説明

心血管および血液疾患の処置用の特異的HIF−プロリル−4−ヒドロキシラーゼ阻害剤としての4−(ピリジン−3−イル)−2−(ピリジン−2−イル)−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン誘導体

本発明の目的は、疾患、特に心血管および血液の疾患の処置に使用できる新しい化合物を提供することである。本発明に関して、特異的HIF−プロリル−4−ヒドロキシラーゼ阻害剤として作用し、この特異的なインビボの作用メカニズムがあるので、非経腸または経口投与の後に、エリスロポエチンなどのHIF標的遺伝子を誘導し、かくして赤血球新生などの生物学的過程をもたらす化合物を記載する。本発明は、一般式(I)[式中、Aは、CHまたはNを表し、Rは、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、(C−C)−アルコキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルおよびC(=O)−NH−Rにより形成される群から選択される置換基を表し;Rは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニルおよびC(=O)−NH−Rにより形成される群から選択される置換基を表し;mは、0、1または2であり;nは、0、1、2または3であり、ここで、RまたはRが数個存在する場合、これらの意味は同一であっても異なっていてもよく;そして、Rは、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルを表す]の化合物に関する。本発明は、これらの化合物の塩、溶媒和物および塩の溶媒和物にも関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新規ジピリジル−ジヒドロピラゾロン類、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、および、疾患の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用、特に、心血管および血液疾患および腎臓疾患のためのもの、および創傷の治癒を促進するためのものに関する。
【背景技術】
【0002】
人体(human organism)またはその構成要素への不十分な酸素供給であって、その持続時間および/またはその程度のために人体またはその構成要素の規則的な機能を損なうか、または、その機能の完全な破壊を引き起こすものは、低酸素症と呼ばれる。低酸素症は、吸入される空気中の利用可能な酸素の減少(例えば、非常な高地での期間中に)により、外呼吸の障害(例えば、肺機能の撹乱または気道の閉塞の結果として)により、心拍出量の減少(例えば、心不全、肺塞栓症を伴う急性右室負荷の場合に)により、低すぎる血液の酸素運搬能(例えば、貧血または例えば一酸化炭素による中毒の結果として)により、血管閉塞の結果としての血流の減少(典型的には例えば心臓、下肢または脳の虚血状態、糖尿病性大血管および微小血管障害)により局所的に区切られて、または、組織の酸素要求の増大(例えば、筋肉仕事量の増大または局所的炎症の結果として)によっても引き起こされ得る[Eder, Gedigk (ed.), Allgemeine Pathologie und pathologische Anatomie, 33rd ed., Springer Verlag, Berlin, 1990]。
【0003】
人体は、限られた範囲内で、酸素供給が減少した状況に急性および慢性的に適応し得る。なかんずく、心拍出量および呼吸排出量の増加並びに植物神経制御メカニズムによる血管の局所的拡張を含む即時的反応に加えて、低酸素は、多数の遺伝子の転写の変化をもたらす。それらの遺伝子産物の機能は、ここで、酸素不足を補うように作用する。かくして、いくつかの解糖系の酵素のおよびグルコーストランスポーターIの発現が増強され、その結果、無気的ATP産生が増加し、酸素不足での生存が可能になる[Schmidt, Thews (ed.), Physiologie des Menschen, 27th ed., Springer Verlag, Berlin, 1997; Loeffler, Petrides (ed.), Biochemie und Pathobiochemie, 7th ed., Springer Verlag, Berlin, 2003]。
【0004】
低酸素は、さらに、血管内皮細胞増殖因子、即ちVEGFの発現の増強を導き、その結果、低酸素の組織において血管の調節(血管形成)が刺激される。虚血組織を通る血流は、それにより、長期的に改善される。この対抗制御は、様々な心血管疾患および血管閉塞疾患の場合には、明らかに非常に不適切なものでしかない[Simons and Ware, Therapeutic angiogenesis in cardiovascular disease, Nat. Rev. Drug. Discov. 2 (11), 863-71 (2003)に概説]。
【0005】
さらに、全身的低酸素症の場合、腎臓の間質性線維芽細胞において支配的に形成されるペプチドホルモンであるエリスロポエチンの発現が増強される。それにより、骨髄における赤血球細胞の形成が刺激され、従って血液の酸素運搬能が上昇する。この効果は、いわゆる高地トレーニングにおいて、能力の高い運動選手により以前から使用されている。例えば大量出血後の貧血の結果としての血液の酸素運搬能の低下は、通常、腎臓のエリスロポエチン産生の増加を引き起こす。ある種の形態の貧血では、この制御メカニズムが撹乱されるか、または、その正常値が低く設定されることがある。故に、例えば腎不全を患っている患者において、エリスロポエチンは実際に腎臓の実質で産生されるが、血液の酸素運搬能に対して有意に少ない量であり、それは、いわゆる腎性貧血をもたらす。腎性貧血は特に、しかし腫瘍およびHIV感染に起因する貧血も、慣習的に組換えヒトエリスロポエチン(rhEPO)の非経腸投与により処置されている。この高価な治療に代わる経口で利用可能な医薬による代替治療は、現在のところ存在しない[Eckardt, The potential of erythropoietin and related strategies to stimulate erythropoiesis, Curr. Opin. Investig. Drugs 2(8), 1081-5 (2001); Berns, Should the target hemoglobin for patients with chronic kidney disease treated with erythropoietic replacement therapy be changed?, Semin. Dial. 18 (1), 22-9 (2005) に概説]。最近の研究は、その赤血球新生増加作用に加えて、それとは独立して、エリスロポエチンが低酸素組織、特に心臓および脳に対する保護的(抗アポトーシス)作用も有することを立証している。さらに、最近の研究によると、エリスロポエチンによる治療は、心不全患者における病状の平均的重篤度を下げる[Caiola and Cheng, Use of erythropoietin in heart failure management, Ann. Pharmacother. 38 (12), 2145-9 (2004); Katz, Mechanisms and treatment of anemia in chronic heart failure, Congest. Heart. Fail. 10 (5), 243-7 (2004)に概説]。
【0006】
低酸素により誘導される上記の遺伝子は、低酸素下でのそれらの発現の増加がいわゆる低酸素誘導転写因子(HIF)に起因するという共通の特徴を有する。HIFは、アルファおよびベータサブユニットを含むヘテロ二量体の転写因子である。3種類のHIFアルファアイソフォームが報告されており、そのうちHIF−1アルファおよびHIF−2アルファは相同性が高く、低酸素誘導遺伝子発現に重要である。ARNT(アリール炭化水素受容体核輸送体)とも呼ばれるベータサブユニット(その2種類のアイソフォームが報告された)は構成的に発現され、アルファサブユニットの発現は細胞の酸素含有量に依存する。正常酸素圧下では、HIFアルファタンパク質はポリユビキチン化され、次いでプロテアソームにより分解される。低酸素下ではこの分解は阻害され、HIFアルファはARNTと二量体化し、その標的遺伝子を活性化できるようになる。HIF二量体は、ここで、その標的遺伝子の調節配列中にある、いわゆる低酸素応答エレメント(HRE)に結合する。HREはコンセンサス配列により定義される。機能的HREは、多数の低酸素誘導遺伝子の調節エレメント中に検出された(Semenza, Hypoxia-inducible factor 1: oxygen homeostasis and disease pathophysiology, Trends Mol. Med. 7 (8), 345-50 (2001); Wenger and Gassmann, oxygen(es) and the hypoxia-inducible factor-1, Biol. Chem. 378 (7), 609-16 (1997)]。
【0007】
このHIFアルファの調節の基礎である分子メカニズムは、いくつかの独立した研究者グループの仕事により明らかにされた。このメカニズムは、種間で保存されている:HIFアルファは、PHDまたはEGLNと呼ばれる酸素依存的プロリル4−ヒドロキシラーゼのサブクラスにより2つの特異的プロリルラジカル(ヒトHIF−1アルファサブユニットのP402およびP564)でヒドロキシル化される。HIFプロリル4−ヒドロキシラーゼは、鉄依存的2−オキソグルタル酸−変換ジオキシゲナーゼである[Epstein et al., C. elegans EGL-9 and mammalian homologs define a family of dioxogenases that regulate HIF by prolyl hydroxylation, Cell 107 (1), 43-54 (2001); Bruick and McKnight, A conserved family of prolyl-4-hydroxylases that modify HIF, Science 294 (5545), 1337-40 (2001); Ivan et al., Biochemical purification and pharmacological inhibition of a mammalian prolyl hydroxylase acting on hypoxia-inducible factor, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99 (21), 13459-64 (2002)]。これらの酵素は、プロリルヒドロキシラーゼとして2001年に最初に注解された[Aravind and Koonin, The DNA-repair protein AlkB, EGL-9, and leprecan define new families of 2-oxoglutarate- and iron-dependent dioxogenases, Genome Biol. 2 (3), research0007.1-0007.8, Epub 2001 Feb 19]。
【0008】
エロンジン(elongin)BおよびCと一体となっていわゆるVBC複合体を形成し、HIFアルファサブユニットをE3ユビキチンリガーゼに適合させるpVHL腫瘍抑制因子タンパク質は、プロリル−ヒドロキシル化HIFアルファサブユニットに結合する。HIFアルファサブユニットのプロリル4−ヒドロキシル化および続くその分解は、酸素の細胞内濃度に応じて起こるので、HIFプロリル4−ヒドロキシラーゼは、細胞内酸素センサーとも呼ばれてきた。これらの酵素の3種のアイソフォームが同定された:EGLN1/PHD2、EGLN2/PHD1およびEGLN3/PHD3。これらの酵素の2種(EGLN2/PHD1およびEGLN3/PHD3)は、低酸素下でさえ転写的に誘導され、恐らく慢性的低酸素下で観察されるHIFアルファレベルの低下を担うものである[Schofield and Ratcliffe, oxygen sensing by HIF hydroxylases, Nat. Rev. Mol. Cell. Biol. 5 (5), 343-54 (2004) に概説]。
【0009】
HIFプロリル4−ヒドロキシラーゼの選択的薬理的阻害は、HIF依存的標的遺伝子の遺伝子発現の増加をもたらし、従って多数の疾患や症候群の治療に有益である。特に心血管系の疾患の場合、疾患の経過における改善は、新しい血管の誘導および虚血器官における有気的ATP産生から無気的なものへの代謝状況の変化から予測される。慢性的創傷の血管新生における改善は、特に治癒が不十分な下腿潰瘍(ulcera cruris)および他の慢性皮膚創傷の場合に、治癒過程を促進する。ある種の病態における、特に腎性貧血の患者における、内因性エリスロポエチンの誘導は、同様に目標とされる治療目的である。
【0010】
今日までに科学的文献に記載されたHIFプロリル4−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、医薬に負わされる要件を満たさない。これらは、競合的オキソグルタル酸類似体(例えば、N−オキサリルグリシン)であり、非常に低い作用強度を特徴とし、従ってインビボモデルでは、まだHIF標的遺伝子の誘導の意味で作用を示していない。あるいは、それらはデスフェリオキサミンなどの鉄錯体化剤(キレート剤)であり、鉄含有ジオキソゲナーゼの非特異的阻害剤として作用し、それらはインビボで例えばエリスロポエチンなどの標的遺伝子の誘導をもたらすが、利用可能な鉄の錯体化により、明らかに赤血球新生に対抗する。
【0011】
本発明の目的は、疾患、特に心血管および血液の疾患の処置に用いることができる新規化合物を提供することである。
【0012】
本発明に関して、この度、HIFプロリル4−ヒドロキシラーゼの特異的阻害剤として作用し、この特異的作用メカニズムを基礎として、非経腸または経口投与の後に、インビボで例えばエリスロポエチンなどのHIF標的遺伝子の誘導、並びに、それに起因する生物学的過程、例えば赤血球新生をもたらす化合物を記載する。
【0013】
殺菌および/または殺真菌作用を有する2−ヘテロアリール−4−アリール−1,2−ジヒドロピラゾロン類は、EP165448およびEP212281に開示されている。2−ヘテロアリール−4−アリール−1,2−ジヒドロピラゾロン類の、呼吸器、心血管および炎症性疾患の処置用のリポキシゲナーゼ阻害剤としての使用は、EP183159で特許請求されている。除草活性を有する2,4−ジフェニル−1,2−ジヒドロピラゾロン類は、DE2651008に記載されている。ある種の2−ピリジル−1,2−ジヒドロピラゾロン類の製造および薬理的特性は、Helv. Chim. Acta 49 (1), 272-280 (1966) で報告されている。WO96/12706、WO00/51989およびWO03/074550は、様々な疾患の処置用に、ジヒドロピラゾロン部分構造を有する化合物を特許請求している。
【発明の開示】
【0014】
本発明は、一般式(I)
【化1】

