建築物に内蔵させる制震部材
【課題】 既存の建築物にも適用できて、有効に震動を吸収することができ、また、袖壁の寸法や玄関ドアなどの配置位置にも制限がない制震部材を提供する。
【解決手段】
矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材1である。バネ鋼からなり、略V字状に屈曲された連結部11と、連結部の一端側と他端側に設けられた取付部12,13とで一体的に構成されている
【解決手段】
矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材1である。バネ鋼からなり、略V字状に屈曲された連結部11と、連結部の一端側と他端側に設けられた取付部12,13とで一体的に構成されている
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物を補強し、さらに地震等の大きな震動を有効に吸収することが可能な、建築物の枠体の四隅に取り付けられる制震部材に関する。
【背景技術】
【0002】
地震国とも呼ばれる日本では、大小の地震被害が繰り返し起きているのが実情である。そして、1995年の淡路阪神大震災などでは、二次的な火災もさることながら、一次的な家屋の倒壊による圧死の被害も多かったことが報告されている。
【0003】
そこで、地震による被害を最小限に抑える研究が進められており、建造物における耐震構造や制震構造について、各種の提案がされている(例えば、特許文献1、特許文献2)。このような提案では、梁や柱等の建築物の構造部材に制震部材を取り付けることで、建築物の制震を図っている。
【特許文献1】特開2001−081880
【特許文献2】特開2003−227186
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の制震部材は、その構成が複雑であるため、軽量化が望めず且つ高価であるという問題がある。また、交通震動による微小震動の時は、制震作用を発揮するが、地震等の大きな振動の時は、その震動を有効に吸収することができないという問題もある。一方、特許文献2の制震部材では、震動エネルギーを吸収する粘弾性材がせん断変形すると、次の余震時に震動エネルギーを有効に吸収できないという問題があった。
【0005】
また、従来は、例えば、建築物に玄関ドアDRを設けたい場合にも、建築強度の観点から600mm〜910mm程度の袖壁30が必要であるため、設計の自由度が低いという問題もあった。更にまた、新規の建築物に限らず、既存の建築物にも適用できる制震部材が望まれるところである。
【0006】
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたものであって、既存の建築物にも適用できて、有効に震動を吸収することができ、また、袖壁の寸法や玄関ドアなどの配置位置にも制限がない制震部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材であって、可撓性を有する金属板からなり、略V字状に屈曲された連結部と、前記連結部の一端側と他端側に設けられた取付部とで一体的に構成されている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材であって、同一幅で帯状に形成された可撓性の金属板を屈曲して形成され、両端部に形成された取付部と、中央部に形成された中央取付部と、前記各取付部と中央取付部とを夫々接続する連結部とで、全体として屈曲略U字状に形成されている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材であって、互いの先端部が重合される一対の可撓性の金属板と、前記金属板の重合部に挟着される弾性材とを有し、前記重合された先端部は前記弾性材を挟着した状態で締め付け具により固定されている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材であって、コイル状に巻かれた金属材と、前記コイル状金属材の軸方向の両側に当接される当接部材とを有し、前記当接部材は、先端側の当接板と、前記当接板に連続するロッド部と、前記ロッド部に連続する取付部とが一体化されて構成され、前記取付部の基端側が固定具に固定されている。
【発明の効果】
【0011】
上記した本発明によれば、既存の建築物にも適用できて、有効に震動を吸収することができ、また、袖壁の寸法や玄関ドアなどの配置位置にも制限がない制震部材を実現できる。また、本発明の制震部材は、安価軽量に実現できると共に、既存の建築物の改造その他にも適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施形態に基づき以下に説明する。図1は、本発明の第一実施例に係る制震部材1の斜視図である。図2(a)は、一対の制震部材1,1を、土台3と柱2に固定した状態を示す概略斜視図であり、図2(b)は、その正面図を示している。また、図2(c)は、制震部材1を、梁4と柱2に固定した状態も含め、制震部材1の取付状態の全体像を示している。
【0013】
