説明

情報提供装置及び情報提供システム

【課題】乗員にとって最適な情報を提供することができる情報提供装置及び情報提供システムを提供する。
【解決手段】車両3の乗員に情報を提供する車載情報提供装置1であって、乗員の着座位置を取得する着座位置取得部11と、着座位置取得部11により着座位置が取得された乗員に対して、当該着座位置に適したガイド情報を提供するガイド情報選択部14及び装置側送信部15と、を備えることで、着座位置取得部11が乗員の着座位置を取得し、ガイド情報選択部14及び装置側送信部15が、着座位置に適したガイド情報を乗員に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置及び情報提供システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の乗員を識別して、識別した乗員それぞれに応じたサービスを行う個人サービス提供装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1記載の個人サービス提供装置は、個人情報等により乗員を識別して、当該個人宛てのメールを読む等のサービスを提供するものである。
【特許文献1】特開2007−216813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の装置にあっては、個人情報に関連付けられた情報を選別して提供するので、個人情報に関連付けられていない情報の中から乗員にとって最適な情報を選別して提供することができない。
【0004】
そこで、本発明はこのような技術課題を解決するためになされたものであって、乗員にとって最適な情報を提供することができる情報提供装置及び情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明に係る情報提供装置は、乗り物の乗員に情報を提供する情報提供装置であって、乗員の位置を取得する乗員位置取得手段と、乗員位置取得手段により位置が取得された乗員に対して、当該位置に適した情報を提供する情報提供手段と、を備えて構成される。
【0006】
本発明に係る情報提供装置によれば、乗員の位置が取得され、取得された位置に適した情報が乗員に提供される。これにより、例えば乗員に対して位置に応じた最適なガイド情報を提供することが可能となる。
【0007】
ここで、情報提供手段は、乗員の携帯端末に情報を提供することが好適である。このように構成することで、携帯端末を利用して低コスト化を図ることができるとともに、従来の個人情報に関連した情報提供サービスと連動して情報提供することが可能となる。
【0008】
また、情報提供手段は、景色情報を提供するものであってもよい。さらに、情報提供装置は、乗り物の位置を取得する乗物位置取得手段と、乗り物の進行方向を取得する進行方向取得手段と、を備え、情報提供手段は、乗物位置取得手段により取得された乗り物の位置及び進行方向取得手段により取得された進行方向に基づいて、乗員の位置に適した情報を選択して提供することが好適である。このように構成することで、乗り物の位置及び進行方向を取得できるので、位置による見え方の違い等を反映させた景色情報等を乗員に対して選択して提供することが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る情報提供システムは、乗り物の乗員の携帯端末、及び、携帯端末と通信可能に構成された情報提供装置を有する情報提供システムであって、情報提供装置は、乗員の位置を取得する乗員位置取得手段と、乗員位置取得手段により位置が取得された乗員の携帯端末に対して、当該位置に適した情報を提供する情報提供手段と、を備え、乗員の携帯端末は、情報提供装置により提供された情報を乗員に報知する報知手段と、を備えて構成される。
【0010】
本発明に係る情報提供システムによれば、情報提供装置により乗員の位置が取得され、取得された位置に適した情報が乗員の携帯端末に送信され、携帯端末により受信した情報が乗員に提供される。これにより、乗員の位置に応じて情報を選択して乗員に提供することができるので、例えば乗員にとって最適なガイド情報を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、乗員にとって最適な情報を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
本実施形態に係る情報提供装置及び情報提供システムは、例えば、観光ガイド情報等を乗員に提供する車両に好適に採用されるものである。
【0014】
最初に、本実施形態に係る情報提供装置を備える情報提供システムの概要から説明する。図1は、本実施形態に係る情報提供システムの一例を示す概要図である。図1に示すように、情報提供システム4は、配信センターサーバ20、車載情報提供装置(情報提供装置)1、携帯端末A(1)〜A(n)(n:自然数)を備えている。
