説明

床材及びその製造方法

本発明は、床材及びその製造方法に関するものである。本発明では、再生可能な植物資源から抽出した原料などで製造できる生分解性樹脂を使用して床材を構成することによって、石油資源の枯渇による原材料の需給問題を解決することができる。また、製造過程でカレンダリング工法などの適用が可能であり、床材の生産効率などを改善することができ、COなどの環境有害物質の排出が少なく、廃棄も容易な環境にやさしい床材を提供することができる。また、本発明では、生分解性シートを使用する際に発生する寸法変化による問題を解決し、持続的かつ安定的に使用できる床材を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリ塩化ビニル(PVC)などの石油系樹脂を使用した床材は、住宅、マンション、アパート、オフィス又は店鋪などの建築物で床材として広く用いられている。
【0003】
前記のような床材は、ポリ塩化ビニル(PVC)などの樹脂を使用して押出又はカレンダリング方式などで製造される。ところが、その原料が限定された資源である原油などから全量得られるので、石油資源の枯渇などにより、今後、原材料の需給困難などの問題が発生すると予想されている。
【0004】
また、最近高まっている環境問題に対する関心を考慮したときも、ポリ塩化ビニル(PVC)系床材は、有害物質を排出しやすく、廃棄時にも環境に負担を与えるという問題を有する。
【0005】
そのため、ポリ乳酸などの生分解性樹脂のような持続可能な資源を使用して床材を構成する方法が知られている(例えば、特許文献1など)。しかし、生分解性樹脂は、耐熱衝撃性や強度などが低下し、カレンダリング工法などへの適用が難しく、その結果、生産効率が低下するという問題を有する。また、生分解性樹脂などを使用して床材を構成する場合、外部温度などの環境的な要因による膨張や収縮などによって寸法安定性が低下する。すなわち、生分解性樹脂で製造された床材の場合、温湿度の差によって寸法が変化し、その結果、収縮によって床材間の連結部が広がったり、膨張によって床材の表面が波状に浮き上がる現象が頻繁に発生し、持続的かつ安定的な使用が難しいという問題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,354,656号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、床材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、繊維層又は繊維強化樹脂層(FRP;Fiber Reinforced Polymer)と、前記繊維層又は繊維強化樹脂層上に形成され、一つ以上の生分解性シートを含む表面層又は裏面層とを有する床材を提供する。
【0009】
本発明は、前記課題を解決するための他の手段として、繊維層又は繊維強化樹脂層を製造すること、及び前記の製造された繊維層又は繊維強化樹脂層上に生分解性シートを形成することを含む床材の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、再生可能な植物資源から抽出した原料などで製造できる生分解性樹脂を使用して床材を構成することによって、石油資源の枯渇による原材料の需給問題を解決することができる。また、製造過程でカレンダリング工法などへの適用が可能であり、床材の生産効率などを改善することができ、COなどの環境有害物質の排出が少なく、廃棄も容易な環境にやさしい床材を提供することができる。また、本発明では、生分解性シートを使用する際に発生する寸法変化による問題を解決し、持続的かつ安定的に使用できる床材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の床材の例を示す断面図である。
【図2】本発明の床材の例を示す断面図である。
【図3】本発明の床材の例を示す断面図である。
【図4】本発明の床材の例を示す断面図である。
【図5】本発明の床材の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、繊維層又は繊維強化樹脂層(FRP;Fiber Reinforced Polymer)と、前記繊維層又は繊維強化樹脂層上に形成され、一つ以上の生分解性シートを含む表面層又は裏面層とを有する床材に関するものである。
【0013】
以下、本発明に係る床材をより詳細に説明する。
【0014】
本発明の床材は、繊維層又は繊維強化樹脂層(以下、「寸法安定層」と称する場合がある。)を含み、前記繊維層又は繊維強化樹脂層は、床材の寸法安定性を確保する役割をする。すなわち、床材が生分解性樹脂及び加工助剤などを含む樹脂組成物のタイル又はシートのみを含む場合、温度変化などの外部の環境的要因によって収縮又は膨張挙動に差が発生するようになる。これによって、生分解性樹脂を含む床材の場合、使用過程で収縮によって床材間の連結部が広がったり、膨張によって表面が浮き上がるという問題が発生する。しかし、本発明では、前記のように、繊維層又は繊維強化樹脂層を寸法安定層として適用し、前記のような問題を解決することができる。
【0015】
本発明で使用可能な前記繊維層の種類は特別に制限されず、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維又はセルロース繊維の一種又は二種以上の混合を使用することができ、このうち、ガラス繊維を使用することが望ましいが、これに制限されることはない。
【0016】
また、本発明で床材に含まれる前記繊維層の形態も特別に制限されず、例えば、上述した各繊維の織布、不織布又はスクリムを使用することができる。前記織布は、上述した繊維を使用した通常の織造工程を通して製造することができ、不織布の場合、例えば、上述した繊維にパルプ及びポリビニルアルコール(PVA)などの水溶性バインダーを添加して製造されたゾルを通常の製紙工程に適用して製造することができる。