[式中、
Aは、CHまたはNを表し、
は、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、(C−C)−アルコキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルおよび−C(=O)−NH−Rからなる組から選択される置換基を表し
{ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノまたは式−NH−C(=O)−R、−NH−C(=O)−NH−Rもしくは−NH−SO−Rの基により置換されていてもよく
(ここで、Rは、(C−C)−アルキル(ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、フェニルまたは5員もしくは6員のヘテロアリールにより置換されていてもよい)またはフェニルを示し、
ここで、フェニルおよびヘテロアリールは、各場合で、同一であるか、または異なって、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシにより1回ないし3回置換されていてもよく、
は、ヒドロキシルまたは(C−C)−アルコキシにより置換されていてもよい(C−C)−アルキルを示し、
そして、Rは、(C−C)−アルキルを示す)、
そして、Rは、水素または(C−C)−アルキルを示し、これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシまたはフェニルにより置換されていてもよい
(ここで、フェニルは、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシにより置換されていてもよい)}、
は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニルおよび−C(=O)−NH−Rからなる組から選択される置換基を表し
{ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、ヒドロキシルにより置換されていてもよく、
そして、Rは、水素または(C−C)−アルキルを示す}、
mは、0、1または2の数を表し、
nは、0、1、2または3の数を表し
{ここで、RまたはRが数個存在する場合、それらの意味は、各場合で同一であっても異なっていてもよい}、
そして、Rは、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルを表す]
の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を提供する。
【0015】
本発明による化合物は、式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、式(I)に包含される後述の式の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、および、式(I)に包含される実施態様の例として後述する化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物(式(I)に包含される後述の式の化合物が、まだ塩、溶媒和物および塩の溶媒和物ではない場合に)である。
【0016】
本発明による化合物は、それらの構造次第で、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在できる。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの特定の混合物を含む。立体異性的に均一な構成分は、そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、既知方法で単離できる。
本発明による化合物が互変異性体で存在できるならば、本発明は、全ての互変異性体を含む。
【0017】
本発明に関して、好ましいは、本発明による化合物の生理的に許容し得る塩である。それら自体は医薬的使用に適さないが、例えば本発明による化合物の単離または精製に使用できる塩も含まれる。
【0018】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、無機酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0019】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、また、常套の塩基の塩、例えば、そして、好ましくは、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1個ないし16個のC原子を有する有機アミン(例えば、そして、好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩が含まれる。
【0020】
溶媒和物は、本発明に関して、固体または液体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成している本発明による化合物の形態と説明される。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。水和物は、本発明に関して好ましい溶媒和物である。
【0021】
本発明は、さらに、本発明による化合物のプロドラッグも含む。用語「プロドラッグ」には、それら自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、それらの体内残存時間中に(例えば代謝的または加水分解的に)本発明による化合物に変換される化合物が含まれる。
【0022】
本発明に関して、置換基は、断りの無い限り以下の意味を有する:
(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルキルは、本発明に関して、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルを表す。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルが好ましい。例えば、そして、好ましくは:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−エチルプロピル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルが挙げられる。
【0023】
(C−C)−シクロアルキルおよび(C−C)−シクロアルキルは、本発明に関して、3個ないし7個または3個ないし6個の炭素原子を各々有する飽和単環式シクロアルキル基を表す。3個ないし6個の炭素原子を有するシクロアルキルラジカルが好ましい。例えば、そして、好ましくは:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。
【0024】
(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−アルコキシは、本発明に関して、2個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルを表す。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルが好ましい。例えば、そして、好ましくは:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシおよびtert−ブトキシが挙げられる。
【0025】
(C−C)−アルコキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルは、本発明に関して、1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を各々有し、カルボニル基を介して結合している直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルを表す。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシカルボニルラジカルが好ましい。例えば、そして、好ましくは:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニルが挙げられる。
【0026】
モノ−(C−C)−アルキルアミノは、本発明に関して、1個ないし4個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基を表す。例えば、そして、好ましくは:メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノおよびtert−ブチルアミノが挙げられる。
【0027】
ジ−(C−C)−アルキルアミノは、本発明に関して、2個の同一または異なる直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有し、その各々が1個ないし4個の炭素原子を含有するアミノ基を表す。例えば、そして、好ましくは:N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−メチルアミノ、N,N−ジイソプロピルアミノ、N−n−ブチル−N−メチルアミノ、N−tert−ブチル−N−メチルアミノが挙げられる。
【0028】
5員または6員のヘテロアリールは、本発明に関して、全部で5個または6個の環原子を有し、N、Oおよび/またはSからなる組から3個までの同一または異なる環のヘテロ原子を有し、環の炭素原子または場合により環の窒素原子を介して結合している芳香族性複素環式ラジカル(複素芳香族)を表す。例えば:フリル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾアリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニルが挙げられる。N、Oおよび/またはSからなる組から2個までの環のヘテロ原子を有する5員のヘテロアリールラジカル、例えば、フリル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリルが好ましい。
【0029】
ハロゲンには、本発明に関して、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。フッ素、塩素または臭素が好ましい。
【0030】
本発明による化合物中のラジカルが置換されているならば、断りの無い限り、そのラジカルは、一置換または多置換されていてよい。本発明に関して、数回出てくる全てのラジカルについて、その意味は相互に独立している。1個、2個または3個の同一または異なる置換基による置換が好ましい。1個の置換基による置換がことさら特に好ましい。
【0031】
好ましい式(I)の化合物は、式中、
Aが、CHまたはNを表し、
が、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、(C−C)−アルコキシカルボニルおよびヒドロキシカルボニルからなる組から選択される置換基を表し、
が、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノおよびヒドロキシカルボニルからなる組から選択される置換基を表し、ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、ヒドロキシルにより置換されていてもよく、
mが、0、1または2の数を表し、
nが、0、1、2または3の数を表し
{ここで、RまたはRが数個存在する場合、それらの意味は、各場合で同一であっても異なっていてもよい}、
そして、Rが、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルを表す、
もの、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0032】
同様に好ましい式(I)の化合物は、式中、
AがCHを表し、
が、(C−C)−アルキル、フッ素、塩素、臭素および−C(=O)−NH−Rからなる組から選択される置換基を表し
{ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノまたは式−NH−C(=O)−R、−NH−C(=O)−NH−Rまたは−NH−SO−Rの基により置換されていてもよく
(ここで、Rは、(C−C)−アルキル(ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、フェニルまたは5員のヘテロアリールにより置換されていてもよい)またはフェニルを示し、
ここで、フェニルおよびヘテロアリールは、各場合で、同一であるか、または異なって、フッ素、塩素、臭素、シアノ、メチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシにより1回ないし3回置換されていてもよく、
そして、RおよびRは、相互に独立して、(C−C)−アルキルを示す)、
そして、Rは、(C−C)−アルキルを示し、これは、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシまたはフェニルにより置換されていてもよい
(ここで、フェニルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、メチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシにより置換されていてもよい)}、
が、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシカルボニルおよび−C(=O)−NH−Rからなる組から選択される置換基を表し
{ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシルにより置換されていてもよく、
そして、Rは、(C−C)−アルキルを示す}
mが、0、1または2の数を表し、
nが、0、1または2の数を表し
{ここで、RまたはRが数個存在する場合、それらの意味は、各場合で同一であっても異なっていてもよい}、
そして、Rが、水素を表す、
もの、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0033】
特に好ましい式(I)の化合物は、式中、
AがCHを表し、
が、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、(C−C)−アルコキシ、アミノおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる組から選択される置換基を表し、
が、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシおよびアミノからなる組から選択される置換基を表し、ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、ヒドロキシルにより置換されていてもよく、
mが、0または1の数を表し、
nが、0、1、2または3の数を表し
{ここで、Rが数個存在する場合、その意味は同一であっても異なっていてもよい}、
そして、Rが水素またはメチルを表す、
もの、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0034】
同様に特に好ましい式(I)の化合物は、式中、
AがCHを表し、
が、(C−C)−アルキル、フッ素、塩素、臭素および−C(=O)−NH−Rからなる組から選択される置換基を表し
{ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、アミノまたは式−NH−C(=O)−Rもしくは−NH−C(=O)−NH−Rの基により置換されていてもよく
(ここで、Rは、(C−C)−アルキル(フェニルまたはピラゾリルにより置換されていてもよい)またはフェニルを示し、
ここで、フェニルおよびピラゾリルは、各場合で、同一であるか、または異なって、フッ素、塩素、メチルまたはトリフルオロメチルにより1回ないし3回置換されていてもよく、
そして、Rは、(C−C)−アルキルを示す)、
そして、Rは、フェニルにより置換されていてもよい(C−C)−アルキルを示す}、
が、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキルおよびトリフルオロメチルからなる組から選択される置換基を表し、ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシルにより置換されていてもよく、
mが、0、1または2の数を表し、
nが、0、1または2の数を表し
{ここで、RまたはRが数個存在する場合、それらの意味は、各場合で同一であっても異なっていてもよい}、
そして、Rが、水素を表す、
もの、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0035】
特に重要な化合物は、式(I−A)
【化2】

[式中、
1Aは、水素、メチルまたはトリフルオロメチルを表し、
そして、R2A、R2BおよびR2Cは、同一であるか、または異なり、相互に独立して、水素、塩素、臭素、シアノ、メチル、ヒドロキシメチル、メトキシまたはエトキシを表す]
のもの、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0036】
特に重要な化合物は、同様に、式(I−B)
【化3】

[式中、
1AおよびR1Bは、同一であるか、または異なり、相互に独立して、水素、フッ素、塩素、(C−C)−アルキルまたは−C(=O)−NH−Rを表し
{ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、アミノまたは式−NH−C(=O)−Rの基により置換されていてもよく
(ここで、Rは、(C−C)−アルキル(フェニルまたはピラゾリルにより置換されていてもよい)またはフェニルを示し、
ここで、フェニルおよびピラゾリルは、各場合で、同一であるか、または異なって、フッ素、塩素、メチルまたはトリフルオロメチルにより1回ないし3回置換されていてもよい)、
そして、Rは、(C−C)−アルキルを示し、これは、フェニルにより置換されていてもよい}、
は、塩素、臭素、シアノ、メチル、ヒドロキシメチルまたはトリフルオロメチルからなる組から選択される置換基を表し、
そして、
nは、0、1または2の数を表す
{ここで、Rが数個存在する場合、その意味は同一であっても異なっていてもよい}]
のもの、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0037】
ラジカルの特定の組合せまたは好ましい組合せにおいて詳細に与えられるラジカルの定義は、また、与えられる特定のラジカルの組合せから独立して、所望により他の組合せのラジカルの定義により置き換えられる。
2個またはそれ以上の上述の好ましい範囲の組合せがことさら特に好ましい。
【0038】
本発明による式(I)の1,2−ジヒドロピラゾール−3−オン誘導体は、互変異性の1H−ピラゾール−5−オール形態(I')であることもできる(下式1参照);これらの2つの互変異性体は、明示的に本発明に含まれる。
式1
【化4】

【0039】
本発明はまた、本発明による式(I)の化合物の製造方法を提供し、それは、以下を特徴とする;
式(II)
【化5】

(式中、R、Rおよびnは、上述の意味を有し、そして、
は、メチルまたはエチルを表す)
の化合物を、不活性溶媒中、場合により酸の存在下で、式(III)
【化6】

(式中、A、Rおよびmは、上述の意味を有する)
の化合物と反応させ、式(IV)
【化7】

(式中、Z、A、R、R、R、mおよびnは、上述の意味を有する)
の化合物を得、次いで、これらを不活性溶媒中、塩基の存在下で環化し、
そして、式(I)の化合物を、場合により対応する(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸で、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換する。
【0040】
が水素を表す本発明による式(I)の化合物は、以下の方法によっても製造できる;
式(V)
【化8】

(式中、Z、R並びにnおよびmは、上述の意味を有する)
の化合物を、式(VI)
【化9】

(式中、Zは、メチルまたはエチルを表す)
の化合物と縮合反応に付し、式(VII)
【化10】

(式中、Z、Rおよびnは、上述の意味を有する)
の化合物を得、次いで、これを酸の存在下で式(III)の化合物と反応させ、式(IV−A)
【化11】

(式中、Z、A、R、R、mおよびnは、上述の意味を有する)
の化合物を得、次いで、これらを、不活性溶媒中、塩基の存在下で環化する。
【0041】
本発明による化合物は、場合により、上記の方法により得られた式(I)の化合物から出発して、個々の置換基の官能基、特にRおよびRで列挙したもののさらなる変換によっても製造できる。これらの変換は常套の方法により実施され、例えば、求核または求電子置換、酸化、還元、水素化、エステル化、エステル切断、エーテル化、エーテル切断、カルボキサミド、スルホンアミドおよびウレアの形成、並びに、一時的な保護基の導入および除去などの反応が含まれる。
【0042】
工程(II)+(III)→(IV)、(IV)→(I)および(IV−A)→(I)に適する不活性溶媒は、特に、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノールなどのアルコールである。エタノールを好ましくは使用する。
【0043】
工程(II)+(III)→(IV)は、場合により、酸を添加して有利に実施できる。常套の無機または有機酸、例えば、塩化水素、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸またはパラ−トルエンスルホン酸は、これに適する。酢酸を好ましくは使用する。
【0044】
反応(II)+(III)→(IV)は、一般に、0℃ないし+100℃、好ましくは+10℃ないし+40℃の温度範囲で実施する。
【0045】
常套の無機または有機塩基は、環化段階(IV)→(I)または(IV−A)→(I)用の塩基として適する。これらには、特に、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムもしくはカリウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、カリウム、カルシウムもしくはセシウム、アルカリ金属アルコラート、例えばナトリウムもしくはカリウムメタノラート、ナトリウムもしくはカリウムエタノラート、またはナトリウムもしくはカリウムtert−ブチラート、または、アルカリ金属水素化物、例えば、水素化ナトリウムが含まれる。ナトリウムエタノラートを好ましくは使用する。
【0046】
反応(IV)→(I)または(IV−A)→(I)は、一般に、0℃ないし+60℃、好ましくは0℃ないし+30℃の温度範囲で実施する。
【0047】
連続工程(II)+(III)→(IV)→(I)は、2段階の反応方法で、または、中間体段階(IV)を単離せずワンポット反応としても実施できる。
【0048】
工程(V)+(VI)→(VII)は、好ましくは、無溶媒で、過剰の(VI)の存在下、マイクロ波照射下で実施する。この反応は、一般に、+20℃ないし+150℃、好ましくは+80℃ないし120℃の温度範囲で実施する[J.P. Bazureau et al., Synthesis 1998, 967; ibid. 2001 (4), 581 も参照]。
【0049】
工程(VII)+(III)→(IV−A)は、有利には、酸を添加して実施する。常套の無機または有機酸、例えば、塩化水素、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸またはパラ−トルエンスルホン酸がこれに適する。酢酸を好ましくは使用する。この工程に用いることができる不活性溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノールなどのアルコール類である。この反応は、特に好ましくは、さらなる溶媒を添加せずに、酢酸自体の中で実施する。
【0050】
反応(VII)+(III)→(IV−A)は、一般に、0℃ないし+60℃、好ましくは+10℃ないし+30℃の温度範囲で実施する。
【0051】
全工程は、常圧、加圧または減圧(例えば0.5ないし5bar)下で実施できる。一般に、常圧を適用する。
【0052】
式(II)の化合物は、式(V)の化合物から、カルボン酸エステルのC−アシル化について文献からわかる方法により製造できる。式(III)、(V)および(VI)の化合物は、購入できるか、または文献からわかるか、または、文献からわかる方法と同様に製造できる。
【0053】
本発明による化合物の製造は、以下の合成式2−4により例示説明できる:
式2
【化12】

[a):NaH、18−クラウン−6、トルエン、1時間室温→1時間90℃;b)1.エタノール、16時間室温;2.NaOEt、エタノール、30分室温;c):エタノール、1日室温;d):NaOEt、エタノール、1時間室温]
【0054】
式3
【化13】

[a):1.LiHDMS、THF、−78℃→1時間0℃;2.酢酸無水物、−78℃;3.36時間室温;b):氷酢酸、エタノール、16時間室温;2.NaOEt、エタノール、30分室温]
【0055】
式4
【化14】

