説明

感光性樹脂組成物

【課題】保存時の粘度上昇が小さく、微細な線幅のパターンを形成し得る感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】バインダー樹脂(A)、光重合性化合物(B)、光重合開始剤(C)および溶剤(D)を含有し、バインダー樹脂(A)が、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸無水物(A1)と脂肪族多環式エポキシ化合物(A2)との共重合体である感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置やタッチパネルなど、表示装置を構成するカラーフィルタ基板とアレイ基板との間には、両基板の間隔を保持するためにスペーサが設けられている。このスペーサには、ガラスビーズ、プラスチックビーズ等の球形粒子が使用されている。
【0003】
しかしながら、このような球形粒子を使用すると、当該球形粒子がガラス基板上に無秩序に散布されるため、TFT素子や電極などに損傷を与えたり、また当該球形粒子が透過画素部内に存在すると、入射光の散乱により、液晶表示素子のコントラストが低下したりすることがあった。そこで、球形粒子を用いる代わりに、感光性樹脂組成物でスペーサを形成することが提案されている。この方法によれば、任意の場所にスペーサを形成することができるので、前述した問題点を解決することができる。
【0004】
このような感光性樹脂組成物としては、カルボキシル基およびグリシジルエーテル基を有するアクリル共重合体をバインダー樹脂として含有するスペーサ形成用組成物が知られている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−133600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、保存時の粘度上昇が小さく、微細な線幅のパターンを形成し得る感光性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記の課題を解決し得る感光性樹脂組成物を見出すべく検討した結果、ある種の二元系共重合体を含む感光性樹脂組成物が、保存時の粘度上昇が小さく、微細な線幅のパターンを形成し得ることを見出した。
【0008】
即ち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供するものである。
[1]バインダー樹脂(A)、光重合性化合物(B)、光重合開始剤(C)および溶剤(D)を含有し、バインダー樹脂(A)が、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸無水物(A1)と脂肪族多環式エポキシ化合物(A2)との共重合体である感光性樹脂組成物。
[2]脂肪族多環式エポキシ化合物(A2)が、脂肪族多環式化合物の環上にエポキシ基を有し、かつ不飽和結合を有する化合物である[1]記載の感光性樹脂組成物。
[3]脂肪族多環式エポキシ基を有する単量体(A2)が、式(I)で表される化合物および式(II)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である[1]または[2]記載の感光性樹脂組成物。

[式(I)および式(II)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子または水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xは、それぞれ独立に、単結合またはヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表す。]
[4]光重合開始剤(C)の含有量は、バインダー樹脂(A)および光重合性化合物(B)の合計量に対して、0.1〜40質量%である[1]〜[3]のいずれか記載の感光性樹脂組成物。
[5][1]〜[4]のいずれか記載の感光性樹脂組成物を用いて形成されるパターン。
[6][5]記載のパターンを含む液晶表示装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明の感光性樹脂組成物によれば、保存時の粘度上昇が小さく、微細な線幅のパターンを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂(A)、光重合性化合物(B)および光重合開始剤(C)、さらに任意にその他の添加剤(F)、溶剤(D)を含有するものである。
本発明の感光性樹脂組成物は、主としてパターン形成材料として使用されることが好ましく、バインダー樹脂(A)、光重合性化合物(B)および光重合開始剤(C)、さらに任意にその他の添加剤(F)は、溶剤(D)に溶解または分散されていることが好ましい。
【0012】
本発明の感光性樹脂組成物に用いられるバインダー樹脂(A)は、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸無水物(A1)、脂肪族多環式エポキシ基を有する単量体(A2)との共重合体であり、アルカリ溶解性を有することが好ましい。
【0013】
前記の不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸無水物(A1)としては、具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類;
および前記の不飽和ジカルボン酸類の無水物;
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基およびカルボキシル基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
【0014】
これらのうち、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などが共重合反応性、アルカリ水溶液に対する溶解性が高い点から好ましく用いられる。これらは、単独でも二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
前記の脂肪族多環式エポキシ化合物(A2)は、脂肪族多環式化合物の環上にエポキシ基を有する化合物であり、前記の脂肪族多環式エポキシ化合物(A2)は、脂肪族多環式化合物の環上にエポキシ基を有し、かつ不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。
当該脂肪族多環式化合物としては、例えば、ジシクロペンタン、トリシクロデカン、ノルボルナン、イソノルボルナン、ビシクロオクタン、ビシクロノナン、ビシクロウンデカン、トリシクロウンデカン、ビシクロドデカン、トリシクロドデカンなどが挙げられ、炭素数が8から12の化合物が好ましく、より好ましくは式(I)で表される化合物および式(II)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【0016】


【0017】
式(I)および式(II)において、Rは、それぞれ独立に、水素原子または水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Xは、それぞれ独立に、単結合またはヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表す。
【0018】
Rとしては、具体的には、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;
ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−n−プロピル基、2−ヒドロキシ−n−プロピル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1−ヒドロキシ−イソプロピル基、2−ヒドロキシ−イソプロピル基、1−ヒドロキシ−n−ブチル基、2−ヒドロキシ−n−ブチル基、3−ヒドロキシ−n−ブチル基、4−ヒドロキシ−n−ブチル基などの水酸基含有アルキル基が挙げられる。中でも、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
【0019】
Xとしては、具体的には、単結合;メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基;
オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、チオメチレン基、チオエチレン基、チオプロピレン基、アミノメチレン基、アミノエチレン基、アミノプロピレン基などのヘテロ原子含有アルキレン基などが挙げられる。中でも、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、オキシメチレン基、オキシエチレン基が挙げられ、より好ましくは単結合、オキシエチレン基が挙げられる。
【0020】
式(I)で表される化合物としては、式(I−1)〜式(I−15)で表される化合物などが挙げられ、好ましくは式(I−1)、式(I−3)、式(I−5)、式(I−7)、式(I−9)、式(I−11)〜式(I−15)が挙げられ、より好ましくは式(I−1)、式(I−7)、式(I−9)、式(I−15)が挙げられる。
【0021】

