説明

廃材から有用な製品を製造するための方法および手順

本発明は、廃材から、石炭、アスファルト、液体炭化水素、有機酸、メタンガスおよび/または水素を製造する方法に関する。該方法は、a)廃材を準備し、b)該廃材を、700nm〜1mmの波長を有する低周波マクロ波の照射に付し、温度205℃〜900℃、圧力1.0バール〜19.0バールにして、石炭を生成し、c)随意に、工程b)からのガス状の残存材料に、DPP B102として特定される固体金属の存在下で物理化学的反応に付し、温度180℃〜500℃、圧力0.98バール〜5.5バールにして、アスファルトを生成し、d)随意に、工程b)またはc)からのガス状の残存材料を、物理化学的反応および/または凝縮に付し、温度150℃〜750℃、圧力0.96バール〜200バールにして、液体炭化水素を生成し、e)随意に、工程b)、c)またはd)からのガス状の残存材料を、DPP D102として特定される固体金属の存在下で物理化学的反応に付し、温度50℃〜150℃、圧力0.95バール〜1.5バールにして、有機酸を生成し、f)随意に、工程b)、c)、d)またはe)からのガス状の残存材料を、吸収剤洗浄および室温での冷却に付し、メタンガスおよび水素を生成し、前記廃材は、その乾燥重量に対して、9〜85%の炭素含有量、1〜15%の水素含有量、および0〜65%の酸素含有量の組成を有する。本発明は、さらに、このような方法によって得られ得る製品およびこのような方法を行うための装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処理の分野に関する。本発明は、廃材から有用な製品を製造することにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
固形廃材、特に消費中心地、工業・林業部門などに由来する廃棄物の管理は、様々な環境衛生上の問題を生じる。固形廃棄物管理に関連する問題は、廃棄物の蓄積が増大し、費用が高額になり、廃材をなくすことができないことである。固形有機および無機廃棄物は、たいてい、その目的のために特別に設計された埋め立て地に処分される。固形廃棄物の最終目的地としてのこれらの埋め立て地を使用するにことによって生じる主な不便さは、埋め立て地によって占有される表面積、ならびに汚染によってまたはその分解によるガスの排出および放出によって生じる環境および社会的問題である。さらに、土地のコストおよび上述の問題によって、埋め立て地は、消費中心地から遠くに設けられ、これは、たとえば輸送コストを増大させる。
【0003】
電気エネルギを生成するために熱を利用する高温焼却などの固形廃棄物を処理するための他の技術が、ここ数年来開発されてきた。しかしながら、この技術は、高汚染排出物を生成する。さらに、高温焼却の適用中、なくしにくく埋め立て地に貯蔵されなければならない灰が生成される。
【0004】
焼却炉における固形廃棄物の燃焼に代えて、固形廃棄物のガス化、嫌気性消化、煮沸または乾燥および固形廃棄物のマイクロ波照射などの技術の開発を通して、異なる起源の固形廃棄物のエネルギ回収および変換に向けて努力がなされてきた。これらの技術によって、たとえば蒸気または電気が得られる。しかしながら、これらの技術は、化石燃料の使用を必要とし、または依然として大量の残留廃材を結果として生じる。他の方法は、有機物質を液肥またはバイオガスの形態のエネルギに変換するバイオディジェスタを含む。これらの処理中、シスチン、システイン、リシン、メチオニンおよびオルニチンなどのアミノ酸が遊離する。これらのアミノ酸はイオウの供与体であり、残留物としてヘキサデシルメルカプタン(C1633SH)を残すプトレッシン(カタベリン)に変換可能である。ヘキサデシルメルカプタンは硫化水素HSを含み、これは、シアン化合物と同様の窒息効果によってヘモグロビン内の鉄の中心原子を塞ぐので有毒である。また、HSを燃やすと、水と三酸化イオウ(SO)が形成され得、その結果、硫酸(HSO)の生成を結果として生じ、これは環境中に放出されると有毒である。
【0005】
有機廃棄物のマイクロ波照射は、マイクロ波の印加の結果としての内部摩擦によって生じる、有機廃棄物の内部加熱による消毒処理のために使用される。この処理は、有機処理物質のリサイクリングを可能にせず、消毒およびその体積の減少だけを可能にする。結果として生じる材料は、体積が減少しているけれども、依然として、たとえば埋め立て地に処分される必要がある。
【0006】
他のアプローチは、熱エネルギの熱分解されるべき材料への印加によって分解が行われる、別の熱分解法である。この熱エネルギは、変換、対流および放射という3通りの方法で印加される。使用される熱源は、たとえば、バーナの熱である。また、熱分解中、環境中に放出されるガスが生成される。
【0007】
したがって、固形廃棄物の処理および変換のための改良された方法のための継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、廃材、好ましくは、固形廃材、好ましく有機廃材、より好ましくは固形有機廃材から、有用な製品を製造するための手段および方法を提供することである。
【0009】
本発明は、廃材から有用な製品を製造する方法であって、
a)廃材を準備し、
b)該廃材を、700nm〜1mmの波長を有する低周波マクロ波の照射に付し、温度205℃〜900℃、圧力1.0バール〜19.0バールにして、石炭を生成し、
c)随意に、工程b)からのガス状の残存材料に、DPP B102として特定される固体金属の存在下で物理化学反応に付し、温度180℃〜500℃、圧力0.98バール〜5.5バールにして、アスファルトを生成し、
d)随意に、工程b)またはc)からのガス状の残存材料を、物理化学反応および/または凝縮に付し、温度150℃〜750℃、圧力0.96バール〜200バールにして、液体炭化水素を生成し、
e)随意に、工程b)、c)またはd)からのガス状の残存材料を、DPP D102として特定される固体金属の存在下で物理化学反応に付し、温度50℃〜150℃、圧力0.95バール〜1.5バールにして、有機酸を生成し、
f)随意に、工程b)、c)、d)またはe)からのガス状の残存材料を、吸収剤洗浄および室温での冷却に付し、メタンガスおよび水素を生成し、
前記廃材は、その乾燥重量に対して、9〜85%の炭素含有量、1〜15%の水素含有量、および0〜65%の酸素含有量の組成を有する、方法を提供する。
【0010】
本発明に従う方法は、ここでは、「RMO法」または「RMOプロセス」とも呼ぶ。本発明に従う方法を行うために使用される装置は、ここでは、「RMO」または「RMO装置」とも呼ぶ。
【0011】
本発明に従う方法の第1の主要なイノベーションは、光子放射波の衝突の効率および有効性の概念の適用である。熱交換および熱対流は、本発明の方法中には適用できない。なぜなら、反応槽は熱源に直接接触していないからである。この放射は、赤外領域にあり、燃焼すなわち熱エネルギ源周囲の加熱において生じるより高い周波数を有する。
【0012】
この放射は、効率よく濃縮された光子の大きな流れを、円柱状または球状の反応槽内に設けられたる廃材内に、伝達する。光子の衝突は、廃材の分子の分解または分裂が生じる強度の電磁衝撃波を生成する。結果として、廃材のガス化が開始される。熱交換と比較して、磁気誘導のより大きな均一度が達成される。
【0013】
したがって、廃材の分子の化学的結合の破壊に関与する機構は、光子エネルギである。このプロセスは、ここでは、光子標的分子分裂放射線分解とも呼ぶ。
【0014】
本発明の第2の態様は、好適には、放射線分解材料が、同一のプロセスにおいて、分子変換される。ガス状の材料は、より大きな容易性および安全性を伴って、反応し、固体状または液体状に化学的に結合されてもよい。次いで、全材料は、凝縮されたガス状態でRMOプロセスにおいて適切に処理され、次いで選択的に沈殿され、さもなければ汚染物質であったであろう材料から有用な製品を得ることができる。
【0015】
ここで使用されるような廃材は、少なくとも部分的に、動物および植物材料に一般的に由来する炭素化合物を含む有機材料である。ここで使用されるような「廃材」は、その乾燥重量に対して、9〜85%の炭素、1〜15%の水素および0〜65%の酸素を含み、その乾燥重量に対して、0〜50%のイオウ含有量、0〜50%の塩化物含有量、0〜50%のリン含有量、0〜50%の臭素含有量、0〜10%のホウ素含有量、0〜50%の重金属含有量を有し、他の材料で100%に補充される材料として定義される。
【0016】
好ましくは、廃材は、その乾燥重量に対して、10〜80%の炭素、より好ましくは10〜75%の炭素を含む。
【0017】
好ましくは、廃材は、その乾燥重量に対して、2〜12%の水素、より好ましくは3〜10%の水素を含む。
【0018】
好ましくは、廃材は、その乾燥重量に対して、0〜50%の酸素、より好ましくは0〜40%の酸素を含む。
【0019】
好ましくは、廃材は、その乾燥重量に対して、0〜25%、より好ましくは、0〜15%、さらにより好ましくは0〜10%、さらにより好ましくは0〜5%のイオウ含有量を有する。
【0020】
好ましくは、廃材は、その乾燥重量に対して、0〜25%、より好ましくは0〜15%、さらにより好ましくは0〜10%、さらにより好ましくは0〜5%の塩化物含有量を含む。
【0021】
好ましくは、廃材は、その乾燥重量に対して、0〜25%、0〜15%、さらにより好ましくは0〜10%、さらにより好ましくは0〜5%のリン含油量を含む。
【0022】
好ましくは、廃材は、その乾燥重量に対して、0〜25%、0〜15%、さらにより好ましくは0〜10%、さらにより好ましくは0〜5%の臭素含有量を含む。
【0023】
好ましくは、廃材は、その乾燥重量に対して、0〜5%、0〜3%、さらにより好ましくは0〜2%のホウ素含有量を含む。
【0024】
好ましくは、廃材は、その乾燥重量に対して、0〜25%、0〜15%、さらにより好ましくは0〜10%、さらにより好ましくは0〜5%の重金属含有量を含む。
【0025】
バッチサイズは、好ましくは、少なくとも200kg、より好ましくは少なくとも500kg、より好ましくは少なくとも1500kgの廃材である。
【0026】
廃材は、好ましくは、少なくとも50%の有機材料、好ましくは、少なくとも60%の有機材料、より好ましくは少なくとも70%の有機材料を含む。「有機材料」は、ここでは、動物、植物またはバクテリアなどの生物に由来する材料として定義される。
【0027】
廃材の有機成分の例として、植物の葉および枝、果物の皮、油、穀草類および油糧種子の皮および殻、生ごみ、トウダイグサ、ナンヨウアブラギリおよびサトウキビの絞りかす、タバコ、綿、おがくず、かんなくずなどの植物廃棄物、ならびに林業からの全ての廃棄物;農工業廃棄物からの全ての他の有機廃棄物、剪定廃棄物、雑草および全ての種類の野菜残部;骨などの動物由来の固形廃棄物、肥料、食肉産業からの固形廃棄物および動物由来の他の種類の廃棄物などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の好適な実施形態において、廃材は有機廃材である。
