説明

張り出し無線装置、信号伝送速度の判別方法及び判別プログラム

【課題】変復調装置からベースバンド信号の伝送を受けて張り出し無線装置が動作する信号伝送系における信号の伝送速度を判別する。
【解決手段】変復調装置からベースバンド信号の伝送を受けて動作する張り出し無線装置であって、前記ベースバンド信号を基にしてパラレル信号およびクロック信号を生成するインタフェース部と、前記インタフェース部が生成する前記クロック信号と比較するための規定値の異なる信号を順次出力する制御部と、前記インタフェース部が生成する前記クロック信号と、前記制御部が出力する規定値の信号とが一致するか否かを検出し、前記両信号が一致した際に一致信号を出力するクロック回路とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は変復調装置と張り出し無線装置との間を光ファイバなどの回線で接続した構造の移動通信用無線基地局装置に関し、特に張り出し無線装置の側での伝送速度の判別に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信用無線基地局装置で、親機にあたる変復調装置と、子機にあたる張り出し無線装置との間を光ファイバなどの回線で接続した構造のものがある。この形式の装置で、変復調装置(REC:Radio Equipment Control)と張り出し無線装置(RE:Radio Equipment)を接続する光または電気信号のインタフェースとして、CPRI(Common Public Radio Interface)と呼ばれる標準仕様がある。
【0003】
CPRI(Specification v3.0)では、伝送速度として、614.4Mbps、1228.8Mbps、2457.6Mbps、3072.0Mbpsの4種類の伝送速度が用意されている。これは、移動通信用無線基地局装置を運用するオペレータがどの伝送速度に対応したCPRI規格を使用するかを決定し、移動通信用無線基地局装置を製造するベンダはその要求にあったものをオペレータに提供するためである。そのため、張り出し無線装置の側で、親機から送信されるベースバンド信号の伝送速度を、規格上で用意された速度の中から判別することが可能である必要がある。
【0004】
光伝送システム、特に伝送速度の自動判別について、次のような先行技術文献がある。特許文献1には、光送信器の出力信号に伝送速度情報を重畳し、光受信器側でその制御監視信号をローパスフィルタで抽出して伝送速度を判別するという技術が記載されている。特許文献2には、送信信号内のフレーミングバイトから固有のデータビットパターンを検出して伝送速度の判別を行うという技術が記載されている。
【0005】
特許文献3には、ロック/アンロックの各状態を検出し、アンロック状態の場合に伝送速度の設定値を変更するプログラマブルロジックデバイス用のCDR(Clock and Data Recovery)回路が記載されている。特許文献4には、ロック状態で伝送速度に対応するソフトウェアをダウンロードするデータ伝送用のシリアルインターフェイスが記載されている。
【0006】
特許文献5には、複数の電圧制御発振器を持ち、切替器で電圧制御発振器を次々と切り替えて周波数を変化させるという技術が記載されている。特許文献6には、アンロック状態を検出した場合に切替器で電圧制御発振器を切り替えるという技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−244075号公報
【特許文献2】特開2002−204226号公報
【特許文献3】特表2003−527034号公報
【特許文献4】特開2006−302277号公報
【特許文献5】特開昭62−203423号公報
【特許文献6】特開平04−330675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の技術では、伝送速度を情報として信号に重畳させる必要があるため、光信号のフォーマットが独自のものとなり、既に標準化されている仕様のもとで利用することはできない。また伝送速度情報をローパスフィルタにより抽出するので、LPFをローパスフィルタする周波数成分しか使用できず、制御監視信号の周波数成分を決定する上で制約となる。特許文献2の技術では、フレーミングバイトから固有のデータビットパターンを検出するには、送られてくる信号のフォーマットが既知でなければならない。
【0009】
また、特許文献3には、「ロック/アンロックを検出する」及び「アンロックの場合に伝送速度の設定値を変更する」という技術が示されているが、これはCDR回路の一例を示しているに過ぎない。同様に特許文献4も、伝送速度に対応するソフトウェアをダウンロードする方法の一例を示しているに過ぎない。特許文献3〜4、さらに特許文献5〜6のいずれも、張り出し無線装置とは用途も目的も異なる。
【0010】
つまり、特許文献1〜2の技術にさらに特許文献3〜6の技術を組み合わせても、世界標準の仕様を変更せずに、張り出し無線装置で伝送速度を自動で判別してそれに対応したフォーマットで信号を処理するということは、可能とならない。
【0011】
本発明の目的は、世界標準の仕様を変更することなく、伝送速度を自動で判別して、伝送速度に対応したフォーマットで信号を処理することのできる張り出し無線装置、信号伝送速度の判別方法及び判別プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、本発明に係る張り出し無線装置は、変復調装置からベースバンド信号の伝送を受けて動作する張り出し無線装置であって、前記ベースバンド信号を基にしてパラレル信号およびクロック信号を生成するインタフェース部と、前記インタフェース部が生成する前記クロック信号と比較するための規定値の信号を出力する制御部と、前記インタフェース部が生成する前記クロック信号と、前記制御部が出力する規定値の信号とが一致するか否かを検出し、前記両信号が一致した際に一致信号を出力するクロック回路とを有することを特徴とする。
【0013】
上述した説明では、本発明を張り出し無線装置として構築したが、このハードウェアとして構築する場合に限られるものではない。本発明を信号伝送速度の判別方法、ソフトウェアとしての判別プログラムとして構築してもよいものである。
【0014】
