心肺共存症を検出する方法および装置
システムが、複数のセンサによって感知された心肺状態を示す信号を受け取り、それらの信号に基づく心肺状態の監視と自動化された鑑別診断とをもたらす。心臓性肺浮腫が、埋込み可能センサによって感知される1つまたは複数の信号に基づいて検出される。心臓性肺浮腫が検出されない場合には、閉塞性肺疾患および拘束性肺疾患が、それぞれ、埋込み可能センサまたは非埋込み可能センサによって感知される呼吸信号から測定される努力肺活量量(FVC)パラメータおよび最大努力呼気肺活量(FEV)パラメータに基づいて検出される。一実施形態で、埋込み可能医療デバイスが、心肺状態を示す信号を感知し、外部システムが、自動検出アルゴリズムを実行することによって、これらの信号に基づいて心肺状態を検出する。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
(優先権の主張)
2004年7月23日出願の米国特許出願第10/897,856号に対する優先権の利益が主張され、この米国特許出願第10/897,856号は、参照によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、同時係属であり本願の譲受人に譲渡された、2003年7月2日出願の米国特許出願第10/612,387号、「IMPLANTABLE DEVICES AND METHODS USING FREQUENCY−DOMAIN ANALYSIS OF THORACIC SIGNAL」、2003年11月6日出願の米国特許出願第10/703,175号、「DUAL−USE SENSOR FOR RATE RESPONSIVE PACING AND HEART SOUND MONITORING」、2003年12月24日出願の米国特許出願第10/746,853号、「METHOD AND APPARATUS FOR THIRD HEART SOUND DETECTION」、および2003年12月24日出願の米国特許出願第10/746,874号、「A THIRD HEART SOUND ACTIVITY INDEX FOR HEART FAILURE MONITORING」に関連し、これらの特許出願は、参照によってその全体を組み込まれている。
【技術分野】
【0003】
本文書は、全般的には患者監視システムに関し、限定としてではなく、具体的には、心肺共存症を有する心不全患者の処置を監視するシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
心臓は、個人の循環系の中心である。心臓には、2つの主要なポンピング機能を実行する電気機械系が含まれる。心臓の左部分は、酸素を与えられた血液を肺から吸い出し、身体の器官にポンピングして、酸素に関する代謝の必要を器官に提供する。心臓の右部分は、酸素を除去された血液を器官から吸い出し、肺にポンピングし、肺では、血液に酸素が与えられる。正常な心臓では、洞房結節すなわち心臓の天然のペースメーカが、活動電位と称する電気パルスを生成し、この活動電位が、電気伝導系を介して心臓のさまざまな部位に伝播して、それらの部位の心筋組織を興奮させる。正常な電気伝導系での電気インパルスの伝播における調整された遅延によって、ポンピング機能が効率的に実行されるように、心臓のさまざまな部位が同期して収縮する。
【0005】
ブロックされるか他の形で損傷を受けた電気伝導系は、心筋の不規則な収縮すなわち、一般に不整脈と称する状態を引き起こす。不整脈は、心臓のポンピング効率を低下させ、したがって、身体への血流量を減らす。弱った心筋によって収縮性が低下し、これも、減少した血流量をもたらす。心不全患者は、通常、損傷を受けた電気伝導系と弱った心筋の両方を患う。減少した血流量は、さまざまな身体器官への不十分な血液供給をもたらし、これらの器官が正しく機能するのを妨げ、さまざまな徴候を引き起こす。たとえば、代償性心不全を病む患者は、腎臓への不十分な血液供給によって、異常な体液うっ滞や高い中央血管圧(central vascular pressure)となり、したがって、心臓性肺浮腫ならびに他の器官の浮腫となる。
【0006】
心臓性肺浮腫は、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む閉塞性肺疾患などの肺疾患を伴う一般的な症状を共有する。そのような一般的な症状に、呼吸困難、喘鳴、呼吸の短さ(shortness of breathing)が含まれる。心肺共存症を有する心不全患者の安全で効果的な処置は、喘息やCOPDなどの肺疾患からの心臓性肺浮腫の分化に依存する。たとえば、ベータブロッカ(または、交感神経ベータ遮断薬、医薬品)は、心筋酸素消費量を減らし、改善された心機能状態をもたらすことによって心不全を処置するのに使用される。しかし、ベータブロッカは、肺の状態を潜在的に悪化させることを含む副作用があることでも知られている。したがって、喘息またはCOPDをも病んでいる心不全患者は、ベータブロッカを服用している間に監視されなければならない。診療室での患者の診察は、心不全患者が喘息をも病んでいるかどうかの診断をもたらすが、ベータブロッカの隔週の滴定は、効率的で効果的な処置に対する難問を提示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記および他の理由から、心肺共存症を有する心不全患者の処置を監視する効率的な方法およびシステムの必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
システムが、複数のセンサによって感知された心肺状態を示す信号を受け取り、それらの信号に基づく心肺状態の監視と自動化された鑑別診断とを提供する。この心肺状態には、心臓性肺浮腫やさまざまな肺疾患が含まれる。
【0009】
一実施態様で、心肺状態を検出するシステムは、パラメータ入力と、肺浮腫検出器と、低努力肺活量量(FVC)検出器と、肺状態検出器とを含む。パラメータ入力は、複数の心肺状態を示すパラメータを受け取る。パラメータは、FVCパラメータ、最大努力呼気肺活量(FEV)パラメータ、および1つまたは複数の浮腫を示すパラメータとを含む。肺浮腫検出器は、1つまたは複数の浮腫を示すパラメータに基づいて心臓性肺浮腫を検出する。心臓性肺浮腫が検出されない場合に、低FVC検出器は、FVCパラメータが所定のしきい値FVCパラメータ値未満である時に低FVCを検出する。低FVCが検出される場合に、肺状態検出器は、FVCパラメータとFEVパラメータに基づいて少なくとも閉塞性肺疾患と拘束性肺疾患を検出する。
【0010】
一実施態様で、システムは、埋込み可能医療デバイスと、テレメトリを介して埋込み可能医療デバイスと通信する外部システムとを含む。埋込み可能医療デバイスは、1つまたは複数のセンサと、埋込みプロセッサと、埋込みテレメトリ・モジュールとを含む。1つまたは複数のセンサは、複数の心肺状態を示す1つまたは複数の信号を感知する。埋込みプロセッサは、1つまたは複数の信号を処理する。埋込みテレメトリ・モジュールは、処理された1つまたは複数の信号を外部システムに送信する。外部システムは、外部テレメトリ・モジュールと、外部プロセッサとを含む。外部テレメトリ・モジュールは、処理された1つまたは複数の信号を受信する。外部プロセッサは、処理された1つまたは複数の信号に基づいて複数の心肺状態を検出するよう心肺状態検出器を含む。心肺状態検出器は、少なくとも心臓性肺浮腫検出器、閉塞性肺疾患検出器、拘束性肺疾患検出器を含む。
【0011】
一実施態様で、心肺状態は、入力として複数の心肺状態を示す信号を使用して自動検出アルゴリズムを実行することによって検出される。このアルゴリズムによれば、心臓性肺浮腫は、少なくとも1つの浮腫を示す信号に基づいて検出される。FVCパラメータとFEVパラメータは呼吸信号から測定される。心臓性肺浮腫が検出されない場合には、閉塞性肺疾患と拘束性肺疾患が、測定されたFVCパラメータと測定されたFEVパラメータに基づいて検出される。
【0012】
一実施態様で、心肺状態を監視する方法が提供される。この方法によれば、複数の心肺状態を示す信号は、埋込み可能センサを使用して感知される。パラメータは、この信号に基づいて作られる。複数の心肺状態が、パラメータに基づいて検出される。複数の心肺状態は、少なくとも心臓性肺浮腫、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患を含む。
【0013】
この要約は、本願の教示の一部の概要であって、本主題の排他的なまたは網羅的な論じ方であることを意図されたものではない。本主題に関するさらなる詳細は、「発明を実施するための最良の形態」および添付の「特許請求の範囲」にある。本発明の他の態様は、次の詳細な説明を読み、理解し、その一部を形成する図面を見る時に、当業者に明白になるであろう。次の詳細な説明および図面のそれぞれは、制限的な意味で解釈してはならない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその同等物によって定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図面は、全般的に、制限ではなく例として、本文書で述べるさまざまな実施形態を示す。図面は、例示のみのためのものであり、原寸通りではなく、解剖学的に正確でもない。
【0015】
次の詳細な説明では、添付図面を参照するが、これらの添付図面は、本明細書の一部を形成し、これらの添付図面には、本発明を実践できる特定の実施形態が例として示されている。これらの実施形態を、当業者が本発明を実践できるようにするのに十分に説明するが、これらの実施形態を組み合わせることができること、または他の実施形態を利用できることと、本発明の趣旨と範囲から逸脱せずに構造的変更、論理的変更、電気的変更を行えることを理解されたい。次の詳細な説明は、例を提供し、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその同等物によって定義される。
【0016】
本開示での「1つの」または「さまざまな」実施形態への参照が、必ずしも同一の実施形態を参照せず、そのような参照が、複数の実施形態を企図していることに留意されたい。
【0017】
本文書では、とりわけ、埋込み可能医療デバイスに組み込まれたまたはこれに結合された1つまたは複数の埋込み可能センサを使用して心肺共存症を有する心不全患者を監視する方法およびシステムを論じる。この監視に、連続的なまたは周期的な基礎で感知された信号に基づく鑑別診断による心肺障害の検出が含まれる。検出の結果は、療法の開始、停止、調整、最適化などの処置判断を行うための基礎として働く。
【0018】
本文書では、「心臓性肺浮腫」は、心不全からもたらされる肺浮腫を指し、心臓性肺浮腫または心臓性肺浮腫の指標を含む。
【0019】
本文書では、「ユーザ」は、本文書で述べる方法および装置のうちの1つまたは複数を使用して患者を診査し、かつ/または処置する医師または介護者を含む。
【0020】
本文書では、「努力肺活量量(FVC)パラメータ」は、FVCの測定値であるパラメータを含み、「最大努力呼気肺活量(FEV)パラメータ」は、FEVの測定値であるパラメータを含む。一実施形態で、FVCパラメータは、FVCの直接測定値であり、FEVパラメータは、FEVの直接測定値である。そのような直接測定値は、たとえば、肺活量計を使用して呼吸量を測定することによって得られる。もう1つの実施形態で、FVCパラメータはFVCの推定値であり、FEVパラメータはFEVの推定値である。そのような推定値は、たとえば、呼吸パターンと活動を示す胸部インピーダンス(thoracic impedance)信号に対して実行される測定によって得られる。この実施形態では、FVCパラメータは、FVCを表すか示すのに使用され、FEVパラメータは、FEVを表すか示すのに使用される。もう1つの実施形態で、FVCパラメータとFEVパラメータは、FVC対FEV比またはFEV対FVC比の計算または推定をもたらす、測定されたパラメータである。下の説明では、「FVC」が、FVCまたはFVCパラメータを含み、「FEV」が、FEVまたはFEVパラメータを含む。用語「しきい値FVC」は、しきい値FVCパラメータ値を含む。
【0021】
図1A〜Cに、心肺状態を検出する方法の一実施形態を示す流れ図を示す。この方法は、鑑別診断プロセスによって心臓性肺浮腫、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患を検出する。一実施形態で、図1A〜Cの方法は、自動検出アルゴリズムとして実現される。特定の一実施形態で、この自動検出アルゴリズムは、コンピュータベース・システムのハードウェアとソフトウェアの組合せによって実行される。もう1つの特定の実施形態で、この自動検出アルゴリズムは、コンピュータまたは他のコンピュータ化されたデバイスによって実行可能なプログラムとして実施される。一実施形態で、このプログラムは、コンピュータ化された医療デバイスシステム内でのインストールを可能にするためにコンピュータ可読媒体に保管される。一実施形態で、この自動検出アルゴリズムの実行の結果は、療法の開始、停止、調整、最適化などの処置判断を行うための基礎として働く。もう1つの実施形態で、療法は、継続的な基礎でのこの自動検出アルゴリズムの実行の結果に基づいて最適化される。もう1つの実施形態で、療法は、周期的な基礎でなど、所定のスケジュールでのこの自動検出アルゴリズムの実行の結果に基づいて最適化される。療法に、薬物療法、電気療法、生物学的療法、またはこれらの任意の組合せなど、検出された心肺状態のうちの1つまたは複数を処置する任意の療法または療法の組合せが含まれる。
【0022】
100で、心肺状態を示す信号および/またはパラメータを受け取る。一実施形態で、これらの信号は、埋込み可能センサによって感知される。もう1つの実施形態で、埋込み可能センサは、埋込み可能医療デバイスに接続されるか、これに含まれる。パラメータは、心肺状態の検出のためにこれらの信号から導出される。
【0023】
102で、呼吸困難を検出する。一実施形態で、呼吸困難は、呼吸信号と活動信号に基づいて検出される。埋込み可能インピーダンス・センサによって感知されるインピーダンス信号などの呼吸信号は、患者の肺容量を示し、この肺容量は、呼吸サイクル(息)に伴って、したがって呼吸パターンに伴って周期的に変化する。一実施形態で、呼吸信号は、分時呼吸量(minute-ventilation、MV)インピーダンス信号であり、このMVインピーダンス信号は、1回呼吸量と呼吸数を示す、処理された胸部インピーダンス信号である。MVは、1回呼吸量(各呼吸サイクル中に吐き出される空気)と呼吸数(1分あたりの呼吸サイクル数)の積である。胸部インピーダンス信号は、埋込み可能インピーダンス・センサによって感知される。埋込み可能加速度計によって感知される加速度信号などの活動信号は、患者の総身体活動レベルを示す。呼吸困難は、呼吸信号がすばやく浅い息を示し、活動信号が、そのすばやく浅い息が患者の身体活動に実質的に関連しないことを示す時に検出される。一実施形態で、呼吸困難を検出するために、105で、1つまたは複数の低い1回呼吸量/呼吸数比、高い吸気時間/総呼吸時間比、および高い呼吸数を検出する。1回呼吸量は、各呼吸サイクル中に吐かれる空気の体積として呼吸信号から測定される。呼吸数は、呼吸信号で示される、1分あたりの呼吸サイクル数から計算される。低い1回呼吸量/呼吸数比は、測定された1回呼吸量/呼吸数比が所定のしきい値比未満の時に検出される。吸気時間は、呼吸サイクルの吸気相の時間間隔として呼吸信号から測定される。呼気時間は、呼吸サイクルの呼気相の時間間隔として呼吸信号から測定される。高い吸気時間/総呼吸時間比は、高い吸気/呼気比とも称するが、吸気時間/総呼気時間比が所定のしきい値比を超える時に検出される。高い呼吸数は、測定された呼吸数が所定のしきい値レートを超える時に検出される。これらの状態のうちの少なくとも1つの検出が105で示される場合に、106で、測定された1回呼吸量を所定のしきい値1回呼吸量と比較することによって、低い1回呼吸量を検出する。106で、低い1回呼吸量の検出が示される場合には、108で呼吸困難の検出を示す。低い1回呼吸量の検出が106で示されない場合には、107で、低い活動レベルを検出する。低い活動レベルは、活動信号によって示される患者の総身体活動レベルが、静止状態を表す所定のしきい値レベル未満である時に検出される。低い活動レベルの検出が107で示される場合に、これは、患者が実質的に非活動であることを示し、108で呼吸困難の検出が示される。
【0024】
もう1つの実施形態で、呼吸困難は、心肺状態の検出のプロセスをトリガするコマンドを受け取ることによって検出される。たとえば、このコマンドは、患者の身体的感覚に基づいてその患者によって、または患者を観察するか診査する別の人によって入力される。一実施形態で、呼吸困難は、上で述べたように呼吸信号および/または活動信号に基づいて自動的に、あるいは感覚または観察に基づいて人間によってのいずれかで検出される。
【0025】
108に示された呼吸困難の検出では、110で、心臓性肺浮腫を検出する。一実施形態で、心臓性肺浮腫は、埋込み可能センサによって感知される1つまたは複数の信号に基づいて検出される。この1つまたは複数の信号のそれぞれが、1つまたは複数の心肺状態を示す。もう1つの実施形態では、心臓性肺浮腫は、埋込み可能センサによって感知される1つまたは複数の信号に基づいてそれぞれが作られる1つまたは複数のパラメータに基づいて検出される。特定の一実施形態では、心臓性肺浮腫は、115で、心拍数変動(HRV)低いことを検出することによって、すなわち、測定されたHRVが所定のしきい値HRVより低い時または測定されたHRVの減少が所定のマージンを超える時に検出される。もう1つの特定の実施形態では、心臓性肺浮腫は、115で、高い超低周波数(VLF)HRVを検出することによって、すなわち、測定されたVLF HRVが所定のVLF HRVしきい値より高い時に検出される。VLF HRVには、HRVのうちで、約0.0033Hzと0.04Hzの間の周波数を有する成分が含まれる。高いVLF HRVは、周期性変動呼吸を暗示する。もう1つの特定の実施形態では、心臓性肺浮腫は、115で、高周波数(HF)HRVに対する低周波数(LF)HRVの高い比を検出することによって、すなわち、LF−HRV/HF−HRV比が所定のしきい値比を超える時に検出される。LF HRVは、HRVのうちで約0.04Hzと0.15Hzの間の周波数を有する成分を含む。HF HRVは、HRVのうちで約0.15Hzと0.40Hzの間の周波数を有する成分を含む。LF−HRV/HF−HRV比は、自律神経系のバランスのシフトの傾向を追跡するのに使用される。LF−HRV/HF−HRV比の実質的な変化は、交感神経系が過剰に刺激されている度合を示す全身性ストレス(systemic stress)の変化を示す。もう1つの特定の実施形態では、心臓性肺浮腫は、115で、高い超低周波数(VLF)インピーダンスを検出することによって、すなわち、VLFインピーダンスが所定のしきい値VFLインピーダンスを超える時に検出される。VLFインピーダンスは、埋込み可能インピーダンス・センサによって感知された胸部インピーダンス信号のVLF成分を含み、周期性変動呼吸を暗示する。このVLF成分は、約0.0033Hzから0.016Hzまでの周波数範囲内にある。もう1つの特定の実施形態では、心臓性肺浮腫は、115で、高い第三心音(S3)振幅を検出することによって、すなわち、S3振幅が所定のしきい値振幅を超える時に検出される。S3の実質的な存在は、心不全を示す。もう1つの特定の実施形態では、心臓性肺浮腫は、115で、S3インデックスを検出することによって、すなわち、S3インデックスが所定のしきい値レベルを超える時に検出される。S3インデックスは、全心拍動数に対するS3拍動数の比または比の推定値であり、ここで、S3拍動は、それぞれ、S3の発生がその間に検出された心拍動である。これは、心不全を示すのに使用されるS3存在の頻度の測定値である。もう1つの特定の実施形態では、心臓性肺浮腫は、115で、直流(DC)インピーダンスを検出することによって、すなわち、DCインピーダンスが所定のしきい値DCインピーダンス未満である時に検出される。DCインピーダンスは、埋込み可能インピーダンス・センサによって感知された胸部インピーダンスのDC(および/または超低周波)成分を含み、肺体液状態を示す。一実施形態で、心臓性肺浮腫は、低いHRV、高いVLF HRV、高いLF−HRV/HF HRV比、高いVLFインピーダンス、高いS3振幅、高いS3インデックス、低いDCインピーダンスのうちの1つを検出することによって検出される。これらの状態のうちの1つが115で検出された後に、116で、心臓性肺浮腫の検出が示される。もう1つの実施形態では、心臓性肺浮腫は、115で、低いHRV、高いVLF HRV、高いLF−HRV/HF HRV比、高いVLFインピーダンス、高いS3振幅、高いS3インデックス、低いDCインピーダンスのうちの複数を検出することによって検出される。特定の一実施形態で、満場一致の投票または過半数の投票が、116で心臓性肺浮腫の検出を示すかどうかを決定する。特定の一実施形態で、重み付きの投票が、116で心臓性肺浮腫の検出を示すかどうかを決定する。重み付け係数は、低いHRV、高いVLF HRV、高いLF−HRV/HF−HRV比、高いVLFインピーダンス、高いS3振幅、高いS3インデックス、低いDCインピーダンスを含む状態のそれぞれに割り当てられる。これらの状態のそれぞれの検出は、投票において所定の重みを与えられる。
【0026】
115で心臓性肺浮腫が検出されない場合には、120で、低いFVCを検出する。低いFVCは、測定されたFVCが所定のしきい値FVC未満である時に検出される。一実施形態で、FVCは、肺活量測定法信号から測定される。もう1つの実施形態で、FVCは、MVインピーダンス信号など、埋込み可能センサによって感知される呼吸信号から測定される。
【0027】
