説明

情報端末機器

【課題】情報端末機器と無線通信装置との距離が離れた場合に、送受信する電波の受信レベルがある閾値よりも大きいか小さいかを判断して機能制限を行うのみでは、使用者によって有益で、かつ肌理の細かい制御が実施できない。
【解決手段】ステップS504において、判定値が所定値(閾値42)以下であれば、情報端末機器100の動作をスリープモード(ステップS505)にし、ステップS504において、判定値が所定値(閾値42)よりも高ければ、情報端末機器100の表示部101に、「使用者は遠ざかっています」など情報端末機器100から遠ざかっている旨の表示をした後で、報端末機器100の動作をスリープモードにする(ステップS506)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末機器と無線通信装置からなる無線機器システムに関するものであって、情報端末機器と前記情報端末機器の動作を制限することができる無線通信装置のお互いの距離が離れると、電波が届かなくなり、この電波が届かなくなることで前記情報端末機器の動作をロックしていた。
【0002】
これによれば、情報端末機器から無線通信装置を持って離れると、情報端末機器の動作をロックしてしまうなどの制限をかけ、第三者がその情報端末機器を使用することを制限させることができた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−102682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の構成では、情報端末機器と前記情報端末機器の動作を制限することができる無線通信装置のお互いの距離が離れた場合に、相手側の機器から送信された電波の強度がある閾値よりも大きいか小さいかを判断していたので、使用者によって有益で、かつ肌理の細かい制御が実施できていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、前記従来の課題を解決するために、本発明の情報端末機器は、無線通信装置から送信される無線電波を受信する無線通信手段と、前記無線通信手段により受信した無線電波の受信レベルを測定する受信レベル測定手段と、前記受信レベル測定手段で測定した受信レベルに応じて機能制限を行う機能制限手段と、前記受信レベル測定手段で測定した受信レベルが連続的に弱くなっていく場合と、前記受信レベル測定手段で測定した受信レベルが連続的に強くなっていく場合とで異なる制御を行う制御手段とを備えたものである。
【0005】
これによれば、情報端末機器の使用者が情報端末機器から離れると、これに連動してたとえば、画面がロックされるので、悪意の第三者が情報端末機器を不正に操作されるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の情報端末機器は、無線通信装置との距離に応じて様々な制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1の発明は、情報端末機器に関するもので、無線通信装置から送信される無線電波を受信する無線通信手段と、前記無線通信手段により受信した無線電波の受信レベルを測定する受信レベル測定手段と、前記受信レベル測定手段で測定した受信レベルに応じて機能制限を行う機能制限手段と、前記受信レベル測定手段で測定した受信レベルが連続的に弱くなっていく場合と、前記受信レベル測定手段で測定した受信レベルが連続的に強くなっていく場合とで異なる制御を行う制御手段とを備えたものである。
【0008】
これによれば、無線通信装置との距離に応じて様々な制御を行うことができる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明において、受信レベル測定手段で測定した受信レベルが所定値以下であって、無線通信装置の所持者以外の第三者が操作部に触れた場合に、前
記無線通信装置に前記第三者が近づいたことを報知するものである。
【0010】
これによれば、無線通信装置の所持者は第三者が近づいたことをすぐに知ることができる。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明において、受信レベル測定手段で測定した受信レベルが所定値以下であって、携帯電話が近づいたことを検知できたとき、予め設定された人物が所持する携帯電話に自動的に通報するものである。
【0012】
