心拍出量コントローラ
【課題】心臓治療装置に関し、詳市区は心機能を拡張するための侵襲的装置に関し、血流動態パラメータを規制するための、特に、心臓の心拍数を増して心拍出量を増加するための装置および方法を提供する。
【解決手段】患者の心臓の心拍出量を変更するための装置であり、該装置は、心臓活動に応じた信号を検知する1つ以上のセンサ29と、非励起刺激パルスを心筋セグメントに印加するための1本以上の刺激電極23を備えた刺激探針21とを備えている。信号発生回路網22は1つ以上のセンサと、また、回路網が1つ以上のセンサから信号を受信し、この信号に応じて非励起刺激パルスを発生する刺激探針と接続し、非励起刺激パルスは、心拍数に直接影響を与えることなく、心拍出量を変更することを特徴とする患者の心臓の心拍出量を変更する。
【解決手段】患者の心臓の心拍出量を変更するための装置であり、該装置は、心臓活動に応じた信号を検知する1つ以上のセンサ29と、非励起刺激パルスを心筋セグメントに印加するための1本以上の刺激電極23を備えた刺激探針21とを備えている。信号発生回路網22は1つ以上のセンサと、また、回路網が1つ以上のセンサから信号を受信し、この信号に応じて非励起刺激パルスを発生する刺激探針と接続し、非励起刺激パルスは、心拍数に直接影響を与えることなく、心拍出量を変更することを特徴とする患者の心臓の心拍出量を変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に心臓治療装置に関するものであり、より詳細には心機能を拡張するための侵襲的装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
とりわけ心拍出量の減少によって特徴付けられる心不全は、一般によく知られ文献にもされている心機能不全のことである。心不全は先天性奇形の結果として、または多くの病気の最終的な症状として発生するものである。心拍出量、すなわち単位時間当たりに心臓が拍出する出量は、一回拍出量および心拍数の積である。従って、心拍出量の変化は心拍数または一回拍出量の変化によって生じる。一回拍出量は、例えば心筋繊維の長さを変えて心収縮の強度を変更することによって、また、繊維の長さと無関係の心筋の収縮性を変えることによって左右される。心拍数と心律動の変化も心筋の収縮性に影響するため、心拍数と心律動は直接的および間接的に心拍出量に影響を及ぼす。
【0003】
通常、人間の身体は、運動の最中の心拍数の変更による、および/または一回拍出量を適合させることによる身体の要求に応じて心拍出量を規制する。しかしながら、病理学的情況においては、ダメージを受けてしまう通常の規制機構がある。例えば、心筋梗塞によるダメージを受けた心臓細胞は通常のポンプ機能を維持することができず、これが原因で一回拍出量が、続いて心拍出量が減少してしまう。この減少に身体が反応して心拍数を上げ、心筋に長期にわたって負担をかけてしまい、これが深刻な心臓欠陥につながってしまう可能性がある。従って、通常の規制機構における不足を補正できるように、心拍出量を規制する装置と治療法が必要である。
【0004】
この必要性に応じて、最新の心臓学は、心臓手術に関連した多様なパラメータを制御する手段を開発した。心臓細胞の伝導速度、興奮性、不応期の収縮性および遅延に影響を与えるために例えば、薬学を使用することが可能である。薬学は、不整脈の治療、心拍出量拡張、繊維攣縮の防止に使用される。通常、比較的正確性が低く心臓の健康な部分と病気の部分の両方に影響してしまうため、一般に薬学の効果には限度がある。また、副作用が頻繁にあることも好ましくない。
【0005】
心拍数および/または心律動を直接制御するために心臓に励起電気刺激を与える埋込型電子装置を使えば、特別な制御を行うことができる。これには例えばペースメーカがあるが、ペースメーカは、心臓の電気励起システムを支持するために、または伝導システムの閉塞部分をバイパスするために通常心臓に埋め込まれる電子装置である。その他の心臓電子装置には、心臓の攣縮を検知して高圧の衝撃を与え、心臓を「リセット」する脱攣縮装置がある。電子ペースメーカは心拍数を制御するが、心拍出量の拡張においては限度があり、少なくとも数例において、一回拍出量を減少させてしまうことが知られている。脱攣縮装置は不整脈が起こった際の治療には有益であるが(しかし患者は痛みを感じ、心臓は傷を負ってしまう)、心不全を長期にわたって改善することができない。
【0006】
したがって、従来の治療には心拍出量を長期的に規制するものはない。心臓の電子機械特性は、これに影響を及ぼす従来の方法と同様に、本特許明細書の被譲渡人に譲渡され、本明細書中でも参照しているPCT特許明細書PCT/IL97/00012の「発明の背景」においてより完全に説明されている。
【特許文献1】PCT特許明細書PCT/IL97/00012
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、血流動態パラメータを規制するための、また特に、心臓の心
拍数を増して心拍出量を増加するための装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の好ましい実施例において、1本またはそれ以上の非励起刺激電極を備えた心拍出量コントローラは非励起刺激探針と、刺激探針とセンサに接続した電子制御回路とを設けている。刺激電極および、好ましくはセンサを患者の心臓に埋め込む。あるいは検知電極を体表面に配置してもよい。回路は、心臓活動を表す信号をセンサより受信し、これに応じて、心臓に非励起電気刺激を与えるために刺激電極を駆動する。
【0009】
本特許明細書の内容において、「非励起電気刺激」という用語は、心筋細胞内で増殖する新しい活動電位を誘発しない電気パルスを表している。どちらかといえば、このようなパルスは一般に、あるいは心筋の選択されたセグメント内で細胞の収縮性を調整することにより、活動電位に対する心筋の反応に影響を及ぼすものである。具体的には、上述したPCT特許明細書PCT/IL97/00012に説明されているように、また本明細書中で参照しているように、発明者は、心臓の電気活動に応じて適切に調節した、適切な強度の非励起電気刺激パルスを印加することにより、選択されたセグメントの収縮を増減することができ、これにより心臓の一回拍出量を増減することが可能であることを発見した。この発見が本発明の基礎を形成する。
【0010】
本発明の好ましい実施例において、心筋活動を変更するように非励起刺激の特性を調整し、好ましくは直接心拍数に直接影響することなく一回拍出量を増加することで心拍出量に影響を及ぼす。本装置は、長期にわたり実質的に連続して一回拍出量を増加するために使用することが好ましく、また、1日のうちで患者が血液供給の増加を必要とする時間に心拍出量を増加することが最も好ましい。従って、夜間には、心臓を休めるために本装置を使用しないことが好ましい。
【0011】
また、心筋活動を変更するために本装置を使用することもできる。例えば、HOCM(閉塞性肥厚型心筋症)のような場合においては、心臓への作業負荷を減らすために、また特に、心臓の肥厚範囲の心筋収縮を減衰するために、心拍出量を減少させるよう本装置を操作する。別の例として、減少したエネルギーの消費においてあるレベルの心拍出量が維持できるように、心臓の収縮能力を増加する目的で本装置を使用することができる。本装置のこのような利用については、本特許明細書の被譲渡人に譲渡され、本明細書中でその開示を参照している、同日に出願された(要録番号 4424/WO/97)"Apparatus and Methos for Controlling the Contractility of Muscles,"というPCT特許明細書中で説明されている。
【0012】
いかなる場合においても、本装置の心拍出量への効果は、心臓活動、好ましくは心臓の局所電気活動または検知電極より受信したECG信号に対する非励起刺激パルスの時間調節を変更することで、および/または、電圧、電流、持続時間、極性、波形、波形の周波数といったその他のパルス特性を変更することで規制されることが好ましい。本装置が心臓の静脈洞の律動を検出し、好ましくは刺激パルスのオンセット前に遅延を設けて、これに関連する刺激パルスを印加および同期に起こさせることが好ましい。さらに、例えばQT間隔を決定するために回路が信号を分析し、これに応じて刺激パルスを調整できるようにすることもできる。また、心室期外収縮(VPB’s)またはその他の心臓不整脈により心律動が不規則な場合、本装置が従来の信号処理方法を利用してこの不規則を確認、分析し、これに従って刺激パルスを調整または抑制することが好ましい。
【0013】
本発明の好ましい実施例のいくつかにおいて、制御回路が本体外部のコンソールに内臓されており、電極が、例えば大腿動脈を介して患者の血管システム内に経皮的に挿入され、心臓に埋め込まれる。このような実施例は特に、例えば開心手術または僧帽弁閉鎖不全症(MI)といった、発作またはトラウマの後の、患者の血流動態を規制および安定させるための短期的な治療には適している。
【0014】
本発明の別の好ましい実施例においては、従来のペースメーカケースと似た、ミニチュア化した埋込型ケース内に電子制御回路が内臓されている。
【0015】
本発明のある好ましい実施例において、非励起刺激電極は、ペーシングまたは電気生理学電極のような従来の心内電極と比較して心臓細胞と接触する表面が広い。刺激電極は広範囲の炭素電極を備えていることが好ましく、また、ガラス質の炭素あるいはパイロ炭素が最も好ましい。いずれの炭素材料も、その心臓細胞との適合性、生体内の持続性、高い電気伝導性を含む優れた電気特性で知られている。従ってこれらの材料は、電気励起なしで、比較的高い電流が心臓細胞の比較的広い範囲に伝達することを許容する。
【0016】
また、非励起刺激電極は、プラチナまたはプラチナ/イリジウムといった、従来の別のタイプの広範囲電極を備えていてもよい。
【0017】
本発明の別の好ましい実施例においては、非励起刺激電極は心臓の血管の内の1本、好ましくは冠状静脈洞または冠状動脈に挿入される。これらの好ましい実施例は、刺激電極を心臓内の血管付近に配置した場合に心拍出量が拡大するという、発明者の実験的発見に基づいている。このような好ましい実施例の1つにおいて、非励起刺激探針は、冠状静脈洞内に挿入され、冠状静脈洞を通って左心室付近に配置される炭素ワイヤ電極を備えている。
【0018】
本発明の好ましい実施例では、刺激探針は複数の刺激電極を備えているものが数例ある。探針は、心臓壁のかなりの範囲を覆う、複数の相互接続した、独立的および/または総合的に指定可能な電極を備えた刺激ネットを設けていることが好ましい。上述した'012PCT明細書で説明されているように、発明者は、心拍出量、特に左心室の一回拍出量における変化の程度は、心臓の非励起範囲を適用したセグメントのサイズを変えることによって制御可能であることを発見した。このようなサイズの変化は、非励起刺激パルスが同期に印加されるネット内の電極の数を変えることで行うことが最も好ましい。
【0019】
このタイプの別の好ましい実施例においては、異なる刺激パルスを、複数の刺激電極の対応する1本またはグループに印加する。異なる刺激パルスを、異なるパルス間に所定の遅延を備えた、対応する電極に印加することが好ましい。例えば一回拍出量の増加を最低限にするために、遅延を変更して所望の血流動態効果を得ることもできる。
【0020】
さらに別の好ましい実施例においては、複数の刺激電極の位置および/またはこれに印加される刺激パルスの特性が、心臓の臨床的な特性に応じて最適化される。電極挿入の前に、例えば、米国特許第5,568,809号に示された電気生理学的マップ、またはPCT特許明細書PCT/IL97/00011に示された位相依存型の幾何マップのような心臓のマップが作成されることが好ましい。このマップは、例えば局所収縮性または電気活動性に基づいた、心臓細胞の生存能力に関する情報を含んでいることが好ましい。次に、このマップに応じて非励起刺激電極が配置される。
【0021】
あるいは、またはさらに、電極の最適な固定位置を見付けるために、非励起刺激電極の埋め込みの時に電極の位置を変更して血流動態の変化の結果を観察する。上述したネット電極を埋め込み、血流動態効果を最適にするためにネット内の電極の異なるもの、またはグループを可変的に指定することによっても同様の効果が得られる。
【0022】
本発明の別の実施例において、非励起刺激探針は少なくとも1本のハイブリッド電極を備えている。このハイブリッド電極は、上述したように好ましくは炭素電極を備えた非励起刺激電極に包囲された検知心線、好ましくはプラチナまたはプラチナ/イリジウム電極を備えていることが好ましい。
【0023】
本発明のまた別の実施例では、1本の単極が、検知電極と、1本以上の刺激電極の1本との両方として働く。本発明の好ましい実施例の数例においては、少なくとも1本の非励起刺激電極と検知電極が、同一の心室、好ましくは左心室内に埋め込まれる。非励起刺激電極は左心室の壁に対して固定され、検知電極は左心室の中隔に固定される。あるいは、刺激および検知電極は、心臓の別々の心室または心房に埋め込むことができる。検知電極が検知した心臓活動信号と刺激電極に吹かされたパルスとの間の遅延は、これらの電極の関連位置に依存することが好ましい。
【0024】
本発明の好ましい実施例の数例において、非励起刺激電極は二極性の電極を備え、また、この電極の極間に非励起刺激パルスが印加される。別の好ましい実施例では、1本以上の刺激権極と、例えば検知電極のような別の電極との間に非励起刺激パルスが印加される。あるいは、上述したように患者の身体にケースが埋め込まれている場合の本発明の実施例においては、刺激電極と制御回路のケースとの間にパルスを印加することもできる。
【0025】
本発明の好ましい実施例において、心臓のビート・ツー・ビート間隔とほぼ同じ長さであってよい、30〜80msecが最も好ましい遅延のために、制御回路が刺激電極に対して、最高50mAまでの、また最も好ましくは5〜10mAの間の電流をもつ方形波刺激パルスを印加する。電極劣化と分極化を防ぐために、同期パルスの後には対向する極性のパルスが続くことが好ましい。
【0026】
本発明の好ましい実施例の数例においては、方形波パルスの上に別の波形が重ね合わせられている。波形はそれ自体が、最高10kHzの周波数と、方形波パルスのものより小さいまたは同等の振幅を備える方形波あるいは正弦波やのこぎり波であることが好ましい。発明者は、少なくとも数例において、このような波形が心筋上の非励起刺激パルスの血流動態効果を拡張することを発見した。
