説明

慢性疼痛のための医薬

本発明は、次の一般式 (I):
R-NR1c -(K)k0-(B)b0-(C)c0-NO2 (I)
(式中、c0、b0 および k0 は 0 または 1であり;
R は慢性疼痛、例えば神経障害性疼痛用の鎮痛薬の基であり;
R1c は H または 1 〜 5の炭素原子を有するアルキルであり;
B は、その前駆体がアミノ酸、ヒドロキシ酸、多価アルコール、化合物から選択されるものであり;
C は、脂肪族、複素環式基または芳香族基を含む2価の基である)
を有するニトロオキシ誘導体またはそれらの塩に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性疼痛、特に神経障害性疼痛の緩和に改善効果を有する化合物に関するものである。慢性疼痛を記載するために、簡略化のため、神経障害性疼痛という。
【背景技術】
【0002】
神経障害性疼痛は、中枢または末梢神経系の障害または疾病から生じる慢性疼痛の一つの形態であることが知られている。神経障害性疼痛は、糖尿病性神経障害疼痛、疼痛性梗塞後症候群、化学療法治療によりひき起こされる疼痛または、例えばヘルペス、例えば帯状疱疹などのウイルス因子による感染から生じる疼痛のような、一連の疼痛の総体症状を含む。
【0003】
神経障害性疼痛は、一般的に長年の間、患者に影響を及ぼし、慢性症状がその対象者に重大な精神的ストレスを起こさせる点で社会的な問題である。
【0004】
最近20年で、神経障害性疼痛の病因の研究は、著しい進歩を遂げた。ヒトおよび動物実験モデルを用いた研究から、中枢神経系が、一連の生化学的および生理病理学的応答で、疼痛発現刺激に反応することが分かった。
疼痛発現刺激に対して、機能的および形態学的に対応する中枢神経系のこの能力は、神経可塑性として知られており、疼痛の開始を誘発するかまたは疼痛の総体症状の維持に不可欠の役割を果たす。
【0005】
慢性疼痛の治療に実際に使用される通常の鎮痛薬は、部分的にまたは全く有効でない。
臨床研究で広く使用されているカルバマゼピンは、三叉神経痛、糖尿病性神経障害疼痛および疱疹後の神経痛の治療に活性を示す。この薬剤の投与は、眠気、目眩、運動失調、吐き気および嘔吐のような副作用の欠点を有しているので、その使用が制限される。
【0006】
昨年、神経障害性疼痛の治療に、さらなる医薬が試験された。これらの中で、特にガバペンチンが、神経障害性疼痛、主に糖尿病性神経障害疼痛および疱疹後の神経痛の治療のための鎮痛薬として、非常に活性であると言うことができる。しかしながら、この場合も、重大な副作用、例えば眠気、倦怠、肥満等が観察される(Martindale XXX版, 頁374参照)。
【0007】
したがって、本発明は、慢性疼痛、特に神経障害性疼痛の治療において、改善された薬物療法学的プロファイルおよび/または低い副作用を有する医薬を提供することを目的とした。
【発明の開示】
【0008】
本出願人が、以下に記載した種類の医薬でこの問題を解決できることを見出したことは、驚嘆すべきことであり、予測できないことであった。
【0009】
本発明は、次の一般式(I)を有するニトロオキシ誘導体またはそれらの塩に関する。
R- NR1c-(K)k0-(B)b0-(C)c0-NO2 (I)
式中、
c0 は 0 または 1、 好ましくは 1であり;
b0 は 0 または 1であるが、c0 および b0 は同時に0とはなり得ず;
k0 は 0 または 1であり;
R は慢性疼痛、例えば神経障害性疼痛用の鎮痛薬の基であり;
R1c は H または1〜5の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキルであり;
【0010】
K は (CO) または 次の式:
【化1】

(式中、カルボニル基はT1に結合しており; Rt および R't は同一または異なって、 H、C1-C10-アルキル、フェニルまたはベンジル、-COORy(ここで、Ry = H、C1-C10-アルキル、フェニル、ベンジル)である);
を有する2価の基(1C)であり;
B = -TB-X2-TBI- (ここで、TB = (CO) または X (ここで、 X = O, S, NH));
但し、
b0 = 1 および k0 = 0 のとき、TB = (CO);
b0 = 1 および k0 = 1で、 K = (CO) のとき、TB = 上で定義したとおりのX;
TBI = (CO) または (X)(ここで、Xは上で定義したとおりである);
c0 = 0のとき、TBI = -O- であり;
【0011】
X2 は、式 Z-TB-X2-TBI-Z'(ここで、Z および Z'は独立して H または OH である)を有するBの対応前駆体のような、2価の架橋基のようなものであり、該前駆体は次の化合物から選択される:
- アミノ酸: L-カルノシン (CI)、 ペニシラミン (CV)、 N-アセチルペニシラミン (CVI)、 システイン (CVII)、 N-アセチルシステイン (CVIII):
【0012】
【化2】

【0013】
- ヒドロキシ酸: 没食子酸 (DI)、 フェルラ酸 (DII)、 ゲンチシン酸 (DIII)、 カフェイン酸 (DV)、 ヒドロカフェイン酸 (DVI)、 p-クマル酸 (DVII)、 バニリン酸 (DVIII)、 シリンガ酸 (DXI):
【0014】
【化3】

【0015】
- 芳香族多価アルコール: ヒドロキノン (EVIII)、 メトキシヒドロキノン (EXI)、ヒドロキシヒドロキノン (EXII)、 コニフェリルアルコール (EXXXII)、 4-ヒドロキシフェネチルアルコール (EXXXIII)、 p-クマリックアルコール (EXXXIV):
【0016】
【化4】

【0017】
C = 式 -Tc-Y- を有する2価の基(ここで、
Tc = (CO) または 上で定義したとおりのX;
但し、b0 = 0 および k0 = 1のとき:
-K = (1C)のときはTc = (CO)、
-K = (CO)のときはTc = 上で定義したとおりのX;
Y は次の意味の一つを有する:
【化5】

【0018】
(式中、
nIX は 0 〜 5 の整数、好ましくは1〜 であり;
nIIX は1 〜 5 の整数、好ましくは1 〜であり;
RTIX、 RTIX'、 RTIIX、 RTIIX' は同一または異なって、H または直鎖もしくは分枝 C1-C4-アルキル; 好ましくは RTIX、 RTIX'、 RTIIX、 RTIIX' は Hであり;
Y3 は、5または6原子を有する、飽和、不飽和または芳香族の複素環であり、該複素環は1〜3、好ましくは1または2の複素原子を含み、該複素原子は同一または異なって、窒素、酸素または硫黄から選択される);
【0019】
または、 Y はアルキレンオキシ基 −R'O−(ここで、R' は直鎖または分枝 C1-C20、好ましくは2 〜 6 の炭素原子を有するもの、または5 〜 7 の炭素原子を有するシクロアルキレンであり(ここで、シクロアルキレン環の1以上の炭素原子は複素原子で置換可能であり、該環はR'タイプ(ここで、R'は上で定義したとおりである)の側鎖が存在してもよい));
【0020】
または、次の基の一つ:
【化6】

(式中、nf' は1 〜 6、好ましくは1 〜 4 の整数である);
【0021】
【化7】

(式中、R1f = H、CH3 およびnf'は 1 〜 6、好ましくは1 〜 4 の整数である);
【0022】
【化8】

(式中、n3 は0 〜 5 の整数であり、 n3' は1 〜 3 の整数である);
または
【0023】
【化9】

(式中、n3 および n3' は上記の意味を有する))。
【0024】
式(I)中の基Rは、好ましくは慢性の鎮痛用医薬、特に神経障害性疼痛用の医薬の基であり、それは上記の用途に市販されている通常の製品から選択される。三環系抗うつ剤および抗てんかん剤を挙げることができる。
【0025】
R は、次の式 (II)を有する鎮痛薬の基である:
【化10】

