説明

情報処理装置、連絡先選択方法、及び連絡選択プログラム

【課題】防犯機能を有する情報処理装置で、自装置の位置とユーザのプロフィールを送った場合に受信側が知らせた位置から遠くて救助にいけないことがある。
【解決手段】情報処理装置において、非常ボタンが押下された場合に、自装置の位置を測定する。そして、予め登録されてある非常メールの各連絡先までの距離を算出する。そして、算出された距離に基づいて、自装置から、所定の距離にあるメールの連絡先に対して、自装置の位置を示す情報を含んだ所定のメールを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機に関し、特にメールの送信先を決定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機には、防犯アイテムとしての機能を有するものがある。例えば、防犯用のボタンを押下すると大音量のブザーが鳴動する有するものがある。また、その際に予め登録されて指定されているアドレスに所定のメールを送信する機能を有するものもある。
下記の特許文献1には、携帯電話機の緊急ボタンが押下された場合に、予め定められた優先順位に従って、当該優先順位に対応する電話番号を有する電話機に対して発呼を行う技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、ユーザが携帯電話機の非常ボタンを押下すると、携帯電話機から、非常ボタンの押下を示す信号が基地局を介して交換局に送信され、非常ボタンの押下を示す信号を受信すると交換局は、携帯電話機の位置を特定し、特定した位置情報に基づいて最寄の警察署を検索し、警察署に緊急事態の発生を通知する技術が開示されており、警察からの迅速な対応、救助を期待できる。
【特許文献1】特開2005−216128号公報
【特許文献2】特開2003−217060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、緊急事態において、最寄に存在するユーザの個人的な知り合いに連絡を取りたい場合に、上記特許文献2の技術を適用するのであれば、予め交換局に種々の登録を行っておく必要がある。
そこで、本発明においては、なるべく交換局に依らずに、連絡先の相手にユーザの元になるべく速やかに来てもらいたいときに役立つ情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、情報処理装置であって、複数の連絡先と、それぞれの連絡先に対応して当該連絡先の位置を示す連絡先位置情報とを記憶媒体に記憶する連絡先記憶手段と、ユーザからの所定の入力操作を受け付ける受付手段と、自装置の位置を示す自装置位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記所定の入力操作を受け付けた場合に、前記位置情報取得手段により取得した自装置位置情報と、前記記憶媒体に記憶されている連絡先の連絡先位置情報とに基づいて、自装置との距離が所定の条件を満たす連絡先を選択する選択手段と、前記選択手段により選択された連絡先に対して、通信を実行する通信手段とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上述のような構成によって、情報処理装置は、ユーザからの所定の操作を受け付けた場合に、予め定められた複数の連絡先の中から自装置との距離が所定の条件を満たす連絡先を検索し、検索して得られた連絡先に対して通信を実行することができる。これにより、例えば、上記所定の条件を短いこととすることで、自装置に近い位置にある連絡先という条件付けを行えることで、ユーザが暴漢に襲われた場合などに、簡単な操作でユーザの位置の近くにいる可能性の高い機器に対して連絡を取ることができ、早めの救助を期待できる。
【0007】
また、前記所定の条件は、所定の範囲であることとしてよい。
これにより、情報処理装置が予め定められた自装置から所定範囲にある機器に対して、通信を実行することになる。予め定められている所定範囲を例えば自装置から5km圏内と設定することで、その距離内に存在する機器を保持する人物に対して連絡をとることができ、当該人物からの救助などが期待できるようになる。この所定範囲として設定される距離は、短すぎては範囲内に機器が存在しない可能性があり、また、長すぎては、早急な救助を期待できないことになるので、実施に耐える距離を予め実験などにより検証しておく。
【0008】
また、前記通信は、所定のメールの送信であることとしてよい。
これにより、情報処理装置は、選出した連絡先に対して予め用意されているメールを送信することができる。緊急時などには、ユーザはメールを打つ余裕がないかもしれないが、これにより、ユーザ本人がメールを打たずともメールを送信することができるようになる。
【0009】
また、前記記憶媒体には、前記所定のメールの本文として、内容が異なる複数のメール本文が記憶されており、前記通信手段は、前記受付手段で受け付けた入力操作の内容に応じたメール本文を前記記憶媒体から取得し、取得したメール本文を前記所定のメールに含めて送信することとしてよい。
