グラム陰性菌(すなわちコレラ菌(Vibrio cholerae)、大腸菌(Escherichia coli))及び酵母(すなわちカンジダ・アルビカンス(Candida albicans))の増殖を阻害する)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌特性を有する改変油、詳細にはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸及びそれらに対応するモノグリセリドなどの8から12個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸の混合物を含有する改変ココナッツ油組成物に関する。前記改変ココナッツ油は、ココナッツ油への1,3位特異的リパーゼの触媒作用から得る。
【背景技術】
【0002】
中鎖遊離脂肪酸及びこれらに対応するモノグリセリドは、単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus)(Thormarら1987;Kristmundsdottirら1999)、淋菌(Nesseria gonorrhoeae)(Bergssonら1999)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)(Bergssonら、2001)、トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)(Bergssonら、1998)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)(Bergssonら、2002)及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(Kabara 1984)などのヒトへの病原体を含むエンベロープウイルス及び種々の細菌に対してin vitroで広域な抗菌活性のスペクトルを有することが周知である(Kabara,1978;Shibasaki及びKato、1978;Welshら1979 Thormarら、1987;Isaacsら1995)。さらにこれらの化合物は、リステリア菌(Listeria monocytogenes)(Wang及びJohnson、1992)、毒素原性大腸菌(enterotoxigenic Escherichia coli)(Petschowら1998)並びにボツリヌス菌(Clostridium botulinum)(Glass及びJohnson、2004)などの食物によって広まる病原体に対する抗菌作用を有することも周知である。これらの脂質が細菌を殺すメカニズムは知られていないが、電子顕微鏡による研究は脂質が細胞膜透過性障壁を崩壊させることを示唆している(Bergssonら、1998;Thormarら1987)。
【0003】
飽和中鎖脂肪酸は、8から12個の炭素原子(CからC12)を有する脂肪酸である。中鎖脂肪酸の内、ラウリン酸及びそれに対応するモノグリセリド、モノラウリンは、食物及び化粧品用の抗菌剤として包括的に研究されてきた(Shibasaki及びKato、1978;Kabara、1984)。ラウリン酸は母乳中に含まれる疾患と戦う因子である。生体はラウリン酸を、ウイルス、細菌又は原生動物感染から幼児を防御する物質である脂肪酸誘導体(モノラウリン)に転換する。Hierholzer及びKabara(1982)は、脂質膜に囲まれているRNA及びDNAウイルスに対してモノラウリンが殺ウイルス効果を有することを示した。
【0004】
中鎖脂肪酸及びその対応するモノエステルのいくつかの適用における抗菌性化合物としての使用は特許化されており、すなわちモノラウリンは毛髪及び動物の毛の洗浄及びコンディショニングに使用されている(米国特許第5,378,731号)。前記抗菌性シャンプー組成物は、ヒト及び動物への使用に安全であるモノラウリンを含有している。モノラウリンは、抗真菌特性を必要とする化粧品類及び家事用品にも広範に使用することができる(米国特許第5,569,461号及び第5,658,584号)。さらにそれは、胃炎及び潰瘍を含む種々の胃腸疾患の原因となるヘリコバクター(Helicobacter)属の細菌感染の治療用のバクテリオシン、すなわちナイシン(nisin)と組み合わせることもできる(米国特許第5,660,842号:米国特許第5,804,549号)。これらの脂肪酸及びその誘導体は、ヒトの体重を制御又は減少させる栄養補助食品としても特許請求された(米国特許第6,054,480号)。追加的にこれらの化合物及びそのモノエステルは加工肉の微生物による汚染を減少させるために使用することができるし、詳細には家禽の死体を殺菌するための製品及び方法に関する。さらに、乳生産動物にいる有害な微生物の殺菌を補助する(米国特許第6,699,907号)。これらは、皮膚、粘膜及び毛髪の損傷の治療の効果的な方法でもある(米国特許第5,208,257号)。最近の発明は、これらの脂肪酸がアルツハイマー病並びにパーキンソン病、ハンチントン病及びてんかんを含むニューロンの代謝の減少に関連する他の疾患の治療のための治療用薬剤となることができることを示した(米国特許第6,835,750号)。
