説明

成分濃度測定装置及び成分濃度測定方法

【課題】本発明は、光を照射される被検体又は被測定物の経時変化や音波検出器の経時変化の影響を小さくして成分濃度測定の校正を正確に行うことを目的とする。
【解決手段】本発明は、同一波長又は互いに異なる波長の2波の光を同一周波数で逆位相の信号によりそれぞれ電気的に強度変調して出射する光出射手段と、前記光出射手段からの2波の光のうち一方の光を照射される標準試料と、前記光出射手段からの前記一方の光により前記標準試料から発生する音波、及び前記光出射手段からの他方の光を照射される被検体又は被測定物から前記他方の光により発生する音波を、前記標準試料、及び前記光を照射される前記被検体又は前記被測定物に対して同一の位置で検出する音波検出手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間又は動物の被検体の非侵襲な成分濃度測定装置及び成分濃度測定方法、或いは人間又は動物から採取した被測定物の成分濃度測定装置及び成分濃度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化が進み、成人病に対する対応が大きな課題になりつつある。血糖値などの検査においては血液の採取が必要なために患者にとって大きな負担となるので、血液を採取しない非侵襲な成分濃度測定装置が注目されている。現在までに開発された非侵襲な成分濃度測定装置としては、皮膚内に電磁波を照射し、測定対象とする血液成分、例えば、血糖値の場合はグルコース分子に吸収され、局所的に加熱して熱膨張を起こして生体内から発生する音波を観測する、光音響法が注目されている。
【0003】
しかし、グルコースと電磁波との相互作用は小さく、また生体に安全に照射し得る電磁波の強度には制限があり、生体の血糖値測定においては、十分な効果をあげるに至っていない。
【0004】
図7および図8は、従来例として、光音響法による従来の血液成分濃度測定装置の構成例を示す図である。図7は光パルスを電磁波として用いた第一の従来例である(例えば、非特許文献1参照。)。本例では血液成分として血糖、すなわちグルコースを測定対象としている。図7において、駆動回路604はパルス状の励起電流をパルス光源616に供給し、パルス光源616はサブマイクロ秒の持続時間を有する光パルスを発生し、発生した光パルスは被検体610に照射される。光パルスは被検体610の内部にパルス状の光音響信号と呼ばれる音波を発生させ、発生した音波は超音波検出器613により検出され、さらに音圧に比例した電気信号に変換される。
【0005】
変換された電気信号の波形は波形観測器620により観測される。この波形観測器620は上記励起電流に同期した信号によりトリガされ、変換された電気信号は波形観測器620の管面上の一定位置に表示され、変換された電気信号は積算・平均して測定することができる。このようにして得られた電気信号の振幅を解析して、被検体610の内部の血糖値、すなわちグルコースの量が測定される。図7に示す例の場合はサブマイクロ秒のパルス幅の光パルスを最大1kHzの繰り返しで発生し、1024個の光パルスを平均して、前記電気信号を測定しているが十分な精度が得られていない。
【0006】
そこで、より精度を高める目的で、連続的に強度変調した光源を用いる第二の従来例が開示されている。図8に第二の従来例の装置の構成を示す(例えば、特許文献1参照。)。本例も血糖を主な測定対象として、異なる波長の複数の光源を用いて、高精度化を試みている。説明の煩雑さを避けるために、図8により光源の数が2の場合の動作を説明する。図8において、異なる波長の光源、即ち、第1の光源601及び第2の光源605は、それぞれ駆動回路604及び駆動回路608により駆動され、連続光を出力する。
【0007】
第1の光源601及び第2の光源605が出力する光は、モータ618により駆動され一定回転数で回転するチョッパ板617により断続される。ここでチョッパ板617は不透明な材質により形成され、モータ618の軸を中心とする第1の光源601及び第2の光源605の光が通過する円周上に、互いに素な個数の開口部が形成されている。
【0008】
上記の構成により、第1の光源601及び第2の光源605の各々が出力する光は互いに素な変調周波数f及び変調周波数fで強度変調された後、合波部609により合波され、1の光束として被検体610に照射される。
【0009】
被検体610の内部には第1の光源601の光により周波数fの光音響信号が発生し、第2の光源605の光により周波数fの光音響信号が発生し、これらの光音響信号は、音響センサ619により検出され、音圧に比例した電気信号に変換され、その周波数スペクトルが、周波数解析器621により観測される。本例においては、複数の光源の波長は全てグルコースの吸収波長に設定されており、各波長に対応する光音響信号の強度は、血液中に含まれるグルコースの量に対応した電気信号として測定される。
【0010】
ここで、予め光音響信号の測定値の強度と別途採血した血液によりグルコースの含有量を測定した値との関係を記憶しておいて、前記光音響信号の測定値からグルコースの量を測定している。
【特許文献1】特開平10−189号公報
【非特許文献1】オウル大学(University of Oulu、Finland)学位論文「Pulse photoacoustic techniqus and glucose determination in human blood and tissue」(IBS 951−42−6690−0、http://herkules.oulu.fi/isbn9514266900/、2002年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の従来例においては以下のような課題がある。
【0012】
つまり、成分濃度の被測定対象が生体や液体であるため、成分濃度の測定時の測定温度、気圧等の測定環境や生体自身の体調により測定状態は、測定中や測定日ごとに常に変化する。また、測定装置の部品の性能も経時変化する。このことは、上記の従来例においても同じである。そのため、上記被測定対象の含む成分濃度測定に対する妨害要因や装置部品の性能の経時変化の影響を小さくするため、通常、測定中や測定後に測定した値の校正を行うことが考えられる。
【0013】
しかし、校正を行う際に、音波を検出する音響検出器として互いに異なる素子を使用すると、音響検出器の素子特性の個体差により、検出した音波の値に作動誤差が生じる。一方、同一の素子を使用する場合、測定対象の取り外し/取り付け、温度、気圧等の測定条件の時刻変動により測定状態が変化するため、検出した音波の値に誤差が生じる。
【0014】
従って、上述の従来例では、校正精度の悪化要因となるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明は、被検体又は被測定物に向けて光を照射すると共に、成分濃度の校正に必要な標準試料にも光を照射し、両者から発生する音波を1つの音波検出器で同時に検出することで音波の検出時間及び検出状態を同一にして正確な校正を可能とする成分濃度測定装置及び成分濃度測定方法である。
【0016】
初めに、本発明の成分濃度測定装置の基本原理を、一例として、被検体の成分濃度を測定する場合について説明する。
【0017】
本発明では、異なる2波長の光の中の、第一の光の波長を、例えば被検体の測定対象の成分による吸光度が被検体の大部分を占める水による吸光度と顕著に異なる波長に設定し、第二の光の波長を水が第一の光の波長におけるのと合い等しい吸光度を示す波長に設定する。上記の波長の設定方法を、血液中のグルコースの濃度を測定する場合を例として図1により説明する。
【0018】
図1は常温における水とグルコース水溶液の吸光度特性を示す。図1において、縦軸は吸光度を示し、横軸は光の波長を示している。また、図1において、実線は水の吸光度特性を示し、破線はグルコース水溶液の吸光度特性を示している。図1に示す波長λはグルコースによる吸光度が水による吸光度と顕著に異なる波長であり、波長λは、水がλにおける吸光度と合い等しい吸光度を示す波長である。従って、例えば、第一の光の波長をλと設定し、第二の光の波長をλと設定することができる。
【0019】
以下の説明においては、一例として、第一の光の波長を測定対象の成分による吸光度が水による吸光度と顕著に異なる波長λに設定し、第二の光の波長を水が第一の光の波長λにおけるのと合い等しい吸光度を示す波長λに設定した場合を説明する。
【0020】
上記のように設定した異なる2波長の光の各々を、同一周波数で逆位相の信号により強度変調してパルス状の光として出射し、出射された異なる2波長の光が被検体の成分に吸収されて発生する音波を検出して、検出した音波の大きさから、被検体の測定対象の成分の濃度を測定する。上記のように強度変調された異なる2波長の光を出射した場合、第一の光を測定対象の成分と水の両方が吸収して被検体から発生する第一の音波と、第二の光を被検体の大部分を占める水が吸収して被検体から発生する第二の音波とは、周波数が等しくかつ逆位相である。従って、第一の音波と第二の音波は被検体内で重畳し、音波の差として、第一の音波の中の測定対象の成分が吸収して被検体から発生する音波の大きさのみが残留する。そこで、残留した音波により、第一の光が測定対象の成分が吸収して被検体から発生する音波のみを測定することができる。上記の測定においては、測定対象の成分と水の両方が吸収して発生する音波と水が吸収して発生する音波を個別に測定して差を演算するよりも、測定対象の成分が吸収して被検体から発生する音波を正確に測定することができる。
【0021】
さらに、被検体と音波検出素子との接触状態などの音波測定系の誤差の要因を除いて、高精度に測定する方法を以下に説明する。波長λの光及び波長λの光の各々に対する、被検体の大部分を占める水の吸収係数をα(w)及びα(w)として、被検体の測定対象の成分のモル吸収係数をα(g)及びα(g)とすれば、波長λの光及び波長λの光の各々により被検体から発生する音波の大きさs及びsを含む連立方程式は数式(1)で表される。
【0022】
【数1】

【0023】
上記の、数式(1)を解いて、被検体の測定対象の成分濃度Mを求めることができる。ここで、Cは制御あるいは予想困難な係数、すなわち、被検体と音波検出素子の結合状態、音波検出素子の感度、被検体において光により音波が発生される位置と音波検出素子との間の距離、被検体の比熱及び熱膨張係数、被検体の内部の音波の速度、波長λの光及び波長λの光の変調周波数、水の吸収係数及び被検体の成分のモル吸収係数、などに依存する未知定数である。さらに数式(1)でCを消去すると次の数式(2)が得られる。
【0024】
【数2】