これにより、情報処理装置は、ユーザが置かれている状況に応じて行った操作内容により、各操作内容に応じて設定されているメールを送信することになるので、連絡先に対してユーザの置かれている状況を知らせることができる。例えば、事故にあったこと、あるいは、迷子になったことなどを簡単な操作で伝えることができる。
【0010】
また、前記通信は、発呼であることとしてよい。
これにより情報処理装置は、選択された連絡先に対して発呼を行うことで通信を行うことができる。これにより、発呼先の相手が通話に応じた場合には、口頭で要件を伝えることができる。
また、前記所定の条件は、短い順に数えて所定数であることとしてよい。
【0011】
これにより、情報処理装置は、自装置に近い位置にある連絡先に対してのみ連絡をとることになるので、早急な救助を期待できない相手に対する無駄な通信の実行を回避することができる。
また、前記通信は、発呼であり、前記通信手段は、前記選択手段が選択した順に連絡先に対して発呼を行うこととしてよい。
【0012】
これにより、情報処理装置は、選択された連絡先に対して、自装置に近い位置にある機器から順に発呼を行うことで、通信を実行することができる。これにより、メールなどにより状況を伝えられない場合に、通話でユーザが自身の置かれている状況などを連絡することができる。
また、前記情報処理装置は、更に、前記連絡先の位置情報を取得する連絡先位置情報取得手段と、前記連絡先位置情報取得手段により取得された位置情報を前記記憶媒体に書き込む書込手段を備えることとしてよい。
【0013】
これにより、情報処理装置は、各連絡先の位置情報を取得することができるので、自装置に近い位置にある機器と通信を実行する際に、通信を行う相手の機器が自機に近い位置にあることの信頼度が高まる。連絡先として、携帯電話機などのモバイル機器がある場合には、ユーザに保持されて移動してしまっている可能性もあるので、その連絡先の位置情報が逐次更新されることが望ましく、本発明に係る情報処理装置は当該要望に対応できる。
【0014】
また、本発明に係る情報処理装置は、複数の連絡先と、それぞれの連絡先に対応して当該連絡先の位置を示す連絡先位置情報とを記憶媒体に記憶する連絡先記憶手段と、ユーザからの所定の入力操作を受け付ける受付手段と、自装置が属する自装置地域情報を取得する地域情報取得手段と、自装置が属する地域と所定の関係を有する地域を関連地域とすると、前記所定の入力操作を受け付けた場合に、前記取得した自装置位置情報と前記記憶媒体に記憶した連絡先の連絡先位置情報とに基づいて、前記関連地域に属する連絡先を選択する選択手段と、前記選択手段により選択された連絡先に対して、通信を実行する通信手段とを備えることとしてよい。
【0015】
ここで関連地域は、例えば自装置の属する地域と同じ地域であってもよいし、あるいは、同じ地域だけでなく、隣接する地域などの近隣の地域も含んでよい。
これにより、情報処理装置は、地域情報に基づく自装置に近い機器の位置を特定し、特定された機器に対して、通信を実行できる。例えば、携帯電話機などにおいては、基地局には、地域情報が設定されており、携帯電話機は、その地域情報を取得することで、おおよその位置を特定できるので、そのような場合に対して、本構成は対応することができる。
【0016】
また、本発明は、複数の連絡先と、それぞれの連絡先に対応して当該連絡先の位置を示す連絡先位置情報とを記憶している情報処理装置において、連絡を実行する連絡先を決定し、通信を実行する連絡先選択方法であって、ユーザからの所定の入力操作を受け付ける受付ステップと、自装置の位置を示す自装置位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記所定の入力操作を受け付けた場合に、前記位置情報取得ステップにおいて取得した自装置位置情報と、前記記憶媒体に記憶されている各連絡先の連絡先位置情報とに基づいて、自装置との距離が所定の条件を満たす連絡先を選択する選択ステップと、前記選択ステップにおいて選択された連絡先に対して、通信を実行する通信ステップとを含むことを特徴としている。
【0017】
また、本発明は、複数の連絡先と、それぞれの連絡先に対応して当該連絡先の位置を示す連絡先位置情報とを記憶している情報処理装置のコンピュータに読み込ませ、連絡を実行する連絡先を決定し、通信を実行させるための処理手順を示した連絡先選択プログラムであって、前記処理手順は、ユーザからの所定の入力操作を受け付ける受付ステップと、自装置の位置を示す自装置位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記所定の入力操作を受け付けた場合に、前記位置情報取得ステップにおいて取得した自装置位置情報と、前記記憶媒体に記憶されている各連絡先の連絡先位置情報とに基づいて、自装置との距離が所定の条件を満たす連絡先を選択する選択ステップと、前記選択ステップにおいて選択された連絡先に対して、通信を実行する通信ステップとを含むことを特徴としている。