【0015】
配信センターサーバ20は、車載情報提供装置1と通信可能に構成されている。例えば、配信センターサーバ20は、光ビーコン設置地点を通過する車両の車載情報提供装置1と、光ビーコンを介して通信可能に構成されている。また、配信センターサーバ20は、ガイド情報を管理する機能を有している。ガイド情報は、景観情報や店舗情報を含む情報である。そして、配信センターサーバ20は、管理しているガイド情報を車載情報提供装置1へ送信する機能を有している。
【0016】
車載情報提供装置1は、車両に搭載された情報提供装置であって、配信センターサーバ20及び車内に存在する携帯端末A(1)〜A(n)と通信可能に構成されている。携帯端末A(1)〜A(n)は、乗員が携帯する移動端末であって、例えば携帯電話が用いられる。なお、携帯端末は少なくとも1つ存在すればよい。
【0017】
ここで、車載情報提供装置1及び携帯端末A(1)〜A(n)の詳細な構成について説明する。図2は、車載情報提供装置1を備える車両3及び車両3の乗員が携帯する携帯端末の構成図である。図2に示すように、車両3は、座席センサ30、ナビゲーションシステム31、通信装置32及び車載情報提供装置1を備えている。
【0018】
座席センサ30は、乗員の着座を検知するセンサであって、例えば各シートにそれぞれ設けられており、乗員が各シートに座ったか否かを検出する機能を有している。例えば、座席センサ30は、シートに所定荷重以上の荷重が加わった場合にはオン、所定荷重以上の荷重が加わっていない場合にはオフとする着座信号を設定し、この着座信号を車載情報提供装置1に出力する機能を有している。
【0019】
ナビゲーションシステム31は、GPS(GlobalPositioning System)受信機(不図示)によって受信されたGPS衛星信号に基づき車両3の位置情報を検出する機能を有している。また、ジャイロセンサ(不図示)からの信号に応じて車両3の進行方向を検出する機能を有している。また、ナビゲーションシステム31は、検出した車両3の位置情報及び進行方向を車載情報提供装置1へ出力する機能を有している。
【0020】
通信装置32は、配信センターサーバ20と通信可能に構成されている。そして、通信装置32は、配信センターサーバ20からガイド情報を受信する機能を有している。また、通信装置32は、受信したガイド情報を車載情報提供装置1へ出力する機能を有している。通信装置32として、例えば、光ビーコンの通信機が用いられる。
【0021】
車載情報提供装置1は、ECU(Electronic Control Unit)2、装置側送信部(情報提供手段)15及び装置側受信部16を備えている。ECUは、電子制御する自動車デバイスのコンピュータであり、CPU(CentralProcessing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ、及び入出力インターフェイスなどを備えて構成されている。
【0022】
ECU2は、着座位置取得部(乗員位置取得手段)11、車両位置/進行方向取得部(乗物位置取得手段、進行方向取得手段)12、ガイド情報取得部13及びガイド情報選択部(情報提供手段)14を備えている。
【0023】
着座位置取得部11は、乗員が着座している位置を取得する機能を有している。例えば、着座位置取得部11は、装置側受信部16を介して得られた携帯端末A(n)の位置情報に基づいて、乗員の着座位置を取得する機能を有している。例えば、位置情報として、携帯端末A(n)が有するGPS機能により取得された位置情報が用いられる。あるいは、例えば、車載情報提供装置1及び携帯端末A(n)がBluetooth(登録商標)等の無線通信機能を有し、両者の無線通信により得られた位置情報を用いてもよい。また、着座位置取得部11は、携帯端末A(n)から取得した情報に加えて、座席センサ30が出力した着座信号を用いて、着座している乗員の位置をより正確に導出する機能を有していても良い。着座位置取得部11は、取得した着座位置情報をガイド情報選択部14へ出力する機能を有している。
【0024】
車両位置/進行方向取得部12は、車両3の位置情報及び進行方向を取得する機能を有している。例えば、車両位置/進行方向取得部12は、ナビゲーションシステム31から車両3の位置情報及び進行方向を取得する機能を有している。また、車両位置/進行方向取得部12は、取得した車両3の位置情報及び進行方向を、ガイド情報選択部14へ出力する機能を有している。
【0025】
ガイド情報取得部13は、ガイド情報を取得する機能を有している。例えば、ガイド情報取得部13は、通信装置32からガイド情報を入力する機能を有している。また、ガイド情報取得部13は、入力したガイド情報をガイド情報選択部14へ出力する機能を有している。
【0026】
