説明

情報処理装置および印刷装置

【課題】タッチパネル上での設定指示を容易に行うことができる入出力デバイスを提供する。
【解決手段】入出力デバイス10は、多面体の複数面に形成され、情報を表示する表示面であって、正面表示部12、および正面表示部12と隣り合う右側面表示部14および左側面表示部16を有し、正面表示部12、右側面表示部14および左側面表示部16において指示する場所に応じた操作指示を受け付けるタッチパネル部40と、複数のコンテンツ画像が入力される画像データ入力部20と、コンテンツ画像の属性に基づいて、コンテンツ画像に対して処理を指示するUI画像を決定するUI決定部22と、複数のコンテンツ画像の中から処理対象とするコンテンツ画像を選択するための画像選択UI画面48Bを正面表示部12に表示し、UI決定部22で決定したUI画像を右側面表示部14および左側面表示部16に表示する表示制御部30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンターや複写機、複合機等の印刷装置は、タッチパネルを備え、このタッチパネルをユーザーが操作することによって、用紙サイズや印刷濃度等様々な印刷環境を設定できるように構成されている。特に、最近では、画像印刷装置に多くの機能が実装され、ユーザーが設定する設定項目も複雑になっている。一方で、画像印刷装置の省スペース要求に応じて、画像印刷装置が小型化し、それに伴ってタッチパネルを含む設定部の省スペース化も進んでいる。
このように、設定部の省スペース化を図りつつ、ユーザーによる設定時の誤動作を回避するような画像印刷装置として、下記特許文献1に示すように、複数の設定項目をタッチパネルに切り替えて表示することで一画面に多くの印刷環境の項目を表示する画像印刷装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−96607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一画面のタッチパネルで表示項目を切り替えて使用する際に、複数の設定項目が互いに関連する場合は、都度表示項目を切り替える必要があるため、操作が煩わしく、ユーザーが設定を行うのに多くの時間と手間を要した。
そこで本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、タッチパネル上での設定指示を容易に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
本適用例にかかる情報処理装置は、多面体の複数面に形成され、情報を表示する表示面であって、第1表示面、および前記第1表示面と隣り合う第2表示面を有し、前記第1表示面および前記第2表示面において指示する場所に応じた操作指示を受け付けるタッチパネル部と、複数のコンテンツ画像が入力される入力部と、前記コンテンツ画像の属性に基づいて、前記コンテンツ画像に対して処理を指示する操作画像を決定する操作画像決定部と、複数の前記コンテンツ画像の中から処理対象とする前記コンテンツ画像を選択するための選択画像を前記第1表示面に表示し、前記操作画像決定部で決定した前記操作画像を前記第2表示面に表示する表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、複数のコンテンツ画像の中から処理対象とするコンテンツ画像を選択するための選択画像は、タッチパネル部の第1表示面に表示され、コンテンツ画像の属性に基づいて決定された操作画像は、タッチパネル部の第1表示面と隣り合う第2表示面に表示される。従って、操作画像はコンテンツ画像の属性に応じて決定され、コンテンツ画像に隣り合って表示されるため、コンテンツ画像に対する操作指示が容易にできる。
【0008】
[適用例2]
上記適用例にかかる情報処理装置において、前記コンテンツ画像の属性に紐付けされた前記操作画像を記憶する記憶部を備え、前記操作画像決定部は、前記コンテンツ画像の属性を解析し、解析した結果に基づいて前記記憶部に記憶された前記操作画像の中から選択することが好ましい。
【0009】
このような構成によれば、第1表示面に表示されるコンテンツ画像の属性に紐付けされ、記憶部に記憶された操作画像が第2表示面に表示されるため、コンテンツ画像の属性に応じて、予め記憶した操作画像を一意に表示させることができる。
【0010】
[適用例3]
