情報通知装置、情報通知方法及び情報通知プログラム
【課題】交通情報に基づいて出発前に推奨情報を提供することで、目的地に予定どおり到着する時刻に出発することを可能とする。
【解決手段】ユーザの目的地及び出発地と当該出発地からの出発予定時刻又は目的地への到着予定時刻をユーザ情報として記憶するユーザ情報記憶部を参照し、前記出発地から目的地までの交通情報を参照して当該出発地から前記目的地への所要時間を算出し、当該所要時間と出発予定時刻又は到着予定時刻に基づいて出発推奨時刻を算出し、前記出発推奨時刻を含む推奨情報を前記ユーザの端末へ当該出発推奨時刻前に通知する。
【解決手段】ユーザの目的地及び出発地と当該出発地からの出発予定時刻又は目的地への到着予定時刻をユーザ情報として記憶するユーザ情報記憶部を参照し、前記出発地から目的地までの交通情報を参照して当該出発地から前記目的地への所要時間を算出し、当該所要時間と出発予定時刻又は到着予定時刻に基づいて出発推奨時刻を算出し、前記出発推奨時刻を含む推奨情報を前記ユーザの端末へ当該出発推奨時刻前に通知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地へ移動する際の情報を案内する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
目的地までの走行経路を表示して案内するものとしてナビゲーションシステムが広く普及している。
例えば、ユーザのスケジュールデータに基づいて目的地までの経路の情報を収集し、出発前に最適な経路を設定するナビゲーションシステムも知られている。また、このナビゲーションシステムでは、設定した経路に渋滞や通行制限等が生じた場合、回避ルートを再設定し、目的地までの所要時間を算出して予定時刻に到着できるか否かを判定する。ここで、予定時刻までに到着し得ない場合には、公共交通機関を用いた場合に予定時刻に到着し得るかを判断し、到着し得る場合には公共交通機関の利用を指示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−160496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、ユーザが予定していた目的地までのルートに渋滞や通行規制等の異常が生じ、予定時刻に到着できない場合、ナビゲーションシステムは異常を回避するルートを案内する。しかし、回避ルートを通ることで異常の影響を最小限に抑えたとしても予定時刻に到着できるとは限らない。例えば、事故で通行できないルートが生じた場合、回避ルートに車両が集中して渋滞となることもあり、予定時刻に到着できるルートが存在しない場合も多い。即ち、従来のナビゲーションシステムでは、ユーザが車両に乗ってシステムを起動することでルート案内が開始(サービスの提供が開始)されるため、この時点で、既に予定時刻に到着できるルートが存在せず、有効な案内をすることができない場合がある。
【0005】
前述の従来技術では、代替手段として公共交通機関を指示することが提案されているが、車両で移動しようとしている際に車両を置き去りにして公共交通機関を用いることができる状況は限られており、根本的な解決にはならない。
【0006】
そこで本発明は、交通情報に基づいて出発前に推奨情報を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、情報通知装置は、
ユーザの目的地及び出発地と、当該出発地から目的地への到着予定時刻とをユーザ情報として記憶するユーザ情報記憶部と、
前記出発地から目的地までの交通情報を参照して当該出発地から前記目的地への所要時間を算出し、当該所要時間と到着予定時刻に基づいて出発推奨時刻を算出する出発推奨時刻算出部と、
ユーザが出発推奨時刻に出発するための余裕時間を記録する余裕時間記録手段と、
前記出発推奨時刻を含む推奨情報を、前記出発推奨時刻と余裕時間を加味した出発可能時刻前に前記ユーザの端末へ通知する通知部と、
を備える。
【0008】
前記通知部は、前記出発推奨時刻に基づいて、ユーザ端末に対し、アラームを発する時
刻を変更する変更命令を送信しても良い。
前記ユーザ情報記憶部が、前記ユーザ情報として許容時間を記憶し、
前記通知部は、前記出発推奨時刻と前記出発予定時刻との差が前記許容時間内である場合、前記アラームの変更命令を送信せず、前記出発推奨時刻と前記出発予定時刻との差が前記許容時間を超えた場合に、前記アラームの変更命令を送信しても良い。
【0009】
上記課題を解決するため、情報通知方法は、
ユーザの目的地及び出発地と、当該出発地から目的地への到着予定時刻とをユーザ情報として記憶するユーザ情報記憶部を参照するステップと、
前記出発地から目的地までの交通情報を参照して当該出発地から前記目的地への所要時間を算出し、当該所要時間と到着予定時刻に基づいて出発推奨時刻を算出するステップと、
ユーザが出発推奨時刻に出発するための余裕時間を記録するステップと、
前記出発推奨時刻を含む推奨情報を、前記出発推奨時刻と余裕時間を加味した出発可能時刻前に前記ユーザの端末へ通知するステップと、
を含む。
【0010】
前記情報通知方法は、前記出発推奨時刻に基づいて、ユーザ端末に対し、アラームを発する時刻を変更する変更命令を送信しても良い。
前記情報通知方法は、前記ユーザ情報記憶部が、前記ユーザ情報として許容時間を記憶し、
前記出発推奨時刻と前記出発予定時刻との差が前記許容時間内である場合、前記アラームの変更命令を送信せず、前記出発推奨時刻と前記出発予定時刻との差が前記許容時間を超えた場合に、前記アラームの変更命令を送信しても良い。
【0011】
また、上記課題を解決するため、本発明は、上記情報通知方法をコンピュータに実行させるための情報通知プログラムであっても良い。更に、この情報通知プログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録しても良い。コンピュータに、この記録媒体の動作情報管理プログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0012】
ここで、コンピュータが読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータから読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体の内コンピュータから取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、DAT、8mmテープ、メモリカード等がある。
【0013】
また、コンピュータに固定された記録媒体としてハードディスクやROM(リードオンリーメモリ)等がある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、交通情報に基づいて出発前に推奨情報を提供することで、目的地に予定どおり到着する時刻に出発することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】情報通知サーバがサービスを提供する際のネットワーク構成を示す図
【図2】情報通知サーバのハードウェア構成を示すブロック図
【図3】車載機のハードウェア構成を例示するブロック図
【図4】ユーザ端末のハードウェア構成を例示するブロック図
【図5】情報通知サーバの機能を例示するブロック図
【図6】車両情報の受信や、イベント情報の収集、リンク情報データベース構築の処理のフローを示す図
【図7】アップロードデータをリンクID毎に分類して登録する処理の説明図
【図8】リンク情報の登録処理の説明図
【図9】リンク通過時間を算出する処理の流れを例示する図
【図10】リンク通過時間の統計処理を説明する図
【図11】情報通知サーバ10の演算処理部によるリンク状態の判定処理のフローを示す図
【図12】リンク情報データベースのデータ構成を例示する図
【図13】出発推奨時刻算出処理のフローを示す図
【図14】推奨情報の通知処理のフローを示す図
【図15】情報通知設定の説明図
【図16】出発地及び目的地の推定方法の説明図
【図17】通常ルート及び代替ルートの推定方法の説明図
【図18】通常ルートの所要時間を算出する処理の説明図
【図19】車速情報を用いて通常ルートの所要時間を算出する処理の説明図
【図20】就寝前の通知処理を示す図
【図21】就寝中の通知処理を示す図
【図22】起床後の通知処理を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
〈全体構成〉
図1は本発明の推奨情報通知装置としての情報通知サーバ10がサービスを提供する際のネットワーク構成を示す図である。本実施形態の情報通知サーバ10は、ネットワークを介してユーザの端末30から出発地や目的地、出発予定時刻、到着予定時刻等の登録を受け、交通情報を参照して出発地から目的地までの所要時間を求め、到着予定時刻までに到着するために出発時刻を変更(特に早める)しなければならない場合に、出発推奨時刻をユーザ端末30やユーザの車両に搭載された車載機20に通知する。ここで交通情報は、VICSセンター(道路交通情報通信システムセンター)等から得た情報や、ウェブサーバをクロールして取得したイベント情報、テレマティクスサービスを利用している車両から通知されるプローブデータなどである。
【0017】
図2は、情報通知サーバ10のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、情報通知サーバ10は、本体内にCPU(central processing unit)やメイン
メモリ等よりなる演算処理部12、演算処理の為のデータやソフトウェアを記憶した記憶部(ハードディスク)13、データの入出力を行う入出力インタフェイス14、通信制御部(CCU:Communication Control Unit)15等を備えたコンピュータである。
【0018】
該入出力インタフェイス14には、キーボードやポインティングデバイスといった操作部、メモリカードやDVDといった記憶媒体の読み書き装置、そして表示装置やプリンタ等の出力デバイスが適宜接続される。
【0019】
CCU15は、ネットワークを介した他のコンピュータとの通信を制御する。
記憶部13には、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフト(推奨情報通知プログラム等)がインストールされている。また、記憶部13は、生情報データベース131、イベント情報データベース132、リンク情報データベース133、ユーザ情報データベース134、地図情報データベース135を格納している。ここで、生情報データベース131は、各車両から受信したプローブデータを一時的に蓄積するためのデータベースであり、各車両から随時送られてくるプローブデータをリンク毎のデータに分類して蓄積し、蓄積したデータを所定のタイミングで読み出してリンク情報の生成処理
等に供する。また、イベント情報データベース132は、事故や工事、通行規制等のイベントの情報を蓄積したデータベースである。リンク情報データベース133は、出発地から目的地までの経路を構成するリンクの状態や通過にかかる情報など、主に出発地から目的地に到達するまでの所要時間を求めるため各リンクの交通情報(以下リンク情報と称す)を蓄積したデータベースである。ユーザ情報データベース134は、出発地、目的地、当該出発地から目的地への通常ルート及び代替ルート、出発予定時刻、到着予定時刻、余裕時間、情報通知設定など、ユーザ毎の設定を蓄積したデータベースである。
【0020】
演算処理部12は、CPUやメモリ、チップセット等を備えた所謂システムボードであり、前記OSやアプリケーションプログラムを記憶部13から適宜読み出して実行し、入出力インタフェイス14やCCU15から入力された情報、及び記憶部13から読み出した情報を演算処理することにより、データ受信部121や、ユーザ情報登録部122、イベント情報取得部123、リンク情報生成部124、出発推奨時刻算出部125、通知部126、トリガ生成部127としても機能する。
【0021】
このデータ受信部121としては、各車両から送信されたプローブデータを受信し、生情報データベース131へ登録する。なお、各車両から直接プローブデータを受信する構成に限らず、テレマティクスサービスを提供するサーバが、各車両からプローブデータを収集し、当該サーバを介してプローブデータを取得しても良い。ここでプローブデータは、車両情報の一例であり、位置情報や時刻情報、車速情報を含むものである。
【0022】
ユーザ情報登録部122としては、ユーザ端末30から送信されたユーザ情報を受信し、ユーザ情報データベース134へ登録する。また、ユーザ情報登録部122は、後述のようにユーザの車両から送信されたプローブ情報に基づいて、出発地、目的地、通常ルート、情報通知設定等のユーザ情報を求めてユーザ情報データベース134へ登録しても良い。
【0023】
イベント情報取得部123としては、事故や工事、通行規制、花火、祭事、デモ行進など、出発地から目的地への移動にかかる時間(所要時間)に影響する(と思われる)イベントの情報(イベント情報)を取得し、イベント情報データベース132へ登録する。ここでイベント情報の取得は、イベント情報を提供するサービスプロバイダや、VICSセンターから受信しても良いし、ウェブサーバを巡回してイベント情報を抽出しても良い。
【0024】
リンク情報生成部124としては、後述のようにイベント情報に基づいてリンク状態を判定し、生情報データベース131から読み出したデータをリンク状態毎に分類してリンク情報とし、リンク情報データベース133に登録する。
【0025】
出発推奨時刻算出部125としては、地図情報及び交通情報に基づいて前記出発地から前記目的地への所要時間を算出し、当該所要時間をかけて前記到着予定時間に到着するための出発推奨時刻を算出する。
【0026】
通知部126としては、出発推奨時刻が所定条件を満たした場合に、当該出発推奨時刻に基づく推奨情報を前記ユーザの端末に通知する。例えば、出発推奨時刻が出発予定時刻よりも早い場合に、当該出発推奨時刻を前記ユーザの端末に通知する。この所定条件は、例えば予めユーザ情報の情報通知設定として登録しておく。
【0027】
トリガ生成部127は、所定のタイミングでトリガ、例えばイベント情報収集・更新トリガ、リンク情報DB構築トリガ、リンク通過時間算出トリガ、リンク状態判定トリガ、出発推奨時刻算出トリガを生成する。トリガ生成部127は、生成したトリガをイベント情報取得部123やリンク情報生成部124、出発推奨時刻算出部125、通知部126
に送ることで、各部を適切なタイミングで動作させる。このトリガを発生させるタイミングは、必要に応じて任意に設定して良く、周期的に発生させることや、所定の時刻に発生させること、スケジュールに基づいて発生させること等でも良い。例えば、出発推奨時刻算出トリガや情報通知トリガは、スケジュールに沿って随時行い、イベント情報収集・更新トリガやリンク情報DB構築トリガ、リンク通過時間算出トリガ、リンク状態判定トリガは、夜間等のアイドル時にトリガを発生させて処理を実行させる。
【0028】
図3は車載機20のハードウェア構成を例示するブロック図である。
100は、車載機内の各部或いは接続された外部機器からの信号、またユーザの操作に基づく各操作部からの操作指示信号等の入力を受け、それら信号に基づき車載機の各部、或いは外部機器を統括的に制御する制御部で、例えばマイクロコンピュータ(マイコン)により構成され、ROM等のメモリに記憶されたプログラムに従い動作する。
【0029】
130は、地図上に自車位置や目的地までの経路を表示したり、交差点等で音声等により右左折等の進行方向案内を行い、また後述するVICS情報受信部106から交通情報、GPS情報受信部107から自車位置情報を入手して表示したりして、目的地までの経路案内を行うナビゲーション部で、ナビゲーションの為の各種演算処理を行うCPU、各種処理のためにデータを記憶するRAM等のメモリ等から構成され、制御部100からの制御信号に従って、そのオン/オフ、各種動作が制御される。
【0030】
また、ナビゲーション部130は、車両側の車速センサ(不図示)から取得した車速を位置情報と対応付けて制御部100へ送り、プローブデータとして情報通知サーバ10に送信する。ここで、位置情報は、例えばリンクIDや、緯度及び経度である。なお、プローブデータとして送信する情報は、車速に限らず、ワイパーを動作させているか否か、即ち雨が降っているか否かや、スリップの発生、気温などの情報を含めても良い。