【0017】
本発明で使用される前記繊維層は、例えば、スクリム形態であってもよい。本発明で使用する「スクリム」という用語は、繊維層を構成する繊維が網状に織造されている網状シートを意味する。
【0018】
本発明で、前記寸法安定層は、繊維強化樹脂層であってもよい。本発明で使用する「繊維強化樹脂層」という用語は、上述した繊維に樹脂を含浸させ、硬化又は半硬化させることによって製造される複合層を意味する。
【0019】
本発明で、前記寸法安定層は、樹脂成分、例えば、ポリ乳酸(PLA)、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂の一種又は二種以上の樹脂成分が含浸された織布、不織布又はスクリムであってもよい。
【0020】
前記織布、不織布又はスクリムなどに含浸される樹脂成分は、ポリ乳酸、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル又はウレタン樹脂であることが望ましいが、これに制限されることはない。
【0021】
一方、本発明で、前記のような繊維強化樹脂層に含まれる織布、不織布又はスクリムの種類は特別に制限されない。例えば、上述した繊維層に含まれるものと同一の繊維の織布、不織布又はスクリムを使用することができ、このうち、ガラス繊維の不織布を使用することが多少望ましいが、これに制限されることはない。
【0022】
本発明の前記繊維強化樹脂層に含まれる織布、不織布又はスクリムは、平方メートル(m)当たりの質量(g)、すなわち、坪量が20g/m〜120g/m、望ましくは30g/m〜120g/mである。本発明で前記坪量が20g/m未満であると、寸法安定性補強硬化が微々たるものになるおそれがあり、前記坪量が120g/mを超えると、層間付着力が低下するおそれがある。
【0023】
一方、本発明で、繊維強化樹脂層に含まれる樹脂成分の含量は、特別に制限されず、目的とする寸法補強効果及び層間付着力などを考慮して適宜制御することができる。
【0024】
また、本発明で前記のような寸法安定層は、厚さが0.2mm〜0.8mmであることが望ましい。本発明で寸法安定層の厚さが0.2mm未満であると、寸法安定性補強効果が微々たるものになるおそれがあり、寸法安定層の厚さが0.8mmを超えると、床材の全体厚さが厚くなるおそれがある。しかし、前記寸法安定層の厚さは、本発明の一つの例示に過ぎなく、本発明で使用される寸法安定層の種類、すなわち、繊維層又は繊維強化樹脂層のうちいずれの形態であるか、前記寸法安定層に含まれる繊維の種類、形態、樹脂成分の種類などによって前記厚さを適宜制御することができる。
【0025】
本発明の床材は、前記のような繊維層又は繊維強化樹脂層上に形成され、一つ以上の生分解性シートを有する表面層又は裏面層を含む。
【0026】
本発明で使用する「A上に形成されたB」、「Aの上部又は下部に形成されたB」及び「Aの一面に形成されたB」などの表現は、Aの表面にBが直接付着される場合、Aの表面に接着剤又は粘着剤を媒介にしてBが付着される場合、及びAとBとの間に別途の層が直接に或いは粘着剤又は接着剤を媒介にして介在している場合を全て含む意味として使用することができる。
【0027】
一方、本発明で使用する「生分解性シート」という用語は、生分解性樹脂を含む樹脂組成物を使用して製造されたシート又はフィルム状の成形体を意味する。本発明の前記生分解性シートの範囲には、前記樹脂組成物を使用して製造されたシート又はフィルム状の発泡体及び非発泡体が含まれる。また、本発明では、場合に応じて前記シート又はフィルム状の成形体の一部又は全部にエンボス処理を行うことができる。
【0028】
また、本発明では、前記生分解性シートは、カレンダリング工法で製造されたシート、すなわち、カレンダリングシートであることが望ましい。本発明で前記のようにカレンダリングシートを使用する場合、その他の製造法(例えば、押出、プレスなど)で製造された場合に比べて、耐久性、耐候性及び表面強度などの物性に優れたシートを得ることができる。
【0029】
本発明で、前記のような生分解性シートを製造する樹脂組成物は生分解性樹脂を含む。
【0030】
本発明で使用可能な前記生分解性樹脂の種類は、特別に制限されず、例えば、ポリ乳酸(PLA)であってもよい。ポリ乳酸は、ラクチド又は乳酸の熱可塑性ポリエステルであって、通常、下記の化学式1に示すような反復単位を含む樹脂である。
【0031】
【化1】

【0032】
前記のようなポリ乳酸は、再生可能な植物資源、例えば、トウモロコシ、ジャガイモ又はサツマイモなどから抽出した澱粉を発酵させて製造される乳酸を重合させて製造することができ、石油資源の枯渇による問題に効果的に対処することができる。また、前記ポリ乳酸は、使用又は廃棄過程でCOなどの環境有害物質の排出量がポリ塩化ビニルなどの石油資源に比べて遥かに少なく、廃棄時にも自然環境下で容易に分解できる環境にやさしい特性を有する。
【0033】
前記のようなポリ乳酸は、通常、D―ポリ乳酸、L―ポリ乳酸、D、L―ポリ乳酸又はメソ(meso)―ポリ乳酸に区分することができる。本発明では、その種類に制限されず、前記のうち一種又は二種以上の混合を使用することができ、このうち、生分解性シートの強度確保などの側面でL―ポリ乳酸(PLLA)を使用することが多少望ましい。すなわち、本発明での生分解性樹脂は、L―ポリ乳酸のみで構成したり、又はL―ポリ乳酸と異なる生分解性樹脂の混合で構成することができる。前記L―ポリ乳酸が他の生分解性樹脂と混合される場合、その含量は重量比で50%以上であることが望ましいが、これに制限されることはない。
【0034】