【0025】
ここで、波長λの光及び波長λの光の各々に対する、被検体の大部分を占める水の吸収係数α(w)及びα(w)が等しくなるように選択されているので、α(w)=α(w)が成立し、さらに、s≒sであることを用いれば、成分濃度Mは数式(3)で表される。
【0026】
【数3】

【0027】
上記の数式(3)に、既知の係数として、α(w)、α(g)及びα(g)を代入し、さらに、波長λの光及び波長λの光の各々により被検体から発生する音波の大きさs及びsを測定して代入することにより、被検体の成分濃度Mを算出することができる。上記の数式(3)においては、2つの音波の大きさs及びsを個別に測定するよりも、それらの差s−sを測定して、別に測定した音波の大きさsで除する方が、被検体の成分濃度を高精度に測定することができる。
【0028】
そこで、本発明の成分濃度測定装置においては、まず、波長λの光及び波長λの光を、互いに逆位相の変調信号により強度変調して、1の光束に合波して出射することにより、被検体から発生する音波の大きさs及び音波の大きさsが相互に重畳して生じる音波の差(s−s)を測定する。次に、波長λの光を出射して、被検体から発生する音波の大きさsを測定する。上記のように測定した(s−s)とsにより、(s−s)÷sを演算することにより、数式(3)により、被検体の測定対象の成分濃度を高精度に測定することができる。
【0029】
本発明の成分濃度測定装置及び成分濃度測定方法における被検体の経時変化による影響は以下の通りである。
【0030】
本発明では、数式(3)における分子の(s−s)の値は、異なる2波長の光を電気的に強度変調して同時に照射し生体で発生する音波の大きさとして測定することができる。一方、分母のsの値は、異なる2波長の光のうち所定の1波長の光を別途照射して生体で発生する音波の大きさとして測定することができる。そのため、異なる2波長の光を出射する時間と所定の1波長の光を出射する時間とが当然に異なる。
【0031】
つまり、2回の測定において生体の状態が変化する。
【0032】
そこで、本発明では、被検体又は被測定物に向けて光を照射すると共に、成分濃度の校正に必要な標準試料にも光を照射し、両者から発生する音波を1つの音波検出器で同時に検出することとした。
【0033】
以上が本発明の成分濃度測定装置及び成分濃度測定方法の基本原理である。
【0034】
具体的には、本発明に係る成分濃度測定装置は、同一波長又は互いに異なる波長の2波の光を同一周波数で逆位相の信号によりそれぞれ電気的に強度変調して出射する光出射手段と、前記光出射手段からの2波の光のうち一方の光を照射される標準試料と、前記光出射手段からの前記一方の光により前記標準試料から発生する音波、及び前記光出射手段からの他方の光を照射される被検体又は被測定物から前記他方の光により発生する音波を、前記標準試料、及び前記光を照射される前記被検体又は前記被測定物に対して同一の位置で検出する音波検出手段と、を備える。
【0035】
本発明では、音波検出手段が同一の位置で音波を検出することから、光出射手段からの光を照射される被検体又は被測定物と標準試料との二つの物質で発生する音波の大きさの差を同時に検出することができる。そのため、光を照射される被検体又は被測定物における標準試料の成分の経時変化を補正することができる。また、光を照射される被検体又は被測定物における測定対象以外の標準試料の成分の影響を補正することもできる。さらに、音波検出手段が同一の位置で音波を検出することから、音波検出手段の個体差による音波の測定誤差が伴うことがない。従って、本発明では、二つの物質をそれぞれ別々に測定して記録後に補正することと比較して、被検体又は被測定物の成分濃度を正確に測定することができる。
【0036】
本発明の成分濃度測定装置において、前記光出射手段から前記互いに異なる波長の2波の光がそれぞれ水に出射された状態で前記水から発生する音波の大きさが零となるように前記光出射手段における前記2波の光の波長を調整する波長調整手段をさらに有することが望ましい。
【0037】
本発明では、波長調整手段が水から発生する音波の大きさが零となるように2波の光の波長を調整することにより、光出射手段から出射する2波の光の波長を水の吸光度特性が一致する所定の2波長にすることができる。これにより、検出する音波から予め水の吸光度の影響を除去することができる。そのため、本発明では、被検体又は被測定物の測定対象の成分濃度を算出する際に、水の吸光度成分の補正をする必要がなく、正確に測定することができる。
【0038】
本発明に係る成分濃度測定装置は、同一波長の2波の光を同一周波数で逆位相の信号により電気的に強度変調して出力する測定光変調手段と、前記測定変調手段の前記同一波長の2波の光と異なる波長の2波の光を前記測定光変調手段での強度変調する周波数と同一の周波数で逆位相の信号により電気的に強度変調して出力する参照光変調手段と、前記測定光変調手段からの2波の光及び前記参照光変調手段からの2波の光のうちそれぞれ逆位相同士の2波の光を合波して2つの光を出射する合波光出射手段と、前記合波光出射手段からの2つの光のうち一方の光が照射される標準試料と、前記合波光出射手段からの前記一方の光により前記標準試料から発生する音波、及び前記合波光出射手段からの他方の光を照射される被検体又は被測定物から前記他方の光により発生する音波を、前記標準試料、及び前記光を照射される前記被検体又は前記被測定物に対して同一の位置で検出する音波検出手段と、を備える。
【0039】
本発明では、音波検出手段が同一の位置で音波を検出することから、光出射手段からの光を照射される被検体又は被測定物と標準試料との二つの物質で発生する音波の大きさの差を同時に検出することができる。そのため、光を照射される被検体又は被測定物における標準試料の成分の経時変化を補正することができる。また、光を照射される被検体又は被測定物における測定対象以外としての標準試料の成分の影響を補正することもできる。さらに、音波検出手段が同一の位置で音波を検出することから、音波検出手段の個体差による音波の測定誤差が伴うことがない。従って、本発明では、二つの物質をそれぞれ別々に測定して記録後に補正することと比較して、被検体又は被測定物の成分濃度を正確に測定することができる。
【0040】
本発明の成分濃度測定装置において、前記合波光出射手段から前記2つの光がそれぞれ水に出射された状態で前記水から発生する音波の大きさが零となるように前記測定光変調手段及び前記参照光変調手段における前記2波の光の波長を調整する波長調整手段をさらに有することが望ましい。
【0041】
本発明では、測定光変調手段及び参照光変調手段が水から発生する音波の大きさが零となるように2波の光の波長を調整することにより、合波光出射手段から出射される2波の光の波長を予め互いに水の吸光度特性が一致する所定の2波長にすることができる。これにより、検出する音波から予め水の吸光度の影響を除去することができる。そのため、本発明では、被検体又は被測定物の測定対象の成分濃度を算出する際に、水の吸光度成分の補正をする必要がなく、正確に測定することができる。
【0042】
本発明の成分濃度測定装置において、前記音波検出手段は、前記標準試料、及び前記光を照射される前記被検体又は前記被測定物から略等距離の位置に配置されていることが望ましい。
【0043】
本発明では、略等距離の位置で音波を検出することから、音波の伝搬距離に対する減衰が略同一となるため、音波の減衰に伴う成分濃度測定の測定誤差を生じさせることがない。従って、本発明では、被検体又は被測定物の成分濃度を正確に測定することができる。
【0044】
本発明の成分濃度測定装置において、前記音波を反射しうる2以上の凹状の楕円球面がそれぞれの前記楕円球面の2つの焦点のいずれか一方を共通するようにして配置された楕円反射体をさらに備え、前記標準試料は、前記楕円球面の共通の焦点を除く他の焦点に相当する位置に配置され、前記音波検出手段は、前記標準試料並びに前記楕円球面の前記共通の焦点及び前記他の焦点を除く前記楕円球面の他の焦点に配置される前記被検体又は前記被測定物から発生する音波のうち前記楕円球面で反射する音波を検出するように前記楕円球面の前記共通の焦点に相当する位置に配置されていることが望ましい。
【0045】
本発明では、楕円の性質上、楕円の焦点で発生した音波を他の焦点に集音させることができる。そのため、音波検出手段は、音波の検出漏れを減少して高感度に音波を検出することができる。従って、本発明では、被検体又は被測定物の成分濃度を正確に測定することができる。
【0046】
本発明の成分濃度測定装置において、前記標準試料、前記光を照射される前記被検体又は前記被測定物、及び前記音波検出手段と前記楕円反射体の前記楕円球面との間を満たし、前記光を照射される前記被検体又は前記被測定物の音響インピーダンスと略等しい音響インピーダンスの音響整合物質をさらに備えることが望ましい。
【0047】
本発明では、音響整合物質により標準試料、及び被検体又は前記被測定物から発生する音波の伝達効率を向上させることができる。そのため、音波の伝搬距離による減衰を減少させて音波検出手段に高感度に音波を検出させることができる。従って、本発明では、被検体又は被測定物の成分濃度を正確に測定することができる。
【0048】
本発明の成分濃度測定装置において、前記標準試料が水、血液、血清又は生体等価物質であることが望ましい。
【0049】
本発明では、被検体又は被測定物の測定対象とする成分に応じて標準試料を水、血液、血清又は生体等価物質により、成分濃度測定値の補正を行うことができる。従って、本発明では、被検体又は被測定物の成分濃度を正確に測定することができる。
【0050】
本発明に係る成分濃度測定方法は、光出射手段が同一波長又は互いに異なる波長の2波の光を同一周波数で逆位相の信号によりそれぞれ電気的に強度変調して出射し、音波検出手段が前記光出射手段からの2波の光のうち一方の光を照射される標準試料から前記一方の光により発生する音波、及び前記合波光出射手段からの2波の光のうち他方の光を照射される被検体又は被測定物から前記他方の光により発生する音波を、前記標準試料、及び前記光を照射される前記被検体又は前記被測定物に対して同一の位置で検出する第1音波検出手順を備える。
【0051】
本発明では、音波検出手段が同一の位置で音波を検出することから、光出射手段からの光を照射される被検体又は被測定物と標準試料との二つの物質で発生する音波の大きさの差を同時に検出することができる。そのため、光を照射される被検体又は被測定物における標準試料の成分の経時変化を補正することができる。また、光を照射される被検体又は被測定物における測定対象以外の標準試料の成分の影響を補正することもできる。さらに、音波検出手段が同一の位置で音波を検出することから、音波検出手段の個体差による音波の測定誤差が伴うことがない。従って、本発明では、二つの物質をそれぞれ別々に測定して記録後に補正することと比較して、被検体又は被測定物の成分濃度を正確に測定することができる。
【0052】
本発明の成分濃度測定方法において、前記光出射手段が互いに異なる波長の2波の光を同一周波数で逆位相の信号によりそれぞれ電気的に強度変調して水に出射し、前記光出射手段における前記2波の光の波長を調整する波長調整手段が前記水から発生する音波の大きさが零となるように前記2波の光の波長を調整する波長調整手順を前記第1音波検出手順の前にさらに備えることが望ましい。