【0031】
106は、交通情報通信システム(VICS(登録商標))に係る交通情報を受信し、受信した交通情報を出力するVICS情報受信部で、交通情報通信システムからのデータを受信する受信機(FM受信機,電波ビーコン受信機,光ビーコン受信機)、受信したデータを復号する復号回路等から構成される。107は、GPS(登録商標)衛星からのGPS信号に基づき自車位置を検出し、検出した現在地情報を出力するGPS情報受信部で、GPS信号を受信するGPS信号受信回路、受信したGPS信号に基づき自車位置を算出する演算部から構成される。
【0032】
表示部113は、制御部100からの映像信号に基づき表示画面上に地図等の映像を表示する。また、表示部113は、表示画面と重畳させてタッチパネルを備え、操作メニュー等を表示し、ユーザがこの操作メニューに触れて選択する操作をタッチパネルで検出し、検出した操作信号を制御部100に入力する。
【0033】
115は、各種データや制御プログラムを記憶するメモリ(記憶媒体)で、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、書換え可能なフラッシュメモリ等により構成される。
121は、他の装置との通信を行う通信ユニットで、例えば、無線LANやWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)アクセス網、携帯電話回線を介し
て通信を行う。
【0034】
図4は、ユーザ端末30のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図4に示すように、ユーザ端末30は、本体内にCPU(central processing unit)
やメインメモリ等よりなる演算処理部32、演算処理の為のデータやソフトウェアを記憶した記憶部(SSD)33、音声処理部34、通信制御部(CCU:Communication Control Unit)35、入力制御部36、出力制御部37、タイマー38等を備えたコンピュー
タである。ユーザ端末30は、情報通知サーバ10からの出発推奨時刻を受信し、ユーザに通知する機能を有した装置であれば良く、例えば、携帯電話やスマートフォン、パーソナルコンピュータ、PDA、ブックリーダ、テレビ、オーディオなどであっても良い。
【0035】
音声処理部34は、通話用のスピーカ及びマイクと接続され、マイクから入力された音声をエンコードして音声データとし、CCU35を介して送信させると共にCCU35を介して受信した音声データをデコードし、デコードした音声を通話用のスピーカから出力させる。
【0036】
CCU35は、携帯電話回線やインターネット等のネットワークを介して他のコンピュータと接続し、通信の制御を行う。
記憶部33には、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフトがインストールされている。
【0037】
入力制御部36には、キーボードや、操作ボタン、ダイヤル、ポインティングデバイス、タッチパネル等の操作部が接続され、ユーザが当該操作部を操作することによってユーザからの情報の入力を受け、この情報を演算処理部32に入力する。また、入力制御部36には、記憶媒体の読み取り装置(メモリカードリーダ)が接続され、当該記憶媒体から情報を読み出して演算処理部32等へ入力する。
【0038】
出力制御部37には、スピーカ、表示部、LED、バイブレータ等の出力部が接続され、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフトがインストールされている。
【0039】
タイマー38は、クロック信号をカウントすることにより時間や時刻を求めて演算処理部32等に提供する。
演算処理部32は、CPUやメモリ等を備え、前記OSやアプリケーションプログラムを記憶部33から適宜読み出して実行し、入力制御部36やCCU35から入力された情報、及び記憶部33から読み出した情報を演算処理することにより、推奨情報受信部や、アラーム部としても機能する。
【0040】
この推奨情報受信部としては、情報通知サーバ10から出発推奨時刻等の推奨情報を受信して記憶部33に記憶させる。推奨情報受信部は、定期的に情報通知サーバ10へアクセスして推奨情報を取得する構成でも良いし、情報通知サーバ10からプッシュ配信された推奨情報を受信する構成でも良い。
【0041】
アラーム部(通知制御部)は、出力制御部37を介してスピーカや、表示部、LED、バイブレータを制御し、音や光、振動等によりアラームを発する。例えば、予め起動時刻を記憶部33等に記憶させておき、タイマー38から得た現在時刻が起動時刻に達した場合に、所定の音、音楽、音声メッセージ等をアラームとしてスピーカから出力させる。推奨情報受信部が推奨情報として設定変更命令を受けた場合、アラーム部は当該設定変更命令に基づいて、アラームの起動時間を更新する。即ち、更新後の起動時間に達した場合にアラームを発する。
【0042】
〈情報通知サーバの機能〉
図5は、情報通知サーバの機能を例示するブロック図である。まず、各車両の車載機20から位置情報や、時刻情報、車速情報等の車両情報がプローブデータとして送信されると、当該データをデータ受信部121が受信し、生情報データベース131へ登録する。
【0043】
また、情報通知サーバ10のサービスを受けるユーザは、予め情報通知サーバ10にユ
ーザ情報を登録しておく。例えば、ユーザがユーザ端末30を用いて情報通知サーバ10にアクセスし、出発地、目的地、当該出発地から目的地への通常ルート及び代替ルート、出発予定時刻、到着予定時刻、情報通知設定などのユーザ情報を送信すると、当該ユーザ情報をユーザ情報登録部122が受信してユーザ情報データベース134に記憶させる。また、ユーザが、全てのユーザ情報を登録するのではなく、ユーザの車載機20から受信したプローブデータに基づいてユーザ情報登録部122が、出発地や、目的地などのユーザデータを推定してユーザ情報データベースに登録しても良い。これによりユーザによるユーザデータ登録の手間を省き、容易にサービスを開始できる。なお、ユーザ情報登録部122によるユーザ情報の具体的な推定手法については後述する。
【0044】
また、情報通知サーバ10のイベント情報取得部123は、イベント情報収集・更新トリガを受けると、サービスプロバイダや、VICSセンターのサーバと接続してイベント情報を取得し、イベント情報データベース132へ登録する。更に、イベント情報取得部123は、ウェブサーバを巡回し、ウェブサイトやブログに掲載されている情報からイベント情報を抽出してイベント情報データベース132へ登録する。
【0045】
リンク情報生成部124は、リンク情報DB構築トリガを受けると、生情報データベース131から、リンク毎の生情報を読み出すと共に、当該生情報の時刻情報に基づいてイベント情報データベース132を参照して当該時刻のリンク状態を求め、リンク毎の生情報、即ちリンク毎に分類された時刻情報と車速情報を更にリンク状態毎に分類し、リンク状態毎の車速情報としてリンク情報データベース133に登録する。
【0046】
また、リンク情報生成部124は、リンク通過時間算出トリガを受けると、リンク情報データベース133から、リンク状態毎の車速情報を読み出すと共に、地図情報データベース135を参照してリンクIDと対応するリンク長を求める。
【0047】
そして、リンク情報生成部124は、当該リンク長を車速情報に基づく車速で除算することにより、リンク状態毎のリンク通過時間を求めてリンク情報データベース133に登録する。
【0048】
更に、リンク状態判定トリガが発せられると、リンク情報生成部124は、イベント情報データベース132を参照して、各リンクのリンク状態を判定し、現時点のリンクの状態をイベント情報データベース132に登録する。即ち、各リンクの現在時刻のイベントとして渋滞や事故等のイベントが登録されていれば、これを現時点のリンクの状態(最新状態)とする。
【0049】
また、出発推奨時刻算出トリガが発せられると、出発推奨時刻算出部125は、ユーザ毎に設定している通常ルートや代替ルートについて、当該ルートを構成するリンクの状態及びリンク通過時間をリンク情報データベース133から抽出する。そして、出発推奨時刻算出部125は、各ルートのリンク通過時間を積算して所要時間を求め、到着予定時刻から当該所要時間を逆算して出発推奨時刻を求め、この算出した出発推奨時刻をユーザ情報データベース134に登録する。なお、出発推奨時刻を求める具体的な処理の流れは後述する。
【0050】
そして、情報通知トリガが発せられると、通知部126がユーザ情報データベース134を参照して情報通知設定に基づいて出発推奨時刻等の情報をユーザ端末30に通知する。
【0051】
〈推奨情報通知方法〉
図6〜図22を用いて推奨情報通知方法について説明する。
《データベースの構築》
先ず、情報を収集してデータベースを構築する。図6は、車両情報の受信や、イベント情報の収集、リンク情報データベース構築の処理のフローを示す図である。
【0052】
なお、図6においてステップS11〜S13は、情報通知サーバ10が受信するプローブデータを作成する車載機20の処理を示している。車載機20は、GPS107から位置情報を取得すると共に、ナビゲーション部130から車速情報や時刻情報を取得する(S11)。そして車載機20は、位置情報、車速情報及び時刻情報を所定形式に変換してアップロードデータを生成し(S12)、当該アップロードデータ(プローブデータ、生情報とも称す)を情報通知サーバ10にアップロードする(S13)。
【0053】
当該アップロードデータを車載機20から受信した(S21)情報通知サーバ10の演算処理部12は、アップロードデータに含まれる位置情報をリンクIDに変換する(S22)。例えば、位置情報が緯度及び経度で示されている場合、地図情報データベース135を参照して当該緯度及び経度に対応するリンクのリンクIDを求める。なお、車載機20が位置情報としてリンクIDをアップロードした場合には、当該ステップS22を省略できる。
【0054】
そして、演算処理部12は、車載機20から受信したアップロードデータをリンクID毎に分類し(S23)、生情報データベースに登録する(S24)。
図7は、アップロードデータをリンクID毎に分類して登録する処理の説明図である。図7に示すように、複数の車両A〜Cが夫々走行したリンクの情報を含むアップロードデータをアップロードし、演算処理部12は各アップロードデータをリンクID毎のデータに分け、同じリンクIDを有した時刻情報及び車速情報をまとめて生情報データベース131に登録する。例えば、図7の例では、車両Aのアップロードデータのうち、リンクID002で識別されるリンクを走行した際の時刻情報(2010/08/28 08:12:45)及び速度情報(35Km/h)と、車両Bのアップロードデータのうち、リンクID002で識別されるリンクを走行した際の時刻情報(2010/08/30 20:15:11)及び速度情報(42Km/h)とが、同じリンクID(002)を有する情報として分類され、まとめて生情報データベース13
1に登録されている。
【0055】
同様に、車両Bのアップロードデータのうち、リンクID004で識別されるリンクを走行した際の時刻情報(2010/08/30 20:15:23)及び速度情報(51Km/h)と、車両Cのアップロードデータのうち、リンクID004で識別されるリンクを走行した際の時刻情報(2010/08/31 01:04:31)及び速度情報(63Km/h)とが、同じリンクID(004)を有す
る情報として分類され、まとめて生情報データベース131に登録されている。
【0056】
また、演算処理部12は、イベント情報収集・更新トリガに応じて、サービスプロバイダや、VICSセンターのサーバと接続してイベント情報を取得し、イベント情報データベース132へ登録する。更に、演算処理部12は、ウェブサーバを巡回し、ウェブサイトやブログに掲載されている情報からイベント情報を抽出してイベント情報データベース132へ登録する(S31)。
【0057】
次に演算処理部12は、リンク情報DB構築トリガを受けると、生情報データベース131から、各リンクの情報、即ちリンク毎の時刻情報及び車速情報を読み出すと共に、当該時刻情報が示す時刻と対応するリンク状態をイベント情報データベース132から求め、各リンクの情報を更にリンク状態毎に分類し(S32)、リンク情報データベース133に登録する(S33)。
【0058】
図8は、リンク情報の登録処理の説明図である。図8においてアップロードデータは生
情報データベース131から読み出されるデータを示しており、リンクID毎に複数の車両情報が記憶されている。なお、図8ではリンクID002−004について二つずつ車両情報が例示されているが、実際には各リンクを通過し、車両情報をアップロードした車両の延べ台数分の車両情報が蓄積されるので、リンク毎に多数の車両情報が蓄積される。
【0059】
そして、各車両情報について、時刻情報をイベント情報データベース132のイベント情報と照合して、当該リンク通過時のリンク状態を求め、リンクID毎の車両情報を更にリンク状態毎に分類してリンク情報データベース133に登録する。図8の例では、リンクIDが004である車両情報が正常と通行規制のリンク状態に分類されて登録されている。
【0060】
次にリンク通過時間の算出処理について説明する。図9は、このリンク通過時間を算出する処理の流れを例示する図である。
リンク通過時間算出トリガが発せられると、演算処理部12は図9に示すリンク通過時間算出処理を開始し、先ず、リンク情報データベース133から各リンクの通過速度(車速情報)のデータ群を読み出す(S41)。
【0061】
また、演算処理部12は、ステップS41でデータを読み出したリンクのリンクIDに基づいて地図情報データベース135を参照し、当該リンクのリンク長を抽出する(S42)。
【0062】
そして、次式のようにリンク長をリンク通過速度で除算し、リンクを通過するのにかかった時間、即ちリンク通過時間を求める(S43)。
リンク通過時間=リンク長/リンク通過速度
このリンク通過時間をリンク情報データベースから読み出したデータ群のそれぞれについて求めて統計処理し、リンク状態毎にリンク通過時間の平均値、最大値、中央値、最頻値、3σ上限値といった統計値を求める(S44)。また、演算処理部12は、これらのリンク通過時間をリンク情報データベース133に登録して(S45)処理を終了する。なお、このリンク通過時間を算出する処理は、リンク通過時間算出トリガが発せられる毎に繰り返し実行される。
【0063】
図10は、ステップS44におけるリンク通過時間の統計処理を説明する図である。図10において、データ群41は、リンクID:101で、リンク状態が正常であった場合のリンク通過時間を示している。ここでデータ群41は、リンク状態毎(図10では正常状態)に分類されてリンク情報データベース133に登録されている全てのデータであっても良いし、所定期間に蓄積したデータであっても良い。例えば前回リンク通過時間を算出した後、今回リンク通過時間算出トリガを受けるまでの期間に蓄積したデータや、最近1週間に蓄積したデータなどとしても良い。
【0064】
演算処理部12は、このデータ群41から最大値、中央値(MEDIAN)、最頻値(MODE)を選択する。図10の例では、最大値が200、中央値が172、最頻値が168である。
【0065】
また、演算処理部12は、データ群41の平均値を算出すると共に、データ群41を正規分布と仮定して標準偏差σを求め、±3σを信頼域とした時の上限値を3σ上限値(上限限界信頼値)として求める。即ち、3σ上限値は、図10(b)に示すように平均値+3σである。
【0066】
次にリンク状態の判定処理について説明する。図11は、情報通知サーバ10の演算処理部によるリンク状態の判定処理のフローを示す図である。
リンク状態判定トリガが発せられると、演算処理部12は、リンク状態の判定処理を開始し、先ず、イベント情報データベース132から、現在のイベント情報を抽出する(S51)。例えば、現在時刻に発生しているイベント或いは現在時刻を含む所定期間内に生じるイベントのうち、事故、渋滞、工事、運行規制といった所定のイベント種別のものと、この位置情報を抽出する。
【0067】
また、演算処理部12は、地図情報データベース135を参照し、抽出した位置情報と対応するリンクIDを求める(S52)。
