説明

微粉除去装置

【課題】装置の形状を自由に設計でき、しかも混合気のフィルタ面での滞留時間を長くできる微粉除去装置を提供する。
【解決手段】内筒10および外筒20を備え、内筒10の側壁のうち、内筒10の中心軸11の軸方向において外筒20の側壁と重なる部分の少なくとも一部分を多孔のフィルタ30とし、内筒10内に空気1とペレット2との混合気3を流入させる流入管60を設けるとともに、内筒10内に流入した混合気3に含まれる微粉4とともにフィルタ孔31を通過する空気1を外筒20外に流出させる流出管70を設ける。フィルタ孔31は、長さ方向が内筒10の中心軸11と直角の方向である長孔に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体から微粉を除去する微粉除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体から微粉を除去する機構の一例が特許文献1、2に開示されている。この機構は、円筒形のケーシングの上方に供給管を設け、ケーシングの下方に吸引管を設け、ケーシング内に側壁が網状となった円筒形のフィルタを設ける。プラスチック樹脂のペレット(粉粒体の一例)の入った材料タンクにホースや配管で供給管を接続し、吸引ブロアにホースや配管で吸引管を接続する。供給管からペレットと空気(粉粒体の輸送気体の一例)との混合気を流入させてフィルタの内壁に沿って旋回させながら下降させ、この螺旋流で生じる遠心力の作用により、ペレットに付着している粉(微粉の一例)とペレットとをフィルタの側壁の内外に分離し、粉を含んだ空気は吸引管から排出し、粉が除去されたペレットはフィルタ下端の開口から落下する。
【0003】
特許文献2は、吸引管である空気吸引口は、供給管である粉粒体吸込口よりも口径を大きくし、かつ、ケーシングの円心からの距離が該ケーシングの円心から粉粒体吸込口の設置位置までの距離よりも大きくなるように設けることで、フィルタの内壁に沿って流れる混合気の流れを螺旋状とし、混合気のフィルタ面での滞留時間を長くすること、フィルタには、フィルタの内壁に沿って螺旋状に流れる混合気の流れ(制御されていない「自由流れ」である。)に沿って長孔状のフィルタ孔を配列することで、繊維状、棒状の物体も粉粒体から分離することを提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−50354号公報
【特許文献2】特開2009−273969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように粉粒体から微粉を除去する場合、混合気のフィルタ面での滞留時間を長くできると微粉の除去効率が上がる。しかし特許文献2に開示された技術では、装置の形状が制約されるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、装置の形状を自由に設計でき、しかも混合気のフィルタ面での滞留時間を長くできる微粉除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、第1の発明として、内筒および該内筒の外側に配置する外筒を備え、前記内筒の側壁のうち、前記内筒の中心軸の軸方向において前記外筒の側壁と重なる部分の少なくとも一部分を多孔のフィルタとし、前記内筒内に粉粒体の輸送気体と前記粉粒体との混合気を流入させる流入口を設けるとともに、前記内筒内に流入した前記混合気に含まれる微粉とともに前記フィルタ孔を通過する前記輸送気体を前記外筒外に流出させる流出口を設ける微粉除去装置において、前記フィルタに、前記フィルタの内壁に沿って螺旋状に流れる前記混合気の自由流れを、該自由流れ方向よりも前記内筒の中心軸と直角の方向に近い方向から前記内筒の中心軸と直角の方向までの1方向に案内するガイドを設けたことを特徴とする微粉除去装置を提供するものである。
【0008】
第2の発明として、第1の発明において、前記ガイドは、前記フィルタの内壁に沿って螺旋状に流れる前記混合気の自由流れを、前記内筒の中心軸と直角の方向に案内することを特徴とする微粉除去装置を提供するものである。
【0009】
第3の発明として、内筒および該内筒の外側に配置する外筒を備え、前記内筒の側壁のうち、前記内筒の中心軸の軸方向において前記外筒の側壁と重なる部分の少なくとも一部分を多孔のフィルタとし、前記内筒内に粉粒体の輸送気体と前記粉粒体との混合気を流入させる流入口を設けるとともに、前記内筒内に流入した前記混合気に含まれる微粉とともに前記フィルタ孔を通過する前記輸送気体を前記外筒外に流出させる流出口を設ける微粉除去装置において、前記フィルタ孔は、長さ方向が前記内筒の中心軸と直角の方向である長孔に形成したことを特徴とする微粉除去装置を提供するものである。
【0010】
第4の発明として、第1ないし第3の発明のいずれか1つの発明において、前記フィルタは、前記内筒の中心軸が鉛直線のときに、鉛直下方に向かって窄まり形状に形成することを特徴とする微粉除去装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、フィルタにガイドを設け、そのガイドによって、フィルタの内壁に沿って螺旋状に流れる混合気の自由流れを、該自由流れ方向よりも内筒の中心軸と直角の方向に近い方向から内筒の中心軸と直角の方向までの1方向に案内することで、フィルタ内での混合気の流れをいわゆるリード角の小さい螺旋状とすることができる。よって、装置の形状を自由に設計でき、しかも混合気のフィルタ面での滞留時間を長くできる微粉除去装置を提供することができる。
【0012】
第2の発明によれば、フィルタにガイドを設け、そのガイドによって、フィルタの内壁に沿って螺旋状に流れる混合気の自由流れを、内筒の中心軸と直角の方向に案内することで、フィルタ内での混合気の流れをリード角のより小さい螺旋状とすることができる。よって、混合気のフィルタ面での滞留時間をさらに長くできる。
【0013】
第3の発明によれば、フィルタ孔は、長さ方向が内筒の中心軸と直角の方向である長孔に形成したことで、フィルタの内壁に沿って螺旋状に流れる混合気には遠心力が働いているため、混合気中の粉粒体がフィルタ内ではフィルタ孔の長さ方向の辺に沿って移動し、フィルタの内壁に沿って螺旋状に流れる混合気の自由流れがフィルタ孔の長さ方向に案内される。こうしてフィルタ孔が、フィルタの内壁に沿って螺旋状に流れる混合気の自由流れを、内筒の中心軸と直角の方向に案内するガイドとして機能し、フィルタ内での混合気の流れをリード角の小さい螺旋状とすることができ、しかもフィルタ内での混合気の流れをリード角をより小さい螺旋状とすることができるため、混合気のフィルタ面での滞留時間をさらに長くできる。よって、装置の形状を自由に設計でき、しかも混合気のフィルタ面での滞留時間を長くできる微粉除去装置を提供することができる。
【0014】
第4の発明によれば、フィルタは、内筒の中心軸が鉛直線のときに、鉛直下方に向かって窄まり形状に形成することで、フィルタに設けるガイドとして、長さ方向がフィルタの内壁に沿って螺旋状に流れる混合気の自由流れ方向よりも内筒の中心軸と直角の方向に近い方向から内筒の中心軸と直角の方向までの1方向である長孔に形成したフィルタ孔、または内筒の中心軸と直角の方向である長孔に形成したフィルタ孔を採用したとき、フィルタ孔の長さ方向の下辺が上辺よりも内筒の中心軸に近くなり、粉粒体がフィルタ孔の下辺に当たる確実性が増し、フィルタ孔によるガイド機能を効果的に発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1の微粉除去装置の全体構成を示す図である。
【図2】実施例1の微粉除去装置の外観を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図である。
【図3】実施例1の微粉除去装置のフィルタを示す断面側面図である。
【図4】実施例1の微粉除去装置のフィルタ孔の形状を示す図である。
【図5】実施例1の微粉除去装置の使用例を示す図である。
【図6】実施例1の微粉除去装置内での空気の流れを示す側面図である。
【図7】実施例1の微粉除去装置内での空気の流れを示す平面図であり、(A)は流入口部での空気の流れを示す平面図、(B)は分離部での空気の流れを示す平面図、(C)は流出口部での空気の流れを示す平面図である。
【図8】実施例1の微粉除去装置のフィルタ孔(ガイド)の個々の作用を示す図である。
【図9】実施例1の微粉除去装置のフィルタ孔(ガイド)の作用を示す図である。
【図10】実施例1の微粉除去装置のガイドの変形例を示す図であり、(A)はフィルタの平面図、(B)はフィルタの断面側面図である。
【図11】実施例1の微粉除去装置のガイドの他の変形例を示すフィルタの断面側面図でる。
【図12】実施例1の微粉除去装置と比較する参考例の微粉除去装置の全体構成を示す図である。
【図13】参考例の微粉除去装置のフィルタを示す断面側面図である。
【図14】本発明の実施例2の微粉除去装置の全体構成を示す図である。