【0053】
本発明では、波長調整手段が水から発生する音波の大きさが零となるように2波の光の波長を調整する波長調整手順を備えることにより、光出射手段から出射する2波の光の波長を水の吸光度特性が一致する所定の2波長にすることができる。これにより、検出する音波から予め水の吸光度の影響を除去することができる。そのため、本発明では、被検体又は被測定物の測定対象の成分濃度を算出する際に、水の吸光度成分の補正をする必要がなく、正確に測定することができる。
【0054】
本発明の成分濃度測定方法において、前記第1音波検出手順の後に、前記第1音波検出手順における前記標準試料と同一の標準試料、及び前記第1音波検出手順における前記被検体又は前記被測定物と同一の被検体又は被測定物について、前記第1音波検出手順を1度以上行うことが望ましい。
【0055】
本発明では、同一の被検体又は被測定物に対して成分濃度測定を繰り返し行うため、同一の被検体又は被測定物の成分濃度の状態の経時変化を把握することができる。
【0056】
本発明の成分濃度測定方法において、前記第1音波検出手順の後に、前記第1音波検出手順における前記標準試料と異なる標準試料、及び前記第1音波検出手順における前記被検体又は前記被測定物と同一の被検体又は被測定物について、前記第1音波検出手順を1度以上行うことが望ましい。
【0057】
本発明では、異なる標準試料に対して成分濃度測定を繰り返し行うため、被検体又は被測定物の個体差を把握することができる。
【0058】
本発明に係る成分濃度測定方法は、測定光変調手段が同一波長の2波の光を同一周波数で逆位相の信号により電気的に強度変調して出力し、参照光変調手段が前記測定変調手段の前記同一波長の2波の光と異なる波長の2波の光を前記測定光変調手段での強度変調する周波数と同一の周波数で逆位相の信号により電気的に強度変調して出力し、合波光出射手段が前記測定光変調手段からの2波の光及び前記参照光変調手段からの2波の光のうちそれぞれ逆位相同士の2波の光を合波して2つの光を出射し、音波検出手段が前記合波光出射手段からの2つの光のうち一方の光を照射される標準試料から発生する音波、及び前記合波光出射手段からの2つの光のうち他方の光を照射される被検体又は被測定物から発生する音波を、前記標準試料、及び前記光を照射される前記被検体又は前記被測定物に対して同一の位置で検出する第2音波検出手順を備える。
【0059】
本発明では、音波検出手段が同一の位置で音波を検出することから、光出射手段からの光を照射される被検体又は被測定物と標準試料との二つの物質で発生する音波の大きさの差を同時に検出することができる。そのため、光を照射される被検体又は被測定物における標準試料の成分の経時変化を補正することができる。また、光を照射される被検体又は被測定物における測定対象以外としての標準試料の成分の影響を補正することもできる。さらに、音波検出手段が同一の位置で音波を検出することから、音波検出手段の個体差による音波の測定誤差が伴うことがない。従って、本発明では、二つの物質をそれぞれ別々に測定して記録後に補正することと比較して、被検体又は被測定物の成分濃度を正確に測定することができる。
【0060】
本発明の成分濃度測定方法において、前記測定光変調手段が同一波長の2波の光を同一周波数で逆位相の信号により電気的に強度変調して出力し、前記参照光変調手段が前記測定変調手段の前記同一波長の2波の光と異なる波長の2波の光を前記測定光変調手段での強度変調する周波数と同一の周波数で逆位相の信号により電気的に強度変調して出力し、前記合波光出射手段が前記測定光変調手段からの2波の光及び前記参照光変調手段からの2波の光のうちそれぞれ逆位相同士の2波の光を合波して2つの光をそれぞれ水に出射し、前記測定光変調手段及び前記参照光変調手段における前記2波の光の波長をそれぞれ調整する波長調整手段が前記水から発生する音波の大きさが零となるように前記2波の光の波長を調整する波長調整手順を前記第2音波検出手順の前にさらに備えることが望ましい。
【0061】
本発明では、測定光変調手段及び参照光変調手段が水から発生する音波の大きさが零となるように2波の光の波長を調整する波長調整手順を備えることにより、合波光出射手段から出射される2波の光の波長を予め互いに水の吸光度特性が一致する所定の2波長にすることができる。これにより、検出する音波から予め水の吸光度の影響を除去することができる。そのため、本発明では、被検体又は被測定物の測定対象の成分濃度を算出する際に、水の吸光度成分の補正をする必要がなく、正確に測定することができる。
【0062】
本発明の成分濃度測定方法において、前記第2音波検出手順の後に、前記第2音波検出手順における前記標準試料と同一の標準試料、及び前記第2音波検出手順における前記被検体又は前記被測定物と同一の被検体又は被測定物について、前記第2音波検出手順を1度以上行うことが望ましい。
【0063】
本発明では、同一の被検体又は被測定物に対して成分濃度測定を繰り返し行うため、同一の被検体又は被測定物の成分濃度の状態の経時変化を把握することができる。
【0064】
本発明の成分濃度測定方法において、前記第2音波検出手順の後に、前記第2音波検出手順における前記標準試料と異なる標準試料及び前記第2音波検出手順における前記被検体又は前記被測定物と同一の被検体又は被測定物について、前記第2音波検出手順を1度以上行うことが望ましい。
【0065】
本発明では、異なる標準試料に対して成分濃度測定を繰り返し行うため、被検体又は被測定物の個体差を把握することができる。
【発明の効果】
【0066】
本発明の成分濃度測定装置及び成分濃度測定方法は、光を照射される被検体又は被測定物の経時変化や音波検出器の経時変化の影響を小さくして成分濃度測定の校正を正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0068】
以下の実施形態は、本発明の構成の例であり、被検体としての人体の指により成分濃度を測定する場合の実施の形態であるが、本発明は以下の実施の形態に制限されるものではない。また、以下においては、被検体を被測定物に置き換えれば被測定物の成分濃度を測定する場合の実施の形態とすることができる。また、各実施形態に係る成分濃度測定装置の構成を示す図2から図4において、電源、あるいは全体の動作を制御する制御部などの通常の技術により実現できる部分は図示していない。
【0069】
(第1実施形態)
図2に、本実施形態に係る成分濃度測定装置の概略構成図を示す。また、図5に、本実施形態に係る容器の上面の概略図を示す。
【0070】
図2において、成分濃度測定装置10は、光出射手段の一部としての発振器101、駆動回路103、180°移相回路102、駆動回路106、第1の光源104及び第2の光源107と、音波検出手段の一部としての音波検出部108、前置増幅部109及び位相検波増幅部110、音波記録手段及び成分濃度算出手段としての成分濃度算出部111と、標準試料123と、を備える。また、本実施形態では、音波の検出効率を向上させるため、楕円反射体としての容器121を備える。なお、図2において、容器121については、便宜上切断面を示している。
【0071】
発振器101は、第1の光源104及び第2の光源107から出力される2波長の光を強度変調するための変調信号を出力する。180°移相回路102は発振器101からの変調信号のうち一方を反転して出力する。
【0072】
駆動回路103は、発振器101からの変調信号を基に第1の光源104を駆動させる。また、駆動回路106は、180°移相回路102で反転された変調信号を基に第2の光源107を駆動させる。第1の光源104は、異なる2波長の光のいずれか一方を駆動回路103からの信号により強度変調して波長λの第1の光を出力し、第2の光源107は、他方の光を駆動回路106からの信号により強度変調して波長λの第2の光を出力する。これにより、第1の光源104及び第2の光源107は、異なる2波長の光のそれぞれを同一周波数で逆位相の信号により電気的に強度変調して出力することができる。また、第1の光源104又は第2の光源107のいずれか一方の光の出射を停止させれば、第1の光源104又は第2の光源107は、異なる2波長の光のうち所定の1波長の光のみを出射することができる。
【0073】
第1の光源104及び第2の光源107は、例えば半導体レーザを適用することができ、ヒーター又はペルチェ素子で加熱又は冷却することにより発生する光の波長を変化させることができる。そして、各々の波長を、例えば一方の光の波長を測定対象とする成分が特徴的な吸収を呈する波長に設定し、他方の光の波長を水が一方の光の波長におけるのと相等しい吸収を呈する波長に設定する。また、本実施形態では、発振器101から矩形波信号を出力することとし、半導体レーザ光源である第1の光源104及び第2の光源107の各々を駆動回路103、106を介して同一周波数で互いに逆位相の矩形波信号により直接変調する。このように、2つの半導体レーザ光源の各々を同一周波数で互いに逆位相の矩形波信号により直接変調することにより、異なる2波長の光を発生し同時に変調することが可能であり、装置構成を簡略化できる。
【0074】
ここで、成分濃度測定装置10は、第1の光源104及び第2の光源107から、2波の光を同一周波数で逆位相の信号によりそれぞれ電気的に強度変調して水に出射し、水から発生する音波の大きさが零となるように2波の光の波長を調整する波長調整手段(不図示)を備えることが望ましい。波長調整手段が2波の光の波長を調整することにより、第1の光源104及び第2の光源107から出射する2波の光の波長を水の吸光度特性が一致する所定の2波長にすることができる。これにより、音波検出部108に伝搬する音波から予め水の吸光度の影響を除去することができる。そのため、成分濃度測定装置10は、被検体又は被測定物の測定対象の成分濃度を算出する際に、水の吸光度成分の補正をする必要がなく、正確に測定することができる。
【0075】
また、成分濃度測定装置10は、第1の光源104及び第2の光源107が水から発生する音波の大きさが零となるように2波の光の光強度を調整することとしてもよい。これにより、第1の光源104及び第2の光源107から出射する2波の光の光強度を略等しくすることができる。そのため、被検体2の測定対象の成分濃度を正確に測定することができる。
【0076】
さらに、成分濃度測定装置10は、第1の光源104及び第2の光源107から、互いに異なる波長の2波の光を同一周波数の2つの信号によりそれぞれ電気的に強度変調して水に出射し、水から発生する音波の大きさが零となるように前記同一周波数の2つの信号の位相を調整することとしてもよい。つまり、本実施形態では、駆動回路103、106から出力される変調信号の一方を所定時間遅延させて変調信号の互いの位相を調整する。このように2つの信号の位相を調整することにより、第1の光源104及び第2の光源107から出射する光を変調する電気信号の位相を互いに逆位相とすることができ、被検体2の測定対象の成分濃度を正確に測定することができる。
【0077】