125で低いFVCが検出される場合には、130で、閉塞性肺疾患を検出し、140で、拘束性肺疾患を検出する。閉塞性肺疾患は、低いFEVN/FVC比を検出することによって、すなわち、測定されたFVCに対する測定されたFEVN(ここで、Nは、FEVが、呼吸サイクルの呼気相が開始してからN秒後に測定されることを示す)の比が、所定の閉塞性肺疾患しきい値比未満になる時に検出される。一実施形態では、FVCとFEVNの両方が、肺活量測定法信号から測定される。もう1つの実施形態では、FVCとFEVNの両方が、MVインピーダンス信号など、埋込み可能センサによって感知される呼吸信号から測定される。135で、低いFEVN/FVC比が検出される場合に、136で、閉塞性疾患(obstructive disease)の検出を示す。一実施形態では、拘束性肺疾患は、145で、高いFEVN/FVC比を検出することによって、すなわち、測定されたFVCに対する測定されたFEVNの比が拘束性肺疾患しきい値比を超える時に検出される。高いFEVN/FVC比が145で検出される場合に、146で、拘束性肺疾患の検出を示す。
【0028】
ステップ105、106、107、115、125、135、145を参照して上で説明した、呼吸困難、心臓性肺浮腫、低いFVC、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患の検出に使用されるしきい値のうちの1つまたは複数は、個別に確立され、患者ごとに調整される。一実施形態で、すべてのしきい値は、システムがある患者について最初に使用され、患者が安定した状態である時に収集されるベースライン・データに基づいて確立される。このベースライン・データは、患者のベースライン状態を表し、状態のさらなる進行に関する基準として使用される。一実施形態で、しきい値のうちの1つまたは複数は、患者が安定した状態であることがわかっている時に周期的に検証され、適当な時に調整される。
【0029】
図2A〜Cに、FVCとFEVNの測定値を示す。図2Aは、正常な肺機能を示す呼吸信号200Aを示すグラフである。図2Bは、閉塞性肺疾患で見られる呼吸パターンを示す呼吸信号200Bを示すグラフである。図2Cは、拘束性肺疾患で見られる呼吸パターンを示す呼吸信号200Cを示すグラフである。図2A〜Cでは、呼吸信号が、それぞれ、肺容量を示す信号であり、この肺容量は、呼吸サイクルに伴って周期的に変化し、呼吸パターンを示す。一実施形態で、呼吸信号200A〜Cは、肺活量計によって感知された肺活量測定法信号である。もう1つの実施形態で、呼吸信号200A〜Cは、埋込み可能インピーダンス・センサによって感知されるMVインピーダンス信号など、埋込み可能センサによって感知される呼吸信号である。FVCは、呼吸サイクル内の呼気相の始めから吸気相の始めまでの肺容量の変化として測定される。図2A〜Cに示されているように、呼吸信号200AのFVCは、点202Aと204Aとの間の肺容量の変化として測定され、呼吸信号200BのFVCは、点202Bと204Bとの間の肺容量の変化として測定され、呼吸信号200CのFVCは、点202Cと204Cとの間の肺容量の変化として測定される。FEVNは、呼気相の始めから始まる所定の時間間隔(N秒)にわたる肺容量の変化として測定される。特定の一実施形態で、図2A〜Cに示されているように、所定の時間間隔は、1.0秒であり、FEV1が測定される。呼吸信号200AのFEV1は、点202Aと206Aとの間の肺容量の変化として測定され、呼吸信号200BのFEV1は、点202Bと206Bとの間の肺容量の変化として測定され、呼吸信号200CのFEV1は、点202Cと206Cとの間の肺容量の変化として測定される。他の実施形態では、FEVNが、呼吸サイクルの始めから3秒または6秒後(すなわち、FEV3またはFEV6)など、他の時に測定され、高いFEVN/FVC比と低いFEVN/FVCを検出するためのしきい値が、それ相応に調整される。
【0030】
図3は、心肺状態を検出する心肺状態検出器300の一実施形態を示すブロック図である。心肺状態検出器300には、パラメータ入力310、しきい値入力312、肺浮腫検出器320、低FVC検出器330、肺状態検出器340が含まれる。肺状態検出器340には、閉塞性肺疾患検出器342および拘束性肺疾患検出器344が含まれる。一実施形態で、心肺状態検出器300には、上で図1A〜Cを参照して述べた自動検出アルゴリズムを実行するコンピュータ化された回路が含まれる。
【0031】
パラメータ入力310は、心肺状態を示すパラメータを受け取る。これらのパラメータは、心肺状態検出器300によって実行される検出に使用される。一実施形態で、これらのパラメータは、埋込み可能センサによって感知される信号に基づいて作られる。もう1つの実施形態で、これらのパラメータは、埋込み可能センサと外部センサの組合せによって感知される。
【0032】
しきい値入力312は、検出器320、330、342、および344によって使用されるしきい値を受け取る。一実施形態で、これらのしきい値のうちの1つまたは複数は、プログラム可能であり、個々の患者ごとに調整される。
【0033】
肺浮腫検出器320は、肺体液状態を示すパラメータを受け取り、この信号を所定のしきい値と比較することによって心臓性肺浮腫を検出する。図4は、肺浮腫検出器320の一実施形態としての肺浮腫検出器420の回路を示すブロック図である。肺浮腫検出器420には、低HRV検出器421、高VLF HRV検出器422、高LF−HRV/HF−HRV比検出器423、高VLFインピーダンス検出器424、高S3振幅検出器425、高S3インデックス検出器426、低DCインピーダンス検出器427、心臓性肺浮腫インジケータ429が含まれる。低HRV検出器421には、HRVを受け取る第1入力、所定のしきい値HRVを表す第2入力、HRVが所定のしきい値HRVより小さい時またはHRVの減少が所定のマージンを超える時に心臓性肺浮腫の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。高VLF HRV検出器422には、VLF HRVを受け取る第1入力、所定のしきい値VLF HRVを表す第2入力、VLF HRVが所定のしきい値VLF HRVを超える時に心臓性肺浮腫の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。高LF−HRV/HF−HRV比検出器423には、LF−HRV/HF−HRV比を受け取る第1入力、所定のしきい値比を表す第2入力、LF−HRV/HF−HRV比が所定のしきい値比を超える時に心臓性肺浮腫の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。高VLFインピーダンス検出器424には、VLFインピーダンス信号を受け取る第1入力、所定のしきい値VLFインピーダンスを表す第2入力、VLFインピーダンスが所定のしきい値VLFインピーダンスを超える時に心臓性肺浮腫の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。高S3振幅検出器425には、S3振幅を示す信号を受け取る第1入力、所定のしきい値振幅を表す第2入力、S3振幅が所定のしきい値振幅を超える時に心臓性肺浮腫の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。高S3インデックス検出器426には、S3インデックスを示す信号を受け取る第1入力と、所定のしきい値インデックス・レベルを表す第2入力とを含み、かつ、S3インデックスが所定のしきい値インデックス・レベルを超える時に心臓性肺浮腫の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。低DCインピーダンス検出器427には、DCインピーダンス信号を受け取る第1入力、所定のしきい値DCインピーダンスを表す第2入力、DCインピーダンスが所定のしきい値DCインピーダンス未満である時に心臓性肺浮腫の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。心臓性肺浮腫インジケータ429は、検出器421〜427のうちの1つまたは複数による検出の結果に基づいて、心臓性肺浮腫の検出を示す。検出器421〜427のうちの複数が検出の結果を作る時に、一実施形態で、心臓性肺浮腫インジケータ429は、検出器のいずれかによって心臓性と検出された場合に心臓性肺浮腫の検出を示す。もう1つの実施形態で、心臓性肺浮腫インジケータ429は、満場一致の投票または過半数の投票に基づいて心臓性肺浮腫の検出を示す。もう1つの実施形態で、心臓性肺浮腫インジケータ429は、重み付き投票に基づいて心臓性肺浮腫の検出を示し、所定の重み係数が、低HRV検出器、高VLF HRV検出器、高LF−HRV/HF−HRV比検出器、高VLFインピーダンス検出器、高S3振幅検出器、高S3インデックス検出器、低DCインピーダンス検出器のそれぞれに割り当てられる。一実施形態で、肺浮腫検出器420は、検出器421〜427のうちの1つまたは複数の選択的アクティブ化についてプログラム可能である。この選択は、パラメータ(HRV、VLF HRV、LF−HRV/HF−HRV比、VLFインピーダンス、S3振幅、S3インデックス、DCインピーダンス)の可用性および/または検出の信頼性に対する医療的判断に基づく。他の実施形態では、肺浮腫検出器420は、検出器421〜427の任意のサブセットと心臓性肺浮腫インジケータ429とを含む。
【0034】
低FVC検出器330は、肺浮腫検出器320が心臓性肺浮腫の検出を示さない場合に、低FVCを検出する。低FVC検出器330は、測定されたFVCを受け取る第1入力と、所定のしきい値FVCを表す第2入力とを有し、測定されたFVCが所定のしきい値FVC未満である時に低FVCを示す出力を有する比較器が含まれる。
【0035】
低FVC検出器330が、低FVCの検出を示す場合に、閉塞性肺疾患検出器342は閉塞性肺疾患を検出し、拘束性肺疾患検出器344は拘束性肺疾患を検出し、この両方とも、FEVN/FVC比という比に基づく。閉塞性肺疾患検出器342は、FEVN/FVC比を受け取る第1入力と所定の閉塞性肺疾患しきい値比を表す第2入力とを有し、かつFEVN/FVC比が所定の閉塞性肺疾患しきい値比未満である時に閉塞性肺疾患の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。拘束性肺疾患検出器344は、FEVN/FVC比を受け取る第1入力、所定の拘束性肺疾患しきい値比を表す第2入力、FEVN/FVC比が所定の拘束性肺疾患しきい値比を超える時に拘束性肺疾患の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。
【0036】
一実施形態で、心肺状態検出器300には、心臓性肺浮腫、低FVC、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患を検出するプロセスをトリガするコマンドを受け取るコマンド・レシーバが含まれる。一実施形態で、このコマンドは、患者、医師、または他の介護者などの人によって入力される。もう1つの実施形態で、心肺状態検出器300には、呼吸困難の検出時にコマンドを作る呼吸困難検出器が含まれる。一実施形態で、この呼吸困難検出器は、呼吸パラメータと活動レベル・パラメータを受け取って、患者が実質的に静止状態である時にすばやく浅い息を検出する。特定の一実施形態で、呼吸パラメータは、埋込み可能インピーダンス・センサによって感知されるMVインピーダンスであり、活動レベル・パラメータは、埋込み可能加速度計によって感知される加速度信号から導出される。
【0037】
図5は、心肺状態検出器300を含む心肺状態検出システム500の一実施形態を示すブロック図である。システム500には、1つまたは複数のセンサによって感知された信号を受け取る信号入力502と、受け取られた信号に基づいて、心肺状態検出器300によって使用されるパラメータを作る信号プロセッサ504とが含まれる。しきい値回路506は、心肺状態の検出で使用されるしきい値を心肺状態検出器300に供給する。一実施形態で、信号入力502は、埋込み可能センサから信号を受け取る。特定の一実施形態で、埋込み可能センサは、1つの埋込み可能医療デバイスに含まれ、かつ/またはこれに接続される。もう1つの実施形態で、信号入力502は、埋込み可能センサと外部センサの両方から信号を受け取る。
【0038】
一実施形態で、システム500は、上で図1A〜Cを参照して述べた自動検出アルゴリズムの機能に加えて、信号を処理し、パラメータを作成することを含む自動検出アルゴリズムを実行することによって動作する。システム500は、心肺状態を示す信号を受け取り、受け取った信号を入力として使用して自動検出アルゴリズムを実行することによって心肺状態を検出する。心肺状態には、少なくとも、心臓性肺浮腫、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患が含まれる。
【0039】
信号入力502には、どのパラメータが心肺状態検出器300によって実行される検出に使用されるかに応じて、心臓信号入力、インピーダンス信号入力、心音信号入力、活動信号入力、肺活量測定法信号入力のうちの1つまたは複数が含まれるが、これらに限定はされない。心臓信号入力は、HRVを示す1つまたは複数の信号を受け取る。一実施形態で、心臓信号には、電位図感知回路を有する埋込み可能医療デバイスによって感知された1つまたは複数の電位図が含まれる。もう1つの実施形態で、心臓信号には、1つまたは複数の電位図から検出された心臓の脱分極を表すイベント・マーカーが含まれる。インピーダンス信号入力は、分時呼吸量(肺容量、呼吸パターン)、周期性変動呼吸、肺体液状態のうちの1つまたは複数をそれぞれが示す1つまたは複数のインピーダンス信号を受け取る。一実施形態で、この1つまたは複数のインピーダンス信号には、埋込み可能インピーダンス・センサによって感知される胸部インピーダンス信号が含まれる。心音入力は、少なくともS3を示す1つまたは複数の心音信号を受け取る。一実施形態で、この1つまたは複数の心音信号には、埋込み可能加速度計によって感知された心臓の機械的活動を示す加速度信号が含まれる。もう1つの実施形態で、この1つまたは複数の心音信号には、埋込み可能マイクロホンによって感知された音響信号が含まれる。活動信号入力は、患者の総身体活動レベルを示す活動信号を受け取る。一実施形態で、活動信号に、埋込み可能加速度計によって感知された加速度信号が含まれる。肺活量測定法信号入力は、外部肺活量計によって感知された肺容量を示す肺活量測定法信号を受け取る。
【0040】
信号プロセッサ504は、信号入力502によって受け取られた信号を処理することによって、心肺状態検出器300によって実行される検出のために選択されたパラメータを作る。信号プロセッサ504には、HRVプロセッサ、インピーダンス・プロセッサ、心音プロセッサ、活動信号プロセッサ、呼吸信号プロセッサのうちの1つまたは複数が含まれる。
【0041】
HRVプロセッサは、HRV、VLF HRV、LF−HRV/HF−HRV比のうちの1つまたは複数を作る。一実施形態で、HRVプロセッサは、HRV測定モジュール、VLF HRVジェネレータ、LF HRVジェネレータ、HF HRVジェネレータ、LF−HRV/HF−HRV比カリキュレータを含む。HRV測定モジュールは、1つまたは複数の電位図に基づいてHRVを測定する。VLF HRVジェネレータは、HRVのうちで約0.0033〜0.04HzのVLF周波数帯内の成分を抽出することによってVLF HRVを作る。一実施形態で、VLF HRVジェネレータには、時間領域信号としてVLF HRVを作るためにフィルタが含まれる。もう1つの実施形態では、VLF HRVジェネレータは、VLF周波数帯内に分布するパワーとしてVLF HRVを作るためにスペクトル・アナライザを含む。LF HRVジェネレータは、HRVのうちで約0.04〜0.15HzのLF周波数帯内の成分を抽出することによってLF HRVを作る。一実施形態で、LF HRVジェネレータには、時間領域信号としてLF HRVを作るためにフィルタが含まれる。もう1つの実施形態では、LF HRVジェネレータは、LF周波数帯内に分布するパワーとしてLF HRVを作るためにスペクトル・アナライザを含む。HF HRVジェネレータは、HRVのうちで約0.15〜0.40HzのHF周波数帯内の成分を抽出することによってHF HRVを作る。一実施形態で、HF HRVジェネレータには、時間領域信号としてHF HRVを作るためにフィルタが含まれる。もう1つの実施形態では、HF HRVジェネレータは、HF周波数帯内に分布するパワーとしてHF HRVを作るためにスペクトル・アナライザを含む。LF−HRV/HF−HRV比カリキュレータは、LF HRVをHF HRVによって割ることによって、LF−HRV/HF−HRV比を計算する。
【0042】
インピーダンス・プロセッサは、1つまたは複数のインピーダンス信号に基づいて、MVインピーダンス、DCインピーダンス、VLFインピーダンスを作る。一実施形態で、インピーダンス・プロセッサには、分時呼吸量を示すMVインピーダンスを作るMVインピーダンス・ジェネレータと、周期性変動呼吸を暗示するVLFインピーダンスを作るVLFインピーダンス・ジェネレータと、肺体液状態を示すDCインピーダンスを作るDCインピーダンス・ジェネレータとが含まれ、これらのすべてが、埋込み可能インピーダンス・センサによって感知された胸部インピーダンス信号から、これらのインピーダンスを作る。VLFインピーダンス・ジェネレータは、胸部インピーダンス信号のうちで約0.0033〜0.016HzのVLF周波数帯内の成分を抽出することによってVLFインピーダンスを作る。一実施形態で、VLFインピーダンス・ジェネレータには、時間領域信号としてVLFインピーダンスを作るためにフィルタが含まれる。もう1つの実施形態では、VLFインピーダンス・ジェネレータは、VLF周波数帯内に分布するパワーとしてVLFインピーダンスを作るためにスペクトル・アナライザを含む。DCインピーダンス・ジェネレータは、胸部インピーダンス信号のDC(または超低周波数)成分を抽出することによってDCインピーダンスを作る。一実施形態で、DCインピーダンス・ジェネレータには、時間領域信号としてDCインピーダンスを作るためにフィルタが含まれる。もう1つの実施形態では、DCインピーダンス・ジェネレータは、VLF周波数帯内に分布するパワーとしてDCインピーダンスを作るためにスペクトル・アナライザを含む。
【0043】
心音プロセッサには、S3検出器とS3分析器が含まれる。S3検出器は、1つまたは複数の心音信号からS3を検出する。S3検出器の例が、Cardiac Pacemakers,Inc.社に譲渡された、2003年12月24日出願の米国特許出願第10/746,853号、「METHOD AND APPARATUS FOR THIRD HEART SOUND DETECTION」に記載されており、この出願書は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれている。S3分析器には、S3振幅測定モジュールとS3インデックス・トレンディング・モジュールのうちの1つまたは複数が含まれる。S3振幅測定モジュールは、S3の検出された発生に基づいてS3振幅を測定する。一実施形態で、S3振幅測定モジュールは、所定の個数のS3の振幅を測定し、平均S3振幅としてS3振幅を計算する。もう1つの実施形態では、S3振幅測定モジュールが、所定の時間間隔にわたってS3の振幅を測定し、平均S3振幅としてS3振幅を計算する。S3インデックス・トレンディング・モジュールは、すべての心拍動数に対するS3拍動数の比または比の推定値としてS3インデックスを作り、ここで、S3拍動は、それぞれ、S3の発生がその間に検出される心拍動である。システム・トレンディングS3インデックスの例が、Cardiac Pacemakers,Inc.社に譲渡された、2003年12月24日出願の米国特許出願第10/746,874号、「A THIRD HEART SOUND ACTIVITY INDEX FOR HEART FAILURE MONITORING」に記載されており、この出願書は、参照によってその全体を本明細書に組み込まれている。
【0044】
活動信号プロセッサは、活動信号から活動レベルを導出する。一実施形態で、デュアルユース・センサが、心音信号と活動信号の両方を、単一の加速度計を使用して感知する。単一の加速度計を含むそのようなデュアルユース・センサの例が、Cardiac Pacemakers,Inc.社に譲渡された、2003年11月6日出願の米国特許出願第10/703,175号、「DUAL−USE SENSOR FOR RATE RESPONSIVE PACING AND HEART SOUND MONITORING」に記載されており、この出願書は、参照によってその全体を本明細書に組み込まれている。
【0045】
呼吸パラメータ・ジェネレータは、FVC測定モジュール、FEV測定モジュール、呼吸比カリキュレータを含む。FVC測定モジュールはFVCを測定し、FEV測定モジュールはFEVNを測定し、この両方が、MVインピーダンス信号と肺活量測定法信号のうちの少なくとも1つである呼吸信号から測定される。FEV測定モジュールは、呼気相の始めを基準とする所定の時間(N)にFEVNを測定するためにプログラム可能である。一実施形態で、FVC測定モジュールとFEV測定モジュールは、活動信号プロセッサから活動レベルを受け取り、活動レベルが実質的な静止状態を表す所定のしきい値レベル未満である時に測定を実行する。呼吸比カリキュレータはFEVN/FVC比を計算する。
【0046】
しきい値回路506は、心肺状態検出器300によって使用されるしきい値を供給する。一実施形態で、しきい値回路506には、初期しきい値保管回路、しきい値レシーバ、現在しきい値レジスタが含まれる。初期しきい値保管回路は、心肺状態検出器300によって実行される検出に必要なすべてのしきい値のデフォルト値の完全なセットを保管する。しきい値レシーバは、個々の患者ごとに入力されるしきい値を受け取る。現在しきい値レジスタは、デフォルト値の完全なセットを用いて初期化され、個々の患者についてしきい値レシーバによって受け取られたしきい値を用いて更新される。個々の患者ごとのしきい値は、ユーザおよび/または自動化しきい値評価システムによって入力される。一実施形態で、自動化しきい値評価システムは、必要が検出されるか他の形で示される時に、1つまたは複数のしきい値を動的に調整する。
【0047】
図6は、心肺共存症を有する心不全患者を監視するシステム600の一実施形態とこのシステム600が使用される環境の諸部分の図である。システム600は、埋込み可能システム605と外部システム655を含み、さらに埋込み可能システム605と外部システム655との間の通信をもたらすテレメトリ・リンク640を含む。