【0028】
廃材は、イオウ、塩素、リン、臭素、ホウ素および/またはヒ素、カドミウム、コバルト、銅、水銀、マンガン、ニッケル、鉛、スズおよびタリウムなどの重金属などの無機成分を含んでもよい。廃材中のイオウの含有量は、廃材の乾燥重量に対して、好ましくは0〜50%、より好ましくは0〜25%、さらにより好ましくは0〜15%である。廃材中の塩化物の含有量は、廃材の乾燥重量に対して、好ましくは0〜50%、より好ましくは0〜25%、さらに好ましくは0〜15%である。廃材中のリンの含有量は、廃材の乾燥重量に対して、好ましくは0〜50%、より好ましくは0〜25%、さらに好ましくは0〜15%である。廃材中の臭素の含有量は、廃材の乾燥重量に対して、好ましくは0〜50%、より好ましくは0〜25%、さらに好ましくは0〜15%である。廃材中のホウ素の含有量は、廃材の乾燥重量に対して、好ましくは0〜10%、より好ましくは0〜5%、さらにより好ましくは0〜3%である。廃材中の重金属の含有量は、廃材の乾燥重量に対して、好ましくは0〜50%、より好ましくは0〜25%、さらに好ましくは0〜15%である。
【0029】
無機成分を含む廃材の成分の例として、プラスチック、紙、ゴム、タイヤ、天然および合成布、ラテックス、おむつおよび使い捨てタオル、処分済み医薬品、毒および農薬、タイヤ、テトラパック容器および/または亜鉛めっき金属などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明に従う方法は、有害材料を処理するために特に適している。
【0030】
廃材は、好ましくは固体であるが、液体廃棄物が本発明の方法で処理されてもよい。本質的に、全ての有機材料は本発明に従う方法で処理することができる。随意に、プロセスの迅速性および均一性の理由のために、廃材の体積は減少されてもよく、または廃材は、本発明に従う方法を開始する前に細断されてもよい。細断後の廃材のサイズは、好ましくは10〜50cm、より好ましくは10〜40cm、さらにより好ましくは15〜20cmである。さらに、廃材は、好ましくは、水分を最大35%、好ましくは最大30%、より好ましくは最大25%、より好ましくは最大20%、より好ましくは最大15%に減少させるために、予備乾燥される。
【0031】
好適な実施形態において、本発明の方法の実行中に有用な製品に処理される廃材は、本発明の方法の実行中に有用な製品に処理されず、一般的に殺菌されるだけの廃材から分離される。これらの2種類の廃材は、好ましくは、本発明に従う方法に同時に付されない。
【0032】
ここで使用されるような「有用な製品」は、好ましくは、石炭、アスファルト、液体水素、有機酸、メタンガスおよび/または水素である。
【0033】
本発明に従う方法の工程b)の間、温度205℃〜900℃、圧力1バール〜19バールが生じる。工程b)の間の廃材の温度は、好ましくは205℃〜850℃である。好適な実施形態において、本発明に従う方法の工程b)は、セルロースまたはセルロース誘導体(試薬DDP A101)、および/または炭素化合物(試薬DPP A102)、および/または水(試薬DDP A103)の存在下で行われる。
【0034】
試薬DDP A101は、セルロースおよびセルロース誘導体から成る群から選択される化合物である。「セルロース誘導体」は、ここでは、化学的処理によってセルロースから誘導された化合物として定義される。セルロース誘導体の好適な例として、セルロースアセテート、およびセルローストリアセテートなどのセルロースエステル、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されない。DPP A101は、1:100〜1:10000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)の濃度で使用されてもよい。DPP A101は、好ましくは、1:500〜1:5000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)、より好ましくは、約1:1000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)の濃度で使用される。
【0035】
試薬DPP A102は、炭素化合物、好ましくは微結晶炭素、より好ましくは自燃性(pyrophorus)微結晶炭素である。「自燃性微結晶」は、ここでは、顕微鏡でのみ観察可能であり、空気と接触すると自然発火する結晶構造を有する炭素として定義される。一実施形態において、DPP A102は、プロセスの50%が実行されたとき、所望の濃度に達するまで、本発明に従う方法の工程b)の開始から、ある割合、たとえば均等な割合で適用される。DPP A102は、1:100〜1:10000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)の濃度で使用されてもよい。DPP A102は、好ましくは、1:500〜1:5000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)、より好ましくは、約1:1000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)の濃度で使用される。DPP A102は、反応器内の雰囲気における酸素の存在を低減し、毒性酸化物の形成を防ぐために使用されてもよい。好ましくは、その適用は、本発明の方法中、雰囲気における酸素の存在を低減する。
【0036】
試薬DPP A103は、水、好ましくは噴霧水である。DPP A103は、好ましくは、石炭が排出される前に、工程b)の終わりに適用される。試薬DPP A103は、好ましくは、まず試薬として作用し、次いで還元される。さらに、好ましくは、工程b)の間に生成される石炭の安定性を向上するのに役立つ。DPP A103は、1:1000〜30:10000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)、好ましくは、1:500〜30:5000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)、より好ましくは、約30:1000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)の濃度で使用されてもよい。本発明に従う方法の工程b)において、好ましくは、石炭が得られる。ガス状態の小分子の残存材料は、好ましくは、該方法の工程c)に進む。
【0037】
本発明に従う方法の工程c)において、工程b)からのガス状の残存材料は、固体金属の存在下で物理化学反応に付される。本発明に従う方法の工程c)の間、温度は180℃〜500℃まで下げ、圧力は0.98バール〜5.5バールまで下げる。工程c)の間の圧力は、好ましくは、0.8バール〜1.2バールである。本発明に従う工程c)において、好ましくはアスファルトが得られる。好適な実施形態において、本発明に従う方法の工程c)は、炭化水素または炭化水素の混合物(試薬DPP B101)の存在下で行われる。工程c)における固体金属は、特別な定めのない限り、試薬DPP B102ともいう。
【0038】
試薬DPP B101は、炭化水素または炭化水素の混合物である。炭化水素は、好ましくは、重質炭化水素から成る群から選択される。「炭化水素」は、ここでは、基本的に、完全に炭素および水素から成る化合物として定義される。「重質炭化水素」は、ここでは、少なくとも15の炭素原子を有する炭化水素として定義される。該炭化水素は、好ましくは、C1532〜C55112の範囲、より好ましくはC2144〜C51104の範囲、より好ましくはC2552〜C4592の範囲の炭化水素から選択される。好適な実施形態において、DPP B101は、重質炭化水素の混合物であり、これは上述の範囲内にある重質炭化水素の任意の組み合わせを含んでいてもよい。DPP B101は、1:100〜1:10000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)、好ましくは、1:500〜1:5000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)、より好ましくは、約1:1000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)の濃度で使用されてもよい。
【0039】
DPP B102は、固体金属であり、好ましくは遷移元素の群から選択され、より好ましくは鉄である。好適な実施形態において、DPP B102は、固体鉄金属であり、好ましくはガス流に対して大きな表面積を有する。「遷移元素」は、ここでは、周期表における第3族〜第12族中のいずれかの金属元素と定義する。DPP B102は、好ましくは、工程c)の間に添加される。他の好適な実施形態において、固体金属、好ましくは固体鉄金属が、工程c)が行われる反応槽の構成材料である。
【0040】
ガス状態の小分子の残存材料は、好ましくは、前記方法の工程d)に進む。
【0041】
本発明に従う方法の工程d)において、工程c)からのガス状態の残存材料は、物理化学反応および/または凝縮に付される。本発明に従う方法の工程c)の間、温度は150℃〜750℃に低下し、圧力は0.96バール〜200バールに低下する。工程d)の間の圧力は、好ましくは0.8バール〜20バールである。好適な実施形態において、本発明に従う方法の工程d)は、炭化水素または炭化水素の混合物(試薬DPP C101)および/または酸化剤(試薬DPP C102)の存在下で行われる。
【0042】
「凝縮」は、ここでは、物質の物理状態の気相から液相への変化と定義する。
【0043】
試薬DPP C101は、炭化水素または炭化水素の混合物である。該炭化水素は、好ましくは、油性炭化水素から成る群より選択される。「油性炭化水素」は、ここでは、最少で8炭素原子、最多で24炭素原子を有する炭化水素と定義する。好適な実施形態において、前記油性炭化水素は、C16〜C2450の範囲、好ましくはC1226a〜C2246の範囲、最も好ましくはC1430〜C2042の範囲の炭化水素から選択される。油性炭化水素の混合物は、上記範囲に入る油性炭化水素のあらゆる組み合わせから成ってよい。DPP C101は、好ましくは、油に類似する炭化水素の産生に使用される。試薬DPP C101は、0.96バールの最小圧力においてさえ、効果を有する。DPP C101は、1:100〜1:10000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)、好ましくは、1:500〜1:5000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)、より好ましくは約1:1000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)の濃度で使用される。