式中、
W は炭素または窒素原子であり;
m は0 〜 2 の整数であり;
R0 = H、 -(CH2)n-COORy(ここで、 Ry は上で定義したとおりである);
n は 0 〜 2 の整数であり;
R1 = H; W = N のとき、R1 は窒素原子上の電子ダブレット(遊離価)であり;
【0026】
R2 は次の基から選択される:
-ハロゲン原子でまたは -OCH3、-CF3、ニトロから選択される基で任意に置換され ていてもよいフェニル;
-モノまたはジヒドロキシ-置換ベンジル、好ましくは3,4-ジヒドロキシベンジル;
-アミジノ基:H2N(C=NH)-;
-式 (IIA) の基(ここで、1位と2位、または3位と4位、または4位と5位の炭素 原子間にエチレン性の不飽和が任意に存在していてもよい):
【0027】
【化11】

式中、
p、p1、p2 は同一または異なって、0 または 1の整数であり;
p3 は0 〜 10 の整数であり;
R4 は水素、直鎖または分枝 C1-C6-アルキル、遊離価であり;
R5 は以下の意味を有する:
-水素、
-直鎖または分枝 C1-C6-アルキル、
-C3-C6-シクロアルキル、
-ORA(ここで、 RA は次の意味を有する:
- 1以上のハロゲン原子、好ましくはF で任意に置換されていてもよい直
鎖または分枝C1-C6-アルキル、
-ハロゲン原子でまたは次の基 -OCH3、-CF3、ニトロの一つで任意に置換されてい てもよいフェニル);
【0028】
R6、R6A、R7、R8 は同一または異なって水素、メチルまたは遊離価であり、
但し、式(IIA)基においてC1 とC2 の間にエチレン性の不飽和が存在するとき、R4 および R5 はC1 と C2 の間に2重結合を形成し得る遊離価であり;不飽和がC3 と C4 の間にあれば、R6 および R7 はC3 と C4 の間に2重結合を形成し得る遊離価であり;不飽和がC4 と C5 の間にあれば、R7 および R8 はC4 と C5 の間に2重結合を形成し得る遊離価であり;
-Q は H、OH、ORB(ここで、RB は1以上のハロゲン原子、好ましくはF で任意に 置換されていてもよい直鎖または分枝C1-C6-アルキル、ハロゲン原子でまたは 次の基 -OCH3、-CF3、ニトロの一つで任意に置換されていてもよいフェニル) ;
または、Q は次の意味の一つを有する:
- 直鎖または分枝 C1-C6-アルキル、
- C3-C6-シクロアルキル、
- グアニジノ (H2NC(=NH)NH-)、
- チオグアニジノ (H2NC(=S)NH-);
式(II) において、R2 は R1 および W = C と一緒になって C4-C10 飽和または不飽和の環、好ましくはC6飽和環を形成する。
【0029】
式(II)において、W = C、m = 1 そして R0 = -(CH2)n-COORy(ここで、n = 1 および Ry = H); R2 および R1 は上で定義した W と一緒になってシクロヘキサン環を形成するとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体はガバペンチンとして知られている。
【0030】
式(II)において、W = C、m = 0、そして R0 がn = 0でガバペンチンについて定義されたとおりで; R1 = H; R2 は式(IIA)の基(ここで、p = p1 = 1、p2 = p3 = 0、R4 = R5 = R6 = R6A = H、Q = H )のとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体はノルバリンとして知られている。
【0031】
式(II)において、W = C、m = 0、そして R0 がn = 0でガバペンチンについて定義されたとおりで; R1 = H; R2 は式(IIA)の基(ここで、p = p1 = 1、p2 = p3 = 0、R4 = R5 = R6 = R6A = H、Q がグアニジノ基である)のとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体はアルギニンとして知られている。
【0032】
式(II)において、W = C、m = 0、そして R0 がn = 0でガバペンチンについて定義されたとおりで; R1 = H; R2 は式(IIA)の基(ここで、p = p1 = 1、p2 = p3 = 0、R4 = R5 = R6 = R6A = H、Q がチオグアニジノ基である)のとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体はチオシトルリンとして知られている。
【0033】
式(II)において、W = C、m = 1、そして R0 がn = 1でガバペンチンについて定義されたとおりで; R1 = H; R2 は式(IIA)の基(ここで、p = p1 = p2 = p3 = 0、R4 = H、R5 = Q = CH3)のとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体はプレガバリンとして知られている。
【0034】
式(II)において、W = C であって(S)立体配置を有し、m = 1、そしてR0 がn = 1でガバペンチンについて定義されたとおりで; R1 = H; R2 は式(IIA)の基(ここで、p = p1 = p2 = p3 = 0、R4 = H、R5 = Q = CH3)のとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体は(S)3-イソブチルGABAとして知られている。
【0035】
式(II)において、W = C であって(S)立体配置を有し、m = 0; R0 = R1 = H; R2 は式(IIA)の基(ここで、p = p1 = 1、p2 = p3 = 0、R4 = R5 = R6 = R6A = H、Q はグアニジノ基である)のとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体はアグマチンとして知られている。
【0036】
式(II)において、W = C、m = 0、そして R0 がn = 2でガバペンチンについて定義されたとおりで; R1 = H; R2 は式(IIA)の基(ここで、p = p1 = p2 = p3 = 0、R4 およびR5 が遊離価でC1 と C2 の間にエチレン性不飽和があり、Q = H); のとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体はビガバトリンとして知られている。
【0037】
式(II)において、W = C、m = 0 ; R0 がn = 0でガバペンチンについて定義されたとおりで; R1 = H; R2 が3,4-ジヒドロキシベンジル基であるとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体は2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパン酸 (dopa)として知られている。
【0038】
慢性疼痛に用いられ、式(I)のRの前駆体として使用できるさらなる化合物は、ラモトリジン、トピラメート、ゾニサミド、カルバマゼピン、フェルバメート、アミネプチン、アモキサピン、デメキシプチリン、デシプラミン、ノルトリプチリン、チアネプチンである。
【0039】
一般的に、Rの医薬前駆体は、「The Merck Index、12版」(1996)に記載の方法により合成される。分子中に存在するRの医薬前駆体が式(IIA)の基であるとき、それらはWO 00/79658に記載されているようにして得ることができる。
上記のグループに含まれるBの前駆化合物は、文献でよく知られている方法、および例えばここに参考文献として組み込まれる「The Merck Index、12版」に挙げられている方法により合成できる。
【0040】
式(III)において、Y3 は次の2価の基から選択される:
【化12】

【0041】
Y3 の意味の中では、次のものが好ましい:窒素原子に対してオルト位に2つの遊離価を有する(Y12)、複素原子に付いた2つの遊離価を有する(Y16)、3,5-ジ置換のピラゾールY1。
【0042】
式(III)で定義されたY 前駆体(ここで、酸素の遊離価は水素で飽和され、末端炭素原子の遊離価はカルボキシまたはヒドロキ基で飽和されている)は、市場で入手可能な製品であるか、または周知の方法により得ることができる。
【0043】
式(I)において、本発明で用いられるニトロオキシ誘導体を合成するために、好ましいB前駆体は次のものである:フェルラ酸およびN-アセチルシステイン、好ましい医薬前駆体はガバペンチン、ノルバリン、アルギニン、プレガバリン、(S)-3-イソブチルGABA、アグマチンおよびビガバトリンである。
【0044】
本発明の式(I)の好ましい化合物は、次のものである:
1-[4-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルアミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XVA)、
【化13】

【0045】
1-[3-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルアミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XVIA)、
【化14】

【0046】
1-[2-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルアミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XVIIA)、
【化15】

【0047】
1-(4-ニトロオキシブタノイルアミノメチル)-シクロヘキサン酢酸 (XVIIIA)、
【化16】

【0048】
1-(ニトロオキシメトキシカルボニルアミノメチル)-シクロヘキサン酢酸 (XIXA)、
【化17】

【0049】
1-[[4-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルオキシ]メトキシカルボニルアミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XXA)、
【化18】