【0018】
当該方法を情報処理装置が実行、あるいはプログラムを情報処理装置に搭載のコンピュータが実行することにより、情報処理装置はユーザからの所定の操作を受け付けて、自装置に近い位置にある機器に対して通信を実行することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の情報処理装置の一実施形態である携帯電話機について図面を用いて説明する。
<実施の形態>
図1は、携帯電話機100の外観図である。図1(a)は携帯電話機100の正面図であり、図1(b)は、側面図である。図1(a)に示すように携帯電話機100は、上部筐体101と下部筐体103とがヒンジ部102を介して接続されている折畳み型の携帯電話機である。上部筐体101には、LCD141とスピーカ132とが設けられ、下部筐体103には、マイク131が設けられている。また、図1(b)に示すように、その側面に非常ボタン151が設けられている。非常ボタン151は、ユーザにより押下されることで、予め用意されているメールが送信されるトリガとなる。以下、本明細書では非常ボタン151の押下をトリガとして送信するメールを非常メールと記載する。
【0020】
図2は、本発明に係る携帯電話機100の機能構成を示した機能ブロック図である。図2に示すように携帯電話機100は、通信部110と、位置情報取得部120と、音声処理部130と、表示部140と、操作部150と、記憶部160と、制御部170とを含んで構成される。
通信部110は、アンテナ111を含んで構成され、アンテナ111から受け取った受信信号を受話音声信号及び受信データ信号に復調し、復調した受話音声信号を音声処理部130に、受信データ信号を制御部170に出力する機能を有する。また、通信部110は、音声処理部130でA/D変換された送話音声信号、及び制御部170から与えられる電子メールなどの送信データ信号を変調し、アンテナ111から出力する機能を有する。
【0021】
位置情報取得部120は、GPS(Global Positioning System)機能を有し、GPS衛星からの電波を通信部110に受信させ、取得した信号データに基づいて、携帯電話機100の位置情報を経緯度情報で算出する機能を有する。当該位置情報の算出は、自機で計算を実行してもよいし、交換機にGPS衛星から受信した電波のデータを送信して計算させ、得られた結果を受信することで位置情報を取得してもよい。
【0022】
音声処理部130は、通信部110から出力された受話音声信号をD/A変換してスピーカ132に出力する機能と、マイク131から取得した送話音声信号をA/D変換し、生成した信号を通信部110に出力する機能を有する。
表示部140は、LCD(Liquid Crystal Display)などによって実現されるディスプレイ141を含み、制御部170の指示による画像をディスプレイ141に表示する機能を有する。
【0023】
操作部150は、テンキー群、オンフックキー、オフフックキー、方向キー、決定キー、メールキーなどを含み、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作内容を制御部170に伝達する機能を有する。また、本発明においては、非常ボタン151を含み、当該ボタンがユーザにより押下されることで、非常メールが送信される。
記憶部160は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含んで構成され、小型ハードディスクや不揮発性メモリなどによって実現される。記憶部160は、携帯電話機100の動作上必要な各種データやプログラムの他、音楽データや画像データなどを記憶する機能を有する。また、本発明においては、送信先表161と、メール文表162と、操作対応表163とを記憶している。各表の内容については、後述する。
【0024】
制御部170は、携帯電話機100の各部を制御する機能を有する。また、制御部170は、距離算出部171を含んで構成される。本発明においては、制御部170は、操作部150においてユーザによる非常ボタン151の押下を受け付けた場合に、位置情報取得部120に自機の位置情報を取得させる。そして、距離算出部171が取得した位置情報と送信先表161に記憶されているアドレスに対応する位置情報までの距離を算出する。制御部170は、算出した距離が短いアドレスに対して、予め定められた定型文の非常メールに自機の位置情報を付加して通信部110に送信させる機能を有する。
【0025】
以上が、携帯電話機100の各部の機能である。
<データ>
次に、携帯電話機100で保持し、本発明において非常ボタン151が押下された場合に送信先やメール本文の内容を決定するために必要なデータについて説明する。
まず、送信先表161について図3を用いて説明する。送信先表161は、非常ボタンが押下された場合に送信するメールの送信先の候補の一覧のデータである。図3に示すように、送信先表161は、メールアドレス欄310、位置情報欄320とが対応して記憶されている。
