説明

弾性波装置およびその製造方法

【課題】端子に加えられる引張力が弾性波装置の信頼性低下に及ぼす影響を好適に抑制可能な弾性波装置を提供する。
【解決手段】SAW装置1は、基板3と、基板3の上面3aに配置された励振電極13と、励振電極13を覆うカバー5と、励振電極13と電気的に接続され、カバー5の上面5aに露出する端子7とを有する。端子7の上面7aは、導電性を有する第1領域7aaと、第1領域7aaに比較して、端子7の上面7aに配置された半田105に及ぼす引張応力を低減可能な第2領域7abとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)装置や圧電薄膜共振器(FBAR:Film Bulk Acoustic Resonator)等の弾性波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と、基板の主面上に設けられた励振電極と、励振電極を封止するカバーと、励振電極と接続された端子とを有する弾性波装置が知られている(例えば特許文献1)。端子は、例えば、柱状に形成されて基板の主面に立てられ、カバーを貫通してカバー上面に露出する。このような弾性波装置は、例えば、実装基板の主面に、端子が露出する側(カバー上面側)を対向させて配置される。そして、半田により端子と実装基板の主面上の配線パターンとが接続される。さらに、弾性波装置は、周囲に溶融状態の樹脂(モールド樹脂)が流し込まれ、その樹脂が固化することにより、樹脂封止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−251866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような実装構造においては、弾性波装置は、モールド樹脂の熱膨張により、カバーおよび基板を実装基板から離間させる力を受ける。一方、端子は、半田を介して実装基板に接合されていることから、相対的に実装基板側への引張力を受けることになる。その結果、弾性波装置においては、いずれかの部材間に剥離を生じさせる力が作用することになる。例えば、上述のように、端子が基板の主面に立てて端子が設けられている場合においては、端子を基板から剥離させる力が端子に作用する。剥離が生じると、例えば、導通性の低下若しくは密閉性の低下が生じ、弾性波装置の信頼性が低下する。
【0005】
本発明の目的は、端子に加えられる引張力が弾性波装置の信頼性低下に及ぼす影響を好適に抑制可能な弾性波装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様に係る弾性波装置は、基板と、該基板の上面に配置された励振電極と、該励振電極を覆うカバーと、前記励振電極と電気的に接続され、前記カバーの上面に露出する端子と、を有し、前記端子は、前記カバーの上面に露出する金属からなる端子基材と、前記端子基材の上面の一部を露出させるようにして前記端子基材の上面に配置された絶縁材料からなる被覆部材と、を有する。
【0007】
また本発明の一実施態様に係る弾性波装置は、基板と、該基板の上面に配置された励振電極と、該励振電極を覆うカバーと、前記励振電極と電気的に接続され、前記カバーの上面に露出する端子と、を有し、前記端子は、前記カバーの上面に露出する金属からなる端子基材と、前記端子基材の上面の一部を露出させるようにして前記端子基材の上面に配置された前記端子基材よりも半田濡れ性が悪い金属からなる被覆部材と、を有する。
【0008】
また本発明の一実施態様に係る弾性波装置は、基板と、該基板の上面に配置された励振電極と、該励振電極を覆うカバーと、前記励振電極と電気的に接続され、前記カバーの上面に露出する端子と、を有し、前記端子は、前記カバーの上面に露出する導電性の端子基材と、導電性を有し、前記端子基材に比較して半田濡れ性が良く、前記端子基材の上面の一部を露出させるようにして前記端子基材の上面に配置されためっき部材と、を有する。
【0009】
本発明の一実施態様に係る弾性波装置の製造方法は、基板の上面に励振電極を形成する工程と、前記励振電極を覆うカバーを形成する工程と、前記励振電極と電気的に接続され、前記カバーの上面に露出する導電性の端子基材を形成する工程と、前記端子基材を覆うように感光性の樹脂からなる絶縁膜構成層を形成する工程と、フォトリソグラフィーによって前記絶縁膜構成層の一部を除去することにより、前記端子基材の上面の一部を露出させるようにして前記端子基材の上面に配置された被覆部材を形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成または手順によれば、端子がカバーの上面に露出する金属からなる端子基材と、端子基材の上面の一部を露出させるようにして端子基材の上面に配置された絶縁材料からなる被覆部材とを有することによって、端子に加えられる引張力が低減され、端子の圧電基板からの剥離を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るSAW装置の外観斜視図である。
【図2】図1のSAW装置の実装例を示す、一部に断面図を含む、Y方向に見た側面図である。
【図3】図1のSAW装置を一部破断して示す斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線における断面図である。
【図5】図4の領域Vの拡大図である。
【図6】図6(a)〜図6(d)は、図1のSAW装置の製造方法を説明する断面図である。
【図7】図7(a)〜図7(c)は、図6(d)の続きを示す断面図である。
【図8】図8(a)〜図8(c)は、図7(c)の続きを示す断面図である。
【図9】図9(a)および図9(b)は、図1および比較例のSAW装置を実装基板に搭載するときの断面図である。
【図10】第2の実施形態のSAW装置の要部を示す断面図である。
【図11】図11(a)は、第3の実施形態のSAW装置の要部を示す平面図であり、図11(b)は、図11(a)のXIb−XIb線の断面図である。
【図12】第4の実施形態のSAW装置の要部を示す断面図である。
【図13】第5の実施形態のSAW装置の要部を示す断面図である。
【図14】図14(a)は、第6の実施形態のSAW装置の要部を示す平面図であり、図14(b)は、図14(a)のXIVb−XIVb線の断面図である。
【図15】第7の実施形態のSAW装置の要部を示す断面図である。
【図16】図16(a)〜図16(c)は、比較例および実施例のモデルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るSAW装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
【0013】
第2の実施形態以降において、既に説明された実施形態と共通または類似する構成について、既に説明された実施形態と共通の符号を用い、また、図示や説明を省略することがある。
【0014】
<第1の実施形態>
(SAW装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るSAW装置1の外観斜視図である。なお、SAW装置1は、いずれの方向が上方または下方とされてもよいものであるが、以下の実施形態では、便宜的に、直交座標系XYZを定義するとともに、Z方向の正側(図1の紙面上方側)を上方として、上面、下面等の用語を用いるものとする。
【0015】