【0050】
1-[[3-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルオキシ]メトキシカルボニルアミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XXIA)、
【化19】

【0051】
1-[[2-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルオキシ]メトキシカルボニルアミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XXIIA)、
【化20】

【0052】
1-[3-(ニトロオキシメチル)フェノキシカルボニルアミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XXIIIA)、
【化21】

【0053】
[2-メトキシ-4-[(1E)-3-[4-(ニトロオキシブトキシ)]-3-オキサ-1-プロペニルフェノキシ]-カルボニルアミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XXIVA)、
【化22】

【0054】
3-(S)-[4-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルアミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXVA)、
【化23】

【0055】
3-(S)-[3-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルアミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXVIA)、
【化24】

【0056】
3(S)-[2-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルアミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXVIIA)、
【化25】

【0057】
3(S)-[4-(ニトロオキシブタノイル)アミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXVIIIA)、
【化26】

【0058】
3(S)-[4-(ニトロオキシメトキシカルボニル)アミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXIXA)、
【化27】

【0059】
3(S)-[[2-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルオキシ]メトキシカルボニルアミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXXA)、
【化28】

【0060】
3(S)-[[3-(ニトロオキメチル)ベンゾイルオキシ]メトキシカルボニルアミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXXIA)、
【化29】

【0061】
3(S)-[4-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルオキシ]メトキシカルボニルアミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXXIIA),
【化30】

【0062】
3(S)-[(3-ニトロオキシメチル)フェノキシカルボニルアミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXXIIIA)、
【化31】

【0063】
3(S)-[2-メトキシ-4-[(1E)-3-[4-(ニトロオキシブトキシ)]-3-オキサ-1-プロペニルフェノキシ]カルボニルアミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXXIVA)、
【化32】

【0064】
1-[4-(ニトロオキシブチルオキシカルボニル)アミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XXXVA)、
【化33】

【0065】
本発明の化合物は、アルカリ金属塩のような薬理学的に許容されるカチオンとの対応塩の形態でも用いることができる。
【0066】
それらの分子中に塩化され得る窒素原子を有する場合、例えば式(I)でc0 = 1 で Y = 式 (III)の部分のとき、本発明の化合物は、アセトニトリル、テトラヒドロフランのような有機溶媒中、等モル量の対応する有機または無機の酸と反応させて、対応する塩に変換することできる。
【0067】
有機酸の例としては、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸およびクエン酸が挙げられる。無機酸の例としては、硝酸、塩酸、硫酸およびリン酸が挙げられる。好ましいのは硝酸塩である。
【0068】
本発明の化合物は、慢性疼痛、特に中枢および末梢の両神経系が関与する神経障害性疼痛の治療に対して、改善された活性を示した。さらに、驚くべきことに、本発明の化合物が、神経障害性疼痛を緩和するばかりでなく、意外にも神経障害性疼痛を誘導する症状の進展の阻止にも改善された効果を有することが見出された。
【0069】
例えば、本発明の医薬が、糖尿病性神経障害疼痛の治療のために、糖尿病患者に投与さたとき、該化合物が神経障害を緩和するばかりでなく、糖尿病により誘発される合併症、例えば血管および/または腎臓臓器における合併症を抑えることが分かった。
【0070】
本発明の化合物は、神経障害性疼痛、例えば、糖尿病性神経障害疼痛および梗塞後の疼痛の治療に特に有効である。
【0071】
本発明の化合物は、公知のNO-供与化合物と組み合わせるか、または混合して用いることもできる。そのような化合物は、例えば、1以上のONO2 もしくは ONO基を分子内に含んでいる。
【0072】
本発明の化合物と組み合わせて用いられるNO-供与化合物は、以下に記載したin vitro 試験を満たすものである。この試験は、内皮細胞(方法a)または血小板(方法b)の存在下に、例えば、ニトロ-グリセリン、ニコランジル、ニトロプルシエートなどのようなNO-供与化合物による一酸化窒素の生成に関するものである。
【0073】
a) 内皮細胞
103 細胞数/ウェルの密度で培養されたヒト臍静脈細胞を、段階的濃度(1-100 μg/ml) のNO-供与化合物と5分間インキュベートした。次いで、NO生成能を確認するために、インキュベーション媒体(生理学的溶媒、すなわちタイロード)を、以下の方法で分析した。
【0074】
1) 化学ルミネセンスによる一酸化窒素の検出、
2) cGMP の測定 (上記Merck Index のNo. 2715のサイクリック GMP)
化学ルミネセンスに関する限りは、氷酢酸とヨウ化カリウムを含む化学ルミネセンス分析器の反応チャンバーに、100 μlの一定量が注入された。上記条件の媒体中に存在するナイトライト/ナイトレートが、オゾンとの反応により発光を伴うことにより明らかとなるNOに変換される。
【0075】
通常、化学ルミネセンスを測定する装置において、発生したルミネセンスは、発生したNOのレベルに直接比例し、化学ルミネセンス分析器の好適な光電子倍増管によって測定できる。光電子倍増管は、入射光線を電圧に変え、次いで、それを定量的に記録する。段階的なナイトライト濃度で得られた検量線を参照して、発生したNOの濃度を定量的に評価することが可能であった。例えば、100 μlのニコランジルとのインキュベーションから、約10 μMのNOが生成した。
【0076】
cGMPを測定するために、インキュベーション媒体(100 μl)を、20 秒間、1000 rpmで遠心分離機にかけた。上清液を廃棄し、沈降物を、凍らせたリン酸緩衝液(pH 7.4)で処理した。生成したcGMPレベルは、特定の試薬を用いた免疫酵素法により評価した。
【0077】
これらの試験から、NO-供与化合物が存在しない状態での値との比較により、上記の試験条件で試験されたいくつかのNO-供与化合物の中の一つが、顕著なcGMPの上昇を示すという結果が得られた。例えば、NO-供与化合物なしで、媒体のみをインキュベートして得られた対応の値との比較により、100 μMのナトリウム ニトロプルシエートとのインキュベーション後に、20 倍の上昇を記録した。
【0078】
b) 血小板
Radomski ら (Br. J. Pharmacol. 92, 639-1987) によって記載されたようにして得られた、洗浄された血小板を用いた。0.4 mlの量を、段階的濃度(1-100μg/ml) のNO-供与化合物と5分間インキュベートした。次いで、化学ルミネセンスの手法とcGMPを測定して一酸化窒素の量を明らかにすることにより、NO生成能を測定するために、内皮細胞で行った分析の前記の操作を用いて、インキュベーション媒体(生理学的溶媒、すなわちタイロード)を分析した。
【0079】
化学ルミネセンス測定に関して、この場合も段階的なナイトライト濃度で得られた検量線を基に、生成したNOの濃度を定量的に明らかにすることができた。例えば、100 μlのニコランジルとのインキュベーションから、35 μMのNOが生成した。
【0080】
cGMPの測定に対して、これらの実験条件においても、NO-供与化合物が存在しない状態での値との比較により、いくつかの試験されたNO-供与化合物の中の一つが、顕著なcGMPの上昇を示すという結果を得た。例えば、NO-供与化合物なしで、媒体のみをインキュベートして得られた値と比較して、100 μMのナトリウム ニトロプルシエートとインキュベーションした後に、30 倍の上昇が記録された。
【0081】
好ましいNO-供与化合物は、分子中に次の基:アスピリン、サルチル酸、イブプロフェン、パラセタモール、ナプロキセン、ジクロフェナック、フルルビプロフェンを含むものである。これらの好ましい化合物は、特許出願WO 95/20641、 WO 97/16405、WO 95/09831、WO 01/12584中に記載されたようにして合成される。
本発明の化合物は、以下に記載した合成方法に従って得られる。
【0082】
一般に、医薬分子中に、COOH および/または HX (ここで、X は O、S または NHである)のような、いくつかの反応性の基が存在すれば、それらは文献で知られている操作により、例えばTh. W. Greene による「Protective Groups In Organic Synthesis」, Harvard University Press, 1980 中に記載されているようにして、反応前に保護され得る。しかしながら、これらの基の保護は、本発明の化合物を得るために、厳密に必要であるというわけではない。
【0083】
本発明の化合物を製造するために、k0 = 0のとき、鎮痛薬のアミン官能基を、b0 = 0であれば、リンカーCの前駆体の反応性化合物と反応させ、あるいはb0 = 1であれば、リンカーBの前駆体の反応性化合物と反応させた。
【0084】
式 (I)において b0 = 0のとき、一般的に、鎮痛薬を以下の化合物の一つと反応させた。
1.k0 = 0であって鎮痛薬との結合官能基がアミドであれば、医薬と反応する
化合物は、以下のようにして得られた。
出発化合物は、式Hal-Y1-CO-Hal(ここで、Y1 は、NO2 と結合した酸素原子以外の上で定義したとおりのYであり、Hal = Cl、Br、I)のアシルハライドである。
【0085】
これらの化合物が市場で入手できないとき、それらは当分野で周知の方法により、例えばトルエン、クロロホルム、DMFなどのような反応条件で不活性な溶媒中、対応する酸とチオニルもしくはオキサリルクロライド、PIII もしくは PIV ハライドから得られる。
【0086】
前記の式を有するアシルハライドを、次の反応スキームに示されるように、当分野で公知の方法に従って、例えば、ハロゲン化溶媒中、塩基の存在下に室温でN-ヒドロキシスクシンイミド(SIMD-N-OH)のようなカルボキシ基縮合剤と反応させて、N-ヒドロキシスクシンイミドエステルを得た。
【化34】