ガイド情報選択部14は、ガイド情報取得部13が出力したガイド情報のうち、乗員に提供するガイド情報を選択する機能を有している。例えば、ガイド情報選択部14は、着座位置取得部11が出力した乗員の着座位置、及び車両位置/進行方向取得部12が出力した車両3の位置及び進行方向に基づいて、乗員の着座位置に適した情報を選択する機能を有している。また、ガイド情報選択部14は、選択したガイド情報を装置側送信部15へ出力する機能を有している。
【0027】
装置側送信部15は、ガイド情報選択部14が選択したガイド情報を、位置検出されている携帯端末A(n)に出力する機能を有している。
【0028】
装置側受信部16は、携帯端末A(n)と通信することで携帯端末A(n)を検出する機能を有している。また、装置側受信部16は、携帯端末A(n)から位置情報を受信する機能を有している。また、装置側受信部16は、受信した位置情報を着座位置取得部11へ出力する機能を有している。
【0029】
また、携帯端末A(n)は、CPU、ROMやRAM等のメモリ、及び入出力インターフェイスなどを備えて構成されており、端末側送信部40、端末側受信部41、出力判定部42及び表示部(報知手段)43を備えている。
【0030】
端末側送信部40は、装置側受信部16と通信して携帯端末A(n)の位置情報を送信する機能を有している。携帯端末A(n)の位置情報は、例えば上述の通り、GPS機能により取得された位置情報や、無線通信による位置情報が用いられる。
【0031】
端末側受信部41は、装置側送信部15と通信してガイド情報を受信する機能を有している。また、端末側受信部41は、受信したガイド情報を出力判定部42へ出力する機能を有している。
【0032】
出力判定部42は、乗員に提供するガイド情報を表示部43に出力させる機能を有している。また、出力判定部42は、表示部43に出力させたガイド情報を携帯端末A(n)が有するメモリに記録する機能を有している。また、出力判定部42は、端末側受信部41が出力したガイド情報、及び携帯端末A(n)に記録されたガイド情報に基づいて、端末側受信部41が出力したガイド情報を表示部43に出力するか否かを判定する機能を有している。
【0033】
表示部43は、出力判定部42によりガイド情報を表示し、乗員に報知する機能を有している。表示部43として、例えばディスプレイが用いられる。
【0034】
次に、本実施形態に係る情報提供システム4の各構成の動作について説明する。最初に、配信センターサーバ20の動作を説明する。図3は、配信センターサーバ20の動作を示すフローチャートである。図3に示す制御処理は、所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0035】
図3に示すように、配信センターサーバ20は、車両3がガイドポイントを通過するか否かを判定する処理から開始する(S10)。ガイドポイントとは、例えば観光名所等、何らかの案内ができる地点である。配信センターサーバ20は、例えば、ガイドポイント付近の光ビーコン設置地点を車両3が通過しているか否かを判定する。例えば、近赤外線による路車間通信をすることで、車両3が通過していることを判定できる。そして、路車間通信により得られた車両進行方向に基づいて、ガイドポイントを通過するか否かを判定する。車両3がガイドポイントを通過すると判定した場合には、ガイド情報配信処理へ移行する(S12)。
【0036】
S12の処理は、配信センターサーバ20が実行し、車両3にガイド情報を配信する処理である。配信センターサーバ20は、車両3が通過する予定のガイド情報を車両3に送信する。S12の処理が終了すると、図3に示す制御処理を終了する。
【0037】
一方、S10の処理において、車両3がガイドポイントを通過しないと判定した場合には、図3に示す制御処理を終了する。
【0038】
以上で図3に示す制御処理を終了する。図3に示す制御処理を実行することにより、車両3の通過予定のガイドポイントに関するガイド情報が、配信センターサーバ20から車両3へ送信される。
【0039】
次に、車載情報提供装置1の動作について説明する。図4は、車載情報提供装置1の動作を示すフローチャートである。図4に示す制御処理は、例えば車載情報提供装置1の電源がオンされてから所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0040】
図4に示すように、車載情報提供装置1は、ガイド情報受信確認から開始する(S20)。車載情報提供装置1は、通信装置32を介して光ビーコンからガイド情報を受信したか否かを判定する。S20の処理において、ガイド情報を受信したと判定した場合には、各携帯端末検出処理へ移行する(S22)。
【0041】
S22の処理は、装置側受信部16が実行し、車両3内にある携帯端末A(n)を検出する処理である。例えば、装置側受信部16は、無線通信により携帯端末A(n)を検出する。車両3内に複数台の携帯端末A(n)があった場合も同様である。S22の処理が終了すると、各携帯端末位置取得処理へ移行する(S24)。
