説明

感放射線樹脂組成物、樹脂膜及び電子部品

【課題】平坦性、低誘電性、吸水性、耐溶剤性、透明性及び耐熱透明性に優れるばかりでなく、密着性にも優れる樹脂膜、この樹脂膜を得るための、ろ過性に優れる感放射線樹脂組成物、及びこの樹脂膜を有する電子部品を提供する。
【解決手段】樹脂(A)、感放射線化合物(B)、及び溶剤(C)を含有してなり、樹脂(A)が、特定の5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド誘導体を含む単量体組成物を重合して得られる重合体であることを特徴とする感放射線樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感放射線樹脂組成物、感放射線樹脂組成物を用いて得られる樹脂膜、及び樹脂膜を有する電子部品に関する。さらに詳しくは、高感度でろ過性に優れる感放射線樹脂組成物、及びこの樹脂から形成される、保護膜、平坦化膜、電気絶縁膜などの電子部品用の、密着性に優れた樹脂膜に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子や液晶表示素子などの各種表示素子、集積回路素子、固体撮像素子、カラーフィルター、ブラックマトリックスなどの電子部品には、その劣化や損傷を防止するための封止膜、素子表面や配線を平坦化するための平坦化膜、電気絶縁性を保つための絶縁膜等、種々の機能性膜が設けられている。こうした機能性膜は、無機材料や有機材料を単独で又は複合して用いて形成される。そして、特に表示素子、固体撮像素子及びカラーフィルターに用いる場合、機能性膜は透明性(例えば、可視光領域での光線透過率が90〜95%以上)に優れたものであることが求められる。
【0003】
しかしながら、従来の感放射線樹脂組成物を用いても、十分な平坦性を有する樹脂膜が形成できない場合があった。また、近年、配線やデバイスの高密度化に伴い、樹脂膜に低誘電性が求められるようになってきた。
【0004】
このような要求に対して、例えば、特許文献1及び2には、樹脂成分である脂環式オレフィン重合体と、感放射線化合物である酸発生剤と、溶剤とを含有する感放射線樹脂組成物の開示ががあり、その脂環式オレフィン重合体の単量体として、フェニル基で置換されているN−置換環状イミド構造を有する単量体が記載されている。しかし、このような樹脂は、この分野で一般的に使用されている溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに完全には溶解せず、感放射線樹脂組成物の製造工程において、ろ過処理が著しく律速となる問題があった。また、これらの感放射線樹脂組成物から形成された樹脂膜は、平坦性、低誘電性、低吸水性、耐溶剤性、透明性及び耐熱透明性に優れるが、密着性が劣るという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2004−212450号公報
【特許文献2】特開2005−292277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような状況の下になされたものであり、平坦性、低誘電性、吸水性、耐溶剤性、透明性及び耐熱透明性に優れるばかりでなく、密着性にも優れる樹脂膜、この樹脂膜を得るための、ろ過性に優れる感放射線樹脂組成物、及びこの樹脂膜を有する電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、ろ過性に優れる感放射線樹脂組成物、上記優れた各特性を維持しながら、密着性にも優れる樹脂膜を得るべく、重合体の構造の観点から鋭意研究した結果、特定の置換基で置換されたN−置換環状イミド構造を有する単量体を含む単量体組成物を重合して得られる環状オレフィン重合体を用いれば、上記課題が達成され、更に感放射線樹脂組成物の放射線に対する感度が高まることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、樹脂(A)、感放射線化合物(B)、及び溶剤(C)を含有してなり、樹脂(A)が、式(1)で表わされる単量体を含む単量体組成物を重合して得られる重合体である感放射線樹脂組成物が提供される。
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜3の2価のアルキレン基、R、Rは、それぞれ、炭素数1〜10の1価のアルキル基、または、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基を表す。)
【0008】
前記重合は、開環重合であることが好ましい。
【0009】
前記重合体は、水素添加してなる水素添加物であることが好ましい。
【0010】
前記感放射線化合物(B)は、キノンジアジド化合物であることが好ましい。
【0011】
前記溶剤(C)は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであることが好ましい。
【0012】
本発明の感放射線樹脂組成物は、架橋剤(D)を更に含有してなるものであることが好ましい。
【0013】
本発明の感放射線樹脂組成物は、表面処理剤(E)を更に含有してなるものであることが好ましい。
【0014】
また、本発明によれば、感放射線樹脂組成物から形成されてなる樹脂膜が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、樹脂膜を有する電子部品が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の感放射線樹脂組成物は、高感度でろ過性に優れる。また、本発明の感放射線樹脂組成物を用いて、平坦性、低誘電性、吸水性、耐溶剤性、透明性及び耐熱透明性に優れるばかりでなく、密着性にも優れる樹脂膜を形成することができる。そのため、本発明の感放射線性樹脂組成物及び樹脂膜は、様々な用途に適用できる。
例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子や液晶表示素子などの各種表示素子、集積回路素子、固体撮像素子、カラーフィルター、ブラックマトリックスなどの電子部品においては、その劣化や損傷を防止するための封止膜、素子表面や配線を平坦化するための平坦化膜、電気絶縁性を保つための絶縁膜等の電子部品用材料として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の感放射線樹脂組成物は、樹脂(A)、感放射線化合物(B)、及び溶剤(C)を含有してなり、樹脂(A)が、式(1)で表わされる単量体を含む単量体組成物を重合して得られる重合体である。
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜3の2価のアルキレン基、R、Rは、それぞれ、炭素数1〜10の1価のアルキル基、または、炭素数1〜10の1価のハロゲン化アルキル基を表す。)
【0018】
本発明において、樹脂(A)は、式(1)で表わされる単量体を含む単量体組成物を重合することにより得られる。
式(1)で表わされる単量体を含む単量体組成物を重合してなる重合体は、
(i)式(1)で表される単量体の1種を単独重合して得られるものであっても、
(ii)式(1)で表される単量体の2種以上を共重合して得られるものであっても、