【図15】実施例2の微粉除去装置の外観を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図である。
【図16】実施例2の微粉除去装置の第2の流入口への空気供給手段を示す図である。
【図17】実施例2の微粉除去装置内での空気の流れを示す側面図である。
【図18】実施例2の微粉除去装置内での空気の流れを示す平面図であり、(A)は流入口部での空気の流れを示す平面図、(B)は分離部での空気の流れを示す平面図、(C)は流出口部での空気の流れを示す平面図である。
【図19】本発明の実施例3の微粉除去装置の全体構成を示す図である。
【図20】実施例3の微粉除去装置の外観を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図である。
【図21】実施例3の微粉除去装置のフィルタを示す断面側面図である。
【図22】実施例3の微粉除去装置内での空気の流れを示す側面図である。
【図23】実施例3の微粉除去装置内での空気の流れを示す平面図であり、(A)は分離部での空気の流れを示す平面図、(B)は流出口部での空気の流れを示す平面図、(C)は流入口部での空気の流れを示す平面図である。
【図24】実施例3の微粉除去装置と比較する参考例の微粉除去装置の全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明(第1ないし第4の発明)を実施するための形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1ないし図13を参照して実施例1の微粉除去装置を説明する。図1は実施例1の微粉除去装置の全体構成を示す図、図2は実施例1の微粉除去装置の外観を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図、図3は実施例1の微粉除去装置のフィルタを示す断面側面図、図4は実施例1の微粉除去装置のフィルタ孔の形状を示す図、図5は実施例1の微粉除去装置の使用例を示す図、図6は実施例1の微粉除去装置内での空気の流れを示す側面図、図7は実施例1の微粉除去装置内での空気の流れを示す平面図であり、(A)は流入口部での空気の流れを示す平面図、(B)は分離部での空気の流れを示す平面図、(C)は流出口部での空気の流れを示す平面図、図8は実施例1の微粉除去装置のフィルタ孔(ガイド)の個々の作用を示す図、図9は実施例1の微粉除去装置のフィルタ孔(ガイド)の作用を示す図、図10は実施例1の微粉除去装置のガイドの変形例を示す図であり、(A)はフィルタの平面図、(B)はフィルタの断面側面図、図11は実施例1の微粉除去装置のガイドの他の変形例を示すフィルタの断面側面図、図12は実施例1の微粉除去装置と比較する参考例の微粉除去装置の全体構成を示す図、図13は参考例の微粉除去装置のフィルタを示す断面側面図である。
【0018】
図1、図2に示すように、本実施例の微粉除去装置は、フィルタ30を含む内筒10と、内筒10の外側に同軸で配置する外筒20と、微粉除去装置設置用の台板40と、上蓋50などにより構成している。
【0019】
図3に示すように、フィルタ30は、内筒10の側壁のうち、内筒10の中心軸11の軸方向において外筒20の側壁と重なる部分の少なくとも一部分を構成するとともに、内筒10内に流入させる混合気3(図5ないし図7参照)中のプラスチック樹脂のペレット2(粉粒体の一例)から微粉4を内筒10の側壁の外側に分離するためのもので、内筒10の中心軸11が鉛直線のときに、鉛直下方に向かって窄まり形状となる円錐台形に形成し、その側壁(側面)の略全体に、混合気3中の空気1と微粉4のみを通過させる(ペレット2は通過させない)多数のフィルタ孔31を千鳥状などに配列して設ける。このフィルタ30の側壁はパンチングメタルにより構成している。
【0020】
図4に示すように、各フィルタ孔31は、フィルタ30の内壁(フィルタ面)に沿って螺旋状に流れる混合気3の自由流れ5(図12参照)を、内筒10の中心軸11と直角の方向(内筒10の中心軸11が鉛直線のときは水平方向)に案内するため、長さ方向が内筒10の中心軸11と直角の方向である長孔に形成している。
【0021】
また、各フィルタ孔31は、フィルタ30に設けるガイドであって、フィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の自由流れ5を、その自由流れ方向よりも内筒10の中心軸11と直角の方向に近い方向から内筒10の中心軸11と直角の方向までの角度領域θの1方向に案内するガイドとして、フィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の自由流れ5を、内筒10の中心軸11と直角の方向に案内するように、長さ方向が内筒10の中心軸11と直角の方向である長孔に形成している。
各フィルタ孔31は、直線状でも曲線状であってもよい(彎曲していてもよい)。
フィルタ30が複数枚の板材からなり、ある板材Aに混合気3の旋回方向に隣接する板材Bと板材Aとが、板材Bの内壁と板材Aの外壁とにおいて一部重なるものであってもよい。
フィルタ30の側壁は1枚の板材(パンチングメタル)を曲げ、その端同士を接合させて筒状としても、複数枚の板材(パンチンメタル)をつなぎ合わせて筒状としてもよい。この場合、混合気3の旋回方向上流側の端部が内側、下流側の端部が外側になるよう1枚の板材の両端または複数枚の板材のうち、隣接する2枚の板材の接合端部を重ね合わせることが好ましい。
【0022】
図1、図2に戻って、内筒10は、フィルタ30と、フィルタ30の上部開口径と略同径な円筒形に形成する上筒部12と、フィルタ30の下部開口径と略同径な円筒形に形成する下筒部13との、3ピース構造を有しており、上下筒部12、13を繋ぐように、これらの間にフィルタ30を配置している。上下筒部12、13は、その側壁がフィルタ30の側壁を含む円錐面内に配置されるような円錐台形であってもよい。外筒20は、略同径な円筒形の上筒部21と下筒部22との2ピース構造を有している。これら同軸配置の内筒10と外筒20は、台板40から直角に立ち上げられ、内筒10の上部(上筒部12)が外筒20の上部開口(上筒部21の上部開口)から上方に突出し、この内筒10の上部開口(上筒部12の上部開口)が上蓋50により閉じられ、外筒20の上部開口はそこを貫通している内筒10の上部とそこの側壁から外筒20の上側に張り出して設けられたフランジ12aにより閉じられている。
【0023】
外筒20の上部開口から上方に突出した内筒10の上部の側壁には、そこから混合気3を接線方向に内筒10内に流入させるための流入口である流入管60を設けている。この流入管60は直管であって、流入管60における入口61は円形に形成され、出口62は矩形に形成され、この出口62が内筒10の上部の側壁に沿って開口されている(図7A参照)。
【0024】
外筒20の側壁のうち、内筒10の中心軸11の軸方向において内筒10のフィルタ30よりも下部(下筒部13)の側壁と重なっている外筒20の下部(下筒部22)の側壁には、そこから微粉4混じりの空気1(各フィルタ孔31を通過し内筒10内から内筒10の側壁(フィルタ30の側壁と下筒部13の側壁)と外筒20の側壁(上筒部21の側壁と下筒部22の側壁)との間の環状空間20Aに流入した微粉4混じりの空気1)を接線方向に外筒20外に流出させるための流出口である流出管70を設けている。この流出管70は直管であって、流出管70における入口71と出口72はともに円形に形成されている。流出管70は、内筒10の側壁(フィルタ30の側壁と下筒部13の側壁)と外筒20の側壁(上筒部21の側壁と下筒部22の側壁)との間の環状空間20Aであって、内筒10の下部(下筒部13)の側壁と外筒20の下部(下筒部22)の側壁との間の環状空間20A下部に入り込んだ入口71を形成するように、内筒10の下部(下筒部13)の側壁と外筒20の下部(下筒部22)の側壁との間の環状空間20A下部に入り込んだ管側壁73を有している(図7C参照)。
本実施例では流出管70と外筒20の側壁(環状空間20Aの外壁)との間、流出管70と台板40(外筒20の底面:環状空間20Aの底面)との間に、それぞれ、隙間があるが、これらは無い方が好ましい。流出管70の入口71の開口形状として円形のものを示したが、円形でも矩形でもよい。流出管70の入口71としては、矩形であり、外筒20の側壁との間、台板40との間に、それぞれ、隙間の無いものが好ましい。
【0025】
台板40の中央部には内筒10の下部開口(下筒部13の下部開口)と略同径な円形の貫通孔41が設けられ、内筒10は台板40の貫通孔41の縁から立ち上げられ、内筒10の下部開口が台板40の下面側に開放されて微粉4が除去されたペレット2の排出口13aになっている。外筒20は台板40の上面外側部から立ち上げられ、外筒20の下部開口は台板40で閉じられている。
【0026】