【0044】
試薬DPP C102は、酸化剤である。「酸化剤」は、ここでは、他の物質を酸化し、その過程において自身は還元される物質と定義される。酸化剤の好ましい例は、三酸化クロム、過酸化水素、硝酸、硝酸ナトリム、硝酸カリウム、亜塩素酸塩、塩素酸塩、または過マンガン酸カリウムである。好適な実施形態において、DPP C102は、固体三酸化クロム(CrO)である。試薬DPP C102は、本発明の方法の工程d)の間、燃料の産生に使用される。DPP C102は、好ましくは、最も高い温度かつ下記の圧力範囲で使用する。DPP C102は、1:100〜1:25000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)、好ましくは1:500〜1:10000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)、より好ましくは約1:2500(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)の濃度で、使用することが可能である。本発明に従う方法の工程d)の間、温度は150℃〜750℃であり、圧力は0.96バール〜200バールである。本発明に従う方法の工程d)において、好ましくは液体炭化水素が得られる。
【0045】
試薬、圧力および温度の変化に応じて、メチルアルコール、セタンを含むディーゼル、オクタンを含むガソリン、または他の燃料類などの燃料、溶媒、ならびに、爆発性および非爆発性の添加剤が得られる。ガス状態の小分子の残存材料は、好ましくは、前記方法の工程e)に進む。
【0046】
本発明に従う方法の工程e)において、工程d)からのガス状態の残存材料は、DPP D102と特定される固体金属の存在下で物理化学反応に付される。好適な実施形態において、本発明の方法の工程e)は、5%〜40%の有機酸溶液(試薬DPP D101)および/または5%〜50%の濃度の硫酸鉄溶液(試薬DPP D103))の存在下で行われる。
【0047】
試薬DPP D101は、5%〜40%、好ましくは10%〜25%、より好ましくは約15%の有機酸溶液である。有機酸溶液は、好ましくは有機酸水溶液である。有機酸溶液の好ましい例は、酢酸溶液、ギ酸溶液、クエン酸溶液、酪酸溶液、マレイン酸溶液、および安息香酸溶液である。好適な実施形態において、DPP D101は、酢酸溶液であり、より好ましくは10%〜25%の酢酸溶液であり、最も好ましくは約15%の酢酸溶液である。試薬DPP D101は、1:100〜1:10000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)、好ましくは1:500〜1:5000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)、より好ましくは約1:1000(kg試薬:本発明に従う方法の工程b)に付した廃材のkg乾燥重量)の濃度で使用することができる。
【0048】
DPP D102は固体金属である。該金属は、好ましくは、遷移元素の群から選択される。より好ましくは、前記金属は銅である。好適な実施形態において、DPP D102は金属ウールであり、より好ましくは銅ウールである。DPP D102は、本発明の方法の工程e)の間、可燃性ガスの清掃に使用することができる。DPP D102は、好ましくは、水銀が存在する場合に、水銀を捕捉して、水に不溶のアマルガムを形成するのに使用される。随意的に、水銀は蒸留によって回収することが可能である。
【0049】
試薬D103は、5%〜50%(反応混合物における該溶液の濃度)、好ましくは10%〜40%、より好ましくは15%〜30%の硫酸鉄溶液である。硫酸鉄溶液は、好ましくは硫酸鉄水溶液である。好適な実施形態において、硫酸鉄溶液の濃度(反応混合物における該溶液の濃度)が15%以下に低下すると、反応混合物に追加の硫酸鉄溶液が添加される。DPP D103は、本発明の方法の工程e)の間、可燃性ガスの清掃に使用することができる。DPP D103は、好ましくは、水に不溶のフェロシアナイドを形成するシアン化物を捕捉するのに使用される。DPP D103は、たとえば、本発明の方法で得られる製品において、シアン化物の放出を防止するために使用することができる。本発明に従う方法の工程e)の間、温度は500℃〜150℃であり、圧力は0.95バール〜1.5バールである。本発明に従う方法の工程e)において、好ましくは有機酸が得られる。
【0050】
試薬、圧力および温度に応じて、種々の有機酸が得られる。試薬の変動、特定の化学試薬および温度に応じて、肥料として使用される数種の有機酸が得られる。ガス状態の小分子の残存材料は、好ましくは前記方法の工程f)に進む。
【0051】
本発明に従う方法の工程f)において、工程e)からのガス状態の残存材料は、吸収剤洗浄およびほぼ室温での冷却に付される。工程f)は、燃料ガスの他のガス状不純物と共に、精油および軽炭化水素の凝縮とこれらの分離を可能にする。吸収剤洗浄の間、工程e)から得られるガスは、6〜9バールに圧縮される。その後、ガスは水で処理されて、遊離のCO、HSおよびシロキサンが得られる。本発明に従う方法の工程f)において、たとえば、50%〜92%の好ましい純度を有するメタンガス(CH)、および、8%〜50%の好ましい純度を有する水素(H)が、得られる。
【0052】
随意的に、本発明に従う方法の工程d)と工程e)との間に、酸素非存在化で熱を使用して水の熱還元が行われる。このプロセスでは、たとえば、水素ガス(H)および二酸化炭素(CO)が生成される。
【0053】
本発明に従う方法の工程b)、c)、d)および/またはe)での試薬の使用は、廃材のより速やかな変換を可能にする。
【0054】
好適な実施形態において、廃材は、約205℃の初期温度に達するまで予め加熱または照射され、その後、照射の延長の結果、温度が約500℃まで次第に高められる。より好ましくは、廃材の温度は、約700℃に高められる。最も好ましくは、廃材の温度は、約900℃に高められる。
【0055】
好適な実施形態において、本発明の方法は、上述の工程a)〜e)を全て含んで実施される。好ましくは、本発明の方法は、まず工程a)を行い、次いで工程b)を行い、次いで工程c)を行い、次いで工程d)を行い、次いで工程e)を行うことを含む。他の好適な実施形態において、本発明の方法は、上述の工程a)〜f)を全て含んで行われる。好ましくは、本発明の方法は、まず工程a)を行い、次いで工程b)を行い、次いで工程c)を行い、次いで工程d)を行い、次いで工程e)を行い、次いで工程f)を行うことを含む。工程a)、b)、c)、d)、e)およびf)は、好ましくは、順次開始される。個々の工程を開始した後、これらの工程の物理化学反応は、少なくとも部分的に、次の工程が開始された後も進行する。たとえば、工程d)が開始された後、工程d)の物理化学反応が開始され、工程c)および/または工程d)の物理化学反応がさらに継続してよい。したがって、好適な実施形態において、本発明の方法は、まず工程a)を実施し、次いで工程b)を開始し、次いで工程c)を開始し、次いで工程d)を開始し、次いで工程e)を開始し、次いで工程f)を開始することを含む。
【0056】
廃材に応じてかつ使用する試薬に応じて、これらの工程の1以上を省略することが可能である。これは、たとえば、特定の均質な有機材料を処理する場合である。本発明の方法は、たとえば、上述の工程a)、b)、e)およびf)を含んで行われてよく、これは、石炭、有機酸およびガスを産生する結果となる。他の実施形態において、本発明の方法は、上述の工程a)、b)およびf)を含んで行われてよく、これは、石炭およびガスを産生する結果となる。さらに他の実施形態において、本発明の方法は、上述の工程a)、b)、c)およびf)を含んで行われてよく、これは、石炭、アスファルトおよびガスを産生する結果となる。さらに他の実施形態において、本発明の方法は、上述の工程a)、b)、c)およびd)を含んで行われてよく、これは、石炭、アスファルト、有機酸および液体炭化水素を産生する結果となる。
【0057】
本発明の他の側面において、廃材を処理する方法が提供され、この方法は、上述の工程a)およびb)のみを含み、廃材を準備し、廃材を700nm〜1mmの波長の低周波マクロ波の照射に付し、その際、温度を205℃〜900℃、圧力を1.0バール〜19.0バールとし、ここで、前記廃材は、その乾燥重量に対して、9〜85%の炭素含有量、1〜15%の水素含有量、および0〜65%の酸素含有量の組成を有する。好ましくは、前記照射は、セルロースまたはセルロース誘導体(試薬DDP A101)、炭素化合物、好ましくは微結晶炭素、より好ましくは、自燃性微結晶炭素(DDP A102)、および水(DDP A103)の存在下で行われる。
【0058】
本発明に従う方法の工程b)において、低周波マクロ波、700nmから赤外に相当する波長までの範囲の好ましい波長、つまり、700nm〜1mmの好ましい波長の照射が廃棄物になされる。有機廃材の生物的長鎖および高分子は、より小さい分子へと分断される。照射するマクロ波の周波数は、好ましくは0.1テラHz〜1000テラHz、より好ましくは、0.3テラHz〜500テラHz、さらに好ましくは0.8テラHz〜100テラHzである。マクロ波は、好ましくは1〜4時間照射される。照射の強度は、1時間当たり、有機乾燥材料1kg当たり、1.0×10eV(エレクトロンボルト)〜20.0×10eV、好ましくは2.0×10eV〜10.0×10eV、より好ましくは3.0×10eV〜6.2×10eVである。本発明に従う方法の工程b)の間、205℃〜900℃の温度および1バール〜19バールの圧力、が生成される。
【0059】
当該技術分野で公知のように、熱分解は、伝導、対流および放射という3通りの可能な方法で熱エネルギを材料に加えることで、行われる。好ましくは、本発明の方法において、熱源が熱エネルギを供給する。好適な実施形態において、熱源はバーナである。しかし、熱エネルギは、他の様々な源に由来することもできる。
【0060】
本発明の方法において、熱源は、好ましくは、反応槽または複数の槽が熱源に直接には接触しない周辺に位置する。その結果、熱伝導および対流は制限され、本質的に放射が熱エネルギの唯一の源になる。この放射は、700nmから赤外に相当する波長までの範囲の好ましい波長を有する。放射の周波数は、熱原によって生成される熱を変化させることによって、変化させることが可能である。たとえば、熱エネルギ源による加熱を増大させれば、より高い周波数が生成される。
