説明

情報管理方法、情報管理システムおよびそのシステムに含まれる情報転送装置

第1モダリティ装置12aは第1ネットワーク50を介して画像ファイルを情報転送装置100に送信する。情報転送装置100はその画像ファイルを第2ネットワーク52に接続されている第1記録装置16a、第2記録装置16bおよび第3記録装置16cのいずれかに転送する。例えば、第1情報提供装置200aは第1記録装置16aから画像ファイルを読み込み、第3ネットワーク54を介して第3クライアント24に提供する。これによりネットワークにおけるトラフィック量を軽減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明はネットワークを利用した画像管理技術に関し、特に医療用の画像ファイルの管理技術に関する。
【背景技術】
近年、質の高い医療への要望がますます強まるなか、コンピュータ技術の進歩、DICOM(digtal imaging and communications in medicine)等の標準化の進展等を背景として、医療の現場への情報システムの導入が加速度的に進んでいる。超音波診断装置、MR(Magnetic Resonance)装置、CT(Computerized Tomography)装置、CR(Computed Radiography)装置等の各種モダリティ装置を有する病院では、これらをネットワーク接続したシステム環境を整備されつつある。
こうしたシステム環境においては、モダリティ装置により撮影された患者体内の様子が画像ファイルとしてサーバに蓄積され、医師は、このサーバから閲覧装置を使って画像ファイルを読み出し診断を行う(特許文献1)。
特許文献1 特開2002−135499号公報 (第3−6項、第1図)
【発明の開示】
医療用の画像ファイルは、一般にデータ量が大きい。このため、画像ファイルの蓄積や読み出しを頻繁に行うとネットワークのトラフィックが非常に多くなり、ネットワークを圧迫してしまう。また、医療用の画像ファイルは一定期間保管することが定められている。このため、サーバのハードディスクを増設したり、DVD、DAT、CD−ROMなどの記録媒体に定期的にコピーしたりする必要がある。サーバのハードディスクを増設する場合、その作業のためにサーバを停止したり、分解して内蔵したりする必要がある。また、ハードディスクの増設にともない、ファイル管理のためのCPU負荷が大きくなるため、サーバも買い換える必要が生じたりもする。
一般にサーバにはハードディスクが内蔵され、その中にオペレーティングシステムや画像ファイルの管理を行うためのプログラムが格納されている。ハードディスクは故障することが多いため、このようなサーバは安定性にかける。また病院にはネットワーク技術者が少ない。そのため、信頼性の高い安定したサーバが求められている。
本発明者はそうした点に着目して本発明をなしたものであり、その目的は、ネットワークにおけるトラフィック量を軽減する技術の提供、管理システムにおける記録装置を容易に増設できる技術の提供、安定性の高いシステムを構築するための技術の提供にある。さらに、メンテナンス性の高いシステムの提供にある。
本発明によれば、医療用の画像ファイルを管理するシステムであって、第1ネットワークに接続された所定のモダリティ装置から送信された前記画像ファイルを受け付け、前記第1ネットワークとは異なる第2ネットワークに接続された記録装置に前記画像ファイルを転送する情報転送装置と、前記記録装置から前記画像ファイルを読み込み、前記第1ネットワークおよび前記第2ネットワークとは異なる第3ネットワークに接続された閲覧装置に提供する情報提供装置とを備えることを特徴とする情報管理システムが提供される。
本発明は、モダリティ装置から情報転送装置までの経路と、情報提供装置から閲覧装置までの経路と、情報転送装置および情報提供装置による記録装置に対する画像ファイルの転送と読出しの経路とを完全に分離する。これによりネットワークにおけるトラフィック量を軽減でき、ネットワークの圧迫を防止できる。
また本発明によれば、記録装置に画像ファイルを転送するための装置であって、前記画像ファイルを受け付ける受付部と、前記画像ファイルを前記記録装置に格納する際のパスを、前記画像ファイルに対応付けられた医療情報に基づいて生成する生成部と、前記画像ファイルを前記パスで指定される記憶領域に格納させる指示とともに前記記録装置に前記画像ファイルを転送する転送部とを備えることを特徴とする情報転送装置が提供される。「パス」はコンピュータのファイルシステムにおける、ディレクトリやファイルの位置を示す情報である。「医療情報」は、例えば、モダリティ装置を識別する情報、患者を識別する情報、撮影日、担当医を識別する情報などを含む。
