説明

廃棄物処理装置および廃棄物処理方法

【課題】溶融炉内の燃焼温度を1500°C〜2000°Cに上げることができ、しかも、安全性が高くコンパクトな廃棄物処理装置を提供する。
【解決手段】廃棄物処理装置100は、水素酸素混合ガスを供給する水素酸素発生装置110と、水素酸素混合ガスを燃焼させることにより処理物322を処理するための一次炉130と、水素酸素混合ガスを燃焼させるための燃焼火口142と、水素酸素混合ガスに点火するための点火装置144とを備える。燃焼火口を構成するバーナ210は、中空のプレナム216を有する密閉構造の火口本体212を含む。火口本体212は、水素酸素混合ガスを射出させるためにプレナムに流通するように配列された複数のガス噴出口218を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染土壌、アスベストなどの廃棄物の処理装置および廃棄物の処理方法に関する。特に、本発明は、水を水素ガスと酸素ガスに分解し、水素酸素混合ガスを燃料として供給する水素酸素発生装置からのガスをバーナで完全燃焼させることによって廃棄物を効果的に処理する廃棄物処理装置および廃棄物処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の廃棄物処理方法は、炉本体内に燃料を供給する燃料供給装置と、炉本体内に酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給装置と、燃料の供給料と酸素含有ガスの供給料とを制御する制御装置を備えている。炉本体内において廃棄物を1200°C以上に加熱して燃焼させる。溶融体と、燃焼ガスに転化させる。溶融体は水槽内の液体によって冷却され、回収される。燃焼ガスは排気処理装置内で水冷により200°C以下まで冷却させている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の都市ゴミの焼却・溶融炉では、水素・酸素混合ガス発生装置に接続された一対の混合ガス噴出用火口を6本、水平方向に向けて焼却・溶融炉の中に配置している。水素・酸素混合ガス発生装置は、電解セルで発生した水素・酸素混合ガスからアルカリ分を除去するガス精製装置を備えている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、従来のアスベスト溶融炉では、プロパンガスと高圧酸素の混合ガスを溶融炉の中で約1500°Cに加熱して燃焼させている。図17及び図18を参照すると、この溶融炉の中に配置される燃焼火口900は、円筒状の火口本体910と、火口本体910の下面に配置される火口基体920とを備えている。火口本体910は、直径が98mmであり、厚さが30mmであるように形成される。火口基体920は、直径が36mmであり、厚さが24mmであるように形成される。空気取入孔912が、火口本体910の外周円筒面910bに配置される。空気取入孔912は、直径が3mmであり、火口本体910の外周円筒面910bの円周方向に、等しい角度間隔で16個設けられる。ガス噴出口902が、火口本体910の上面910cに配置される。ガス噴出口902は、直径が18mmであり、火口本体910の上面910cに、等しい角度間隔で8個設けられる。防熱網904が、それぞれのガス噴出口902の上面に配置される。
【0005】
【特許文献1】特開2002−195520号公報(第4〜5頁、図1)
【特許文献2】実用新案登録第3039292号公報(第5〜7頁、図1)
【特許文献3】実用新案登録第3045095号公報(第5〜7頁、図1)
【特許文献4】実用新案登録第3068293号公報(第5〜7頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の廃棄物処理用の炉やアスベスト溶融炉では、プロパンガスと高圧酸素の混合ガスを用いているので燃焼温度を1200°C〜1500°C程度までしか上昇させることができず、また、重油と高圧酸素を用いた場合は、燃焼温度を1400°C程度までしか上昇させられなかった。これに対して、PCB土壌を処理するには燃焼温度を1800°C〜2000°Cに上げる必要がある。したがって、従来の廃棄物処理用の炉やアスベスト溶融炉では、PCB土壌を効果的に処理することができなかった。また、従来の水素・酸素混合ガス発生装置を用いた焼却・溶融炉では、多数の混合ガス噴出用火口を必要とし装置の構造が複雑で大きく、また、燃焼により生じる排ガスを効果的に処理することができなかった。従来のアスベスト溶融炉の中に配置される燃焼火口は、火口本体910の外周円筒面910bに空気取入孔912が設けられているので、このような燃焼火口を従来の水素・酸素混合ガス発生装置を用いた焼却・溶融炉に適用することはできなかった。
【0007】
本発明の目的は、溶融炉内の燃焼温度を1800°C〜2000°Cに上げることができ、PCB土壌などを効果的に処理することができるように構成された廃棄物処理装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、安全性が高く、ガス爆発を起こす危険がないように構成された廃棄物処理装置および廃棄物処理方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、設備装置をコンパクトに形成することができる廃棄物処理装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、溶融炉内の燃焼温度を1800°C〜2000°Cに上げることができ、PCB土壌などを効果的に処理することができる廃棄物処理方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、安全性が高く、ガス爆発を起こす危険がない廃棄物処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、廃棄物を処理する廃棄物処理装置であって、
水を水素ガスと酸素ガスに分解し、生成した水素酸素混合ガスを供給する水素酸素発生装置と、
廃棄物を受け入れ、水素酸素混合ガスを燃焼させることにより廃棄物を処理するための混合ガス燃焼装置と、
前記混合ガス燃焼装置の内部に配置され、かつ、前記水素酸素発生装置から水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼させるための燃焼火口と、
前記混合ガス燃焼装置の内部に配置され、かつ、前記燃焼火口から射出される水素酸素混合ガスに点火するための点火装置とを備え、
前記混合ガス燃焼装置は、廃棄物を受け入れるための処理物投入部と、水素酸素混合ガスを燃焼させることにより処理した処理済廃棄物を排出するための処理済廃棄物排出部と、燃焼排ガスを排出するための排ガス排出部とを備え、
前記燃焼火口は、中空のプレナムを有する密閉構造の火口本体を含み、