(iii)式(1)で表される単量体の少なくとも1種と、それと共重合可能な他の任意のモノマーとを共重合して得られるものであってもよい。
【0019】
重合体の全構造単位中、式(1)で表わされる単量体単位の割合は、重合体の製造目的によって任意に選択することができるが、耐熱性、電気特性、低吸水性と密着性、相溶性のバランスを考慮すると、通常1〜100モル%、好ましくは1〜90モル%、より好ましくは1〜80モル%である。
【0020】
なお、重合により得られた重合体に含まれる、式(1)で表される単量体単位の割合は、例えば、得られた重合体のH−NMRスペクトルを測定することにより求めることができる。
前記単量体組成物に含まれる式(1)で表される単量体以外の単量体は、前記式(1)で表される単量体と共重合可能な単量体であればよく、重合体の用途により適宜選択される。
【0021】
式(1)で表される単量体において、Rは炭素数1〜3の2価のアルキレン基、R、Rは、それぞれ、炭素数1〜10の1価のアルキル基、または、炭素数1〜10の1価のハロゲン化アルキル基を表す。
前記炭素数1〜3の2価のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基およびイソプロピレン基が挙げられる。この中でも、単量体の重合活性が良好で樹脂(A)を効率的に得られることから、メチレン基およびエチレン基が好ましい。
【0022】
前記炭素数1〜10の1価のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基およびシクロヘキシル基などが挙げられる。
炭素数1〜10の1価のハロゲン化アルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基およびパーフルオロペンチル基などが挙げられる。
これら中でも、得られる樹脂(A)の極性溶剤への溶解性に優れるため、R、Rは、それぞれメチル基またはエチル基であることが好ましく、R及びRが両方とも、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
【0023】
式(1)で表される単量体の中で、R、Rが両方ともメチル基又はエチル基である場合の具体例としては、N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)アスパラギン酸ジメチル、N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)アスパラギン酸ジエチル、N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)アスパラギン酸ジイソプロピル、N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)アスパラギン酸ジクロロメチル、N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)グルタミン酸ジメチル、N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)グルタミン酸ジエチル、N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)グルタミン酸ジイソプロピル、N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)グルタミン酸ジデシル、N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)−2−アミノアジピン酸ジメチル等が挙げられる。
これらの中でも、N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)アスパラギン酸ジメチル、N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)アスパラギン酸ジエチル、N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)グルタミン酸ジメチル、またはN−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)グルタミン酸ジエチルが好ましい。
これらの式(1)で表される単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
式(1)で表される単量体は、例えば、次のようにして、容易に製造することができる。
【0025】
【化2】

【0026】
(式中、R〜Rは、前記と同じ意味を表す。)
すなわち、式(1)で表される単量体は、対応するアミン(アミノ基含有ジカルボン酸ジアルキル)(2)と、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(3)とのアミド化反応により得ることができる。目的とする式(1)で表される単量体は、該反応の結果物を公知の分離・精製手段、例えば濃縮後冷却することにより、効率よく単離される。
【0027】
前記(iii)において、式(1)で表される少なくとも1種と共重合する際に用いる他の任意のモノマーとしては、プロトン性極性基を有する環状オレフィン単量体(a)、プロトン性極性基以外の極性基を有する環状オレフィン単量体(b)、極性基を持たない環状オレフィン単量体(c)、及び環状オレフィン以外の単量体(d)(これらの単量体を以下、単に単量体(a)〜(d)という。)が挙げられる。ここで、単量体(d)は、プロトン性極性基又はこれ以外の極性基を有していてもよく、極性基を全く有していなくてもよい。
これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、基板との密着性を高めるため、極性基を有するモノマーが好ましい。
【0028】
プロトン性極性基を有する単量体(a)としては、例えば、5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシメチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、9−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9,10−ジヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等のカルボキシ基含有環状オレフィン類;5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、9−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等の水酸基含有環状オレフィン類;等が挙げられる。
【0029】
プロトン性極性基以外の極性基を有する単量体(b)としては、例えば、5−アセトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、9−アセトキシテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−メトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−エトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等のエステル基を有する環状オレフィン類;