【0022】
式(II)で表される化合物としては、式(II−1)〜式(II−15)で表される化合物などが挙げられ、好ましくは式(II−1)、式(II−3)、式(II−5)、式(II−7)、式(II−9)、式(II−11)〜式(II−15)が挙げられ、より好ましくは式(II−1)、式(II−7)、式(II−9)、式(II−15)が挙げられる。
【0023】

【0024】
式(I)で表される化合物および式(II)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物は、それぞれ単独で用いることができ、任意の比率で混合することができる。混合する場合、その混合比率はモル比で、好ましくは式(I):式(II)で5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、さらに好ましくは20:80〜80:20である。
【0025】
本発明に使用されるバインダー樹脂(A)は、(A1)および(A2)の共重合である。
【0026】
本発明に使用されるバインダー樹脂(A)は、(A1)および(A2)を共重合させて得られる共重合体であり、それぞれから導かれる構成成分の比率が、前記の共重合体を構成する構成成分の合計モル数に対してモル分率で、以下の範囲にあることが好ましい。
(A1)から導かれる構成単位;5〜75モル%
(A2)から導かれる構成単位;25〜95モル%
また、前記の構成成分の比率が以下の範囲であると、より好ましい。
(A1)から導かれる構成単位;10〜70モル%
(A2)から導かれる構成単位;30〜90モル%
【0027】
前記の構成成分の比率が、上記の範囲にあると、感光性樹脂組成物の保存安定性、該組成物から得られるパターンの解像性、現像性、耐溶剤性、耐熱性および機械強度が良好になる傾向がある。
【0028】
前記のバインダー樹脂(A)は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法および当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
具体的には、共重合体を構成する単位(A1)および(A2)の所定量、重合開始剤および溶剤を反応容器中に仕込んで、窒素により酸素を置換することにより、酸素不存在下で、攪拌、加熱、保温することにより、重合体が得られる。なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿などの方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
【0029】
前記のバインダー樹脂(A)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000、より好ましくは5,000〜50,000である。バインダー樹脂(A)の重量平均分子量が、前記の範囲にあると、塗布性が良好となる傾向があり、また現像時に膜減りが生じにくく、さらに現像時に非画素部分の抜け性が良好で、解像性が良好である傾向にあるため好ましい。
バインダー樹脂(A)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6.0であり、より好ましくは1.2〜4.0である。分子量分布が、前記の範囲にあると、現像性が良好で解像性に優れる傾向があるので好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物に用いられるバインダー樹脂(A)の含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分(組成物中の成分の中で、25℃で固体のものをいう。)に対して質量分率で、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜70質量%である。バインダー樹脂(A)の含有量が、前記の範囲にあると、現像液への溶解性が十分であり、非画素部分の基板上に現像残渣が発生しにくく、また現像時に露光部の画素部分の膜減りが生じにくく、非画素部分の抜け性が良好な傾向にあるため好ましい。
【0030】
本発明の感光性樹脂組成物に含まれる光重合性化合物(B)としては、単官能モノマー、2官能モノマー、その他3官能以上の多官能モノマーが挙げられる。
単官能モノマーの具体例としては、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
2官能モノマーの具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
その他の3官能以上の多官能モノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、分子内に1以上のカプロラクトン変性された3官能以上の多官能モノマー、分子内に3以上のアルキレンオキサイド変性された3官能以上の多官能モノマーなどが挙げられる。
【0031】
なお、本明細書において、カプロラクトン変性とは、(メタ)アクリレート化合物のアルコール由来部位と(メタ)アクリロイルオキシ基との間に、カプロラクトンの開環体または、開環重合体が導入される事を意味する。
また、アルキレンオキサイド変性とは、(メタ)アクリレート化合物のアルコール由来部位と(メタ)アクリロイルオキシ基との間に、アルキレングリコールまたは、その脱水縮合体およびアルキレンオキサイドの開環体、またはその開環重合体が導入される事を意味する。
【0032】
分子内に1以上のカプロラクトン変性された3官能以上の多官能モノマーとしては、例えば、KAYARAD DPCA−20、KAYARAD DPCA−40、KAYARAD DPCA−60、KAYARAD DPCA−120(いずれも、日本化薬(株)社製)、NKエステルAD−TMP−4CL(新中村化学工業(株)製)等の市販品が挙げられる。
分子内に3以上のアルキレンオキサイド変性された3官能以上の多官能モノマーにおいて、好ましいアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが挙げられる。
【0033】
これらの中でも、2官能以上の多官能モノマーが好ましく用いられる。これらの光重合性化合物(B)は、単独もしくは二種以上併用して用いることができる。
光重合性化合物(B)の含有量は、バインダー樹脂(A)および光重合性化合物(B)の合計量に対して質量分率で、好ましくは1〜90質量%、より好ましくは10〜80質量%である。光重合性化合物(B)の含有量が、前記の範囲にあると、画素部の強度や平滑性、信頼性が良好になる傾向があるため好ましい。
【0034】
本発明の感光性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤(C)としては、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、オキシム系化合物、トリアジン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物が好ましく用いられる。これらの光重合開始剤(C)に、光重合開始助剤(C−1)を併用することで、得られる感光性樹脂組成物は更に高感度となるので、これを用いてパターンを形成すると、パターンの生産性が向上するため好ましい。
【0035】
前記のアセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(2−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(3−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−エチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−プロピルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−ブチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2,3−ジメチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2、4−ジメチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−クロロベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(3−クロロベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(4−クロロベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(3−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(4−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(3−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(4−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−メチル−4−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−メチル−4−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−ブロモ−4−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。
【0036】
前記のビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報など参照。)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48−38403号公報、特開昭62−174204号公報など参照。)、4,4’5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7−10913号公報など参照。)などが挙げられる。好ましくは2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2、3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールが挙げられる。
【0037】
前記のオキシム化合物としては、例えば、O−エトキシカルボニル−α−オキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、式(3)で表される化合物、式(4)で表される化合物などが挙げられる。


