説明

微小光学デバイス

【課題】当技術分野では、能動光学デバイスを導波路および光ファイバをはじめとする光学要素に高性能、低コストで結合できる光アセンブリを提供する必要がある。
【解決手段】本発明は導波路用の光ピグテイルアセンブリとして使用することができる微小光学デバイスを提供する。例示的な構成において、上記アセンブリはオプトエレクトロニクス要素および光ファイバを含む第1チップを含む。光ファイバおよびオプトエレクトロニクス要素は、光集積チップ上の1以上の導波路をはじめとする光学要素に結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、微小光学デバイスに関する。さらに詳細には、本発明は、例えば光集積チップ上の1以上の導波路をはじめとする光学要素に光学的に結合される、オプトエレクトロニクス要素および光ファイバを有するピグテイルチップを含むピグテイルアセンブリとして使用することができる微小光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
導波路チップまたは平面光波回路とも称される光集積チップ(IOC)は、多くの場合、光ファイバにピグテイルで接続(または接着)される。Kwonらの米国特許第6,839,492号はかかる構造が開示されている。多くの場合、このピグテイルは、単独または精細配列のいずれかの1以上のファイバを含むガラス、セラミック、またはシリコンフェルールを使用してなされる。導波路とファイバピグテイルアセンブリとの端部は一体に突き合せ結合され、位置合わせされ、及び接着され、これにより光ファイバおよび光集積チップの間を限られた損失で光を通過させることができる。しかし、導波路デバイスを構築する際の難題は、高性能と低コストを達成すると同時に、能動デバイス例えばレーザおよび光検出器を組み込むことであった。従来の能動デバイスは個別にパッケージングされて、デバイス間に伝わる光ファイバを有する導波路に接合されるか、または光集積チップ上に直接置かれるかのいずれかである。能動デバイスとチップ上の導波路とを結合するために、格子結合器および光集積チップ内の埋込み微小反射体の使用をはじめとする様々な方法が用いられてきた。これらの機構を作製し、光を反射、屈折、または回折することによって光を光導波路の平面から上方に移動させる。このような機構を導波路ダイに組み込むことは、一般にコストが嵩み、追加の処理ステップを必要とする。
【特許文献1】米国特許第6,839,492号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、当技術分野では、能動光学デバイスを導波路および光ファイバなどの光学要素に高性能、低コストで結合できる光アセンブリを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は微小光学デバイスを提供する。微小光学デバイスには、基体と、基体端部の第1領域を横切って光学的に通信するように配向された基体上のオプトエレクトロニクス要素と、基体端部の第2領域を横切って光学的に通信するように配向された基体上の光ファイバとを含む第1チップ;ならびに上記第1および第2端部領域をそれぞれ横切って、オプトエレクトロニクス要素および光ファイバと光学的に通信するように配向された光学要素を含む。光学要素は、オプトエレクトロニクス要素と光ファイバとの間の光学経路内に、第1チップに隣接して配置される。1つの構成では、光学要素は光導波路である。微小光学デバイスは第2チップ、例えば、光学要素を含む光集積チップを含んでもよい。
【0005】
本発明の前述の概要および以下の詳細な説明は、添付図面と合わせて読むことにより最もよく理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
ここからは図を参照する。すべての図面を通して類似の要素は同様の参照符号が付され、本発明による微小光学デバイスは一般に100で示される。ピグテイルアセンブリ100は、ピグテイルチップ10をはじめとするピグテイルサブアセンブリを含み、ピグテイルチップ10は、基体9、能動デバイス(例えばオプトエレクトロニクス要素12)を含み、および光ファイバ18をはじめとする光チャネルを含む。本明細書で使用されるとき、用語の「オプトエレクトロニクス要素」は、例えば光源、光検出器、およびMEMSデバイスをはじめとする、光ビームを放射、検出、または別の方法で変更する能動デバイスを含む。用語「光学要素」は、光導波路、光ファイバ、レンズ、格子、プリズム、フィルタ等をはじめとする光学素子を含む。用語「上に」は相互に直接接触している構成要素に限定されず、層、構造体および空間が介在することも含み得る。