【0027】
本発明の好ましい実施例の数例において、制御回路は血流動態状況を示す検知信号も受信し、この信号に応じて刺激パルスを調整して所望の心拍出量レベルを達成する。あるいは、またはさらに、血圧や血液の酸化といった他の血流動態を検知するために生理学的センサを利用して、制御回路または制御回路に関連する遠隔測定装置にフィードバック信号を供給することもできる。従って、この目的で利用するセンサには、流量センサ、圧力センサ、温度センサ、酸素センサ、あるいは従来のその他のタイプのセンサを備えることができる。次に、血流動態パラメータが所望の値の範囲内に維持されるように、制御回路が刺激パルスを調節する。
【0028】
本発明の好ましい実施例の殆どの部分は、心拍出量コントローラが静脈洞律動に応じて、または静脈洞律動と大体同期して非励起刺激パルスを印加することを目的として、心臓の検知エレクトログラム信号に関連して説明しているが、本発明による心拍出量コントローラはその他の方法によって同期されることも可能である。例えば、上述したように、非励起刺激パルスは体表面ECGに関連して同期することができ、また、不規則な心拍動に関連して同期および制御することが可能である。
【0029】
また、パルスを、例えば外部から印加されたトリガパルスによって、あるいは心臓に印加されたペーシングパルスによって、外部から同期することもできる。本発明のこれらの局面については、本発明の被譲渡人に譲渡され、本明細書中でも参照している、同日に出願されたPCT特許明細書、"Cardiac Output Enhanced Pacemaker"(要録番号 27181)にさらに詳細に説明されている。
【0030】
本発明の好ましい実施例は、PCT特許明細書、"Drug-Device Combination for Controlling the Contractility of Muscles"(要録番号 4425/WO/97)、またPCT特許明細書、"Fencing of Cardiac Muscles"(要録番号 4437/WO/97)で述べられているように、適切な薬物と共に使用することができる。これらのPCT特許明細書は両方とも同日に出願され、本発明の被譲渡人に譲渡されている。また、両明細書とも本明細書中で参照している。
【0031】
従って、本発明の好ましい実施例によれば、患者の心臓の心拍出量を変更するための装置であり、
心臓活動に反応する信号を検知する、1つ以上のセンサと、
心筋セグメントに非励起刺激パルスを印加する1本以上の刺激電極を備える刺激探針と、
1つ以上のセンサおよび刺激探針と接続しており、1つ以上のセンサからの信号を受信し、この信号に応じて非励起刺激パルスを発生する信号発生回路とを備えている。
【0032】
信号発生回路が埋込型ケースに内臓されていることが好ましい。
【0033】
刺激パルスの使用により、心拍出量が増加する、または心拍出量が減少することが好ましい。
【0034】
あるいは、またはさらに、刺激パルスの使用により、心臓の収縮能力が増加することが好ましい。
【0035】
1つ以上のセンサが心内電極を備え、信号発生回路が刺激パルスを心臓の電気的活動と同期させることが好ましい。あるいは、1つ以上のセンサが体表電極を備え、信号発生回路が刺激パルスをECG信号と同期させることが好ましい。信号発生回路が信号内の不規則を確認し、これに応じて刺激パルスを制御することが好ましい。さらにあるいは、信号発生回路が信号内のQT間隔を検出し、これに応じて刺激パルスを制御する。
【0036】
信号発生回路が、電圧、電流、持続時間、時間遅延、波形、波形周波数を備えるパラメータのグループから刺激パルスの1つ以上のパラメータを変更することが好ましい。信号発生回路が、非励起刺激パルスの後に、刺激パルスと対向する極性の別のパルスを発生し、パルスが刺激探針によって心筋セグメントに印加される。
【0037】
1本以上の刺激電極が、少なくとも5mm2の、より好ましくは少なくとも1cm2の、最も好ましくは少なくとも4cm2の範囲を備える心臓セグメントに対して刺激パルスを印加することが好ましい。
【0038】
本発明の好ましい実施例においては、信号発生回路が、刺激パルスが印加される心臓セグメントの範囲を変更する。刺激探針は、郵送パルスが印加されるセグメントの大きさが、ネット内の選択された電極を指定することで制御できるように指定可能になっている電極のネットを備えていることが好ましい。回路が、ネット内の個々の電極に対して多様な異なる刺激パルスを印加することが好ましい。
【0039】
本発明の別の実施例において、刺激探針が、少なくとも1本以上の刺激電極と共に心内電極を備えたハイブリッド電極を備えている。
【0040】
ハイブリッド電極が、少なくとも1本の刺激電極を含む環状部内に封入された
検知電極を含むコア部分を備え、環状部分が炭素材料を備えることが好ましい。
【0041】
さらに別の実施例において、1本以上の刺激電極が、心臓の血管内に挿入される延長電極を備えている。
【0042】
1本以上の刺激電極がガラス質の炭素又は熱分解炭素を備えることが好ましい。
【0043】
本発明の好ましい実施例において、1つ以上のセンサが、血流動態パラメータに応じて信号を発生する血流動態センサを備える。血流動態センサが血流に応じて信号を発生することが好ましい。あるいは、またさらに、血流動態センサが血液の酸化および/または温度に応じて信号を発生することが好ましい。1つ以上のセンサが、心臓電気的活動を検知することが好ましい。
【0044】
装置が、少なくとも1つ以上のセンサからの信号を受信し、非励起刺激パルスを調整するために信号発生回路を制御する遠隔測定装置を備えることが好ましい。
【0045】
本発明の好ましい実施例によれば、心拍出量を変更するための方法であって、
1本以上の刺激電極を備える刺激探針の、患者の心臓への装着と、
患者の心筋活動に反応する少なくとも1つのセンサからの信号の受信と、
信号に応じた非励起刺激パルスの発生と、1本以上の電極の少なくとも1本へのパルスの伝達とを備えた方法がさらに得られる。
【0046】
信号の受信が、心臓内への検知電極の導入と、そこからの信号の受信とを備え、刺激パルスの発生が、検知電極によって検知された電気的活動と同期するパルスの発生を備えることが好ましい。
【0047】
あるいは、またさらに、信号の受信が、電極の体表面への装着と、そこからの信号の受信とを備え、刺激パルスの発生がECG信号と同期するパルスの発生を備える。
【0048】
あるいは、またさらに、信号の受信が、1本以上の刺激電極の少なくとも1本からの信号の受信を備える。
【0049】
刺激パルスの発生が、信号に関連した所定の遅延を備えるパルスの発生を備えることが好ましい。
【0050】
本発明の好ましい実施例において、刺激探針の装着が、複数の刺激電極を備えた探針の装着を備え、パルスの発生および伝達が連続するパルスの発生と、連続するパルスの各々の複数の刺激電極への印加とを備える。
【0051】
刺激パルスの発生および伝達が、少なくとも1つのセンサから受信した信号の特性に基づいた、刺激パルスの選択的な発生および伝達を備えることが好ましい。パルスの発生および伝達が、心拍数に依存する値の、しかし心拍数と同等ではないパルスの発生および印加を備えることがさらに好ましい。あるいは、またさらに、パルスの発生および伝達が、心不整脈の検出と、これに応じたパルスの適用の調節とを備える。あるいは、またさらに、パルスの発生および伝達が、信号内のQT間隔の検出と、これに応じたパルスの発生とを備える。
【0052】
非励起刺激パルスの発生が、パルス電圧、電流、遅延、波形、波形周波数を含むグループから選択された、パルスの1つ以上のパラメータの変更を備えることが好ましい。
【0053】
パルスが、基線パルスと、基線パルスよりも周波数がかなり高い、方形波であることが好ましい波形とを備え、波形が基線パルス上に重ね合わせられていることがさらに好ましい。非励起刺激パルスの発生後に、これと対向する極性をもつパルスを発生し、電極に伝達されることが好ましい。
【0054】
本発明の好ましい実施例において、非励起刺激パルスの印加が、刺激パルスが印加される心臓のセグメントの範囲のある部分の大きさの変更を備え、この大きさの変更が、心臓に埋め込まれた刺激電極のネットの選択的な指定を備えることが好ましい。
【0055】
別の好ましい実施例において、刺激探針の装着が、心臓の複数の心房、心室への1本以上の刺激電極の挿入を備える。
【0056】
また別の好ましい実施例において、刺激探針の埋め込みが、心臓の血管内、好ましくは冠状静脈洞内への少なくとも1本以上の刺激電極の挿入を備える。
【0057】
本発明の好ましい実施例において、信号の受信が、血流動態パラメータの検知、好ましくは心拍出量の検知を備え、パルスの発生が、心拍出量を増加させるために、信号に応じたパルスの変更を備えることが好ましい。
【0058】
あるいは、またさらに、血流動態パラメータの検知が圧力および/または流量および/または酸化および/または温度の検知を備える。
【0059】
本発明の別の好ましい実施例において、パルスの発生および伝達が、1日の内の選択した時間におけるパルスの発生および伝達を備え、好ましくは、患者が起きている間、心拍出量を増加させるためのパルスの伝達を備える。
【0060】
パルスの発生および伝達が、患者の心拍出量を増加させる、あるいは心拍出量を減少させるパルスの発生および伝達を備えることが好ましい。あるいは、またはさらに、パルスの発生および伝達が、心臓の収縮能力を増加させるパルスの発生および伝達を備える。
【0061】
パルスの伝達が、少なくとも5mm2、より好ましくは少なくとも1cm2、最も好ましくは少なくとも4cm2の範囲を備える心臓セグメントへのパルスの印加を備えることが好ましい。
【0062】
本発明は、後述の、図面を参照した好ましい実施例の詳細な説明により、さらに完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
第1A図は、制御ユニット27、少なくとも1本の非励起刺激電極23と埋込型検知電極29とを備えた埋込型非励起刺激探針21を設けた心拍出量を制御する装置20の略図である。制御ユニット27は信号発生回路網22(第3図の下部。この説明については後述する)、オプションのディスプレイ24、制御パネル26を備えている。後述する通りに心臓に正確に埋め込まれた場合、検知電極29は心筋からの局所エレクトログラム信号を受信し、これを信号発生回路網22へと送信する。該回路はエレクトログラム信号に反応する非励起刺激パルスを発生し、このパルスが探針21によって心筋細胞へと印加される。制御ユニット27はまた、外部トリガ入力30を任意に備えている。装置20はさらに、装置により心拍出量に供給された刺激の影響を決定するための別の生理学的センサ31、例えばフローセンサを備えることもできる。
【0064】
第1B図は本発明の別の好ましい実施例による装置20の略図であり、ここでは、従来の埋込型ペースメーカーケースと類似したミニチュア化した埋込型電子制御回路ケース32に信号発生回路網22が内臓されている。ケース32は制御ユニット27とは違ってディスプレー24と制御パネル26を備えていないが、別の点では第1B図の実施例では第1A図のものと機能的に類似している。
【0065】
第1B図の実施例において、刺激電極23は心臓の少なくとも5mm2の範囲に刺激を提供する比較的広範囲な電極として示されている。電極23は、好ましくはガラス質炭素またあるいは熱分解炭素の低抵抗の炭素材料を備えることが好ましい。このような材料から成る電極は、例えばイタリアはサルジアのSorin Biomedica社製のもの、イギリスはロンドンのGoodfellow Cambridge社製のものがある。どちらのタイプの炭素材料もその心臓細胞への適合性、生体内の持続性、優れた電気的特性によって知られている。しかし、本明細書中で参照しているMorse等(ノースカロライナ州、ダーラムのDroege Computing Service)によるA Guide to Cardiac Pacemakers, Defibrillators and Related Productsで述べられている様々なタイプの、他の材料から成る電極を使用することもできる。励起探針21は1本以上の励起電極を備えていてもよい。検知電極29は従来のあらゆるタイプの適切な心内電極を備えることができる。
【0066】
電極23、29は、好ましくはタイムリリース型のヘパリンのような抗凝固材でコーティングされていること、あるいは、電極上とその周囲において凝塊形成を防ぐために心臓細胞内に抗凝固材を溶出することが好ましい。このような電極は、例えば本明細書中で参照している、SuttonとBourgeoisによるThe Foundations of Cardiac PacingのP.73で述べられているMedtronic社製のCAPSURE model 4003電極のような従来のステロイド溶出電極と類似する方法で製造できる。
【0067】
第2A図は、被験者の心臓38に埋め込んだ、本発明の好ましい実施例による電極23、29を示す略図である。電極23、29は心室に、好ましくは両方とも左心室34に埋め込まれる。非励起刺激電極23を左心室34の壁に接触させて埋め込み、検知電極29を心室間の中隔に埋め込むことが最も好ましい。電極23、29は、大動脈39から体外の制御ユニット27、また好ましくは患者の胸部に埋め込んだ埋込型ケース32のいずれかへと通るワイヤによって接続している。回路網22は、電極29から受信したエレクトログラム信号内に電気的活性化パルスを検出すると、刺激パルスを発生し、好ましくは、少なくとも電極23が接触している心室34の壁部のセグメントの収縮が増し、これにより心室一回拍出量が増すように、該刺激パルスが電極23に印加される。
【0068】
また、刺激電極29、任意で検出電極23を、外科手術によって好ましくは心外膜に埋め込むこともできる。
【0069】
第2B図は、非励起刺激探針21がワイヤ電極33を備えた、本発明の別の好ましい実施例を示す略図である。上述したように炭素材料を備えることが好ましい電極が、絶縁導体43によって回路網22に接続される。これは心臓の血管のうちの1本に埋め込まれることが好ましい。最も好ましくは、従来のカテーテル技術を使って電極33を心臓の右心房を通過させ、冠状静脈洞内の左心室34付近で止める。次に、非励起刺激パルスを心臓壁へ伝達するために、回路網22によって電極を駆動する。