【0038】
前記のトリアジン系化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0039】
前記のアシルフォスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0040】
また、本発明の効果を損なわない程度であれば、この分野で通常用いられている光重合開始剤等をさらに併用することができ、当該光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アントラセン系化合物などが挙げられる。
【0041】
より具体的には以下のような化合物を挙げることができ、これらをそれぞれ単独でも、または2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0042】
前記のベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0043】
前記のベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0044】
前記のチオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0045】
前記のアントラセン系化合物としては、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。
【0046】
その他にも、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などが光重合開始剤として例示される。
【0047】
また、連鎖移動を起こしうる基を有する光重合開始剤として、特表2002−544205号公報に記載されている光重合開始剤を使用することができる。
前記の連鎖移動を起こしうる基を有する光重合開始剤としては、例えば、下記式(5)〜(10)の光重合開始剤が挙げられる。
【0048】


また、光および/または熱カチオン重合開始剤を使用することができる。
光および/または熱カチオン重合開始剤は、オニウムカチオンとルイス酸由来のアニオンとから構成されているものも使用することができる。
【0049】
前記オニウムカチオンの具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ビス(p−トリル)ヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−オクチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−オクタデシルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−オクチルオキシフェニル)ヨードニウム、ビス(p−オクタデシルオキシフェニル)ヨードニウム、フェニル(p−オクタデシルオキシフェニル)ヨードニウム、(p−トリル)(p−イソプロピルフェニル)ヨードニウム、トリフェニルスルホニウム、トリス(p−トリル)スルホニウム、トリス(p−イソプロピルフェニル)スルホニウム、トリス(2,6−ジメチルフェニル)スルホニウム、トリス(p−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、トリス(p−シアノフェニル)スルホニウム、トリス(p−クロロフェニル)スルホニウム、ジメチル(メトキシ)スルホニウム、ジメチル(エトキシ)スルホニウム、ジメチル(プロポキシ)スルホニウム、ジメチル(ブトキシ)スルホニウム、ジメチル(オクチルオキシ)スルホニウム、ジメチル(オクタデカンオキシ)スルホニウム、ジメチル(イソプロポキシ)スルホニウム、ジメチル(tert−ブトキシ)スルホニウム、ジメチル(シクロペンチルオキシ)スルホニウム、ジメチル(シクロヘキシルオキシ)スルホニウム、ジメチル(フルオロメトキシ)スルホニウム、ジメチル(2−クロロエトキシ)スルホニウム、ジメチル(3−ブロモプロポキシ)スルホニウム、ジメチル(4−シアノブトキシ)スルホニウム、ジメチル(8−ニトロオクチルオキシ)スルホニウム、ジメチル(18−トリフルオロメチルオクタデカンオキシ)スルホニウム、ジメチル(2−ヒドロキシイソプロポキシ)スルホニウム、またはジメチル(トリス(トリクロロメチル)メチル)スルホニウムなどが挙げられる。
【0050】
好ましいオニウムカチオンとしては、ビス(p−トリル)ヨードニウム、(p−トリル)(p−イソプロピルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、トリフェニルスルホニウムまたはトリス(p−tert−ブチルフェニル)スルホニウムなどが挙げられる。
【0051】
前記ルイス酸由来のアニオンの具体例としては、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネートまたはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。好ましいルイス酸由来のアニオンとしては、ヘキサフルオロアンチモネートまたはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
前記のオニウムカチオンおよびルイス酸由来のアニオンは、任意に組合せることができる。
【0052】
カチオン重合開始剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(p−トリル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(p−オクチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(p−オクタデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(p−オクチルオキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(p−オクタデシルオキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニル(p−オクタデシルオキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(p−トリル)(p−イソプロピルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、メチルナフチルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、エチルナフチルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリス(p−トリル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリス(p−イソプロピルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリス(2,6−ジメチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリス(p−tert−ブチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリス(p−シアノフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリス(p−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジエチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(メトキシ)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(エトキシ)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(プロポキシ)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(ブトキシ)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(オクチルオキシ)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(オクタデカンオキシ)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(イソプロポキシ)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(tert−ブトキシ)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(シクロペンチルオキシ)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(シクロヘキシルオキシ)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(フルオロメトキシ)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(2−クロロエトキシ)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(3−ブロモプロポキシ)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(4−シアノブトキシ)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(8−ニトロオクチルオキシ)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(18−トリフルオロメチルオクタデカンオキシ)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(2−ヒドロキシイソプロポキシ)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチル(トリス(トリクロロメチル)メチル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート;
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(p−トリル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(p−オクチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(p−オクタデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(p−オクチルオキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(p−オクタデシルオキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、フェニル(p−オクタデシルオキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、(p−トリル)(p−イソプロピルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、メチルナフチルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、エチルナフチルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリス(p−トリル)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリス(p−イソプロピルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリス(2,6−ジメチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリス(p−tert−ブチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリス(p−シアノフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリス(p−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジエチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(メトキシ)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(エトキシ)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(プロポキシ)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(ブトキシ)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(オクチルオキシ)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(オクタデカンオキシ)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(イソプロポキシ)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(tert−ブトキシ)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(シクロペンチルオキシ)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(シクロヘキシルオキシ)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(フルオロメトキシ)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(2−クロロエトキシ)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(3−ブロモプロポキシ)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(4−シアノブトキシ)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(8−ニトロオクチルオキシ)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(18−トリフルオロメチルオクタデカンオキシ)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(2−ヒドロキシイソプロポキシ)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル(トリス(トリクロロメチル)メチル)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート;
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(p−トリル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(p−オクチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(p−オクタデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(p−オクチルオキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(p−オクタデシルオキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、フェニル(p−オクタデシルオキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(p−トリル)(p−イソプロピルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、メチルナフチルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、エチルナフチルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(p−トリル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(p−イソプロピルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(2,6−ジメチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(p−tert−ブチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(p−シアノフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(p−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジエチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(メトキシ)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(エトキシ)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(プロポキシ)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(ブトキシ)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(オクチルオキシ)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(オクタデカンオキシ)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(イソプロポキシ)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(tert−ブトキシ)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(シクロペンチルオキシ)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(シクロヘキシルオキシ)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(フルオロメトキシ)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(2−クロロエトキシ)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(3−ブロモプロポキシ)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(4−シアノブトキシ)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(8−ニトロオクチルオキシ)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(18−トリフルオロメチルオクタデカンオキシ)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(2−ヒドロキシイソプロポキシ)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル(トリス(トリクロロメチル)メチル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート;
ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(p−トリル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(p−オクチルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(p−オクタデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(p−オクチルオキシフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(p−オクタデシルオキシフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェニル(p−オクタデシルオキシフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(p−トリル)(p−イソプロピルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルナフチルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、エチルナフチルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(p−トリル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(p−イソプロピルフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(2,6−ジメチルフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(p−tert−ブチルフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(p−シアノフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(p−クロロフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルナフチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジエチルナフチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(メトキシ)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(エトキシ)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(プロポキシ)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(ブトキシ)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(オクチルオキシ)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(オクタデカンオキシ)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(イソプロポキシ)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(tert−ブトキシ)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(シクロペンチルオキシ)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(シクロヘキシルオキシ)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(フルオロメトキシ)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(2−クロロエトキシ)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(3−ブロモプロポキシ)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(4−シアノブトキシ)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(8−ニトロオクチルオキシ)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(18−トリフルオロメチルオクタデカンオキシ)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(2−ヒドロキシイソプロポキシ)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(トリス(トリクロロメチル)メチル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられ、好ましくはビス(p−トリル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(p−トリル)(p−イソプロピルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリス(p−tert−ブチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(p−トリル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、(p−トリル)(p−イソプロピルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリス(p−t−ブチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(p−トリル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(p−トリル)(p−イソプロピルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(p−tert−ブチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(p−トリル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(p−トリル)(p−イソプロピルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(p−tert−ブチルフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられ、より好ましくはビス(p−トリル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(p−トリル)(p−イソプロピルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(p−tert−ブチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(p−トリル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(p−トリル)(p−イソプロピルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、またはトリス(p−tert−ブチルフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0053】
また、光重合開始剤に光重合開始助剤(C−1)を組み合わせて用いることもでき、光重合開始助剤を複数の組み合わせで用いる事もできる。
光重合開始助剤としては、アミン化合物、カルボン酸化合物、多官能チオール化合物、式(III)で表される化合物などが挙げられる。前記のアミン化合物としては、芳香族アミン化合物が好ましい。光重合開始剤としては、アミン化合物、多官能チオール、式(III)で表せる化合物が好ましい。
【0054】
光重合開始助剤(C−1)としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの脂肪族アミン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称;ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族アミン化合物;
フェニルチオ酢酸、メチルフェニルチオ酢酸、エチルフェニルチオ酢酸、メチルエチルフェニルチオ酢酸、ジメチルフェニルチオ酢酸、メトキシフェニルチオ酢酸、ジメトキシフェニルチオ酢酸、クロロフェニルチオ酢酸、ジクロロフェニルチオ酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸などの芳香族ヘテロ酢酸類などのカルボン酸化合物;
ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどの多官能チオール化合物;
下記式(III)で表される化合物などが挙げられる。
【0055】