【0005】
従来の研究は中鎖脂肪酸への感受性が種によって相当に変動することを示しており、特定の微生物が特定の脂肪酸及びモノグリセリドに感受性があった。例えばBergssonら1998は、ラウリン酸、カプリン酸及びモノカプリンが感染価を10000倍を超えて減少させたことを示した。脂肪酸及びモノグリセリドを低濃度及び短い暴露時間でさらに比較した場合、ラウリン酸はカプリン酸及びモノカプリンよりも活性であり、濃度5mM 5分間でトラコーマクラミジア(C.trachomatis)の100000倍を超える不活性化を生じた。モノカプリンと比較してモノラウリン及びモノカプリリンは濃度10mMにおいてトラコーマクラミジア(C.trachomatis)についてごくわずかな効果を有する。Bergssonら(2002)が行った他の研究において、中鎖脂肪酸(C、C10及びC12)及びそのモノグリセリド誘導体はサルモネラ(Salmonella)種及び大腸菌(E.coli)に対して有意な抗菌活性を示さないことが見出された。しかし、この研究においてモノカプリン及びモノラウリンは濃度10mM、30分間、37℃でピロリ菌(H.pylori)に対して最も活性であることが見出された。自然に汚染したカッテージチーズ中へのモノラウリンの250及び500ppmでの混合は、シュ−ドモナス(Pseudomonas)種及び大腸菌型の両方の90%を超える阻害を生じた(Bautistaら、1993)。カンジダ・アルビカンス(C.albicans)の場合、カプリン酸及びラウリン酸はその誘導体であるモノグリセリドと比較して最も急速で最も効果的な殺菌を生じる(Bergssonら2001)。しかし、ミリスチン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸及びその誘導体のモノグリセリドは抗菌効果を示さない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの中鎖脂肪酸及びそのモノグリセリドが抗菌剤として作用する能力は変動すると考えられる。これらの化合物の有効性は常にその濃度及び含まれる微生物の種類に依存する。従来は中鎖脂肪酸及びこれらに対応するモノグリセリドの抗菌活性の試験は個別に行われた。試験は、ラウリン酸若しくはカプリン酸若しくはカプリル酸又はこれらに対応するモノグリセリドのいずれかを使用して行った。油培地における中鎖脂肪酸及びそれらそれぞれのモノグリセリド両方の相乗効果が実施及び報告されたことはない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、ココナッツ油を1,3−特異的リパーゼで触媒することにより得られる改変ココナッツ油を提供することが本発明の目的であり、前記改変ココナッツ油は中鎖脂肪酸及びこれらに対応するモノグリセリドの有効量を含有し、ここで前記改変油は抗菌特性を有する。前記改変ココナッツ油はカプリル酸(C)、カプリン酸(C10)及びラウリル酸(C12)を含む中鎖脂肪酸を含有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の目的に従って、本研究において、細菌、酵母、真菌及びウイルスに対する抗菌活性を有する中鎖脂肪酸(CからC12を特に重点的に)及びそのそれぞれのモノグリセリドを含有する改変ココナッツ油のプロフィールを得るための試みがなされた。ココナッツ油は中鎖脂肪酸の豊富な源であるという性質により選択された。ココナッツ油は飽和脂肪酸を90%含み、その内45から48%はラウリン酸であり、30から36%は他の短鎖及び中鎖脂肪酸である。予備的研究は、ココナッツ油自体は抗菌活性を有さないことを示した(7%のジアシルグリセロールを含み、残りはトリグリセリドである)。HPTLCによる分析は、脂肪酸及びモノグリセリドが油組成物中に検出されることを示した。本発明は、抗菌特性を有する油を得るためだけでなく効果的であり強力な抗菌剤を得るために1,3位特異的リパーゼを使用する方法も含む。
【0009】