【0026】
送信先欄310には、非常メールを送信する際に送信先の候補となるメールアドレスが記憶されている。
位置情報欄320には、各メールアドレスに対応して、そのメールアドレスにメールを送信した場合にメールを受信する機器の位置情報が記憶されている。当該位置情報は経度情報と緯度情報とを含んでいる。
【0027】
送信先アドレスと位置情報とは、予め携帯電話機100のユーザによって記憶部160に登録されている。
図3においては、例えば、メールアドレス「AAA@docono.ne.jp」に対応する位置情報は、「(135.215、34.447)」となっている。
図4は、メール本文表162は、非常メールの本文を示した一例である。
【0028】
メール本文表162には、送信メール番号欄410が設けられ、それに対応するように、メール本文欄420が設けられている。
送信メール番号欄410には、携帯電話機が管理するために付された送信メールの本文の内容例に対応付けられた番号が記憶されている。
メール本文欄420には、携帯電話機で非常ボタンが押下された場合に送信するメールの本文が記憶されている。
【0029】
例えば、送信メール番号「1」のメール本文は、「Aです。事故にあいました。私は今、(X、Y)にいます。助けに来てください。」と記憶されている。
図4で、どの送信メールを選択するかを携帯電話機100が判断するために用いるのが、図5に示した操作対応表163である。
操作対応表163は、受付操作内容欄510と、それに対応して送信メール番号欄520とが設けられている。
【0030】
受付操作内容欄510には、携帯電話機100の操作部150で受け付ける操作内容が記憶されている。
送信メール番号欄520には、各操作内容に対応して、どのような内容のメールの本文を送信するのかを決定するための送信メール番号が記憶されている。当該送信メール番号は、図4に示した、送信メール番号と対応している。
【0031】
以上が、携帯電話機100に記憶されている本発明に必須のデータである。
非常ボタンがユーザにより押下された場合に図3に示した内容のメールが送信され、各送信先で表示されることになる。なお、Aには、ユーザの名前である。また、非常メールの「私は今、(X,Y)にいます」のX及びYにはその時点で計測した経緯度情報が自動的に挿入される。
<動作>
次に、本実施の形態における携帯電話機100の動作を図6及び図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0032】
まず、携帯電話機100の操作部150で、非常ボタン151の押下を含んだ操作がユーザにより行われる(ステップS601)。すると携帯電話機100の制御部170は、操作部150で操作されてた内容に基づき、送信する非常メールの本文を決定する処理を行う(ステップS603)。当該非常メールの本文を決定する処理の詳細については後述する。
【0033】
送信する非常メールの本文を決定した後に、携帯電話機100は、位置情報取得部120に、自機の位置情報の取得を指示する。当該指示を受けて、位置情報取得部120は、GPS衛星からの電波を受信し、自機の位置情報を経緯度情報で取得する(ステップS605)。
ここで、制御部170は、位置情報取得部120で自機の位置情報を取得できたかどうかを判定する(ステップS607)。GPS衛星からの電波を受信できなかった場合などにより、位置情報を算出できないことがあるためである。
【0034】
位置情報が算出できた場合には(ステップS607のYES)、ステップ609にすすむ。位置情報が算出できなかった場合には(ステップS607のNO)、自機で取得した直近の位置情報を記憶部160から読み出して、自機の位置情報として代用する(ステップS608)。
位置情報取得部120は、取得した位置情報を制御部170に伝達する。制御部170の距離算出部171は、伝達された位置情報と、送信先表161に記憶されている各送信先の位置情報とに基づいて、各送信先までの距離を算出する(ステップS609)。算出された距離は、記憶部150に、各送信先に対応して一時的に記憶される。なお、2地点間の距離Rは、位置情報取得部120で取得した位置情報を(X1、Y1)とし、送信先の位置情報を(X2、Y2)とすると以下の[数1]により算出される。
【0035】
【数1】



【0036】
制御部170は、算出された各送信先までの距離のうち、距離が短い5つの送信先を選出する(ステップS611)。そして選出した5つの送信先のアドレスに対して、ステップS603で選択された非常メールの本文の位置情報に位置情報取得部120が取得した位置情報を入れた非常メールを送信し(ステップS613)、処理を終了する。こうして、非常メールを受信した機器を有するユーザは、当該非常メールを閲覧し、携帯電話機100のユーザの元に駆けつけ得る。
【0037】
次に、図6に示したステップS603において非常メールの本文を選択する処理の詳細を図7に示したフローチャートを用いて説明する。