【0056】
式(III)中、Xで示される点線はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族環を表す。
Yは、酸素原子、硫黄原子を表す。
は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基またはハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基を表す。
【0057】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
炭素数6〜12の芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。
【0058】
ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族環としては、ベンゼン環、メチルベンゼン環、ジメチルベンゼン環、エチルベンゼン環、プロピルベンゼン環、ブチルベンゼン環、ペンチルベンゼン環、ヘキシルベンゼン環、シクロヘキシルベンゼン環、クロロベンゼン環、ジクロロベンゼン環、ブロモベンゼン環、ジブロモベンゼン環、フェニルベンゼン環、クロロフェニルベンゼン環、ブロモフェニルベンゼン環、ナフタレン環、クロロナフタレン環、ブロモナフタレン環などが挙げられる。
【0059】
炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、1−メチル−n−プロピル基、2−メチル−n−プロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0060】
ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、1−メチル−n−プロピル基、2−メチル−n−プロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1−クロロ−n−ブチル基、2−クロロ−n−ブチル基、3−クロロ−n−ブチル基などが挙げられる。
【0061】
ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基としては、フェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、クロロブロモフェニル基、ビフェニル基、クロロビフェニル基、ジクロロビフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、ナフチル基、クロロナフチル基、ジクロロナフチル基、ブロモナフチル基、ジブロモナフチル基などが挙げられる。
【0062】
式(III)で表される化合物として、具体的には、
2−ベンゾイルメチレン−3−メチル−ナフト[2,1−d]チアゾリン、
2−ベンゾイルメチレン−3−メチル−ナフト[1,2−d]チアゾリン、
2−ベンゾイルメチレン−3−メチル−ナフト[2,3−d]チアゾリン、
2−(2−ナフトイルメチレン)−3−メチルベンゾチアゾリン、
2−(1−ナフトイルメチレン)−3−メチルベンゾチアゾリン、
2−(2−ナフトイルメチレン)−3−メチル−5−フェニルベンゾチアゾリン、
2−(1−ナフトイルメチレン)−3−メチル−5−フェニルベンゾチアゾリン、
2−(2−ナフトイルメチレン)−3−メチル−5−フルオロベンゾチアゾリン、
2−(1−ナフトイルメチレン)−3−メチル−5−フルオロベンゾチアゾリン、
2−(2−ナフトイルメチレン)−3−メチル−5−クロロベンゾチアゾリン、
2−(1−ナフトイルメチレン)−3−メチル−5−クロロベンゾチアゾリン、
2−(2−ナフトイルメチレン)−3−メチル−5−ブロモベンゾチアゾリン、
2−(1−ナフトイルメチレン)−3−メチル−5−ブロモベンゾチアゾリン、
2−(4−ビフェノイルメチレン)−3−メチルベンゾチアゾリン、
2−(4−ビフェノイルメチレン)−3−メチル−5−フェニルベンゾチアゾリン、
2−(2−ナフトイルメチレン)−3−メチル−ナフト[2,1−d]チアゾリン、
2−(2−ナフトイルメチレン)−3−メチル−ナフト[1,2−d]チアゾリン、
2−(4−ビフェノイルメチレン)−3−メチル−ナフト[2,1−d]チアゾリン、
2−(4−ビフェノイルメチレン)−3−メチル−ナフト[1,2−d]チアゾリン、
2−(p−フルオロベンゾイルメチレン)−3−メチル−ナフト[2,1−d]チアゾリン、
2−(p−フルオロベンゾイルメチレン)−3−メチル−ナフト[1,2−d]チアゾリン、
2−ベンゾイルメチレン−3−メチル−ナフト[2,1−d]オキサゾリン、
2−ベンゾイルメチレン−3−メチル−ナフト[1,2−d]オキサゾリン、
2−ベンゾイルメチレン−3−メチル−ナフト[2,3−d]オキサゾリン、
2−(2−ナフトイルメチレン)−3−メチルベンゾオキサゾリン、
2−(1−ナフトイルメチレン)−3−メチルベンゾオキサゾリン、
2−(2−ナフトイルメチレン)−3−メチル−5−フェニルベンゾオキサゾリン、
2−(1−ナフトイルメチレン)−3−メチル−5−フェニルベンゾオキサゾリン、
2−(2−ナフトイルメチレン)−3−メチル−5−フルオロベンゾオキサゾリン、
2−(1−ナフトイルメチレン)−3−メチル−5−フルオロベンゾオキサゾリン、
2−(2−ナフトイルメチレン)−3−メチル−5−クロロベンゾオキサゾリン、
2−(1−ナフトイルメチレン)−3−メチル−5−クロロベンゾオキサゾリン、
2−(2−ナフトイルメチレン)−3−メチル−5−ブロモベンゾオキサゾリン、
2−(1−ナフトイルメチレン)−3−メチル−5−ブロモベンゾオキサゾリン、
2−(4−ビフェノイルメチレン)−3−メチルベンゾオキサゾリン、
2−(4−ビフェノイルメチレン)−3−メチル−5−フェニルベンゾオキサゾリン、
2−(2−ナフトイルメチレン)−3−メチル−ナフト[2,1−d]オキサゾリン、
2−(2−ナフトイルメチレン)−3−メチル−ナフト[1,2−d]オキサゾリン、
2−(4−ビフェノイルメチレン)−3−メチル−ナフト[2,1−d]オキサゾリン、
2−(4−ビフェノイルメチレン)−3−メチル−ナフト[1,2−d]オキサゾリン、
2−(p−フルオロベンゾイルメチレン)−3−メチル−ナフト[2,1−d]オキサゾリン、
2−(p−フルオロベンゾイルメチレン)−3−メチル−ナフト[1,2−d]オキサゾリン、
などが挙げられる。
【0063】
中でも、式(III―1)で表される2−(2−ナフトイルメチレン)−3−メチルベンゾチアゾリン、式(III―2)で表される2−ベンゾイルメチレン−3−メチルーナフト[1,2−d]チアゾリンおよび式(III−3)で表される2−(4−ビフェノイルメチレン)−3−メチル−ナフト[1,2−d]チアゾリンが好ましい。