標準試料123は、第2の光源107からの光が照射される。標準試料123として、被検体2と等価な吸光度、電熱特性、音響特性を示すように調合した生体等価物質を封入する。水分を含んだ軟化ゲル状の試料を例示できる。また、血液成分量を検査済みの血液や血清を封入することもできる。予め生体から採血した血液や当該血液から取得できる血清を例示できる。成分濃度測定装置10では、被検体2の測定対象とする成分に応じて標準試料123を水、血液、血清又は生体等価物質により、成分濃度測定値の補正を行うことができ、被検体2の成分濃度を正確に測定することができる。
【0078】
容器121は、図2及び図5に示すように被検体2及び標準試料123で発生した音波を反射しうる2つの凹状の楕円球面124、125がそれぞれの楕円球面124、125の2つの焦点のいずれか一方を共通焦点132にして配置されている。また、本実施形態では、容器121の内部には、被検体2の音響インピーダンスの音響整合物質を満たしており、容器121の開口部側には、被検体2、音波検出部108及び標準試料123を配置できるように蓋120を設けている。また、蓋120に配置される被検体2、音波検出部108及び標準試料123は、被検体2を第1の焦点131に、標準試料123を第2の焦点133に、音波検出部108を共通焦点132にそれぞれ配置される。
【0079】
また、図6に、容器の他の形態を示す。
【0080】
図6に示す容器122は、3つの凹状の楕円球面126、127、128がそれぞれの楕円球面126、127、128の2つの焦点のいずれか一方を共通焦点134にして配置されている。そして、第1の焦点137に被検体2を配置し、第2の焦点135に標準試料151及び第3の焦点136に標準試料152をそれぞれ配置している。このように配置し、図2に示す第2の光源107からの光をそれぞれ標準試料151、152に照射するか、或いは第2の光源107からの光を交互に標準試料151、152に照射することにより、異なる2つの標準試料を基にした補正が可能となる。
【0081】
図2の音波検出部108は、第1の光源104からの光により被検体2で発生する音波及び第2の光源107からの光により標準試料123で発生する音波を同一の位置で検出する。本実施形態では、音波検出部108を同一の位置として、楕円球面124、125を有する容器121の共通焦点132に配置して音波を検出することとしたため、楕円球面124、125の性質上、第1の焦点131及び第2の焦点133で発生した音波141、142を共通焦点132に集音することができる。そのため、成分濃度測定装置10では、音波検出部108により音波の検出漏れを減少して高感度に音波を検出することができ、被検体2の成分濃度を正確に測定することができる。また、本実施形態では、音波検出部108を共通焦点132に配置することとしたため、被検体2及び標準試料123から略等距離の位置に配置されることとなる。そのため、被検体2及び標準試料123で発生した音波141、142の伝搬距離に対する減衰が略同一となるため、音波の減衰に伴う成分濃度測定の測定誤差を生じさせることがない。さらに、容器121の内部には、被検体2の音響インピーダンスの音響整合物質を満たしているため、被検体2から発生する音波141の伝達効率を向上させることができる。そのため、音波の伝搬距離による減衰を減少させて音波検出部108により高感度に音波を検出することができ、被検体2の成分濃度を正確に測定することができる。なお、本実施形態では、音波検出部108は、同一の位置として共通焦点132に配置して音波を検出するが、被検体2で発生する音波141及標準試料123で発生する音波142を同時に検出できれば、いずれの位置で検出することとしてもよい。
【0082】
前置増幅部109は、音波検出部108からの音波を増幅して出力する。位相検波増幅部110は、前置増幅部109からの電気信号を発振器101からの変調信号により同期検波し、音圧に比例する電気信号を出力する。このように、音波を変調周波数に同期した同期検波により検出することにより、音波を高精度に検出することができる。
【0083】
成分濃度算出部111は、音波検出部108で検出され前置増幅部109及び位相検波増幅部110を介して出力される音波の大きさの時間変化を記憶しておき、後述する数式により成分濃度を算出する。成分濃度測定装置10は、後述するように、成分濃度算出部111において音波強度の時間変化を記録することができるため、音波強度の記録値に基づいて成分濃度測定値の補正を行うことができ、被検体2の測定対象の成分濃度を正確に測定することができる。
【0084】
以上説明したように、成分濃度測定装置10は、音波検出部108が同一の位置で音波を検出することから、第1の光源104及び第2の光源107からの光を照射される被検体2と標準試料123との二つの物質で発生する音波の大きさの差を同時に検出することができる。そのため、後述するように、光を照射される被検体2における標準試料123の成分の経時変化を補正することができる。また、光を照射される被検体2における測定対象以外としての標準試料123の成分の影響を補正することもできる。さらに、音波検出部108が同一の位置で音波を検出することから、音波検出部108の個体差による音波の測定誤差が伴うことがない。従って、成分濃度測定装置10は、二つの物質をそれぞれ別々に測定して記録後に補正することと比較して、被検体2の成分濃度を正確に測定することができる。
【0085】
次に、本実施形態に係る成分濃度測定装置10の成分濃度測定の動作を図2を参照して説明する。
【0086】
成分濃度測定装置10は、波長調整手順及び位相調整手順として、以下の動作を行なう。
【0087】
まず、図2の被検体2に代えて、被測定物としての水を第1の焦点131に配置し、標準試料123として水を第2の焦点133に配置する。そして、駆動回路103は、発振器101からの変調信号に同期して第1の光源104を駆動する信号を出力する。また、駆動回路106は、180°移相回路102を介した変調信号に同期して第2の光源107を駆動させる信号を出力する。第1の光源104は、駆動回路103からの信号により光を電気的に強度変調して出力し、第2の光源107は、駆動回路106からの信号により光を電気的に強度変調して出力する。音波検出部108は、第1の光源104及び第2の光源107からの光により、第1の焦点131及び第2の焦点133に配置された水から発生する音波を検出する。
【0088】
このように検出した音波に基づいて、第1の光源104及び第2の光源107は、互いの光の波長を音波が零となるように調整する。また、駆動回路103、106は、第1の光源104及び第2の光源107に出力する信号の互いの位相を音波が零となるように調整することもできる。また、第1の光源104及び第2の光源107は、互いの光の光強度を音波が零となるように調整することもできる。このように、水から発生する音波の大きさが零となるように2波の光の波長を調整することにより、第1の光源104及び第2の光源107から出射する2波の光の波長を水の吸光度特性が一致する所定の2波長にすることができる。また、水から発生する音波の大きさが零となるように駆動回路103、106からの同一周波数の信号の位相を調整することにより、第1の光源104及び第2の光源107から出射する光を変調する電気信号の位相を互いに逆位相とすることができる。さらに、音波の大きさが零となるように2波の光の光強度を調整することにより、第1の光源104及び第2の光源107から出射する2波の光の光強度を略等しくすることができる。そのため、成分濃度測定装置10は、被検体2の測定対象の成分濃度を正確に測定することができる。
【0089】
以上のように第1の光源104、第2の光源107、駆動回路103、106の動作状態を調整した後に、成分濃度測定装置10は、第1音波検出手順として、以下の動作を行なう。
【0090】
図2の被検体2に代えて被測定物としての生体等価物質を第1の焦点131に配置し、第1の焦点131に配置した生体等価物質と同一の生体等価物質を第2の焦点133に配置した場合の実施形態について説明する。
【0091】
第1の焦点131に生体等価物質を配置し、第2の焦点133に第1の焦点131に配置した生体等価物質と同一の生体等価物質を配置した後、駆動回路103は、発振器101からの変調信号に同期して第1の光源104を駆動する信号を出力する。また、駆動回路106は、180°移相回路102を介した変調信号に同期して第2の光源107を駆動させる信号を出力する。ここで、駆動回路103から出力される信号と駆動回路106から出力される信号とは、互いに反転している。第1の光源104は、駆動回路103からの信号により光を電気的に強度変調して出力し、第2の光源107は、駆動回路106からの信号により光を電気的に強度変調して出力する。音波検出部108は、第1の光源104及び第2の光源107からの光により、第1の焦点131及び第2の焦点133に配置された生体等価物質から発生する音波を同一の位置で検出する。
【0092】
ここで、音波検出部108は、第1の焦点131及び第2の焦点133に配置された生体等価物質から発生し、容器121内の楕円球面124、125で反射した音波を検出する。そのため、楕円の性質上、第1の焦点131及び第2の焦点133で発生した音波を共通焦点132に集音させることができる。そのため、音波検出部108は、音波の検出漏れを減少させて高感度に音波を検出することができる。本実施形態に係る成分濃度測定方法では、被測定物としての生体等価物質の成分濃度を正確に測定することができる。また、本実施形態では、音波検出部108を共通焦点132に配置することとしたため、被測定物としての生体等価物質及び標準試料123としての生体等価物質から略等距離の位置に配置されることとなる。そのため、被測定物としての生体等価物質及び標準試料123としての生体等価物質で発生した音波141、142の伝搬距離に対する減衰が略同一となるため、音波の減衰に伴う成分濃度測定の測定誤差を生じさせることがない。さらに、容器121の内部に被測定物としての生体等価物質の音響インピーダンスの音響整合物質を満たすこととすると、被測定物としての生体等価物質から発生する音波141の伝達効率を向上させることができる。そのため、音波の伝搬距離による減衰を減少させて音波検出部108により高感度に音波を検出することができ、被検体2の成分濃度を正確に測定することができる。
【0093】
成分濃度算出部111は、音波検出部108で検出され、前置増幅部109で増幅され、位相検波増幅部110で検波された音波の大きさの時間変化を記録する。生体等価物質は、前述したように、被検体2と等価な吸光度、電熱特性、音響特性を示すように調合した物質であるため、例えば、生体等価物質から発生する音波の、光の照射による生体等価物質の温度変化に伴う経時変化が被検体2と等価である。そのため、本実施形態のように、音波強度の時間変化を記録すれば、音波強度の記録値に基づいて成分濃度測定値の補正を行うことができる。つまり、生体等価物質から発生する音波の時間変化を記録した後に、生体等価物質に代えて被検体2を第1の焦点131及び第2の焦点133に配置して、第1の光源104及び第2の光源107から光を照射して音波を検出し、成分濃度算出部111において音波の大きさ記録する。その後、被検体2で発生した音波から生体等価物質で発生した音波の時間変化を差分した音波として補正することができる。