携帯電話機100の制御部170は、操作部150でユーザから受け付けた操作が非常ボタンと1ボタンの略同時押しであるかどうかを検出する(ステップS701)。受け付けた操作の入力内容が、非常ボタンと1ボタンの略同時押しである場合には(ステップ701のYES)、制御部170は、操作対応表163を検索して、操作内容に対応する送信メール番号を検出する。ここでは、送信メール番号「1」が検出される。制御部170は、次に、送信メール番号「1」に対応するメール本文をメール文表162から検出する。送信メール番号「1」に対応するメール本文は、「Aです。事故にあいました。私は今、(X、Y)にいます。助けてください。」とあり、非常メールの本文には、当該文章が選択される(ステップS702)。なお、上述したように、Aにはユーザの名前が、(X、Y)には、自機の位置情報取得部120が取得した位置情報が挿入される。
【0038】
操作部150でユーザから受け付けた操作の入力内容が、非常ボタンと1ボタンの略同時押しでない場合には(ステップ701のNO)、制御部170は、操作部150でユーザから受け付けた操作が非常ボタンと2ボタンの略同時押しであるかどうかを検出する(ステップS711)。受け付けた操作の入力内容が、非常ボタンと2ボタンの略同時押しである場合には(ステップ711のYES)、制御部170は、操作対応表163を検索して、操作内容に対応する送信メール番号を検出する。ここでは、送信メール番号「2」が検出される。制御部170は、次に、送信メール番号「2」に対応するメール本文をメール文表162から検出する。送信メール番号「2」に対応するメール本文は、「Aです。具合が悪くて動けません。私は今、(X、Y)にいます。迎えに来てください。」とあり、非常メールの本文には、当該文章が選択される(ステップS712)。
【0039】
操作部150でユーザから受け付けた操作の入力内容が、非常ボタンと2ボタンの略同時押しでない場合には(ステップ711のNO)、制御部170は、操作部150でユーザから受け付けた操作が非常ボタンと2ボタンの略同時押しであるかどうかを検出する(ステップS721)。受け付けた操作の入力内容が、非常ボタンと2ボタンの略同時押しである場合には(ステップ721のYES)、制御部170は、操作対応表163を検索して、操作内容に対応する送信メール番号を検出する。ここでは、送信メール番号「3」が検出される。制御部170は、次に、送信メール番号「3」に対応するメール本文をメール文表162から検出する。送信メール番号「3」に対応するメール本文は、「Aです。災害に見舞われました。私は今、(X、Y)にいます。助けてください。」とあり、非常メールの本文には、当該文章が選択される(ステップS722)。
【0040】
操作部150でユーザから受け付けた操作の入力内容が、非常ボタンと3ボタンの略同時押しでない場合には(ステップ721のNO)、制御部170は、操作部150でユーザから受け付けた操作が非常ボタンと3ボタンの略同時押しであるかどうかを検出する(ステップS731)。受け付けた操作の入力内容が、非常ボタンと2ボタンの略同時押しである場合には(ステップ731のYES)、制御部170は、操作対応表163を検索して、操作内容に対応する送信メール番号を検出する。ここでは、送信メール番号「4」が検出される。制御部170は、次に、送信メール番号「4」に対応するメール本文をメール文表162から検出する。送信メール番号「4」に対応するメール本文は、「Aです。迷子になりました。私は今、(X、Y)にいます。迎えに来てください。」とあり、非常メールの本文には、当該文章が選択される(ステップS732)。
【0041】
操作部150でユーザから受け付けた操作の入力内容が、非常ボタンと4ボタンの略同時押しでない場合には(ステップ731のNO)、非常ボタンのみの押下であるので、制御部170は、送信メール番号「0」を選択し、メール文表162から、送信メール番号「0」に対応するメール本文、「Aです。暴漢に襲われてます。私は今、(X、Y)にいます。助けに来てください。」が選択され、本フローの処理を終了する。
【0042】
図6及び図7に示したフローチャートの処理を経ることで、本実施の形態において選択されるメールの送信先を概念的に示した図が図8である。図8では、携帯電話機100が自機を示しており、携帯電話機100から非常メールを送信できる送信先の候補として、携帯電話機801〜810が存在する。なお、この図では、非常メールの送信先は携帯電話機のみを示しているが、PC(Personal Computer)や、PDA(Personal Digital Assistants)などであってもよい。本実施の形態においては、自機に近い位置にある送信先5つが選択されるので、図8に示すように、携帯電話機803、804、806、807、808に非常メールが送信される。
【0043】
以上に示したように緊急の非常メールを送信する場合に、携帯電話機100の存在する位置から、近い位置にある機器に対して、非常メールを送信することで、なるべく早く自機の元に送信先の誰かが救助に来てくれる可能性を高めることができる。