【0064】
光重合開始剤(C)の含有量は、バインダー樹脂(A)および光重合性化合物(B)の合計量に対して質量分率で、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは1〜30質量%である。
また、光重合開始助剤(C−1)の含有量は、前記と同じ基準で、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜40質量%である。
光重合開始剤(C)の合計量が前記の範囲にあると、感光性樹脂組成物が高感度となり、前記の感光性樹脂組成物を用いて形成した画素部の強度や、前記の画素の表面における平滑性が良好になる傾向があるため好ましい。前記に加えて、光重合開始助剤(C−1)の量が前記の範囲にあると、得られる感光性樹脂組成物の感度がさらに高くなり、前記の感光性樹脂組成物を用いて形成するパターン基板の生産性が向上する傾向にあるため好ましい。
【0065】
本発明の感光性樹脂組成物は溶剤(D)を含有する。前記の溶剤(D)としては、感光性樹脂組成物の分野で用いられている各種の有機溶剤が挙げられ、その具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルおよびエチレングリコールモノブチルエーテルのようなエチレングリコールモノアルキルエーテル類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類;
メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテルプロピレングリコールプロピルメチルエーテル、プロピレングリコールエチルプロピルエーテルなどのプロピレングリコールジアルキルエーテル類
プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルプロピオネート類;
メトキシブチルアルコール、エトキシブチルアルコール、プロポキシブチルアルコール、ブトキシブチルアルコールなどのブチルジオールモノアルキルエーテル類;
メトキシブチルアセテート、エトキシブチルアセテート、プロポキシブチルアセテート、ブトキシブチルアセテートなどのブタンジオールモノアルキルエーテルアセテート類;
メトキシブチルプロピオネート、エトキシブチルプロピオネート、プロポキシブチルプロピオネート、ブトキシブチルプロピオネートなどのブタンジオールモノアルキルエーテルプロピオネート類;
ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテルなどのジプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類;
メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、2−ブトキシプロピオン酸メチル、2−ブトキシプロピオン酸エチル、2−ブトキシプロピオン酸プロピル、2−ブトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸ブチル、3−プロポキシプロピオン酸メチル、3−プロポキシプロピオン酸エチル、3−プロポキシプロピオン酸プロピル、3−プロポキシプロピオン酸ブチル、3−ブトキシプロピオン酸メチル、3−ブトキシプロピオン酸エチル、3−ブトキシプロピオン酸プロピル、3−ブトキシプロピオン酸ブチルなどのエステル類;
テトラヒドロフラン、ピランなどの環状エーテル類;
γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。
【0066】
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、好ましくは前記溶剤の中で沸点が100℃〜200℃である有機溶剤が好ましく、より好ましくはアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、ブタンジオールアルキルエーテルアセテート類、ブタンジオールモノアルキルエーテル類、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類が挙げられ、さらに好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、メトキシブチルアセテート、メトキシブタノール、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチルが挙げられる。
これらの溶剤(D)は、それぞれ単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。
【0067】
本発明の感光性樹脂組成物における溶剤(D)の含有量は、感光性樹脂組成物に対して質量分率で、好ましくは60〜90質量%、より好ましくは70〜85質量%である。溶剤(D)の含有量が、前記の範囲にあると、スピンコーター、スリット&スピンコーター、スリットコーター(ダイコーター、カーテンフローコーターとも呼ばれることがある。)、インクジェットなどの塗布装置で塗布したときに塗布性が良好になる見込みがあるため好ましい。
【0068】
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、レベリング剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止材、連鎖移動剤などの添加剤(F)を併用することもできる。
充填剤として具体的には、ガラス、シリカ、アルミナなどが挙げられる。
【0069】
他の高分子化合物として具体的には、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂などの硬化性樹脂やポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0070】
レベリング剤としては、市販の界面活性剤を用いることができ、例えば、シリコーン系、フッ素系、エステル系、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性などの界面活性剤などが挙げられ、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類等のほか、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(EFKA CHEMICALS社製)、PB821(味の素(株)製)などが挙げられる。
【0071】
密着促進剤としては、シラン系化合物が好ましく、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0072】
酸化防止剤として具体的には、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。
【0073】
紫外線吸収剤として具体的には、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
また凝集防止剤としては、具体的には、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
連鎖移動剤としては、ドデシルメルカプタン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。
【0074】
感光性樹脂組成物は、例えば、以下のようにして基材上に塗布し、光硬化および現像を行って、パターンを形成することができる。まず、この組成物を基板(通常はガラス)または先に形成された感光性樹脂組成物の固形分からなる層の上に塗布し、塗布された感光性樹脂組成物層からプリベークすることにより溶剤などの揮発成分を除去して、平滑な塗膜を得る。このときの塗膜の厚さは、通常、およそ1〜6μmである。このようにして得られた塗膜に、目的のパターンを形成するためのマスクを介して紫外線を照射する。この際、露光部全体に均一に平行光線が照射され、かつマスクと基板の正確な位置合わせが行われるよう、マスクアライナーやステッパーなどの装置を使用するのが好ましい。さらにこの後、硬化の終了した塗膜をアルカリ水溶液に接触させて非露光部を溶解させ、現像することにより、目的とするパターン形状が得られる。現像方法は、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