一方、本発明で使用されるポリ乳酸は、上述したように、乳酸又はラクチドを重合させて製造することができる。必要に応じて、エチレングリコール又はプロピレングリコールなどのグリコール化合物、エタン二酸又はテレフタル酸などのジカルボン酸、グリコール酸又は2―ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、或いは、カプロラクトン又はプロピオラクトンなどのラクトン類のような適切な共重合成分をさらに共重合することもできる。
【0035】
本発明で生分解性シートを構成する前記樹脂組成物は、上述した生分解性樹脂と共に追加的な樹脂を含むことができる。樹脂組成物が生分解性樹脂と共に別途の樹脂を含む場合、前記樹脂は、生分解性樹脂との混和性(compatibility又はmiscibility)を有する樹脂であることが望ましい。本発明で使用する「混和性」という用語は、2個以上の成分(例えば、樹脂成分)が混合されたとき、前記各成分間に界面分離現象などが発生せず、均一に混合できる性質を意味する。
【0036】
通常、ある程度極性を有する樹脂は、上述したポリ乳酸との優れた混和性を示すことができる。本発明で、上述したポリ乳酸と混合されて使用可能な樹脂の具体的な種類は、上述した物性を示す限り、特別に制限されることはない。その例としては、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(ブチレンアジペート−co−テレフタレート)(PBAT)、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリエチレングリコール(PEG)、アイオノマー、ポリグリコライド、エチレンビニルアセテート樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエステル、マレイン酸無水物などの極性基で改質されたポリオレフィン又はアクリル樹脂、エポキシ化中性ゴム及びその他エポキシ化高分子などの一種又は二種以上の混合を挙げることができる。このうち、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(ブチレンアジペート−co−テレフタレート)(PBAT)、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリエチレングリコール及びアイオノマーなどが望ましいが、これに制限されることはない。
【0037】
本発明で、前記樹脂組成物にポリ乳酸と共に前記のような樹脂が含まれる場合、その含量は特別に制限されないが、石油系列の樹脂の場合、その含量はなるべく小さいことが望ましい。本発明では、例えば、上述した樹脂を、上述したポリ乳酸100重量部に対して70重量部以下の量で使用することができる。
【0038】
本発明で生分解性シートを構成する前記樹脂組成物は、上述した樹脂成分と共に、強度補強、成形性改善、審美性確保などの観点で、加工助剤、可塑剤又はフィラーの一種又は二種以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0039】
本発明で生分解性シートを構成する前記樹脂組成物は、加工助剤をさらに含むことができる。すなわち、通常、ポリ乳酸などの生分解性樹脂は、耐衝撃強度又は耐熱性が低下し、これを含む樹脂組成物のシート化工程でカレンダリングなどの既存のポリ塩化ビニル(PVC)系シートの加工方法を適用しにくい。しかし、本発明のように、樹脂組成物に適切な加工助剤を添加する場合、上述したような問題を解決することができる。
【0040】
本発明で使用可能な加工助剤の種類としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂又は熱可塑性ポリオレフィン(TPO;Thermoplastic Polyolefin)などの一種又は二種以上を挙げることができる。望ましくは、上述した成分が酸無水物(例えば、マレイン酸無水物)及び/又はエポキシなどの極性基に変性され、極性基を含むもの、望ましくは、極性基がグラフトされているものを使用できるが、これに制限されることはない。本発明では、カレンダリング加工などの加工性側面で、上述したような加工助剤のうちオレフィン系以外の加工助剤を使用することが多少望ましく、具体的には、アクリル系加工助剤を使用することが望ましい。
【0041】
本発明で、前記のように加工助剤として使用可能な各樹脂の具体的な種類(例えば、単量体組成、重量平均分子量など)及び前記樹脂に付加される酸無水物などの具体的な種類及びその含量などは特別に制限されない。本発明では、加工助剤としては、1分子当たり2〜15、望ましくは4〜10個の極性基を含むアクリル樹脂、ウレタン樹脂又は熱可塑性ポリオレフィン樹脂を使用することができ、このうち、アクリル樹脂を使用することが望ましい。加工助剤に含まれる極性基が2個未満であると、溶融強度改善の効果が微々たるものになるおそれがある。一方、加工助剤に含まれる極性基が16個を超えると、極性基の反応が過度に行われ、高分子ネットワークを形成し、結果的にシートの平滑性が低下するおそれがある。
【0042】
前記のような加工助剤は、上述した生分解性樹脂(例えば、ポリ乳酸)100重量部に対して0.5重量部〜20重量部、望ましくは0.5重量部〜15重量部の量で樹脂組成物に含ませることができる。加工助剤の含量が過度に少ないと、溶融効率及び溶融強度改善効率が低下し、例えば、カレンダリング加工などへの適用が難しくなるおそれがある。一方、加工助剤の含量が過度に多くなると、他の成分との相溶性低下などにより、シートの物性が低下するおそれがある。
【0043】
しかし、前記加工助剤の含量は本発明の一例示に過ぎない。すなわち、本発明では、生分解性シートが適用される用途及びシートの製造のために適用される加工方式や条件などを考慮し、前記加工助剤の含量を適宜変更することができる。
【0044】
