説明

床ずれ通報システム

【課題】 安価な装置構成とすることができ、また多くの被介護者や患者が容易に使用することができる床ずれ通報システムを提供する。
【解決手段】 床ずれ通報システム1は、各患者に装着される第1及び携帯型発信機2a、2bと、病棟内の複数箇所に設置される受信機3と、各階のナースセンターに設置される監視装置4とを備えている。第1及び第2携帯型発信機2a、2bは、患者に作用する加速度、患者の脈波、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度を検出し、無線送信する。送信された情報は、受信機3を中継して監視装置4へ与えられ、監視装置4は、これらに基づいて患者の床ずれ発生の危険性や異常を検出し、警告画面を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝具に横臥する横臥者が床ずれに罹る危険性がある場合に通報する床ずれ通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
在宅の独居老人や入院患者の中には、長期的に病床に臥す者があり、そのような被介護者、患者が床ずれに罹ることを防止するために、定期的に被介護者又は患者の寝姿勢を変えることが必要である。そこで、介護者や看護師等が定期的に被介護者の部屋又は患者の病室を訪問し、被介護者又は患者の寝姿勢を変えることが行われている。
【0003】
特許文献1には、エアマットレスの内圧の変動により患者の体動を検出し、検出された患者の体動から寝返り頻度を判定し、寝返りの頻度が所定頻度以下のときに、空調ユニットの運転をドライ運転に切り換えたり、エアーマットの空気を抜いたりして、患者が湿気を原因とする床ずれに罹ることや、患者の体重を体の一点に集中させることなく分散させて床ずれに罹ることを防止するシステムが開示されている。また、このシステムでは、患者の寝返りの頻度が所定頻度以下のときに、介護者の部屋に設置されたブザーを鳴らして患者が床ずれに罹る危険性があることを介護者に通知することが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−49388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような特許文献1のシステムでは、患者の体動を検出するために専用のエアマットレスが必要であり、非常に高価なものとなってしまう。また、複数の患者が使用するためには、各患者の部屋に当該マットレス、空調ユニット、機器制御装置等の大型の機器を設置する必要があり、介護者や看護師だけでは設置することが困難であった。
【0006】
また、介護者や患者の部屋にブザーを設置する構成であるため、介護者がこれらの部屋にいなければ患者が床ずれに罹る危険性があることを介護者に通知することはできない。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、安価な装置構成とすることができ、また多くの被介護者や患者が容易に使用することができる床ずれ通報システムを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明の他の目的は、介護者や看護師が外出中であっても床ずれの発生の危険性があることを確実に通知することができる床ずれ通報システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の局面に係る床ずれ通報システムは、寝具に横臥する横臥者に作用する加速度を検出する加速度センサと、当該加速度センサの検出結果を送信する送信部とを備える携帯型発信機と、表示部と、前記加速度センサの検出結果を受信する受信部と、受信した検出結果に基づいて、前記横臥者が所定時間内に寝返りをしたか否かを判定する判定部と、前記横臥者が所定時間内に寝返りをしていないと判定された場合に、床ずれの発生を警告する警告画面を表示するよう前記表示部を制御する表示制御部とを備える監視装置と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記発明においては、前記携帯型発信機は、横臥者の胴体に装着可能に構成されていることが好ましい。
【0011】
また、上記発明においては、前記判定部は、前記加速度センサの検出した加速度が前記所定時間内に所定の閾値を超えるか否かを判定するように構成されているか、前記加速度センサの検出した加速度に基づいて、前記横臥者の姿勢を特定し、前記横臥者が前記所定時間以上にわたって実質的に同一の姿勢をとっているか否かを判定するように構成されていることが好ましい。
【0012】
また、上記発明においては、前記表示制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記表示部に前記横臥者の体動に関する情報を表示するように構成されていることが好ましい。
【0013】
上記発明においては、前記送信部は、前記加速度センサによる検出結果とともに、前記携帯型発信機を特定する特定情報を送信するように構成されており、前記表示制御部は、前記受信部が受信した特定情報に基づいて、前記警告画面に前記横臥者又は前記携帯型発信機を特定する情報を表示するように構成されていることが好ましい。
【0014】
また、上記発明においては、前記携帯型発信機は、横臥者の生体的状態を検出する生体的状態検出部をさらに備え、前記送信部は、前記生体的状態検出部による検出結果をさらに送信するように構成されており、前記受信部は、前記生体的状態検出部の検出結果をさらに受信し、前記判定部は、前記生体的状態検出部が検出した生体的状態に基づいて、患者の身体に異常が発生したか否かをさらに判定するように構成されていることが好ましい。
【0015】
また、上記発明においては、横臥者の生体的状態を検出する生体的状態検出部と、当該生体的状態検出部の検出結果を送信する送信部とを備える生体的状態検出装置をさらに備え、前記受信部は、前記生体的状態検出部の検出結果をさらに受信し、前記判定部は、前記生体的状態検出部が検出した生体的状態に基づいて、患者の身体に異常が発生したか否かをさらに判定するように構成されていることが好ましい。
【0016】
また、上記発明においては、前記生体的状態検出部は、脈波センサを備えることが好ましい。
【0017】
また、上記発明においては、前記生体的状態検出部は、患者の心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の少なくとも1つを検出するように構成されていることが好ましい。
【0018】
また、上記発明においては、前記寝具が設置された部屋に設けられており、前記加速度センサから送信されたデータを受信する第2受信部と、当該受信部によって受信したデータを送信する第2送信部とを備える受信機をさらに備え、前記監視装置は、前記受信機を介して前記検出部の検出結果を受信するように構成されていることが好ましい。
【0019】
また、上記発明においては、前記監視装置は、前記判定部により前記横臥者が所定時間内に寝返りをしていないと判定された場合に、画像要求信号を送信する第3送信部をさらに備え、前記受信機は、前記監視装置から送信された画像要求信号を受信する第3受信部と、少なくとも部屋内を撮像する撮像部とをさらに備え、前記第2送信部は、前記第3受信部が画像要求信号を受信したときに、前記撮像部の撮像画像を送信するように構成されており、前記受信部は、前記受信機から送信された撮像画像を受信し、前記表示制御部は、前記撮像画像を前記警告画面に表示するように構成されていることが好ましい。
【0020】
本発明の第2の局面に係る床ずれ通報システムは、寝具に横臥する横臥者に作用する加速度を検出する加速度センサと、当該加速度センサの検出結果を送信する第1送信部とを備える携帯型発信機と、表示部と、前記加速度センサの検出結果を受信する第1受信部と、受信した検出結果に基づいて、前記横臥者が所定時間内に寝返りをしたか否かを判定する判定部と、前記横臥者が所定時間内に寝返りをしていないと判定された場合に、床ずれの発生を警告する警告情報を送信する第2送信部とを備える情報処理装置と、表示部と、前記警告情報を受信する第2受信部と、前記警告情報を受信したときに、床ずれの発生を警告する警告画面を前記表示部に表示させる表示制御部とを備え、横臥者を介護する介護者が所持する携帯電話機と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る床ずれ通報システムによれば、安価な装置構成とすることができ、また多くの被介護者や患者が容易に使用することができる。また、介護者や看護師が外出中であっても床ずれの発生の危険性があることを確実に通知することができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る床ずれ通報システムについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る床ずれ通報システムの概略構成を示す模式図である。本実施の形態1に係る床ずれ通報システム1は、病院内で使用される。図1に示すように、床ずれ通報システム1は、各患者に装着される第1携帯型発信機2a及び第2携帯型発信機2bと、病棟内の複数箇所に設置される受信機3と、各階のナースセンターに設置される監視装置4とを備えている。携帯型発信機2は、患者に作用する加速度を検出することが可能であると共に、検出した加速度データを含む物理的状態情報2cを定期的に無線で送信する。