内筒10は下端に排出口13aを開口し、上部の側壁に流入管60を接続した柱状空間10Aを形成し、外筒20は流入管60より下部の柱状空間20Aの周囲に、下部の側壁に流出管70を接続した環状空間20Aを形成する。これら柱状空間20Aと環状空間20Aの境目にある内筒10の側壁であるフィルタ30の側壁と下筒部13の側壁のうち、フィルタ30の側壁はそこに設けた多数のフィルタ孔31によって柱状空間10Aと環状空間20Aとを連通接続し、下筒部13の側壁は柱状空間10Aと環状空間20Aとの間での通気を遮断している。
【0027】
次に、本実施例の微粉除去装置の組み立てについて説明する。
【0028】
図1、図2に示すように、内筒10の下筒部13と外筒20の下筒部22とは台板40に一体に設けられている。本実施例の微粉除去装置を組み立てるときは、内筒10の下筒部13の側壁上端に設けたフランジ13bの上に、フィルタ30の側壁下端に設けたフランジ30aを重ね合わせ、内筒10の下筒部13の上にフィルタ30を載置する。
【0029】
また、外筒20の下筒部22の側壁上端に設けたフランジ22aの上にリング状の下パッキン80を介して外筒20の上筒部21を載置し、その外筒20の上筒部21の上にリング状の上パッキン81を介してリング状のフランジ82を重ね合わせ、フランジ82、22a間に上下パッキン81、80を介して外筒20の上筒部21を挟む。
【0030】
内筒10の上筒部12の側壁下端近傍から外側に張り出して設けた上記フランジ12aをフランジ82の上に重ね合わせ、内筒10の上筒部12の側壁下端をフィルタ30の上部開口に内嵌する。このとき、フィルタ30は内筒10の上筒部12のフランジ12aと内筒10の下円筒部13との間に挟まれる。また、外筒20の上筒部21は内筒10の上筒部12のフランジ12aと外筒20の下筒部22との間に挟まれ、外筒20の上部開口(上筒部21の上部開口)が内筒10の上筒部12のフランジ12aで閉じられる。
【0031】
両端部に雄ネジを有する複数のボルト83をフランジ82を貫通させてフランジ12a、22a間に通し付け、フランジ12aの上面から上方に突出する各ボルト83の上端にナット84を螺着し、フランジ22aの下面から下方に突出する各ボルト83の下端にナット84を螺着し、内筒10の下筒部13と外筒20の下筒部22に対して内筒10の上筒部12を締め付ける。このとき、過大な締め付けにより外筒20の上筒部21、フィルタ30などに変形や割れが生じるのを防止するため、各ボルト83にはフランジ12a、22a間に挟み込む筒状のスペーサ85が外嵌されている。
【0032】
内筒10の上筒部12の側壁上端に設けたフランジ12bの上に上蓋50の外側部を載置し、その上蓋50の外側部の上にリング状の押え板86を重ね合わせ、クランプバンド87などにより上蓋50をフランジ12bに固定し、内筒10の上部開口(上筒部12の上部開口)を上蓋50で閉じて、完成する。
【0033】
これにより、内筒10の上筒部12を取り外すことでフィルタ交換が行える。また、微粉除去装置を洗浄するときなどに、内筒10の下筒部13と外筒20の下筒部22と台板40の一体部品と、フィルタ30と、内筒10の上筒部12と、外筒20の上筒部21とに分解できる。
【0034】
次に、本実施例の微粉除去装置の材質について説明する。
【0035】
フィルタ30を含む内筒10、外筒20、台板40、上蓋50などの材質は、一般構造用鋼板やステンレス鋼板などの金属を使用することができる。このとき、外筒20の上筒部21と上蓋50にはアクリル、ポリカーボネイト、ガラスなどの透明材質を使用することが好ましい。
【0036】
これにより、微粉除去装置の外側方から外筒20の上筒部21を透して、環状空間20Aで螺旋状に流れる微粉4混じりの空気1の流れ8を目視確認できる。また、微粉除去装置の上方から上蓋50を透して、柱状空間10Aで螺旋状に流れる混合気3の流れ6、特に、フィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れ6を目視確認できる。このように、微粉除去装置の外部から外筒20の上筒部21および上蓋50を透して、微粉除去装置の内部全体を見通すことができ、微粉除去装置の処理状況を確認できる。
【0037】
次に、本実施例の微粉除去装置の使用について説明する。
【0038】
図5に示すように、本実施例の微粉除去装置は、プラスチック樹脂成形の原料となるプラスチック樹脂ペレット(チップの場合もある)2を成形機90へ供給する前に、そのペレット2に含まれるプラスチック樹脂の微粉4を除去するために、成形機90の原料供給ホッパ91の上部に台板40を介して鉛直に設置(斜めに設置する場合もある)して使用する。このとき、流入管60にはペレット2の貯槽92にホースや配管を介して接続し、流出管70には空気1に運動エネルギーを与えたり圧力を高めたりする流体機器であるブロア93の吸込口にホースや配管を介して接続する。流出管70とブロア93の間には集塵装置94を設ける。
【0039】
次に、本実施例の微粉除去装置の作用について説明する。
【0040】
まず、図12、図13に示す参考例の微粉除去装置は、フィルタ300の側壁に設けるフィルタ孔310の形状以外、本実施例の微粉除去装置と同一構造にしてある。図12、図13において本実施例の微粉除去装置と同一構造には同一符号を付してある。図12、図13に示すように、参考例の微粉除去装置のフィルタ300の側壁に設けたフィルタ孔310は円形のもので、本実施例の微粉除去装置のフィルタ孔31のようなガイド機能は持っていないものである。
【0041】
図6、図7に示す本実施例の微粉除去装置と図12、図13に示す参考例の微粉除去装置は、両方ともに、流出管70に接続したブロア93を駆動すると、吸引式の配管輸送が開始される。この吸引式の配管輸送により空気1とペレット2との混合気3(微粉4を含んでいる)が、流入管60を通り、内筒10の上筒部12内(柱状空間10Aの上部)にそこの側壁から接線方向に流入し、内筒10の上筒部12の内壁に沿って旋回しながら下降して本実施例ではフィルタ30(柱状空間10Aの上下中間部)に入り、参考例ではフィルタ300(柱状空間10Aの上下中間部)に入り、それぞれのフィルタ30、300の内壁に沿って旋回しながら下降する。このとき、参考例のフィルタ300の側壁に設けたフィルタ孔310は円形のもので、本実施例のフィルタ30に設けたフィルタ孔31のようなガイド機能は持っていないため、参考例における内筒10の内壁に沿って流れる混合気3の流れは案内(制御)されない自由流れ5となる。すなわち、本実施例におけるフィルタ孔31が案内する対象の混合気3の自由流れ5となり、本実施例における内筒10の内壁に沿って流れる混合気3の流れはフィルタ孔31により案内(制御)された制御流れ6となる。フィルタ孔31の案内作用(混合気3の自由流れ5から制御流れ6への変換)については後述する。
【0042】
混合気3は、フィルタ30、300の内壁に沿って螺旋状に流れる間に、その螺旋流6、5で生じる遠心力の作用で、混合気10中のペレット2と微粉4がフィルタ30、300の側壁の内外側に分離される。フィルタ孔31、310よりも大きいペレット2はフィルタ孔31、310を通り抜けることなくフィルタ30、300の側壁の内側に止まり、フィルタ孔31、310よりも小さい微粉4はフィルタ孔31、310を通り抜けフィルタ30、300の側壁の外側に分離する。このとき、フィルタ孔31、310でフィルタ30、300の側壁の内側から外側に向かって通り抜ける空気1の流れ7があるので、ペレット2と微粉4とを容易に分離できる。
【0043】
フィルタ30、300の側壁の外側、すなわち、環状空間20Aに分離した微粉4は、そこで螺旋状に流れる空気1の流れ8により、旋回しながら下降して環状空間20A下部に達し、流出管70を通り、外筒20の下筒部22の側壁から接線方向に流出する。すなわち、外筒20外に流出する。外筒20外に流出した空気1に含まれる微粉4は集塵装置94により回収され、ブロア93の吐出口からはクリーンな空気1が大気中に放出される。
【0044】
フィルタ30、300の内壁に沿って旋回しながら下降する間に、微粉4が除去されたペレット2は、内筒10の下筒部13(柱状空間10Aの下部)に入り、内筒10の下筒部13の内壁に沿って旋回しながら下降して内筒10の下筒部13の下部開口である排出口13aに達し、そこから成形機90の原料供給ホッパ91に排出される。勿論、フィルタ30、300の内壁に沿って旋回しながら下降する間には、フィルタ孔31、310を通り抜ける塵やプラスチック樹脂の小片なども微粉4とともに異物として除去されている。
【0045】
こうして、本実施例の微粉除去装置と参考例の微粉除去装置は、両方ともに、ペレット2を連続的に処理し、そのペレット2から微粉4などの異物を除去できる。
【0046】
次に、本実施例におけるフィルタ孔31の作用について説明する。
【0047】