また、本発明で、生分解性シートを構成する樹脂組成物は、可塑剤を含むことができる。このような可塑剤は、特に、硬質の樹脂、例えば、L―ポリ乳酸などを使用した場合、樹脂組成物を軟化させ、加工性を改善する役割をすることができる。
【0045】
本発明で使用可能な可塑剤の種類は、上述した作用を行えるものであれば特別に制限されない。本発明では、例えば、前記可塑剤として、フタレート系化合物、アリルリン酸エステル、ジアルキルエーテルジエステル、トリカルボン酸エステル、エポキシ化オイル、エポキシ化エステル、ポリアルキレンオキサイド(例えば、ポリエチレンオキサイド又はポリプロピレンオキサイドなど)、ポリエステル、ポリグリコールジエステル、アリルエーテルジエステル、脂肪族ジエステル、アルキルエーテルモノエステル、クエン酸エステル、ジカルボン酸エステル、植物性オイル又はグリセリンエステルなどの一種又は二種以上の混合を使用することができる。本発明では、前記の他にも、既存のポリ塩化ビニル(PVC)系シートの製造に適用されていた可塑剤を多様に使用することができる。
【0046】
本発明の一態様で、前記可塑剤として、エポキシ化又はその他変性植物性オイル、例えば、エポキシ化大豆油、具体的には、MSO(epoxidized methyl soyate)、ELO(epoxidized linseed oil)、ESO(epoxidized soy oil)又はETO(epoxidizedtalloil)などを挙げることができる。
【0047】
また、本発明では、前記可塑剤として、環境にやさしい特性を有するクエン酸系化合物、例えば、ATBC(acetyl tributyl citrate)又はクエン酸及び変性植物性オイルのブレンド物などを挙げることができる。
【0048】
本発明では、用途によって、上述した各可塑剤のうち適切な成分を使用できるが、人体(ユーザー)への悪影響(健康悪化)などを考慮し、無毒性可塑剤、例えば、クエン酸系可塑剤(例えば、ATBC)及び/又は植物性オイルなどを使用することが望ましい。また、本発明では、ポリ乳酸との相溶性低下又は前記樹脂の加水分解促進などの理由により、アルコール系可塑剤や低分子量オリゴマー形態の可塑剤の使用は排除されることが望ましいが、これに制限されることはない。
【0049】
前記のような可塑剤は、上述した生分解性樹脂(例えば、ポリ乳酸)100重量部に対して5重量部〜70重量部、望ましくは15重量部〜60重量部、より望ましくは約20重量部〜50重量部の量で樹脂組成物に含ませることができる。本発明で、可塑剤の含量が過度に少なくなると、樹脂の硬度が過度に高くなり、加工性が低下するおそれがあり、可塑剤の含量が過度に多くなると、他の成分との相溶性低下などにより、シートの物性が低下するおそれがある。
【0050】
しかし、前記可塑剤の含量は本発明の一例示に過ぎない。すなわち、本発明では、生分解性シートが適用される用途及びシートの製造のために適用される加工方式や条件などを考慮し、前記可塑剤の含量を適宜変更することができる。
【0051】
また、本発明で、生分解性シートを構成する樹脂組成物は、フィラーをさらに含むことができる。前記のようなフィラーは、生分解性シートが適用される用途によって、強度及び審美性増加又は原材料費節減などを目的にして付加することができる。
【0052】
本発明で使用可能なフィラーの具体的な種類は特別に制限されず、炭酸カルシウム、タルク、黄土、シリカ又はアルミナなどの無機系フィラー、又は、木質系フィラー(例えば、木粉、木チップ)、コルク、ケナフ又はパルプなどの有機系フィラーの一種又は二種以上を使用することができる。本発明では、フィラーは、樹脂との相溶性に優れ、溶融時に円滑な作業性を示すことができ、可塑剤との親和性に優れ、可塑剤の溶出を抑制することができ、その結果、可塑剤の含量を相対的に高く設定することができる。審美性に優れるという側面で、上述したフィラーのうち有機系フィラー、具体的には、木質系フィラーを使用することが望ましいが、これに制限されることはない。
【0053】
本発明の樹脂組成物で前記のようなフィラーの含量は、生分解性シートの適用用途によって変わり、例えば、組成物に含まれる生分解性樹脂(例えば、ポリ乳酸)100重量部に対して1重量部〜300重量部の範囲内で調節することができる。本発明で適用されるフィラーの量が過度に少ないと、価格節減又は強度補強効果などが微々たるものになるおそれがあり、その反対にフィラーの量が過度に多くなると、樹脂などの他の成分との結合力が低下し、加工性、例えば、カレンダリング加工性などが低下するおそれがある。
【0054】
しかし、前記フィラーの含量は、本発明の一例示に過ぎない。すなわち、本発明では、生分解性シートが適用される用途や、目的とする強度、審美性又は価格節減効果などを考慮し、前記フィラーの含量を適宜変更することができる。
【0055】
本発明の樹脂組成物は、上述した成分に加えて、適用される用途によって、樹脂シートの製造分野で使用される一般的な添加剤、例えば、発泡剤(例えば、OBSH(oxybisbenzene sulfonyl hydrazide)、TSH(toluene sulfonyl hydrazide)、ADCA(azodicarbonamide)及び/又はZnO)、滑剤、架橋剤、顔料及び紫外線安定剤などの一種又は二種以上をさらに含むことができる。
【0056】
また、本発明では、上述した樹脂組成物には、使用したシート加工性の改善の観点で、前記樹脂組成物を架橋できる適切な手段を付加することができる。本発明で、前記のような架橋手段の例は特別に制限されず、例えば、ペルオキシド(例えば、ジクミルペルオキシド)の添加などのような化学薬品処理方法や、電子線を用いた電子線架橋方式を適用することができる。
【0057】
本発明の床材は、上述したような樹脂組成物で形成された生分解性シートを一つ以上含む表面層又は裏面層を、前記繊維層又は繊維強化樹脂層上に含む。
