説明

感放射線性組成物、カラーフィルタおよびカラー液晶表示素子

【課題】低露光量でもパターンエッジの欠けおよびアンダーカットを生じることがなく、且つ現像時に未溶解物が残存したりパターンエッジにスカムを生じたりすることなく微細パターンの形成が可能である新規な感放射線性組成物を提供する。
【解決手段】(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)側鎖に特定のオキシラニル基に不飽和結合を有するカルボン酸を付加反応して得られた基を有する重合体を含有してなる重合性不飽和化合物、および(C)光重合開始剤を含有することを特徴とする感放射線性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感放射線性組成物、カラーフィルタおよびカラー液晶表示素子に関わり、より詳しくは、透過型あるいは反射型のカラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタに有用な着色層等の形成に用いられる感放射線性組成物、当該感放射線性組成物から形成された着色層を有するカラーフィルタ、並びに当該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着色感放射線性組成物を用いてカラーフィルタを製造するに当たっては、基板上あるいは予め所望のパターンの遮光層(ブラックマトリックス)を形成した基板上に、着色感放射線性組成物を塗布して乾燥したのち、乾燥塗膜を所望のパターン形状に放射線を照射(以下、「露光」という。)し、現像することにより、各色の画素を得る方法(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)が知られている。また、黒色材料を含有する光重合性組成物を利用してブラックマトリックスを形成する方法(例えば、特許文献3参照。)も知られている。
そして、近年におけるカラーフィルタの技術分野においては、カラーフィルタの形成に用いられる基板サイズが大型化していることも相まって、露光量を下げてタクトタイムを短縮することが主流となっており、低露光量で形成された画素およびブラックマトリックスがパターン形状、基板との密着性等に優れること、すなわち着色感放射線性組成物が高い放射線感度を有することが求められている。カラーフィルタに備えられる保護膜やスペーサーを形成するための感放射線性組成物に対しても、同様に高い放射線感度を有することが求められている。
【0003】
ところで、特許文献1〜3に開示されているように、従来の着色感放射線性組成物においては、感放射線性重合成分として、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能アクリレートや、酸性基とエチレン性不飽和二重結合を合わせもつ感光性樹脂が用いられてきた。しかし、かかる着色感放射線性組成物では、露光量が少なくなると、パターンに欠けやアンダーカットが生じやすく、基板への密着性不足からパターンの基板からの剥離などが生じやすいため、タクトタイムを短縮しつつ、良好なパターン形状の画素およびブラックマトリックスを得るという点において不十分であった。
【0004】
【特許文献1】特開平2−144502号公報
【特許文献2】特開平3−53201号公報
【特許文献3】特開平6−35188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い放射線感度を有する感放射線性組成物、より具体的には、低露光量でもパターンエッジの欠けおよびアンダーカットを生じることがなく、且つ現像時に未溶解物が残存したりパターンエッジにスカムを生じたりすることなく微細パターンの形成が可能である新規な感放射線性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、感放射線性組成物中に新規な重合性不飽和化合物を含有せしめることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、第一に、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)下記式(1−1)〜(1−4)で表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体を含有してなる重合性不飽和化合物、および(C)光重合開始剤を含有することを特徴とする感放射線性組成物を提供するものである。
本発明でいう「放射線」は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含むものを意味する。
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、Xは相互に独立に、アクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有する一価の有機基、ビニル基または1−メチルビニル基を示し、「*」は結合手であることを示す。)
【0010】
本発明は、第二に、前記(A)〜(C)成分に加え、(D)着色剤をさらに含有する着色層形成用感放射線性組成物を提供するものである。
本発明でいう「着色層」は、カラーフィルタに用いられる画素および/またはブラックマトリックスを意味する。
【0011】
本発明は、第三に、該着色層形成用感放射線性組成物を用いて形成された着色層を備えてなるカラーフィルタ、及び該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子をも提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の感放射線性組成物によれば、低露光量でもパターンエッジの欠けおよびアンダーカットを生じることがなく、且つ現像時に未溶解物が残存したりパターンエッジにスカムを生じたりすることなく微細パターンの形成を形成することができる。
したがって、本発明の感放射線性組成物は、電子工業分野におけるカラー液晶表示素子用カラーフィルタを始めとする各種のカラーフィルタの製造に極めて好適に使用することができる。
また、本発明で用いる重合体(B)は、上記の感放射線性組成物用重合体として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
感放射線性組成物
以下、本発明の感放射線性組成物の構成成分について説明する。
【0014】
−(A)アルカリ可溶性樹脂−
本発明における(A)アルカリ可溶性樹脂としては、現像処理工程において用いられるアルカリ現像液に対して可溶性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、通常、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する重合体である。なかでも、カルボキシル基を有する重合体が好ましく、その具体例としては、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「カルボキシル基含有不飽和単量体」ということがある。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「共重合性不飽和単量体」という。)との共重合体(以下、「重合体(A1)」ということがある。)を挙げることができる。
【0015】
カルボキシル基含有不飽和単量体としては、例えば、
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸の如き不飽和モノカルボン酸;
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物;
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕の如き2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル;
ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートの如き両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
前記カルボキシル基含有不飽和単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明において、カルボキシル基含有不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が好ましく、特に(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0016】
重合体(A1)において、カルボキシル基含有不飽和単量体の共重合割合は、好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜40重量%である。この場合、該共重合割合が5重量%未満では、得られる感放射線性組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する傾向があり、一方50重量%を超えると、アルカリ現像液に対する溶解性が過大となり、アルカリ現像液により現像する際に、画素の基板からの脱落や画素表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
【0017】
また、共重合性不飽和単量体としては、例えば、
マレイミド;
N−フェニルマレイミド、N−o−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−m−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(アクリジニル)マレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、p−クロルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ビニルフェノール、m−ビニルフェノール、p−ビニルフェノール、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、o−ビニルベンジルメチルエーテル、m−ビニルベンジルメチルエーテル、p−ビニルベンジルメチルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルの如き芳香族ビニル化合物;
アセナフチレン、5−クロロアセナフチレン、5−ヒドロキシメチルアセナフチレン、5−ヒドロキシアセナフチレンの如きアセナフチレン類;
インデン、1−メチルインデンの如きインデン類;
【0018】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(n=2〜100)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(n=2〜100)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜15)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜15)モノ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートの如き不飽和カルボン酸エステル;
【0019】
グリシジル(メタ)アクリレートの如き不飽和カルボン酸グリシジルエステル;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルの如きカルボン酸ビニルエステル;
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテルの如き他の不飽和エーテル;
(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンの如きシアン化ビニル化合物;
(メタ)アクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドの如き不飽和アミド;
1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレンの如き脂肪族共役ジエン;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの共重合性不飽和単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0020】
共重合性不飽和単量体としては、N−位置換マレイミド、芳香族ビニル化合物、アセナフチレン類、不飽和カルボン酸エステル、重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等が好ましく、特にN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、アセナフチレン、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等が好ましい。
【0021】
本発明においては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有する共重合性不飽和単量体を共重合した重合体(A1)に、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等の不飽和イソシアナート化合物を反応させることにより、重合体(A1)の側鎖に重合性不飽和結合を導入することができる。
【0022】
また、上記カルボキシル基を有する重合体として、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する重合体(以下、「重合体(A2)」という。)を挙げることができる。
【0023】
【化2】