【0075】
塗布方法としては、例えば、スピンコート、流延塗布法、ロール塗布法、スリット アンド スピンコートまたはスリットコート法などにより行なわれる。塗布後、加熱乾燥(プリベーク)、または減圧乾燥後に加熱して、溶剤などの揮発成分を揮発させることによって、感光性樹脂組成物層が形成される。ここで、加熱の温度は、通常、70〜200℃、好ましくは80〜130℃である。該感光性樹脂組成物層は揮発成分をほとんど含まない。また、前記感光性樹脂組成物層の厚みは、通常、1.5〜8μm程度である。
パターニング露光後の現像に使用する現像液は、通常、アルカリ性化合物と界面活性剤を含む水溶液である。
【0076】
アルカリ性化合物は、無機および有機のアルカリ性化合物のいずれでもよい。無機アルカリ性化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸二水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどが挙げられる。
【0077】
また、有機アルカリ性化合物の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなどが挙げられる。これらの無機および有機アルカリ性化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。アルカリ現像液中のアルカリ性化合物の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。
【0078】
アルカリ現像液中の界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤またはカチオン系界面活性剤のいずれであってもよい。
ノニオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。
【0079】
アニオン系界面活性剤の具体例としては、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムやオレイルアルコール硫酸エステルナトリウムのような高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウムのようなアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルアリールスルホン酸塩類などが挙げられる。
カチオン系界面活性剤の具体例としては、ステアリルアミン塩酸塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライドのようなアミン塩または第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
これらの界面活性剤は、それぞれ単独でも、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0080】
アルカリ現像液中の界面活性剤の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%の範囲、より好ましくは0.05〜8質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
【0081】
現像後、水洗いを行い、さらに必要に応じて、150〜230℃で10〜60分のポストベークを施すこともできる。
【0082】
本発明の感光性樹脂組成物を用いて、以上のような各工程を経て、基板上あるいはカラーフィルタ基板上に、パターンを形成することができる。このパターンは、液晶表示装置に使用されるフォトスペーサとして有用である。また、乾燥塗膜へのパターニング露光の際に、ホール形成用フォトマスクを使用すれば、ホールを形成することができ、層間絶縁膜として有用である。さらに、乾燥塗膜への露光の際に、フォトマスクを使用せず全面露光および加熱硬化、あるいは加熱硬化のみで透明膜を形成することができ、この透明膜は、オーバーコートとして有用であり、また、タッチパネルにも用いることができる。
【0083】
したがって、こうして得られるパターンを、液晶表示装置などの表示装置に組み込むことにより、優れた品質の表示装置を高い歩留りで製造することができる。
【0084】
本発明の感光性樹脂組成物は、保存時の粘度変化が小さく、微細なパターンまで解像可能であり、耐溶剤性、耐熱性に優れたパターンや塗膜を形成できる。
【0085】
本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、オーバーコート、フォトスペーサ、絶縁膜、液晶配向制御用突起、着色パターンの膜厚をあわせるためのコート層などのカラーフィルタの一部を構成する透明膜を形成するための材料として好適に用いられる。
【実施例】
【0086】
以下、本発明を実施例によってより詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例によって限定されるものではないことは言うまでもない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特に断らないかぎり質量基準である。
【0087】
合成例1
還流冷却器、滴下ロートおよび攪拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、3−メトキシ−1−ブタノール200質量部および3−メトキシブチルアセテート105質量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸60質量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物および式(II−1)で表される化合物の、モル比、50:50の混合物。)240質量部を、3−メトキシブチルアセテート140質量部に溶解して溶液を調製し、該溶解液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30質量部を3−メトキシブチルアセテート225質量部に溶解した溶液を、別の滴下ロートを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、固形分32.6質量%、酸価110mg−KOH/g(固形分換算)の共重合体(樹脂Aa)の溶液を得た。得られた樹脂Aaの重量平均分子量Mwは、13,400、分散度は2.50であった。
【0088】
合成例2
還流冷却器、滴下ロートおよび攪拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、3−メトキシ−1−ブタノール200質量部および3−メトキシブチルアセテート105質量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸55質量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物および式(II−1)で表される化合物の、モル比、50:50の混合物。)175質量部およびN−シクロヘキシルマレイミド70質量部を、3−メトキシブチルアセテート140質量部に溶解して溶液を調製し、該溶解液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30質量部を3−メトキシブチルアセテート225質量部に溶解した溶液を、別の滴下ロートを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、固形分32.6質量%、酸価105mg−KOH/gの共重合体(樹脂Ab)の溶液を得た。得られた樹脂Abの重量平均分子量Mwは、13,600、分散度は2.54であった。