【0058】
本発明では、例えば、前記表面層が透明層、フィラー層及び印刷層からなる群より選ばれた一つ以上を含むことができ、この場合、前記透明層又は印刷層を上述した生分解性シートで構成することができる。
【0059】
また、本発明では、例えば、前記裏面層が間紙層、発泡弾性層、離紙層、弾性層及び織布層からなる群より選ばれた一つ以上を含むことができ、この場合、前記間紙層、発泡弾性層、離紙層又は弾性層を上述した生分解性シートで構成することができる。
【0060】
本発明の床材は、上述した繊維層又は繊維強化樹脂層を中心に前記表面層及び/又は裏面層のうち一つ以上を多様に組み合わせ、多様な形態で具現することができる。
【0061】
添付の図1は、本発明の床材1の一つの例示であって、繊維層又は繊維強化樹脂層11を中心に、上部表面層が透明層22及び印刷層21を含み、下部裏面層が間紙層31、弾性発泡層32及び離紙層33を含む場合を示す。
【0062】
上述したように、図1の例示で表面層又は裏面層を構成する層のうち一つ以上は、生分解性樹脂を含む組成物で形成された生分解性シートであってもよい。望ましくは、表面層及び裏面層を構成する層は、いずれも生分解性シートで構成することができる。一方、前記表面層及び裏面層を構成する層が生分解性シート以外の構成からなる場合、それを構成する具体的な内容は特別に制限されない。例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)系床材などの既存の公知となった床材に使用されていた構成(例えば、PVC系発泡層)を採用すればよい。
【0063】
例えば、本発明では、前記織布層として、綿、麻、ポリエステル織布、黄麻又はナイロン織布などを使用することができ、その織造形態としては平織又は綾織型織布を使用することができる。また、本発明で、前記フィラー層として、この分野で公知となっている各種構成を採用することもできる。
【0064】
例えば、前記透明層22が生分解性シートで構成される場合、前記透明層は、上述した生分解性樹脂(又は生分解性樹脂とその他樹脂との混合樹脂)100重量部に対して可塑剤20重量部〜40重量部、加工助剤2重量部〜10重量部、及び必要に応じて紫外線安定剤0.5重量部〜2重量部を含む樹脂組成物を成形して製造することができる。
【0065】
また、前記床材の例示で、印刷層21が生分解性シートから成形される場合、前記印刷層は、前記生分解性樹脂(又は生分解性樹脂とその他樹脂との混合樹脂)100重量部に対して加工助剤0.5重量部〜20重量部、可塑剤20重量部〜50重量部、及びフィラー0重量部〜100重量部を含む樹脂組成物で製造することができる。この場合、前記樹脂組成物は、印刷層21の審美性付与又は印刷適性の改善などの観点で、顔料成分、例えば、白色顔料(例えば、二酸化チタン)を0.5重量部〜30重量部の量でさらに含むことができる。本発明で前記のような印刷層21上には、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、ロータリー印刷又はフレキソ印刷などの多様な方式でパターンを形成することもできる。
【0066】
また、前記床材の例示で、間紙層31又は離紙層33が生分解性シートで構成される場合、前記間紙層31又は離紙層33は、生分解性樹脂(又は生分解性樹脂とその他樹脂との混合樹脂)100重量部に対して加工助剤0.5重量部〜20重量部、可塑剤20重量部〜60重量部及びフィラー5重量部〜100重量部を含む樹脂組成物で製造することができる。
【0067】
また、前記床材の例示で、弾性発泡層32が生分解性シートで成形される場合、前記弾性発泡層32は、生分解性樹脂(又は生分解性樹脂とその他樹脂との混合樹脂)100重量部に対して加工助剤0.5重量部〜20重量部、可塑剤25重量部〜45重量部及びフィラー(例えば、炭酸カルシウム)5重量部〜60重量部を含む樹脂組成物で製造することができ、この場合、前記樹脂組成物は発泡工程のための発泡剤を適正量含むことができる。
【0068】
添付の図2は、本発明の床材2の更に他の例示であって、繊維層又は繊維強化樹脂層11を中心に、上部表面層が透明層22及び印刷層21を含み、下部裏面層が弾性層34を含む場合を示す。
【0069】
図2の例示で、透明層22又は印刷層21が生分解性シートで構成される場合、その具体的な内容は上述した通りである。
【0070】
また、例えば、前記弾性層34が生分解性シートで構成される場合、前記弾性層34は、上述した生分解性樹脂(又は生分解性樹脂とその他樹脂との混合樹脂)100重量部に対して加工助剤0.5重量部〜20重量部、可塑剤20重量部〜60重量部及びフィラー(例えば、木粉)5重量部〜100重量部を含む樹脂組成物を成形して製造することができる。
【0071】
添付の図3及び図4は、本発明の床材3、4の更に他の例示であって、図1及び図2に示した床材の最上端に表面処理層41が形成された場合を示す図であり、図5は、図4の床材の最下端に織布(織物)層51がさらに形成された床材を示す図である。
【0072】
本発明で前記のような表面処理層41は、床材の耐スクラッチ性や耐磨耗性を改善するために形成することができる。本発明で、このような表面処理層41を形成する方法は特別に制限されない。例えば、この分野で通常的に使用される紫外線硬化型塗料(例えば、ウレタンアクリレート系UV硬化型塗料)を表面に塗布し、紫外線の照射を通して硬化させて製造することができる。
【0073】
また、本発明では、前記織布層51を形成する方法は特別に制限されず、例えば、上述したような各種織布を圧延方式で付着したり、又は通常のゾルや接着剤を使用して付着すればよい。
【0074】
また、本発明は、繊維層又は繊維強化樹脂層を製造する第1の段階と、第1の段階で製造された繊維層又は繊維強化樹脂層上に生分解性シートを形成する第2の段階とを含む床材の製造方法に関するものである。