【0061】
好適な実施形態において、本発明の方法で使用される反応槽は、円筒形または球形である。反応槽は、さらに好ましくは、2つの壁が直接熱変換接触しない二重金属壁を有する。放射の1次源は、好ましくは、火またはボイラなどの熱源である。反応槽の外金属壁は、1次熱源によって加熱され、その結果、それ自体が放射の2次源になる。反応槽の外壁は、伝導および対流による熱エネルギの移送を妨げる。しかし、外壁からの光子放射は反応槽の内壁をも貫通する。したがって、前記反応槽の内壁内に収容された材料は、内壁および2次放射源つまり反応槽の外壁の双方によって照射される。
【0062】
この放射は、効率よく濃縮された光子の大きな流れを、好ましくは円筒形または球形の反応槽に収容された廃材内に、伝達する。これは、廃材の分子の分解または化学分裂を引き起こすほどの強度の電磁波を生成し、これによって、廃材のガス化が次第に始まる。熱エネルギの放射によって、伝導または対流に比べて、電磁波のより大きな均一度が達成される。したがって、廃材の分子の化学結合の開裂を生じさせる機構は、光子エネルギである。このプロセスを、ここでは、光子標的分子分裂放射線分解ともいう。
【0063】
照射の間、本発明の方法で使用される反応槽内は、好ましくは205℃〜900℃の温度に達する。分子分裂は、通常、反応槽に収容された廃材の温度が約205℃に達したときに、始まる。照射は、好ましくは、少なくとも205℃、より好ましくは少なくとも500℃、より好ましくは少なくとも700℃、最も好ましくは少なくとも900℃まで加熱される熱源によって、生じる。
【0064】
放射によって伝達されるパワーは、放射熱源の温度とともに指数関数的に増大するので、本発明の方法は、高効率であり、エネルギ節約的である。一方、対流で伝達されるエネルギの場合、エネルギは温度とほとんど線形関係にとどまる。
【0065】
本発明に従う方法の実施の間、該方法を実施する装置の内容物は、好ましくは、本質的に外部環境から隔離され、80%〜100%、好ましくは90%〜100%、より好ましくは95%〜100%の湿度を有する。酸素含有量は、前記方法の間、好ましくは、5%以下、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。処理は、処理において発生する蒸気などのガスの圧力を使用して実施することが可能であり、その場合、圧力は上述の圧力範囲内の上部に達する。代替的に、処理の間、可燃性ガスを吸引することが可能であり、その場合、処理の間、圧力は上述の圧力範囲内の下部にとどまる。
【0066】
本発明の方法では、廃棄物の生物的長鎖および高分子は、より小さい分子へと分断される。局在化光子放射線分解の適用を伴う低周波のマクロ波が照射され、分子間空間に深く浸透して、生物的長鎖を開裂させる。本発明の方法は、廃棄物の処理についての解決策を提供する。この方法では、廃棄物の燃焼および灰化の間に放出される有毒物質による社会の汚染が防止される。本発明によって提供される技術は、製品を再使用することによってゴミおよび汚染を低減することを目指す廃棄物ゼロの方針を、支持する。この技術は、材料を保存し、エネルギを節約し、燃料および他の有用な製品の源を生み出す、代替の廃棄物管理を可能にする。本発明の方法によって得られる製品は、本質的に有害物質を含まない。この処理は、廃材の96%を超えるリサイクルを可能にし、好ましいことに、危険な残存物を生じさせない。
【0067】
少なくとも上述の工程a)およびb)を含む本発明の方法は、たとえば病院廃棄物を含む、固形廃棄物の完全な消毒および殺菌に、特に好適であるが、これらに限定されない。このような方法の1つの利点は、消毒および殺菌の間、廃棄物または環境に対して有害な物質の産生が防止されることである。病気あるいは伝染病を引き起こし得る感染性の病原菌は、この方法を生き延びることができない。前記方法の他の利点は、処理した材料の生物的分解および腐敗が防止され、これによって、有機物の分解の一般的な不快臭が防止されることである。よって、本発明に従う方法は、有機廃棄物の非破壊処理にも特に好適である。本発明に従う方法は、さらに、有害物質の沈降に使用することが可能である。本発明に従う方法は、汚染要素の効率的な沈降を可能にし、したがって、本発明に従う方法で得ることができる燃料などの1つ以上の製品に有害物質を取り込むことによって、有害物質を除去することを可能にする。このような方法では、後に廃棄物となるフィルタの使用が防止される。
【0068】
1つの側面において、本発明に従う方法は、工程b)および/または工程c)および/または工程d)および/または工程e)の間に、イオウ、塩素、リン、ならびに、ヒ素、カドミウム、コバルト、銅、水銀、マンガン、ニッケル、鉛、錫、およびタリウムなどの重金属を、沈殿させることをさらに含む。それらの物質を沈殿させることは、好ましくは、反応混合物に添加されるアルカリ試薬を使用して行われる。
【0069】
本発明のこの態様において、工程b)の間に、イオウ、塩素、リンおよび重金属の沈殿が行われる場合、アルカリ試薬は、好ましくはこの工程の間に、たとえば添加によって、またはアルカリ試薬を含有する水溶液で工程b)の水性環境を置換することによって添加され、石炭汚染物質を不溶性の塩および結晶に変換する。アルカリ試薬を含有する水溶液の温度は、好ましくは20℃〜60℃の範囲である。このことは、全ての半揮発性および揮発性物質を沈殿させることができる。イオウ、塩素および/またはリンは、水溶液に由来するアルカリと混合され、不溶性の塩と、化学的に安定な結晶とを形成する。これらの不溶性塩および結晶は、沈殿し、水溶液中から除去される。それどころか、廃棄物処理の焼却または熱分解工程において、これらの分子は、高温で環境中に放出され、または不完全にフィルタで除去されることが多い。フィルタは、その後固形廃棄物となる。
【0070】
本発明の方法の工程b)からのガス状材料は、好ましくは工程c)の材料となる。前記材料は、本来廃棄物に含まれる重金属を含んでいてもよい。この場合、工程c)において行われた物理化学工程は、アスファルト中に重金属の取り込みをもたらす。リン酸化化合物、硫化化合物または塩素化合物が、工程c)の間に依然として存在する場合、イオウ、塩素および/またはリンの追加の沈殿は、好ましくはアルカリ試薬を加えること、たとえば添加することによって、またはアルカリ試薬を含有する水溶液で水性環境を置換することによって、本発明の方法の工程c)の間に行われ、アスファルトの汚染物質を環境的に不活性な結晶分子に変換する。200℃〜300℃の温度範囲で、廃材がアルカリ溶液に加えられ、温度は、好ましくは20℃〜50℃の範囲である。このことは、全ての半揮発性および揮発性物質を沈殿させることができる。イオウ、塩素および/またはリンは、溶液のアルカリと混合され、それによって不溶性塩および化学的に安定な結晶を形成する。これらの不溶性塩および結晶は、沈殿し、水溶液中から除かれる。無機物質と溶液中のアルカリ試薬との間の化学反応は、化学的親和性によって自動的に開始し、エネルギのさらなる追加は必要ない。
【0071】
本発明に従う方法の工程c)からのガス状材料は、好ましくは工程d)の材料である。リン酸化化合物、硫化化合物または塩素化合物が工程d)の間に依然として存在する場合、イオウ、塩素および/またはリンの追加の沈殿は、好ましくはアルカリ試薬を加えること、たとえば添加することによって、またはアルカリ試薬を含有する水溶液で水性環境を置換することによって、工程d)の間に行われ、液化炭化水素の汚染物質を環境的に不活性な結晶分子に変換する。無機物質と、溶液中のアルカリ試薬との間の化学反応は、化学的親和性によって自動的に開始し、エネルギのさらなる追加は必要ない。工程d)の間に処理された材料は、150℃〜250℃の範囲の温度で、好ましくは20℃〜50℃の範囲でアルカリ溶液に添加される。
【0072】
本発明に従う方法の工程d)からの残存ガス状材料は、好ましくは工程e)の材料である。リン酸化化合物、硫化化合物または塩素化合物が依然として存在する場合、イオウ、塩素および/またはリンの他の追加の沈殿は、好ましくはアルカリ試薬を加えること、たとえば添加することによって、またはアルカリ試薬を含有する水溶液で水性環境を置換することによって、工程e)を行い、汚染物質を環境的に不活性な結晶分子に変換する。本発明の方法の工程e)の間に処理された材料は、90℃〜150℃の温度で、好ましくは20℃〜50℃の酸性環境に加えられ、イオウ、塩素、リン、窒素、ホウ素および臭素ラジカルは、溶液に由来するアルカリと反応し、不溶で化学的に安定した塩および結晶を形成する。
【0073】
重金属は、廃材中に存在する場合、本発明の方法の工程c)の間に主にアスファルト中に沈殿する。アスファルト中に沈殿しない重金属は、以下の工程の間にアルカリ試薬を含有する水溶液中に沈殿する。好ましくは、重金属と、アルカリ試薬との間に全く化学反応が起こらない。これらの重金属は、たとえば電気分解によってアルカリ試薬を有する溶液から分離することができる。
【0074】
アルカリ試薬は、これらの物質の沈殿をもたらす無機物質と化学的に反応するそれらの能力によって選択される。無機物質の沈殿のために使用することができる試薬の好ましい例としては、水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化ナトリウム(NaOH)および水酸化カリウム(KOH)を含むが、これらに限定されない。水酸化カルシウムは、好ましくはイオウの沈殿のために使用される。水酸化カルシウムおよび/または水酸化ナトリウムは、好ましくは塩化物の沈殿のために使用される。水酸化カルシウム、水酸化アンモニウムおよび/または水酸化カリウムは、好ましくはリンの沈殿のために使用される。アルカリ試薬は、好ましくは15%〜27%の濃度で使用される。他の有害物質が固形有機廃材中で検出される場合、他の試薬を使用することができる。必要な試薬は、全ての有害物質について決定することができる。
【0075】
ホウ素は、2050℃の融解温度と、2550℃の沸騰温度とを有する。これらの温度は、RMOプロセスの間に到達されるものよりもはるかに高い。したがって、ホウ素は、石炭と共に排出される。溶解塩の形態で飲料水中にホウ素が存在することは危険であるが、一般的に環境に有害ではない。
【0076】