図示の通り、この制震部材1は、構造部材によって形成される壁の内部空間9に配置され、柱2と梁4に固定されると共に、柱2と土台3に固定されて使用される。なお、図示例では、対面する柱2Aと柱2Bの中心距離Wが455mm、土台3の底面から梁4の頂面までの高さHが2920mmとなっている。
【0014】
図1に示すとおり、制震部材1は、バネ鋼の板体が使用され、略V字状に屈曲された連結部11と、連結部11の一端側に設けられた先端側取付部12と、連結部11の他端側に設けられた基端側取付部13とで一体的に構成されている。
【0015】
先端側取付部12は、矩形板状に形成され、連結部11の幅方向一方側に膨出している。また、先端側取付部12の幅方向中央には、2つのボルト穴14,14が長さ方向に連続して形成されている。基端側取付部13は、矩形板状に形成され、連結部11の幅方向一方側であって先端側取付部12の膨出方向と同一方向に膨出している。また、基端側取付部13の長さ方向中央には、2つのボルト穴15,15が幅方向に連続して形成されている。連結部11は、基端側を水平状態として、中央やや基端側でV字状となるように35°〜65°程度に屈曲されている。そして、この屈曲部に近接してボルト穴16が形成されている。また、連結部11は、先端側取付部12が垂直状態となるように更に屈曲されて先端側取付部12に連続している。
【0016】
図2に示すとおり、同一形状の一対の制震部材1,1が、互いに対向するように、柱2A,2Bと土台3とに囲まれる内部空間に配置される。なお、2本の柱2Aと2Bの下側には、土台3と基礎5の間に基礎パッキン6,6が設けられており、柱2Aと2Bの頂面には梁4が架け渡されている。
【0017】
制震部材1を固定するには、先ず、一方の制震部材1の基端側取付部13を、柱2A付近の土台3に載置し、基端側取付部13からボルト穴15と土台3の貫通穴にボルトを挿通する。そして、基礎パッキン6,6によって形成された空間7を利用して、土台3の下側でナットを締め付ける。同様に、連結部11のボルト穴16についても、ボルトを挿通して、土台3の下側でナットを締めこむ。これにより制震部材1は、土台3に固定される。
【0018】
先端側取付部12側についても、同様であり、ボルト穴14と柱2Aの貫通穴にボルトを挿通して、反対側からナットを締めこむ。これにより制震部材1は、柱2Aに固定される。以上の取付作業によって、柱2Aと土台3は、一方の制震部材1により固定されることとなる。
【0019】
この制震部材1は、先端側及び基端側とも取付部12,13が幅方向一方側に膨出しているので、木材の中心にボルトを挿通させて、制震部材1を強固に固定することができる。但し、図3に示すとおり、製作容易性の観点から膨出部を設けることなく、取付部12,13と連結部11とを同一幅に形成しても良い(図3参照)。
【0020】
次に、柱2Aと土台3に取り付けた制震部材1と対向するように、同様の手順で、柱2Bと土台3に他方の制震部材1を固定する。すると、柱2Aと柱2Bと土台3は、一対の制震部材1,1により固定されることになる。本実施例の制震部材1は、連結部11の水平部分11aを、同一平面上で隣接して載置できるので、対面する2つの柱2A,2Bの水平距離Wに関係なく使用することができる。なお、図示例では、連結部11の傾斜部分11bが、正面視でX字状に交差するように、各制震部材11,11が配置されている。
【0021】
続いて、図2(c)に示すとおり、梁4と柱2A,2Bに、一対の制震部材1,1を取り付けることにより、梁4と柱2A,2Bを制震部材1,1により固定する。以上により、柱2A,2B,土台3及び梁4で形成される矩形状の枠体に、4つの制震部材1が固定されることとなる。
【0022】
このようにして固定された4つの制震部材1は、通常は、土台3と柱2、梁4と柱2を固定する筋交のように機能して建築物の強度を補強することができる。そして、地震などによる過大な外力を受けた場合には、バネ鋼による緩衝作用によって、その震動を吸収することができる。すなわち、制震部材1を、木造建築物の矩形枠体の四隅に使用することで耐力壁を実現できるので、例えば、建築物に大きな玄関ドアDRを設けたい場合にも、その配置位置に制限がなく、また、袖壁30についても水平寸法455mm程度で足りる。
【0023】
図4は、第2実施例に係る制震部材20の斜視図である。図5(a)は、制震部材20を、土台3と柱2に固定した状態を示す概略斜視図であり、図5(b)は、その正面図を拡大して示している。また、図5(c)は、制震部材20を、梁4と柱2に固定した状態も含め、制震部材20の取付状態の全体像を示している。なお、図示例では、柱2Aと柱2Bの中心距離Wが455mm、土台3の底面から梁4の頂面までの高さHが2920mmとなっている。
【0024】
この制震部材20は、同一幅で帯状に形成されたバネ鋼板材を屈曲して形成されている。具体的には、両端部に形成された取付部22A,22Bと、中央部に形成された中央取付部23と、取付部22A,22Bと中央取付部23とを夫々接続する連結部21A,21Bとで、全体として屈曲略U字状に形成されている。取付部22A,22B及び中央取付部23は矩形状に形成され、幅方向中央にはそれぞれ各2つのボルト穴24A,24B,25が形成されている。連結部21A,21Bは、中央取付部23を水平状態としたとき、35°〜65°程度に立ち上がるように屈曲されている。また、連結部21A,21Bは、取付部22A,22Bが垂直状態となるように、先端側で更に屈曲されている。