【0070】
第3図は、本発明の好ましい実施例による信号発生回路網22の略ブロック図である。回路網22は刺激部100、検出回路104、検出ユニット110を備えている。ユニット110は検出電極29よりエレクトログラム信号を受信し、調整する。検出回路104は、好ましくは従来の方法の通り、波の上昇縁に関連する傾斜および電圧レベルを検出することにより、エレクトログラム内の局所活動波を検出し、これに反応するトリガパルスを発生する。トリガパルスは、刺激パルスを発生して刺激探針21の電極へ印加する刺激部100へと伝達される。
【0071】
検出ユニット110は信号消去ユニット101、信号消去論理102、差動増幅および信号調整回路103を備えている。刺激アーティフアクトによりシステムがトリガパルスを発生することを防ぐために、消去は、刺激部100の出力が機能している際の検出回路104への入力を遮断する。
【0072】
刺激部100は、検出回路104あるいは外部トリガ入力30からの入力トリガパルスに反応して変更トリガパルスを発生するトリガディバイダ105を備えている。トリガディバイダにより、装置20の使用者は、刺激パルスの印加を各心拍動毎にするか、または所定の心拍動数に1度の割合にするかを選択することができる。刺激部100はさらに、修正トリガパルスに反応して、後述する所定の特性を持つ電圧信号を発生する信号発生器106、107と、信号発生器からの入力電圧信号を出力電流パルスへと変換する定電流ユニット(CCU)108、109とを備えている。第3図に示した2つの同時出力チャネルは、異なる刺激パルスを2つ以上の異なる刺激電極に印加することが可能である。しかしながら、使用する必要があるのは1つのチャネルだけであり、また、追加の刺激電極を駆動するためにチャネルを追加することも可能であることが理解されるであろう。
【0073】
第4図は、本発明の好ましい実施例による装置20を使った心拍出量の規制方法を要約したフローチャートである。使用者が、後述するレベル、持続時間、遅延、波形特性といった刺激パルスのパラメータを提示することが好ましい。上述したように、検出電極29はエレクトログラム信号を検出し、この信号を信号発生回路網22が受信して検出回路104へと入力し、検出回路104が心臓活動、好ましくは静脈洞律動を検出し、これに応じてトリガパルスを発生する。トリガパルスは、刺激電極23によって心臓に印加される刺激パルスを発生するように刺激部100を駆動する。別の好ましい実施例においては、入力30に接続した外部トリガを採用している。
【0074】
オプションで、非励起刺激の効果を確認するために、心拍出量に関連した生理学的パラメータが監視される。例えば、大動脈39を流れる血流が、第2A図に示した血流センサ31によって検出される。例えば振幅および/またはタイミングといった、少なくとも刺激パルスのパラメータのうちのいくつかが、所望の心拍出量レベルを達成できるように、監視されたパラメータに反応するように調整されていることが好ましい。このような監視と調整は、制御ユニット27自体によって、オンライン上で実行されることが好ましい。あるいは、またさらに、個別の遠隔測定ユニット(図示せず)は、パラメータを監視し、これに従って、刺激パルスのパラメータを変更するために、プログラム制御ユニット27によって使用される。
【0075】
第5図は、本発明の好ましい実施例による、刺激電極23によって心臓細胞に印加した非励起刺激パルス51を示す略図である。本発明の好ましい実施例の数例において、心拍出量の規制は、パルス51のある特定の性質を変更することにより達成される。非励起刺激エネルギーが、第5図に矢印54で示した、好ましくは5〜10mA、任意で50mAまでの基線振幅を有する基線パルス53の形で、刺激電極23に印加される。矢印52で示したパルス51の持続時間は、30〜80msの間、また任意で500msまでの範囲であることが好ましい。先に参照した'012 PCT明細書で述べられ、上記で説明したように、細胞極性と電極劣化の問題を防ぐために、対向する極性を有する別のパルス(図示せず)でパルス53を追随することが好ましい。最高10kHzの周波数と、矢印56で示した、基線振幅を最高とする、あるいは基線振幅に匹敵する振幅を有する波形58が、パルス53の基線振幅上に重ね合わせられることが好ましい。ここでは波形58を四角形の波で示しているが、例えば正弦波、のこぎり波といった、適当な別の波形を使用することもできる。
【0076】
検出回路104が心臓の電気的活性化のR−波の上昇縁を検出することで、波形51がトリガされることが好ましい。また、信号発生器106、107を、第5図中に矢印50で示したトリガ入力とパルス発生の間に1〜500 msecの間の遅延を発生するように制御することもできる。適切な遅延は、検知電極29と検知電極23との関連位置に依存するのと同様に、トリガが検出回路104によって供給されたか、または外部トリガ30によって供給されたかにも依存する。遅延の調整は心拍出量の所望の増減に基づいて行い、一般に最適遅延は患者毎に異なる。
【0077】
第6図は、本発明の好ましい実施例による、刺激探針21の部品として使用する電極ネット40を示す略図である。ネット40は、好ましくは導体ネットワーク37によって相互接続した複数の刺激電極35を備えている。電極35は、独立的および/または総合的に指定可能であり、単極性または二極性モードのどちらでも作動可能であることが好ましい。ネット40は、心臓壁のかなりのセグメントを覆うことが十分に可能な大きさであることが好ましく、これは好ましくは最低1cm2、最も好ましくは最低4cm2である。各々の独立した電極35は最低5mm2の範囲を持ち、隣接する電極と好ましくは最低1cm離間していることが好ましい。
【0078】
この好ましい実施例において、心拍出量規制が、'012 PCT特許明細書で述べたネット40が接触している心臓壁セグメントの刺激された範囲の変化によって得られることが好ましい。刺激された範囲は、ネット40の作動範囲を変えること、すなわち、電気刺激を心臓に伝達するために電極35が駆動されるネット範囲の広さを変えることによって変更されることが好ましい。発明者は、例えば、左心室に配設した複数の電極の中から選んだ1対の電極の間に非励起刺激を印加した際、その結果として起こる左心室圧と心拍出量の増加が、電極の対における関連位置と、電極間の距離によって変化することを発見した。従って、ネット40内の電極35は、刺激の血流動態結果を最適にするために選択可能に指定することが可能である。さらに、マップに応じて刺激が印加されるように心臓壁のセグメントにかけて心臓電気活動をマップするために、電極50を検知電極として使用することもできる。
【0079】
第7図は、本発明の別の好ましい実施例により、装置20と共に使用するハイブリッド電極探針41を示す略図である。探針41は、好ましくは、探針の中心で好ましくはプラチナまたはプラチナ/イリジウム電極、最も好ましくは二極性の小さな検知電極42を包囲する、上述した炭素電極である環状刺激電極32を備えている。電極23に関連して上述した方法、刺激波形、制御電極は、他の適切な電極形状と同様に、探針41を使って利用することが可能であることが理解されるであろう。探針41の利点は、心臓に導入および埋め込む必要がある多数の個別の電極数を減らすことである。
【0080】
第8図〜第31図は、本発明の好ましい実施例による、回路網22の機能の実行に使用するための回路を示す電子略図である。第8A図、第8B図に示すように、回路はECGプロセッサ130、第1CCU部140、メイン制御回路150を備えており、これらが協働して、第3図に示したように、また第3図を参照して説明したように、回路網22の機能を実行する。さらに、第2CCU部142が、任意に励起刺激パルスを供給するように、すなわち心臓をペーシングするように設計されている。この要素は本発明の範囲を超えるものであるが、しかし、同日に出願され、本明細書中で参照している上述したPCT特許明細書"Cardiac Output Enhanced Pacemaker"で詳細に説明されている。
【0081】
第9図〜第31図は、第8A図、第8B図の要素の実行の詳細を示す回路図である。これらの図は、当業者が本発明を実行するためには十分であると考えられる。これらの図の多様な局面を下記に詳細に示す。
【0082】
第9A図、第9B図、第9C図は、従来の8051タイプのマイクロコントローラであることが好ましいマイクロコントローラMPU1に基づくメイン制御回路150を示すものである。該マイクロコントローラは、例えば印加する刺激パルスのパラメータをプログラムするために、通信インタフェースを介してユーザ命令を受ける。マイクロコントローラは、AD0-AD7とマークされたデータバスを介して回路網22の他の要素も制御する。
【0083】
第10A図、第10B図は、非励起刺激を駆動するために、上述したように患者の身体から電極信号を受信してこれを処理し、トリガパルスを発生するECGプロセッサ130の詳細を示すものである。ECGプロセッサ130はECG増幅器152、ECG信号調整ユニット、A/D変換機156、検出コントローラ158を備えている。ECG増幅器152は第11図に詳細に示されており、差動前置増幅器、プログラム可能な利得増幅器、帰線消去ユニットを備えている。第12A図、第12B図に示す信号調整ユニット154は、クロック発生器の手段によって選択可能なプログラム可能な高域および低域、ノッチフィルタを備え、また、ノッチフィルタをバイパスするアナログスイッチも備えている。A/D変換機156は第13図に示す。第14A図、第14B図は、ECG信号を分析してトリガパルスを発生する別の8051タイプのマイクロコントローラMPU2を備えたコントローラ158を設けている。
【0084】
第15A図、第15B図、第15C図は、非励起刺激パルスの2つのチャネルを発生する第1CCU部140を示している。CCU部140は2つの制御ユニット162、164、波形発生器166、168、電源ユニット170、174、波形セレクタ172を備えている。第16A図、第16B図は、2つの非励起チャネルの内の第1チャネルを駆動する波形発生器166の詳細を示し、第19A図、第19B図は、発生器166とかなり類似し、第2チャネルを駆動する波形発生器168を示す。第17A図、第17B図、第17C図は、発生器166から波形を受信して測定する制御ユニット162を示す。第20A図、第20B図、第20C図、第20D図は制御ユニット164を示しており、この内第20A図、第20B図は、第17A図、第17B図のものと類似した波形測定回路を示す。第20C図、第20D図は、2つの刺激チャネルから発生したパルスの関連遅延を制御するための回路を示す。第18図、第21図は、電源ユニット174、178各々の詳細を示し、第22図は波セレクタ176を示す。
【0085】
第23図は、従来のペースメーカと類似した、所定の割合のペーシングパルスと、その間の関連遅延を発生するための2つのCCUチャネル180、182を備えた第2CCU部142を設けている。第24A図、第24B図、第24C図はチャネル180の詳細を示すものである。第25A図、第25B図は、チャンネル182の細部を示し、チャンネル182はチャンネル180(図22Bに図示)と同じスイッチとカウンタにより切り替えられる。
【0086】
第26図、第27A図、第27B図、第28図、第29A図、第29B図は、外部電源と接続した回路網22を作動する際に使用する分離回路の詳細を示す。第30図電池充電回路を示す。第31図、第32図は前後のパネル接続を各々示すものである。
【0087】
上述した好ましい実施例のいくつかにおいて、例えば第1B図に示すように、回路網22は埋込型ケース32に内臓されて示されており、また、第8図〜第32図に例証された回路網の特定の実行は、例えば、現在実行している本発明の最適なモードによる、第1A図に示した制御ユニット27のような外部のベッドサイドケースに内臓されることが最適である。第8図〜第32図の回路は、従来の、特に現在埋込型ペースメーカに使用されている方法と電子装置を使って、埋込型ケースに合うように変形および小型化できることが理解されるであろう。一方で、ある情況下では、例えば骨屈折または手術からの回復期間のように、心拍出量を一次的に規制する必要がある場合、このような外部のベッドサイドケースを使用した非励起刺激および心拍出量規制の達成が最適である。
【0088】
上述した好ましい実施例は例証の方法で引用され、本発明の全範囲は請求の範囲によってのみ限定されることがわかるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1A】第1A図は、本発明の好ましい実施例による心拍出量制御装置を示す略図である。
【図1B】第1B図は、本発明の好ましい実施例による心拍出量制御のためのミニチュア化した埋込型装置。
【図2A】第2A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置と共に使用する刺激および検知電極を挿入した、患者の心臓を示す略断面図である。
【図2B】第2B図は、本発明の別の好ましい実施例による非励起刺激探針の略図である。
【図3】第3図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図に示した装置で使用する制御回路の略ブロック図である。
【図4】第4図は、本発明の好ましい実施例による、心拍出量の制御方法を示すフローチャートである。
【図5】第5図は、本発明の好ましい実施例による、刺激電極によって患者の心臓に印加された正弦波刺激パルスを示す略図である。
【図6】第6図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図、第1B図の装置と共に使用するための刺激電極を示す略図である。
【図7】第7図は、本発明の別の好ましい実施例による、第1A図、第1B図の装置と共に使用するハイブリッド電極を示す略図である。