上記適用例にかかる情報処理装置において、前記タッチパネル部は、前記第1表示面と隣り合う複数の前記第2表示面を有し、前記操作画像決定部は、複数の前記第2表示面のそれぞれに表示する前記操作画像を決定しても良い。
【0011】
このような構成によれば、コンテンツ画像に対する複数の操作画像をコンテンツ画像と隣り合って表示できる。
【0012】
[適用例4]
上記適用例にかかる情報処理装置において、前記操作画像は、前記第2表示面に沿って指示位置が移動する方向に応じて、前記コンテンツ画像に対する操作を指示することが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、指示位置を移動させることにより操作画像を容易に操作できる。
【0014】
[適用例5]
そして、前述の情報処理装置を印刷装置に適用することにより、印刷設定および印刷指示を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る入出力デバイスの外観を示す図。
【図2】本発明の実施形態に係る入出力デバイスの機能構成を示すブロック図。
【図3】正面表示部、左側面表示部および右側面表示部の表示例を示す図。
【図4】本発明の実施形態に係る入出力デバイスの使用例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して説明する。
【0017】
(実施形態)
図1は、情報処理装置としての入出力デバイス10の外観を示す図である。この入出力デバイス10は六面体であり、ユーザーの手のひらに載せて操作できる程度の大きさである。
入出力デバイス10の3側面には、タッチパネル部40(図2)として機能する液晶タッチパネルがそれぞれ形成されている。即ち、ユーザーと対面することを想定する中央の面は正面表示部12(第1表示面)が形成され、正面表示部12に隣り合う左側の側面には左側面表示部16(第2表示面)が形成され、正面表示部12と隣り合う右側の側面には右側面表示部14(第2表示面)が形成されている。正面表示部12にはコンテンツ画像が表示され、右側面表示部14には右UI画像が表示されている。また、図示されていないが、左側面表示部16には左UI画像が表示されている。
【0018】
この入出力デバイス10は、無線LAN(Local Area Network)のように、所定の周波数の電波を介して印刷装置であるプリンター18と通信可能に接続されている。ユーザーは、この入出力デバイス10の正面表示部12、左側面表示部16および右側面表示部14の所定位置を指等で接することで、所定位置に応じた操作をプリンター18に指示できる。例えば、ユーザーは、プリンター18で印刷するコンテンツ画像を選択し、印刷に関する設定を指示し、選択したコンテンツ画像を設定した印刷設定で印刷指示できる。
尚、本実施形態では、六面体の入出力デバイス10を想定するが、この様態に限定されるものではなく、多面体であれば何れの様態も想定できる。また、本実施形態では、入出力デバイス10はプリンター18とは別体の構成であるが、これには限定されず、プリンター18と一体の構成であっても良い。また、プリンター18と分離可能に構成されても良い。
【0019】
図2は、入出力デバイス10の機能構成を示すブロック図である。この入出力デバイス10は、画像データ入力部20、UI(User Interface)決定部22、UIデータ記憶部26、表示制御部30、タッチパネル部40および応答動作制御部46を備える。
これらの機能部は、何れも図示を略したCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の入出力デバイス10のハードウェアと、ROMやRAMに記憶されたソフトウェアとが協働することで実現している。
【0020】
画像データ入力部20は、入出力デバイス10による操作の対象となるコンテンツ画像の画像データが入力される(入力部)。コンテンツ画像は、静止画像であっても良く、動画画像であっても良い。本実施形態では、コンテンツ画像のデータは、プリンター18から送信される。画像データ入力部20に入力されたコンテンツ画像のデータは、UI決定部22および表示制御部30の正面表示制御部32に送られる。
UI決定部22は、画像データ入力部20から送られるコンテンツ画像のデータを解析し、コンテンツ画像の属性に関する情報に基づいて、UIデータ記憶部26に記憶されたUI画像(操作画像)の中から、コンテンツ画像を操作するためのUI画像を決定する(操作画像決定部)。
【0021】