図8、図9に示すように、フィルタ30の側壁に設けたフィルタ孔31は、長さ方向が内筒10の中心軸11と直角の方向である長孔である。一方、フィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3には遠心力が働いている。このため、フィルタ孔31は、混合気3中のペレット2をフィルタ孔31の長さ方向の上下辺31a,31bに沿って移動させ、フィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の自由流れ5を、フィルタ孔31の長さ方向である内筒10の中心軸11と直角の方向に案内し、図6、図12からも明らかなように、フィルタ30内での混合気3の自由流れ5をそれよりもリード角の小さい螺旋状の制御流れ6に変換する。これにより、混合気3のフィルタ面での滞留時間が自由流れ6のものよりも長くなり、微粉4の除去効率を上げることができる。
【0048】
ここで、フィルタ30の側壁に設けるフィルタ孔31は、長さ方向がフィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の自由流れ5の流れ方向より僅かでも内筒10の中心軸11と直角の方向に近い方向の長孔であれば、フィルタ30内での混合気3の自由流れ5をそれよりもリード角の小さい制御流れ6に変換し、混合気3のフィルタ面での滞留時間を自由流れ5のものよりも長くできるが、フィルタ30の側壁に設けるフィルタ孔31は、長さ方向が内筒10の中心軸11と直角の方向である長孔であるため、フィルタ30内での混合気3の自由流れ5をリード角のより小さい制御流れ6に変換でき、混合気3のフィルタ面での滞留時間を自由流れ6のものよりもさらに長くできる。
【0049】
また、図8に示すように、フィルタ30の側壁は、内筒10の中心軸11が鉛直線のときに、鉛直下方に向かって窄まり形状となる円錐台形に形成しており、このフィルタ30の側壁に設けたフィルタ孔31では、長さ方向の下辺31bが上辺31aよりも内筒10の中心軸11に寸法dだけ近くなり、ペレット2がフィルタ孔31の下辺31bに当たる確実性が増し、フィルタ孔31によるガイド機能を効果的に発揮できる。
【0050】
本実施例の微粉除去装置のガイドの変形例を説明する。図10に示すように、フィルタ孔31に代えて、フィルタの内壁に、長さ方向が内筒10の中心軸11と直角の方向である多数の突起物32を千鳥状などに配列して設けても、フィルタ孔31と同様に、フィルタ30に設けるガイドであって、フィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の自由流れ5を、その自由流れ方向よりも内筒10の中心軸11と直角の方向に近い方向から内筒10の中心軸11と直角の方向までの角度領域θの1方向に案内するガイドとして利用することができる。突起物32には金属やプラスチック樹脂の線材からなる棒体、板材からなる板体(羽根)などを使用できる。突起物32を設けるフィルタには、参考例の微粉除去装置のように側壁に円形のフィルタ孔310を設けたフィルタ300、側壁が金属網で構成されたフィルタなどの周知のフィルタを使用できる。このとき突起物32はフィルタの側面の開口率が著しく低下しないように、フィルタ孔31よりも十分に広い間隔でフィルタの内壁に配列する。
また、本実施例の微粉除去装置のガイドの他の変形例を説明する。図11に示すように、長さ方向が内筒10の中心軸11と直角の方向(内筒10中心軸11が鉛直線のときは水平方向)である第1の長孔(第1のフィルタ孔)501が形成される領域500Aと、その領域500Aよりも内筒10の中心軸11の軸方向下部(内筒10中心軸11が鉛直線のときは鉛直方向下部)において、混合気3の自由流れ5よりも内筒10の中心軸11と直角の方向に近い方向から内筒10の中心軸11と直角の方向未満までの1方向に案内する第2の長孔(第2のフィルタ孔)502が形成される領域500Bとが側壁に形成されているフィルタ500を設け、第1の長孔501と第2の長孔502をガイドとしてフィルタ500に設けている。このフィルタ500をフィルタ孔(ガイド)31を設けたフィルタ30、突起物(ガイド)32を設けたフィルタ300に代えて使用する。
ここで、フィルタ500の領域500Bに形成する第2の長孔502は、内筒10の中心軸11の軸方向上部から下部に向けて、第2の長孔502の長さ方向の、内筒10の中心軸11の直角の方向からの傾斜角度が次第に大きくすることが好ましい。この場合、各第2の長孔502の傾斜角度は、内筒10の中心軸11の軸方向上部から下部に向けて、連続的に大きくしても、エリア単位(図のイ〜へ)で大きくしてもよい。また、フィルタ500において、第1の長孔501は、あってもなくてもよい。
なお、フィルタに設けるガイドとして、フィルタの側壁を貫通するフィルタ孔31、501と502、フィルタの内壁から突出する突起物32を用いる他、フィルタの内壁に、長さ方向が内筒10の中心軸11と直角方向、または、混合気3の自由流れ5よりも内筒10の中心軸11と直角の方向に近い方向から内筒10の中心軸11と直角の方向未満までの1方向である溝を用いてもよい。
ここで、ガイドが設けられた微粉除去装置における自由流れとは、ガイドがフィルタの側壁を貫通する孔の場合、フィルタ孔を、ガイドである孔における最小径(上辺31aと下辺31bの間隔、図8参照)を直径とする丸孔とすること以外は、フィルタの側壁の開口率を含めて同じ構成、条件からなる微粉除去装置の作動時における混合気の流れであり、ガイドがフィルタの側壁を貫通する孔以外の場合、ガイドを設けないこと以外は、同じ構成、条件からなる微粉除去装置の作動時における混合気の流れである。
【0051】
ところで、フィルタ30の側壁が内筒10の中心軸11の軸方向において流出管70と重なる位置にまで延びていると、フィルタ30の側壁のうち、内筒10の中心軸11の軸方向において流出管70と重なっている部分にあるフィルタ孔31を通り抜ける空気1によって、環状空間20Aで螺旋状に流れている空気1の流れ8が弱くなり、フィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れ6も弱くなり、微粉4の除去効率が低下するが、本実施例の微粉除去装置では、図1、図6、図7Cに示すように、内筒10の側壁のうち、内筒10の中心軸11の軸方向において少なくとも流出管70と重なる部分には、通気遮断のため無孔の通気止め部(下筒部13の側壁)を設けているため、フィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れ6が強いものになり、微粉4の除去効率を上げることができる。
【0052】
また、流出管70の入口71が流入管60の出口62と同様に内筒10の側壁に沿って開口されていると、環状空間20Aで螺旋状に流れている空気1の流れ8の旋回方向と逆向きの空気1の吸い込みが少なからずあるため、環状空間20Aで螺旋状に流れている空気1の流れ8が弱くなり、ひいてはフィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れ6も弱くなり、微粉4の除去効率が低下するが、本実施例の微粉除去装置では、図1、図6、図7Cに示すように、流出管70は内筒10の側壁と外筒20の側壁との間の環状空間20Aに入り込んだ管側壁73を有しているため、環状空間20Aで螺旋状に流れている空気1の流れ8が強いものとなり、ひいてはフィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れ6も強いものとなり、微粉4の除去効率を上げることができる。
【0053】
以上、本実施例によれば、次のような効果を奏する。
【0054】
フィルタ30、300にガイド31、32を設け、そのガイド31、32によって、フィルタ30、300の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気の自由流れ5を、該自由流れ5方向よりも内筒10の中心軸11と直角の方向に近い方向から内筒10の中心軸11と直角の方向までの1方向に案内することで、フィルタ30、300内での混合気3の自由流れをリード角の小さい螺旋状とすることができる。よって、装置の形状を自由に設計でき、しかも混合気3のフィルタ面での滞留時間を長くできる。
【0055】
フィルタ30、300にガイド31、32を設け、そのガイド31、32によって、フィルタ30、300の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の自由流れ5を、内筒10の中心軸11と直角の方向に案内することで、フィルタ30、300内での混合気3の自由流れ5をリード角のより小さい螺旋状とすることができる。よって、混合気3のフィルタ面での滞留時間をさらに長くできる。
【0056】
フィルタ孔31は、長さ方向が内筒10の中心軸11と直角の方向である長孔に形成したことで、フィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気の自由流れ5がフィルタ孔30の長さ方向に案内され、フィルタ孔31が、フィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の自由流れ5を、内筒10の中心軸11と直角の方向に案内するガイドとして機能し、フィルタ30内での混合気3の自由流れ5をリード角の小さい螺旋状とすることができ、混合気3のフィルタ面での滞留時間を長くでき、しかもフィルタ30内での混合気3の自由流れ5をリード角のより小さい螺旋状とすることができるため、混合気3のフィルタ面での滞留時間をさらに長くできる。よって、装置の形状を自由に設計でき、しかも混合気3のフィルタ面での滞留時間を長くできる。