第2携帯型発信機2bは、患者の生体的状態、すなわち脈波、心拍、血圧(循環器の状態)、及び血中酸素飽和度(呼吸器の状態)を検出することが可能であり、このような患者の生体的状態を示す生体的状態情報2dを定期的に無線で送信する。受信機3は、病棟内の各部屋(病室、トイレ等)や廊下等の天井や壁に取り付けられており、監視装置4とデータ通信可能に接続されている。このような受信機3は、第1携帯型発信機2aから送信された物理的状態情報2c及び第2携帯型発信機2bから送信された生体的状態情報2dを受信し、受信した物理的状態情報2c及び生体的状態情報2dを含む状態情報3aを監視装置4へと送信する。監視装置4は、受信した状態情報3aに基づいて、患者が床ずれに罹る危険性があるか及びその他の生体的な異常が生じているか否かを判定し、患者が床ずれに罹る危険性があったり、生体的な異常が生じている場合には、異常検出信号4aを異常が検出された状態情報の送信元の受信機3へ送信する。また、受信機3にはカメラ31が設けられており、異常検出信号4aを受信したことをトリガーとしてカメラ31を駆動して部屋の内部の撮像を開始し、この撮像画像データ31aを監視装置4へと送信する。監視装置4は、表示部42を有しており、看護師や医師に床ずれその他の異常の発生を警告するための警告画面を表示する。この画面中にはカメラ31の撮像画像が表示され、これにより看護師や医師が患者がどのような状態(倒れている、ベッドから転落している、発作が起こっている等)を即座に確認することができる。また、本実施の形態に係る床ずれ通報システム1においては、監視装置4が受信した所定期間の最新の物理的状態情報及び生体的状態情報(例えば、5分前から現在までのデータ)を記憶しておき、表示部42に表示することができる。これによって看護師や医師等が患者の状態をいつでも確認することができ、患者を見守ることができる。
【0023】
[第1携帯型発信機2a及び第2携帯型発信機2b]
図2は、図1に示す第1携帯型発信機2a及び第2携帯型発信機2bが患者に装着されたときの様子を示す模式図であり、図3は、第1携帯型発信機2a及び第2携帯型発信機2bの構成を示すブロック図である。図2に示すように、第1携帯型発信機2aは、概ね500円玉程度の大きさの円盤状をなしており、患者の胴体であって動脈付近の体表面(胸部等)にテープ等で貼り付けるようになっている。また、第2携帯型発信機2bは、腕時計状をなしており、患者の腕部に装着される本体部2cと、患者の指に装着されるセンサ部2fとを備えており、本体部2eとセンサ部2fとが信号ケーブルにより接続されている。
【0024】
図3に示すように、第1携帯型発信機2aは、加速度センサ21aと、CPU、メモリ等からなる制御部21bと、無線通信部21cとを備えている。また、この第1携帯型発信機2aは、電池を内蔵しており(図示せず)、これによって上述した各部へ電力を供給するようになっている。
【0025】
各第1携帯型発信機2a及び第2携帯型発信機2bには、固有の第1ID情報が割り当てられており、第1携帯型発信機2aは、制御部21bのメモリに当該第1携帯型発信機2a及び第2携帯型発信機2bを特定する第1ID情報が記録されている。このような第1携帯型発信機2aは、加速度センサ21aによって患者に作用する加速度を検出し、加速度データと第1ID情報とによってなる物理的状態情報2cを定期的に無線で送信する。
【0026】
図3に示すように、第2携帯型発信機2bは、本体部2eに、CPU、メモリ等からなる制御部22aと、無線通信部22bとを備えており、センサ部2fに、脈波センサ22cと、血中酸素飽和度センサ22dとを備えている。脈波センサ22cは、反射型の光学式センサであり、発光素子と受光素子とが隣接して設けられている。これにより、発光素子から発せられた光が体表付近の動脈で反射・散乱し、その反射・散乱光が受光素子に受光される。また、血中酸素飽和度センサ22dは、異なる波長の光を発する2つの発光素子と、これらの発光素子の反対側に設けられた受光素子とを備えている。つまり、2つの発光素子と1つの受光素子とによって患者の指が挟まれた状態となる。これにより、それぞれの発光素子によって発せられた光の透過光が受光素子によって受光される。このような構成によって、公知の手法により脈波及び血中酸素飽和度が取得される。また、第2携帯型発信機2bは、制御部22aにより、脈波に基づいて心拍、及び血圧を算出する。第2携帯型発信機2bは、制御部22aのメモリも上述した第1携帯型発信機2aと同一の第1ID情報が記録されている。このような第2携帯型発信機2bは、取得された心拍、血圧及び血中酸素飽和度と第1ID情報とによってなる生体的状態情報2dを定期的に無線で送信する。
【0027】
[受信機3]
図4は、受信機3の外観を示す斜視図であり、図5は、受信機3の構成を示すブロック図である。図4に示すように、受信機2は、病室、トイレ、廊下等の天井に取り付けられ、その下端部にカメラ31が設けられている。図5に示すように、受信機3は、カメラ31、無線通信部32、有線通信部33、及び制御部34を備えている。また、この受信機3は、外部の商用電源に接続されており(図示せず)、これによって上述した各部へ電力を供給するようになっている。なお、このような構成だけでなく、監視装置4から通信ケーブル(イーサネット(登録商標)ケーブル)を通じて受信機3に電力を供給する構成とすることもできる。
【0028】
カメラ31は、概ね室内全体を撮像することができる程度の画角(例えば180度)を備えており、広範囲をひずみなく撮像するために、立体写影レンズ付きカメラ(いわゆる、ひずみ無し魚眼レンズ)が使用され、画像補正を行う構成となっている。このカメラ31として、例えば、ソニー株式会社製の超広視野角小型カメラモジュールRPU−C1833を使用することができる。このカメラ31は、CCDやCMOS等の撮像素子を備えており、撮像画像データを出力するようになっている。カメラ31は、通常では休止状態とされており、異常検出信号4aを受信した場合に、撮像動作を開始する。
【0029】
無線通信部32は、所定の通信方式に従って無線信号を受信する。この無線通信部32によって、第1携帯型発信機2a及び第2携帯型発信機2bから送信された無線信号(物理的状態情報2c及び生体的状態情報2d)が受信される。
【0030】
有線通信部33は、Ethernet(登録商標)通信インタフェースであり、所定の通信プロトコルに従って監視装置4との間でデータ通信を行う。
【0031】
制御部34は、CPU、ROM、RAM等を備えており、ROMに格納されている制御プログラムを実行することにより、カメラ31、無線通信部32、及び有線通信部33を駆動し、またこれらの出力データを処理する。以下に当該制御部34の構成についてより詳しく説明する。各受信機3には、固有の第2ID情報が割り当てられており、制御部34のメモリに当該第2ID情報が格納されている。この第2ID情報を使用することにより、受信機3(またはこの受信機3が設置されている位置)を特定することが可能である。制御部34は、無線通信部32によって物理的状態情報2c及び生体的状態情報2dを受信したときに、物理的状態情報2c及び生体的状態情報2dに含まれている第1ID情報、前述の第2ID情報、前記物理的状態情報2cに含まれる加速度データ、並びに前記生体的状態情報2dに含まれている心拍データ、血圧データ及び血中酸素飽和度データを含む状態情報3aを生成し、これを有線通信部33に送信させる。また、異常検出信号4aが受信されたか否かを監視し、異常検出信号4aが受信された場合には、休止状態のカメラ31を駆動して撮像を開始すると共に、この撮像によって得た撮像画像データ31aを有線通信部32から送信する。
【0032】
[監視装置4]
図6は、監視装置4の構成を示すブロック図である。図1に示すように、この監視装置4はいわゆるキオスク端末として構成されている。つまり、監視装置4は、ディスプレイ(表示部)一体型の装置であり、表示部42の画面には入力装置としてタッチパネル43が設けられている(図6参照)。また、図6に示すように、監視装置4は、CPU41aと、ROM41bと、RAM41cと、ハードディスク41dと、入出力インタフェース41fと、通信インタフェース41gと、画像出力インタフェース41hとから主として構成されている。
【0033】
CPU41aは、ROM41bに記憶されているコンピュータプログラム及びRAM41cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなコンピュータプログラムを当該CPU41aが実行することにより、コンピュータ4aが監視装置4として機能する。
【0034】
ROM41bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU41aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0035】
RAM41cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM41cは、ROM41b及びハードディスク41dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU41aの作業領域として利用される。
【0036】
ハードディスク41dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU41aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。また、ハードディスク41dには、2つのテーブルT1、T2が記憶されている。テーブルT1には、それぞれの携帯型発信機2に割り当てられている第1ID情報と、患者の氏名(又は他の患者を特定する情報。例えば患者番号)とが対応付けられて格納されている。また、テーブルT2には、それぞれの受信機3に割り当てられている第2ID情報と、受信機が設置されている位置(病室、トイレ、廊下の位置を特定する情報。例えば、病室番号等)が対応付けられて格納されている。