【0048】
埋込み可能システム605は、とりわけ、埋込み可能医療デバイス610とリード・システム608を含む。さまざまな実施形態で、埋込み可能医療デバイス610は、ペースメーカ、電気的除細動器/除細動器、心臓再同期療法(CRT)デバイス、カーディアック・リモデリング・コントロール・セラピ(RCT)デバイス、ドラッグ・デリバリ・デバイスまたはドラッグ・デリバリ・コントローラ、生物学的療法デバイスのうちの1つまたは複数を含む埋込み可能なカーディアック・リズム・マネジメント(cardiac rhythm management、CRM)デバイスである。一実施形態で、埋込み可能医療デバイス610には、心肺状態検出器300によって実行される検出に使用される信号を感知する埋込み可能センサが含まれる。もう1つの実施形態では、埋込み可能医療デバイス610とリード・システム608のそれぞれが、1つまたは複数の埋込み可能センサを含む。図6に示されているように、埋込み可能医療デバイス610は、身体602に埋め込まれる。リード・システム608は、埋込み可能医療デバイス610と心臓601との間を接続する。さまざまな実施形態で、リード・システム608には、生理学的信号を感知し、ペーシング・パルス、電気的除細動ショック/除細動ショック、および/または薬剤もしくは他の物質を送るリードが含まれる。一実施形態で、少なくとも1つの埋込み可能センサが、心臓601の中またはその近くでの配置のためにリード・システム608のリードに組み込まれる。
【0049】
一実施形態で、外部システム655は、外部デバイス650、ネットワーク660、リモート・デバイス670を含む患者管理システムである。外部デバイス650は、埋込み可能医療デバイス610の付近にあり、テレメトリ・リンク640を介して両方向で埋込み可能医療デバイス610と通信する。リモート・デバイス670は、離れた位置にあり、ネットワーク660を介して両方向で外部デバイス650と通信する。したがって、ユーザは離れた位置から患者を監視し、処置することができる。もう1つの実施形態で、外部システムには、テレメトリ・リンク640を介して両方向で埋込み可能医療デバイス610と通信するプログラマが含まれる。
【0050】
システム600は、心肺共存症を有する心不全患者を監視する心肺状態検出システム500を含む。処置には、薬物療法、電気療法(ペーシング、CRT、RCTなど)、生物学的療法のうちの1つまたは複数が含まれるが、これらに限定はされない。システム600の心肺状態検出システム500の分配は、各システム構成要素のサイズや電力消費、さまざまな位置からのさまざまなセッティングでの患者の監視の能力など、設計と患者管理の考慮事項に依存する。一実施形態では、埋込み可能医療デバイス610に、システム500全体が含まれる。もう1つの実施形態では、外部システム655に、システム500全体が含まれる。もう1つの実施形態では、埋込み可能医療デバイス610に、信号入力502が含まれ、外部システム655に、信号プロセッサ504、しきい値回路506、および心肺状態検出器300が含まれる。もう1つの実施形態では、埋込み可能医療デバイス610に、信号入力502と信号プロセッサ504が含まれ、外部システム655に、しきい値回路506と心肺状態検出器300が含まれる。もう1つの実施形態では、埋込み可能医療デバイス610に、信号入力502と信号プロセッサ504の一部とが含まれ、外部システム655に、信号プロセッサ504の他の部分、しきい値回路506と心肺状態検出器300が含まれる。もう1つの実施形態では、埋込み可能医療デバイス610が、信号入力502と信号プロセッサ504の一部を含み、外部システム655が、信号入力502と信号プロセッサ504との他の部分、しきい値回路506、心肺状態検出器300を含む。外部システム655が患者管理システムである特定の一実施形態では、リモート・デバイス670が心肺状態検出器300を含む。
【0051】
図7は、システム600の回路の一実施形態を示すブロック図である。この回路は、システム500のさまざまな実施形態を含む。
【0052】
埋込み可能システム605には、センサ720、埋込みプロセッサ730、埋込みテレメトリ・モジュール742が含まれる。一実施形態で、センサ720、埋込みプロセッサ730、埋込みテレメトリ・モジュール742は、埋込み可能医療デバイス610に含まれる。もう1つの実施形態で、センサ720のうちの少なくとも1つのセンサは、埋込み可能医療デバイス610の外にある。外部システム655には、外部テレメトリ・モジュール744と外部プロセッサ780が含まれる。外部プロセッサ780には、心肺状態検出器300が含まれる。肺活量測定法信号が呼吸信号として使用される一実施形態で、システム600に、さらに、肺活量測定法信号を感知するために外部肺活量計が含まれる。一実施形態で、外部肺活量計は、電気的に外部プロセッサ780に接続される。もう1つの実施形態で、外部肺活量計は、テレメトリを介して無線で外部プロセッサ780に接続される。
【0053】
センサ720には、感知回路、インピーダンス・センサ、心音センサ、活動センサのうちの1つまたは複数が含まれる。感知回路は、HRVを示す1つまたは複数の電位図を感知する。インピーダンス・センサは、胸部インピーダンスを感知する。心音センサは、少なくともS3を示す心音信号を検出する。一実施形態では、心音センサに、加速度計が含まれる。もう1つの実施形態では、心音センサに、マイクロホンが含まれる。一実施形態では、心音センサは、埋込み可能医療デバイス610に含まれる。もう1つの実施形態では、心音センサは、リード・システム608のリードに組み込まれる。活動センサは、患者の総身体活動レベルを示す活動信号を感知する。一実施形態では、活動センサに、加速度計が含まれる。もう1つの実施形態では、単一の加速度計が、心音信号と活動信号の両方を感知するデュアルユース・センサとして機能する。
【0054】
埋込みプロセッサ730と外部プロセッサ780には、システム500が含まれる。埋込みプロセッサ730と外部プロセッサ780内のシステム500の構成要素の特定の分配は、特定の設計と患者管理の考慮事項に依存する。一実施形態では、埋込みプロセッサ730に、信号入力502と信号プロセッサ504が含まれ、外部プロセッサ780に、しきい値回路506と心肺状態検出器300が含まれる。もう1つの実施形態では、埋込みプロセッサ730に、信号入力502が含まれ、外部プロセッサ780に、信号プロセッサ504、しきい値回路506、心肺状態検出器300が含まれる。もう1つの実施形態では、埋込みプロセッサ730に、信号入力502と信号プロセッサ504の一部とが含まれ、外部プロセッサ780に、信号プロセッサ504の他の部分、しきい値回路506、心肺状態検出器300が含まれる。もう1つの実施形態では、埋込みプロセッサ730に、信号入力502と信号プロセッサ504との一部が含まれ、外部プロセッサ780に、信号入力502と信号プロセッサ504との他の部分、しきい値回路506、心肺状態検出器300が含まれる。埋込みプロセッサ730と外部プロセッサ780の両方に信号プロセッサ504の一部が含まれる特定の一実施形態では、埋込みプロセッサ730に、HRV測定モジュール、インピーダンス・プロセッサ、心音プロセッサ、活動信号プロセッサのうちの1つまたは複数が含まれ、外部プロセッサに、S3アナライザと呼吸パラメータ・ジェネレータのうちの1つまたは複数が含まれる。
【0055】
埋込みテレメトリ・モジュール742と外部テレメトリ・モジュール744は、テレメトリ・リンク640をサポートする。テレメトリ・リンク640は、無線両方向データ伝送リンクである。一実施形態で、テレメトリ・リンク640は、埋込みテレメトリ・モジュール742に接続されたコイルと外部テレメトリ・モジュール744に接続されたコイルという2つのコイルが互いに近くに置かれる時に形成される誘導結合である。この実施形態では、患者またはユーザは、外部デバイス650に接続されたコイルを、埋込み可能医療デバイス610の上の位置で身体602の上に置く。もう1つの実施形態では、テレメトリ・リンク640は、遠距離電磁界無線周波数テレメトリ・リンクであり、埋込み可能医療デバイス610と外部デバイス650が少なくとも10フィートのテレメトリ範囲で通信することを可能にする。一実施形態で、埋込みテレメトリ・モジュール742は、心肺状態を示す1つまたは複数の信号および/またはパラメータを送信し、外部テレメトリ・モジュール744は、これらの信号および/またはパラメータを受信する。
【0056】
図8は、心肺共存症を有する心不全患者を監視する方法の一実施形態を示す流れ図である。一実施形態で、この方法は、システム600によって実行される。
【0057】
800で、複数の心肺状態を示す信号を感知する。これらの感知された信号に基づいて、810で、複数の心肺状態を示すパラメータを作る。820で、自動検出アルゴリズムを実行して、これらのパラメータに基づいて複数の心肺状態を検出する。この複数の心肺状態には、少なくとも心臓性肺浮腫、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患が含まれる。一実施形態で、この自動検出アルゴリズムは、上で図1A〜Cを参照して述べた方法を実行する。
【0058】
システム600を使用する特定の一実施形態で、センサ720は、800で信号を感知する。埋込みプロセッサ730および/または外部プロセッサ780は、810でパラメータを作る。心肺状態検出器300は、自動検出アルゴリズムを実行して、パラメータに基づいて心臓性肺浮腫、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患を検出する。
【0059】
上の詳細な説明が、例示的であることを意図され、制限的ではないことを理解されたい。たとえば、心臓性肺浮腫、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患を含む心肺状態を検出する方法を、埋込み可能センサを使用せずに実施することができる。鑑別診断目的で埋込み可能システムと外部システムの組合せを使用する方法は、心肺状態の診断に限定されない。本文書で述べたシステム構成要素のすべての可能な置換を含む他の実施形態は、上の説明を読み、理解した時に、当業者に明白になるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、その特許請求の範囲が資格を与えられる同等物の範囲全体と共に参照することによって判定されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1A】心肺状態を検出する方法の一実施形態を示す流れ図である。
【図1B】心肺状態を検出する方法の一実施形態を示す流れ図である。
【図1C】心肺状態を検出する方法の一実施形態を示す流れ図である。
【図2A】正常な肺機能を示す呼吸信号を示すグラフである。
【図2B】閉塞性肺疾患を示す呼吸信号を示すグラフである。
【図2C】拘束性肺疾患を示す呼吸信号を示すグラフである。
【図3】心肺状態検出器の一実施形態を示すブロック図である。
【図4】心肺状態検出器の一部である肺浮腫検出器の一実施形態を示すブロック図である。
【図5】心肺状態検出器を含む心肺状態検出システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図6】心肺共存症を有する心不全患者を監視するシステムの一実施形態およびこのシステムが使用される環境の諸部分を示す図である。
【図7】図6のシステムの回路の一実施形態を示すブロック図である。
【図8】心肺共存症を有する心不全患者を監視する方法の一実施形態を示す流れ図である。
【関連出願】
【0001】
(優先権の主張)
2004年7月23日出願の米国特許出願第10/897,856号に対する優先権の利益が主張され、この米国特許出願第10/897,856号は、参照によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、同時係属であり本願の譲受人に譲渡された、2003年7月2日出願の米国特許出願第10/612,387号、「IMPLANTABLE DEVICES AND METHODS USING FREQUENCY−DOMAIN ANALYSIS OF THORACIC SIGNAL」、2003年11月6日出願の米国特許出願第10/703,175号、「DUAL−USE SENSOR FOR RATE RESPONSIVE PACING AND HEART SOUND MONITORING」、2003年12月24日出願の米国特許出願第10/746,853号、「METHOD AND APPARATUS FOR THIRD HEART SOUND DETECTION」、および2003年12月24日出願の米国特許出願第10/746,874号、「A THIRD HEART SOUND ACTIVITY INDEX FOR HEART FAILURE MONITORING」に関連し、これらの特許出願は、参照によってその全体を組み込まれている。
【技術分野】
【0003】
本文書は、全般的には患者監視システムに関し、限定としてではなく、具体的には、心肺共存症を有する心不全患者の処置を監視するシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
心臓は、個人の循環系の中心である。心臓には、2つの主要なポンピング機能を実行する電気機械系が含まれる。心臓の左部分は、酸素を与えられた血液を肺から吸い出し、身体の器官にポンピングして、酸素に関する代謝の必要を器官に提供する。心臓の右部分は、酸素を除去された血液を器官から吸い出し、肺にポンピングし、肺では、血液に酸素が与えられる。正常な心臓では、洞房結節すなわち心臓の天然のペースメーカが、活動電位と称する電気パルスを生成し、この活動電位が、電気伝導系を介して心臓のさまざまな部位に伝播して、それらの部位の心筋組織を興奮させる。正常な電気伝導系での電気インパルスの伝播における調整された遅延によって、ポンピング機能が効率的に実行されるように、心臓のさまざまな部位が同期して収縮する。
【0005】
ブロックされるか他の形で損傷を受けた電気伝導系は、心筋の不規則な収縮すなわち、一般に不整脈と称する状態を引き起こす。不整脈は、心臓のポンピング効率を低下させ、したがって、身体への血流量を減らす。弱った心筋によって収縮性が低下し、これも、減少した血流量をもたらす。心不全患者は、通常、損傷を受けた電気伝導系と弱った心筋の両方を患う。減少した血流量は、さまざまな身体器官への不十分な血液供給をもたらし、これらの器官が正しく機能するのを妨げ、さまざまな徴候を引き起こす。たとえば、代償性心不全を病む患者は、腎臓への不十分な血液供給によって、異常な体液うっ滞や高い中央血管圧(central vascular pressure)となり、したがって、心臓性肺浮腫ならびに他の器官の浮腫となる。
【0006】
心臓性肺浮腫は、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む閉塞性肺疾患などの肺疾患を伴う一般的な症状を共有する。そのような一般的な症状に、呼吸困難、喘鳴、呼吸の短さ(shortness of breathing)が含まれる。心肺共存症を有する心不全患者の安全で効果的な処置は、喘息やCOPDなどの肺疾患からの心臓性肺浮腫の分化に依存する。たとえば、ベータブロッカ(または、交感神経ベータ遮断薬、医薬品)は、心筋酸素消費量を減らし、改善された心機能状態をもたらすことによって心不全を処置するのに使用される。しかし、ベータブロッカは、肺の状態を潜在的に悪化させることを含む副作用があることでも知られている。したがって、喘息またはCOPDをも病んでいる心不全患者は、ベータブロッカを服用している間に監視されなければならない。診療室での患者の診察は、心不全患者が喘息をも病んでいるかどうかの診断をもたらすが、ベータブロッカの隔週の滴定は、効率的で効果的な処置に対する難問を提示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記および他の理由から、心肺共存症を有する心不全患者の処置を監視する効率的な方法およびシステムの必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
システムが、複数のセンサによって感知された心肺状態を示す信号を受け取り、それらの信号に基づく心肺状態の監視と自動化された鑑別診断とを提供する。この心肺状態には、心臓性肺浮腫やさまざまな肺疾患が含まれる。
【0009】
一実施態様で、心肺状態を検出するシステムは、パラメータ入力と、肺浮腫検出器と、低努力肺活量量(FVC)検出器と、肺状態検出器とを含む。パラメータ入力は、複数の心肺状態を示すパラメータを受け取る。パラメータは、FVCパラメータ、最大努力呼気肺活量(FEV)パラメータ、および1つまたは複数の浮腫を示すパラメータとを含む。肺浮腫検出器は、1つまたは複数の浮腫を示すパラメータに基づいて心臓性肺浮腫を検出する。心臓性肺浮腫が検出されない場合に、低FVC検出器は、FVCパラメータが所定のしきい値FVCパラメータ値未満である時に低FVCを検出する。低FVCが検出される場合に、肺状態検出器は、FVCパラメータとFEVパラメータに基づいて少なくとも閉塞性肺疾患と拘束性肺疾患を検出する。
【0010】
一実施態様で、システムは、埋込み可能医療デバイスと、テレメトリを介して埋込み可能医療デバイスと通信する外部システムとを含む。埋込み可能医療デバイスは、1つまたは複数のセンサと、埋込みプロセッサと、埋込みテレメトリ・モジュールとを含む。1つまたは複数のセンサは、複数の心肺状態を示す1つまたは複数の信号を感知する。埋込みプロセッサは、1つまたは複数の信号を処理する。埋込みテレメトリ・モジュールは、処理された1つまたは複数の信号を外部システムに送信する。外部システムは、外部テレメトリ・モジュールと、外部プロセッサとを含む。外部テレメトリ・モジュールは、処理された1つまたは複数の信号を受信する。外部プロセッサは、処理された1つまたは複数の信号に基づいて複数の心肺状態を検出するよう心肺状態検出器を含む。心肺状態検出器は、少なくとも心臓性肺浮腫検出器、閉塞性肺疾患検出器、拘束性肺疾患検出器を含む。
【0011】
一実施態様で、心肺状態は、入力として複数の心肺状態を示す信号を使用して自動検出アルゴリズムを実行することによって検出される。このアルゴリズムによれば、心臓性肺浮腫は、少なくとも1つの浮腫を示す信号に基づいて検出される。FVCパラメータとFEVパラメータは呼吸信号から測定される。心臓性肺浮腫が検出されない場合には、閉塞性肺疾患と拘束性肺疾患が、測定されたFVCパラメータと測定されたFEVパラメータに基づいて検出される。
【0012】
一実施態様で、心肺状態を監視する方法が提供される。この方法によれば、複数の心肺状態を示す信号は、埋込み可能センサを使用して感知される。パラメータは、この信号に基づいて作られる。複数の心肺状態が、パラメータに基づいて検出される。複数の心肺状態は、少なくとも心臓性肺浮腫、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患を含む。
【0013】
この要約は、本願の教示の一部の概要であって、本主題の排他的なまたは網羅的な論じ方であることを意図されたものではない。本主題に関するさらなる詳細は、「発明を実施するための最良の形態」および添付の「特許請求の範囲」にある。本発明の他の態様は、次の詳細な説明を読み、理解し、その一部を形成する図面を見る時に、当業者に明白になるであろう。次の詳細な説明および図面のそれぞれは、制限的な意味で解釈してはならない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその同等物によって定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図面は、全般的に、制限ではなく例として、本文書で述べるさまざまな実施形態を示す。図面は、例示のみのためのものであり、原寸通りではなく、解剖学的に正確でもない。
【0015】
次の詳細な説明では、添付図面を参照するが、これらの添付図面は、本明細書の一部を形成し、これらの添付図面には、本発明を実践できる特定の実施形態が例として示されている。これらの実施形態を、当業者が本発明を実践できるようにするのに十分に説明するが、これらの実施形態を組み合わせることができること、または他の実施形態を利用できることと、本発明の趣旨と範囲から逸脱せずに構造的変更、論理的変更、電気的変更を行えることを理解されたい。次の詳細な説明は、例を提供し、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその同等物によって定義される。
【0016】
本開示での「1つの」または「さまざまな」実施形態への参照が、必ずしも同一の実施形態を参照せず、そのような参照が、複数の実施形態を企図していることに留意されたい。
【0017】
本文書では、とりわけ、埋込み可能医療デバイスに組み込まれたまたはこれに結合された1つまたは複数の埋込み可能センサを使用して心肺共存症を有する心不全患者を監視する方法およびシステムを論じる。この監視に、連続的なまたは周期的な基礎で感知された信号に基づく鑑別診断による心肺障害の検出が含まれる。検出の結果は、療法の開始、停止、調整、最適化などの処置判断を行うための基礎として働く。
【0018】
本文書では、「心臓性肺浮腫」は、心不全からもたらされる肺浮腫を指し、心臓性肺浮腫または心臓性肺浮腫の指標を含む。
【0019】
本文書では、「ユーザ」は、本文書で述べる方法および装置のうちの1つまたは複数を使用して患者を診査し、かつ/または処置する医師または介護者を含む。
【0020】
