説明

感光性樹脂

【課題】カラーフィルター等に使用可能な、優れた性能を有する感光性樹脂、特に露光感度が高く、かつアルカリ水溶液による現像性が良好である感光性樹脂を提供する。
【解決手段】(i)グリシジル基を含有するラジカル重合性化合物(a)を5〜95モル%、及び該(a)と共重合し得るラジカル重合性化合物(b)5〜95モル%で共重合させ、該(a)及び該(b)からなる共重合体を得て、(ii)該共重合体に含まれるグリシジル基の90〜100%に下記式(1)で示される化合物(c)及び(メタ)アクリル酸を付加させ、このときの化合物(c)の付加量が、該共重合体に含まれるグリシジル基の5〜50モル%であり、(iii)更に、化合物(c)及び(メタ)アクリル酸を付加させたときに生成した水酸基の5〜100%に多塩基酸無水物(d)を付加させて得られる、感光性樹脂(A)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液晶表示板製造用のブラックマトリックス、カラーフィルター、フォトスペーサー、透明保護膜や有機EL素子を用いてカラー表示の可能な有機ELディスプレーに用いるカラーフィルター、更にはインクジェットでカラーフィルターを作製する際に適用可能な感光性樹脂材料として使用することのできる感光性樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省資源、省エネルギーの観点から印刷、塗料、接着剤の分野において、紫外線あるいは電子線で硬化可能な放射線硬化型樹脂が広く使用されるようになっている。
プリント配線板などの電子機器分野でも部品搭載後の回路板を長期に渡って保護するためにソルダーレジストが使用されている。フォトレジスト法でプリント配線板に使用される材料としては、酸ペンダント型ノボラックエポキシアクリレートが一般的だが、銅メッキとの密着性が十分でなく、多層プリント配線板用として使用した場合には、導体回路間の十分な密着強度が得られないという課題を有する他、可とう性も劣るために割れやすいといった課題を有していた。
これらの課題を解決するために、(メタ)アクリル共重合体を用いた感光性樹脂組成物に無機フィラーを混合する方法が提案されているが(例えば特許文献1)、酸ペンダント型ノボラックエポキシアクリレートに対して耐熱性が劣るという課題が残っていた。
【0003】
カラー液晶表示装置や固体撮像素子にはカラーフィルターが用いられているが、これらは基板上に赤(R)、緑(G)、青(B)の三色を所定のパターンで作成された着色塗膜と、それらRGBの三色のカラーフィルター間の黒色のブラックマトリックスからなる。通常、ガラスなどの透明基板上にブラックマトリックスを形成し、次にR,G,Bのパターンを順次形成して製造される。
【0004】
一般的にカラーフィルターは染色法、印刷法、顔料分散法、電着法などの製造方法がある。これらの中で、特にアルカリ可溶性樹脂、反応性希釈剤、光重合開始剤、顔料及び溶剤を主体とする光硬化性樹脂組成物を用い、透明基板上に塗布し、露光、現像、後硬化を繰り返すフォトリソグラフ工法で作成される顔料分散法は、耐光性・耐熱性などの耐久性に優れ、ピンホールなどの欠陥が少ないため現在主流となっている。
顔料分散法では、上記の利点を有している反面、ブラックマトリクス、R、G、Bのパターンを繰り返し形成することから、塗膜のバインダーとなるアルカリ可溶性樹脂に高い耐熱性を要求する。
【0005】
耐熱性を向上する方法として従来から、側鎖に環状の構造を持った(メタ)アクリル酸エステルを共重合成分とする樹脂組成物(例えば特許文献2)や、マレイミドを含む単量体を共重合成分とする樹脂組成物(例えば特許文献3)等が提案されている。
しかし、前者の側鎖に環状の構造を持った(メタ)アクリル酸エステルを共重合成分とする樹脂組成物では、後硬化時に側鎖が熱分解され揮発性成分となることで製造ラインを汚染するという問題があった。また、後者のマレイミドを含む単量体を共重合成分とする樹脂組成物では、分子中に含まれる窒素原子を原因とした黄色から黄褐色の着色を有しており、塗膜の透明性を悪化させる。さらに、加熱処理を行う後硬化時に着色が進行するという問題があった。
【0006】
本願出願人は、上記の技術的課題を解決すべく、環状かつ架橋構造を有する特定のモノマーと不飽和一塩基酸などの化合物から調製される樹脂を用いた感光性樹脂組成物を開発した(特許文献4および5)。
しかしながら、かかる樹脂であっても、感光性樹脂としての性能が不十分な場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−190848号公報
【特許文献2】特開2004−240396号公報
【特許文献3】特開2003−029018号公報
【特許文献4】特開2008−076860号公報
【特許文献5】特開2001−089533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明者らは、カラーフィルター等に使用可能な、従来よりも更に優れた性能を有する感光性樹脂、特に露光感度が高く、顔料分散性良好で、かつアルカリ水溶液による現像性が良好である感光性樹脂を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その結果、本願発明者らは以下に示す感光性樹脂を得た。具体的には、
(i)グリシジル基を含有するラジカル重合性化合物(a)を5〜95モル%、及び該(a)と共重合し得るラジカル重合性化合物(b)5〜95モル%で共重合させ、該(a)及び該(b)からなる共重合体を得て、