【0057】
フィルタ30は、内筒10の中心軸11が鉛直線のときに、鉛直下方に向かって窄まり形状に形成することで、フィルタ30に設けるガイドとして、長さ方向がフィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の自由流れ5方向よりも内筒10の中心軸11と直角の方向に近い方向から内筒10の中心軸11と直角の方向までの1方向である長孔に形成したフィルタ孔31、または内筒10の中心軸11と直角の方向である長孔に形成したフィルタ孔31を採用したとき、フィルタ孔31の長さ方向の下辺31bが上辺31aよりも内筒10の中心軸11に近くなり、ペレット2がフィルタ孔31の下辺31bに当たる確実性が増し、フィルタ孔31によるガイド機能を効果的に発揮できる。
【0058】
内筒10の側壁のうち、内筒10の中心軸11の軸方向において少なくとも流出管70と重なる部分に、通気遮断のため無孔の通気止め部(内筒10の下筒部13の側壁)を設けることで、フィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れが強いものとなり、微粉4の除去効率を上げることができる。
【0059】
流出管70は、内筒10の側壁と外筒20の側壁との間の環状空間20Aに入り込んだ入口71を形成するように、環状空間20Aに入り込んだ管側壁73を有することで、フィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れが強いものとなり、微粉4の除去効率を上げることができる。
【実施例2】
【0060】
図14ないし図18を参照して実施例2の微粉除去装置を説明する。図14は実施例2の微粉除去装置の全体構成を示す図、図15は実施例2の微粉除去装置の外観を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図、図16は実施例2の微粉除去装置の第2の流入口への空気供給手段を示す図、図17は実施例2の微粉除去装置内での空気の流れを示す側面図、図18は実施例2の微粉除去装置内での空気の流れを示す平面図であり、(A)は流入口部での空気の流れを示す平面図、(B)は分離部での空気の流れを示す平面図、(C)は流出口部での空気の流れを示す平面図である。
【0061】
本実施例の微粉除去装置は、実施例1の微粉除去装置に中心筒100とフィルタカバー110と第2の流入管(第2の流入口)120を付加したものであり、実施例1の微粉除去装置の全ての構成を有している。
【0062】
図14、図17、図18A、図18Bに示すように、中心筒100は、その上端を上蓋50の内面に着脱自在に固定し、上蓋50の内面から内筒10の内側に同軸で挿入配置したもので、内筒10の上筒部12と並行する円筒部101と、フィルタ30の側壁と並行する円錐台部102と、円錐台部102側の閉鎖端部103とを有し、閉鎖端部103はフィルタ30の上部開口と下部開口との間に配置されており、閉鎖端部103より上部の柱状空間10Aを環状空間10Bに形成している。流入管60を通り、内筒10の上筒部12の側壁から接線方向に流入した混合気3は、内筒10の上筒部12の内壁に沿って旋回しながら下降してフィルタ30に入り、フィルタ30の内壁に沿って旋回しながら下降するが、そのときの旋回内径を中心筒100の側壁によって規制し、混合気3がフィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れやすくしている。
【0063】
図14、図17、図18Bに示すように、フィルタカバー110は、フィルタ孔31でフィルタ30の側壁の内側から外側に向かって通り抜ける空気1の量を抑える通気抑制手段として、外筒20の側壁とフィルタ30の側壁との間に設けるものである。フィルタカバー110は筒状であって、上部開口に設けたフランジ111をフランジ12aとフランジ82との間に挟み込むことで、内筒10と同軸で外筒20の側壁とフィルタ30の側壁との間に配置されており、少なくともフィルタ30の側壁の上部を覆っている。そして、フィルタカバー110の側壁の長さ(フィルタ30の側壁を覆う面積)、直径(フィルタカバー110の側壁とフィルタ30の側壁との間隔)、形状(孔の有無、開口率の多少)によって、フィルタ孔31でフィルタ30の側壁の内側から外側に向かって通り抜ける空気1の量を最適化し、フィルタ30内に必要な空気1の量を確保し、混合気3がフィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる間に、その流れ6の速度を落とさないようにしている。すなわち、フィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れ6で生じる遠心力を小さくしないようにし、微粉4の除去効率の低下を防止している。
【0064】
ところで、本実施例において流出管70は、内筒10の中心軸11から流入管60の中心までの半径で内筒10の中心軸11を中心に回転させたときに、内筒10の中心軸11の軸方向に見て流入管60と重なることがなく、フィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れ6と、内筒10の側壁(フィルタ30の側壁と下筒部13の側壁)と外筒20の側壁(上筒部21の側壁と下筒部22の側壁)との間で螺旋状に流れる微粉4混じりの空気1の流れ8とは、同方向に旋回するが、流出管70を重なるように設けることで、両流れ6、8の旋回方向を逆にすることができる。ここで、フィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れ6とは旋回方向が逆であって、内筒10の側壁(フィルタ30の側壁と下筒部13の側壁)と外筒20の側壁(上筒部21の側壁と下筒部22の側壁)との間で螺旋状に流れる微粉4混じりの空気1の流れ8は、フィルタ孔31でフィルタ30の側壁の内側から外側に向かって通り抜ける空気1の量を抑えるエアカーテンになるため、フィルタカバー110に代わる通気抑制手段として利用できる。
【0065】
図14、図15に示すように、第2の流入管120は、内筒10の側壁から旋回気流発生用の気体を流入させ、その気体によって、フィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れ6と旋回方向が同じ旋回気流9(図17、図18C参照)を形成するもので、流入管60から流入させる空気1(粉粒体の輸送気体)の一部1aを内筒10の下筒部13の側壁から接線方向に流入させる。この第2の流入管120は直管であって、外筒20の下筒部22の側壁を貫通し、第2の流入管120における入口121は円形に形成され、外筒20の下部外側に開口されている。第2の流入管120における出口122は矩形に形成され、この出口122が内筒10の下筒部13の側壁に沿って開口されている。なお、内筒10の中心軸11の軸方向における第2の流入管120の位置は、流入管60よりも下部であればよい。
【0066】
図16に示すように、貯槽92と流入管60を接続している輸送配管123の途中にY字管124を設け、そのY字管124によって輸送配管123から分岐した分岐配管126を第2の流入管120に接続することで、ペレット2の配管輸送用の空気1の一部1aを第2の流入管120から流入させるように構成している。分岐配管126にはエアフィルタ(空気1aのみを通す)127と流量調整弁128とを設けている。
【0067】
流量調整弁128は、流入管60から流入させる空気1の流量よりも第2の流入管120から流入させる空気1aの流量を少なくするものであるが、Y字管124のY字の角度125によって貯槽92の接続ポートから流入管60の接続ポートと第2の流入管120の接続ポートへの流量を変えることができるので、Y字管124も流入管60から流入させる空気1の流量よりも第2の流入管120から流入させる空気1aの流量を少なくする流量調整手段として使用することができる。
【0068】
図17、図18Cに示すように、空気1aは、第2の流入管120を通して、内筒10の下筒部13内にそこの側壁から接線方向に流入し、内筒10の下筒部13の内壁に沿って旋回しながらフィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れ6と旋回方向が同じ旋回気流9を形成する。この旋回気流9はフィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れ6を巻き込み、その混合気3の流れ6を旋回流に近付けてリード角の小さい螺旋状とするため、混合気3のフィルタ面での滞留時間が長くなり、微粉4の除去効率を上げることができる。また、内筒10の側壁のうち、内筒10の中心軸11の軸方向において第2の流入管120と重なっている部分は、内筒10の下筒部13の側壁によって通気遮断のため無孔の通気止め部となっており、第2の流入管120から流入させた空気1aが柱状空間10A下部の外壁(内筒10の下筒部13の側壁)からその周囲にある環状空間20A下部に漏れることがなく、柱状空間10A下部(内筒10の下筒部13内)に強い旋回気流9を形成できるため、フィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れ6はよりリード角の小さい螺旋状となる。