【0007】
オプトエレクトロニクス要素12および光ファイバ18が、結合端11をはじめとする基体9の単一端の第1および第2領域のそれぞれを横切って光学的に通信するように、オプトエレクトロニクス要素12および光ファイバ18は典型的に、ピグテイルチップ10上に配向される。オプトエレクトロニクス要素12および光ファイバ18の、これら構成要素の光学的な通信が単一端11を横切ってなされる上記構成は、オプトエレクトロニクス要素12および光ファイバ18が、例えばピグテイルチップ10の単一端11において、光集積チップ20上の1以上の導波路をはじめとする光学要素と突き合わせ結合されることを可能にする。光集積チップ20は、光集積チップ20がピグテイルチップ10に突き合せ結合されたとき、オプトエレクトロニクス要素12と光ファイバ18との間の光学的な通信を可能にするように構成された導波路22を含む。
【0008】
光集積チップ20は、1以上の機能(破線で示されている)、例えば波長多重化、波長多重分離、光減衰、光増幅、切換、変調、およびモード変換を提供する。光集積チップはさらに、このチップ上または内部に形成された、1以上の追加の能動および/または受動デバイス(例えば、レーザ、光検出器、集積回路、ドライバ、フィルタ、レンズ、プリズム)を含むことできる。酸窒化シリコンまたは半導体(例えばシリコン、リン化インジウムおよび砒化ゲルマニウム)をベースとするものをはじめとする高デルタn導波路あるいはフォトニッククリスタル素子は、小型形状に作製できるそれらの能力の故に特に好適である。このように、本発明は、オプトエレクトロニクス要素12と光チャネル(例えば光ファイバ18)との間を、光集積チップの一部として提供され得る導波路22をはじめとする光学要素を介して光学的に通信することを可能とする微小光学ピグテイルアセンブリ100を提供する。例示的な1つの用途において、本発明の微小光学アセンブリはトリプレクサ形態に使用される。かかる形態は、例えばファイバ−住宅用途(例えば1490nmおよび1550nmの入力信号および1310nmの出力信号を使用する)における使用において見受けられる。
【0009】
次に図1に戻り、詳細に説明する。ピグテイルチップ10は、例えばオプトエレクトロニクス要素12をはじめとする少なくとも1つの能動デバイスと、例えば光ファイバ18をはじめとする少なくとも1つの光チャネルとを望ましく含む。任意に、レンズ14をはじめとする光学要素は、オプトエレクトロニクス要素12に光学的に通じているピグテイルチップ上に設けることができ、これにより光学要素12への光、または光学要素12からの光の連結を容易し得る。(本明細書で使用されるとき、用語の「光」は、可視スペクトルに限定されず、可視スペクトルの外側の電磁放射線も含む)。能動デバイス12は、単独、あるいは例えば光学要素14または他の能動デバイスをはじめとする他の光学要素と共に、密封パッケージ13の一部を形成するように、任意に密封することができる。かかる構造体には、例えば、オプトエレクトロニクス要素からまたはオプトエレクトロニクス要素へのオプトエレクトロニクス信号が通過することができる透過な壁またはリッド、あるいはオプトエレクトロニクス要素を覆う低温CDVコーティングをはじめとする密封コーティングを含むことができる。
【0010】
フォトリソグラフ処理をはじめとする製造プロセスを利用して、光ファイバ18の位置に対するオプトエレクトロニクス要素12の相対位置を正確に確立することができるように、望ましくは、オプトエレクトロニクス要素12および光ファイバ18は、同一基体9上に配置される。例えば、望ましくはピグテイルチップは、フォトリソグラフ処理に適する単結晶シリコンであり得る。詳細には、光ファイバ18の位置は、ピグテイルチップ10の上面に配置されるV形溝16を設けることにより決定することができる。V形溝16は、従来の方法または他の好適な方法を用いて、単結晶シリコンウェーハをエッチングすることにより作り出され得る。例えば、V形溝16の表面が{111}結晶面となるように、(100)シリコンウェーハの異方性エッチングによってV形溝16を設けることができる。