【0037】
入出力インタフェース41fは、例えばUSB,IEEE1394,RS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース41fには、キーボード及びマウスからなるタッチパネル43が接続されており、ユーザ(看護師又は医師)が当該タッチパネル43を使用することにより、コンピュータ2にデータを入力することが可能である。
【0038】
タッチパネル43は、画像表示部42の表面に配置されており、ユーザが画面上を指で触れて位置を指示することが可能である。かかるタッチパネル43は、ユーザから画面上の位置が指示されたときに、この位置を検出して位置情報を入出力インタフェース41fを介してCPUへと送信する。なお、タッチパネル43には、感圧式及び静電容量式のいずれを用いてもよい。このように構成することによって、看護師や医師等が画面に表示されている指示に従って画面を触れるだけで所望の入力を達成することができる。
【0039】
通信インタフェース41gは、Ethernet(登録商標)インタフェースであり、コンピュータ4は、当該通信インタフェース41gにより、所定の通信プロトコルを使用して通信ネットワークNWに接続された受信機3との間でデータの送受信が可能である。
【0040】
画像出力インタフェース41hは、LCD又はCRT等で構成された画像表示部42に接続されており、CPU41aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部42に出力するようになっている。画像表示部42は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0041】
次に、実施の形態5に係る床ずれ通報システム1の動作について説明する。図7及び図8は、床ずれ通報システム1の動作の流れを示すフローチャートである。まず、患者の胴部に取り付けられた第1携帯型発信機2aにより、患者に作用する加速度が検出される(ステップS1)。制御部21bは、この第1携帯型発信機2aを特定する第1ID情報をメモリに記憶しており、検出した加速度及び第1ID情報を含む物理的状態情報2cを無線通信部21cに送信させる(ステップS2)。その後、制御部21bはステップS1に処理を戻し、定期的に物理的状態情報2cを取得して無線により送信する。また、患者の腕部に取り付けられた第2携帯型発信機2bにより、患者の脈波及び血中酸素飽和度が検出される(ステップS3)。制御部22aは、前記第1携帯型発信機2bと同一の第1ID情報をメモリに記憶しており、患者の脈波から心拍及び血圧を算出し(ステップS4)、検出した心拍、血圧、血中酸素飽和度、及び第1ID情報を含む生体的状態情報2dを無線通信部22bに送信させる(ステップS5)。その後、制御部22aはステップS3に処理を戻し、定期的に生体的状態情報2dを取得して無線により送信する。
【0042】
第1携帯型発信機2aから送信された物理的状態情報2c及び第2携帯型発信機2bから送信された生体的状態情報2dは、付近に設置されている受信機3によって受信される(ステップS6)。受信機3の制御部34は、この受信機3を特定する第2ID情報を内蔵するメモリに記憶しており、受信した加速度、心拍、血圧、血中酸素飽和度、第1ID情報、及び第2ID情報を含む状態情報3aを有線通信部33に送信させる(ステップS7)。
【0043】
受信機3から送信された状態情報3aは、ナースステーションに設置されている監視装置4によって受信される(ステップS8)。監視装置4のCPU41aは、状態情報3aに含まれる第1ID情報、第2ID情報を抽出し(ステップS9)、テーブルT1、T2を参照して、第1ID情報に対応する患者氏名、第2ID情報に対応する位置情報を取得する(ステップS10)。次に、監視装置4のCPU41aは、受信した状態情報に含まれる加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度をそれぞれRAM41cに記憶する(ステップS11)。これらの加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度は、RAM41cに所定期間分(例えば5分間)だけ履歴として記憶されるようになっている。
【0044】
次に、CPU41aは、後述する床ずれ検出処理を実行し(ステップS12)、生体状態異常判定処理を実行する(ステップS13)。
【0045】
ここで、床ずれ検出処理について詳しく説明する。図9は、床ずれ検出処理の手順を示すフローチャートである。まず、CPU41aは、最新の加速度(直前にRAM41cに格納した加速度)が所定の閾値以上であるか否かを判定し(ステップS121)、加速度が所定の閾値以上である場合には(ステップS121でYes)、その時刻を寝返り時刻としてRAM41cに記憶して(ステップS122)、床ずれ検出処理を終了し、処理をステップS13へリターンする。加速度が所定の閾値未満である場合には(ステップS121でNo)、CPU41aは、RAM41cに記憶されている寝返り時刻と現在の時刻とを比較し、前回の寝返りからの経過時間が2時間未満か否かを判定する(ステップS123)。ステップS123において、前回の寝返りからの経過時間が2時間未満である場合には(ステップS123でYes)、CPU41aは、床ずれ検出処理を終了し、処理をステップS13へリターンする。ステップS123において、CPU41aは、前回の寝返りから2時間以上が経過している場合には(ステップS123でNo)、CPU41aは、患者に床ずれが生じる危険性があると判定して、所定の床ずれ検出フラグをセットし(ステップS124)、床ずれ検出処理を終了し、処理をステップS13へリターンする。
【0046】
次に、生体状態異常判定処理について詳しく説明する。図10は、生体状態異常判定処理の手順を示すフローチャートである。まず、CPU41aは、最新の心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の所定期間の時系列データ(例えば、10秒前から現在までの時系列データ)を微分して、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の変化度合いを求める(ステップS131)。次に、CPU41aは、前記所定期間中で最大の心拍の微分値が、予め設定された第1正常範囲内であるか否かを判定し(ステップS132)、微分値が第1正常範囲を外れる場合には(ステップS132でNo)、心拍に異常が生じたとして、所定の心拍異常フラグをセットする(ステップS133)。
【0047】
ステップS132において心拍の微分値が第1正常範囲内である場合(ステップS132でYes)、又はステップS133の処理を終えた場合には、CPU41aは、前記所定期間中で最大の血圧の微分値が、予め設定された第2正常範囲内であるか否かを判定し(ステップS134)、微分値が第2正常範囲を外れる場合には(ステップS134でNo)、心拍に異常が生じたとして、所定の血圧異常フラグをセットする(ステップS135)。
【0048】
ステップS134において血圧の微分値が第2正常範囲内である場合(ステップS134でYes)、又はステップS135の処理を終えた場合には、CPU41aは、前記所定期間中で最大の血中酸素飽和度の微分値が、予め設定された第3正常範囲内であるか否かを判定し(ステップS136)、微分値が第3正常範囲を外れる場合には(ステップS136でNo)、血中酸素飽和度に異常が生じたとして、所定の血中酸素飽和度異常フラグをセットする(ステップS137)。ステップS136において血中酸素飽和度の微分値が第3正常範囲内である場合(ステップS136でYes)、又はステップS137の処理を終えた場合には、CPU41aは、生体状態異常判定処理を終了し、処理をステップS14へリターンする。
【0049】
このように、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の微分値(変化度合い)を求め、その微分値が所定の正常範囲を逸脱する場合に異常が生じたと判定することにより、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度に異常が生じて上昇又は低下するときに、その変化を初期の段階で検出することができる。つまり、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の生体状態に異常が生じる際には、それらの生体状態の値は徐々に変化して異常な高値又は低値に至る。従って、異常な高値又は低値になる前に、生体状態の変化を検出することにより、異常の発生をいち早く検出することができる。また、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度等の生体状態の値(絶対値)は、個々の患者によって正常な範囲が異なるため、個々の患者に合わせた正常範囲を設定しなければ正確な異常判定を行うことができない。そこで、上述のように生体状態の変化度合いを求め、その変化度合いを監視して異常を判定することによって、患者個々の特徴によって異常判定が左右されることを防止することができる。例えば、正常な血圧値が比較的高い患者の場合には、血圧値自体はある程度高くても正常であり、正常な血圧値が比較的低い患者の場合には、血圧値自体はある程度低くても正常であるが、両者とも血圧値が変動して上昇する場合には異常であると考えることができる。このように、患者固有の特徴によって異常判定の結果が左右されず、正確な異常判定を行うことができる。