SAW装置1は、いわゆるウェハレベルパッケージ(WLP)形のSAW装置により構成されている。SAW装置1は、基板3と、基板3の上面3aに設けられたカバー5と、カバー5の上面5a(基板3とは反対側の面)から露出する複数の端子7と、カバー5の上面5aに設けられた補強部9と、基板3の下面3b(カバー5とは反対側)に設けられた裏面部11とを有している。
【0016】
SAW装置1は、複数の端子7のいずれかを介して信号の入力がなされる。入力された信号は、SAW装置1によりフィルタリングされる。そして、SAW装置1は、フィルタリングした信号を複数の端子7のいずれかを介して出力する。
【0017】
図2は、SAW装置1の実装例を示す、一部に断面図を含む、Y方向に見た側面図である。
【0018】
SAW装置1は、カバー5の上面5aを実装基板101の実装面101aに対向させて配置されている。実装面101aには、複数の実装用パッド103が形成されており、端子7と対向している。端子7と実装用パッド103とは、半田105を介して互いに固定されるとともに電気的に接続されている。SAW装置1は、その周囲に流し込まれて固化したモールド樹脂107により樹脂封止されている。
【0019】
半田105は、例えば、Pb−Sn合金半田、鉛フリー半田、Au−Sn合金半田、Au−Ge合金半田である。半田付けは、例えば、リフローにより行われる。すなわち、半田付けは、実装用パッド103上に半田105を印刷し、その上にSAW装置1を搭載し、半田105に熱を加えることにより行われる。
【0020】
モールド樹脂107は、例えば、エポキシ樹脂、硬化材およびフィラーを主成分としている。樹脂封止は、例えば、トランスファモールドにより行われる。すなわち、樹脂封止は、SAW装置1が半田105により実装された実装基板101を金型内に配置し、金型内に樹脂を充填することにより行われる。
【0021】
図3は、カバー5の一部を破断して示すSAW装置1の斜視図である。
【0022】
基板3の上面3aには、SAW装置1に入力された信号をフィルタリングするための励振電極13と、励振電極13に接続された配線15と、配線15を介して励振電極13と接続された複数のパッド17とが設けられている。カバー5は、これら励振電極13、配線15およびパッド17を覆っている。
【0023】
基板3は、圧電基板により構成されている。具体的には、例えば、基板3は、タンタル酸リチウム単結晶,ニオブ酸リチウム単結晶等の圧電性を有する単結晶の基板により構成されている。基板3は、例えば、直方体状に形成されており、矩形状で互いに平行かつ平坦な上面3aおよび下面3bを有している。基板3の大きさは適宜に設定されてよいが、例えば、厚さ(Z方向)は0.2mm〜0.5mmであり、1辺の長さ(X方向またはY方向)は0.5mm〜2mmである。
【0024】
励振電極13は、上面3aに形成された一対の櫛歯状電極(IDT電極)14を有している。各櫛歯状電極14は、基板3における弾性表面波の伝搬方向(本実施形態ではX方向)に延びるバスバー14aと、バスバー14aから上記伝搬方向に直交する方向(本実施形態ではY方向)に伸びる複数の電極指14bとを有している。2つの櫛歯状電極14同士は、それぞれの電極指14bが互いに噛み合うように設けられている。
【0025】
なお、図3等は模式図であることから、数本の電極指14bを有する一対の櫛歯状電極14を示している。実際には、これよりも多数の電極指を有する複数対の櫛歯状電極が設けられてよい。また、複数の励振電極13が直列接続や並列接続等の方式で接続され、ラダー型SAWフィルタや2重モードSAW共振器フィルタ等が構成されてよい。励振電極13は、例えばAl−Cu合金等のAl合金によって形成されている。
【0026】
配線15は、励振電極13のバスバー14aからパッド17まで延びている。なお、配線15は、絶縁体を介在させた状態で立体交差するように配置されてもよい。配線15は、例えば、励振電極13と同様に、Al−Cu合金等のAl合金によって形成されている。
【0027】
パッド17は、端子7に接続される部分である。パッド17の数および配置位置は、SAW装置1の内部の電子回路の構成等に応じて適宜に設定される。本実施形態では、6つのパッド17が上面3aの外周に沿って配列されている。パッド17は、例えば、励振電極13と同様に、Al−Cu合金等のAl合金によって形成されている。
【0028】
カバー5は、例えば、外殻形状が概ね直方体状に形成されており、基板3の上面3aに対して平行かつ平坦な上面5aを有している。また、カバー5は、概ね基板3の上面3aと同等の広さを有し、上面3aの概ね全体を覆っている。
【0029】
カバー5の、基板3の上面3a側の面には、励振電極13上が空隙(振動空間10)となるように、凹部5r(図4も参照)が形成されている。凹部5rの形状および数は適宜に設定されてよいが、図3では、概ね、平面形状が六角形状で、一様の高さの凹部5rが2つ設けられている場合を例示している。
【0030】
カバー5は、上面3aの平面視において励振電極13を囲む枠部19と、枠部19の開口を塞ぐ蓋部21とを有している。そして、上面3a(厳密には後述する保護層25)、枠部19および蓋部21により囲まれた空間により、励振電極13の振動を容易化する振動空間10が形成されている。
【0031】
枠部19は、概ね一定の厚さの層に振動空間10となる開口が1以上(本実施形態では2つ)形成されることにより構成されている。枠部19の厚さ(振動空間10の高さ)は、例えば、数μm〜30μmである。蓋部21は、枠部19上に積層される、概ね一定の厚さの層により構成されている。蓋部21の厚さは、例えば、数μm〜30μmである。
【0032】
枠部19および蓋部21は、同一の材料により形成されていてもよいし、互いに異なる材料により形成されていてもよい。本願では、説明の便宜上、枠部19と蓋部21との境界線を明示しているが、現実の製品においては、枠部19と蓋部21とは、同一材料により一体的に形成されていてもよい。
【0033】
カバー5(枠部19および蓋部21)は、感光性の樹脂によって形成されている。感光性の樹脂は、例えば、アクリル基やメタクリル基などのラジカル重合により硬化する、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系の樹脂である。
【0034】
端子7は、図3において断面が示された端子7において表れているように、基板3の上面3aに立てて設けられており、枠部19および蓋部21を上面3aの面する方向へ貫通し、カバー5の上面において露出している。端子7は、パッド17上に設けられることにより、励振電極13と接続されている。
【0035】
より具体的には、端子7は、柱状に形成された柱部7cと、柱部7cの上面側の側面から突出するフランジ7dとを有している。柱部7cは、カバー5を貫通し、フランジ7dは、カバー5の上面に積層されている。柱部7cの上面およびフランジ7dの上面は、端子7の上面7aを構成し、上面7aは、半田105を介して実装用パッド103に接続されるランドを構成している。
【0036】
柱部7cは、例えば、円柱状に形成されている。柱部7cの直径は、例えば、20μm〜120μmである。フランジ7dは、例えば、柱部7cの全周に亘って形成されるとともに、概ね一定の幅で形成されており、本実施形態では円形の環状となっている。フランジ7dの外側の直径は、柱部7cの直径よりも、例えば、5μm〜100μm大きい。
【0037】