無機物質の沈殿を含む本発明に従う方法は、化合物および汚染物質の失活、ならびに連続した方法工程における、活性成分または環境的に攻撃的な成分を中和することができる。最終製品は、室温で配達され、それによって焼却の間に通常発生する新規の毒性化合物の生成が防がれる。本発明に従う方法の、工程b)および/または工程c)および/または工程d)および/または工程e)の間における、イオウ、塩素、リン、臭素および/またはホウ素ならびに重金属の沈殿は、病理学的な医療廃棄物および化学的に汚染された物質のような化学的および/または生物学的に汚染された材料、または化学産業からの廃棄物のような物質の処理を可能にする。さらに、それは、病理学的な医療廃棄物のような化学的および/または生物学的に汚染された物質、ならびに化学産業、植物検疫および動物衛生物質からの廃棄物のような化学的に汚染された材料または物質、ならびにストックホルム協定に含まれる難分解性有機物質の処理を可能にする。残留性有機汚染物質(POP)は、特定の毒性を含む化学製品であり、劣化耐性がある。このことは、人間の健康および環境に特に有害である。本発明に従う方法は、たとえばポリ塩化ビフェニル(PCB)、アルドリン(C12Cl)、クロルデン(C10Cl)、ディルドリン(C12ClO)、ペンタブロモジフェニルエーテル(C12BrO)、クロルデコン(C10CI10O)、ヘキサブロモジフェニル(C12Br)およびヘキサクロロシクロヘキサン(CCl)を含む廃材に適用することができる。さらに、本発明に従う方法は、使われなくなったタイヤの除去に使用することができ、それによってイオウ、微石炭、鋼、アスファルト、ならびに液体および気体の炭化水素を再生し、リサイクルテトラパック容器に使用することができ、それによって金属箔、好ましくはアルミニウム箔、アスファルト、ならびに液体および気体の炭化水素を再生する。石炭および鋼は、たとえば機械的または磁気的手段によって分離することができる。石炭およびアルミニウムは、たとえば機械的手段によって分離することができる。本発明に従う方法は、たとえば、酸化亜鉛に関連する神経まひ効果を有する毒性ガスを放出することなく、亜鉛めっき金属に脱亜鉛めっきをさらに適用することができる。前記有毒ガスは、亜鉛めっき金属の焼却の間に広まり、それらは、制御し、排除することが困難である。本発明の方法の工程bにおける脱亜鉛めっきの間に得られる金属化合物、たとえば酸化亜鉛は、工程cにおいてアスファルトに組み込むことができる。
【0077】
また、本発明に従う方法を用いて得られる製品が提供される。
【0078】
一実施形態では、本発明は、本発明に従う方法の工程b)から得られる製品を提供し、該製品は、石炭である。石炭は、ここでは、様々な有機的、および必要に応じていくつかの無機化合物を有する非晶質炭素からなる、ダークブラウンから黒のグラファイト状材料として定義される。石炭は、燃料として使用することができる。通常、本発明の方法で得られる石炭は、40%〜90%の固定炭素、好ましくは50%〜92%の固定炭素、より好ましくは60%〜88%の固定炭素を含む。本発明の方法を用いて得られる石炭は、典型的には2%〜40%の揮発性物質、好ましくは3%〜35%の揮発性物質、より好ましくは6%〜30%の揮発性物質を含む。前記石炭は、通常、1%〜30%の灰、好ましくは3〜25%の灰、より好ましくは6%〜20%の灰を含む。
【0079】
好適な実施形態において、本発明は、本発明に従う方法の工程c)から得られる製品を提供し、該製品は、アスファルトである。アスファルトは、ここでは、ダークブラウンから黒の高い粘度の炭化水素として定義される。アスファルトは、一般的に原油の分留した後に残る残留物、またはたとえばトリニダードのアスファルト湖のような天然源から得られる残留物から製造される。アスファルトの主な成分は、瀝青である。アスファルトは、道路舗装、屋根、塗装、床タイル、ならびに防水用および産業用製品のために使用される。
【0080】
アスファルトセメントは、原油の蒸留工程からの残渣である。また、それは、瀝青と称される。瀝青は、イオウ、窒素および酸素を含む、多数の芳香族系、パラフィン系炭化水素および多環式化合物の混合物であり、硫化炭素にほとんど完全に可溶である。炭化水素は、2つのグループに分けることができる。2つのグループは、非環式または開鎖、および環状または連鎖である。そして、飽和炭化水素またはパラフィン、エチレン系炭化水素またはオレフィン、およびアセチレン炭化水素またはアルキン内に、単結合、二重結合または三重結合のみを含むかどうかに応じて、開鎖炭化水素は、細分化される。そして、環状炭化水素は、ベンゼン環を欠いているか、有しているかどうかに応じて、脂環式またはベンゼンに細分化される。そして、両グループは、単環式および多環式に細分化することができる。多環ベンゼン基内で、2または3縮合ベンゼン環が存在でき、それぞれナフタレンおよびアントラセンと称される。
【0081】
アスファルトにおける炭化水素は、コロイド溶液を形成し、最も重い炭化水素(アスファルテン)の分子は、それらの間の転移どころか分離することなく、軽質炭化水素(樹脂)の分子によって囲まれている。石油は、残りの空間を占める。アスファルテンが一定濃度で炭化水素内に存在する場合、アスファルテン分子は、ミセルの形成を可能にする官能基およびラジカル基を有する。最も代表的な官能基は、カルボニル基(−CO−)、カルボン酸基(−COO−)、フェノール基(Ar−OH)および水酸基(−OH)であり、ミセルの内側にある。アスファルテンにおいて、石油に含まれるすべての金属が存在し、たとえば、酸素、イオウおよび窒素を共に有するNi、V、Fe、Co、Mnである。アスファルテンの80%〜85%が炭素原子である。C:Hの比率は、0.8〜0.87であることが見出された。ヘテロ原子の含有量は、5%と11%〜14%との間になることがある。
【0082】
アスファルテンは、樹脂の縮合生成物である。アスファルテンは、アスファルトの構造および硬さ特性に関係している。樹脂は、アスファルテンの形成のための原料であり、アスファルテン分子を可塑化する。樹脂は、原油およびアスファルトに由来する炭化水素中で非常に高い溶解性を有し、安定なアスファルテン−樹脂−アスファルテン系の形成に有利である。樹脂反応の結果として、脱水素および凝縮工程は、水、水素、硫酸およびアンモニア分子の除去と、その後のアスファルテンの形成とを伴って起こる。樹脂は、アスファルテンよりも多くの分岐を有するので、それらは、より密でなく、より無秩序である。極性基(水酸基、カルボキシル基)と、少数の官能基の含有量は、樹脂の乳化力を保証する。アスファルテンの濃度および温度に応じて、アスファルトにおける樹脂は、分散相内および系の分散媒体内の両者において見られる。樹脂は、アスファルトの凝集特性を提供する。
【0083】
石油は、アスファルトの分散媒体である。その溶解能力は、その化学成分、多くの場合パラフィン−ナフタレン炭化水素と、芳香族炭化水素との比率、およびその分子量によって決定される。一般的に、パラフィン−ナフタレン炭化水素、つまりパラフィン側鎖の芳香族およびナフタレン炭化水素は、所定の温度下で石油中に分散相を形成する。石油は、アスファルトに適切な硬さをもたらし、それらを加工可能にする。
【0084】
舗装に用いられるアスファルトは、主に原油の精製からもたらされるものである。したがって、得られるアスファルトの品質は、以降の精製工程に影響を受ける。化学変換が存在しないように蒸留プロセスが制御される場合、いわゆる直接蒸留が発生し、得られる製品は、アスファルト残油または直接蒸留アスファルトである。
【0085】
酸化、ブローン、または吹込アスファルトは、高温高圧でアスファルトに酸素を通過させることによって得られる。舗装におけるその使用は、制限される。なぜなら、それは、直接蒸留によって得られるアスファルトよりも、硬く、もろく、低延性および短い耐久性を有するからである。
【0086】
道路舗装アスファルトセメントについて、希釈されたアスファルトまたはアスファルト乳濁液を使用することができる。アスファルトセメントは、舗装に直接使用するために特に調製されたアスファルトである。天然アスファルトから得られたアスファルトは、頭文字NACで示され、石油から得られるアスファルトは、頭字語ACで示される。それらは、常温で半固体であり、舗装に用いるための適切な硬さに到達するために加熱する必要がある。それらは、可撓性、耐久性、集塊性および不浸透性を有し、大部分の酸、塩およびアルカリに高い耐性を有する。石油に由来するアスファルトセメントは、浸透分析によって決定される硬さの程度に応じて分類される。以下の種類が特定され、40〜50、50〜60、60〜70、70〜85、85〜100、100〜120、120〜150、150〜200である。分類の数字表示が低くなるほど、天然アスファルトセメントは「硬く」なる。
【0087】
希釈されたアスファルトは、蒸留液が全油および軽油を抽出することなく懸濁された柔らかいアスファルト廃棄物から、またはナフサ、灯油、軽油または潤滑油のような、石油蒸留に由来する異なる溶媒を用いて高温溶融アスファルトセメントから得ることができる。それは、石油アスファルトセメントの加熱を除く必要がある、または舗装に適度な加熱を用いる必要がある場合に用いられる。希釈されたアスファルトの塗布後、全ての溶媒の蒸発は、残渣としてアスファルトセメントを残し、それから必要なセメント特性が現れる。この蒸発は、希釈されたアスファルトの硬化と称される。希釈されたアスファルトの分類は、その硬化の時間に応じて行われる。溶媒がナフサまたはガソリン類であれば、高速で硬化するアスファルトが得られる。溶媒が灯油である場合、中速で硬化するアスファルトが得られる。溶媒が比較的低い揮発性の灯油である場合、低速で硬化するアスファルトが得られる。高速硬化、中速硬化および低速硬化アスファルトは、それぞれRC(高速硬化)、MC(中速硬化)、SC(低速硬化)と示され、センチストークで測定される動粘度の程度を示す数値が続く。
【0088】
アスファルト乳濁液は、水(直接)相中のアスファルト相の、またはアスファルト(逆)相中の分散された水相のコロイド分散液である。アスファルト乳濁液は、乳化剤の存在下で激しく撹拌された媒質において、水と加熱されたアスファルトとを組み合わせることによって得られ、分散を促進させ、瀝青の小球の周囲に保護膜をもたらし、懸濁液中でそれらを維持することによってアスファルトに安定性を与える。乳濁液の製造に用いられる乳化剤または表面活性剤製品は、アニオン性およびカチオン性の2種類に分けられる。希薄されたアスファルトと、最も柔らかいアスファルトセメントとは、最も頻繁に乳濁液の製造に用いられる。しかし、より現代的な手順は、硬いアスファルトセメントも考慮する。カチオン性乳濁液は、乳化剤と凝集体との間の化学反応によって、および水の蒸発によって破壊されてもよい。水瀝青材料分離のこの現象は、乳化破壊と称される。アニオン性元素では、乳化破壊は、主に水の蒸発によって生じる。破壊速度に応じて、アスファルト乳濁液は、高速破壊乳濁液(RR)、中速破壊乳濁液(MR)および低速破壊乳濁液(SR)に分類される。
【0089】