【図8A】第8A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図8B】第8B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図9A】第9A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図9B】第9B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図9C】第9C図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図10A】第10A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図10B】第10B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図11】第11図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図12A】第12A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図12B】第12B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図13】第13図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図14A】第14A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図14B】第14B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図15A】第15A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図15B】第15B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図15C】第15C図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図16A】第16A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図16B】第16B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図17A】第17A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図17B】第17B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図17C】第17C図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図18】第18図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図19A】第19A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図19B】第19B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図20A】第20A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図20B】第20B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図20C】第20C図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図20D】第20D図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図21】第21図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図22】第22図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図23】第23図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図24A】第24A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図24B】第24B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図24C】第24C図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図25A】第25A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図25B】第25B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図26】第26図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図27A】第27A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図27B】第27B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図28】第28図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図29A】第29A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図29B】第29B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図30】第30図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図31】第31図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図32】第32図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に心臓治療装置に関するものであり、より詳細には心機能を拡張するための侵襲的装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
とりわけ心拍出量の減少によって特徴付けられる心不全は、一般によく知られ文献にもされている心機能不全のことである。心不全は先天性奇形の結果として、または多くの病気の最終的な症状として発生するものである。心拍出量、すなわち単位時間当たりに心臓が拍出する出量は、一回拍出量および心拍数の積である。従って、心拍出量の変化は心拍数または一回拍出量の変化によって生じる。一回拍出量は、例えば心筋繊維の長さを変えて心収縮の強度を変更することによって、また、繊維の長さと無関係の心筋の収縮性を変えることによって左右される。心拍数と心律動の変化も心筋の収縮性に影響するため、心拍数と心律動は直接的および間接的に心拍出量に影響を及ぼす。
【0003】
通常、人間の身体は、運動の最中の心拍数の変更による、および/または一回拍出量を適合させることによる身体の要求に応じて心拍出量を規制する。しかしながら、病理学的情況においては、ダメージを受けてしまう通常の規制機構がある。例えば、心筋梗塞によるダメージを受けた心臓細胞は通常のポンプ機能を維持することができず、これが原因で一回拍出量が、続いて心拍出量が減少してしまう。この減少に身体が反応して心拍数を上げ、心筋に長期にわたって負担をかけてしまい、これが深刻な心臓欠陥につながってしまう可能性がある。従って、通常の規制機構における不足を補正できるように、心拍出量を規制する装置と治療法が必要である。
【0004】
この必要性に応じて、最新の心臓学は、心臓手術に関連した多様なパラメータを制御する手段を開発した。心臓細胞の伝導速度、興奮性、不応期の収縮性および遅延に影響を与えるために例えば、薬学を使用することが可能である。薬学は、不整脈の治療、心拍出量拡張、繊維攣縮の防止に使用される。通常、比較的正確性が低く心臓の健康な部分と病気の部分の両方に影響してしまうため、一般に薬学の効果には限度がある。また、副作用が頻繁にあることも好ましくない。
【0005】
心拍数および/または心律動を直接制御するために心臓に励起電気刺激を与える埋込型電子装置を使えば、特別な制御を行うことができる。これには例えばペースメーカがあるが、ペースメーカは、心臓の電気励起システムを支持するために、または伝導システムの閉塞部分をバイパスするために通常心臓に埋め込まれる電子装置である。その他の心臓電子装置には、心臓の攣縮を検知して高圧の衝撃を与え、心臓を「リセット」する脱攣縮装置がある。電子ペースメーカは心拍数を制御するが、心拍出量の拡張においては限度があり、少なくとも数例において、一回拍出量を減少させてしまうことが知られている。脱攣縮装置は不整脈が起こった際の治療には有益であるが(しかし患者は痛みを感じ、心臓は傷を負ってしまう)、心不全を長期にわたって改善することができない。
【0006】
したがって、従来の治療には心拍出量を長期的に規制するものはない。心臓の電子機械特性は、これに影響を及ぼす従来の方法と同様に、本特許明細書の被譲渡人に譲渡され、本明細書中でも参照しているPCT特許明細書PCT/IL97/00012の「発明の背景」においてより完全に説明されている。
【特許文献1】PCT特許明細書PCT/IL97/00012
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、血流動態パラメータを規制するための、また特に、心臓の心
拍数を増して心拍出量を増加するための装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の好ましい実施例において、1本またはそれ以上の非励起刺激電極を備えた心拍出量コントローラは非励起刺激探針と、刺激探針とセンサに接続した電子制御回路とを設けている。刺激電極および、好ましくはセンサを患者の心臓に埋め込む。あるいは検知電極を体表面に配置してもよい。回路は、心臓活動を表す信号をセンサより受信し、これに応じて、心臓に非励起電気刺激を与えるために刺激電極を駆動する。
【0009】
本特許明細書の内容において、「非励起電気刺激」という用語は、心筋細胞内で増殖する新しい活動電位を誘発しない電気パルスを表している。どちらかといえば、このようなパルスは一般に、あるいは心筋の選択されたセグメント内で細胞の収縮性を調整することにより、活動電位に対する心筋の反応に影響を及ぼすものである。具体的には、上述したPCT特許明細書PCT/IL97/00012に説明されているように、また本明細書中で参照しているように、発明者は、心臓の電気活動に応じて適切に調節した、適切な強度の非励起電気刺激パルスを印加することにより、選択されたセグメントの収縮を増減することができ、これにより心臓の一回拍出量を増減することが可能であることを発見した。この発見が本発明の基礎を形成する。
【0010】
本発明の好ましい実施例において、心筋活動を変更するように非励起刺激の特性を調整し、好ましくは直接心拍数に直接影響することなく一回拍出量を増加することで心拍出量に影響を及ぼす。本装置は、長期にわたり実質的に連続して一回拍出量を増加するために使用することが好ましく、また、1日のうちで患者が血液供給の増加を必要とする時間に心拍出量を増加することが最も好ましい。従って、夜間には、心臓を休めるために本装置を使用しないことが好ましい。
【0011】
また、心筋活動を変更するために本装置を使用することもできる。例えば、HOCM(閉塞性肥厚型心筋症)のような場合においては、心臓への作業負荷を減らすために、また特に、心臓の肥厚範囲の心筋収縮を減衰するために、心拍出量を減少させるよう本装置を操作する。別の例として、減少したエネルギーの消費においてあるレベルの心拍出量が維持できるように、心臓の収縮能力を増加する目的で本装置を使用することができる。本装置のこのような利用については、本特許明細書の被譲渡人に譲渡され、本明細書中でその開示を参照している、同日に出願された(要録番号 4424/WO/97)"Apparatus and Methos for Controlling the Contractility of Muscles,"というPCT特許明細書中で説明されている。
【0012】
いかなる場合においても、本装置の心拍出量への効果は、心臓活動、好ましくは心臓の局所電気活動または検知電極より受信したECG信号に対する非励起刺激パルスの時間調節を変更することで、および/または、電圧、電流、持続時間、極性、波形、波形の周波数といったその他のパルス特性を変更することで規制されることが好ましい。本装置が心臓の静脈洞の律動を検出し、好ましくは刺激パルスのオンセット前に遅延を設けて、これに関連する刺激パルスを印加および同期に起こさせることが好ましい。さらに、例えばQT間隔を決定するために回路が信号を分析し、これに応じて刺激パルスを調整できるようにすることもできる。また、心室期外収縮(VPB’s)またはその他の心臓不整脈により心律動が不規則な場合、本装置が従来の信号処理方法を利用してこの不規則を確認、分析し、これに従って刺激パルスを調整または抑制することが好ましい。
【0013】
本発明の好ましい実施例のいくつかにおいて、制御回路が本体外部のコンソールに内臓されており、電極が、例えば大腿動脈を介して患者の血管システム内に経皮的に挿入され、心臓に埋め込まれる。このような実施例は特に、例えば開心手術または僧帽弁閉鎖不全症(MI)といった、発作またはトラウマの後の、患者の血流動態を規制および安定させるための短期的な治療には適している。
【0014】
本発明の別の好ましい実施例においては、従来のペースメーカケースと似た、ミニチュア化した埋込型ケース内に電子制御回路が内臓されている。
【0015】
本発明のある好ましい実施例において、非励起刺激電極は、ペーシングまたは電気生理学電極のような従来の心内電極と比較して心臓細胞と接触する表面が広い。刺激電極は広範囲の炭素電極を備えていることが好ましく、また、ガラス質の炭素あるいはパイロ炭素が最も好ましい。いずれの炭素材料も、その心臓細胞との適合性、生体内の持続性、高い電気伝導性を含む優れた電気特性で知られている。従ってこれらの材料は、電気励起なしで、比較的高い電流が心臓細胞の比較的広い範囲に伝達することを許容する。
【0016】
また、非励起刺激電極は、プラチナまたはプラチナ/イリジウムといった、従来の別のタイプの広範囲電極を備えていてもよい。
【0017】