【0024】
(式中、R17、R18およびR19はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、Lはアクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有する一価の有機基またはビニル基もしくは1−メチルビニル基を示し、Mは二価の有機基を示し、iは1〜5の整数を示す。)
【0025】
上記式(I)において、R17は水素原子またはメチル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。R18およびR19は水素原子であることが好ましい。iは1であることが好ましい。
【0026】
上記式(I)において、Lのアクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有する一価の有機基としては、下記式(L−1)または下記式(L−2)で表される基であることが好ましい。上記式(I)におけるLとしては、ビニル基または1−メチルビニル基であることが好ましい。
【0027】
【化3】

【0028】
(式中、R20は水素原子またはメチル基を表し、jは0〜10の整数を表し、「*」は結合手であることを表す。)
【0029】
【化4】

【0030】
(式中、R21は水素原子またはメチル基を表し、R22は単結合、メチレン基、炭素数2〜6のアルキレン基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基または1,2−フェニレン基を表し、「*」は結合手であることを表す。)
【0031】
上記式(I)におけるMとしては、メチレン基、炭素数2〜6のアルキレン基、もしくはアルケニレン基(ただしこれらのアルキレン基およびアルケニレン基は途中が酸素原子により中断されていてもよい。)、シクロヘキサンジイル基、シクロヘキセンジイル基または炭素数6〜12のアリーレン基(ただしこのアリーレン基はカルボキシル基または酸無水物基を有していてもよい。)であることが好ましく、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−エテニレン基、1,2−プロペニレン基、1,3−プロペニレン基、2,3−プロペニレン基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基、4−シクロヘキセン−1,2−ジイル基、1,2−フェニレン基、ビフェニル−2,2’−ジイル基または−CH2−O−CH2−で表される2価の基がより好ましい。
【0032】
重合体(A2)において、上記式(I)で表される繰り返し単位は、重合体(A2)の全繰り返し単位に対して5〜80重量%であることが好ましく、10〜60重量%であることがより好ましい。この場合、上記式(I)で表される繰り返し単位が5重量%未満では、得られる感放射線性組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する傾向があり、一方80重量%を超えると、アルカリ現像液に対する溶解性が過大となり、アルカリ現像液により現像する際に、画素の基板からの脱落や画素表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
【0033】
重合体(A2)においては、上記式(I)で表される繰り返し単位と共に、重合体(A1)について挙げた共重合性不飽和単量体と同様の共重合性不飽和単量体に由来する繰り返し単位を有することが好ましい。
【0034】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」ということがある。)は、好ましくは1,000〜45,000、特に好ましくは3,000〜30,000である。
また、本発明におけるアルカリ可溶性樹脂のMwとMnの比(Mw/Mn)は、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4である。
この場合、Mwが1,000未満であると、得られる被膜の残膜率等が低下したり、パターン形状、耐熱性等が損なわれたり、また電気特性が悪化するおそれがあり、一方45,000を超えると、解像度が低下したり、パターン形状が損なわれたり、またスリットノズル方式による塗布時に乾燥異物が発生し易くなるおそれがある。
【0035】
重合体(A1)は、例えば、その構成成分となる不飽和単量体を、適当な溶媒中、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のラジカル重合開始剤の存在下で重合することにより製造することができる。
【0036】
重合体(A1)は、上記のように不飽和単量体をラジカル重合した後に、極性の異なる有機溶媒を2種以上用いる再沈殿法を経て精製することにより製造することができる。即ち、重合後の良溶媒中の溶液を、必要に応じてろ過あるいは遠心分離などによって不溶な不純物を除去したのち、大量(通常は、ポリマー溶液体積の5〜10倍量)の沈殿剤(貧溶媒)中に注いで、共重合体を再沈殿させることにより精製する。その際、共重合体溶液中に残っている不純物のうち、沈殿剤に可溶な不純物は液相に残り、精製されたアルカリ可溶性樹脂から分離される。
この再沈殿法に使用される良溶媒/沈殿剤の組み合わせとしては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート/n−ヘキサン、メチルエチルケトン/n−ヘキサン、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート/n−ヘプタン、メチルエチルケトン/n−ヘプタン等を挙げることができる。
【0037】
また、重合体(A1)は、その構成成分となる各不飽和単量体を、上記ラジカル重合開始剤、およびピラゾール−1−ジチオカルボン酸シアノ(ジメチル)メチルエステル、ピラゾール−1−ジチオカルボン酸ベンジルエステル、テトラエチルチウラムジスルフィド、ビス(ピラゾール−1−イルチオカルボニル)ジスルフィド、ビス(3−メチル−ピラゾール−1−イルチオカルボニル)ジスルフィド、ビス(4−メチル−ピラゾール−1−イルチオカルボニル)ジスルフィド、ビス(5−メチル−ピラゾール−1−イルチオカルボニル)ジスルフィド、ビス(3,4,5−トリメチル−ピラゾール−1−イルチオカルボニル)ジスルフィド、ビス(ピロール−1−イルチオカルボニル)ジスルフィド、ビスチオベンゾイルジスルフィド等のイニファターとして作用する分子量制御剤の存在下、不活性溶媒中で、反応温度を、通常、0〜150℃、好ましくは50〜120℃として、リビングラジカル重合することにより製造することができる。
【0038】
さらに、重合体(A1)は、その構成成分となる各不飽和単量体を、上記ラジカル重合開始剤、及び連鎖移動剤として作用する多価チオール化合物の存在下、適当な溶媒中でラジカル重合することにより製造することができる。ここで、多価チオール化合物とは、1分子中に2個以上のチオール基を有する化合物をいい、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、1,4―ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5,−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン等を挙げることができる。
【0039】
重合体(A2)は、例えば、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のビニルベンジル(ポリ)グリシジルエーテル類と上記共重合性不飽和単量体を、重合体(A1)と同様に共重合した共重合体中のグリシジル基に、アクリル酸、メタクリル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノメタクリレート、2−アクリロイロキシエチルこはく酸、2−メタクリロイロキシエチルこはく酸等の不飽和カルボン酸を付加し、次いで無水こはく酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、4−シクロへキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等の多塩基酸無水物を付加することにより製造することができる。不飽和カルボン酸および多塩基酸無水物の付加反応は、公知の方法に準じて行うことができる。
【0040】
本発明において、アルカリ可溶性樹脂は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明において、アルカリ可溶性樹脂の含有量は、着色層形成用感放射線性組成物を構成する場合にあっては、後述する(D)着色剤100重量部に対して、通常、10〜1,000重量部、好ましくは20〜500重量部である。この場合、アルカリ可溶性樹脂の含有量が10重量部未満では、例えば、アルカリ現像性が低下したり、未露光部の基板上あるいは遮光層上に残渣や地汚れが発生するおそれがあり、一方1,000重量部を超えると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
【0041】
−(B)重合性不飽和化合物−
本発明における重合性不飽和化合物は、上記式(1−1)〜(1−4)で表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体(以下、「重合体(B)」ということがある。)を含有するものである。
上記式(1−1)〜(1−4)において、Xとしては、下記式(X−1)または下記式(X−2)で表される基が好ましく、特に、ビニル基または1−メチルビニル基が、得られる感放射線性組成物の放射線感度の点で好ましい。
【0042】
【化5】