本発明は、画像ファイルの転送先となる記録装置に医療情報に基づいたディレクトリ構造を作成させる。これにより、記録装置における画像ファイルの管理が容易になる。
本発明によれば、複数の記録装置に画像ファイルを転送するための装置であって、前記画像ファイルを受け付ける受付部と、医療情報とその医療情報に対応付けられた画像ファイルの転送先とを対応付けた転送情報を保持する格納部と、前記画像ファイルに対応付けられた医療情報と、前記転送情報とに基づいて前記複数の記録装置から転送先の記録装置を選択する選択部と、選択された記録装置に前記画像ファイルを転送する転送部とを備えることを特徴とする情報転送装置が提供される。本発明は、複数の記録装置に画像ファイルを振り分けて格納させることができる。これにより、画像ファイルの管理が容易になる。
また本発明に、前記複数の記録装置毎に空き容量を検出する検出部と、前記空き容量が所定の容量より少ない場合に、その記録装置のメンテナンスを要求する通知部とを更に備えてもよい。「メンテナンス」は、例えば記録装置が保持する画像ファイルをDVDなどの記録媒体にコピーする処理、他の記録装置に画像ファイルを移動する処理、新しい記録装置に交換する処理などである。要は記録装置の空き容量を増やすための作業である。
さらに本発明によれば、コンピュータシステムを用いて医療情報の管理をする方法であって、医療情報の通信プロトコルに基づいて所定のモダリティ装置から送信された画像ファイルを受け付ける受付ステップと、前記画像ファイルを記録装置に転送する転送ステップと、前記記録装置から前記画像ファイルを読み出すステップと、読み出した前記画像ファイルを閲覧装置に送信する送信ステップと、を含み、前記受付ステップと前記転送ステップと前記送信ステップとはそれぞれ独立したネットワークを利用して行われることを特徴とする情報管理方法が提供される。
以上説明したようように本発明によれば、情報を管理するシステムのメンテナンス性を向上できる。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施の形態に係る情報提供システムの構成図である。
図2は、図1の情報提供システムに含まれる情報転送装置の内部構成図である。
図3は、図2の転送情報格納部のデータ構造の一例を示す図である。
図4は、図2の転送情報格納部の他のデータ構造の一例を示す図である。
図5は、図1の記録装置におけるディレクトリ構造を示す図である。
図6は、モダリティ装置が画像ファイルを送信してから、記録装置に格納するまでのシーケンスの一例を示す図である。
図7は、図6の転送先選択処理における詳細なフローチャートの一例である。
図8は、図1の情報提供装置の内部構成図である。
図9は、第1の検索モデルを示す図である。
図10は、第2の検索モデルを示す図である。
図11は、図1の実施形態とは別の情報提供システムの構成図である。
図12は、図1の蓄積指示装置および情報提供装置のハードウエア構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
図1は、実施の形態に係る情報転送装置100および情報提供装置200を含む情報提供システム10の構成図である。第1モダリティ装置12aおよび第2モダリティ装置12b(以下、個々の装置を単に「モダリティ装置12」という)は、例えばCT装置、MR装置、CR装置などであり第1ネットワーク50に接続されている。情報転送装置100に接続されるモダリティ装置12の数は任意であり、本図の様に複数であってもよいし、単一であってもよい。
情報転送装置100は、2つの独立したネットワークに接続するための端子(図示しない)を備えており、本図では一方の端子を介して第1ネットワーク50に接続されており、他方の端子を介して第2ネットワーク52に接続されている。第1ネットワーク50に接続されているモダリティ装置12および情報転送装置100は、例えばDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)に基づいた通信を行い必要な情報の送受信を行う。
第2ネットワーク52には、第1記録装置16a、第2記録装置16bおよび第3記録装置16c(以下、個々の装置を単に「記録装置16」という)が接続されている。記録装置16は、例えばNAS(Network Attached Storage)、SAN(Storage Area Network)などの一般的なストレージ装置である。詳細は後述するが、情報転送装置100は、モダリティ装置12が出力した画像ファイルを受け付け、記録装置16のいずれかに転送する。記録装置16は、ハードディスクなどの記録媒体に受け付けた画像ファイルを格納する。
