説明

弾性表面波素子用基板および弾性表面波装置

【課題】気密性に優れた弾性表面波装置を提供する。
【解決手段】弾性表面波装置100は、実装基板102と、実装基板102の上面に対向配置された弾性表面波素子150と、実装基板102の上面に設けられているパッド118と、パッド118を被覆する半田層122と、実装基板102の上面に設けられ、パッド118を囲むダム材134と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波素子用基板および弾性表面波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性表面波装置においては、弾性表面波素子を実装する技術として、感光性樹脂により弾性表面波素子の機能面に空間を確保した状態で封止する技術が知られている。たとえば、特許文献1には、弾性表面波素子(SAW素子)の実装構造が記載されている。同文献によれば、この実装構造は、接続パッドを有する実装基板と、この実装基板上に機能面を対面させた状態で、この機能面に設けられた接続パッドを上記接続パッドにAuバンプにより接続して実装基板に実装されるSAW素子と、SAW素子の周辺部においてSAW素子と実装基板との間に充填される感光性樹脂とを備えており、感光性樹脂によりSAW素子の機能面に構成される振動伝搬部に臨んだ空間を確保した状態で封止した構造であることが記載されている。
この感光性樹脂はSAW素子に対して接着することができない。そのため、特許文献1に記載の実装構造においては、保護層(SiO膜)を介して、感光性樹脂とSAW素子とを接着していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−67830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたSAW素子の実装基板においては、気密性の点に改善の余地があった。
保護層(SiO膜)を介さずに、SAW素子と実装基板との間に感光性樹脂を設けた場合、上述のとおり、感光性樹脂はSAW素子と接着することができないため、空間の気密性を維持することが困難となる。
【0005】
本発明の目的は、気密性に優れた弾性表面波装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
実装基板と、
前記実装基板の上面に設けられているパッドと、
前記パッドを被覆する半田層と、
前記実装基板の前記上面に設けられ、前記実装基板の平面視において前記パッドを囲むダム材と、
を備える、弾性表面波素子用基板が提供される。
【0007】
本発明によれば、
実装基板と、
前記実装基板の前記上面に対向配置された弾性表面波素子と、
前記実装基板の上面に設けられているパッドと、
前記パッドを被覆する半田層と、
前記実装基板の前記上面に設けられ、前記実装基板の平面視において前記パッドを囲むダム材と、を備え、
前記実装基板、前記パッド、前記半田層および前記ダム材から、上記弾性表面波素子用基板が構成され、
前記ダム材が、前記実装基板と前記弾性表面波素子との間に設けられ、
前記パッドと前記半田層とが、前記実装基板と前記弾性表面波素子とを接続している、弾性表面波装置が提供される。
【0008】
ダム材は、弾性表面波素子に対して接着性を有する。このため、ダム材を介して、弾性表面波素子と実装基板とを接着することができる。これにより、実装基板、弾性表面波素子およびダム材からなる弾性表面波装置内部の気密性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、気密性に優れた弾性表面波装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る弾性表面波装置を模式的に示した断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る弾性表面波素子用基板を模式的に示した断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る弾性表面波装置を製造する手順を示す工程断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る弾性表面波装置を製造する手順を示す工程断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る弾性表面波装置を製造する手順を示す工程断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る弾性表面波装置を製造する手順を示す工程断面図である。
【図7】本発明の弾性表面波装置の変形例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る弾性表面波素子用基板の変形例を模式的に示した断面図である。
【図9】図8に示す弾性表面波素子用基板を製造する手順を示す工程断面図である。
【図10】図8に示す弾性表面波素子用基板を製造する手順を示す工程断面図である。
【図11】図8に示す弾性表面波素子用基板を製造する手順を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1を参照して、本実施形態の弾性表面波装置100について説明する。
本実施形態の弾性表面波装置100は、実装基板102と、実装基板102の上面に対向配置された弾性表面波素子150と、実装基板102の上面に設けられているパッド118と、パッド118を被覆する半田層122と、実装基板102の上面に設けられ、実装基板102の平面視においてパッド118を囲むダム材134と、を備える。
【0013】
枠状のダム材134は、実装基板102と弾性表面波素子150との間に設けられている。また、パッド118と半田層122とが、実装基板102と弾性表面波素子150とを接続している。弾性表面波装置100は、図1に示すフィルドビア114、バリア膜(第1の金属層120)、第1の回路126、感光性絶縁樹脂層128、Ni膜130、Au膜132、パッド144、およびモールド樹脂160をさらに備える。
【0014】
次に、弾性表面波装置100の製造方法について、図2〜図6を参照して説明する。
図2は、本実施の形態に係るフィルドビア構造の弾性表面波素子用基板200の一部を示す模式図である。図3〜図6は、本実施の形態の弾性表面波装置100の製造手順の工程断面図を示す。各工程においては、実装基板102全体の一部を示す。
弾性表面波装置100の製造工程の概要は、次のとおりである。まず、実装基板102上に、複数の枠状のダム材134を形成し、弾性表面波素子用基板200のシートを製造する。シート上の各ダム材134にそれぞれ弾性表面波素子150を搭載し、個片化して、一度に複数の弾性表面波装置100を得る。
【0015】
弾性表面波装置100の製造工程の前提として、弾性表面波素子用基板200の作製工程について以下説明する。
まず、実装基板102を用意して、この実装基板102の両面に第1の金属箔104(第1の銅箔)、第2の金属箔106(第2の銅箔)を形成する(図3(a))。このとき、実装基板102の端にアライメントマーク用の貫通孔(図示せず)を形成してもよい。続いて、第2の金属箔106に開口部を形成する。開口部の実装基板102(図3(a))に、UVレーザー等でブラインドビア110(図3(b))を形成する。さらに、ビア形成時に発生したスミア(図3(b))を除去するデスミア処理を行う。このデスミア処理には、過マンガン酸溶液によるウェット方式または、プラズマによるドライ方式が用いられることが多い。そして、無電解めっき111(図3(b))後、フィルドビアめっき112(銅めっき)(図3(c))を施す。このときのフィルドビアめっき112は、無電解めっきを用いても、その他導電物質を用いてブラインドビア110内を充填してもよい。
【0016】
次いで、図4(a)に示すように、フォトリソグラフィー方法により、実装基板102上面を露光して、フィルドビア114上部にパッド118(回路)を形成する。さらにパッド118上部に半田層122をめっき法、ペースト印刷法などを用いて形成する。この場合、半田層122は、錫、鉛、銀、銅、亜鉛、ニッケル、ビスマス、アンチモン、インジウム、金の中から選ばれた少なくとも1種類以上の金属で構成された、はんだ金属である。例えば、錫系、錫−鉛系、錫−銀系、錫−亜鉛系、錫−ビスマス系、錫−アンチモン系、錫−銀−ビスマス系、錫−銅系等があるが、金属元素の組合せや組成は限定されず、最適なものを選択すればよい。半田層122の厚さは、特に限定されないが、好ましくは3〜30μmであり、より好ましくは10〜20μmである(以下、「〜」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す)。
このとき、実装基板102の外周部分に、ダイシング位置を決めるための目印(図示せず)を形成する。この目印としては、たとえば導体を用いる。この導体としては、銅、錫、銀、金、ニッケル及びそれらの合金などが用いられる。
【0017】
また、はんだ接合時に、半田層122とパッド118(銅箔層)と間で金属拡散による接続劣化を防止する目的で、下地処理としてニッケル等の第1の金属層120(バリア層)を半田層122とパッド118との間に形成してもよい。このとき、第1の金属層120の膜厚は、たとえば1〜6μmとする。
【0018】
続いて、実装基板102および半田層122(バンプ)を被膜するように、バンプを保護する保護シート124を貼り付ける(図4(b))。さらに、実装基板102下面の第2の金属膜116に対して、例えばエッチング等を施すことにより、所望の第1の回路126を形成する(図4(c))。
【0019】
続いて、感光性樹脂を実装基板102の下面に形成し、ソルダレジスト印刷、露光、現像処理を施すことにより、感光性絶縁樹脂層128を形成する(図5(a))。さらに、無電解めっき法を用いて、第1の回路126上にNi膜130、Au膜132をこの順で形成する(図5(a))。この後、保護シート124を剥離する(図5(b))。
【0020】