<補足>
上記実施の形態に基づいて、本発明に係る携帯電話機について説明してきたが、本発明の実施の形態はこれに限るものではないことは言うまでもない。以下、その変形例について説明する。
(1)本発明は、上記実施の形態に示した、非常ボタン押下時のメールの送信先を選出する方法であってもよいし、携帯電話機のコンピュータに読み込ませ、当該方法を実行するための処理手順を示したプログラムであってもよい。
(2)上記実施の形態においては、メールを送信することとしたが、発呼を実行することとしてもよい。この場合、送信先表のメールアドレスの代わりに電話番号を記憶しておき、距離算出部171により算出された距離の短い電話番号に対して、順に発呼を実行する。これらの、発呼に対して、発呼先のユーザが電話に応答した場合に、当該発呼以降の発呼を中止してもよい。
(3)上記実施の形態においては、非常メールの送信先として、自機から位置の近い5つの送信先に対して送ることとしたが、これは5つでなくても、1つでも、あるいは10でもかまわない。また、一度に非常メールを送信することができる上限が例えば3つであった場合には、非常メールの送信を2回に分けて、3通、2通と順に送信してもよい。
(4)上記実施の形態においては、ただ経緯度情報を送信することとしたが、これは非常メールを受信した側のユーザにとっては位置を理解しにくいので、送信する非常メールに、携帯電話機100の周辺を示した地図を添付して送信することとしてもよい。これは、例えば、携帯電話機のナビゲーション機能として自機周辺の地図を表示するサービスがあるが、当該機能を利用して得られた地図の画像を送信することで実現できる。
【0044】
また、更に、携帯電話機100のユーザの身長、性別、年齢等のユーザプロフィールや、当該ユーザの写真も送信してもよい。これにより、非常メールの送信先が例えば警察などであった場合には、救助に来る警察官に救助を要求しているユーザを認識しやすくさせることができる。
(5)上記実施の形態においては、上記実施の形態においては、非常メールの送信先を距離の短いものから5つとしたが、この送信先の選出方法は一例である。上記実施の形態に示した以外にも、例えば、各送信先が所定の距離内(例えば5km圏内)にあるかどうかを検出し、その所定の距離内にあったものに対して送信することとしてもよい。
【0045】
この場合の非常メールの送信先を概念的に示した図が、図9である。図9に示すように、自機100から非常メールの送信先として、携帯電話機901〜912が存在する。携帯電話機100の制御部170は、各携帯電話機901〜912と自機100との間の距離を算出し、自機から5km圏内に存在する携帯電話機を検出する。図9では、携帯電話機903、904、906、907、908、909が5km圏内に存在しているので、携帯電話機903、904、906、907、908、909に携帯電話機100から非常メールが送信されることになる。なお、図中点線で示した円920は携帯電話機100からの5km圏内を示した円である。
【0046】
あるいは、送信先表161のメールアドレスに対応して、位置情報として、地域情報が記憶されていて、非常ボタンが押下された場合に、自機が登録されている基地局の地域情報を取得し、当該地域情報と一致する送信先表の地域情報に対応する送信先に対して非常メールを送信する構成としてもよい。地域情報としては、例えば、「大阪、中央区」などと記憶されていてよい。また、地域情報は、連絡先の機器が固定のものであり、固定電話の市外局番で特定されるものであってもよい。
【0047】
例えば図10に示したようなシステム配置になっていたとする。システムには基地局1011、1012、1013と携帯電話機100と、携帯電話機100から非常メールを送信する送信先の候補として携帯電話機1001〜1007が存在する。図中の点線で示した円1021、1022、1023はそれぞれ、基地局1011、1012、1013が担当する交信範囲を示している。携帯電話機1004は、基地局1011に登録され、当該基地局と交信している。携帯電話機1002と携帯電話機1003は、基地局1012に登録され、当該基地局と交信している。携帯電話機100と携帯電話機1005と携帯電話機1006とは、基地局1013に登録され当該基地局と交信している。そして、携帯電話機1001と携帯電話機1007はそれぞれ、図中には示されていない別の基地局と交信している。各携帯電話機は、それぞれ自機が登録されている基地局から、地域情報を取得しており、記憶している。ここで携帯電話機100のユーザが非常ボタンを含む操作を行ったとする。すると携帯電話機100は、非常メールの各送信先の地域情報を取得する。これは、非常ボタンが押下されたときでもよいし、予め取得しておいてもよい。そして、携帯電話機100は自機の地域情報と一致する地域情報を有する送信先を検出する。ここでは、携帯電話機1005と1006とが検出される。そして、携帯電話機100は非常メールを携帯電話機1005と1006とに送信する。
【0048】