インデックスサーバ30、書込装置18、ならびに第1クライアント20も第2ネットワーク52に接続されている。インデックスサーバ30は、それぞれの記録装置16が保持する画像ファイルのインデックスを保持しており、後述の情報提供装置200から要求があった場合にそれを提供する。書込装置18は、例えばDVD、CD−ROM、DATなどの記録媒体に記録装置16が保持する画像ファイルを書き込む。第1クライアント20は、記録装置16から必要な画像ファイルを読み込み、モニタに表示する機能を有する閲覧装置である。
第1情報提供装置200aは、前述の情報転送装置100と同じように2つの独立したネットワークに接続するための端子を備えており、本図では一方の端子を介して第2ネットワーク52に接続されており、他方の端子を介して第3ネットワーク54に接続されている。この第1情報提供装置200aは、第3ネットワーク54に接続された第3クライアント24からの要求に応じて、その要求に該当する画像ファイルを第1記録装置16a、第2記録装置16bおよび第3記録装置16cから検索する。そして、該当する画像ファイルがあった場合、第1情報提供装置200aは、その画像ファイルを記録装置16のいずれかから読み込み、第3クライアント24に送信する。本図で第3クライアント24は、例えばDICOMに基づいた通信を行う閲覧装置である。第3クライアント24に画像ファイルを提供する場合、第1情報提供装置200aは、記録装置16から読み込んだ画像ファイルをDICOMの規格に適合する形式に変換する。
第4クライアント26は、第1クライアント20と同様の閲覧装置である。この第4クライアント26に画像ファイルを送信する場合、第1情報提供装置200aはDICOMの形式に変換しない。これにより、画像ファイルの要求から取得までに必要な時間は、第4クライアント26の方が第3クライアント24より短くなる。
第2情報提供装置200bは、第1情報提供装置200aと同様の機能を備えている。本図では第2情報提供装置200bは、第2ネットワーク52と第4ネットワーク56とに接続されている。第4ネットワーク56には、例えばHTTPに基づいて通信を行うブラウザを有する第2クライアント22が接続されている。第2クライアント22に画像ファイルを送信する場合、第2情報提供装置200bは、画像ファイルをHTTPの形式に変換した後に送信する。例えば、第2情報提供装置200bは、画像ファイルを通常のパーソナルコンピュータである第2クライアント22で閲覧可能にするために色データのビット数を減らす変換を行う。例えば、モダリティ装置12が出力する画像ファイルの各画素の色データは12ビットで表現されている場合、第2情報提供装置200bはこの色データのビット数を、ウェブブラウザで表示可能な8ビットに滅らす。
モダリティ装置12は、その種類に応じて病院内の設置場所が違ってくる。例えば、MR装置は地下に設置されることが多く、CT装置は1階以上に設置されることが多い。こうした場合、別々のネットワークが設けられることがある。第5ネットワーク58はこうした理由で設けられたものであり、ルータ40を介して第1ネットワーク50と接続している。図示しないが、第5ネットワーク58は、上述したモダリティ装置12、情報転送装置100、記録装置16、および第3情報提供装置200cなどが接続されている。第1情報提供装置200aは、第5ネットワーク58に接続されている第3情報提供装置200cに対して画像ファイルの検索を要求することもできる。
このように情報提供システム10を構成することで、画像ファイルの書き込み、読み込みなどの記録装置16に係る処理を行う第2ネットワーク52と、モダリティ装置12が画像ファイルの送信を行う第1ネットワーク50と、第3クライアント24などの閲覧装置へ画像ファイルを送信するための第3ネットワーク54および第4ネットワーク56に分けることができる。これにより、各ネットワークにおけるトラフィック量を軽減できる。また、記録装置16をプライベートネットワーク上に設けることで、記録装置16の増設などが容易にできるようになる。また、情報転送装置100と情報提供装置200とに機能を分散することにより、高いスペックのCPUやメモリなどのハードウエアを利用しなくても必要な処理を行うことができる。これにより、装置単体のコストを抑えることができ、強いては病院内のネットワークの構築に必要なコストを削滅できる。
図2は、図1の情報転送装置100の内部構成図である。情報転送装置100の各構成要素は、ハードウエアコンポーネントで言えば、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するフラッシュメモリ、ネットワーク接続用インターフェースを中心に実現されるが、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。これから説明する各図は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