そして、ステップS51で求めたイベント種別をステップS52で求めたリンクIDと対応する最新のリンク状態としてリンク情報データベース133に登録する(S53)。
【0068】
例えば、イベント情報データベース132から現在生じているイベントとして、”事故”のイベントを抽出場合、この事故イベントの位置情報から、事故の生じているリンクのリンクIDを求め、リンク情報データベース133において当該リンクIDと対応する最新のリンク状態を”事故”と更新する。同様に、イベント情報データベース132に現在生じているイベントとして”渋滞”が登録されている場合、この渋滞イベントの位置情報から、渋滞の生じているリンクのリンクIDを求め、リンク情報データベース133において当該リンクIDと対応する最新のリンク状態を”渋滞”と更新する。
【0069】
この事故や渋滞等のイベントが生じていないリンクについては、リンク情報データベース133のリンク状態を更新せず、デフォルト値である正常状態のままとする。これに限らず、例えばバスの運行状況を取得し、遅れが生じていなければ正常と判定し、リンク情報データベース133のリンク状態として正常であることを登録する構成としても良い。
【0070】
なお、これらの情報が登録されるリンク情報データベース133のデータ構成を図12に例示する。図12では、一つのリンクについて、リンクIDのフィールド42、最新のリンク状態のフィールド43、リンク通過時間のフィールド44が対応付けられている。また、リンク通過時間のフィールド44は、状態1〜状態5に分類されている。図12の例では、状態1が正常状態、状態2が事故、状態3が工事、状態4が運行規制、状態5がその他であることを示している。更に、各状態について夫々、リンク通過時間の平均値、最大値、中央値、最頻値、3σ上限値が登録されている。これにより例えば、所要時間を求める際に、最新のリンク状態を参照し、リンク状態が工事であれば、状態3のリンク通過時間を用いる。ここで、状態3のリンク通過時間のうち、平均値、最大値、中央値、最頻値、3σ上限値の何れを用いるのかは、平均的な所要時間を求めるのか、最大限時間がかかった場合の所要時間を求めるのかといった、求める値の目的等に応じて選択すれば良い。
【0071】
なお、出発推奨時刻を算出する際、異常の影響度に応じて、出発推奨時刻の算出に用いるリンク通過時間を変更しても良い。
例えば、リンク通過時間が普段のリンク通過時間よりも所定値異常長くなっている場合に影響度が大きいと判断する。例えば、正常時と比べて15分程度長くなることが多いに対し、所定値、例えば30分以上長くなっている場合に影響度が大きいとする。
【0072】
また、異常発生時刻から規定時間が経過しているにも関わらず、リンク通過時間に変化が無い、或いは更に延長している場合に影響度が大きいと判断する。例えば、異常発生時刻から30分でリンク通過時間が通常状態に復帰することが多いに対し、所定値、例えば50分以上経過した時点でリンク通過時間に変化が無い、或いは更に延長している場合に影響が大きいと判断する。
【0073】
更に、出発推奨時刻から所定時間以内でリンク通過時間が長くなり続けている場合、例
えば、出発推奨時刻が7:30で、所定時間(3時間)以内でリンク通過時間が長くなり続けている場合、例えば5:00にリンク通過時間が長くなり続けている場合、影響が大きいと判断する。
【0074】
また、ウェブクローリングや、コンテンツプロバイダ、サービスプロバイダから事故や災害等の異常の情報を取得し、異常が発生したリンクと類似するリンクで過去の異常発生時のデータを参照し、リンク通過時間の延長度合いを推定し、この延長度合いが所定値を越える場合に影響が大きいと判断する。
【0075】
なお、類似するリンクとは、一般道か高速道かといった道路種別、車線数、者線幅、エリア、リンク長、交通量などが近いリンクを類似するリンクとする。
このように影響が大きい異常が発生した場合、影響が大きくない異常が発生した場合と比べてリンク通過時間を長くし、総所要時間が長くなるように算出する。例えば影響が大きい場合には、そうでない場合の平均値を1.2倍して用いる。また、影響が大きくない場合には、リンク通過時間の平均値を用い、影響が大きい場合には最大値を用いて総所要時間を算出する。
【0076】
《出発推奨時刻算出処理》
次に、出発推奨時刻算出処理について説明する。図13は、出発推奨時刻算出処理のフローを示す図である。
【0077】
出発推奨時刻算出トリガが発せられると、演算処理部12は、先ずユーザ情報データベース134からユーザ情報を抽出する(S61)。ここで、抽出するユーザ情報は、通常ルート、代替ルート、出発予定時刻、到着予定時刻、余裕時間等である。なお、抽出するユーザ情報は、少なくとも通常ルートを含むのが望ましい。本例では、通常ルート、代替ルートおよび出発予定時刻を抽出する。
【0078】
前記ルートを構成する各リンクについて、リンクIDを基に当該リンクの最新のリンク状態をリンク情報データベース133から抽出し、当該リンク状態のリンク通過時間、例えば平均値を抽出する(S62)。また、各リンクのリンク状態が正常状態のときのリンク通過時間も抽出する。
【0079】
そしてステップS62で抽出したリンク通過時間を積算して、当該ルートを通過する場合の総所要時間を求める(S63)。例えば通常ルートを構成する全リンクのリンク通過時間を積算し、当該通常ルートを通過する現在の総所要時間を求める。また、通常ルートを構成する全リンクについて正常状態でのリンク通過時間を積算し、当該通常ルートを通過する正常状態の総所要時間を求める。また、ステップS61,S62で代替ルートのデータも抽出した場合には、代替ルートについても現在の総所要時間と通常状態の総所要時間を求める。
【0080】
演算処理部12は、ステップS63で求めた現在の総所要時間を基準時間と比較する(S64)。例えば、通常ルートの現在の総所要時間を通常ルートの正常状態の総所要時間(基準時間)と比較する。これに加え、代替ルートの現在の総所要時間を通常ルートの正常状態の総所要時間(基準時間)と比較しても良い。なお、基準時間は、正常状態の総所要時間に限らず、実際に通常ルートの移動にかかった総所要時間を蓄積し、統計処理して平均値、最大値、3σ上限値等の何れかを用いるようにしても良い。これにより、通勤時の通常ルートが通勤ラッシュによって定常的に渋滞している場合でも、実態に則した判定が行える。
【0081】
ステップS64の比較の結果、出発推奨時刻の更新が必要であれば、出発推奨時刻をユ
ーザ情報データベース134に登録する(S65)。本例では、現在の総所要時間が正常状態の総所要時間よりも長い場合に、更新が必要と判定し、その超過分を出発予定時刻から差し引いて出発推奨時刻とし、この出発推奨時刻をユーザ情報データベース134に登録する。なお、ステップS64の比較の結果、出発推奨時刻の更新が不要であれば、出発推奨時刻の登録は、省略できる。また、出発推奨時刻の更新が不要の場合、「遅延無し」といった比較の結果を登録しても良い。
【0082】
なお、本実施形態では、算出した総所要時間と基準時間との差を出発予定時刻から差し引いて出発推奨時刻を求めたが、これに限らず到着予定時刻から総所要時間を差し引いて出発推奨時刻としても良い。
【0083】
《推奨情報の通知処理》
次に推奨情報の通知処理について説明する。図14は推奨情報の通知処理のフローを示す図である。
【0084】
情報通知トリガが発せられると、演算処理部12は、先ずユーザ情報データベース134を参照して、各ユーザについて、出発推奨時刻の有無、即ち、前述の出発推奨時刻算出処理によって出発推奨時刻が登録されたか否かを判定する(S71)。
【0085】
また、演算処理部12は、ユーザ情報データベース134から各ユーザの情報通知設定を抽出する(S72)。
そして、演算処理部12は、各ユーザの情報通知設定に従って推奨情報をユーザ端末30に通知する(S73)。例えば、出発推奨時刻が新たに登録されている場合、当該出発推奨時刻に基づく推奨情報をユーザ端末30に通知する。
【0086】
図15は、情報通知設定の説明図である。各ユーザは、推奨情報を通知する条件を予め選択し、情報通知設定としてユーザ情報データベースに登録しておく。
図15の例では、推奨情報を通知する通知条件と、当該通知条件を有効にするか否かの設定値とを対応付けて情報通知設定としている。例えば、各ユーザは、ユーザ情報を登録する際、各条件について、有効とするか無効とするかを選択し、情報通知設定として設定しておく。
【0087】
図15に示す通知条件1は、「通常ルートに異常が無くても通知する」ものであり、この通知条件1が有効である場合、情報通知サーバ10は通常ルートに異常があっても無くても通常ルートの所要時間や「異常ありません」といったメッセージを推奨情報としてユーザ端末30に通知する。これにより情報通知サーバ10が異常を確認した結果、異常が無かった旨を通知することができ、安心感を求めるユーザのニーズに答えることができる。
【0088】
一方、この通知条件1が無効である場合、情報通知サーバ10は通常ルートに異常があったときのみ推奨情報をユーザ端末30に通知する。これにより通常ルートに異常が発生し、出発時刻やルートを考慮する必要があるときのみ通知を行い、異常が無いときの冗長な通知を行わないので、必要なときにのみ通知を受けたいユーザのニーズに答えることができる。
【0089】
また、通知条件2は、「出発推奨時刻が更新されていなくても通知する」ものであり、この通知条件2が有効である場合、情報通知サーバ10は通常ルートに異常があれば出発推奨時刻に変更が無くても例えば「通常ルートに異常が発生しましたが、代替ルートを通ればいつもどおり到着できます。」といったメッセージや、代替ルートを推奨情報としてユーザ端末30に通知する。なお、このようにルートが変更になる場合には、演算処理部
12が推奨情報を当該ユーザの車載機20にも通知し、代替ルートを表示させるのが好ましい。
【0090】
一方、この通知条件2が無効である場合、情報通知サーバ10は出発推奨時刻が更新された場合、即ち代替ルートを用いても到着予定時刻に到達しない場合に推奨情報をユーザ端末30に通知する。これにより通常ルートに異常が発生し、出発時刻を早める必要があるときのみ通知を行い、冗長な通知を行わないので、必要なときにのみ通知を受けたいユーザのニーズに答えることができる。
【0091】
また、通知条件3は、「出発推奨時刻が更新された場合には、必ずアラーム設定を変更する」ものであり、この通知条件3が有効である場合、通常ルートの所要時間が正常状態時よりも長くなると、代替ルートの所要時間に限らず、情報通知サーバ10はアラーム設定の変更命令を含む推奨情報をユーザ端末30に通知して、ユーザ端末30のアラーム設定を変更させる。これにより、ユーザの起床を早めることができ、所要時間が長くても通常ルートを使いたいユーザのニーズに答えることができる。
【0092】
一方、この通知条件3が無効である場合、通常ルートの所要時間が正常状態時よりも長くなっても、代替ルートを用いれば到着予定時刻に着く場合や、起床後、出発までの時間を短くすれば到着予定時刻に着く場合にはアラーム設定を変更せず、代替ルートを用いても到着予定時刻に到達しない場合にアラーム設定の変更命令を含む推奨情報をユーザ端末30に通知する。これにより代替ルートを用いても到着予定時刻に着かない場合、即ちアラーム設定を早める必要があるときのみ通知を行い、冗長な通知を行わないので、必要なときにのみ通知を受けたいユーザのニーズに答えることができる。
【0093】
通知条件3は、出発推奨時刻が更新されて、出発が早まった場合に、アラーム設定を早めることでユーザの起床時間を早め、出発推奨時刻に出発できるようにするための設定である。従って、ユーザが余裕をもって起床している場合には、アラーム設定を早めなくても良い場合が考えられる。例えば、ユーザが起床してから出発するまでに15分の余裕がある場合に、出発推奨時刻が出発予定時刻よりも10分早く設定されても、この15分の余裕を5分に短縮して10分早く出発すれば、起床時間を早める必要がない。
【0094】
そこで、ユーザが起床後にしてから出発するまでの時間的余裕を余裕時間としてユーザ情報に登録しておき、余裕通知条件3を適用する際、更新された出発推奨時刻と出発予定時刻との差分が余裕時間以内であった場合には、出発時刻が更新されていないと、みなしても良い。即ち、出発推奨時刻が更新されていても出発予定時刻との差が少ないときは、この差を余裕時間で吸収できるので、アラーム設定を変更しない。
【0095】
なお、これらの通知条件は一例であり、他の条件を設定しても良い、また、これらの通知条件を組み合わせても良い。
《ユーザ情報の登録》
ユーザ情報は、ユーザの操作等によってユーザ端末30或いは車載機20から情報通知サーバ10へ送信され、ユーザ情報データベース134に登録される。
【0096】
ユーザ情報は、例えば、出発地、目的地、当該出発地から目的地への通常ルート及び代替ルート、出発予定時刻、到着予定時刻、余裕時間、情報通知設定などである。
出発地を入力する場合、ユーザがユーザ端末30から情報通知サーバ10にアクセスし、ユーザ情報入力用のウェブページを要求すると、情報通知サーバ10は、先ずサービスの提供範囲全体を示す縮尺の小さな地図を示したウェブページをユーザ端末30に提供する。
【0097】
ユーザが、この地図の中から出発地のある部分を選択すると、ユーザ端末30が、この選択位置を情報通知サーバ10に通知し、情報通知サーバ10は、この選択位置を中心とした地図であって、前回の地図よりも一定割合大きい縮尺の地図を提供する。
【0098】
ユーザが、この縮尺の大きい地図の中から出発地のある部分を更に選択すると、ユーザ端末30が、この選択位置を情報通知サーバ10に通知し、情報通知サーバ10は、この選択位置を中心とした地図であって、前回の地図よりも一定割合だけ縮尺の大きな地図を提供し、これを繰り返す。
【0099】
ユーザに提供された地図の縮尺が充分に大きくなり、出発地が地図の中央に位置していることが確認できると、ユーザが決定を選択し、地図の中央の位置情報が出発地として情報通知サーバ10に登録される。
【0100】
また、ユーザの自宅が出発地となることが多いので、車載機20に登録されている自宅情報を情報通知サーバ10に送信することで、この自宅位置を出発地として登録しても良い。
【0101】
更に、ユーザが自宅へ帰る際、自宅を車載機20のナビゲーション部130に目的地として設定することもあるので、この目的地情報を情報通知サーバ10に送信し、出発地として登録しても良い。
【0102】
一方、目的地を入力する場合、出発地と同様に、地図のページの提供と、ユーザによる目的地の選択を繰り返し、目的地が地図の中央に位置していることが確認できると、ユーザが決定を選択し、地図の中央の位置情報が目的地として情報通知サーバ10に登録される。
【0103】
また、目的地の住所を入力することで、情報通知サーバ10が、地図情報データベース135を参照し、当該住所と対応する位置情報を抽出し、目的地として登録しても良い。
また、ユーザの勤務地が通常ルートの目的地となることが多いので、会社の名称や電話番号を入力し、対応する位置情報を求めて目的地情報としてユーザ情報データベース134に登録しても良い。この場合、情報通知サーバ10は、予め会社の名称や電話番号を位置情報と対応付けたデータベースを備えておく。
【0104】
更に、ユーザが会社へ出勤する際、渋滞の回避や通行止めの回避のために会社を目的地としてルート検索することがあるので、この目的地の情報を情報通知サーバ10に送信して目的地としてユーザ情報データベース134に登録しても良い。
【0105】
また、情報通知サーバ10は、各ユーザの車載機20から受信したプローブデータに基づいて出発地及び目的地を推定しても良い。
図16は、出発地及び目的地の推定方法の説明図である。先ず、演算処理部12は、ユーザの車載機20から受信したプローブ情報に基づき車載機20がオン、即ち車両のACC(アクセサリースイッチ)がオンになった位置の位置情報を所定期間にわたって収集する。
【0106】
図16(A)は、○月×日〜△月□日(例えば平日)に、ACCがオンになった位置を地図上に×で示した例である。ユーザが平日に車で通勤している場合、朝自宅でACCをオンし、出勤して勤務先でACCをオフにし、退勤時に勤務先でACCをオンし、自宅でACCをオフすることが多い。このため、平日にACCがオンになった位置は、図16(A)に示すとおり、自宅と勤務先の位置に密集する。
【0107】
そこで、図16(B)に示すように、前記期間(○月×日〜△月□日)の通勤時間帯(図16の例ではAM6:00〜9:00)に、ACCがオンになった位置が密集した場所を自宅位置71として特定し、ユーザ情報データベース134に登録する。