また、図10においては、同一の地域情報を有する連絡先に対してメールを送信したが、同一の地域情報を有する連絡先だけでなく、自機の地域情報で特定される地域に隣接する地域の地域情報を有する連絡先も選択する構成にしてもよい。例えば、携帯電話機100は、自機の地域情報と隣接する地域情報を有する携帯電話機1002、1003、1004にも非常メールを送信することとしてもよい。こうすると、非常メールの送信先として検索される連絡先の数を多くする可能性があり、緊急時においてメールを送信する送信先が選ばれる確率を上げることができる。
【0049】
また、上記実施の形態においては、検出された送信先に対してのみ非常メールを送信していたが、上記実施の形態において選出した送信先は優先的に非常メールを送信する送信先の優先順位の決定であってもよい。つまり、選出した送信先に対してメールを送信した後に、送信先表161に記載されている全ての送信先に対して非常メールを送信することとしてもよい。
(6)上記実施の形態においては、非常メールの送信先の位置情報に更新については特に触れなかったが、非常メールの送信先が携帯電話機のように、携帯されて使用される機器である場合には、その位置情報を更新しておく必要がある。以下にその更新の方法を記載する。
【0050】
第1の手法としては、送信先の携帯電話機のユーザに許可をもらい、所定時間ごと、例えば、一時間ごとに送信先の携帯電話機にその位置情報の取得要求を送信し、当該取得要求を受信した携帯電話機は、自機の位置情報を取得する。そして、その位置情報を取得し、送信先表161を更新する手法である。
第2の手法としては、送信先の携帯電話機から自機に対してメールを送信する場合に、送信先の携帯電話機から、その時点での位置情報も付加して送信してもらい、携帯電話機100は、受信したメールに添付されている位置情報で、その送信先に対応する送信先表の位置情報を更新する方法である。
【0051】
第3の手法としては、非常ボタンを押下したときに、送信先の連絡先に対して位置情報を要求する手法である。
第4の手法としては、送信先のユーザから、携帯電話機100のユーザが位置情報をメールや電話などで連絡してもらい、ユーザ自身が更新する手法である。
これらの手法、あるいはその他の手段により、送信先の位置情報は更新することができる。
(7)上記実施の形態においては、本発明を折畳み型携帯電話機として説明したが、折畳み型に限定するものではなく、スライド式などであってもよい。また、携帯電話機ではなく、メールの送信機能、並びに自機の位置情報を獲得できる機器、例えば、PDAなどであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る情報処理装置は、ユーザが緊急事態に陥ったときに、自機の位置をメールで送信するときに、自装置近くの機器に対して連絡をとるので、迅速な救助を期待できる情報処理装置として活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】携帯電話機100の外観図である。
【図2】携帯電話機100の機能構成を示した機能ブロック図である。
【図3】非常メールの送信先の選出対象となる送信先の一覧である送信先表である。
【図4】非常メールの本文の一例と、送信メール番号と対応を示したメール文表である。
【図5】ユーザの入力操作と、送信するメール本文を選択するための対応する送信メール番号を示した操作対応表である。
【図6】携帯電話機100において非常ボタンが押下された場合の携帯電話機100の動作を示したフローチャートである。
【図7】入力操作に対応したメール本文を選択する際の携帯電話機100の動作を示したフローチャートである。
【図8】携帯電話機100に近い位置にある5つの連絡先に非常メールを送信することを示す図である。
【図9】携帯電話機100から所定範囲内にある連絡先に非常メールを送信することを示す図である。
【図10】携帯電話機100が属する地域コードと同じ地域コードにいる連絡先に非常メールを送信することを示す図である。
【符号の説明】
【0054】
100 携帯電話機
110 通信部
111 アンテナ
120 位置情報取得部
130 音声処理部
131 マイク
132 スピーカ
140 表示部
141 LCD
150 操作部
151 非常ボタン
160 記憶部
161 送信先表
162 メール本文表
163 操作対応表
170 制御部
171 距離算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の連絡先と、それぞれの連絡先に対応して当該連絡先の位置を示す連絡先位置情報とを記憶媒体に記憶する連絡先記憶手段と、
ユーザからの所定の入力操作を受け付ける受付手段と、