次に、実装基板102の下面(半田層122が設けられた面)を覆うように、電子線硬化性を有するシート状の接着フィルム(図示せず)を貼り付ける。続いて、フォトマスクを用いて、シート状の接着フィルムに電子線(例えば、紫外線)を選択的に照射する。これにより、シート状の接着フィルムのうち光照射された部分が光硬化する。露光後のシート状の接着フィルムを現像液(例えば、アルカリ水溶液、有機溶剤等)で現像すると、光照射された部分が現像液に溶解せずに残ることにより、枠状のダム材134が形成される。このとき、実装基板102上部の各パッド118以外の領域に、実装基板102の平面視においてパッド118を囲むように、枠状のダム材134が複数形成される(図5(c))。このとき、上記目印に応じて、各ダム材134の外周面の位置を決定する。
以上により、本実施の形態の弾性表面波素子用基板200(図2、図5(c))を得ることができる。
【0021】
次に、弾性表面波素子用基板200を用いた弾性表面波装置100の作製工程について説明する。
まず、上述の工程で得られた弾性表面波素子用基板200を用意し、各ダム材134上にそれぞれ弾性表面波素子150を載置(図6(a))する。ダム材134により、実装基板102と弾性表面波素子150とを、加熱加圧して仮圧着する(図6(a))。この際の加熱加圧条件としては、140℃〜260℃、20kPa〜30kPaである。
このとき、弾性表面波素子150は、半田バンプ(半田層122)を介して実装基板102に搭載されることとなる。また、実装基板102に対して垂直方向から見たとき、弾性表面波素子150の外周部から、ダム材134の外周部がはみ出ている。
【0022】
弾性表面波素子150下面には、配線(パッド144)がパターニングされており、続いて、実装基板102と弾性表面波素子150とをリフロー処理することにより、このパッド144と実装基板102のパッド118とが半田層122を介して電気的に接続されることになる(図6(b))。この際のリフロー処理条件としては200℃〜260℃である。このとき、ダム材134を介して、実装基板102と弾性表面波素子150とが十分接着される。
【0023】
次いで、弾性表面波素子150上部にモールド樹脂160(封止材)を形成する(図6(c))。このとき、モールド樹脂160は金型を用いてトランスファ成形する。
【0024】
この後、弾性表面波素子150側からダイシングソーにより、図6(c)中の破線部分に切込みを入れ、実装基板102および弾性表面波素子150を弾性表面波装置100単位に応じて分割する(図6(c))。このとき、モールド樹脂160は弾性表面波素子150上部にのみ形成されることになる。つまり、ダイシング位置を制御することにより、ダム材134の側面部分でダイシングすることができる。ダム材134の側面の位置は、上述の目印により把握することができる。これにより、ダム材134の側面は、モールド樹脂160に覆われずに、露出している。また、モールド樹脂160は、弾性表面波素子150上面のみに形成されている。尚、モールド樹脂160の形成は省略することもできる。また、各弾性表面波素子用基板200中のフィルドビア114およびパッド118は、弾性表面波素子150のパッド144の個数に応じて、複数設けられてもよい。
【0025】
以上の工程により、ダム材134の側面が露出している、弾性表面波装置100(図1)が得られる。
【0026】
次に、本実施の形態に係るダム材134について詳述する。
【0027】
ダム材134は、電子線硬化性のダム材用樹脂組成物が硬化されてなるものである。ここで、電子線とは、波長150nmから700nmまでの放射線を含む概念であり、例えば、近紫外線、紫外線を含むものである。
【0028】
このダム材用樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含有することが好ましい。これにより、ダム材134は、弾性表面波素子150に対して接着性を有する。また、ダム材134を露光、現像、パターニングした後でも接着性を有することができる。すなわち、ダム材134を接合して露光、現像、パターンニングすることにより、所定の位置に接着剤成分を配置した後、熱圧着することで実装基板102と弾性表面波素子150とを接合することができる。
【0029】
熱硬化性樹脂としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾールフェノール樹脂等のフェノール樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂、エポキシ変性シロキサン等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても良い。これらの中でもエポキシ樹脂が特に好ましい。これにより、耐熱性および密着性をより向上することができる。
【0030】
また、エポキシ樹脂として室温で固形のエポキシ樹脂(特にビスフェノール型エポキシ樹脂)と、室温で液状のエポキシ樹脂(特にシリコーン変性エポキシ樹脂)とを併用することが好ましい。これにより、耐熱性を維持しつつ、可とう性と解像性との両方に優れるダム材134とすることができる。
【0031】
熱硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、ダム材134を構成するダム材用樹脂組成物全体の10〜40重量%が好ましく、特に15〜35重量%が好ましい。含有量が上記下限値未満であると耐熱性を向上する効果が低下する場合があり、上限値を超えるとダム材134の靭性を向上する効果が低下する場合がある。
【0032】
また、熱硬化性樹脂には、フェノールノボラック樹脂をさらに含むことができる。フェノールノボラック樹脂を添加することにより、現像性を向上させることができる。また、エポキシ樹脂とフェノールノボラック樹脂とを両方含ませることにより、エポキシ樹脂の熱硬化性が向上し、ダム材134の強度をさらに向上させることができる。
【0033】
また、ダム材用樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性樹脂と、9重量%以下の無機充填材と、を含んでいる。光重合性樹脂は、アクリル系多官能モノマーを含んでいる。
【0034】
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル変性ビスAノボラック樹脂等の(メタ)アクリル変性ノボラック樹脂、アクリル樹脂、スチレンとアクリル酸との共重合体、ヒドロキシスチレンの重合体、ポリビニルフェノール、ポリα‐メチルビニルフェノールなどが挙げられ、中でもアクリル変性ノボラック樹脂が好ましく、(メタ)アクリル変性ノボラック樹脂が特に好ましい。これにより、現像液に有機溶剤ではなく、環境に対する負荷の少ないアルカリ水溶液を適用できると共に、耐熱性を維持することができる。
【0035】
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、特に限定されないが、ダム材134を構成するダム材用樹脂組成物全体の50〜95重量%が好ましい。含有量が下限値未満であると相溶性を向上する効果が低下する場合があり、上限値を超えると現像性または解像性が低下する場合がある。
【0036】
光重合性樹脂としては、アクリル系多官能モノマーが用いられる。多官能モノマーとは、3官能以上を有するモノマーをいい、本実施形態においては、特に3官能または4官能のアクリル酸エステル化合物を好適に用いることができる。2官能以下のモノマーではダム材134の強度が弱くなり、弾性表面波装置100の形状を保持することができないため好ましくない。
【0037】
具体的には、アクリル系多官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、等の三官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の六官能(メタ)アクリレートがある。これらの中でも三官能(メタ)アクリレートまたは四官能(メタ)アクリレートが好ましい。三官能(メタ)アクリレートや四官能(メタ)アクリレートを用いることにより、露光後のダム材134の強度を高めることができ、実装基板102と弾性表面波素子150を貼り合せる際の形状保持性を向上することができる。
【0038】
アクリル系多官能モノマーの含有量は、特に限定されないが、ダム材134を構成するダム材用樹脂組成物全体の1〜50重量%が好ましく、特に5〜25重量%が好ましい。上記下限値未満であると、実装基板102と弾性表面波素子150を貼り付ける際のダム材134の強度が低下する。上記上限値を超えると、実装基板102と弾性表面波素子150との貼付け性が低下することがある。
【0039】
光重合性樹脂は、エポキシビニルエステル樹脂を含有させてもよい。これにより、露光時には、多官能モノマーとラジカル重合するため、ダム材134の強度を高めることができる。一方、現像時には、アルカリ現像液に対する溶解性を向上するため、現像後の残渣を低減することができる。
【0040】
エポキシビニルエステル樹脂としては、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、エポライト40Eメタクリル付加物、エポライト70Pアクリル酸付加物、エポライト200Pアクリル酸付加物、エポライト80MFアクリル酸付加物、エポライト3002メタクリル酸付加物、エポライト3002アクリル酸付加物、エポライト1600アクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、エポライト200Eアクリル酸付加物、エポライト400Eアクリル酸付加物、等がある。
【0041】
エポキシビニルエステル樹脂の含有量は、特に限定されないが、ダム材134を構成するダム材用樹脂組成物全体の3〜30重量%が好ましい。上記上限値を超えると、ダム材134の吸水特性が低下し、結露が発生しやすくなる。上記下限値未満では、ダム材134のアルカリ現像液に対する溶解性が不足する場合があり、現像後に残渣が発生する場合がある。特に5〜15重量%の範囲にすると好ましい。こうすることにより、貼り付け後、実装基板102および弾性表面波素子150の各表面に残存する異物をさらに低減させることが可能となる。
【0042】
また、ダム材134は、光重合開始剤を含有することが好ましい。これにより、光重合によりダム材134を効率良くパターニングすることができる。
【0043】
光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルフィニルサルファイド、ベンジル、ジベンジル、ジアセチルなどが挙げられる。