これによれば、携帯電話を前記情報端末機器に近づけた場合、情報端末機器より携帯電話の制御信号を送信することで、自動的に前記携帯電話から、情報端末機器の所有者あるいは、情報端末機器に設定された人に自動的に送信することができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における無線機器システムの図を示すものである。無線機器システムは、情報端末機器100と無線通信装置200とから構成されている。情報端末機器100は例えばパーソナルコンピューター(パソコン)などであって、ディスプレイに相当する表示部101と情報端末機器を操作あるいはデータを入力する操作入力部102と、通信モジュール105を備えており、無線通信装置200と無線通信を行うことができる。
【0015】
さらに、通信モジュール105は、受信部106と、その受信信号の電力レベルを判定する受信レベル判定部107を備えており、アンテナ108から受信できた受信信号は、一旦受信部106で復号化などの様々な処理を経て、受信レベル判定部107で受信信号の電力レベルを判断し、その結果を制御部109に伝える。そして、制御部109は、受信レベル判定部107で受信した受信信号の電力レベルを受信信号電力レベル保持部111へ送り、ここでその受信信号レベルを保持する。また、送信部110は制御部109から無線通信装置200に対して信号を発することもでき、アンテナ108を介して送信される。さらに、受信信号電力レベル判定閾値を記憶する受信信号レベル判定閾値記憶部112をもっている。
【0016】
次に、無線通信装置200について説明すると、無線通信装置200は制御部201、送信部202、アンテナ203を介して信号を送信、または受信しており、情報端末機器100と無線通信を行っている。勿論、アンテナ203から受信した信号は受信部204から受信できる。
【0017】
また、受信部204は受信レベル判定部206を持っており、受信信号の電力レベルを判断し、その結果を制御部201に伝える。そして、制御部201は、受信レベル判定部206で受信した受信信号の電力レベルを受信信号電力レベル保持部207へ送りここでその受信信号電力レベルを保持する。
【0018】
さらに、受信信号電力レベル判定閾値を記憶している受信信号レベル判定閾値記憶部208をもっている。情報端末機器100から警報発信要求信号を受信したときは、警報部205から警報(サイレン、ブザー、振動など)を鳴らすことも可能である。
【0019】
なお、無線通信装置200は小型のカード形状であったり、持ち運び容易なキーホルダー形状であり、無線通信装置200は随時身につけて行動している。
【0020】
以上のような無線機器システムにおいて、情報端末機器100の動作を制御する内容を説明する。情報端末機器100は一定時間間隔おきに制御部109、送信部110、アンテナ108を介して信号を送信しており、無線通信装置200と無線通信を行っている。そして、無線通信装置200からの信号をアンテナ108を介して受信部106で受信すると、その信号の電力レベルを受信レベル判定部107で判定する。
【0021】
ここで、受信信号の受信レベルと情報端末機器100及び無線通信装置200間の距離については、図2に示すような関係がある。すなわち、受信レベルは情報端末機器100及び無線通信装置200間の距離に反して減衰しており、例えば情報端末機器100及び無線通信装置200間の距離が約12mのときは受信レベルが3を示すようになっている(閾値22)。また、情報端末機器100及び無線通信装置200間の距離が約6mのときは受信レベルが6を示すようになっている(閾値21)。
【0022】
次に、制御部109の処理手順を図3と共に説明する。受信レベル判定部107からの判定値を受け取った制御部109は、まずその判定値が所定値(閾値22)以下であるか否かを判定する(ステップS301)。ここで、受信信号電力レベル判定閾値を記憶している受信信号レベル判定閾値記憶部208で記憶している所定値(閾値22)を読み出し、この判定値が記憶している所定値(閾値22)以下であれば、情報端末機器100と無線通信装置200間の距離(情報端末機器100と使用者の距離)が充分離れていることとなるので、情報端末機器100(たとえばパーソナルコンピューター)の電源をOFFにする(ステップS302)。
【0023】
次に、ステップS301において判定値が所定値(閾値22)よりも高ければ、受信レベル判定部107からの判定値が所定値(閾値22)以下であるか否かを判定する(ステップS303)。そして、ステップS303において判定値が所定値(閾値21)よりも低ければ、情報端末機器100の操作ができないようにロックを施す(ステップS304)。なお、ステップS304においては、部分的に機能制限を行ってもよい。
【0024】
また、ステップS303において判定値が所定値(閾値21)よりも高ければ処理を終了し、ステップS301からステップS304の処理は、随時繰り返し行われる。