[a):マイクロ波照射、1時間100℃;b):1.氷酢酸、2時間室温;2.後処理、水性NaHCO;3.NaOEt、エタノール、30分5℃;あるいは、b):触媒量のカンファー−10−スルホン酸、エタノール、78℃、12−18時間]
【0056】
本発明による化合物は、予見できない価値ある薬理作用スペクトルを示す。従って、それらは、ヒトおよび動物における疾患を処置および/または予防するための医薬としての使用に適する。
【0057】
本発明による化合物は、HIFプロリル4−ヒドロキシラーゼの特異的阻害剤として卓越している。
【0058】
この薬理特性を基礎として、本発明による化合物は、心血管疾患、特に、心不全、冠動脈心疾患、狭心症、心筋梗塞、卒中、動脈硬化症、本態性、肺性および悪性高血圧症並びに末梢動脈閉塞性疾患の処置および/または予防に用いることができる。本化合物は、さらに、血液形成の障害、例えば特発性貧血、腎性貧血、腫瘍疾患に伴う貧血、感染または他の炎症性疾患、例えばリウマチ性関節炎の処置および/または予防に適する。
【0059】
本化合物は、さらに、手術前に血液の自己供与用の血液を得る目的で、ヘマトクリットを高めるのに適する。
【0060】
本発明による化合物は、さらに、外科的介入後、特に、心肺装置を使用する心臓への介入(例えばバイパス手術、心臓弁インプラント)、頸動脈への介入、大動脈への介入および機器による開頭術または穿頭術後の、手術に関連する虚血状態およびその続発症状の処置および/または予防に使用できる。本化合物は、さらに、創傷の治癒の加速および回復時間の短縮を目的として、外科的介入の場合に、全般的な処置および/または予防に適する。
【0061】
本化合物は、さらに、癌の処置および/または予防のために、癌の処置の過程で起こる健康状態の悪化の処置および/または予防のために、特に、細胞増殖剤、抗生物質および照射による治療後に、用いることができる。
【0062】
本化合物は、さらに、リウマチ型疾患および自己免疫疾患とみなされる他の疾患の処置および/または予防に、特に、かかる疾患の薬物処置の過程で生じる健康状態の悪化の処置および/または予防に適する。
【0063】
本発明による化合物は、さらに、眼(例えば緑内障)、脳(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、認知症、慢性痛覚)の疾患、慢性腎臓疾患、腎不全および急性腎不全の処置および/または予防、および創傷治癒の促進に用いることができる。
【0064】
本化合物は、さらに、カヘキシーまでの全身的衰弱、特に、高齢者で高程度に生じるものの処置および/または予防に適する。
本化合物は、さらに、性機能不全の処置および/または予防に適する。
【0065】
本化合物は、さらに、真性糖尿病およびその続発症状、例えば、糖尿病性大血管および微小血管障害、糖尿病性腎症および神経障害の処置および/または予防に適する。
【0066】
本発明による化合物は、さらに、例えば、心臓、肺および肝臓の線維性疾患の処置および/または予防に適する。
【0067】
本発明は、さらに、疾患、特に上述の疾患の処置および/または予防のための、本発明による化合物の使用を提供する。
【0068】
本発明は、さらに、疾患、特に上述の疾患の処置および/または予防用の医薬を製造するための、本発明による化合物の使用を提供する。
【0069】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物の有効量を使用する、疾患、特に上述の疾患の処置および/または予防方法を提供する。
【0070】
本発明による化合物は、単独で、または、必要であれば、他の活性化合物と組み合わせて用いることができる。本発明は、さらに、特に上述の疾患の処置および/または予防のための、少なくとも1種の本発明による化合物および1種またはそれ以上のさらなる活性化合物を含む医薬を提供する。例示的かつ好ましく言及し得る、その組合せに適する活性化合物は、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、ベータ受容体遮断薬、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト、アスピリン、利尿剤、鉄サプリメント、ビタミンB12および葉酸サプリメント、カルシウム拮抗薬、スタチン類およびジギタリス(ジゴキシン)誘導体である。
【0071】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物を、従来通り1種またはそれ以上の不活性、非毒性の医薬的に適する補助物質と共に含む医薬、および上述の目的でのそれらの使用を提供する。
【0072】
本発明による化合物は、全身的および/または局所的に作用できる。この目的で、それらは、適する方法で、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜に、耳に、またはインプラントもしくはステントとして、投与できる。
これらの投与経路のために、本発明による化合物を適する投与形で投与できる。
【0073】
先行技術に準じて機能し、本発明による化合物を迅速かつ/または改変された方法で放出し、本発明による化合物を結晶および/または無定形および/または溶解形態で含む投与形、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば、胃液耐性であるか、または、遅れて溶解するか、または不溶であり、本発明による化合物の放出を制御する被覆)、口腔中で迅速に崩壊する錠剤、またはフィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤またはカプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、散剤、乳剤、懸濁剤、エアゾール剤または液剤は、経口投与に適する。
【0074】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)、行うことができる。非経腸投与に適する投与形は、なかんずく、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤形態の注射および点滴用製剤である。
【0075】
他の投与経路には、例えば、吸入用医薬形態(なかんずく、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻薬、液またはスプレー、舌、舌下または頬側投与用の錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、眼または耳用製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、パッチ)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(sprinkling powder)、インプラントまたはステントが適する。
経口または非経腸投与、特に経口投与が好ましい。
【0076】
本発明による化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に適する補助物質と混合することにより、それ自体既知の方法で行うことができる。これらの補助物質には、なかんずく、担体物質(例えば微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えば抗酸化剤、例えばアスコルビン酸など)、色素(例えば無機色素、例えば酸化鉄など)および香味および/または臭気の矯正剤が含まれる。
【0077】
一般に、非経腸投与の場合で約0.001ないし1mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし0.5mg/体重kgの量を投与するのが、有効な結果を達成するために有利であると明らかになった。経口投与の場合、投与量は、約0.01ないし100mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし20mg/体重kg、ことさら特に好ましくは約0.1ないし10mg/体重kgである。
【0078】
それにも拘わらず、特に、体重、投与経路、活性化合物に対する個体の応答、製剤の性質および投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なくても十分な場合があり得、一方上述の上限を超えなければならない場合もある。比較的大量に投与する場合、これらを1日に亘る数回の個別用量に分配するのが望ましいことがある。
【0079】
以下の実施態様の実施例は、本発明を例示説明する。本発明は、これらの実施例に限定されない。
【0080】
以下の試験および実施例における百分率のデータは、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度のデータは、各場合で体積に関するものである。
【実施例】
【0081】
A.実施例
略語および頭字語:
【表1】

【0082】
LC−MS、HPLCおよびGC−MSの方法:
方法1:
装置:HPLC Agilent Series 1100 を有する Micromass Platform LCZ;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3 μ, 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→0.2分100%A→2.9分30%A→3.1分10%A→5.5分10%A;オーブン:50℃;流速:0.8ml/分;UV検出:210nm。
【0083】
方法2:
装置:HPLC Agilent Series 1100 を有する Micromass Platform LCZ;カラム:Thermo HyPURITY Aquastar 3 μ, 50 mm x 2.1 mm;溶離剤A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→0.2分100%A→2.9分30%A→3.1分10%A→5.5分10%A;オーブン:50℃;流速:0.8ml/分;UV検出:210nm。
【0084】
方法3:
装置:HPLC Agilent Series 1100 を有する Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0085】
方法4:
機器タイプMS:Micromass ZQ;機器タイプHPLC:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0086】
方法5:
機器タイプMS:Micromass ZQ;機器タイプHPLC:HP 1100 Series; UV DAD; カラム: Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0087】
方法6:
装置:DAD 検出を有するHP 1100 Series;カラム:Kromasil 100 RP-18, 60 mm x 2.1 mm, 3.5 μm;溶離剤A:HClO(70%強度)5ml/水1l、溶離剤B:アセトニトリル;グラジエント:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→6.5分90%B→6.7分2%B→7.5分2%B;流速:0.75ml/分;カラム温度:30℃;UV検出:210nm。
【0088】
方法7:
装置: Micromass GCT, GC6890;カラム:Restek RTX-35MS, 30 m x 250 μm x 0.25 μm;ヘリウムの一定流速:0.88ml/分;オーブン:60℃;入口:250℃;グラジエント:60℃(0.30分間保持)、50℃/分→120℃、16℃/分→250℃、30℃/分→300℃(1.7分間保持)。
【0089】
方法8:
装置MS:Waters ZQ 2000;装置HPLC:Agilent 1100, 2-カラム回路; オートサンプラー: HTC PAL;カラム:YMC-ODS-AQ, 50 mm x 4.6 mm, 3.0 μm;溶離剤A:水+0.1%ギ酸、溶離剤B:アセトニトリル+0.1%ギ酸;グラジエント:0.0分100%A→0.2分95%A→1.8分25%A→1.9分10%A→2.0分5%A→3.2分5%A→3.21分100%A→3.35分100%A;オーブン:40℃;流速:3.0ml/分;UV検出:210nm。
【0090】
出発化合物および中間体:
実施例1A
2−ヒドラジノ−4−メチルピリジン
【化15】

2−フルオロ−4−メチルピリジン3.33g(30.0mmol)を、先ず、2−エトキシエタノール40mlに導入し、ヒドラジン水和物14.6ml(15.0g、300mmol)をこの溶液に添加し、混合物を沸騰させて16時間撹拌する(浴温度150℃)。反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を水100mlに導入し、混合物を酢酸エチルで抽出する(各回100mlで3回)。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。得られる残渣を真空で乾燥する。
収量:1.90g(理論値の51%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.83 (d, 1H), 7.22 (s, 1H), 6.51 (s, 1H), 6.38 (d, 1H), 4.04 (s, 2H), 2.17 (s, 3H)
LC−MS(方法1):R=0.80分;MS(ESIpos):m/z=124[M+H]
【0091】
実施例2A
3−ヒドロキシ−2−ピリジン−3−イル−アクリル酸エチルエステル
【化16】

3−ピリジル酢酸エチルエステル1.65g(10.0mmol)を、先ず、アルゴン下で無水トルエン20mlに導入する。水素化ナトリウム懸濁液(パラフィン油中、60%強度)410mg(10.3mmol)および18−クラウン−6 130mg(0.50mmol)を少しずつこの溶液に添加し、混合物を室温で30分間、次いで85℃(浴温度)で30分間撹拌する。この時間の後、混合物を冷却し、ギ酸エチルエステル1.48g(20.0mol)を約20℃で滴下して添加する。混合物を最初に室温で60分間、次いで90℃(浴温度)で60分間撹拌する。冷却後、反応溶液を約50mlの飽和塩化アンモニウム溶液に導入し、酢酸エチルで抽出する(5回、各回40ml)。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液50mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。得られる固体をペンタンで洗浄し、真空で乾燥する。
収量:1.3g(理論値の67%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.38 (br. s, 1H), 8.50 (d, 1H), 8.39 (dd, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.71 (d, 1H), 7.35 (dd, 1H), 4.12 (q, 2H), 1.97 (t, 3H).
MS(DCI):m/z=194[M+H]
【0092】
実施例3A
2−ピリジン−3−イル−3−(ピリジン−2−イルヒドラゾノ)プロピオン酸エチルエステル
【化17】

実施例2A由来の化合物2.90g(15.0mmol)および2−ピリジルヒドラジン1.72g(15.8mmol)を、エタノール75mlに溶解し、混合物を室温で4日間撹拌する。反応混合物からロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、残渣をシリカゲル60でクロマトグラフィーする(移動相:塩化メチレン→塩化メチレン/メタノール10:1→塩化メチレン/メタノール2:1)。生成物画分を合わせ、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。真空で乾燥した後、表題化合物3.95g(理論値の93%)を得る。
LC−MS(方法2):R=2.10分;MS(ESIpos):m/z=285[M+H]
【0093】
実施例4A
(6−ブロモピリジン−3−イル)メタノール
【化18】

水素化リチウムアルミニウムの1M THF溶液1.34ml(1.34mmol)を、先ず乾燥THF5mlにアルゴン下で導入し、乾燥THF3ml中の6−ブロモ−3−ピリジンカルボアルデヒド500mg(2.69mmol)の溶液を、0℃で滴下して添加する。その後、混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、酢酸エチル25mlを氷浴で冷却しながら添加し、飽和重炭酸ナトリウム溶液50mlで加水分解をゆっくりと実施する。水相を酢酸エチルで抽出する(3回、各回20ml)。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。溶媒残渣を真空で除去した後、表題化合物375mg(理論値の74%)を得る。
LC−MS(方法3):R=1.02分;MS(ESIpos):m/z=189[M+H]
【0094】
実施例5A
(6−クロロ−5−メチルピリジン−3−イル)メタノール
【化19】

6−クロロ−5−メチルニコチンアルデヒド[DE4429465−A1、実施例7に記載の製造]3.11g(20.0mmol)を、水素化ホウ素ナトリウム1.51g(40.0mmol)と、水30ml中で反応させ、続いて水相を塩化メチレンで抽出することにより、表題化合物を得る。ロータリーエバポレーターでの溶媒の除去後に得られる生成物を、真空で乾燥し、さらに直接使用する。
【0095】
実施例6A
2−ブロモ−5−(クロロメチル)ピリジン
【化20】

実施例4A由来の化合物3.69g(19.7mmol)を、先ず、反応容器にアルゴン下で導入し、塩化チオニル25mlを−60℃(浴温度)で滴下して添加する。混合物を−60℃で1時間撹拌する。それを室温でロータリーエバポレーター上で濃縮し、飽和重炭酸ナトリウム溶液50mlおよび酢酸エチル50mlを残渣に添加する。水相を酢酸エチルで抽出する(4回、各回25ml)。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣を真空で乾燥する。
収量:3.71g(理論値の91%)
LC−MS(方法1):R=3.28分;MS(ESIpos):m/z=208[M+H]
【0096】
実施例7A
2−クロロ−5−(クロロメチル)−3−メチルピリジン
【化21】

実施例6Aと同様に、(6−クロロ−5−メチルピリジン−3−イル)メタノール1.00g(6.35mmol)および塩化チオニル5mlから製造を実施する。表題化合物1.26gを得、さらに精製せずに反応させる。
LC−MS(方法4):R=1.92分;MS(ESIpos):m/z=176[M]
【0097】
実施例8A
(6−ブロモピリジン−3−イル)アセトニトリル
【化22】

実施例6A由来の化合物3.75g(18.2mmol)を、先ず、DMF20mlに導入し、シアン化ナトリウム979mg(20.0mmol)を添加し、混合物を室温で2日間撹拌する。反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液250mlおよび酢酸エチル200mlの混合物に導入し、水相を酢酸エチルで抽出する(3回、各回100ml)。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、残渣を真空で乾燥する。かくして得られる生成物を、さらに精製せずに反応させる。
収量:3.23g(理論値の90%)
LC−MS(方法3):R=1.46分;MS(ESIpos):m/z=197[M+H]
【0098】
実施例9A
(6−クロロ−5−メチルピリジン−3−イル)アセトニトリル
【化23】

合成は、実施例8Aと同様に、実施例7A由来の化合物1.26g(7.14mmol)から実施する。得られる粗生成物をシリカゲル60のクロマトグラフィーにより精製する(移動相:塩化メチレン→塩化メチレン/メタノール50:1)。
収量:215mg(理論値の18%)
LC−MS(方法1):R=2.95分;MS(ESIpos):m/z=167[M+H]
【0099】
実施例10A
(2−クロロピリジン−3−イル)酢酸エチルエステル
【化24】