本発明を方法として構築した場合、本発明に係る信号伝送速度の判別方法は、変復調装置からベースバンド信号の伝送を受けて張り出し無線装置が動作する信号伝送系における信号の伝送速度を判別する伝送速度の判別方法であって、
前記ベースバンド信号を基にしてパラレル信号およびクロック信号を生成し、前記クロック信号と比較するための規定値の信号を出力し、前記クロック信号と前記規定値の信号とが一致するか否かを検出し、前記両信号が一致した際に一致信号を出力することを特徴とする。
【0015】
本発明をソフトウェアとしてのプログラムとして構築した場合、本発明に係る信号伝送速度の判別プログラムは、変復調装置からベースバンド信号の伝送を受けて張り出し無線装置が動作する信号伝送系における信号の伝送速度を判別する伝送速度の判別プログラムであって、
コンピュータに、前記ベースバンド信号を基にしてパラレル信号およびクロック信号を生成する機能と、前記クロック信号と比較するための規定値の信号を出力する機能と、前記クロック信号と前記規定値の信号とが一致するか否かを検出し、前記両信号が一致した際に一致信号を出力する機能とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、信号伝送系に伝送される信号に基づいて生成したクロック信号と規定値の信号とを比較し、その比較結果に基づいて信号伝送系に伝送される信号の伝送速度を、世界標準の仕様を変更することなく、自動で判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信用無線基地局装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した送受信制御部のより詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示したインタフェース部のより詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】図2に示したクロック回路のより詳細な構成を示すブロック図である。
【図5】図2〜4に示す張り出し無線装置の起動時の動作を示すフローチャートである。
【図6】図2〜4に示す張り出し無線装置が2457.6Mbpsの伝送速度に対応して動作しているときに、1228.8MbpsのCPRIに切り替えられた場合の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る移動通信用無線基地局装置の張り出し無線装置の構成を示すブロック図である。
【図8】図7に示す張り出し無線装置の起動時の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る移動通信用無線基地局装置の張り出し無線装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る移動通信用無線基地局装置1の構成を示すブロック図である。図1に示す変復調装置10は移動通信用無線基地局装置1の親機であり、図1に示す張り出し無線装置20は子機である。図1において、移動通信用無線基地局装置1の送受信機部分を独立させたものが張り出し無線装置20である。光ファイバ11は変復調装置10と張り出し無線装置20の間でデジタルのベースバンド信号を伝送する。
【0019】
張り出し無線装置20は、送受信制御部21、受信機22、送信機23、フィルタ24、およびアンテナ25を有している。送受信制御部21は変復調装置10とのインタフェース機能をもち、ベースバンド処理を行うことで受信機22および送信機23とのインタフェースも行う。
【0020】
受信機22は低雑音増幅器、周波数変換器、妨害波抑圧フィルタなどを有して、フィルタ24からの受信信号をデジタル信号に変換して送受信制御部21に出力する。送信機23は送受信制御部21からのデジタル信号をアナログ変換、周波数変換、不要波の抑圧を行い、規定の出力電力に増幅してフィルタ24へ出力する。
【0021】
フィルタ24はアンテナ25に接続されており、アンテナ25からの受信信号に対する妨害波の抑圧と、送信機23からの出力信号における不要波の抑圧を行う。アンテナ25は受信信号を受信し、送信信号を送信する。
【0022】
図2は、図1に示した送受信制御部21のより詳細な構成を示すブロック図である。送受信制御部21は、電気/光変換部31、インタフェース部32、フォーマット変換部33、ベースバンド処理部34、クロック回路35、制御部36、スイッチ37、メモリ38aおよび38bを有している。
【0023】
電気/光変換部31は光信号である信号Aをシリアルの電気信号である信号Bに変換する。インタフェース部32は電気/光変換部31から入力された信号Bをパラレルの電気信号である信号Kに変換し、また信号Bからクロック信号である信号Cを生成する。フォーマット変換部33は後述のクロック回路35で生成した信号Dをトリガーとし、インタフェース部32から出力された信号Kのフォーマットに対応して、信号の同期やベースバンド処理部34へ出力するデータ部分の抜き取りを行い、信号Lとして出力する。
【0024】
ベースバンド処理部34はフォーマット変換部33で生成された信号Lのベースバンド処理を行う。クロック回路35は発振器とPLLで構成され、前記クロック回路35の前記PLLと前記発振器とは、制御部36からの信号Eで動作する。クロック回路35は、信号Cを基準信号として、インタフェース部32からの信号Cと制御部36からの信号Eとを比較し、それらの信号が一致しているときに一致信号として信号Dを出力し、それらの信号が不一致のときに不一致信号を出力する。また、クロック回路35は、信号Cと信号Eとが一致する場合、及び信号Cと信号Eとが不一致の場合を示す信号Fを制御部36に出力する。制御部36は、クロック回路35からの信号Fを受け取って、信号CとDが不一致する場合をトリガーとして、規定値の異なる信号Eをクロック回路35に出力する。さらに詳細に説明すると、クロック回路35は、前記信号Cと前記信号Eとが一致するとき、すなわち前記PLLがロックしている状態のときに信号Dを出力し、前記信号Cと前記信号Eとが不一致のとき、すなわち前記PLLがアンロックしている状態のときに不一致信号を出力する。また、クロック回路35は、前記PLLがロック状態と前記PLLがアンロック状態とを示す信号Fを制御部36に出力する。