【0087】
1a. ヒドロキシスクシンイミドエステルを、次のスキームに従って、鎮痛薬のアミン官能基と、室温で、アルコールおよび/または塩素化溶媒中、有機もしくは無機の塩基の存在下に反応させた。
【化35】

【0088】
1-1. あるいは、上記のアシルハライドを用いる代わりに、式HO-Y1-COOH(ここで、Y1 は上で定義されたとおりである)を有するヒドロキシ酸を用いることができ、それを、次のスキームに従って、DCC のようなカルボキシ基の活性化剤の存在下に、ハロゲン化溶媒中、室温で、N-ヒドロキシスクシンイミドと反応させた。
【化36】

【0089】
1-1.a 1-1で得られた化合物を、次のスキームに従って、1a に記載された条件で、鎮痛薬のアミン官能基と反応させた。
【化37】

【0090】
1b. 式(I)において、 K = CO でk0 = 1 のとき、鎮痛薬との結合官能基は、カルバミック官能基である。医薬RNR1cHを、式Hal-Y1-OCO-Hal(ここで、Y1 は上で定義されたとおりである)のハロゲンホルメートと反応させた。
【0091】
一般的に、用いられるハロゲンホルメートは、市場で入手できるか、または当分野で周知の方法により、有機塩基の存在下に、トリホスゲンとの反応により、対応のアルコールから得られる。ハロゲンホルメートと医薬との反応は、室温で、塩基の存在下に、例えば、水とジオキサンまたは塩化メチレンとDMFのような混合溶媒中で行われる。反応スキームは、次のとおりである。
【化38】

【0092】
1c. アミドと上記の方法 (b0 = 0)により得られたカルバメートからのニトロオキシ誘導体の製造
上記の反応で得られる化合物が、式R-NR1c-CO-Y1-Hal (2A) または R-NR1c-CO-O-Y1-Hal (2C) を有するとき、対応するニトロオキシ誘導体は、次のスキームに従って、アセトニトリル、テトラヒドロフランのような有機溶媒中、20°〜 100°Cの温度で、(2A) または(2C)をAgNO3 と反応させて製造された。
【化39】

【0093】
上記の反応で得られる化合物が、式R-NR1c-CO-Y1-OH (2B)を有するとき、例えばPBr3、PCl5、SOCl2、PPh3 + I2 を用いて、ヒドロキシ基を室温でハロゲン化反応に付し、次いでそれを上記の条件下に、アセトニトリル、テトラヒドロフランのような有機溶媒中、AgNO3 と反応させた。式R-NR1c-CO-Y1-NO2 を有するニトロオキシ誘導体が得られた。
【0094】
1d. 式(I)において、b0 = 0、k0 = 1、 そして例えばK = (1C) のときは、次の工程が行われた。医薬のアミン官能基を、市販のクロロメチル クロロホルメート ClC(O)OCH2Cl と反応させた。このようにして得られた化合物R-NR1c-(CO)- OCH2Clを、1a に示されたような塩基性の媒体中、HO-Y1-COOH と反応させて、式R-NR1c-K-(CO)-Y1-OHの化合物を得、次いでそれを上記の1cのように反応させて、対応するニトロオキシ誘導体が得られた。
【0095】
2.式(I)において、b0 = c0 = 1のとき、対応するニトロオキシ誘導体を得るた
めの合成は、次の3工程を含む。第1工程において、Hal (Hal = Cl、Br、I)を 含む置換基を有するアミド (式(I)においてk0 = 0)、または以下に特定されるHalを含む置換基を有するカルバメート(式(I)においてk0 =1)が得られた。
【0096】
2a. ハロゲン-置換アミドを製造するために、医薬のアミン官能基を、式P-X2- COHal(ここで、X2 および Halは上で定義されたとおりであり、P = HX(ここで、X は上で定義されたとおりであるか、または例えば対応するtert-ブチルエステルで保護されたカルボキシ基である)のアシルハライドと、N-ヒドロキシスクシンイミド (SIMD-N-OH)から得られたN-ヒドロキシスクシンイミドエステルとを、当分野で公知の方法に従って、例えば室温で、ハロゲン化溶媒中、塩基の存在下に反応させて、式R-NR1c-CO-X2-Pを得た。そして、P = HXのとき、それを式Hal-Y1-CO-Hal(ここで、Hal および Y1 は上で定義したとおりである)の化合物と反応させた。
【0097】
反応スキームは、以下に示される。
【化40】

【0098】
式(3A)において、 P = 上で定義されたとおりのエステル基のとき、カルボキシ官能基は、公知の方法で、例えば出発エステルがtert-ブチルエステルであれば、酢酸エチルもしくはジオキサン中、無水HClと反応させて、元に戻すことができる。このようにして得られた酸を、式Hal-Y1-OH のハロゲン化アルコールと反応させた。ハロゲン化アルコールは、市販されている。
【0099】
2a.1 あるいは、次のスキームのようにして、医薬RNR1cH を、式P-X2-COOH(ここで、P および X2は上で定義されたとおりである)の酸とN-ヒドロキシスクシンイミド(SIMD-N-OH)とから得られるN-ヒドロキシスクシンイミドエステルと、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはその他の縮合剤の存在下に、当分野で周知の方法、例えばハロゲン化溶媒中、室温で反応させて、化合物R- NR1c-CO-X2-P (3A)を得た。
【化41】

次いで、式(3A)の化合物を、2aに記載のように反応させて、(3A')を得た。
【0100】
2b. ハロゲン-置換カルバメートの製造
化合物Hal-Y1-O-CO-X2-XH (4A)およびトリホスゲンから、有機塩基の存在下に、1bに示されたスキームに従って、式Hal-Y1-O-CO-X2-XCO-Halのハロゲンホルメートを製造した。式Hal-Y1-OHのアルコールを、HX-X2-COOHと反応させて、化合物(4A)を得た。
【0101】
このようにして得られたハロゲンホルメートを、医薬のアミン官能基と、次のスキームのように周知の方法に従って、例えばDMFおよび/または塩化メチレン中、塩基の存在下に室温で反応させた。
【化42】