【0108】
また、図16(C)に示すように、前記期間(○月×日〜△月□日)の退勤時間帯(図16の例ではPM5:00〜11:00)に、ACCがオンになった位置が密集した場所を勤務先位置72として特定し、ユーザ情報データベース134に登録する。
【0109】
そして、演算処理部12は、自宅位置71を通勤時の出発地、勤務先72を通勤時の目的地として処理に用いる。これにより、ユーザはユーザ情報を登録する際、出発地及び目的地の入力の手間を省くことができ、情報通知サーバ10のサービスの利用が容易になる。なお、上記出勤時間帯及び退勤時間帯は、上記例に限らず、任意に設定して良い。
【0110】
次に、ユーザ情報の通常ルート及び代替ルートの推定方法を説明する。図17(A)は、○月×日〜△月□日(例えば平日)の走行履歴を地図上に示した例である。そして、演算処理部12は、図17(A)の走行履歴のうち、通勤時間帯(例えばAM6:00〜9:00)における当該ユーザの自宅(出発地)71から勤務先72までの走行履歴を抽出し、最も走行履歴が多い自宅−勤務先間のルートを通常ルートと推定し、ユーザ情報データベース134に登録する。図17(B)では、リンクID001,002,003,004で構成されるルートが最も走行履歴が多く、通常ルートとして登録されたルートである。
【0111】
また、演算処理部12は、リンク情報データベース133を参照し、上記通勤時間帯の通常ルート上に生じた事故や工事、渋滞等の異常を求め、通常ルート上に異常があった場合に、最も走行履歴が多い自宅−勤務先間のルートを代替ルートと推定し、ユーザ情報データベース134に登録する。図17(B)では、リンクID001,005,006,007,004で構成されるルートが代替ルートである。
【0112】
なお、代替ルートは、一つに限らず、複数設定しても良い。また、代替ルートの推定手法は、上記に限らず、通常ルート以外で最も距離が短いルートや、通常ルートの次に走行履歴が多かったルートを代替ルートとしても良い。
【0113】
これにより、ユーザはユーザ情報を登録する際、通常ルート及び代替ルートの入力の手間を省くことができ、情報通知サーバ10のサービスの利用が容易になる。
《所要時間の算出》
次に所要時間の算出手法について説明する。図18は、通常ルートの所要時間を算出する処理の説明図である。先ず、演算処理部12は、ユーザ情報データベース134を参照し、出発地から目的地へのルートの情報を読み出す。図18の例では、通常ルートの情報として、当該通常ルートを構成するリンクのリンクID001,002,003,004を読み出す。
【0114】
また、演算処理部12は、各リンクID001,002,003,004について最新のリンク状態43(図12)をリンク情報データベース133から読み出す。即ち、各リンクが正常状態であるのか、渋滞中であるか、事故が生じているか、などのリンク状態を夫々求める。そして、このリンク状態と対応するリンク通過時間44(図12)を読み出す。なお、このリンク状態は、より詳細に所要時間を算出するため、事故や渋滞だけでなく、月日や曜日、時間、天候によって分類したものであっても良い。
【0115】
また、同じリンクを同じ状態で通過する場合でもリンク通過時間には、ばらつきが生じるため、本実施形態では、リンク状態毎に分類したリンク通過時間から更に、最大値や平
均値、3σ上限値といった統計値を求めている。このうち、図18の例では平均値を用いており、リンクID001のリンク通過時間が9分、リンクID002のリンク通過時間が15分、リンクID003のリンク通過時間が16.5分、リンクID004のリンク通過時間が22.5分である。演算処理部12は、これら各リンクのリンク通過時間を積算し、これらのリンクによって構成されるルートの所要時間を求める。即ち、図18の例では、通常ルートの所要時間が63分と求められる。
【0116】
図18では、リンク情報データベース133にリンク通過時間が登録されている場合を示したが、これに限らず、リンク情報データベース133に各リンクを通過する際の車速(車速情報)を登録しておき、この車速情報を用いてルートの所要時間を求める構成としても良い。
【0117】
図19は、車速情報を用いて通常ルートの所要時間を算出する処理の説明図である。前述と同様に演算処理部12は、ユーザ情報データベースを参照し、出発地から目的地へのルートの情報として当該ルートを構成するリンクのリンクID001,002,003,004を読み出す。
【0118】
また、演算処理部12は、各リンクID001,002,003,004について最新のリンク状態43(図12)をリンク情報データベース133から読み出し、このリンク状態と対応する車速情報を抽出する。
【0119】
なお、同じリンクを同じ状態で通過する場合でも車速には、ばらつきが生じるため、リンク状態毎に分類した車速から更に、最大値や平均値、3σ上限値といった統計値を求めても良い。このうち、図19の例では平均値を用いている。
【0120】
また、演算処理部12は、地図情報データベース135を参照して各リンクのリンクIDと対応するリンク長を抽出する。
そして、演算処理部12は、各リンクのリンク長を車速で除算してリンク通過時間を求め、これらリンク通過時間を積算してルートの所要時間を求める。
【0121】
図19の例では、リンクID001のリンク長が6,000m、車速が40km/hであり、リンク通過時間が9分、リンクID002のリンク長が9,000m、車速が36km/hであり、リンク通過時間が15分、リンクID003のリンク長が6,600m、車速が24km/hであり、リンク通過時間が16.5分、リンクID004のリンク長が7,500m、車速が20km/hであり、リンク通過時間が22.5分と算出される。演算処理部12は、これら各リンクのリンク通過時間を積算し、これらのリンクによって構成されるルートの所要時間を求める。
【0122】
《推奨情報通知の具体例》
次に図20〜図21を用いて推奨情報の通知について具体的に説明する。図20〜図21では、就寝前から到着予定時刻にかけての時間軸を示し、異常が発生した時刻に応じた通知処理の例を示す。また、図20〜図21では、ユーザ情報として、到着予定時刻を8:15〜8:25、出発予定時刻を7:30、起床時刻を6:30、就寝前確認時刻を22:00、起床後の余裕時間を15分とした例を示す。
【0123】
このように、起床時間や就寝時間がユーザ情報によって定められている場合、通知処理は、時刻に応じて、例えば三つのフェーズが考えられる。まず、ユーザが就寝前に翌日の出勤に問題が発生していないかどうかを確認するフェーズ、次に就寝中に問題が生じて起床時間を早める必要があるか否かを確認するフェーズ、そして起床後に出発時間を早める必要があるか否かを確認するフェーズである。
【0124】
図20は、就寝前の通知処理を示す。例えばユーザが就寝前に翌日の出発の状況を最終的に確認したい時刻を「就寝前確認時刻」とし、この就寝前時刻に通知をする情報通知設定をユーザ情報に登録する。
【0125】
そして、21:30の定期トリガ(出発推奨時刻算出トリガ)に応じて出発推奨時刻を
算出する際、通常ルート上に異常が発生していた場合、この異常によってリンク通過時間が基準時間と比べて長くなり通常ルートの総所要時間が長くなるので、情報通知サーバ10の演算処理部12は、出発推奨時間を算出してユーザ情報データベース134に登録する。
【0126】
そして、22:00の情報通知トリガに応じて情報通知処理を行った際、演算処理部1
2は、情報通知設定に従って更新された出発推奨時間を含む推奨情報をユーザ端末30へ送信する。例えば、異常が発生している旨のメッセージ「いつものルート上で異常が発生しています。」や、出発推奨時刻を通知するメッセージ「いつものルートでは7:15の
出発で、いつもどおり8:15〜8:25に到着します。」「代替ルートではいつもどおり7:30の出発で間に合います。」、そして通常ルートと代替ルートを示す画像を推奨
情報51,52として送信する。
【0127】
また、推奨情報51,52は、アラーム設定の確認を促すメッセージを含んでも良い。
推奨情報51は、電子メールで送信する例を示しており、「アラーム設定の確認をお願いします。また万一復旧に時間がかかり出発時刻に再変更が発生する場合はアラームで通知します。アラームによる通知が必要な場合は、下記URLにアクセスして下さい。」のように、アラームを設定するウェブページへのハイパーリンクを記載している。
【0128】
一方、推奨情報52は、専用アプリで送信する例を示しており、「アラーム設定の確認をお願いします。また万一復旧に時間がかかり出発時刻に再変更が発生する場合はアラームで通知します。アラームで通知しますか?」のように、アラームを設定するか否かの選択肢を含める。ユーザがこの選択肢を選択すると、ユーザ端末30が、選択結果を情報通知サーバ10へ通知する。情報通知サーバ10は、受信した選択結果が「はい」であれば、情報通知設定のアラームで通知する条件を有効とし、受信した選択結果が「いいえ」であれば、アラームで通知する条件を無効とする。
【0129】
このように就寝前に推奨情報を通知する設定とすることで、工事や路面凍結といった翌朝まで続く可能性がある異常の有無を確認することができる。また、翌朝まで続く可能性がある場合、アラームで通知するように設定することができる。
【0130】
図21は就寝中の通知処理を示す。ユーザの就寝中も情報通知サーバ10他の時間帯と同様に定期トリガ(出発推奨時刻算出トリガ)に応じて出発推奨時刻の算出を繰り返し、例えば以下の処理を行う。
【0131】
(1)最新のリンク状態に基づいて算出した総所要時間(以下単に最新所要時間とも称す)を基準時間と比べて差がない、若しくは最新所要時間の方が短い場合、情報通知設定に従い、通知を行わないか、異常が無いことを通知する。即ち、図15の条件1がYesであれば、通常ルートに異常が無くても異常がないことを通知する。そして、条件1がNoであれば、通常ルートに異常があったときのみ通知する。
【0132】
(2)基準時間よりも最新所要時間の方が長いが、代替ルートの総所要時間が基準時間以下の場合、「いつもの通勤ルートでは出発予定時刻より早く出発する必要があること」や、「代替ルートでは出発予定時刻で間に合うこと」を通知する。即ち、このような情報
通知設定を予めユーザ情報に登録しておく。
【0133】
(3)基準時間よりも最新所要時間の方が長く、その差がΔであった場合、出発予定時刻から、その差分Δを差し引いて出発推奨時刻を更新した場合、アラーム時刻を変更してユーザの起床を早める必要があるが、この変更は、出発推奨時刻を更新する度に行うのではなく、起床時間に最も近い更新タイミングで更新する。例えば23:00,0:00,1:00・・・5:00,6:00と出発推奨時刻の算出間隔が1時間であり、5:00の時点で基準時間と最新所要時間の差分Δが10分であった場合、6:30の起床時刻から差分Δ10分を差し引いて出発推奨時刻を6:20に更新する。そしてこの出発推奨時刻と次の更新タイミング6:00とを比較した場合、次の更新タイミングの方が早いので、アラーム時刻の更新は次の更新タイミングでも間に合うので、この場合、次回の更新タイミングを待つ。
【0134】
(4)一方、5:00の時点で基準時間と最新所要時間の差分Δが40分であった場合、6:30の起床時刻から差分Δ40分を差し引いて出発推奨時刻を5:50に更新する。そしてこの出発推奨時刻と次の更新タイミング6:00とを比較した場合、次の更新タイミングの方が後になり、アラーム時刻の更新は次の更新タイミングでは間に合わないので、この場合、アラームの起動時刻を5:50とする設定更新命令を推奨情報53,54と共にユーザ端末30へ通知する。
【0135】
ここで推奨情報53,54は、例えば異常が発生している旨のメッセージ「いつものルート上で異常が発生しています。」や、出発推奨時刻を通知するメッセージ「いつものルートでは7:15の出発で、いつもどおり8:15〜8:25に到着します。」「代替ル
ートではいつもどおり7:30の出発で間に合います。」、アラーム時刻を更新した旨の
メッセージ「アラームの設定を変更しました。」そして通常ルートと代替ルートを示す画像等である。
【0136】
なお、5:00の時点で基準時間と最新所要時間の差分Δが10分であって、次の更新タイミングを待ち、6:00の時点で差分Δが40分となっていた場合、直ちにアラームの設定時間を現在時刻に変更してアラームを起動させると共に、間に合わない旨のメッセージを通知する。設定更新命令は、ユーザ端末30の演算処理部32が、アラーム時刻を変更する命令であることを示す情報と、アラーム時刻を示す情報が含まれていれば良く、これらの情報を推奨情報53,54のタイトルや本文、添付ファイルに含めて送信すれば良い。
【0137】
このように就寝中に異常が発生し、早く出発しなければならない場合には、アラーム時刻が更新され、通常よりも早く起床して早く出発できるので、ルート上に異常が発生しても通常どおり到着することができる。
【0138】
また、余裕時間を短縮することで、出発時間を調整できる場合には、アラーム時刻を更新しないので、ユーザが無駄に早く起こされることがない。
図22は起床後の通知処理を示す。
【0139】
ユーザは、起床後、就寝中に届いたメッセージを見て、早く出発する必要があるか否かを確認し、早く出発する必要があれば、余裕時間を端出して出発推奨時間までに出発する。
【0140】
なお、ユーザの起床後も情報通知サーバ10は、定期トリガに応じて随時出発推奨時間の算出等の処理を行い、異常が生じた場合には推奨情報をユーザ端末30や車載機20に通知する。この段階で異常が通知されたとしても出発時間を早めることが出来ない場合が
多いが、異常の種類や状況、到着時間が何分遅れそうか等の情報が出発前に分かるので、ユーザは遅刻の連絡や予定の変更等を予め行うことができる。
【0141】
なお、上記の実施形態では、車両で移動する例を示したが、これに限らず、各リンクを移動する際のリンク通過時間やリンクの状態等の情報が地図情報データベースやリンク情報データベースに登録されていれば、徒歩や公共機関を用いて移動する場合などの推奨情報を提供することもできる。また、これらを組み合わせることもできる。即ち、車両で駅まで行って電車に乗り、最寄り駅から目的地へ徒歩で移動するような場合であっても良い。
【0142】
以上のように本実施形態によれば、出発前に推奨情報を提供できるので、ルート上に事故や渋滞等の異常が生じた場合にも、出発時間を早めて予定の時刻に到着することができる。
【符号の説明】
【0143】
10 情報通知サーバ
12 演算処理部
13 記憶部
14 入出力インタフェイス
20 車載機
30 ユーザ端末
131 生情報データベース
132 イベント情報データベース
133 リンク情報データベース
134 ユーザ情報データベース
135 地図情報データベース
135 地図情報データベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地へ移動する際の情報を案内する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
目的地までの走行経路を表示して案内するものとしてナビゲーションシステムが広く普及している。
例えば、ユーザのスケジュールデータに基づいて目的地までの経路の情報を収集し、出発前に最適な経路を設定するナビゲーションシステムも知られている。また、このナビゲーションシステムでは、設定した経路に渋滞や通行制限等が生じた場合、回避ルートを再設定し、目的地までの所要時間を算出して予定時刻に到着できるか否かを判定する。ここで、予定時刻までに到着し得ない場合には、公共交通機関を用いた場合に予定時刻に到着し得るかを判断し、到着し得る場合には公共交通機関の利用を指示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−160496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、ユーザが予定していた目的地までのルートに渋滞や通行規制等の異常が生じ、予定時刻に到着できない場合、ナビゲーションシステムは異常を回避するルートを案内する。しかし、回避ルートを通ることで異常の影響を最小限に抑えたとしても予定時刻に到着できるとは限らない。例えば、事故で通行できないルートが生じた場合、回避ルートに車両が集中して渋滞となることもあり、予定時刻に到着できるルートが存在しない場合も多い。即ち、従来のナビゲーションシステムでは、ユーザが車両に乗ってシステムを起動することでルート案内が開始(サービスの提供が開始)されるため、この時点で、既に予定時刻に到着できるルートが存在せず、有効な案内をすることができない場合がある。