【0050】
次に、CPU41aは、床ずれ検出フラグ、心拍異常フラグ、血圧異常フラグ、及び血中酸素飽和度異常フラグのいずれかがセットされているか否かを判定し(ステップS14)、異常フラグがセットされている場合には(ステップS14でYes)、異常検出信号4aを状態情報3aの送信元の受信機3に送信する(ステップS15)。
【0051】
監視装置4から送信された異常検出信号4aは、受信機3によって受信される(ステップS16)。異常検出信号4aを受信した場合(ステップS14でYes)、受信機3の制御部34は、休止状態のカメラを駆動して撮像動作を開始させ(ステップS17)、所定時間(例えば1秒)毎に画像データを取得する(ステップS18)。そして、制御部34は、カメラ31の撮像画像データを有線通信部33に送信させる(ステップS19)。制御部34は、異常検出信号4aの受信から所定時間(例えば10分間)経過したか否かを判定し(ステップS20)、所定時間経過していない場合(ステップS20でNo)には、ステップS18以下の処理を繰り返し、この所定時間が経過するまで撮像画像データを送信し続ける。異常検出信号4aの受信から所定時間を経過した場合(ステップS20でYes)、又はステップS14において異常検出信号4aを受信しなかった場合には(ステップS14でNo)、ステップS6へと処理を戻す。
【0052】
受信機3から送信された撮像画像データは、監視装置4によって受信される(ステップS21)。監視装置4のCPU41aは、警告画面(図11参照)を表示し、また既に警告画面を表示している場合には画面を更新する(ステップS22)。図11は、警告画面の一例を示す模式図である。図11に示すように、警告画面5には、看護師や医師等に異常が生じたことを知らせるメッセージ51と、患者氏名52、前記第2ID情報によって特定される受信機3が設置されている位置53、及びカメラ31による撮像画像54が含まれている。看護師や医師は、メッセージ51を確認することにより即座に異常が発生していることを把握することができ、また、患者氏名52及び位置53を確認することにより、どの患者にどの場所で異常が生じたのかを把握することができる。また、撮像画像54を確認することにより、患者の状態を視覚的に把握することができ、これにより、異常の緊急度合い、誤報であるか否かを素早く把握することができる。また、警告画面5には、看護師や医師から入力を受け付けることが可能な確認ボタン55が表示される。看護師や医師等は、異常が生じたことを確認し、警告画面の表示を終了させる場合には、入力部43を操作してこの確認ボタン55を選択する操作(例えばクリック)を行う。
【0053】
また、上述した警告画面では、床ずれ検出フラグがセットされている場合には、「床ずれが起こります。患者を寝返らせてください。」というメッセージ51が表示され、心拍異常フラグがセットされている場合には、「心拍が異常です」というメッセージ51が表示され、血圧異常フラグがセットされている場合には、「血圧が異常です」というメッセージ51が表示され、血中酸素飽和度異常フラグがセットされている場合には、「血中酸素飽和度が異常です」というメッセージ51が表示される。これにより、看護師や医師等が、床ずれの危険性があるか、又はどのような異常が生じているのかを即座に把握することができる。また、図示しないが、RAM41cに記憶されている加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の時系列データをグラフ表示等で表示するようにしてもよい。これにより、看護師や医師等は、患者の寝姿勢の変化を把握することができ、また異常が生じる過程を把握することができるとともに異常発生の直前の患者の状態を把握することができる。
【0054】
看護師や医師等は、床ずれの危険性や異常が生じたことを確認し、警告画面の表示を終了させる場合には、タッチパネル43を操作して確認ボタン55(図11参照)を選択する操作(確認ボタン55を指で触れる操作)を行う。CPU41aは、確認ボタン55を選択する入力を受け付けたか否かを判定し(ステップS23)、入力を受け付けていない場合(ステップS23でNo)には、処理をステップS21へ戻し、最新の警告画面に表示を更新する。確認ボタン55が選択された場合(ステップS23でYes)には、処理をステップS8へ戻す。
【0055】
また、CPU41aは、ステップS14において、床ずれ検出フラグ、心拍異常フラグ、血圧異常フラグ、及び血中酸素飽和度異常フラグのいずれもセットされていない場合には(ステップS14でNo)、監視装置4の画面に患者の状態を表示させることができる。この場合には、その時点において、第1携帯型発信機2a及び第2携帯型発信機2bを装着し、加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度を測定している患者の氏名のリストが監視装置4の画面に表示されている(図示せず)。看護師や医師等は、状態を確認したい患者の氏名を指で触れることにより患者を指定する。CPU41aは、このようにして患者が指定されたか否かを判定し(ステップS24)、患者が指定された場合には(ステップS24でYes)、その患者の加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の時系列データをRAM41cから読み出し、これらの時系列データを画面上(図示せず)に表示(例えばグラフ表示)する(ステップS25)。これにより、そのときの患者の状態を看護師や医師等が把握することができ、患者が見守られる。この画面の表示を終了する場合には、ユーザは、画面上に表示されている終了ボタン(図示せず)を指で触れることで終了を指示する。そして、CPU41aは、表示の終了が指示されたか否かを判定し(ステップS26)、ユーザから表示の終了の指示がされた場合には(ステップS26でYes)、処理をステップS8へ戻す。また、ステップS24において患者が指定されなかった場合にも(ステップS24でNo)、処理をステップS8へ戻す。
【0056】
また、上述した第1正常範囲、第2正常範囲、第3正常範囲は、患者毎に設定される。患者毎に設定された第1〜第3正常範囲は、患者に対応付けて(つまり、第1ID情報に対応付けて)、テーブルT1に格納される。上述したように、状態情報の微分値を用いて異常判定を行うことにより、個々の患者の特徴に左右されずに異常判定を行うことが可能となるが、このように第1〜第3正常範囲を患者に対応させて設定することにより、状態情報の微分値においても多少は含まれる患者の個々の特徴が考慮され、より正確な異常判定が可能となる。
【0057】
上述したように、監視装置4において患者の床ずれの危険性及び生体的状態の異常を判定する構成とすることにより、複雑な処理であるこれらの判定処理が処理能力の高い監視装置4にて実行されるので、第1携帯型発信機2a、第2携帯型発信機2b、及び受信機3は簡易な処理のみを行うだけでよく、第1携帯型発信機2a、第2携帯型発信機2b、及び受信機3には処理能力の高い高価なCPU等を用いる必要がない。したがって、数多く必要な第1携帯型発信機2a、第2携帯型発信機2b、及び受信機3のコストが低減され、システム全体のコストを低減することが可能となる。
【0058】
また、本実施の形態1に係る床ずれ通報システム1においては、患者に装着可能な加速度センサにより患者の動静及び姿勢の状態を示す加速度を検出し、この加速度により患者が床ずれに罹る危険性を判定するので、例えば患者の体動を検出する機能を備えたマットレスやベッドを設ける必要が無く、安価なシステムを構成することができる。
【0059】
また、患者に床ずれの危険性が生じたり、生体的状態に異常が発生した場合には、その場所(部屋)をカメラ31により撮像するので、看護師や医師がカメラ31の撮像画像を確認することによって、患者がベッドでどのような体勢で横臥しているか、を視覚的に把握することができる。また患者が倒れていたりベッドから転落している場合には、看護師や医師等が撮像画像で即座に確認することができる。看護師や医師が異常通知の真偽を判断し易く、そのときどきの状況に応じて適切な対応をとることが可能となる。
【0060】
また、脈波センサ22により、心拍及び血圧を算出し、これらに基づいて患者に生体的な異常が生じたか否かを判定するため、きめ細かい異常判定が可能であると共に、携帯型発信機2を小型にすることができ、従って患者が第2携帯型発信機を長時間装着し続けることができる。
【0061】
また、床ずれ通報システム1は、加速度を検出することにより患者の姿勢の状態を取得し、心拍及び血圧を検出することにより患者の循環器の状態を取得し、血中酸素飽和度を検出することにより患者の呼吸器の状態を取得しており、これらの姿勢の状態(床ずれの危険性)、循環器の状態、及び呼吸器の状態に異常が生じているか否かを判定する構成としたため、患者の身体を多面的に分析して患者の床ずれの危険性や異常の発生を適切に検出することができる。
【0062】
なお、実施の形態1においては、加速度の大きさにより患者が寝返りをしたか否かを判定する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、加速度に基づいて患者の姿勢を算出し、姿勢が変化したか否かを判定することにより患者が寝返りをしたか否かを判定する構成としてもよい。
【0063】