【0025】
上記のように構成された制震部材20は、図5に示すとおり、2本の柱2A,2Bと土台3とに囲まれる内部空間9に配置して使用される。なお、図2と同様に、2本の柱2Aと2Bの下側には、土台3と基礎5の間に基礎パッキン6,6が設けられており、柱2Aと2Bの頂面には梁4が架け渡されている。そして、取付方法についても、図1の制震部材1と同様である。この制震部材20も、通常は、筋交のように機能して建築物の強度を補強することができ、地震などに対しては緩衝作用を発揮する。
【0026】
ところで、図4の制震部材20の場合には、柱2への固定用ボルト穴24A,24Bが、図1の制震部材1のボルト穴14とは異なる位置に設定されている。そのため、1本の柱2に交差して制震部材1と制震部材20を使用することが可能となり、上記した補強効果と制震効果を建物全体で発揮することが可能となる(図6参照)。
【0027】
図7は、第3実施例に係る制震部材30を図示したものである。図7(a)は、柱2と土台3に制震部材30を取り付けた状態を示す正面図、図7(b)は制震部材30の中央部分を示す平面拡大図である。また、図8は、土台3と柱2と梁4とで構成される矩形枠体に、4つの制振部材30を取り付けた状態を示している。なお、この実施例では、柱2Aから柱2Bの中心距離Wが910mm、土台3の底面から梁4の頂面までの高さHが2920mmである。また、柱2Aと柱2Bの中間には、柱2A,2Bと同寸法の管柱2Cが設けられている。
【0028】
この制震部材30は、図5に示すとおり、互いの先端部31Aが重合される一対の板体31,31と、板体31の重合部に挟着される弾性材32と、板材の基端部31Bに配置される弾性材33とで構成されている。
【0029】
各板体31は、帯状のバネ鋼により形成され、先端部31Aには楕円状の長穴34,34が形成され、基端部31Bには円形の取付穴35,35が形成されている。図5(b)に示す通り、長穴34は、板体31の長さ方向に延びて形成されている。弾性材32,33は、典型的にはゴム材であり、それぞれ長穴34と取付穴35と同心状の円形穴が形成されている。
【0030】
一対の板材31,31は、弾性材32を挟持した状態で、互いの先端部31A,31Aが重合され、この重合状態においてボルトBT及びナットNTによって一体化されている。
【0031】
上記のように構成された制震部材30は、図7に示すとおり、柱2Aと土台3に固定されて使用される。具体的には、板体31の基端部31Bを管柱2C付近の土台3の上面に載置し、弾性材33を介して基端部31Bと土台3とを固定する。次に、板体31の基端部31Aを、弾性32を介して柱2Aに固定する。以下、同様であり、柱2A,2B,2Cと、梁4と、土台3とで構成された矩形枠体は、4つの制震部材30によって固定されることとなる。この制振部材30も、筋交のように機能すると共に、緩衝材として機能する。すなわち、地震などによって建築物が大きな外力を受けた場合には、各板材31が外力を吸収するように撓むと共に、各板材31の先端部31A,31Aが弾性材32の上を摺動して震動を抑制することができる。
【0032】
以上、本発明の3つの実施例を具体的に説明したが、具体的な記載内容は、特に本発明を限定するものではない。例えば、上記の実施例では、制震部材1,20,30を垂直面に形成された枠体で使用したが、本実施例の制震部材は何れも小型軽量に構成されているので、これを水平面に形成された枠体で使用することもできる。具体的には、直交する梁で形成される矩形枠体に使用するのが有効である。さらに本発明の制震部材1,20,30は、建築物の種類を問わず使用することができる。例えば、木造建築の矩形枠体だけでなく、鉄筋建築物の矩形枠体に使用してもよい。
【0033】
また、上記各構成の制震部材は、必ずしも、ボルトとナットにより固定される必要はなく、コーチスクリュー(ラグスクリュー)を用いて固定してもよい。コーチスクリューを用いる場合、柱等に形成される予備穴にエポキシ樹脂系接着剤又はその他の接着剤を埋入して、その上にコーチスクリューをねじ込むことにより制震部材を固定するのが好適である。コーチスクリューの使用は、土台と基礎との間にナットを挟むスペースが無い時などに好適である。すなわち、本発明の制震部材は、新築の建造物に対して使用することも、既存の建築物に対して使用することも可能である。
【0034】
さらに、第1実施例、第2実施例では、制震部材と柱等を直接ボルト・ナットにより固定しているが、第3実施例と同様に制震部材と柱等の間にゴム材を介在させて、制震部材と柱等を固定してもよい。更に第3実施例では制震部材と柱等の間にゴム材を介在させているが、制震部材と柱等を直接ボルト・ナットにより固定してもよい。
【0035】
また、上記した第3実施例では、一対の板体の先端部同士31A,31Aを重合させて1つの制震部材としているが、図10、図11、図12の制震部材40A,40B,40Cのように、一枚の板バネの長さ方向中央部を肉厚に形成して制震部材とすることもできる。制震部材40A,40Bでは、その両端部が円弧状に折り曲げられており、制震部材40Cでは、その両端部が略L字状に折り曲げられている。