【0043】
(式(X−1)において、R12は水素原子またはメチル基を示し、iは0〜10の整数を示し、「*」は結合手であることを示す。)
【0044】
【化6】

【0045】
(式(X−2)において、R13は水素原子またはメチル基を示し、R14はメチレン基または炭素数2〜12のアルキレン基を示し、R15は単結合、メチレン基、炭素数2〜6のアルキレン基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基または1,2−フェニレン基を示し、「*」は結合手であることを示す。)
【0046】
重合体(B)としては、上記式(1−1)〜(1−4)で表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体であれば、特に限定されるものではないが、例えば、下記式(2−1)〜(2−5)で表される繰り返し単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有する重合体を挙げることができる。
【0047】
【化7】

【0048】
(式中、R1、R6、R7およびR10は水素原子またはメチル基を示し、R2は単結合、メチレン基または炭素数2〜12のアルキレン基を示し、Eは単結合またはエーテル結合を示し、Yは上記式(1−1)で表される基を示し、R3〜R5は相互に独立に水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、hは1〜5の整数を示し、Zは上記式(1−2)〜(1−4)で表される基のいずれかを示し、R8は単結合、カルボニル基またはフェニレン基を示し、R9は単結合、メチレン基または炭素数2〜12のアルキレン基を示し、R11はメチレン基または炭素数2〜12のアルキレン基を示す。)
【0049】
上記式(2−1)において、Eが単結合である場合、R2は単結合、メチレン基または炭素数2〜9のアルキレン基であることが好ましく、特に単結合であることが好ましい。また、Eがエーテル結合である場合、R2は炭素数2〜9のアルキレン基であることが好ましい。
また、上記式(2−2)において、R3は水素原子またはメチル基であることが好ましく、R4およびR5は水素原子あることが好ましい。hは1であることが好ましい。
また、上記式(2−4)において、R9は単結合、メチレン基または炭素数2〜9のアルキレン基であることが好ましく、特に単結合またはメチレン基であることが好ましい。
また、上記式(2−5)において、R11はメチレン基または炭素数2〜9のアルキレン基であることが好ましく、特にメチレン基であることが好ましい。
【0050】
本発明において、重合体(B)は、上記式(2−1)〜(2−5)で表される繰り返し単位を10〜95モル%含有することが好ましく、30〜90モル%含有することがさらに好ましい。上記式(2−1)〜(2−5)で表される繰り返し単位の含有量が10モル%未満であると所望の効果が得られないおそれがあり、一方95モル%を超えると重合体(B)の安定性が悪化するおそれがある。
【0051】
重合体(B)のMwは、好ましくは1,000〜20,000、特に好ましくは1,500〜15,000である。また、重合体(B)のMwとMnの比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜8.0、より好ましくは1.0〜6.0である。この場合、Mwが1,000未満であると、硬化膜の表面平滑性が低下するおそれがあり、一方20,000を超えると、アルカリ現像性が低下したり、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生しやすくなるおそれがある。
【0052】
このような重合体(B)は、例えば、オキシラニル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「オキシラニル基含有不飽和単量体」ということがある。)を含有してなるエチレン性不飽和単量体の重合体(以下、「オキシラニル基含有重合体」ということがある。)に、下記式(b1)で表される化合物(以下、「化合物(b1)」ということがある。)を付加し、次いで下記式(b2)で表される化合物(以下、「化合物(b2)」ということがある。)を付加することにより製造することができる。
【0053】
【化8】

【0054】
(式(b1)において、Xは上記式(1−1)〜(1−4)におけるXと同義である。)
【0055】
【化9】

【0056】
(式(b2)において、Xは上記式(1−1)〜(1−4)におけるXと同義である。)
【0057】
オキシラニル基含有不飽和単量体としては、例えば、
上記式(2−1)で表される繰り返し単位を与えるものとして、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸2−グリシジルオキシエチル、(メタ)アクリル酸3−グリシジルオキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−グリシジルオキシブチルの如きグリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
上記式(2−2)で表される繰り返し単位を与えるものとして、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,4−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,5−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,6−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,4−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,6−トリグリシジルオキシメチルスチレン、3,4,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,4,6−トリグリシジルオキシメチルスチレンの如きグリシジル基を有する芳香族ビニル化合物等を挙げることができる。
【0058】
また、上記式(2−3)〜(2−5)で表される繰り返し単位を与えるオキシラニル基含有不飽和単量体として、下記式(b−3)〜(b−5)で表される基を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、ビニルエーテルを挙げることができる。
【0059】
【化10】