前記火口本体は、前記水素酸素発生装置から水素酸素混合ガスを受け入れるための水素酸素混合ガス導入部と、水素酸素混合ガスを前記混合ガス燃焼装置の内部に射出させるために前記プレナムに流通するように配列された複数のガス噴出口を有する、ことを特徴とする。この構成の本発明の廃棄物処理装置は、環境保護に適しており、有害物質を高温で確実に分解することができる。
【0010】
本発明の廃棄物処理装置は、前記排ガス排出部から燃焼排ガスを受け入れて、燃焼排ガスを加熱するためのガス加熱装置をさらに備え、前記ガス加熱装置の内部に配置され、かつ、前記水素酸素発生装置から水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼させるためのガス加熱装置用燃焼火口と、前記ガス加熱装置の内部に配置され、かつ、前記ガス加熱装置用燃焼火口から射出される水素酸素混合ガスに点火するための混合ガス点火装置とを備えることができる。この構成により、処理設備装置をコンパクト化することができる。
【0011】
本発明の廃棄物処理装置は、前記ガス加熱装置の排ガス排出部から加熱排ガスを受け入れて、この加熱排ガスを冷却するための加熱排ガス冷却装置をさらに備えるのがよい。本発明の廃棄物処理装置では、前記複数のガス噴出口は、円周方向に、等しい角度間隔で配置されるのが好ましい。本発明の廃棄物処理装置では、前記複数のガス噴出口は、円周方向に、等しい角度間隔で配置された複数のガス噴出口のセットで構成することができる。
【0012】
また、本発明は、上記の廃棄物処理装置に用いられる燃焼火口であって、水素酸素発生装置から水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼させるための燃焼火口において、複数のガス噴出口が、円周方向に、等しい角度間隔で配置されることを特徴とする。本発明の廃棄物処理装置は、水素酸素発生装置を用いているので、安全性が高く、ガス爆発を起こす危険がない。
【0013】
また、本発明は、水素酸素発生装置から水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼させるための燃焼火口において、複数のガス噴出口が、円周方向に、等しい角度間隔で配置されており、それぞれのガス噴出口の内径は、0.3〜5mmであることを特徴とする。この構成により、安全性が高く、ガス爆発を起こす危険がない廃棄物処理装置を実現することができる。
【0014】
さらに、本発明は、廃棄物を処理する方法であって、
廃棄物を受け入れ、廃棄物を処理するための混合ガス燃焼装置を設ける段階と、
前記混合ガス燃焼装置の中に廃棄物を導入する段階と、
水を水素ガスと酸素ガスに分解し、水素酸素混合ガスを生成させる段階と、
前記混合ガス燃焼装置の内部に水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼火口から射出させて燃焼させる段階と、
燃焼処理した処理済廃棄物を排出する段階とを含み、
前記燃焼火口は、中空のプレナムを有する密閉構造の火口本体を含み、
前記火口本体は、水素酸素混合ガスを受け入れるための水素酸素混合ガス導入部と、水素酸素混合ガスを射出させるために前記プレナムに流通するように配列された複数のガス噴出口を有する、ことを特徴とする。この方法を用いることによって、有害物質を高温で確実に分解することができる。さらに、本発明の廃棄物処理方法は、水素酸素発生装置を用いているので、安全性が高く、ガス爆発を起こす危険がない。
【0015】
本発明の方法では、前記混合ガス燃焼装置の排ガス排出部から燃焼排ガスを受け入れて、燃焼排ガスを加熱する段階を更に含み、この燃焼排ガスの加熱は、水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼させることによって行われるのがよい。
また、本発明の方法は、前記加熱された排ガスを受け入れて、この加熱排ガスを冷却する段階を更に含むことできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の廃棄物処理装置は、水を水素ガスと酸素ガスに分解し、それらのガスを燃料として供給して供給する水素酸素発生装置を用いるので、環境にやさしく経済的で安全である。すなわち、本発明の廃棄物処理装置は、環境保護に適しており、有害物質(PCBなど)を含む汚染土壌や、アスベストなどの有害物質を高温で確実に分解することができる。さらに、本発明の廃棄物処理装置は、水素酸素発生装置を用いているので、安全性が高く、ガス爆発を起こす危険がない。また、本発明の廃棄物処理装置を用いることにより、処理設備装置をコンパクト化することができる。
【0017】
本発明の廃棄物処理方法を用いることによって、有害物質(PCBなど)を含む汚染土壌や、アスベストなどの有害物質を高温で確実に分解することができる。さらに、本発明の廃棄物処理方法は、水素酸素発生装置を用いているので、安全性が高く、ガス爆発を起こす危険がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(1)第1の実施の形態:
最初に、本発明の廃棄物処理装置の第1の実施の形態を説明する。本発明の説明において、「廃棄物」とは、PCBなどの有害物質を含む汚染土壌、アスベスト、各種の産業廃棄物、各種の医療用廃棄物、都市ごみ、家畜等の糞尿などを含む概念である。
【0019】
図1および図2を参照すると、本発明の廃棄物処理装置の第1の実施の形態において、廃棄物を処理するための廃棄物処理装置100は、水を水素ガスと酸素ガスに分解し、生成した水素酸素混合ガスを供給するための水素酸素発生装置110と、廃棄物すなわち処理物122を受け入れ、かつ、水素酸素発生装置110から受け入れた水素酸素混合ガスを燃焼させることにより廃棄物すなわち処理物122を処理するための混合ガス燃焼装置を構成する溶融炉すなわち一次炉130と、一次炉130の内部に配置され、かつ、水素酸素発生装置110から水素酸素混合ガスを受け入れ、その水素酸素混合ガスを燃焼させるための燃焼火口を構成するバーナ142と、一次炉130の内部に配置され、かつ、バーナ142のガス噴出口から射出される水素酸素混合ガスに点火するための点火装置を構成するスパーク装置144とを備える。
【0020】
一次炉130は、廃棄物すなわち処理物122を受け入れるための処理物投入部を構成する投入装置120と、水素酸素混合ガスを燃焼させることにより処理した処理済廃棄物を排出するための処理済廃棄物排出部を構成する排出コンベア146と、燃焼排ガスを排出するための排ガス排出部を構成する排出管132とを備える。
【0021】
廃棄物処理装置100は、さらに、溶融炉排出管132から燃焼排ガスを受け入れて、燃焼排ガスを加熱するためのガス加熱装置を構成する二次炉160を備える。ガス加熱装置用燃焼火口を構成するバーナ162が二次炉160の内部に配置される。バーナ162は、水素酸素発生装置110から水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼させるように構成される。スパーク装置164が、二次炉160の内部に配置され、かつ、バーナ162のガス噴出口から射出される水素酸素混合ガスに点火するための点火装置を構成する。排出管168が、二次炉160から燃焼排ガスを排出するための排ガス排出部を構成する。