同一の異方性エッチング処理の過程において、オプトエレクトロニクス要素12およびボールレンズ14の位置が規定される。例えば、ボールレンズ14の位置は、V形溝16と同時にエッチングされ、これによりVピットも{111}結晶面である表面を含んでいてもよい、Vピットまたはピラミッド形ピットを設けることにより規定され得る。同様に、同一のエッチング工程の間にオプトエレクトロニクス要素12の位置を規定して、適切な形状の空洞を設け、この空洞内にオプトエレクトロニクス要素12を密封することができる。他の好適なチップ材料および製造プロセスを使用することもでき、例えば堆積およびエッチングプロセスによって、オプトエレクトロニクス要素12および光ファイバ18を任意の他の光学要素と共に相互に高精度に位置決定し、オプトエレクトロニクス要素および光学要素を密封するための位置決め基準を形成することもできる。
【0011】
オプトエレクトロニクス要素12(光学レンズ14と共に)および光ファイバ18は、オプトエレクトロニクス要素12および光ファイバ18がピグテイルチップ10の単一結合端11を横切って(例えば、上、下、または貫通)通信され得るようにピグテイルチップ10上に配向され、これにより、オプトエレクトロニクス要素12および光ファイバ18を、単一光学要素に突き合せ結合することによって光学的に結合することができる。例えば、オプトエレクトロニクス要素12および光ファイバ18は、光集積チップ20に同時に突き合せ結合され得る。その際、光集積チップ20は光集積チップ20の結合表面21に配置された第1および第2端23、24を有し得る光導波路22を含む。導波路22の第1端23および第2端24は、導波路およびピグテイルチップ20、10が相互に突き合わせ結合されるように光集積チップ20の結合端21をピグテイルチップ10の結合端11に対面するように置くことにより、光ファイバ18およびオプトエレクトロニクス要素12にそれぞれ光学的に結合され得る。導波路端23、24が光ファイバ18およびオプトエレクトロニクス要素12にそれぞれ正しく位置合わせされ、光学的連結を最大にしていることを確認するために、ピグテイルチップ10と光集積チップ20との位置合わせの工程の間に、オプトエレクトロニクス要素12に電力を供給し、または応答指令信号を送ってもよい。
【0012】
例えば、オプトエレクトロニクス要素12がレーザなどの光源を含む場合、該レーザを起動して、導波路22により受光され且つ光ファイバ18に送られる光を放射することができる。検出器を設けて、光ファイバ18の出力を監視し、チップ10、20が最良に位置合わせされ、光通過量が最大になる場合を検出することができる。あるいは、例えば、オプトエレクトロニクス要素12が検出器を含む場合、オプトエレクトロニクス要素12が、チップ10、20が最良に位置合わせされて光通過量が最大になる場合を検出できるように、光源が、結合端11に対向する抹消側の光ファイバ18の端部において光ファイバ18に結合され得る。チップ10、20の最適位置が決定されると、チップ10、20を一体に接着し、光ファイバ18、オプトエレクトロニクス要素12、および導波路22の間を限られた損失で光を通過させることができる。しかし、場合によっては、ピグテイルチップ10を光集積チップ20に結合する過程において、オプトエレクトロニクス要素12に電力を供給するかまたは応答指令信号を送ることが不都合または望ましくないこともある。このような場合においては、図2に示されるとおり、ピグテイルチップ10および光集積チップ20のそれぞれに追加の光チャネルを設けて、ピグテイルチップ10と光集積チップ20との受動的位置合わせを可能にすることが望ましい場合もある。
【0013】