N−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−[(2−エチルブトキシ)エトキシプロピル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)−2−メチルグルタミン酸ジエチル;等が挙げられる。
【0030】
極性基を持たない単量体(c)としては、例えば、シクロペンテン、シクロオクテン等の単環の環状オレフィン類;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン等の環状ジオレフィン類;ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(「ノルボルネン」ともいう。)、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(「テトラシクロドデセン」ともいう。)、9−メチル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチリデン−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデン−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、ペンタシクロ[9.2.1.13,9.02,10]ペンタデカ−5,12−ジエン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、9−フェニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン、ペンタシクロ[9.2.1.13,9.02,10]ペンタデカ−12−エン等の極性基を持たない環状オレフィン類;等が挙げられる。
【0031】
環状オレフィン以外の単量体(d)としては、例えば、エチレン;プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数2〜20のα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等の非共役ジエン等の鎖状オレフィン類;等が挙げられる。
これらの、前記(iii)において用いる他の任意のモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
本発明に使用する樹脂(A)は、式(1)で表わされる単量体を、前記(i)〜(iii)の組み合わせで、重合することにより得られる。本発明において、樹脂(A)は、透明性、誘電率及び耐熱性を向上できる点で、重合により得られた重合体を更に水素添加したものであることが好ましい。
【0033】
本発明において、式(1)で表わされる単量体を含む単量体組成物を重合する方法は、常法に従えばよいが、開環重合法や付加重合法が好ましく、その中でも、開環重合法が、耐熱性、電気特性、低吸水性等に優れる重合体が得られるため、特に好ましい。
【0034】
開環重合法の重合触媒としては、例えば、モリブデン、ルテニウム、オスミウム、及びタングステン等の金属錯体が好適に用いられる。
これらの重合触媒は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合触媒の量は、重合触媒中の金属化合物:単量体のモル比で、通常、1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:500〜1:1,000,000、より好ましくは1:1,000〜1:500,000の範囲である。
【0035】
付加重合法の重合触媒としては、例えば、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒が好適に用いられる。
これらの重合触媒は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合触媒の量は、重合触媒中の金属化合物:単量体のモル比で、通常、1:100〜1:2,000,000の範囲である。
【0036】
各単量体を重合して得られた重合体の水素添加は、通常、水素添加触媒を用いて行われる。
水素添加触媒としては、例えば、オレフィン化合物の水素添加に際して一般的に使用されているものを用いることができる。具体的には、チーグラータイプの均一系触媒、貴金属錯体触媒、及び担持型貴金属系触媒等が利用できる。
これらの水素添加触媒のうち、単量体にその一部として結合していることがある官能基が変性する等の副反応が起きず、重合体中の炭素−炭素不飽和結合を選択的に水素添加できる点から、ロジウム、ルテニウム等の貴金属錯体触媒が好ましく、電子供与性の高い含窒素複素環式カルベン化合物又はホスフィン類が配位したルテニウム触媒が特に好ましい。
【0037】
本発明において、樹脂(A)としては、特に、以下に示すような、式(4)及び/又は式(5)で表される構造単位で表される構造単位を有するものが好適であり、式(5)で表される構造単位を有するものが、耐熱性、透明性に優れ、より好適である。
【0038】
【化3】

【0039】
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキレン基、R、Rは、それぞれ、炭素数1〜10の1価のアルキル基、または、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基を表す。)
【0040】
【化4】

【0041】
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキレン基、R、Rは、それぞれ、炭素数1〜10の1価のアルキル基、または、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基を表す。)
【0042】
本発明で使用される樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、通常、1,000〜1,000,000、好ましくは1,500〜100,000、より好ましくは2,000〜10,000の範囲である。
樹脂(A)の分子量分布は、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)比で、通常、4以下、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下である。
樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)や分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、測定することができる。例えば、テトラヒドロフラン等の溶媒を溶離液とし、ポリスチレン換算分子量として求めることができる。
【0043】
本発明では、樹脂(A)として単量体組成物の開環重合体の水素添加物も用いることができるが、この水素添加物は、本発明の開環重合体の主鎖に含まれる炭素−炭素二重結合が水素添加されたものである。
本発明の水素添加物において、炭素−炭素二重結合の水素化された割合(水素添加率)は、通常50%以上であり、耐熱性の観点から、70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましく、90%以上であるのがさらに好ましい。