【0094】
また別の形態として、図2の被検体2に代えて被測定物としての血液を第1の焦点131に配置し、第1の焦点131に配置した血液と同一の血液を第2の焦点133に配置し、上記第1音波検出手順と同様の手順を行うこととしてもよい。第1の焦点131及び第2の焦点133に配置した血液で発生する音波の音波強度の時間変化を記録すれば、音波強度の記録値に基づいて成分濃度測定値の補正を行うことができる。つまり、血液から発生する音波の時間変化は、第1の光源104及び第2の光源107からの光に対する血液の吸光度差として記録できる。そのため、吸光度差を記録した後に、血液に代えて被検体2を第1の焦点131及び第2の焦点133に配置して、第1の光源104及び第2の光源107から光を照射して音波を検出し、成分濃度算出部111において音波の大きさ記録する。その後、被検体2で発生した音波から血液での吸光度差を差分した音波として補正することができる。
【0095】
なお、容器121に代えて図6に示す容器122を用いると、上記2つの実施形態における生体等価物質及び血液をそれぞれ第2の焦点135及び第3の焦点136に配置し第2の焦点135及び第3の焦点136に配置した標準試料151、152に第2の光源107からの光を交互に照射することにより、標準試料の配置を換えることなく生体等価物質及び血液を基にした補正が可能となる。
【0096】
このように、本実施形態に係る成分濃度測定方法では、音波検出部108が同一の位置で音波を検出することから、第1の光源104からの光を照射される被測定物としての生体等価物質や血液、及び第2の光源107からの光を照射される標準試料としての生体等価物質や血液の二つの物質で発生する音波の大きさの差を同時に検出することができる。そのため、光を照射される被検体2における生体等価物質や血液の成分の経時変化を補正することができる。また、光を照射される被検体2における測定対象以外の成分である生体等価物質や血液の成分の影響を補正することもできる。さらに、音波検出部108が同一の位置で音波を検出することから、音波検出部108の個体差による音波の測定誤差が伴うことがない。従って、本実施形態に係る成分濃度測定方法では、二つの物質をそれぞれ別々に測定して記録後に補正することと比較して、被検体2の成分濃度を正確に測定することができる。
【0097】
また、上記第1音波検出手順の後に、第1音波検出手順における標準試料としての生体等価物質又は血液と同一の標準試料、及び第1音波検出手順における被測定物としての生体等価物質又は血液と同一の被測定物について、上記第1音波検出手順を1度以上行うことが望ましい。同一の被測定物に対して成分濃度測定を繰り返し行うため、同一の被測定物としての生体等価物質又は血液の成分濃度の状態の測定毎の経時変化を把握することができる。
【0098】
また、上記第1音波検出手順の後に、第1音波検出手順における標準試料としての生体等価物質又は血液と異なる標準試料、及び第1音波検出手順における被測定物としての生体等価物質又は血液と同一の被測定物について、上記第1音波検出手順を1度以上行うことが望ましい。異なる標準試料に対して成分濃度測定を繰り返し行うため、被測定物としての生体等価物質又は血液の個体差を把握することができる。
【0099】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る成分濃度測定装置について説明する。
【0100】
図3に本実施の形態の成分濃度測定装置の概略構成図を示す。図3において、第1実施形態と同様の構成部分については構成要素符号を同一とした。また、構成要素符号が同一の2以上の構成要素には、例えば、第1の光源104a、104bのように異なる英語符号を付した。
【0101】
本実施形態に係る成分濃度測定装置11は、図2に示す成分濃度測定装置10における第2の光源107に代えて、第1の光源104と同一波長の光を出射する形態である。従って、成分濃度測定装置11は、駆動回路103からの信号により電気的に強度変調された第1の光源104aからの光を被検体2に照射し、駆動回路106からの信号により電気的に強度変調された第1の光源104bからの光を標準試料123に照射する。なお、駆動回路103からの信号と駆動回路106からの信号とは、互いに逆位相である。
【0102】
ここで、成分濃度測定装置11は、第1の光源104a及び第1の光源104bから同一波長の2波の光を同一周波数の2つの信号によりそれぞれ電気的に強度変調して水に出射し、水から発生する音波の大きさが零となるように前記同一周波数の2つの信号の位相を調整することが望ましい。つまり、本実施形態では、駆動回路103、106から出力される変調信号の一方を所定時間遅延させて変調信号の互いの位相を調整する。このように2つの信号の位相を調整することにより、第1の光源104a及び第1の光源104bから出射する光を変調する電気信号の位相を互いに逆位相とすることができ、被検体2の測定対象の成分濃度を正確に測定することができる。
【0103】
成分濃度測定装置11は、音波検出部108が同一の位置で音波を検出することから、第1の光源104a及び第1の光源104bからの光を照射される被検体2と標準試料123との二つの物質で発生する音波の大きさの差を同時に検出することができる。そのため、後述するように、光を照射される被検体2における標準試料123の成分の経時変化を補正することができる。また、光を照射される被検体2における測定対象以外としての標準試料123の成分の影響を補正することもできる。さらに、音波検出部108が同一の位置で音波を検出することから、音波検出部108の個体差による音波の測定誤差が伴うことがない。従って、成分濃度測定装置11は、二つの物質をそれぞれ別々に測定して記録後に補正することと比較して、被検体2の成分濃度を正確に測定することができる。
【0104】
次に、本実施形態に係る成分濃度測定装置11の成分濃度測定の動作を図3を参照して説明する。
【0105】
成分濃度測定装置11は、波長調整手順及び位相調整手順として、以下の動作を行なう。
【0106】
まず、図3の被検体2に代えて、被測定物としての水を第1の焦点131に配置し、標準試料123として水を第2の焦点133に配置する。そして、駆動回路103は、発振器101からの変調信号に同期して第1の光源104aを駆動する信号を出力する。また、駆動回路106は、180°移相回路102を介した変調信号に同期して第1の光源104bを駆動させる信号を出力する。第1の光源104aは、駆動回路103からの信号により光を電気的に強度変調して出力し、第1の光源104bは、駆動回路106からの信号により光を電気的に強度変調して出力する。音波検出部108は、第1の光源104a及び第1の光源104bからの光により、第1の焦点131及び第2の焦点133に配置された水から発生する音波を検出する。
【0107】
このように検出した音波に基づいて、第1の光源104a及び第1の光源104bは、互いの光の波長を音波が零となるように調整する。また、駆動回路103、106は、第1の光源104a及び第1の光源104bに出力する信号の互いの位相を音波が零となるように調整することもできる。また、第1の光源104a及び第1の光源104bは、互いの光の光強度を音波が零となるように調整することもできる。このように、水から発生する音波の大きさが零となるように2波の光の波長を調整することにより、第1の光源104a及び第1の光源104bから出射する2波の光の波長を同一にすることができる。また、水から発生する音波の大きさが零となるように駆動回路103、106の同一周波数の信号の位相を調整することにより、第1の光源104a及び第1の光源104bから出射する光を変調する電気信号の位相を互いに逆位相とすることができる。さらに、音波の大きさが零となるように2波の光の光強度を調整することにより、第1の光源104a及び第1の光源104bから出射する2波の光の光強度を略等しくすることができる。そのため、成分濃度測定装置11は、被検体2の測定対象の成分濃度を正確に測定することができる。
【0108】
以上のように第1の光源104a、第1の光源104b、駆動回路103、106の動作状態を調整した後に、成分濃度測定装置11は、第1音波検出手順として、以下の動作を行なう。
【0109】
図3の被検体2を第1の焦点131に配置し、標準試料123としての水を第2の焦点133に配置した場合の実施形態について説明する。
【0110】
第1の焦点131に被検体2を配置し、第2の焦点133に標準試料123としての水を配置した後、駆動回路103は、発振器101からの変調信号に同期して第1の光源104aを駆動する信号を出力する。また、駆動回路106は、180°移相回路102を介した変調信号に同期して第1の光源104bを駆動させる信号を出力する。ここで、駆動回路103から出力される信号と駆動回路106から出力される信号とは、互いに反転している。第1の光源104aは、駆動回路103からの信号により光を電気的に強度変調して出力し、第1の光源104bは、駆動回路106からの信号により光を電気的に強度変調して出力する。音波検出部108は、第1の光源104a及び第1の光源104bからの光により、第1の焦点131に配置された被検体2及び第2の焦点133に配置された標準試料123としての水から発生する音波を同一の位置で検出する。
【0111】
なお、本実施形態においても、音波検出部108は、第1の焦点131に配置された被検体2及び第2の焦点133に配置された標準試料123としての水から発生し、容器121内の楕円球面124、125で反射した音波を検出するため、前述の第1実施形態で説明したように、楕円の性質上、第1の焦点131及び第2の焦点133で発生した音波を共通焦点132に集音させることができるため、音波の検出漏れを減少させて高感度に音波を検出することができ、被検体2の成分濃度を正確に測定することができる。また、音波検出部108を共通焦点132に配置することとしたため、被検体2及び標準試料123から略等距離の位置に配置されることとなる。そのため、被検体2及び標準試料123としての水で発生した音波141、142の伝搬距離に対する減衰が略同一となるため、音波の減衰に伴う成分濃度測定の測定誤差を生じさせることがない。さらに、容器121の内部に被検体2の音響インピーダンスと同一の音響整合物質を満たすこととすると、被検体2から発生する音波141の伝達効率を向上させることができる。そのため、音波の伝搬距離による減衰を減少させて音波検出部108により高感度に音波を検出することができ、被検体2の成分濃度を正確に測定することができる。
【0112】
成分濃度算出部111は、音波検出部108で検出され、前置増幅部109で増幅され、位相検波増幅部110で検波された音波の大きさの時間変化を記録する。本実施形態のように、音波強度の時間変化を記録すれば、音波強度の記録値に基づいて成分濃度測定値の補正を行うことができる。被検体2で発生した音波から水で発生した音波の時間変化を差分した音波として補正することができる。
【0113】
ここで、被検体2からの音波s及び標準試料123としての水からの音波sは、被検体2及び水の物質成分が異なるため、互いに異なった値として発生する。この音波s及び音波sは、数式(4)で表せる。
【0114】
【数4】