【0044】
光重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、ダム材用樹脂組成物全体の0.5〜5.0重量%が好ましく、特に0.8〜3.0重量%が好ましい。含有量が上記下限値未満であると光重合を開始する効果が低下する場合があり、上記上限値を超えると反応性が高くなりすぎ保存性や解像性が低下する場合がある。
【0045】
なお、ダム材134は、無機充填材を含有させてもよいが、ダム材134を構成するダム材用樹脂組成物全体の9重量%以下とする。この上限値を超えると、基板上に無機充填材に起因する異物が付着したり、アンダーカットが発生し好ましくない。本実施形態において無機充填材は含んでいなくてもよい。
【0046】
無機充填材を樹脂組成物の9重量%以下とすることにより、ダム材134の光透過性を向上させることができる。このとき、ダム材134の透過率の測定方法としては、たとえば、厚さ25μmのダム材134を作製し、UV可視分光器(型番:UV−160A、(株)島津製作所製)を用い、測定波長:200〜1000nmで透過率を測定し、波長365nmにおける透過率を測定値とする方法を用いる。
【0047】
無機充填材としては、例えばアルミナ繊維、ガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム、ウォラストナイト、アルミニウムボレート、針状水酸化マグネシウム、ウィスカー等の針状充填材、タルク、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、鱗片状黒鉛、板状炭酸カルシウム等の板状充填材、炭酸カルシウム、シリカ、溶融シリカ、焼成クレー、未焼成クレー等の球状(粒状)充填材、ゼオライト、シリカゲル等の多孔質充填材等が挙げられる。これらを1種又は2種以上混合して用いることもできる。これらの中でも、多孔質充填材が好ましい。
【0048】
無機充填材の平均粒子径は、特に限定されないが、0.01〜90μmが好ましく、特に0.1〜40μmが好ましい。平均粒子径が上記上限値を超えるとフィルムの外観異常や解像性不良となる場合があり、下限値未満であると加熱貼り付け時の接着不良となる場合がある。平均粒子径は、例えばレーザ回折式粒度分布測定装置SALD−7000(島津製作所(株)製)を用いて評価することができる。
【0049】
無機充填材として、多孔質充填材を用いてもよい。無機充填材として、多孔質充填材を用いた場合、上記多孔質充填材の平均空孔径は、0.1〜5nmが好ましく、特に0.3〜1nmが好ましい。平均空孔径が上記上限値を超えると一部樹脂成分が空孔内部に入り込み、反応が阻害される可能性があり、下限値未満であると吸水能力が低下するため、ダム材134の透湿率が低下する場合がある。
【0050】
ダム材134を構成するダム材用樹脂組成物は、上述した硬化性樹脂、充填材に加え、本発明の目的を損なわない範囲で可塑性樹脂、レベリング剤、消泡剤、カップリング剤などの添加剤を含有することができる。
【0051】
以上に示すダム材用樹脂組成物が硬化されてなるダム材134は、弾性率が低いという特性を有するものである。このダム材134の低応力性により、半田クラックを抑制し、信頼性を向上させることができる。
【0052】
ダム材134の弾性率を測定する方法としては、たとえば、まず、ダム材用樹脂組成物から得られたダム材134に、波長365nmの光を700mJ/cm照射し露光を行い、次いで、ダム材134について動的粘弾性測定装置Rheo Stress RS150(HAAKE社製、測定周波数:1Hz、ギャップ間隔:100μm、測定温度範囲:25〜200℃、昇温速度10℃/分)で貯蔵弾性率G´を測定し、所定温度における弾性率を求める方法を用いる。この所定温度としては、たとえば80℃とするが、これに限定されず、各種温度を採用できる。
【0053】
ダム材134の80℃における弾性率を測定した場合、ダム材134は、水銀ランプで全波長の光を露光し、その積算露光量が、i線(365nm)の光で700mJ/cmになるように露光した後の80℃における弾性率が100Pa以上であることが好ましく、特に500〜30000Paが好ましい。上記下限値未満であると、実装基板102と弾性表面波素子150を貼り付ける際の形状保持性を低下させる。上記上限値を超えると、パターニング後に実装基板102と弾性表面波素子150の貼り付けが困難となる。
【0054】
また、ダム材134は、JIS Z0208 B法により測定された透湿率が12[g/m・24h]以上であることが好ましく、特に14〜100[g/m2・24h]が好ましい。上記下限値未満であると、弾性表面波装置100の弾性表面波素子150等の結露を充分に防止できない場合がある。上記上限値を超えると、ダム材134の吸湿リフロー信頼性が低下することがある。
【0055】
透湿率の測定方法としては、たとえば、60℃に設定されたラミネータを用いて、ダム材を貼り合せ、膜厚100μmのダム材134を作製し、露光機を用いて、露光量700mJ/cm2(波長365nm)の光を照射したあとに、180℃/2時間熱硬化する。得られた硬化後のダム材134を透湿カップ法(JIS Z0208 B法)に準じて、40℃/90%の環境下で評価し、透湿率を求める方法を用いる。この透湿カップ法によれば、ダム材134自体の透湿性を評価できる。
【0056】
本発明においては、ダム材134自体の透湿性が優れているため、実装基板102、弾性表面波素子150およびダム材134からなる弾性表面波装置100内部の空間190(図1)の水分を外部に出すとともに、外部からの水分の浸入を防止することができる。この特性により、ダム材134が、弾性表面波装置100の空間190の気密性の向上に寄与することができると考えられる。
【0057】
一方、弾性表面波装置100の気密性を評価する方法としては、たとえば、恒温恒湿バイアス試験(HHBT)を用いることができる。このHHBTは、条件:85℃、85%、1〜20V、装置:恒温恒湿槽を用いて1000時間程度抵抗値を測定する。中空部分(空間190)が気密されていれば水分が内部に入り込まないので抵抗値が減少することはない。恒温恒湿槽としては、例えばPH−Kシリーズ(エスペック株式会社製)を用いることができる。HHBTによれば、弾性表面波装置100の気密性を確認できる。この方法によれば、本発明に係る弾性表面波装置100の気密性は優れている。これは、上述のとおり、弾性表面波素子150との接着性をも有するダム材134による中空部分(空間190)の気密性向上と、ダム材134自身の透湿性の特性が寄与した結果であると推測される。つまり、ダム材134の実装基板102、弾性表面波素子150に対する接着性とダム材134の透湿性が優れていれば、弾性表面波装置100の気密性も向上すると考えられる。
【0058】
次に、本実施の形態に係る実装基板102について詳述する。
本発明に係る実装基板102は、基材用樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるプリプレグを、少なくとも1枚成形してなるものである。
本発明に係る基材用樹脂組成物は、繊維基材に含浸させてシート状のプリプレグを形成するために用いる樹脂組成物であって、シアネート樹脂および/またはそのプレポリマーと、実質的にハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂と、イミダゾール化合物と、無機充填剤とを含有し、該エポキシ樹脂は、第1のエポキシ樹脂と、第1のエポキシ樹脂より重量平均分子量の高い第2のエポキシ樹脂との混合物であり、第1のエポキシ樹脂は、アリールアルキレン型エポキシ樹脂であり、第2のエポキシ樹脂の重量平均分子量は、5000以上である。また、本発明のプリプレグは、上述の基材用樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるものである。
【0059】
本発明に係る基材用樹脂組成物の硬化物(以下、単に「硬化物」ということがある)の線膨張係数(α1)においては、硬化物の25℃以上、ガラス転移温度(Tg)以下の領域における、xy平面方向の線膨張係数(α1)は、18ppm/℃以下であり、より好ましくは、11ppm/℃以下である。また、上記xy平面方向の線膨張係数(α1)の下限値は、特に限定はないが、たとえば5ppm/℃以上とすることができる。これにより、硬化物を弾性表面波装置100や弾性表面波素子用基板200に用いた際、冷熱サイクル試験等の熱衝撃試験において導体回路層の剥離やクラックの発生を抑制できる。またプレス成形時や半田リフロー時の基板の反りを抑制することもできる。
【0060】
また、本発明に係る基材用樹脂組成物の硬化物の線膨張係数(α1)においては、硬化物の25℃以上、ガラス転移温度(Tg)以下の領域における、z平面方向の線膨張係数(α1)は、55ppm/℃以下であり、より好ましくは、16ppm/℃以下である。また、上記z平面方向の線膨張係数(α1)の下限値は、特に限定はないが、たとえば5ppm/℃以上とすることができる。これにより、硬化物を弾性表面波装置100や弾性表面波素子用基板200に用いた際、冷熱サイクル試験等の熱衝撃試験において導体回路層の剥離やクラックの発生を抑制できる。またプレス成形時や半田リフロー時の基板の反りを抑制することもできる。また、実装基板102とダム材134の熱膨張係数の差を低減できるため、実装基板102の反りが低減でき、実装基板102の損傷を抑制できる。さらに、弾性表面波素子150と実装基板102との熱膨張係数の差を低減できるため、反りによるクラックの発生を抑制して、信頼性の高い弾性表面波装置100を歩留まり良く製造することができる。
【0061】
ここで、線膨張係数(α1)の測定方法としては、TMA(TAインスツルメント社製)を用いて基板の厚み方向および基板面内の線膨張係数を測定する方法を用いる。
【0062】
本発明に係る基材用樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度(Tg)は、TMA(TAインスツルメント社製)を用いて測定した場合、160℃以上であり、より好ましくは220℃以上である。また、このガラス転移温度(Tg)は、DMA(TAインスツルメント社製)を用いて測定した場合、180℃以上であり、より好ましくは260℃以上である。これにより、実装基板102においては、広い温度領域で低い熱膨張係数を保つことができるため、反りの発生を好適に抑制することができる。さらには、広い温度領域において、実装基板102とダム材134との接着面の密着性を向上させることができる。