【0060】
上記式(2−3)〜(2−5)で表される繰り返し単位を与えるオキシラニル基含有不飽和単量体として、より具体的には、下記式
【0061】
【化11】

【0062】
【化12】

【0063】
(式中、R16は水素原子またはメチル基を示し、R17はメチレン基または炭素数2〜12のアルキレン基を示す。)
で表される化合物を挙げることができる。
これらのオキシラニル基含有不飽和単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0064】
本発明において、オキシラニル基含有不飽和単量体としては、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロへキシル−n−プロピル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロへキシル−i−プロピル(メタ)アクリレート、1−ビニル−2,3−エポキシシクロヘキサン、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン、1−アリル−2,3−エポキシシクロヘキサン、1−アリル−3,4−エポキシシクロヘキサン等が好ましく、特に(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−グリシジルオキシエチル、(メタ)アクリル酸3−グリシジルオキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−グリシジルオキシブチル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン等が好ましい。
【0065】
オキシラニル基含有重合体においては、オキシラニル基含有不飽和単量体と共に、他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合することもできる。かかるエチレン性不飽和単量体としては、(A)アルカリ可溶性樹脂における共重合性不飽和単量体として例示した化合物の中で、オキシラニル基含有不飽和単量体を除く化合物や、オキセタニル基を有するエチレン性不飽和単量体を挙げることができる。
【0066】
オキセタニル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、3−〔(メタ)クリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)クリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタン、3−〔(メタ)クリロイルオキシメチル〕−2−トリフルオロメチルオキセタン、3−〔(メタ)クリロイルオキシメチル〕−2−フェニルオキセタン、2−〔(メタ)クリロイルオキシメチル〕オキセタン、2−〔(メタ)クリロイルオキシメチル〕−4−トリフルオロメチルオキセタン、3−エチル−3−(ビニルオキシメチル)オキセタン等を挙げることができる。
【0067】
本発明において、オキシラニル基含有不飽和単量体と共重合するエチレン性不飽和単量体としては、N−位置換マレイミド、芳香族ビニル化合物、アセナフチレン類、不飽和カルボン酸エステル、オキセタニル基を有するエチレン性不飽和単量体等が好ましく、特にN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、スチレン、α−メチルスチレン、アセナフチレン、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(n=2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(n=2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−エチル−3−(ビニルオキシメチル)オキセタン等が好ましい。
オキシラニル基含有不飽和単量体と共重合するエチレン性不飽和単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0068】
オキシラニル基含有重合体におけるオキシラニル基含有不飽和単量体の共重合割合は、上記式(2−1)〜(2−5)で表される繰り返し単位が所望の含有割合になるよう、適宜設定することができる。
オキシラニル基含有重合体のMw及びMwとMnの比(Mw/Mn)についても、所望の重合体(B)に応じて適宜に設定することができる。
オキシラニル基含有重合体は、上記(A)アルカリ可溶性樹脂と同様に製造することができる。
【0069】
上記化合物(b1)は、上記式(1−1)〜(1−4)における所望のXの種類に応じて適宜に選択することができる。好ましい化合物(b1)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノメタクリレート、2−アクリロイロキシエチルこはく酸、2−メタクリロイロキシエチルこはく酸等を挙げることができる。前記ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレートおよびω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノメタクリレートにおいて、ポリカプロラクトンの繰り返し単位数は好ましくは1〜10であり、より好ましく2〜4である。化合物(b1)としては、特にアクリル酸またはメタクリル酸が反応性に富むため好ましい。これらは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0070】
オキシラニル基含有重合体への化合物(b1)の付加反応は、公知の方法に準じて行うことができる。例えば、好ましくは溶媒およびエステル化触媒の存在下、50〜150℃の温度で6〜24時間の間、付加反応を行うことができる。ここで使用できる溶媒としては、たとえばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等を挙げることができる。
【0071】
エステル化触媒としては、例えばトリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルメチルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級アミン;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩等を、用いることができる。必要に応じて、p−メトキシフェノール、メチルハイドロキノン等の重合防止剤を用いてもよい。エステル化触媒の使用量としては、スチレンエポキシ樹脂の有するエポキシ基に対して好ましくは0.5当量以下であり、より好ましくは0.01〜0.1当量である。重合防止剤は、反応溶液の全量に対して好ましくは5,000ppm以下、より好ましくは500〜3,000ppmの範囲で使用される。
化合物(b1)の使用量は、オキシラニル基含有重合体のオキシラニル基1当量に対して、0.7〜1.3当量の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.9〜1.2当量の範囲である。
【0072】
上記化合物(b2)は、上記式(1−1)〜(1−4)における所望のXの種類に応じて適宜に選択することができる。好ましい化合物(b2)としては、例えば、好ましい化合物(b1)として例示した不飽和カルボン酸の無水物を挙げることができ、特に無水アクリル酸、無水メタクリル酸が反応性に富むため好ましい。これらは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
オキシラニル基含有重合体への化合物(b2)の付加反応は、上記オキシラニル基含有重合体への化合物(a1)の付加反応と同様の条件下で行うことができる。オキシラニル基含有重合体への化合物(a1)の付加反応に引き続いて反応混合物中に化合物(a2)を追加し、継続して付加反応を行ってもよい。化合物(a2)の使用量は、オキシラニル基含有重合体のオキシラニル基1当量に対して、0.2〜1.0当量の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.4〜0.9当量の範囲である。
【0073】
本発明においては、重合性不飽和化合物として、重合体(B)と共に他の重合性不飽和化合物を使用することができる。他の重合性不飽和化合物としては、2個以上の重合性不飽和結合を有する多官能性単量体、および1個の重合性不飽和結合を有する単官能性単量体を挙げることができる。
【0074】
前記多官能性単量体としては、例えば、
エチレングリコール、プロピレングリコールの如きアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如きポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート;
グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートやそのジカルボン酸変性物;
ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピラン樹脂の如きオリゴ(メタ)アクリレート;
両末端ヒドロキシポリ−1,3−ブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトンの如き両末端ヒドロキシル重合体のジ(メタ)アクリレート;
トリス〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕フォスフェートや、
イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリアクリレート
等を挙げることができる。
これらの多官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0075】
また、前記単官能性単量体としては、例えば、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕の如き2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル;ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートの如き両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート;N−ビニルサクシンイミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルフタルイミド、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルピロール、N−ビニルピロリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルイミダゾリジン、N−ビニルインドール、N−ビニルインドリン、N−ビニルベンズイミダゾ−ル、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピペリジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルモルフォリン、N−ビニルフェノキサジン等のN−ビニル含窒素複素環式化合物;N−(メタ)アクリロイルモルフォリンのほか、市販品として、M−5400、M−5600(商品名、東亞合成(株)製)等を挙げることができる。
これらの単官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0076】
本発明において、他の重合性不飽和化合物としては多官能性単量体が好ましく、特に、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ペンタエリスリトールトリメタクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ジペンタエリスリトールペンタメタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物等が好ましく、特に、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物が、硬化膜の強度が高く、硬化膜の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上および遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で好ましい。
【0077】
本発明において、重合性不飽和化合物の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、通常、5〜500重量部、好ましくは20〜300重量部である。この場合、多官能性単量体の使用量が5重量部未満では、硬化膜の強度や表面平滑性が低下する傾向があり、一方500重量部を超えると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生しやすくなる傾向がある。
【0078】
また、本発明において、重合性不飽和化合物中の重合体(B)の含有割合は、本発明の所望の前記の効果を得る点から、好ましくは1〜95重量%、特に好ましくは5〜80重量%である。
【0079】
−(C)光重合開始剤−
本発明における光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、前記(B)重合性不飽和化合物の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
このような光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物等を挙げることができる。
【0080】
本発明において、光重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができるが、本発明における光重合開始剤としては、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0081】
本発明において、光重合開始剤の一般的な含有量は、(B)重合性不飽和化合物100重量部に対して、通常、0.01〜120重量部、好ましくは1〜100重量部である。この場合、光重合開始剤の含有量が0.01重量部未満では、露光による硬化が不十分となるおそれがあり、一方120重量部を超えると、形成されたパターンが現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
【0082】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)エタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル・フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1,2−オクタンジオン等を挙げることができる。
これらのアセトフェノン系化合物のうち、特に、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)エタン−1−オン等が好ましい。
前記アセトフェノン系化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0083】
本発明において、光重合開始剤としてアセトフェノン系化合物を使用する場合の含有量は、(B)重合性不飽和化合物100重量部に対して、通常、0.01〜85重量部、好ましくは1〜75重量部、さらに好ましくは1〜65重量部である。この場合、アセトフェノン系化合物の含有量が0.01重量部未満では、露光による硬化が不十分となるおそれがあり、一方85重量部を超えると、形成されたパターンが現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