【0115】
数式(4)は、第1の光源104a及び第1の光源104bからの光の波長が等しいことから数式(1)においてα(w)=α(w)とし、標準試料123を水としたことからα(g)=0としたものと等しい。そのため、数式(2)において、α(w)=α(w)とし、α(g)=0として、別途第1の光源104bからの光のみにより発生する音波sを検出すれば、成分濃度Mを測定することができる。
【0116】
また他の形態として、図3の標準試料123としての水に代えて標準試料123としての生体等価物質とし、上記第1音波検出手順を行うこととしてもよい。この場合、第1の光源104bからの光により標準試料123としての生体等価物質から発生する音波s1t
、第1の光源104aからの光により被検体2から発生する音波s1h、数式(5)と表せる。
【0117】
【数5】

【0118】
ここで、数式(5)から数式(5)内のCを消去すると、数式(6)と表せ、成分濃度Mを算出することができる。
【0119】
【数6】

【0120】
なお、本実施形態において、数式(6)におけるα(w)の変化は1℃で1%にも満たず、また測定部位がレーザによる加温で5度以上変化することはないので、成分濃度の測定精度として問題は生じないと考えられる。
【0121】
なお、容器121に代えて図6に示す容器122を用いると、上記2つの実施形態における標準試料としての水及び生体等価物質をそれぞれ第2の焦点135及び第3の焦点136に配置し第2の焦点135及び第3の焦点136に配置した標準試料151、152に第1の光源104bからの光を交互に照射することにより、標準試料の配置を換えることなく水及び生体等価物質を基にした補正が可能となる。
【0122】
このように、本実施形態に係る成分濃度測定方法では、音波検出部108が同一の位置で音波を検出することから、第1の光源104a及び第1の光源104bからの光を照射され被検体2及び標準試料123としての水の二つの物質で発生する音波の大きさの差を同時に検出することができる。そのため、光を照射される被検体2における水分や生体等価物質の成分の経時変化を補正することができる。光を照射される被検体2における測定対象以外の成分としての水分や生体等価物質の成分の影響を補正することもできる。また、光を照射される被検体2における経時変化を補正することができる。さらに、音波検出部108が同一の位置で音波を検出することから、音波検出部108の個体差による音波の測定誤差が伴うことがない。従って、本実施形態に係る成分濃度測定方法では、二つの物質をそれぞれ別々に測定して記録後に補正することと比較して、被検体2の成分濃度を正確に測定することができる。
【0123】
また、標準試料123を例えば被検体2から予め採取した血液とし、上記第1音波検出手順を行った後に、第1音波検出手順における標準試料としての血液と同一の標準試料123、及び第1音波検出手順における被検体2と同一の被検体2について、上記第1音波検出手順を1度以上行うことが望ましい。同一の被検体2に対して成分濃度測定を繰り返し行うため、同一の被検体2の成分濃度の状態の測定毎の経時変化を把握することができる。
【0124】
また、標準試料123を例えば被検体2から予め採取した血液とし、上記第1音波検出手順の後に、第1音波検出手順における標準試料123としての血液と異なる標準試料、及び第1音波検出手順における被検体2と同一の被検体2について、上記第1音波検出手順を1度以上行うことが望ましい。異なる標準試料123に対して成分濃度測定を繰り返し行うため、被検体2の個体差を把握することができる。
【0125】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る成分濃度測定装置について説明する。
【0126】
図4に本実施の形態の成分濃度測定装置の概略構成図を示す。図4において、第1実施形態と同様の構成部分については構成要素符号を同一とした。また、構成要素符号が同一の2以上の構成要素には、例えば、第1の光源104a、104bのように異なる英語符号を付した。
【0127】
本実施形態に係る成分濃度測定装置12は、図2に示す成分濃度測定装置10における第1の光源104からの光にさらに第1の光源104からの光の波長と異なる波長の光を合波し、成分濃度測定装置10における第2の光源107からの光にさらに第2の光源107からの光の波長と異なる波長の光を合波した形態である。従って、成分濃度測定装置12は、駆動回路103、106及び180°移相回路102により互いに逆位相の信号により電気的に強度変調された第1の光源104aからの光及び第2の光源107aからの光を被検体2に照射し、駆動回路103、106及び180°移相回路102により互いに逆位相の信号により電気的に強度変調された第1の光源104bからの光及び第2の光源107bからの光を標準試料123に照射する。
【0128】
また、成分濃度測定装置12は、第1の光源104aからの光及び第2の光源107aからの光を合波部105aで合波して被検体2に照射する。また、第1の光源104bからの光及び第2の光源107bからの光を合波部105bで合波して標準試料123に照射する。合波部105aは、第1の光源104aからの光及び第2の光源107aからの光を例えばハーフミラーにより合波して被検体2に向けて出射する。また、合波部105bは、第1の光源104bからの光及び第2の光源107bからの光を例えばハーフミラーにより合波して標準試料123に向けて出射する。
【0129】
なお、本実施形態では、発振器101、駆動回路103、106、第1の光源104a及び第1の光源104bにより測定光変調手段としての機能を有する。また、発振器101、180°移相回路102、駆動回路103、106、第2の光源107a及び第2の光源107bにより参照光変調手段としての機能を有する。さらに合波部105a、105bにより合波光出射手段としての機能を有する。
【0130】
ここで、成分濃度測定装置12は、第1の光源104a及び第2の光源107aから2波の光を同一周波数で逆位相の信号によりそれぞれ電気的に強度変調して合波して水に出射し、第1の光源104b及び第2の光源107bから2波の光を同一周波数で逆位相の信号によりそれぞれ電気的に強度変調して合波して水に出射し、それぞれ水から発生する音波の大きさが零となるようにそれぞれの2波の光の波長する波長調整手段(不図示)を備えることが望ましい。波長調整手段が波長を調整することにより、第1の光源104a及び第2の光源107aから出射する2波の光及び第1の光源104b及び第2の光源107bから出射する2波の光の波長を水の吸光度特性が一致する所定の2波長にすることができる。これにより、音波検出部108に伝搬する音波から予め水の吸光度の影響を除去することができる。そのため、成分濃度測定装置12は、被検体又は被測定物の測定対象の成分濃度を算出する際に、水の吸光度成分の補正をする必要がなく、正確に測定することができる。
【0131】
また、成分濃度測定装置12は、水から発生する音波の大きさが零となるように2波の光の光強度を調整することとしてもよい。これにより、第1の光源104a及び第2の光源107aから出射する2波の光及び第1の光源104b及び第2の光源107bから出射する2波の光の光強度をそれぞれ略等しくすることができる。そのため、被検体2の測定対象の成分濃度を正確に測定することができる。
【0132】
また、成分濃度測定装置12は、第1の光源104a及び第2の光源107aから互いに異なる波長の2波の光を同一周波数の2つの信号によりそれぞれ電気的に強度変調して水に出射し、第1の光源104b及び第2の光源107bから互いに異なる波長の2波の光を同一周波数の信号によりそれぞれ電気的に強度変調して合波して水に出射し、それぞれ水から発生する音波の大きさが零となるように前記同一周波数の2つの信号の位相を調整することとしてもよい。つまり、本実施形態では、駆動回路103、106から出力される変調信号の一方を所定時間遅延させて変調信号の互いの位相を調整する。このように2つの信号の位相を調整することにより、第1の光源104a及び第2の光源107aから出射する2波の光を変調する電気信号の位相及び第1の光源104b及び第2の光源107bから出射する2波の光を変調する電気信号の位相を互いに逆位相とすることができ、被検体2の測定対象の成分濃度を正確に測定することができる。
【0133】
成分濃度測定装置12は、音波検出部108が同一の位置で音波を検出することから、第1の光源104a及び第2の光源107aからの混合光を照射される被検体2と第1の光源104b及び第2の光源107bからの混合光を照射される標準試料123との二つの物質で発生する音波の大きさの差を同時に検出することができる。そのため、後述するように、光を照射される被検体2における標準試料123の成分の経時変化を補正することができる。また、光を照射される被検体2における測定対象以外としての標準試料123の成分の影響を補正することもできる。さらに、音波検出部108が同一の位置で音波を検出することから、音波検出部108の個体差による音波の測定誤差が伴うことがない。従って、成分濃度測定装置12は、二つの物質をそれぞれ別々に測定して記録後に補正することと比較して、被検体2の成分濃度を正確に測定することができる。
【0134】