【0102】
2c. 2a または 2bで得られたアミドおよびカルバメートからのニトロオキシ誘導体の製造
化合物(3A') または (3B)は、アセトニトリル、テトラヒドロフランのような有機溶媒中、末端ハロゲンがAgNO3 と反応して、対応するニトロオキシ誘導体を与える。
【0103】
本出願人は、本発明の化合物が、慢性疼痛に対して、対応する前駆体より高い活性を示すことを見出したが、このことは驚嘆すべきことであり、予測できないことであった。
【0104】
本発明の化合物が1以上のキラル中心を有するとき、それらはラセミの形態で、ジアステレオマーもしくはエナンチオマーの混合物として、純粋なエナンチオマーもしくはジアステレオマーとして用いることができる。化合物が、幾何学的非対称を有するとき、該化合物はシスまたはトランスの形態で用いられる。
【0105】
本発明の化合物は、当分野で周知の技術により、例えば「Remington's Pharmaceutical Sciences 15 版」に記載されているような慣用の賦形剤と共に、経口、非経口および局所投与用の医薬組成物に製剤化される。
【0106】
これら組成物中の活性成分のモル量は、前駆医薬について予想される最大量と等しいか、またはそれより少ない量である。優れた忍容性のために、より高い用量を用いることもできる。一日の投与量は、前駆医薬の投与量と同じか、場合によってはより少なくなる。一日の投与量は、例えば「Physician's Desk Reference」中に見出すことができる。
【0107】
以下の実施例は、さらに説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するのもではない。
【0108】
実施例
実施例1
1-[4-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルアミノメチル]シクロヘキサン酢酸 (式 XVA)の合成
A) N-ヒドロキシスクシンイミジル 4-(クロロメチル)ベンゾエートの合成
塩化メチレン(30 ml) 中のN-ヒドロキスクシンイミド (1.375g、11.94 mmol)の溶液に、トリエチルアミン(1.66 ml、11.94 mmol)を加えた。このようにして得られた溶液を水/氷浴中で冷却し、これに塩化メチレン(20 ml)中の 4-(クロロメチル)ベンゾイルクロライド(2.26 g、11.94 mmol)の溶液を、ゆっくりと加えた。添加終了後、混合物を室温で一晩放置した。次いで、混合物を真空下に乾燥し、白色の固体(4.84 g)(定量的な収率で、所期の化合物とトリエチルアンモニウムクロライドの混合物)を得、これをさらに精製することなく、次の反応に用いた。
【0109】
B) 1-[4-(クロロメチル)ベンゾイルアミノメチル]シクロヘキサン酢酸の合成
無水エタノール(100 ml)中の1-(アミノメチル)シクロヘキサン酢酸 (ガバペンチン、2.25 g、13.13 mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(3.66 ml、26.27 mmol)を加え、澄んだ溶液を得た。このようにして得られた溶液を、水/氷浴中で冷却し、これに、A)で得られた塩化メチレン(100 ml)中のトリエチルアンモニウムクロライドとN-ヒドロキシスクシンイミジル 4-(クロロメチル)ベンゾエートの等モル混合物(4.84 g、11.94 mmol)の溶液を滴下した。室温で約4時間撹拌したのち、この混合物に酢酸エチル(100 ml)を加え、溶液を塩酸の4% 水溶液で抽出した。有機相を真空下に乾燥して、所期の物質(3.85 g)を白色の固体として得た。
【0110】
C) 1-[4-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルアミノメチル]シクロヘキサン酢酸の合成
アセトニトリル(250 ml)中の1-[4-(クロロメチル)ベンゾイルアミノメチル]シクロヘキサン酢酸 (4.01 g、12.39 mmol)の懸濁液に、硝酸銀(2.11 g、12.39 mmol)を加えた。混合物を60°Cで真空・遮光下に撹拌しながら、約20 時間かけて、硝酸銀を5分割して加えた。すでに加えられたものに加えて、さらに5当量の硝酸銀を加えて、混合物を24時間加熱した。このようにして生成した塩をろ去し、混合物に酢酸エチル(200 ml)および2%塩酸溶液を加えた。析出した不溶性の塩をろ去し、有機相を真空下に乾燥した。このようにして得られた粗物質を、n-ヘキサン/酢酸エチル 6/4 (v/v)で溶出するシリカゲルクロマトグラフにより精製した。このようにして得られた物質を酢酸エチル/n-ヘキサンから結晶化して、m.p = 127-128°C の白色の固体(2.45 g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) ppm: 7.86 (2H, d); 7.50 (2H, d); 7.06 (1H, t); 5.49 (2H, s); 3.54 (2H, d); 2.43 (2H, s); 1.53 (10H, m).
【0111】
実施例2
1-(ニトロオキシメトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサン酢酸 (式 XIXA)の合成
A)1-(クロロメトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサン酢酸の合成
水(30 ml)およびジオキサン(20 ml) の混液中の1-(アミノメチル)シクロヘ
キサン酸酢酸 (ガバペンチン、2.00 g、11.68 mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(4.06 ml、23.36 mmol)を加えた。このようにして得られた溶液を、水/氷浴中で冷却し、これに、ジオキサン(20 ml)中に溶解したクロロメチルクロロホルメート(1.25 ml、14.02 mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、混合物を室温で3時間放置した。次いで、混合物を4%塩酸溶液に注いで、最終pH値を約2に下げた。酢酸エチルを加え、有機相を真空下に乾燥して、澄んだ黄色の油状物を得た。これをさらに精製することなく、次の反応に用いた。
【0112】
B)1-(ニトロオキシメトキシカルボニルアミノメチル)シクロへキサン酢酸の
合成
アセトニトリル(25 ml)中の1-(クロロメトキシカルボニルアミノメチル)シ
クロヘキサン酢酸 (2.87 g、10.92 mmol)の溶液に、硝酸銀(3.71 g、21.84 mmol)を加えた。混合物を真空・遮光下に、40°Cで3時間撹拌した。析出した塩をろ去し、混合物に酢酸エチル(30 ml)および2%塩酸溶液を加えた。このようにして生成した塩をろ去し、有機相を真空下に乾燥した。このようにして得られた油状物質を、n-ヘキサン/酢酸エチル 6/4 (v/v)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフで精製して、無色の油状物(2.68 g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) ppm: 6.03 (2H, s); 5.51 (1H, t); 3.30 (2H d), 2.36 (2H, s); 1.47 (10H, m).
【0113】
実施例3
1-[3-(ニトロオキシメチル)フェノキシカルボニルアミノメチル]シクロヘキサン酢酸 (式 XXIIIA)の合成
A)1-[3-(ブロモメチル)フェノキシカルボニルアミノメチル]シクロヘキサン
酢酸の合成