例えば、図2を参照すると、本発明によるピグテイルアセンブリの別の例示的な構成が、一般に示された200で説明されている。注記されている点を除いて、図1に関する上記の説明は、図2に対しても、および本発明の他の典型的な態様に対しても適用できる。ピグテイルアセンブリ200は、ピグテイルチップ210をはじめとするピグテイルサブアセンブリを含み、上記ピグテイルチップ210は、基体209、能動デバイス、例えばオプトエレクトロニクス要素212および光学レンズ214を含み、少なくとも2つの光チャネル(例えば信号ファイバ218および位置合わせファイバ219)を含む。能動デバイス212は単独、あるいは他の光学要素(例えば光学要素214または他の能動デバイス)と一緒に、例えば図1に関して上で述べたように密封パッケージ213の一部を形成するように任意に密封することができる。図1のピグテイルチップ構成と同様の方法において、オプトエレクトロニクス要素212、信号ファイバ218、および位置合わせファイバ219が、例えば結合端211のような基体209の単一端の第1、第2および第3領域それぞれを横切って光学的に通信し、オプトエレクトロニクス要素212、信号ファイバ218、および位置合わせファイバ219が、単一の光学要素に突き合せ結合されることにより光学的に連結されることを可能にするように、オプトエレクトロニクス要素212、信号ファイバ218、および位置合わせファイバ219が、ピグテイルチップ210上に望ましく配向される。
【0014】
第2の光チャネル、例えば位置合わせファイバ219を設けることにより、オプトエレクトロニクス要素212に電力を供給しまたは応答指令信号を送ることなく、光集積チップ220上のピグテイルチップ210と導波路などの光学要素との間の位置合わせを可能にする。ピグテイルチップ210は図1のピグテイルチップ10に関して上に述べた製造プロセスによって作製できる。詳細には、ファイバ218、219の位置は、基体209に上面に配置されるV形溝231、232を設けることにより決定することができ、オプトエレクトロニクス要素212の位置は同一工程で規定され、適切な形状の空洞を設けて、この空洞内にオプトエレクトロニクス要素212を密封できる。例えば単一モードの1300〜1600nm通信デバイスを含むような、典型的用途においては、構成要素(例えば、ファイバ218、219およびオプトエレクトロニクスデバイス212)が相互に相対的に配置される精度は、例えば数ミクロン以内であり得る。光集積チップ220は導波路222を含み、この導波路は、光集積チップ220がピグテイルチップ210に突き合わせ結合されると、信号ファイバ218とオプトエレクトロニクス要素212との間、ならびに信号ファイバ218と位置合わせファイバ219との間の光学的な通信を可能にするように構成されている。この際、導波路222は、信号ファイバ218とオプトエレクトロニクス要素212との間の光学的な通信を可能にするループバック導波路233と、信号ファイバ218と位置合わせファイバ219との間の光学的な通信を可能にするタップ導波路234とをそれぞれ含む。
【0015】
オプトエレクトロニクス要素212、信号ファイバ218、および位置合わせファイバ219は、光集積チップ220に同時に突き合せ結合され得る。光集積チップ220は、光導波路222を含み、光導波路222は、光集積チップ220の結合表面221に配置された第1、第2、および第3端223、224、225を望ましく有し得る。導波路およびピグテイルチップ220、210を相互に突き合わせ結合できるように、光集積チップ220の結合端221をピグテイルチップ210の結合端211に対面するように置くことにより、導波路222の第1端223を信号ファイバ218に、第2端224をオプトエレクトロニクス要素212に、および第3端225を位置合わせファイバ219に光学的に結合することができる。導波路端223、224が信号ファイバ218およびオプトエレクトロニクス要素212に適切に位置合わせされ、光学的連結を最大にしていることを確認するために、ピグテイルチップ210と光集積チップ220との位置合わせの工程中に、オプトエレクトロニクス要素212に電力を供給するか、または応答指令信号を送る必要がない。この代わりに、適切な位置合わせは、信号ファイバ218と位置合わせファイバ219との間の光学的な通信を監視することにより確認することができる。
【0016】
例えば、光源が、結合端211に対向する抹消側の光ファイバ218、219の各々の端部において、位置合わせファイバ219または信号ファイバ218のいずれかに結合され得る。さらに、チップ210、220が最良に位置合わせされ光通過量が最大になる場合を検出することができるように、光源が結合されない他方のファイバ218、219の遠位末端に検出器を設けることができる。チップ210、220の最適位置が決定されると、チップ210、220を一体に接着し、信号ファイバ218、オプトエレクトロニクス要素212、および導波路222の間を限られた損失で光を通過させることができる。したがって、外部光源および外部検出器を設けることにより、位置合わせ工程の間に、オプトエレクトロニクス要素212に電力を供給するか、または応答指令信号を送る必要がなくなる。