アスファルトコンクリート面は、瀝青材料と、不活性な凝集体との混合物からなり、混合温度に応じて、高温混合アスファルトコンクリートおよび低温混合アスファルトコンクリートに分類される。舗装道路の90%以上は、たわみ性舗装で実行されるので、舗装の前記種類に使用される技術は、広範囲にわたって広がり、開発されている。瀝青材料は、たわみ性舗装の費用の大部分に相当する。さらに、瀝青材料が主に石油に由来するという事実は、それらの価格を原油価格およびドル価格に依存させる。ここ数年で、これらは、予測不可能な変動を有した。本発明に従う方法によって得られるアスファルトは、舗装道路の建設のための舗装の形成において、環境的に持続可能な低コストの代替手段を構成する。本発明に従う方法にから得られる材料の適用性は、その化学的および物理的特性によって決定された。
【0090】
原油から得られるアスファルトセメントために定められる工業用品質を検証するための同一の分析方法は、本発明に従う方法を用いて得られるアスファルトの組成、特性および性能レベルを決定するために好んで用いられる。特性は、米国全州道路交通運輸行政官協会(AASHTO)の標準試験を用いて決定された。AASHTOの標準試験は、当業者に周知であり、全てのAASHTO基準および試験方法は、AASHTOの「輸送材料、ならびにサンプリング方法および試験についての標準仕様書」(2010年発行、第30版)および「AASHTOの暫定基準」に見つけることができる。
【0091】
本発明に従う方法によって得られるアスファルトは、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは、少なくとも70%の有機材料および/またはバイオマスを含む廃材から形成される。それは、必要に応じて無機不純物を含んでいてもよい。それは、石油から得られる従来の瀝青製品に取って代わる可能性を有する。本発明に従うアスファルトを得るために用いることができる材料は、有機固形廃棄物、石油産業からの廃棄物のような産業廃棄物、殻およびもみ殻、おがくずおよびかんなくずなどの木材産業からの廃棄物、農業および木材生産からの廃棄物、ならびにバイオマスを含むが、これらに限定されない。
【0092】
本発明に従う方法によって得られるアスファルトは、石油アスファルトセメントに相当する物理的および機械的挙動と、石油アスファルトセメントと同等の化学的構成とを有する。物理的および機械的特性は、以下に詳述される。
【0093】
本発明に従う方法によって得られるアスファルトは、通常95%〜100%、好ましくは98%〜100%、より好ましくは99.4%〜99.8%、たとえば、有機溶媒中の瀝青材料の溶解度のためのAASHTO T44標準試験によって測定されるような約99.6%の四塩化炭素の溶解度を有する。それは、0.1%〜2%、より好ましくは0.2%〜1.0%、最も好ましくは0.3%〜0.5%、たとえば、瀝青材料における無機物質または灰を測定するためのAASHTO T111標準試験によって測定されるような約0.4%の濃度の灰を有する。本発明に従う方法によって得られるアスファルトは、好ましくはアスファルト材料のアスファルテン不安定性を測定するためのAASHTO T102標準試験によって測定されるような、第1および第2のオリエンシススポットテストの陰性の結果を有する。
【0094】
本発明に従う方法によって得られるアスファルトは、半固体瀝青材料の比重を判定するためのAASHTO T 228標準検査による判定で、通常、0.98〜1.1グラム/cmの範囲、より好ましくは0.99〜1.05グラム/cmの範囲、さらにより好ましくは1.00〜1.03グラム/cmの範囲、最も好ましくはおよそ1.017グラム/cmの比重を有する。
【0095】
本発明に従う方法によって得られるアスファルトは、通常、−1.15〜−1.25の範囲、好ましくは−1.17〜−1.23の範囲、より好ましくはおよそ−1.21の針入度指数(penetration index)を有する。
【0096】
本発明に従う方法によって得られるアスファルトの等級は、好ましくは50〜60針入度グレード(penetration grade)アスファルトセメントに対応する。
【0097】
本発明に従う方法によって得られるアスファルトは、アスファルト材料の延性のAASHTO T 228標準検査による判定で、好ましくは108〜120cmの範囲、より好ましくは110〜115cmの範囲、より好ましくはおよそ112cmの延性を有する。
【0098】
本発明に従う方法によって得られるアスファルトは、エチレングリコールにおけるアスファルト(瀝青)の軟化点のAASHTO T 53標準検査による判定で、好ましくは47〜53°の範囲、より好ましくは48.5〜51°の範囲、もっとも好ましくはおよそ49.2°の軟化点を有する。
【0099】
好ましくは、本発明に従う方法によって得られるアスファルトの温度感受性は、AASHTO T 72標準セイボルトフロール粘度検査による判定で、表1に示された値に相当する。
【0100】
【表1】

【0101】
前述の検査において判定された、本発明に従う方法によって得られるアスファルトのパラメータは、たわみ性舗装アスファルトコンクリートにおけるアスファルトの使用に向けて設定されている要求を満たす。舗装における使用に適したアスファルトコンクリートを得るために、前記アスファルトと石質凝集体とを混合するための温度は、155〜165℃の範囲にあり、締固め値は、142〜145℃の範囲にある。
【0102】
本発明に従う方法によって得られるアスファルトは、クリーブランド開放式試験器による引火および燃焼点のAASHTO T 48標準検査による判定で、好ましくは230〜250℃の範囲、より好ましくは235〜245℃の範囲、最も好ましくは240℃の引火点を有する。
【0103】
本発明に従う方法によって得られるアスファルトは、アスファルト材料に対する熱および空気の影響のAASHTO T 179標準検査による判定(薄膜加熱試験)で、好ましくは0.5〜1.0%の範囲、より好ましくは0.55〜0.75%の範囲、最も好ましくはおよそ0.64%の加熱による損失を有する。
【0104】
本発明に従う方法によって得られるアスファルトは、瀝青材料の針入度のAASHTO T 49標準検査による判定で、好ましくは45〜55%の範囲、より好ましくは48〜53%の範囲、最も好ましくはおよそ51%の残留針入度(retained penetration)を有する。
【0105】
本発明に従う方法によって得られるアスファルトは、アスファルト材料の延性のAASHTO T 51標準検査による判定で、好ましくは80〜95cmの範囲、より好ましくは85〜90cmの範囲、最も好ましくはおよそ88cmの薄層廃棄物分析延性(thin layer assay waste ductility)を有する。
【0106】
本発明に従う方法において用いられる固形廃棄物が、本質的に、完全に、有機材料からなる場合、1%以下の無機物質含有量を有するアスファルトが得られる。本発明に従うそのようなアスファルトは、0.5%以下、より好ましくは0.1%以下のイオウ含有量を有する。本発明に従う方法において用いられる有機固形廃棄物が、無機物質を含む場合、得られるアスファルトは、該無機物質を含んでもよい。しかしながら、通常、前記無機物質の濃度は、前記無機物質の最大許容含有量より低い。
【0107】
好適な実施形態において、本発明は、本発明に従う方法の工程d)から得ることができる製品を提供し、前記製品は、液体炭化水素である。液体炭化水素は、ここでは、液状の有機化合物として定義される。液体炭化水素の好ましい例は、メチルアルコール、セタンを含むディーゼル、オクタンを含むガソリン、ベンゼン、ケロシン、および他の様々な燃料を含むが、これらに限定されるものではない。本発明に従う方法によって得られる液体炭化水素は、本質的に、イオウを含まない。
【0108】
他の好適な実施形態において、本発明は、本発明に従う方法の工程e)から得ることができる製品を提供し、該製品は、有機酸である。有機酸は、ここでは、有機ラジカルを含む分子から構成される酸として定義される。有機酸の好ましい例は、酢酸、ギ酸、クエン酸、酪酸、マレイン酸、および安息香酸を含むが、これらに限定されるものではない。たとえば、固形廃棄物材料に依存して、本発明の方法の工程e)において得られる有機酸は、5〜20%のギ酸、75%〜95%の酢酸、0〜11%のクエン酸、および0〜4%の他の有機酸を含んでもよい。
【0109】
他の好適な実施形態において、本発明は、本発明に従う方法の工程e)から得ることができる製品を提供し、該製品は、メタンガスまたは水素である。
【0110】
本発明に従う方法を行うために構成された装置も提供される。当該装置は、ここでは、有機物反応器とも呼ばれ、分子変換を介して、廃材を燃料に転換し、エネルギ的に、自給可能であり得る。本発明に従う装置の例が、図1および図2に示されている。
【0111】
本発明に従う方法を行うために構成された装置は、廃棄物投入口(1)であって、廃材を、少なくとも1つの反応・分解槽(2)に供給するための廃棄物投入口を含み、前記反応・分解槽は、マクロ波照射を適用する熱源によって熱せられ、本発明に従う方法の工程b)を実施するように構成され、前記少なくとも1つの反応・分解槽は、試薬および/またはアルカリ試薬投入口、石炭排出口、およびガス状態残存材料排出口を含み、排出口は、本発明に従う方法の工程c)を実施するための少なくとも1つの反応・選択槽(3)に動作可能に連結され、前記少なくとも1つの反応・選択槽(3)は、試薬および/またはアルカリ試薬投入口、アスファルト排出口(3a)、およびガス状態残存材料排出口を含み、排出口は、本発明に従う方法の工程d)を実施するための少なくとも1つの反応・選択槽(4)に動作可能に連結され、前記少なくとも1つの反応・選択槽(4)は、試薬および/またはアルカリ試薬投入口、液体炭化水素排出口(4a)、およびガス状態残存材料排出口を含み、排出口は、本発明に従う方法の工程e)を実施するための少なくとも1つの反応・選択槽(5)に動作可能に連結され、前記少なくとも1つの反応・選択槽(5)は、試薬および/またはアルカリ試薬投入口、有機酸排出口(5a)、およびガス状態残存材料排出口を含み、排出口は、水蒸気およびCOを放出する排出口を含む煙除去装置(8)に動作可能に連結され、冷却装置および回収装置(10)、ならびに精留工程を実施するための反応槽(9)に動作可能に連結され、前記少なくとも1つの反応・選択槽(5)は、さらに、安定した圧力を維持し、炎の戻りを防止するための防爆安全弁(6)に動作可能に接続され、防爆安全弁(6)は、気体貯蔵槽(7)に動作可能に接続される。
【0112】