本発明の別の好ましい実施例においては、非励起刺激電極は心臓の血管の内の1本、好ましくは冠状静脈洞または冠状動脈に挿入される。これらの好ましい実施例は、刺激電極を心臓内の血管付近に配置した場合に心拍出量が拡大するという、発明者の実験的発見に基づいている。このような好ましい実施例の1つにおいて、非励起刺激探針は、冠状静脈洞内に挿入され、冠状静脈洞を通って左心室付近に配置される炭素ワイヤ電極を備えている。
【0018】
本発明の好ましい実施例では、刺激探針は複数の刺激電極を備えているものが数例ある。探針は、心臓壁のかなりの範囲を覆う、複数の相互接続した、独立的および/または総合的に指定可能な電極を備えた刺激ネットを設けていることが好ましい。上述した'012PCT明細書で説明されているように、発明者は、心拍出量、特に左心室の一回拍出量における変化の程度は、心臓の非励起範囲を適用したセグメントのサイズを変えることによって制御可能であることを発見した。このようなサイズの変化は、非励起刺激パルスが同期に印加されるネット内の電極の数を変えることで行うことが最も好ましい。
【0019】
このタイプの別の好ましい実施例においては、異なる刺激パルスを、複数の刺激電極の対応する1本またはグループに印加する。異なる刺激パルスを、異なるパルス間に所定の遅延を備えた、対応する電極に印加することが好ましい。例えば一回拍出量の増加を最低限にするために、遅延を変更して所望の血流動態効果を得ることもできる。
【0020】
さらに別の好ましい実施例においては、複数の刺激電極の位置および/またはこれに印加される刺激パルスの特性が、心臓の臨床的な特性に応じて最適化される。電極挿入の前に、例えば、米国特許第5,568,809号に示された電気生理学的マップ、またはPCT特許明細書PCT/IL97/00011に示された位相依存型の幾何マップのような心臓のマップが作成されることが好ましい。このマップは、例えば局所収縮性または電気活動性に基づいた、心臓細胞の生存能力に関する情報を含んでいることが好ましい。次に、このマップに応じて非励起刺激電極が配置される。
【0021】
あるいは、またはさらに、電極の最適な固定位置を見付けるために、非励起刺激電極の埋め込みの時に電極の位置を変更して血流動態の変化の結果を観察する。上述したネット電極を埋め込み、血流動態効果を最適にするためにネット内の電極の異なるもの、またはグループを可変的に指定することによっても同様の効果が得られる。
【0022】
本発明の別の実施例において、非励起刺激探針は少なくとも1本のハイブリッド電極を備えている。このハイブリッド電極は、上述したように好ましくは炭素電極を備えた非励起刺激電極に包囲された検知心線、好ましくはプラチナまたはプラチナ/イリジウム電極を備えていることが好ましい。
【0023】
本発明のまた別の実施例では、1本の単極が、検知電極と、1本以上の刺激電極の1本との両方として働く。本発明の好ましい実施例の数例においては、少なくとも1本の非励起刺激電極と検知電極が、同一の心室、好ましくは左心室内に埋め込まれる。非励起刺激電極は左心室の壁に対して固定され、検知電極は左心室の中隔に固定される。あるいは、刺激および検知電極は、心臓の別々の心室または心房に埋め込むことができる。検知電極が検知した心臓活動信号と刺激電極に吹かされたパルスとの間の遅延は、これらの電極の関連位置に依存することが好ましい。
【0024】
本発明の好ましい実施例の数例において、非励起刺激電極は二極性の電極を備え、また、この電極の極間に非励起刺激パルスが印加される。別の好ましい実施例では、1本以上の刺激権極と、例えば検知電極のような別の電極との間に非励起刺激パルスが印加される。あるいは、上述したように患者の身体にケースが埋め込まれている場合の本発明の実施例においては、刺激電極と制御回路のケースとの間にパルスを印加することもできる。
【0025】
本発明の好ましい実施例において、心臓のビート・ツー・ビート間隔とほぼ同じ長さであってよい、30〜80msecが最も好ましい遅延のために、制御回路が刺激電極に対して、最高50mAまでの、また最も好ましくは5〜10mAの間の電流をもつ方形波刺激パルスを印加する。電極劣化と分極化を防ぐために、同期パルスの後には対向する極性のパルスが続くことが好ましい。
【0026】
本発明の好ましい実施例の数例においては、方形波パルスの上に別の波形が重ね合わせられている。波形はそれ自体が、最高10kHzの周波数と、方形波パルスのものより小さいまたは同等の振幅を備える方形波あるいは正弦波やのこぎり波であることが好ましい。発明者は、少なくとも数例において、このような波形が心筋上の非励起刺激パルスの血流動態効果を拡張することを発見した。
【0027】
本発明の好ましい実施例の数例において、制御回路は血流動態状況を示す検知信号も受信し、この信号に応じて刺激パルスを調整して所望の心拍出量レベルを達成する。あるいは、またはさらに、血圧や血液の酸化といった他の血流動態を検知するために生理学的センサを利用して、制御回路または制御回路に関連する遠隔測定装置にフィードバック信号を供給することもできる。従って、この目的で利用するセンサには、流量センサ、圧力センサ、温度センサ、酸素センサ、あるいは従来のその他のタイプのセンサを備えることができる。次に、血流動態パラメータが所望の値の範囲内に維持されるように、制御回路が刺激パルスを調節する。
【0028】
本発明の好ましい実施例の殆どの部分は、心拍出量コントローラが静脈洞律動に応じて、または静脈洞律動と大体同期して非励起刺激パルスを印加することを目的として、心臓の検知エレクトログラム信号に関連して説明しているが、本発明による心拍出量コントローラはその他の方法によって同期されることも可能である。例えば、上述したように、非励起刺激パルスは体表面ECGに関連して同期することができ、また、不規則な心拍動に関連して同期および制御することが可能である。
【0029】
また、パルスを、例えば外部から印加されたトリガパルスによって、あるいは心臓に印加されたペーシングパルスによって、外部から同期することもできる。本発明のこれらの局面については、本発明の被譲渡人に譲渡され、本明細書中でも参照している、同日に出願されたPCT特許明細書、"Cardiac Output Enhanced Pacemaker"(要録番号 27181)にさらに詳細に説明されている。
【0030】
本発明の好ましい実施例は、PCT特許明細書、"Drug-Device Combination for Controlling the Contractility of Muscles"(要録番号 4425/WO/97)、またPCT特許明細書、"Fencing of Cardiac Muscles"(要録番号 4437/WO/97)で述べられているように、適切な薬物と共に使用することができる。これらのPCT特許明細書は両方とも同日に出願され、本発明の被譲渡人に譲渡されている。また、両明細書とも本明細書中で参照している。
【0031】
従って、本発明の好ましい実施例によれば、患者の心臓の心拍出量を変更するための装置であり、
心臓活動に反応する信号を検知する、1つ以上のセンサと、
心筋セグメントに非励起刺激パルスを印加する1本以上の刺激電極を備える刺激探針と、
1つ以上のセンサおよび刺激探針と接続しており、1つ以上のセンサからの信号を受信し、この信号に応じて非励起刺激パルスを発生する信号発生回路とを備えている。
【0032】
信号発生回路が埋込型ケースに内臓されていることが好ましい。
【0033】
刺激パルスの使用により、心拍出量が増加する、または心拍出量が減少することが好ましい。
【0034】
あるいは、またはさらに、刺激パルスの使用により、心臓の収縮能力が増加することが好ましい。
【0035】
1つ以上のセンサが心内電極を備え、信号発生回路が刺激パルスを心臓の電気的活動と同期させることが好ましい。あるいは、1つ以上のセンサが体表電極を備え、信号発生回路が刺激パルスをECG信号と同期させることが好ましい。信号発生回路が信号内の不規則を確認し、これに応じて刺激パルスを制御することが好ましい。さらにあるいは、信号発生回路が信号内のQT間隔を検出し、これに応じて刺激パルスを制御する。
【0036】
信号発生回路が、電圧、電流、持続時間、時間遅延、波形、波形周波数を備えるパラメータのグループから刺激パルスの1つ以上のパラメータを変更することが好ましい。信号発生回路が、非励起刺激パルスの後に、刺激パルスと対向する極性の別のパルスを発生し、パルスが刺激探針によって心筋セグメントに印加される。
【0037】
1本以上の刺激電極が、少なくとも5mm2の、より好ましくは少なくとも1cm2の、最も好ましくは少なくとも4cm2の範囲を備える心臓セグメントに対して刺激パルスを印加することが好ましい。
【0038】
本発明の好ましい実施例においては、信号発生回路が、刺激パルスが印加される心臓セグメントの範囲を変更する。刺激探針は、郵送パルスが印加されるセグメントの大きさが、ネット内の選択された電極を指定することで制御できるように指定可能になっている電極のネットを備えていることが好ましい。回路が、ネット内の個々の電極に対して多様な異なる刺激パルスを印加することが好ましい。
【0039】
本発明の別の実施例において、刺激探針が、少なくとも1本以上の刺激電極と共に心内電極を備えたハイブリッド電極を備えている。
【0040】
ハイブリッド電極が、少なくとも1本の刺激電極を含む環状部内に封入された
検知電極を含むコア部分を備え、環状部分が炭素材料を備えることが好ましい。
【0041】
さらに別の実施例において、1本以上の刺激電極が、心臓の血管内に挿入される延長電極を備えている。
【0042】
1本以上の刺激電極がガラス質の炭素又は熱分解炭素を備えることが好ましい。
【0043】
本発明の好ましい実施例において、1つ以上のセンサが、血流動態パラメータに応じて信号を発生する血流動態センサを備える。血流動態センサが血流に応じて信号を発生することが好ましい。あるいは、またさらに、血流動態センサが血液の酸化および/または温度に応じて信号を発生することが好ましい。1つ以上のセンサが、心臓電気的活動を検知することが好ましい。
【0044】
装置が、少なくとも1つ以上のセンサからの信号を受信し、非励起刺激パルスを調整するために信号発生回路を制御する遠隔測定装置を備えることが好ましい。
【0045】
本発明の好ましい実施例によれば、心拍出量を変更するための方法であって、
1本以上の刺激電極を備える刺激探針の、患者の心臓への装着と、
患者の心筋活動に反応する少なくとも1つのセンサからの信号の受信と、
信号に応じた非励起刺激パルスの発生と、1本以上の電極の少なくとも1本へのパルスの伝達とを備えた方法がさらに得られる。
【0046】
信号の受信が、心臓内への検知電極の導入と、そこからの信号の受信とを備え、刺激パルスの発生が、検知電極によって検知された電気的活動と同期するパルスの発生を備えることが好ましい。
【0047】
あるいは、またさらに、信号の受信が、電極の体表面への装着と、そこからの信号の受信とを備え、刺激パルスの発生がECG信号と同期するパルスの発生を備える。
【0048】
あるいは、またさらに、信号の受信が、1本以上の刺激電極の少なくとも1本からの信号の受信を備える。
【0049】
刺激パルスの発生が、信号に関連した所定の遅延を備えるパルスの発生を備えることが好ましい。
【0050】
本発明の好ましい実施例において、刺激探針の装着が、複数の刺激電極を備えた探針の装着を備え、パルスの発生および伝達が連続するパルスの発生と、連続するパルスの各々の複数の刺激電極への印加とを備える。
【0051】
刺激パルスの発生および伝達が、少なくとも1つのセンサから受信した信号の特性に基づいた、刺激パルスの選択的な発生および伝達を備えることが好ましい。パルスの発生および伝達が、心拍数に依存する値の、しかし心拍数と同等ではないパルスの発生および印加を備えることがさらに好ましい。あるいは、またさらに、パルスの発生および伝達が、心不整脈の検出と、これに応じたパルスの適用の調節とを備える。あるいは、またさらに、パルスの発生および伝達が、信号内のQT間隔の検出と、これに応じたパルスの発生とを備える。
【0052】
非励起刺激パルスの発生が、パルス電圧、電流、遅延、波形、波形周波数を含むグループから選択された、パルスの1つ以上のパラメータの変更を備えることが好ましい。
【0053】
パルスが、基線パルスと、基線パルスよりも周波数がかなり高い、方形波であることが好ましい波形とを備え、波形が基線パルス上に重ね合わせられていることがさらに好ましい。非励起刺激パルスの発生後に、これと対向する極性をもつパルスを発生し、電極に伝達されることが好ましい。
【0054】
本発明の好ましい実施例において、非励起刺激パルスの印加が、刺激パルスが印加される心臓のセグメントの範囲のある部分の大きさの変更を備え、この大きさの変更が、心臓に埋め込まれた刺激電極のネットの選択的な指定を備えることが好ましい。
【0055】
別の好ましい実施例において、刺激探針の装着が、心臓の複数の心房、心室への1本以上の刺激電極の挿入を備える。
【0056】
また別の好ましい実施例において、刺激探針の埋め込みが、心臓の血管内、好ましくは冠状静脈洞内への少なくとも1本以上の刺激電極の挿入を備える。
【0057】
本発明の好ましい実施例において、信号の受信が、血流動態パラメータの検知、好ましくは心拍出量の検知を備え、パルスの発生が、心拍出量を増加させるために、信号に応じたパルスの変更を備えることが好ましい。
【0058】
あるいは、またさらに、血流動態パラメータの検知が圧力および/または流量および/または酸化および/または温度の検知を備える。
【0059】
本発明の別の好ましい実施例において、パルスの発生および伝達が、1日の内の選択した時間におけるパルスの発生および伝達を備え、好ましくは、患者が起きている間、心拍出量を増加させるためのパルスの伝達を備える。
【0060】
パルスの発生および伝達が、患者の心拍出量を増加させる、あるいは心拍出量を減少させるパルスの発生および伝達を備えることが好ましい。あるいは、またはさらに、パルスの発生および伝達が、心臓の収縮能力を増加させるパルスの発生および伝達を備える。
【0061】
パルスの伝達が、少なくとも5mm2、より好ましくは少なくとも1cm2、最も好ましくは少なくとも4cm2の範囲を備える心臓セグメントへのパルスの印加を備えることが好ましい。
【0062】
本発明は、後述の、図面を参照した好ましい実施例の詳細な説明により、さらに完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