(ii)該共重合体に含まれるグリシジル基の90〜100%に下記式(1)で示される化合物(c)及び(メタ)アクリル酸を付加させ、このときの下記式(1)で示される化合物(c)の付加量が、該共重合体に含まれるグリシジル基の5〜50%であり、
(iii)更に、下記式(1)で示される化合物(c)及び(メタ)アクリル酸を付加させたときに生成した水酸基の5〜100%に多塩基酸無水物(d)を付加させて得られる、感光性樹脂(A)
【0010】
【化1】

【0011】
(化学式(1)中のR、R、R、R、Rは水素原子、水酸基、メチル基、メトキシ基を示し、Rは水素原子、メチル基、フェニル基を示す。)である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の感光性樹脂(A)は、例えばプリント配線基板製造用ソルダーレジスト、無電解メッキレジスト、ビルドアップ法プリント配線基板の絶縁層あるいは広範囲の印刷版、液晶表示材料用、プラズマディスプレイ用、有機ELディスプレイ用の感光性材料として用いることが可能であり、露光感度が高く、かつアルカリ水溶液による現像性が良好である。現像後の硬化物は電気特性、機械特性、耐熱性、耐薬品性等に優れた硬化塗膜を形成しうる感光性材料である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるグリシジル基を含有するラジカル重合性化合物(a)は、特に限定はされず、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシを有する3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートおよびそのラクトン付加物[例えば、ダイセル化学工業(株)製サイクロマーA200、M100]、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3´,4´−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのモノ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートのエポキシ化物、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートのエポキシ化物等が挙げられるが、原料入手のし易さから、グリシジル(メタ)アクリレートおよび3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。これら1種又は2種以上を併用しても良い。
【0014】
本発明で(a)と共重合し得るラジカル重合性化合物(b)としては、エチレン性不飽和基を有するものであれば特に限定されない。その具体例としては、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソ−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリルレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソ−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリルレート、ペンチル(メタ)リレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクメタ)アクリレート、エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ロジン(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、5−メチルノルボルニル(メタ)アクリレート、5−エチルノルボルニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパギル(メタ)アクリレート、ピペロニル(メタ)アクリレート、サリチル(メタ)アクリレート、フリル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフリル(メタ)アクリレート、ピラニル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート、クレジル(メタ)アクリレート、1,1,1−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロ−n−プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロ−イソ−プロピル(メタ)アクリレート、トリフェニルメチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリロールモノ(メタ)アクリレート、ブタントリオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタントリオールモノ(メタ)アクリレート、ナフタレン(メタ)アクリレート、アントラセン(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−イソ−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニルなどのビニル化合物;スチレン、スチレンのα−、o−、m−、p−アルキル、ニトロ、シアノ、アミド誘導体;シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチルなどの不飽和ジカルボン酸ジエステル;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミドなどのモノマレイミド類;N−(メタ)アクリロイルフタルイミド、またノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)、ジシクロペンタジエン、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物やロジン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。