【0063】
線膨張係数が上記上限値を超えると、こちらも導体回路との線膨張のミスマッチにより、プレス成形時や半田リフロー時の基板の反りや冷熱サイクル試験等の熱衝撃試験における導体回路層の剥離やクラックの発生を抑制することができなくなる恐れがある。
【0064】
尚、基材用樹脂組成物の硬化物の線膨張係数は、樹脂の種類、樹脂の含有量、充填材の種類、充填材の量に依存する。本発明は、樹脂の選択、選択した樹脂の含有量とイミダゾール化合物、或いは選択した無機充填材の含有量とを調整することで任意に線膨張係数を設定することができる。但し、無機充填材の含有量が多くなるほど基板作製時の成形性が悪くなり、歩留まりが低下することとなるため、線膨張係数の下限値は上述の範囲が実質的には限界となる。
【0065】
本発明の基材用樹脂組成物の硬化物は、特に限定されないが300℃における重量減少率が15%以下である。これにより、硬化物を積層板や半導体装置に用いた際、吸湿後の半田耐熱性を改良することができる。また上記重量減少率は10%以下が好ましい。これにより上記作用を効果的に発現させることができる。なお、重量減少率は、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定)により、試料を30℃から500℃まで10℃/分の条件で昇温させ、試料の重量変化を追跡し、((30℃の試料重量)−(300℃の試料重量))/(30℃の試料重量)×100で求まる値とした。
【0066】
以下、基材用樹脂組成物についてさらに説明する。
本発明の基材用樹脂組成物ではシアネート樹脂および/またはそのプレポリマーを含有する。これにより、難燃性を向上することができる。
上記シアネート樹脂及び/またはそのプレポリマーは、例えばハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。具体的には、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂等を挙げることができる。これらの中でもノボラック型シアネート樹脂が好ましい。これにより、架橋密度増加による耐熱性向上と、基材用樹脂組成物等の難燃性を向上することができる。ノボラック型シアネート樹脂は、その構造上ベンゼン環の割合が高く、炭化しやすいためと考えられる。
【0067】
ノボラック型シアネート樹脂としては、例えば式(I)で示されるものを使用することができる。
【0068】
【化1】

【0069】
上記式(I)で示されるノボラック型シアネート樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、500〜4,500が好ましく、特に600〜3,000が好ましい。ノボラック型シアネート樹脂の重量平均分子量が上記下限値未満であると機械的強度が低下する場合があり、上記上限値を超えると基材用樹脂組成物の硬化速度が速いため保存性が低下する場合がある。上記ノボラック型シアネート樹脂は、例えば任意のノボラック樹脂と塩化シアン、臭化シアン等の化合物とを反応させることで得ることができる。
【0070】
上記シアネート樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の5〜60重量%が好ましく、特に15〜35重量%が好ましい。上記シアネート樹脂の含有量が上記下限値未満であると高耐熱性化や低熱膨張化する効果が低下する場合があり、上記上限値を超えると架橋密度が高くなり自由体積が増えるため耐湿性が低下する場合がある。
【0071】
本発明に係る基材用樹脂組成物では、実質的にハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂を用いる。これにより、吸水率を低下することができる。エポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの中でもアリールアルキレン型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、難燃性を向上することができる。
なお、上記実質的にハロゲン原子を含まないとは、エポキシ樹脂中のハロゲン原子の含有量が例えば1重量%以下のものをいう。
【0072】
上記エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、基材用樹脂組成物全体の5〜60重量%が好ましく、特に15〜40重量%が好ましい。含有量が上記下限値未満であると密着性、製膜性を向上する効果が低下する場合があり、上記上限値を超えると本発明の特徴とする低熱膨張化が低下する場合がある。
【0073】
また、上記エポキシ樹脂は、特に限定されないが、第1のエポキシ樹脂と、上記第1のエポキシ樹脂よりも重量平均分子量の高い第2のエポキシ樹脂との混合物であることが好ましい。これにより、プレス成形時の回路埋め込み性とフロー制御との両立を図ることができる。
【0074】
上記第1のエポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもアリールアルキレン型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、難燃性、吸湿半田耐熱性を向上することができる。
【0075】
ここで、アリールアルキレン型エポキシ樹脂とは、繰り返し単位中に一つ以上のアリールアルキレン基を有するエポキシ樹脂をいう。例えばキシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂が好ましい。ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂は、例えば式(II)で示すことができる。
【0076】
【化2】

【0077】
上記式(II)で示されるビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂のnは、特に限定されないが、1〜10が好ましく、特に2〜5が好ましい。これより少ないとビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂は結晶化しやすくなり、汎用溶媒に対する溶解性が比較的低下するため、取り扱いが困難となる場合がある。また、これより多いと樹脂の流動性が低下し、成形不良等の原因となる場合がある。
【0078】
上記第1のエポキシ樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量4,000以下が好ましく、特に重量平均分子量500〜4,000が好ましく、最も800〜3,000が好ましい。重量平均分子量が上記下限値未満であると金属箔付き実装基板102にタックが生じる場合があり、上記上限値を超えると半田耐熱性が低下する場合がある。
【0079】
上記第1のエポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、基材用樹脂組成物全体の3〜30重量%が好ましく、特に5〜20重量%が好ましい。含有量が上記範囲内であると特に吸湿半田耐熱性を向上することができる。
【0080】
上記第2のエポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、銅箔等との密着性を向上することができる。
【0081】
上記第2のエポキシ樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、5,000以上が好ましく、特に5,000〜100,000が好ましく、最も8,000〜80,000が好ましい。重量平均分子量が上記下限値未満であると金属箔付き実装基板102の製膜性を向上する効果が低下する場合があり、上記上限値を超えるとエポキシ樹脂の溶解性が低下する場合がある。
【0082】
上記第2のエポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、基材用樹脂組成物全体の3〜30重量%が好ましく、特に5〜20重量%が好ましい。含有量が上記範囲内であると特に金属箔付き実装基板102作成時の製膜性、多層プリント配線板作成時の内層回路密着性を向上することができる。
【0083】
本発明の樹脂組成物では、イミダゾール化合物を含有する。これにより、基材用樹脂組成物の絶縁性を低下することなく、上記シアネート樹脂の反応を促進することができる。
イミダゾール化合物としては、例えば、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールおよび2,4−ジアミノ−6−〔2'−メチルイミダゾリル−(1')〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2'−ウンデシルイミダゾリル)−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2'−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1')〕−エチル−s−トリアジンを挙げることができる。これらの中でも脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヒドロキシアルキル基およびシアノアルキル基の中から選ばれる官能基を2個以上有しているイミダゾール化合物が好ましく、特に2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールが好ましい。これにより、基材用樹脂組成物の耐熱性および得られる絶縁層の熱膨張を低下、吸水率を低下することができる。
【0084】
上記イミダゾール化合物の含有量は、特に限定されないが、基材用樹脂組成物の0.05〜5重量%が好ましく、特に0.2〜2重量%が好ましい。含有量が上記範囲内であると、特に耐熱性を向上することができる。
【0085】
本発明に係る基材用樹脂組成物は、無機充填材を含有する。これにより、低熱膨張化および難燃性の向上を図ることができる。