【0005】
前述の従来技術では、代替手段として公共交通機関を指示することが提案されているが、車両で移動しようとしている際に車両を置き去りにして公共交通機関を用いることができる状況は限られており、根本的な解決にはならない。
【0006】
そこで本発明は、交通情報に基づいて出発前に推奨情報を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、情報通知装置は、
ユーザの目的地及び出発地と、当該出発地から目的地への到着予定時刻とをユーザ情報として記憶するユーザ情報記憶部と、
前記出発地から目的地までの交通情報を参照して当該出発地から前記目的地への所要時間を算出し、当該所要時間と到着予定時刻に基づいて出発推奨時刻を算出する出発推奨時刻算出部と、
ユーザが出発推奨時刻に出発するための余裕時間を記録する余裕時間記録手段と、
前記出発推奨時刻を含む推奨情報を、前記出発推奨時刻と余裕時間を加味した出発可能時刻前に前記ユーザの端末へ通知する通知部と、
を備える。
【0008】
前記通知部は、前記出発推奨時刻に基づいて、ユーザ端末に対し、アラームを発する時
刻を変更する変更命令を送信しても良い。
前記ユーザ情報記憶部が、前記ユーザ情報として許容時間を記憶し、
前記通知部は、前記出発推奨時刻と前記出発予定時刻との差が前記許容時間内である場合、前記アラームの変更命令を送信せず、前記出発推奨時刻と前記出発予定時刻との差が前記許容時間を超えた場合に、前記アラームの変更命令を送信しても良い。
【0009】
上記課題を解決するため、情報通知方法は、
ユーザの目的地及び出発地と、当該出発地から目的地への到着予定時刻とをユーザ情報として記憶するユーザ情報記憶部を参照するステップと、
前記出発地から目的地までの交通情報を参照して当該出発地から前記目的地への所要時間を算出し、当該所要時間と到着予定時刻に基づいて出発推奨時刻を算出するステップと、
ユーザが出発推奨時刻に出発するための余裕時間を記録するステップと、
前記出発推奨時刻を含む推奨情報を、前記出発推奨時刻と余裕時間を加味した出発可能時刻前に前記ユーザの端末へ通知するステップと、
を含む。
【0010】
前記情報通知方法は、前記出発推奨時刻に基づいて、ユーザ端末に対し、アラームを発する時刻を変更する変更命令を送信しても良い。
前記情報通知方法は、前記ユーザ情報記憶部が、前記ユーザ情報として許容時間を記憶し、
前記出発推奨時刻と前記出発予定時刻との差が前記許容時間内である場合、前記アラームの変更命令を送信せず、前記出発推奨時刻と前記出発予定時刻との差が前記許容時間を超えた場合に、前記アラームの変更命令を送信しても良い。
【0011】
また、上記課題を解決するため、本発明は、上記情報通知方法をコンピュータに実行させるための情報通知プログラムであっても良い。更に、この情報通知プログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録しても良い。コンピュータに、この記録媒体の動作情報管理プログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0012】
ここで、コンピュータが読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータから読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体の内コンピュータから取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、DAT、8mmテープ、メモリカード等がある。
【0013】
また、コンピュータに固定された記録媒体としてハードディスクやROM(リードオンリーメモリ)等がある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、交通情報に基づいて出発前に推奨情報を提供することで、目的地に予定どおり到着する時刻に出発することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】情報通知サーバがサービスを提供する際のネットワーク構成を示す図
【図2】情報通知サーバのハードウェア構成を示すブロック図
【図3】車載機のハードウェア構成を例示するブロック図
【図4】ユーザ端末のハードウェア構成を例示するブロック図
【図5】情報通知サーバの機能を例示するブロック図
【図6】車両情報の受信や、イベント情報の収集、リンク情報データベース構築の処理のフローを示す図
【図7】アップロードデータをリンクID毎に分類して登録する処理の説明図
【図8】リンク情報の登録処理の説明図
【図9】リンク通過時間を算出する処理の流れを例示する図
【図10】リンク通過時間の統計処理を説明する図
【図11】情報通知サーバ10の演算処理部によるリンク状態の判定処理のフローを示す図
【図12】リンク情報データベースのデータ構成を例示する図
【図13】出発推奨時刻算出処理のフローを示す図
【図14】推奨情報の通知処理のフローを示す図
【図15】情報通知設定の説明図
【図16】出発地及び目的地の推定方法の説明図
【図17】通常ルート及び代替ルートの推定方法の説明図
【図18】通常ルートの所要時間を算出する処理の説明図
【図19】車速情報を用いて通常ルートの所要時間を算出する処理の説明図
【図20】就寝前の通知処理を示す図
【図21】就寝中の通知処理を示す図
【図22】起床後の通知処理を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
〈全体構成〉
図1は本発明の推奨情報通知装置としての情報通知サーバ10がサービスを提供する際のネットワーク構成を示す図である。本実施形態の情報通知サーバ10は、ネットワークを介してユーザの端末30から出発地や目的地、出発予定時刻、到着予定時刻等の登録を受け、交通情報を参照して出発地から目的地までの所要時間を求め、到着予定時刻までに到着するために出発時刻を変更(特に早める)しなければならない場合に、出発推奨時刻をユーザ端末30やユーザの車両に搭載された車載機20に通知する。ここで交通情報は、VICSセンター(道路交通情報通信システムセンター)等から得た情報や、ウェブサーバをクロールして取得したイベント情報、テレマティクスサービスを利用している車両から通知されるプローブデータなどである。
【0017】
図2は、情報通知サーバ10のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、情報通知サーバ10は、本体内にCPU(central processing unit)やメイン
メモリ等よりなる演算処理部12、演算処理の為のデータやソフトウェアを記憶した記憶部(ハードディスク)13、データの入出力を行う入出力インタフェイス14、通信制御部(CCU:Communication Control Unit)15等を備えたコンピュータである。
【0018】
該入出力インタフェイス14には、キーボードやポインティングデバイスといった操作部、メモリカードやDVDといった記憶媒体の読み書き装置、そして表示装置やプリンタ等の出力デバイスが適宜接続される。
【0019】
CCU15は、ネットワークを介した他のコンピュータとの通信を制御する。
記憶部13には、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフト(推奨情報通知プログラム等)がインストールされている。また、記憶部13は、生情報データベース131、イベント情報データベース132、リンク情報データベース133、ユーザ情報データベース134、地図情報データベース135を格納している。ここで、生情報データベース131は、各車両から受信したプローブデータを一時的に蓄積するためのデータベースであり、各車両から随時送られてくるプローブデータをリンク毎のデータに分類して蓄積し、蓄積したデータを所定のタイミングで読み出してリンク情報の生成処理
等に供する。また、イベント情報データベース132は、事故や工事、通行規制等のイベントの情報を蓄積したデータベースである。リンク情報データベース133は、出発地から目的地までの経路を構成するリンクの状態や通過にかかる情報など、主に出発地から目的地に到達するまでの所要時間を求めるため各リンクの交通情報(以下リンク情報と称す)を蓄積したデータベースである。ユーザ情報データベース134は、出発地、目的地、当該出発地から目的地への通常ルート及び代替ルート、出発予定時刻、到着予定時刻、余裕時間、情報通知設定など、ユーザ毎の設定を蓄積したデータベースである。
【0020】
演算処理部12は、CPUやメモリ、チップセット等を備えた所謂システムボードであり、前記OSやアプリケーションプログラムを記憶部13から適宜読み出して実行し、入出力インタフェイス14やCCU15から入力された情報、及び記憶部13から読み出した情報を演算処理することにより、データ受信部121や、ユーザ情報登録部122、イベント情報取得部123、リンク情報生成部124、出発推奨時刻算出部125、通知部126、トリガ生成部127としても機能する。
【0021】
このデータ受信部121としては、各車両から送信されたプローブデータを受信し、生情報データベース131へ登録する。なお、各車両から直接プローブデータを受信する構成に限らず、テレマティクスサービスを提供するサーバが、各車両からプローブデータを収集し、当該サーバを介してプローブデータを取得しても良い。ここでプローブデータは、車両情報の一例であり、位置情報や時刻情報、車速情報を含むものである。
【0022】
ユーザ情報登録部122としては、ユーザ端末30から送信されたユーザ情報を受信し、ユーザ情報データベース134へ登録する。また、ユーザ情報登録部122は、後述のようにユーザの車両から送信されたプローブ情報に基づいて、出発地、目的地、通常ルート、情報通知設定等のユーザ情報を求めてユーザ情報データベース134へ登録しても良い。
【0023】
イベント情報取得部123としては、事故や工事、通行規制、花火、祭事、デモ行進など、出発地から目的地への移動にかかる時間(所要時間)に影響する(と思われる)イベントの情報(イベント情報)を取得し、イベント情報データベース132へ登録する。ここでイベント情報の取得は、イベント情報を提供するサービスプロバイダや、VICSセンターから受信しても良いし、ウェブサーバを巡回してイベント情報を抽出しても良い。
【0024】
リンク情報生成部124としては、後述のようにイベント情報に基づいてリンク状態を判定し、生情報データベース131から読み出したデータをリンク状態毎に分類してリンク情報とし、リンク情報データベース133に登録する。
【0025】
出発推奨時刻算出部125としては、地図情報及び交通情報に基づいて前記出発地から前記目的地への所要時間を算出し、当該所要時間をかけて前記到着予定時間に到着するための出発推奨時刻を算出する。
【0026】
通知部126としては、出発推奨時刻が所定条件を満たした場合に、当該出発推奨時刻に基づく推奨情報を前記ユーザの端末に通知する。例えば、出発推奨時刻が出発予定時刻よりも早い場合に、当該出発推奨時刻を前記ユーザの端末に通知する。この所定条件は、例えば予めユーザ情報の情報通知設定として登録しておく。
【0027】
トリガ生成部127は、所定のタイミングでトリガ、例えばイベント情報収集・更新トリガ、リンク情報DB構築トリガ、リンク通過時間算出トリガ、リンク状態判定トリガ、出発推奨時刻算出トリガを生成する。トリガ生成部127は、生成したトリガをイベント情報取得部123やリンク情報生成部124、出発推奨時刻算出部125、通知部126
に送ることで、各部を適切なタイミングで動作させる。このトリガを発生させるタイミングは、必要に応じて任意に設定して良く、周期的に発生させることや、所定の時刻に発生させること、スケジュールに基づいて発生させること等でも良い。例えば、出発推奨時刻算出トリガや情報通知トリガは、スケジュールに沿って随時行い、イベント情報収集・更新トリガやリンク情報DB構築トリガ、リンク通過時間算出トリガ、リンク状態判定トリガは、夜間等のアイドル時にトリガを発生させて処理を実行させる。
【0028】
図3は車載機20のハードウェア構成を例示するブロック図である。
100は、車載機内の各部或いは接続された外部機器からの信号、またユーザの操作に基づく各操作部からの操作指示信号等の入力を受け、それら信号に基づき車載機の各部、或いは外部機器を統括的に制御する制御部で、例えばマイクロコンピュータ(マイコン)により構成され、ROM等のメモリに記憶されたプログラムに従い動作する。
【0029】
130は、地図上に自車位置や目的地までの経路を表示したり、交差点等で音声等により右左折等の進行方向案内を行い、また後述するVICS情報受信部106から交通情報、GPS情報受信部107から自車位置情報を入手して表示したりして、目的地までの経路案内を行うナビゲーション部で、ナビゲーションの為の各種演算処理を行うCPU、各種処理のためにデータを記憶するRAM等のメモリ等から構成され、制御部100からの制御信号に従って、そのオン/オフ、各種動作が制御される。
【0030】
また、ナビゲーション部130は、車両側の車速センサ(不図示)から取得した車速を位置情報と対応付けて制御部100へ送り、プローブデータとして情報通知サーバ10に送信する。ここで、位置情報は、例えばリンクIDや、緯度及び経度である。なお、プローブデータとして送信する情報は、車速に限らず、ワイパーを動作させているか否か、即ち雨が降っているか否かや、スリップの発生、気温などの情報を含めても良い。
【0031】
106は、交通情報通信システム(VICS(登録商標))に係る交通情報を受信し、受信した交通情報を出力するVICS情報受信部で、交通情報通信システムからのデータを受信する受信機(FM受信機,電波ビーコン受信機,光ビーコン受信機)、受信したデータを復号する復号回路等から構成される。107は、GPS(登録商標)衛星からのGPS信号に基づき自車位置を検出し、検出した現在地情報を出力するGPS情報受信部で、GPS信号を受信するGPS信号受信回路、受信したGPS信号に基づき自車位置を算出する演算部から構成される。
【0032】
表示部113は、制御部100からの映像信号に基づき表示画面上に地図等の映像を表示する。また、表示部113は、表示画面と重畳させてタッチパネルを備え、操作メニュー等を表示し、ユーザがこの操作メニューに触れて選択する操作をタッチパネルで検出し、検出した操作信号を制御部100に入力する。
【0033】
115は、各種データや制御プログラムを記憶するメモリ(記憶媒体)で、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、書換え可能なフラッシュメモリ等により構成される。
121は、他の装置との通信を行う通信ユニットで、例えば、無線LANやWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)アクセス網、携帯電話回線を介し
て通信を行う。
【0034】
図4は、ユーザ端末30のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図4に示すように、ユーザ端末30は、本体内にCPU(central processing unit)
やメインメモリ等よりなる演算処理部32、演算処理の為のデータやソフトウェアを記憶した記憶部(SSD)33、音声処理部34、通信制御部(CCU:Communication Control Unit)35、入力制御部36、出力制御部37、タイマー38等を備えたコンピュー
タである。ユーザ端末30は、情報通知サーバ10からの出発推奨時刻を受信し、ユーザに通知する機能を有した装置であれば良く、例えば、携帯電話やスマートフォン、パーソナルコンピュータ、PDA、ブックリーダ、テレビ、オーディオなどであっても良い。
【0035】
音声処理部34は、通話用のスピーカ及びマイクと接続され、マイクから入力された音声をエンコードして音声データとし、CCU35を介して送信させると共にCCU35を介して受信した音声データをデコードし、デコードした音声を通話用のスピーカから出力させる。
【0036】