【0017】
さらに、本発明によるピグテイルアセンブリの別の典型的な構成であってオプトエレクトロニクス要素312に電力を供給するか、または監視することを必要とせずに位置合わせできる構成が、図3及び一般に示された300で説明されている。ピグテイルアセンブリ300はピグテイルチップ310をはじめとするピグテイルサブアセンブリを含み、ピグテイルチップ310は、基体309、能動デバイス、例えばオプトエレクトロニクス要素312および光レンズ314を含み、且つ少なくとも3つの光チャネル、例えば信号ファイバ318並びに第1および第2位置合わせファイバ317、319を含む。図1を参照して上に述べたような密封パッケージ313の部分を形成するために、能動デバイス312は、単独、または例えば光学要素314または他の能動デバイスなどの他の光学要素と一緒に任意に密封することができる。図2のピグテイルチップ構成と同じ方法において、オプトエレクトロニクス要素312、信号ファイバ318、および位置合わせファイバ317、319が、結合端311のような基体309の単一端の第1、第2、第3および第4領域それぞれを横切って光学的に通信されるように、オプトエレクトロニクス要素312、信号ファイバ318、および位置合わせファイバ317、319がピグテイルチップ310上に望ましく配向される。詳細には、信号ファイバ318、位置合わせファイバ317、319は、ピグテイルチップ310に上面に配置されたV形溝331、332、333を設けることにより決定することができ、オプトエレクトロニクス要素312の位置は適切な形状の空洞を設けることにより同一工程で規定することができ、この空洞内にオプトエレクトロニクス要素312を密封することができる。
【0018】
第2および第3の光チャネル、例えば位置合わせファイバ317、319を設けることにより、光集積チップ320上の1以上の導波路をはじめとする光学要素と、ピグテイルチップ310との間に位置合わせが、専用の位置合わせチャネル、例えば位置合わせファイバ317、319によって達成可能になる。図2の構成のピグテイルチップ210と同様に、ピグテイルチップ310は、構成要素が相互に相対的に配置される精度と同様の精度を有する同様の製造プロセスによって作製できる。
【0019】
光集積チップ320は、光集積チップ320がピグテイルチップ310に突き合わせ結合されたときに信号ファイバ318とオプトエレクトロニクス要素312との間の光学的な通信を可能にするように構成された信号ループバック導波路322を含み、且つ第1位置合わせファイバ317と第2位置合わせファイバ319との間の光学的な通信を可能にするように構成された位置合わせループバック導波路323を含む。光学要素に突き合わせ結合することによって、ピグテイルチップ310の単一結合端311を横切って、信号ファイバ318がオプトエレクトロニクス要素312と光学的に通信し、且つ位置合わせファイバ317、319が互に通信し、オプトエレクトロニクス要素312、信号ファイバ318と、位置合わせファイバ317、319とを光学的に結合することができるように、オプトエレクトロニクス要素312、信号ファイバ318、および位置合わせファイバ317、319がピグテイルチップ310上に配向される。
【0020】
オプトエレクトロニクス要素312、信号ファイバ318、および位置合わせファイバ317、319は、光集積チップ320に同時に突き合わせ結合され得る。この際、信号ループバック導波路322が光集積チップ320の結合表面321に配置される第1端324、および第2端325を望ましく含む。信号ループバック導波路322の第1端324は信号ファイバ318に、第2端325はオプトエレクトロニクス要素312に光学的に結合され得る。同様に、位置合わせループバック導波路323は、光集積チップ320の結合表面321に配置された第1端326および第2端327を望ましく含み得る。位置合わせループバック導波路323の第1端326は第1位置合わせファイバ317に、第2端327は第2位置合わせファイバ319に光学的に結合され得る。したがって、導波路およびピグテイルチップ320、310が相互に突き合わせ結合されるように光集積チップ320の結合端311をピグテイルチップ310の結合端311に対面して置くことにより、第1および第2位置合わせファイバ317、319、ならびに信号ファイバ318およびオプトエレクトロニクス要素312は、それぞれ光学的に通信することができるようになり得る。