【0089】
合成例3
特開平11−133600号公報の合成例1と同様に、冷却管、撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7質量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル200質量部を仕込んだ。引き続きスチレン30質量部、メタクリル酸20質量部、メタクリル酸グリシジル50質量部を仕込み窒素置換した後、ゆるやかに攪拌を始めた。溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持し樹脂Acを含む重合体溶液を得た。得られた樹脂Acのポリスチレン換算重量平均分子量は24,000であった。
【0090】
前記のバインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の測定については、GPC法を用いて、以下の条件で行なった。
装置;K2479((株)島津製作所製)
カラム;SHIMADZU Shim−pack GPC−80M
カラム温度;40℃
溶媒;THF(テトラヒドロフラン)
流速;1.0mL/min
検出器;RI
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量および数平均分子量の比を分散度(Mw/Mn)とした。
【0091】
実施例1
合成例1で得られた樹脂Aaを含む樹脂溶液(A)169部(固形分換算55部)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(B)45部、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(C)4部、2−(2−ナフトイルメチレン)−3−メチルベンゾチアゾリン(C−1)0.5部、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート(C−1)3部、IRGANOX3114(Ciba Specialty Chemicals社製)(F)0.8部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート58部、3−エトキシエチルプロピオネート42部、3−メトキシ1−ブタノール3部および3−メトキシブチルアセテート2部を混合して感光性樹脂組成物1を得た。
【0092】
<パターン形成>
2インチ角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)が、中性洗剤、水およびアルコールで順次洗浄されてから、乾燥された。このガラス基板上に、感光性樹脂組成物1が、100mJ/cmの露光量(405nm)で露光され、現像、水洗、ポストベークされたときの膜厚が3.0μmになるようにスピンコートされ、次にクリーンオーブン中、90℃で3分間プリベークされた。冷却後、この感光性樹脂組成物を塗布した基板と石英ガラス製フォトマスクとの間隔が10μmにされ、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、100mJ/cmの露光量(405nm基準)で光照射された。なお、このときの重合性樹脂組成物への照射は、超高圧水銀灯からの放射光を、光学フィルタ(LU0400;朝日分光(株)製)を通過させ、400nm以下の光をカットし使用した。
【0093】
なお、フォトマスクとして、次のパターンが同一平面上に形成されたフォトマスクが用いられた。
【0094】
・1辺が10μmである正方形の透光部(パターン)を有し、当該正方形の間隔が100μm。
・1辺が15μmである正方形の透光部(パターン)を有し、当該正方形の間隔が100μm。
【0095】
光照射後、該基板は、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%を含む水系現像液に上記塗膜を25℃で100秒間浸漬されて現像され、水洗後、オーブン中、220℃で20分間ポストベークが行われた。放冷後、得られた硬化膜の膜厚は、膜厚測定装置(DEKTAK3;日本真空技術(株)製)を用いて測定されたところ、3.0μmであった。
【0096】
<保存安定性>
上記で得られた感光性樹脂組成物1の粘度が測定された。そして、感光性樹脂組成物1は遮光容器に封入され、該容器は23℃の恒温槽中で2週間保存された。
保管後の感光性樹脂組成物1の粘度が測定された。下記式に基づいて求められた粘度変化は、100%であった。
【0097】
[23℃2週間保存後の感光性樹脂組成物の粘度]
粘度変化= −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ×100(%)
[保存前の感光性樹脂組成物の粘度]
【0098】
粘度変化が小さいほど、例えば100〜103%の範囲であれば、良好である。なお、粘度の測定は以下のように行った。
なお、粘度は、粘度計(VISCOMETER TV−30;東機産業(株)製)を用い、23℃において測定された。
【0099】
<線幅、断面形状>
得られた硬化膜は、走査型電子顕微鏡(S−4000;(株)日立製作所社製)を用いて、線幅、形状(断面)が観察、測定された。
フォトマスク上の10μmパターンに対応するパターンにおいて測定された線幅は、10.0μmであった。
断面形状は、基板に対するパターンの角度が、90度未満であって、順テーパーであった。なお、基板に対するパターンの角度が90度以上のときを逆テーパーとして判断した。
順テーパーであると、液晶表示装置の形成時に、ITO配線の断線が起こりにくいので、好ましい。
【0100】
<機械特性>(総変位量および回復率)
得られた硬化膜は、ダイナミック超微小硬度計(DUH−W201;(株)島津製作所製)を用いて、その総変位量(μm)および弾性変位量(μm)が測定された。それらの数値から、回復率(%)が求められた。総変位量は0.57μmであり、回復率は92.9%であった。
【0101】
−測定条件−
試験モード;負荷−除荷試験
試験力 ;5gf[SI単位換算値;49.0mN]
負荷速度 ;0.45gf/sec[SI単位換算値;4.41mN/sec]
保持時間 ;5sec
圧子 ;円錐台圧子(直径50μm)
回復率(%);[弾性変位量(μm)]/[総変位量(μm)]×100
【0102】
<耐溶剤性>
露光工程において、フォトマスクを使用しない以外は、同様の操作を行い、塗膜が作製され、その膜厚が測定された。得られた塗膜が、40℃のN−メチルピロリドン中に40分間浸漬され、浸漬後の膜厚が測定された。次式にしたがって膜厚変化が求められ、これを耐溶剤性の指標とした。得られた値は、103.9%であった。
【0103】
膜厚変化(%);[浸漬後の膜厚(μm)]/[浸漬前の膜厚(μm)]×100
【0104】
前記の膜厚変化は、104%以下である事が、好ましい。
【0105】
<耐熱性>
露光工程において、フォトマスクを使用しない以外は、同様の操作が行われ、塗膜が作製された。作製された塗膜が、240℃のクリーンオーブン中に1時間放置され、加熱前後の膜厚が測定され、次式にしたがって、その膜厚変化が求められ、これを耐熱性の指標とした。得られた値は、98.2%であった。
【0106】
膜厚変化(%);[加熱後の膜厚(μm)]/[加熱前の膜厚(μm)]×100
【0107】
前記の膜厚変化は、97%以上である事が、好ましい。
【0108】
実施例2
表1に示す組成となるように、感光性樹脂組成物2を得て、実施例1と同様にして、その評価を行った。結果を表2に示す。
【0109】
実施例3
表1に示す組成となるように、感光性樹脂組成物3を得て、実施例1と同様にして、その評価を行った。結果を表2に示す。
【0110】
比較例1
表1に示す組成となるように、感光性樹脂組成物4を得て、実施例1と同様にして、その評価を行った。結果を表2に示す。
【0111】
比較例2
表1に示す組成となるように、感光性樹脂組成物5を得た。実施例1と同様にして保存安定性を測定したところ、増粘したので、その評価を中止した。
【0112】
【表1】