【0036】
制震部材40A,40Bの両端部には、ゴムなどによる緩衝材42が内装されており、内装された緩衝材の中に支持軸SFが挿入されている。この支持軸SFの両端は、固定具41により固定的に保持され、固定具41は、ボルトBTとナットNTにより柱2Aや梁4に固定されている。一方、制震部材40Cは、L字状の基端部400を有しており、基端部400は、ボルトBTとナットNTにより柱2Aや梁4に固定されている。このように構成された制震部材40A,40B,40Cは、バネ鋼による板体の中央部が肉厚であるので、通常は、筋交のように建築物の強度を補強することができ、地震などに対しては緩衝作用を発揮することとなる。
【0037】
更にまた、図13のようにコイルスプリング43を内在させた制震部材40Dを採用しても良い。この制震部材40Dは、コイルスプリング43と、コイルスプリング43の両端に当接される当接部材46とが、円筒状のハウジング47に収容されて構成されている。当接部材46は、先端側の円板部46aと、ロッド部46bと、円柱状の取付部46cとが一体化されて構成され、取付部46cの基端側が、固定具41の先端片を挟着している。そして、固定具41と取付部46cとを貫通するピン部材Pやボルトナットによって、取付部46cが固定具41に装着される。また、円板部46aの表面側と裏面側には、ゴム製の緩衝材45,44が配置されている。
【0038】
この制震部材40Dも梁4や柱2Aのコーナ部に取り付けられて、建築物の補強作用と共に、地震時には制震作用を発揮する。なお、図14に示すように、3つのコイルスプリング43A,43B,43Cを三箇所に別々に配置し、中央のコイルスプリング43Aの両側に円板部46aを配置したのでも良い。また、図15のようなコイルスプリングを使用すれば、ハウジングが不要となる。
【0039】
図15の制震部材40Eは、コイルスプリング52と、コイルスプリング52に内挿される2つのU字棒53,54とで構成されている。図示の通り、コイルスプリング52の両端52A,52Aに、U字棒53,54の基端部53A,54Aが巻着されて係止される。また、U字棒53,54の先端部53B,54Bが不図示の固定具に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第一実施例に係る制震部材の斜視図である。
【図2】第一実施例に係る制震部材の取付状態を示す図面である。
【図3】第一実施例に係る制震部材の変形例を示す図面である。
【図4】第二実施例に係る制震部材の斜視図である。
【図5】第二実施例に係る制震部材の取付状態を示す図面である。
【図6】第一実施例の制震部材と第二実施例の制震部材の取付状態を示す図面である。
【図7】第三実施例に係る制震部材の土台及び柱への取付状態を示す図面である。
【図8】第三実施例に係る制震部材の枠体への取付状態を示す図面である。
【図9】建築物の構造を示す図面である。
【図10】第三実施例に係る制震部材の変型例を示す図面である。
【図11】第三実施例に係る制震部材の変型例を示す図面である。
【図12】第三実施例に係る制震部材の変型例を示す図面である。
【図13】第四実施例に係る制震部材を示す図面である。
【図14】第四実施例に係る制震部材の変型例を示す図面である。
【図15】第四実施例に係る制震部材の別の変型例を示す図面である。
【符号の説明】
【0041】
1、20、30 制震部材
11、21A、21B 連結部
12、13、22A、22B 取付部
23 中央取付部
31 金属板
32 弾性材
BT、NT 締め付け具
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物を補強し、さらに地震等の大きな震動を有効に吸収することが可能な、建築物の枠体の四隅に取り付けられる制震部材に関する。
【背景技術】
【0002】
地震国とも呼ばれる日本では、大小の地震被害が繰り返し起きているのが実情である。そして、1995年の淡路阪神大震災などでは、二次的な火災もさることながら、一次的な家屋の倒壊による圧死の被害も多かったことが報告されている。
【0003】
そこで、地震による被害を最小限に抑える研究が進められており、建造物における耐震構造や制震構造について、各種の提案がされている(例えば、特許文献1、特許文献2)。このような提案では、梁や柱等の建築物の構造部材に制震部材を取り付けることで、建築物の制震を図っている。
【特許文献1】特開2001−081880
【特許文献2】特開2003−227186
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の制震部材は、その構成が複雑であるため、軽量化が望めず且つ高価であるという問題がある。また、交通震動による微小震動の時は、制震作用を発揮するが、地震等の大きな振動の時は、その震動を有効に吸収することができないという問題もある。一方、特許文献2の制震部材では、震動エネルギーを吸収する粘弾性材がせん断変形すると、次の余震時に震動エネルギーを有効に吸収できないという問題があった。
【0005】