補強部9は、カバー5(特に蓋部21)の強度を補強するためのものである。補強部9は、カバー5の比較的広い範囲に亘って形成されている。例えば、補強部9は、端子7の配置位置を避けて、カバー5の概ね全面に亘って形成されている。従って、補強部9は、平面視において、振動空間10の全体を覆うとともに、振動空間10の外側に延出し、蓋部21とともに枠部19に支持されている。
【0038】
裏面部11は、特に図示しないが、例えば、基板3の下面3bの概ね全面を覆う裏面電極と、裏面電極を覆う絶縁性の保護層とを有している。裏面電極により、温度変化等により基板3表面にチャージされた電荷が放電される。保護層により、基板3の損傷が抑制される。なお、以下では、裏面部11は、図示や説明が省略されることがある。
【0039】
図4は、図3のIV−IV線における断面図である。
【0040】
SAW装置1は、基板3の上面3aに設けられた導電層23と、導電層23および上面3aに積層された保護層25とを有している。
【0041】
導電層23は、上面3a上における回路素子や配線等の構成に関して基本となる層である。具体的には、導電層23は、例えば、励振電極13、配線15の少なくとも一部およびパッド17を構成している。導電層23は、例えば、Al−Cu合金等のAl合金によって形成されており、その厚さは、例えば、100〜300nmである。
【0042】
保護層25は、励振電極13の酸化防止等に寄与するものである。保護層25は、例えば、酸化珪素(SiOなど)、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化珪素、または、シリコンによって形成されている。保護層25の厚さは、例えば、導電層23の厚さの1/10程度(10〜30nm)である。保護層25は、パッド17の配置位置以外においては、上面3a全体に亘って形成されている。なお、カバー5は、保護層25に積層されている。
【0043】
端子7は、導電性の端子基材27と、端子基材27の上面に配置された被覆部材29とを有している。端子基材27は、例えば、カバー5に成膜された導電性の下地層35と、下地層35の表面上に形成された金属部37とにより構成されている。被覆部材29は、金属部37に被覆された絶縁層39により構成されている。
【0044】
補強部9は、金属により構成された補強層31と、補強層31を被覆する絶縁膜33とを有している。補強層31は、例えば、端子基材27と同様に、下地層35および金属部37により構成されている。絶縁膜33は、例えば、被覆部材29と同様に絶縁層39により構成されている。
【0045】
端子基材27は、端子7の大部分を構成している。すなわち、端子基材27は、カバー5を貫通する柱部および柱部から突出するフランジを有し、柱部7cおよびフランジ7dの大部分を構成している。一方、被覆部材29は、端子基材27の上面の一部を露出させるようにして端子基材27の上面に配置されている。
【0046】
従って、図1に示すように、端子7の上面7aは、端子基材27の上面により形成された第1領域7aaと、被覆部材29により形成された第2領域7abとを有している。第1領域7aaおよび第2領域7abの形状および大きさは適宜に設定されてよいが、本実施形態では、第1領域7aaは円形の環状に形成され、第2領域7abは、第1領域7aaの中央に位置する円形に形成されている。また、図4に示すように、第2領域7ab(被覆部材29)は、柱部7cの上面を含む広さに形成されている。
【0047】
端子基材27は銅等の金属によって形成され、被覆部材29は樹脂によって形成されている。従って、被覆部材29は、端子基材27に比較して、半田濡れ性が悪い。また、被覆部材29は、半田105に比較してヤング率が低い。また、被覆部材29は、半田105に比較して端子基材27との接合性が低い。
【0048】
補強層31は、金属により構成されていることから、樹脂によって構成されているカバー5よりもヤング率が高い。例えば、カバー5のヤング率が0.5〜1.0GPaであるのに対し、補強層31のヤング率は100〜250GPaである。補強層31の厚さは、例えば、1〜50μmである。なお、端子基材27のフランジの厚さは、補強層31の厚さと同等である。補強層31は、端子7と接続されておらず、電気的に浮遊状態となっている。ただし、補強層31は、端子7と接続されていてもよい。
【0049】
絶縁膜33は、補強層31を半田105等から絶縁するためのものである。絶縁膜33は、補強層31の上面および側面を覆っている。なお、絶縁膜33は、補強層31の縁部から端子基材27のフランジの縁部に亘っても形成されてよい。
【0050】
下地層35は、端子基材27のカバー5およびパッド17に接する部分を構成するとともに、補強層31のカバー5に接する部分を構成している。下地層35は、例えば、銅、チタン、またはこれらを積層したものにより形成されている。下地層35の厚さは、概ね均一である。当該厚さは、適宜に設定されてよいが、例えば、下地層35が銅からなる場合は300nm〜1μm、下地層35がチタンからなる場合は10nm〜100nmである。
【0051】
金属部37は、端子基材27の内部および上面を構成するとともに、補強層31の上方側部分を構成している。金属部37は、例えば、銅により形成されている。
【0052】
絶縁層39は、例えば、樹脂によって構成されている。樹脂は、例えば、一般にソルダーレジストとして使われているエポキシ系樹脂などにより構成されてよい。なお、絶縁層39は、有機材料に比較して遮水性の高い無機材料により構成されてもよい。無機材料としては、例えば、酸化珪素(SiOなど)、窒化珪素、シリコンが挙げられる。絶縁層39(被覆部材29および絶縁膜33)の厚さは、例えば、500nm〜20μmである。
【0053】
図5は、図4の領域Vの拡大図である。ただし、端子7が半田105により実装基板101の実装用パッド103に接合されている状態を示している。
【0054】
上述のように、端子7の上面7aは、端子基材27の上面により構成された第1領域7aaと、被覆部材29により構成された第2領域7abとを有している。半田105は、端子7の上面7aの概ね全面に亘って上面7aに接している。すなわち、半田105は、第1領域7aaと第2領域7abとの双方に接合されている。
【0055】
また、第2領域7abは、被覆部材29が端子基材27の上面に配置されることにより形成されていることから、端子7の上面7aには、被覆部材29の厚み分だけ凸部が形成されている。その結果、半田105は、第2領域7ab上における厚みが第1領域7aa上における厚みよりも薄くなっている。
【0056】
ここで、被覆部材29は、樹脂によって構成されていることから、半田105よりもヤング率が低い。従って、モールド樹脂107の膨張等により端子7と実装用パッド103との距離が離れよる方向に力が作用した場合、被覆部材29が比較的容易に伸びることにより、半田105の第2領域7ab上の部分の実装用パッド103側への移動が許容される。その結果、第2領域7abにおいては、第1領域7aaに比較して、半田105に及ぼされる引張応力が低減される。
【0057】
また、被覆部材29は、樹脂により構成されていることから、第2領域7abは、第1領域7aaに比較して、半田濡れ性が悪い。従って、端子7と実装用パッド103とが離間した場合、半田105と第2領域7abとが剥離することにより、半田105の第2領域7ab上の部分の実装用パッド103側への移動が許容される。その結果、第2領域7abにおいては、第1領域7aaに比較して、半田105に及ぼされる引張応力が低減される。