本文書では、「努力肺活量量(FVC)パラメータ」は、FVCの測定値であるパラメータを含み、「最大努力呼気肺活量(FEV)パラメータ」は、FEVの測定値であるパラメータを含む。一実施形態で、FVCパラメータは、FVCの直接測定値であり、FEVパラメータは、FEVの直接測定値である。そのような直接測定値は、たとえば、肺活量計を使用して呼吸量を測定することによって得られる。もう1つの実施形態で、FVCパラメータはFVCの推定値であり、FEVパラメータはFEVの推定値である。そのような推定値は、たとえば、呼吸パターンと活動を示す胸部インピーダンス(thoracic impedance)信号に対して実行される測定によって得られる。この実施形態では、FVCパラメータは、FVCを表すか示すのに使用され、FEVパラメータは、FEVを表すか示すのに使用される。もう1つの実施形態で、FVCパラメータとFEVパラメータは、FVC対FEV比またはFEV対FVC比の計算または推定をもたらす、測定されたパラメータである。下の説明では、「FVC」が、FVCまたはFVCパラメータを含み、「FEV」が、FEVまたはFEVパラメータを含む。用語「しきい値FVC」は、しきい値FVCパラメータ値を含む。
【0021】
図1A〜Cに、心肺状態を検出する方法の一実施形態を示す流れ図を示す。この方法は、鑑別診断プロセスによって心臓性肺浮腫、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患を検出する。一実施形態で、図1A〜Cの方法は、自動検出アルゴリズムとして実現される。特定の一実施形態で、この自動検出アルゴリズムは、コンピュータベース・システムのハードウェアとソフトウェアの組合せによって実行される。もう1つの特定の実施形態で、この自動検出アルゴリズムは、コンピュータまたは他のコンピュータ化されたデバイスによって実行可能なプログラムとして実施される。一実施形態で、このプログラムは、コンピュータ化された医療デバイスシステム内でのインストールを可能にするためにコンピュータ可読媒体に保管される。一実施形態で、この自動検出アルゴリズムの実行の結果は、療法の開始、停止、調整、最適化などの処置判断を行うための基礎として働く。もう1つの実施形態で、療法は、継続的な基礎でのこの自動検出アルゴリズムの実行の結果に基づいて最適化される。もう1つの実施形態で、療法は、周期的な基礎でなど、所定のスケジュールでのこの自動検出アルゴリズムの実行の結果に基づいて最適化される。療法に、薬物療法、電気療法、生物学的療法、またはこれらの任意の組合せなど、検出された心肺状態のうちの1つまたは複数を処置する任意の療法または療法の組合せが含まれる。
【0022】
100で、心肺状態を示す信号および/またはパラメータを受け取る。一実施形態で、これらの信号は、埋込み可能センサによって感知される。もう1つの実施形態で、埋込み可能センサは、埋込み可能医療デバイスに接続されるか、これに含まれる。パラメータは、心肺状態の検出のためにこれらの信号から導出される。
【0023】
102で、呼吸困難を検出する。一実施形態で、呼吸困難は、呼吸信号と活動信号に基づいて検出される。埋込み可能インピーダンス・センサによって感知されるインピーダンス信号などの呼吸信号は、患者の肺容量を示し、この肺容量は、呼吸サイクル(息)に伴って、したがって呼吸パターンに伴って周期的に変化する。一実施形態で、呼吸信号は、分時呼吸量(minute-ventilation、MV)インピーダンス信号であり、このMVインピーダンス信号は、1回呼吸量と呼吸数を示す、処理された胸部インピーダンス信号である。MVは、1回呼吸量(各呼吸サイクル中に吐き出される空気)と呼吸数(1分あたりの呼吸サイクル数)の積である。胸部インピーダンス信号は、埋込み可能インピーダンス・センサによって感知される。埋込み可能加速度計によって感知される加速度信号などの活動信号は、患者の総身体活動レベルを示す。呼吸困難は、呼吸信号がすばやく浅い息を示し、活動信号が、そのすばやく浅い息が患者の身体活動に実質的に関連しないことを示す時に検出される。一実施形態で、呼吸困難を検出するために、105で、1つまたは複数の低い1回呼吸量/呼吸数比、高い吸気時間/総呼吸時間比、および高い呼吸数を検出する。1回呼吸量は、各呼吸サイクル中に吐かれる空気の体積として呼吸信号から測定される。呼吸数は、呼吸信号で示される、1分あたりの呼吸サイクル数から計算される。低い1回呼吸量/呼吸数比は、測定された1回呼吸量/呼吸数比が所定のしきい値比未満の時に検出される。吸気時間は、呼吸サイクルの吸気相の時間間隔として呼吸信号から測定される。呼気時間は、呼吸サイクルの呼気相の時間間隔として呼吸信号から測定される。高い吸気時間/総呼吸時間比は、高い吸気/呼気比とも称するが、吸気時間/総呼気時間比が所定のしきい値比を超える時に検出される。高い呼吸数は、測定された呼吸数が所定のしきい値レートを超える時に検出される。これらの状態のうちの少なくとも1つの検出が105で示される場合に、106で、測定された1回呼吸量を所定のしきい値1回呼吸量と比較することによって、低い1回呼吸量を検出する。106で、低い1回呼吸量の検出が示される場合には、108で呼吸困難の検出を示す。低い1回呼吸量の検出が106で示されない場合には、107で、低い活動レベルを検出する。低い活動レベルは、活動信号によって示される患者の総身体活動レベルが、静止状態を表す所定のしきい値レベル未満である時に検出される。低い活動レベルの検出が107で示される場合に、これは、患者が実質的に非活動であることを示し、108で呼吸困難の検出が示される。
【0024】
もう1つの実施形態で、呼吸困難は、心肺状態の検出のプロセスをトリガするコマンドを受け取ることによって検出される。たとえば、このコマンドは、患者の身体的感覚に基づいてその患者によって、または患者を観察するか診査する別の人によって入力される。一実施形態で、呼吸困難は、上で述べたように呼吸信号および/または活動信号に基づいて自動的に、あるいは感覚または観察に基づいて人間によってのいずれかで検出される。
【0025】
108に示された呼吸困難の検出では、110で、心臓性肺浮腫を検出する。一実施形態で、心臓性肺浮腫は、埋込み可能センサによって感知される1つまたは複数の信号に基づいて検出される。この1つまたは複数の信号のそれぞれが、1つまたは複数の心肺状態を示す。もう1つの実施形態では、心臓性肺浮腫は、埋込み可能センサによって感知される1つまたは複数の信号に基づいてそれぞれが作られる1つまたは複数のパラメータに基づいて検出される。特定の一実施形態では、心臓性肺浮腫は、115で、心拍数変動(HRV)低いことを検出することによって、すなわち、測定されたHRVが所定のしきい値HRVより低い時または測定されたHRVの減少が所定のマージンを超える時に検出される。もう1つの特定の実施形態では、心臓性肺浮腫は、115で、高い超低周波数(VLF)HRVを検出することによって、すなわち、測定されたVLF HRVが所定のVLF HRVしきい値より高い時に検出される。VLF HRVには、HRVのうちで、約0.0033Hzと0.04Hzの間の周波数を有する成分が含まれる。高いVLF HRVは、周期性変動呼吸を暗示する。もう1つの特定の実施形態では、心臓性肺浮腫は、115で、高周波数(HF)HRVに対する低周波数(LF)HRVの高い比を検出することによって、すなわち、LF−HRV/HF−HRV比が所定のしきい値比を超える時に検出される。LF HRVは、HRVのうちで約0.04Hzと0.15Hzの間の周波数を有する成分を含む。HF HRVは、HRVのうちで約0.15Hzと0.40Hzの間の周波数を有する成分を含む。LF−HRV/HF−HRV比は、自律神経系のバランスのシフトの傾向を追跡するのに使用される。LF−HRV/HF−HRV比の実質的な変化は、交感神経系が過剰に刺激されている度合を示す全身性ストレス(systemic stress)の変化を示す。もう1つの特定の実施形態では、心臓性肺浮腫は、115で、高い超低周波数(VLF)インピーダンスを検出することによって、すなわち、VLFインピーダンスが所定のしきい値VFLインピーダンスを超える時に検出される。VLFインピーダンスは、埋込み可能インピーダンス・センサによって感知された胸部インピーダンス信号のVLF成分を含み、周期性変動呼吸を暗示する。このVLF成分は、約0.0033Hzから0.016Hzまでの周波数範囲内にある。もう1つの特定の実施形態では、心臓性肺浮腫は、115で、高い第三心音(S3)振幅を検出することによって、すなわち、S3振幅が所定のしきい値振幅を超える時に検出される。S3の実質的な存在は、心不全を示す。もう1つの特定の実施形態では、心臓性肺浮腫は、115で、S3インデックスを検出することによって、すなわち、S3インデックスが所定のしきい値レベルを超える時に検出される。S3インデックスは、全心拍動数に対するS3拍動数の比または比の推定値であり、ここで、S3拍動は、それぞれ、S3の発生がその間に検出された心拍動である。これは、心不全を示すのに使用されるS3存在の頻度の測定値である。もう1つの特定の実施形態では、心臓性肺浮腫は、115で、直流(DC)インピーダンスを検出することによって、すなわち、DCインピーダンスが所定のしきい値DCインピーダンス未満である時に検出される。DCインピーダンスは、埋込み可能インピーダンス・センサによって感知された胸部インピーダンスのDC(および/または超低周波)成分を含み、肺体液状態を示す。一実施形態で、心臓性肺浮腫は、低いHRV、高いVLF HRV、高いLF−HRV/HF HRV比、高いVLFインピーダンス、高いS3振幅、高いS3インデックス、低いDCインピーダンスのうちの1つを検出することによって検出される。これらの状態のうちの1つが115で検出された後に、116で、心臓性肺浮腫の検出が示される。もう1つの実施形態では、心臓性肺浮腫は、115で、低いHRV、高いVLF HRV、高いLF−HRV/HF HRV比、高いVLFインピーダンス、高いS3振幅、高いS3インデックス、低いDCインピーダンスのうちの複数を検出することによって検出される。特定の一実施形態で、満場一致の投票または過半数の投票が、116で心臓性肺浮腫の検出を示すかどうかを決定する。特定の一実施形態で、重み付きの投票が、116で心臓性肺浮腫の検出を示すかどうかを決定する。重み付け係数は、低いHRV、高いVLF HRV、高いLF−HRV/HF−HRV比、高いVLFインピーダンス、高いS3振幅、高いS3インデックス、低いDCインピーダンスを含む状態のそれぞれに割り当てられる。これらの状態のそれぞれの検出は、投票において所定の重みを与えられる。
【0026】
115で心臓性肺浮腫が検出されない場合には、120で、低いFVCを検出する。低いFVCは、測定されたFVCが所定のしきい値FVC未満である時に検出される。一実施形態で、FVCは、肺活量測定法信号から測定される。もう1つの実施形態で、FVCは、MVインピーダンス信号など、埋込み可能センサによって感知される呼吸信号から測定される。
【0027】
125で低いFVCが検出される場合には、130で、閉塞性肺疾患を検出し、140で、拘束性肺疾患を検出する。閉塞性肺疾患は、低いFEVN/FVC比を検出することによって、すなわち、測定されたFVCに対する測定されたFEVN(ここで、Nは、FEVが、呼吸サイクルの呼気相が開始してからN秒後に測定されることを示す)の比が、所定の閉塞性肺疾患しきい値比未満になる時に検出される。一実施形態では、FVCとFEVNの両方が、肺活量測定法信号から測定される。もう1つの実施形態では、FVCとFEVNの両方が、MVインピーダンス信号など、埋込み可能センサによって感知される呼吸信号から測定される。135で、低いFEVN/FVC比が検出される場合に、136で、閉塞性疾患(obstructive disease)の検出を示す。一実施形態では、拘束性肺疾患は、145で、高いFEVN/FVC比を検出することによって、すなわち、測定されたFVCに対する測定されたFEVNの比が拘束性肺疾患しきい値比を超える時に検出される。高いFEVN/FVC比が145で検出される場合に、146で、拘束性肺疾患の検出を示す。
【0028】
ステップ105、106、107、115、125、135、145を参照して上で説明した、呼吸困難、心臓性肺浮腫、低いFVC、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患の検出に使用されるしきい値のうちの1つまたは複数は、個別に確立され、患者ごとに調整される。一実施形態で、すべてのしきい値は、システムがある患者について最初に使用され、患者が安定した状態である時に収集されるベースライン・データに基づいて確立される。このベースライン・データは、患者のベースライン状態を表し、状態のさらなる進行に関する基準として使用される。一実施形態で、しきい値のうちの1つまたは複数は、患者が安定した状態であることがわかっている時に周期的に検証され、適当な時に調整される。
【0029】
図2A〜Cに、FVCとFEVNの測定値を示す。図2Aは、正常な肺機能を示す呼吸信号200Aを示すグラフである。図2Bは、閉塞性肺疾患で見られる呼吸パターンを示す呼吸信号200Bを示すグラフである。図2Cは、拘束性肺疾患で見られる呼吸パターンを示す呼吸信号200Cを示すグラフである。図2A〜Cでは、呼吸信号が、それぞれ、肺容量を示す信号であり、この肺容量は、呼吸サイクルに伴って周期的に変化し、呼吸パターンを示す。一実施形態で、呼吸信号200A〜Cは、肺活量計によって感知された肺活量測定法信号である。もう1つの実施形態で、呼吸信号200A〜Cは、埋込み可能インピーダンス・センサによって感知されるMVインピーダンス信号など、埋込み可能センサによって感知される呼吸信号である。FVCは、呼吸サイクル内の呼気相の始めから吸気相の始めまでの肺容量の変化として測定される。図2A〜Cに示されているように、呼吸信号200AのFVCは、点202Aと204Aとの間の肺容量の変化として測定され、呼吸信号200BのFVCは、点202Bと204Bとの間の肺容量の変化として測定され、呼吸信号200CのFVCは、点202Cと204Cとの間の肺容量の変化として測定される。FEVNは、呼気相の始めから始まる所定の時間間隔(N秒)にわたる肺容量の変化として測定される。特定の一実施形態で、図2A〜Cに示されているように、所定の時間間隔は、1.0秒であり、FEV1が測定される。呼吸信号200AのFEV1は、点202Aと206Aとの間の肺容量の変化として測定され、呼吸信号200BのFEV1は、点202Bと206Bとの間の肺容量の変化として測定され、呼吸信号200CのFEV1は、点202Cと206Cとの間の肺容量の変化として測定される。他の実施形態では、FEVNが、呼吸サイクルの始めから3秒または6秒後(すなわち、FEV3またはFEV6)など、他の時に測定され、高いFEVN/FVC比と低いFEVN/FVCを検出するためのしきい値が、それ相応に調整される。
【0030】
図3は、心肺状態を検出する心肺状態検出器300の一実施形態を示すブロック図である。心肺状態検出器300には、パラメータ入力310、しきい値入力312、肺浮腫検出器320、低FVC検出器330、肺状態検出器340が含まれる。肺状態検出器340には、閉塞性肺疾患検出器342および拘束性肺疾患検出器344が含まれる。一実施形態で、心肺状態検出器300には、上で図1A〜Cを参照して述べた自動検出アルゴリズムを実行するコンピュータ化された回路が含まれる。
【0031】
パラメータ入力310は、心肺状態を示すパラメータを受け取る。これらのパラメータは、心肺状態検出器300によって実行される検出に使用される。一実施形態で、これらのパラメータは、埋込み可能センサによって感知される信号に基づいて作られる。もう1つの実施形態で、これらのパラメータは、埋込み可能センサと外部センサの組合せによって感知される。
【0032】
しきい値入力312は、検出器320、330、342、および344によって使用されるしきい値を受け取る。一実施形態で、これらのしきい値のうちの1つまたは複数は、プログラム可能であり、個々の患者ごとに調整される。
【0033】
肺浮腫検出器320は、肺体液状態を示すパラメータを受け取り、この信号を所定のしきい値と比較することによって心臓性肺浮腫を検出する。図4は、肺浮腫検出器320の一実施形態としての肺浮腫検出器420の回路を示すブロック図である。肺浮腫検出器420には、低HRV検出器421、高VLF HRV検出器422、高LF−HRV/HF−HRV比検出器423、高VLFインピーダンス検出器424、高S3振幅検出器425、高S3インデックス検出器426、低DCインピーダンス検出器427、心臓性肺浮腫インジケータ429が含まれる。低HRV検出器421には、HRVを受け取る第1入力、所定のしきい値HRVを表す第2入力、HRVが所定のしきい値HRVより小さい時またはHRVの減少が所定のマージンを超える時に心臓性肺浮腫の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。高VLF HRV検出器422には、VLF HRVを受け取る第1入力、所定のしきい値VLF HRVを表す第2入力、VLF HRVが所定のしきい値VLF HRVを超える時に心臓性肺浮腫の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。高LF−HRV/HF−HRV比検出器423には、LF−HRV/HF−HRV比を受け取る第1入力、所定のしきい値比を表す第2入力、LF−HRV/HF−HRV比が所定のしきい値比を超える時に心臓性肺浮腫の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。高VLFインピーダンス検出器424には、VLFインピーダンス信号を受け取る第1入力、所定のしきい値VLFインピーダンスを表す第2入力、VLFインピーダンスが所定のしきい値VLFインピーダンスを超える時に心臓性肺浮腫の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。高S3振幅検出器425には、S3振幅を示す信号を受け取る第1入力、所定のしきい値振幅を表す第2入力、S3振幅が所定のしきい値振幅を超える時に心臓性肺浮腫の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。高S3インデックス検出器426には、S3インデックスを示す信号を受け取る第1入力と、所定のしきい値インデックス・レベルを表す第2入力とを含み、かつ、S3インデックスが所定のしきい値インデックス・レベルを超える時に心臓性肺浮腫の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。低DCインピーダンス検出器427には、DCインピーダンス信号を受け取る第1入力、所定のしきい値DCインピーダンスを表す第2入力、DCインピーダンスが所定のしきい値DCインピーダンス未満である時に心臓性肺浮腫の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。心臓性肺浮腫インジケータ429は、検出器421〜427のうちの1つまたは複数による検出の結果に基づいて、心臓性肺浮腫の検出を示す。検出器421〜427のうちの複数が検出の結果を作る時に、一実施形態で、心臓性肺浮腫インジケータ429は、検出器のいずれかによって心臓性と検出された場合に心臓性肺浮腫の検出を示す。もう1つの実施形態で、心臓性肺浮腫インジケータ429は、満場一致の投票または過半数の投票に基づいて心臓性肺浮腫の検出を示す。もう1つの実施形態で、心臓性肺浮腫インジケータ429は、重み付き投票に基づいて心臓性肺浮腫の検出を示し、所定の重み係数が、低HRV検出器、高VLF HRV検出器、高LF−HRV/HF−HRV比検出器、高VLFインピーダンス検出器、高S3振幅検出器、高S3インデックス検出器、低DCインピーダンス検出器のそれぞれに割り当てられる。一実施形態で、肺浮腫検出器420は、検出器421〜427のうちの1つまたは複数の選択的アクティブ化についてプログラム可能である。この選択は、パラメータ(HRV、VLF HRV、LF−HRV/HF−HRV比、VLFインピーダンス、S3振幅、S3インデックス、DCインピーダンス)の可用性および/または検出の信頼性に対する医療的判断に基づく。他の実施形態では、肺浮腫検出器420は、検出器421〜427の任意のサブセットと心臓性肺浮腫インジケータ429とを含む。
【0034】
低FVC検出器330は、肺浮腫検出器320が心臓性肺浮腫の検出を示さない場合に、低FVCを検出する。低FVC検出器330は、測定されたFVCを受け取る第1入力と、所定のしきい値FVCを表す第2入力とを有し、測定されたFVCが所定のしきい値FVC未満である時に低FVCを示す出力を有する比較器が含まれる。
【0035】
低FVC検出器330が、低FVCの検出を示す場合に、閉塞性肺疾患検出器342は閉塞性肺疾患を検出し、拘束性肺疾患検出器344は拘束性肺疾患を検出し、この両方とも、FEVN/FVC比という比に基づく。閉塞性肺疾患検出器342は、FEVN/FVC比を受け取る第1入力と所定の閉塞性肺疾患しきい値比を表す第2入力とを有し、かつFEVN/FVC比が所定の閉塞性肺疾患しきい値比未満である時に閉塞性肺疾患の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。拘束性肺疾患検出器344は、FEVN/FVC比を受け取る第1入力、所定の拘束性肺疾患しきい値比を表す第2入力、FEVN/FVC比が所定の拘束性肺疾患しきい値比を超える時に拘束性肺疾患の検出を示す出力を有する比較器が含まれる。
【0036】
一実施形態で、心肺状態検出器300には、心臓性肺浮腫、低FVC、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患を検出するプロセスをトリガするコマンドを受け取るコマンド・レシーバが含まれる。一実施形態で、このコマンドは、患者、医師、または他の介護者などの人によって入力される。もう1つの実施形態で、心肺状態検出器300には、呼吸困難の検出時にコマンドを作る呼吸困難検出器が含まれる。一実施形態で、この呼吸困難検出器は、呼吸パラメータと活動レベル・パラメータを受け取って、患者が実質的に静止状態である時にすばやく浅い息を検出する。特定の一実施形態で、呼吸パラメータは、埋込み可能インピーダンス・センサによって感知されるMVインピーダンスであり、活動レベル・パラメータは、埋込み可能加速度計によって感知される加速度信号から導出される。
【0037】
図5は、心肺状態検出器300を含む心肺状態検出システム500の一実施形態を示すブロック図である。システム500には、1つまたは複数のセンサによって感知された信号を受け取る信号入力502と、受け取られた信号に基づいて、心肺状態検出器300によって使用されるパラメータを作る信号プロセッサ504とが含まれる。しきい値回路506は、心肺状態の検出で使用されるしきい値を心肺状態検出器300に供給する。一実施形態で、信号入力502は、埋込み可能センサから信号を受け取る。特定の一実施形態で、埋込み可能センサは、1つの埋込み可能医療デバイスに含まれ、かつ/またはこれに接続される。もう1つの実施形態で、信号入力502は、埋込み可能センサと外部センサの両方から信号を受け取る。