【0021】
図2の構成と同様に、ピグテイルチップ310と光集積チップ320との位置合わせ工程中に、オプトエレクトロニクス要素312に電力を供給するか、または応答指令信号を送る必要がない。この代わりに、適切な位置合わせは、位置合わせファイバ317、319の間の光学的な通信を監視することにより確認することができる。例えば、光源は、結合端311に対向する抹消側の位置合わせファイバ317、319の端部において第1および第2位置合わせファイバ317、319のどちらかに結合される。さらに、チップ310、320が最良に位置合わせされ、光通過量が最大になる場合を検出器が検出できるように、検出器を光源が結合されていない、他の位置合わせファイバ317、319の遠端に設けることができる。チップ310、320の最適位置が決定されると、チップ310、320を一体に接着することができ、信号ファイバ318とオプトエレクトロニクス要素312との間を限られた損失で光を通過させることができる。したがって、外部光源および外部検出器を設けることにより、位置合わせプロセスの過程において、オプトエレクトロニクス要素312に電力を供給するか、または応答指令信号を送る必要がなくなる。
【0022】
さらに、本発明によるピグテイルアセンブリのさらなる例示的な構成(一般的に示された400)が、ピグテイルアセンブリが図4Aおよび4Bで説明され、これは、例えば垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)または光検出器おはじめとする面発光(または受光)デバイス450をピグテイル接続するのに特に好適である。ピグテイルアセンブリ400はピグテイルチップ410をはじめとするピグテイルサブアセンブリを含み、ピグテイルチップ410は、基体409、能動デバイス、例えばオプトエレクトロニクス要素412および光レンズ414を含み、光ファイバ418をはじめとする光チャネルを含む。任意に、ピグテイルチップ410はオプトエレクトロニクス要素412を有するか、または有しない面発光デバイス450を含んでいても良い。図1に関し上に述べたような密封パッケージ413の一部を形成するように、能動デバイス412、450の一方または両方を、光学要素414および他の能動デバイスをはじめとする他の光学要素と一緒に、任意に密封することができる。光ファイバ418の位置は、基体409に上面に配置されるV形溝416を設けることにより決定することができる。さらに、ピグテイルチップ410は、(100)シリコン内の{111}結晶面であるピグテイルチップ内に設けられるのが望ましい反射ファセット445を含む。
【0023】
好ましくは、図4Bの示されるように、面発光デバイス450が反射ファセット445と光学的に通信するように、面発光デバイス450は反射ファセット445を覆って配置され得る。面発光デバイス450がピグテイルチップ410の結合端411を横切って光学的に通信できるように、反射ファセット445はピグテイルチップ410の結合端411に対して配向される。このように、オプトエレクトロニクス要素412、面発光デバイス450、および光ファイバ418が、光学要素に突き合せ結合することにより光学的に連結され、オプトエレクトロニクス要素412、面発光デバイス450、および光ファイバ418が、結合端411をはじめとする基体409の単一端を横切って光学的に通信できるように、オプトエレクトロニクス要素412、面発光デバイス450、および光ファイバ418をピグテイルチップ410上に配向することが望ましい。ピグテイルチップ410は図1のピグテイルチップ10に関して上に述べた製造プロセスによって提供され得る。例えば、反射ファセット445は部分的Vピット447の表面として提供できる。反射ファセット445を有するVピット447は、V形溝416を提供したものと同一工程の間に、(100)シリコンウェーハの異方性エッチングによって作製することができる。例えば単一モードの1300〜1600nm通信デバイスを含むような、典型的用途においては、構成要素(例えば、ファイバ418、面発光デバイス450、およびオプトエレクトロニクス要素412)が相互に相対的に配置される精度は、例えば数ミクロン以内であり得る。