【0058】
また、被覆部材29は、樹脂によって構成されていることから、端子基材27との接合性が、半田105と端子基材27との接合性よりも低い。従って、端子7と実装用パッド103とが離間した場合、被覆部材29と端子基材27とが剥離することにより、半田105の第2領域7ab上の部分の実装用パッド103側への移動が許容される。その結果、第2領域7abにおいては、第1領域7aaに比較して、半田105に及ぼされる引張応力が低減される。
【0059】
以上のとおり、被覆部材29は、ヤング率が半田105よりも低いという性質、端子基材27に比較して半田濡れ性が悪いという性質、および、端子基材27との接合性が半田105と端子基材27との接合性よりも低いという性質の少なくとも一の性質を有している。そして、これにより、第2領域7abは、第1領域7aaに比較して、端子7の上面7aに配置された半田105に及ぼす引張応力を低減可能となっている。
【0060】
(SAW装置の製造方法)
図6(a)〜図8(c)は、SAW装置1の製造方法を説明する、図4(図3のIV−IV線)に対応する断面図である。製造工程は、図6(a)から図8(c)まで順に進んでいく。
【0061】
以下に説明する工程は、いわゆるウエハプロセスにおいて実現される。すなわち、分割されることによって基板3となる母基板を対象に、薄膜形成やフォトリソグラフィー法などが行われ、その後、ダイシングされることにより、多数個分のSAW装置1が並行して形成される。ただし、図6(a)〜図8(c)では、1つのSAW装置1に対応する部分のみを図示する。また、導電層や絶縁層は、プロセスの進行に伴って形状が変化するが、変化の前後で共通の符号を用いる。
【0062】
図6(a)に示すように、まず、基板3の上面3a上には、導電層23が形成される。具体的には、まず、スパッタリング法、蒸着法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法により、上面3a上に導電層23となる金属層が形成される。次に、金属層に対して、縮小投影露光機(ステッパー)とRIE(Reactive Ion Etching)装置とを用いたフォトリソグラフィー法等によりパターニングが行われる。パターニングにより、励振電極13、配線15およびパッド17が形成される。すなわち、導電層23が形成される。
【0063】
導電層23が形成されると、図6(b)に示すように、保護層25が形成される。具体的には、まず、適宜な薄膜形成法により保護層25となる薄膜が形成される。薄膜形成法は、例えば、スパッタリング法若しくはCVDである。次に、導電層23のうちパッド17を構成する部分が露出するように、フォトリソグラフィー法等によって薄膜の一部が除去される。これにより、保護層25が形成される。
【0064】
保護層25が形成されると、図6(c)に示すように、枠部19となる薄膜が形成される。薄膜は、例えば、感光性樹脂により形成されたフィルムが貼り付けられることにより、または、保護層25と同様の薄膜形成法により形成される。
【0065】
枠部19となる薄膜が形成されると、図6(d)に示すように、フォトリソグラフィー法等により、薄膜の一部が除去され、振動空間10を構成する開口、および、端子7が配置される予定の孔部19hが形成される。また、薄膜は、ダイシングライン上においても、一定の幅で除去される。このようにして枠部19が形成される。
【0066】
枠部19が形成されると、図7(a)に示すように、蓋部21が形成される。具体的には、まず、蓋部21となる薄膜が形成される。薄膜は、例えば、感光性樹脂のフィルムが貼り付けられることにより形成される。そして、薄膜が形成されることにより、枠部19の開口が塞がれて、振動空間10が構成される。薄膜は、フォトリソグラフィー法等により、孔部19h(図6(d))上の部分が除去され、端子7が配置される予定の孔部5h(孔部19h含む)が形成される。また、薄膜は、ダイシングライン上においても一定の幅で除去される。このようにして、蓋部21が形成される。
【0067】
蓋部21が形成されると、図7(b)に示すように、下地層35となる薄膜が形成され、さらに、その上にレジスト層51が形成される。下地層35となる薄膜は、カバー5の上面の全体に亘って形成される。下地層35となる薄膜は、孔部5hの内周面や底面にも形成される。下地層35は、例えば、スパッタ法により形成される。
【0068】
レジスト層51は、端子基材27のフランジ(7d)および補強層31が配置される予定の範囲において、下地層35が露出するように形成される。レジスト層51は、例えば、スピンコート等により感光性樹脂の薄膜が形成され、その薄膜がフォトリソグラフィーによりパターニングされることにより形成される。
【0069】
レジスト層51が形成されると、図7(c)に示すように、電気めっき処理により、下地層35の露出部分に金属を析出させ、金属部37となる金属を形成する。これにより、孔部5h内に金属が充填されるとともに、カバー5の上面に所望の厚さを有する金属が積層される。
【0070】
金属部37となる金属が析出されると、図8(a)に示すように、下地層35のレジスト層51に被覆されていた部分およびレジスト層51が除去される。これにより、下地層35および金属部37からなる、端子基材27および補強層31が形成される。
【0071】
レジスト層51が除去されると、図8(b)に示すように、絶縁層39となる薄膜が形成される。絶縁層39となる薄膜は、カバー5の上面5aの全面に亘って形成され、端子基材27および補強層31の上面および側面も覆う。絶縁層39となる薄膜は、例えば、スピンコート法やスプレー法により形成される。
【0072】
絶縁層39となる薄膜が形成されると、図8(c)に示すように、フォトリソグラフィーを行う。なお、絶縁層39となる薄膜は、ネガ型およびポジ型のいずれの感光性樹脂でもよいが、図8(c)では、ネガ型の感光性樹脂が用いられた場合のフォトマスク53を例示している。
【0073】
その後、絶縁層39となる薄膜のうち、フォトマスク53を介して光が照射されなかった部分が除去されると、図4に示すように、絶縁層39により構成された、被覆部材29および絶縁膜33が形成される。
【0074】
以上の実施形態によれば、SAW装置1は、基板3と、基板3の上面3aに配置された励振電極13と、励振電極13を覆うカバー5と、励振電極13と電気的に接続され、カバー5の上面5aに露出する端子7とを有する。端子7の上面7aは、導電性を有する第1領域7aaと、第1領域7aaに比較して、端子7の上面7aに配置された半田105に及ぼす引張応力を低減可能な第2領域7abとを有している。
【0075】
従って、被覆部材29が設けられない場合(上面7a全体が第1領域7aaである場合)に比較して、半田105を介して端子7に加えられる、端子7を基板3の上面3aから剥離させようとする力を低減して、端子7の基板3からの剥離を抑制できる。端子7の上面7aの全面に対して一律に引張応力を緩和するのではなく、導電性を有する第1領域7aaと、引張応力を緩和する第2領域7abとを設けることから、端子7の下面(パッド17と接する面)のうち、基板3から剥離しやすい部分の直上領域に第2領域7abを配置して、第1領域7aaを介して端子7と半田105との導通性を確保しつつ効果的に剥離を抑制することができるなど、引張力が信頼性低下に及ぼす影響を好適に抑制可能である。