本実施形態では、UIデータ記憶部26には以下のようなUI画像が予め記憶されている。これらのUI画像は、コンテンツ画像の属性に対して紐付けされている。
・印刷枚数指示UI・・・印刷枚数を指示するためのUI画像。
・ズーム指示UI・・・コンテンツ画像のズーム表示を指示するためのUI画像。
・フレーム指示UI・・・動画のコンテンツ画像に対して表示する時間軸上のフレームを指示するためのUI画像。
・優先度変更指示UI・・・表示優先度の変更を指示するためのUI画像。
・ヘルプ表示指示UI・・・ヘルプ表示を指示するためのUI画像。
・ステータス表示指示UI・・・ステータス情報の表示を指示するためのUI画像。
【0022】
例えば、コンテンツ画像が静止画像である場合、UI決定部22は、静止画像に対して紐付けされた印刷枚数指示UIとズーム指示UIを選択する。また、コンテンツ画像が動画画像である場合、UI決定部22は、動画画像に紐付けされたフレーム指示UIとズーム指示UIを選択する。UI決定部22が選択することで決定したUI画像の情報は、表示制御部30の側面表示制御部34に送られる。
表示制御部30は、正面表示制御部32と側面表示制御部34を備える。正面表示制御部32は、正面表示部12における表示を制御する。本実施形態では、正面表示制御部32は、画像データ入力部20から送られたコンテンツ画像から印刷対象を選択するためのUI画像(選択画像)を正面表示部12に表示する。
また、側面表示制御部34は、左側面表示部16および右側面表示部14における表示をそれぞれ制御する。本実施形態では、側面表示制御部34は、UI決定部22から送られるUI画像を左側面表示部16および右側面表示部14にそれぞれ表示する。
【0023】
応答動作制御部46は、ユーザーがタッチパネル部40をタッチした場合、タッチした場所に応じた応答動作を入出力デバイス10の各機能部に指示する。例えば、ユーザーがズーム指示UIのズーム指示領域を拡大方向に指示した場合、正面表示部12に表示されているコンテンツ画像の拡大表示を表示制御部30に指示する。また、ユーザーが印刷枚数指示UIの印刷実行を指示した場合、正面表示部12に表示されているコンテンツ画像の印刷をプリンター18に対して指示する。
【0024】
図3および図4は、本実施形態における入出力デバイス10の使用例を示す。この使用例では、画像データ入力部20に複数の静止画像が入力された場合を想定する。この図3に示すように、正面表示部12には静止画像を選択可能な画像選択UI画面48Bが表示される。また、UI決定部22は印刷枚数指示UIとズーム指示UIを決定し、左側面表示部16には印刷枚数指示UI画面48Aが表示され、右側面表示部14にはズーム指示UI画面48Cが表示される。
画像選択UI画面48Bには、選択されている静止画像に重畳して、前後の画像を選択するための指示ボタン(図中では2つの三角ボタンで表示。)、および選択されている静止画像を指示するための指示ボタン(図中では十時ボタンで表示。)が表示される。
【0025】
印刷枚数指示UI画面48Aには、選択されている静止画像の印刷枚数を指示するためのUI、および指示された印刷枚数の情報が表示される。また、ズーム指示UI画面48Cには、表示するズーム倍率を指示するためのUIが表示される。尚、本実施形態では、画像選択UI画面48Bは選択されている1つの静止画像を想定するが、これに限定されるものではない。即ち、選択された複数の静止画像であっても良く、この場合、タッチパネル部40がマルチタッチに対応する場合には、所望の静止画像を複数枚に渡って選択し、印刷枚数指示UI画面48Aで選択された静止画像の印刷枚数を一度に設定しても良い。
【0026】
図4は、入出力デバイス10をユーザーが使用している一例を示す。ユーザーは、左手の親指で正面表示部12に表示されている静止画像を指示し、左手の人差し指で静止画像の中の太陽を指示している。また、右手の人差し指は、右側面表示部14に表示されているズーム指示UI画面48Cのズーム指示領域を指示している。更に、ユーザーは、右手の人差し指をユーザー側(左側)から奥方向(右側)へドラッグしている。このように、UI画像は、静止画像が表示されている正面表示部12の表示面に沿って、ユーザーの手指を自身の側から遠方方向に移動することで指示できるように設計されている。
これらの操作の結果、右手の人差し指が奥方向に移動する移動量に応じて、左手の人差し指が指示する静止画像の中の太陽の近傍領域が拡大されて正面表示部12に表示される。
【0027】