本発明は、以下の例において、さらに説明される。これらの例は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を明確にするためだけのものである。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明に従う方法を行うために構成された装置の上面図である。1)廃棄物投入口;2)本発明に従う方法の工程b)を実施するための反応・分解槽;3)本発明に従う方法の工程c)を実施するための反応・選択槽;3a)アスファルト排出口;4)本発明に従う方法の工程d)を実施するための反応・選択槽;4a)液体炭化水素排出口;5)本発明に従う方法の工程e)を実施するための反応・選択槽;5a)有機酸排出口;6)安定した圧力を維持し、炎の戻りを防止するための防爆安全弁;7)気体貯蔵槽;8)水蒸気およびCOを放出することが可能な煙除去装置;9)精留工程を実施するための反応槽;10)冷却装置および回収装置。
【図2】本発明に従う方法を行うために構成された装置の側面図である。各部の参照符号は、図1に従う。
【実施例】
【0114】
実施例1 都市固形廃棄物残留物(MSW)のRMOプロセスによる処理
RMOプロセスの本実施例が、MSWに由来する有機物に適用された。有機物200kgが、分離され、RMO装置において処理された。MSWの組成が、表1に示される。表1の第1欄は、RMOプロセスの実行中に処理されて有用な製品になる、廃棄物の一部を示す。表2の第2欄は、処理されて有用な製品にはならないが、RMOプロセスの間に殺菌される、廃棄物の一部を示す。
【0115】
1.都市固形廃棄物残留物
固形廃棄物(MSW)は、自家、店舗、オフィス、およびサービスから発生する廃棄物の他に、有害であると分類されず、その性質または組成によって、前の場所または前の活動において生成されたものに匹敵しうる、すべてのものから得られる。
【0116】
1.1組成
MSWは、異なる材料の様々な割合を有する。以下は、一般的な都市固形廃棄物の代表的なサンプルである。それは、分離の前に、有機物および無機物に分類されている。有機材料だけが、本実施例において処理された。
【0117】
【表1】

【0118】
家庭から生成された他の廃棄物は、それらの有毒性により、危険廃棄物と見なされる。それらの廃棄物は、本実施例の一部ではないが、RMOプロセスによって別個に処理できる。それらは、安全上の理由で、特別な処理を必要とするので、別個に処理される:
・鉱油。車両からの生成物。
・車両バッテリ。
・電子装置からの廃棄物。携帯電話、コンピュータなど。
・家庭電化製品。CFCを含むことがあり、オゾン層に有害である。
・薬品。
・電池。
・塗料、接着剤、溶剤、ワックスなどの形態の化学薬品。
・体温計。
・蛍光灯および電球。
【0119】
2 本処理に提供される材料の特性および組成
2.1 紙
原材料として、樹木の皮を剥ぎ、スライスし、蒸解の処理において、ペーストが得られる。これは、洗浄および漂白され、その後、紙またはボール紙の製造に進む。それは、たとえば新聞紙、包装、および包装などとして使用される。それは、たとえば新聞紙、包装、包装などに用いられる。1人当たり、1年当たりの消費量が大きいので、廃棄の流れにおけるその割合は大きい。
紙は、MSWの組成全体の11%を形成する。
【0120】
2.2.プラスチック
これらの材料は、過去半世紀の間に我々の文明に組み込まれてきた。その汎用性、加工の容易さ、低コスト、環境因子に対する耐性、および透明性などにより、実質的にすべての工業において広く用いられている。
【0121】
特定の性質を有する材料を得るために、プラスチックは、添加物およびフィラーと共に、1つ以上のポリマを組み合わせることによって得られる。
【0122】
ポリマは、構造単位がモノマである、合成高分子化合物である。多数の重合反応が、高分子化合物を形成する。
【0123】
それらは、有機物で構成され、それらの成分は、本質的に、炭素および水素からなり、酸素、窒素、塩素、イオウ、ケイ素、およびリンなどの他の要素の割合は小さい。
【0124】
それらは、再生可能であろうとなかろうと、天然資源から得られるが、すべての市販のポリマが石油に由来するものであることに注意すべきである。
【0125】
ポリマは、合成反応によって石油工業から得られる天然材料であり、そのことは、ポリマを、非常に抵抗的な材料にし、実質的に変形不可能にする。
【0126】
最後の特徴は、それらを、廃棄後、長い間にわたって埋め立て地にそのまま留まらせる。
【0127】
ポリマの3つの主要な群が存在する:
・熱可塑性樹脂、
・熱硬化性樹脂、
・エラストマ。
【0128】
熱可塑性ポリマは、加熱されると、軟化して、流動を引き起こし、温度が再び下がると、固まって硬くなる。この物性は、弱いファンデルワールス力だけによって連結された巨大分子鎖の無秩序化によってもたらされる。熱可塑性ポリマは、包装工場において最適に用いられる。
【0129】
熱可塑性ポリマのうちでも以下のものである:
・ポリオレフィン。さらに以下のように分類される:
1.LDPE(低密度ポリエチレン)
2.HDPE(高密度ポリエチレン)
3.PP(ポリプロピレン)
・PVC(ポリビニルクロライド)
・PS(ポリスチレン)
・PET(ポリエチレンテレフタレート)
【0130】
熱硬化性ポリマは、加熱しても、軟化または流動体とはならないが、温度が上昇し続けると分解する。したがって、熱硬化性ポリマは、繰り返して成形することができない。熱硬化性ポリマは、強力な共有結合によって互いに結合された高分子鎖からなる。
【0131】
熱硬化性ポリマのうちでも以下のものである:
・フェノール樹脂
・アミノ樹脂
・ポリエステル樹脂
・エポキシ樹脂
・ポリウレタン
【0132】
最後に、エラストマポリマは、強力な共有結合によって結合される鎖を有する。該ポリマの構造によって、それらは、外力によって変形しやすく、外力が除去されると、本来の大きさおよび/または形状を速やかに取り戻しやすいものにされる。
【0133】
例としては以下がある:
・NR(天然ゴム)
・SRR (合成ゴムブタジエンスチレン)
・EPM−EPDM(ゴム飽和スチレンプロピレン)
・CR(クロロプレンゴム)
プラスチックは、全組成の8%のMSWを構成する。
【0134】
2.3 テトラパック容器
テトラパック容器のマーケッティングは1963年に始まった。多素材容器は、ボール紙シート、アルミニウムシート、その他のプラスチックシートによって形成される。
【0135】
それらは、紙、ボール紙で作られて、商業的な意匠が刷り込まれる。次いで、アルミニウム箔が積層され、最後にはポリエチレンフィルムが積層される。このようにして得られたロール材は、包装用容器の製造に利用される。
【0136】
RMOプロセスは、このような材料を処理するための最適な方法である。プラスチックフィルムとボール紙とは放射線分解法によって完全に分離され、光子標的石炭、燃料ガス、アスファルト、酸および燃料に変換される。該プロセス内での両方の重量損失による酸化を受けないアルミニウム箔は除去される。
【0137】
2.4 残骸有機物
残骸有機物とは、調理済みまたは未調理の食品ごみ、庭から出るごみなどである。その化学組成はよく知られており、特に、油脂、炭水化物、タンパク質などである。
【0138】
有機物は、家庭用ごみの50%を占める。
2.5 布地、木材有機廃棄物
布地、木材および家具は、MSWを構成する最後の要素である。それらは、それ自体においては有害ではないが、その大きさゆえに問題を生じさせることがある。マットレス、家具などがそうである。これらの材料は本例の一部ではないが、RMOプロセスで完全に処理することが可能である。
2.6 その他の廃棄物
このグループは、異種組成物のものであり、多くの成分は、RMOプロセスによってそれぞれ別個に安全に処理することが可能であり、および/または他の方法で補完することが可能である。それらは本例の一部ではない。なぜなら、その中には有害廃棄物を構成するものも含まれている可能性があるので、特別な注意が必要であるからである。
【0139】
各国の各法律には、PCB、廃油、電池などは、その汚染性のために、それらを管理する特定の規則が含まれている。ポリ塩化トリフェニル、ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、熱流体または作動液として使用され、冷蔵庫に存在している。
【0140】
電池は、化学エネルギを電気エネルギに変換可能な電気化学デバイスである。それらは、水銀、カドミウム、亜鉛、鉛、ニッケル、リチウムなどの有害材料を含んでいる可能性がある。以下のいくつかのタイプがある:
・アルカリ電池
・炭素−亜鉛電池
・リチウムボタン電池
・水銀ボタンおよび円筒型電池
・カドミウム−ニッケル電池
・銀ボタン電池
・亜鉛ボタン電池
一本の酸化水銀電池で、200万ガロンの水を健康に害をもたらすレベルにまで汚染する。
【0141】
すべての電池が同じような汚染の可能性を有しているわけではない。いくつかのものは、酸化水銀、酸化銀、ニッケル−カドミウムとしてリサイクルされるが、アルカリ電池、亜鉛−鉛電池などはそうではない。これらは特別な保管をすべきである。
【0142】
蛍光灯および省エネ型電球は、水銀を含んでいるので、残余のMSWと一緒に除去してはいけない。
【0143】
異種の組成物である医薬品の処分は、他の廃棄物と共に混合されて未処理のまま別にしておく場合、環境に害を及ぼす。
【0144】
フェノール含有鉱油、塩素化化合物、PCBなどは、水中、土壌に放棄された場合や、大気に放出されるような不適切な処理がなされる場合には、汚染性が高いものである。
【0145】
塗料、溶剤、ニス、洗浄剤、現像液などは有害廃棄物であり、一旦回収して特定の処理を行うことが必要である。
【0146】
電子デバイスは、廃棄した後嵩高いという問題があり、寿命が長く、急速に広がっていく。
【0147】
最後に、無害廃棄物に一部に家庭用植物油(オリーブ油、ヒマワリ油、トウモロコシ油)がある。それらは揚げ物などに使用することによって劣化して、廃棄物となる。有害であるとはみなされないが、排水管に流すべきではない。なぜなら、これは水の上に膜を形成することになり、酸素による適切な排水浄化を妨げるからである。
【0148】
3. RMOプロセス
3.1 初期条件
フェーズb)を行うための反応槽は、空の状態でその内部の温度は383℃であり、フェーズc)を行う反応槽は191℃、フェーズd)を行う反応槽は98℃、フェーズe)を行う反応槽は10℃の内部温度とした。反応槽の圧力はすべて大気圧とした。
【0149】
有機物質の重量を表1に示す(第1欄)。この物質の全量は200kgであり、18.3%の水分を含んでいた。この有機材料は、反応器の底に導入され、該反応器は処理槽(内部壁)中にあり、該処理槽は、次いで、フェーズb)の外部容器内に設けられるRMO装置内に挿入される。反応槽の外部壁はバーナと接触させた。
【0150】
3.2 プロセスレポート
午前8時13分: RMO装置内に該材料を装填。内部の反応槽は、防爆油圧弁が存在する結果として耐圧力密封がなされている。
【0151】