【0025】
制御部36は、クロック回路35からの信号Fに基づいてクロック回路35の動作周波数を設定するための信号Eをクロック回路35に出力し、スイッチ37の制御を行うための信号Gを出力する。スイッチ37は、制御部36からの信号Gに基づいて、メモリ38aおよび38bとの経路(信号Hおよび信号I)を切り替え、メモリ38a又は38bから出力される信号H又はIを信号Jとしてフォーマット変換部33に出力する。具体的には、メモリ38aおよび38bはフォーマット変換部33を動作させるための2種類の伝送速度に対応したソフトウェアをそれぞれ格納し、メモリ38aおよび38bは、スイッチ37経由で制御部36が指示したソフトウェアを信号HまたはIとして出力し、スイッチ37は、メモリ38a又は38bから出力される信号(ソフトウェア)HまたはIをフォーマット変換部33に信号Jとして送出する。
【0026】
図3は、図2に示したインタフェース部32のより詳細な構成を示すブロック図である。インタフェース部32は、シリアル変換部41、パラレル変換部43、CDR部45、バッファ部42および44を有している。
【0027】
バッファ部42はフォーマット変換部33からの信号を受け取る。シリアル変換部41はバッファ部42から受け取った信号をシリアル信号に変換して、電気/光変換部31に出力する。パラレル変換部43は電気/光変換部31からの信号Bをパラレル信号に変換し、それをCDR部45及びバッファ部44に出力する。
【0028】
バッファ部44はパラレル変換部42の信号を受け取り、信号Kとしてフォーマット変換部33へ送る。CDR部45は、パラレル変換部43から受けたパラレル信号からクロックを抽出して再生クロックを生成するCDR(Clock and Data Recovery)機能を持ち、その生成した再生クロックを信号Cとしてクロック回路35に出力する。
【0029】
図4は、図2に示したクロック回路35のより詳細な構成を示すブロック図である。クロック回路35は、PLL(Phase Locked Loop)51、発振器52、およびスイッチ53を有している。PLL51はインタフェース部32からの信号Cを基準とし、制御部36の信号Eで指示された周波数に発振器52の発振周波数を設定する。発振器52は出力信号をPLL51へ戻すとともに、出力信号をスイッチ53に出力する。PLL51は発振器52からの信号を受けて動作を実行する。スイッチ53は、信号FがPLLのロック状態をのときに信号Dの出力をONし、PLL51からの信号Fがアンロック状態のときに信号Dの出力をOFFする。
【0030】
なお、上記実施形態では、信号Aを光信号としているが、信号Aを電気信号としてもよい。その場合は、光ファイバ11は同軸ケーブル等のような電気信号用のケーブルに置き換わり、電気/光変換部31は省略される。
【0031】
図5は、図2〜図4に示す張り出し無線装置20の起動時の動作を示すフローチャートである。張り出し無線装置20の電源が投入され、電気/光変換部31に光信号Aが入力されると、電気/光変換部31はそれを電気信号Bに変換して出力する(ステップS101)。
【0032】
インタフェース部32は前記信号Bを入力すると、インタフェース部32内のパラレル変換部43は、前記信号Bに基づいて、データが含まれた電気信号とその電気信号を元としたクロック信号を生成する。CDR部43は、前記クロック信号に基づいて信号Aの伝送速度に対応した再生クロックとして生成し、その再生クロックをクロック回路35へ信号Cとして出力する(ステップS102)。
【0033】
電源投入により制御部36が動作するようになると、制御部36はクロック回路35内にあるPLL51に対する設定値S1を示す信号Eを出力する(ステップS103)。クロック回路35のPLL51は、信号Eに基づく設定値S1により動作周波数を設定し、その設定した周波数の信号を発振器52に出力する。発振器52は、PLL51からの信号を受けて、その発振周波数を前記設定値S1で決められた周波数に設定する。
(ステップS104)。ここで設定値S1は、信号Aの周波数を前提としてあらかじめ決定された設定値である。
【0034】
決められた周波数に設定されたPLL51は、発振器52の発振周波数がロックされているか否かの判断を行い(ステップS105)、その結果を信号Fとして制御部36へ出力する。
【0035】
ここで「周波数がロックされている」とは、PLL51がインタフェース部32からの信号Cの周波数と発振器52の発振周波数とを比較し、一致していればPLL51がロック状態であると判断することを意味する。以後、周波数がロックされている状態をロック状態といい、そうでない状態をアンロック状態という。ロック状態であれば、処理がステップS106に進み、アンロック状態であれば処理がステップS109に進む。
【0036】
ステップS105でロック状態と判断されて処理がステップS106に進んだ場合、ロック状態である旨の信号Fを受けた制御部36は、設定値S1に対応したフォーマット変換部33のソフトウェアが格納されたメモリ38aを使用するために、スイッチ37を制御してメモリ38aを選択する経路へと切り替える(ステップS106)。メモリ38aは格納しているソフトウェアを読み出し、そのソフトウェアをスイッチ37に出力する。フォーマット変換部33は、スイッチ37を介して、メモリ38aが読み出したソフトウェアをダウンロードし、フォーマット変換部33は受け取ったソフトウェアによって起動する(ステップS107)。
【0037】
起動が完了すれば、フォーマット変換部33はインタフェース部32から受け取る信号のフォーマットを認識でき、ベースバンド処理部34へ信号を受け渡すことが可能となる(ステップS108)。これにより、張り出し無線装置20が正常に動作することが可能となる。
【0038】
ステップS105でアンロック状態と判断されて処理がステップS109に進んだ場合、アンロック状態である旨の信号Fを受けた場合、制御部36は、インタフェース部32から出力される信号Cの周波数が設定値S1とは異なると判断し、制御部36は異なる周波数を想定した設定値S2の信号Eをクロック回路35に出力する(ステップS109)。クロック回路35のPLL51は、制御部36からの信号Eを受けて、その設定値S2に基づいて動作周波数を設定する。発振器52は、PLL51からの信号Eを受けて、その発振周波数を規定値S2に基づく発振周波数に設定する(ステップS110)。