【0069】
本実施例では第2の流入管120には空気1(粉粒体の輸送気体)の一部1aを供給したが、旋回気流発生用のブロアからペレット2の配管輸送とは別の配管系によって旋回気流発生用の空気を圧送供給してもよい。旋回気流発生用の気体として窒素ガスや炭酸ガスなどの空気以外の気体を供給してもよい。第2の流入管120は旋回気流発生用の気体をフィルタ30の側壁から接線方向に流入させるものでもよい。
【実施例3】
【0070】
図19ないし図24を参照して実施例3の微粉除去装置を説明する。図19は実施例3の微粉除去装置の全体構成を示す図、図20は実施例3の微粉除去装置の外観を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図、図21は実施例3の微粉除去装置のフィルタを示す断面側面図、図22は実施例3の微粉除去装置内での空気の流れを示す側面図、図23は実施例3の微粉除去装置内での空気の流れを示す平面図であり、(A)は分離部での空気の流れを示す平面図、(B)は流出口部での空気の流れを示す平面図、(C)は流入口部での空気の流れを示す平面図、図24は実施例3の微粉除去装置と比較する参考例の微粉除去装置の全体構成を示す図である。
【0071】
図19、図20に示すように、本実施例の微粉除去装置は、フィルタ130を含む内筒140と、内筒140の外側に同軸で配置する外筒150と、微粉除去装置設置用の台板160と、上蓋170などにより構成している。
【0072】
図21に示すように、フィルタ130は、実施例1、2のフィルタ30と同じ構造・機能を有する。内筒140の側壁のうち、内筒140の中心軸141の軸方向において外筒150の側壁と重なる部分の少なくとも一部分を構成するとともに、内筒140内に流入させる混合気3(図22、図23参照)中のプラスチック樹脂のペレット2(粉粒体の一例)から微粉4を内筒140の側壁の外側に分離するためのもので、内筒140の中心軸141が鉛直線のときに、鉛直下方に向かって窄まり形状となる円錐台形に形成し、その側壁(側面)の略全体に、混合気3中の空気1と微粉4のみを通過させる(ペレット2は通過させない)多数のフィルタ孔131を千鳥状などに配列して設ける。このフィルタ130の側壁はパンチングメタルにより構成している。
【0073】
各フィルタ孔131は、実施例1、2のフィルタ孔31と同じ構造・機能を有する。フィルタ130の内壁(フィルタ面)に沿って螺旋状に流れる混合気3の自由流れ5A(図24参照)を、内筒140の中心軸141と直角の方向(内筒140の中心軸141が鉛直線のときは水平方向)に案内するため、長さ方向が内筒140の中心軸141と直角の方向である長孔に形成している。また、各フィルタ孔131は、フィルタ130に設けるガイドであって、フィルタ130の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の自由流れ5Aを、その自由流れ方向よりも内筒140の中心軸141と直角の方向に近い方向から内筒10の中心軸11と直角の方向までの角度領域θの1方向に案内するガイドとして、フィルタ130の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の自由流れ5Aを、内筒10の中心軸11と直角の方向に案内するように、長さ方向が内筒10の中心軸11と直角の方向である長孔に形成している。
【0074】
図19、図20に戻って、内筒140は、その中心軸141が鉛直線のときに、鉛直下方に向かって窄まり形状となる大きな円錐台形を上部・中部・下部の3つの部分で構成したもので、上部をフィルタ130により構成し、中部と下部をそれぞれ円錐台形の中筒部142と下筒部143により構成している。外筒150は、略同径な円筒形の上筒部151と下筒部152との2ピース構造を有し、下筒部152は底板152aを有する。これら同軸配置の内筒140と外筒150のうち、内筒140が台板160から直角に立ち上げられ、外筒150は、内筒140のフィルタ130と中筒部142との周囲に配置され、内筒140の下筒部152を底板152aの中央部から下方に突出し、略同じ高さ位置に揃えられている内筒140の上部開口(フィルタ130の上部開口)と外筒150の上部開口(上筒部151の上部開口)が上蓋170で閉じられている。
【0075】
外筒150の底板152aから下方に突出した内筒140の下部(下筒部143)の側壁には、そこから混合気3を接線方向に内筒140内に流入させるための流入口である流入管180を設けている。この流入管180は直管であって、流入管180における入口181は円形に形成され、出口182は円形(矩形の場合もある)に形成され、この出口182が内筒140の下部の側壁に沿って開口されている(図23C参照)。
【0076】
また、外筒150の側壁のうち、内筒140の中心軸141の軸方向において内筒140のフィルタ130よりも下部の内筒140の中部(中筒部142)の側壁と重なっている外筒150の下部(下筒部152)の側壁には、そこから微粉4混じりの空気1(各フィルタ孔131を通過し内筒140内から内筒140の側壁(フィルタ130の側壁と中筒部142の側壁)と外筒20の側壁(上筒部151の側壁と下筒部152の側壁)との間の環状空間150Aに流入した微粉4混じりの空気1)を接線方向に外筒150外に流出させるための流出口である流出管190を設けている。この流出管190は直管であって、流出管190における入口191と出口192はともに円形に形成されている。流出管190は、内筒140の側壁(フィルタ30の側壁と中筒部142の側壁)と外筒150の側壁(上筒部151の側壁と下筒部152の側壁)との間の環状空間150Aであって、内筒140の中部(中筒部142)の側壁と外筒150の下部(下筒部152)の側壁との間の環状空間150A下部に入り込んだ入口191を形成するように、内筒140の中部(中筒部142)の側壁と外筒150の下部(下筒部152)の側壁との間の環状空間150A下部に入り込んだ管側壁193を有している(図23B参照)。
本実施例では流出管190と外筒150の側壁(環状空間150Aの外壁)との間、流出管190と底板152a(外筒150の底面:環状空間20Aの底面)との間に、それぞれ、隙間があるが、これらは無い方が好ましい。流出管190の入口191の開口形状として円形のものを示したが、円形でも矩形でもよい。流出管190の入口191としては、矩形であり、外筒150の側壁との間、底板152aとの間に、それぞれ、隙間の無いものが好ましい。
【0077】
台板160の中央部には内筒140の下部開口(下筒部143の下部開口)と略同径な円形の貫通孔161が設けられ、内筒140は台板160の貫通孔161の縁から立ち上げられ、内筒140の下部開口が台板160の下面側に開放されて微粉4が除去されたペレット2の排出口143aになっている。
【0078】
内筒140は下端に排出口143aを開口し、下部の側壁に流入管180を接続した漏斗状空間140Aを形成し、外筒150は流入管180より上部の漏斗状空間140Aの周囲に、下部の側壁に流出管190を接続した環状空間150Aを形成する。これら漏斗状空間140Aと環状空間150Aの境目にある内筒140の側壁であるフィルタ130の側壁と中筒部142の側壁のうち、フィルタ130の側壁はそこに設けた多数のフィルタ孔131によって漏斗状空間140Aと環状空間150Aとを連通接続し、中筒部142の側壁は漏斗状空間140Aと環状空間150Aとの間での通気を遮断している。
【0079】
次に、本実施例の微粉除去装置の組み立てについて説明する。
【0080】
図19、図20に示すように、内筒140の中筒部142と下筒部143と外筒150の下筒部152とは台板160に一体に設けられている。本実施例の微粉除去装置を組み立てるときは、内筒140の中筒部142の側壁上端に設けたフランジ142aの上に、フィルタ130の側壁下端に設けたフランジ130aを重ね合わせ、内筒140の中筒部142の上にフィルタ130を載置する。
【0081】
また、外筒150の下筒部152の側壁上端に設けたフランジ152bの上にリング状の下パッキン200を介して外筒150の上筒部151を載置し、その外筒150の上筒部151の上にリング状の上パッキン201を被せ、内筒140と外筒150の上に上蓋170を載置する。このときフィルタ130は上蓋170と内筒140の中筒部142との間に挟まれる。また、外筒150の上筒部151は上下パッキン201、200を介して上蓋170と外筒150の下筒部152との間に挟まれる。内筒140の上部開口(フィルタ130の上部開口)と外筒150の上部開口(上筒部151の上部開口)が上蓋170で一体的に閉じられる。