【0084】
また、前記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0085】
これらのビイミダゾール系化合物のうち、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等が好ましく、特に、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましい。
【0086】
これらのビイミダゾール系化合物は、溶剤に対する溶解性に優れ、未溶解物、析出物等の異物を生じることがなく、しかも感度が高く、少ないエネルギー量の露光により硬化反応を十分進行させるとともに、未露光部で硬化反応が生じることがないため、露光後の塗膜は、現像液に対して不溶性の硬化部分と、現像液に対して高い溶解性を有する未硬化部分とに明確に区分され、それにより、アンダーカットのないパターンを形成することができる。
前記ビイミダゾール系化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0087】
本発明において、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を使用する場合の含有量は、(B)重合性不飽和化合物100重量部に対して、通常、0.01〜40重量部、好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部である。この場合、ビイミダゾール系化合物の含有量が0.01重量部未満では、露光による硬化が不十分となるおそれがあり、一方40重量部を超えると、現像する際に、形成されたパターンの基板からの脱落やパターン表面の膜あれを来しやすくなる傾向がある。
【0088】
本発明においては、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、下記する水素供与体を併用することが、感度をさらに改良することができる点で好ましい。
ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。
本発明における水素供与体としては、下記で定義するメルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。
【0089】
前記メルカプタン系化合物は、ベンゼン環あるいは複素環を母核とし、該母核に直接結合したメルカプト基を1個以上、好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「メルカプタン系水素供与体」という。)からなる。
前記アミン系化合物は、ベンゼン環あるいは複素環を母核とし、該母核に直接結合したアミノ基を1個以上、好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「アミン系水素供与体」という。)からなる。
なお、これらの水素供与体は、メルカプト基とアミノ基とを同時に有することもできる。
【0090】
以下、水素供与体について、より具体的に説明する。
メルカプタン系水素供与体は、ベンゼン環あるいは複素環をそれぞれ1個以上有することができ、またベンゼン環と複素環との両者を有することができ、これらの環を2個以上有する場合、縮合環を形成しても形成しなくてもよい。
また、メルカプタン系水素供与体は、メルカプト基を2個以上有する場合、少なくとも1個の遊離メルカプト基が残存する限りでは、残りのメルカプト基の1個以上がアルキル、アラルキルまたはアリール基で置換されていてもよく、さらには少なくとも1個の遊離メルカプト基が残存する限りでは、2個の硫黄原子がアルキレン基等の2価の有機基を介在して結合した構造単位、あるいは2個の硫黄原子がジスルフィドの形で結合した構造単位を有することができる。
さらに、メルカプタン系水素供与体は、メルカプト基以外の箇所で、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、置換フェノキシカルボニル基、ニトリル基等によって置換されていてもよい。
【0091】
このようなメルカプタン系水素供与体の具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−2,5−ジメチルアミノピリジン等を挙げることができる。
これらのメルカプタン系水素供与体のうち、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールが好ましく、特に2−メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
【0092】
また、アミン系水素供与体は、ベンゼン環あるいは複素環をそれぞれ1個以上有することができ、またベンゼン環と複素環との両者を有することができ、これらの環を2個以上有する場合、縮合環を形成しても形成しなくてもよい。
また、アミン系水素供与体は、アミノ基の1個以上がアルキル基または置換アルキル基で置換されてもよく、またアミノ基以外の箇所で、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、置換フェノキシカルボニル基、ニトリル基等によって置換されていてもよい。
【0093】
このようなアミン系水素供与体の具体例としては、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾニトリル等を挙げることができる。
これらのアミン系水素供与体のうち、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましく、特に4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
なお、アミン系水素供与体は、ビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤の場合においても、増感剤としての作用を有するものである。
【0094】
本発明において、水素供与体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、形成されたパターンが現像時に基板から脱落し難く、またパターン強度および感度も高い点で好ましい。
メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体との組み合わせの具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等を挙げることができ、さらに好ましい組み合わせは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンであり、特に好ましい組み合わせは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンである。
メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体との組み合わせにおけるメルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体との重量比は、通常、1:1〜1:4、好ましくは1:1〜1:3である。
【0095】
本発明において、水素供与体をビイミダゾール系化合物と併用する場合の含有量は、(B)重合性不飽和化合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜40重量部、さらに好ましくは1〜30重量部、特に好ましくは1〜20重量部である。この場合、水素供与体の含有量が0.01重量部未満であると、感度の改良効果が低下する傾向があり、一方40重量部を超えると、形成されたパターンが現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
【0096】
なお、アミン系水素供与体は、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤と併用する場合には増感剤として機能することができる。アミン系水素供与体を増感剤として使用する場合、その含有量は、ビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤100重量部に対して、通常300重量部以下、好ましくは200重量部以下、さらに好ましくは100重量部以下であるが、かかる含有量が少なすぎると十分な効果が得難くなることから、含有量の下限を好ましくは2重量部、さらに好ましくは5重量部とするのが望ましい。
【0097】
また、前記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0098】
これらのトリアジン系化合物のうち、特に、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンが好ましい。
前記トリアジン系化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0099】
本発明において、光重合開始剤としてトリアジン系化合物を使用する場合の含有量は、(B)重合性不飽和化合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜40重量部、さらに好ましくは1〜30重量部、特に好ましくは1〜20重量部である。この場合、トリアジン系化合物の含有量が0.01重量部未満であると、露光による硬化が不十分となるおそれがあり、一方40重量部を超えると、形成されたパターンが現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
【0100】
また、O−アシルオキシム系化合物としては、例えば、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−オクタン−1,2−ジオン 2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル〕−ノナン−1,2−ノナン−2−オキシム−O−ベンゾアート、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル〕−ノナン−1,2−ノナン−2−オキシム−O−アセタート、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル〕−ペンタン−1,2−ペンタン−2−オキシム−O−アセタート、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル〕−オクタン−1−オンオキシム−O−アセタート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾアート、1−〔9−エチル−6−(1,3,5−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾアート、1−〔9−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾアート、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−[2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル]−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
【0101】
これらのO−アシルオキシム系化合物のうち、特に、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−オクタン−1,2−ジオン 2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−[2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル]−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等が好ましい。
前記O−アシルオキシム系化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0102】
本発明において、光重合開始剤としてO−アシルオキシム系化合物を使用する場合の含有量は、(B)重合性不飽和化合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜85重量部、さらに好ましくは1〜75重量部、特に好ましくは1〜65重量部である。この場合、O−アシルオキシム系化合物の含有量が0.01重量部未満であると、露光による硬化が不十分となるおそれがあり、一方85重量部を超えると、形成されたパターンが現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
【0103】
−(D)着色剤−
本発明の感放射線性組成物がカラーフィルタを構成する着色層を形成するために用いられる場合、(D)着色剤を含有する。(D)着色剤としては、特に限定されるものではなく、有機顔料、無機顔料のいずれでもよい。
有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
【0104】
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー211;
【0105】
C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ68、C.I.ピグメントオレンジ70、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ72、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントオレンジ74;
【0106】
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272;
【0107】
C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー80;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7。
【0108】
本発明において、有機顔料は、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法や、これらの組み合わせにより精製して使用することもできる。
【0109】
また、上記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
【0110】
これらの着色剤は、所望により、その粒子表面をポリマーで改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質するポリマーとしては、例えば特開平8−259876号公報に記載されたポリマーや、市販の各種の顔料分散用のポリマー又はオリゴマー等を挙げることができる。カーボンブラック表面のポリマー被覆方法については、例えば特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に開示されている。
前記着色剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0111】
本発明の感放射線性組成物を画素の形成に用いる場合、画素には高精細な発色と耐熱性が求められることから、(D)着色剤としては、発色性が高く且つ耐熱性の高い着色剤、特に耐熱分解性の高い着色剤が好ましく、具体的には有機着色剤が好ましく、特に有機顔料が好ましく用いられる。
一方、本発明の感放射線性組成物をブラックマトリックスの形成に用いる場合、ブラックマトリックスには遮光性が要求されることから、(D)着色剤としては有機顔料またはカーボンブラックが好ましく用いられる。
【0112】