【0039】
発振器52がその発振周波数を規定値S2に基づいた周波数に設定したとき、PLL51は前記発振器52からの規定値S2に基づく発振周波数の信号を受け取ると、PLL51は周波数をロックしたことを示すロック状態であるという旨の信号を信号Fとして制御部36へ出力する(ステップS111)。この信号Fを受け取った制御部36は、設定値S2に対応したフォーマット変換部33のソフトウェアが格納されたメモリ38bを使用するために、スイッチ37を制御してメモリ38bを選択する経路へと切り替える(ステップS112)。
【0040】
メモリ38bは、格納しているソフトウェアをスイッチ37に出力する。フォーマット変換部33は、クロック回路35からの信号Dをトリガーとして、スイッチ37を介して、メモリ38bが読み出したソフトウェアをダウンロードし、そのソフトウェアに基づいて起動する(ステップS113)。起動が完了すれば、フォーマット変換部33はインタフェース部32から受け取る信号のフォーマットを認識でき、ベースバンド処理部34へ信号を受け渡すことが可能となる(ステップS114)。
【0041】
ここで上述の動作の具体的な一例として、CPRIで規格化された伝送速度の中から1228.8Mbpsと2457.6Mbpsという2通りの伝送速度が適用された場合の例を示す。図5における設定値S1とメモリ38a内のソフトウェアは1228.8Mbpsの伝送速度に対応し、設定値S2とメモリ38b内のソフトウェアは2457.6Mbpsの伝送速度に対応している。
【0042】
CPRIとして1228.8Mbpsの伝送速度を使用し、インタフェース部32から出力される再生クロック(信号C)の周波数は122.88MHzである。制御部36から出力される設定値S1は、信号Cを基準として122.88MHzの信号Dを出力させる設定値となっており、クロック回路35はロック状態となる。
【0043】
従って、制御部36はメモリ38aのソフトウェアを使用するためスイッチ37の経路切り替えを行い、フォーマット変換部33は、メモリ38aのソフトウェアをダウンロードすることになる。メモリ38a内のソフトウェアは1228.8Mbpsの伝送速度に対応したソフトウェアであることから、フォーマット変換部33に入力された信号の信号処理が実行され、ベースバンド処理部34に出力されることになる。
【0044】
また、2457.6Mbpsの伝送速度を使用した場合、インタフェース部32から出力される信号Cの周波数は245.76MHzとなる。制御部36から最初に出力される設定値S1は、122.88MHzの信号Cを基準とした設定値であるため、信号Cの周波数が異なりクロック回路35は指定された周波数にロックできず、アンロック状態として信号Fを出力する。
【0045】
ここで、制御部36は、2457.6Mbpsの伝送速度に対応した設定値S2を信号Eとして出力する。この場合、245.76MHzの信号Cを基準とした設定値となっており、クロック回路35はロック状態となり信号Fを出力する。そこで、制御部36はメモリ38bのソフトウェアを使用するためスイッチ37の経路切り替えを行い、フォーマット変換部33は、メモリ38bのソフトウェアをダウンロードすることになる。
【0046】
メモリ38b内のソフトウェアは2457.6Mbpsの伝送速度に対応したソフトウェアであることから、フォーマット変換部33は、入力した信号の信号処理を実行し、その信号処理の結果をベースバンド処理部34に出力する。
【0047】
図6は、図2〜図4に示す張り出し無線装置20が2457.6Mbpsの伝送速度に対応して動作しているときに、1228.8MbpsのCPRIに切り替えられた場合の動作を示すフローチャートである。上述の図5の説明にあわせて、メモリ38bは、2457.6Mbpsの伝送速度に対応したソフトウェアを格納し、メモリ38aは、1228.8Mbpsの伝送速度に対応したソフトウェアを格納しているものとする。制御部36は、2457.6Mbpsの伝送速度に対応して規定値S1の信号Eを出力し、1228.6Mbpsの伝送速度に対応して規定値S2の信号Eを出力するものとする。
【0048】
2457.6Mbpsの伝送速度に対応して動作している変復調装置10および張り出し無線装置20において、変復調装置の交換等で1228.8MbpsのCPRI仕様に変更されると(ステップS201)、これによりインタフェース部32が生成する再生クロックである信号Cの周波数が245.76MHzから122.88MHzに変わる(ステップS202)。
【0049】
信号Cの周波数変更に伴いクロック回路35はアンロック状態となり、信号Fを出力する(ステップS203)。信号Fを受けた制御部36は、設定値S1を信号Eとして出力する(ステップS204)。クロック回路35は122.88MHzの信号Cに対応した設定値S1によりロック状態となり、信号Fとして制御部36へ出力する(ステップS205)。信号Fを受けた制御部36はスイッチ37を制御してメモリ38aの経路へと切り替える(ステップS206)。
【0050】
フォーマット変換部33は、メモリ38a内のソフトウェアをダウンロードすると、フォーマット変換部33は、1228.8Mbpsに対応したソフトウェアで再起動する(ステップS207)。これにより、フォーマット変換部33は、信号処理を再開し(ステップS208)、張り出し無線装置20は1228.8MbpsのCPRIに対応した装置へと切り替わることができる。
【0051】
以上で説明した本発明の第1実施形態では、インタフェース部32から出力されるクロック信号Cの周波数によりクロック回路のロック状態、アンロック状態を制御部36で判断する。これによって張り出し無線装置20は、インタフェース部32から出力されるクロック信号の周波数にあわせたクロック回路の設定を行うことができる。さらに、制御部36が光信号のフォーマットを判別して、該フォーマットに対応したソフトウェアを用いて張り出し無線装置20を起動することも可能となる。
【0052】
以上で示した例では、2つのメモリ38aおよび38bによって2種類の伝送速度に対応したが、これを3種類以上の伝送速度に対応するように拡張することも容易にできる。また、伝送速度ごとに通信フォーマットおよびプロトコルを異なるものとすることもできる。
【0053】