【0082】
両端部に雄ネジを有する複数のボルト202を上蓋170とフランジ152b間に通し付け、上蓋170の上面から上方に突出する各ボルト202の上端にナット203を螺着し、フランジ152bの下面から下方に突出する各ボルト202の下端にナット203を螺着し、上蓋170により内筒140の中筒部13に対してフィルタ130を、外筒150の下筒部152に対して上筒部130を締め付けて、完成する。このとき、過大な締め付けにより上蓋170、内筒140のフィルタ130、外筒150の上筒部151などに変形や割れが生じるのを防止するため、各ボルト202には上蓋170とフランジ152b間に挟み込む筒状のスペーサ204が外嵌されている。
【0083】
これにより、上蓋170を取り外すことでフィルタ交換が行える。また、微粉除去装置を洗浄するときなどに、内筒140の中筒部142と下筒部143と外筒150の下筒部152と台板160の一体部品と、フィルタ130と、外筒150の上筒部151と、上蓋170とに分解できる。
【0084】
次に、本実施例の微粉除去装置の材質について説明する。
【0085】
フィルタ130を含む内筒140、外筒150、台板160、上蓋170などの材質は、一般構造用鋼板やステンレス鋼板などの金属を使用することができる。このとき、外筒150の上筒部151にアクリル、ポリカーボネイト、ガラスなどの透明材質を使用することが好ましい。上蓋170にも透明材質を使用するとさらに好ましい。
【0086】
これにより、微粉除去装置の外側方から外筒150の上筒部151を透して、環状空間150Aで螺旋状に流れる微粉4混じりの空気1の流れ8Aを目視確認できる。また、微粉除去装置の上方から上蓋170を透して、漏斗状空間140Aで螺旋状に流れる混合気3の流れ6A、特に、フィルタ130内での混合気3の流れ6Aを目視確認できる。このように、微粉除去装置の外部から外筒150の上筒部151および上蓋170を透して、微粉除去装置の内部全体を見通すことができ、微粉除去装置の処理状況を確認できる。
【0087】
次に、本実施例の微粉除去装置の使用について説明する。
【0088】
本実施例の微粉除去装置は、実施例1、2の微粉除去装置に代えて成形機90に設置し、流入管180をペレット2の貯槽92にホースや配管を介して接続し、流出管190を空気1に運動エネルギーを与えたり圧力を高めたりする流体機器であるブロア93の吸込口にホースや配管を介して接続し、バッチ処理で、ある単位のペレット2毎に処理し、そのペレット2から微粉4などの異物を除去する。本実施例の微粉除去装置を成形機90に設置するときは原料供給ホッパ91は取り外し、その接続口に台板160を介して鉛直に設置(斜めに設置する場合もある)して使用する。流出管190とブロア93の間には集塵装置94を設ける。
【0089】
次に、本実施例の微粉除去装置の作用について説明する。
【0090】
まず、図24に示す参考例の微粉除去装置はフィルタ400の側壁に設けるフィルタ孔410の形状以外、本実施例の微粉除去装置と同一構造にしてある。図24において本実施例の微粉除去装置と同一構造には同一符号を付してある。図24に示すように、参考例の微粉除去装置のフィルタ400の側壁に設けたフィルタ孔410は円形のもので、本実施例の微粉除去装置のフィルタ孔131のようなガイド機能は持っていないものである。
【0091】
図22、図23に示す本実施例の微粉除去装置と図24に示す参考例の微粉除去装置は、両方ともに、流出管190に接続したブロア93を駆動すると、吸引式の配管輸送が開始される。この吸引式の配管輸送により空気1とペレット2との混合気3(微粉4を含んでいる)は、流入管180を通り、内筒140の下筒部143内(漏斗状空間140Aの下部)にそこの側壁から接線方向に流入し、内筒140の下筒部143の内壁に沿って旋回しながら上昇して中筒部142に入り、中筒部142の内壁に沿って旋回しながら上昇して本実施例ではフィルタ130(漏斗状空間140Aの上部)に入り、参考例ではフィルタ400(漏斗状空間140Aの上部)に入り、それぞれのフィルタ130、400の内壁に沿って旋回しながら上昇し、上蓋170に達する。このとき、参考例のフィルタ400の側壁に設けたフィルタ孔410は円形のもので、本実施例のフィルタ130に設けたフィルタ孔131のようなガイド機能は持っていないため、参考例における内筒140の内壁に沿って流れる混合気3の流れは案内(制御)されない自由流れ5Aとなる。すなわち、本実施例におけるフィルタ孔131が案内する対象の混合気3の自由流れ5Aとなり、本実施例における内筒140の内壁に沿って流れる混合気3の流れはフィルタ孔131により案内(制御)された制御流れ6Aとなる。フィルタ孔131の案内作用(混合気3の自由流れ5Aから制御流れ6Aへの変換)については後述する。
【0092】
1単位の混合気3は、ブロア93の駆動を停止するまで、フィルタ130、400の内壁に沿って旋回しながらフィルタ130、400内で滞留する。その間に、フィルタ130、400の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れ6A、5Aで生じる遠心力の作用で、混合気3中のペレット2と微粉4とがフィルタ130、400の側壁の内外側に分離される。フィルタ孔131、410よりも大きいペレット2はフィルタ孔131、410を通り抜けることなくフィルタ130、400の側壁の内側に止まり、フィルタ孔131、410よりも小さい微粉4はフィルタ孔131、410を通り抜けフィルタ130、400の側壁の外側に分離する。このとき、フィルタ孔131、410でフィルタ130、400の側壁の内側から外側に向かって通り抜ける空気1の流れ7Aがあるので、ペレット2と微粉4とを容易に分離できる。
【0093】
フィルタ130、400の側壁の外側、すなわち、環状空間150Aに分離した微粉4は、そこで螺旋状に流れる空気1の流れ8Aにより、旋回しながら下降して環状空間150A下部に達し、流出管190を通り、外筒150の下筒部152の側壁から接線方向に流出する。すなわち、外筒150外に流出する。外筒150外に流出した空気1に含まれる微粉4は集塵装置94により回収され、ブロア93の吐出口からはクリーンな空気1が大気中に放出される。
【0094】
フィルタ130、400の内壁に沿って旋回しながらフィルタ130、400で滞留する間に、微粉4が除去されたペレット2は、ブロア93の駆動を停止することにより落下し、内筒140の下筒部143の下部開口である排出口143aから成形機90に排出される。勿論、フィルタ130、400の内壁に沿って旋回しながら滞留する間には、フィルタ孔131、410を通り抜ける塵やプラスチック樹脂の小片なども微粉4とともに異物として除去されている。こうして1単位の微粉除去処理が終了するとブロア93の駆動を開始し、次の1単位の微粉除去処理を行う。
【0095】
こうして、本実施例の微粉除去装置と参考例の微粉除去装置は、両方ともに、バッチ処理で、ある単位のペレット2毎に処理し、そのペレット2から微粉4などの異物を除去する。
【0096】
次に、本実施例におけるフィルタ孔131の作用について説明する。
【0097】
図22に示すように、フィルタ130の側壁に設けるフィルタ孔131は、長さ方向が内筒140の中心軸141と直角の方向である長孔である。一方、フィルタ130の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3には遠心力が働いている。このため、フィルタ孔131は、混合気3中のペレット2をフィルタ孔131の長さ方向の上下辺に沿って移動させ、フィルタ130の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の自由流れ5Aを、フィルタ孔131の長さ方向である内筒140の中心軸141と直角の方向に案内し、図22、図24からも明らかなように、フィルタ130内での混合気3の自由流れ5Aをそれよりもリード角の小さい制御流れ6Aに変換する。
【0098】