本発明の感放射線性組成物は、着色剤の含有量が、感放射線性組成物の全固形分中、30重量%以上となる場合であっても、現像時にパターンエッジの欠けおよびアンダーカットを生じることがない。また、本発明において、着色剤の含有量の上限は、現像性を確保する観点から、感放射線性組成物の全固形分中、好ましくは70重量%以下、特に好ましくは60重量%以下である。ここで、固形分とは、後述する溶媒以外の成分である。
【0113】
本発明における着色剤は、所望により、分散剤、分散助剤と共に使用することができる。
上記分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系や両性等の適宜の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、変性アクリル系共重合体、アクリル系共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、高分子共重合体のアルキルアンモニウム塩又はリン酸エステル塩、カチオン性櫛型グラフトポリマー等を挙げることができる。ここで、カチオン性櫛型グラフトポリマーとは、複数の塩基性基(カチオン性の官能基)を有する幹ポリマー1分子に、2分子以上の枝ポリマーがグラフト結合した構造のポリマーをいい、例えば、幹ポリマー部がポリエチレンイミン、枝ポリマー部がε−カプロラクトンの開環重合体で構成されるポリマーが挙げられる。これら分散剤の中で、変性アクリル系共重合体、ポリウレタン、カチオン性櫛型グラフトポリマーが好ましい。
【0114】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、変性アクリル系共重合体として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ポリウレタンとして、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)、カチオン性櫛型グラフトポリマーとして、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880(味の素ファインテクノ株式会社製)等を挙げることができる。
【0115】
これらの分散剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。分散剤の含有量は、(A)着色剤100重量部に対して、通常、100重量部以下、好ましくは0.5〜100重量部、さらに好ましくは1〜70重量部、特に好ましくは10〜50重量部である。この場合、分散剤の含有量が100重量部を超えると、現像性等が損なわれるおそれがある。
【0116】
上記分散助剤としては、例えば青色顔料誘導体、黄色顔料誘導体等を挙げることができ、具体的には、例えば銅フタロシアニン誘導体等を挙げることができる。
【0117】
−添加剤−
本発明の感放射線性組成物は、必要に応じて他の添加剤をさらに含有することもできる。
前記他の添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸等のアルカリ溶解性改善剤等を挙げることができる。
【0118】
溶媒
本発明の着色層形成用感放射線性組成物は、前記(A)〜(C)成分を必須成分とし、必要に応じて前記(D)成分及び添加剤成分を含有するが、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。
前記溶媒としては、感放射線性組成物を構成する(A)〜(D)成分や添加剤成分を分散または溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0119】
このような溶媒としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
【0120】
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミドまたはラクタム類
等を挙げることができる。
【0121】
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等が好ましい。
前記溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0122】
また、前記溶媒と共に、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の高沸点溶媒を併用することもできる。
これらの高沸点溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0123】
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、得られる感放射線性組成物の塗布性、安定性等の観点から、当該組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%となる量が望ましい。
【0124】
カラーフィルタの形成方法
次に、本発明の感放射線性組成物を用いて、本発明のカラーフィルタを形成する方法について説明する。
カラーフィルタを形成する方法は、通常、少なくとも下記(1)〜(4)の工程を含んでいる。
(1)基板上に本発明の感放射線性組成物の塗膜を形成する工程。
(2)前記塗膜の少なくとも一部に露光する工程。
(3)露光後の塗膜を現像する工程。
(4)現像後の塗膜をポストベークする工程。
以下、これらの工程について順次説明する。
【0125】
−(1)工程−
先ず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成して、この基板上に、例えば、赤色の(D)着色剤を含有する本発明の感放射線性組成物を、通常、液状組成物として塗布したのち、プレベークして溶媒を蒸発除去することにより、塗膜を形成する。
この工程で使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホンのほか、環状オレフィンの開環重合体やその水素添加物等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
液状組成物を基板に塗布する際には、回転塗布法、流延塗布法、ロール塗布法、スリットダイコーターを用いる塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、回転塗布法、スリットダイコーターを用いる塗布法が好ましい。
プレベークの条件は、通常、70〜110℃で2〜4分程度である。なお、本発明の感放射線性組成物によれば、プレベーク工程を省いても画素及びブラックマトリックスを形成することができる。
塗布厚さは、溶媒除去後の膜厚として、通常、1.0〜10μm、好ましくは1.0〜6.0μm、特に好ましくは1.0〜4.0μmである。
【0126】
−(2)工程−
その後、形成された塗膜の少なくとも一部に露光する。この場合、塗膜の一部に露光する際には、通常、所定のパターンを有するフォトマスクを介して露光する。
露光に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
放射線の露光量は、通常、10〜10,000J/m2 である。本発明の感放射線性組成物によれば、500J/m2 以下の露光量でもパターンエッジの欠けおよびアンダーカットを生じることがなく、且つ現像時に未溶解物が残存したりパターンエッジにスカムを生じたりすることなく微細パターンを形成することができる。
【0127】
−(3)工程−
その後、現像液、好ましくはアルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。
前記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
前記アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
現像条件は、常温で10〜300秒程度が好ましい。
【0128】
−(4)工程−
その後、現像後の塗膜をポストベークすることにより、感放射線性組成物の硬化物からなる赤色の画素パターンが所定の配列で配置された基板を得ることができる。
ポストベークの条件は、180〜230℃で20〜40分程度が好ましい。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常、0.5〜5.0μm、好ましくは1.0〜3.0μmである。
【0129】
また、緑色の(D)着色剤を含有する緑色感放射線性組成物を用いて、前記(1)〜(4)工程を繰り返すことにより、緑色の画素パターンを同一基板上に形成し、さらに青色の(D)着色剤を含有する青色感放射線性組成物を用いて、前記(1)〜(4)工程を繰り返すことにより、青色の画素パターンを同一基板上に形成することによって、赤色、緑色および青色の三原色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを基板上に形成することができる。但し、各色の画素パターンの形成順は任意に選択することができる。
黒色の(D)着色剤を含有する緑色感放射線性組成物を用いて、前記(1)〜(4)工程を行うにより、ブラックマトリックスを形成することができる。
【0130】
カラーフィルタ
本発明のカラーフィルタは、本発明の感放射線性組成物から上記のように形成された画素および/またはブラックマトリックスを有するものである。
【0131】
カラー液晶表示素子
本発明のカラー液晶表示素子は、本発明のカラーフィルタを具備するものである。
また、本発明のカラー液晶表示素子の1つの形態として、本発明の着色層形成用感放射線性組成物を用いて、薄膜トランジスタ基板アレイ上に、前述したようにして画素および/またはブラックマトリックスを形成することにより、特に優れた特性を有するカラー液晶表示素子を作製することができる。
【実施例】
【0132】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0133】
<(A)アルカリ可溶性樹脂の合成>
合成例1
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、メタクリル酸15.0g、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート10.0g、N−フェニルマレイミド20.0g、スチレン10.0g、ベンジルメタクリレート35.0g、およびグリセロールモノメタクリレート10.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200gに溶解し、さらに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.0gおよびα−メチルスチレンダイマー5.0gを投入し、その後15分間窒素パージした。窒素パージの後、反応液を攪拌しながら80℃に加熱し、この温度を保持して5時間重合することにより、アルカリ可溶性樹脂[A−1]を33重量%含む溶液を得た。このアルカリ可溶性樹脂[A−1]のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は11,000であった。
【0134】
合成例2
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、メタクリル酸20.0g、N−フェニルマレイミド25.0g、スチレン15.0g、ベンジルメタクリレート5.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15.0gおよびアリルメタクリレート20.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200gに溶解し、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7.0gおよびα−メチルスチレンダイマー5.0gを投入し、その後15分間窒素パージした。窒素パージの後、反応液を攪拌しながら80℃に加熱し、この温度を保持して5時間重合することにより、アルカリ可溶性樹脂[A−2]を33重量%含む溶液を得た。このアルカリ可溶性樹脂[A−2]のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は10,000であった。
【0135】
合成例3
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、メタクリル酸15.0g、アセナフチレン30.0g、ベンジルメタクリレート35.0gおよびグリセロールモノメタクリレート20.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200gに溶解し、さらに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.0gおよびα−メチルスチレンダイマー6.0gを投入し、その後15分間窒素パージした。窒素パージの後、反応液を攪拌しながら80℃に加熱し、この温度を保持して5時間重合することにより、アルカリ可溶性樹脂[A−3]を33重量%含む溶液を得た。このアルカリ可溶性樹脂[A−3]のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は13,000であった。
【0136】
合成例4
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル44.0g、N−フェニルマレイミド40.0g、ベンジルメタクリレート16.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300gに溶解し、さらに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル8.0gおよびα−メチルスチレンダイマー8.0gを投入し、その後15分間窒素パージした。窒素パージの後、反応液を攪拌しながら80℃に加熱し5時間重合した。
次いで、この反応溶液にメタクリル酸17.0g、p−メトキシフェノール0.5gおよびテトラブチルアンモニウムブロマイド4.4gを添加し、120℃の温度で9時間反応させた。さらに、無水こはく酸18.5gを添加し、100℃の温度で6時間反応させた後、液温度を85℃に保持したまま2回水洗し、減圧濃縮を行うことにより、アルカリ可溶性樹脂[A−4]を33重量%含有する溶液を得た。このアルカリ可溶性樹脂[A−4]のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は7,800であった。
【0137】
<重合体(B)の合成>
オキシラニル基含有重合体の合成
合成例5
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル44.0g、N−フェニルマレイミド40.0g、およびベンジルメタクリレート16.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300gに溶解し、さらに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル10.0gおよびα−メチルスチレンダイマー8.0gを投入し、その後15分間窒素パージした。窒素パージの後、反応液を攪拌しながら80℃に加熱し、5時間重合することにより、オキシラニル基含有重合体[b−1]を25重量%含む溶液を得た。このオキシラニル基含有重合体[b−1]のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は4,500であった。
【0138】
合成例6〜12
エチレン性不飽和単量体の種類および使用量ならびに2,2’−アゾビスイソブチロニトリルおよびα−メチルスチレンダイマーの使用量を表1に記載の通りとしたほかは、上記合成例1と同様にして実施し、オキシラニル基含有重合体[b−2]〜[b−8]をそれぞれ25重量%含む溶液を得た。
各合成例において得られたオキシラニル基含有重合体のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)を表1に示した。
【0139】
【表1】