また、従来は、例えば、建築物に玄関ドアDRを設けたい場合にも、建築強度の観点から600mm〜910mm程度の袖壁30が必要であるため、設計の自由度が低いという問題もあった。更にまた、新規の建築物に限らず、既存の建築物にも適用できる制震部材が望まれるところである。
【0006】
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたものであって、既存の建築物にも適用できて、有効に震動を吸収することができ、また、袖壁の寸法や玄関ドアなどの配置位置にも制限がない制震部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材であって、可撓性を有する金属板からなり、略V字状に屈曲された連結部と、前記連結部の一端側と他端側に設けられた取付部とで一体的に構成されている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材であって、同一幅で帯状に形成された可撓性の金属板を屈曲して形成され、両端部に形成された取付部と、中央部に形成された中央取付部と、前記各取付部と中央取付部とを夫々接続する連結部とで、全体として屈曲略U字状に形成されている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材であって、互いの先端部が重合される一対の可撓性の金属板と、前記金属板の重合部に挟着される弾性材とを有し、前記重合された先端部は前記弾性材を挟着した状態で締め付け具により固定されている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材であって、コイル状に巻かれた金属材と、前記コイル状金属材の軸方向の両側に当接される当接部材とを有し、前記当接部材は、先端側の当接板と、前記当接板に連続するロッド部と、前記ロッド部に連続する取付部とが一体化されて構成され、前記取付部の基端側が固定具に固定されている。
【発明の効果】
【0011】
上記した本発明によれば、既存の建築物にも適用できて、有効に震動を吸収することができ、また、袖壁の寸法や玄関ドアなどの配置位置にも制限がない制震部材を実現できる。また、本発明の制震部材は、安価軽量に実現できると共に、既存の建築物の改造その他にも適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施形態に基づき以下に説明する。図1は、本発明の第一実施例に係る制震部材1の斜視図である。図2(a)は、一対の制震部材1,1を、土台3と柱2に固定した状態を示す概略斜視図であり、図2(b)は、その正面図を示している。また、図2(c)は、制震部材1を、梁4と柱2に固定した状態も含め、制震部材1の取付状態の全体像を示している。
【0013】
図示の通り、この制震部材1は、構造部材によって形成される壁の内部空間9に配置され、柱2と梁4に固定されると共に、柱2と土台3に固定されて使用される。なお、図示例では、対面する柱2Aと柱2Bの中心距離Wが455mm、土台3の底面から梁4の頂面までの高さHが2920mmとなっている。
【0014】
図1に示すとおり、制震部材1は、バネ鋼の板体が使用され、略V字状に屈曲された連結部11と、連結部11の一端側に設けられた先端側取付部12と、連結部11の他端側に設けられた基端側取付部13とで一体的に構成されている。
【0015】
先端側取付部12は、矩形板状に形成され、連結部11の幅方向一方側に膨出している。また、先端側取付部12の幅方向中央には、2つのボルト穴14,14が長さ方向に連続して形成されている。基端側取付部13は、矩形板状に形成され、連結部11の幅方向一方側であって先端側取付部12の膨出方向と同一方向に膨出している。また、基端側取付部13の長さ方向中央には、2つのボルト穴15,15が幅方向に連続して形成されている。連結部11は、基端側を水平状態として、中央やや基端側でV字状となるように35°〜65°程度に屈曲されている。そして、この屈曲部に近接してボルト穴16が形成されている。また、連結部11は、先端側取付部12が垂直状態となるように更に屈曲されて先端側取付部12に連続している。
【0016】
図2に示すとおり、同一形状の一対の制震部材1,1が、互いに対向するように、柱2A,2Bと土台3とに囲まれる内部空間に配置される。なお、2本の柱2Aと2Bの下側には、土台3と基礎5の間に基礎パッキン6,6が設けられており、柱2Aと2Bの頂面には梁4が架け渡されている。
【0017】
制震部材1を固定するには、先ず、一方の制震部材1の基端側取付部13を、柱2A付近の土台3に載置し、基端側取付部13からボルト穴15と土台3の貫通穴にボルトを挿通する。そして、基礎パッキン6,6によって形成された空間7を利用して、土台3の下側でナットを締め付ける。同様に、連結部11のボルト穴16についても、ボルトを挿通して、土台3の下側でナットを締めこむ。これにより制震部材1は、土台3に固定される。
【0018】
先端側取付部12側についても、同様であり、ボルト穴14と柱2Aの貫通穴にボルトを挿通して、反対側からナットを締めこむ。これにより制震部材1は、柱2Aに固定される。以上の取付作業によって、柱2Aと土台3は、一方の制震部材1により固定されることとなる。