バッチ処理ではブロア93の駆動時間(吸引時間)によりペレット2のフィルタ130、400の内壁での滞留時間が決まるので、本実施例の微粉除去装置と参考例の微粉除去装置でフィルタ孔131、410の違いによる滞留時間の差はない。しかしペレット2はフィルタ130、400内で旋回するとき、ある定まった軌道で移動しているのではなく、上下したり、フィルタ130、400の内壁からの距離を変えたりしつつ移動する(上下するからペレット2同士がぶつかり、その反作用でフィルタ130、400の内壁からの距離が変動する)。このとき本実施例におけるフィルタ孔131は長孔であり、ペレット2の上下の変動を抑えることができる。上下の変動を抑制できることは、ペレット2同士のぶつかり合いを抑えることである。ぶつからないことによって(またはぶつかる力を弱めることで)、遠心力を受けているペレット2が安定してフィルタ130の内壁で軌道旋回する。このように長孔であるフィルタ孔131はペレット2のフィルタ面に接触する時間を長くできる。そのため、微粉の除去効率を上げることができる。「フィルタ面での滞留時間を長くする」という作用は、別の表現をすれば、「フィルタ面に接触する時間を長くする」である。ところで、本実施例の微粉除去装置は、処理対象のペレット2を装置下部から入れて、処理済みのペレット2を装置下部から抜くタイプであるが、装置上部に処理済みのペレット2を排出する排出口を設けることで、処理対象のペレット2を装置下部から入れて、処理済みのペレット2を装置上部から抜くタイプ(連続処理タイプ)にできる。このタイプの場合、混合気3のフィルタ面での滞留時間が長くなることで、微粉4の除去効率を上げることができる。
【0099】
ここで、フィルタ130の側壁に設けるフィルタ孔131は、長さ方向がフィルタ130の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の自由流れ5Aの流れ方向よりも僅かでも内筒130の中心軸11と直角の方向に近い方向の長孔であれば、フィルタ130内での混合気3の自由流れ5Aをそれよりもリード角の小さい螺旋状の制御流れ6Aに変換し、混合気3のフィルタ面での滞留時間を自由流れ5Aのものよりも長くできるが、フィルタ30の側壁に設けたフィルタ孔131は、長さ方向が内筒140の中心軸141と直角の方向である長孔であるため、フィルタ130内での混合気3の自由流れ5Aをそれよりもリード角のより小さい螺旋状の制御流れ6Aに変換でき、混合気3のフィルタ面での滞留時間を自由流れ6Aのものよりもさらに長くできる。
【0100】
また、フィルタ130の側壁は、内筒140の中心軸141が鉛直線のときに、鉛直下方に向かって窄まり形状となる円錐台形に形成しており、このフィルタ130の側壁に設けたフィルタ孔131では、長さ方向の下辺が上辺よりも内筒140の中心軸141に近くなり、ペレット2がフィルタ孔131の下辺に当たる確実性が増し、フィルタ孔131によるガイド機能を効果的に発揮できる。
【0101】
本実施例の微粉除去装置でも、フィルタ130に設けるガイドであって、フィルタ130の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の自由流れ5Aを、その自由流れ方向よりも内筒140の中心軸141と直角の方向に近い方向から内筒140の中心軸141と直角の方向までの角度領域θの1方向に案内するガイドとして、フィルタ孔131に代えて、図11に示した第1の長孔501と第2の長孔502、図10に示した突起物32、その他溝も利用することができる。
【0102】
ところで、フィルタ130の側壁が内筒140の中心軸141の軸方向において流出管190と重なる位置にまで延びていると、フィルタ130の側壁のうち、内筒140の中心軸141の軸方向において流出管190と重なっている部分にあるフィルタ孔131を通り抜ける空気1によって、環状空間150Aで螺旋状に流れる空気1の流れ8Aが弱くなり、フィルタ130の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流6Aれも弱くなり、微粉4の除去効率が低下するが、本実施例の微粉除去装置では、図19、図22、図23Bに示すように、内筒140の側壁のうち、内筒140の中心軸141の軸方向において少なくとも流出管190と重なる部分には、通気遮断のため無孔の通気止め部(中筒部142の側壁)を設けているため、フィルタ130の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れ6Aが強いものになり、微粉4の除去効率を上げることができる。
【0103】
また、流出管190の入口191が流入管180の出口182と同様に内筒140の側壁に沿って開口されていると、環状空間150Aで螺旋状に流れている空気1の流れ8Aの旋回方向と逆向きの空気1の吸い込みが少なからずあるため、環状空間150Aで螺旋状に流れている空気1の流れ8Aが弱くなり、ひいてはフィルタ30の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れ6も弱くなり、微粉4の除去効率が低下するが、本実施例の微粉除去装置では、図23Bに示すように、流出管190は内筒140の側壁と外筒150の側壁との間の環状空間150Aに入り込んだ管側壁183を有しているため、環状空間150Aで螺旋状に流れている空気1の流れ8Aが強いものとなり、ひいてはフィルタ130の内壁に沿って螺旋状に流れる混合気3の流れ6Aも強いものとなり、微粉4の除去効率を上げることができる。
【0104】
以上、本実施例によっても、実施例1と同じ効果を奏する。
【0105】
また、本実施例の微粉除去装置においても、実施例2の微粉除去装置で付加した中心筒100とフィルタカバー110と第2の流入管(第2の流入口)120を付加できる。
【0106】
以上、実施例1ないし3では粉粒体の周知の吸引式管路輸送に適用した微粉除去装置で本発明(第1ないし第4の発明)を説明したが、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形実施することができる。たとえば粉粒体の周知の圧送式管路輸送に適用でき、窒素ガスや炭酸ガスを輸送気体として用いる管路輸送にも適用できるものである。また、実施例1ないし3では一種類の粉粒体を管路輸送し、微粉を除去する装置で本発明を説明したが、複数種類の粉粒体を管路輸送すると共に、混合し、微粉を除去する装置にも適用できるものである。
【0107】
また、フィルタの側壁の内外に螺旋流を形成するには、混合気の流入管と微粉混じりの空気の流出管の接続方向に関して、その両方を接線方向で筒側壁に設ける必要はなくいずれか一方で足り、混合気の流入管と微粉混じりの空気の流出管の内筒の中心軸の軸方向の位置に関して、それが相違していればよく、この場合、両者が内筒の中心軸の軸方向において全く重ならなくても、一部が重なっていてもよい。なお、実施例3の場合は混合気の流入管と微粉混じりの空気の流出管の内筒の中心軸の軸方向の位置は同一であってもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 空気(輸送気体)
2 ペレット(粉粒体)
3 混合気
4 微粉
10,140 内筒
11、141 中心軸
20 150 外筒
30、130、300、500 フィルタ
31、131、501、502 フィルタ孔(ガイド)
32 突起物(ガイド)
60、180 流入管(流入口)
70、190 流出管(流出口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒および該内筒の外側に配置する外筒を備え、前記内筒の側壁のうち、前記内筒の中心軸の軸方向において前記外筒の側壁と重なる部分の少なくとも一部分を多孔のフィルタとし、前記内筒内に粉粒体の輸送気体と前記粉粒体との混合気を流入させる流入口を設けるとともに、前記内筒内に流入した前記混合気に含まれる微粉とともに前記フィルタ孔を通過する前記輸送気体を前記外筒外に流出させる流出口を設ける微粉除去装置において、前記フィルタに、前記フィルタの内壁に沿って螺旋状に流れる前記混合気の自由流れを、該自由流れ方向よりも前記内筒の中心軸と直角の方向に近い方向から前記内筒の中心軸と直角の方向までの1方向に案内するガイドを設けたことを特徴とする微粉除去装置。
【請求項2】
前記ガイドは、前記フィルタの内壁に沿って螺旋状に流れる前記混合気の自由流れを、前記内筒の中心軸と直角の方向に案内することを特徴とする請求項1に記載の微粉除去装置。
【請求項3】
内筒および該内筒の外側に配置する外筒を備え、前記内筒の側壁のうち、前記内筒の中心軸の軸方向において前記外筒の側壁と重なる部分の少なくとも一部分を多孔のフィルタとし、前記内筒内に粉粒体の輸送気体と前記粉粒体との混合気を流入させる流入口を設けるとともに、前記内筒内に流入した前記混合気に含まれる微粉とともに前記フィルタ孔を通過する前記輸送気体を前記外筒外に流出させる流出口を設ける微粉除去装置において、前記フィルタ孔は、長さ方向が前記内筒の中心軸と直角の方向である長孔に形成したことを特徴とする微粉除去装置。
【請求項4】
前記フィルタは、前記内筒の中心軸が鉛直線のときに、鉛直下方に向かって窄まり形状に形成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の微粉除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−81642(P2012−81642A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229275(P2010−229275)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】