【0076】
端子7は、カバー5の上面に露出する導電性の端子基材27と、端子基材27の上面の一部を露出させるようにして端子基材27の上面に配置された被覆部材29とを有する。被覆部材29は、ヤング率が半田105よりも低いという性質、端子基材27に比較して半田濡れ性が悪いという性質、および、端子基材27との接合性が半田105と端子基材27との接合性よりも低いという性質の少なくとも一の性質を有する。そして、被覆部材29の非配置領域により第1領域7aaが構成され、被覆部材29の配置領域により第2領域7abが構成されている。
【0077】
従って、端子基材27上の一部に被覆部材29を配置する簡便な方法により、導通性を有する第1領域7aaおよび引張応力を緩和可能な第2領域7abを実現することができる。
【0078】
さらに、被覆部材29が配置されることにより、端子7は、被覆部材29が配置されない場合に比較して背が高くなる。その結果、歩留りの向上が期待される。具体的には、以下のとおりである。
【0079】
図9は、実装基板101にSAW装置1を搭載するときの断面図(図3のIV−IV線の一部に対応)を示している。図9(a)は、被覆部材29が設けられていない比較例を示し、図9(b)は、本実施形態を示している。
【0080】
図9(a)に示すように、実装用パッド103と端子基材27との位置がずれた場合、半田105が補強部9に当接し、その一方で半田105が端子基材27に当接しない状態が生じ得る。
【0081】
しかし、図9(b)に示すように、本実施形態においては、被覆部材29が配置されて端子7の背が高くなっていることにより、図9(a)のような状態が生じる蓋然性が低減される。
【0082】
特に被覆部材29が金属材料により覆われている場合や被覆部材29自体が金属からなる場合には、半田105が端子7に触れやすくなるためセルフアライメント効果によってSAW装置1が所定の位置に移動し、SAW装置1の実装不良が起きにくくなる。
【0083】
また、被覆部材29が配置されて端子7の背が高くなると、SAW装置1(補強部9)と実装基板101との隙間d0(図2参照)が大きくなり、モールド樹脂107が流れ込み易くなる。その結果、隙間d0に気泡ができ難くなり、ひいては、気泡の膨張による実装不良が抑制される。
【0084】
また、本実施形態においては、SAW装置1は、励振電極13上が空隙となるようにカバー5に設けられた凹部5rと、カバー5の上面5aに平面透視において凹部5rを覆うように配置された金属からなる補強層31と、補強層31を被覆する絶縁膜33とをさらに有する。絶縁膜33と被覆部材29とは同一材料(絶縁層39)により構成されている。
【0085】
従って、絶縁膜33の形成と、被覆部材29の形成とを同時に行うことができ、製造工程を増加させることなく、第1領域7aaおよび第2領域7abを形成することができる。
【0086】
端子7は、カバー5を高さ方向に貫き、カバー5の上面5aから露出する柱部7cと、柱部7cの上面側の外周から突出してカバー5の上面5aに配置されるフランジ7dとを有する。第1領域7aaは、端子7の上面7aの外周側に設けられ、第2領域7abは、端子7の上面7aの中央側に設けられている。
【0087】
従って、半田105から柱部7cに直接的に作用する引張応力を低減して、柱部7cの基板3からの剥離を抑制しつつ、フランジ7dを介して半田105と端子7との導通性を確保することができる。本実施形態では、第2領域7abが柱部7cの上面全体を含む広さであることから、当該効果が一層期待される。
【0088】
本実施形態のSAW装置1の製造方法は、基板3の上面3aに励振電極13を形成する工程(図6(a))と、励振電極13を覆うカバー5を形成する工程(図6(c)〜図7(a))と、励振電極13と電気的に接続され、カバー5の上面5aに露出する導電性の端子基材27を形成する工程(図7(b)〜図8(a))と、端子基材27を覆うように感光性の樹脂からなる絶縁膜構成層(39)を形成する工程(図8(b))と、フォトリソグラフィーによって絶縁膜構成層の一部を除去することにより、端子基材27の上面の一部を露出させるようにして端子基材27の上面に配置された被覆部材29を形成する工程(図8(c)〜図4)とを含む。
【0089】
従って、フォトリソグラフィーにより端子基材27の上面の一部に絶縁性の被覆部材29を配置する簡便な方法により、本実施形態のSAW装置1を製造することができる。
【0090】
<第2の実施形態>
図10は、第2の実施形態のSAW装置201の要部を示す断面図(図3のIV−IV線の断面図の一部に対応)である。
【0091】
第2の実施形態のSAW装置201は、金属膜41を備えている点のみが第1の実施形態と相違する。金属膜41は、例えば、第1金属層43と、その上に積層された第2金属層45とから構成されている。
【0092】
金属膜41(第1金属層43および第2金属層45)は、例えば、少なくとも端子基材27の上面および被覆部材29の上面を覆っており、より好ましくは、端子基材27のフランジの側面も覆っている。従って、金属膜41は、端子207のカバー5の上面5aから露出する表面を構成している。
【0093】
第2金属層45は、半田濡れ性が端子基材27の材料よりも高い材料により構成されている。例えば、端子基材27が銅により構成されているのに対し、第2金属層45は、金または金を主成分とする合金により構成されている。
【0094】
第1金属層43は、例えば、半田105および第2金属層45が端子基材27側へ拡散し過ぎることを抑制するのに好適な材料により構成されている。例えば、第1金属層43は、ニッケルまたはニッケルを主成分とする合金により構成されている。なお、第1金属層43は、金属膜41の膜厚確保にも寄与する。第1金属層43は、省略されてもよい。
【0095】
端子207の上面207aは、第1の実施形態と同様に、被覆部材29の直上領域の第2領域207abと、その周囲の第1領域207aaとを有している。一方、被覆部材29は、ヤング率が半田105よりも低いという性質、金属膜41との接合性が金属膜41と端子基材27との接合性よりも低いという性質、および端子基材27との接合性が金属膜41と端子基材27との接合性よりも低いという性質の少なくとも一の性質を有している。従って、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第2領域207abは、第1領域207aaに比較して、端子207の上面207aに配置された半田105に及ぼす引張応力を低減可能である。
【0096】
端子207は、金属膜41の厚みt1だけ補強部9よりも高くなっている。金属膜41の厚みt1は、例えば、10nm〜10μmである。
【0097】
なお、第2の実施形態のSAW装置の製造方法は、例えば、第1の実施形態のSAW装置の製造方法において、絶縁層39のパターニングの後に、金属膜41の形成が追加されたものである。金属膜41は、例えば、金属膜41の非配置位置にレジスト層を形成した後に、無電解めっきを行うことにより形成される。
【0098】
第2の実施形態によれば、端子207の上面207aは、導電性を有する第1領域207aaと、第1領域207aaに比較して、端子207の上面207aに配置された半田105に及ぼす引張応力を低減可能な第2領域207abとを有していることから、第1の実施形態と同様に、第2領域207abが設けられない場合(上面207aの全体が第1領域207aaである場合)に比較して、端子207に加えられる引張力がSAW装置201の信頼性低下に及ぼす影響を抑制できる。