上記の中で、硬化塗膜の密着性、耐熱性の観点から、ベンジル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ビニルトルエン、ノルボルネン、ロジン(メタ)アクリレート、モノマレイミド類が好ましく用いられ、特に好ましくはトリシクロデカニル(メタ)アクリレート(例えば日立化成工業(株)製の商品名FA-513A、やFA-513M)、ノルボルネン、ロジン(メタ)アクリレート(例えば、荒川化学の2−ヒドロキシプロピルデヒドロアビエチン酸アクリレート「ビームセット101」、同「ビームセット102」、同「ビームセット115」、新中村化学製「K1000A」、および同「UNIRESIN K900B」など)、ビニルトルエン、である。これらは1種又は2種以上を併用しても良い。
【0015】
本発明で用いられる化合物(c)は、下記式(1)で示され、この化合物を使用することで、耐熱性、感度に優れ、更に顔料分散性に優れる。
【0016】
【化2】

【0017】
(化学式(1)中のR、R、R、R、Rは水素原子、水酸基、メチル基、メトキシ基を示し、Rは水素原子、メチル基、フェニル基を示す。)
【0018】
上記式(1)の具体例としては、ケイ皮酸、2,3,4-トリメトキシケイ皮酸、2,4,5-トリメトキシケイ皮酸、3,4,5−トリメトキシケイ皮酸、2,4−ジメトキシケイ皮酸、2,5−ジメトキシケイ皮酸、3,4−ジメトキシケイ皮酸、o−,m−,p−メチルケイ皮酸、3,4-メチレンジオキシケイ皮酸、3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシケイ皮酸、3-ヒドロキシ-4-メトキシケイ皮酸、o−,m−,p−メトキシケイ皮酸、α-メチルケイ皮酸、α-フェニルケイ皮酸などが挙げられるが、これに限られるものではない。
【0019】
本発明で用いられる多塩基酸無水物(d)としては、特に限定はされず、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
上記の中で、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸が好ましく用いられる。これらの1種又は2種以上を併用しても良い。
【0020】
本発明の感光性樹脂(A)を得るために、まず、グリシジル基を含有するラジカル重合性化合物(a)と、前記(a)と共重合し得るラジカル重合性化合物(b)からなる共重合体を調製する。
グリシジル基を含有するラジカル重合性化合物(a)と、前記(a)と共重合し得るラジカル重合性化合物(b)の組成比は、それぞれ5〜95モル%であり、好ましくは(a)が20〜80モル%で、その合計が100モル%となる量である。このときのグリシジル基を含有するラジカル重合性化合物(a)の量により、上記式(1)で示される化合物(c)及び(メタ)アクリル酸の付加量の合計量が決まる。グリシジル基を含有するラジカル重合性化合物(a)の量を5モル%以上とすることで二重結合量の低下が抑えられ、また、95モル%以下とすることで、上記式(1)で示される化合物(c)及び(メタ)アクリル酸の付加時のゲル化が抑えられる。
【0021】
次いで、上記式(1)で示される化合物(c)及び(メタ)アクリル酸の付加量の合計量は、得られた共重合体に含まれるグリシジル基に対して90〜100%、好ましくは95%〜100%である。90%未満では残存するグリシジル基の影響により、多塩基酸無水物付加時に高分子量化やゲル化を生じやすく、また100%を超えると未反応の上記式(1)で示される化合物(c)及び(メタ)アクリル酸が多くなり、ポストベーク時のアウトガスの原因となり好ましくない。
【0022】
上記共重合体に含まれるグリシジル基の50%以下、好ましくは40%以下を、上記式(1)で示される化合物(c)のカルボキシル基を反応させる量で、化合物(c)を付加する。つまり、上記共重合体のグリシジル基1当量に対し、0.5当量以下、好ましくは0.4当量以下の量で、化合物(c)のカルボキシル基を反応させるように化合物(c)を付加する。なお、化合物(c)の付加量の下限値は、5%以上であれば特に限定されないが、好ましくは、上記共重合体に含まれるグリシジル基の7%以上、更に好ましくは、10%以上である。5%未満の場合は、感度や耐熱性等の効果が十分でない場合がある。また、5%以上とすることで顔料分散性が向上する。これは、側鎖に芳香環を導入することにより顔料との相互作用により、顔料の分散安定性が向上したものと考えられる。
化合物(c)の付加量を、上記共重合体に含まれるグリシジル基の50%以下とすることで、耐熱、耐熱黄変性、耐溶剤性のバランスが崩れることが防止できる。
【0023】
また、多塩基酸無水物(d)の付加量は、上記式(1)で示される化合物(c)及び(メタ)アクリル酸を付加させたときに生成した水酸基の5〜100%、好ましくは10〜90%、更に好ましくは15〜80%である。多塩基酸無水物(d)の付加量を上記式(1)で示される化合物(c)及び(メタ)アクリル酸を付加させたときに生成した水酸基の5〜100%の範囲とすることにより、感光性樹脂(A)の酸価(JIS K6901)を20〜180KOHmg/gの範囲にコントロールすることができる。