【0038】
一実施形態で、システム500は、上で図1A〜Cを参照して述べた自動検出アルゴリズムの機能に加えて、信号を処理し、パラメータを作成することを含む自動検出アルゴリズムを実行することによって動作する。システム500は、心肺状態を示す信号を受け取り、受け取った信号を入力として使用して自動検出アルゴリズムを実行することによって心肺状態を検出する。心肺状態には、少なくとも、心臓性肺浮腫、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患が含まれる。
【0039】
信号入力502には、どのパラメータが心肺状態検出器300によって実行される検出に使用されるかに応じて、心臓信号入力、インピーダンス信号入力、心音信号入力、活動信号入力、肺活量測定法信号入力のうちの1つまたは複数が含まれるが、これらに限定はされない。心臓信号入力は、HRVを示す1つまたは複数の信号を受け取る。一実施形態で、心臓信号には、電位図感知回路を有する埋込み可能医療デバイスによって感知された1つまたは複数の電位図が含まれる。もう1つの実施形態で、心臓信号には、1つまたは複数の電位図から検出された心臓の脱分極を表すイベント・マーカーが含まれる。インピーダンス信号入力は、分時呼吸量(肺容量、呼吸パターン)、周期性変動呼吸、肺体液状態のうちの1つまたは複数をそれぞれが示す1つまたは複数のインピーダンス信号を受け取る。一実施形態で、この1つまたは複数のインピーダンス信号には、埋込み可能インピーダンス・センサによって感知される胸部インピーダンス信号が含まれる。心音入力は、少なくともS3を示す1つまたは複数の心音信号を受け取る。一実施形態で、この1つまたは複数の心音信号には、埋込み可能加速度計によって感知された心臓の機械的活動を示す加速度信号が含まれる。もう1つの実施形態で、この1つまたは複数の心音信号には、埋込み可能マイクロホンによって感知された音響信号が含まれる。活動信号入力は、患者の総身体活動レベルを示す活動信号を受け取る。一実施形態で、活動信号に、埋込み可能加速度計によって感知された加速度信号が含まれる。肺活量測定法信号入力は、外部肺活量計によって感知された肺容量を示す肺活量測定法信号を受け取る。
【0040】
信号プロセッサ504は、信号入力502によって受け取られた信号を処理することによって、心肺状態検出器300によって実行される検出のために選択されたパラメータを作る。信号プロセッサ504には、HRVプロセッサ、インピーダンス・プロセッサ、心音プロセッサ、活動信号プロセッサ、呼吸信号プロセッサのうちの1つまたは複数が含まれる。
【0041】
HRVプロセッサは、HRV、VLF HRV、LF−HRV/HF−HRV比のうちの1つまたは複数を作る。一実施形態で、HRVプロセッサは、HRV測定モジュール、VLF HRVジェネレータ、LF HRVジェネレータ、HF HRVジェネレータ、LF−HRV/HF−HRV比カリキュレータを含む。HRV測定モジュールは、1つまたは複数の電位図に基づいてHRVを測定する。VLF HRVジェネレータは、HRVのうちで約0.0033〜0.04HzのVLF周波数帯内の成分を抽出することによってVLF HRVを作る。一実施形態で、VLF HRVジェネレータには、時間領域信号としてVLF HRVを作るためにフィルタが含まれる。もう1つの実施形態では、VLF HRVジェネレータは、VLF周波数帯内に分布するパワーとしてVLF HRVを作るためにスペクトル・アナライザを含む。LF HRVジェネレータは、HRVのうちで約0.04〜0.15HzのLF周波数帯内の成分を抽出することによってLF HRVを作る。一実施形態で、LF HRVジェネレータには、時間領域信号としてLF HRVを作るためにフィルタが含まれる。もう1つの実施形態では、LF HRVジェネレータは、LF周波数帯内に分布するパワーとしてLF HRVを作るためにスペクトル・アナライザを含む。HF HRVジェネレータは、HRVのうちで約0.15〜0.40HzのHF周波数帯内の成分を抽出することによってHF HRVを作る。一実施形態で、HF HRVジェネレータには、時間領域信号としてHF HRVを作るためにフィルタが含まれる。もう1つの実施形態では、HF HRVジェネレータは、HF周波数帯内に分布するパワーとしてHF HRVを作るためにスペクトル・アナライザを含む。LF−HRV/HF−HRV比カリキュレータは、LF HRVをHF HRVによって割ることによって、LF−HRV/HF−HRV比を計算する。
【0042】
インピーダンス・プロセッサは、1つまたは複数のインピーダンス信号に基づいて、MVインピーダンス、DCインピーダンス、VLFインピーダンスを作る。一実施形態で、インピーダンス・プロセッサには、分時呼吸量を示すMVインピーダンスを作るMVインピーダンス・ジェネレータと、周期性変動呼吸を暗示するVLFインピーダンスを作るVLFインピーダンス・ジェネレータと、肺体液状態を示すDCインピーダンスを作るDCインピーダンス・ジェネレータとが含まれ、これらのすべてが、埋込み可能インピーダンス・センサによって感知された胸部インピーダンス信号から、これらのインピーダンスを作る。VLFインピーダンス・ジェネレータは、胸部インピーダンス信号のうちで約0.0033〜0.016HzのVLF周波数帯内の成分を抽出することによってVLFインピーダンスを作る。一実施形態で、VLFインピーダンス・ジェネレータには、時間領域信号としてVLFインピーダンスを作るためにフィルタが含まれる。もう1つの実施形態では、VLFインピーダンス・ジェネレータは、VLF周波数帯内に分布するパワーとしてVLFインピーダンスを作るためにスペクトル・アナライザを含む。DCインピーダンス・ジェネレータは、胸部インピーダンス信号のDC(または超低周波数)成分を抽出することによってDCインピーダンスを作る。一実施形態で、DCインピーダンス・ジェネレータには、時間領域信号としてDCインピーダンスを作るためにフィルタが含まれる。もう1つの実施形態では、DCインピーダンス・ジェネレータは、VLF周波数帯内に分布するパワーとしてDCインピーダンスを作るためにスペクトル・アナライザを含む。
【0043】
心音プロセッサには、S3検出器とS3分析器が含まれる。S3検出器は、1つまたは複数の心音信号からS3を検出する。S3検出器の例が、Cardiac Pacemakers,Inc.社に譲渡された、2003年12月24日出願の米国特許出願第10/746,853号、「METHOD AND APPARATUS FOR THIRD HEART SOUND DETECTION」に記載されており、この出願書は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれている。S3分析器には、S3振幅測定モジュールとS3インデックス・トレンディング・モジュールのうちの1つまたは複数が含まれる。S3振幅測定モジュールは、S3の検出された発生に基づいてS3振幅を測定する。一実施形態で、S3振幅測定モジュールは、所定の個数のS3の振幅を測定し、平均S3振幅としてS3振幅を計算する。もう1つの実施形態では、S3振幅測定モジュールが、所定の時間間隔にわたってS3の振幅を測定し、平均S3振幅としてS3振幅を計算する。S3インデックス・トレンディング・モジュールは、すべての心拍動数に対するS3拍動数の比または比の推定値としてS3インデックスを作り、ここで、S3拍動は、それぞれ、S3の発生がその間に検出される心拍動である。システム・トレンディングS3インデックスの例が、Cardiac Pacemakers,Inc.社に譲渡された、2003年12月24日出願の米国特許出願第10/746,874号、「A THIRD HEART SOUND ACTIVITY INDEX FOR HEART FAILURE MONITORING」に記載されており、この出願書は、参照によってその全体を本明細書に組み込まれている。
【0044】
活動信号プロセッサは、活動信号から活動レベルを導出する。一実施形態で、デュアルユース・センサが、心音信号と活動信号の両方を、単一の加速度計を使用して感知する。単一の加速度計を含むそのようなデュアルユース・センサの例が、Cardiac Pacemakers,Inc.社に譲渡された、2003年11月6日出願の米国特許出願第10/703,175号、「DUAL−USE SENSOR FOR RATE RESPONSIVE PACING AND HEART SOUND MONITORING」に記載されており、この出願書は、参照によってその全体を本明細書に組み込まれている。
【0045】
呼吸パラメータ・ジェネレータは、FVC測定モジュール、FEV測定モジュール、呼吸比カリキュレータを含む。FVC測定モジュールはFVCを測定し、FEV測定モジュールはFEVNを測定し、この両方が、MVインピーダンス信号と肺活量測定法信号のうちの少なくとも1つである呼吸信号から測定される。FEV測定モジュールは、呼気相の始めを基準とする所定の時間(N)にFEVNを測定するためにプログラム可能である。一実施形態で、FVC測定モジュールとFEV測定モジュールは、活動信号プロセッサから活動レベルを受け取り、活動レベルが実質的な静止状態を表す所定のしきい値レベル未満である時に測定を実行する。呼吸比カリキュレータはFEVN/FVC比を計算する。
【0046】
しきい値回路506は、心肺状態検出器300によって使用されるしきい値を供給する。一実施形態で、しきい値回路506には、初期しきい値保管回路、しきい値レシーバ、現在しきい値レジスタが含まれる。初期しきい値保管回路は、心肺状態検出器300によって実行される検出に必要なすべてのしきい値のデフォルト値の完全なセットを保管する。しきい値レシーバは、個々の患者ごとに入力されるしきい値を受け取る。現在しきい値レジスタは、デフォルト値の完全なセットを用いて初期化され、個々の患者についてしきい値レシーバによって受け取られたしきい値を用いて更新される。個々の患者ごとのしきい値は、ユーザおよび/または自動化しきい値評価システムによって入力される。一実施形態で、自動化しきい値評価システムは、必要が検出されるか他の形で示される時に、1つまたは複数のしきい値を動的に調整する。
【0047】
図6は、心肺共存症を有する心不全患者を監視するシステム600の一実施形態とこのシステム600が使用される環境の諸部分の図である。システム600は、埋込み可能システム605と外部システム655を含み、さらに埋込み可能システム605と外部システム655との間の通信をもたらすテレメトリ・リンク640を含む。
【0048】
埋込み可能システム605は、とりわけ、埋込み可能医療デバイス610とリード・システム608を含む。さまざまな実施形態で、埋込み可能医療デバイス610は、ペースメーカ、電気的除細動器/除細動器、心臓再同期療法(CRT)デバイス、カーディアック・リモデリング・コントロール・セラピ(RCT)デバイス、ドラッグ・デリバリ・デバイスまたはドラッグ・デリバリ・コントローラ、生物学的療法デバイスのうちの1つまたは複数を含む埋込み可能なカーディアック・リズム・マネジメント(cardiac rhythm management、CRM)デバイスである。一実施形態で、埋込み可能医療デバイス610には、心肺状態検出器300によって実行される検出に使用される信号を感知する埋込み可能センサが含まれる。もう1つの実施形態では、埋込み可能医療デバイス610とリード・システム608のそれぞれが、1つまたは複数の埋込み可能センサを含む。図6に示されているように、埋込み可能医療デバイス610は、身体602に埋め込まれる。リード・システム608は、埋込み可能医療デバイス610と心臓601との間を接続する。さまざまな実施形態で、リード・システム608には、生理学的信号を感知し、ペーシング・パルス、電気的除細動ショック/除細動ショック、および/または薬剤もしくは他の物質を送るリードが含まれる。一実施形態で、少なくとも1つの埋込み可能センサが、心臓601の中またはその近くでの配置のためにリード・システム608のリードに組み込まれる。
【0049】
一実施形態で、外部システム655は、外部デバイス650、ネットワーク660、リモート・デバイス670を含む患者管理システムである。外部デバイス650は、埋込み可能医療デバイス610の付近にあり、テレメトリ・リンク640を介して両方向で埋込み可能医療デバイス610と通信する。リモート・デバイス670は、離れた位置にあり、ネットワーク660を介して両方向で外部デバイス650と通信する。したがって、ユーザは離れた位置から患者を監視し、処置することができる。もう1つの実施形態で、外部システムには、テレメトリ・リンク640を介して両方向で埋込み可能医療デバイス610と通信するプログラマが含まれる。
【0050】
システム600は、心肺共存症を有する心不全患者を監視する心肺状態検出システム500を含む。処置には、薬物療法、電気療法(ペーシング、CRT、RCTなど)、生物学的療法のうちの1つまたは複数が含まれるが、これらに限定はされない。システム600の心肺状態検出システム500の分配は、各システム構成要素のサイズや電力消費、さまざまな位置からのさまざまなセッティングでの患者の監視の能力など、設計と患者管理の考慮事項に依存する。一実施形態では、埋込み可能医療デバイス610に、システム500全体が含まれる。もう1つの実施形態では、外部システム655に、システム500全体が含まれる。もう1つの実施形態では、埋込み可能医療デバイス610に、信号入力502が含まれ、外部システム655に、信号プロセッサ504、しきい値回路506、および心肺状態検出器300が含まれる。もう1つの実施形態では、埋込み可能医療デバイス610に、信号入力502と信号プロセッサ504が含まれ、外部システム655に、しきい値回路506と心肺状態検出器300が含まれる。もう1つの実施形態では、埋込み可能医療デバイス610に、信号入力502と信号プロセッサ504の一部とが含まれ、外部システム655に、信号プロセッサ504の他の部分、しきい値回路506と心肺状態検出器300が含まれる。もう1つの実施形態では、埋込み可能医療デバイス610が、信号入力502と信号プロセッサ504の一部を含み、外部システム655が、信号入力502と信号プロセッサ504との他の部分、しきい値回路506、心肺状態検出器300を含む。外部システム655が患者管理システムである特定の一実施形態では、リモート・デバイス670が心肺状態検出器300を含む。
【0051】
図7は、システム600の回路の一実施形態を示すブロック図である。この回路は、システム500のさまざまな実施形態を含む。
【0052】
埋込み可能システム605には、センサ720、埋込みプロセッサ730、埋込みテレメトリ・モジュール742が含まれる。一実施形態で、センサ720、埋込みプロセッサ730、埋込みテレメトリ・モジュール742は、埋込み可能医療デバイス610に含まれる。もう1つの実施形態で、センサ720のうちの少なくとも1つのセンサは、埋込み可能医療デバイス610の外にある。外部システム655には、外部テレメトリ・モジュール744と外部プロセッサ780が含まれる。外部プロセッサ780には、心肺状態検出器300が含まれる。肺活量測定法信号が呼吸信号として使用される一実施形態で、システム600に、さらに、肺活量測定法信号を感知するために外部肺活量計が含まれる。一実施形態で、外部肺活量計は、電気的に外部プロセッサ780に接続される。もう1つの実施形態で、外部肺活量計は、テレメトリを介して無線で外部プロセッサ780に接続される。
【0053】
センサ720には、感知回路、インピーダンス・センサ、心音センサ、活動センサのうちの1つまたは複数が含まれる。感知回路は、HRVを示す1つまたは複数の電位図を感知する。インピーダンス・センサは、胸部インピーダンスを感知する。心音センサは、少なくともS3を示す心音信号を検出する。一実施形態では、心音センサに、加速度計が含まれる。もう1つの実施形態では、心音センサに、マイクロホンが含まれる。一実施形態では、心音センサは、埋込み可能医療デバイス610に含まれる。もう1つの実施形態では、心音センサは、リード・システム608のリードに組み込まれる。活動センサは、患者の総身体活動レベルを示す活動信号を感知する。一実施形態では、活動センサに、加速度計が含まれる。もう1つの実施形態では、単一の加速度計が、心音信号と活動信号の両方を感知するデュアルユース・センサとして機能する。
【0054】
埋込みプロセッサ730と外部プロセッサ780には、システム500が含まれる。埋込みプロセッサ730と外部プロセッサ780内のシステム500の構成要素の特定の分配は、特定の設計と患者管理の考慮事項に依存する。一実施形態では、埋込みプロセッサ730に、信号入力502と信号プロセッサ504が含まれ、外部プロセッサ780に、しきい値回路506と心肺状態検出器300が含まれる。もう1つの実施形態では、埋込みプロセッサ730に、信号入力502が含まれ、外部プロセッサ780に、信号プロセッサ504、しきい値回路506、心肺状態検出器300が含まれる。もう1つの実施形態では、埋込みプロセッサ730に、信号入力502と信号プロセッサ504の一部とが含まれ、外部プロセッサ780に、信号プロセッサ504の他の部分、しきい値回路506、心肺状態検出器300が含まれる。もう1つの実施形態では、埋込みプロセッサ730に、信号入力502と信号プロセッサ504との一部が含まれ、外部プロセッサ780に、信号入力502と信号プロセッサ504との他の部分、しきい値回路506、心肺状態検出器300が含まれる。埋込みプロセッサ730と外部プロセッサ780の両方に信号プロセッサ504の一部が含まれる特定の一実施形態では、埋込みプロセッサ730に、HRV測定モジュール、インピーダンス・プロセッサ、心音プロセッサ、活動信号プロセッサのうちの1つまたは複数が含まれ、外部プロセッサに、S3アナライザと呼吸パラメータ・ジェネレータのうちの1つまたは複数が含まれる。
【0055】
埋込みテレメトリ・モジュール742と外部テレメトリ・モジュール744は、テレメトリ・リンク640をサポートする。テレメトリ・リンク640は、無線両方向データ伝送リンクである。一実施形態で、テレメトリ・リンク640は、埋込みテレメトリ・モジュール742に接続されたコイルと外部テレメトリ・モジュール744に接続されたコイルという2つのコイルが互いに近くに置かれる時に形成される誘導結合である。この実施形態では、患者またはユーザは、外部デバイス650に接続されたコイルを、埋込み可能医療デバイス610の上の位置で身体602の上に置く。もう1つの実施形態では、テレメトリ・リンク640は、遠距離電磁界無線周波数テレメトリ・リンクであり、埋込み可能医療デバイス610と外部デバイス650が少なくとも10フィートのテレメトリ範囲で通信することを可能にする。一実施形態で、埋込みテレメトリ・モジュール742は、心肺状態を示す1つまたは複数の信号および/またはパラメータを送信し、外部テレメトリ・モジュール744は、これらの信号および/またはパラメータを受信する。
【0056】
図8は、心肺共存症を有する心不全患者を監視する方法の一実施形態を示す流れ図である。一実施形態で、この方法は、システム600によって実行される。
【0057】
800で、複数の心肺状態を示す信号を感知する。これらの感知された信号に基づいて、810で、複数の心肺状態を示すパラメータを作る。820で、自動検出アルゴリズムを実行して、これらのパラメータに基づいて複数の心肺状態を検出する。この複数の心肺状態には、少なくとも心臓性肺浮腫、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患が含まれる。一実施形態で、この自動検出アルゴリズムは、上で図1A〜Cを参照して述べた方法を実行する。
【0058】
システム600を使用する特定の一実施形態で、センサ720は、800で信号を感知する。埋込みプロセッサ730および/または外部プロセッサ780は、810でパラメータを作る。心肺状態検出器300は、自動検出アルゴリズムを実行して、パラメータに基づいて心臓性肺浮腫、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患を検出する。
【0059】
上の詳細な説明が、例示的であることを意図され、制限的ではないことを理解されたい。たとえば、心臓性肺浮腫、閉塞性肺疾患、拘束性肺疾患を含む心肺状態を検出する方法を、埋込み可能センサを使用せずに実施することができる。鑑別診断目的で埋込み可能システムと外部システムの組合せを使用する方法は、心肺状態の診断に限定されない。本文書で述べたシステム構成要素のすべての可能な置換を含む他の実施形態は、上の説明を読み、理解した時に、当業者に明白になるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、その特許請求の範囲が資格を与えられる同等物の範囲全体と共に参照することによって判定されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1A】心肺状態を検出する方法の一実施形態を示す流れ図である。
【図1B】心肺状態を検出する方法の一実施形態を示す流れ図である。
【図1C】心肺状態を検出する方法の一実施形態を示す流れ図である。
【図2A】正常な肺機能を示す呼吸信号を示すグラフである。
【図2B】閉塞性肺疾患を示す呼吸信号を示すグラフである。
【図2C】拘束性肺疾患を示す呼吸信号を示すグラフである。
【図3】心肺状態検出器の一実施形態を示すブロック図である。
【図4】心肺状態検出器の一部である肺浮腫検出器の一実施形態を示すブロック図である。
【図5】心肺状態検出器を含む心肺状態検出システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図6】心肺共存症を有する心不全患者を監視するシステムの一実施形態およびこのシステムが使用される環境の諸部分を示す図である。
【図7】図6のシステムの回路の一実施形態を示すブロック図である。