(6−クロロピリジン−3−イル)アセトニトリル22.0g(144mmol)を、エタノール270mlおよび濃硫酸101mlの混合物に添加し、混合物を還流下で24時間撹拌する。反応混合物を、350g重炭酸ナトリウムおよび水1lの混合物に、撹拌しながらゆっくりと滴下して添加する。水相を塩化メチレンで抽出する(5回、各回400ml)。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去する。表題化合物23.1g(理論値の80%)を得、それをさらに精製せずに反応させる。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.32 (d, 1H), 7.78 (dd, 1H), 7.49 (d, 1H), 4.10 (q, 2H), 3.77 (s, 2H), 1.19 (t, 3H).
LC−MS(方法3):R=1.91分;MS(ESIpos):m/z=200[M+H]
【0100】
表1に挙げる化合物は、対応する出発物質から実施例10Aと同様の方法で得られる:
表1
【表2】

【0101】
実施例13A
(5−ブロモピリジン−3−イル)酢酸エチルエステル
【化25】

(5−ブロモピリジン−3−イル)酢酸1.00g(4.63mmol)を、先ず、エタノール20mlに導入し、濃硫酸2mlを添加し、混合物を還流下で終夜撹拌する。反応溶液を飽和重炭酸ナトリウム溶液100mlおよび酢酸エチル100mlの混合物に撹拌しながら導入し、水相を酢酸エチルで抽出する(3回、各回50ml)。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、残渣から終夜真空で溶媒残渣を除去する。
収量:1.06g(理論値の94%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.61 (d, 1H), 8.48 (d, 1H), 8.01 (dd, 1H), 4.10 (q, 2H), 3.78 (s, 2H), 1.20 (t, 3H).
LC−MS(方法5):R=2.06分;MS(ESIpos):m/z=246[M+H]
【0102】
実施例14A
2−(6−ブロモピリジン−3−イル)−3−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチルエステル
【化26】

実施例11A由来の化合物1.30g(2.98mmol)を、ジメチルホルムアミドジエチルアセタール6mlに溶解し、混合物をマイクロ波照射下、100℃で60分間撹拌する。混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣をシリカゲル60でクロマトグラフィーする(移動相:シクロヘキサン→シクロヘキサン/酢酸エチル1:3)。
収量:854mg(理論値の96%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.11 (d, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.54 (d, 1H), 7.48 (dd, 1H), 4.01 (q, 2H), 2.70 (br. s, 6H), 1.12 (t, 3H).
MS(DCI,NH):m/z=316[M+NH
LC−MS(方法4):R=1.88分;MS(ESIpos):m/z=299[M+H]
【0103】
表2に挙げる化合物は、対応する出発物質から実施例14Aと同様の方法で得られる:
表2
【表3】

【0104】
実施例18A
3−オキソ−2−ピリジン−3−イル−ブタン酸エチルエステル
【化27】

エチル−ピリジン3−アセテート500mg(3.0mmol)を、先ず、無水THF5mlにアルゴン下で導入し、リチウムヘキサメチルジシラジド(6.7ml、1M、THF中)の溶液を、滴下して−78℃で添加する。15分後、混合物を0℃に温め、続いて、1時間撹拌し、再度−78℃に冷却する。無水酢酸340mg(3.3mmol)の添加後、混合物を室温で36時間撹拌する。水性塩化アンモニウム溶液を添加し、混合物を塩化メチレンで抽出し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空で濃縮する。表題化合物488mgを純度70%で得、これ以上精製せずに反応させる。
LC−MS(方法1):R=2.24分;MS(ESIpos):m/z=208[M+H]
【0105】
実施例19A
(5−メチルピリジン−3−イル)アセトニトリル
【化28】

表題化合物の製造は、DE2854210−C2(表2、実施例37)に記載されている。
【0106】
実施例20A
5−(シアノメチル)ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル
【化29】

5−(クロロメチル)ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル[H. Barth et al., Liebigs Ann. Chem. 1981, 2164-2179に従い製造]10.5g(52.6mmol)を、先ず、無水DMF75mlに導入し、シアン化ナトリウム2.58g(52.6mmol)を少しずつ3時間かけて室温で添加する。次いで、混合物を飽和塩化アンモニウム溶液500mlに導入し、塩化メチレンで抽出する(4回、各回100ml)。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製する(移動相:シクロヘキサン→シクロヘキサン/酢酸エチル1:4)。表題化合物3.80g(理論値の38%)を得る。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 8.69 (d, 1H), 8.10 (d, 1H), 7.99 (dd, 1H), 4.36 (q, 2H), 4.24 (s, 2H), 1.34 (t, 3H).
LC−MS(方法3):R=1.45分;MS(ESIpos):m/z=191[M+H]
【0107】
表3に挙げる化合物は、対応する出発物質から実施例10Aと同様の方法で得られる:
表3
【表4】

【0108】
実施例23A
(4−メチルピリジン−3−イル)酢酸エチルエステル
【化30】

表題化合物の合成は、(4−メチルピリジン−3−イル)酢酸200mg(1.32mmol)から、実施例13Aと同様に実施する。
収量:235mg(理論値の99%)
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 8.32 (d, 1H), 7.56 (dd, 1H), 7.20 (dd, 1H), 4.08 (q, 2H), 3.67 (s, 2H), 2.44 (s, 3H), 1.18 (t, 3H).
LC−MS(方法1):R=1.86分;MS(ESIpos):m/z=180[M+H]
【0109】
実施例24A
(6−メチルピリジン−3−イル)酢酸エチルエステル
【化31】

表題化合物の合成は、(6−メチルピリジン−3−イル)酢酸[製造: N. Sperber et al., J. Am. Chem. Soc. 81, 704-709 (1959)]493mg(3.26mmol)から、実施例13Aと同様に実施する。
収量:580mg(理論値の99%)
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 8.32 (d, 1H), 7.57 (dd, 1H), 7.20 (d, 1H), 4.08 (q, 2H), 3.67 (s, 2H), 2.44 (s, 3H), 1.18 (t, 3H).
LC−MS(方法1):R=1.85分;MS(ESIpos):m/z=180[M+H]
【0110】
表4に挙げる化合物は、対応する出発物質から実施例14Aと同様に製造する:
表4
【表5】

【0111】
表5に挙げる化合物は、実施例1Aと同様に、対応する2−クロロピリジンから得られる。実施例1Aで記載した後処理の代わりに、ここでは反応溶液を濃縮し、残渣をジエチルエーテルおよび塩化メチレンの混合物と撹拌する。過剰の結晶性ヒドラジン塩酸塩を濾過し、濾液を濃縮し、真空で乾燥し、生成物をさらに精製せずに反応させる。
【0112】
表5
【表6】

【0113】
実施例33A
2−ヒドラジノ−イソニコチン酸ニトリル
【化32】

2−クロロイソニコチン酸ニトリル20.0g(144mmol)を、先ず、1−ブタノール150mlに導入し、ヒドラジン水和物の1M THF溶液303ml(303mmol)を添加し、混合物を16時間加熱する(浴温度110℃)。混合物を濃縮し、残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを利用して精製する(移動相:塩化メチレン/メタノール10:1)。
収量:9.48g(理論値の49%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.15 (d, 1H), 8.05 (s, 1H), 7.01 (s, 1H), 6.83 (dd, 1H), 4.30 (s, 2H).
LC−MS(方法1):R=0.52分;MS(ESIpos):m/z=135[M+H]
【0114】
実施例34A
(6−ヒドラジノピリジン−3−イル)メタノール
【化33】

(6−クロロピリジン−3−イル)メタノール20.0g(139mmol)を、還流下で、終夜、35%強度ヒドラジン水和物水溶液400ml中で加熱する。混合物を濃縮し、トルエンを添加し、混合物を再度濃縮し、残渣を塩化メチレン、メタノールおよびジエチルエーテルの混合物と撹拌する。結晶性残渣(ヒドラジン塩酸塩)を濾過し、濾液を濃縮し、残渣を真空で乾燥する。
収量:19.3g(理論値の99%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.91 (d, 1H), 7.40 (dd, 1H), 7.29 (s, 1H), 6.66 (d, 1H), 4.93 (s, 1H), 4.31 (s, 2H), 4.14 (s, 2H).
LC−MS(方法1):R=0.50分;MS(ESIpos):m/z=140[M+H]
【0115】
実施例35A
ベンゾフェノン(4−メトキシピリジン−2−イル)ヒドラゾン
【化34】

2−クロロ−4−メトキシピリジン500mg(3.48mmol)、ベンゾフェノンヒドラゾン752mg(3.83mmol)、ナトリウムtert−ブチレート469mg(4.88mmol)、酢酸パラジウム(II)15.6mg(0.07mmol)、フェニルボロン酸21.2mg(0.17mmol)およびラセミ体の2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル43.4mg(0.07mmol)を、脱気トルエン中、90℃で、終夜、アルゴン下に加熱する。冷却後、反応混合物を水に注ぎ、水相を酢酸エチルで数回抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント)を利用して残渣を精製する。
収量:872mg(理論値の83%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.8 (s, 1H), 8.07 (d, 1H), 7.70-7.64 (m, 5H), 7.50-7.38 (m, 5H), 6.94 (d, 1H), 6.78 (dd, 1H), 3.92 (s, 3H).
LC−MS(方法3):R=1.70分;MS(ESIpos):m/z=304[M+H]
【0116】
実施例36A
2−ヒドラジノ−4−メトキシピリジン
【化35】

実施例35A由来の化合物850mg(2.80mmol)を、濃塩酸中、終夜、65℃で加熱する。冷却後、反応混合物を塩化メチレンで洗浄し、濃縮する。粗生成物470mgを塩酸塩として得る。その250mgを、ポリマー結合トリス(2−アミノエチル)アミンと共に塩化メチレン中で終夜室温で撹拌する。混合物を濾過し、濾液を濃縮し、残渣を高真空下で乾燥する。
収量:170mg(理論値の39%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.78 (d, 1H), 7.26 (s, 1H), 6.25 (d, 1H), 6.15 (dd, 1H), 4.09 (s, 2H), 3.73 (s, 3H).
LC−MS(方法1):R=0.89分;MS(ESIpos):m/z=140[M+H]
【0117】
実施例37A
3−(クロロメチル)−2−メチルピリジン
【化36】

3−(ヒドロキシメチル)−2−メチルピリジン1.00g(8.12mmol)を、先ず、反応容器に導入し、塩化チオニル5.9ml(81.2mmol)をゆっくりと0℃で添加する。混合物を還流下で3時間撹拌する。それを濃縮し、飽和重炭酸ナトリウム溶液を残渣に添加し、混合物をジエチルエーテルで数回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。
収量:0.98g(理論値の85%)
GC−MS(方法7):R=4.85分;MS(EIpos):m/z=141[M]
【0118】
実施例38A
(2−メチルピリジン−3−イル)アセトニトリル
【化37】

実施例37A由来の化合物970mg(6.85mmol)を、先ず、DMF10mlに導入し、シアン化ナトリウム336mg(6.85mmol)を添加し、混合物を終夜45℃で撹拌する。反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液75mlに導入し、塩化メチレンで数回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(移動相:塩化メチレン/メタノール20:1)を利用して精製する。
収量:795mg(理論値の88%)
GC−MS(方法7):R=6.14分;MS(EIpos):m/z=132[M]
【0119】
実施例39A
(2−メチルピリジン−3−イル)酢酸エチルエステル
【化38】

実施例38A由来の化合物790mg(5.98mmol)を、先ず、エタノール10mlに導入し、濃硫酸4mlをゆっくりと添加し、混合物を還流下で6時間加熱する。冷却後、混合物を重炭酸ナトリウム6.00gおよび飽和重炭酸ナトリウム溶液で中和する。水相を酢酸エチルで数回抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。残渣をこれ以上精製せずに反応させる。
収量:614mg(理論値の57%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.34 (dd, 1H), 7.57 (dd, 1H), 7.18 (dd, 1H), 4.10 (q, 2H), 3.73 (s, 2H), 2.40 (s, 3H), 1.18 (t, 3H).
LC−MS(方法1):R=1.84分;MS(ESIpos):m/z=180[M+H]
【0120】
実施例40A
(6−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−酢酸エチルエステル
【化39】

(6−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)酢酸[[6−トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]メタノールから、実施例37A、38Aおよび41の連続反応と同様に得られる]4.23g(20.6mmol)を、先ず、エタノール200mlにアルゴン下で導入し、濃硫酸0.2mlを添加し、混合物を還流下で5時間加熱する。冷却後、反応溶液を濃縮し、残渣を酢酸エチルに取り、混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄する。水相を酢酸エチルで数回再抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを利用して精製する(移動相:グラジエントシクロヘキサン→シクロヘキサン/酢酸エチル1:1)。
収量:3.24g(理論値の67%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.69 (s, 1H), 8.02 (d, 1H), 7.89 (d, 1H), 4.13 (q, 2H), 3.91 (s, 2H), 1.21 (t, 3H).
LC−MS(方法3):R=2.12分;MS(ESIpos):m/z=234[M+H]
【0121】
実施例41A
3−ヒドロキシ−2−(6−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−アクリル酸エチルエステル
【化40】

実施例40A由来の化合物3.46g(14.8mmol)を、先ず、無水トルエン50mlにアルゴン下で導入し、水素化ナトリウム懸濁液(60%強度、パラフィン油中)712mg(17.8mmol)を少しずつ添加し、混合物を室温で1時間、次いで80℃で20分間撹拌する。冷却後、18−クラウン−6 392mg(1.48mmol)、次いで、氷冷しながら、ギ酸エチルエステル2.20g(29.7mol)を滴下して添加する。混合物を最初に0℃で1時間、次いで室温で1時間撹拌する。酢酸エチル100mlおよび0.1M塩酸150mlの混合物を添加し、相を分離し、水相を数回酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを利用して精製する(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチルグラジエント)。
収量:3.9g(理論値の100%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.8 (s, 1H), 8.70 (d, 1H), 8.03 (s, 1H), 8.00 (d, 1H), 7.87 (d, 1H), 4.15 (q, 2H), 1.21 (t, 3H).
【0122】
実施例42A
3−(ジメチルアミノ)−2−ピリジン−3−イル−アクリル酸エチルエステル
【化41】

ピリジン−3−イル酢酸エチルエステル37.4g(226mmol)を、ジメチルホルムアミドジエチルアセタール100g(679mmol)中、終夜100℃で加熱する。冷却後、混合物を濃縮し、残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを利用して予精製する(移動相:グラジエント シクロヘキサン/酢酸エチル1:1→酢酸エチル/エタノール9:1)。得られる生成物を減圧蒸留による丁寧な精製に付す(1mbar、浴温度200℃)。
収量:35.0g(理論値の70%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.37 (dd, 1H), 8.31 (dd, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.51 (dt, 1H), 7.29 (ddd, 1H), 4.00 (q, 2H), 2.67 (s, 6H), 1.11 (t, 3H).
LC−MS(方法1):R=2.38分;MS(ESIpos):m/z=221[M+H]
【0123】
実施例43A
3−(ジメチルアミノ)−2−(2−メチルピリジン−3−イル)−アクリル酸エチルエステル
【化42】