【0025】
以上のように、本実施の形態によれば、無線通信装置200を所持している使用者が情報端末機器100から離れ、その距離が少し離れているか、大きく離れているかによって、情報端末機器100の動作状態を変化させることにより、第三者が情報端末機器100の動作を不正に実施されることを防ぎ、かつ不要な動作状態をさせないことによりエネルギーの消費を削減することができる。
【0026】
(実施の形態2)
第1の実施の形態では、情報端末機器100と無線通信装置200間の距離(情報端末機器100と無線通信装置を所持している使用者の距離)に応じて、情報端末機器の動作ロック、電源OFFを行っていたが、第2の実施の形態によれば、さらに使用者によって有益で、かつ肌理の細かい制御が可能となる。
【0027】
そこで、受信信号の受信レベルと情報端末機器100及び無線通信装置200間の距離については、図4に示すような関係を定める。すなわち、情報端末機器100及び無線通信装置200間の距離が約6mのときの受信レベル6(閾値41)、約8mのときの受信レベル5(閾値42)、約12mのときは受信レベル3(閾値43)とする。
【0028】
次に、制御部109の処理手順を図5と共に説明する。受信レベル判定部107からの
判定値を受け取った制御部109は、まずその判定値が所定値(閾値43)以下であるか否かを判定する(ステップS501)。判定値が記憶している所定値(閾値43)以下であれば、情報端末機器100と無線通信装置200間の距離(情報端末機器100と使用者の距離)が充分離れていることとなるので、情報端末機器100の電源をOFFにする(ステップS502)。
【0029】
次に、ステップS501において判定値が所定値(閾値43)よりも高ければ、受信レベル判定部107からの判定値が所定値(閾値42)以下であるか否かを判定する(ステップS503)。そして、ステップS503において判定値が所定値(閾値42)よりも低ければ、直前での受信レベル判定部107からの判定値が所定値(閾値42)以下であるか否かを判定する(ステップS504)。ここでの直前とは、例えば数秒といった時間単位を想定しているが、閾値42から閾値43へ変化する使用者の移動速度に応じて適宜設定できるものである。
【0030】
そして、ステップS504において、判定値が所定値(閾値42)以下であれば、情報端末機器100の動作をスリープモードにさせる(ステップS505)。一方で、ステップS504において、判定値が所定値(閾値42)よりも高ければ、情報端末機器100の表示部101に、「使用者は遠ざかっています」など情報端末機器100から遠ざかっている旨の表示をした後で、報端末機器100の動作をスリープモードにする(ステップS506)。
【0031】
また、ステップS503において判定値が所定値(閾値42)よりも高ければ、受信レベル判定部107からの判定値が所定値(閾値41)以下であるか否かを判定する(ステップS507)。ステップS507において、判定値が所定値(閾値41)以下であれば、情報端末機器100の操作ができないようにロックを施す(ステップS508)。なお、ステップS508においては、部分的に機能制限を行ってもよい。また、ステップS507において判定値が所定値(閾値41)よりも高ければ処理を終了し、ステップS501からステップS508の処理は、随時繰り返し行われる。
【0032】
以上のように、本実施の形態によれば、受信レベル判定閾値の判定値を2つ以上持つ場合にさらに詳細な情報端末機器100の制御をすることが出来、特に、ステップS504に見られる処理を行うことにより、受信レベルの変化が連続して小さくなっている場合には無線通信装置200の所持者が情報端末機器100から遠ざかっていると判断できるので、無線通信装置200の所持者が遠ざかっている旨の表示(動的な状態を示す表示)をすることができる。また、受信レベルの変化が連続して大きくなっている場合には、無線通信装置200の所持者が情報端末機器100から近づいていると判断し、無線通信装置200の所持者が近づいている旨の表示(動的な状態を示す表示で、たとえば「ただいま近づいています」等の表示)をすることもできる。
【0033】
なお、受信レベルの変化が連続して小さくなっている場合で、無線通信装置200の所持者が情報端末機器100から遠ざかっていると判断できたときには、上記以外の処理を施すこともでき、例えば情報端末機器100が携帯型のパーソナルコンピューターであれば、遠ざかる距離に連動して開閉蓋を閉じていくように制御してもよい。逆に、受信レベルの変化が連続して大きくなっている場合で、無線通信装置200の所持者が情報端末機器100から近づいていると判断できたときには、近づく距離に連動して開閉蓋を開いていくように制御してもよい。