塩化メチレン(8 ml)中の3-ブロモメチルフェノール(0.50 g、2.67 mmol)の懸濁液に、メチルクロライド(2 ml)中に溶解したビス(トリクロロメチル)カルボネート(トリホスゲン、0.368 g、1.24 mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.466 ml、2.67 mmol)を加えた。このようにして得られた溶液を室温で一晩撹拌し、次いで2時間還流した。次いで、この冷却溶液を、無水ジメチルホルムアミド(4 ml)中の1-(アミノメチル)シクロヘキサン酢酸(ガバペンチン、0.911 g、5.35 mmol) およびジイソプロピルエチルアミン(0.932 ml、5.35 mmol)の懸濁液に滴下した。3時間撹拌後、混合物に酢酸エチルを加え、それを4%塩酸溶液で洗浄した。有機相を真空下に乾燥し、このようにして得られた粗生成物をn-ヘキサン/酢酸エチル 1/1 (v/v)で溶出するシリカゲルクロマトグラフにより精製した。所期の物質を、油状物(0.100 g)として得、これをさらに精製することなく用いた。
【0114】
B) 1-[3-(ニトロオキシメチル)フェノキシカルボニルアミノメチル]シクロヘキサン酢酸の合成
アセトニトリル(2 ml)中の1-[3-(ブロモメチル)フェノキシカルボニルアミノメチル]シクロへキサン酢酸 (0.100 g、0.26 mmol)の懸濁液に、硝酸銀(0.100 g、0.59 mmol)を加えた。混合物を窒素雰囲気・遮光下に室温で一晩撹拌した。このようにして生成した塩をろ去し、混合物に酢酸エチル(5 ml)および2%塩酸溶液を加えた。不溶性の塩をろ去し、有機相を塩化メチレン/メタノール 97/3 (v/v)で溶出するシリカゲルクロマトグラフで精製して、生成物(0.080 g)を油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3) ppm: 7.38 (1H, t); 7.22 (3H, m); 5.68 (1H, t); 5.43 (2H, s); 3.34 (2H, d); 2.41 (2H, s); 1.49 (10H, m).
【0115】
実施例4
1-[4-(ニトロオキシブチルオキシカルボニル)アミノメチル]シクロヘキサン酢酸 (式 XXXVA)の合成
A) 1-[4-(クロロブチルオキシカルボニル)アミノメチル]シクロへキサン酢酸の合成
ジオキサン/水 (1:1、40 ml)中の1-(アミノメチル)シクロヘキサン酢酸 (1.95 g、11.4 mmol)の溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.00 ml、23.0 mmol)を加え、この溶液を0°Cに冷却した。次いで、1-クロロブチルクロロホルメート(1.30 ml、9.50 mmol)をゆっくりと加え、反応混合物を室温に達するまで放置し、撹拌下に5時間維持した。混合物を塩化メチレンで希釈し、4%水性塩酸で洗浄し、脱水し、真空下に乾燥して、無色の油状物(2.87 g)を得た。これをさらに精製することなく、次の反応に用いた。
【0116】
B) 1-[4-(ヨードブチルオキシカルボニル)アミノメチル]シクロヘキサン酢酸の合成
アセトニトリル(20 ml)中の1-[4-(クロロブチルオキシカルボニル)アミノメチル]シクロヘキサン酢酸(1.68 g、5.70 mmol)の溶液に、ヨウ化ナトリウム (8.48 g、57.0 mmol)を加え、反応混合物を撹拌下に5時間還流した。次いで、溶媒を真空下に除去し、残渣を塩化メチレンで処理した。有機相を水で洗浄し、脱水し、真空下に乾燥して、油状の物質(2.12 g)を得た。これを精製することなく、次の工程に用いた。
【0117】
C) 1-[4-(ニトロオキシブチルオキシカルボニル)アミノメチル]シクロヘキサン酢酸の合成
アセトニトリル(25 ml)中の1-[4-(ヨードブチルオキシカルボニル)アミノメチル]シクロヘキサン酢酸(2.12 g、5.30 mmol)の溶液に、硝酸銀(2.42 g、14.2 mmol)を加えた。混合物を、窒素雰囲気・遮光下に40°Cで5 時間撹拌し、次いでセライトでろ過し、濃縮した。残渣を塩化メチレンで処理し、4%塩酸溶液で抽出した。このようにして生成した塩をろ去し、水相を塩化メチレンで抽出した。有機相を、塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、脱水し、真空下に乾燥した。油状の残渣をエチルエーテルに溶解し、セライトでろ過し、真空下に乾燥して、油状の物質(1.64 g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) ppm: 5.65 (1H, m); 4.49 (2H, t); 4.12 (2H, t); 3.23 82H, d); 2.34 (2H, s); 1.9-1.7 (4H, m); 1.6-1.3 (10H, m).
【0118】
試験例 F1
ライジング試験(Vinegar ら、1979)による本発明の化合物の鎮痛活性の評価
雄性スイスマウス(20-25 g、Charles River)を10匹ずつ9グループに分け、生理食塩水に溶解したガバペンチン1 〜 10 mg/kg、または本発明の化合物(XVA、実施例 1)(以下、NO-ガバペンチンという)1 〜 10 mg/kgを、胃チューブを通して(強制栄養法)経口投与した。化合物の溶液の投与1時間後に、氷酢酸溶液(0.5 ml、0.6%)を、腹腔内注射によりマウスに投与した。酢酸の投与後15分間、全ての動物における腹部の攣縮の数を数えた。分析をブラインドで行った。
表1に報告された結果は、観察時間(15 分間)内の全攣縮の数を示している。その結果は、腹部の攣縮数の抑制において、NO-ガバペンチンが前駆医薬より活性であることを示している。
【0119】
試験例 F2
足なめ(paw licking)試験による本発明の化合物の鎮痛活性の評価
雄性スイスマウス(20-25 g、Charles River)を10匹ずつ3グループに分け、生理食塩水に溶解したガバペンチン3 mg/kg (17.5 μm/kg)、または式(XVA, 実施例 1)の化合物(以下、NO-ガバペンチンという)3 mg/kg (8.5 μm/kg)を、試験例 F1のようにして経口投与した。対照群には生理食塩水の等量を投与した。化合物の溶液の投与1時間後に、マウスの足にホルマリン(10 μl)を注射した。
ホルマリンの注射は2相性の反応を誘発した。第1相(相I、0-15 分)で急性炎症が観察され;第2相(相II、15-30 分)で、化学伝達物質の遊離が神経障害性疼痛として起きた。ホルマリン注射後30分間の各動物における足なめ時間を秒で記録した。分析はブラインドで行った。
【0120】
表2に報告された結果は、上で定義された第1相および第2相の間に動物で観察された足なめの総時間が秒で示されている。
その結果は、第1相における足なめの抑制において、NO-ガバペンチンがガバペンチンの50% に相当するモル量での投与でも、出発医薬より活性であることを示している。このため、第2相では、NO-ガバペンチンの効果はより低くなっている。
【0121】
試験例 F3
神経障害性疼痛の動物モデルにおける本発明の化合物の鎮痛効果の評価
式(XVA、実施例 1)の化合物(以下、NO-ガバペンチンという)の抗侵害受容効果を、ラット坐骨神経の慢性的狭搾により作成された神経障害性疼痛モデルで試験した。親化合物のガバペンチンが参照医薬として用いられた。
Bennet GJ および Xie YK, Pain (33) 1988: 87-107に記載された方法により、片側の末梢単神経障害を得た。症状に対して、8 〜 12 匹のラット (SD 雄性、体重 250-300g)を用いた。損傷側およびコントロール側の両方の足の圧迫で誘発される発声閾値(VTPP)を測定し、医薬の抗侵害受容効果を決定した。
【0122】
損傷の14日後に試験を行った。全化合物について、急性の抗侵害受容効果の試験を行った。試験前に医薬を腹腔内(i.p.)に1回注射した後の60分間に、急性の効果を測定した。
ラットの各群に、ガバペンチン30 mg/kg (175 μmoles/kg)、もしくは等モル量のNO-ガバペンチン(175 (moles/kg)、または同じ量の媒体(対照群)を投与した。生理食塩水: DMSO: ひまし油 (68:8:24)を含む媒体に医薬を溶解 (20 mg/mL) した。
その結果が、表3 に示されており、NO-ガバペンチンがガバペンチンより効果のあったことを示している。
【0123】
表1
試験例 F1(ライジング試験)におけるガバペンチンおよびNO-ガバペンチンの鎮痛活性の評価
【0124】
【表1】