【図8】心肺共存症を有する心不全患者を監視する方法の一実施形態を示す流れ図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
努力肺活量量(FVC)パラメータ、最大努力呼気肺活量(FEV)パラメータ、心臓性肺浮腫を示す1つまたは複数の浮腫を示すとともに複数の心肺状態を示すパラメータを受け取るパラメータ入力と、
前記1つまたは複数の浮腫を示すパラメータに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するように適合され、かつ前記パラメータ入力に結合された肺浮腫検出器と、
前記心臓性肺浮腫が検出されない場合に、前記FVCパラメータが所定のしきい値FVCパラメータ値未満である時に低FVCを検出するように適合され、かつ前記肺浮腫検出器に結合されている低FVC検出器と、
前記低FVCが検出される場合に、前記FVCパラメータと前記FEVパラメータに基づいて少なくとも閉塞性肺疾患と拘束性肺疾患を検出するように適合され、かつ前記低FVC検出器に結合されている肺状態検出器と
を含む、心肺状態を検出するシステム。
【請求項2】
前記肺状態検出器が、前記FVCパラメータに対する前記FEVパラメータの比が所定の閉塞性肺疾患しきい値比未満である時に閉塞性肺疾患を検出するように適合された閉塞性肺疾患検出器を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記肺状態検出器が、さらに、前記FVCパラメータ対する前記FEVパラメータの比が所定の拘束性肺疾患しきい値比を超える時に拘束性肺疾患を検出するように適合された拘束性肺疾患検出器を含む先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項4】
前記パラメータ入力に結合された呼吸パラメータ・ジェネレータをさらに含み、前記呼吸パラメータ・ジェネレータが、
呼吸信号から前記FVCパラメータを測定するFVC測定モジュールと、
前記呼吸信号から前記FEVパラメータを測定するFEV測定モジュールと
を含む、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記呼吸信号が、肺活量測定法信号を含み、さらに、肺活量計から前記呼吸信号を受け取る、前記呼吸パラメータ・ジェネレータに結合された肺活量測定法信号入力を含む請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記呼吸信号がインピーダンス信号を含み、さらに、埋込み可能インピーダンス・センサから前記インピーダンス信号を受け取るように前記呼吸パラメータ・ジェネレータに結合されたインピーダンス信号入力を含む請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
埋込み活動センサから身体活動レベルを示す活動信号を受け取るように前記呼吸パラメータ・ジェネレータに結合された活動信号入力をさらに含み、前記FVC測定モジュールが前記活動レベルが実質的な静止状態を表す所定のしきい値レベル未満の時に前記FVCパラメータを測定するように適合され、前記FEV測定モジュールが、前記活動レベルが実質的な静止状態を表す所定のしきい値レベル未満の時に前記FEVパラメータを測定するように適合された請求項4から6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
埋込み可能感知回路から1つまたは複数の電位図を受け取る心臓信号入力と、
前記1つまたは複数の電位図に基づいて前記1つまたは複数の浮腫を示すパラメータのうちの1つまたは複数のパラメータを作るために、前記心臓信号入力と前記パラメータ入力に結合された心拍数変動(HRV)プロセッサであって、前記HRVプロセッサが、前記1つまたは複数の電位図に基づいて前記HRVを測定するHRV測定モジュールを含む、前記HRVプロセッサと
をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記肺浮腫検出器が、前記HRVが所定のしきい値HRV未満である時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された低HRV検出器を含む請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記肺浮腫検出器が、前記HRVの減少が所定のマージンを超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された低HRV検出器を含む請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記HRVプロセッサが、さらに、前記HRVに基づいて約0.0033Hzから0.04Hzまでの周波数帯を有する超低周波(VLF)HRVを作るVLF HRVジェネレータを含み、前記肺浮腫検出器が、前記VLF HRFが所定のしきい値VLF HRVを超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高VLF HRV検出器を含む請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記HRVプロセッサが、さらに
前記HRVに基づいて約0.04Hzから0.15Hzまでの周波数帯を有する低周波数(LF)HRVを作るLF HRVジェネレータと、
前記HRVに基づいて約0.15Hzから0.40Hzまでの周波数帯を有する高周波数(HF)HRVを作るHF HRVジェネレータと、
前記HF HRVに対する前記LF HRVの比を計算するLF−HRV/HF−HRV比カリキュレータと
を含み、前記肺浮腫検出器が、前記HF HRVに対する前記LF HRVの前記比が所定のしきい値比を超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高LF−HRV/HF−HRV比検出器を含む請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
埋込み可能インピーダンス・センサから少なくとも1つのインピーダンス信号を受け取るインピーダンス信号入力と、
前記少なくとも1つのインピーダンス信号に基づいて前記1つまたは複数の浮腫を示すパラメータのうちの1つまたは複数のパラメータを作るために、前記インピーダンス信号入力と前記パラメータ入力に結合されたインピーダンス・プロセッサと
をさらに含む請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記インピーダンス・プロセッサが、前記インピーダンス信号に基づいて約0.0033Hzから0.016Hzまでの周波数帯を有する超低周波数(VLF)インピーダンスを作るVLFインピーダンス信号ジェネレータを含み、前記肺浮腫検出器が、前記VLFインピーダンスが所定のしきい値VLFインピーダンスを超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高VLFインピーダンス検出器を含む請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記インピーダンス・プロセッサが、前記インピーダンス信号から直流(DC)インピーダンスを作るDCインピーダンス信号ジェネレータを含み、前記肺浮腫検出器が、前記DCインピーダンスが所定のしきい値DCインピーダンス未満の時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された低DCインピーダンス検出器を含む請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
埋込み可能心音センサから心音信号を受け取る心音入力と、
前記心音入力および前記パラメータ入力に結合された第三心音(S3)プロセッサであって、前記S3プロセッサが、S3の発生を検出するS3検出器と、S3の前記検出された発生に基づいて前記1つまたは複数の浮腫を示すパラメータのうちの1つまたは複数のパラメータを作るS3アナライザとを含む、前記S3プロセッサと
をさらに含む請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
前記S3アナライザが、S3振幅を測定するS3振幅測定モジュールを含み、前記肺浮腫検出器が、前記S3振幅が所定のしきい値振幅を超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高S3振幅検出器を含む請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記S3アナライザが、所定の時間間隔にわたる全心拍動数に対するS3拍動数の比または比の推定値であるS3インデックスを作るS3インデックス・トレンディング・モジュールを含み、前記S3拍動のそれぞれが、S3の発生がその間に検出される心拍動であり、前記肺浮腫検出器が、前記S3インデックスが所定のしきい値インデックス・レベルを超える時に前記前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高S3インデックス検出器を含む請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つまたは複数の浮腫を示すパラメータが、
心拍数変動(HRV)と、
周期性変動呼吸を暗示する超低周波数(VLF)HRVと、
高周波数(HF)HRVに対する低周波数(LF)HRVの比と、
周期性変動呼吸を暗示する超低周波数(VLF)インピーダンスと、
第三心音(S3)振幅と、
所定の時間間隔にわたる全心拍動数に対するS3拍動数の比または比の推定値であるS3インデックスであって、前記S3拍動のそれぞれが、S3の発生がその間に検出される心拍動である、S3インデックスと、
肺体液状態を示すDCインピーダンスと
のうちの複数を含み、前記肺浮腫検出器が、
測定されたHRVが所定のしきい値HRVより少ない時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された低HRV検出器と、
前記VLF HRFが所定のしきい値VLF HRVを超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高VLF HRV検出器と、
前記HF HRVに対する前記LF HRVの前記比が所定のしきい値比を超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高LF−HRV/HF−HRV比検出器と、
前記VLFインピーダンスが所定のしきい値VLFインピーダンスを超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高VLFインピーダンス検出器と、
前記S3振幅が所定の振幅を超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高S3振幅検出器と、
前記S3インデックスが所定の振幅を超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高S3インデックス検出器と、
前記DCインピーダンスが所定のしきい値DCインピーダンス未満である時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された低DCインピーダンス検出器と
のうちの複数を含む
請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項20】
前記肺浮腫検出器が、さらに、前記低HRV検出器、前記高VLF HRV検出器、前記高LF−HRV/HF−HRV比検出器、前記高VLFインピーダンス検出器、前記高S3振幅検出器、前記高S3インデックス検出器、前記低DCインピーダンス検出器のうちの複数に結合された心臓性肺浮腫インジケータを含み、前記心臓性肺浮腫インジケータが、前記低HRV検出器、前記高VLF HRV検出器、前記高LF−HRV/HF−HRV比検出器、前記高VLFインピーダンス検出器、前記高S3振幅検出器、前記高S3インデックス検出器、前記低DCインピーダンス検出器のうちの複数によって示される前記心臓性肺浮腫の1つまたは複数の検出に基づいて前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記肺浮腫検出器に結合された呼吸困難検出器をさらに含み、その呼吸困難検出器が、少なくとも1つの呼吸困難を示す信号を受け取り、前記少なくとも1つの呼吸困難を示す信号に基づいて呼吸困難を検出するように適合され、前記肺浮腫検出器が、前記呼吸困難の各検出の後に前記心臓性肺浮腫を検出するように適合された、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項22】
複数の心肺状態を示す1つまたは複数の信号を感知するように適合された1つまたは複数のセンサと、
前記1つまたは複数のセンサに結合され、前記1つまたは複数の信号を処理する埋込みプロセッサと、
前記埋込みプロセッサに結合され、前記処理された1つまたは複数の信号を送信する埋込みテレメトリ・モジュールと
を含む埋込み可能医療デバイスと、
前記処理された1つまたは複数の信号を受信する外部テレメトリ・モジュールと、
前記外部テレメトリ・モジュールに結合された外部プロセッサであって、その外部プロセッサが、前記処理された1つまたは複数の信号に基づいて前記複数の心肺状態を検出するように適合された心肺状態検出器を含み、前記心肺状態検出器が、少なくとも心臓性肺浮腫検出器、閉塞性肺疾患検出器、拘束性肺疾患検出器を含む、外部プロセッサと
を含む、テレメトリを介して前記埋込み可能医療デバイスに通信可能に結合された外部システムと
を含むシステム。
【請求項23】
前記埋込み可能医療デバイスが、埋込み可能カーディアック・リズム・マネジメント(CRM)デバイスを含む請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記外部システムがプログラマを含む請求項22および23のいずれかに記載のシステム。
【請求項25】
前記外部システムが、
前記埋込み可能医療デバイスに通信可能に結合された外部デバイスと、
前記外部デバイスに結合された遠隔通信ネットワークと、
リモート位置からの前記埋込み可能医療デバイスへのアクセスを可能にする、前記遠隔通信ネットワークに結合されたリモート・デバイスと
を含む患者管理システムを含む請求項22および23のいずれかに記載のシステム。
【請求項26】
前記リモート・デバイスが前記心肺状態検出器を含む請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記肺浮腫検出器が、前記処理された1つまたは複数の信号のうちの少なくとも1つの呼吸困難を示す信号に基づいて呼吸困難を検出するように適合された呼吸困難検出器を含み、前記肺浮腫検出器が、前記呼吸困難が検出された後に心臓性肺浮腫を検出するように適合された請求項22から26のいずれかに記載のシステム。
【請求項28】
前記1つまたは複数のセンサが1つまたは複数の電位図を感知する感知回路を含み、前記埋込みプロセッサが、前記1つまたは複数の電位図から心拍数変動(HRV)を測定するように適合され、かつ前記HRVに基づいて心臓性肺浮腫を示す1つまたは複数のパラメータを作るように適合されたHRVプロセッサを含む請求項22から27のいずれかに記載のシステム。
【請求項29】
前記1つまたは複数のセンサが胸部インピーダンスを感知するインピーダンス・センサを含み、前記埋込みプロセッサが、前記胸部インピーダンスに基づいて心臓性肺浮腫を示す1つまたは複数のパラメータを作るように適合されたインピーダンス・プロセッサを含む請求項22から27のいずれかに記載のシステム。
【請求項30】
前記1つまたは複数のセンサが少なくとも第三心音(S3)を示す心音を感知する心音センサを含み、前記埋込みプロセッサが、S3の発生を検出するように適合され、かつ、S3の前記検出された発生に基づいて心臓性肺浮腫を示す1つまたは複数のパラメータを作るように適合されたS3プロセッサを含む請求項22から27のいずれかに記載のシステム。
【請求項31】
前記閉塞性肺疾患検出器が、努力肺活量量(FVC)パラメータと最大努力呼気肺活量(FEV)パラメータに基づいて閉塞性肺疾患を検出するように適合され、前記拘束性肺疾患検出器が、前記FVCパラメータと前記FEVパラメータに基づいて拘束性肺疾患を検出するように適合された請求項22から30のいずれかに記載のシステム。
【請求項32】
前記心肺状態検出器が、さらに、前記心臓性肺浮腫が検出されない場合に、前記FVCパラメータが所定のしきい値FVCパラメータ値未満である時に低FVCを検出する、前記心臓性肺浮腫に結合された低FVC検出器を含み、前記閉塞性肺疾患検出器が、前記低FVCが検出される場合に前記閉塞性肺疾患を検出するように適合され、前記拘束性肺疾患検出器が、前記低FVCが検出される場合に前記拘束性肺疾患を検出するように適合された請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
肺容量を示す肺活量測定法信号を感知する、前記外部システムに結合された外部肺活量計をさらに含み、前記外部プロセッサが、
前記肺活量測定法信号から前記FVCパラメータを測定するように適合されたFVC測定モジュールと、
前記肺活量測定法信号から前記FEVパラメータを測定するように適合されたFEV測定モジュールと
を含む請求項31および32のいずれかに記載のシステム。
【請求項34】
前記1つまたは複数のセンサが、分時呼吸量を示すインピーダンス信号を感知するインピーダンス・センサを含み、前記外部プロセッサが、
前記インピーダンス信号から前記FVCパラメータを測定するように適合されたFVC測定モジュールと、
前記インピーダンス信号から前記FEVパラメータを測定するように適合されたFEV測定モジュールと
を含む請求項31および32のいずれかに記載のシステム。
【請求項35】
前記1つまたは複数のセンサが、さらに、身体活動レベルを示す活動信号を感知する活動センサを含み、
前記FVC測定モジュールが、前記活動信号が実質的な静止状態を示す時に前記MVインピーダンス信号から前記FVCパラメータを測定するように適合され、
前記FEV測定モジュールが、前記活動信号が実質的な静止状態を示す時に前記MVインピーダンス信号から前記FEVパラメータを測定するように適合された
請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
複数の心肺状態を示す信号を受け取るステップと、
自動検出アルゴリズムを実行するステップであって、
前記受け取られた信号のうちの少なくとも1つの浮腫を示す信号に基づいて心臓性肺浮腫を検出するステップと、
前記受け取られた信号のうちの少なくとも1つの信号から努力肺活量量(FVC)パラメータと最大努力呼気肺活量(FEV)パラメータを測定するステップと、
前記心臓性肺浮腫が検出されない場合に、前記測定されたFVCパラメータと前記測定されたFEVパラメータに基づいて閉塞性肺疾患を検出するステップと、
前記心臓性肺浮腫が検出されない場合に、前記測定されたFVCパラメータと前記測定されたFEVパラメータに基づいて拘束性肺疾患を検出するステップと
を含む、前記実行するステップと
を含む心肺状態を検出する方法。
【請求項37】
前記自動検出アルゴリズムを実行するステップが、さらに、前記心臓性肺浮腫が検出されない場合に低FVCを検出するステップを含み、前記閉塞性肺疾患を検出するステップが、前記低FVCが検出される場合に前記閉塞性肺疾患を検出するステップを含み、前記拘束性肺疾患を検出するステップが、前記低FVCが検出される場合に前記拘束性肺疾患を検出するステップを含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記受け取られた信号のうちの少なくとも1つの呼吸困難を示す信号に基づいて呼吸困難を検出するステップをさらに含み、その心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記呼吸困難が検出された後に前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む請求項36および37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記信号を受け取るステップが、呼吸信号と活動信号を受け取るステップを含み、前記呼吸困難を検出するステップは、前記呼吸信号がすばやく浅い息を示し、前記活動信号が、前記すばやく浅い息が身体活動に実質的に関連しないことを示す時に、呼吸困難を検出するステップを含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記信号を受け取るステップが、心拍数変動(HRV)を示す少なくとも1つの信号を受け取るステップを含み、前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記HRVに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記HRVを示す1つまたは複数の電位図を感知するステップと、
前記1つまたは複数の電位図から前記HRVを測定するステップと
をさらに含み、前記HRVに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記HRVが所定のしきい値HRVより小さい時に前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む
請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記信号を受け取るステップが、超低周波数心拍数変動(VLF HRV)を示す信号を受け取るステップを含み、前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記VLF HRVに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
HRVを示す1つまたは複数の電位図を感知するステップと、
前記HRVのうちで約0.0033Hzから0.04Hzまでの周波数帯内の成分を含む前記VLF HRVを作るステップと