[第2の実施形態]
図7は、本発明の第2の実施形態に係る移動通信用無線基地局装置の張り出し無線装置320の構成を示すブロック図である。移動通信用無線基地局装置全体の構成は、張り出し無線装置20が張り出し無線装置320に置き換わる以外は、図1に示した本発明の第1の実施形態に係る移動通信用無線基地局装置1全体の構成と同一である。また、張り出し無線装置320も、図2に示した本発明の第1の実施形態に係る張り出し無線装置20と同一の構成要素を多く含んでいるので、同一の要素には同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0054】
張り出し無線装置320の中の送受信制御部321は、第1の実施形態に係る送受信制御部21に、さらに同期検出部339を付加したものである。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。クロック回路35は、ロック状態になると、信号Dをフォーマット変換部33と同期検出部339に同時に出力する。メモリ38aは、フォーマット変換部33の初期起動用のソフトウェアを格納している。メモリ38bは、初期状態では何も格納していないが、同期検出部339が動作した際に同期検出部339から送られてくるソフトウェアを格納する。
【0055】
同期検出部339は、クロック回路35からの信号Dを検出すると、その信号Dとインタフェース部32からの信号Kとの同期をとる。同期検出部339での同期が確立すると、張り出し無線装置320と変復調装置10の間で同期が確立することとなる。そこで、変復調装置10はフォーマット変換部33用のソフトウェアを出力し、同期検出部339は、信号Kにより変復調装置10からのソフトウェアを受け取る。同期検出部339は、受け取ったソフトウェアを信号Mとしてメモリ38bに送り、メモリ38bは、同期検出部339からのソフトウェアを格納する。
【0056】
図8は、図7に示す張り出し無線装置320の起動時の動作を示すフローチャートである。張り出し無線装置320の電源が投入され、電気/光変換部31に伝送速度が未知の光信号Aが入力されると、電気/光変換部31はそれを電気信号Bに変換して出力する(ステップS401)。
【0057】
その信号Bがインタフェース部32に入力されると、インタフェース部32内のパラレル変換部42は、信号Bに基づいて、データが含まれた電気信号とその電気信号を元としたクロック信号とを生成する。前記クロック信号がCDR部43に入力されると、CDR部43は、前記クロック信号に基づいて、信号Aの伝送速度に対応した再生クロックを生成し、その再生クロックを未知の周波数の信号Cとしてクロック回路35へ出力する(ステップS402)。この段階では、CDR部43からクロック回路35へ出力する信号Cの周波数は未知である。ここで、0または正の整数であるnをn=0と初期設定する。
【0058】
電源投入により制御部36が動作すると、制御部36は、初期値として設定値S(n)を示す信号Eをクロック回路35へ出力する(ステップS403)。従って、クロック回路35、特にPLL51及び発振器52は、未知の周波数の信号Cと、制御部36からの規定値S(n)とに基づいて動作を開始する(ステップS404)。
【0059】
クロック回路35は、動作を開始すると、そのPLL51の状態を確認し、ロック状態を示す信号F、或いはアンロック状態を示す信号Fを制御部36に出力する(ステップS405)。制御部36は、クロック回路35からアンロック状態を示す信号Fを受け取ったとき、制御部36は、規定値S(n)を新たな規定値S(n+1)に変更し、この規定値S(n)を示す信号Eをクロック回路35に出力する(ステップS406)。ここで、規定値S(n+1)は、基準とする規定値S(n)に対して制御部36が変更した新たな規定値を示すものであり、規定値S(n+1)は、規定値S(n)に対応したクロック回路35のPLL51内のカウンタ設定を1つ動かすことを意味する。クロック回路35は、制御部36から新たな規定値S(n+1)を受け取ると、クロック回路35のPLL51は、未知の周波数の信号Cと制御部36からの規定値S(n+1)とに基づいて動作する。そして、クロック回路35は、PLL51の状態を確認する。
制御部36は、クロック回路35内のPLL51の状態がアンロック状態からロック状態に切り替わるまで、新たな規定値S(n+1)を出力し続け、クロック回路35のPLL51は、未知の周波数の信号Cと制御部36からの規定値S(n+1)とに基づいてロック状態に移行するまで動作を継続する(ステップS403〜ステップS406)。
【0060】
クロック回路35が、PLL51の状態がロック状態に移行すると、その状態を示す信号Fを制御部36に出力する(ステップS405のYES)。
【0061】
クロック回路35が、PLL51のロック状態を示す信号Fを制御部36に出力した時点において、制御部36はスイッチ37を制御してメモリ38aを選択する経路へと切り替える(ステップS407)。
フォーマット変換部33は、クロック回路35からの信号Dを受け取って、メモリ38a内のソフトウェアを初期起動用のソフトウェアとしてダウンロードし、そのソフトウェアで起動する(ステップS408)。また、クロック回路35は、PLL51がロック状態に移行した時点で信号Dを同期検出部339に出力する(ステップS409)。
【0062】
同期検出部339は、クロック回路35から受け取った信号Dとインタフェース部32から受け取った信号Kとの同期をとる(ステップS410)。同期検出部339が前記信号Dと信号Kとの同期が確立したことを検出すると、変復調装置10と張り出し無線装置20の同期が確立する。前記同期が確立した際に、変復調装置10はフォーマット変換部33用のソフトウェアを張り出し無線装置20に向けて出力する。同期検出部339は、信号Kに基づいて変復調装置10からのソフトウェアを受信し(ステップS411)、そのソフトウェアを信号Mとしてメモリ38bに出力する。メモリ38bは、同期検出部339からのソフトウェアを格納する(ステップS412)。
【0063】