水素添加物の水素添加率は、H−NMRスペクトルにより、測定することができる。例えば、水素添加された炭素−炭素二重結合モル数の、水素添加前の炭素−炭素二重結合モル数に対する割合として求めることができる。
【0044】
本発明で使用する感放射線化合物(B)は、紫外線や電子線等の放射線の照射により、化学反応を引き起こすことのできる化合物である。本発明において感放射線化合物(B)は、感放射線樹脂組成物から形成されてなる樹脂膜のアルカリ溶解性を制御できるものが好ましい。
本発明においては感放射線化合物(B)として光酸発生剤を使用することが好ましい。
【0045】
感放射線化合物(B)としては、例えば、アセトフェノン化合物、トリアリールスルホニウム塩、キノンジアジド化合物等のアジド化合物等が挙げられるが、好ましくはアジド化合物、特に好ましくはキノンジアジド化合物である。
【0046】
キノンジアジド化合物としては、例えば、キノンジアジドスルホン酸ハライドとフェノール性水酸基を有する化合物とのエステル化合物を用いることができる。キノンジアジドスルホン酸ハライドの具体例としては、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロライド、1,2−ベンゾキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド等が挙げられる。フェノール性水酸基を有する化合物の代表例としては、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール等が挙げられる。これら以外のフェノール性水酸基を有する化合物としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ノボラック樹脂のオリゴマー、フェノール性水酸基を1つ以上有する化合物とジシクロペンタジエンとを共重合して得られるオリゴマー等が挙げられる。
これらの中でも、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノール性水酸基を有する化合物との縮合物が好ましく、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド(2.5モル)との縮合物がより好ましい。
【0047】
光酸発生剤としては、キノンジアジド化合物の他、オニウム塩、ハロゲン化有機化合物、α,α’−ビス(スルホニル)ジアゾメタン系化合物、α−カルボニル−α’−スルホニルジアゾメタン系化合物、スルホン化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミド化合物等、公知のものを用いることができる。
これらの感放射線化合物は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
本発明の感放射線樹脂組成物における感放射線化合物(B)の含有量は、樹脂(A)100重量部に対して、通常、1〜100重量部、好ましくは5〜80重量部、より好ましくは10〜60重量部の範囲である。感放射線化合物(B)の含有量がこの範囲にあれば、任意の基板上に形成した本発明の感放射線樹脂組成物からなる樹脂膜をパターン化する際に、放射線照射部と放射線未照射部との現像液への溶解度差が大きくなり、放射線感度も高くなり、現像によるパターン化が容易であるので好適である。
【0049】
本発明の感放射線樹脂組成物は、溶剤(C)を含有する。
本発明で使用される溶剤(C)は、樹脂(A)及び感放射線化合物(B)を良好に溶解するものであれば、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブエステル類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などのグリコールエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ペプタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチルなどのエステル類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチルラクトンなどの非プロトン性極性溶剤;等が挙げられる。
この中でも、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロペンタノン、N−メチル−2−ピロリドンが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)が特に好ましい。
【0050】
これらの有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく又は2種以上を併用してもよい。本発明の感放射線樹脂組成物における溶剤(C)の含有量は、樹脂(A)100重量部に対して、通常、20〜10,000重量部、好ましくは50〜5,000重量部、より好ましくは100〜1,000重量部の範囲である。
【0051】
本発明の感放射線樹脂組成物は、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、所望により、架橋剤;表面処理剤;界面活性剤、酸化防止剤、消泡剤、染料等のその他の配合剤;等を含有していてもよい。
【0052】
本発明において、樹脂組成物の成分として、架橋剤(D)を含有することが好ましい。
架橋剤(D)としては、加熱により架橋剤分子間に架橋構造を形成するものや、樹脂(A)と反応して樹脂分子間に架橋構造を形成するものであり、具体的には、2以上の反応性基を有する化合物である。
かかる反応性基としては、例えば、アミノ基、カルボキシ基、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられ、より好ましくはアミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基であり、更に好ましくはエポキシ基である。エポキシ基は、末端エポキシ基、脂環式エポキシ基が好ましく、脂環式エポキシ基がより好ましい。
【0053】
架橋剤(D)の分子量は、特に限定されないが、通常、100〜100,000、好ましくは500〜50,000、より好ましくは1,000〜10,000である。架橋剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
架橋剤(D)の具体例としては、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ポリアミン類;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルフォン等の芳香族ポリアミン類;2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルスルフォン等のアジド類;ナイロン、ポリヘキサメチレンジアミンテレレフタルアミド、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド等のポリアミド類;N,N,N’,N’,N”,N”−(ヘキサアルコキシメチル)メラミン等のメラミン類;N,N’,N”,N”’−(テトラアルコキシメチル)グリコールウリル等のグリコールウリル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアクリレート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート系ポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;1,4−ジ−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ−(ヒドロキシメチル)ノルボルナン;1,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族グリシジルエーテル、エポキシアクリレート重合体等のエポキシ化合物;を挙げることができる。