【0024】
感光性樹脂(A)の分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量で3000〜50000であり、好ましくは5000〜30000である。分子量が3000以上とすることで耐熱性の低下を防止し、また分子量が50000以下とすることで現像性低下を防止できる。
【0025】
以上のようにして得られた感光性樹脂(A)に光重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)および溶剤(D)を添加することにより、感光性樹脂組成物が得られる。
【0026】
使用できる光重合性モノマー(B)としては、感光性樹脂と反応可能なものであれば特に制限はされない。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルベンゼンホスホネート等の芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のポリカルボン酸モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー;トリアリルシアヌレート等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を併用しても良い。
【0027】
光重合性モノマー(B)の添加量は感光性樹脂の100質量部に対して、通常は10〜200質量部、好ましくは、20〜150質量部である。
上記範囲にすることにより、光硬化性を適正な範囲に保つことができ、さらに、粘度を調整することもできる。
【0028】
使用できる溶剤(D)としては、感光性樹脂(A)および光重合性モノマー(B)と反応しない不活性な溶剤であれば制限なく使用することができる。
利用できる溶剤(D)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート等を挙げることが出来る。これらの中では、前記ラジカル重合反応において好ましく使用されるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましく用いられる。
【0029】
溶剤(D)の添加量は感光性樹脂(A)100質量部に対して、通常は30〜1000質量部、好ましくは、50〜800質量部である。
上記範囲とすることにより、粘度を適度に保つことができる。
【0030】
上記の感光性樹脂組成物は活性エネルギー線として、紫外線などの活性光を用いて光硬化させる場合、光重合開始剤(C)を添加する。利用できる光重合開始剤(C)としては特に限定はされないが、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノンー1;アシルホスフィンオキサイド類及びキサントン類等が挙げられる。これら1種又は2種以上を併用しても良い。
【0031】
光重合開始剤(C)の配合量は、この感光性樹脂組成物中の固形分100質量部に対して、通常0.1〜30質量部、好ましくは、0.5〜20質量部、さらに好ましくは、1〜10質量部である。0.1〜30質量部とすることにより、光硬化性を適正な範囲に保つことができる。
【0032】
さらに、この感光性樹脂組成物は、必要に応じて公知の着色剤や、消泡剤、カップリング剤、レベリング剤等を含有することができる。
【0033】
上記のように、この感光性樹脂は酸価が20〜180KOHmg/gであるので、それらを含む感光性樹脂組成物を用いたレジスト類はアルカリ水溶液を用いて現像を行なうことができる。
【0034】
この感光性樹脂組成物は、たとえば、プリント配線基板上にスクリーン印刷法、ロールコーター法、カーテンコーター法、スプレーコーター法、スピンコート法等で塗布され、必要部分を光硬化させた後、その未硬化(未露光)部分をアルカリ水溶液で洗い流すことにより現像が行われる。
【0035】
現像に使用されるアルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム等の水溶液、アミン系では、アミノフェノール系化合物も有用であるが、p−フェニレンジアミン系化合物が好ましく使用され、その代表例として3−メチル−4−アミノ−N,N−ジエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メタンスルホンアミドエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メトキシエチルアニリンおよびこれらの硫酸塩、塩酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩の水溶液が挙げられる。
【0036】
光照射して塗布面を硬化させる際に用いられる光源としては、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタハライドランプ等が用いられる。
【0037】
また、上記の感光性樹脂組成物は、例えばプリント配線基板製造用ソルダーレジスト、無電解メッキレジスト、ビルドアップ法プリント配線基板の絶縁層あるいは広範囲の印刷版、液晶表示材料用、プラズマディスプレイ用、有機ELディスプレイ用の感光性材料として用いることが可能であり、露光感度が高く、かつアルカリ水溶液による現像性が良好である。現像後の硬化物は電気特性、機械特性、耐熱性、耐薬品性等に優れた硬化塗膜を形成しうる感光性材料である。
【0038】
さらに、公知のエポキシ樹脂、硬化促進剤を配合することにより熱硬化も可能であり、熱硬化性のインクジェット法にも適用可能である。
【実施例】
【0039】