また、前述したシアネート樹脂及び/またはそのプレポリマー(特にノボラック型シアネート樹脂)と無機充填材との組合せにより、弾性率を向上することができる。
【0086】
上記無機充填材としては、例えばタルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ等を挙げることができる。これらの中でもシリカが好ましく、溶融シリカが低膨張性に優れる点で好ましい。その形状は破砕状、球状があるが、ガラス基材への含浸性を確保するために基材用樹脂組成物の溶融粘度を下げるには球状シリカを使うなど、その目的にあわせた使用方法が採用される。
【0087】
上記無機充填材の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜5μmが好ましく、特に0.2〜2μmが好ましい。無機充填材の粒径が上記下限値未満であるとワニスの粘度が高くなるため、金属箔付き実装基板102を作製する際の作業性に影響を与える場合がある。また、上記上限値を超えると、ワニス中で無機充填材の沈降等の現象が起こる場合がある。更に平均粒径5μm以下の球状溶融シリカが好ましく、特に平均粒径0.01〜2μmの球状溶融シリカが好ましい。これにより、無機充填材の充填性を向上させることができる。
【0088】
上記無機充填材の含有量は、基材用樹脂組成物全体の30〜70重量%が好ましく、特に40〜60重量%が好ましい。含有量が上記下限値未満であると低熱膨脹化、低吸水化する効果が低下する場合があり、上記上限値を超えると流動性の低下により成形性が低下する場合がある。
【0089】
本発明に係る基材用樹脂組成物では、特に限定されないが、更にカップリング剤を含有することが好ましい。上記カップリング剤は、樹脂と無機充填材の界面の濡れ性を向上させることにより、基材(実装基板102)に対して樹脂および充填材を均一に定着させ、耐熱性、特に吸湿後の半田耐熱性を改良するために配合する。
【0090】
上記カップリング剤としては、通常用いられるものなら何でも使用できるが、これらの中でもエポキシシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アミノシランカップリング剤及びシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用すること好ましい。これにより、無機充填材の界面との濡れ性が高くでき、耐熱性をより向上することができる。
【0091】
上記カップリング剤の含有量は、特に限定されないが、無機充填材100重量部に対して0.05〜3重量部が好ましい。含有量が上記下限値未満であると無機充填材を十分に被覆できず耐熱性を向上する効果が低下する場合があり、上記上限値を超えると金属箔付き実装基板102の曲げ強度が低下する場合がある。
【0092】
本発明に係る基材用樹脂組成物は、必要に応じて、上記成分以外の添加剤を、特性を損なわない範囲で添加することができる。添加剤としては、例えば消泡材、レベリング材等を挙げることができる。
【0093】
次に、プリプレグについて説明する。
本発明に係るプリプレグは、上述の基材用樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるものである。これにより、誘電特性、高温多湿下での機械的、電気的接続信頼性等の各種特性に優れたプリント配線板を製造するのに好適なプリプレグを得ることができる。
【0094】
本発明で用いる繊維基材としては、ガラス織布、ガラス不織布等のガラス繊維基材、ポリアミド樹脂繊維、芳香族ポリアミド樹脂繊維、全芳香族ポリアミド樹脂繊維等のポリアミド系樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、芳香族ポリエステル樹脂繊維、全芳香族ポリエステル樹脂繊維等のポリエステル系樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、フッ素樹脂繊維等を主成分とする織布または不織布で構成される合成繊維基材、クラフト紙、コットンリンター紙、リンターとクラフトパルプの混抄紙等を主成分とする紙基材等の有機繊維基材等が挙げられる。これらの中でもガラス繊維基材が好ましい。これにより、プリプレグの強度が上がり、また低吸水化することができる。また、プリプレグの線膨張係数を小さくする
ことができる。
【0095】
本発明で得られる基材用樹脂組成物を繊維基材に含浸させる方法には、例えば、本発明の基材用樹脂組成物を用いて樹脂ワニスを調製し、繊維基材を樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターにより塗布する方法、スプレーによる吹き付ける方法等が挙げられる。これらの中でも、繊維基材を樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。これにより、繊維基材に対する基材用樹脂組成物の含浸性を向上させることができる。なお、繊維基材を樹脂ワニスに浸漬する場合、通常の含浸塗布設備を使用することができる。
【0096】
樹脂ワニスに用いられる溶媒は、基材用樹脂組成物中の樹脂成分に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系等が挙げられる。
【0097】
樹脂ワニス中の不揮発分濃度としては特に限定されないが、40〜80重量%が好ましく、特に50〜65重量%が好ましい。これにより、樹脂ワニスの粘度を好適な範囲に調製することができ、繊維基材への含浸性を更に向上させることができる。繊維基材に基材用樹脂組成物を含浸させ、所定温度、例えば80〜200℃等で乾燥させることによりプリプレグを得ることが出来る。
【0098】
次に、実装基板102(積層板)について説明する。
本発明に係る実装基板102は、上述のプリプレグを少なくとも1枚成形してなるものである。これにより、誘電特性、高温多湿化での機械的、電気的接続信頼性に優れた実装基板102を得ることができる。
【0099】
プリプレグ1枚のときは、その上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。また、プリプレグを2枚以上積層することもできる。プリプレグを2枚以上積層するときは、積層したプリプレグの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。次に、プリプレグと金属箔等とを重ねたものを加熱、加圧することで金属箔付き実装基板102を得ることができる。上記加熱する温度は、特に限定されないが、120〜220℃が好ましく、特に150〜200℃が好ましい。また、上記加圧する圧力は、特に限定されないが、2〜5MPaが好ましく、特に2.5〜4MPaが好ましい。
【0100】
上記金属箔を構成する金属としては、例えば銅及び銅系合金、アルミ及びアルミ系合金、銀及び銀系合金、金及び金系合金、亜鉛及び亜鉛系合金、ニッケル及びニッケル系合金、錫及び錫系合金、鉄および鉄系合金等が挙げられる。
また、フィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
【0101】
次に、多層プリント配線板について説明する。
本発明に係る実装基板102としては、多層プリント配線板を用いることができる。この多層プリント配線板は、上記金属箔付き実装基板102を内層回路板の片面又は両面に重ね合わせて加熱、加圧してなる多層プリント配線板である。金属箔付き実装基板102を内層回路板の片面又は両面に重ね合わせて加熱、加圧して多層プリント配線板を得る。加熱する温度は、特に限定されないが、140〜240℃が好ましい。加圧する圧力は、特に限定されないが、10〜40kg/cmが好ましい。
上記内層回路板は、例えば銅張積層版の両面に回路を形成し、黒化処理したものを挙げることができる。
また、本発明に係る多層プリント配線板は、上記本発明に係る基材用樹脂組成物から形成される絶縁層を有するものである。
【0102】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態の弾性表面波装置100においては、ダム材134を介して、実装基板102と弾性表面波素子150とが対向して設けられている。ダム材134は、弾性表面波素子150に対して接着性を有するため、弾性表面波素子150と実装基板102とを密着して接合させることができる。これにより、実装基板102、弾性表面波素子150およびダム材134からなる弾性表面波装置100内部の空間190の気密性を向上させることができる。このダム材134による気密構造により、外部雰囲気の浸入を防止できるとともに、封止材の浸入を防止できる。
【0103】
また、特にダム材134の側面が露出している弾性表面波装置100においては、高い透湿性を有するダム材134の側面が露出している。これにより、実装基板102と弾性表面波素子150との貼付時に内部の空間190に閉じ込められた湿気を外部に逃がすことができるとともに、湿気が貼り付け後にダム材134を通って内部に浸入することを防止することができる。そのため、ダム材134は、結露の発生を抑制でき、空間190の気密性を維持することができる。この弾性表面波装置100においては、誘電特性が保持される。
【0104】
また、本発明に係るダム材134においては、無機充填材を樹脂組成物の9重量%以下とすることにより、ダム材134の光透過性を向上させることができる。これにより、ダム材134の現像性が向上するとともに、光重合性樹脂のアクリル系多官能モノマーの架橋密度が向上する。現像性の向上により、現像時に現像液がダム材134に浸みだしすることが抑制され、アンダーカットの発生を防止することができる。これにより、歩留まりよく弾性表面波装置100を作製できる。一方、架橋密度の向上により、ダム材134の形状保持性を維持することができる。このため、空間190からなる弾性表面波素子150の機能面中空を確保して、弾性表面波装置100の信頼性を向上させることができる。
【0105】
一方、本発明に係る実装基板102においては、広い温度領域で低い熱膨張係数を保つことができるため、反りの発生を好適に抑制することができる。この剛直な実装基板102上に、低応力性を有するダム材134が設けられているため、半田ボールクラックを抑制することができる。そのため、弾性表面波装置100においては、接続信頼性を向上させることができる。