また、実施の形態1においては、受信機3が異常検出信号4aを受信してから所定時間が経過するまでの間、カメラ31を駆動して画像を撮像し、撮像画像データ31aを送信する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、看護師や医師が確認ボタン55を選択する操作を行ったときに、監視装置4から解除信号を受信機3へ送信し、受信機3がこの解除信号を受信した場合に、カメラ31を休止状態へ移行させ、撮像画像データ31aの送信を終了する構成としてもよい。
【0064】
また、実施の形態1においては、脈波センサ22により検出された脈波に基づいて、患者の心拍及び血圧を算出する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、心拍センサ、及び血圧センサをそれぞれ別個に第2携帯型発信機2bに設けてもよい。また、例えば体温センサや心電センサを第1又は第2携帯型発信機に設け、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度に加えて、検出された体温や心電を所定の正常範囲と比較することにより患者の生体的状態に異常が生じているか否かを判定する構成としてもよい。
【0065】
また、実施の形態1においては、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度を用いて患者の生体的状態に異常が生じているか否かを判定する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、平常時の脈波と検出された脈波とを比較するなど、脈波を分析して患者の生体状態に異常が生じているか否かを判定する構成としてもよい。
【0066】
また、受信機3にカメラ31を設け、床ずれの危険性や異常が生じたと判定された場合には、室内をカメラ31で撮像する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、受信機にカメラを設けず、受信機は第1携帯型発信機及び第2携帯型発信機から送られたデータを監視装置へ転送するだけの構成としてもよい。
【0067】
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2に係る床ずれ通報システムの概略構成を示す模式図である。本実施の形態2に係る床ずれ通報システム201は、在宅の被介護者に使用される。図12に示すように、床ずれ通報システム201は、被介護者に装着される第1携帯型発信機202a及び第2携帯型発信機202bと、被介護者の家屋(部屋)に設置される情報処理装置203と、介護者(例えば被介護者の家族)が使用する携帯電話機204とによって構成される。第1携帯型発信機202aは、被介護者に作用する加速度を検出することが可能であると共に、検出した加速度データを含む物理的状態情報202cを定期的に無線で送信する。第2携帯型発信機202bは、被介護者の生体的状態、すなわち脈波、心拍、血圧(循環器の状態)、及び血中酸素飽和度(呼吸器の状態)を検出することが可能であり、このような被介護者の生体的状態を示す生体的状態情報202dを定期的に無線で送信する。情報処理装置203は、被介護者の家屋内に設置されており、第1携帯型発信機202aから送信された物理的状態情報202c及び第2携帯型発信機202bから送信された生体的状態情報202dを受信し、受信した物理的状態情報202c及び生体的状態情報202dに基づいて、被介護者に床ずれの危険性が生じていないか、または被介護者に生体的な異常(心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の異常)が生じていないかを判定し、床ずれの危険性や生体的な異常が生じている場合には、警告メールを携帯電話機204(当該携帯電話機204のメールアドレス)へ送信する。この警告メールには、被介護者が床ずれに罹る危険性があることや、生体的な異常が生じていることを示すメッセージ文が含まれており、介護者はこの警告メールを確認することにより、被介護者に床ずれが発生する危険性や生体的な異常が生じていることを知ることができ、被介護者の家屋に行って寝返りをうたせたり、医者に連絡するなど適切な処置をとることができる。
【0068】
[情報処理装置203]
図13は、情報処理装置203の構成を示すブロック図である。この情報処理装置203は、コンピュータ203aによって構成されている。コンピュータ203aは、本体231と、画像表示部232と、入力部233とから主として構成されている。本体231は、CPU231aと、ROM231bと、RAM231cと、ハードディスク231dと、読出装置231eと、入出力インタフェース231fと、通信インタフェース231gと、画像出力インタフェース231hと、無線通信インタフェース231iとから主として構成されている。
【0069】
CPU231aは、ROM231bに記憶されているコンピュータプログラム及びRAM231cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなコンピュータプログラムを当該CPU231aが実行することにより、コンピュータ203aが上昇処理装置203として機能する。
【0070】
ROM231bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU231aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0071】
RAM231cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM231cは、ROM231b及びハードディスク231dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU231aの作業領域として利用される。
【0072】
ハードディスク231dは、オペレーティングシステム及びメールクライアントプログラム等のアプリケーションプログラム等、CPU231aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。また、ハードディスク231dには、2つのテーブルT1、T2が記憶されている。テーブルT1には、それぞれの携帯型発信機2に割り当てられている第1ID情報と、患者の氏名(又は他の患者を特定する情報。例えば患者番号)とが対応付けられて格納されている。また、テーブルT2には、それぞれの受信機3に割り当てられている第2ID情報と、受信機が設置されている位置(病室、トイレ、廊下の位置を特定する情報。例えば、病室番号等)が対応付けられて格納されている。また、CPU231aがハードディスク231dに格納されているメールクライアントプログラムを実行することにより、電子メールを作成し、送信することができる。
【0073】
読出装置231eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブのいずれかによって構成されており、可搬型記録媒体234に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体234には、コンピュータを集中監視装置として機能させるためのコンピュータプログラム234aが格納されており、コンピュータ203aが当該可搬型記録媒体234からこのコンピュータプログラム234aを読み出し、当該コンピュータプログラム234aをハードディスク231dにインストールすることが可能である。
【0074】
なお、コンピュータプログラム234aは、可搬型記録媒体234によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ203aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、コンピュータプログラム234aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ203aがアクセスして、当該コンピュータプログラム234aをダウンロードし、これをハードディスク231dにインストールすることも可能である。
【0075】
入出力インタフェース231fは、例えばUSB,IEEE1394,RS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース231fには、キーボード及びマウスからなる入力部233が接続されており、ユーザ(看護師又は医師)が当該入力部233を使用することにより、コンピュータ2にデータを入力することが可能である。
【0076】
通信インタフェース231gは、Ethernet(登録商標)インタフェースであり、コンピュータ203aは、当該通信インタフェース231gにより、所定の通信プロトコルを使用して通信ネットワークNWに接続された受信機3との間でデータの送受信が可能である。
【0077】
画像出力インタフェース231hは、LCD又はCRT等で構成された画像表示部232に接続されており、CPU231aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部232に出力するようになっている。画像表示部232は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0078】
無線通信インタフェース231iは、例えばBluetoothや無線LAN(IEEE 802.11a、IEEE 802.11b、又はIEEE 802.11g)の無線インタフェースであり、コンピュータ203aは、当該無線通信インタフェース231iにより、所定の通信プロトコルを使用して第1携帯型発信機202a及び第2携帯型発信機202bからデータを受信することが可能である。