CCU35は、携帯電話回線やインターネット等のネットワークを介して他のコンピュータと接続し、通信の制御を行う。
記憶部33には、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフトがインストールされている。
【0037】
入力制御部36には、キーボードや、操作ボタン、ダイヤル、ポインティングデバイス、タッチパネル等の操作部が接続され、ユーザが当該操作部を操作することによってユーザからの情報の入力を受け、この情報を演算処理部32に入力する。また、入力制御部36には、記憶媒体の読み取り装置(メモリカードリーダ)が接続され、当該記憶媒体から情報を読み出して演算処理部32等へ入力する。
【0038】
出力制御部37には、スピーカ、表示部、LED、バイブレータ等の出力部が接続され、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフトがインストールされている。
【0039】
タイマー38は、クロック信号をカウントすることにより時間や時刻を求めて演算処理部32等に提供する。
演算処理部32は、CPUやメモリ等を備え、前記OSやアプリケーションプログラムを記憶部33から適宜読み出して実行し、入力制御部36やCCU35から入力された情報、及び記憶部33から読み出した情報を演算処理することにより、推奨情報受信部や、アラーム部としても機能する。
【0040】
この推奨情報受信部としては、情報通知サーバ10から出発推奨時刻等の推奨情報を受信して記憶部33に記憶させる。推奨情報受信部は、定期的に情報通知サーバ10へアクセスして推奨情報を取得する構成でも良いし、情報通知サーバ10からプッシュ配信された推奨情報を受信する構成でも良い。
【0041】
アラーム部(通知制御部)は、出力制御部37を介してスピーカや、表示部、LED、バイブレータを制御し、音や光、振動等によりアラームを発する。例えば、予め起動時刻を記憶部33等に記憶させておき、タイマー38から得た現在時刻が起動時刻に達した場合に、所定の音、音楽、音声メッセージ等をアラームとしてスピーカから出力させる。推奨情報受信部が推奨情報として設定変更命令を受けた場合、アラーム部は当該設定変更命令に基づいて、アラームの起動時間を更新する。即ち、更新後の起動時間に達した場合にアラームを発する。
【0042】
〈情報通知サーバの機能〉
図5は、情報通知サーバの機能を例示するブロック図である。まず、各車両の車載機20から位置情報や、時刻情報、車速情報等の車両情報がプローブデータとして送信されると、当該データをデータ受信部121が受信し、生情報データベース131へ登録する。
【0043】
また、情報通知サーバ10のサービスを受けるユーザは、予め情報通知サーバ10にユ
ーザ情報を登録しておく。例えば、ユーザがユーザ端末30を用いて情報通知サーバ10にアクセスし、出発地、目的地、当該出発地から目的地への通常ルート及び代替ルート、出発予定時刻、到着予定時刻、情報通知設定などのユーザ情報を送信すると、当該ユーザ情報をユーザ情報登録部122が受信してユーザ情報データベース134に記憶させる。また、ユーザが、全てのユーザ情報を登録するのではなく、ユーザの車載機20から受信したプローブデータに基づいてユーザ情報登録部122が、出発地や、目的地などのユーザデータを推定してユーザ情報データベースに登録しても良い。これによりユーザによるユーザデータ登録の手間を省き、容易にサービスを開始できる。なお、ユーザ情報登録部122によるユーザ情報の具体的な推定手法については後述する。
【0044】
また、情報通知サーバ10のイベント情報取得部123は、イベント情報収集・更新トリガを受けると、サービスプロバイダや、VICSセンターのサーバと接続してイベント情報を取得し、イベント情報データベース132へ登録する。更に、イベント情報取得部123は、ウェブサーバを巡回し、ウェブサイトやブログに掲載されている情報からイベント情報を抽出してイベント情報データベース132へ登録する。
【0045】
リンク情報生成部124は、リンク情報DB構築トリガを受けると、生情報データベース131から、リンク毎の生情報を読み出すと共に、当該生情報の時刻情報に基づいてイベント情報データベース132を参照して当該時刻のリンク状態を求め、リンク毎の生情報、即ちリンク毎に分類された時刻情報と車速情報を更にリンク状態毎に分類し、リンク状態毎の車速情報としてリンク情報データベース133に登録する。
【0046】
また、リンク情報生成部124は、リンク通過時間算出トリガを受けると、リンク情報データベース133から、リンク状態毎の車速情報を読み出すと共に、地図情報データベース135を参照してリンクIDと対応するリンク長を求める。
【0047】
そして、リンク情報生成部124は、当該リンク長を車速情報に基づく車速で除算することにより、リンク状態毎のリンク通過時間を求めてリンク情報データベース133に登録する。
【0048】
更に、リンク状態判定トリガが発せられると、リンク情報生成部124は、イベント情報データベース132を参照して、各リンクのリンク状態を判定し、現時点のリンクの状態をイベント情報データベース132に登録する。即ち、各リンクの現在時刻のイベントとして渋滞や事故等のイベントが登録されていれば、これを現時点のリンクの状態(最新状態)とする。
【0049】
また、出発推奨時刻算出トリガが発せられると、出発推奨時刻算出部125は、ユーザ毎に設定している通常ルートや代替ルートについて、当該ルートを構成するリンクの状態及びリンク通過時間をリンク情報データベース133から抽出する。そして、出発推奨時刻算出部125は、各ルートのリンク通過時間を積算して所要時間を求め、到着予定時刻から当該所要時間を逆算して出発推奨時刻を求め、この算出した出発推奨時刻をユーザ情報データベース134に登録する。なお、出発推奨時刻を求める具体的な処理の流れは後述する。
【0050】
そして、情報通知トリガが発せられると、通知部126がユーザ情報データベース134を参照して情報通知設定に基づいて出発推奨時刻等の情報をユーザ端末30に通知する。
【0051】
〈推奨情報通知方法〉
図6〜図22を用いて推奨情報通知方法について説明する。
《データベースの構築》
先ず、情報を収集してデータベースを構築する。図6は、車両情報の受信や、イベント情報の収集、リンク情報データベース構築の処理のフローを示す図である。
【0052】
なお、図6においてステップS11〜S13は、情報通知サーバ10が受信するプローブデータを作成する車載機20の処理を示している。車載機20は、GPS107から位置情報を取得すると共に、ナビゲーション部130から車速情報や時刻情報を取得する(S11)。そして車載機20は、位置情報、車速情報及び時刻情報を所定形式に変換してアップロードデータを生成し(S12)、当該アップロードデータ(プローブデータ、生情報とも称す)を情報通知サーバ10にアップロードする(S13)。
【0053】
当該アップロードデータを車載機20から受信した(S21)情報通知サーバ10の演算処理部12は、アップロードデータに含まれる位置情報をリンクIDに変換する(S22)。例えば、位置情報が緯度及び経度で示されている場合、地図情報データベース135を参照して当該緯度及び経度に対応するリンクのリンクIDを求める。なお、車載機20が位置情報としてリンクIDをアップロードした場合には、当該ステップS22を省略できる。
【0054】
そして、演算処理部12は、車載機20から受信したアップロードデータをリンクID毎に分類し(S23)、生情報データベースに登録する(S24)。
図7は、アップロードデータをリンクID毎に分類して登録する処理の説明図である。図7に示すように、複数の車両A〜Cが夫々走行したリンクの情報を含むアップロードデータをアップロードし、演算処理部12は各アップロードデータをリンクID毎のデータに分け、同じリンクIDを有した時刻情報及び車速情報をまとめて生情報データベース131に登録する。例えば、図7の例では、車両Aのアップロードデータのうち、リンクID002で識別されるリンクを走行した際の時刻情報(2010/08/28 08:12:45)及び速度情報(35Km/h)と、車両Bのアップロードデータのうち、リンクID002で識別されるリンクを走行した際の時刻情報(2010/08/30 20:15:11)及び速度情報(42Km/h)とが、同じリンクID(002)を有する情報として分類され、まとめて生情報データベース13
1に登録されている。
【0055】
同様に、車両Bのアップロードデータのうち、リンクID004で識別されるリンクを走行した際の時刻情報(2010/08/30 20:15:23)及び速度情報(51Km/h)と、車両Cのアップロードデータのうち、リンクID004で識別されるリンクを走行した際の時刻情報(2010/08/31 01:04:31)及び速度情報(63Km/h)とが、同じリンクID(004)を有す
る情報として分類され、まとめて生情報データベース131に登録されている。
【0056】
また、演算処理部12は、イベント情報収集・更新トリガに応じて、サービスプロバイダや、VICSセンターのサーバと接続してイベント情報を取得し、イベント情報データベース132へ登録する。更に、演算処理部12は、ウェブサーバを巡回し、ウェブサイトやブログに掲載されている情報からイベント情報を抽出してイベント情報データベース132へ登録する(S31)。
【0057】
次に演算処理部12は、リンク情報DB構築トリガを受けると、生情報データベース131から、各リンクの情報、即ちリンク毎の時刻情報及び車速情報を読み出すと共に、当該時刻情報が示す時刻と対応するリンク状態をイベント情報データベース132から求め、各リンクの情報を更にリンク状態毎に分類し(S32)、リンク情報データベース133に登録する(S33)。
【0058】
図8は、リンク情報の登録処理の説明図である。図8においてアップロードデータは生
情報データベース131から読み出されるデータを示しており、リンクID毎に複数の車両情報が記憶されている。なお、図8ではリンクID002−004について二つずつ車両情報が例示されているが、実際には各リンクを通過し、車両情報をアップロードした車両の延べ台数分の車両情報が蓄積されるので、リンク毎に多数の車両情報が蓄積される。
【0059】
そして、各車両情報について、時刻情報をイベント情報データベース132のイベント情報と照合して、当該リンク通過時のリンク状態を求め、リンクID毎の車両情報を更にリンク状態毎に分類してリンク情報データベース133に登録する。図8の例では、リンクIDが004である車両情報が正常と通行規制のリンク状態に分類されて登録されている。
【0060】
次にリンク通過時間の算出処理について説明する。図9は、このリンク通過時間を算出する処理の流れを例示する図である。
リンク通過時間算出トリガが発せられると、演算処理部12は図9に示すリンク通過時間算出処理を開始し、先ず、リンク情報データベース133から各リンクの通過速度(車速情報)のデータ群を読み出す(S41)。
【0061】
また、演算処理部12は、ステップS41でデータを読み出したリンクのリンクIDに基づいて地図情報データベース135を参照し、当該リンクのリンク長を抽出する(S42)。
【0062】
そして、次式のようにリンク長をリンク通過速度で除算し、リンクを通過するのにかかった時間、即ちリンク通過時間を求める(S43)。
リンク通過時間=リンク長/リンク通過速度
このリンク通過時間をリンク情報データベースから読み出したデータ群のそれぞれについて求めて統計処理し、リンク状態毎にリンク通過時間の平均値、最大値、中央値、最頻値、3σ上限値といった統計値を求める(S44)。また、演算処理部12は、これらのリンク通過時間をリンク情報データベース133に登録して(S45)処理を終了する。なお、このリンク通過時間を算出する処理は、リンク通過時間算出トリガが発せられる毎に繰り返し実行される。
【0063】
図10は、ステップS44におけるリンク通過時間の統計処理を説明する図である。図10において、データ群41は、リンクID:101で、リンク状態が正常であった場合のリンク通過時間を示している。ここでデータ群41は、リンク状態毎(図10では正常状態)に分類されてリンク情報データベース133に登録されている全てのデータであっても良いし、所定期間に蓄積したデータであっても良い。例えば前回リンク通過時間を算出した後、今回リンク通過時間算出トリガを受けるまでの期間に蓄積したデータや、最近1週間に蓄積したデータなどとしても良い。
【0064】
演算処理部12は、このデータ群41から最大値、中央値(MEDIAN)、最頻値(MODE)を選択する。図10の例では、最大値が200、中央値が172、最頻値が168である。
【0065】
また、演算処理部12は、データ群41の平均値を算出すると共に、データ群41を正規分布と仮定して標準偏差σを求め、±3σを信頼域とした時の上限値を3σ上限値(上限限界信頼値)として求める。即ち、3σ上限値は、図10(b)に示すように平均値+3σである。
【0066】
次にリンク状態の判定処理について説明する。図11は、情報通知サーバ10の演算処理部によるリンク状態の判定処理のフローを示す図である。
リンク状態判定トリガが発せられると、演算処理部12は、リンク状態の判定処理を開始し、先ず、イベント情報データベース132から、現在のイベント情報を抽出する(S51)。例えば、現在時刻に発生しているイベント或いは現在時刻を含む所定期間内に生じるイベントのうち、事故、渋滞、工事、運行規制といった所定のイベント種別のものと、この位置情報を抽出する。
【0067】
また、演算処理部12は、地図情報データベース135を参照し、抽出した位置情報と対応するリンクIDを求める(S52)。
そして、ステップS51で求めたイベント種別をステップS52で求めたリンクIDと対応する最新のリンク状態としてリンク情報データベース133に登録する(S53)。
【0068】
例えば、イベント情報データベース132から現在生じているイベントとして、”事故”のイベントを抽出場合、この事故イベントの位置情報から、事故の生じているリンクのリンクIDを求め、リンク情報データベース133において当該リンクIDと対応する最新のリンク状態を”事故”と更新する。同様に、イベント情報データベース132に現在生じているイベントとして”渋滞”が登録されている場合、この渋滞イベントの位置情報から、渋滞の生じているリンクのリンクIDを求め、リンク情報データベース133において当該リンクIDと対応する最新のリンク状態を”渋滞”と更新する。
【0069】
この事故や渋滞等のイベントが生じていないリンクについては、リンク情報データベース133のリンク状態を更新せず、デフォルト値である正常状態のままとする。これに限らず、例えばバスの運行状況を取得し、遅れが生じていなければ正常と判定し、リンク情報データベース133のリンク状態として正常であることを登録する構成としても良い。
【0070】
なお、これらの情報が登録されるリンク情報データベース133のデータ構成を図12に例示する。図12では、一つのリンクについて、リンクIDのフィールド42、最新のリンク状態のフィールド43、リンク通過時間のフィールド44が対応付けられている。また、リンク通過時間のフィールド44は、状態1〜状態5に分類されている。図12の例では、状態1が正常状態、状態2が事故、状態3が工事、状態4が運行規制、状態5がその他であることを示している。更に、各状態について夫々、リンク通過時間の平均値、最大値、中央値、最頻値、3σ上限値が登録されている。これにより例えば、所要時間を求める際に、最新のリンク状態を参照し、リンク状態が工事であれば、状態3のリンク通過時間を用いる。ここで、状態3のリンク通過時間のうち、平均値、最大値、中央値、最頻値、3σ上限値の何れを用いるのかは、平均的な所要時間を求めるのか、最大限時間がかかった場合の所要時間を求めるのかといった、求める値の目的等に応じて選択すれば良い。
【0071】
なお、出発推奨時刻を算出する際、異常の影響度に応じて、出発推奨時刻の算出に用いるリンク通過時間を変更しても良い。
例えば、リンク通過時間が普段のリンク通過時間よりも所定値異常長くなっている場合に影響度が大きいと判断する。例えば、正常時と比べて15分程度長くなることが多いに対し、所定値、例えば30分以上長くなっている場合に影響度が大きいとする。
【0072】