【0075】
本発明の第1の段階は、本発明の床材で寸法安定層としての役割をする繊維層又は繊維強化樹脂層を製造する段階である。
【0076】
本発明の第1の段階で、繊維層を製造する方法は特別に制限されず、上述したように、繊維層は、通常の織造又は製紙工程などを通して製造することができる。
【0077】
また、本発明の第1の段階で、繊維強化樹脂層を製造する方法は特別に制限されず、例えば、繊維強化樹脂層は、織造又は製紙工程で製造された織布、不織布又はスクリムに樹脂組成物を含浸させて製造することができる。
【0078】
このとき、前記含浸に使用される樹脂組成物は、前記のようにポリ乳酸(PLA)、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂からなる群より選ばれた一つ以上を含む樹脂成分を含むことができる。また、前記樹脂組成物は、上述した樹脂成分100重量部に対して130重量部以下、望ましくは70重量部以下の可塑剤、及び130重量部以下のフィラーをさらに含む混練物の形態で製造することができる。また、前記混練物は、必要に応じて安定剤などの付加的な成分もさらに含むことができる。
【0079】
このとき、前記樹脂組成物に含まれる可塑剤やフィラーなどの種類は特別に制限されず、例えば、上述した生分解性シートの製造に適用されるものと同一の成分を使用することができる。
【0080】
本発明で、前記のような混練物を使用した含浸方法は特別に制限されず、例えば、キャスティング方式又はリップラミネーティング(lip laminating)方式などの通常の方式を使用することができ、前記各方式のうち、使用される混練物の物性などを考慮し、適切な方式を選択して使用することができる。
【0081】
また、本発明で繊維強化樹脂層を製造するための条件も特別に制限されず、使用される混練物の組成や含浸方式などを考慮して適宜選択することができる。
【0082】
例えば、リップラミネーティング方式は、混練物がポリ乳酸やウレタン樹脂を含む場合に好適に適用することができる。この場合、上述した混練物を所定温度(例えば、150℃〜250℃)で押出し、T―ダイなどを用いて繊維に含浸する方式を使用することができる。この場合、円滑な含浸加工を行うために、前記混練物の溶融指数を40以上に制御することが望ましい。また、混練物がポリ乳酸を含む場合、前記樹脂の熱分解防止の観点で、加工温度を240℃以下に制御することが望ましいが、これに制限されることはない。
【0083】
また、キャスティング方式は、混練物がアクリル樹脂やポリ塩化ビニルを含む場合に有利であり、この方式では、例えば、ロールコーターなどを通して混練物を織布又は不織布などに含浸し、ゲル化して製造することができる。
【0084】
本発明の第2の段階は、第1の段階で製造された繊維層又は繊維強化樹脂層上に生分解性シートを形成する段階である。
【0085】
前記生分解性シートを製造する方法は特別に制限されず、例えば、前記分解性シートは、上述した各成分を含む樹脂組成物を使用したカレンダリング又は押出工法を通して製造することができる。このうち、カレンダリング工法を使用することが望ましいが、これに制限されることはない。
【0086】
例えば、前記生分解性シートは、原料を混合する段階、混合された原料を適切な条件で加熱及び加圧して均一にゲル化する混練工程及び最終のシート状に成形(例えば、カレンダリング成形)する工程を通して製造することができる。
【0087】
前記原料の混合及び混練工程は、例えば、液状又は粉末状の原料をスーパーミキサー、ニーダー、押出機、ミキサー、2本又は3本ロールなどを使用して行うことができる。また、前記段階では、より効率的な混合のために、配合された原料をバンバリーミキサーなどを使用して所定温度(例えば、80℃〜170℃)で混練し、混練された原料を所定温度(例えば、120℃〜170℃)で2本ロールなどを使用して、1次及び2次ミキシング方式と同様に、前記混合及び混練工程を多段階で繰り返して行うこともできる。
【0088】
一方、前記のように混合された原料を使用して生分解性シートを製造する方法も、特別に制限されない。例えば、カレンダリング方式でシートを製造しようとする場合、逆L型4本ロールカレンダーなどを使用して生分解性シートを製造することができる。このとき、カレンダリング条件などの加工条件は、使用される樹脂組成物の組成などを考慮して適宜選択することができ、例えば、120℃〜180℃、望ましくは130℃〜170℃の範囲内で制御することができる。シートの加工時に、加工温度が過度に低いと、樹脂の軟化程度が不足し、成形性が低下するおそれがあり、加工温度が過度に高くなると、粘度が過度に低くなり、成形性が低下するおそれがあるので、使用される原料の組成などを考慮して加工温度を適宜制御することが望ましい。
【0089】
本発明の第2の段階では、前記のような生分解性シートを第1の段階で製造された繊維層又は繊維強化樹脂層上に形成する。
【0090】
本発明の第2の段階は、例えば、(1)繊維層又は繊維強化樹脂層の一面に生分解性シートを圧着する段階、(2)段階(1)で圧着された生分解性シートの表面にパターンを印刷する段階、及び(3)段階(2)でパターンが印刷された繊維層又は繊維強化樹脂層と生分解性シートの積層体の一面又は両面に生分解性シートをさらに形成する段階を含むことができる。
【0091】
前記のような方式は、まず、寸法安定層と生分解性シートで構成される印刷物層を付着して積層体(以下、「印刷物層含浸寸法安定層」と称する場合がある。)を製造した後、再び前記印刷物層含浸寸法安定層の一面又は両面に生分解性樹脂で構成される表面層又は裏面層を形成する方法である。
【0092】
本発明の段階(1)で寸法安定層上に生分解性シート(印刷物層)を付着する方法は特別に限定されず、例えば、適切な条件での熱合着方式を使用することができる。