【0019】
この制震部材1は、先端側及び基端側とも取付部12,13が幅方向一方側に膨出しているので、木材の中心にボルトを挿通させて、制震部材1を強固に固定することができる。但し、図3に示すとおり、製作容易性の観点から膨出部を設けることなく、取付部12,13と連結部11とを同一幅に形成しても良い(図3参照)。
【0020】
次に、柱2Aと土台3に取り付けた制震部材1と対向するように、同様の手順で、柱2Bと土台3に他方の制震部材1を固定する。すると、柱2Aと柱2Bと土台3は、一対の制震部材1,1により固定されることになる。本実施例の制震部材1は、連結部11の水平部分11aを、同一平面上で隣接して載置できるので、対面する2つの柱2A,2Bの水平距離Wに関係なく使用することができる。なお、図示例では、連結部11の傾斜部分11bが、正面視でX字状に交差するように、各制震部材11,11が配置されている。
【0021】
続いて、図2(c)に示すとおり、梁4と柱2A,2Bに、一対の制震部材1,1を取り付けることにより、梁4と柱2A,2Bを制震部材1,1により固定する。以上により、柱2A,2B,土台3及び梁4で形成される矩形状の枠体に、4つの制震部材1が固定されることとなる。
【0022】
このようにして固定された4つの制震部材1は、通常は、土台3と柱2、梁4と柱2を固定する筋交のように機能して建築物の強度を補強することができる。そして、地震などによる過大な外力を受けた場合には、バネ鋼による緩衝作用によって、その震動を吸収することができる。すなわち、制震部材1を、木造建築物の矩形枠体の四隅に使用することで耐力壁を実現できるので、例えば、建築物に大きな玄関ドアDRを設けたい場合にも、その配置位置に制限がなく、また、袖壁30についても水平寸法455mm程度で足りる。
【0023】
図4は、第2実施例に係る制震部材20の斜視図である。図5(a)は、制震部材20を、土台3と柱2に固定した状態を示す概略斜視図であり、図5(b)は、その正面図を拡大して示している。また、図5(c)は、制震部材20を、梁4と柱2に固定した状態も含め、制震部材20の取付状態の全体像を示している。なお、図示例では、柱2Aと柱2Bの中心距離Wが455mm、土台3の底面から梁4の頂面までの高さHが2920mmとなっている。
【0024】
この制震部材20は、同一幅で帯状に形成されたバネ鋼板材を屈曲して形成されている。具体的には、両端部に形成された取付部22A,22Bと、中央部に形成された中央取付部23と、取付部22A,22Bと中央取付部23とを夫々接続する連結部21A,21Bとで、全体として屈曲略U字状に形成されている。取付部22A,22B及び中央取付部23は矩形状に形成され、幅方向中央にはそれぞれ各2つのボルト穴24A,24B,25が形成されている。連結部21A,21Bは、中央取付部23を水平状態としたとき、35°〜65°程度に立ち上がるように屈曲されている。また、連結部21A,21Bは、取付部22A,22Bが垂直状態となるように、先端側で更に屈曲されている。
【0025】
上記のように構成された制震部材20は、図5に示すとおり、2本の柱2A,2Bと土台3とに囲まれる内部空間9に配置して使用される。なお、図2と同様に、2本の柱2Aと2Bの下側には、土台3と基礎5の間に基礎パッキン6,6が設けられており、柱2Aと2Bの頂面には梁4が架け渡されている。そして、取付方法についても、図1の制震部材1と同様である。この制震部材20も、通常は、筋交のように機能して建築物の強度を補強することができ、地震などに対しては緩衝作用を発揮する。
【0026】
ところで、図4の制震部材20の場合には、柱2への固定用ボルト穴24A,24Bが、図1の制震部材1のボルト穴14とは異なる位置に設定されている。そのため、1本の柱2に交差して制震部材1と制震部材20を使用することが可能となり、上記した補強効果と制震効果を建物全体で発揮することが可能となる(図6参照)。
【0027】
図7は、第3実施例に係る制震部材30を図示したものである。図7(a)は、柱2と土台3に制震部材30を取り付けた状態を示す正面図、図7(b)は制震部材30の中央部分を示す平面拡大図である。また、図8は、土台3と柱2と梁4とで構成される矩形枠体に、4つの制振部材30を取り付けた状態を示している。なお、この実施例では、柱2Aから柱2Bの中心距離Wが910mm、土台3の底面から梁4の頂面までの高さHが2920mmである。また、柱2Aと柱2Bの中間には、柱2A,2Bと同寸法の管柱2Cが設けられている。
【0028】
この制震部材30は、図5に示すとおり、互いの先端部31Aが重合される一対の板体31,31と、板体31の重合部に挟着される弾性材32と、板材の基端部31Bに配置される弾性材33とで構成されている。
【0029】
各板体31は、帯状のバネ鋼により形成され、先端部31Aには楕円状の長穴34,34が形成され、基端部31Bには円形の取付穴35,35が形成されている。図5(b)に示す通り、長穴34は、板体31の長さ方向に延びて形成されている。弾性材32,33は、典型的にはゴム材であり、それぞれ長穴34と取付穴35と同心状の円形穴が形成されている。
【0030】