メモリ38bに前記変復調装置10からのソフトウェアが正常に格納されると、制御部36は、スイッチ37を制御してメモリ38bへ経路切り替えを行う(ステップS413)。フォーマット変換部33は、メモリ38bに格納された未知の信号Aに対応するソフトウェアをダウンロードし、メモリ38aから取得した初期起動用のソフトウェアに代えて、メモリ38bから取得した変復調装置10からのソフトウェアで起動する(ステップS414)。これにより、フォーマット変換部33は信号処理を開始し、ベースバンド処理部34以後の処理に信号を送ることが可能となる(ステップS415)。
【0064】
以上で説明した本発明の第2の実施形態では、クロック回路35の設定値を変えることで未知の信号の周波数を探索して、クロック回路35がロック状態となりフォーマット変換部33が光信号と同期するようになった時点で未知の信号に対応したフォーマット変換部33用のソフトウェアをダウンロードして使用することができる。これによって、新たに仕様化された新しい伝送速度および光信号のフォーマットに対しても、対応した動作を行うことができる。
【0065】
[第3の実施形態]
図9は、本発明の第3の実施形態に係る移動通信用無線基地局装置の張り出し無線装置520の構成を示すブロック図である。移動通信用無線基地局装置全体の構成は、張り出し無線装置20が張り出し無線装置520に置き換わり、かつ張り出し無線装置520と変復調装置10との間が2本の光ファイバ511aおよび511bで接続されている点を除けば、図1に示した本発明の第1の実施形態に係る移動通信用無線基地局装置1全体の構成と同一である。
【0066】
すなわち、図9に示す本実施形態3は、変復調装置10と張り出し無線装置520との間に信号を伝送する信号伝送系511a,511bを2以上配線し、各信号伝送系511a,511bに、電気/光変換部531a,531b、インタフェース部531a,531b、フォーマット変換部533a,533bをそれぞれ配置し、これらの信号伝送系511a,511bに対して、ベースバンド処理部534及びクロック回路535並びに制御部536を共通化し、2以上の信号伝送系511a,511bと共通化したクロック回路535との間にスイッチ537を配置したことを特徴とするものである。
【0067】
以下の説明では、信号伝送系511a,511bとして、光信号を伝送するための光ファイバ511aおよび511bを用い、その信号伝送系を2系統とし、光ファイバ511a、511bに伝送される光信号の伝送速度が予め異なるものに設定している例を図9に基づいて説明する。なお、信号伝送系は、光信号を伝送する光ファイバに代えて、電気信号を伝送するケーブルを用いても良く、また、信号伝送系511a,511bは2系統に限られるものではない。
【0068】
具体的に説明する。図9に示す張り出し無線装置520の送受信制御部521は、
各光ファイバ511a,511bに対応させて、電気/光変換部531a,531b、インタフェース部531a,531b、フォーマット変換部533a,533bをそれぞれ配置し、これらの信号伝送系511a,511bに対して、ベースバンド処理部534及びクロック回路535並びに制御部536を共通化し、2以上の信号伝送系511a,511bと共通化したクロック回路535との間にスイッチ537を配置している。
【0069】
電気/光変換部531aおよび531bはそれぞれ、光ファイバ511aおよび511bから伝送される光信号である信号A1およびA2を、電気信号である信号B1およびB2に変換する。
【0070】
インタフェース部532aおよび532bはそれぞれ、電気/光変換部531aおよび531bで変換された変換されたシリアルの電気信号B1およびB2を入力し、それらをパラレルの電気信号K1およびK2に変換し、さらに再生クロックである信号C1およびC2を生成する。
【0071】
フォーマット変換部533aおよび533bは、クロック回路535で生成した信号Dをクロックとし、インタフェース部532aおよび532bから出力されたパラレル信号K1およびK2のフォーマットに対応して、信号の同期や後述のベースバンド処理部534へ出力するデータ部分の抜き取りを行い、各々信号L1およびL2として出力する。
【0072】
ベースバンド処理部534はフォーマット変換部533aおよび533bで生成された信号L1およびL2のベースバンド処理を行い、そのシステムに応じて、信号L1およびL2の合成および分配を行う。スイッチ537は制御部536の指示(信号N)により、信号C1およびC2の経路選択を行う。制御部536は信号C1およびC2のどちらを使用するかを判断し、スイッチ537を制御する。
【0073】
ここでCPRIの仕様における一例を説明する。信号A1として1228.8Mbpsの伝送速度の光信号、信号A2として2457.6Mbpsの伝送速度の光信号がそれぞれ入力されるものとする。この場合、インタフェース部532aから出力される信号C1は122.88MHzの周波数をもつ信号であり、インタフェース部532bから出力される信号C2は245.76MHzの周波数をもつ信号である。この2つの信号がスイッチ537に入力する。
【0074】
スイッチ537はインタフェース部532a,532bからの2つの信号C1およびC2を入力とするが、電源投入時の初期状態において、初期値として設定されている信号C1を選択する。したがって、スイッチ37は電源投入時の初期値であるインタフェース部532aからの信号C1をクロック回路535に出力する。インタフェース部532aからの信号C1を受け取った時点において、制御部536は、インタフェース部532aを基準とするための1228.8Mbpsを示す信号Eを規定値としてクロック回路535に出力する。クロック回路535のPLL51は、インタフェース部532aからの信号C1と制御部536からの信号Eとに基づいて動作する。クロック回路535は、前記PLLがロック状態であったとすると、クロック回路535が、1228.8Mbpsを示す信号Dを2つのフォーマット変換部533a,533bにそれぞれ出力する。
【0075】
一方のフォーマット変換部533aは、クロック回路535からの1228.8Mbpsを示す信号Dに対応して機能する。他方のフォーマット変換部533bは、クロック回路からの1228.8Mbpsを示す信号Dを起動用信号として起動し、2457.6Mbpsの信号A2に対応して機能する。
【0076】