【0113】
【表2】

【0114】
実施例4
表3に示す組成となるように、感光性樹脂組成物6を得た。
<パターン形成>
2インチ角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)が、中性洗剤、水およびアルコールで順次洗浄されてから、乾燥された。このガラス基板上に、感光性樹脂組成物1が、40mJ/cmの露光量(365nm)で露光され、現像、水洗、ポストベークされたときの膜厚が3.0μmになるようにスピンコートされ、次にクリーンオーブン中、85℃で3分間プリベークされた。冷却後、この感光性樹脂組成物を塗布した基板と石英ガラス製フォトマスクとの間隔が10μmにされ、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、40mJ/cmの露光量(365nm基準)で光照射された。なお、このときの重合性樹脂組成物への照射は、超高圧水銀灯からの放射光を、光学フィルタ(UV−31;朝日分光(株)製)を通過させた。
なお、フォトマスクとして、次のパターンが同一平面上に形成されたフォトマスクが用いられた。
【0115】
・1辺が10μmである正方形の透光部(パターン)を有し、当該正方形の間隔が100μm。
・1辺が15μmである正方形の透光部(パターン)を有し、当該正方形の間隔が100μm。
【0116】
光照射後、該基板は、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%を含む水系現像液に上記塗膜を23℃で40秒間浸漬されて現像され、水洗後、オーブン中、220℃で20分間ポストベークが行われた。放冷後、得られた硬化膜の膜厚は、膜厚測定装置(DEKTAK3;日本真空技術(株)製)を用いて測定されたところ、3.0μmであった。
パターン形成後の評価は、実施例1と同様に評価を行なった。
【0117】
比較例3
表3に示す組成となるように感光性樹脂組成物7を得た。実施例4と同様に評価を行なった。
【0118】
【表3】

【0119】
【表4】

【0120】
表2に示す実施例1〜3の結果から、脂肪族多環式エポキシ化合物を含有するバインダー樹脂を含む本発明の感光性樹脂組成物は、保存安定性に優れている。また本発明の感光性樹脂組成物を使用すると、パターン形状、機械特性、耐溶剤性、耐熱性のよいパターンおよび塗膜が得られることがわかる。また、比較例1と比較すると、微細なパターンまで解像可能であることがわかる。
【0121】
また、表4に示す実施例4の結果から、脂肪族多環式エポキシ化合物を含有するバインダー樹脂を含む本発明の感光性樹脂組成物は、保存安定性に優れている。また本発明の感光性樹脂組成物を使用すると、パターン形状のよいパターン及び塗膜が得られる事がわかる。また、比較例3と比較すると、微細なパターンまで解像可能であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明の感光性樹脂組成物は、保存安定性に優れており、パターン形状、表面平滑性、機械特性、耐熱性、耐溶剤性に優れたパターンおよび塗膜を形成することが可能であり、オーバーコート、フォトスペーサ、絶縁膜、液晶配向制御用突起、着色パターンの膜厚をあわせるためのコート層など、表示装置に用いられる膜の形成に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂(A)、光重合性化合物(B)、光重合開始剤(C)および溶剤(D)を含有し、バインダー樹脂(A)が、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸無水物(A1)と脂肪族多環式エポキシ化合物(A2)との共重合体である感光性樹脂組成物。
【請求項2】
脂肪族多環式エポキシ化合物(A2)が、脂肪族多環式化合物の環上にエポキシ基を有し、かつ不飽和結合を有する化合物である請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
脂肪族多環式エポキシ基を有する単量体(A2)が、式(I)で表される化合物および式(II)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1または2記載の感光性樹脂組成物。

[式(I)および式(II)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子または水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xは、それぞれ独立に、単結合またはヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表す。]
【請求項4】
光重合開始剤(C)の含有量は、バインダー樹脂(A)および光重合性化合物(B)の合計量に対して、0.1〜40質量%である請求項1〜3のいずれか記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の感光性樹脂組成物を用いて形成されるパターン。
【請求項6】
請求項5記載のパターンを含む液晶表示装置。

【公開番号】特開2008−181087(P2008−181087A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308495(P2007−308495)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】