【0024】
光集積チップ420は導波路422を含み、この導波路は、光集積チップ420がピグテイルチップ410に突き合わせ結合されると、オプトエレクトロニクス要素412および面発光デバイス450のそれぞれと光ファイバ418との間の光学的な通信を可能にするように構成されている。この際、導波路422は、光ファイバ418とオプトエレクトロニクス要素412との間の光学的な通信を可能にするループバック導波路433と、光ファイバ418と面発光デバイス450との間の光学的な通信を可能にするタップ導波路434とを含む。
【0025】
例えば、オプトエレクトロニクス要素412、光ファイバ418、および面発光デバイス450は、光集積チップ420に同時に突き合せ結合できる。光導波路422は、光集積チップ420の結合表面421に配置された第1、第2、および第3端423、424、425を望ましく含み得る。導波路およびピグテイルチップ420、410を相互に突き合わせ結合できるように光集積チップ420の結合端421をピグテイルチップ410の結合端411に対面するように置くことによって、導波路422の第1端423を光ファイバ418に、第2端424をオプトエレクトロニクス要素412に、及び第3端425を面発光デバイス450に光学的に結合することができる。
【0026】
導波路端423、424 425が光ファイバ418、オプトエレクトロニクス要素412および面発光デバイス450にそれぞれ正しく位置合わせされていることを確認するために、図1の構成に関して上に述べものと同様の方法で、ピグテイルチップ410と光集積チップ420との位置合わせのプロセスの過程において、オプトエレクトロニクス要素412または面発光デバイス450のいずれかにに電力を供給し、応答指令信号を送ることができる。
【0027】
本発明のこれらおよび他の利点は、当業者には、前述の明細書の説明から明らかである。例えば、各オプトエレクトロニクス要素との光学的な通信のため光集積チップ上の光導波路構造体と共に複数のオプトエレクトロニクス要素を単一ピグテイルチップ上に提供することができる。したがって、当業者であれば、本発明の広範な発明概念から逸脱することなく、上述の態様に対し様々な変更または修正が可能であることを認識する。本発明は本明細書に記載の特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲および精神に包含される、全ての変形形態または修正形態を含むことを意図していることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による微小光学デバイスの概略図であり、この微小光学デバイスは、ピグテイルチップの上に配置されたオプトエレクトロニクス要素と光ファイバとを有するピグテイルチップ;ならびに、オプトエレクトロニクス要素と光ファイバとの間を光学的に通信することを可能とするためにピグテイルチップに突き合せ結合される光集積チップとを含む。
【図2】本発明による微小光学デバイスの概略図であり、この微小光学デバイスは、ピグテイルチップの上に配置されたオプトエレクトロニクス要素と第1および第2光ファイバとを有するピグテイルチップ;ならびに、オプトエレクトロニクス要素と第1光ファイバとの間を光学的に通信させることを可能にし、且つ第1ファイバと第2ファイバとの間の光学的な通信を可能とするためにピグテイルチップに突き合せ結合される光集積チップを含む。
【図3】本発明による微小光学デバイスの概略図であり、この微小光学デバイスは、ピグテイルチップの上に配置されたオプトエレクトロニクス要素と第1、第2および第3光ファイバを有するピグテイルチップ;ならびに、オプトエレクトロニクス要素と第2光ファイバとの間の光学的な通信を可能とし、且つ第1ファイバと第3ファイバとの間の光学的な通信を可能とするためにピグテイルチップに突き合わせ結合される光集積チップを含む。
【図4A】本発明による微小光学デバイスの概略図であり、この微小光学デバイスは、ピグテイルチップの上に配置されたオプトエレクトロニクス要素と光ファイバおよび反射ファセットを有するピグテイルチップ;ならびに、オプトエレクトロニクス要素と光ファイバとの間の光学的な通信を可能とし、且つ光ファイバと反射ファセットとの間の光学的な通信を可能とするためにピグテイルチップに突き合せ結合される光集積チップを含む。