【0093】
また、本発明の段階(2)でパターンを印刷して装飾層を形成する方法も、特別に制限されない。例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、ロータリー印刷又はフレキソ印刷などのように、この分野で公知となっている多様な印刷方式を適用することができる。
【0094】
本発明の段階(3)は、段階(2)を経て製造された積層体(印刷物層含浸寸法安定層)の一面又は両面に生分解性シートをさらに形成する段階である。
【0095】
このとき、印刷物層含浸寸法安定層に形成される生分解性シートは、透明層又は弾性層のような単一の層であってもよく、場合によっては間紙層、弾性発泡層及び離紙層などの二つ以上の層からなる多層構造であってもよい。前記多層構造の積層体を製造する方式は特別に限定されず、例えば、前記積層体を構成するそれぞれの層を適切な条件で熱圧着させて構成することができる。
【0096】
また、前記段階(2)又は(3)で付着される生分解性シートは、熱合着工程前に適切な温度(例えば、約100℃〜150℃)で予熱処理されたものであってもよく、場合に応じては、発泡工程を経た発泡体であってもよい。
【0097】
前記発泡工程は、例えば、シート内に上述した発泡剤を適正量配合し、オーブンなどに通過させて行うことができる。このとき、オーブン内での発泡条件は、目的とする発泡倍率などを考慮して選択されるもので、特別に制限されることはない。例えば、100℃〜180℃の温度下で4m/分〜25m/分の速度で約1分〜3分間行うことができる。
【0098】
また、本発明では、エンボスロールなどを使用して、製造された床材にエンボスを形成したり、又は前記各熱圧着工程中にエンボスロールなどを使用して、付着と同時に目的とする箇所にエンボスを形成することもできる。
【0099】
また、本発明では、前記各工程を経て製造された積層体の最下層に織布(織物)を合板する工程をさらに行うこともできる。このような織布合板工程の方法は特別に制限されず、例えば、熱による圧延方式や、ゾル又は接着剤を用いた合板方式を適用することができる。
【0100】
本発明では、前記各工程を経て製造された積層体上に表面処理層を形成する工程をさらに行うことができる。
【0101】
このとき、前記表面処理層の形成方式は特別に制限されず、例えば、製造された積層体を所定条件で冷却処理した後、紫外線硬化型塗料を塗布し、紫外線の照射を通して硬化させる方式を使用することができる。
【実施例】
【0102】
以下、本発明に係る実施例を通して本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲が下記の提示された実施例によって制限されることはない。
【0103】
〔実施例1〕
寸法安定層(繊維強化樹脂層)の製造
アクリル樹脂100重量部、ジイソノニルフタレート(DINP)120重量部及び二酸化チタン5重量部を配合し、アクリル系ゾルを製造した。続いて、ガラス繊維で製造された不織布(坪量:60g/m)にロールコーターを使用してアクリル系ゾルを含浸処理した後、140℃の温度で3分間乾燥して寸法安定層を製造した。
【0104】
生分解性シートの製造
(1)印刷物層の製造
ポリ乳酸(PLA)100重量部、クエン酸アセチルトリブチル(ATBC)30重量部、加工助剤5重量部及び二酸化チタン10重量部を含む樹脂組成物を使用して印刷物層を製造した。前記ポリ乳酸としては、Nature Works社の2002D(溶融指数:3未満)を使用し、加工助剤としては、マレイン酸無水物がグラフトされたアクリル系樹脂を使用した。以下、実施例でポリ乳酸と加工助剤の種類は前記に示す通りである。具体的には、前記各成分を押出器を使用して1次混練し、バンバリーミキサーで140℃で混練した後、140℃の2本ロールを使用して1次及び2次ミキシングをした。その後、製造された原料を130℃の温度でカレンダリング加工し、厚さが0.3mmであるシートを製造した。
【0105】
(2)間紙層の製造
ポリ乳酸(PLA)100重量部、クエン酸アセチルトリブチル(ATBC)40重量部、加工助剤5重量部及び木粉10重量部を含む樹脂組成物を使用したことを除いては、前記印刷物層の製造と同一の方式で厚さが0.3mmである間紙層を製造した。
【0106】
(3)弾性発泡層の製造
ポリ乳酸(PLA)100重量部、クエン酸アセチルトリブチル(ATBC)35重量部、炭酸カルシウム10重量部、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)12重量部及び加工助剤10重量部を含む樹脂組成物を使用して弾性発泡層を製造した。
【0107】
具体的には、前記各成分を押出器で1次混練し、130℃で混練した後、140℃の2本ロールを使用して1次及び2次ミキシングをした。続いて、カレンダリング方式で厚さが約1mmであるシートを製造した。
【0108】
(4)透明層の製造
ポリ乳酸(PLA)100重量部、クエン酸アセチルトリブチル(ATBC)30重量部及び加工助剤5重量部を含む樹脂組成物を使用したことを除いては、前記印刷物層の製造と同一の方式で厚さが0.5mmである透明層を製造した。
【0109】
床材の製造
前記の製造された寸法安定層上に印刷物層を150℃の温度で熱合板した後、グラビア印刷を通してパターンを付与して印刷物含浸寸法安定層を製造した。一方、製造された間紙層及び弾性発泡層は140℃のヒーティングドラムに通過させて予熱した後、エンボスロールに通過させて熱合板させることによって積層物を製造した。その後、前記積層物を165℃の発泡オーブンに8m/分の速度で通過させ、約150秒間発泡させた(発泡倍率:約200%)。続いて、前記の製造された印刷物含浸寸法安定層及び透明層を約160℃のヒーティングドラムで圧着させて予熱した後、前記発泡物と共にエンボスロールに通過させて熱合板することによって、厚さが約3mmである積層物を製造した。その後、製造された積層物の透明層の表面にウレタンアクリレート系UV硬化型塗料を塗布し、紫外線を照射して表面処理層を形成することによって床材を製造した。