尚、それぞれのUIにおいて、より詳細な設定を行うべく、親画面から子画面や孫画面に遷移する場合、一連の画面構成に関する情報を表示しても良い(パンくず機能)。また、プリンター18が印刷動作中の場合、プリンター18の動作情報を示す画面を左側面表示部16または右側面表示部14に表示しても良い。また、入出力デバイス10において画像入力待ち状態の場合には、左側面表示部16および右側面表示部14の何れかにインク残量を表示しても良い。
尚、本実施形態では、入出力デバイス10が制御する情報機器としてプリンター18を想定したが、これに限定されない。印刷機能に加えて、スキャナー機能やコピー機能を備えた複合機であっても良く、あるいは、スキャナーの単機能機器であっても良い。また、情報機器はプロジェクターであっても良く、正面表示部12、左側面表示部16および右側面表示部14の3面には機能別のメニューを表示しても良い。例えば、投影サイズ、投影位置、ピント、台形補正、輝度およびRGB調整を行う機能をこれらの表示部に設定しても良い。
【0028】
以上述べた実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
(1)左右の側面に表示されるズーム指示UI画面48Cや印刷枚数指示UI画面48Aでは、それぞれの画面上で指をユーザー側に近づけたり、遠ざけたりすることでズーム倍率や印刷枚数が増減するため、ユーザーは印刷に関する設定を直感的に行うことができる。
(2)印刷において印刷対象を決める重要な設定をユーザーの正面で行い、印刷設定のような副次的な設定を側面で行うため、ユーザーは印刷対象を決める設定に専念できる。
本発明の実施形態について、図面を参照して説明したが、具体的な構成は、この実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0029】
10…入出力デバイス、12…正面表示部、14…右側面表示部、16…左側面表示部、18…プリンター、20…画像データ入力部、22…UI決定部、26…UIデータ記憶部、30…表示制御部、32…正面表示制御部、34…側面表示制御部、40…タッチパネル部、46…応答動作制御部、48A…印刷枚数指示UI画面、48B…画像選択UI画面、48C…ズーム指示UI画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多面体の複数面に形成され、情報を表示する表示面であって、第1表示面、および前記第1表示面と隣り合う第2表示面を有し、前記第1表示面および前記第2表示面において指示する場所に応じた操作指示を受け付けるタッチパネル部と、
複数のコンテンツ画像が入力される入力部と、
前記コンテンツ画像の属性に基づいて、前記コンテンツ画像に対して処理を指示する操作画像を決定する操作画像決定部と、
複数の前記コンテンツ画像の中から処理対象とする前記コンテンツ画像を選択するための選択画像を前記第1表示面に表示し、前記操作画像決定部で決定した前記操作画像を前記第2表示面に表示する表示制御部と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記コンテンツ画像の属性に紐付けされた前記操作画像を記憶する記憶部を備え、
前記操作画像決定部は、前記コンテンツ画像の属性を解析し、解析した結果に基づいて前記記憶部に記憶された前記操作画像の中から選択することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記タッチパネル部は、前記第1表示面と隣り合う複数の前記第2表示面を有し、
前記操作画像決定部は、複数の前記第2表示面のそれぞれに表示する前記操作画像を決定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記操作画像は、前記第2表示面に沿って指示位置が移動する方向に応じて、前記コンテンツ画像に対する操作を指示することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置を備えることを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−194851(P2012−194851A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59075(P2011−59075)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】