受付部102は、モダリティ装置12から画像ファイルとその画像に関連する医療情報の入力を受け付ける。医療情報は画像ファイルに組み込まれていてもよいし、画像ファイルとは別のファイルに含まれていてもよい。医療情報は例えば、患者名、患者識別情報、日時、担当医、診療科、モダリティ装置識別情報、オーダ番号、技師識別情報などの管理に利用する情報である。本実施の形態では、医療情報が画像ファイルに組み込まれている場合を例に説明を行う。以下、医療情報が組み込まれた画像ファイルとのことを、単に画像ファイルという。
認証部110は、画像ファイルの蓄積を要求したモダリティ装置12の操作者すなわち技師の認証を行う。そして、認証に成功した場合に画像ファイルの受け付けを受付部102に許可する。これにより、権限が無い者から要求された画像ファイルの蓄積を排除でき、セキュリティを向上できる。
設定情報格納部112は、当該装置および情報提供システム10に接続された他の装置に係る情報を保持する装置情報格納部118と、画像ファイルの転送先の特定に利用する転送情報を保持する転送情報格納部116と、前述した認証に利用する認証情報格納部114とを含む。設定情報格納部112が保持する各データは、主に設定情報入力部122を介してそれぞれの格納部に格納される。設定情報入力部122は、それらのデータを例えば第2クライアント22に設定用のウェブページを表示させることで受け付けてもよいし、キーボード、マウス、タッチパネル、タッチペン、音声認識などの入力手段により受け付けてもよい、更には他の情報転送装置100または情報提供装置200から自動的に取得してもよい。要は任意の方法により、必要なデータが読み込まれればよい。
選択部104は、画像ファイルの転送先である記録装置16を転送部106に指示する。転送部106は、指示された記録装置16に画像ファイルを送信する。転送先の指定方法として、選択部104は、(a)空き容量が無くなるまで繰り返し同一の記録装置16を指定し、空き容量が無くなったら別の記録装置16を指定してもよい。この指定方法において、全ての記録装置16の空き容量が無くなった場合に、古い画像ファイルから上書きするか否かを選択できることが好ましい。医療用の画像ファイルは所定期間保存する必要があり、従来はCD−ROM、DVD、テープなどのメディアに書き込むことで対応していたが、この指定方法によれば、古い画像ファイルを保持する記録装置16を第2ネットワーク52から取り外し、新たな記録装置16を接続することで簡単に記録容量を確保できる。
また、選択部104は、画像ファイルに組み込まれている医療情報と、転送情報格納部116に保持されている転送情報とに基づいて転送先の記録装置16を選択してもよい。医療情報として複数の種類があるが、例えば選択部104は、(b)画像ファイルの送信元のモダリティ装置に応じて記録装置16を選択してもよい。図3は、転送情報格納部116が保持する転送情報のデータ構造の一例を示す図である。この転送情報は、モダリティ装置別の転送に用いる。モダリティ識別情報欄150はモダリティ装置12を識別する情報を保持する。この情報は例えば、モダリティ装置12のAEタイトル、IPアドレス、名称、シリアル番号など一意にモダリティ装置12を特定するための情報であり、かつ図2の受付部102が画像ファイルとともに取得できる情報であればよい。
記録装置識別情報欄152は転送先の記録装置16を識別する情報を保持する。この情報は例えば、個々の記録装置16のIPアドレスや名称など予め記録装置16毎に設定された情報である。アクセス権限欄154は、アクセス権を設定するための情報を保持する。転送情報格納部116には、これらのデータを保持するための領域が確保される。本図の転送情報によれば、図2の選択部104は、例えば識別情報が「CT2」のモダリティ装置12から送信された画像ファイルを、IPアドレスが「192.168.0.100」の記録装置16に転送することを転送部106に指示する。また、選択部104はこの画像ファイルのアクセス権を「担当医」に設定させる。
選択部104は、(c)診療科に係る情報に応じて記録装置16を選択してもよい。図4は転送情報格納部116が保持する転送情報のデータ構造の一例を示す図である。この転送情報は、診療科別の転送に用いる。診療科欄160は、診療科を特定する情報を保持する。この情報は、例えば診療科名でもよいし、診療科の識別コードなど診療科を一意に特定する情報であり、かつ図2の受付部102が画像ファイルとともに取得できる情報であればよい。記録装置識別情報欄162およびアクセス権限欄164は、記録装置16を特定する情報ならびにアクセス権限を設定するための情報を保持する。また選択部104は、担当医のオーダ別に記録装置16を選択してもよいし、その他当該システムの管理者が任意に設定できることが好ましい。