実施例39A由来の化合物600mg(3.35mmol)を、ジメチルホルムアミドジエチルアセタール1.7ml(10.0mmol)中、終夜100℃で加熱する。冷却後、混合物を濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント)を利用して精製する。
収量:619mg(理論値の79%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.30 (dd, 1H), 7.54 (s, 1H), 7.38 (dd, 1H), 7.13 (dd, 1H), 4.05-3.92 (m, 2H), 2.62 (s, 6H), 2.30 (s, 3H), 1.08 (t, 3H).
LC−MS(方法1):R=2.19分;MS(ESIpos):m/z=235[M+H]
【0124】
実施態様の実施例:
実施例1
4−ピリジン−3−イル−2−ピリミジン−2−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化43】

実施例2A由来の化合物193mg(1mmol)および2−ヒドラジノピリミジン116mg(1.05mmol)を、先ず、無水エタノール2mlにアルゴン下で導入し、混合物を室温で20時間撹拌する。次いで、水素化ナトリウム懸濁液(60%強度、パラフィン油中)40mg(1mmol)を少しずつ添加すると、有意な反応溶液の濁りが発生する。続いて混合物を室温で10分間撹拌する。次いで、1M塩酸1mlを暗色の反応混合物に添加すると、沈殿が析出する。沈殿を吸引濾過し、残渣を水で洗浄し(2x1ml)、真空で乾燥する。表題化合物173mg(理論値の72%)を得る。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 12.8 (br. s, 1H), 9.04 (d, 1H), 8.92 (d, 2H), 8.38 (m, 2H), 8.19 (d, 1H), 7.50 (dd, 1H), 7.42 (dd, 1H).
LC−MS(方法5):R=0.59分;MS(ESIpos):m/z=240[M+H]
【0125】
実施例2
2−(4−メチルピリジン−2−イル)−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化44】

実施例2A由来の化合物1.53g(7.90mmol)および実施例1A由来の化合物2.92g(23.7mmol)を、無水エタノール2mlにアルゴン下で溶解し、混合物を室温で16時間撹拌する。ナトリウムエタノラート537g(7.90mmol)を添加すると、反応溶液は暗赤色になる。続いて、混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、1M塩酸7.9mlを添加する。溶液を部分的に濃縮すると、沈殿が析出する。これを濾過し、水(2回、各回5ml)およびMTBE(5ml)で洗浄し、真空で乾燥する。表題化合物435mg(理論値の22%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.06 (d, 1H), 8.35 (m, 3H), 8.20 (d, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.37 (dd, 1H), 7.21 (d, 1H), 2.45 (s, 3H).
LC−MS(方法5):R=1.42分;MS(ESIpos):m/z=253[M+H]
【0126】
実施例3
4−ピリジン−3−イル−2−[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化45】

この化合物は、実施例2と同様に、実施例2A由来の化合物580mg(3.00mmol)および2−ヒドラジノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン558mg(3.00mmol)から製造する。
収量:55mg(理論値の6%)
HPLC(方法6):R=3.7分
MS(ESIpos):m/z=307[M+H]
1H-NMR (エタノール付加体の) (300 MHz, DMSO-d6): δ = 13.3 (s, 1H), 9.14 (d, 1H), 8.86 (d, 1H), 8.66 (d, 1H), 8.60 (s, 1H), 8.31-8.41 (m, 3H), 7.40 (dd, 1H), 4.36 (s, 1H), 3.45 (q, 2H), 1.05 (t, 3H).
【0127】
実施例4
2−(5−オキソ−4−ピリジン−3−イル−2,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル)イソニコチン酸tert−ブチルエステル
【化46】

この化合物は、実施例2と同様に、実施例2A由来の化合物500mg(2.59mmol)および2−ヒドラジノ−5−イソニコチン酸tert−ブチルエステル662mg(2.85mmol)から製造する。表題化合物288mg(理論値の33%)を黄色固体として得る。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 12.7 (br. s, 1H), 8.97 (d, 1H), 8.47-8.41 (m, 3H), 8.03 (dt, 1H), 7.91 (s, 1H), 7.76 (dd, 1H), 7.32 (dd, 1H), 1.64 (s, 9H).
LC−MS(方法5):R=1.75分;MS(ESIpos):m/z=339[M+H]
【0128】
実施例5
4−ピリジン−3−イル−2−[4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化47】

この化合物は、実施例2と同様に、実施例2A由来の化合物18mg(0.09mmol)および2−ヒドラジノ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン[R.A. Evans, C. Wentrup, J. Chem. Soc. Chem. Commun. 15, 1062-1064 (1992)]18mg(0.10mmol)から製造する。表題化合物11.7mg(理論値の41%)を黄色固体として得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 12.6 (br. s, 1H), 8.97 (s, 1H), 8.53 (d, 1H), 8.46 (d, 1H), 8.25 (s, 1H), 8.01 (d, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.32 (dd, 1H).
LC−MS(方法5):R=1.50分;MS(ESIpos):m/z=307[M+H]
【0129】
実施例6
2−ピリジン−2−イル−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化48】

実施例3A由来の化合物3.95g(13.9mmol)を、先ず、エタノール80mlにアルゴン下で導入し、ナトリウムエタノラート945mg(13.9mmol)を少しずつ室温で添加する。30分間撹拌した後、1M塩酸13.9mlを滴下して添加する。析出した沈殿を吸引濾過し、冷たいエタノール(20ml)および水(2回、各回20ml)で洗浄し、真空で乾燥する。表題化合物2.80g(理論値の85%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 13.5 (br. s, 1H), 8.97 (d, 1H), 8.44 (dd, 1H), 8.34 (d, 1H), 8.05-7.91 (m, 3H), 7.87 (s, 1H), 7.31 (dd, 1H), 7.25 (m, 1H).
HPLC(方法6):R=3.00分
MS(DCI):m/z=239[M+H]
【0130】
実施例7
4−(6−クロロピリジン−3−イル)−2−ピリジン−2−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化49】

実施例16A由来の化合物5.06g(19.9mmol)および2−ヒドラジノピリジン4.34g(39.7mmol)を、氷酢酸100ml中、室温で2時間撹拌する。混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチル300mlに取り、混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄する(2回、各回100ml)。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。得られる残渣をエタノール100mlに取り、ナトリウムエタノラート1.49g(21.9mmol)を、氷浴中で冷却しながら少しずつ添加し、続いて混合物を0℃で30分間撹拌する。1M塩酸22mlを反応溶液に0℃で添加し、混合物をこの温度でさらに30分間撹拌する。形成される沈殿を吸引濾過し、冷たいエタノールで洗浄する。真空で乾燥した後、表題化合物3.18g(理論値の59%)を得る。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 8.93 (s, 1H), 8.50 (d, 2H), 8.34 (d, 2H), 8.05 (dd, 1H), 7.51 (d, 1H), 7.36 (dd, 1H).
LC−MS(方法3):R=2.27分;MS(ESIpos):m/z=273[M+H]
【0131】
表6に挙げる実施例は、対応する出発物質から実施例7と同様に得られる:
表6
【表7】

【0132】
実施例11
5−[2−(4−メチルピリジン−2−イル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル]ピリジン−2−カルボニトリル
【化50】

実施例8由来の化合物100mg(0.35mmol)、シアン化亜鉛8.19mg(0.70mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)40.3mg(0.03mmol)を、先ず、無水DMF4mlにアルゴン下で導入し、反応混合物を190℃で90分間、マイクロ波照射下で撹拌する(シングル・モード装置 Explorer、CEMより)。反応混合物を珪藻土で吸引濾過し、残渣をDMFですすぎ、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮する。かくして得られた残渣を、分取HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5/15 μm;グラジエント:アセトニトリル/水+0.2%TFA10:90→95:5)によりクロマトグラフィーする。合わせた生成物画分から得られる固体を塩化メチレン6mlで洗浄し、吸引濾過し、真空で乾燥する。
収量:7mg(理論値の7%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.23 (d, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.43 (dd, 1H), 8.35 (d, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.94 (d, 1H), 7.25 (d, 1H), 2.47 (s, 3H).
LC−MS(方法3):R=2.01分;MS(ESIpos):m/z=278[M+H]
【0133】
実施例12
5−(3−オキソ−2−ピリジン−2−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−カルボニトリル
【化51】

製造は、実施例11と同様に、実施例7由来の化合物100mg(0.37mmol)から実施する。
収量:12mg(理論値の12%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.27 (s, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.50 (m, 2H), 8.35 (d, 1H), 8.08 (dd, 1H), 7.97 (d, 1H), 7.38 (dd, 1H).
LC−MS(方法3):R=1.70分;MS(ESIpos):m/z=264[M+H]
【0134】
実施例13
4−(5−ブロモピリジン−3−イル)−2−ピリジン−2−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化52】

表題化合物の合成は、実施例7と同様に、実施例17A由来の化合物1.40g(3.50mmol)から実施する。
収量:345mg(理論値の31%)
LC−MS(方法5):R=2.24分;MS(ESIpos):m/z=319[M+H]
【0135】
実施例14
5−(3−オキソ−2−ピリジン−2−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)ニコチノニトリル
【化53】

製造は、実施例11と同様に、実施例13由来の化合物50mg(0.16mmol)から実施する。
収量:20mg(理論値の48%)
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 9.40 (d, 1H), 8.76 (d, 1H), 8.72 (m, 1H), 8.61 (s, 1H), 8.51 (d, 1H), 8.36 (d, 1H), 8.07 (dd, 1H), 7.37 (dd, 1H).
LC−MS(方法3):R=1.65分;MS(ESIpos):m/z=264[M+H]
【0136】
実施例15
5−メチル−2−ピリジン−2−イル−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化54】

氷酢酸22μlを、無水エタノール0.4ml中の実施例18A由来の化合物58mg(0.28mmol)および2−ヒドラジノピリジン34mg(0.31mmol)の溶液に添加し、混合物を終夜室温で撹拌する。ナトリウムエチラート19mgを添加し、続いて、混合物を室温で30分間撹拌し、次いで1N塩酸で中和する。水の添加後、混合物を塩化メチレンで抽出し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。残渣をジイソプロピルエーテルと撹拌し、固体を吸引濾過する。乾燥後、表題化合物13.5mg(理論値の19%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 13.28 (br. s, 1H), 8.83 (s, 1H), 8.47 (d, 1H), 8.30 (d, 1H), 7.95-7.86 (m, 3H), 7.33 (dd, 1H), 7.18 (t, 1H), 2.44 (s, 3H).
LC−MS(方法1):R=2.11分;MS(ESIpos):m/z=253[M+H]
【0137】
実施例16
4−(6−ヒドロキシピリジン−3−イル)−2−ピリジン−2−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化55】

実施例7由来の化合物50.0mg(0.18mmol)および酢酸アンモニウム600mg(7.74mmol)を、180℃で氷酢酸3ml中の懸濁液として、単一モードのマイクロ波(Explorer、CEMより)中で2時間加熱する。分析HPLCにより完全な変換が検出された後、トルエンを添加し、揮発性成分を共沸蒸留する。残渣を水に取り、残っている固体を濾過する。続いて、僅かに茶色がかった粉末を水で、次いでMTBEで洗浄する。乾燥後、表題化合物39mg(理論値の84%)を得る。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 12.7 (br. s, 1H), 11.58 (br. s, 1H), 8.47 (d, 1H), 8.32 (m, 1H), 8.21 (s, 1H), 8.01 (m, 2H), 7.87 (dd, 1H), 7.32 (dd, 1H), 6.39 (d, 1H).
LC−MS(方法3):R=1.31分;MS(ESIpos):m/z=255[M+H]
【0138】
表7に挙げる実施例は、対応する出発物質から実施例7と同様に製造する:
表7
【表8】

[*分取HPLC(カラム:YMC Gel ODS-AQ S-5 / 15 μm;グラジエント:アセトニトリル/水+0.2%トリフルオロ酢酸10:90→95:5)による粗生成物の精製]
【0139】
実施例21
4−[6−(ヒドロキシメチル)ピリジン−3−イル]−2−ピリジン−2−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化56】

水素化ホウ素ナトリウム73mg(1.93mmol)を、先ず、エタノール20mlに導入し、塩化カルシウム115mg(1.03mmol)を0℃で添加する。実施例20由来の化合物(400mg、1.29mmol)を少しずつ添加し、混合物を0℃で1時間、その後室温で4時間撹拌する。反応を完了させるために、さらに73mg(1.93mmol)の水素化ホウ素ナトリウムを添加し、混合物を室温で20時間撹拌する。加水分解を水5mlで実施し、混合物を1N塩酸で弱酸性にする。次いで、混合物を室温で1時間撹拌する。それを濃縮し、残渣をDMSO/水混合物(1:1)約16mlに取り、分取HPLC(カラム:YMC Gel ODS-AQ S-5 / 15 μm;グラジエント:アセトニトリル/水+0.2%トリフルオロ酢酸10:90→95:5)で少しずつ精製する。
収量:332mg(理論値の96%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.19 (s, 1H), 8.71 (d, 1H), 8.64 (s, 1H), 8.51 (d, 1H), 8.37 (d, 1H), 8.09 (dd, 1H), 7.81 (d, 1H), 7.38 (dd, 1H), 4.77 (s, 2H).
LC−MS(方法3):R=0.65分;MS(ESIpos):m/z=269[M+H]
【0140】
実施例22
2−ピリジン−2−イル−4−(6−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化57】

実施例41A由来の化合物261mg(1.00mmol)および2−ヒドラジノピリジン115mg(1.05mmol)を、無水エタノール5mlにアルゴン下で溶解し、混合物を室温で20時間撹拌する。ナトリウムエタノラート68mg(1.00mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、1M塩酸および少量のエタノールを添加すると、沈殿が析出する。これを濾過し、少量のエタノールで洗浄し、真空で乾燥する。
収量:180mg(理論値の59%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.26 (s, 1H), 8.63 (s, 1H), 8.55 (d, 1H), 8.51 (d, 1H), 8.35 (d, 1H), 8.05 (t, 1H), 7.87 (d, 1H), 7.37 (dd, 1H).
LC−MS(方法4):R=2.15分;MS(ESIpos):m/z=307[M+H]
【0141】
実施例23
2−(5−ヒドロキシメチル−ピリジン−2−イル)−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化58】