次に、本実施形態に係る成分濃度測定装置12の成分濃度測定の動作を図4を参照して説明する。成分濃度測定装置12は、波長調整手順及び位相調整手順として、以下の動作を行なう。
【0135】
まず、図4の被検体2に代えて、被測定物としての水を第1の焦点131に配置し、標準試料123として水を第2の焦点133に配置する。そして、駆動回路103は、発振器101からの変調信号に同期して第1の光源104a及び第2の光源107bを駆動する信号を出力する。また、駆動回路106は、180°移相回路102を介した変調信号に同期して第1の光源104b及び第2の光源107aを駆動させる信号を出力する。第1の光源104a、104bは、駆動回路103、106からの信号により光を電気的に強度変調して出力し、第2の光源107a、107bは、駆動回路103、106から180°移相回路102を介した信号により光を電気的に強度変調して出力する。音波検出部108は、第1の光源104a及び第2の光源107aからの混合光及び第1の光源104b及び第2の光源107bからの混合光により、第1の焦点131及び第2の焦点133に配置された水から発生する音波を検出する。
【0136】
このように検出した音波に基づいて、第1の光源104a、104b及び第2の光源107a、107bでの光の波長を音波が零となるように調整する。また、駆動回路103、106は、第1の光源104a、104b及び第2の光源107a、107bに出力する信号の互いの位相を音波が零となるように調整することもできる。また、第1の光源104a、104b及び第2の光源107a、107bは、互いの光の光強度を音波が零となるように調整することもできる。このように、水から発生する音波の大きさが零となるように2波の光の波長を調整することにより、第1の光源104a、104b及び第2の光源107a、107bから出射する2波の光の波長を予め互いに水の吸光度特性が一致する所定の2波長にすることができる。また、水から発生する音波の大きさが零となるように駆動回路103、106からの同一周波数の信号の位相を調整することにより、第1の光源104a、104b及び第2の光源107a、107bから出射する光を変調する電気信号の位相を互いに逆位相とすることができる。さらに、音波の大きさが零となるように2波の光の光強度を調整することにより、第1の光源104a、104b及び第2の光源107a、107bから出射する2波の光の光強度を略等しくすることができる。そのため、成分濃度測定装置12は、被検体2の測定対象の成分濃度を正確に測定することができる。
【0137】
以上のように第1の光源104a、104b、第2の光源107a、107b、駆動回路103、106の動作状態を調整した後に、成分濃度測定装置12は、第2音波検出手順として、以下の動作を行なう。
【0138】
図4の被検体2を第1の焦点131に配置し、標準試料123としての血液を第2の焦点133に配置した場合の実施形態について説明する。
【0139】
第1の焦点131に被検体2を配置し、第2の焦点133に標準試料123としての血液を配置した後、駆動回路103は、発振器101からの変調信号に同期して第1の光源104a及び第2の光源107bを駆動する信号を出力する。また、駆動回路106は、180°移相回路102を介した変調信号に同期して第1の光源104b及び第2の光源107aを駆動させる信号を出力する。ここで、駆動回路103から出力される信号と駆動回路106から出力される信号とは、互いに反転している。第1の光源104aは、駆動回路103からの信号により光を電気的に強度変調して出力し、第2の光源107aは、駆動回路106から180°移相回路102を介した信号により光を電気的に強度変調して出力する。また、第2の光源107bは、駆動回路103からの信号により光を電気的に強度変調して出力し、第1の光源104bは、駆動回路106から180°移相回路102を介した信号により光を電気的に強度変調して出力する。音波検出部108は、第1の光源104a及び第2の光源107aからの混合光及び第1の光源104b及び第2の光源107bからの混合光により、第1の焦点131に配置された被検体2及び第2の焦点133に配置された標準試料123としての血液から発生する音波を同一の位置で検出する。
【0140】
なお、本実施形態においても、音波検出部108は、第1の焦点131に配置された被検体2及び第2の焦点133に配置された標準試料123としての血液から発生し、容器121内の楕円球面124、125で反射した音波を検出するため、前述の第1実施形態で説明したように、楕円の性質上、第1の焦点131及び第2の焦点133で発生した音波を共通焦点132に集音させることができるため、音波の検出漏れを減少させて高感度に音波を検出することができ、被検体2の成分濃度を正確に測定することができる。また、音波検出部108を共通焦点132に配置することとしたため、被検体2及び標準試料123から略等距離の位置に配置されることとなる。そのため、被検体2及び標準試料123としての血液で発生した音波141、142の伝搬距離に対する減衰が略同一となるため、音波の減衰に伴う成分濃度測定の測定誤差を生じさせることがない。さらに、容器121の内部に被検体2の音響インピーダンスと同一の音響整合物質を満たすこととすると、被検体2から発生する音波141の伝達効率を向上させることができる。そのため、音波の伝搬距離による減衰を減少させて音波検出部108により高感度に音波を検出することができ、被検体2の成分濃度を正確に測定することができる。
【0141】
成分濃度算出部111は、音波検出部108で検出され、前置増幅部109で増幅され、位相検波増幅部110で検波された音波の大きさの時間変化を記録する。本実施形態のように、音波強度の時間変化を記録すれば、音波強度の記録値に基づいて成分濃度測定値の補正を行うことができる。つまり、被検体2で発生した音波から血液で発生した音波の時間変化分を補正することができる。
【0142】
ここで、第1の光源104aからの光に対する被検体2の吸収係数がα(w)+M´α(b)(ここで、M´は測定成分以外の成分の未知濃度とその吸光度α(b))、第1の光源104bからの光に対する標準試料123としての血液の吸収係数がα(w)+M´α(b)であり、第2の光源107aからの光に対する被検体2の吸収係数がα(w)+Mα(g)+M´α(b)、第2の光源107bからの光に対する標準試料123としての血液の吸収係数がα(w)+Mα(g)+M´α(b)(Mは既知濃度)となる2つの波長λ及びλを選択すれば、λに対する音波s11と音波s21、λに対する音波s12と音波s22はそれぞれ、数式(7)と表せる。
【0143】
【数7】

【0144】
そのため、被検体2に対しての波長同士の音波の差(s12−s11)と標準試料123としての血液に対しての波長同士の音波の差(s22−s21)を、逆位相に変調してさらに差分することで、α(w)=α(w)という波長条件の下、M´、α(b)、α(b)、α(w)、α(w)を消去することができ、数式(8)と表せる。
【0145】
【数8】

【0146】
そのため、別途第1の光源104aからの光のみにより被検体2から発生する音波s11を検出し、数式(8)を割れば、数式(8)内のCを消去でき、数式(9)と表せる。
【0147】
【数9】

【0148】
ここで、α(w)と比較して、被測定成分以外の成分であるM´α(b)は、無視でき算定精度には影響しないと考えられる。従って、次の数式(10)により成分濃度Mを算出することができる。ここで、前述の第2実施形態においては、被検体に対しての異波長同士の音波の差(s12−s11)から標準試料123としての血液に対して予め記録した異波長同士の音波の差(s22−s21)を差分することで同様に成分濃度Mを算出することができる。
【0149】
【数10】

【0150】
また他の形態として、図4の標準試料123としての血液に代えて標準試料123としての生体等価物質とし、上記第2音波検出手順を行うこととしてもよい。この場合、第1の光源104bからの光により標準試料123としての生体等価物質から発生する音波s1t、第2の光源107bからの光により標準試料123としての生体等価物質から発生する音波s2t、第1の光源104aからの光により被検体2から発生する音波s1h及び第2の光源107aからの光により被検体2から発生する音波s2hは、数式(11)とそれぞれ表せる。
【0151】
【数11】

【0152】
数式(11)によると、水の吸光度の温度依存性が二つの波長で異なるため、α(w)(t)を消去できない。この場合に、温度に対して、α(w)(t)とα(w)(t)の差は増加し、グルコース濃度の算定精度に問題が生じることとなる。そこで、被検体2に対しての波長同士の音波の差(s1h−s2h)と標準試料123としての生体等価物質に対しての波長同士の音波の差(s1t−s2t)を、逆位相に変調してさらに差分することで、α(w)(t)とα(w)(t)を消去することができ、数式(12)と表せる。
【0153】
【数12】

【0154】
そのため、別途第1の光源104bからの光のみにより生体等価物質から発生する音波s1tを検出し、数式(12)を割れば、数式(12)内のCを消去でき、数式(13)と表せ成分濃度Mを算出することができる。
【0155】
【数13】