2457.6Mbpsで動作しているインタフェース部533bを基準として張り出し無線装置を動作させたい場合は、変復調装置10からの遠隔操作や手動操作などで制御部536を動作させる。制御部536は、前記動作指令を受け取ると、その動作指令を示す信号Nをスイッチ537に出力するとともに、クロック回路535のPLL51がロック状態になるような信号Eをクロック回路535に出力する。この信号Eは、2457.8Mbpsを示す信号である。スイッチ537は、制御部536から信号Nを受け取ると、接点をインタフェース部532bへ切り替えてインタフェース部532bからの信号C2をクロック回路535に出力する。クロック回路535は、インタフェース部532bからの信号C2と制御部536からの2457.8Mbpsを示す信号Eとに基づいて動作する。クロック回路535のPLL51がロック状態である場合、クロック回路535は、2457.8Mbpsを示す信号Dを2つのフォーマット変換部533a,533bにそれぞれ出力する。
【0077】
一方のフォーマット変換部533bは、クロック回路535からの2457.8Mbpsを示す信号Dに対応して機能する。他方のフォーマット変換部533aは、クロック回路からの2457.8Mbpsを示す信号Dを起動用信号として起動し、1228.8Mbpsの信号A1に対応して機能する。ベースバンド処理部534は、2つのフォーマット変換部533a,533bから出力される信号L1,L2を入力として、これらの信号にベースバンド処理を行う。
【0078】
これにより、フォーマットの異なる光信号が入力されても、1つのクロック回路535で動作させることが可能となる。
【0079】
以上の説明では、2つの信号伝送系511a,511bで伝送される信号A1,A22の伝送速度が異なる場合を前提として説明したが、本実施形態3は、これに限られるものではない。本実施形態3において、2つの信号伝送系511a,511bを伝送される信号が同一であって、しかもその伝送速度が等しい場合にも適用することができるものである。この例では、同一伝送速度で伝送する信号伝送系を2系統備えることとなるため、冗長構成として構築することが可能となる。
【0080】
以下の説明では、2系統の信号伝送系である光ファイバ511a,511bに同一伝送速度で信号が伝送され、スイッチ537は、電源投入時の初期状態において、その初期値としてインタフェース部532aからの信号C1を選択して、これをクロック回路535に出力する場合を想定している。
【0081】
信号A1を伝送している光ファイバ511aが切断されると、信号C1は停止する。クロック回路535のPLL51はアンロック状態となり、クロック回路535は、PLLのアンロック状態を示す信号Fを制御部536に出力する。アンロック状態を認識した制御部536は、スイッチ537を制御してインタフェース部532bからの信号C2が選択されるよう経路切り替えを行う。
【0082】
この場合、光ファイバ511bは正常に動作しているので、インタフェース部532bから信号A2に基づいた信号C2がスイッチ537に出力されている。したがって、クロック回路535は、スイッチ537の切り替えによって、インタフェース部532bからの信号C2を入力とする。そのため、クロック回路535のPLL51は、インタフェース部532bからの信号C2と、制御部536からの信号Eとに基づいてロック状態となり、クロック回路535は、前記PLLのロック状態を示す信号Dをフォーマット変換部533bに出力する。フォーマット変換部533bは、信号Dに基づいて動作する。ベースバンド処理部534は、故障した信号伝送系のフォーマット変換部533aからの信号L1に代えて、正常な信号伝送系のフォーマット変換部533bからの信号L2を入力としてベースバンド処理を行う。
【0083】
このように、2つの信号伝送系である光ファイバ511a、511bのどちらかが切断されても、正常な信号伝送系から生成される信号を基準として張り出し無線装置を動作させることができる。これによって、信号A1およびA2において冗長性を持たせることが可能となる。
【0084】
以上で示した例では、変復調装置10と張り出し無線装置520の間が2系統の光ファイバ511aおよび511bで接続されていたが、これを3系統以上に対応するように拡張することも容易にできる。
【0085】
また、以上で説明した本発明の第1〜3の実施形態に係る張り出し無線装置20、320、520の動作は、該装置をコンピュータで制御されるものとして、そこで実行されるプログラムとして実現することもできる。
【0086】
これまで本発明について図面に示した特定の実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることは言うまでもないことである。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、光または電気信号によって変復調装置と接続された張り出し無線装置において適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 移動通信用無線基地局装置
10 変復調装置
11、511a、511b 光ファイバ
20、320、520 張り出し無線装置
21、321、521 送受信制御部
22 受信機
23 送信機
24 フィルタ
25 アンテナ
31、531a、531b 電気/光変換部
32、532a、532b インタフェース部
33、533a、533b フォーマット変換部
34、534 ベースバンド処理部
35、535 クロック回路
36、536 制御部
37、537 スイッチ
38a、38b メモリ
41 シリアル変換部
42 パラレル変換部
43 CDR部
44、45 バッファ部
51 PLL
52 発振器
53 スイッチ
339 同期検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変復調装置からベースバンド信号の伝送を受けて動作する張り出し無線装置であって、
前記ベースバンド信号を基にしてパラレル信号およびクロック信号を生成するインタフェース部と、
前記インタフェース部が生成する前記クロック信号と比較するための規定値の信号を出力する制御部と、
前記インタフェース部が生成する前記クロック信号と、前記制御部が出力する規定値の信号とが一致するか否かを検出し、前記両信号が一致した際に一致信号を出力するクロック回路とを有することを特徴とする張り出し無線装置。
【請求項2】
前記クロック回路は、PLL及び発振器を有し、