実施例42A由来の化合物4.00g(18.2mmol)、実施例34A由来の化合物2.70g(19.4mmol)およびカンファー−10−スルホン酸450mg(1.94mmol)を、無水エタノール120mlに溶解し、混合物を還流下で終夜加熱する。冷却後、形成される沈殿を吸引濾過し、エタノールおよびジエチルエーテルで洗浄し、メタノールに懸濁し、過剰の塩化水素の4N1,4−ジオキサン溶液を添加し、混合物を再度濃縮する。残渣をメタノールおよび塩化メチレンの混合物と撹拌し、吸引濾過し、乾燥する。
収量:3.23g(理論値の66%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.36 (s, 1H), 8.91 (d, 1H), 8.72 (s, 1H), 8.61 (d, 1H), 8.45-8.43 (m, 1H), 8.36 (d, 1H), 8.04 (dd, 1H), 7.98 (dd, 1H), 4.58 (s, 2H).
LC−MS(方法1):R=2.12分;MS(ESIpos):m/z=269[M+H]
【0142】
表8に挙げる化合物は、対応する出発物質から、実施例23と同様に製造する。特定の沈殿の精製は、代替的に、分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加するか、または添加しない)を利用して実施できる。
【表9】

【0143】
【表10】

[*6−ヒドラジノニコチン酸エチルエステルは、実施例42と同様に、エタノール中での6−ヒドラジノニコチン酸のエステル化により得ることができる。]
【0144】
実施例29
2−(4−シアノピリジン−2−イル)−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化59】

実施例33A由来の化合物545mg(4.06mmol)および実施例42A由来の化合物1.07g(4.88mmol)を、氷酢酸15ml中、室温で2時間撹拌する。混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチル300mlに取り、混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で数回洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。残渣をエタノール30mlに取り、エタノール中のナトリウムエタノラートの25%強度溶液1.33g(4.88mmol)を添加し、混合物を30分間撹拌する。1M塩酸の添加によりpH5を確立し、形成される固体を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥する。
収量:890mg(理論値の83%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.01-8.98 (m, 2H), 8.54 (dd, 1H), 8.18 (dt, 1H), 8.01 (dd, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.39 (dd, 1H), 7.14 (dd, 1H).
LC−MS(方法5):R=1.13分;MS(ESIpos):m/z=264[M+H]
【0145】
実施例30
2−(5−クロロピリジン−2−イル)−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化60】

実施例30A由来の化合物250mg(1.74mmol)および実施例42A由来の化合物460mg(2.09mmol)を、氷酢酸4ml中、室温で0.5時間撹拌する。混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルに取り、混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で数回洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。残渣をエタノール9mlに取り、エタノール中のナトリウムエタノラートの25%強度溶液664mg(2.44mmol)を室温で添加し、混合物を1時間撹拌する。1M塩酸の添加によりpH5を確立し、混合物を終夜室温で撹拌し、形成される固体を吸引濾過し、水で洗浄し、高真空下で乾燥する。
収量:239mg(理論値の50%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.04 (d, 1H), 8.51 (d, 1H), 8.39 (d, 1H), 8.22 (dt, 1H), 8.10 (dd, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.92 (dd, 1H), 7.20 (dd, 1H).
LC−MS(方法5):R=1.33分;MS(ESIpos):m/z=273[M+H]
【0146】
実施例31
2−(5−ヨードピリジン−2−イル)−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化61】

表題化合物の合成は、実施例30と同様に、実施例32A由来の化合物250mg(1.06mmol)および実施例42A由来の化合物281mg(1.28mmol)から実施する。
収量:80mg(理論値の21%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.12 (s, 1H), 8.70 (s, 1H), 8.54-8.46 (m, 1H), 8.40-8.25 (m, 4H), 7.43-7.36 (m, 1H).
LC−MS(方法3):R=1.44分;MS(ESIpos):m/z=365[M+H]
【0147】
実施例32
2−(5−ブロモピリジン−2−イル)−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化62】

表題化合物の合成は、実施例30と同様に、実施例31A由来の化合物250mg(1.33mmol)および実施例42A由来の化合物351mg(1.60mmol)から実施する。
収量:166mg(理論値の39%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.06 (d, 1H), 8.50 (d, 1H), 8.46 (s, 1H), 8.24 (d, 1H), 8.16 (d, 1H), 8.13 (s, 1H), 8.08 (dd, 1H), 7.24 (dd, 1H).
LC−MS(方法5):R=1.40分;MS(ESIpos):m/z=318[M+H]
【0148】
実施例33
2−(5−ブロモ−4−メチルピリジン−2−イル)−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
【化63】

実施例29A由来の化合物300mg(1.49mmol)および実施例42A由来の化合物392mg(1.78mmol)を、氷酢酸7ml中、室温で36時間撹拌する。混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルに取り、混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で数回洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。残渣をエタノール13mlに取り、エタノール中のナトリウムエタノラートの25%強度溶液566mg(2.08mmol)を室温で添加し、混合物を1時間撹拌する。1M塩酸の添加によりpH5を確立し、混合物を濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加して)を利用して精製する。
収量:55mg(理論値の11%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.41 (s, 1H), 8.99 (d, 1H), 8.86 (s, 1H), 8.67 (d, 1H), 8.60 (s, 1H), 8.45 (s, 1H), 8.03 (dd, 1H), 2.47 (s, 3H).
LC−MS(方法3):R=1.53分;MS(ESIpos):m/z=331[M+H]
【0149】
実施例34
4−(6−シアノピリジン−3−イル)−2−(4−メチルピリジン−2−イル)−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化64】

実施例24由来の化合物50mg(136μmol)を、1−メチル−2−ピロリドン0.6mlに溶解し、シアン化亜鉛31.9mg(272μmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)15.7mg(14μmol)を添加し、混合物を、マイクロ波中、200℃で30分間加熱する。反応混合物を珪藻土で濾過し、メタノールで溶出する。1M塩酸の添加により濾液を僅かに酸性のpHに調節し、沈殿を濾過し、分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加して)を利用して精製する。
収量:13mg(理論値の31%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.25 (s, 1H), 8.57 (s, 1H), 8.44 (d, 1H), 8.36 (d, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.95 (d, 1H), 7.25 (d, 1H), 2.47 (s, 3H).
LC−MS(方法4):R=2.20分;MS(ESIpos):m/z=278[M+H]
【0150】
実施例35
2−[4−(アミノメチル)ピリジン−2−イル]−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン二塩酸塩
【化65】

実施例29由来の化合物100mg(380μmol)を、氷酢酸10mlに溶解し、触媒(10%パラジウム/炭)50.0mgを添加し、混合物を、終夜、水素雰囲気下、常圧下、室温で撹拌する。次いで、反応混合物を濾過し、濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加して)を利用して精製する。
収量:64mg(理論値の49%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.38 (s, 1H), 8.93 (d, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.75 (s, 3H), 8.64 (d, 1H), 8.56 (d, 1H), 8.48 (s, 1H), 7.99 (dd, 1H), 7.54 (d, 1H), 4.21 (q, 2H).
LC−MS(方法1):R=1.39分;MS(ESIpos):m/z=268[M+H]
【0151】
実施例36
N−{[2−(5−オキソ−4−ピリジン−3−イル−2,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−4−イル]メチル}ブタンアミド塩酸塩
【化66】

実施例35由来の化合物80.0mg(235μmol)およびブタン酸22.8mg(259μmol)を、DMF5mlに溶解し、トリエチルアミン119mg(1.18mmol)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩90.2mg(470μmol)を氷で冷却しながら添加し、混合物を終夜室温で撹拌する。次いで、反応混合物を、分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加して)を利用して直接精製する。
収量:7mg(理論値の7%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.33-9.31 (m, 1H), 8.87 (d, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.61-8.56 (m, 2H), 8.43 (d, 1H), 8.25 (s, 1H), 7.96 (dd, 1H), 7.26 (d, 1H), 4.41 (d, 1H), 2.19 (t, 2H), 1.58 (sext, 2H), 0.90 (t, 3H).
LC−MS(方法1):R=2.26分;MS(ESIpos):m/z=338[M+H]
【0152】
実施例37
N−イソプロピル−N'−{[2−(5−オキソ−4−ピリジン−3−イル−2,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−4−イル]メチル}ウレア塩酸塩
【化67】

イソプロピルイソシアネート40.0mg(470μmol)を、DMF5mlにアルゴン下で溶解し、実施例35由来の化合物80.0mg(235μmol)およびトリエチルアミン71.4mg(705μmol)を添加し、混合物を終夜室温で撹拌する。次いで、混合物を濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加したもの)を利用して精製する。
収量:80mg(理論値の85%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.35 (s, 1H), 8.95 (d, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.59 (d, 1H), 8.42 (d, 1H), 8.24 (s, 1H), 8.02 (dd, 1H), 7.27 (d, 1H), 6.55 (s, 1H), 4.35 (s, 2H), 3.76-3.63 (m, 1H), 2.75 (s, 1H), 1.08-1.03 (m, 6H).
LC−MS(方法1):R=2.81分;MS(ESIpos):m/z=353[M+H]
【0153】
実施例38
N−{[2−(5−オキソ−4−ピリジン−3−イル−2,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−4−イル]メチル}メタンスルホンアミド塩酸塩
【化68】

実施例35由来の化合物80.0mg(235μmol)およびメタンスルホン酸塩化物53.9mg(470μmol)を、DMF5mlにアルゴン下で溶解し、氷冷しながら、N,N−ジイソプロピルエチルアミン152mg(1.18mmol)を添加し、混合物を終夜室温で撹拌する。次いで、反応混合物を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加したもの)を利用して直接精製する。
収量:31mg(理論値の34%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.34 (s, 1H), 8.88 (d, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.59 (d, 1H), 8.47 (d, 1H), 8.40 (s, 1H), 7.95 (dd, 1H), 7.89 (t, 1H), 7.36 (d, 1H), 4.36 (d, 2H), 2.99 (s, 3H).
LC−MS(方法1):R=2.35分;MS(ESIpos):m/z=346[M+H]
【0154】
実施例39
6−(5−オキソ−4−ピリジン−3−イル−2,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル)−ニコチン酸
【化69】

実施例25由来の化合物1.49g(4.81mmol)を、1,4−ジオキサン60mlに溶解し、1M水酸化リチウム水溶液40mlを添加し、混合物を還流下で1時間加熱する。次いで、反応混合物を0℃に冷却し、1M塩酸40mlで弱酸のpHに調節し、0℃で2時間撹拌する。形成される沈殿を吸引濾過し、水およびジエチルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥する。
収量:1.20g(理論値の88%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.40 (s, 1H), 9.00-8.94 (m, 2H), 8.90 (s, 1H), 8.66 (d, 1H), 8.60-8.54 (m, 1H), 8.49 (dd, 1H), 8.02 (dd, 1H).
LC−MS(方法3):R=0.63分;MS(ESIpos):m/z=283[M+H]
【0155】
実施例40
N−ベンジル−6−(5−オキソ−4−ピリジン−3−イル−2,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル)−ニコチンアミド塩酸塩
【化70】

実施例39由来の化合物50mg(177μmol)を、DMF2mlに溶解し、4−N,N−ジメチルアミノピリジン1.9mg(16μmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン71.0mg(549μmol)およびベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)−トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート98.0mg(188μmol)を添加し、混合物を室温で15分間撹拌する。ベンジルアミン25.2mg(235μmol)を添加し、混合物を室温でさらに5時間撹拌する。反応を完了させるために、さらに25mg(235μmol)のベンジルアミンを添加し、混合物を終夜室温で撹拌する。反応混合物を、分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加したもの)、続いてシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(移動相:塩化メチレン/メタノールグラジエント)を利用して予精製する。粗生成物がメタノールから沈殿し、その沈殿を再度分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加したもの)を利用して精製する。
収量:21mg(理論値の30%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.41 (s, 1H), 9.38-9.33 (m, 1H), 9.01 (s, 1H), 8.95 (d, 1H), 8.87 (s, 1H), 8.64 (d, 1H), 8.56-8.49 (m, 2H), 7.99 (dd, 1H), 7.38-7.32 (m, 4H), 7.30-7.24 (m, 1H), 4.53 (d, 2H).
LC−MS(方法5):R=1.50分;MS(ESIpos):m/z=372[M+H]
【0156】
実施例41
2−(5−オキソ−4−ピリジン−3−イル−2,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル)−イソニコチン酸
【化71】

実施例29由来の化合物200mg(760μmol)を、エタノール6mlおよび水4mlの混合物に懸濁し、50%強度水酸化ナトリウム溶液0.6mlを添加し、混合物を還流下で1時間加熱する。冷却後、1M塩酸で弱酸のpHを確立し、沈殿を吸引濾過し、水で洗浄し、乾燥する。
収量:180mg(理論値の84%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.11 (d, 1H), 8.86 (s, 1H), 8.62 (d, 1H), 8.46 (s, 1H), 8.32 (dd, 1H), 8.28 (dt, 1H), 7.69 (dd, 1H), 7.36 (dd, 1H).
LC−MS(方法1):R=2.19分;MS(ESIpos):m/z=283[M+H]
【0157】
実施例42
2−(5−オキソ−4−ピリジン−3−イル−2,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル)−イソニコチン酸メチルエステル
【化72】

実施例41由来の化合物150mg(531μmol)を、メタノール20mlに溶解し、濃硫酸1mlを添加し、混合物を還流下で終夜加熱する。冷却後、形成される沈殿を吸引濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥する。
収量:117mg(理論値の74%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.41 (d, 1H), 8.99-8.94 (m, 2H), 8.86 (s, 1H), 8.71 (d, 1H), 8.66 (d, 1H), 8.01 (dd, 1H), 7.78 (dd, 1H), 3.96 (s, 3H).
LC−MS(方法4):R=1.03分;MS(ESIpos):m/z=297[M+H]
【0158】
実施例43
2−[4−(ヒドロキシメチル)ピリジン−2−イル]−4−ピリジン−3−イル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン塩酸塩
【化73】

塩化カルシウム197mg(1.77mmol)および水素化ホウ素ナトリウム319mg(8.44mmol)を、先ず、エタノール26mlに導入し、実施例42由来の化合物50mg(169μmol)を少しずつ0℃で添加し、混合物を終夜室温で撹拌する。反応混合物を、1M塩酸の添加により僅かに酸性のpHに調節し、濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加したもの)を利用して精製する。
収量:32mg(理論値の63%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.34 (s, 1H), 8.93 (d, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.58 (d, 1H), 8.42 (d, 1H), 8.36 (s, 1H), 8.00 (dd, 1H), 7.34 (d, 1H), 4.68 (s, 2H).
LC−MS(方法1):R=2.14分;MS(ESIpos):m/z=269[M+H]
【0159】
実施例44
5−(3−オキソ−2−ピリジン−2−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−ニコチン酸
【化74】