【0125】
表2
試験例 F2(ラットの足に注射されたホルマリン)におけるガバペンチンおよびNO-ガバペンチンの鎮痛活性の評価
【0126】
【表2】

【0127】
表3
試験例 F3(神経障害性疼痛モデル)におけるガバペンチンおよびNO-ガバペンチンの鎮痛活性の評価
【0128】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(I):

R- NR1c-(K)k0-(B)b0-(C)c0-NO2 (I)

を有するニトロオキシ誘導体またはそれらの塩;
[式中、
c0 は 0 または 1であり;
b0 は 0 または 1であるが、c0 および b0 は同時に0とはなり得ず;
k0 は 0 または 1であり;
R は慢性疼痛のための鎮痛薬の基であり;
R1c は H または1〜5の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキルであり;
K は (CO) または 次の式:
【化1】

(式中、カルボニル基はT1に結合しており; Rt およびR't は同一または異なって、 H、C1-C10-アルキル、フェニルまたはベンジル、-COORy(ここで、Ry = H、C1-C10-アルキル、フェニル、ベンジル)である);
を有する2価の基(1C)であり;
B = -TB-X2-TBI- (ここで、TB = (CO) または X (ここで、 X = O, S, NH));
但し、
b0 = 1 および k0 = 0 のとき、TB = (CO);
b0 = 1 および k0 = 1で K = (CO) のとき、TB = 上で定義したとおりのX ;
TBI = (CO) または (X)(ここで、Xは上で定義したとおりである);
c0 = 0のとき、TBI = -O- ;
X2 は、式 Z-TB-X2-TBI-Z'(ここで、Z および Z'は独立して H または OH である)を有するBの対応前駆体のような、2価の架橋基のようなものであり、該前駆体は次の化合物から選択される:
- アミノ酸: L-カルノシン (CI)、 ペニシラミン (CV)、 N-アセチルペニシラミン (CVI)、 システイン (CVII)、 N-アセチルシステイン (CVIII):
【化2】

- ヒドロキシ酸: 没食子酸 (DI)、 フェルラ酸 (DII)、 ゲンチシン酸 (DIII)、 カフェイン酸 (DV)、 ヒドロカフェイン酸 (DVI)、 p-クマル酸 (DVII)、 バニリン酸 (DVIII)、 シリンガ酸 (DXI):
【化3】

- 芳香族多価アルコール: ヒドロキノン (EVIII)、 メトキシヒドロキノン (EXI)、ヒドロキシヒドロキノン (EXII)、 コニフェリルアルコール (EXXXII)、 4-ヒドロキシフェネチルアルコール (EXXXIII)、 p-クマリックアルコール (EXXXIV):
【化4】

C = -Tc-Y- を有する2価の基(ここで、
Tc = (CO) または 上で定義したとおりのX;
但し、b0 = 0 および k0 = 1のとき:
-K = (1C)のときはTc = (CO)、
-K = (CO)のときはTc = 上で定義したとおりのX;
Y は次の意味の一つを有する:
【化5】

(式中、
nIX は 0 〜 5 の整数であり;
nIIX は1 〜 5 の整数であり;
RTIX、 RTIX'、 RTIIX、 RTIIX' は同一または異なって、H または直鎖もしくは分枝 C1-C4-アルキルであり;
Y3 は、5または6原子を有する、飽和、不飽和または芳香族の複素環であり、該複素環は1〜3の複素原子を含み、該複素原子は同一または異なって、窒素、酸素または硫黄から選択される);
または、 Y はアルキレンオキシ基 −R'O−(ここで、R'は直鎖または分枝 C1-C20の、または 5 〜 7 の炭素原子を有するシクロアルキレンであり(ここで、シクロアルキレン環の1以上の炭素原子は複素原子で置換可能であり、該環はR'タイプ(ここで、R'は上で定義したとおりである)の側鎖が存在してもよい));
または、次の基の一つ:
【化6】

(式中、nf' は1 〜 6 の整数である);
【化7】

(式中、R1f = H、CH3 であり、nf'は 1 〜 6 の整数である);
【化8】

(式中、n3 は0 〜 5 の整数であり、 n3' は1 〜 3 の整数である);
または
【化9】

(式中、n3 および n3' は上記の意味を有する));
R は次の式 (II)を有する鎮痛薬の基である:
【化10】

式中、
W は炭素または窒素原子であり;
m は0 〜 2 の整数であり;
R0 = H、 -(CH2)n-COORy(ここで、 Ry は上で定義したとおりである);
n は 0 〜 2 の整数であり;
R1 = H; W = N のとき、R1 は窒素原子上の電子ダブレット(遊離価)であり;
R2 は次の基から選択される:
-ハロゲン原子でまたは -OCH3、-CF3、ニトロから選択される基で任意に置換され ていてもよいフェニル;
-モノまたはジヒドロキシ-置換ベンジル、好ましくは3,4-ジヒドロキシベンジル;
-アミジノ基:H2N(C=NH)-;
-式 (IIA) の基(ここで、1位と2位、または3位と4位、または4位と5位の炭素 原子間にエチレン性の不飽和が任意に存在していてもよい):
【化11】

式中、
p、p1、p2 は同一または異なって、0 または 1 の整数であり;
p3 は0 〜 10 の整数であり;
R4 は水素、直鎖または分枝 C1-C6-アルキル、遊離価であり;
R5 は以下の意味を有する:
-水素、
-直鎖または分枝 C1-C6-アルキル、
-C3-C6-シクロアルキル、
-ORA(ここで、 RA は次の意味を有する:
- 1以上のハロゲン原子、好ましくはF で任意に置換されていてもよい直
鎖または分枝C1-C6-アルキル、
-ハロゲン原子でまたは次の基 -OCH3、-CF3、ニトロの一つで任意に置換されてい てもよいフェニル);
R6、R6A、R7、R8 は同一または異なって水素、メチルまたは遊離価であり、
但し、式(IIA)基においてC1 とC2 の間にエチレン性の不飽和が存在するとき、R4 および R5 はC1 と C2 の間に2重結合を形成し得る遊離価であり;不飽和がC3 と C4 の間にあれば、R6 および R7 はC3 と C4 の間に2重結合を形成し得る遊離価であり;不飽和がC4 と C5 の間にあれば、R7 および R8 はC4 と C5 の間に2重結合を形成し得る遊離価であり;
Q は H、OH、ORB(ここで、RB は1以上のハロゲン原子、好ましくはF で任意に置換されていてもよい直鎖または分枝C1-C6-アルキル、ハロゲン原子でまたは次の基:-OCH3、-CF3、ニトロの一つで任意に置換されていてもよいフェニル); または、 Q は次の意味の一つを有する:
- 直鎖または分枝 C1-C6-アルキル、
- C3-C6-シクロアルキル、
- グアニジノ (H2NC(=NH)NH-)、
- チオグアニジノ (H2NC(=S)NH-);
式(II) において、R2 は R1 および W = C と一緒になって C4-C10 飽和または不飽和の環を形成する]。
【請求項2】
式(III)のY3 が次の基から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化12】

【請求項3】
式(I)において、
c0 は 1であり;
b0 は 0 または 1であり;
k0 は 0 または 1であり;
R1c = H;
K は (CO) または 請求項1で定義された2価の基 (1C) であり;
B = -TB-X2-TBI- (ここで、TB = (CO) または X (ここで、X = O、S、NH));
但し、
b0 = 1 および k0 = 0のとき、TB = (CO);
b0 = 1 および k0 = 1で K = (CO)のとき、TB = 上で定義したとおりのX;
TBI = (CO) または (X)(ここで、X は上で定義したとおりである);
c0 = 0のとき、TBI = -O-;
Bの前駆体は N-アセチルシステインまたはフェルラ酸である;
C = 式 -Tc-Y- を有する2価の基(ここで、
Tc = (CO) または 上で定義したとおりのX;
但し、b0 =0 および k0 = 1のとき:
-K = (1C)のときはTc = (CO)、
-K = (CO)のときはTc = 上で定義したとおりのX;
Y は以下の意味の一つを有する:
【化13】

(式中、
nIX およびnIIXは1であり;
RTIX、 RTIX'、 RTIIX、 RTIIX' は水素であり;
Y3 は次の2価の基から選択される):
【化14】