一対の板材31,31は、弾性材32を挟持した状態で、互いの先端部31A,31Aが重合され、この重合状態においてボルトBT及びナットNTによって一体化されている。
【0031】
上記のように構成された制震部材30は、図7に示すとおり、柱2Aと土台3に固定されて使用される。具体的には、板体31の基端部31Bを管柱2C付近の土台3の上面に載置し、弾性材33を介して基端部31Bと土台3とを固定する。次に、板体31の基端部31Aを、弾性32を介して柱2Aに固定する。以下、同様であり、柱2A,2B,2Cと、梁4と、土台3とで構成された矩形枠体は、4つの制震部材30によって固定されることとなる。この制振部材30も、筋交のように機能すると共に、緩衝材として機能する。すなわち、地震などによって建築物が大きな外力を受けた場合には、各板材31が外力を吸収するように撓むと共に、各板材31の先端部31A,31Aが弾性材32の上を摺動して震動を抑制することができる。
【0032】
以上、本発明の3つの実施例を具体的に説明したが、具体的な記載内容は、特に本発明を限定するものではない。例えば、上記の実施例では、制震部材1,20,30を垂直面に形成された枠体で使用したが、本実施例の制震部材は何れも小型軽量に構成されているので、これを水平面に形成された枠体で使用することもできる。具体的には、直交する梁で形成される矩形枠体に使用するのが有効である。さらに本発明の制震部材1,20,30は、建築物の種類を問わず使用することができる。例えば、木造建築の矩形枠体だけでなく、鉄筋建築物の矩形枠体に使用してもよい。
【0033】
また、上記各構成の制震部材は、必ずしも、ボルトとナットにより固定される必要はなく、コーチスクリュー(ラグスクリュー)を用いて固定してもよい。コーチスクリューを用いる場合、柱等に形成される予備穴にエポキシ樹脂系接着剤又はその他の接着剤を埋入して、その上にコーチスクリューをねじ込むことにより制震部材を固定するのが好適である。コーチスクリューの使用は、土台と基礎との間にナットを挟むスペースが無い時などに好適である。すなわち、本発明の制震部材は、新築の建造物に対して使用することも、既存の建築物に対して使用することも可能である。
【0034】
さらに、第1実施例、第2実施例では、制震部材と柱等を直接ボルト・ナットにより固定しているが、第3実施例と同様に制震部材と柱等の間にゴム材を介在させて、制震部材と柱等を固定してもよい。更に第3実施例では制震部材と柱等の間にゴム材を介在させているが、制震部材と柱等を直接ボルト・ナットにより固定してもよい。
【0035】
また、上記した第3実施例では、一対の板体の先端部同士31A,31Aを重合させて1つの制震部材としているが、図10、図11、図12の制震部材40A,40B,40Cのように、一枚の板バネの長さ方向中央部を肉厚に形成して制震部材とすることもできる。制震部材40A,40Bでは、その両端部が円弧状に折り曲げられており、制震部材40Cでは、その両端部が略L字状に折り曲げられている。
【0036】
制震部材40A,40Bの両端部には、ゴムなどによる緩衝材42が内装されており、内装された緩衝材の中に支持軸SFが挿入されている。この支持軸SFの両端は、固定具41により固定的に保持され、固定具41は、ボルトBTとナットNTにより柱2Aや梁4に固定されている。一方、制震部材40Cは、L字状の基端部400を有しており、基端部400は、ボルトBTとナットNTにより柱2Aや梁4に固定されている。このように構成された制震部材40A,40B,40Cは、バネ鋼による板体の中央部が肉厚であるので、通常は、筋交のように建築物の強度を補強することができ、地震などに対しては緩衝作用を発揮することとなる。
【0037】
更にまた、図13のようにコイルスプリング43を内在させた制震部材40Dを採用しても良い。この制震部材40Dは、コイルスプリング43と、コイルスプリング43の両端に当接される当接部材46とが、円筒状のハウジング47に収容されて構成されている。当接部材46は、先端側の円板部46aと、ロッド部46bと、円柱状の取付部46cとが一体化されて構成され、取付部46cの基端側が、固定具41の先端片を挟着している。そして、固定具41と取付部46cとを貫通するピン部材Pやボルトナットによって、取付部46cが固定具41に装着される。また、円板部46aの表面側と裏面側には、ゴム製の緩衝材45,44が配置されている。
【0038】
この制震部材40Dも梁4や柱2Aのコーナ部に取り付けられて、建築物の補強作用と共に、地震時には制震作用を発揮する。なお、図14に示すように、3つのコイルスプリング43A,43B,43Cを三箇所に別々に配置し、中央のコイルスプリング43Aの両側に円板部46aを配置したのでも良い。また、図15のようなコイルスプリングを使用すれば、ハウジングが不要となる。
【0039】
図15の制震部材40Eは、コイルスプリング52と、コイルスプリング52に内挿される2つのU字棒53,54とで構成されている。図示の通り、コイルスプリング52の両端52A,52Aに、U字棒53,54の基端部53A,54Aが巻着されて係止される。また、U字棒53,54の先端部53B,54Bが不図示の固定具に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第一実施例に係る制震部材の斜視図である。