実施例14由来の化合物100mg(380μmol)を、エタノール3mlおよび水2mlの混合物に懸濁し、50%強度水酸化ナトリウム溶液0.3mlを添加し、混合物を還流下で2時間加熱する。冷却後、沈殿を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥する。
収量:50mg(理論値の47%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.04 (d, 1H), 8.47-8.42 (m, 2H), 8.36-8.33 (m, 2H), 7.75-7.70 (m, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.01-6.97 (m, 1H).
LC−MS(方法5):R=1.28分;MS(ESIpos):m/z=283[M+H]
【0160】
実施例45
N−メチル−5−(3−オキソ−2−ピリジン−2−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)−ニコチンアミド
【化75】

実施例44由来の化合物45.0mg(159μmol)を、DMF1mlに溶解し、4−N,N−ジメチルアミノピリジン1.9mg(16μmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン24.7mg(191μmol)および(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)−トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート100mg(191μmol)を添加し、混合物を室温で15分間撹拌する。メチルアミンの2M THF溶液120μl(239μmol)を添加し、混合物を終夜室温で撹拌する。変換を完了させるために、さらに120μl(239μmol)のメチルアミンの2M THF溶液を添加し、混合物を再度終夜室温で撹拌する。反応混合物を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント)を利用して直接精製する。
収量:23mg(理論値の49%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.18 (s, 1H), 8.74 (d, 1H), 8.64-8.57 (m, 2H), 8.53-8.44 (m, 2H), 8.40-8.25 (m, 1H), 8.09-8.03 (m, 1H), 7.40-7.34 (m, 1H), 2.83 (d, 3H).
LC−MS(方法3):R=1.21分;MS(ESIpos):m/z=296[M+H]
【0161】
実施例46
N−{[2−(5−オキソ−4−ピリジン−3−イル−2,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−4−イル]メチル}−2−フェニルアセトアミド塩酸塩
【化76】

実施例35由来の化合物80.0mg(235μmol)およびフェニル酢酸35.2mg(259μmol)を、DMF5mlに溶解し、トリエチルアミン119mg(1.18mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩90.2mg(470μmol)および1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール水和物127mg(941μmol)を氷で冷却しながら添加し、混合物を終夜室温で撹拌する。沈殿を濾過し、濾液を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加したもの)を利用して精製する。
収量:58mg(理論値の57%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.38 (d, 1H), 8.97 (dt, 1H), 8.88 (t, 1H), 8.72 (s, 1H), 8.62 (d, 1H), 8.41 (d, 1H), 8.29 (s, 1H), 8.04 (dd, 1H), 7.36-7.29 (m, 4H), 7.26-7.21 (m, 2H), 4.42 (d, 2H), 3.56 (s, 2H).
LC−MS(方法3):R=1.30分;MS(ESIpos):m/z=386[M+H]
【0162】
実施例47
N−{[2−(5−オキソ−4−ピリジン−3−イル−2,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−4−イル]メチル}アセトアミド塩酸塩
【化77】

実施例35由来の化合物80.0mg(235μmol)を、DMF5mlに溶解し、トリエチルアミン71.4mg(705μmol)および塩化アセチル20.3mg(259μmol)を氷冷しながら添加し、混合物を終夜室温で撹拌する。反応混合物を、分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加したもの)を利用して直接精製する。
収量:33mg(理論値の41%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.37 (s, 1H), 8.97 (d, 1H), 8.71 (s, 1H), 8.68 (t, 1H), 8.61 (d, 1H), 8.43 (d, 1H), 8.26 (s, 1H), 8.03 (dd, 1H), 7.28 (d, 1H), 4.40 (d, 2H), 1.95 (s, 3H).
LC−MS(方法1):R=2.09分;MS(ESIpos):m/z=310[M+H]
【0163】
実施例48
N−{[2−(5−オキソ−4−ピリジン−3−イル−2,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−4−イル]メチル}ベンズアミド塩酸塩
【化78】

実施例35由来の化合物60.0mg(176μmol)を、DMF4mlに溶解し、トリエチルアミン53.5mg(529μmol)および塩化ベンゾイル27.3mg(194μmol)を氷冷しながら添加し、混合物を終夜室温で撹拌する。反応混合物を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%濃塩酸を添加したもの)を利用して直接精製する。
収量:36mg(理論値の50%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.35-9.29 (m, 2H), 8.91 (d, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.59 (d, 1H), 8.44 (d, 1H), 8.34 (s, 1H), 8.01-7.92 (m, 3H), 7.62-7.48 (m, 3H), 7.35 (d, 1H), 4.62 (d, 2H).
LC−MS(方法4):R=1.07分;MS(ESIpos):m/z=372[M+H]
【0164】
実施例49
N−ベンジル−2−(5−オキソ−4−ピリジン−3−イル−2,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル)−イソニコチンアミド
【化79】

実施例41由来の化合物60.0mg(213μmol)を、DMF24mlに溶解し、4−N,N−ジメチルアミノピリジン2.6mg(21μmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン65.9mg(510μmol)および(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)−トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート265mg(510μmol)を添加し、混合物を室温で45分間撹拌する。ベンジルアミン68.3mg(638μmol)を添加し、混合物を終夜室温で撹拌する。変換を完了させるために、さらに65.9mg(510μmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび265mg(510μmol)の(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)−トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを添加し、混合物を室温で45分間撹拌し、さらに68.3mg(638μmol)のベンジルアミンを添加し、次いで、混合物を終夜室温で撹拌する。それを濃縮し、残渣を分取HPLC(RP18カラム;移動相:アセトニトリル/水グラジエント、0.1%ギ酸を添加したもの)を利用して精製する。
収量:35mg(理論値の44%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.49 (t, 1H), 9.26 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.70-8.62 (m, 3H), 8.52 (d, 1H), 7.76-7.70 (m, 2H), 7.37-7.34 (m, 4H), 7.31-7.24 (m, 1H), 4.52 (d, 2H).
LC−MS(方法5):R=1.57分;MS(ESIpos):m/z=372[M+H]
【0165】
実施例50
3−(4−クロロ−1H−ピラゾール−1−イル)−N−{[2−(5−オキソ−4−ピリジン−3−イル−2,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−4−イル]メチル}プロパンアミド
【化80】

3−(4−クロロ−1H−ピラゾール−1−イル)プロパン酸17.5mg(100μmol)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート41.7mg(130μmol)およびトリエチルアミン20.2mg(200μmol)をDMSO0.2mlに溶解する。DMSO0.2ml中の実施例35由来の化合物33.9mg(100μmol)の溶液を添加し、反応混合物を終夜室温で撹拌する。形成される沈殿を濾過し、HPLC(方法8)を利用して濾液を精製する。
収量:5.8mg(理論値の14%)
LC−MS(方法8):R=1.20分;MS(ESIpos):m/z=424[M+H]
【0166】
表9に挙げる化合物は、実施例35および対応するカルボン酸から、実施例50と同様に製造する:
【表11】

【0167】
【表12】

【0168】
【表13】

[実施例55について:出発物質3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロピオン酸の合成は、J. Med. Chem. 1995, 38, 695-707 に記載されている]
【0169】
B.薬理活性の評価
本発明による化合物の薬理特性は、以下のアッセイで立証できる:
略号:
【表14】

【0170】
1.HIFプロリル4−ヒドロキシラーゼ阻害剤の活性および選択性を決定するためのインビトロ試験
1.a)HIFプロリルヒドロキシラーゼの活性の阻害:
ヒドロキシル化HIFは、フォンヒッペル・リンダウタンパク質−エロンジンB−エロンジンC複合体(VBC複合体)に特異的に結合する。この相互作用は、HIFが保存されているプロリルラジカルでヒドロキシル化されている場合にのみ生じる。それは、HIFプロリルヒドロキシラーゼ活性の生化学的測定の基礎である。本試験は、記載された通りに実施する[Oehme F., Jonghaus W., Narouz-Ott L., Huetter J., Flamme I., Anal. Biochem. 330 (1), 74-80 (2004)]:
【0171】
NeutrAvidin HBC (Pierce)で被覆した透明な96ウェルマイクロタイタープレートを、ブロッカーカゼインと30分間インキュベートする。次いで、プレートを、各回ウェル当たり200μlの洗浄バッファー(50mM Tris、pH7.5、100mM NaCl、10%(v/v)ブロッカーカゼイン、0.05%(v/v)Tween 20)で3回洗浄する。ビオチン−DLDLEMLAPYIPMDDDFQL(Eurogentec, 4102 Seraing, Belgium)のペプチドを、400nMの濃度で、洗浄バッファー100μl中で添加する。このペプチドは、プロリルヒドロキシル化の基質として働き、マイクロタイタープレートに結合する。30分間インキュベートした後、プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、ブロッカーカゼイン中の1mMビオチンと30分間インキュベートし、次いで、洗浄バッファーで再度3回洗浄する。
【0172】
プロリルヒドロキシラーゼ反応を実施するために、プレートに結合したペプチド基質を、プロリルヒドロキシラーゼを含有する細胞溶解物と共に1ないし60分間インキュベートする。反応は、100μlの反応バッファー(20mM Tris、pH7.5、5mM KCl、1.5mM MgCl、1μM−1mM 2−オキソグルタレート、10μM FeSO、2mMアスコルビン酸塩)中、室温で行う。反応混合物は、さらに、様々な濃度の試験しようとするプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤を含有する。試験物質は、好ましくは、排他的にではないが、1nMないし100μMの濃度で用いる。洗浄バッファーでプレートを3回洗浄することにより、反応を停止する。
【0173】
プロリルヒドロキシル化の定量的測定のために、大腸菌由来のチオレドキシンおよびVBC錯体の両方を含有する融合タンパク質を、80μlの結合バッファー(50mM Tris、pH7.5、120mM NaCl)に添加する。15分後、結合バッファー中のウサギ由来ポリクローナル抗チオレドキシン抗体の溶液10μlを添加する。さらに30分後、結合バッファー中のホースラディッシュペルオキシダーゼに結合した抗ウサギ免疫グロブリンの溶液10μlを添加する。室温で30分間インキュベートした後、結合していないVBC複合体および抗体を除去するために、プレートを洗浄バッファーで3回洗浄する。結合したVBC複合体の量を測定するために、プレートをTMBと15分間インキュベートする。呈色反応を、1M硫酸100μlの添加により終わらせる。結合したVBC複合体の量は、450nmでの吸光度の測定により決定する。それは、ペプチド基質中のヒドロキシル化プロリンの量に比例する。
【0174】
あるいは、ユーロピウムに結合したVBC複合体(Perkin Elmer)を、プロリルヒドロキシル化の検出に使用できる。この場合、結合したVBC複合体の量は、時間に対する蛍光により測定する。[35S]−メチオニンで標識されたVBC複合体の使用もさらに可能である。このために、放射性標識VBC複合体を、網状赤血球のライセートにおけるインビトロ転写−翻訳により調製できる。
【0175】
本発明による化合物は、この試験において、HIFプロリルヒドロキシラーゼの活性を10μMのIC50値で阻害する。代表的な結果を表10に示す:
表10
【表15】

【0176】
1.b)細胞の機能的インビトロ試験:
本発明による化合物の活性を、組換え細胞株を利用して定量する。この細胞は、元々は、ヒト肺癌細胞株(A549、ATCC: American Type Culture Collection, Manassas, VA 20108, USA)に由来する。試験細胞株を、人工最小プロモーターの制御下にフォチナス・ピラリス(Photinus pyralis)ルシフェラーゼ(以下、ルシフェラーゼと呼ぶ)のレポーター遺伝子を含有するベクターで安定に形質移入する。最小プロモーターは、TATAボックスの上流に2個の低酸素応答エレメントを含む[Oehme F., Ellinghaus P., Kolkhof P., Smith T.J., Ramakrishnan S., Huetter J., Schramm M., Flamme I., Biochem. Biophys. Res. Commun. 296 (2), 343-9 (2002)]。低酸素(例えば、1%酸素の存在下で24時間培養する)の影響下で、または、非選択的ジオキソゲナーゼ阻害剤(例えば濃度100μMのデスフェリオキサミン、濃度100μMの塩化コバルトまたは濃度1mMのN−オキサリルグリシンジエチルエステル)の作用下で、試験細胞株はルシフェラーゼを産生し、それは、適する生物発光試薬(例えば Steady-Glo(登録商標) Luciferase Assay System, Promega Corporation, Madison, WI 53711, USA)および適当なルミノメーターを利用して検出および定量できる。
【0177】
試験方法:試験前日に、384−または1,536−ウェルマイクロタイタープレート中の正確に算出された量の培養培地(DMEM、10%FCS、2mMグルタミン)に細胞を播き、細胞インキュベーター中で維持する(96%大気湿度、5%v/vCO、37℃)。試験当日に、試験物質を漸加的濃度で培養培地に添加する。負の対照に供するバッチの細胞には、試験物質を添加しない。細胞の阻害剤に対する感受性を測定するための正の対照として、例えばデスフェリオキサミンを最終濃度100μMで添加する。試験物質をマイクロタイタープレートのウェルに移した6ないし24時間後、得られる光シグナルをルミノメーターで測定する。測定値を利用して用量/効果の関係をプロットする。これは、最大半量の活性濃度(以下EC50値と呼ぶ)を決定するための基礎として役立つ。
【0178】
本発明による化合物は、ここに記載した試験において、30μMのEC50値を有する。代表的な結果を表11に示す:
表11
【表16】