第1A図は、制御ユニット27、少なくとも1本の非励起刺激電極23と埋込型検知電極29とを備えた埋込型非励起刺激探針21を設けた心拍出量を制御する装置20の略図である。制御ユニット27は信号発生回路網22(第3図の下部。この説明については後述する)、オプションのディスプレイ24、制御パネル26を備えている。後述する通りに心臓に正確に埋め込まれた場合、検知電極29は心筋からの局所エレクトログラム信号を受信し、これを信号発生回路網22へと送信する。該回路はエレクトログラム信号に反応する非励起刺激パルスを発生し、このパルスが探針21によって心筋細胞へと印加される。制御ユニット27はまた、外部トリガ入力30を任意に備えている。装置20はさらに、装置により心拍出量に供給された刺激の影響を決定するための別の生理学的センサ31、例えばフローセンサを備えることもできる。
【0064】
第1B図は本発明の別の好ましい実施例による装置20の略図であり、ここでは、従来の埋込型ペースメーカーケースと類似したミニチュア化した埋込型電子制御回路ケース32に信号発生回路網22が内臓されている。ケース32は制御ユニット27とは違ってディスプレー24と制御パネル26を備えていないが、別の点では第1B図の実施例では第1A図のものと機能的に類似している。
【0065】
第1B図の実施例において、刺激電極23は心臓の少なくとも5mm2の範囲に刺激を提供する比較的広範囲な電極として示されている。電極23は、好ましくはガラス質炭素またあるいは熱分解炭素の低抵抗の炭素材料を備えることが好ましい。このような材料から成る電極は、例えばイタリアはサルジアのSorin Biomedica社製のもの、イギリスはロンドンのGoodfellow Cambridge社製のものがある。どちらのタイプの炭素材料もその心臓細胞への適合性、生体内の持続性、優れた電気的特性によって知られている。しかし、本明細書中で参照しているMorse等(ノースカロライナ州、ダーラムのDroege Computing Service)によるA Guide to Cardiac Pacemakers, Defibrillators and Related Productsで述べられている様々なタイプの、他の材料から成る電極を使用することもできる。励起探針21は1本以上の励起電極を備えていてもよい。検知電極29は従来のあらゆるタイプの適切な心内電極を備えることができる。
【0066】
電極23、29は、好ましくはタイムリリース型のヘパリンのような抗凝固材でコーティングされていること、あるいは、電極上とその周囲において凝塊形成を防ぐために心臓細胞内に抗凝固材を溶出することが好ましい。このような電極は、例えば本明細書中で参照している、SuttonとBourgeoisによるThe Foundations of Cardiac PacingのP.73で述べられているMedtronic社製のCAPSURE model 4003電極のような従来のステロイド溶出電極と類似する方法で製造できる。
【0067】
第2A図は、被験者の心臓38に埋め込んだ、本発明の好ましい実施例による電極23、29を示す略図である。電極23、29は心室に、好ましくは両方とも左心室34に埋め込まれる。非励起刺激電極23を左心室34の壁に接触させて埋め込み、検知電極29を心室間の中隔に埋め込むことが最も好ましい。電極23、29は、大動脈39から体外の制御ユニット27、また好ましくは患者の胸部に埋め込んだ埋込型ケース32のいずれかへと通るワイヤによって接続している。回路網22は、電極29から受信したエレクトログラム信号内に電気的活性化パルスを検出すると、刺激パルスを発生し、好ましくは、少なくとも電極23が接触している心室34の壁部のセグメントの収縮が増し、これにより心室一回拍出量が増すように、該刺激パルスが電極23に印加される。
【0068】
また、刺激電極29、任意で検出電極23を、外科手術によって好ましくは心外膜に埋め込むこともできる。
【0069】
第2B図は、非励起刺激探針21がワイヤ電極33を備えた、本発明の別の好ましい実施例を示す略図である。上述したように炭素材料を備えることが好ましい電極が、絶縁導体43によって回路網22に接続される。これは心臓の血管のうちの1本に埋め込まれることが好ましい。最も好ましくは、従来のカテーテル技術を使って電極33を心臓の右心房を通過させ、冠状静脈洞内の左心室34付近で止める。次に、非励起刺激パルスを心臓壁へ伝達するために、回路網22によって電極を駆動する。
【0070】
第3図は、本発明の好ましい実施例による信号発生回路網22の略ブロック図である。回路網22は刺激部100、検出回路104、検出ユニット110を備えている。ユニット110は検出電極29よりエレクトログラム信号を受信し、調整する。検出回路104は、好ましくは従来の方法の通り、波の上昇縁に関連する傾斜および電圧レベルを検出することにより、エレクトログラム内の局所活動波を検出し、これに反応するトリガパルスを発生する。トリガパルスは、刺激パルスを発生して刺激探針21の電極へ印加する刺激部100へと伝達される。
【0071】
検出ユニット110は信号消去ユニット101、信号消去論理102、差動増幅および信号調整回路103を備えている。刺激アーティフアクトによりシステムがトリガパルスを発生することを防ぐために、消去は、刺激部100の出力が機能している際の検出回路104への入力を遮断する。
【0072】
刺激部100は、検出回路104あるいは外部トリガ入力30からの入力トリガパルスに反応して変更トリガパルスを発生するトリガディバイダ105を備えている。トリガディバイダにより、装置20の使用者は、刺激パルスの印加を各心拍動毎にするか、または所定の心拍動数に1度の割合にするかを選択することができる。刺激部100はさらに、修正トリガパルスに反応して、後述する所定の特性を持つ電圧信号を発生する信号発生器106、107と、信号発生器からの入力電圧信号を出力電流パルスへと変換する定電流ユニット(CCU)108、109とを備えている。第3図に示した2つの同時出力チャネルは、異なる刺激パルスを2つ以上の異なる刺激電極に印加することが可能である。しかしながら、使用する必要があるのは1つのチャネルだけであり、また、追加の刺激電極を駆動するためにチャネルを追加することも可能であることが理解されるであろう。
【0073】
第4図は、本発明の好ましい実施例による装置20を使った心拍出量の規制方法を要約したフローチャートである。使用者が、後述するレベル、持続時間、遅延、波形特性といった刺激パルスのパラメータを提示することが好ましい。上述したように、検出電極29はエレクトログラム信号を検出し、この信号を信号発生回路網22が受信して検出回路104へと入力し、検出回路104が心臓活動、好ましくは静脈洞律動を検出し、これに応じてトリガパルスを発生する。トリガパルスは、刺激電極23によって心臓に印加される刺激パルスを発生するように刺激部100を駆動する。別の好ましい実施例においては、入力30に接続した外部トリガを採用している。
【0074】
オプションで、非励起刺激の効果を確認するために、心拍出量に関連した生理学的パラメータが監視される。例えば、大動脈39を流れる血流が、第2A図に示した血流センサ31によって検出される。例えば振幅および/またはタイミングといった、少なくとも刺激パルスのパラメータのうちのいくつかが、所望の心拍出量レベルを達成できるように、監視されたパラメータに反応するように調整されていることが好ましい。このような監視と調整は、制御ユニット27自体によって、オンライン上で実行されることが好ましい。あるいは、またさらに、個別の遠隔測定ユニット(図示せず)は、パラメータを監視し、これに従って、刺激パルスのパラメータを変更するために、プログラム制御ユニット27によって使用される。
【0075】
第5図は、本発明の好ましい実施例による、刺激電極23によって心臓細胞に印加した非励起刺激パルス51を示す略図である。本発明の好ましい実施例の数例において、心拍出量の規制は、パルス51のある特定の性質を変更することにより達成される。非励起刺激エネルギーが、第5図に矢印54で示した、好ましくは5〜10mA、任意で50mAまでの基線振幅を有する基線パルス53の形で、刺激電極23に印加される。矢印52で示したパルス51の持続時間は、30〜80msの間、また任意で500msまでの範囲であることが好ましい。先に参照した'012 PCT明細書で述べられ、上記で説明したように、細胞極性と電極劣化の問題を防ぐために、対向する極性を有する別のパルス(図示せず)でパルス53を追随することが好ましい。最高10kHzの周波数と、矢印56で示した、基線振幅を最高とする、あるいは基線振幅に匹敵する振幅を有する波形58が、パルス53の基線振幅上に重ね合わせられることが好ましい。ここでは波形58を四角形の波で示しているが、例えば正弦波、のこぎり波といった、適当な別の波形を使用することもできる。
【0076】
検出回路104が心臓の電気的活性化のR−波の上昇縁を検出することで、波形51がトリガされることが好ましい。また、信号発生器106、107を、第5図中に矢印50で示したトリガ入力とパルス発生の間に1〜500 msecの間の遅延を発生するように制御することもできる。適切な遅延は、検知電極29と検知電極23との関連位置に依存するのと同様に、トリガが検出回路104によって供給されたか、または外部トリガ30によって供給されたかにも依存する。遅延の調整は心拍出量の所望の増減に基づいて行い、一般に最適遅延は患者毎に異なる。
【0077】
第6図は、本発明の好ましい実施例による、刺激探針21の部品として使用する電極ネット40を示す略図である。ネット40は、好ましくは導体ネットワーク37によって相互接続した複数の刺激電極35を備えている。電極35は、独立的および/または総合的に指定可能であり、単極性または二極性モードのどちらでも作動可能であることが好ましい。ネット40は、心臓壁のかなりのセグメントを覆うことが十分に可能な大きさであることが好ましく、これは好ましくは最低1cm2、最も好ましくは最低4cm2である。各々の独立した電極35は最低5mm2の範囲を持ち、隣接する電極と好ましくは最低1cm離間していることが好ましい。
【0078】
この好ましい実施例において、心拍出量規制が、'012 PCT特許明細書で述べたネット40が接触している心臓壁セグメントの刺激された範囲の変化によって得られることが好ましい。刺激された範囲は、ネット40の作動範囲を変えること、すなわち、電気刺激を心臓に伝達するために電極35が駆動されるネット範囲の広さを変えることによって変更されることが好ましい。発明者は、例えば、左心室に配設した複数の電極の中から選んだ1対の電極の間に非励起刺激を印加した際、その結果として起こる左心室圧と心拍出量の増加が、電極の対における関連位置と、電極間の距離によって変化することを発見した。従って、ネット40内の電極35は、刺激の血流動態結果を最適にするために選択可能に指定することが可能である。さらに、マップに応じて刺激が印加されるように心臓壁のセグメントにかけて心臓電気活動をマップするために、電極50を検知電極として使用することもできる。
【0079】
第7図は、本発明の別の好ましい実施例により、装置20と共に使用するハイブリッド電極探針41を示す略図である。探針41は、好ましくは、探針の中心で好ましくはプラチナまたはプラチナ/イリジウム電極、最も好ましくは二極性の小さな検知電極42を包囲する、上述した炭素電極である環状刺激電極32を備えている。電極23に関連して上述した方法、刺激波形、制御電極は、他の適切な電極形状と同様に、探針41を使って利用することが可能であることが理解されるであろう。探針41の利点は、心臓に導入および埋め込む必要がある多数の個別の電極数を減らすことである。
【0080】
第8図〜第31図は、本発明の好ましい実施例による、回路網22の機能の実行に使用するための回路を示す電子略図である。第8A図、第8B図に示すように、回路はECGプロセッサ130、第1CCU部140、メイン制御回路150を備えており、これらが協働して、第3図に示したように、また第3図を参照して説明したように、回路網22の機能を実行する。さらに、第2CCU部142が、任意に励起刺激パルスを供給するように、すなわち心臓をペーシングするように設計されている。この要素は本発明の範囲を超えるものであるが、しかし、同日に出願され、本明細書中で参照している上述したPCT特許明細書"Cardiac Output Enhanced Pacemaker"で詳細に説明されている。
【0081】
第9図〜第31図は、第8A図、第8B図の要素の実行の詳細を示す回路図である。これらの図は、当業者が本発明を実行するためには十分であると考えられる。これらの図の多様な局面を下記に詳細に示す。
【0082】
第9A図、第9B図、第9C図は、従来の8051タイプのマイクロコントローラであることが好ましいマイクロコントローラMPU1に基づくメイン制御回路150を示すものである。該マイクロコントローラは、例えば印加する刺激パルスのパラメータをプログラムするために、通信インタフェースを介してユーザ命令を受ける。マイクロコントローラは、AD0-AD7とマークされたデータバスを介して回路網22の他の要素も制御する。
【0083】
第10A図、第10B図は、非励起刺激を駆動するために、上述したように患者の身体から電極信号を受信してこれを処理し、トリガパルスを発生するECGプロセッサ130の詳細を示すものである。ECGプロセッサ130はECG増幅器152、ECG信号調整ユニット、A/D変換機156、検出コントローラ158を備えている。ECG増幅器152は第11図に詳細に示されており、差動前置増幅器、プログラム可能な利得増幅器、帰線消去ユニットを備えている。第12A図、第12B図に示す信号調整ユニット154は、クロック発生器の手段によって選択可能なプログラム可能な高域および低域、ノッチフィルタを備え、また、ノッチフィルタをバイパスするアナログスイッチも備えている。A/D変換機156は第13図に示す。第14A図、第14B図は、ECG信号を分析してトリガパルスを発生する別の8051タイプのマイクロコントローラMPU2を備えたコントローラ158を設けている。
【0084】