【0042】
S24の処理は、装置側受信部16及び着座位置取得部11が実行し、車両3内にある携帯端末A(n)の位置を取得する処理である。例えば、装置側受信部16と端末側送信部40との無線通信により、携帯端末A(n)の位置を検出する。そして、着座位置取得部11は、装置側受信部16から携帯端末A(n)の位置を入力するとともに、座席センサ30からの着座信号に基づいて、入力した携帯端末A(n)の位置と乗員が着座している座席とを対応付けて、正確な着座位置を取得する。車両3内に複数台の携帯端末A(n)があった場合には、それぞれの携帯端末A(n)について、同様の処理を行う。S24の処理が終了すると、判定対象の端末選択処理へ移行する(S26)。
【0043】
S26の処理は、ガイド情報選択部14が実行し、携帯端末A(n)の中から後述する処理の対象となる端末を選択する処理である。処理対象の携帯端末A(m)(m:自然数、m≦n)を選択すると、ガイド情報判定処理へ移行する(S28)。
【0044】
S28の処理は、ガイド情報選択部14が実行し、ガイド情報取得部13が取得したガイド情報が、携帯端末A(m)を携帯する乗員の着座位置に適した情報であるか否かを判定する処理である。例えば、ガイド情報選択部14は、車両位置/進行方向取得部12が出力した車両3の位置情報及び進行方向に基づいて、進行方向の左右のどちら側にガイドポイントが出現するのかを判定する。ここで、ガイド情報G1により案内されるガイドポイントP1は、進行方向右側に出現するものとする。次に、ガイド情報選択部14は、携帯端末A(m)を携帯する乗員の着座位置が車両の右側か左側かを判定する。ガイド情報選択部14は、携帯端末A(m)を携帯する乗員の着座位置が右側である場合には、右側の車窓からガイドポイントP1を確認することができるので、ガイド情報G1は当該乗員の着座位置に適していると判定する。この場合、ガイド情報配信処理へ移行する(S30)。
【0045】
S30の処理は、装置側送信部15が実行し、ガイド情報を携帯端末A(m)へ配信する処理である。S30の処理が終了すると、全携帯端末実行確認処理へ移行する(S32)。
【0046】
S32の処理は、ガイド情報選択部14が実行し、全ての携帯端末A(n)についてS26〜S28の処理を実行したか否かを判定する。全ての携帯端末A(n)についてS26〜S28の処理を実行していないと判定した場合には、判定対象の端末選択処理へ再度移行する(S26)。S26の処理では、未だ処理対象として選択されていない携帯端末A(m)が選択される。全ての携帯端末A(n)について、S26〜S28の処理を実行したと判定した場合には、図4に示す制御処理を終了する。
【0047】
一方、S20の処理において、ガイド情報を受信していないと判定した場合には、携帯端末A(n)に配信するガイド情報が存在しないため、図4に示す制御処理を終了する。
【0048】
一方、S28の処理において、ガイド情報取得部13が取得したガイド情報が、携帯端末A(m)を携帯する乗員の着座位置に適した情報でないと判定した場合には、ガイド情報の配信処理を実行せずに、全携帯端末実行確認処理へ移行する(S32)。例えば、ガイド情報G1が案内するガイドポイントP1は進行方向右側に出現するとした場合において、携帯端末A(m)を携帯する乗員の着座位置が左側である場合である。
【0049】
以上で図4に示す制御処理を終了する。図4に示す制御処理を実行することで、車両3内の各座席に座る乗員の携帯端末A(n)それぞれに対して、それぞれの座席位置に適したガイド情報が配信される。
【0050】
次に、携帯端末A(n)の動作について説明する。図5は、携帯端末A(n)の動作を示すフローチャートである。図5に示す制御処理は、例えば車載情報提供装置1の電源がオンされてから所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0051】
図5に示すように、携帯端末A(n)は、ガイド情報受信判定処理から開始する(S40)。S40の処理は、端末側受信部41が実行し、装置側送信部15からガイド情報を取得したか否かを判定する処理である。端末側受信部41がガイド情報を受信したと判定した場合には、出力判定処理へ移行する(S42)。
【0052】
S42の処理は、出力判定部42が実行し、ガイド情報を乗員に報知するか否かを判定する処理である。出力判定部42は、S40の処理で受信したガイド情報が、前回以前に表示したガイド情報であるか否かを、過去のガイド情報が記録された車載情報提供装置1に備わるメモリを参照して判定する。S42の処理において、過去に表示したガイド情報でないと判定した場合には、ガイド情報出力処理へ移行する(S44)。
【0053】
S44の処理は、表示部43が実行し、ガイド情報をディスプレイ等に表示して乗員に報知する処理である。S44の処理が終了すると、図5に示す制御処理を終了する。
【0054】