図2に戻り、モード指示部124は、例えば第2クライアント22から選択モードを受け付け、選択部104に転送先の選択方法を指示する。管理者は、第2クライアント22に表示された設定画面を使って選択モードを指定してもよいし、その他の方法を使って選択モードを指定してもよい。
パス生成部108は画像ファイルに含まれる医療情報に基づいて、記録装置16に画像ファイルを格納する際のパスを生成する。図5はモダリティ装置別に画像ファイルを記録する場合の記録装置16におけるディレクトリ構造の一例を示す図である。パスは医療情報に基づいて階層状に生成される。本図は、医療情報に「患者名」、「撮影日」、「シリーズ」が含まれる場合のディレクトリ構造である。ひとつのパスには、ルート170に続き患者ディレクトリ172、日付ディレクトリ174、そしてファイル名176が含まれる。図2のパス生成部108は、このようなパスを生成し転送部106に出力する。転送部106は、選択部104に選択された記録装置16に対して、パス生成部108から供給されたパスの位置に画像ファイルを格納するように指示する。これにより、詳細は後述するが図1の情報提供装置200は、ディレクトリ構造に基づいた画像ファイルの検索ができる。
図2に戻り、急患データ検出部126は画像ファイルが救急患者に係るものか否かを判定する。例えば急患データ検出部126は、画像ファイルに含まれる患者名の有無に応じてこれを判断し、患者名が空欄もしくは予め指定した文字列、例えば「急患」などの場合に急患と判定してもよい。救急患者の画像ファイルを検出した場合、急患データ検出部126はそれを選択部104に通知する。選択部104は、その通知に基づいてその画像ファイルを、救急患者用に予め設けられている記録装置16に転送することを転送部106に指示する。救急患者用の記録装置16を識別する情報は、転送情報格納部116に予め保持されていてもよいし、それいがいの場所に保持されてもよい。
記録装置状態検出部128は、画像ファイルの転送対象となる記録装置16毎に例えば空き容量、動作状態、故障の有無などを検出する。例えば、記録装置状態検出部128は、定期的にそれぞれの記録装置16に対して、ハードディスクなどの記憶領域の空き容量を問い合わせてもよいし、記録装置16が主体となり送信した空き容量の情報を受信してもよい。空き容量が基準値より少なくなった場合、記録装置状態検出部128はその旨を選択部104および通知部130に出力する。選択部104は、一時的に転送先を他の記録装置16に指定し、空き容量が基準値より大きくなった場合に、転送部106に一時的に蓄積させた記録装置16に保持されている画像ファイルを、本来格納すべき記録装置16に移動させてもよい。このために、情報転送装置100は、一時的に利用した記録装置16を特定する情報と、その記録装置16に一時的に蓄積させた画像ファイルを特定する情報とを対応付けて保持する格納部(図示しない)を更に備えてもよい。
通知部130は、記録装置16の状態を視覚的、聴覚的な方法により利用者に通知する。例えば情報転送装置100の筐体に設けたLEDや液晶パネルなどの表示部材により記録装置16の状態を利用者に通知してもよいし、ブザーや、音声で状態を通知してもよい。また、ウェブブラウザを使ってアクセスした図1の第2クライアント22などに通知してもよい。また、利用者宛に記録装置16の状態を明記した電子メールを送信してもよい。要は、通知部130は、方法は問わず利用者に記録装置16の状態を通知すればよい。
図6は、モダリティ装置12が画像ファイルを送信してから、記録装置16に格納するまでのシーケンスの一例を示す図である。まず、モダリティ装置12が患者体内を撮影し(S10)、その画像ファイルが情報転送装置100に送信される(S12)。情報転送装置100の受付部102は、その画像ファイルを受け付ける(S14)。情報転送装置100の選択部104は画像ファイルの転送先を選択する(S16)。情報転送装置100のパス生成部108は、記録装置16に画像ファイルを格納する際のパスを生成する(S18)。情報転送装置100の転送部106は、選択部104が選択した記録装置16に画像ファイルとパスとを転送する(S20)。記録装置16は、画像ファイルをパスで指定された位置に格納する(S22)。