第15A図、第15B図、第15C図は、非励起刺激パルスの2つのチャネルを発生する第1CCU部140を示している。CCU部140は2つの制御ユニット162、164、波形発生器166、168、電源ユニット170、174、波形セレクタ172を備えている。第16A図、第16B図は、2つの非励起チャネルの内の第1チャネルを駆動する波形発生器166の詳細を示し、第19A図、第19B図は、発生器166とかなり類似し、第2チャネルを駆動する波形発生器168を示す。第17A図、第17B図、第17C図は、発生器166から波形を受信して測定する制御ユニット162を示す。第20A図、第20B図、第20C図、第20D図は制御ユニット164を示しており、この内第20A図、第20B図は、第17A図、第17B図のものと類似した波形測定回路を示す。第20C図、第20D図は、2つの刺激チャネルから発生したパルスの関連遅延を制御するための回路を示す。第18図、第21図は、電源ユニット174、178各々の詳細を示し、第22図は波セレクタ176を示す。
【0085】
第23図は、従来のペースメーカと類似した、所定の割合のペーシングパルスと、その間の関連遅延を発生するための2つのCCUチャネル180、182を備えた第2CCU部142を設けている。第24A図、第24B図、第24C図はチャネル180の詳細を示すものである。第25A図、第25B図は、チャンネル182の細部を示し、チャンネル182はチャンネル180(図22Bに図示)と同じスイッチとカウンタにより切り替えられる。
【0086】
第26図、第27A図、第27B図、第28図、第29A図、第29B図は、外部電源と接続した回路網22を作動する際に使用する分離回路の詳細を示す。第30図電池充電回路を示す。第31図、第32図は前後のパネル接続を各々示すものである。
【0087】
上述した好ましい実施例のいくつかにおいて、例えば第1B図に示すように、回路網22は埋込型ケース32に内臓されて示されており、また、第8図〜第32図に例証された回路網の特定の実行は、例えば、現在実行している本発明の最適なモードによる、第1A図に示した制御ユニット27のような外部のベッドサイドケースに内臓されることが最適である。第8図〜第32図の回路は、従来の、特に現在埋込型ペースメーカに使用されている方法と電子装置を使って、埋込型ケースに合うように変形および小型化できることが理解されるであろう。一方で、ある情況下では、例えば骨屈折または手術からの回復期間のように、心拍出量を一次的に規制する必要がある場合、このような外部のベッドサイドケースを使用した非励起刺激および心拍出量規制の達成が最適である。
【0088】
上述した好ましい実施例は例証の方法で引用され、本発明の全範囲は請求の範囲によってのみ限定されることがわかるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1A】第1A図は、本発明の好ましい実施例による心拍出量制御装置を示す略図である。
【図1B】第1B図は、本発明の好ましい実施例による心拍出量制御のためのミニチュア化した埋込型装置。
【図2A】第2A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置と共に使用する刺激および検知電極を挿入した、患者の心臓を示す略断面図である。
【図2B】第2B図は、本発明の別の好ましい実施例による非励起刺激探針の略図である。
【図3】第3図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図に示した装置で使用する制御回路の略ブロック図である。
【図4】第4図は、本発明の好ましい実施例による、心拍出量の制御方法を示すフローチャートである。
【図5】第5図は、本発明の好ましい実施例による、刺激電極によって患者の心臓に印加された正弦波刺激パルスを示す略図である。
【図6】第6図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図、第1B図の装置と共に使用するための刺激電極を示す略図である。
【図7】第7図は、本発明の別の好ましい実施例による、第1A図、第1B図の装置と共に使用するハイブリッド電極を示す略図である。
【図8A】第8A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図8B】第8B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図9A】第9A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図9B】第9B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図9C】第9C図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図10A】第10A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図10B】第10B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図11】第11図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図12A】第12A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図12B】第12B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図13】第13図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図14A】第14A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図14B】第14B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図15A】第15A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図15B】第15B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図15C】第15C図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図16A】第16A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図16B】第16B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図17A】第17A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図17B】第17B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図17C】第17C図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図18】第18図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図19A】第19A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図19B】第19B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図20A】第20A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図20B】第20B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図20C】第20C図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図20D】第20D図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図21】第21図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図22】第22図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図23】第23図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図24A】第24A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図24B】第24B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図24C】第24C図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図25A】第25A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図25B】第25B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図26】第26図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図27A】第27A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図27B】第27B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図28】第28図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図29A】第29A図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図29B】第29B図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図30】第30図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図31】第31図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【図32】第32図は、本発明の好ましい実施例による、第1A図の装置に使用する回路を示す電子略図と電子図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心臓の心拍出量を変更するための装置であり、
心臓活動に反応する信号を検知する、1つ以上のセンサと、
心筋セグメントに非励起刺激パルスを印加する1本以上の刺激電極を有する刺激探針と、
前記1つ以上のセンサおよび刺激探針と接続しており、前記1つ以上のセンサからの信号を受信し、この信号に応じて非励起刺激パルスを発生する信号発生回路と、
を有し、
前記非励起刺激パルスは、心拍数に直接影響を与えることなく、心拍出量を変更することを特徴とする患者の心臓の心拍出量を変更するための装置。
【請求項2】
患者の心臓の心拍出量を変更するための装置であり、
心臓活動に反応する信号を検知する、1つ以上のセンサと、
心筋セグメントに非励起刺激パルスを印加する1本以上の刺激電極を有する刺激探針と、
前記1つ以上のセンサおよび刺激探針と接続しており、前記1つ以上のセンサからの信号を受信し、この信号に応じて非励起刺激パルスを発生する信号発生回路と、
を有し、
前記非励起刺激パルスは、心臓細胞の収縮性と、一回拍出量とを、長期にわたり変更することによって、心拍出量を変更することを特徴とする患者の心臓の心拍出量を変更するための装置。
【請求項3】
前記非励起刺激パルスは、新たな活性電位の伝播を生じさせないことを特徴とする請求の範囲1に記載の装置。
【請求項4】
前記信号発生回路が患者の身体外のユニットに内臓されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記信号発生回路が埋込型ケースに内臓されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記刺激パルスの使用により、心拍出量が増加することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記刺激パルスの使用により、心拍出量が減少することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記刺激パルスの使用により、心臓の収縮能力が増加することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ以上のセンサが心内電極を有し、前記信号発生回路が前記刺激パルスを心臓の電気的活動と同期させることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記1つ以上のセンサが体表電極を有し、前記信号発生回路が前記刺激パルスをECG信号と同期させることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記信号発生回路が信号内の不規則を確認し、これに応じて前記刺激パルスを制御することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記信号発生回路が信号内のQT間隔を検出し、これに応じて前記刺激パルスを制御することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記信号発生回路が、電圧、電流、持続時間、時間遅延、波形、波形周波数を有するパラメータのグループから前記刺激パルスの1つ以上のパラメータを変更することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記信号発生回路が、前記非励起刺激パルスの後に、前記刺激パルスと対向する極性の別のパルスを発生し、前記パルスが前記刺激探針によって心筋セグメントに印加されることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記1本以上の刺激電極が、少なくとも5mm2の範囲を有する心臓セグメントに対して前記刺激パルスを印加することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記1本以上の刺激電極が、少なくとも1cm2の範囲を有する心臓セグメントに対して前記刺激パルスを印加することを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記1本以上の刺激電極が、少なくとも4cm2の範囲を有する心臓セグメントに対して前記刺激パルスを印加することを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記信号発生回路が、前記刺激パルスが印加される前記心臓セグメントの範囲を変更することを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記刺激探針が電極のネットを有することを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記1本以上の刺激電極が、互いに異なった時間において給電されることができることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記ネット内の電極が指定可能であるため、前記刺激パルスが印加される前記セグメントの程度が、前記ネット内の選択された電極を指定することによって制御されることを特徴とする請求項19又は20に記載の装置。