前記クロック回路の前記PLL及び前記発振器は、前記制御部が出力する規定値の信号を受けて動作し、
前記クロック回路は、前記PLLがロック状態のときに前記一致信号を出力し、前記PLLがアンロック状態のときに不一致信号を出力するものであり、
前記制御部は、前記クロック回路が出力する前記不一致信号をトリガーとして、規定値の異なる信号を切り替えて前記クロック回路に出力するものである請求項1に記載の張り出し無線装置。
【請求項3】
前記インタフェース部が生成する前記クロック信号と、前記制御部が出力する規定値の信号との一致を検出した際に、前記クロック回路が出力する一致信号を基準として、前記インタフェース部が出力する前記パラレル信号のフォーマットを変換するフォーマット変換部を有する請求項1に記載の張り出す無線装置。
【請求項4】
前記フォーマット変換部がフォーマット変換を行う際に必要なソフトウェアを記憶する記憶部を有し、
前記制御部は、前記クロック回路が前記一致信号を出力した際に、その一致信号の基となった規定値の信号に対応する前記ソフトウェアを読み出す指令を前記記憶部に出力するものであり、
前記フォーマット変換部は、前記クロック回路が出力する前記一致信号をトリガーとして、前記記憶部が読み出したソフトウェアをフォーマット変換のためにダウンロードするものである請求項3に記載の張り出し無線装置。
【請求項5】
前記インタフェース部に入力する信号は、未知の伝送速度をもつ信号であり、
前記クロック回路が出力する一致信号と前記インタフェース部が出力する前記パラレル信号との同期をとり、その同期が確立した際に、変復調装置が出力するフォーマット変換用のソフトウェアを取得して、そのソフトウェアを前記記憶部に記憶させる同期検出部と、
電源投入時に前記フォーマット変換部が初期動作をするのに必要な初期動作用のソフトウェアを記憶する記憶部とを有し、
前記記憶部は、電源投入後に前記同期検出部からのソフトウェアを記憶するものであり、
前記フォーマット変換部は、前記クロック回路が出力する前記一致信号をトリガーとして、前記記憶部が読み出した前記フォーマット変換用のソフトウェアをダウンロードするものである請求項3に記載の張り出し装置。
【請求項6】
前記変復調装置から前記インタフェース部に至る信号伝送系を2以上有し、
前記2以上の信号伝送系に含まれる前記インタフェース部が生成する前記クロック信号を選択して、その選択したクロック信号を前記クロック回路に出力するスイッチを有し、
前記制御部は、前記スイッチに前記クロック信号の選択指令を出力するものである請求項1に記載の張り出し無線装置。
【請求項7】
前記2以上の信号伝送系は、前記インタフェース部が生成する前記クロック信号と、前記制御部が出力する規定値の信号との一致を検出した際に、前記クロック回路が出力する一致信号を基準として、前記インタフェース部が出力する前記パラレル信号のフォーマットを変換する一のフォーマット変換部を共有化した請求項6に記載の張り出し無線装置。
【請求項8】
変復調装置からベースバンド信号の伝送を受けて張り出し無線装置が動作する信号伝送系における信号の伝送速度を判別する信号伝送速度の判別方法であって、
前記ベースバンド信号を基にしてパラレル信号およびクロック信号を生成し、
前記クロック信号と比較するための規定値の信号を出力し、
前記クロック信号と前記規定値の信号とが一致するか否かを検出し、前記両信号が一致した際に一致信号を出力する信号伝送速度の判別方法。
【請求項9】
前記規定値の信号に基づいてクロック回路のPLL及び発振器を動作させ、
前記PLLがアンロック状態のときに前記規定値の異なる信号を切り替えて出力し、
前記PLLがロック状態のときに前記一致信号を出力する請求項8に記載の信号伝送速度の判別方法。
【請求項10】
前記一致信号を基準として、前記パラレル信号のフォーマットを変換する請求項8に記載の信号伝送速度の判別方法。
【請求項11】
前記一致信号をトリガーとして読み出されたソフトウェアに基づいて前記フォーマット変換を行う請求項10に記載の信号伝送速度の判別方法。
【請求項12】
前記インタフェース部に入力する信号は、未知の伝送速度をもつ信号であり、
電源投入時に初期動作用のソフトウェアで前記フォーマット変換の初期動作を実行し、
前記一致信号と前記パラレル信号との同期をとり、その同期を検出した際に、変復調装置が出力するフォーマット変換用のソフトウェアを取得して、そのソフトウェアで前記フォーマット変換を実行する請求項10に記載の信号伝送速度の判別方法。
【請求項13】
前記変復調装置から前記インタフェース部に至る信号伝送系を2以上有し、
前記2以上の信号伝送系のいずれかで生成する前記クロック信号を選択し、その選択したクロック信号と前記規定値の信号との一致を検出する請求項8に記載の信号伝送速度の判別方法。
【請求項14】
前記2以上の信号伝送系に対して、一つのフォーマット変換を共有化して実行する請求項13に記載の信号伝送速度の判別方法。
【請求項15】
変復調装置からベースバンド信号の伝送を受けて張り出し無線装置が動作する信号伝送系における信号の伝送速度を判別する伝送速度の判別プログラムであって、
コンピュータに、
前記ベースバンド信号を基にしてパラレル信号およびクロック信号を生成する機能と、
前記クロック信号と比較するための規定値の信号を出力する機能と、
前記クロック信号と前記規定値の信号とが一致するか否かを検出し、前記両信号が一致した際に一致信号を出力する機能とを実行させることを特徴とする伝送速度の判別プログラム。
【請求項16】
前記規定値の信号を受けて動作するPLL及び発振器を用い、
前記コンピュータに、
前記PLLがロック状態のときに前記一致信号を出力し、前記PLLがアンロック状態のときに不一致信号を出力する機能と、
前記前記不一致信号をトリガーとして、規定値の異なる信号を切り替えて出力する機能とを実行させる請求項15に記載の伝送速度の判別プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−260945(P2009−260945A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61124(P2009−61124)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】