【0022】
廃棄物処理装置100は、さらに、二次炉160の排出管168から加熱排ガスを受け入れて、この加熱排ガスを冷却するための加熱排ガス冷却装置を構成する排ガス処理装置170を備える。処理排出管178が、排ガス処理装置170から処理済排ガスを排出するための処理済排ガス排出部を構成する。排気筒180が、処理排出管178から処理済排ガスを受け入れて大気に排ガス190を排出するために設けられる。
【0023】
本発明の廃棄物処理装置100に適用できる水素酸素発生装置の構造は、例えば、実用新案登録第3045095号公報(特許文献3)、実用新案登録第3068293号公報(特許文献4)等に記載されている。本発明の廃棄物処理装置に適用する水素酸素発生装置100として、例えば、株式会社イー・シー・ジー・トレダース・カンパニー(E.C.G.)から商業的に入手可能な「水素酸素火炎発生装置」の機種「EP−500」、「EP−560」、「EP−1000」等を利用することができる。このような水素酸素発生装置においては、水素と酸素の体積比は、水素2:酸素1である。このバランスを崩すと、燃焼状態をコントロールすることが出来ず、逆火、爆発等の事故を起こすおそれがある。このような水素酸素発生装置を用いる場合には、燃焼ガス中に、約30%の酸素が含まれているので、外部から燃焼用の酸素等を供給する必要はないという特徴がある。
【0024】
図3を参照すると、水素酸素発生装置110は、電解タンク112と、冷却装置116とを備える。電解液が電解タンク112の中に収容される。複数の電解板112bが電解タンク112の中に配置される。電解板112bの上部に上穴が形成される。電解板112bの下部に底穴が形成される。上管112cが上穴に流通可能なように設けられる。底管112dが底穴に流通可能なように設けられる。多数の貫通孔112hが上管112cに形成されている。また、多数の貫通孔112jが底管112dに形成されている。底管112dは、出水パイプ112eを介して冷却装置116に接続される。冷却装置116は、入水パイプ116bを介して上管112cに接続される。電解タンク112の中の電解液は、冷却装置116を通って循環することができる。
【0025】
導気穴112fが各電解板112bの上部に形成される。導気穴112fを設けることによって、電解タンク112の中の上部空間が電解タンク112の中の両端にわたって連通できるように構成される。出口パイプ112gが、電解タンク112の一方端部の上方に取り付けられる。電解タンク112の中で発生する水素酸素混合ガスは出口パイプ112gを通して必要箇所に供給される。注入配管114bが、入水パイプ116bに接続される。注入配管114bは、逆止弁114cを介して電解液注入装置114に接続される。
【0026】
電解液注入装置114によって、電解液が電解タンク112の中に所定レベルまで注入される。電解液として、純粋な蒸留水、又は、軟水を使用する。電解板112bの電解作用によって、水素と酸素の混合物である水素酸素混合ガスが電解タンク112の中に発生する。発生した水素酸素混合ガスは、電解タンク112の中の上部空間に集まり、導気穴112fを通って出口パイプ112gから取出される。加熱した電解液は、出水パイプ112eを通って冷却装置116に送られ、冷却装置116によって冷却される。冷却された電解液は、入水パイプ116bを通って上管112cの貫通孔112hから電解タンク112の中に導入される。水素酸素発生装置110の運転中に、電解液が減少して一定レベル以下になったときは、液面表示器118のレベル制御スイッチ118bが作動して、電解液注入装置114により、電解液が電解タンク112の中に所定レベルになるまで注入される。
【0027】
図4を参照すると、一次炉130は、例えば、W1200mm*L1200mm*H1100mmの内部寸法をもち、内容積が1.584m3 (立方メートル)であるように設計することができる。一次炉130の炉内の設計温度は、例えば、1500°C〜1700°Cの範囲にあるように設計することができる。一次炉130を構成する材料は、例えば、SS400ケーシングとキャスタブル耐火材とすることができる。一次炉130は、溶融炉を構成することができる。投入装置120は、廃棄物すなわち処理物122を受け入れるために一次炉130の上方に設けられる。投入装置120は、例えば、プッシャー式投入装置で構成することができる。プッシャー124は油圧シリンダによって駆動することができる。廃棄物投入口126から導入される廃棄物すなわち処理物122はプッシャー124によって一次炉130の炉の内部に送られるように構成される。投入口蓋126bが廃棄物投入口126に対して回転することによって開閉可能なように設けられる。廃棄物投入口126の大きさは、例えば、500mm*500mmに設計することができる。
【0028】
排出コンベア146は、一次炉130の炉内で水素酸素混合ガスを燃焼させることにより処理した処理済廃棄物を廃棄物取出口130cを介して排出するために一次炉130の下方に設けられる。排出コンベア146は、ギヤドモータによって駆動することができる。燃焼排ガスを排出するための一次炉排ガス排出口130fが一次炉130の上部に設けられる。一次炉排出管132は、一次炉排ガス排出口130fに接続される。一次炉130の内部の状態を確認するための確認窓130cが一次炉130の側面部に設けられる。バーナ142を取り付けるためのバーナ取付部130kが一次炉130の側面部に設けられる。バーナ取付部130kは、一次炉130の側面部に複数個設けるのがよい。バーナ取付部130kは、例えば、一次炉130に4個設けられる。一次炉用スパーク装置144が、一次炉130の内部に配置される。一次炉130の内部の温度を確認するための温度計(図示せず)が一次炉130の内部に設けられる。
【0029】
図5を参照すると、二次炉160は、例えば、W1000mm*H1000mm*L2000mmの内部寸法をもち、内容積が2m3 (立方メートル)であるように設計することができる。二次炉160の炉内の設計温度は、例えば、1900°Cであるように設計することができる。二次炉160を構成する材料は、例えば、SS400ケーシングとキャスタブル耐火材とすることができる。二次炉160は、熱分解炉を構成することができる。二次炉160の入口ガス温度は、例えば、650°Cであるように設計することができる。二次炉160の出口ガス温度は、例えば、1700°Cであるように設計することができる。二次炉160のガス量は、例えば、440Nm3/hr(ニュートン*立方メートル/時間)であるように設計することができる。
【0030】