【図4B】反射ファセットと光学的に通信するように反射ファセット上に配置された面発光デバイスを有する図4Aの微小光学デバイスの概略図である
【符号の説明】
【0029】
100、200、300、400 ピグテイルアセンブリ、微小光学デバイス
9、209、309、409 基体
10、210、310、410 ピグテイルチップ
11、211、311、411 結合端
12、212、312、412 オプトエレクトロニクス要素、能動デバイス
13、213、313、413 密封パッケージ
14、214、314、414 光学レンズ
16、231、232、331、332、333、416 V形溝
18、418 光ファイバ
20、220、320、420 光集積チップ
21、221、321、421 結合表面
22、222、422 導波路
23、223、324、326、423 第1端
24、224、325、327、424 第2端
218、318 信号ファイバ
219、位置合わせファイバ
317、第1位置合わせファイバ
319、第2位置合わせファイバ
225、425 第3端
233、433 ループバック導波路
234、434 タップ導波路
322 信号ループバック導波路
323 位置合わせループバック
445 反射ファセット
447 部分的Vピット
450 面発光デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
基体端部の第1領域を横切って光学的に通信するように配向された、基体上のオプトエレクトロニクス要素と、
基体端部の第2領域を横切って光学的に通信するように配向された、基体上の光ファイバと、
を含む第1チップ;及び
前記第1および第2端領域を横切ってそれぞれオプトエレクトロニクス要素および光ファイバと光学的に通信するように配向された光学要素であって、オプトエレクトロニクス要素と光ファイバとの間の光学経路内に、第1チップに隣接して配置されている光学要素;
を含む、微小光学デバイス。
【請求項2】
前記第1チップに結合された第2チップを含み、第2チップが前記光学要素を含む、請求項1記載の微小光学デバイス。
【請求項3】
前記第2チップが光集積チップであり、および前記光学要素が複数の導波路を含む、請求項2記載の微小光学デバイス。
【請求項4】
前記光集積チップが、そのチップ上に能動デバイスを含む、または前記光集積チップが、その中に形成された能動デバイスを含む、請求項3記載の微小光学デバイス。
【請求項5】
前記第1チップが、前記基体の端部の第3領域を横切って光学的に通信するように配向された、該基体上の第2光ファイバを含む、請求項1記載の微小光学デバイス。
【請求項6】
前記光学要素が、前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとの間の光学経路内に配置されている、請求項5記載の微小光学デバイス。
【請求項7】
前記光学要素が、タップ形態、ループバック形態、またはそれらの組み合わせにおいて1以上の光導波路を含む、請求項5記載の微小光学デバイス。
【請求項8】
外部光源および検出器が、それぞれ前記第1光ファイバおよび前記第2光ファイバに接続され、オプトエレクトロニクス要素を起動することなく、前記第1チップを前記光学要素に位置合わせすることができるように、前記第1光ファイバおよび前記第2光ファイバが構成されている、請求項5記載の微小光学デバイス。
【請求項9】
前記基体が、基体表面における前記端部に結晶学的にエッチングされた反射ファセットを含み、及び前記オプトエレクトロニクス要素が前記反射ファセット上に配置され、前記反射ファセットと前記オプトエレクトロニクス要素との間の光学的な通信を可能にしている、請求項1記載の微小光学デバイス。
【請求項10】
前記オプトエレクトロニクス要素が密封されている、請求項1記載の微小光学デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate


【公開番号】特開2007−108751(P2007−108751A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−277300(P2006−277300)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】