本発明により1,3位特異的リパーゼを、細菌及び酵母に対して広域抗菌スペクトルを有する飽和中鎖脂肪酸及びそれらそれぞれのモノグリセリドのプロフィールを得るために特定の反応条件下でココナッツ油を改変するために使用する。改変ココナッツ油混合物は好ましくは、部分加水分解又はグリセロリシス反応から得られる多量の遊離脂肪酸(C−C12)及びそれらに対応するモノグリセリドを含む。本発明において使用される酵素は、リパーゼなどの酵素であり、好ましくは適切な酵素担体上に固定されている。前記特異的リパーゼは1,3位を有する、すなわちLipozyme TL IM(Rhizomucor miehei)。改変油を得るための反応は以下の通りであった。
【実施例】
【0010】
反応1−改変1及び改変2
酵素反応は、1,3−位特異的リパーゼ2.5gをココナッツ油250g及び蒸留水2.5mlと共に使用して実施した。反応は45℃、250r.p.mで実施した。試料を分析のために24時間反応後(改変1)及び120時間反応後(改変2)に回収した。次いで試料から水を除去するために試料を硫酸ナトリウム粉末を含む漏斗に通した。油層を分離するために反応混合物を遠心分離した。高性能薄層クロマトグラフィー技術及びガスクロマトグラフィー技術を各油試料中の脂質のクラス及び脂肪酸組成を決定するために実施した。次いで、改変油を以下の抗菌活性について分析した、試験1:最小ミクロサイダル濃度(MMC、>90%)及び試験2:時間−殺菌試験。
【0011】
反応2−改変3
ココナッツ油20mlをグリセロール8g及び蒸留水160μlが入っている125mlフラスコに加えた。反応混合物を35℃、300r.p.mでインキュベーション温度が35℃に達するまでインキュベートした。次いで、Lipozyme TL IM 250mgを反応混合物に加え、35℃で24時間インキュベートした。次いで、油試料を25℃に更に3日間置いた。
【0012】
反応3−改変4
グリセロール30.4g、水1.09ml、Lipozyme TL IM 1g及びココナッツ油100gの混合物を調製した。反応混合物をまず30℃、6時間、800r.p.m.で一定に撹拌しながらインキュベートした。次いで、混合物を5℃に移し、分析の前に3日間まで置いた。
【0013】
反応4−改変5
改変4に従って反応混合物を調製した。分析前に、反応を30℃、800r.p.m.で16時間実施した。
【0014】
反応5−改変6
改変2から油20mlを、グリセロール8g及び滅菌蒸留水160μlを含む混合物に添加した。反応混合物を35℃、300r.p.m.で予備インキュベートした。Lipozyme TL IM 250mgを混合物に加えることにより反応を開始し、反応は24時間実施した。次いで、混合物を25℃で3日間インキュベートした。
【0015】
試験1:最小ミクロサイダル濃度(MMC,>90%殺菌)
全てのウェルにブロス120μlを入れた(BHI、グラム陽性菌用は0.1%Tween80;グラム陰性菌用はTBS;酵母用はPDBを含む)。抗菌剤120μlを最初のウェルに加えた。最初のウェルから混合物120μlを2番目のウェルに移し、同様に12番目のウェルまで続けた。10から10cfu/mlに調整した接種物を各ウェルに植え付けた。プレートを、細菌用は37℃(2日間)、酵母用は32℃(3日間)インキュベートした。結果を表1にMMC90(最小殺菌濃度、>90%殺菌)で示した。
【0016】
試験2:時間−殺菌試験
接種物はフラスコ中のブロス50ml(グラム陽性菌用にはBHI;グラム陰性菌用にはTBS;酵母用にはPDB)に、ループを満たす量の細胞を植え付けることにより培養し、最適温度で終夜振盪した。これを、ろ過滅菌処理したVCOを50%含むBHI、TSB又はPDBブロスに接種するために使用した。開始接種物は10から10cfu/mlに調整した。一定時間ごとに反応混合物1ml採取し、リンゲル液中で一連の希釈を行った。生存可能なコロニーをプレートカウント寒天培地(PCA)上でプレーティング希釈することにより数えた。プレートは、細菌用は37℃(2日間)、酵母用は32℃(3日間)インキュベートした。対照実験は50%滅菌蒸留水の存在下で行った。
【表1】


【表2】


【表3】

【0017】
以下の改変バージンココナッツ油及びパーム核油のプロフィールはその抗菌活性について試験し、微生物の多くの群に対して活性があることが見出された。
改変1−プロフィール1
【表4】


改変2−プロフィール2
【表5】


改変3−プロフィール3
【表6】


改変4−プロフィール4
【表7】


改変5−プロフィール5
【表8】


改変6−プロフィール6
【表9】

【0018】