図7は、図6のS16における記録装置16の選択処理における詳細なフローチャートの一例である。情報転送装置100の急患データ検出部126は、受け付けた画像ファイルが救急患者のものであるか否かを判断する(S30)。救急患者の画像ファイルである場合(S30のY)、選択部104は救急患者用の記録装置16を選択し(S38)、その記録装置16の例えばIPアドレスを転送部106に出力する(S36)。S30で、救急患者の画像ファイルでない場合(S30のN)、選択部104は、情報転送装置100のモード指示部124からモードを読み取り(S32)、そのモードに対応する方法で記録装置16を選択する(S34)。そして、選択した記録装置16の例えばIPアドレスを転送部106に出力する(S36)。
図8は、図1の第1情報提供装置200aの内部構成図である。尚、図1の第2情報提供装置200bおよび第3情報提供装置200cは、第1情報提供装置200aと同一の構成を有する。検索要求受付部202は、第1クライアント20、第2クライアント22および第3クライアント24から画像ファイルの要求を受け付ける。例えばその要求は、「担当医」、「患者名」、「撮影日」、「モダリティ装置」、「診療科」などのキーワードを含む検索式として情報提供装置200に与えられる。認証部208は、画像ファイルの要求者の認証を認証情報格納部212に保持されている認証情報を参照して行う。また、認証部208は、後述の検索により得られた画像ファイルへのアクセスの可否を、画像ファイル毎に設定されているアクセス権に基づいて判断する。
検索部204は、検索要求受付部202から供給される検索式に基づいて、記録装置16を対象に画像ファイルの検索を行う。図9は、第1の検索モデルを説明するための図である。本図のモデルでは、第1記録装置16a、第2記録装置16bおよび第3記録装置16cがそれぞれ画像ファイルを蓄積している。第1情報提供装置200aは、それぞれの記録装置16のディレクトリ構造を参照して該当する画像ファイルを検索する。このモデルは記録装置16の数が少ないときに有効である。本図および次図で点線は画像ファイルの移動を示し、実線はディレクトリ構造の参照を示す。
図10は、第2の検索モデルを説明するための図である。本図のモデルは、インデックスサーバ30が設けられた形態である。インデックスサーバ30は、それぞれの記録装置16のディレクトリ構造を参照して、リストを生成する。そのタイミングは、いずれかの記録装置16に更新があった場合であってもよいし、情報提供装置200がリストを要求した場合であってもよい。情報提供装置200は、インデックスサーバ30のリストを参照して該当する画像ファイルを検索する。そしてその画像ファイルを格納する記録装置16を特定した後、その記録装置16から画像ファイルを読み込む。このモデルは記録装置16の数が多いときに有効である。
図8に戻り、装置検出部224はインデックスサーバ30が接続されているか否かを判定する。判定結果は検索モード指示部226に供給される。検索モード指示部226は、判定結果に基づいて図9または図10の検索モデルのいずれかに対応する検索モードで検索することを検索部204に指示する。例えば、装置検出部224がインデックスサーバ30を検出できた場合、検索モード指示部226はインデックスサーバ30のリストを利用した検索を行うことを指示する。また例えば、装置検出部224がインデックスサーバ30を検出できなかった場合、検索モード指示部226はそれぞれの記録装置16のディレクトリ構造を順に参照して検索することを指示する。
検索要求部228は、他のネットワークに接続されている第3情報提供装置200cに同様の検索を依頼し、検索結果を受け付ける。検索要求部228により複数のネットワークにわたり画像ファイルの検索ができる。検索要求部228は、他のネットワークに接続されている情報提供装置200の例えばIPアドレスなどのネットワークにおける位置を特定する情報を保持してもよいし、ユーザから受け付けてもよい。
結果提供部206は、検索結果である画像ファイルを、検索を要求した第1クライアント20、第2クライアント22または第3クライアント24のいずれかに送信する。また、結果提供部206は画像ファイルを複数のデータ形式に変換する機能を有し、クライアント識別部220に指定されたデータ形式に変換した後に送信する。クライアント識別部220は、検索要求受付部202に検索を要求したクライアントの種類を識別し、そのクライアントに応じたデータ形式を結果提供部206に指示する。例えば、第1クライアント20が画像ファイルを要求した場合、クライアント識別部220は画像ファイルに変換処理を施さずに送信することを指示する。また、第2クライアント22が画像ファイルを要求した場合、クライアント識別部220は画像ファイルをウェブブラウザで閲覧できるように変換処理を施して送信することを指示する。また、第3クライアント24が画像ファイルを要求した場合、例えばDICOMに準拠した形式になるよう画像ファイルに変換処理を施して送信することを指示する。