排ガスを導入するための排ガス導入口160bが二次炉160の側面部に設けられる。一次炉排出管132は、排ガス導入口160bに接続される。二次炉排ガスを排出するための二次炉排ガス排出口160fが二次炉160の上部に設けられる。二次炉排出管168は、二次炉排ガス排出口160fに接続される。二次炉160の内部の状態を確認するための確認窓160cが二次炉160の側面部に設けられる。バーナ162を取り付けるためのバーナ取付部160kが二次炉160の側面部に設けられる。バーナ取付部160kは、二次炉160の側面部に複数個設けるのがよい。バーナ取付部160kは、例えば、二次炉160に2個設けられる。二次炉160の内部の温度を確認するための温度計(図示せず)が二次炉160の内部に設けられる。二次炉用スパーク装置164が、二次炉160の内部に配置される。
【0031】
図1および図2を参照すると、排ガス処理装置170は、セパレータ172を含む。ジェットスクラバ174が、セパレータ172の二次炉排ガスを受入口に設けられる。二次炉排ガスは、二次炉排出管168を通ってジェットスクラバ174からセパレータ172に導入されるように構成される。図6を参照すると、ジェットスクラバ174は、湾曲した入口管路174bと、先端が広がったテーパ状の出口管路174cとを含む。入口管路174bの下流側端部は出口管路174cの上流側端部に連結される。入口管路174bの上流側端部は二次炉排出管168に連結される。出口管路174c下流側端部はセパレータ172の上部に連結される。ジェットスクラバ174を構成する材料は、例えば、ハステロイCとすることができる。ジェットスクラバ174の入口ガス温度は、例えば、1700°Cであるように設計することができる。ジェットスクラバ174の出口ガス温度は、例えば、100°Cであるように設計することができる。ジェットスクラバ174のガス量は、例えば、440Nm3/hr(ニュートン*立方メートル/時間)であるように設計することができる。
【0032】
図7を参照すると、セパレータ172は、鋼板製箱型セパレータで構成することができる。セパレータ172は、例えば、1000mm*1500mm*2500mmの内部寸法をもつように設計することができる。セパレータ172を構成する材料は、例えば、SUS316とすることができる。温度計(図示せず)及び液面計(図示せず)がセパレータ172に設けられる。ジェットスクラバ174から二次炉排ガスを受入れるための受入口172bがセパレータ172の上部に設けられる。排ガス処理装置170から処理済排ガスを排出するための処理済排ガス出口172dがセパレータ172の上部に設けられる。処理排出管178の上流側端部が処理済排ガス出口172dに連結される。セパレータ172の内部に水(例えば、水道水)が必要量だけ供給される。セパレータ172の内部の水は、ストレーナ176を通って浄化され、循環水ポンプ177の作動によって、ジェットスクラバ174に送られる。処理排出管178の下流側端部が排気筒180の上流側端部に連結される。中和剤注入装置175が、セパレータ172に中和剤を供給するために設けられる。
【0033】
図1および図2を参照すると、排気筒180は、上流側端部180bと、中間部180cと、下流側端部180dとを備える。上流側端部180bは、処理排出管178の下流側端部に連結される。排気筒180は、薄肉ステンレスパイプで構成することができる。処理排出管178から受け入れた処理済排ガスは、排気筒180を通って大気に排ガス190を排出するように構成される。上流側端部180bは、湾曲部分を有するように構成するのがよい。中間部180cは、直線部分を有するように構成するのがよい。下流側端部180dは、湾曲部分を有するように構成するのがよい。誘引ファン179が、処理排出管178に設けられる。誘引ファンの作動によって、排ガス190は下流側端部180dから大気に排出される。
【0034】
図8および図9を参照して、第1タイプの燃焼火口すなわちバーナ210の構造を説明する。バーナ210は、円筒状の火口本体212と、火口本体212の上面に配置される六角形の火口突起214と、水素酸素発生装置110から水素酸素混合ガスを受け入れるための水素酸素混合ガス導入部212dとを備える。を備えている。バーナ210は、SUS303、真鍮などによって製造することができる。火口本体212は、直径が45mm又は60mmであり、厚さが23mmであるように形成することができる。火口突起214は、相対する2辺の間の距離が17mmであり、厚さが7mmであるように形成することができる。火口本体212は密閉構造であって、外周円筒面に空気取入孔を設けていない。中空であって円筒状のプレナム(充気チャンンバ)216が火口本体212の内部に形成される。プレナム(充気チャンンバ)216は、直径が40mmであり、厚さが8mmであるように形成することができる。
【0035】
複数のガス噴出口218が、火口本体212の上面212cに配置される。ガス噴出口218は、直径が3mmであり、火口本体212の上面212cに、円周方向にそって等しい角度間隔で8個設けられる。それぞれのガス噴出口218は、プレナム(充気チャンンバ)216と連通している。ガス噴出口218の直径は、0.3〜5mmであるのが好ましい。ガス噴出口218の直径は、0.5〜3.5mmであるのが一層好ましい。ガス噴出口218の直径は、1.5〜3mmであるのがなお一層好ましい。このような寸法にすることにより、水素酸素混合ガスを効率的に燃焼させることができる。
【0036】
水素酸素混合ガス導入部212dは、火口本体212の下部に設けられる。水素酸素混合ガス導入部212dは、プレナム(充気チャンンバ)216と連通している。水素酸素混合ガス導入部212dは、導管を介して水素酸素発生装置110の出口パイプ112gと連結される。ガス噴出口218は、複数設けられるのが好ましい。8個のガス噴出口を設ける構成について図示しているが、ガス噴出口218の個数は、2個であってもよいし、3個以上であってもよい。ガス噴出口218は、直径が3mmであるので、開口面積は約9.42mm2 である。したがって、8個のガス噴出口218の開口面積の総合計は約75.36mm2 である。これに対して、パイプの開口面積は約86.35mm2 である。したがって、ガス噴出口218から噴出される水素酸素混合ガスの有効流量は87%である。スパーク装置144の先端部144bは、ガス噴出口218の付近に配置される。スパーク制御装置(図示せず)によって、スパーク装置144の作動を制御して、スパーク装置144の先端部144bにおいてスパークを発生させて、水素酸素混合ガスを安全確実に燃焼させることができるように構成される。
【0037】
図8および図9を参照して、第1タイプの燃焼火口すなわちバーナ210の構造を説明する。バーナ210は、円筒状の火口本体212と、火口本体212の上面に配置される円形又は六角形の火口突起214と、水素酸素発生装置110から水素酸素混合ガスを受け入れるための水素酸素混合ガス導入部212dとを備えている。バーナ210は、SUS303、真鍮などによって製造することができる。火口本体212は、直径が45mm又は60mmであり、厚さが23mmであるように形成することができる。火口突起214は、相対する2辺の間の距離が17mmであり、厚さが7mmであるように形成することができる。火口本体212は密閉構造であって、外周円筒面に空気取入孔を設けていない。中空であって円筒状のプレナム(充気チャンンバ)216が火口本体212の内部に形成される。プレナム(充気チャンンバ)216は、直径が40mmであり、厚さが8mmであるように形成することができる。