【0106】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0107】
本発明に係る弾性表面波装置100の構造においては、図6(c)に示す構造に限定されず、各種の構造を取り得る。
たとえば、弾性表面波装置100の構造のその他の例を、図7(a)、(b)に示す。
図7(a)に示す弾性表面波装置100においては、ダム材134の側面を、モールド樹脂160で覆うような構造とすることができる。これにより、実装基板102と弾性表面波素子150との接合部分である、ダム材134を封止することができるため、空間190の気密性をさらに向上させることができる。このとき、上述のとおり、ダム材134による気密構造により、封止材(モールド樹脂160)の浸入を防止できる。
【0108】
図7(a)に示す弾性表面波装置100に用いる弾性表面波素子用基板200について、その製造過程においては、枠状のダム材134が複数形成され、各ダム材134の間にモールド樹脂160が設けられ、このモールド樹脂160部分で切断される。このとき、ダム材134の外周部の面積は、弾性表面波素子150の面積と同じでもよく、より大きくてもよい。また、各ダム材134はシートとして繋がっていなくてもよい。この切断位置は、上記目印により決定できる。
【0109】
一方、図7(b)に示す弾性表面波装置100においては、ダム材134の側面が露出している構造とすることができる。図7(b)に示す弾性表面波装置100に用いる弾性表面波素子用基板200について、その製造過程においては、ダム材134を、1つのシートとして繋がっている格子状に形成する。これにより、モールド樹脂160形成工程において、各ダム材134間にモールド樹脂160が形成されることはないため、個片化する際、容易にダム材134の側面を露出させることができる。このとき、ダム材134をダイシングすることなる。
【0110】
本実施の形態に係る弾性表面波素子用基板200の構造としては、図2に示すフィルドビア構造に限定されず、各種の構造を取り得る。
たとえば、弾性表面波素子用基板の構造のその他の例を、図8に示す。
図8に示す弾性表面波素子用基板210は、バンプめっき構造を備えるものである。以下、バンプめっき構造の弾性表面波素子用基板210の製造工程について、図9〜図11を用いて説明する。但し、図2に示すフィルドビア構造の場合と異なる工程についてのみ説明し、同じ工程については適宜省略する。
【0111】
まず、実装基板102の両面に銅箔(第1の金属箔104、第2の金属箔106)を形成する(図9(a))。続いて、実装基板102の上面にUVレーザー等でブラインドビア110を形成する(図9(b))。バンプめっきを実施して、ビア136を形成する(図10(a))。このとき、ビア136上に、バリア膜(Niめっき138)、半田層140を形成する。次いで、保護シート124を貼り付け(図10(b))る。そして、実装基板102下面の第1の金属箔104に対して、例えばエッチング等を施すことにより、所望の第2の回路142を形成する(図10(c))。さらに、感光性絶縁樹脂層128、Ni膜130、およびAu膜132を形成し(図11(a))、保護シート124を剥離する(図11(b))。この後、実装基板102上にダム材134を形成する(図11(c))。
以上の工程により、バンプめっき構造の弾性表面波素子用基板210が得られる(図8)。
【0112】
また、本発明に係る接着性を有するダム材134を用いる場合には、上記実装基板102を構成する材料としては、例えば樹脂フィルム基材等でもよい。樹脂フィルム基材としては、例えばポリイミド樹脂フィルム、ポリエーテルイミド樹脂フィルム、ポリアミドイミド樹脂フィルム等のポリイミド樹脂系樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム等のポリアミド樹脂系フィルム、ポリエステル樹脂フィルム等のポリエステル樹脂系フィルムが挙げられる。このうち、弾性率と耐熱性を向上させる観点から、特にポリイミド樹脂系フィルムが好ましく用いられる。
【0113】
感光性絶縁樹脂層128の材料は、特に限定されず、ダム材134と同様の材料を用いてもよい。
【実施例】
【0114】
(実施例1)
(FR−5相当基板の作製)
FR−5相当基板は、下記(1)から(3)のステップで得られる。以下各ステップについて説明する。
(1)樹脂ワニスの調製
エポキシ樹脂としてビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂(日本化薬社製、NC−3000)14.0重量部、硬化剤としてビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(日本化薬株式会社製、GPH−103)10.8重量部、ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30)24.6重量部、をメチルエチルケトンに溶解、分散させた。さらに、無機充填材として球状溶融シリカ(アドマテックス社製・「SO−25R」、平均粒径0.5μm)49.8重量部、カップリング剤としてシランカップリング剤(日本ユニカー社製、A187)0.2重量部、着色剤としてアントラキノン系化合物を含む染料(日本化薬社製、Kayaset Black A−N)0.6重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分50重量%の樹脂ワニスを調製した。
(2)プリプレグの製造
上述の樹脂ワニスをガラス織布(厚さ42μm、日東紡績製、WEA−1078)に含浸し、150℃の加熱炉で2分間乾燥して、プリプレグ中のワニス固形分が約60重量%のプリプレグを得た。
(3)積層板の製造
上述のプリプレグを、両面に12μmの銅箔を重ねて、圧力4MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形することによって、両面銅張FR−5相当基板を得た。
【0115】
(接着性機能付きダム材の作製)
接着性機能付きダム材は、下記(1)から(3)のステップで得られる。以下各ステップについて説明する。
(1)アルカリ可溶性樹脂((メタ)アクリル変性ビスAノボラック樹脂)の合成
ノボラック型ビスフェノールA樹脂(フェノライトLF−4871、大日本インキ化学(株)製)の固形分60%MEK(メチルエチルケトン)溶液500gを、2Lフラスコ中に投入し、これに触媒としてトリブチルアミン1.5g、および重合禁止剤としてハイドロキノン0.15gを添加し、100℃に加温した。その中へ、グリシジルメタクリレート180.9gを30分間で滴下し、100℃で5時間攪拌反応させることにより、固形分74%のメタクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂MPN001(メタクリロイル変性率50%、「メタクリル変性ビスAノボラック樹脂」)を得た。
(2)ダム材用樹脂組成物ワニスの作製
アルカリ可溶性樹脂として、上記の合成したメタアクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂MPN001を44.5質量%と、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂である、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製、商品名:エピコート1001)26質量%と、シリコーン変性エポキシ樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商品名:BY16−115)5.3質量%と、光重合性樹脂として、トリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステル3G)18.7質量%と、熱硬化性樹脂でありエポキシ樹脂の硬化剤としても作用するフェノール樹脂(住友ベークライト(株)製、商品名:PR−HF−6)3.5質量%と、光重合開始剤として、2,2ジメトキシ−1,2ジフェニルエタンー1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア651)2.0質量%とを、MEK(メチルエチルケトン、大伸化学(株)製)に溶解し固形分濃度71%の感光性接着剤樹脂組成物ワニスを得た。なお、上記感光性接着剤樹脂組成物ワニス中のメタアクリロイル変性ノボラック型ビスフェノールA樹脂MPN001の含有量は、固形分換算の値である。
(3)ダム材の作製
樹脂ワニスをコンマコーターで支持基材のPETフィルム(三菱樹脂社製、MRX50、厚さ50μm)に塗布し、80℃、20分乾燥して膜厚20μmのダム材を得た。
【0116】
(弾性表面波装置の作製)
まず、上述の両面銅張FR−5相当基板(基板厚み:60μm、各銅箔厚み:12μm)を作製する。続いて、コンフォーマルマスク形成時のバラツキ精度を高めるために、ハーフエッチングを実施し、両面について厚み7μmまで銅箔をエッチングした。続いて、ドライフィルムレジスト(東京応化工業(株)製:AR−320、膜厚20μm)を105℃、0.4MPaでラミネートした。続いて、コンフォーマルマスクパターン(直径φ45μm)を40mJ/cmで露光、現像し、銅箔を7μmエッチングし、ドライフィルムレジストを剥離してコンフォーマルマスクを形成した。
【0117】
次いで、コンフォーマル加工した部分に、炭酸ガスレーザー加工機(三菱電機製、605GTXIII)を用いてレーザー加工を実施し、直径φ50μmのビアホールをあけた。続いて、このレーザー加工で発生した樹脂残渣を除去するために、膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップセキュリガントP)に80℃で5分間浸漬し、さらに過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレートコンパクトCP)80℃で5分間浸漬後、40℃の中和液に5分間浸漬して樹脂残渣除去(デスミア)処理を行った。
続いて、次に示す順番で浸漬し無電解メッキを行った(50℃のクリーナ液(アトテックジャパン社製、クリーナセキュリガント902)に5分間、25℃のプレディップ液(アトテックジャパン社製、プレディップネオガントB)に90秒間、35℃のアクチベータ液(アトテックジャパン社製、アクチベータネオガントB)に5分間、30℃のリデューサ液(アトテックジャパン社製、リデューサネオガントWA)に5分間、35℃の無電解メッキ液(アトテックジャパン社製、MSK−DK)に20分間)。