をさらに含み、前記VLF HRVに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記VLF HRVが所定のしきい値VLF HRVを超える時に前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む
請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記信号を受け取るステップが、高周波数の心拍数変動(HF HRV)に対する低周波数の心拍数変動(LF HRV)の比を示す信号を受け取るステップを含み、前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記HF HRVに対する前記LF HRVの比に基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
HRVを示す1つまたは複数の電位図を感知するステップと、
前記HRVのうちで約0.05Hzから0.15Hzまでの周波数帯内の成分を含む低周波数(LF)HRVを作るステップと、
前記HRVのうちで約0.15Hzから0.40Hzまでの周波数帯内の成分を含む高周波数(HF)HRVを作るステップと、
前記HF HRVに対する前記LF HRVの比を計算するステップと
をさらに含み、前記HF HRVに対する前記LF HRVの比に基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記HF HRVに対する前記LF HRVの前記比が所定のしきい値比を超える時に前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む
請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記信号を受け取るステップが、周期性の変動呼吸を暗示する超低周波数(VLF)インピーダンスを示す信号を受け取るステップを含み、前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記VLFインピーダンスに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
胸部インピーダンスを感知するステップと、
前記胸部インピーダンスに基づいて前記VLFインピーダンスを作るステップと
をさらに含み、前記VLFインピーダンスに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記VLFインピーダンスが所定のしきい値VLFインピーダンスを超える時に前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む
請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記VLFインピーダンスを作るステップが、前記胸部インピーダンス信号のVLF成分を抽出するステップを含み、前記VLF成分が、約0.0033Hzから0.016Hzまでの周波数帯を有する請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記信号を受け取るステップが、肺体液状態を示す直流(DC)インピーダンスを示す信号を受け取るステップを含み、前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記DCインピーダンスに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
胸部インピーダンスを感知するステップと、
前記胸部インピーダンスに基づいて前記DCインピーダンスを作るステップと
をさらに含み、前記DCインピーダンスに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記DCインピーダンスが所定のしきい値DCインピーダンスを超える時に前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む
請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記信号を受け取るステップが、第三心音(S3)振幅を示す信号を受け取るステップを含み、前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記S3振幅に基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
少なくともS3を示す心音信号を感知するステップと、
前記心音信号からS3の発生を検出するステップと、
S3の前記検出された発生に基づいて前記S3振幅を作るステップと
をさらに含み、前記S3振幅に基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記S3振幅が所定のしきい値振幅を超える時に前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む
請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記信号を受け取るステップが、所定の時間間隔中に検出された全心拍動数に対するS3拍動数の比または比の推定値である第三心音(S3)インデックスを示す信号を受け取るステップを含み、前記S3拍動のそれぞれがS3の発生がその間に検出される心拍動であり、前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記S3インデックスに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
少なくともS3を示す心音信号を感知するステップと、
前記心音信号からS3の発生を検出するステップと、
S3の前記検出された発生に基づいて前記S3インデックスを作るステップと
をさらに含み、前記S3インデックスに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記S3インデックスが所定のしきい値インデックス・レベルを超える時に前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む
請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記心音信号を感知するステップが、加速度信号を感知するステップを含む請求項52および54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記信号を受け取るステップが、埋込み可能インピーダンス・センサから分時呼吸量のインピーダンス示す信号を受け取るステップを含み、前記FVCパラメータと前記FEVパラメータを測定するステップが、前記インピーダンス信号から前記FVCパラメータと前記FEVパラメータを測定するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
胸部インピーダンスを感知するステップと、
前記MVインピーダンス信号が分時呼吸量(MV)を示し、前記胸部インピーダンスに基づいて分時呼吸量インピーダンス信号を作るステップと
をさらに含み、前記インピーダンス信号から前記FVCパラメータと前記FEVパラメータを測定するステップが、前記MVインピーダンス信号から前記FVCパラメータと前記FEVパラメータを測定するステップを含む
請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記信号を受け取るステップが、身体活動レベルを示す活動レベル信号を受け取るステップを含み、前記FVCパラメータと前記FEVパラメータを測定するステップが、前記活動レベルが所定のしきい値レベル未満である時に前記FVCパラメータと前記FEVパラメータを測定するステップを含む請求項56および57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記活動レベル信号が加速度信号であり、前記加速度信号を感知するステップをさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記信号を受け取るステップが、肺活量計から呼吸量を示す肺活量測定法信号を受け取るステップを含み、前記FVCパラメータと前記FEVパラメータを測定するステップが、前記肺活量測定法信号から前記FVCパラメータと前記FEVパラメータを測定するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記自動検出アルゴリズムを実行するステップが、さらに、前記FVCパラメータに対する前記FEVパラメータの比を計算するステップを含み、前記閉塞性肺疾患を検出するステップが、前記FVCパラメータに対する前記FEVパラメータの前記比が所定の閉塞性肺疾患しきい値比未満の時に前記閉塞性肺疾患を検出するステップを含み、前記拘束性肺疾患を検出するステップが、前記FVCパラメータに対する前記FEVパラメータの前記比が所定の拘束性肺疾患しきい値比を超える時に前記拘束性肺疾患を検出するステップを含む請求項36から60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記FEVパラメータを測定するステップが、呼吸サイクルの呼気相の始めから約1.0秒後に前記FEVパラメータを測定するステップを含む請求項36から61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記自動検出アルゴリズムの前記実行の結果に基づいて、療法を開始し、停止し、または調整するステップをさらに含む請求項36から62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記自動検出アルゴリズムの前記実行の結果に基づいて継続的な基礎で前記療法を最適化するステップをさらに含む請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記自動検出アルゴリズムの前記実行の結果に基づいて周期的な基礎で前記療法を最適化するステップをさらに含む請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記療法が、薬物療法、電気療法、生物学的療法のうちの1つまたは複数を含む請求項63に記載の方法。
【請求項67】
1つまたは複数の埋込み可能センサを使用して前記複数の心肺状態を示す前記信号のうちの1つまたは複数を感知するステップをさらに含む請求項36から66のいずれかに記載の方法。
【請求項1】
努力肺活量量(FVC)パラメータ、最大努力呼気肺活量(FEV)パラメータ、心臓性肺浮腫を示す1つまたは複数の浮腫を示すとともに複数の心肺状態を示すパラメータを受け取るパラメータ入力と、
前記1つまたは複数の浮腫を示すパラメータに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するように適合され、かつ前記パラメータ入力に結合された肺浮腫検出器と、
前記心臓性肺浮腫が検出されない場合に、前記FVCパラメータが所定のしきい値FVCパラメータ値未満である時に低FVCを検出するように適合され、かつ前記肺浮腫検出器に結合されている低FVC検出器と、
前記低FVCが検出される場合に、前記FVCパラメータと前記FEVパラメータに基づいて少なくとも閉塞性肺疾患と拘束性肺疾患を検出するように適合され、かつ前記低FVC検出器に結合されている肺状態検出器と
を含む、心肺状態を検出するシステム。
【請求項2】
前記肺状態検出器が、前記FVCパラメータに対する前記FEVパラメータの比が所定の閉塞性肺疾患しきい値比未満である時に閉塞性肺疾患を検出するように適合された閉塞性肺疾患検出器を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記肺状態検出器が、さらに、前記FVCパラメータ対する前記FEVパラメータの比が所定の拘束性肺疾患しきい値比を超える時に拘束性肺疾患を検出するように適合された拘束性肺疾患検出器を含む先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項4】
前記パラメータ入力に結合された呼吸パラメータ・ジェネレータをさらに含み、前記呼吸パラメータ・ジェネレータが、
呼吸信号から前記FVCパラメータを測定するFVC測定モジュールと、
前記呼吸信号から前記FEVパラメータを測定するFEV測定モジュールと
を含む、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記呼吸信号が、肺活量測定法信号を含み、さらに、肺活量計から前記呼吸信号を受け取る、前記呼吸パラメータ・ジェネレータに結合された肺活量測定法信号入力を含む請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記呼吸信号がインピーダンス信号を含み、さらに、埋込み可能インピーダンス・センサから前記インピーダンス信号を受け取るように前記呼吸パラメータ・ジェネレータに結合されたインピーダンス信号入力を含む請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
埋込み活動センサから身体活動レベルを示す活動信号を受け取るように前記呼吸パラメータ・ジェネレータに結合された活動信号入力をさらに含み、前記FVC測定モジュールが前記活動レベルが実質的な静止状態を表す所定のしきい値レベル未満の時に前記FVCパラメータを測定するように適合され、前記FEV測定モジュールが、前記活動レベルが実質的な静止状態を表す所定のしきい値レベル未満の時に前記FEVパラメータを測定するように適合された請求項4から6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
埋込み可能感知回路から1つまたは複数の電位図を受け取る心臓信号入力と、
前記1つまたは複数の電位図に基づいて前記1つまたは複数の浮腫を示すパラメータのうちの1つまたは複数のパラメータを作るために、前記心臓信号入力と前記パラメータ入力に結合された心拍数変動(HRV)プロセッサであって、前記HRVプロセッサが、前記1つまたは複数の電位図に基づいて前記HRVを測定するHRV測定モジュールを含む、前記HRVプロセッサと
をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記肺浮腫検出器が、前記HRVが所定のしきい値HRV未満である時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された低HRV検出器を含む請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記肺浮腫検出器が、前記HRVの減少が所定のマージンを超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された低HRV検出器を含む請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記HRVプロセッサが、さらに、前記HRVに基づいて約0.0033Hzから0.04Hzまでの周波数帯を有する超低周波(VLF)HRVを作るVLF HRVジェネレータを含み、前記肺浮腫検出器が、前記VLF HRFが所定のしきい値VLF HRVを超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高VLF HRV検出器を含む請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記HRVプロセッサが、さらに
前記HRVに基づいて約0.04Hzから0.15Hzまでの周波数帯を有する低周波数(LF)HRVを作るLF HRVジェネレータと、
前記HRVに基づいて約0.15Hzから0.40Hzまでの周波数帯を有する高周波数(HF)HRVを作るHF HRVジェネレータと、
前記HF HRVに対する前記LF HRVの比を計算するLF−HRV/HF−HRV比カリキュレータと
を含み、前記肺浮腫検出器が、前記HF HRVに対する前記LF HRVの前記比が所定のしきい値比を超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高LF−HRV/HF−HRV比検出器を含む請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
埋込み可能インピーダンス・センサから少なくとも1つのインピーダンス信号を受け取るインピーダンス信号入力と、
前記少なくとも1つのインピーダンス信号に基づいて前記1つまたは複数の浮腫を示すパラメータのうちの1つまたは複数のパラメータを作るために、前記インピーダンス信号入力と前記パラメータ入力に結合されたインピーダンス・プロセッサと
をさらに含む請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記インピーダンス・プロセッサが、前記インピーダンス信号に基づいて約0.0033Hzから0.016Hzまでの周波数帯を有する超低周波数(VLF)インピーダンスを作るVLFインピーダンス信号ジェネレータを含み、前記肺浮腫検出器が、前記VLFインピーダンスが所定のしきい値VLFインピーダンスを超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高VLFインピーダンス検出器を含む請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記インピーダンス・プロセッサが、前記インピーダンス信号から直流(DC)インピーダンスを作るDCインピーダンス信号ジェネレータを含み、前記肺浮腫検出器が、前記DCインピーダンスが所定のしきい値DCインピーダンス未満の時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された低DCインピーダンス検出器を含む請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
埋込み可能心音センサから心音信号を受け取る心音入力と、
前記心音入力および前記パラメータ入力に結合された第三心音(S3)プロセッサであって、前記S3プロセッサが、S3の発生を検出するS3検出器と、S3の前記検出された発生に基づいて前記1つまたは複数の浮腫を示すパラメータのうちの1つまたは複数のパラメータを作るS3アナライザとを含む、前記S3プロセッサと
をさらに含む請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
前記S3アナライザが、S3振幅を測定するS3振幅測定モジュールを含み、前記肺浮腫検出器が、前記S3振幅が所定のしきい値振幅を超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高S3振幅検出器を含む請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記S3アナライザが、所定の時間間隔にわたる全心拍動数に対するS3拍動数の比または比の推定値であるS3インデックスを作るS3インデックス・トレンディング・モジュールを含み、前記S3拍動のそれぞれが、S3の発生がその間に検出される心拍動であり、前記肺浮腫検出器が、前記S3インデックスが所定のしきい値インデックス・レベルを超える時に前記前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高S3インデックス検出器を含む請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つまたは複数の浮腫を示すパラメータが、
心拍数変動(HRV)と、
周期性変動呼吸を暗示する超低周波数(VLF)HRVと、
高周波数(HF)HRVに対する低周波数(LF)HRVの比と、
周期性変動呼吸を暗示する超低周波数(VLF)インピーダンスと、
第三心音(S3)振幅と、
所定の時間間隔にわたる全心拍動数に対するS3拍動数の比または比の推定値であるS3インデックスであって、前記S3拍動のそれぞれが、S3の発生がその間に検出される心拍動である、S3インデックスと、
肺体液状態を示すDCインピーダンスと
のうちの複数を含み、前記肺浮腫検出器が、
測定されたHRVが所定のしきい値HRVより少ない時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された低HRV検出器と、
前記VLF HRFが所定のしきい値VLF HRVを超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高VLF HRV検出器と、
前記HF HRVに対する前記LF HRVの前記比が所定のしきい値比を超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高LF−HRV/HF−HRV比検出器と、
前記VLFインピーダンスが所定のしきい値VLFインピーダンスを超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高VLFインピーダンス検出器と、
前記S3振幅が所定の振幅を超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高S3振幅検出器と、
前記S3インデックスが所定の振幅を超える時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された高S3インデックス検出器と、
前記DCインピーダンスが所定のしきい値DCインピーダンス未満である時に前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された低DCインピーダンス検出器と
のうちの複数を含む
請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項20】