設定情報格納部210は、認証情報格納部212、装置情報格納部214および転送情報格納部216を含む。認証情報格納部212は認証情報を保持する。装置情報格納部214は、例えば、当該装置の第2ネットワーク52におけるIPアドレス、第3ネットワーク54におけるIPアドレス、第1記録装置16a、第2記録装置16b、第3記録装置16c、第2情報提供装置200b、および第3情報提供装置200cそれぞれのIPアドレスなどを保持する。転送情報格納部216は、図2を用いて説明した転送情報格納部116と同様の情報を保持する。
検索部204は、転送情報格納部216に保持されている転送情報に基づいて、検索対象とする記録装置16を絞り込んでもよい。例えば、図2で説明した情報転送装置100がモダリティ装置毎に画像ファイルの転送を行う場合、転送情報格納部216には、図3を用いて説明したデータ構造と同じデータが保持される。例えば、モダリティ装置として「CT2」が検索式に含まれる場合、検索部204は「192.168.0.100」で特定される記録装置16のディレクトリ構造を参照する。このように、情報転送装置100が利用した転送情報を取得し、その転送情報に基づいて検索対象とする記録装置16を絞り込むことができる。これにより、検索時間を短縮することができる。
設定情報入力部218は、設定情報格納部210に保持されているデータを、例えば第2クライアント22に表示させたウェブページを介してユーザから受け付けてもよいし、図2を用いて説明した情報転送装置100の設定情報提供部120から受け付けてもよい。設定情報入力部218は、当該第1情報提供装置200aをネットワークに接続したことを契機に、自動的に情報転送装置100の検出処理を行い、検出できた場合に情報転送装置100からデータを取得してもよい。また、情報転送装置100において設定情報の変更が生じた場合に、その通知を受け、そのデータを取得してもよい。また、設定情報入力部218は定期的に情報転送装置100に接続し、設定情報を取得してもよい。要は、当該装置の管理者が意識せずに設定情報の取得が行われる。設定情報送信部222は、設定情報格納部210に保持されている設定情報を他の情報提供装置200である第2情報提供装置200bに送信する。このように、自動的に処理に必要な情報を交換し合うことで、取り扱いを容易にすることができる。
図11は、図1で説明した情報提供システム10とは別の形態の情報提供システム70の構成図である。情報提供システム70は、一台の記録装置16を有する。本図において既に説明した符号と同一の符号を付した構成は、同一の機能を有する。情報転送装置100は第1ネットワーク60に接続されたモダリティ装置12から画像ファイルを受け付ける。情報転送装置100は受け付けた画像ファイルを第2ネットワーク62に接続された記録装置16に転送する。記録装置16はその画像ファイルを格納する。第3ネットワーク64に接続されたクライアント66から画像ファイルを要求された場合、情報提供装置200は記録装置16のディレクトリ構造を参照して該当する画像ファイルを検索する。そして、情報提供装置200は該当する画像ファイルをクライアント66に送信する。
このように、画像ファイルの転送先を決める情報転送装置100と、画像ファイルを格納する記録装置16と、記録装置16から画像ファイルを読み出す情報提供装置200とをそれぞれ別々の構成にすることで、他のネットワークとは分離された第2ネットワーク62を構築できる。これにより、第1ネットワーク60はモダリティ装置12からの画像ファイルを記録装置16に蓄積するための経路として、第3ネットワーク64は記録装置16から画像ファイルを読み出すための経路として明確に分離することができる。また、記録装置16を第2ネットワーク64に接続する形態をとることにより、記録装置16の増設や取り外しが容易になり、メンテナンス性に優れる。
図12は、図2および図8を用いて説明した情報転送装置100ならびに情報提供装置200のハードウエア構成図である。ROM302は、フラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリであることが好ましい。このROM302は情報転送装置100の各機能要素を実現するためのプログラム、または情報提供装置200の各機能要素を実現するためのプログラムと、オペレーティングシステムを記憶する。RAM304は、オペレーティングシステムやプログラムが読み込まれ、必要に応じてCPU306に利用される。CPU306はオペレーティングシステム上で動作するプログラムに基づいて制御を行う。LED308は、例えば図2の通知部130として利用されてもよい。外部I/F310は、例えばシリアルインターフェイスであり外部装置からOSやプログラムのバージョンアップなどを行う場合に利用される。第1ネットワークI/F312および第2ネットワークI/F314は、それぞれ独立したネットワークと接続するためのネットワークインターフェイスである。