光子放射の実行は、該材料の内部温度を測定する計測器を使用してモニタされる。ガス化は、1.015バールの圧力で開始され、該材料の周辺温度は207.5℃を示す。この温度は、当該プロセスの最初の1時間、赤外光子放射線をあてることによって、平均して10.4℃/分の速度で上昇させた。この増加は、当初はもっと急速であった(最初の12分間は、21℃/分)。当該システムの内部圧も、温度の上昇と共にゆっくりと増加した。
【0152】
午前8時15分:当該プロセスが、RMO装置のすべての反応槽において同時に進行した。
【0153】
1.034バールの内圧が記録された。最初の製品として、燃焼ガスのガス状混合物が生成され、その組成は、COが48%、水蒸気が23%、空気が29%であった。このガス状混合物は、最初の10分間において、メタンに乏しい1容量部のガスとメタンガスに富む3容積部のガスとの混合物でバーナへのフィードバックとして使用された。
【0154】
午前8時23分:プロセス開始後8分で、反応槽e)から放出された酸の沈殿が観察された。液体炭化水素およびアスファルトの放出はまだ開始されなかった。酸の放出速度は次第に増加した。生成されたガスの組成は、貯蔵、および/または、RMOプロセスを行うために燃料バーナに直接適用するに適切な水準に到達している。
【0155】
午前8時31分:プロセス開始後16分で、反応槽d)における液体炭化水素の第1の放出が観察された。一方、酸の放出は増加しながら維持された。アスファルトの放出はまだ開始しなかった。液体炭化水素の放出速度も次第に増加した。
【0156】
午前9時8分:プロセス開始後53分で、反応槽b)から液体アスファルトの放出が開始した。一方、酸および液体炭化水素の放出はピークに達し、ピークのまま維持された。
【0157】
このとき、有機出発材料は、835℃の一定温度であった。システム内部圧は1.077バールで、このプロセスにおける最大値に達した。このときからこの処理のためのエネルギの外部への適用は鈍化していった。なぜなら光子放射場が、有機物質全体に亘って形成されたからである。
【0158】
アスファルト生成の放出は依然として増加し、他の製品の放出は次第に低下した。
【0159】
午前10時30分:ガスの放出は最小にまで低下し、一方他の製品の放出は続いた。システム内部圧は、1.029バールであり、このプロセスにおける最低値を記録した。
【0160】
フェーズb)の反応槽の底部では、10〜15分間、1m/分の流量で水蒸気が導入され、一方バーナは停止させて、廃棄物の熱で、水素およびCOなどのガスを発生させた。
【0161】
このことはアスファルト、酸、有機材料の液体炭化水素の放出を加速させた。この有機材料はこのときまでに炭化され、温度は835℃から400℃に次第に低下していた。この放出は3つの沈降分離装置から得られた。放出ガスは、この時点で、水素H、ならびにCOおよび多量のメタンであると判断された。
【0162】
午前10時43分:プロセスは、400℃の温度が記録されたとき終了した。この時点で、水蒸気の注入を停止した。
【0163】
午前10時50分:石炭を含む槽を抜き出し、この槽を放出の前に4時間冷却した。
【0164】
10時55分:この時点でRMO装置は、新規の有機物質が装填される新たな槽を導入する新たなプロセスの開始のために利用される。
【0165】
4.RMOプロセスの物質収支

【0166】
実施例2

【0167】

【0168】
実施例3

【0169】

【0170】
RMOプロセス
綿実試料は、RMOプロセスに付した。得られた製品は石炭であった。

【0171】

【0172】
生成された石炭の分析結果の評価
・カルボスルファン 初期濃度のわずか1.27%(36mg/Kgに相当)が、RMOプロセス後に存在した。
【0173】
・カルボキシン 初期濃度のわずか0.82%(2mg/Kgに相当)が、RMOプロセス後に存在した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃材から、石炭、アスファルト、液体炭化水素、有機酸、メタンガスおよび/または水素を製造する方法であって、
a)廃材を準備し、
b)該廃材を、700nm〜1mmの波長を有する低周波マクロ波の照射に付し、温度205℃〜900℃、圧力1.0バール〜19.0バールにして、石炭を生成し、
c)随意に、工程b)からのガス状の残存材料に、DPP B102として特定される固体金属の存在下で物理化学的反応に付し、温度180℃〜500℃、圧力0.98バール〜5.5バールにして、アスファルトを生成し、
d)随意に、工程b)またはc)からのガス状の残存材料を、物理化学的反応および/または凝縮に付し、温度150℃〜750℃、圧力0.96バール〜200バールにして、液体炭化水素を生成し、
e)随意に、工程b)、c)またはd)からのガス状の残存材料を、DPP D102として特定される固体金属の存在下で物理化学的反応に付し、温度50℃〜150℃、圧力0.95バール〜1.5バールにして、有機酸を生成し、
f)随意に、工程b)、c)、d)またはe)からのガス状の残存材料を、吸収剤洗浄および室温での冷却に付し、メタンガスおよび水素を生成し、
前記廃材は、その乾燥重量に対して、9〜85%の炭素含有量、1〜15%の水素含有量、および0〜65%の酸素含有量の組成を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
廃材を処理する方法であって、
廃材を準備し、該廃材を、700nm〜1mmの波長を有する低周波マクロ波の照射に付し、温度205℃〜900℃、圧力1.0バール〜19.0バールにし、前記廃材は、その乾燥重量に対して、9〜85%の炭素含有量、1〜15%の水素含有量、および0〜65%の酸素含有量の組成を有することを特徴とする方法。
【請求項3】
前記照射は、セルロースまたはセルロース誘導体、炭素化合物、および/または水の存在下で行われ、および/または
工程c)は、炭化水素または炭化水素の混合物の存在下で行われ、および/または
工程d)は、炭化水素または炭化水素の混合物、および/または酸化剤の存在下で行われ、および/または
工程e)は、5%〜40%の有機酸溶液、および/または固体金属、および/または5%〜50%の濃度の硫酸鉄溶液の存在下で行われることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程b)において得られた石炭を、ガス状の残存材料から分離し、および/または
工程c)において得られたアスファルトを、ガス状の残存材料から分離し、および/または
工程d)において得られた液体炭化水素を、ガス状の残存材料から分離し、および/または
工程e)において得られた有機酸を、ガス状の残存材料から分離し、および/または
工程f)において得られたメタンガスおよび水素を、残存材料から分離することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
反応混合物に添加されるアルカリ試薬を用いて、工程b)および/または工程c)および/または工程d)および/または工程e)の間、イオウ、塩素、リン、臭素および/またはホウ素ならびに重金属などの無機物質の沈殿をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程e)と工程f)との間で、水の熱還元を行うことをさらに含むことを特徴とする、請求項1および3〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記廃材は、少なくとも50%の有機材料を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記廃材は、植物の葉および枝、果物の皮、油、穀草類および油糧種子の皮および殻、生ごみ、トウダイグサ、ナンヨウアブラギリおよび/またはサトウキビの絞りかす、タバコ、綿、おがくず、かんなくずなどの植物廃棄物、および/または林業からの全ての廃棄物、および/または農工業廃棄物からの全ての他の有機廃棄物、剪定廃棄物、雑草および/または全ての種類の野菜残部、骨などの動物由来の固形廃棄物、肥料、食肉産業からの固形廃棄物および/または動物由来の他の種類の廃棄物、プラスチック、紙、ゴム、タイヤ、天然および合成布、ラテックス、おむつおよび/または使い捨てタオルを含むこと特徴をする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記廃材は、イオウ、塩素、リン、臭素、ホウ素および/または重金属などの無機成分を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記廃材は、タイヤ、テトラパック容器および/または亜鉛めっき金属を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法によって得られ得る製品。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法の工程b)から得られ得る製品であって、石炭であることを特徴とする製品。
【請求項13】
請求項1および3〜10のいずれか1項に記載の方法の工程c)から得られ得る製品であって、アスファルトであることを特徴とする製品。
【請求項14】
アスファルトのイオウ含有量は0.5%以下であることを特徴とする、請求項13に記載の製品。
【請求項15】
アスファルトは、四塩化炭素における98%〜99.9%の溶解度および0.1%〜1.0%の灰含有量を有し、アスファルトは、オリエンシススポットテストに付したとき、陰性のテスト結果を示すことを特徴とする、請求項13または14に記載の製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−520297(P2013−520297A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553837(P2012−553837)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【国際出願番号】PCT/NL2011/050121
【国際公開番号】WO2011/102726
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(512215185)
【氏名又は名称原語表記】ENERPY B.V.
【住所又は居所原語表記】Karbindersstraat 12,Venlo The Netherlands
【出願人】(512215196)エネルピー エス.エー.シー.アイ. (1)
【氏名又は名称原語表記】ENERPY S.A.C.I.
【住所又は居所原語表記】Emeterio Miranda 808 Asuncion Paraguay
【Fターム(参考)】