【0099】
SAW装置201は、被覆部材29を被覆する金属膜41をさらに有する。従って、図9を参照して説明した、被覆部材29を端子基材27の上面に配置することによる歩留りの向上の効果が増大される。
【0100】
すなわち、第2領域207abに形成された凸部は、金属膜41により表面に導電性が付与されていることから、半田105が凸部に当接するだけで、端子207と実装用パッド103との導通が確保される。また、金属膜41は絶縁性の被覆部材29よりも半田濡れ性が高いので、セルフアライメントの効果も増大する。金属膜41は、被覆部材29上の上面が絶縁膜33の上面よりも高い位置にあるので、第1の実施形態よりも、半田105が絶縁膜33に当接して端子に当接しないという状況の蓋然性が低減される。
【0101】
さらに、端子207の背が金属膜41の厚さt1高くなることから、上述した、補強部9と実装基板101との間における気泡発生抑制の効果も増大する。
【0102】
<第3の実施形態>
図11(a)は、第3の実施形態のSAW装置の要部を示す平面図であり、図11(b)は、図11(a)のXIb−XIb線の断面図(図3のIV−IV線の断面図の一部に対応)である。
【0103】
第3の実施形態のSAW装置の端子307は、被覆部材329の平面形状のみが第2の実施形態の端子207と相違する。被覆部材329は、端子基材27の外周側に環状に配置されている。従って、第1および第2の実施形態とは逆に、導電性を有する第1領域307aaが端子307の上面307aの中央側に、半田105に及ぼす引張応力を緩和可能な第2領域307abが上面307aの外周側に位置している。
【0104】
第3の実施形態によれば、端子307の上面307aは、導電性を有する第1領域307aaと、第1領域307aaに比較して、端子307の上面307aに配置された半田105に及ぼす引張応力を低減可能な第2領域307abとを有していることから、第1の実施形態と同様に、第2領域307abが設けられない場合(上面307aの全体が第1領域307aaである場合)に比較して、端子307に加えられる引張力がSAW装置の信頼性低下に及ぼす影響を抑制できる。
【0105】
被覆部材329は、端子307の上面の外周側に環状に配置されていることから、図9を参照して説明した、位置ずれが生じた場合における、被覆部材329と半田105とが当接しやすくなる効果が向上する。ひいては、歩留りの向上が期待される。
【0106】
<第4の実施形態>
図12は、第4の実施形態のSAW装置の要部を示す断面図(図3のIV−IV線の断面図の一部に対応)である。
【0107】
第4の実施形態のSAW装置の端子407は、被覆部材429の材質が第1〜第3の実施形態と相違する。具体的には、被覆部材429は、半田濡れ性が悪い金属により構成されている。このような金属としては、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金が挙げられる。なお、被覆部材429の配置範囲は、例えば、第1の実施形態と同様である。
【0108】
また、端子407は、第2および第3の実施形態と同様に金属膜41を有しているが、金属膜41は被覆部材429を覆っていない。なお、端子407においては、端子基材27と金属膜41とにより、第4の実施形態における端子基材427が構成されていると捉えられてもよい。金属膜41の第2金属層45は、上述のように、半田濡れ性がよい金属、例えば、金または金を主成分とする合金により構成されている。
【0109】
そして、端子407の上面407aにおいては、被覆部材429の非配置領域により、導電性を有する第1領域407aaが構成され、被覆部材429の配置領域により、第1領域407aaよりも半田濡れ性が悪い第2領域407abが構成されている。第2領域407abは、半田濡れ性が悪いことから、半田105の引張応力を緩和することが可能である。
【0110】
第4の実施形態のSAW装置の製造方法は、例えば、第2の実施形態のSAW装置の製造方法において、絶縁層39の形成工程が省略されるとともに、金属膜41の形成工程の後に、被覆部材429の形成工程が追加されたものである。被覆部材429は、例えば、被覆部材429の非配置位置にレジスト層を形成した後に、無電解めっきを行うことにより形成される。
【0111】
第4の実施形態によれば、端子407の上面407aは、導電性を有する第1領域407aaと、第1領域407aaに比較して、端子407の上面407aに配置された半田105に及ぼす引張応力を低減可能な第2領域407abとを有していることから、第1の実施形態と同様に、第2領域407abが設けられない場合(上面407aの全体が第1領域407aaである場合)に比較して、端子407に加えられる引張力がSAW装置の信頼性低下に及ぼす影響を抑制できる。
【0112】
さらに、被覆部材429は、金属により構成されていることから、第1領域407aaだけでなく、第2領域407abにおいても、半田105と端子407との導通性を確保可能である。従って、SAW装置の信頼性低下が一層抑制される。
【0113】
<第5の実施形態>
図13は、第5の実施形態のSAW装置の要部を示す断面図(図3のIV−IV線の断面図の一部に対応)である。
【0114】
第5の実施形態のSAW装置の端子507は、第2の実施形態(図10)の端子207から、被覆部材29と、金属膜41の被覆部材29上の部分とを排除した構成となっている。
【0115】
換言すれば、端子507は、第1の実施形態の端子基材27と、端子基材27の上面に、当該上面の一部を露出させるようにして配置され、第1金属層43および第2金属層45により構成されためっき部材541とを有している。上述したように、第2金属層45は、端子基材27の材料(例えば銅)よりも半田濡れ性がよい材料(例えば金)により形成されている。
【0116】
従って、端子507の上面507aにおいては、めっき部材541の配置領域により、導電性を有する第1領域507aaが構成され、めっき部材541の非配置領域により、第1領域507aaよりも半田濡れ性が悪い第2領域507abが構成されている。第2領域507abは、半田濡れ性が悪いことから、半田105の引張応力を緩和することが可能である。
【0117】
第5の実施形態のSAW装置の製造方法は、例えば、第2の実施形態のSAW装置の製造方法において、絶縁層39の形成工程が省略されるとともに、第2の実施形態とは異なる形状に第1金属層43および第2金属層45がパターニングされるものである。
【0118】
第5の実施形態によれば、端子507の上面507aは、導電性を有する第1領域507aaと、第1領域507aaに比較して、端子507の上面507aに配置された半田105に及ぼす引張応力を低減可能な第2領域507abとを有していることから、第1の実施形態と同様に、第2領域507abが設けられない場合(上面507aの全体が第1領域507aaである場合)に比較して、端子507に加えられる引張力がSAW装置の信頼性低下に及ぼす影響を抑制できる。
【0119】
さらに、第1領域507aaだけでなく、第2領域507abにおいても、半田105と端子407との導通性を確保可能である。従って、SAW装置の信頼性低下が一層抑制される。第5の実施形態は、他の実施形態に比較して、端子と実装基板101との導通面積確保の要求が端子の基板からの剥離抑制の要求に対して相対的に高い場合に効果的である。