次いで、150℃で30分間加熱処理をした。続いて、電解めっきとしてフィルドビアめっき(奥野製薬株式会社製、トップルチナNSV)を実施し、厚み40μmの皮膜を形成した。続いて、表面回路パターン形成時のバラツキ精度を高めるために、ハーフエッチングを実施し、両面について厚み7μmまで銅箔をエッチングした。さらに、基板表面にドライフィルムレジスト(東京応化工業(株)製:AR−320、膜厚20μm)を105℃、0.4MPaでラミネートし、回路パターンを40mJ/cmで露光し、7μmエッチングして基板表面に回路パターンを形成した。
続いて、ビアホールの接続を利用して、基板表面のビアランド上にNiめっき、SnAgめっきを実施した(Niめっきの膜厚:4μm、SnAgめっきの膜厚:15μm)。このとき、基板裏面から電極をとり、かつ裏面にめっきが付着しないようにマスクをして、基板表面のみにめっきを実施した。
次いで、バンプ面を保護するために真空加圧式ラミネーター(名機製作所製、MVLP-500/600IIA)を用いて、0.4MPaで基板表面にバックシート(ソマール株式会社、PS−503WA)を貼り付けた。基板裏面にドライフィルムレジスト(東京応化工業(株)製:AR−320、膜厚20μm)を105℃、0.4MPaでラミネートし、回路パターンを40mJ/cmで露光し、7μmエッチングして基板裏面の回路パターンを形成した。さらに、基板裏面に感光性カバーレイ(日立化成(株)製:FR5625、膜厚25μm)を真空加圧式ラミネーター(名機製作所製、MVLP-500/600IIA)を用いて、0.4MPaでラミネートし、パターンを250mJ/cmで露光、現像した。続いて、ポストUVを100mJ/cmで露光し、ポストキュアを160℃で60分間実施して、表面被覆を形成した。さらに、Cuめっき被覆のために、無電解Niめっき(膜厚:4μm)を実施し、無電解Auめっき(膜厚:0.05μm)を実施した。この後、基板表面のバックシート(ソマール株式会社、PS−503WA)を剥離した。
【0118】
次いで、基板表面に上述の接着性機能付きダム材(膜厚:20μm)を真空加圧式ラミネーター(名機製作所製、MVLP-500/600IIA)を用いて、60℃、0.4MPaでラミネートし、60℃で3分間加熱処理を実施した。続いて、パターンを200mJ/cmで露光し、露光後の反応を止めるために30分以内に、60℃で5分間加熱処理を実施した。この後、現像し、基板表面上にダム材(接着フィルム)を形成した。以上の工程により、弾性表面波素子用基板が得られた。
【0119】
次いで、フリップチップボンダー(パナソニック株式会社製、FCB3)を用いて、上記工程により作製した基板表面上に、酸化物単結晶(LT)チップを200℃で仮圧着した。さらに、リフロー処理(ピーク温度:260℃)を実施し、SnAgを接合させた。この後、トランスファ成形によりエポキシ樹脂(モールド樹脂)を塗布し、ダイシングを実施して、弾性表面波装置を得た。このとき、弾性表面波装置のダム材の側面は、露出させた。
【0120】
(実施例2)
実施例1において、弾性表面波装置のダム材の側面が、エポキシ樹脂で覆われるようにダイシングした以外は、実施例1と同様にした。
【0121】
(実施例3)
(FR−4相当基板の作製)
(1)樹脂ワニスの調製
ジメチルホルムアミド溶剤46.8重量部に、硬化剤としてジシアンジアミド4.1重量部、エポキシ樹脂として高分子量ナフタレン型エポキシ樹脂(大日本インキ工業社製、EXA―9900)80.0重量部、低分子量ナフタレン型エポキシ樹脂(大日本インキ工業社製、HP−4770)20.0重量部、硬化促進剤としてトリフェニルフォスフィンオキサイド5.0重量部を加え、60分攪拌させ、樹脂ワニスを得た。
(2)プリプレグの製造
上述の樹脂ワニスを用いて、厚さ42μmのガラス繊布(#1078、日東紡績社製)100重量部に対して、樹脂ワニスを固形分で80重量部含浸させて、190℃の乾燥炉で5分間乾燥させ、樹脂含有量55.2重量%のプリプレグを作製した。
(3)積層板の製造
上述のプリプレグを、両面に12μmの銅箔を重ねて、圧力4MPa、温度220℃で180分間加熱加圧成形を行い、両面銅張FR−4相当基板を得た。
(弾性表面波装置の作製)
実施例1の両面銅張FR−5相当基板に代えて、両面銅張FR−4相当基板(基板厚み:60μm、各銅箔厚み:12μm)を使用した以下は、実施例1と同様にした。
【0122】
(実施例4)
実施例3において、弾性表面波装置のダム材の側面がエポキシ樹脂で覆われるようにダイシングした以外は、実施例3と同様にした。
【0123】
(比較例1)
実施例1において、接着性機能付きダム材に代えて、熱硬化性樹脂を含まず、接着性機能を持たないダム材として、感光性カバーレイ(日立化成(株)製:FR5625(ポリエステル層、感光層、ポリオレフィン層の3層サンドイッチ構造からなり、感光層の成分はアクリル系樹脂等混合物でできている。)、膜厚25μm)を用いた以外は、実施例1と同様にした。このとき、感光性カバーレイを形成する工程においては、基板表面に、上記感光性カバーレイを真空加圧式ラミネーター(名機製作所製、MVLP-500/600IIA)を用いて、80℃、0.4MPaでラミネートし、続いて、パターンを250mJ/cmで露光し、現像後、ポストUVを100mJ/cmで露光し、ポストキュアを160℃で60分実施して、基板表面に感光性カバーレイを形成した。
【0124】
(比較例2)
比較例1において、弾性表面波装置のダム材の側面が、エポキシ樹脂で覆われるようにダイシングした以外は、比較例1と同様にした。
【0125】
(比較例3)
比較例1の両面銅張FR−5相当基板に代えて、両面銅張FR−4相当基板(基板厚み:60μm、各銅箔厚み:12μm)を使用した以下は、比較例1と同様にした。
【0126】
(比較例4)
比較例3において、弾性表面波装置のダム材の側面が、エポキシ樹脂で覆われるようにダイシングした以外は、比較例3と同様にした。
【0127】
各実施例および比較例で得た弾性表面波装置に関して下記の示す評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0128】
【表1】

【0129】
上記基板、ダム材および感光性カバーレイの物性を、以下に示す。
(1)FR−5相当基板
DMAを用いたガラス転移温度(Tg):265℃
TMAを用いたガラス転移温度(Tg):220℃
xy平面方向の線膨張係数(CTE)(α1):11ppm/℃
z方向の線膨張係数(CTE)(α1):16ppm/℃
(2)FR−4相当基板
DMAを用いたガラス転移温度(Tg):190℃
TMAを用いたガラス転移温度(Tg):175℃
xy平面方向の線膨張係数(CTE)(α1):15ppm/℃
z方向の線膨張係数(CTE)(α1):45ppm/℃
(3)ダム材(接着性機能付きダム材)
透湿率:16[g/m・24h]
露光後の80℃における弾性率:320Pa
(4)感光性カバーレイ(日立化成工業製:FR5625)
露光後の80℃における弾性率:10000000Pa
【0130】
(弾性率)
実施例1〜4、比較例1〜4で得られた接着性機能付きダム材および感光性カバーレイに、波長365nmの光を700mJ/cm照射し露光を行った。次いで、ダム材および感光性カバーレイについて動的粘弾性測定装置Rheo Stress RS150(HAAKE社製、測定周波数:1Hz、ギャップ間隔:100μm、測定温度範囲:25〜200℃、昇温速度10℃/分)で貯蔵弾性率G´を測定し、80℃における弾性率を求めた。
【0131】
(ガラス転移温度)
銅箔付き絶縁シート(FR−5相当基板およびFR−4相当基板)2枚の樹脂面を内側にはり合わせ、真空プレスにて圧力2MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形を行い、銅箔を全面エッチングし絶縁樹脂硬化物を得た。得られた絶縁樹脂硬化物から10mm×30mmのテストピースを切り出し、DMA(TAインスツルメント社製)またはTMA(TAインスツルメント社製)を用いて5℃/分で昇温し、tanδのピーク位置をガラス転移温度とした。
【0132】
(線膨張係数)
銅箔付き絶縁シート(FR−5相当基板およびFR−4相当基板)2枚の樹脂面を内側にはり合わせ、真空プレスにて圧力2MPa、温度220℃で1時間加熱加圧成形を行い、銅箔を全面エッチングし絶縁樹脂硬化物を得た。得られた絶縁樹脂硬化物から4mm×20mmのテストピースを切り出し、TMA(TAインスツルメント社製)を用いて、ガラス転移温度および基板の厚み方向および基板面内の線膨張係数を10℃/分で測定した。
【0133】
(TC試験方法)
TC試験は、温度サイクル(−60℃〜150℃)、保持時間(10分)、温度変更時間(20分)の条件下、温度サイクル試験機を用いて、1000サイクルを5回実施した。温度サイクル試験機としては、たとえばTSA−71H(エスペック株式会社)を用いた。
表1中の各符号は、以下の通りである。
◎:5回中5回パス。
○:5回中3回パス。
実施例1および2のFR−5相当基板で有意な結果が示された。これは、半田バンプクラックが抑制され、FR−5相当基板とチップ(弾性表面波素子)とのCTEギャップ少なくなるためと考えられる。
【0134】
(モールド樹脂侵入観察方法)
モールド樹脂侵入観察方法としては、X線装置を用いたX線による観察方法を用いた。
表1中の各符号は、以下の通りである。
○:歩留まりが80%以上。
×:歩留まりが80%より少ない。
実施例1および3のダム材で有意な結果が示された。これは、ダム材がチップと密着することにより、歩留まりが向上したものと考えられる。
【0135】
(PCT試験方法)
PCT試験方法は、121℃、100%の条件下でPCTチャンバーを用いて実施した。この。PCTチャンバーとしては、例えばEHS−411シリーズ、EHS−211シリーズ(エスペック株式会社)等を用いることができるが、本実施例では、EHS−411シリーズを用いた。さらに、200h投入後、従来の断面解析や走査型超音波探傷機(SAT)で観察した。
表1中の各符号は、以下の通りである。
◎:5回中5回、200hパス。
○:5回中2回、200hパス、5回中5回、50hパス。