【0055】
このようなエポキシ化合物の具体例としては、ジシクロペンタジエンを骨格とする3官能性のエポキシ化合物(商品名「XD−1000」。日本化薬社製)、[2,2−ビス(ヒドロキシメチル)1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(シクロヘキサン骨格及び末端エポキシ基を有する15官能性の脂環式エポキシ樹脂。商品名「EHPE3150」。ダイセル化学工業社製)、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(脂肪族環状3官能性のエポキシ樹脂。商品名「エポリードGT301」。ダイセル化学工業社製)、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(脂肪族環状4官能性のエポキシ樹脂。商品名「エポリードGT401」。ダイセル化学工業社製)等の脂環構造を有するエポキシ化合物;
【0056】
芳香族アミン型多官能エポキシ化合物(商品名「H−434」、東都化成工業社製)、クレゾールノボラック型多官能エポキシ化合物(商品名「EOCN−1020」、日本化薬社製)、フェノールノボラック型多官能エポキシ化合物(エピコート152、154、ジャパンエポキシレジン社製)、ナフタレン骨格を有する多官能エポキシ化合物(商品名EXA−4700、大日本インキ化学株式会社製)、鎖状アルキル多官能エポキシ化合物(商品名「SR−TMP」、坂本薬品工業社製)、多官能エポキシポリブタジエン(商品名「エポリードPB3600」、ダイセル化学工業社製)、グリセリンのグリシジルポリエーテル化合物(商品名「SR−GLG」、阪本薬品工業株式会社製)、ジグリセリンポリグリシジルエーテル化合物(商品名「SR−DGE」、阪本薬品工業株式会社製、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル化合物(商品名「SR−4GL」、阪本薬品工業株式会社製)等の脂環構造を有さないエポキシ化合物;を挙げることができる。
これらの中でも、架橋剤(D)としては、エポキシ基を2つ以上有する多官能エポキシ化合物が好ましく、耐熱形状保持性に優れることから、脂環構造を有し且つエポキシ基が3個以上の多官能エポキシ化合物が、特に好ましい。
【0057】
本発明の感放射線樹脂組成物における架橋剤(D)の含有量は、格別制限されず、本発明の感放射線樹脂組成物を持ちいて得られる樹脂膜にパターンを設ける場合に求められる耐熱性の程度を考慮して任意に設定すればよいが、樹脂(A)100重量部に対して、通常、1〜200重量部、好ましくは5〜150重量部、より好ましくは10〜100重量部、最も好ましくは25〜75重量部である。架橋剤(D)が多すぎても少なすぎても耐熱性が低下する傾向がある。
【0058】
本発明において、感放射線樹脂組成物の成分として、表面処理剤(E)を含有することが好ましい。
表面処理剤としては、本発明の樹脂組成物を用いて得られる樹脂膜を他の基材と積層して用いる場合に、前記樹脂膜と基材との密着性を向上できるものであれば特に制限されず、例えば、官能性シランカップリング剤等が挙げられる。その具体例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。この中でも、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
本発明の感放射線樹脂組成物における表面処理剤(E)の含有量は、樹脂(A)100重量部に対して、通常、1〜50重量部、好ましくは3〜40重量部の範囲である。
【0059】
本発明において、感放射線樹脂組成物の成分として、界面活性剤を含有することが好ましい。
界面活性剤は、ストリエーション(塗布筋あと)の防止、現像液で現像する場合の現像性の向上等の目的で使用される。その具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレート等のポリオキシエチレンジアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;メタクリル酸共重合体系界面活性剤;アクリル酸共重合体系界面活性剤;等が挙げられる。
【0060】
本発明において、感放射線樹脂組成物の成分として、酸化防止剤を含有することが好ましい。
酸化防止剤としては、通常の重合体に使用されている、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤等が使用できる。例えば、フェノール類として、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、p−メトキシフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、アルキル化ビスフェノール等を挙げることができる。リン系酸化防止剤としては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、イオウ系としては、チオジプロピオン酸ジラウリル等が挙げられる。
【0061】
本発明の感放射線樹脂組成物の調製方法は、特に限定されず、本発明の感放射線樹脂組成物の各構成成分、即ち、樹脂(A)、感放射線化合物(B)、溶剤(C)、並びに所望により使用するその他の成分を公知の方法により混合すればよい。
混合の方法は特に限定されないが、感放射線樹脂組成物の各構成成分を、それぞれ、溶剤(C)に溶解させて溶液としたものを混合してもよい。これにより、本発明の感放射線樹脂組成物は、溶液の形態で得られる。
【0062】
溶解する方法は、具体的には、攪拌子とマグネティックスターラーを使用した攪拌、高速ホモジナイザー、ディスパー、遊星攪拌機、二軸攪拌機、ボールミル、及び三本ロール等を攪拌機として使用した方法を挙げることができる。また、各成分を任意の順番で溶解した後に、例えば、孔径が0.5μm程度のフィルター等を用いて濾過することが好ましい。
【0063】
本発明の感放射線樹脂組成物の各構成成分を、溶剤(C)に溶解するときの固形分濃度は、通常、1〜70重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。固形分濃度がこの範囲にあれば、溶解安定性、基板上への塗布性や形成される樹脂膜の膜厚均一性、平坦性等が高度にバランスされ得る。
【0064】
本発明の樹脂膜は、本発明の樹脂組成物から形成されてなる。
樹脂膜は、通常、上述した感放射線樹脂組成物を基板に塗布、乾燥し、必要に応じて樹脂膜中の成分を架橋させて得ることができる。