また、異常発生時刻から規定時間が経過しているにも関わらず、リンク通過時間に変化が無い、或いは更に延長している場合に影響度が大きいと判断する。例えば、異常発生時刻から30分でリンク通過時間が通常状態に復帰することが多いに対し、所定値、例えば50分以上経過した時点でリンク通過時間に変化が無い、或いは更に延長している場合に影響が大きいと判断する。
【0073】
更に、出発推奨時刻から所定時間以内でリンク通過時間が長くなり続けている場合、例
えば、出発推奨時刻が7:30で、所定時間(3時間)以内でリンク通過時間が長くなり続けている場合、例えば5:00にリンク通過時間が長くなり続けている場合、影響が大きいと判断する。
【0074】
また、ウェブクローリングや、コンテンツプロバイダ、サービスプロバイダから事故や災害等の異常の情報を取得し、異常が発生したリンクと類似するリンクで過去の異常発生時のデータを参照し、リンク通過時間の延長度合いを推定し、この延長度合いが所定値を越える場合に影響が大きいと判断する。
【0075】
なお、類似するリンクとは、一般道か高速道かといった道路種別、車線数、者線幅、エリア、リンク長、交通量などが近いリンクを類似するリンクとする。
このように影響が大きい異常が発生した場合、影響が大きくない異常が発生した場合と比べてリンク通過時間を長くし、総所要時間が長くなるように算出する。例えば影響が大きい場合には、そうでない場合の平均値を1.2倍して用いる。また、影響が大きくない場合には、リンク通過時間の平均値を用い、影響が大きい場合には最大値を用いて総所要時間を算出する。
【0076】
《出発推奨時刻算出処理》
次に、出発推奨時刻算出処理について説明する。図13は、出発推奨時刻算出処理のフローを示す図である。
【0077】
出発推奨時刻算出トリガが発せられると、演算処理部12は、先ずユーザ情報データベース134からユーザ情報を抽出する(S61)。ここで、抽出するユーザ情報は、通常ルート、代替ルート、出発予定時刻、到着予定時刻、余裕時間等である。なお、抽出するユーザ情報は、少なくとも通常ルートを含むのが望ましい。本例では、通常ルート、代替ルートおよび出発予定時刻を抽出する。
【0078】
前記ルートを構成する各リンクについて、リンクIDを基に当該リンクの最新のリンク状態をリンク情報データベース133から抽出し、当該リンク状態のリンク通過時間、例えば平均値を抽出する(S62)。また、各リンクのリンク状態が正常状態のときのリンク通過時間も抽出する。
【0079】
そしてステップS62で抽出したリンク通過時間を積算して、当該ルートを通過する場合の総所要時間を求める(S63)。例えば通常ルートを構成する全リンクのリンク通過時間を積算し、当該通常ルートを通過する現在の総所要時間を求める。また、通常ルートを構成する全リンクについて正常状態でのリンク通過時間を積算し、当該通常ルートを通過する正常状態の総所要時間を求める。また、ステップS61,S62で代替ルートのデータも抽出した場合には、代替ルートについても現在の総所要時間と通常状態の総所要時間を求める。
【0080】
演算処理部12は、ステップS63で求めた現在の総所要時間を基準時間と比較する(S64)。例えば、通常ルートの現在の総所要時間を通常ルートの正常状態の総所要時間(基準時間)と比較する。これに加え、代替ルートの現在の総所要時間を通常ルートの正常状態の総所要時間(基準時間)と比較しても良い。なお、基準時間は、正常状態の総所要時間に限らず、実際に通常ルートの移動にかかった総所要時間を蓄積し、統計処理して平均値、最大値、3σ上限値等の何れかを用いるようにしても良い。これにより、通勤時の通常ルートが通勤ラッシュによって定常的に渋滞している場合でも、実態に則した判定が行える。
【0081】
ステップS64の比較の結果、出発推奨時刻の更新が必要であれば、出発推奨時刻をユ
ーザ情報データベース134に登録する(S65)。本例では、現在の総所要時間が正常状態の総所要時間よりも長い場合に、更新が必要と判定し、その超過分を出発予定時刻から差し引いて出発推奨時刻とし、この出発推奨時刻をユーザ情報データベース134に登録する。なお、ステップS64の比較の結果、出発推奨時刻の更新が不要であれば、出発推奨時刻の登録は、省略できる。また、出発推奨時刻の更新が不要の場合、「遅延無し」といった比較の結果を登録しても良い。
【0082】
なお、本実施形態では、算出した総所要時間と基準時間との差を出発予定時刻から差し引いて出発推奨時刻を求めたが、これに限らず到着予定時刻から総所要時間を差し引いて出発推奨時刻としても良い。
【0083】
《推奨情報の通知処理》
次に推奨情報の通知処理について説明する。図14は推奨情報の通知処理のフローを示す図である。
【0084】
情報通知トリガが発せられると、演算処理部12は、先ずユーザ情報データベース134を参照して、各ユーザについて、出発推奨時刻の有無、即ち、前述の出発推奨時刻算出処理によって出発推奨時刻が登録されたか否かを判定する(S71)。
【0085】
また、演算処理部12は、ユーザ情報データベース134から各ユーザの情報通知設定を抽出する(S72)。
そして、演算処理部12は、各ユーザの情報通知設定に従って推奨情報をユーザ端末30に通知する(S73)。例えば、出発推奨時刻が新たに登録されている場合、当該出発推奨時刻に基づく推奨情報をユーザ端末30に通知する。
【0086】
図15は、情報通知設定の説明図である。各ユーザは、推奨情報を通知する条件を予め選択し、情報通知設定としてユーザ情報データベースに登録しておく。
図15の例では、推奨情報を通知する通知条件と、当該通知条件を有効にするか否かの設定値とを対応付けて情報通知設定としている。例えば、各ユーザは、ユーザ情報を登録する際、各条件について、有効とするか無効とするかを選択し、情報通知設定として設定しておく。
【0087】
図15に示す通知条件1は、「通常ルートに異常が無くても通知する」ものであり、この通知条件1が有効である場合、情報通知サーバ10は通常ルートに異常があっても無くても通常ルートの所要時間や「異常ありません」といったメッセージを推奨情報としてユーザ端末30に通知する。これにより情報通知サーバ10が異常を確認した結果、異常が無かった旨を通知することができ、安心感を求めるユーザのニーズに答えることができる。
【0088】
一方、この通知条件1が無効である場合、情報通知サーバ10は通常ルートに異常があったときのみ推奨情報をユーザ端末30に通知する。これにより通常ルートに異常が発生し、出発時刻やルートを考慮する必要があるときのみ通知を行い、異常が無いときの冗長な通知を行わないので、必要なときにのみ通知を受けたいユーザのニーズに答えることができる。
【0089】
また、通知条件2は、「出発推奨時刻が更新されていなくても通知する」ものであり、この通知条件2が有効である場合、情報通知サーバ10は通常ルートに異常があれば出発推奨時刻に変更が無くても例えば「通常ルートに異常が発生しましたが、代替ルートを通ればいつもどおり到着できます。」といったメッセージや、代替ルートを推奨情報としてユーザ端末30に通知する。なお、このようにルートが変更になる場合には、演算処理部
12が推奨情報を当該ユーザの車載機20にも通知し、代替ルートを表示させるのが好ましい。
【0090】
一方、この通知条件2が無効である場合、情報通知サーバ10は出発推奨時刻が更新された場合、即ち代替ルートを用いても到着予定時刻に到達しない場合に推奨情報をユーザ端末30に通知する。これにより通常ルートに異常が発生し、出発時刻を早める必要があるときのみ通知を行い、冗長な通知を行わないので、必要なときにのみ通知を受けたいユーザのニーズに答えることができる。
【0091】
また、通知条件3は、「出発推奨時刻が更新された場合には、必ずアラーム設定を変更する」ものであり、この通知条件3が有効である場合、通常ルートの所要時間が正常状態時よりも長くなると、代替ルートの所要時間に限らず、情報通知サーバ10はアラーム設定の変更命令を含む推奨情報をユーザ端末30に通知して、ユーザ端末30のアラーム設定を変更させる。これにより、ユーザの起床を早めることができ、所要時間が長くても通常ルートを使いたいユーザのニーズに答えることができる。
【0092】
一方、この通知条件3が無効である場合、通常ルートの所要時間が正常状態時よりも長くなっても、代替ルートを用いれば到着予定時刻に着く場合や、起床後、出発までの時間を短くすれば到着予定時刻に着く場合にはアラーム設定を変更せず、代替ルートを用いても到着予定時刻に到達しない場合にアラーム設定の変更命令を含む推奨情報をユーザ端末30に通知する。これにより代替ルートを用いても到着予定時刻に着かない場合、即ちアラーム設定を早める必要があるときのみ通知を行い、冗長な通知を行わないので、必要なときにのみ通知を受けたいユーザのニーズに答えることができる。
【0093】
通知条件3は、出発推奨時刻が更新されて、出発が早まった場合に、アラーム設定を早めることでユーザの起床時間を早め、出発推奨時刻に出発できるようにするための設定である。従って、ユーザが余裕をもって起床している場合には、アラーム設定を早めなくても良い場合が考えられる。例えば、ユーザが起床してから出発するまでに15分の余裕がある場合に、出発推奨時刻が出発予定時刻よりも10分早く設定されても、この15分の余裕を5分に短縮して10分早く出発すれば、起床時間を早める必要がない。
【0094】
そこで、ユーザが起床後にしてから出発するまでの時間的余裕を余裕時間としてユーザ情報に登録しておき、余裕通知条件3を適用する際、更新された出発推奨時刻と出発予定時刻との差分が余裕時間以内であった場合には、出発時刻が更新されていないと、みなしても良い。即ち、出発推奨時刻が更新されていても出発予定時刻との差が少ないときは、この差を余裕時間で吸収できるので、アラーム設定を変更しない。
【0095】
なお、これらの通知条件は一例であり、他の条件を設定しても良い、また、これらの通知条件を組み合わせても良い。
《ユーザ情報の登録》
ユーザ情報は、ユーザの操作等によってユーザ端末30或いは車載機20から情報通知サーバ10へ送信され、ユーザ情報データベース134に登録される。
【0096】
ユーザ情報は、例えば、出発地、目的地、当該出発地から目的地への通常ルート及び代替ルート、出発予定時刻、到着予定時刻、余裕時間、情報通知設定などである。
出発地を入力する場合、ユーザがユーザ端末30から情報通知サーバ10にアクセスし、ユーザ情報入力用のウェブページを要求すると、情報通知サーバ10は、先ずサービスの提供範囲全体を示す縮尺の小さな地図を示したウェブページをユーザ端末30に提供する。
【0097】
ユーザが、この地図の中から出発地のある部分を選択すると、ユーザ端末30が、この選択位置を情報通知サーバ10に通知し、情報通知サーバ10は、この選択位置を中心とした地図であって、前回の地図よりも一定割合大きい縮尺の地図を提供する。
【0098】
ユーザが、この縮尺の大きい地図の中から出発地のある部分を更に選択すると、ユーザ端末30が、この選択位置を情報通知サーバ10に通知し、情報通知サーバ10は、この選択位置を中心とした地図であって、前回の地図よりも一定割合だけ縮尺の大きな地図を提供し、これを繰り返す。
【0099】
ユーザに提供された地図の縮尺が充分に大きくなり、出発地が地図の中央に位置していることが確認できると、ユーザが決定を選択し、地図の中央の位置情報が出発地として情報通知サーバ10に登録される。
【0100】
また、ユーザの自宅が出発地となることが多いので、車載機20に登録されている自宅情報を情報通知サーバ10に送信することで、この自宅位置を出発地として登録しても良い。
【0101】
更に、ユーザが自宅へ帰る際、自宅を車載機20のナビゲーション部130に目的地として設定することもあるので、この目的地情報を情報通知サーバ10に送信し、出発地として登録しても良い。
【0102】
一方、目的地を入力する場合、出発地と同様に、地図のページの提供と、ユーザによる目的地の選択を繰り返し、目的地が地図の中央に位置していることが確認できると、ユーザが決定を選択し、地図の中央の位置情報が目的地として情報通知サーバ10に登録される。
【0103】
また、目的地の住所を入力することで、情報通知サーバ10が、地図情報データベース135を参照し、当該住所と対応する位置情報を抽出し、目的地として登録しても良い。
また、ユーザの勤務地が通常ルートの目的地となることが多いので、会社の名称や電話番号を入力し、対応する位置情報を求めて目的地情報としてユーザ情報データベース134に登録しても良い。この場合、情報通知サーバ10は、予め会社の名称や電話番号を位置情報と対応付けたデータベースを備えておく。
【0104】
更に、ユーザが会社へ出勤する際、渋滞の回避や通行止めの回避のために会社を目的地としてルート検索することがあるので、この目的地の情報を情報通知サーバ10に送信して目的地としてユーザ情報データベース134に登録しても良い。
【0105】
また、情報通知サーバ10は、各ユーザの車載機20から受信したプローブデータに基づいて出発地及び目的地を推定しても良い。
図16は、出発地及び目的地の推定方法の説明図である。先ず、演算処理部12は、ユーザの車載機20から受信したプローブ情報に基づき車載機20がオン、即ち車両のACC(アクセサリースイッチ)がオンになった位置の位置情報を所定期間にわたって収集する。
【0106】
図16(A)は、○月×日〜△月□日(例えば平日)に、ACCがオンになった位置を地図上に×で示した例である。ユーザが平日に車で通勤している場合、朝自宅でACCをオンし、出勤して勤務先でACCをオフにし、退勤時に勤務先でACCをオンし、自宅でACCをオフすることが多い。このため、平日にACCがオンになった位置は、図16(A)に示すとおり、自宅と勤務先の位置に密集する。
【0107】
そこで、図16(B)に示すように、前記期間(○月×日〜△月□日)の通勤時間帯(図16の例ではAM6:00〜9:00)に、ACCがオンになった位置が密集した場所を自宅位置71として特定し、ユーザ情報データベース134に登録する。
【0108】
また、図16(C)に示すように、前記期間(○月×日〜△月□日)の退勤時間帯(図16の例ではPM5:00〜11:00)に、ACCがオンになった位置が密集した場所を勤務先位置72として特定し、ユーザ情報データベース134に登録する。
【0109】
そして、演算処理部12は、自宅位置71を通勤時の出発地、勤務先72を通勤時の目的地として処理に用いる。これにより、ユーザはユーザ情報を登録する際、出発地及び目的地の入力の手間を省くことができ、情報通知サーバ10のサービスの利用が容易になる。なお、上記出勤時間帯及び退勤時間帯は、上記例に限らず、任意に設定して良い。
【0110】
次に、ユーザ情報の通常ルート及び代替ルートの推定方法を説明する。図17(A)は、○月×日〜△月□日(例えば平日)の走行履歴を地図上に示した例である。そして、演算処理部12は、図17(A)の走行履歴のうち、通勤時間帯(例えばAM6:00〜9:00)における当該ユーザの自宅(出発地)71から勤務先72までの走行履歴を抽出し、最も走行履歴が多い自宅−勤務先間のルートを通常ルートと推定し、ユーザ情報データベース134に登録する。図17(B)では、リンクID001,002,003,004で構成されるルートが最も走行履歴が多く、通常ルートとして登録されたルートである。
【0111】
また、演算処理部12は、リンク情報データベース133を参照し、上記通勤時間帯の通常ルート上に生じた事故や工事、渋滞等の異常を求め、通常ルート上に異常があった場合に、最も走行履歴が多い自宅−勤務先間のルートを代替ルートと推定し、ユーザ情報データベース134に登録する。図17(B)では、リンクID001,005,006,007,004で構成されるルートが代替ルートである。
【0112】
なお、代替ルートは、一つに限らず、複数設定しても良い。また、代替ルートの推定手法は、上記に限らず、通常ルート以外で最も距離が短いルートや、通常ルートの次に走行履歴が多かったルートを代替ルートとしても良い。
【0113】
これにより、ユーザはユーザ情報を登録する際、通常ルート及び代替ルートの入力の手間を省くことができ、情報通知サーバ10のサービスの利用が容易になる。
《所要時間の算出》
次に所要時間の算出手法について説明する。図18は、通常ルートの所要時間を算出する処理の説明図である。先ず、演算処理部12は、ユーザ情報データベース134を参照し、出発地から目的地へのルートの情報を読み出す。図18の例では、通常ルートの情報として、当該通常ルートを構成するリンクのリンクID001,002,003,004を読み出す。