本発明により、例えば中鎖脂肪酸及びその対応するモノエステルを含有する抗菌組成物をココナッツ油の部分加水分解並びにグリセロリシスから得るための方法が提供される。改変油1及び改変油2は、バージンココナッツ油のそれぞれ24時間及び120時間の加水分解反応から得た。MMC90としての抗菌活性(表1)及び時間−殺菌試験(表2)の試験は、改変1と比較して改変2がより強力な抗菌活性を有することを示した。これは、恐らく改変2(プロフィール2)中に含まれる多量の脂肪酸(14%)によるものである。飽和中鎖脂肪酸、特にカプリル油、カプリン油及びラウリン油の含有量(mg/g)が増加していた(プロフィール2)。しかし、プロフィール1及びプロフィール2による改変油組成物は大腸菌(E.coli)及びアクネ菌(P.acne)の増殖を停止できないことが示された。時間−殺菌試験から明らかに、カンジダ・アルビカンス(C.albicans)の増殖は48時間のインキュベーション後であっても100%は阻害されなかった(表2)。改変1及び改変2はグラム陽性菌に対して効果的であり、それぞれ8時間及び2時間インキュベーション後に100%阻害が認められた。予備的結果は、脂肪酸、すなわちC、C10及びC12の含有量がグラム陽性菌の増殖の不活性化において重要な役割を果たしていることを示した。改変3、4、5及び6は改変1及び2とは異なる方法で調製した。これらはグリセロリシス反応から得た。全ての反応においてグリセロール及びLipozyme TL IMを添加した。
【0019】
比較すると、改変3、4、5及び6はカンジダ・アルビカンス(C.albians)の殺菌において改変1及び2よりも効果的であった。8時間インキュベーションで100%阻害が認められた。カンジダ・アルビカンス(C.albicans)に対する最小ミクロバイアル濃度は2.44mg/mlと得られ、改変5ではより高濃度の例えば4.88mg/mlが必要であった。改変油試料において、改変3及び改変6は強力な抗菌活性を有していた。加えて、改変3、4、5及び6の黄色ブドウ球菌(S.aureus)、リステリア菌(L.monocytogenes)、化膿連鎖球菌(P.pyogenes)などのグラム陽性菌に対するMMC90は改変1及び2よりも低かった。最も重要なことは、これらの改変ココナッツ油が、必要なMMC90はグラム陽性菌と比較して高いが、グラム陰性菌、大腸菌(E.coli)に対する抗菌活性を有していることである。改変3及び6はグラム陽性菌に対して改変4及び5と比較してより強力であることも示された。改変3、4、5及び6の脂質クラスの詳細な分析は、脂肪酸及びモノグリセリドの含有量が高いことがこれらの改変油の抗菌スペクトルの広域化において重要な役割を演じることを示した。約8%から14%のモノグリセリドが、大腸菌(E.coli)の増殖の制御及び抑制に並びにカンジダ・アルビカンス(C.albicans)の100%阻害に必要であった。一方、改変3及び6における高い脂肪酸含有量は改変油をグラム陽性菌に対してより強力にした(プロフィール3及びプロフィール6)。改変3及び6のすべてのグラム陽性菌に対するMMC90は、4.88mg/mlであり、これは改変4及び5の値の1/16である。脂肪酸と共にモノグリセリドはカンジダ・アルビカンス(C.albicans)の増殖を100%阻害する相乗効果を有する。
【0020】
脂肪酸組成がココナッツ油と類似しているパーム核油も、1,3特異的リパーゼを使用して改変することができる。改変パーム核油も黄色ブドウ球菌(S.aureus)に対する抗菌特性を有することが見出された。黄色ブドウ球菌(S.aureus)の完全な阻害が24時間暴露の後に認められた。一方、改変パーム核油中の中鎖脂肪酸及びそれに対応する脂肪酸の含有量は大腸菌(E.coli)及びカンジダ・アルビカンス(C.albicans)の増殖停止又は殺菌に重要でないことが認められた。
【0021】
本発明における改変油組成物は酸化に対して良い貯蔵安定性を示すことが見出され、人間に影響を及ぼす細菌、酵母及びウイルスと戦うために、食品保存剤、身体用衛生用及び皮膚感染の予防用の製品として安全に使用できる。
【0022】
前記開示に照らして当業者に明確であるように、多数の変更及び改変が本発明の実施において本発明の範囲から逸脱することなく可能である。したがって、本発明の範囲は特許請求の範囲によって定義される本旨に従って解釈される。
(引用文献)
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Shibasaki,I.及びKato,N.(1978)「グラム陰性菌に対する脂肪酸及びそのエステルの抗菌活性における併用効果(Combined effects on anti−bacterial activity of fatty acids and their esters against gram−negative bacteria)」J.J.Kabara (ed)The Pharmacological Effect of Lipids.American Oil Chemists’Society,Champaign,IL,pp:15−23.