【0110】
〔実施例2〕
実施例1で裏面層に使用された間紙層及び弾性発泡層の代わりに弾性層を適用したことを除いては、実施例1と同一の方式で床材を製造した。このとき、弾性層は、ポリ乳酸(PLA)100重量部、クエン酸アセチルトリブチル(ATBC)40重量部、木粉10重量部及び加工助剤5重量部を押出器で1次混練し、140℃でバンバリーミキサーで混練した後、140℃の2本ロールを使用して1次及び2次ミキシングをした後、続いて、カレンダリング方式で厚さが約1mmであるシートに製造した。
【0111】
〔実施例3〕
製造された床材の最下部に厚さが約1mmである黄麻布を接着剤を用いて付着したことを除いては、実施例2と同一の方式で床材を製造した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維層又は繊維強化樹脂層と、前記繊維層又は繊維強化樹脂層上に形成され、一つ以上の生分解性シートを含む表面層又は裏面層と、を有する床材。
【請求項2】
前記繊維層は、ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維及びセルロース繊維からなる群より選ばれた一つ以上の織布、不織布又はスクリムを含む請求項1に記載の床材。
【請求項3】
前記繊維強化樹脂層は、ポリ乳酸、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂からなる群より選ばれた一つ以上の樹脂成分が含浸された織布、不織布又はスクリムを含む請求項1に記載の床材。
【請求項4】
前記織布、不織布又はスクリムは、坪量が20g/m〜120g/mである請求項3に記載の床材。
【請求項5】
前記繊維層又は繊維強化樹脂層は厚さが0.2mm〜0.8mmである請求項1に記載の床材。
【請求項6】
前記生分解性シートはポリ乳酸を含む樹脂組成物の成形体である請求項1に記載の床材。
【請求項7】
前記ポリ乳酸はL―ポリ乳酸を含む請求項6に記載の床材。
【請求項8】
前記樹脂組成物は加工助剤、可塑剤及びフィラーをさらに含む請求項6に記載の床材。
【請求項9】
前記加工助剤は、極性基含有アクリル樹脂、極性基含有ウレタン樹脂又は極性基含有熱可塑性ポリオレフィンである請求項8に記載の床材。
【請求項10】
前記加工助剤は、ポリ乳酸100重量部に対して0.5重量部〜20重量部で含まれる請求項8に記載の床材。
【請求項11】
前記可塑剤は、フタレート系化合物、アリルフォスフェートエステル、ジアルキルエーテルジエステル、トリカルボン酸エステル、エポキシ化オイル、エポキシ化エステル、ポリアルキレンオキサイド、ポリエステル、ポリグリコールジエステル、アリルエーテルジエステル、脂肪族ジエステル、アルキルエーテルモノエステル、クエン酸エステル、ジカルボン酸エステル、植物性オイル及びグリセリンエステルからなる群より選ばれた一つ以上である請求項8に記載の床材。
【請求項12】
前記可塑剤は、ポリ乳酸100重量部に対して5重量部〜70重量部で含まれる請求項8に記載の床材。
【請求項13】
前記フィラーは有機系フィラー又は無機系フィラーである請求項8に記載の床材。
【請求項14】
前記フィラーは、ポリ乳酸100重量部に対して1重量部〜300重量部で含まれる請求項8に記載の床材。
【請求項15】
前記樹脂組成物は、発泡剤、滑剤、架橋剤及び紫外線安定剤からなる群より選ばれた一つ以上をさらに含む請求項6に記載の床材。
【請求項16】
前記表面層は透明層、フィラー層及び印刷層からなる群より選ばれた一つ以上を含む請求項1に記載の床材。
【請求項17】
前記裏面層は間紙層、発泡弾性層、離紙層、弾性層及び織布層からなる群より選ばれた一つ以上を含む請求項1に記載の床材。
【請求項18】
繊維層又は繊維強化樹脂層を製造すること、及び前記の製造された繊維層又は繊維強化樹脂層上に生分解性シートを形成することを含む床材の製造方法。
【請求項19】
前記生分解性シートはカレンダリング方式で製造される請求項18に記載の床材の製造方法。
【請求項20】
前記の製造された繊維層又は繊維強化樹脂層上に生分解性シートを形成することは、(1)前記繊維層又は繊維強化樹脂層の一面に生分解性シートを圧着すること、(2)前記の圧着された生分解性シートの表面にパターンを印刷すること、及び(3)前記パターンが印刷された繊維層又は繊維強化樹脂層と生分解性シートの積層体の一面又は両面に生分解性シートをさらに形成することを含む請求項18に記載の床材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−504702(P2013−504702A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529654(P2012−529654)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際出願番号】PCT/KR2010/005723
【国際公開番号】WO2011/037325
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(509286787)エルジー・ハウシス・リミテッド (49)
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
【住所又は居所原語表記】One IFC Building,10 Gukjegeumyung−ro,Yeongdeungpo−gu,Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】