×:200hで全数剥離、50hで全数剥離。
実施例1〜4のダム材で有意な結果が示された。これは、ダム材がチップと密着することにより、気密性が向上したものと考えられる。
(ダム材の透湿性)
60℃に設定されたラミネータを用いて、ダム材を貼り合せ、膜厚100μmのフィルムを作製し、露光機を用いて、露光量700mJ/cm2(波長365nm)の光を照射したあとに、180℃/2時間熱硬化した。得られた硬化後のフィルムを透湿カップ法(JIS Z0208)に準じて、40℃/90%の環境下で評価し、透湿率を求めた。
表1中の各符号は、以下の通りである。
○:透湿率が12[g/m・24h]以上。
実施例1〜4のダム材で有意な結果が示された。
【0136】
実施例1から4は、TC試験、モールド樹脂侵入、PCT試験および透湿性において、優れた結果を示した。
【符号の説明】
【0137】
100 弾性表面波装置
102 実装基板
104 第1の金属箔
106 第2の金属箔
110 ブラインドビア
111 無電解めっき
112 フィルドビアめっき
114 フィルドビア
116 第2の金属膜
118 パッド
120 第1の金属層
122 半田層
124 保護シート
126 第1の回路
128 感光性絶縁樹脂層
130 Ni膜
132 Au膜
134 ダム材
136 ビア
138 Niめっき
140 半田層
142 第2の回路
144 パッド
150 弾性表面波素子
160 モールド樹脂
190 空間
200 弾性表面波素子用基板
210 弾性表面波素子用基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板と、
前記実装基板の上面に設けられているパッドと、
前記パッドを被覆する半田層と、
前記実装基板の前記上面に設けられ、前記実装基板の平面視において前記パッドを囲むダム材と、
を備える、弾性表面波素子用基板。
【請求項2】
前記ダム材は、電子線硬化性のダム材用樹脂組成物が硬化されて成るものであり、
前記ダム材用樹脂組成物は、
熱硬化性樹脂を含む、請求項1に記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項3】
前記ダム材用樹脂組成物は、
アルカリ可溶性樹脂と、
光重合性樹脂と、
9重量%以下の無機充填材と、をさらに含み、
前記光重合性樹脂は、アクリル系多官能モノマーを含む、請求項2に記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂の含有量は、前記ダム材用樹脂組成物全体の10重量%以上、40重量%以下である、請求項2または3に記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項5】
前記光重合性樹脂は、エポキシビニルエステル樹脂を含む、請求項3または4のいずれかに記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項6】
前記エポキシビニルエステル樹脂の含有量は、前記ダム材用樹脂組成物全体の3重量%以上、30重量%以下である、請求項5に記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項7】
前記アクリル系多官能モノマーが(メタ)アクリル酸エステル化合物である、請求項3から6のいずれかに記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項8】
前記アクリル系多官能モノマーが三官能(メタ)アクリレート化合物または四官能(メタ)アクリレート化合物である、請求項3から7のいずれかに記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項9】
前記アクリル系多官能モノマーがトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートである、請求項3から8のいずれかに記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項10】
前記アクリル系多官能モノマーの含有量は、前記ダム材用樹脂組成物全体の1重量%以上、50重量%以下である、請求項3から9のいずれかに記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項11】
前記アルカリ可溶性樹脂が(メタ)アクリル変性ノボラック樹脂である、請求項3から10のいずれかに記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項12】
前記アルカリ可溶性樹脂の含有量は、前記ダム材用樹脂組成物全体の50重量%以上、95重量%以下である、請求項3から11のいずれかに記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項13】
JIS Z0208 B法により測定された前記ダム材の透湿率が12[g/m・24h]以上である、請求項1から12のいずれかに記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項14】
水銀ランプで全波長の光を露光し、その積算露光量が、i線(365nm)の光で700mJ/cmになるように露光した後の、前記ダム材の80℃における弾性率が100Pa以上である、請求項1から13のいずれかに記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項15】
前記実装基板は、25℃以上、ガラス転移温度(Tg)以下の領域における、xy平面方向の線膨張係数(α1)が18ppm/℃以下である、請求項1から14のいずれかに記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項16】
前記実装基板は、25℃以上、ガラス転移温度(Tg)以下の領域における、xy平面方向の線膨張係数(α1)が11ppm/℃以下である、請求項1から15のいずれかに記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項17】
前記実装基板は、25℃以上、ガラス転移温度(Tg)以下の領域における、z方向の線膨張係数(α1)が55ppm/℃以下である、請求項1から16のいずれかに記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項18】
前記実装基板は、25℃以上、ガラス転移温度(Tg)以下の領域における、z方向の線膨張係数(α1)が16ppm/℃以下である、請求項1から17のいずれかに記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項19】
前記実装基板の前記ガラス転移温度(Tg)が、160℃以上である、請求項1から18のいずれかに記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項20】
前記実装基板は、基材用樹脂組成物が繊維基材に含浸されてなるプリプレグを、少なくとも1枚成形して成る、請求項1から19のいずれかに記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項21】
前記基材用樹脂組成物は、
シアネート樹脂および/またはそのプレポリマーと、
実質的にハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂と、
イミダゾール化合物と、
無機充填剤と、を含み、
前記エポキシ樹脂は、第1のエポキシ樹脂と、前記第1のエポキシ樹脂より重量平均分子量の高い第2のエポキシ樹脂との混合物であり、
前記第1のエポキシ樹脂は、アリールアルキレン型エポキシ樹脂であり、前記第2のエポキシ樹脂の重量平均分子量は、5000以上である、請求項20に記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項22】
前記シアネート樹脂は、ノボラック型シアネート樹脂である、請求項21に記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項23】
前記エポキシ樹脂の含有量は、前記基材用樹脂組成物全体の5重量%以上、60重量%以下である、請求項21または22に記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項24】
前記イミダゾール化合物は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびヒドロキシアルキル基の中から選ばれる官能基を2個以上有しているイミダゾール化合物である、請求項21から23のいずれかに記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項25】
前記無機充填剤の含有量は、前記基材用樹脂組成物全体の30重量%以上、70重量%以下である、請求項21から24のいずれかに記載の弾性表面波素子用基板。
【請求項26】
実装基板と、
前記実装基板の前記上面に対向配置された弾性表面波素子と、
前記実装基板の上面に設けられているパッドと、
前記パッドを被覆する半田層と、
前記実装基板の前記上面に設けられ、前記実装基板の平面視において前記パッドを囲むダム材と、を備え、
前記実装基板、前記パッド、前記半田層および前記ダム材から、請求項1から25に記載の前記弾性表面波素子用基板が構成され、
前記ダム材が、前記実装基板と前記弾性表面波素子との間に設けられ、
前記パッドと前記半田層とが、前記実装基板と前記弾性表面波素子とを接続している、弾性表面波装置。
【請求項27】
前記弾性表面波素子の少なくとも上面に封止材が形成されている、請求項26に記載の弾性表面波装置。
【請求項28】
前記ダム材の側面が、露出している、請求項26または27に記載の弾性表面波装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−245704(P2010−245704A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90430(P2009−90430)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】