情報転送装置100と情報提供装置200とに機能を分散することで、それぞれの機能を実現するためのプログラム規模を小さくすることができる。これにより、それらのプログラムを比較的容量の小さなROM302に搭載することができる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、情報を管理するシステムのメンテナンス性を向上できる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用の画像ファイルを管理するシステムであって、
第1ネットワークに接続された所定のモダリティ装置から送信された前記画像ファイルを受け付け、前記第1ネットワークとは異なる第2ネットワークに接続された記録装置に前記画像ファイルを転送する情報転送装置と、
前記記録装置から前記画像ファイルを読み込み、前記第1ネットワークおよび前記第2ネットワークとは異なる第3ネットワークに接続された閲覧装置に提供する情報提供装置と、
を備えることを特徴とする情報管理システム。
【請求項2】
前記情報転送装置は、
前記画像ファイルを前記記録装置へ格納する際のパスを、前記画像ファイルに対応付けられた医療情報に基づいて生成する生成部と、
前記画像ファイルを前記パスで指定される記憶領域に格納させる指示とともに前記記録装置に前記画像ファイルを転送する転送部と、
を有することを特徴とする請求の範囲1に記載の情報管理システム。
【請求項3】
記録装置に画像ファイルを転送するための装置であって、
前記画像ファイルを受け付ける受付部と、
前記画像ファイルを前記記録装置に格納する際のパスを、前記画像ファイルに対応付けられた医療情報に基づいて生成する生成部と、
前記画像ファイルを前記パスで指定される記憶領域に格納させる指示とともに前記記録装置に前記画像ファイルを転送する転送部と、
を備えることを特徴とする情報転送装置。
【請求項4】
複数の記録装置に画像ファイルを転送するための装置であって、
前記画像ファイルを受け付ける受付部と、
医療情報とその医療情報に対応付けられた画像ファイルの転送先とを対応付けた転送情報を保持する格納部と、
前記画像ファイルに対応付けられた医療情報と、前記転送情報とに基づいて前記複数の記録装置から転送先の記録装置を選択する選択部と、
選択された記録装置に前記画像ファイルを転送する転送部と、
を備えることを特徴とする情報転送装置。
【請求項5】
前記画像ファイルが救急患者に係る情報か否かを判定する急患検出部を更に備え、
前記画像ファイルが救急患者に係る場合に、前記選択部は、急患用として予め設定された記録装置を転送先として選択することを特徴とする請求の範囲4に記載の情報転送装置。
【請求項6】
前記複数の記録装置毎に空き容量を検出する検出部を更に備え、
前記選択部は、本来選択すべき記録装置の空き容量が所定の容量より少ない場合に、他の記録装置を選択することを特徴とする請求の範囲4または5に記載の情報転送装置。
【請求項7】
前記複数の記録装置毎に空き容量を検出する検出部と、
前記空き容量が所定の容量より少ない場合に、その記録装置のメンテナンスを要求する通知部と、
を更に備えることを特徴とする請求の範囲4または5に記載の情報転送装置。
【請求項8】
コンピュータシステムを用いて医療情報の管理をする方法であって、
医療情報の通信プロトコルに基づいて所定のモダリティ装置から送信された画像ファイルを受け付ける受付ステップと、
前記画像ファイルを記録装置に転送する転送ステップと、
前記記録装置から前記画像ファイルを読み出すステップと、
読み出した前記画像ファイルを閲覧装置に送信する送信ステップと、
を含み、前記受付ステップと前記転送ステップと前記送信ステップとはそれぞれ独立したネットワークを利用して行われることを特徴とする情報管理方法。

【国際公開番号】WO2004/025948
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【発行日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−535911(P2004−535911)
【国際出願番号】PCT/JP2003/011489
【国際出願日】平成15年9月9日(2003.9.9)
【出願人】(502329968)株式会社リソースワン (6)
【Fターム(参考)】