【0034】
また、情報端末機器100においては動作ロック、電源OFF以外の制御も可能である。例えば、情報端末機器100と無線通信装置200間の距離が離れている場合に、無線通信装置200を所持している人をたずねてきた第三者が、情報端末機器100の操作入
力部102に触れた場合に、情報端末機器100から無線通信装置200に送信信号を送り、無線通信装置200の警報部205に警報を通知することができる無線機器システムを提供することができる。もちろん、警報部205は液晶表示であってもよし、ブザーあるいはバイブレータでもかまわない。
【0035】
また、情報端末機器100と無線通信装置200間の距離が離れている場合に、無線通信装置200を所持している人をたずねてきた第三者が、情報端末機器100の近くに携帯電話を近づけた場合に、情報端末機器100から携帯電話の無線部(情報端末機器100と通信可能な無線方式であるもの)に送信信号を送り、この信号を復調されて制御部に入力され、携帯電話無線部より、無線通信装置200を所持者の携帯電話に電話をかけてもよい。
【0036】
以上のように、本発明にかかる無線機器システムは、情報端末機器100から無線通信装置200が離れた場合(無線通信装置200を所持している人が離れた場合)情報端末機器100をロックさせることができ、さらに距離が離れた場合、情報端末機器100をスリープ状態にしたり、さらに離れた場合には、情報端末機器100の電源OFFさせることができる。また、情報端末機器100から無線通信装置200が離れた場合(無線通信装置200を所持している人が離れた場合)、情報端末機器100の入力操作部102に第三者が触れた場合、情報端末機器100から無線通信装置へ(無線通信装置を所持している人へ)警報を出す(報知する)ことができたり、自動的に第三者の携帯電話から無線通信装置を所持している人の携帯電話へ電話をかけることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明にかかる情報端末機器は、無線通信装置との距離に応じて様々な制御を行うことができ、情報端末機器としてはパーソナルコンピューターに限らずその他の情報端末に対して適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1の実施の形態の無線機器システムの構成図
【図2】第1の実施の形態の受信レベルと距離の関係図
【図3】第1の実施の形態の処理フロー図
【図4】第2の実施の形態の受信レベルと距離の関係図
【図5】第2の実施の形態の処理フロー図
【符号の説明】
【0039】
100 情報端末機器
101 表示部
102 操作入力部
105 通信モジュール
106 受信部
107 受信レベル判定部
108 アンテナ
109 制御部
110 送信部
111 受信信号電力レベル保持部
112 受信レベル判定値記憶部
200 無線通信装置
201 制御部
202 送信部
203 アンテナ
204 受信部
205 警報部
206 受信レベル判定部
207 受信信号電力レベル保持部
208 受信レベル判定値記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信装置から送信される無線電波を受信する無線通信手段と、
前記無線通信手段により受信した無線電波の受信レベルを測定する受信レベル測定手段と、
前記受信レベル測定手段で測定した受信レベルに応じて機能制限を行う機能制限手段と、前記受信レベル測定手段で測定した受信レベルが連続的に弱くなっていく場合と、前記受信レベル測定手段で測定した受信レベルが連続的に強くなっていく場合とで異なる制御を行う制御手段とを備えた情報端末機器。
【請求項2】
受信レベル測定手段で測定した受信レベルが所定値以下であって、無線通信装置の所持者以外の第三者が操作部に触れた場合に、前記無線通信装置に前記第三者が近づいたことを報知する請求項1記載の情報端末機器。
【請求項3】
受信レベル測定手段で測定した受信レベルが所定値以下であって、携帯電話が近づいたことを検知できたとき、予め設定された人物が所持する携帯電話に自動的に通報する請求項1記載の情報端末機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−111452(P2009−111452A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278562(P2007−278562)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】