【0140】
重合体(B)の合成
合成例13
上記合成例5で得られたオキシラニル基含有重合体[b−1]を含む溶液200g、アクリル酸10.0g、4−ヒドロキシフェノール0.9gおよびテトラブチルアンモニウムブロマイド2.1gをフラスコに仕込み、110℃の温度で9時間反応させた。これによりオキシラニル基含有重合体のオキシラニル基1当量に対し、アクリル酸1当量が反応した。さらに、無水アクリル酸14.0gを添加し、100℃で6時間反応させた。この反応液につき、44gの10重量%NaOH水溶液にて中和を行い、引き続き水洗し、減圧濃縮を行うことにより、重合体[B−1]を33重量%含有する溶液を得た。重合体[B−1]のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は6,500であった。
【0141】
合成例14〜23
使用したオキシラニル基含有重合体の種類、化合物(b1)の種類および使用量、化合物(b2)の種類および使用量、4−ヒドロキシフェノールならびにテトラブチルアンモニウムブロマイドの使用量を表2に記載の通りとしたほかは、上記合成例13と同様にして実施し、重合体[B−2]〜[B−11]をそれぞれ33重量%含有する溶液を得た。
各合成例において得られた重合体(B)のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)を表2に示した。
【0142】
【表2】

【0143】
<比較合成例>
合成例24
上記合成例5で得られたオキシラニル基含有重合体[b−1]を含む溶液200g、アクリル酸10.0g、4−ヒドロキシフェノール0.9gおよびテトラブチルアンモニウムブロマイド2.1gをフラスコに仕込み、110℃の温度で9時間反応させた。これによりオキシラニル基含有重合体のオキシラニル基1当量に対し、アクリル酸1当量が反応した重合体[R−1]を33重量%含有する溶液を得た。重合体[R−1]のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は5,300であった。
【0144】
<顔料分散液の調製>
調製例1
(D)着色剤としてC.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントレッド177=80/20(重量比)混合物15.0重量部、分散剤としてDisperbyk−2000を4.0重量部(固形分換算)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを固形分濃度が19%となるよう用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(D−1)を調製した。
【0145】
調製例2
(D)着色剤としてカーボンブラック20.0重量部、分散剤としてDisperbyk−167を4.0重量部(固形分換算)、溶媒として3−メトキシブチルアセテートを固形分濃度が24%となるよう用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(D−2)を調製した。
【0146】
調製例3
(D)着色剤としてC.I.ピグメントグリーン36/C.I.ピグメントイエロー150=60/40(重量比)混合物15.0重量部、分散剤としてDisperbyk−2001を4.0重量部(固形分換算)、溶媒として3−メトキシブチルアセテートを固形分濃度が19%となるよう用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(D−3)を調製した。
【0147】
調製例4
(D)着色剤としてカーボンブラック20.0重量部、分散剤としてDisperbyk−2001を4.0重量部(固形分換算)、溶媒として3−メトキシブチルアセテートを固形分濃度が24%となるよう用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(D−4)を調製した。
【0148】
<感放射線性組成物の調製および評価>
実施例1
感放射線性組成物の調製
顔料分散液(D−1)100重量部、(A)アルカリ可溶性樹脂溶液として[A−1]を含む溶液(固形分濃度33%)48重量部、(B)重合性不飽和化合物として重合体[B−1] を含む溶液(固形分濃度33%)6.1重量部、東亞合成株式会社製M−402(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)5.4重量部、東亞合成株式会社製TO−1382(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートならびにジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物)3.6重量部、(C)光重合開始剤としてチバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製イルガキュア907(2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン)3.6重量部、溶媒として3−エトキシプロピオン酸エチル81重量部を混合して、着色層形成用組成物を調製した。
得られた着色層形成用組成物について、下記の手順にしたがって評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0149】
評価
得られた着色層形成用組成物を、表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO2膜が形成されたソーダガラス基板に、スピンコーターを用いて塗布したのち、90℃のホットプレート上で2分間プレベークを行って、膜厚1.7μmの塗膜を形成した。
次いで、基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、幅5〜50μmの範囲でサイズの相異なる複数のスリットを有するフォトマスクを介して、塗膜に365nm、405nmおよび436nmの各波長を含む紫外線を露光した。このときの露光量は500J/m2であった。その後、基板を23℃の0.04重量%水酸化カリウム水溶液を用いて1分間シャワー現像したのち、超純水で洗浄して風乾した。その後、220℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行なって、基板上に赤色のストライプ状画素パターンが配列された画素アレイを形成した。このとき、基板上を光学顕微鏡にて観察し、画素パターンのエッジに欠けが認められるかどうか、基板上の未露光部に残渣が残っているかどうかにつき、下記の3段階で評価した。
[画素パターンの欠け]
○:欠けが認められない、
△:欠けが少し認められる、
×:欠けが多数認められる。
[残渣]
○:残渣が認められない、
△:残渣が少し認められる、
×:残渣が多い。
また、このときパターン全体が剥離することなく残存していた画素パターンの幅の最小値を形成可能な最小パターンの幅(μm)として評価した。
【0150】
実施例2〜11および比較例1〜2
実施例1において、表3に示すように各成分の種類および含有量(重量部)を変更した以外は実施例1と同様にして、着色層形成用組成物を調製した。
次いで、得られた着色層形成用組成物を用いて、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表3に示す。
【0151】
表3において、各成分は下記のとおりである。
B−12:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名M−402、東亞合成株式会社製)
B−13:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートならびにジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(商品名TO−1382、東亞合成株式会社製)
B−14:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(商品名M−450、東亞合成社製)
C−1:2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名イルガキュア907、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
C−2:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(商品名IRGACURE OX02、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
EEP:3−エトキシプロピオン酸エチル
MBA:3−メトキシブチルアセテート
【0152】
【表3】