【図2】第一実施例に係る制震部材の取付状態を示す図面である。
【図3】第一実施例に係る制震部材の変形例を示す図面である。
【図4】第二実施例に係る制震部材の斜視図である。
【図5】第二実施例に係る制震部材の取付状態を示す図面である。
【図6】第一実施例の制震部材と第二実施例の制震部材の取付状態を示す図面である。
【図7】第三実施例に係る制震部材の土台及び柱への取付状態を示す図面である。
【図8】第三実施例に係る制震部材の枠体への取付状態を示す図面である。
【図9】建築物の構造を示す図面である。
【図10】第三実施例に係る制震部材の変型例を示す図面である。
【図11】第三実施例に係る制震部材の変型例を示す図面である。
【図12】第三実施例に係る制震部材の変型例を示す図面である。
【図13】第四実施例に係る制震部材を示す図面である。
【図14】第四実施例に係る制震部材の変型例を示す図面である。
【図15】第四実施例に係る制震部材の別の変型例を示す図面である。
【符号の説明】
【0041】
1、20、30 制震部材
11、21A、21B 連結部
12、13、22A、22B 取付部
23 中央取付部
31 金属板
32 弾性材
BT、NT 締め付け具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材であって、
可撓性を有する金属板からなり、略V字状に屈曲された連結部と、前記連結部の一端側と他端側に設けられた取付部とで一体的に構成されている制震部材。
【請求項2】
矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材であって、
同一幅で帯状に形成された可撓性の金属板を屈曲して形成され、両端部に形成された取付部と、中央部に形成された中央取付部と、前記各取付部と中央取付部とを夫々接続する連結部とで、全体として屈曲略U字状に形成されている制震部材。
【請求項3】
矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材であって、
互いの先端部が重合される一対の可撓性の金属板と、前記金属板の重合部に挟着される弾性材とを有し、前記重合された先端部は前記弾性材を挟着した状態で締め付け具により固定されている制震部材。
【請求項4】
矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材であって、
コイル状に巻かれた金属材と、前記コイル状金属材の軸方向の両側に当接される当接部材とを有し、前記当接部材は、先端側の当接板と、前記当接板に連続するロッド部と、前記ロッド部に連続する取付部とが一体化されて構成され、前記取付部の基端側が固定具に固定されている制震部材。
【請求項1】
矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材であって、
可撓性を有する金属板からなり、略V字状に屈曲された連結部と、前記連結部の一端側と他端側に設けられた取付部とで一体的に構成されている制震部材。
【請求項2】
矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材であって、
同一幅で帯状に形成された可撓性の金属板を屈曲して形成され、両端部に形成された取付部と、中央部に形成された中央取付部と、前記各取付部と中央取付部とを夫々接続する連結部とで、全体として屈曲略U字状に形成されている制震部材。
【請求項3】
矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材であって、
互いの先端部が重合される一対の可撓性の金属板と、前記金属板の重合部に挟着される弾性材とを有し、前記重合された先端部は前記弾性材を挟着した状態で締め付け具により固定されている制震部材。
【請求項4】
矩形状の枠体の四隅に使用され、互いに直交する2つの建築部材に固定される制震部材であって、
コイル状に巻かれた金属材と、前記コイル状金属材の軸方向の両側に当接される当接部材とを有し、前記当接部材は、先端側の当接板と、前記当接板に連続するロッド部と、前記ロッド部に連続する取付部とが一体化されて構成され、前記取付部の基端側が固定具に固定されている制震部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−239416(P2007−239416A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67320(P2006−67320)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(500543834)木建技研株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(500543834)木建技研株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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