【請求項22】
前記回路が、前記ネット内の個々の電極に対して、多様な異なる刺激パルスを印加することを特徴とする請求項20又は21に記載の装置。
【請求項23】
前記多様な異なる刺激パルスがパルスの時間シーケンスを有することを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記刺激探針が、少なくとも1本以上の刺激電極と共に心内電極を備えたハイブリッド電極を有することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項25】
前記ハイブリッド電極が、少なくとも1本の前記刺激電極を含む環状部内に封入された前記検知電極を含むコア部分を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記環状部分が炭素材料を有することを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記1本以上の刺激電極が、心臓の血管内に挿入される延長電極を有することを特徴とする請求項1から26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記1本以上の刺激電極が様々な炭素を有することを特徴とする請求項1から27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記1本以上の刺激電極が熱分解炭素を有することを特徴とする請求項1から28のいずれか1項に記載の装置。
【請求項30】
前記1つ以上のセンサが、血流動態パラメータに応じて信号を発生する血流動態センサを有することを特徴とする請求項1から29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
前記血流動態センサが血流に応じて信号を発生することを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記血流動態センサが血液の酸化に応じて信号を発生することを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記血流動態センサが温度に応じて信号を発生することを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項34】
前記1つ以上のセンサが、心臓電気的活動を検知する電極を有することを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項35】
少なくとも1つ以上のセンサからの信号を受信し、前記非励起刺激パルスを調整するために前記信号発生回路を制御する遠隔測定装置を有することを特徴とする請求項1から34のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
治療用に構成されたことを特徴とする請求項1から35のいずれか1項に記載の装置。
【請求項37】
心拍出量を変更する装置を制御する方法であって、
1本以上の刺激電極を有する刺激探針を準備する工程と、
患者の心筋活動に応じた少なくとも1つのセンサからの信号を受信する工程と、
前記信号に応じて、一回拍出量を増加するように構成された非励起刺激パルスを発生し、前記非励起刺激パルスを前記1本以上の刺激電極の少なくとも1本に伝達する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項1】
患者の心臓の心拍出量を変更するための装置であり、
心臓活動に反応する信号を検知する、1つ以上のセンサと、
心筋セグメントに非励起刺激パルスを印加する1本以上の刺激電極を有する刺激探針と、
前記1つ以上のセンサおよび刺激探針と接続しており、前記1つ以上のセンサからの信号を受信し、この信号に応じて非励起刺激パルスを発生する信号発生回路と、
を有し、
前記非励起刺激パルスは、心拍数に直接影響を与えることなく、心拍出量を変更することを特徴とする患者の心臓の心拍出量を変更するための装置。
【請求項2】
患者の心臓の心拍出量を変更するための装置であり、
心臓活動に反応する信号を検知する、1つ以上のセンサと、
心筋セグメントに非励起刺激パルスを印加する1本以上の刺激電極を有する刺激探針と、
前記1つ以上のセンサおよび刺激探針と接続しており、前記1つ以上のセンサからの信号を受信し、この信号に応じて非励起刺激パルスを発生する信号発生回路と、
を有し、
前記非励起刺激パルスは、心臓細胞の収縮性と、一回拍出量とを、長期にわたり変更することによって、心拍出量を変更することを特徴とする患者の心臓の心拍出量を変更するための装置。
【請求項3】
前記非励起刺激パルスは、新たな活性電位の伝播を生じさせないことを特徴とする請求の範囲1に記載の装置。
【請求項4】
前記信号発生回路が患者の身体外のユニットに内臓されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記信号発生回路が埋込型ケースに内臓されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記刺激パルスの使用により、心拍出量が増加することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記刺激パルスの使用により、心拍出量が減少することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記刺激パルスの使用により、心臓の収縮能力が増加することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ以上のセンサが心内電極を有し、前記信号発生回路が前記刺激パルスを心臓の電気的活動と同期させることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記1つ以上のセンサが体表電極を有し、前記信号発生回路が前記刺激パルスをECG信号と同期させることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記信号発生回路が信号内の不規則を確認し、これに応じて前記刺激パルスを制御することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記信号発生回路が信号内のQT間隔を検出し、これに応じて前記刺激パルスを制御することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記信号発生回路が、電圧、電流、持続時間、時間遅延、波形、波形周波数を有するパラメータのグループから前記刺激パルスの1つ以上のパラメータを変更することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記信号発生回路が、前記非励起刺激パルスの後に、前記刺激パルスと対向する極性の別のパルスを発生し、前記パルスが前記刺激探針によって心筋セグメントに印加されることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記1本以上の刺激電極が、少なくとも5mm2の範囲を有する心臓セグメントに対して前記刺激パルスを印加することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記1本以上の刺激電極が、少なくとも1cm2の範囲を有する心臓セグメントに対して前記刺激パルスを印加することを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記1本以上の刺激電極が、少なくとも4cm2の範囲を有する心臓セグメントに対して前記刺激パルスを印加することを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記信号発生回路が、前記刺激パルスが印加される前記心臓セグメントの範囲を変更することを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記刺激探針が電極のネットを有することを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記1本以上の刺激電極が、互いに異なった時間において給電されることができることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記ネット内の電極が指定可能であるため、前記刺激パルスが印加される前記セグメントの程度が、前記ネット内の選択された電極を指定することによって制御されることを特徴とする請求項19又は20に記載の装置。
【請求項22】
前記回路が、前記ネット内の個々の電極に対して、多様な異なる刺激パルスを印加することを特徴とする請求項20又は21に記載の装置。
【請求項23】
前記多様な異なる刺激パルスがパルスの時間シーケンスを有することを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記刺激探針が、少なくとも1本以上の刺激電極と共に心内電極を備えたハイブリッド電極を有することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項25】
前記ハイブリッド電極が、少なくとも1本の前記刺激電極を含む環状部内に封入された前記検知電極を含むコア部分を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記環状部分が炭素材料を有することを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記1本以上の刺激電極が、心臓の血管内に挿入される延長電極を有することを特徴とする請求項1から26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記1本以上の刺激電極が様々な炭素を有することを特徴とする請求項1から27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記1本以上の刺激電極が熱分解炭素を有することを特徴とする請求項1から28のいずれか1項に記載の装置。
【請求項30】
前記1つ以上のセンサが、血流動態パラメータに応じて信号を発生する血流動態センサを有することを特徴とする請求項1から29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
前記血流動態センサが血流に応じて信号を発生することを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記血流動態センサが血液の酸化に応じて信号を発生することを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記血流動態センサが温度に応じて信号を発生することを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項34】
前記1つ以上のセンサが、心臓電気的活動を検知する電極を有することを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項35】
少なくとも1つ以上のセンサからの信号を受信し、前記非励起刺激パルスを調整するために前記信号発生回路を制御する遠隔測定装置を有することを特徴とする請求項1から34のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
治療用に構成されたことを特徴とする請求項1から35のいずれか1項に記載の装置。
【請求項37】
心拍出量を変更する装置を制御する方法であって、
1本以上の刺激電極を有する刺激探針を準備する工程と、
患者の心筋活動に応じた少なくとも1つのセンサからの信号を受信する工程と、
前記信号に応じて、一回拍出量を増加するように構成された非励起刺激パルスを発生し、前記非励起刺激パルスを前記1本以上の刺激電極の少なくとも1本に伝達する工程とを含むことを特徴とする方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図30】
【図31】
【図32】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2008−18252(P2008−18252A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206282(P2007−206282)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【分割の表示】特願平9−529637の分割
【原出願日】平成9年7月9日(1997.7.9)
【出願人】(507203032)インパルス ダイナミクス エヌ.ヴイ. (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【分割の表示】特願平9−529637の分割
【原出願日】平成9年7月9日(1997.7.9)
【出願人】(507203032)インパルス ダイナミクス エヌ.ヴイ. (1)
【Fターム(参考)】
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