または、 Y はアルキレンオキシ基 −R'O−(ここで、R'は直鎖または分枝 C2-C6アルキルである);
または
【化15】

(式中、R1f = H、CH3 およびnf'は 1 〜 4 の整数である);
【化16】

(式中、n3 は0 〜 3 の整数であり、 n3' は1 〜 3 の整数である);
R は次の式 (II)を有する鎮痛薬の基である:
【化17】

(式中、
W は炭素原子であり;
m は0 または1であり;
R0 = Hまたは -(CH2)n-COOH(ここで、n は 0 〜 2 の整数である);
R1 = H;
R2 は次の基から選択される:
-3,4-ジヒドロキシベンジル;または
-アミジノ基:H2N(C=NH)-;
-請求項1で定義された式 (IIA) の基(ここで、
p およびp1 は0 または 1 であり;
p2 および p3 は0 であり;
R4 および R5 は水素、直鎖もしくは分枝 C1-C6-アルキルまたは遊離価であり;
R6 およびR6A は水素であり;
但し、式(IIA)基においてC1 とC2 の間にエチレン性の不飽和が存在するとき、R4 および R5 はC1 と C2 の間に2重結合を形成し得る遊離価であり;
Q は H、CH3 または
- グアニジノ (H2NC(=NH)NH-)、または
- チオグアニジノ (H2NC(=S)NH-));
式(II) において、R2 は R1 および W と一緒になってC6飽和環を形成する
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式(II)において、W = C、m = 1 そして R0 = -(CH2)n-COORy(ここで、n = 1 および Ry = H); R2 および R1 は上で定義した W と一緒になってシクロヘキサン環を形成するとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体はガバペンチンとして知られている;
式(II)において、W = C、m = 0、そして R0 がn = 0でガバペンチンについて定義されたとおりで; R1 = H; R2 は式(IIA)の基(ここで、p = p1 = 1、p2 = p3 = 0、R4 = R5 = R6 = R6A = H、Q = H )のとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体はノルバリンとして知られている;
式(II)において、W = C、m = 0、そして R0 がn = 0でガバペンチンについて定義されたとおりで; R1 = H; R2 は式(IIA)の基(ここで、p = p1 = 1、p2 = p3 = 0、R4 = R5 = R6 = R6A = H、Q がグアニジノ基である)のとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体はアルギニンとして知られている;
式(II)において、W = C、m = 0、そして R0 がn = 0でガバペンチンについて定義されたとおりで; R1 = H; R2 は式(IIA)の基(ここで、p = p1 = 1、p2 = p3 = 0、R4 = R5 = R6 = R6A = H、Q がチオグアニジノ基である)のとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体はチオシトルリンとして知られている;
式(II)において、W = C、m = 1、そして R0 がn = 1でガバペンチンについて定義されたとおりで; R1 = H; R2 は式(IIA)の基(ここで、p = p1 = p2 = p3 = 0、R4 = H、R5 = Q = CH3)のとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体はプレガバリンとして知られている;
式(II)において、W = C であって(S)立体配置を有し、m = 1、そしてR0 がn = 1でガバペンチンについて定義されたとおりで; R1 = H; R2 は式(IIA)の基(ここで、p = p1 = p2 = p3 = 0、R4 = H、R5 = Q = CH3)のとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体は(S)3-イソブチルGABAとして知られている;
式(II)において、W = C であって(S)立体配置を有し、m = 0; R0 = R1 = H; R2 は式(IIA) の基(ここで、p = p1 = 1、p2 = p3 = 0、R4 = R5 = R6 = R6A = H、Q はグアニジノ基である)のとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体はアグマチンとして知られている;
式(II)において、W = C、m = 0、そして R0 がn = 2でガバペンチンについて定義されたとおりで; R1 = H; R2 は式(IIA)の基(ここで、p = p1 = p2 = p3 = 0、R4 およびR5 が遊離価でC1 と C2 の間にエチレン性の不飽和があり、Q = H)のとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体はビガバトリンとして知られている;
式(II)において、W = C、m = 0 ; R0 がn = 0でガバペンチンについて定義されたとおりで; R1 = H; R2 が3,4-ジヒドロキシベンジル基であるとき、式R-NH2 を有するR の医薬前駆体は2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパン酸 (dopa)として知られている、
請求項1〜3に記載の化合物。
【請求項5】
式(I)におけるRの医薬前駆体が、ラモトリジン、トピラメート、ゾニサミド、カルバマゼピン、フェルバメート、アミネプチン、アモキサピン、デメキシプチリン、デシプラミン、ノルトリプチリン、チアネプチンから選択される、請求項1〜3に記載の化合物。
【請求項6】
次のものから選択される請求項1、3および4に記載の化合物:
1-[4-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルアミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XVA)、
【化18】

1-[3-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルアミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XVIA)、
【化19】

1-[2-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルアミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XVIIA)、
【化20】

1-(4-ニトロオキシブタノイルアミノメチル)-シクロヘキサン酢酸 (XVIIIA)、
【化21】

1-(ニトロオキシメトキシカルボニルアミノメチル)-シクロヘキサン酢酸 (XIXA)、
【化22】

1-[[4-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルオキシ]メトキシカルボニルアミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XXA)、
【化23】

1-[[3-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルオキシ]メトキシカルボニルアミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XXIA)、
【化24】

1-[[2-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルオキシ]メトキシカルボニルアミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XXIIA)、
【化25】

1-[3-(ニトロオキシメチル)フェノキシカルボニルアミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XXIIIA)、
【化26】

[2-メトキシ-4-[(1E)-3-[4-(ニトロオキシブトキシ)]-3-オキサ-1-プロペニルフェノキシ]-カルボニルアミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XXIVA)、
【化27】

3-(S)-[4-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルアミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXVA)、
【化28】

3-(S)-[3-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルアミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXVIA)、
【化29】

3(S)-[2-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルアミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXVIIA)、
【化30】

3(S)-[4-(ニトロオキシブタノイル)アミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXVIIIA)、
【化31】

3(S)-[4-(ニトロオキシメトキシカルボニル)アミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXIXA)、
【化32】

3(S)-[[2-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルオキシ]メトキシカルボニルアミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXXA)、
【化33】

3(S)-[[3-(ニトロオキメチル)ベンゾイルオキシ]メトキシカルボニルアミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXXIA)、
【化34】

3(S)-[4-(ニトロオキシメチル)ベンゾイルオキシ]メトキシカルボニルアミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXXIIA),
【化35】

3(S)-[(3-ニトロオキシメチル)フェノキシカルボニルアミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXXIIIA)、
【化36】

3(S)-[2-メトキシ-4-[(1E)-3-[4-(ニトロオキシブトキシ)]-3-オキサ-1-プロペニルフェノキシ]カルボニルアミノメチル]-5-メチル-ヘキサン酸 (XXXIVA)、
【化37】

1-[4-(ニトロオキシブチルオキシカルボニル)アミノメチル]-シクロヘキサン酢酸 (XXXVA)。
【化38】

【請求項7】
NO-供与化合物との組合わせにある、請求項1〜6に記載の化合物。
【請求項8】
NO-供与化合物が、次の医薬:アスピリン、サルチル酸、イブプロフェン、パラセタモール、ナプロキセン、ジクロフェナクおよびフルルビプロフェンの分子基中に含まれる、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
活性成分として請求項1〜8に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項10】
医薬として使用される、請求項1〜8に記載の化合物。
【請求項11】
慢性疼痛用の医薬を製造するための、請求項1〜8に記載の化合物の使用。
【請求項12】
慢性疼痛が神経障害性疼痛である、請求項11に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2006−509822(P2006−509822A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560497(P2004−560497)
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2003/050932
【国際公開番号】WO2004/054965
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(398034032)ニコックス エス エイ (36)
【Fターム(参考)】