Welsh,J.K.,Arsenakis,M.,Coelen,R.J.及びMay,J.T.(1979)「ヒト乳中のウイルスの活性における抗菌脂質、加熱及び凍結の効果(Effect of antiviral lipids,heat,and freezing on the activity of viruses in human milk)」Journal of Infectious Disease,140:322−328.
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Petschow,B.W.,Batema,R.P.,Talbott,R.D.及びFord,L.L.(1998)「コレラ菌(Vibrio cholerae)による腸内での集落形成又は毒素原性大腸菌(Escherichia coli)における中鎖モノグリセリドの効果(Impact of medium−chain monoglycerides on intestinal colonization by Vibrio cholerae or enterotoxigenic Escherichia coli)」Journal of Medicinal Microbiology.47:383−389.
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Bautista,D.A.,Durisin,M.D.,Razavi−Rohani,S.M.,Hill,A.R.及びGriffiths,M.W.(1993)「カッテージチーズのモノラウリンを使用する貯蔵期間の延長(Extending the shelf−life of cottage cheese using monolaurin)」Food Research International.26:203−208.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,3位特異的リパーゼでココナッツ油を触媒することにより得られる改変ココナッツ油であって、有効量の中鎖脂肪酸及びそれに対応するモノグリセリドを含有し、抗菌特性を有する改変ココナッツ油。
【請求項2】
前記中鎖脂肪酸がカプリル酸(C)、カプリン酸(C10)及びラウリン酸(C12)を含む、請求項1に記載の改変ココナッツ油。
【請求項3】
前記対応するモノグリセリドがモノカプリリン、モノカプリン及びモノラウリンを含む、請求項1に記載の改変ココナッツ油。
【請求項4】
10%を超える濃度の遊離脂肪酸及び1%を超える濃度のモノグリセリドを含有する、請求項1に記載の改変ココナッツ油。
【請求項5】
前記1,3位特異的リパーゼをRhizomucor mieheiから得られる、請求項1又は4に記載の改変ココナッツ油。
【請求項6】
1,3位特異的リパーゼの触媒活性によるココナッツ油の部分加水分解から得られる、請求項1又は4に記載の改変ココナッツ油。
【請求項7】
前記部分加水分解反応の後に、グリセロリシス反応にかける、請求項6に記載の改変ココナッツ油。
【請求項8】
前記ココナッツ油がバージンココナッツ油である、請求項1又は6のいずれか一項に記載の改変ココナッツ油。
【請求項9】
10%を超える濃度の遊離脂肪酸及び2%未満の濃度のモノグリセリドを含有する、請求項1又は4に記載の改変ココナッツ油。
【請求項10】
10mg/gを超えるカプリル酸(C)、7mg/gを超えるカプリン酸(C10)及び54mg/gを超えるラウリン酸(C12)を含む、請求項9に記載の改変ココナッツ油。
【請求項11】
前記モノグリセリドが0.6mg/gを超えるモノカプリリン、0.4mg/gを超えるモノカプリン及び20mg/gを超えるモノラウリンを含む、請求項9に記載の改変ココナッツ油。
【請求項12】
黄色ブドウ球菌(S.aureus)、リステリア菌(L.monocytogenenes)及び化膿連鎖球菌(S.pyogenes)などのグラム陽性菌に対抗して効果的である、請求項1、4、9、10又は11のいずれか一項に記載の改変ココナッツ油。
【請求項13】
コレラ菌(V.cholerae)などのグラム陰性菌に対抗して効果的である、請求項1、4、9、10又は11のいずれか一項に記載の改変ココナッツ油。
【請求項14】
カンジダ・アルビカンス(C.albicans)などの酵母に対抗して効果的である、請求項1、4、9、10又は11のいずれか一項に記載の改変ココナッツ油。
【請求項15】
1,3位特異的リパーゼの触媒活性によるココナッツ油の部分加水分解反応から得られる、請求項9、10又は11のいずれか一項に記載の改変ココナッツ油。
【請求項16】