基板は、感放射線樹脂組成物に溶解しない成形体であれば特に制限されず、例えば、プリント配線基板、シリコン基板、ガラス基板、プラスチック基板等の電子部品を構成する基板;樹脂フィルムや金属フィルムなどの支持基板;などが挙げられる。また、基板は、薄型トランジスタなどの電子回路や発光体等が搭載されたものであってもよい。
基板として、電子部品を構成する基板を用いた場合、当該基板に感放射線樹脂組成物を塗布し、乾燥して得られた樹脂膜は、必要に応じて当該膜中の成分が架橋されて、そのまま部品中の機能性膜となる。基板として支持基板を用いた場合、支持基板上に、感放射線樹脂組成物を塗布し、乾燥して得られた樹脂膜を、任意の電子部品を構成する基板等にフィルム積層法などによって積層し、必要に応じて積層した樹脂膜中の成分を架橋することで、機能性膜が形成された電子部品を得ることができる。
感放射線樹脂組成物を基板に塗布する方法としては、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、ドクターブレード法、回転塗布法、バー塗布法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、及びインクジェット法等の各種の方法を採用することができる。この中でも、広い面積に感放射線樹脂組成物を短時間でパターン形成できることから、スクリーン印刷法が好ましい。
乾燥の方法は、溶剤の沸点などを考慮して、通常30〜150℃、好ましくは60〜120℃の環境下に、通常0.5〜90分間、好ましくは1〜60分間、より好ましくは1〜30分間加熱する方法が挙げられる。具体的な手法としては、加熱乾燥、減圧乾燥、風乾など一般的な方法が挙げられる。
樹脂膜中の成分の架橋は、架橋剤の種類に応じた方法を採用すれば良く、例えば加熱や光照射によって行うことができる。加熱は、例えば、ホットプレート、オーブン等を用いて行うことができる。加熱温度は、通常100〜250℃であり、加熱時間は、樹脂膜の大きさや厚み及び使用機器等により適宜選択され、例えばホットプレートを用いる場合は、通常5〜60分間、オーブンを用いる場合は、通常10〜90分間の範囲である。加熱は、必要に応じて不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。光照射は、露光機などを用いて、紫外線等の光線を照射することによって行う。照射時間は、照射する光の強さや膜の厚みなどを考慮して任意に設定すればよい。
【0065】
フィルム積層法は、例えば、感放射線樹脂組成物を支持基板に塗布した後に、加熱乾燥により溶剤を除去してフィルムを得、次いで、このフィルムを基板上に積層する方法である。加熱乾燥条件は、各成分の種類や配合割合に応じて異なるが、通常30〜150℃、好ましくは60〜120℃で、通常0.5〜90分間、好ましくは1〜60分間、より好ましくは1〜30分間行えばよい。積層は、加圧ラミネータ、プレス、真空ラミネータ、真空プレス、ロールラミネータ等の圧着機を用いて行うことができる。
【0066】
基板と基板上に本発明の感放射線樹脂組成物を用いて形成した樹脂膜とからなる積層体において、樹脂膜はパターン化して用いることが好ましい。
基板上に形成されたパターン化樹脂膜は、例えば、樹脂膜に活性放射線を照射して潜像パターンを形成し、次いで潜像パターンを有する樹脂膜に現像液を接触させることによりパターンを顕在化させて得ることができる。
【0067】
活性放射線としては、感放射線化合物(B)を活性化させ、感放射線化合物(B)を含む感放射線樹脂組成物のアルカリ可溶性を変化させることができるものであれば特に限定されない。具体的には、紫外線、g線やi線等の単一波長の紫外線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光等の光線;電子線のような粒子線;等を用いることができる。これらの活性放射線を選択的にパターン状に照射して潜像パターンを形成する方法としては、常法に従えばよく、例えば、縮小投影露光装置等により、紫外線、g線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光等の光線を所望のマスクパターンを介して照射する方法、又は電子線等の粒子線により描画する方法等を用いることができる。活性放射線として光線を用いる場合は、単一波長光であっても、混合波長光であってもよい。照射条件は、使用する活性放射線に応じて適宜選択されるが、例えば、波長200〜450nmの光線を使用する場合、照射量は、通常10〜1,000mJ/cm、好ましくは50〜500mJ/cmの範囲であり、照射時間と照度に応じて決まる。このようにして活性放射線を照射した後、必要に応じ、樹脂膜を60〜130℃程度の温度で1〜2分間程度加熱処理する。
【0068】
次に、樹脂膜に形成された潜像パターンを現像して顕在化させる。本発明では、このような工程を「パターン化」といい、パターン化された樹脂膜を「パターン化樹脂膜」という。現像液としては、通常、アルカリ性化合物の水性溶液が用いられる。アルカリ性化合物としては、例えば、アルカリ金属塩、アミン、アンモニウム塩を使用することができる。アルカリ性化合物は、無機化合物であっても有機化合物であってもよい。これらの化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等のアルカリ金属塩;アンモニア水;エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第二級アミン;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン;ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、N−メチルピロリドン等の環状アミン類;等が挙げられる。これらアルカリ性化合物は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
アルカリ水性溶液の水性媒体としては、水;メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を使用することができる。アルカリ水性溶液は、界面活性剤等を適当量添加したものであってもよい。
潜像パターンを有する樹脂膜に現像液を接触させる方法としては、例えば、パドル法、スプレー法、ディッピング法等の方法が用いられる。現像は、通常、0〜100℃、好ましくは5〜55℃、より好ましくは10〜30℃の範囲で、通常、30〜180秒間の範囲で適宜選択される。
【0070】
このようにして目的とするパターン化樹脂膜を基板上に形成した後、必要に応じて、基板上、基板裏面及び基板端部の現像残渣を除去するために、基板をリンス液でリンスすることができる。リンス処理の後、残存しているリンス液を圧縮空気や圧縮窒素により除去する。
更に、必要に応じて、感放射線化合物(B)を失活させるために、パターン化樹脂膜を有する基板全面に活性放射線を照射することもできる。活性放射線の照射には、上記潜像パターンの形成に例示した方法を利用できる。照射と同時に又は照射後に樹脂膜を加熱してもよい。加熱方法としては、例えば、基板をホットプレートやオーブン内で加熱する方法が挙げられる。温度は、通常、100〜300℃、好ましくは120〜200℃の範囲である。
【0071】
本発明において、基板上にパターン化樹脂膜を形成した後に、パターン化樹脂膜の架橋反応を行なうことができる。