【0120】
<第6の実施形態>
図14(a)は、第6の実施形態のSAW装置601の要部を示す平面図であり、図14(b)は、図14(a)のXIVb−XIVb線の断面図である。なお、図14(b)では、保護層25は図示が省略されている。
【0121】
SAW装置601は、第1の実施形態の端子7に代えて、パッド17に接続された貫通導体647と、貫通導体647に接続された配線導体649と、配線導体649に接続された端子607とを有している。
【0122】
貫通導体647は、パッド17上においてカバー5を貫通している。配線導体649は、カバー5の上面5aにおいて延在している。端子607は、カバー5の上面5aに配置された端子基材627と、端子基材627の上面の一部を露出させるように端子基材627の上面に配置された、第1の実施形態と同様の被覆部材29とを有している。
【0123】
貫通導体647、配線導体649および端子基材627は、第1の実施形態の端子基材27および補強層31と同様に、下地層35(図14では図示省略)と、金属部37とにより構成されている。配線導体649は、補強層31と同様に、絶縁層39により覆われている。
【0124】
端子607の上面607aには、第1の実施形態と同様に、被覆部材29の非配置領域により、導電性を有する第1領域607aaが形成され、被覆部材29の配置領域により、端子607の上面607aに配置された半田105に及ぼす引張応力を抑制可能な第2領域607abが形成されている。
【0125】
従って、被覆部材29が設けられない場合に比較して、端子607のカバー5の上面5aからの剥離、または、端子607直下における、蓋部21の枠部19からの剥離若しくは枠部19の基板3からの剥離が抑制される。その結果、カバー5の密閉性が保たれ、端子607に加えられる引張力がSAW装置の信頼性低下に及ぼす影響を抑制できる。
【0126】
<第7の実施形態>
図15は、第7の実施形態のSAW装置の要部を示す断面図(図3のIV−IV線の断面図の一部に対応)である。
【0127】
第7の実施形態のSAW装置の端子707は、被覆部材729の断面形状のみが第1の実施形態と相違する。具体的には、被覆部材729は、中央側ほど厚みが増すドーム状に形成されている。なお、端子707の上面707aにおける、第1領域707aaおよび第2領域707abの平面形状は、第1の実施形態と同様である。
【0128】
被覆部材729は、例えば、ディスペンサーにより端子基材27の上面に樹脂等の絶縁部材が盛られることにより形成される。なお、被覆部材729以外の製造方法は、第1の実施形態と同様である。
【0129】
第7の実施形態によれば、半田105の第2領域707ab上の部分における引張応力が半田105の第1領域707aa上の部分に分散されやすい。その結果、第1の実施形態に比較して、端子707の基板3からの剥離がより効果的に抑制されることが期待される。
【0130】
<実施例>
図2に示したように第1の実施形態のSAW装置1が実装基板101に実装された場合を想定して、各部材をモデル化するとともに各部材に具体的な寸法等を設定し、熱応力のシミュレーション計算を行った。具体的には以下のとおりである。
【0131】
(部材のモデル化)
図16(a)は、比較例のモデルを示す断面図、図16(b)は、実施例1のモデルを示す断面図、図16(c)は、実施例2のモデルを示す断面図である。
【0132】
実装用パッド103、パッド17および保護層25は省略した。端子基材27は、柱部のみとし(フランジは省略し)、また、カバー5から突出しないものとした。端子基材27は単一の材料により形成されているものとした。端子基材27および半田105は円柱状であるものとした。
【0133】
(シミュレーションケース)
被覆部材29が設けられない場合(端子が端子基材27のみにより形成される場合)を比較例とした。また、被覆部材29の厚さがc1の場合を実施例1、被覆部材29の厚さがc2(=c1/2)の場合を実施例2とした。
【0134】
(シミュレーション条件)
【0135】
計算対象範囲:
XY平面においてはSAW装置を中心として1.32mm(X方向)×1.72mm(Y方向)の範囲。
Z方向においては、実装基板101の実装面101aから実装基板101側へ0.4mm、その反対側へ0.5mmの範囲。
【0136】
各主部材の寸法:
基板3:0.66mm(X方向)×0.86mm(Y方向)×0.2mm(Z方向)
端子基材27およびカバー5の高さh1:0.06mm
端子基材27および半田105の直径d1:0.07mm
半田105の高さ(カバー5と実装基板101との隙間)h2:0.04mm
被覆部材29の直径d2:0.04mm
被覆部材29の厚さc1(実施例1):h2×2/3
被覆部材29の厚さc2(実施例2):h2×1/3
【0137】
なお、カバー5の平面視における大きさは基板3と概ね同等である。実装基板101およびモールド樹脂107は、計算対象範囲に広がっているものとした。換言すれば、実装基板101は、1.32mm(X方向)×1.72mm(Y方向)×0.4mm(Z方向)の大きさ、モールド樹脂107は、1.32mm(X方向)×1.72mm(Y方向)×0.5mm(Z方向)の大きさとした。
【0138】
各部材の材質(物性値):
実装基板101:LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics、ヤング率=173GPa、ポアソン比=0.26、線膨張係数10.7ppm/℃)
半田105:鉛フリー半田(96Sn/3.5Ag/Cu、ヤング率=51.9GPa、ポアソン比=0.39、線膨張係数20.8ppm/℃)
カバー5:樹脂(ヤング率=2.4GPa、ポアソン比=0.3、線膨張係数65ppm/℃)
端子基材27:銅(ヤング率=117GPa、ポアソン比=0.34、線膨張係数16.5ppm/℃)
基板3:LiTaO(ヤング率=230GPa、ポアソン比=0.3、線膨張係数1.61ppm/℃)
モールド樹脂107(85℃):樹脂(ヤング率=2.62GPa、ポアソン比=0.3、線膨張係数100ppm/℃)
【0139】
(想定した状況および計算方法)
モールド樹脂107に+60℃の温度荷重が加えられときの応力を有限要素法により算出した。なお、部材間の界面は剥離しないものとした。
【0140】
(評価方法およびシミュレーション結果)
端子基材27と基板3との界面における最大応力を抽出した。結果は、以下のとおりである。
比較例(図16(a)):765MPa
実施例1(図16(b)):667MPa
実施例2(図16(c)):742MPa
以上のシミュレーション結果より、被覆部材29が設けられることにより、端子基材27が基板3から剥離する蓋然性が抑制されることが確認された。
【0141】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0142】
弾性波装置は、SAW装置に限定されない。例えば、弾性波装置は、圧電薄膜共振器であってもよいし、弾性境界波装置(ただし、広義のSAW装置に含まれる)であってもよい。なお、弾性境界波装置等の弾性波装置においては、励振電極上に空隙(振動空間)は不要である。
【0143】
また、本発明の弾性波装置において、保護層、補強層および裏面部は必須の要件ではなく、省略されてもよい。逆に、端子とパッドとの間にこれらの接合を強化するための適宜な導電層を設けるなど、適宜に部材が追加されてもよい。
【0144】