一方、S40の処理において、端末側受信部41がガイド情報を受信していないと判定した場合には、報知するガイド情報が存在しないので、図5に示す制御処理を終了する。
【0055】
一方、S42の処理において、過去に表示したガイド情報であると判定した場合には、乗員のわずらわしさを回避するとともに、処理効率化を図るべく、S44のガイド情報出力処理は実行せずに、図5に示す制御処理を終了する。
【0056】
以上で図5に示す制御処理を終了する。図5に示す制御処理を実行することにより、着座位置に適したガイド情報が乗員に報知される。
【0057】
次に、本実施形態に係る情報提供システム4の作用効果を説明する。図6は、情報提供システム4の作用効果を説明するための概要図である。ここでは、車両3の車内には、乗員が助手席に一名、後席に二名着座しており、助手席の乗員が携帯電話A(1)、後席左側の乗員が携帯電話A(2)、後席右側の乗員が携帯電話A(3)をそれぞれ携帯しているものとする。また、車両3の進行方向には、ガイドポイントP2である富士山、ガイドポイントP3である山中湖があるものとし、富士山のガイド情報をG2、山中湖のガイド情報をG3とする。
【0058】
この場合、ガイドポイントP2、P3付近の光ビーコン設置地点を車両3が通過すると、富士山及び山中湖のガイド情報G2、G3が配信センターサーバ20から車載情報提供装置1へ送信される。車両3の車内では、車載情報提供装置1及び各携帯電話A(1)〜A(3)がそれぞれ無線通信して、助手席に一名、後部座席に二名の乗員が着座しているという位置情報が検出される。そして、車両3の位置及び進行方向に基づいて、ガイドポイントP2である富士山が進行方向左側、ガイドポイントP3である山中湖が進行方向右側に出現することが判定される。そして、車両左側に位置する助手席の乗員の携帯電話A(1)、及び後席左側の乗員の携帯電話A(2)に対して、ガイド情報G2が配信され、及び後席右側の乗員の携帯電話A(3)に対して、ガイド情報G3が配信される。これにより、車両左側に位置する助手席の乗員の携帯電話A(1)、及び後席左側の乗員の携帯電話A(2)には、例えば、「左前方に富士山が見えます」と表示され、後席右側の乗員の携帯電話A(3)には、例えば、「右前方に山中湖が見えます」と表示される。このように、車窓から見える風景に対する案内を、乗員それぞれに提供することができる。
【0059】
以上、本実施形態に係る車載情報提供装置1及び情報提供システム4によれば、乗員の着座位置が取得され、取得された着座位置に適した情報が乗員に提供される。これにより、例えば乗員に対して着座位置に応じた最適なガイド情報を提供することが可能となる。
【0060】
また、本実施形態に係る車載情報提供装置1及び情報提供システム4によれば、携帯端末A(n)という既存インフラを利用することで、低コスト化を図ることができる。さらに、携帯端末A(n)に存在する個人情報に基づいて個人情報に関連した情報を提供する従来のサービスを併用することが可能となる。
【0061】
また、本実施形態に係る車載情報提供装置1及び情報提供システム4によれば、車両の位置及び進行方向を取得できるので、車両右側の座席から見える風景、車両左側の座席から見える風景の違いを反映させて、乗員に対して適切な景色情報を提供することが可能となる。
【0062】
さらに、本実施形態に係る車載情報提供装置1及び情報提供システム4によれば、無線通信等で自動的に位置情報を特定するため、携帯端末A(n)から乗員が設定をするわずらわしさを回避することができるとともに、携帯端末A(n)を新たな端末に機種変更した場合や、車内で交換した場合であっても、乗員に対して適切な景色情報を提供することができる。
【0063】
なお、上述した実施形態は本発明に係る車載情報提供装置及び情報提供システムの一例を示すものである。本発明に係る車載情報提供装置及び情報提供システムは、実施形態に係る車載情報提供装置1及び情報提供システム4に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、実施形態に係る車載情報提供装置1及び情報提供システム4を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0064】
例えば、上述した実施形態では、配信センターサーバ20との路車間通信によりガイド情報を取得する例を説明したが、ガイド情報は、車車間通信により得られたものであってもよいし、車載情報提供装置1が有するガイド情報を用いてもよい。この場合、情報提供システム4は、配信センターサーバ20を備えなくてもよい。
【0065】
また、上述した実施形態では、携帯端末A(n)が出力判定部42を備え、過去に報知したガイド情報を乗員に再度報知しないように構成されているが、出力判定部42の機能を車載情報提供装置1側、あるいは配信センターサーバ20側に設けてもよい。このように構成することで、通信負荷の軽減を図ることができる。
【0066】