パターン化樹脂膜の架橋は、上述した基板上に形成された樹脂膜の架橋と同様の架橋方法を採用することができる。
【0072】
本発明の樹脂膜、特に基板上にパターン化樹脂膜を形成した積層体は、種々の電子部品として有用である。
例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子や液晶表示素子などの各種表示素子、集積回路素子、固体撮像素子、カラーフィルター、ブラックマトリックスなどの電子部品においては、その劣化や損傷を防止するための封止膜、素子表面や配線を平坦化するための平坦化膜、電気絶縁性を保つための絶縁膜等の電子部品用材料として好適である。
【実施例】
【0073】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、各例中の部及び%は特に断りの無い限り、質量基準である。
なお、各特性の定義及び評価方法は、以下の通りである。
(1)重合転化率
ガスクロマトグラフィーを用いて単量体残量を測定することにより算出する。
(2)水素添加率
水素添加率は、H−NMRにより測定し、水素添加された炭素−炭素二重結合モル数の水素添加前の炭素−炭素二重結合モル数に対する割合として、その測定値から算出する。
(3)分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、「HLC−8020(製品名)」)を用い、ポリスチレン換算の分子量として算出する。なお、溶離液としては、テトラヒドロフランを用いる。
【0074】
(4)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶解性
樹脂が、PGMEAを含む樹脂組成物中で、完全に溶解したか否かの判定は、樹脂組成物の光線透過率を測定することによって、することができる。これは、不溶の粒子が増えるほど、粒子の光散乱によって、光線透過率が減少する原理による。
光線透過率は、樹脂組成物1部をPGMEA200部で希釈し、、得られた希釈液の波長400nmにおける光線透過率を、分光光度計(日本分光社製、「V−570(製品名)」)を用いて測定する。
PGMEAの光線透過率を基準にして、樹脂組成物のPGMEA希釈液の光線透過率と溶解性を以下の基準で判定する。
希釈液の光線透過率が95%以上:PGMEAの光線透過率との差がほとんどなく、溶解性が良好である。
希釈液の光線透過率が90以上〜95%未満:溶解性は不十分である。
希釈液の光線透過率が90%未満:PGMEAの光線透過率との差が大きく、溶解性は悪い。
【0075】
(5)密着強度
樹脂組成物をシリコン基板上にスピンコートした後、90℃にて2分間ホットプレート上でプリベークし、次いで、窒素雰囲気のベーク炉で、230℃で60分間加熱することにより(ポストベーク)、膜厚2.1μmの樹脂膜付きシリコン基板を得る。
他方、2液混合型接着剤(ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社製、「アルルダイト スタンダード(製品名)」)の主剤と硬化剤を受け皿に同量出し、ヘラで均一になるように混合して接着剤(1)を得る。
得られた接着剤(1)を樹脂膜に塗布し、その上にドリー(直径20mmの円筒形の金属製冶具で、アドヒージョンテスターの付属品、コーテック社製)を載せ、これを100℃にて60分間ホットプレートで加熱し、シリコン基板上の樹脂膜とドリーが接着した評価試料を得る。
評価試料をアドヒージョンテスター(コーテック株式会社製)にセットし、基板(接着)面に対して垂直方向にドリーを引っ張り、樹脂硬化膜がシリコン基板から破断した時の強度を測定する。この強度から、単位面積当たりに換算した値を、密着強度とする。密着強度が6.0MPa以上を、合格とする。
【0076】
(6)感度
感放射線樹脂組成物をシリコン基板上にスピンコートした後、90℃にて2分間ホットプレート上でプリベークして、膜厚2.4μmの塗膜を形成する。
次に、現像液として0.4%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、25℃×60秒間の浸漬処理を行った後、超純水で30秒間洗浄処理を行う。この際の減膜量を浸漬時間で除した値を未露光部の溶解速度V1(μm/秒)とする。なお、減膜量は、光干渉式膜厚測定装置(ラムダエースVM1200、大日本スクリーン社製)を用いて、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液浸漬前後の塗膜の膜厚を測定し、測定結果の差の絶対値を減膜量とする。
上記と同様にして作成した塗膜付きのシリコン基板上に所定のパターンを有するマスクを置き、波長365nm、光強度11mW/cmの紫外線を空気中で40秒間照射した後に、現像液として0.4%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、25℃×60秒間の浸漬処理を行った後、超純水で30秒間洗浄処理を行う。この際の減膜量を浸漬時間で除した値を露光部の溶解速度V2(μm/秒)とする。
放射線に対する感度は、未露光部の溶解速度V1と露光部の溶解速度V2との比(V2/V1)を算出して求める。この溶解速度の比(V2/V1)が大きいほど、高感度であると判断する。
【0077】
〔製造例1〕
N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)アスパラギン酸ジメチル 100部、1,5−ヘキサジエン2.0部、(1,3−ジメシチルイミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムクロリド0.05部及びテトラヒドロフラン400部を窒素置換した耐圧ガラス反応器に仕込み、攪拌下に80℃で2時間の重合反応を行って重合反応溶液を得た。この反応溶液中に、単量体が残留していないことをガスクロマトグラフィーにて確認した。重合転化率は99.9%以上であった。重合体溶液を多量のn−ヘキサンに注いで固形分を析出させ、ろ別洗浄後、60℃で18時間減圧乾燥して開環メタセシス重合体aを得た。
攪拌機付きオートクレーブに、得られた重合体a 100部、テトラヒドロフラン 400部と水素添加触媒としてビス(トリシクロヘキシルホスフィン)エトキシメチレンルテニウムジクロリド0.1部とを入れて、150℃、水素圧4MPaで、5時間攪拌させて水素添加反応を行った。この反応溶液をろ過した後、反応液を多量のn−ヘキサンに注いでポリマーを完全に析出させ、ろ別洗浄後、90℃で18時間減圧乾燥して、水素添加重合体Aを得た。得られた水素添加重合体Aの重量平均分子量は、4,200、数平均分子量は2,550、分子量分布は1.65であった。水素添加率は、99.9%であった。
【0078】
〔製造例2〕
N−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)アスパラギン酸ジメチルをN−(エンド−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジイルジカルボニル)グルタミン酸ジメチルにした以外は、製造例1と同様に行い水素添加重合体Bを得た。得られた水素添加重合体Bの重量平均分子量は、4,100、数平均分子量は2,500、分子量分布は1.70であった。水素添加率は、99.9%であった。
【0079】
〔製造例3〕