【0038】
複数のガス噴出口218が、火口本体212の上面212cに配置される。ガス噴出口218は、直径が3mmであり、火口本体212の上面212cに、円周方向にそって等しい角度間隔で8個設けられる。それぞれのガス噴出口218は、プレナム(充気チャンンバ)216と連通している。ガス噴出口218の直径は、0.3〜5mmであるのが好ましい。ガス噴出口218の直径は、0.5〜3.5mmであるのが一層好ましい。ガス噴出口218の直径は、1.5〜3mmであるのがなお一層好ましい。このような寸法にすることにより、水素酸素混合ガスを効率的に燃焼させることができる。
【0039】
水素酸素混合ガス導入部212dは、火口本体212の下部(上流側)に設けられる。水素酸素混合ガス導入部212dは、プレナム(充気チャンンバ)216と連通している。水素酸素混合ガス導入部212dは、導管を介して水素酸素発生装置110の出口パイプ112gと連結される。ガス噴出口218は、複数設けられるのが好ましい。8個のガス噴出口218を設ける構成について図示しているが、ガス噴出口218の個数は、2個であってもよいし、3個以上であってもよい。ガス噴出口218は、直径が3mmであるので、開口面積は約9.42mm2 である。したがって、8個のガス噴出口218の開口面積の総合計は約75.36mm2 である。これに対して、パイプの開口面積は約86.35mm2 である。したがって、ガス噴出口218から噴出される水素酸素混合ガスの有効流量は87%である。スパーク装置144の先端部144b(仮想線で示している)は、ガス噴出口218の付近に配置される。スパーク制御装置(図示せず)によって、スパーク装置144の作動を制御して、スパーク装置144の先端部144bにおいてスパークを発生させて、ガス噴出口218から噴出される水素酸素混合ガスを安全確実に燃焼させることができるように構成される。
【0040】
このように構成されたバーナ210を用いる本発明の廃棄物処理装置100は、溶融炉すなわち一次炉130内の燃焼温度を1500°C〜2000°Cに上げることができ、PCB土壌などを効果的に処理することができる。また、本発明の廃棄物処理装置は、水素酸素混合ガスを利用するので、安全性が高く、ガス爆発を起こす危険がない。また、本発明の廃棄物処理装置は、上記のように構成することができるので、設備装置をコンパクトに形成することができる。
【0041】
図10および図11を参照して、第2タイプの燃焼火口すなわちバーナ220の構造を説明する。バーナ220は、円筒状又は六角柱状の火口本体222と、火口本体222の上面から延びた複数のパイプ状のバーナノズル224と、水素酸素発生装置110から水素酸素混合ガスを受け入れるための水素酸素混合ガス導入部222dとを備えている。火口本体222、バーナノズル224、水素酸素混合ガス導入部222dは、SUS303、真鍮などによって製造することができる。火口本体222は、相対する2辺の間の距離が27mmであり、厚さが10mmであるように形成することができる。火口本体222は密閉構造であって、外周円筒面に空気取入孔を設けていない。中空であって円筒状のプレナム(充気チャンンバ)226が火口本体222の内部に形成される。プレナム(充気チャンンバ)226は、直径が26mmであり、厚さが5mmであるように形成することができる。
【0042】
複数のバーナノズル224のそれぞれは、中央に位置したノズル本体224bと、ノズル本体224bの外側に位置した補強リング224cとを含む。ノズル本体224bは、内径が2mmであり、外径が4mmである。補強リング224cは、内径が6mmであり、外径が8mmである。ノズル本体224bと補強リング224cは、同心状に配置される。複数のバーナノズル224のそれぞれの下流側端部の火口224fは、円周方向にそって等しい角度間隔で配置される。複数のバーナノズル224のそれぞれの上流側端部は、プレナム(充気チャンンバ)226と連通している。ノズル本体224bの内径は、0.3〜5mmであるのが好ましい。ノズル本体224bの内径は、0.5〜3.5mmであるのが一層好ましい。ノズル本体224bの内径は、1.5〜3mmであるのがなお一層好ましい。このような寸法にすることにより、水素酸素混合ガスを効率的に燃焼させることができる。
【0043】
水素酸素混合ガス導入部222dは、火口本体222の下部(上流側)に設けられる。水素酸素混合ガス導入部222dは、プレナム(充気チャンンバ)226と連通している。水素酸素混合ガス導入部222dは、導管を介して水素酸素発生装置110の出口パイプ112gと連結される。ノズル本体224bは、複数設けられるのが好ましい。12個のノズル本体224bを設ける構成について図示しているが、ノズル本体224bの個数は、2個であってもよいし、3個以上であってもよい。複数の補強リング224cの外周部は、互いに接触するように配置されるのがよい。この構成により、複数の補強リング224cの相互位置を分離しないように確保することができる。スパーク装置144の先端部144bは、火口224fの付近に配置される。スパーク制御装置(図示せず)によって、スパーク装置144の作動を制御して、スパーク装置144の先端部144bにおいてスパークを発生させて、火口224fから噴出される水素酸素混合ガスを安全確実に燃焼させることができるように構成される。
【0044】
図12および図13を参照して、第3タイプの燃焼火口すなわちバーナ230の構造を説明する。バーナ230は、円筒状又は六角柱状の火口本体232と、火口本体232の上面から延びた複数のパイプ状のバーナノズル234と、水素酸素発生装置110から水素酸素混合ガスを受け入れるための水素酸素混合ガス導入部232dと、バーナノズル234を保持するための保持プレート238とを備えている。火口本体232、バーナノズル234、水素酸素混合ガス導入部232d、保持プレート238は、SUS303、真鍮などによって製造することができる。火口本体232は、相対する2辺の間の距離が27mmであり、厚さが10mmであるように形成することができる。火口本体232は密閉構造であって、外周円筒面に空気取入孔を設けていない。中空であって円筒状のプレナム(充気チャンンバ)236が火口本体232の内部に形成される。プレナム(充気チャンンバ)236は、直径が26mmであり、厚さが5mmであるように形成することができる。
【0045】