上述の実施形態は、適宜に組み合わされてよい。例えば、第1の実施形態において、端子基材27に代えて、第4の実施形態(図12)の端子基材427が用いられてもよい(金属膜41が設けられてもよい。)。逆に、第4の実施形態において、第1の実施形態と同様に、金属膜41が省略されてもよい。また、例えば、第3の実施形態(図11)の被覆部材329の平面形状が第1若しくは第4の実施形態(図12)に適用されてもよいし、第7の実施形態の被覆部材729の形状(図15)が、第2〜第4の実施形態(図10〜図12)に適用されてもよい。
【0145】
第1領域および第2領域の平面形状は、円形および円形を囲む環状に限定されない。例えば、各領域は、三角形等の多角形であってもよい。また、例えば、第1および第2領域は、一方の領域が他方の領域を囲む関係になくてもよい。
【0146】
第1領域および第2領域(端子)を構成するための材料も適宜な範囲に配置されてよい。例えば、金属膜41(図10等)は、端子基材(27等)の上面のみを多い、フランジの側面を覆っていなくてもよい。また、例えば、第3の実施形態(図11)において、被覆部材329は端子基材27のフランジの側面を覆っていてもよい。また、例えば、第5の実施形態(図13)において第1金属層43は第2領域507abに存在してもよい。
【0147】
端子は、図14に例示したように、励振電極を覆うカバー上面に露出していればよく、カバーを貫いている必要はない。また、端子は、カバーを完全に貫いているもの、カバー上面に配置されているものに限定されず、カバーの上方側の一部のみを貫通するものであってもよい。また、端子の断面形状および平面形状は適宜に設定されてよい。例えば、端子の柱部は、基板側ほど拡径するテーパ状に形成されてもよい。また、例えば、端子の柱部およびフランジは、平面形状が多角形に形成されてもよい。
【0148】
弾性波装置の製造方法は、実施形態において例示したものに限定されない。例えば、振動空間が不要なカバーは、枠部と蓋部とを別個に形成する必要はなく、カバー全体が一回のフォトリソグラフィー等により一体的に形成されてもよい。また、例えば、振動空間を要するカバーは、振動空間となる領域に犠牲層を形成して、その後、犠牲層上にカバーとなる樹脂層を形成し、樹脂層内から犠牲層を溶解、流出させることにより形成されてもよい。また、例えば、端子は、導電ペーストの貫通孔(5h)への充填およびカバー上面への印刷により形成されてもよい。
【符号の説明】
【0149】
1…SAW装置(弾性波装置)、3…基板、3a…上面、5…カバー、5a…上面、7…端子、7a…上面、7aa…第1領域、7ab…第2領域、13…励振電極、105…半田。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
該基板の上面に配置された励振電極と、
該励振電極を覆うカバーと、
前記励振電極と電気的に接続され、前記カバーの上面に露出する端子と、
を有し、
前記端子は、
前記カバーの上面に露出する金属からなる端子基材と、
前記端子基材の上面の一部を露出させるようにして前記端子基材の上面に配置された絶縁材料からなる被覆部材と、
を有する弾性波装置。
【請求項2】
前記カバーの上面に配置された金属からなる補強層と、
前記補強層を被覆する絶縁膜と、
をさらに有し、
前記カバーには、前記励振電極上が空隙となるように凹部が設けられており、
前記補強層は、前記カバーの上面に平面透視において前記凹部を覆うように配置され、
前記絶縁膜と前記被覆部材とは同一材料からなる
請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項3】
前記端子基材の上面および前記被覆部材を覆う金属膜をさらに有する
請求項1または2に記載の弾性波装置。
【請求項4】
前記カバーの上面に配置された金属からなる補強層と、
前記補強層を被覆する絶縁膜と、
前記端子基材の上面および前記被覆部材を覆う金属膜と、
をさらに有し、
前記カバーには、前記励振電極上が空隙となるように凹部が設けられており、
前記補強層は、前記カバーの上面に平面透視において前記凹部を覆うように配置され、
前記金属膜の、前記被覆部材上の上面が前記絶縁膜の上面よりも高い位置にある
請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項5】
基板と、
該基板の上面に配置された励振電極と、
該励振電極を覆うカバーと、
前記励振電極と電気的に接続され、前記カバーの上面に露出する端子と、
を有し、
前記端子は、
前記カバーの上面に露出する金属からなる端子基材と、
前記端子基材の上面の一部を露出させるようにして前記端子基材の上面に配置された前記端子基材よりも半田濡れ性が悪い金属からなる被覆部材と、
を有する弾性波装置。
【請求項6】
前記端子基材は、上面が銅若しくは金または銅および金の少なくとも一方を主成分とする合金により構成され、
前記被覆部材は、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金により構成されている
請求項5に記載の弾性波装置。
【請求項7】
前記端子は、
前記カバーを高さ方向に貫き、前記カバーの上面から露出する柱部と、
前記柱部の上面側の外周から突出して前記カバーの上面に配置されるフランジと、
を有し、
前記被覆部材は、前記端子基材の上面外周部を環状に露出させるように前記端子の上面の中央部に設けられている
請求項1〜6のいずれか1項に記載の弾性波装置。
【請求項8】
前記被覆部材は、平面透視において前記柱部の上面全体を含む広さで形成されている
請求項7に記載の弾性波装置。
【請求項9】
前記被覆部材は、前記端子の上面の外周に沿って環状に配置されている
請求項1〜6のいずれか1項に記載の弾性波装置。
【請求項10】
基板と、
該基板の上面に配置された励振電極と、
該励振電極を覆うカバーと、
前記励振電極と電気的に接続され、前記カバーの上面に露出する端子と、
を有し、
前記端子は、
前記カバーの上面に露出する導電性の端子基材と、
導電性を有し、前記端子基材に比較して半田濡れ性が良く、前記端子基材の上面の一部を露出させるようにして前記端子基材の上面に配置されためっき部材と、
を有する弾性波装置。
【請求項11】
前記端子基材は、上面が銅若しくはニッケルまたは銅およびニッケルの少なくとも一方を主成分とする合金により構成され、
前記めっき部材は、金または金を主成分とする合金により構成されている
請求項10に記載の弾性波装置。
【請求項12】
基板の上面に励振電極を形成する工程と、
前記励振電極を覆うカバーを形成する工程と、
前記励振電極と電気的に接続され、前記カバーの上面に露出する導電性の端子基材を形成する工程と、
前記端子基材を覆うように感光性の樹脂からなる絶縁膜構成層を形成する工程と、
フォトリソグラフィーによって前記絶縁膜構成層の一部を除去することにより、前記端子基材の上面の一部を露出させるようにして前記端子基材の上面に配置された被覆部材を形成する工程と、
を含む弾性波装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−119928(P2012−119928A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267686(P2010−267686)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】