以下、実施例及び比較例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0040】
(合成例1)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計、ガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート328.9質量部を取り、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。
次に、トリシクロデカン骨格を有するモノメタクリレート(日立化成(株)製FA−513M)66.0質量部、ビニルトルエン11.8質量部、グリシジルメタクリレート85.2質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート[日本油脂(製)パーブチルO]16.3質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、さらに120℃で2時間攪拌し、共重合体の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸35.4質量部、ケイ皮酸13.3質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部、およびメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、無水コハク酸を19.0質量部加え115℃で2時間反応させることにより、固形分酸価45.1KOHmg/g、重量平均分子量7000、樹脂固形分42.0%の感光性樹脂溶液を得た。
【0041】
(合成例2)
合成例1と同一の反応装置に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート331.5質量部を取り、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。
次に、ノルボルネン9.4質量部、ビニルトルエン23.6質量部、グリシジルメタクリレート99.4質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート9.3質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、さらに120℃で2時間攪拌し、共重合体の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸43.9質量部、ケイ皮酸10.4質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部、およびメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸を64.6質量部加え115℃で2時間反応させることにより、固形分酸価95.3KOHmg/g、重量平均分子量10000、樹脂固形分42.0%の感光性樹脂溶液を得た。
【0042】
(合成例3)
合成例1と同一の反応装置に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート339.0質量部を取り、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。
次に、ノルボルネン9.4質量部、ビニルトルエン23.6質量部、グリシジルメタクリレート99.4質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート5.3質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、さらに120℃で2時間攪拌し、共重合体の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸28.7質量部、ケイ皮酸41.4質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部、およびメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸を58.5質量部加え115℃で2時間反応させることにより、固形分酸価84.4KOHmg/g、重量平均分子量18000、樹脂固形分42.0%の感光性樹脂溶液を得た。
【0043】
(合成例4)
合成例1と同一の反応装置に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート402.3質量部を取り、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。
次に、ロジンアクリレート[荒川化学工業(製)ビームセット101]43.0質量部、ベンジルメタクリレート17.6質量部、グリシジルメタクリレート113.6質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート7.0質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、さらに120℃で2時間攪拌し、共重合体の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸53.0質量部、ケイ皮酸5.9質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部、およびメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸を76.0質量部加え115℃で2時間反応させることにより、固形分酸価92.1KOHmg/g、重量平均分子量17000、樹脂固形分42.0%の感光性樹脂溶液を得た。