前記肺浮腫検出器が、さらに、前記低HRV検出器、前記高VLF HRV検出器、前記高LF−HRV/HF−HRV比検出器、前記高VLFインピーダンス検出器、前記高S3振幅検出器、前記高S3インデックス検出器、前記低DCインピーダンス検出器のうちの複数に結合された心臓性肺浮腫インジケータを含み、前記心臓性肺浮腫インジケータが、前記低HRV検出器、前記高VLF HRV検出器、前記高LF−HRV/HF−HRV比検出器、前記高VLFインピーダンス検出器、前記高S3振幅検出器、前記高S3インデックス検出器、前記低DCインピーダンス検出器のうちの複数によって示される前記心臓性肺浮腫の1つまたは複数の検出に基づいて前記心臓性肺浮腫の検出を示すように適合された請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記肺浮腫検出器に結合された呼吸困難検出器をさらに含み、その呼吸困難検出器が、少なくとも1つの呼吸困難を示す信号を受け取り、前記少なくとも1つの呼吸困難を示す信号に基づいて呼吸困難を検出するように適合され、前記肺浮腫検出器が、前記呼吸困難の各検出の後に前記心臓性肺浮腫を検出するように適合された、先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項22】
複数の心肺状態を示す1つまたは複数の信号を感知するように適合された1つまたは複数のセンサと、
前記1つまたは複数のセンサに結合され、前記1つまたは複数の信号を処理する埋込みプロセッサと、
前記埋込みプロセッサに結合され、前記処理された1つまたは複数の信号を送信する埋込みテレメトリ・モジュールと
を含む埋込み可能医療デバイスと、
前記処理された1つまたは複数の信号を受信する外部テレメトリ・モジュールと、
前記外部テレメトリ・モジュールに結合された外部プロセッサであって、その外部プロセッサが、前記処理された1つまたは複数の信号に基づいて前記複数の心肺状態を検出するように適合された心肺状態検出器を含み、前記心肺状態検出器が、少なくとも心臓性肺浮腫検出器、閉塞性肺疾患検出器、拘束性肺疾患検出器を含む、外部プロセッサと
を含む、テレメトリを介して前記埋込み可能医療デバイスに通信可能に結合された外部システムと
を含むシステム。
【請求項23】
前記埋込み可能医療デバイスが、埋込み可能カーディアック・リズム・マネジメント(CRM)デバイスを含む請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記外部システムがプログラマを含む請求項22および23のいずれかに記載のシステム。
【請求項25】
前記外部システムが、
前記埋込み可能医療デバイスに通信可能に結合された外部デバイスと、
前記外部デバイスに結合された遠隔通信ネットワークと、
リモート位置からの前記埋込み可能医療デバイスへのアクセスを可能にする、前記遠隔通信ネットワークに結合されたリモート・デバイスと
を含む患者管理システムを含む請求項22および23のいずれかに記載のシステム。
【請求項26】
前記リモート・デバイスが前記心肺状態検出器を含む請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記肺浮腫検出器が、前記処理された1つまたは複数の信号のうちの少なくとも1つの呼吸困難を示す信号に基づいて呼吸困難を検出するように適合された呼吸困難検出器を含み、前記肺浮腫検出器が、前記呼吸困難が検出された後に心臓性肺浮腫を検出するように適合された請求項22から26のいずれかに記載のシステム。
【請求項28】
前記1つまたは複数のセンサが1つまたは複数の電位図を感知する感知回路を含み、前記埋込みプロセッサが、前記1つまたは複数の電位図から心拍数変動(HRV)を測定するように適合され、かつ前記HRVに基づいて心臓性肺浮腫を示す1つまたは複数のパラメータを作るように適合されたHRVプロセッサを含む請求項22から27のいずれかに記載のシステム。
【請求項29】
前記1つまたは複数のセンサが胸部インピーダンスを感知するインピーダンス・センサを含み、前記埋込みプロセッサが、前記胸部インピーダンスに基づいて心臓性肺浮腫を示す1つまたは複数のパラメータを作るように適合されたインピーダンス・プロセッサを含む請求項22から27のいずれかに記載のシステム。
【請求項30】
前記1つまたは複数のセンサが少なくとも第三心音(S3)を示す心音を感知する心音センサを含み、前記埋込みプロセッサが、S3の発生を検出するように適合され、かつ、S3の前記検出された発生に基づいて心臓性肺浮腫を示す1つまたは複数のパラメータを作るように適合されたS3プロセッサを含む請求項22から27のいずれかに記載のシステム。
【請求項31】
前記閉塞性肺疾患検出器が、努力肺活量量(FVC)パラメータと最大努力呼気肺活量(FEV)パラメータに基づいて閉塞性肺疾患を検出するように適合され、前記拘束性肺疾患検出器が、前記FVCパラメータと前記FEVパラメータに基づいて拘束性肺疾患を検出するように適合された請求項22から30のいずれかに記載のシステム。
【請求項32】
前記心肺状態検出器が、さらに、前記心臓性肺浮腫が検出されない場合に、前記FVCパラメータが所定のしきい値FVCパラメータ値未満である時に低FVCを検出する、前記心臓性肺浮腫に結合された低FVC検出器を含み、前記閉塞性肺疾患検出器が、前記低FVCが検出される場合に前記閉塞性肺疾患を検出するように適合され、前記拘束性肺疾患検出器が、前記低FVCが検出される場合に前記拘束性肺疾患を検出するように適合された請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
肺容量を示す肺活量測定法信号を感知する、前記外部システムに結合された外部肺活量計をさらに含み、前記外部プロセッサが、
前記肺活量測定法信号から前記FVCパラメータを測定するように適合されたFVC測定モジュールと、
前記肺活量測定法信号から前記FEVパラメータを測定するように適合されたFEV測定モジュールと
を含む請求項31および32のいずれかに記載のシステム。
【請求項34】
前記1つまたは複数のセンサが、分時呼吸量を示すインピーダンス信号を感知するインピーダンス・センサを含み、前記外部プロセッサが、
前記インピーダンス信号から前記FVCパラメータを測定するように適合されたFVC測定モジュールと、
前記インピーダンス信号から前記FEVパラメータを測定するように適合されたFEV測定モジュールと
を含む請求項31および32のいずれかに記載のシステム。
【請求項35】
前記1つまたは複数のセンサが、さらに、身体活動レベルを示す活動信号を感知する活動センサを含み、
前記FVC測定モジュールが、前記活動信号が実質的な静止状態を示す時に前記MVインピーダンス信号から前記FVCパラメータを測定するように適合され、
前記FEV測定モジュールが、前記活動信号が実質的な静止状態を示す時に前記MVインピーダンス信号から前記FEVパラメータを測定するように適合された
請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
複数の心肺状態を示す信号を受け取るステップと、
自動検出アルゴリズムを実行するステップであって、
前記受け取られた信号のうちの少なくとも1つの浮腫を示す信号に基づいて心臓性肺浮腫を検出するステップと、
前記受け取られた信号のうちの少なくとも1つの信号から努力肺活量量(FVC)パラメータと最大努力呼気肺活量(FEV)パラメータを測定するステップと、
前記心臓性肺浮腫が検出されない場合に、前記測定されたFVCパラメータと前記測定されたFEVパラメータに基づいて閉塞性肺疾患を検出するステップと、
前記心臓性肺浮腫が検出されない場合に、前記測定されたFVCパラメータと前記測定されたFEVパラメータに基づいて拘束性肺疾患を検出するステップと
を含む、前記実行するステップと
を含む心肺状態を検出する方法。
【請求項37】
前記自動検出アルゴリズムを実行するステップが、さらに、前記心臓性肺浮腫が検出されない場合に低FVCを検出するステップを含み、前記閉塞性肺疾患を検出するステップが、前記低FVCが検出される場合に前記閉塞性肺疾患を検出するステップを含み、前記拘束性肺疾患を検出するステップが、前記低FVCが検出される場合に前記拘束性肺疾患を検出するステップを含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記受け取られた信号のうちの少なくとも1つの呼吸困難を示す信号に基づいて呼吸困難を検出するステップをさらに含み、その心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記呼吸困難が検出された後に前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む請求項36および37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記信号を受け取るステップが、呼吸信号と活動信号を受け取るステップを含み、前記呼吸困難を検出するステップは、前記呼吸信号がすばやく浅い息を示し、前記活動信号が、前記すばやく浅い息が身体活動に実質的に関連しないことを示す時に、呼吸困難を検出するステップを含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記信号を受け取るステップが、心拍数変動(HRV)を示す少なくとも1つの信号を受け取るステップを含み、前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記HRVに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記HRVを示す1つまたは複数の電位図を感知するステップと、
前記1つまたは複数の電位図から前記HRVを測定するステップと
をさらに含み、前記HRVに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記HRVが所定のしきい値HRVより小さい時に前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む
請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記信号を受け取るステップが、超低周波数心拍数変動(VLF HRV)を示す信号を受け取るステップを含み、前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記VLF HRVに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
HRVを示す1つまたは複数の電位図を感知するステップと、
前記HRVのうちで約0.0033Hzから0.04Hzまでの周波数帯内の成分を含む前記VLF HRVを作るステップと
をさらに含み、前記VLF HRVに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記VLF HRVが所定のしきい値VLF HRVを超える時に前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む
請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記信号を受け取るステップが、高周波数の心拍数変動(HF HRV)に対する低周波数の心拍数変動(LF HRV)の比を示す信号を受け取るステップを含み、前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記HF HRVに対する前記LF HRVの比に基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
HRVを示す1つまたは複数の電位図を感知するステップと、
前記HRVのうちで約0.05Hzから0.15Hzまでの周波数帯内の成分を含む低周波数(LF)HRVを作るステップと、
前記HRVのうちで約0.15Hzから0.40Hzまでの周波数帯内の成分を含む高周波数(HF)HRVを作るステップと、
前記HF HRVに対する前記LF HRVの比を計算するステップと
をさらに含み、前記HF HRVに対する前記LF HRVの比に基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記HF HRVに対する前記LF HRVの前記比が所定のしきい値比を超える時に前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む
請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記信号を受け取るステップが、周期性の変動呼吸を暗示する超低周波数(VLF)インピーダンスを示す信号を受け取るステップを含み、前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記VLFインピーダンスに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
胸部インピーダンスを感知するステップと、
前記胸部インピーダンスに基づいて前記VLFインピーダンスを作るステップと
をさらに含み、前記VLFインピーダンスに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記VLFインピーダンスが所定のしきい値VLFインピーダンスを超える時に前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む
請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記VLFインピーダンスを作るステップが、前記胸部インピーダンス信号のVLF成分を抽出するステップを含み、前記VLF成分が、約0.0033Hzから0.016Hzまでの周波数帯を有する請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記信号を受け取るステップが、肺体液状態を示す直流(DC)インピーダンスを示す信号を受け取るステップを含み、前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記DCインピーダンスに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
胸部インピーダンスを感知するステップと、
前記胸部インピーダンスに基づいて前記DCインピーダンスを作るステップと
をさらに含み、前記DCインピーダンスに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記DCインピーダンスが所定のしきい値DCインピーダンスを超える時に前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む
請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記信号を受け取るステップが、第三心音(S3)振幅を示す信号を受け取るステップを含み、前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記S3振幅に基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
少なくともS3を示す心音信号を感知するステップと、
前記心音信号からS3の発生を検出するステップと、
S3の前記検出された発生に基づいて前記S3振幅を作るステップと
をさらに含み、前記S3振幅に基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記S3振幅が所定のしきい値振幅を超える時に前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む
請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記信号を受け取るステップが、所定の時間間隔中に検出された全心拍動数に対するS3拍動数の比または比の推定値である第三心音(S3)インデックスを示す信号を受け取るステップを含み、前記S3拍動のそれぞれがS3の発生がその間に検出される心拍動であり、前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記S3インデックスに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
少なくともS3を示す心音信号を感知するステップと、
前記心音信号からS3の発生を検出するステップと、
S3の前記検出された発生に基づいて前記S3インデックスを作るステップと
をさらに含み、前記S3インデックスに基づいて前記心臓性肺浮腫を検出するステップが、前記S3インデックスが所定のしきい値インデックス・レベルを超える時に前記心臓性肺浮腫を検出するステップを含む
請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記心音信号を感知するステップが、加速度信号を感知するステップを含む請求項52および54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記信号を受け取るステップが、埋込み可能インピーダンス・センサから分時呼吸量のインピーダンス示す信号を受け取るステップを含み、前記FVCパラメータと前記FEVパラメータを測定するステップが、前記インピーダンス信号から前記FVCパラメータと前記FEVパラメータを測定するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
胸部インピーダンスを感知するステップと、
前記MVインピーダンス信号が分時呼吸量(MV)を示し、前記胸部インピーダンスに基づいて分時呼吸量インピーダンス信号を作るステップと
をさらに含み、前記インピーダンス信号から前記FVCパラメータと前記FEVパラメータを測定するステップが、前記MVインピーダンス信号から前記FVCパラメータと前記FEVパラメータを測定するステップを含む
請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記信号を受け取るステップが、身体活動レベルを示す活動レベル信号を受け取るステップを含み、前記FVCパラメータと前記FEVパラメータを測定するステップが、前記活動レベルが所定のしきい値レベル未満である時に前記FVCパラメータと前記FEVパラメータを測定するステップを含む請求項56および57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記活動レベル信号が加速度信号であり、前記加速度信号を感知するステップをさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記信号を受け取るステップが、肺活量計から呼吸量を示す肺活量測定法信号を受け取るステップを含み、前記FVCパラメータと前記FEVパラメータを測定するステップが、前記肺活量測定法信号から前記FVCパラメータと前記FEVパラメータを測定するステップを含む請求項36から39のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記自動検出アルゴリズムを実行するステップが、さらに、前記FVCパラメータに対する前記FEVパラメータの比を計算するステップを含み、前記閉塞性肺疾患を検出するステップが、前記FVCパラメータに対する前記FEVパラメータの前記比が所定の閉塞性肺疾患しきい値比未満の時に前記閉塞性肺疾患を検出するステップを含み、前記拘束性肺疾患を検出するステップが、前記FVCパラメータに対する前記FEVパラメータの前記比が所定の拘束性肺疾患しきい値比を超える時に前記拘束性肺疾患を検出するステップを含む請求項36から60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記FEVパラメータを測定するステップが、呼吸サイクルの呼気相の始めから約1.0秒後に前記FEVパラメータを測定するステップを含む請求項36から61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記自動検出アルゴリズムの前記実行の結果に基づいて、療法を開始し、停止し、または調整するステップをさらに含む請求項36から62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記自動検出アルゴリズムの前記実行の結果に基づいて継続的な基礎で前記療法を最適化するステップをさらに含む請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記自動検出アルゴリズムの前記実行の結果に基づいて周期的な基礎で前記療法を最適化するステップをさらに含む請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記療法が、薬物療法、電気療法、生物学的療法のうちの1つまたは複数を含む請求項63に記載の方法。
【請求項67】
1つまたは複数の埋込み可能センサを使用して前記複数の心肺状態を示す前記信号のうちの1つまたは複数を感知するステップをさらに含む請求項36から66のいずれかに記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2008−507338(P2008−507338A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522593(P2007−522593)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/025235
【国際公開番号】WO2006/028575
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(505003528)カーディアック・ペースメーカーズ・インコーポレーテッド (466)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/025235
【国際公開番号】WO2006/028575
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(505003528)カーディアック・ペースメーカーズ・インコーポレーテッド (466)
【Fターム(参考)】
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