複数のバーナノズル234のそれぞれは、中央に位置したノズル本体234bと、ノズル本体234bの外側に位置した補強リング234cとを含む。ノズル本体234bは、内径が2mmであり、外径が4mmである。補強リング234cは、内径が6mmであり、外径が8mmである。ノズル本体234bと補強リング234cは、同心状に配置される。複数のバーナノズル234のそれぞれの下流側端部の火口234fは、円周方向にそって等しい角度間隔で配置される。複数のバーナノズル234のそれぞれの上流側端部は、プレナム(充気チャンンバ)236と連通している。ノズル本体234bの内径は、0.3〜5mmであるのが好ましい。ノズル本体234bの内径は、0.5〜3.5mmであるのが一層好ましい。ノズル本体234bの内径は、1.5〜3mmであるのがなお一層好ましい。このような寸法にすることにより、水素酸素混合ガスを効率的に燃焼させることができる。
【0046】
水素酸素混合ガス導入部232dは、火口本体232の下部(上流側)に設けられる。水素酸素混合ガス導入部232dは、プレナム(充気チャンンバ)236と連通している。水素酸素混合ガス導入部232dは、導管を介して水素酸素発生装置110の出口パイプ112gと連結される。ノズル本体234bは、複数設けられるのが好ましい。12個のノズル本体234bを設ける構成について図示しているが、ノズル本体234bの個数は、2個であってもよいし、3個以上であってもよい。複数の補強リング224cの外周部は、保持プレート238の案内部に固定するように配置されるのがよい。この構成により、複数の補強リング234cの相互位置が変化しないように確保することができる。スパーク装置144の先端部144bは、火口234fの付近に配置される。スパーク制御装置(図示せず)によって、スパーク装置144の作動を制御して、スパーク装置144の先端部144bにおいてスパークを発生させて、火口234fから噴出される水素酸素混合ガスを安全確実に燃焼させることができるように構成される。
【0047】
図14および図15を参照して、第4タイプの燃焼火口すなわちバーナ240の構造を説明する。バーナ240は、円筒状のバーナ本体241と、複数の六角形の火口本体242と、火口本体242とバーナ本体241とを接続するためのパイプ状のバーナ導管244と、水素酸素発生装置110から水素酸素混合ガスを受け入れるための水素酸素混合ガス導入部242dと、バーナ本体241に固定され、かつ火口本体242を保持するための保持プレート248とを備えている。バーナ本体241、火口本体242、バーナ導管244、水素酸素混合ガス導入部242d、保持プレート248は、SUS303、真鍮などによって製造することができる。それぞれの火口本体242は、相対する2辺の間の距離が20mmであり、厚さが23mmであるように形成することができる。それぞれの火口本体242は密閉構造であって、外周円筒面に空気取入孔を設けていない。中空であって円筒状のプレナム(充気チャンンバ)246が、それぞれの火口本体232の内部に形成される。プレナム(充気チャンンバ)246は、直径が16mmであり、厚さが3mmであるように形成することができる。
【0048】
複数のガス噴出口258が、火口本体242の上面242cに配置される。ガス噴出口258は、直径が1mmであり、火口本体242の上面242cに、円周方向にそって等しい角度間隔で6個設けられる。複数のガス噴出口258は、円周方向に、等しい角度間隔で配置された複数のガス噴出口のセットで構成される。それぞれのガス噴出口258は、プレナム(充気チャンンバ)246と連通している。ガス噴出口258の直径は、0.3〜5mmであるのが好ましい。ガス噴出口258の直径は、0.5〜3.5mmであるのが一層好ましい。ガス噴出口258の直径は、1.5〜3mmであるのがなお一層好ましい。このような寸法にすることにより、水素酸素混合ガスを効率的に燃焼させることができる。火口本体242は、複数設けられるのが好ましい。8個の火口本体242を設ける構成について図示しているが、火口本体242の個数は、2個であってもよいし、3個以上であってもよい。
【0049】
水素酸素混合ガス導入部242dは、火口本体242の内部に設けられた本体中空部242gに続いて設けられる。本体中空部242gは、バーナ導管244を介してプレナム(充気チャンンバ)236と連通している。水素酸素混合ガス導入部242dは、導管を介して水素酸素発生装置110の出口パイプ112gと連結される。複数の火口本体242の外周部は、保持プレート248の案内部に固定するように配置されるのがよい。この構成により、複数の火口本体242の相互位置が変化しないように確保することができる。スパーク装置144の先端部144bは、ガス噴出口258の付近に配置される。スパーク制御装置(図示せず)によって、スパーク装置144の作動を制御して、スパーク装置144の先端部144bにおいてスパークを発生させて、ガス噴出口258から噴出される水素酸素混合ガスを安全確実に燃焼させることができるように構成される。
【0050】
(2)第2の実施の形態:
次に、本発明の廃棄物処理装置の第2の実施の形態を説明する。以下の説明は、本発明の廃棄物処理装置の第2の実施形態が本発明の廃棄物処理装置の第1の実施形態と異なる点を主に述べる。したがって、以下に記載がない個所は、前述した本発明の廃棄物処理装置の第1の実施形態についての説明をここに準用する。
【0051】
図16を参照すると、本発明の廃棄物処理装置の第2の実施の形態において、廃棄物処理装置300は、PCB土壌などの汚染土を処理するのに利用できるように構成されている。廃棄物処理装置100は、水を水素ガスと酸素ガスに分解し、生成した水素酸素混合ガスを供給するための水素酸素発生装置110と、廃棄物すなわち処理物122を受け入れ、かつ、水素酸素発生装置110から受け入れた水素酸素混合ガスを燃焼させることにより廃棄物すなわち処理物122を処理するための処理物処理装置330と、処理物処理装置330の内部に配置され、かつ、水素酸素発生装置110から水素酸素混合ガスを受け入れ、その水素酸素混合ガスを燃焼させるための燃焼火口を構成するバーナ142と、処理物処理装置330の内部に配置され、かつ、バーナ142のガス噴出口から射出される水素酸素混合ガスに点火するための点火装置を構成するスパーク装置144とを備える。
【0052】
処理物処理装置330は、廃棄物すなわち処理物122を受け入れるための処理物投入部を構成する投入装置120と、水素酸素混合ガスを燃焼させることにより処理した処理済廃棄物を排出するための処理済廃棄物排出部を構成する排出コンベア146と、燃焼排ガスを排出するための排ガス排出部を構成する排出管332とを備える。
【0053】
廃棄物処理装置300は、さらに、排出管332から燃焼排ガスを受け入れて、燃焼排ガスを加熱するためのガス加熱装置を構成するヒータ360を備える。燃焼火口を構成するバーナ162がヒータ360の内部に配置される。バーナ162は、水素酸素発生装置110から水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼させるように構成される。スパーク装置164が、ヒータ360の内部に配置され、かつ、バーナ162のガス噴出口から射出される水素酸素混合ガスに点火するための点火装置を構成する。排出管168が、ヒータ360から燃焼排ガスを排出するための排ガス排出部を構成する。ヒータ360の設計温度は、例えば、1800°C〜2000°Cの範囲にあるように設計することができる。