【0044】
(比較合成例1)
合成例1と同一の反応装置に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート344.2質量部を取り、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。
次に、ベンジルメタクリレート88.0質量部、グリシジルメタクリレート71.0質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート11.1質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、さらに120℃で2時間攪拌し、共重合体の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸13.3質量部、ケイ皮酸44.4質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部、およびメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸を42.6質量部加え115℃で2時間反応させることにより、固形分酸価60.3KOHmg/g、重量平均分子量9000、樹脂固形分42.0%の感光性樹脂溶液を得た。
【0045】
(比較合成例2)
合成例1と同一の反応装置に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート350.4質量部を取り、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。
次に、ベンジルメタクリレート70.4質量部、グリシジルメタクリレート85.2質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10.9質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、さらに120℃で2時間攪拌し、共重合体の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸41.9質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部、およびメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸を66.9質量部加え115℃で2時間反応させることにより、固形分酸価93.5KOHmg/g、重量平均分子量10000、樹脂固形分42.0%の感光性樹脂溶液を得た。
【0046】
(比較例合成例3)
合成例1と同一の反応装置に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート357.1質量部を取り、窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。
次に、トリシクロデカン骨格を有するモノメタクリレート(日立化成(株)製FA−513M)66.0質量部、ベンジルメタクリレート17.6質量部、グリシジルメタクリレート85.2質量部からなるモノマー混合物にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート[日本油脂(製)パーブチルO]18.6質量部を添加した。これを滴下ロートから2時間かけてフラスコに添加し、さらに120℃で2時間攪拌し、共重合体の溶液を得た。
次に、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸41.9質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部、およびメチルハイドロキノン0.2質量部を上記共重合体の溶液中に投入し、120℃で反応を続け固形分の酸価が0.8KOHmg/gとなったところで反応を終了した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸を59.3質量部加え115℃で2時間反応させることにより、固形分酸価76.1KOHmg/g、重量平均分子量7000、樹脂固形分42.0%の感光性樹脂溶液を得た。
【0047】
[実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例3]
合成例1〜4、比較合成例1〜3から得られた感光性樹脂を用いて、下記に示す各成分を配合し、各々の光硬化型樹脂組成物を得た。尚、合成例1,2,3,4及び比較合成例1,2,3を用いた組成物をそれぞれ実施例1,2,3,4及び比較例1,2,3とする。
【0048】
<透明レジスト樹脂硬化物>
各感光性樹脂の溶液の固形分100質量部にペンタエリスリトールテトラアクリレート30質量部、光重合開始剤として、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン4質量部を添加して調製した樹脂組成物をアプリケーターでガラス基板上に湿潤時の厚み10μmで塗布し、100℃の温風乾燥器中で低沸点物を揮発させた後、オーク製作所(株)製超高圧水銀灯を用い、必要に応じてマスクを通して50mJ/cm2で露光し、厚み2μmの硬化塗膜を得、次いでアルカリ現像を行った。
【0049】
(1)耐熱性
各硬化塗膜を切り出し、熱重量分析(TGA)を行った。切り出した試料を220℃まで加熱し、2時間保持した時の重量変化率を測定した。