【0114】
また、演算処理部12は、各リンクID001,002,003,004について最新のリンク状態43(図12)をリンク情報データベース133から読み出す。即ち、各リンクが正常状態であるのか、渋滞中であるか、事故が生じているか、などのリンク状態を夫々求める。そして、このリンク状態と対応するリンク通過時間44(図12)を読み出す。なお、このリンク状態は、より詳細に所要時間を算出するため、事故や渋滞だけでなく、月日や曜日、時間、天候によって分類したものであっても良い。
【0115】
また、同じリンクを同じ状態で通過する場合でもリンク通過時間には、ばらつきが生じるため、本実施形態では、リンク状態毎に分類したリンク通過時間から更に、最大値や平
均値、3σ上限値といった統計値を求めている。このうち、図18の例では平均値を用いており、リンクID001のリンク通過時間が9分、リンクID002のリンク通過時間が15分、リンクID003のリンク通過時間が16.5分、リンクID004のリンク通過時間が22.5分である。演算処理部12は、これら各リンクのリンク通過時間を積算し、これらのリンクによって構成されるルートの所要時間を求める。即ち、図18の例では、通常ルートの所要時間が63分と求められる。
【0116】
図18では、リンク情報データベース133にリンク通過時間が登録されている場合を示したが、これに限らず、リンク情報データベース133に各リンクを通過する際の車速(車速情報)を登録しておき、この車速情報を用いてルートの所要時間を求める構成としても良い。
【0117】
図19は、車速情報を用いて通常ルートの所要時間を算出する処理の説明図である。前述と同様に演算処理部12は、ユーザ情報データベースを参照し、出発地から目的地へのルートの情報として当該ルートを構成するリンクのリンクID001,002,003,004を読み出す。
【0118】
また、演算処理部12は、各リンクID001,002,003,004について最新のリンク状態43(図12)をリンク情報データベース133から読み出し、このリンク状態と対応する車速情報を抽出する。
【0119】
なお、同じリンクを同じ状態で通過する場合でも車速には、ばらつきが生じるため、リンク状態毎に分類した車速から更に、最大値や平均値、3σ上限値といった統計値を求めても良い。このうち、図19の例では平均値を用いている。
【0120】
また、演算処理部12は、地図情報データベース135を参照して各リンクのリンクIDと対応するリンク長を抽出する。
そして、演算処理部12は、各リンクのリンク長を車速で除算してリンク通過時間を求め、これらリンク通過時間を積算してルートの所要時間を求める。
【0121】
図19の例では、リンクID001のリンク長が6,000m、車速が40km/hであり、リンク通過時間が9分、リンクID002のリンク長が9,000m、車速が36km/hであり、リンク通過時間が15分、リンクID003のリンク長が6,600m、車速が24km/hであり、リンク通過時間が16.5分、リンクID004のリンク長が7,500m、車速が20km/hであり、リンク通過時間が22.5分と算出される。演算処理部12は、これら各リンクのリンク通過時間を積算し、これらのリンクによって構成されるルートの所要時間を求める。
【0122】
《推奨情報通知の具体例》
次に図20〜図21を用いて推奨情報の通知について具体的に説明する。図20〜図21では、就寝前から到着予定時刻にかけての時間軸を示し、異常が発生した時刻に応じた通知処理の例を示す。また、図20〜図21では、ユーザ情報として、到着予定時刻を8:15〜8:25、出発予定時刻を7:30、起床時刻を6:30、就寝前確認時刻を22:00、起床後の余裕時間を15分とした例を示す。
【0123】
このように、起床時間や就寝時間がユーザ情報によって定められている場合、通知処理は、時刻に応じて、例えば三つのフェーズが考えられる。まず、ユーザが就寝前に翌日の出勤に問題が発生していないかどうかを確認するフェーズ、次に就寝中に問題が生じて起床時間を早める必要があるか否かを確認するフェーズ、そして起床後に出発時間を早める必要があるか否かを確認するフェーズである。
【0124】
図20は、就寝前の通知処理を示す。例えばユーザが就寝前に翌日の出発の状況を最終的に確認したい時刻を「就寝前確認時刻」とし、この就寝前時刻に通知をする情報通知設定をユーザ情報に登録する。
【0125】
そして、21:30の定期トリガ(出発推奨時刻算出トリガ)に応じて出発推奨時刻を
算出する際、通常ルート上に異常が発生していた場合、この異常によってリンク通過時間が基準時間と比べて長くなり通常ルートの総所要時間が長くなるので、情報通知サーバ10の演算処理部12は、出発推奨時間を算出してユーザ情報データベース134に登録する。
【0126】
そして、22:00の情報通知トリガに応じて情報通知処理を行った際、演算処理部1
2は、情報通知設定に従って更新された出発推奨時間を含む推奨情報をユーザ端末30へ送信する。例えば、異常が発生している旨のメッセージ「いつものルート上で異常が発生しています。」や、出発推奨時刻を通知するメッセージ「いつものルートでは7:15の
出発で、いつもどおり8:15〜8:25に到着します。」「代替ルートではいつもどおり7:30の出発で間に合います。」、そして通常ルートと代替ルートを示す画像を推奨
情報51,52として送信する。
【0127】
また、推奨情報51,52は、アラーム設定の確認を促すメッセージを含んでも良い。
推奨情報51は、電子メールで送信する例を示しており、「アラーム設定の確認をお願いします。また万一復旧に時間がかかり出発時刻に再変更が発生する場合はアラームで通知します。アラームによる通知が必要な場合は、下記URLにアクセスして下さい。」のように、アラームを設定するウェブページへのハイパーリンクを記載している。
【0128】
一方、推奨情報52は、専用アプリで送信する例を示しており、「アラーム設定の確認をお願いします。また万一復旧に時間がかかり出発時刻に再変更が発生する場合はアラームで通知します。アラームで通知しますか?」のように、アラームを設定するか否かの選択肢を含める。ユーザがこの選択肢を選択すると、ユーザ端末30が、選択結果を情報通知サーバ10へ通知する。情報通知サーバ10は、受信した選択結果が「はい」であれば、情報通知設定のアラームで通知する条件を有効とし、受信した選択結果が「いいえ」であれば、アラームで通知する条件を無効とする。
【0129】
このように就寝前に推奨情報を通知する設定とすることで、工事や路面凍結といった翌朝まで続く可能性がある異常の有無を確認することができる。また、翌朝まで続く可能性がある場合、アラームで通知するように設定することができる。
【0130】
図21は就寝中の通知処理を示す。ユーザの就寝中も情報通知サーバ10他の時間帯と同様に定期トリガ(出発推奨時刻算出トリガ)に応じて出発推奨時刻の算出を繰り返し、例えば以下の処理を行う。
【0131】
(1)最新のリンク状態に基づいて算出した総所要時間(以下単に最新所要時間とも称す)を基準時間と比べて差がない、若しくは最新所要時間の方が短い場合、情報通知設定に従い、通知を行わないか、異常が無いことを通知する。即ち、図15の条件1がYesであれば、通常ルートに異常が無くても異常がないことを通知する。そして、条件1がNoであれば、通常ルートに異常があったときのみ通知する。
【0132】
(2)基準時間よりも最新所要時間の方が長いが、代替ルートの総所要時間が基準時間以下の場合、「いつもの通勤ルートでは出発予定時刻より早く出発する必要があること」や、「代替ルートでは出発予定時刻で間に合うこと」を通知する。即ち、このような情報
通知設定を予めユーザ情報に登録しておく。
【0133】
(3)基準時間よりも最新所要時間の方が長く、その差がΔであった場合、出発予定時刻から、その差分Δを差し引いて出発推奨時刻を更新した場合、アラーム時刻を変更してユーザの起床を早める必要があるが、この変更は、出発推奨時刻を更新する度に行うのではなく、起床時間に最も近い更新タイミングで更新する。例えば23:00,0:00,1:00・・・5:00,6:00と出発推奨時刻の算出間隔が1時間であり、5:00の時点で基準時間と最新所要時間の差分Δが10分であった場合、6:30の起床時刻から差分Δ10分を差し引いて出発推奨時刻を6:20に更新する。そしてこの出発推奨時刻と次の更新タイミング6:00とを比較した場合、次の更新タイミングの方が早いので、アラーム時刻の更新は次の更新タイミングでも間に合うので、この場合、次回の更新タイミングを待つ。
【0134】
(4)一方、5:00の時点で基準時間と最新所要時間の差分Δが40分であった場合、6:30の起床時刻から差分Δ40分を差し引いて出発推奨時刻を5:50に更新する。そしてこの出発推奨時刻と次の更新タイミング6:00とを比較した場合、次の更新タイミングの方が後になり、アラーム時刻の更新は次の更新タイミングでは間に合わないので、この場合、アラームの起動時刻を5:50とする設定更新命令を推奨情報53,54と共にユーザ端末30へ通知する。
【0135】
ここで推奨情報53,54は、例えば異常が発生している旨のメッセージ「いつものルート上で異常が発生しています。」や、出発推奨時刻を通知するメッセージ「いつものルートでは7:15の出発で、いつもどおり8:15〜8:25に到着します。」「代替ル
ートではいつもどおり7:30の出発で間に合います。」、アラーム時刻を更新した旨の
メッセージ「アラームの設定を変更しました。」そして通常ルートと代替ルートを示す画像等である。
【0136】
なお、5:00の時点で基準時間と最新所要時間の差分Δが10分であって、次の更新タイミングを待ち、6:00の時点で差分Δが40分となっていた場合、直ちにアラームの設定時間を現在時刻に変更してアラームを起動させると共に、間に合わない旨のメッセージを通知する。設定更新命令は、ユーザ端末30の演算処理部32が、アラーム時刻を変更する命令であることを示す情報と、アラーム時刻を示す情報が含まれていれば良く、これらの情報を推奨情報53,54のタイトルや本文、添付ファイルに含めて送信すれば良い。
【0137】
このように就寝中に異常が発生し、早く出発しなければならない場合には、アラーム時刻が更新され、通常よりも早く起床して早く出発できるので、ルート上に異常が発生しても通常どおり到着することができる。
【0138】
また、余裕時間を短縮することで、出発時間を調整できる場合には、アラーム時刻を更新しないので、ユーザが無駄に早く起こされることがない。
図22は起床後の通知処理を示す。
【0139】
ユーザは、起床後、就寝中に届いたメッセージを見て、早く出発する必要があるか否かを確認し、早く出発する必要があれば、余裕時間を端出して出発推奨時間までに出発する。
【0140】
なお、ユーザの起床後も情報通知サーバ10は、定期トリガに応じて随時出発推奨時間の算出等の処理を行い、異常が生じた場合には推奨情報をユーザ端末30や車載機20に通知する。この段階で異常が通知されたとしても出発時間を早めることが出来ない場合が
多いが、異常の種類や状況、到着時間が何分遅れそうか等の情報が出発前に分かるので、ユーザは遅刻の連絡や予定の変更等を予め行うことができる。
【0141】
なお、上記の実施形態では、車両で移動する例を示したが、これに限らず、各リンクを移動する際のリンク通過時間やリンクの状態等の情報が地図情報データベースやリンク情報データベースに登録されていれば、徒歩や公共機関を用いて移動する場合などの推奨情報を提供することもできる。また、これらを組み合わせることもできる。即ち、車両で駅まで行って電車に乗り、最寄り駅から目的地へ徒歩で移動するような場合であっても良い。
【0142】
以上のように本実施形態によれば、出発前に推奨情報を提供できるので、ルート上に事故や渋滞等の異常が生じた場合にも、出発時間を早めて予定の時刻に到着することができる。
【符号の説明】
【0143】
10 情報通知サーバ
12 演算処理部
13 記憶部
14 入出力インタフェイス
20 車載機
30 ユーザ端末
131 生情報データベース
132 イベント情報データベース
133 リンク情報データベース
134 ユーザ情報データベース
135 地図情報データベース
135 地図情報データベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの目的地及び出発地と、当該出発地から目的地への到着予定時刻とをユーザ情報として記憶するユーザ情報記憶部と、
前記出発地から目的地までの交通情報を参照して当該出発地から前記目的地への所要時間を算出し、当該所要時間と到着予定時刻に基づいて出発推奨時刻を算出する出発推奨時刻算出部と、
ユーザが出発推奨時刻に出発するための余裕時間を記録する余裕時間記録手段と、
前記出発推奨時刻を含む推奨情報を、前記出発推奨時刻と余裕時間を加味した出発可能時刻前に前記ユーザの端末へ通知する通知部と、
を備える情報通知装置。
【請求項2】
ユーザの目的地及び出発地と、当該出発地から目的地への到着予定時刻とをユーザ情報として記憶するユーザ情報記憶部を参照するステップと、
前記出発地から目的地までの交通情報を参照して当該出発地から前記目的地への所要時間を算出し、当該所要時間と到着予定時刻に基づいて出発推奨時刻を算出するステップと、
ユーザが出発推奨時刻に出発するための余裕時間を記録するステップと、
前記出発推奨時刻を含む推奨情報を、前記出発推奨時刻と余裕時間を加味した出発可能時刻前に前記ユーザの端末へ通知するステップと、
を含む情報通知方法。
【請求項3】
ユーザの目的地及び出発地と、当該出発地から目的地への到着予定時刻とをユーザ情報として記憶するユーザ情報記憶部を参照するステップと、
前記出発地から目的地までの交通情報を参照して当該出発地から前記目的地への所要時間を算出し、当該所要時間と到着予定時刻に基づいて出発推奨時刻を算出するステップと、
ユーザが出発推奨時刻に出発するための余裕時間を記録するステップと、
前記出発推奨時刻を含む推奨情報を、前記出発推奨時刻と余裕時間を加味した出発可能時刻前に前記ユーザの端末へ通知するステップと、
を実行させるための情報通知プログラム。
【請求項1】
ユーザの目的地及び出発地と、当該出発地から目的地への到着予定時刻とをユーザ情報として記憶するユーザ情報記憶部と、
前記出発地から目的地までの交通情報を参照して当該出発地から前記目的地への所要時間を算出し、当該所要時間と到着予定時刻に基づいて出発推奨時刻を算出する出発推奨時刻算出部と、
ユーザが出発推奨時刻に出発するための余裕時間を記録する余裕時間記録手段と、
前記出発推奨時刻を含む推奨情報を、前記出発推奨時刻と余裕時間を加味した出発可能時刻前に前記ユーザの端末へ通知する通知部と、
を備える情報通知装置。
【請求項2】
ユーザの目的地及び出発地と、当該出発地から目的地への到着予定時刻とをユーザ情報として記憶するユーザ情報記憶部を参照するステップと、
前記出発地から目的地までの交通情報を参照して当該出発地から前記目的地への所要時間を算出し、当該所要時間と到着予定時刻に基づいて出発推奨時刻を算出するステップと、
ユーザが出発推奨時刻に出発するための余裕時間を記録するステップと、
前記出発推奨時刻を含む推奨情報を、前記出発推奨時刻と余裕時間を加味した出発可能時刻前に前記ユーザの端末へ通知するステップと、
を含む情報通知方法。
【請求項3】
ユーザの目的地及び出発地と、当該出発地から目的地への到着予定時刻とをユーザ情報として記憶するユーザ情報記憶部を参照するステップと、
前記出発地から目的地までの交通情報を参照して当該出発地から前記目的地への所要時間を算出し、当該所要時間と到着予定時刻に基づいて出発推奨時刻を算出するステップと、
ユーザが出発推奨時刻に出発するための余裕時間を記録するステップと、
前記出発推奨時刻を含む推奨情報を、前記出発推奨時刻と余裕時間を加味した出発可能時刻前に前記ユーザの端末へ通知するステップと、
を実行させるための情報通知プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−242301(P2012−242301A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114167(P2011−114167)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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