また、上述した実施形態では、ガイド情報選択部14が、車両の左側、右側の座席位置を判定する例を説明したが、車両前後を判定してもよい。また、2階建てバス等に採用する場合には、上下方向、すなわち着座位置が1階又は2階の何れかであるかを判定してもよい。着座位置を詳細に分類することにより、より適切なガイド情報を乗員それぞれに配信することが可能となる。
【0067】
また、上述した実施形態では、図4の制御処理において、携帯端末A(m)のガイド情報を選択して配信する動作を繰り返しているが、まずは、携帯端末A(m)のガイド情報を繰り返し選択した後に、携帯端末A(n)に対してガイド情報を配信してもよい。すなわち、S30の処理をS32の処理の直後に移動させてもよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、表示部43にガイド情報を表示して乗員に報知する例を説明したが、携帯端末A(n)が備えるスピーカにより、音声でガイド情報を乗員に報知してもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、乗員の着座位置に基づいてガイド情報を選択する例を説明したが、着座位置に限られることはなく、立った状態の乗員の位置に基づいて、当該位置に適した情報を、乗員に提供してもよい。
【0070】
さらに、上述した実施形態では、図6において車両3の乗員数(運転者を除く)が3名である場合を説明したが、これに限られるものではなく、何名であってもよい。また、本発明に係る車載情報提供装置及び情報提供システムは、バス、列車、モノレール、船、飛行機等の乗り物(移動体)に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施形態に係る情報提供システムの概要図である。
【図2】実施形態に係る情報提供装置及び携帯端末の構成概要図である。
【図3】実施形態に係る情報提供システムの配信センターサーバの動作を示すフローチャートである。
【図4】実施形態に係る情報提供装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施形態に係る情報提供システムの携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施形態に係る情報提供システムの作用効果を説明する概要図である。
【符号の説明】
【0072】
1…車載情報提供装置(情報提供装置)、2…ECU、3…車両、4…情報提供システム、11…着座位置取得部(乗員位置取得手段)、12…車両位置/進行方向取得部(乗物位置取得手段、進行方向取得手段)、14…ガイド情報選択部(情報提供手段)、15…装置側送信部(情報提供手段)、43…表示部(報知手段)、A(n)…携帯端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物の乗員に情報を提供する情報提供装置であって、
前記乗員の位置を取得する乗員位置取得手段と、
前記乗員位置取得手段により前記位置が取得された前記乗員に対して、当該位置に適した情報を提供する情報提供手段と、
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記情報提供手段は、前記乗員の携帯端末に情報を提供する請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記情報提供手段は、景色情報を提供する請求項1又は2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記乗り物の位置を取得する乗物位置取得手段と、
前記乗り物の進行方向を取得する進行方向取得手段と、
を備え、
前記情報提供手段は、乗物位置取得手段により取得された前記乗り物の前記位置及び前記進行方向取得手段により取得された前記進行方向に基づいて、前記乗員の前記位置に適した情報を選択して提供する請求項1〜3の何れか一項に記載の情報提供装置。
【請求項5】
乗り物の乗員の携帯端末、及び、前記携帯端末と通信可能に構成された情報提供装置を有する情報提供システムであって、
前記情報提供装置は、
前記乗員の位置を取得する乗員位置取得手段と、
前記乗員位置取得手段により前記位置が取得された前記乗員の前記携帯端末に対して、当該位置に適した情報を提供する情報提供手段と、
を備え、
前記乗員の前記携帯端末は、前記情報提供装置により提供された情報を前記乗員に報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−147567(P2010−147567A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319765(P2008−319765)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】