(2)耐熱変色
ガラス基板上に製膜した塗膜を、230℃の乾燥機中に1時間放置し、加熱処理前後の塗膜の着色を色差計にて比較した。
○:ΔE・abが0.3未満
×:ΔE・abが0.3以上
【0050】
(3)透明性
ガラス基板上に製膜した塗膜を、230℃の乾燥機中に1時間放置し、加熱処理前後の塗膜の400nmでの光線透過率を分光光度計にて測定した。
○:透過率の変化率が1%未満
×:透過率の変化率が1%以上
(4)密着性
硬化塗膜をJIS K5400に準じて碁盤目試験を行い、100個の碁盤目の剥離状態を目視観察して以下の基準で評価した。
○:剥離が全く認められないもの。
△:全体の10%未満に剥離が認められるもの。
×:全体の10%以上に剥離が認められるもの。
【0051】
カラーレジスト(顔料タイプ)
<顔料分散液の組成>
(緑色顔料分散液の調整)
・C.Iピグメントグリーン36 :10.00質量部
・溶剤(PGMAc) :33.75質量部
・分散剤 : 6.25質量部
・径0.5mmのジルコニアビーズ:180質量部(ペイントシェーカーで3時間分散)
【0052】
【表1】

【0053】
<カラーレジスト硬化塗膜作成>
5cm角ガラス基板(無アルカリガラス)上に、乾燥時膜厚2.2μmとなるようにカラーレジストをスピンコートし、80℃−3分プリベーク後、塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置して150mJ/cmで露光した。次いで、0.11質量%炭酸ナトリウム水溶液で0.3MPaの水圧でスプレー現像を行い230℃−30分ポストベークを行い、カラーレジスト硬化塗膜を得た。
【0054】
(5)アルカリ現像性時間及び残渣
マスクを通して露光した硬化塗膜を23℃で0.1%の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像し、パターンが完全に見えたときの時間及び現像後の残渣の有無を目視にて評価した。
○:目視で残渣なし
×:目視で残渣あり
(6)現像形態
ネガ型のレジストの現像工程においては、レジスト層の硬化していない未露光部分がアルカリ現像液により溶解し基板上から離脱していくが、その現像形態としては、離脱していく部分が主に大きな塊となって剥がれる剥離型と、染料が水に溶けていくように徐々に溶解、拡散する溶解型とがある。前者の剥離型は固液分の塊が異物となって系内に残留し、他の色の画素を汚染しやすいので好まれない現像形態であり、後者の溶解型が望まれる現像形態である。
×:剥離型
○:溶解型
【0055】
(7)感度
マスクを通して露光した硬化塗膜を23℃で0.1%の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像を30秒間行い、アルカリ現像前後の膜減り量を測定した。膜減り量が少ないほど感度が良好として評価した。
○:0.20μm未満
×:0.20μm以上
(8)耐溶剤性
カラーレジスト硬化塗膜作製において、フォトマスクを使用せずに前面露光すること以外は(7)と同様にして硬化塗膜を作製した。次いで、蓋のできる容量500mlのガラス瓶にn-メチル2-ピロリドンを200ml入れ、その中に硬化塗膜を浸漬し23℃-60分後の色変化を色差計にて比較した。
○:ΔE・abが0.3未満
×:ΔE・abが0.3以上
【0056】
(9)粘度変化率
顔料分散安定性の目安として、着色樹脂組成物の粘度変化を測定した。顔料分散安定性が悪い場合、粘度の上昇があり好ましくない。以下、具体的に説明する。
光開始剤系成分1及び光開始剤系成分2を除いた着色樹脂組成物を調整直後、及び23℃の恒温槽に7日間静置したあとの粘度を測定(E型粘度計)した。顔料分散安定性が良好である目安として、7日後の粘度変化が初期粘度に対して10%以下、好ましくは5%以下である。
○:5%以下
△:10%以下
×:10%より大きい
【0057】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)グリシジル基を含有するラジカル重合性化合物(a)を5〜95モル%、及び該(a)と共重合し得るラジカル重合性化合物(b)5〜95モル%で共重合させ、該(a)及び該(b)からなる共重合体を得て、
(ii)該共重合体に含まれるグリシジル基の90〜100%に下記式(1)で示される化合物(c)及び(メタ)アクリル酸を付加させ、このときの下記式(1)で示される化合物(c)の付加量が、該共重合体に含まれるグリシジル基の5〜50%であり、
(iii)更に、下記式(1)で示される化合物(c)及び(メタ)アクリル酸を付加させたときに生成した水酸基の5〜100%に多塩基酸無水物(d)を付加させて得られる、感光性樹脂(A)。
【化1】

(化学式(1)中のR、R、R、R、Rは水素原子、水酸基、メチル基、メトキシ基を示し、Rは水素原子、メチル基、フェニル基を示す。)
【請求項2】
前記(a)と共重合し得るラジカル重合性化合物(b)として、ベンジル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ビニルトルエン、ノルボルネン、ロジン(メタ)アクリレート、モノマレイミドからなる群から選択される、1種または2種以上である化合物を含む、請求項1に記載の感光性樹脂(A)。

【公開番号】特開2011−53384(P2011−53384A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201248(P2009−201248)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】