【0054】
廃棄物処理装置300は、さらに、ヒータ360の排出管168から加熱排ガスを受け入れて、この加熱排ガスを冷却するための加熱排ガス冷却装置を構成する排ガス処理装置170を備える。処理排出管178が、排ガス処理装置170から処理済排ガスを排出するための処理済排ガス排出部を構成する。排気筒180が、処理排出管178から処理済排ガスを受け入れて大気に排ガス190を排出するために設けられる。
【0055】
(3)本発明の廃棄物処理方法:
次に、本発明の廃棄物処理方法を説明する。
(3・1)廃棄物処理方法:
図1を参照すると、本発明の廃棄物処理方法は、アスベストなどの廃棄物を受け入れ、廃棄物を処理するための混合ガス燃焼装置(一次炉130)を設ける。次に、プッシャー124を用いて、混合ガス燃焼装置(一次炉130)の中に廃棄物を導入する。次に、水素酸素発生装置110によって水を水素ガスと酸素ガスに分解し、水素酸素混合ガスを生成させる。次に、混合ガス燃焼装置(一次炉130)の内部に水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼火口から射出させて、点火装置により点火して、水素酸素混合ガスを1500°C〜1700°Cの範囲で燃焼させる。燃焼処理した処理済廃棄物は直接水中に落として急速冷却と破砕を行うことができる。次に、燃焼処理した処理済廃棄物を廃棄物取出口から排出する。排出コンベヤ146を用いて、処理済廃棄物を移送することができる。本発明の廃棄物処理方法によって、例えば、アスベストに1500°C以上の熱を加え、数ミクロン単位の鉱物繊維を溶解させることができる。アスベストの結晶崩壊温度は400°C〜1000°Cであるが、アスベストに1500°C以上の熱を加えることによって、固形化し、完全に無害化させることができる。この方法では、加熱源からの排ガスにはCO2 が含まれない利点がある。
【0056】
本発明の廃棄物処理方法では、混合ガス燃焼装置(一次炉130)の排ガス排出部から燃焼排ガスを受け入れて、二次炉160において、燃焼排ガスを1700°C〜1900°Cの範囲に加熱することができる。二次炉160において、一次炉130からの排ガスを高温で熱分解することができる。この燃焼排ガスの加熱は、水素酸素発生装置110によって発生した水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼させることによって行われる。また、本発明の廃棄物処理方法では、排ガス処理装置170において、前記加熱された排ガスを受け入れて、この加熱排ガスを中和し、冷却し、集塵することができる。排ガス処理装置170を通過したガスはクリーンになって、排気筒180から大気中に放出される。すなわち、この方法では、二次炉160から排出されたガスは、ジェットスクラバ174で中和水入り循環冷却水で冷却され約100°Cになり、セパレータ172で気液分離後、誘引ファンで排気筒180に送られる。
【0057】
(3・2)汚染土処理方法:
本発明の廃棄物処理方法は、汚染土などの廃棄物の処理に適用することもできる。図16を参照すると、本発明の廃棄物処理方法は、汚染土などの廃棄物を受け入れ、廃棄物を処理するための混合ガス燃焼装置(処理物処理装置330)を設ける。次に、混合ガス燃焼装置(処理物処理装置330)の中に汚染土を導入する。次に、水素酸素発生装置110によって水を水素ガスと酸素ガスに分解し、水素酸素混合ガスを生成させる。次に、混合ガス燃焼装置(処理物処理装置330)の内部に水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼火口から射出させて、点火装置により点火して、水素酸素混合ガスを600°Cにして汚染土の中に含まれる化学物質(ダイオキシン、PCBなど)などをガス化させ、そのガスを二次炉に送り、そのガスを二次炉の中で1800°C〜2000°Cで処理する。汚染土の場合、汚染土に直接高温を与えると、汚染土が石になってしまい、再利用することができなくなるので、汚染土の中に含まれている化学物質(ダイオキシン、PCBなど)だけを先にガス化させ、そのガスを二次炉に送り、そのガスを二次炉の中で無害化させることが必要である。この方法によれば、一次炉の中で、汚染土の中に含まれている有害物質を汚染土から取り除くことができるので、汚染土は再利用することができる土になる利点がある。
【0058】
本発明の廃棄物処理方法では、混合ガス燃焼装置(処理物処理装置330)の排ガス排出部から燃焼排ガスを受け入れて、ヒータ360において、燃焼排ガスを1800°C〜2000°Cの範囲に加熱することができる。この燃焼排ガスの加熱は、水素酸素発生装置110によって発生した水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼させることによって行われる。また、本発明の廃棄物処理方法では、排ガス処理装置170において、前記加熱された排ガスを受け入れて、この加熱排ガスを冷却することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の廃棄物処理装置は、環境保護に適しており、有害物質(PCBなど)を含む汚染土壌や、アスベストなどの有害物質を高温で確実に分解することができる。また、本発明の廃棄物処理装置は、装置の構造がコンパクトであるので、たやすく移動させることが可能である。さらに、本発明の廃棄物処理装置および廃棄物処理方法は、水素酸素発生装置を用いているので、安全性が高く、ガス爆発を起こす危険がない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の廃棄物処理装置の第1の実施形態において、装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の廃棄物処理装置の第1の実施形態において、装置の具体的な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の廃棄物処理装置の第1の実施形態において、水素酸素発生装置の構造を示す断面図である。
【図4】本発明の廃棄物処理装置の第1の実施形態において、一次炉の構造を示す縦断面図である。
【図5】本発明の廃棄物処理装置の第1の実施形態において、二次炉の構造を示す縦断面図である。
【図6】本発明の廃棄物処理装置の第1の実施形態において、ジェットスクライバの構造を示す縦断面図である。
【図7】本発明の廃棄物処理装置の第1の実施形態において、セパレータの構造を示す縦断面図である。
【図8】本発明の廃棄物処理装置の第1の実施形態において、第1タイプのバーナの構造を示す正面図である。
【図9】本発明の廃棄物処理装置の第1の実施形態において、第1タイプのバーナの構造を示す部分断面図である。
【図10】本発明の廃棄物処理装置の第1の実施形態において、第2タイプのバーナの構造を示す正面図である。