【0079】
[携帯電話機204]
図14は、携帯電話機204の構成を示すブロック図である。この携帯電話機204は、制御部241aと、無線通信部241bと、入力部241cと、画像表示部241dと、スピーカ241eと、マイクロフォン241fとから主として構成されている。また、図示しないが携帯電話機204は電池を内蔵しており、この電池によって上記の各構成要素へと電力を供給するようになっている。
【0080】
制御部241aは、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、及び信号処理回路を備えており、無線通信部241b、入力部241c、及び画像表示部241dの動作を制御する。また、制御部241aには、各種のコンピュータプログラム(オペレーティングシステム、メールクライアントプログラム、WWWブラウザプログラム等)がメモリに格納されており、これらのプログラムを実行することができる。
【0081】
無線通信部241bは、アンテナを有しており(図示せず)、中継局から送信された信号を受信し、また信号を中継局へと送信する。受信信号が通話信号である場合には、この信号を音声信号に変換し、スピーカ241eから音声を出力する。また、受信信号がデータ通信信号である場合には、受信データを制御部241aへ渡す。また、無線通信部241bは、通話中にマイクロフォン241fから入力された音声信号を通話信号へと変換して中継局へ送信し、制御部241aから与えられたメールデータ等のデータをデータ通信信号へと変換して中継局へと送信する。
【0082】
入力部241cは、複数の入力キーを備えており、ユーザがこの入力キーを操作することによりデータの入力が可能である。入力されたデータは、制御部241aへ与えられる。
【0083】
画像表示部241dは、LCDやLCD駆動回路によって構成されており、制御部241aが生成した画像データを制御部241aから受け取り、画像(画面)を表示する。
【0084】
なお、第1携帯型発信機202a及び第2携帯型発信機202bの構成は、実施の形態1で説明した第1携帯型発信機2a及び第2携帯型発信機2bの構成と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
次に、実施の形態2にかかる床ずれ通報システム201の動作について説明する。図15は、床ずれ通報システム201の動作の流れを示すフローチャートである。まず、被介護者の胴部に取り付けられた第1携帯型発信機202aにより、被介護者に作用する加速度が検出される(ステップS201)。制御部21bは、検出した加速度を含む物理的状態情報202c(第1ID情報を含まない)を無線通信部21cに送信させる(ステップS202)。その後、制御部21bはステップS201に処理を戻し、定期的に物理的状態情報202cを取得して無線により送信する。また、被介護者の腕部に取り付けられた第2携帯型発信機202bにより、被介護者の脈波及び血中酸素飽和度が検出される(ステップS203)。制御部22aは、被介護者の脈波から心拍及び血圧を算出し(ステップS204)、検出した心拍、血圧、及び血中酸素飽和度を含む生体的状態情報202d(第1ID情報を含まない)を無線通信部22bに送信させる(ステップS205)。その後、制御部22aはステップS203に処理を戻し、定期的に生体的状態情報2dを取得して無線により送信する。
【0086】
第1携帯型発信機202aから送信された物理的状態情報202c及び第2携帯型発信機202bから送信された生体的状態情報202dは、被介護者の家屋に設置されている情報処理装置203の無線通信インタフェース231iによって受信される(ステップS206)。情報処理装置203のCPU231aは、受信した状態情報に含まれる加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度をそれぞれRAM41cに記憶し(ステップS207)、床ずれ検出処理を実行し(ステップS208)、生体状態異常判定処理を実行する(ステップS209)。なお、床ずれ検出処理S207及び生体状態異常判定処理S208は、実施の形態1で説明した床ずれ検出処理S12及び生体状態異常判定処理S13と同様であるので、その説明を省略する。
【0087】
次に、CPU231aは、床ずれ検出フラグ、心拍異常フラグ、血圧異常フラグ、及び血中酸素飽和度異常フラグのいずれかがセットされているか否かを判定し(ステップS210)、床ずれ検出フラグ、心拍異常フラグ、血圧異常フラグ、及び血中酸素飽和度異常フラグのいずれもセットされていない場合には(ステップS210でNo)、ステップS206へと処理を戻す。一方、ステップS210においていずれかの異常フラグがセットされている場合には(ステップS210Yes)、CPU231aは、警告メール204aを作成し(ステップS211)、この警告メール204aを通信インタフェース231gにより送信し(ステップS212)、処理をステップS206へと戻す。図16は、警告メールの構成の一例を示す模式図である。警告メール204aは、宛先204bに介護者が使用する携帯電話機204のメールアドレスが指定される。また、警告メール204aの件名204cは「警告メール」とされる。また、警告メール204aは、床ずれ検出フラグがセットされている場合には、本文204dが「床ずれが起こります。被介護者を寝返らせてください。」とされ、心拍異常フラグがセットされている場合には、本文204dが「心拍が異常です」とされ、血圧異常フラグがセットされている場合には、本文204dが「血圧が異常です」とされ、血中酸素飽和度異常フラグがセットされている場合には、本文204dが「血中酸素飽和度が異常です」とされる。
【0088】
携帯電話機204は、警告メールを受信し(ステップS213)、介護者(ユーザ)の操作にしたがって(ステップS214)、警告メールを画面に表示する(ステップS215)。そして、介護者が警告メールを確認することにより、床ずれの危険性があるか、又はどのような異常が生じているのかを即座に把握することができる。また、情報処理装置203が、加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の時系列データのグラフを本文や添付文書に含んだ警告メール204aを作成し、携帯電話機204へ送信する構成としてもよい。これにより、介護者は、被介護者の寝姿勢の変化を把握することができ、また異常が生じる過程を把握することができるとともに異常発生の直前の患者の状態を把握することができる。
【0089】
介護者は、床ずれの危険性や異常が生じたことを確認し、警告メール204aの表示を終了させる場合には、入力部241cを操作して警告メール204aの表示終了を指示する。CPU41aは、警告メール204aの表示終了指示を受け付けたか否かを判定し(ステップS216)、指示を受け付けた場合(ステップS216でYes)には、処理をステップS213へ戻す。
【0090】
なお、被介護者の部屋の内部を撮像するカメラを情報処理装置203に設け、ステップS210において床ずれ検出フラグ、心拍異常フラグ、血圧異常フラグ、及び血中酸素飽和度異常フラグのいずれかがセットされている場合に、カメラによる撮像を開始して、その画像を携帯電話機204へ送信する構成としてもよい。例えば、ハードディスク231dにWebサーバのプログラムがインストールされており、情報処理装置203がカメラの撮像画像を含んだHTMLデータ(例えば、CHTML等の携帯電話機204で表示可能なフォーマットとする。)を作成して、警告メール204aの本文に当該情報処理装置203のHTMLデータの所在を示すURLのリンクを埋め込むように構成することができる。これにより、介護者は、警告メールのリンクを選択することで、情報処理装置203にアクセスし、カメラの撮像画像により被介護者の状態を目視で確認することができる。
【0091】
以上説明したような構成とすることにより、パーソナルコンピュータ及び携帯電話機を所有しているユーザであれば、第1携帯型発信機202a、第2携帯型発信機202b、及び情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムを購入し、パーソナルコンピュータに前記プログラムをインストールするだけで、本実施の形態2に係る床ずれ通報システム201を実現することができる。したがって、非常に低コストな床ずれ通報システム201を提供することができる。
【0092】
(実施の形態3)
図17は、本発明の実施の形態3に係る床ずれ通報システムの概略構成を示す模式図である。本実施の形態3に係る床ずれ通報システム301は、在宅の被介護者に使用される。図17に示すように、床ずれ通報システム301は、被介護者に装着される携帯型発信機302と、介護センター等の介護者を派遣する業者の施設内に設置される情報処理装置303と、介護者(例えば、介護センターに登録されているホームヘルパーや介護センターの社員のホームヘルパー)が使用する携帯電話機304とによって構成される。携帯型発信機302は、被介護者に作用する加速度を検出することが可能であると共に、被介護者の生体的状態、すなわち脈波、心拍、血圧(循環器の状態)、及び血中酸素飽和度(呼吸器の状態)を検出することが可能であり、検出された加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度を示す状態情報302cを定期的に無線で送信する。情報処理装置303は、携帯型発信機302から送信された状態情報302cを受信し、受信した状態情報302cに基づいて、被介護者に床ずれの危険性が生じていないか、または被介護者に生体的な異常(心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の異常)が生じていないかを判定する。情報処理装置303は、床ずれの危険性や生体的な異常が生じている場合には、警告メールを携帯電話機304(当該携帯電話機204のメールアドレス)へ送信する。この警告メールには、被介護者が床ずれに罹る危険性があることや、生体的な異常が生じていることを示すメッセージ文が含まれており、介護者はこの警告メールを確認することにより、被介護者に床ずれが発生する危険性や生体的な異常が生じていることを知ることができ、被介護者の家屋に行って寝返りをうたせたり、医者に連絡するなど適切な処置をとることができる。