5−エキソ−6−エンド−ジヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NDC)、9−エチル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(ETD)及びN−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(NBPI)からなる重合性単量体混合物(モル比10/40/50)100部と、1−ヘキセン8部と、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド0.04部と、テトラヒドロフラン400部とを、窒素置換したガラス製耐圧反応容器に仕込み、70℃で2時間攪拌して反応溶液を得た。この反応溶液中に、単量体が残留していないことをガスクロマトグラフィーにて確認した。重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応溶液を大量のn−ヘキサン中に注いで固形分を析出させた。得られた固形分をn−ヘキサンで洗浄した後、100℃で18時間減圧乾燥し、白色固体の開環メタセシス共重合体cを得た。
攪拌機付きオートクレーブに、この重合体c 100部、テトラヒドロフラン400部、水素添加触媒としてパラジウム/カーボン(10%パラジウム)5部を添加して、水素圧1.0MPa、60℃で8時間水素添加反応を行った。この反応溶液をろ過した後、上記と同様に大量のn−ヘキサン中で凝固、乾燥して水素添加重合体Cを得た。得られた水素添加重合体Cの重量平均分子量は、7,200、数平均分子量は4,070、分子量分布は1.77であった。水素添加率は、99.9%であった。
【0080】
〔製造例4〕
重合性単量体混合物を、5−エキソ−6−エンド−ジヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NDC)及びN−フェニル−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)(NBPI)(モル比40/60)からなる混合物に、1−ヘキセンの量を9部に変える以外は、製造例3と同様にして、開環メタセシス重合体d及び水素添加重合体Dを得た。得られた水素添加重合体Dの重量平均分子量は、5,800、数平均分子量は2,900、分子量分布は2.00であった。水素添加率は、99.9%であった。
【0081】
〔実施例1〕
樹脂(A)として製造例1で得た水素添加重合体A 100重量部、溶剤(C)としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)550重量部、感放射線化合物(B)である1,2−キノンジアジド化合物として1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(1.9モル)との縮合物35重量部、架橋剤(D)としてエポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(脂肪族環状4官能性のエポキシ樹脂。商品名「エポリードGT401」。ダイセル化学工業社製)49重量部、表面処理剤(E)としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、「SH6040(製品名)」)1重量部、界面活性剤としてシリーコーン系界面活性剤(信越化学工業社製、「KP−341(製品名)」)0.05重量部を混合し溶解させた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルタでろ過して感放射線樹脂組成物1を調製した。
この感放射線樹脂組成物1を用いて、PGMEA溶解性、感度及び密着強度を評価する。結果を表1に示す。
【0082】
〔実施例2〕
樹脂(A)として、水素添加重合体Aの代わりに、製造例2で得た水素添加重合体Bを用いる以外は、実施例1と同様にして感放射線樹脂組成物2を調製し、PGMEA溶解性、感度及び密着強度を評価する。結果を表1に示す。
【0083】
〔比較例1〜2〕
樹脂(A)として、水素添加重合体Aの代わりに、製造例3で得た水素添加重合体C(比較例1)、製造例4で得た水素添加重合体Dを用いる以外は、実施例1と同様にして、感放射線樹脂組成物3〜4を調製し、PGMEA溶解性、感度及び密着強度を評価する。結果を表1に示す。
【0084】
【表1】

【0085】
表1の結果より、樹脂(A)として、フェニル基で置換されているN−置換環状イミド構造を有する単量体からなる脂環式オレフィン重合体を用いて得られる樹脂組成物を使用すると、PGMEA溶解性、感度、又は密着強度が劣る(比較例1、2)。
これに対して、樹脂(A)として、式(1)で表わされる、特定の置換基で置換されたN−置換環状イミド構造を有する単量体からなる脂環式オレフィン重合体を用いて得られる樹脂組成物を使用すると、PGMEA溶解性、感度、密着強度の全てにおいて優れている(実施例1、2)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂(A)、感放射線化合物(B)、及び溶剤(C)を含有してなり、樹脂(A)が、式(1)で表わされる単量体を含む単量体組成物を重合して得られる重合体であることを特徴とする感放射線樹脂組成物。
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜3の2価のアルキレン基、R、Rは、それぞれ、炭素数1〜10の1価のアルキル基、または、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基を表す。)
【請求項2】
前記重合が、開環重合であることを特徴とする請求項1記載の感放射線樹脂組成物。
【請求項3】
前記重合体が、水素添加してなる水素添加物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の感放射線樹脂組成物。
【請求項4】
前記感放射線化合物(B)が、キノンジアジド化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の感放射線樹脂組成物。
【請求項5】
前記溶剤(C)が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである請求項1〜4のいずれか1項に記載の感放射線樹脂組成物。
【請求項6】
前記感放射線樹脂組成物が、架橋剤(D)を更に含有してなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の感放射線樹脂組成物。
【請求項7】
前記感放射線樹脂組成物が、表面処理剤(E)を更に含有してなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の感放射線樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の感放射線樹脂組成物から形成されてなる樹脂膜。
【請求項9】
請求項8記載の樹脂膜を有する電子部品。

【公開番号】特開2010−72217(P2010−72217A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238186(P2008−238186)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】