【図11】本発明の廃棄物処理装置の第1の実施形態において、第2タイプのバーナの構造を示す部分断面図である。
【図12】本発明の廃棄物処理装置の第1の実施形態において、第3タイプのバーナの構造を示す正面図である。
【図13】本発明の廃棄物処理装置の第1の実施形態において、第3タイプのバーナの構造を示す部分断面図である。
【図14】本発明の廃棄物処理装置の第1の実施形態において、第4タイプのバーナの構造を示す正面図である。
【図15】本発明の廃棄物処理装置の第1の実施形態において、第4タイプのバーナの構造を示す部分断面図である。
【図16】本発明の廃棄物処理装置の第2の実施形態において、装置の具体的な構成を示すブロック図である。
【図17】従来のアスベスト溶融炉において、溶融炉の中に配置される燃焼火口を示す上平面図である。
【図18】従来のアスベスト溶融炉において、溶融炉の中に配置される燃焼火口を示す側面図である。
【符号の説明】
【0061】
100 廃棄物処理装置
110 水素酸素発生装置
120 投入装置
122 処理物
130 一次炉
142 バーナ
144 スパーク装置
146 排出コンベア
160 二次炉
162 バーナ
164 スパーク装置
170 排ガス処理装置
180 排気筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を処理する廃棄物処理装置であって、
水を水素ガスと酸素ガスに分解し、生成した水素酸素混合ガスを供給する水素酸素発生装置と、
廃棄物を受け入れ、水素酸素混合ガスを燃焼させることにより廃棄物を処理するための混合ガス燃焼装置と、
前記混合ガス燃焼装置の内部に配置され、かつ、前記水素酸素発生装置から水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼させるための燃焼火口と、
前記混合ガス燃焼装置の内部に配置され、かつ、前記燃焼火口から射出される水素酸素混合ガスに点火するための点火装置とを備え、
前記混合ガス燃焼装置は、廃棄物を受け入れるための処理物投入部と、水素酸素混合ガスを燃焼させることにより処理した処理済廃棄物を排出するための処理済廃棄物排出部と、燃焼排ガスを排出するための排ガス排出部とを備え、
前記燃焼火口は、中空のプレナムを有する密閉構造の火口本体を含み、
前記火口本体は、前記水素酸素発生装置から水素酸素混合ガスを受け入れるための水素酸素混合ガス導入部と、水素酸素混合ガスを前記混合ガス燃焼装置の内部に射出させるために前記プレナムに流通するように配列された複数のガス噴出口を有する、
ことを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記排ガス排出部から燃焼排ガスを受け入れて、燃焼排ガスを加熱するためのガス加熱装置をさらに備え、前記ガス加熱装置の内部に配置され、かつ、前記水素酸素発生装置から水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼させるためのガス加熱装置用燃焼火口と、前記ガス加熱装置の内部に配置され、かつ、前記ガス加熱装置用燃焼火口から射出される水素酸素混合ガスに点火するための混合ガス点火装置とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記ガス加熱装置の排ガス排出部から加熱排ガスを受け入れて、この加熱排ガスを冷却するための加熱排ガス冷却装置をさらに備えることを特徴とする、請求項2に記載の廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記複数のガス噴出口は、円周方向に、等しい角度間隔で配置されることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物処理装置。
【請求項5】
前記複数のガス噴出口は、円周方向に、等しい角度間隔で配置された複数のガス噴出口のセットで構成されることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の廃棄物処理装置に用いられる燃焼火口であって、水素酸素発生装置から水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼させるための燃焼火口において、複数のガス噴出口が、円周方向に、等しい角度間隔で配置されることを特徴とする燃焼火口。
【請求項7】
請求項1に記載の廃棄物処理装置に用いられる燃焼火口であって、水素酸素発生装置から水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼させるための燃焼火口において、複数のガス噴出口が、円周方向に、等しい角度間隔で配置されており、それぞれのガス噴出口の内径は、0.3〜5mmであることを特徴とする燃焼火口。
【請求項8】
廃棄物を処理する方法であって、
廃棄物を受け入れ、廃棄物を処理するための混合ガス燃焼装置を設ける段階と、
前記混合ガス燃焼装置の中に廃棄物を導入する段階と、
水を水素ガスと酸素ガスに分解し、水素酸素混合ガスを生成させる段階と、
前記混合ガス燃焼装置の内部に水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼火口から射出させて燃焼させる段階と、
燃焼処理した処理済廃棄物を排出する段階とを含み、
前記燃焼火口は、中空のプレナムを有する密閉構造の火口本体を含み、
前記火口本体は、水素酸素混合ガスを受け入れるための水素酸素混合ガス導入部と、水素酸素混合ガスを射出させるために前記プレナムに流通するように配列された複数のガス噴出口を有する、
ことを特徴とする廃棄物処理方法。
【請求項9】
前記混合ガス燃焼装置の排ガス排出部から燃焼排ガスを受け入れて、燃焼排ガスを加熱する段階を更に含み、この燃焼排ガスの加熱は、水素酸素混合ガスを受け入れて、その水素酸素混合ガスを燃焼させることによって行われることを特徴とする、請求項8に記載の廃棄物処理方法。
【請求項10】
前記加熱された排ガスを受け入れて、この加熱排ガスを冷却する段階を更に含むことを特徴とする、請求項9に記載の記載の廃棄物処理方法。
【請求項11】
前記複数のガス噴出口は、円周方向に、等しい角度間隔で配置されることを特徴とする、請求項8に記載の廃棄物処理方法。
【請求項12】
前記複数のガス噴出口は、円周方向に、等しい角度間隔で配置された複数のガス噴出口のセットを複数備えることを特徴とする、請求項8に記載の廃棄物処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−211992(P2007−211992A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293874(P2005−293874)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(505376558)株式会社イー・シー・ジー・トレーダーズ・カンパニー (1)
【Fターム(参考)】