自装置の位置を示す自装置位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記所定の入力操作を受け付けた場合に、前記位置情報取得手段により取得した自装置位置情報と、前記記憶媒体に記憶されている連絡先の連絡先位置情報とに基づいて、自装置との距離が所定の条件を満たす連絡先を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された連絡先に対して、通信を実行する通信手段とを備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記所定の条件は、所定の範囲である
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記通信は、所定のメールの送信である
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶媒体には、前記所定のメールの本文として、内容が異なる複数のメール本文が記憶されており、
前記通信手段は、前記受付手段で受け付けた入力操作の内容に応じたメール本文を前記記憶媒体から取得し、取得したメール本文を前記所定のメールに含めて送信する
ことを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記通信は、発呼である
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記所定の条件は、短い順に数えて所定数である
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記通信は、発呼であり、
前記通信手段は、前記選択手段が選択した順に連絡先に対して発呼を行う
ことを特徴とする請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理装置は、更に、
前記連絡先の位置情報を取得する連絡先位置情報取得手段と、
前記連絡先位置情報取得手段により取得された位置情報を前記記憶媒体に書き込む書込手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項9】
複数の連絡先と、それぞれの連絡先に対応して当該連絡先の位置を示す連絡先位置情報とを記憶媒体に記憶する連絡先記憶手段と、
ユーザからの所定の入力操作を受け付ける受付手段と、
自装置が属する自装置地域情報を取得する地域情報取得手段と、
自装置が属する地域と所定の関係を有する地域を関連地域とすると、前記所定の入力操作を受け付けた場合に、前記取得した自装置位置情報と前記記憶媒体に記憶した連絡先の連絡先位置情報とに基づいて、前記関連地域に属する連絡先を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された連絡先に対して、通信を実行する通信手段とを備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
複数の連絡先と、それぞれの連絡先に対応して当該連絡先の位置を示す連絡先位置情報とを記憶している情報処理装置において、連絡を実行する連絡先を決定し、通信を実行する連絡先選択方法であって、
ユーザからの所定の入力操作を受け付ける受付ステップと、
自装置の位置を示す自装置位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記所定の入力操作を受け付けた場合に、前記位置情報取得ステップにおいて取得した自装置位置情報と、前記記憶媒体に記憶されている各連絡先の連絡先位置情報とに基づいて、自装置との距離が所定の条件を満たす連絡先を選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択された連絡先に対して、通信を実行する通信ステップとを含む
ことを特徴とする連絡先選択方法。
【請求項11】
複数の連絡先と、それぞれの連絡先に対応して当該連絡先の位置を示す連絡先位置情報とを記憶している情報処理装置のコンピュータに読み込ませ、連絡を実行する連絡先を決定し、通信を実行させるための処理手順を示した連絡先選択プログラムであって、
前記処理手順は、
ユーザからの所定の入力操作を受け付ける受付ステップと、
自装置の位置を示す自装置位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記所定の入力操作を受け付けた場合に、前記位置情報取得ステップにおいて取得した自装置位置情報と、前記記憶媒体に記憶されている各連絡先の連絡先位置情報とに基づいて、自装置との距離が所定の条件を満たす連絡先を選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択された連絡先に対して、通信を実行する通信ステップとを含む
ことを特徴とする連絡先選択プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−197737(P2008−197737A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29485(P2007−29485)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】