【0093】
[携帯型発信機302]
図18は、図17に示す携帯型発信機302が患者に装着されたときの様子を示す模式図であり、図19は、携帯型発信機302の構成を示すブロック図である。図18に示すように、携帯型発信機302は、本体ユニット302aと、加速度センサユニット302bとによって構成されている。加速度センサユニット302bは、概ね500円玉程度の大きさの円盤状をなしており、患者の胴体であって動脈付近の体表面(胸部等)にテープ等で貼り付けるようになっている。また、本体ユニット302aは、腕時計状をなしており、患者の腕部に装着されるようになっている。
【0094】
図19に示すように、加速度センサユニット302bは、加速度センサ321aと、CPU、メモリ等からなる制御部321bと、近距離無線通信部321cとを備えている。また、この加速度センサユニット302bは、電池を内蔵しており(図示せず)、これによって上述した各部へ電力を供給するようになっている。このような加速度センサユニット302bは、加速度センサ321aによって患者に作用する加速度を検出する。近距離無線通信部321cは、Bluetoothの通信インタフェースであり、加速度センサ321aによって検出された加速度データ302dを定期的に無線で送信する(図18参照)。
【0095】
また、図19に示すように、本体ユニット302aは、CPU、メモリ等からなる制御部322aと、近距離無線通信部322bと、遠距離無線通信部322cと、脈波・血中酸素飽和度センサ322dとを備えている。脈波・血中酸素飽和度センサ322dは、反射型の光学式センサであり、発光素子と受光素子とが隣接して設けられている。これにより、発光素子から発せられた光が体表付近の動脈で反射・散乱し、その反射・散乱光が受光素子に受光される。このような構成によって、公知の手法により脈波及び血中酸素飽和度が取得される。また、本体ユニット302aは、制御部322aにより、脈波に基づいて心拍、及び血圧を算出する。また、近距離無線通信部322bは、Bluetoothの通信インタフェースであり、加速度センサユニット302bから送信された加速度データを受信する。携帯型発信機302には、固有のID情報が割り当てられており、本体ユニット302aの制御部322aのメモリには、当該携帯型発信機302aを特定するID情報が記録されている。また、遠距離無線通信部322cは、CDMAやPIAFS等の携帯電話機用又はPHS用の無線通信インタフェースである。被介護者は携帯電話又はPHSの利用サービスに加入しており、この遠距離無線通信部322cから携帯電話又はPHSのネットワークへデータを送信することが可能である。このような本体ユニット302aは、加速度センサユニット302bから受信した加速度データ、算出した心拍データ及び血圧データ、並びに上述したID情報によってなる状態情報302cを情報処理装置303を宛先として定期的に遠距離無線通信部322cから無線で送信する(図18参照)。
【0096】
[情報処理装置303]
図20は、情報処理装置303の構成を示すブロック図である。この情報処理装置303は、コンピュータ303aによって構成されている。コンピュータ303aは、本体331と、画像表示部332と、入力部333とから主として構成されている。本体331は、CPU331aと、ROM331bと、RAM331cと、ハードディスク331dと、読出装置331eと、入出力インタフェース331fと、通信インタフェース331gと、画像出力インタフェース331hとから主として構成されている。CPU331a、ROM331b、RAM331c、読出装置331e、入出力インタフェース331f、通信インタフェース331g、及び画像出力インタフェース331hの構成については、実施の形態2で説明した各部の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0097】
ハードディスク331dは、オペレーティングシステム及びコンピュータを本実施の形態3に係る情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラム334a等、CPU41aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。また、ハードディスク41dには、テーブルTが記憶されている。テーブルTには、それぞれの携帯型発信機302に割り当てられているID情報、被介護者の氏名(又は他の被介護者を特定する情報。例えば患者番号)、当該被介護者を担当する介護者の氏名、及び当該介護者のメールアドレスが対応付けられて格納されている。
【0098】
なお、携帯電話機304の構成は、実施の形態2で説明した携帯電話機204の構成と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0099】
次に、実施の形態3にかかる床ずれ通報システム301の動作について説明する。図21は、床ずれ通報システム301の動作の流れを示すフローチャートである。まず、被介護者の胴部に取り付けられた加速度センサユニット302bにより、被介護者に作用する加速度が検出される(ステップS301)。制御部321bは、検出した加速度データを近距離無線通信部321cに送信させる(ステップS302)。その後、制御部321bはステップS301に処理を戻し、定期的に加速度データを取得して無線により送信する。被介護者の腕部に取り付けられた本体ユニット302aにより、前記加速度データは受信される(ステップS303)。本体ユニット302aの制御部322aは、脈波・血中酸素飽和度センサ322dにより被介護者の脈波及び血中酸素飽和度を取得する(ステップS304)。制御部322aは、被介護者の脈波から心拍及び血圧を算出し(ステップS305)、加速度、心拍、血圧、血中酸素飽和度、及び制御部322aのメモリに格納されているID情報を含む状態情報302cを、情報処理装置303を宛先として遠距離無線通信部322cに送信させる(ステップS306)。その後、制御部322aはステップS303に処理を戻し、定期的に生体的状態情報302dを取得して無線により送信する。
【0100】
携帯型発信機302から送信された状態情報302cは、携帯電話用のネットワークを経て情報処理装置303へ伝送され、情報処理装置303の通信インタフェース331gによって受信される(ステップS307)。情報処理装置303のCPU331aは、状態情報302cに含まれるID情報を抽出し(ステップS308)、テーブルTを参照して、ID情報に対応する被介護者の氏名及び介護者のメールアドレスを取得する(ステップS309)。そして、情報処理装置303のCPU331aは、受信した状態情報に含まれる加速度、心拍、血圧、及び血中酸素飽和度をそれぞれRAM41cに記憶し(ステップS310)、床ずれ検出処理を実行し(ステップS311)、生体状態異常判定処理を実行する(ステップS312)。なお、床ずれ検出処理S311及び生体状態異常判定処理S312は、実施の形態1で説明した床ずれ検出処理S12及び生体状態異常判定処理S13と同様であるので、その説明を省略する。
【0101】
次に、CPU331aは、床ずれ検出フラグ、心拍異常フラグ、血圧異常フラグ、及び血中酸素飽和度異常フラグのいずれかがセットされているか否かを判定し(ステップS313)、床ずれ検出フラグ、心拍異常フラグ、血圧異常フラグ、及び血中酸素飽和度異常フラグのいずれもセットされていない場合には(ステップS313でNo)、ステップS307へと処理を戻す。一方、ステップS313においていずれかの異常フラグがセットされている場合には(ステップS313でYes)、CPU331aは、警告メール304aを作成し(ステップS314)、この警告メール304aを通信インタフェース331gにより送信する(ステップS315)。図22は、警告メールの構成を示す模式図である。警告メール304aは、宛先304bに介護者のメールアドレスが指定される。また、警告メール304aの件名304cは「警告メール」とされる。また、警告メール304aの本文304dには、被介護者の氏名304eと、警告メッセージ304fとが含まれる。警告メッセージ304fは、床ずれ検出フラグがセットされている場合には、「床ずれが起こります。被介護者を寝返らせてください。」とされ、心拍異常フラグがセットされている場合には、「心拍が異常です」とされ、血圧異常フラグがセットされている場合には、「血圧が異常です」とされ、血中酸素飽和度異常フラグがセットされている場合には、「血中酸素飽和度が異常です」とされる。
【0102】