【0179】
1.c)遺伝子発現の変化についての細胞の機能的インビトロ試験:
試験物質による処置後のヒト細胞株における特異的mRNAの発現の変化を調べるために、以下の細胞株を6または24ウェルプレートで培養する:ヒト肝臓癌細胞(HUH, JCRB Cell Bank, Japan)、ヒト胎児由来腎臓線維芽細胞(human embryonal kidney fibroblast)(HEK/293, ATCC, Manassas, VA 20108, USA)、ヒト子宮頸癌細胞(HeLa, ATCC, Manassas, VA 20108, USA)、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC, Cambrex, East Rutherford, New Jersey 07073, USA)。試験物質添加の24時間後、細胞をリン酸緩衝塩水で洗浄し、適当な方法(例えば Trizol(登録商標)試薬、Invitrogen GmbH, 76131 Karlsruhe, Germany)を使用して、それらから総RNAを得る。
【0180】
典型的な分析実験のために、かくして得られた総RNA各1μgを、DNaseIで分解し、適する逆転写反応(ImProm-II Reverse Transcription System, Promega Corporation, Madison, WI 53711, USA)を使用して、相補DNA(cDNA)に翻訳する。かくして得られたcDNAバッチの2.5%を、各場合でポリメラーゼ連鎖反応に使用する。調べようとする遺伝子のmRNAの発現レベルを、ABI Prism 7700 配列検出装置(Applied Biosystems, Inc.)を使用して、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応を利用して調べる [TaqMan-PCR; Heid C.A., Stevens J., Livak K.J., Williams P.M., Genome Res. 6 (10), 986-94 (1996)]。ここで使用するプライマー−プローブの組合せは、Primer Express 1.5 Software (Applied Biosystems, Inc.)を利用して生じさせる。特に、エリスロポエチン、カルボアンヒドラーゼIX、ラクテートデヒドロゲナーゼAおよび血管内皮細胞増殖因子のmRNAを調べる。
【0181】
本発明による物質は、ヒト起源の細胞において、低酸素誘導遺伝子のmRNAの有意な用量依存的増加を導く。
【0182】
2.心血管系の作用を検出するためのインビボ試験
2.a)遺伝子発現の変化についてのインビボ試験:
適当な溶媒に溶解した試験化合物を、マウスまたはラットに、胃管投与により経口で、腹腔内に、または、静脈内に投与する。典型的な投与量は、体重1kg当たり投与毎に0.1、0.5、1、5、10、20、50、100および300mgの物質である。対照動物は、溶媒のみを受容する。試験物質投与の4、8または24時間後、動物をイソフルランの過剰投与および続く頸部の骨折により殺し、調べようとする器官を取り出す。器官の各部分を液体窒素中で瞬間凍結(shock-freeze)する。B.1.a)で記載した通りに、器官の各部分から総RNAを得、これをcDNAに翻訳する。調べようとする遺伝子のmRNA発現レベルを、ABI Prism 7700 配列検出装置 (Applied Biosystems, Inc.)を使用して、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応[TaqMan-PCR; Heid C.A., Stevens J., Livak K.J., Williams P.M., Genome Res. 6 (10), 986-94 (1996)] を利用して調べる。
【0183】
本発明による物質は、経口または非経腸投与の後に、プラセボ対照と比較して、腎臓におけるエリスロポエチンのmRNAの有意な用量依存的増加を導く。
【0184】
2.b)血清中のエリスロポエチンレベルの測定:
適当な溶媒中の試験物質を、マウスまたはラットに、腹腔内または経口で、1日1回または2回投与する。典型的な投与量は、体重1kg当たり投与毎に0.1、0.5、1、5、10、20、50、100および300mgの物質である。プラセボ対照動物は、溶媒のみを受容する。物質投与前および最後の投与の4時間後、血液50μlを、眼窩静脈叢または尾静脈から、短時間の麻酔下で動物から取る。リチウムヘパリンの添加により、血液を非凝固性にする。遠心分離により血漿を得る。血漿中のエリスロポエチン含有量を、エリスロポエチン−ELISA(Quantikine(登録商標)mouse Epo Immunoassay, R&D Systems, Inc., Minneapolis, USA)を製造業者の指示に従い利用して測定する。マウスエリスロポエチンについて記録された参照測定を利用して、測定値をpg/mlに変換する。
【0185】
本発明による物質は、経口または非経腸投与の後に、開始時の値およびプラセボ対照と比較して、血漿エリスロポエチンの有意な用量依存的増加を導く。
【0186】
2.c)末梢血の細胞組成の検定:
適当な溶媒中の試験物質を、マウスまたはラットに、腹腔内または経口で、1日1回または2回、数日間投与する。典型的な投与量は、体重1kg当たり投与毎に、例えば0.1、0.5、1、5、10、20、50、100および300mgの物質である。対照動物は、溶媒のみを受容する。研究終了時に、血液を、眼の隅の静脈叢または尾静脈から、短時間の麻酔下で動物から取り、クエン酸ナトリウムの添加により血液を非凝固性にする。血液サンプル中の赤血球、白血球および血小板の濃度を、適当な電子的測定機器で測定する。網状赤血球の濃度を、各場合で1,000個の赤血球につき、この目的に適する染色液 (KABE Labortechnik, Nuembrecht)で染色した血液スメアを利用して、顕微鏡によるスクリーニングで測定する。ヘマトクリットの決定のために、ヘマトクリット用キャピラリーを利用して血液を眼窩静脈叢から取り、この目的に適する遠心機におけるキャピラリーの遠心分離後に、ヘマトクリット値を手動で読み取る。
【0187】
本発明による物質は、経口および非経腸投与の後に、開始時の値およびプラセボ対照と比較して、ヘマトクリット、赤血球数および網状赤血球の有意な用量依存的増加を導く。
【0188】
C.医薬組成物についての実施態様の実施例
本発明による化合物は、以下の通りに医薬製剤に変換できる。
錠剤:
組成:
本発明による化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン (PVP 25) (BASF, Ludwigshafen, Germany)10mgおよびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg。直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明による化合物、ラクトースおよびデンプンの混合物を、5%強度PVP水溶液(w/w)で造粒する。乾燥後、顆粒をステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を、常套の打錠機で打錠する(錠剤の形状について、上記参照)。打錠力15kNを、打錠の推奨値として使用する。
【0189】
経口投与用の懸濁剤:
組成:
本発明による化合物1,000mg、エタノール(96%)1,000mg、Rhodigel(登録商標) (FMC, Pennsylvania, USA のキサンタンゴム)400mgおよび水99g。
経口用懸濁剤10mlは、本発明による化合物100mgの個別用量に相当する。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、本発明による化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。Rhodigel の膨潤が終了するまで、混合物を約6時間撹拌する。
【0190】
経口投与用の液剤:
組成:
本発明による化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。経口用液剤20gは、本発明による化合物100mgの個別用量に相当する。
製造:
本発明による化合物を、ポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に撹拌しながら懸濁する。本発明による化合物の溶解が完了するまで、撹拌操作を継続する。
【0191】
i.v.液剤:
本発明による化合物を、飽和溶解度より低い濃度で生理的に許容し得る溶媒(例えば、等張塩水、5%グルコース溶液および/または30%PEG400溶液)に溶解する。溶液を濾過滅菌に付し、無菌かつパイロジェン不含の注射容器に移す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
Aは、CHまたはNを表し、
は、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、(C−C)−アルコキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルおよび−C(=O)−NH−Rからなる組から選択される置換基を表し
{ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノまたは式−NH−C(=O)−R、−NH−C(=O)−NH−Rもしくは−NH−SO−Rの基により置換されていてもよく
(ここで、Rは、(C−C)−アルキル(ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、フェニルまたは5員もしくは6員のヘテロアリールにより置換されていてもよい)またはフェニルを示し、
ここで、フェニルおよびヘテロアリールは、各場合で、同一であるか、または異なって、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシにより1回ないし3回置換されていてもよく、
は、ヒドロキシルまたは(C−C)−アルコキシにより置換されていてもよい(C−C)−アルキルを示し、
そして、Rは、(C−C)−アルキルを示す)、
そして、Rは、水素または(C−C)−アルキルを示し、これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシまたはフェニルにより置換されていてもよい
(ここで、フェニルは、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシにより置換されていてもよい)}、
は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、ヒドロキシカルボニルおよび−C(=O)−NH−Rからなる組から選択される置換基を表し
{ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、ヒドロキシルにより置換されていてもよく、
そして、Rは、水素または(C−C)−アルキルを示す}、
mは、0、1または2の数を表し、
nは、0、1、2または3の数を表し
{ここで、RまたはRが数個存在する場合、それらの意味は、各場合で同一であっても異なっていてもよい}、
そして、Rは、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルを表す]
の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項2】
式中、
Aが、CHまたはNを表し、
が、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、(C−C)−アルコキシカルボニルおよびヒドロキシカルボニルからなる組から選択される置換基を表し、
が、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、アミノおよびヒドロキシカルボニルからなる組から選択される置換基を表し、ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、ヒドロキシルにより置換されていてもよく、
mが、0、1または2の数を表し、
nが、0、1、2または3の数を表し
{ここで、RまたはRが数個存在する場合、それらの意味は、各場合で同一であっても異なっていてもよい}、
そして、Rが、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルを表す、
請求項1に記載の式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項3】
式中、
AがCHを表し、
が、(C−C)−アルキル、フッ素、塩素、臭素および−C(=O)−NH−Rからなる組から選択される置換基を表し
{ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノまたは式−NH−C(=O)−R、−NH−C(=O)−NH−Rもしくは−NH−SO−Rの基により置換されていてもよく
(ここで、Rは、(C−C)−アルキル(ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、フェニルまたは5員のヘテロアリールにより置換されていてもよい)またはフェニルを示し、
ここで、フェニルおよびヘテロアリールは、各場合で、同一であるか、または異なって、フッ素、塩素、臭素、シアノ、メチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシにより1回ないし3回置換されていてもよく、
そして、RおよびRは、相互に独立して、(C−C)−アルキルを示す)、
そして、Rは、(C−C)−アルキルを示し、これは、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシまたはフェニルにより置換されていてもよい
(ここで、フェニルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、メチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシにより置換されていてもよい)}、
が、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシカルボニルおよび−C(=O)−NH−Rからなる組から選択される置換基を表し
{ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシルにより置換されていてもよく、
そして、Rは、(C−C)−アルキルを示す}
mが、0、1または2の数を表し、
nが、0、1または2の数を表し
{ここで、RまたはRが数個存在する場合、それらの意味は、各場合で同一であっても異なっていてもよい}、
そして、Rが水素を表す、
請求項1に記載の式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項4】
式中、
AがCHを表し、
が、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ニトロ、(C−C)−アルコキシ、アミノおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる組から選択される置換基を表し、
が、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシおよびアミノからなる組から選択される置換基を表し、ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシは、ヒドロキシルにより置換されていてもよく、
mが、0または1の数を表し、
nが、0、1、2または3の数を表し
{ここで、Rが数個存在する場合、その意味は同一であっても異なっていてもよい}、
そして、Rが水素またはメチルを表す、
請求項1または請求項2に記載の式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項5】
式中、
AがCHを表し、
が、(C−C)−アルキル、フッ素、塩素、臭素および−C(=O)−NH−Rからなる組から選択される置換基を表し
{ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、アミノまたは式−NH−C(=O)−Rもしくは−NH−C(=O)−NH−Rの基により置換されていてもよく
(ここで、Rは、(C−C)−アルキル(フェニルまたはピラゾリルにより置換されていてもよい)またはフェニルを示し、
ここで、フェニルおよびピラゾリルは、各場合で、同一であるか、または異なって、フッ素、塩素、メチルまたはトリフルオロメチルにより1回ないし3回置換されていてもよく、
そして、Rは、(C−C)−アルキルを示す)、
そして、Rは、フェニルにより置換されていてもよい(C−C)−アルキルを示す}、
が、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキルおよびトリフルオロメチルからなる組から選択される置換基を表し、ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシルにより置換されていてもよく、
mが、0、1または2の数を表し、
nが、0、1または2の数を表し
{ここで、RまたはRが数個存在する場合、それらの意味は、各場合で同一であっても異なっていてもよい}、
そして、Rが水素を表す、
請求項1または請求項3に記載の式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項6】
式(I−A)
【化2】

[式中、
1Aは、水素、メチルまたはトリフルオロメチルを表し、
そして、R2A、R2BおよびR2Cは、同一であるか、または異なり、相互に独立して、水素、塩素、臭素、シアノ、メチル、ヒドロキシメチル、メトキシまたはエトキシを表す]
の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項7】
式(I−B)
【化3】

[式中、
1AおよびR1Bは、同一であるか、または異なり、相互に独立して、水素、フッ素、塩素、(C−C)−アルキルまたは−C(=O)−NH−Rを表し
{ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、アミノまたは式−NH−C(=O)−Rの基により置換されていてもよく
(ここで、Rは、(C−C)−アルキル(フェニルまたはピラゾリルにより置換されていてもよい)またはフェニルを示し、
ここで、フェニルおよびピラゾリルは、各場合で、同一であるか、または異なって、フッ素、塩素、メチルまたはトリフルオロメチルにより1回ないし3回置換されていてもよい)、
そして、Rは、(C−C)−アルキルを示し、これは、フェニルにより置換されていてもよい}、
は、塩素、臭素、シアノ、メチル、ヒドロキシメチルまたはトリフルオロメチルからなる組から選択される置換基を表し、
そして、
nは、0、1または2の数を表す
{ここで、Rが数個存在する場合、その意味は同一であっても異なっていてもよい}]
の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の式(I)、(I−A)または(I−B)の化合物の製造方法であって、式(II)
【化4】

(式中、R、Rおよびnは、各々請求項1ないし請求項7に記載の意味を有し、そして、
は、メチルまたはエチルを表す)
の化合物を、不活性溶媒中、場合により酸の存在下で、式(III)
【化5】

(式中、A、Rおよびmは、各々請求項1ないし請求項7に記載の意味を有する)
の化合物と反応させ、式(IV)
【化6】

(式中、Z、A、R、R、R、mおよびnは、上述の意味を有する)
の化合物を得、次いで、これらを不活性溶媒中、塩基の存在下で環化し、
そして、場合により、式(I)、(I−A)または(I−B)の化合物を、対応する(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸で、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを特徴とする、方法。
【請求項9】
が水素を表す請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の式(I)、(I−A)または(I−B)の化合物の製造方法であって、式(V)
【化7】

(式中、Rおよびnは、各々請求項1ないし請求項7に記載の意味を有し、そして、
は、メチルまたはエチルを表す)
の化合物を、式(VI)
【化8】

(式中、Zは、メチルまたはエチルを表す)
の化合物と縮合反応に付し、式(VII)
【化9】

(式中、Z、Rおよびnは、上述の意味を有する)
の化合物を得、続いて、これを酸の存在下で、式(III)
【化10】

(式中、A、Rおよびmは、各々請求項1ないし請求項7に記載の意味を有する)
の化合物と反応させ、式(IV−A)
【化11】

(式中、Z、A、R、R、mおよびnは、上述の意味を有する)
の化合物を得、次いで、これらを、不活性溶媒中、塩基の存在下で環化することを特徴とする、方法。
【請求項10】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
心血管疾患、心不全、貧血、慢性腎臓疾患および腎不全の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項12】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の化合物を、不活性、非毒性、医薬的に適する補助物質と組み合わせて含む、医薬。
【請求項13】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の化合物を、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、ベータ受容体遮断薬、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト、アスピリン、利尿剤、鉄サプリメント、ビタミンB12および葉酸サプリメント、カルシウム拮抗薬、スタチン類およびジギタリス(ジゴキシン)誘導体からなる群から選択されるさらなる活性化合物と組み合わせて含む、医薬。
【請求項14】
心血管疾患、心不全、貧血、慢性腎臓疾患および腎不全の処置および/または予防のための、請求項12または請求項13に記載の医薬。
【請求項15】
少なくとも1種の請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の化合物または請求項12ないし請求項14のいずれかに記載の医薬の有効量を使用する、ヒトおよび動物における心血管疾患、心不全、貧血、慢性腎臓疾患および腎不全の処置および/または予防方法。

【公表番号】特表2008−539180(P2008−539180A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508115(P2008−508115)
【出願日】平成18年4月15日(2006.4.15)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003488
【国際公開番号】WO2006/114213
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】