前記1,3位特異的リパーゼがRhizomucor mieheiから得られる、請求項15に記載の改変ココナッツ油。
【請求項17】
前記ココナッツ油がバージンココナッツ油である、請求項15のいずれか一項に記載の改変ココナッツ油。
【請求項18】
10%を超える濃度の遊離脂肪酸及び8%を超える濃度のモノグリセリドを含有する、請求項1又は4に記載の改変ココナッツ油。
【請求項19】
9mg/gを超えるカプリル酸(C)、6mg/gを超えるカプリン酸(C10)及び68mg/gを超えるラウリン酸(C12)を含む、請求項18に記載の改変ココナッツ油。
【請求項20】
前記モノグリセリドが8mg/gを超えるモノカプリリン、5mg/gを超えるモノカプリン及び41mg/gを超えるモノラウリンを含む、請求項18に記載の改変ココナッツ油。
【請求項21】
黄色ブドウ球菌(S.aureus)、リステリア菌(L.monocytogenenes)及び化膿連鎖球菌(S.pyogenes)などのグラム陽性菌に対抗してより効果的である、請求項1、4、18、19又は20のいずれか一項に記載の改変ココナッツ油。
【請求項22】
カンジダ・アルビカンス(C.albicans)などの酵母に対抗してより効果的である、請求項1、4、18、19又は20のいずれか一項に記載の改変ココナッツ油。
【請求項23】
8時間以内のインキュベーションでカンジダ・アルビカンス(C.albicans)を100%抑制する、請求項22に記載の改変ココナッツ油。
【請求項24】
大腸菌(E.coli)などのグラム陰性菌の増殖抑制に効果的である、請求項1、4、18、19又は20のいずれか一項に記載の改変ココナッツ油。
【請求項25】
1,3位特異的リパーゼの触媒活性によるココナッツ油の部分加水分解に続くグリセロリシス反応から得られる、請求項1、4、18、19又は20のいずれか一項に記載の改変ココナッツ油。
【請求項26】
前記1,3位特異的リパーゼがRhizomucor mieheiから得られる、請求項25に記載の改変ココナッツ油。
【請求項27】
前記ココナッツ油がバージンココナッツ油である、請求項25のいずれか一項に記載の改変ココナッツ油。
【請求項28】
皮膚疾患の治療及び予防のための、請求項1から27までのいずれか一項に記載の改変ココナッツ油の使用。
【請求項29】
食品保存のための、請求項1から28までのいずれか一項に記載の改変ココナッツ油の使用。
【請求項30】
身体用衛生製品への処方又は前記身体用衛生製品の処方の一部への混合のための、請求項1から29までのいずれか一項に記載の改変ココナッツ油の使用。
【請求項31】
抗菌剤としての、請求項1から30までのいずれか一項に記載の改変ココナッツ油の使用であって、投与形態はカプセルである使用。
【請求項32】
動物の疾患を予防するための天然の抗生物質としての、請求項1から31までのいずれか一項に記載の改変ココナッツ油の使用。
【請求項33】
1,3位特異的リパーゼでパーム核油を触媒することにより得られる改変パーム核油であって、有効量の中鎖脂肪酸及びそれに対応するモノグリセリドを含有し、抗菌特性を有する改変パーム核油。
【請求項34】
10%を超える濃度の遊離脂肪酸及び1%を超える濃度のモノグリセリドを含有する、請求項33に記載の改変油。
【請求項35】
前記1,3位特異的リパーゼがRhizomucor mieheiから得られる、請求項33に記載の改変油。
【請求項36】
皮膚疾患の治療及び予防のための、請求項33又は34に記載の改変油の使用。
【請求項37】
食品保存のための、請求項33又は34に記載の改変油の使用。
【請求項38】
身体用衛生製品への処方又は前記身体用衛生製品の処方の一部への混合のための、請求項33又は34に記載の改変油の使用。
【請求項39】
抗菌剤としての、請求項33又は34に記載の改変油の使用であって、投与形態はカプセルである使用。
【請求項40】
動物の疾患を予防するための天然の抗生物質としての、請求項33又は34に記載の改変油の使用。

【公表番号】特表2009−518389(P2009−518389A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544270(P2008−544270)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際出願番号】PCT/MY2006/000028
【国際公開番号】WO2007/067028
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(508028302)マレーシアン アグリカルチュラル リサーチ アンド ディベロップメント インスティチュート(エムエーアールディーアイ) (1)
【Fターム(参考)】