なお、ステップS316〜S319の処理は、実施の形態2で説明したステップS212〜S215の処理と同様であるので、その説明を省略する。介護者は、以上説明したような警告メールを確認することにより、床ずれに罹る危険性や生体的な異常が生じた患者を即座に特定することができる。また、上記の説明では警告メールで患者の氏名を介護者に連絡する構成としたが、例えば、テーブルTに、患者の住所、電話番号、及び主治医の連絡先を患者氏名と共に記録しておき、警告メールの本文に患者の住所、電話番号、緊急連絡先(家族の連絡先等)及び主治医の連絡先を含むようにしてもよい。これにより、介護者は被介護者の自宅へ迅速に向かうことができ、また緊急を要する場合には主治医に連絡したり、緊急連絡先に連絡するなど、様々な処置をとることができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明に係る床ずれ通報システムは、安価な装置構成とすることができ、また多くの被介護者や患者が容易に使用することができ、さらに介護者や看護師が外出中であっても床ずれの発生の危険性があることを確実に通知することができるという効果を奏し、床ずれ通報システムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施の形態1に係る床ずれ通報システムの概略構成を示す模式図である。
【図2】図1に示す第1携帯型発信機及び第2携帯型発信機が患者に装着されたときの様子を示す模式図である。
【図3】図1に示す第1携帯型発信機及び第2携帯型発信機の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示す受信機の外観を示す斜視図である。
【図5】図1に示す受信機の構成を示すブロック図である。
【図6】図1に示す監視装置の構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態1に係る床ずれ通報システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1に係る床ずれ通報システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【図9】床ずれ検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】生体状態異常判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】警告画面の一例を示す模式図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る床ずれ通報システムの概略構成を示す模式図である。
【図13】図12に示す情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図14】図12に示す携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図15】実施の形態2に係る床ずれ通報システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【図16】警告メールの構成の一例を示す模式図である。
【図17】本発明の実施の形態3に係る床ずれ通報システムの概略構成を示す模式図である。
【図18】図17に示す携帯型発信機が患者に装着されたときの様子を示す模式図である。
【図19】図17に示す携帯型発信機の構成を示すブロック図である。
【図20】図17に示す情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図21】実施の形態3に係る床ずれ通報システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【図22】警告メールの構成の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0105】
1、201、301 床ずれ通報システム
2a、202a 第1携帯型発信機
21a 加速度センサ
2b、202b 第2携帯型発信機
22c 脈波センサ
22d 血中酸素飽和度センサ
3 受信機
4 監視装置
203、303 情報処理装置
204、304 携帯電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝具に横臥する横臥者に作用する加速度を検出する加速度センサと、当該加速度センサの検出結果を送信する送信部とを備える携帯型発信機と、
表示部と、前記加速度センサの検出結果を受信する受信部と、受信した検出結果に基づいて、前記横臥者が所定時間内に寝返りをしたか否かを判定する判定部と、前記横臥者が所定時間内に寝返りをしていないと判定された場合に、床ずれの発生を警告する警告画面を表示するよう前記表示部を制御する表示制御部とを備える監視装置と、
を備える床ずれ通報システム。
【請求項2】
前記携帯型発信機は、横臥者の胴体に装着可能に構成されている請求項1に記載の床ずれ通報システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記加速度センサの検出した加速度が前記所定時間内に所定の閾値を超えるか否かを判定するように構成されている請求項1又は2に記載の床ずれ通報システム。
【請求項4】
前記判定部は、前記加速度センサの検出した加速度に基づいて、前記横臥者の姿勢を特定し、前記横臥者が前記所定時間以上にわたって実質的に同一の姿勢をとっているか否かを判定するように構成されている請求項1又は2に記載の床ずれ通報システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記表示部に前記横臥者の体動に関する情報を表示するように構成されている請求項1乃至4のいずれかに記載の床ずれ通報システム。
【請求項6】
前記送信部は、前記加速度センサによる検出結果とともに、前記携帯型発信機を特定する特定情報を送信するように構成されており、
前記表示制御部は、前記受信部が受信した特定情報に基づいて、前記警告画面に前記横臥者又は前記携帯型発信機を特定する情報を表示するように構成されている請求項1乃至5のいずれかに記載の床ずれ通報システム。
【請求項7】
前記携帯型発信機は、横臥者の生体的状態を検出する生体的状態検出部をさらに備え、
前記送信部は、前記生体的状態検出部による検出結果をさらに送信するように構成されており、
前記受信部は、前記生体的状態検出部の検出結果をさらに受信し、
前記判定部は、前記生体的状態検出部が検出した生体的状態に基づいて、患者の身体に異常が発生したか否かをさらに判定するように構成されている請求項1乃至6のいずれかに記載の床ずれ通報システム。
【請求項8】
横臥者の生体的状態を検出する生体的状態検出部と、当該生体的状態検出部の検出結果を送信する送信部とを備える生体的状態検出装置をさらに備え、
前記受信部は、前記生体的状態検出部の検出結果をさらに受信し、
前記判定部は、前記生体的状態検出部が検出した生体的状態に基づいて、患者の身体に異常が発生したか否かをさらに判定するように構成されている請求項1乃至6のいずれかに記載の床ずれ通報システム。
【請求項9】
前記生体的状態検出部は、脈波センサを備える請求項7又は8に記載の床ずれ通報システム。
【請求項10】
前記生体的状態検出部は、患者の心拍、血圧、及び血中酸素飽和度の少なくとも1つを検出するように構成されている請求項7乃至9のいずれかに記載の床ずれ通報システム。
【請求項11】
前記寝具が設置された部屋に設けられており、前記加速度センサから送信されたデータを受信する第2受信部と、当該受信部によって受信したデータを送信する第2送信部とを備える受信機をさらに備え、
前記監視装置は、前記受信機を介して前記検出部の検出結果を受信するように構成されている請求項1乃至10のいずれかに記載の床ずれ通報システム。
【請求項12】
前記監視装置は、前記判定部により前記横臥者が所定時間内に寝返りをしていないと判定された場合に、画像要求信号を送信する第3送信部をさらに備え、
前記受信機は、前記監視装置から送信された画像要求信号を受信する第3受信部と、少なくとも部屋内を撮像する撮像部とをさらに備え、
前記第2送信部は、前記第3受信部が画像要求信号を受信したときに、前記撮像部の撮像画像を送信するように構成されており、
前記受信部は、前記受信機から送信された撮像画像を受信し、
前記表示制御部は、前記撮像画像を前記警告画面に表示するように構成されている請求項11に記載の床ずれ通報システム。
【請求項13】
寝具に横臥する横臥者に作用する加速度を検出する加速度センサと、当該加速度センサの検出結果を送信する第1送信部とを備える携帯型発信機と、
表示部と、前記加速度センサの検出結果を受信する第1受信部と、受信した検出結果に基づいて、前記横臥者が所定時間内に寝返りをしたか否かを判定する判定部と、前記横臥者が所定時間内に寝返りをしていないと判定された場合に、床ずれの発生を警告する警告情報を送信する第2送信部とを備える情報処理装置と、
表示部と、前記警告情報を受信する第2受信部と、前記警告情報を受信したときに、床ずれの発生を警告する警告画面を前記表示部に表示させる表示制御部とを備え、横臥者を介護する介護者が所持する携帯電話機と、
を備える床ずれ通報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−27030(P2008−27030A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−196598(P2006−196598)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【出願人】(502204931)シスメックスRA株式会社 (7)
【Fターム(参考)】