【0153】
表3より、式(1−1)〜(1−4)で表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体を含有する重合性不飽和化合物を含有する組成物を用いて得られたカラーフィルムは、パターンエッジの欠け及びアンダーカットを生じることがなく、且つ現像時に未溶解物が残存することがないことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)下記式(1−1)〜(1−4)で表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体を含有してなる重合性不飽和化合物、および(C)光重合開始剤を含有することを特徴とする感放射線性組成物。
【化1】

(式中、Xは相互に独立に、アクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有する一価の有機基、ビニル基または1−メチルビニル基を示し、「*」は結合手であることを示す。)
【請求項2】
上記式(1−1)〜(1−4)で表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体が、下記式(2−1)〜(2−5)で表される繰り返し単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有する重合体である、請求項1に記載の感放射線性組成物。
【化2】

(式中、R1、R6、R7およびR10は水素原子またはメチル基を示し、R2は単結合、メチレン基または炭素数2〜12のアルキレン基を示し、Eは単結合またはエーテル結合を示し、Yは上記式(1−1)で表される基を示し、R3〜R5は相互に独立に水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、hは1〜5の整数を示し、Zは上記式(1−2)〜(1−4)で表される基のいずれかを示し、R8は単結合、カルボニル基またはフェニレン基を示し、R9は単結合、メチレン基または炭素数2〜12のアルキレン基を示し、R11はメチレン基または炭素数2〜12のアルキレン基を示す。)
【請求項3】
上記式(1−1)〜(1−4)におけるXが、下記式(X−1)または下記式(X−2)で表される基である、請求項1または2に記載の感放射線性組成物。
【化3】

(式(X−1)において、R12は水素原子またはメチル基を示し、iは0〜10の整数を示し、「*」は結合手であることを示す。)
【化4】

(式(X−2)において、R13は水素原子またはメチル基を示し、R14はメチレン基または炭素数2〜12のアルキレン基を示し、R15は単結合、メチレン基、炭素数2〜6のアルキレン基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基または1,2−フェニレン基を示し、「*」は結合手であることを示す。)
【請求項4】
(D)着色剤をさらに含有する請求項1〜3のいずれかに記載の着色層形成用感放射線性組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の着色層形成用感放射線性組成物を用いて形成された着色層を備えてなるカラーフィルタ。
【請求項6】
請求項5に記載のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子。
【請求項7】
下記式(1−1)〜(1−4)で表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体。
【化5】

(式中、Xは相互に独立に、アクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有する一価の有機基、ビニル基または1−メチルビニル基を示し、「*」は結合手であることを示す。)

【公開番号】特開2009−300835(P2009−300835A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156481(P2008−156481)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】