【0156】
なお、数式(13)においてα(w)の変化は1℃で1%にも満たず、また測定部位がレーザによる加温で5度以上変化することはないので、成分濃度の測定精度として問題は生じないと考えられる。ここで、前述の第2実施形態においては、被検体に対しての異波長同士の音波の差(s1h−s2h)から被測定物及び標準試料123としての生体等価物質に対しての異波長同士の音波の差(s1t−s2t)を差分することで、同様に成分濃度Mを算出することができる。
【0157】
なお、容器121に代えて図6に示す容器122を用いると、上記2つの実施形態における標準試料123としての血液及び生体等価物質をそれぞれ第2の焦点135及び第3の焦点136に配置して第1の光源104b及び第2の光源107bからの混合光を交互に標準試料151、152に照射することにより、標準試料の配置を換えることなく血液及び生体等価物質を基にした補正が可能となる。
【0158】
このように、本実施形態に係る成分濃度測定方法では、音波検出部108が同一の位置で音波を検出することから、第1の光源104a及び第2の光源107aからの混合光を照射される被検体2と第1の光源104b及び第2の光源107bからの混合光を照射される標準試料123との二つの物質で発生する音波の大きさの差を同時に検出することができる。そのため、光を照射される被検体2における血液や生体等価物質の成分の経時変化を補正することができる。また、光を照射される被検体2における測定対象以外としての血液や生体等価物質の成分の影響を補正することもできる。さらに、音波検出部108が同一の位置で音波を検出することから、音波検出部108の個体差による音波の測定誤差が伴うことがない。従って、成分濃度測定装置12は、二つの物質をそれぞれ別々に測定して記録後に補正することと比較して、被検体2の成分濃度を正確に測定することができる。
【0159】
また、標準試料123を例えば被検体2から予め採取した血液とし、上記第2音波検出手順を行った後に、第2音波検出手順における標準試料123としての血液と同一の標準試料123、及び第2音波検出手順における被検体2と同一の被検体2について、上記第2音波検出手順を1度以上行うことが望ましい。同一の被検体2に対して成分濃度測定を繰り返し行うため、同一の被検体2の成分濃度の状態の測定毎の経時変化を把握することができる。
【0160】
また、標準試料123を例えば被検体2から予め採取した血液とし、上記第2音波検出手順の後に、第2音波検出手順における標準試料123としての血液と異なる標準試料、及び第2音波検出手順における被検体2と同一の被検体2について、上記第2音波検出手順を1度以上行うことが望ましい。異なる標準試料に対して成分濃度測定を繰り返し行うため、被検体2の個体差を把握することができる。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明の成分濃度測定装置は、日常の健康管理や美容上のチェックに利用することができる。また、人間ばかりでなく、動物についても健康管理に利用することができる。また、本発明の成分濃度測定装置は、人間や動物だけではなく、液体中の成分濃度を測定する分野、例えば果実の糖度測定にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】常温における水とグルコース水溶液の吸光度特性を示した図である。
【図2】1実施形態に係る成分濃度測定装置の概略構成図である。
【図3】1実施形態に係る成分濃度測定装置の概略構成図である。
【図4】1実施形態に係る成分濃度測定装置の概略構成図である。
【図5】1実施形態に係る容器の上面の概略図である。
【図6】容器の他の形態を示した上面図である。
【図7】従来の光音響法による従来の血液成分濃度測定装置の構成例を示す図である。
【図8】従来の光音響法による従来の血液成分濃度測定装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0163】
2:被検体
10:成分濃度測定装置
11:成分濃度測定装置
12:成分濃度測定装置
101:発振器
102:180°移相回路
103:駆動回路
104:第1の光源
104a、104b:第1の光源
105a、105b:合波部
106:駆動回路
107:第2の光源
107a、107b:第2の光源
108:音波検出部
109:前置増幅部
110:位相検波増幅部
111:成分濃度算出部
120:蓋
121:容器
122:容器
123:標準試料
124:楕円球面
125:楕円球面
126:楕円球面
127:楕円球面
128:楕円球面
131:第1の焦点
132:共通焦点
133:第2の焦点
134:共通焦点
135:第2の焦点
136:第3の焦点
137:第1の焦点
141:音波
142:音波
143:音波
144:音波
145:音波
146:音波
147:音波
151:標準試料
152:標準試料
601:第1の光源
604:駆動回路
605:第2の光源
608:駆動回路
609:合波部
610:被検体
613:超音波検出器
616:パルス光源
617:チョッパ板
618:モータ
619:音響センサ
620:波形観測器
621:周波数解析器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一波長又は互いに異なる波長の2波の光を同一周波数で逆位相の信号によりそれぞれ電気的に強度変調して出射する光出射手段と、
前記光出射手段からの2波の光のうち一方の光を照射される標準試料と、
前記光出射手段からの前記一方の光により前記標準試料から発生する音波、及び前記光出射手段からの他方の光を照射される被検体又は被測定物から前記他方の光により発生する音波を、前記標準試料、及び前記光を照射される前記被検体又は前記被測定物に対して同一の位置で検出する音波検出手段と、
を備える成分濃度測定装置。
【請求項2】
前記光出射手段から前記互いに異なる波長の2波の光がそれぞれ水に出射された状態で前記水から発生する音波の大きさが零となるように前記光出射手段における前記2波の光の波長を調整する波長調整手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の成分濃度測定装置。
【請求項3】
同一波長の2波の光を同一周波数で逆位相の信号により電気的に強度変調して出力する測定光変調手段と、
前記測定変調手段の前記同一波長の2波の光と異なる波長の2波の光を前記測定光変調手段での強度変調する周波数と同一の周波数で逆位相の信号により電気的に強度変調して出力する参照光変調手段と、
前記測定光変調手段からの2波の光及び前記参照光変調手段からの2波の光のうちそれぞれ逆位相同士の2波の光をそれぞれ合波して2つの光を出射する合波光出射手段と、
前記合波光出射手段からの2つの光のうち一方の光が照射される標準試料と、
前記合波光出射手段からの前記一方の光により前記標準試料から発生する音波、及び前記合波光出射手段からの他方の光を照射される被検体又は被測定物から前記他方の光により発生する音波を、前記標準試料、及び前記光を照射される前記被検体又は前記被測定物に対して同一の位置で検出する音波検出手段と、
を備える成分濃度測定装置。
【請求項4】
前記合波光出射手段から前記2つの光がそれぞれ水に出射された状態で前記水から発生する音波の大きさが零となるように前記測定光変調手段及び前記参照光変調手段における前記2波の光の波長を調整する波長調整手段をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の成分濃度測定装置。
【請求項5】
前記音波検出手段は、前記標準試料、及び前記光を照射される前記被検体又は前記被測定物から略等距離の位置に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の成分濃度測定装置。
【請求項6】
前記音波を反射しうる2以上の凹状の楕円球面がそれぞれの前記楕円球面の2つの焦点のいずれか一方を共通するようにして配置された楕円反射体をさらに備え、
前記標準試料は、前記楕円球面の共通の焦点を除く他の焦点に相当する位置に配置され、
前記音波検出手段は、前記標準試料並びに前記楕円球面の前記共通の焦点及び前記他の焦点を除く前記楕円球面の他の焦点に配置される前記被検体又は前記被測定物から発生する音波のうち前記楕円球面で反射する音波を検出するように前記楕円球面の前記共通の焦点に相当する位置に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の成分濃度測定装置。
【請求項7】
前記標準試料、前記光を照射される前記被検体又は前記被測定物、及び前記音波検出手段と前記楕円反射体の前記楕円球面との間を満たし、前記光を照射される前記被検体又は前記被測定物の音響インピーダンスと略等しい音響インピーダンスの音響整合物質をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の成分濃度測定装置。
【請求項8】
前記標準試料が水、血液、血清又は生体等価物質であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の成分濃度測定装置。
【請求項9】
光出射手段が同一波長又は互いに異なる波長の2波の光を同一周波数で逆位相の信号によりそれぞれ電気的に強度変調して出射し、音波検出手段が前記光出射手段からの2波の光のうち一方の光を照射される標準試料から前記一方の光により発生する音波、及び前記光出射手段からの2波の光のうち他方の光を照射される被検体又は被測定物から前記他方の光により発生する音波を、前記標準試料、及び前記光を照射される前記被検体又は前記被測定物に対して同一の位置で検出する第1音波検出手順を備える成分濃度測定方法。
【請求項10】
前記光出射手段が互いに異なる波長の2波の光を同一周波数で逆位相の信号によりそれぞれ電気的に強度変調して水に出射し、前記光出射手段における前記2波の光の波長を調整する波長調整手段が前記水から発生する音波の大きさが零となるように前記2波の光の波長を調整する波長調整手順を前記第1音波検出手順の前にさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の成分濃度測定方法。
【請求項11】
前記第1音波検出手順の後に、前記第1音波検出手順における前記標準試料と同一の標準試料、及び前記第1音波検出手順における前記被検体又は前記被測定物と同一の被検体又は被測定物について、前記第1音波検出手順を1度以上行うことを特徴とする請求項9又は10に記載の成分濃度測定方法。
【請求項12】
前記第1音波検出手順の後に、前記第1音波検出手順における前記標準試料と異なる標準試料、及び前記第1音波検出手順における前記被検体又は前記被測定物と同一の被検体又は被測定物について、前記第1音波検出手順を1度以上行うことを特徴とする請求項9又は10に記載の成分濃度測定方法。
【請求項13】
測定光変調手段が同一波長の2波の光を同一周波数で逆位相の信号により電気的に強度変調して出力し、参照光変調手段が前記測定変調手段の前記同一波長の2波の光と異なる波長の2波の光を前記測定光変調手段での強度変調する周波数と同一の周波数で逆位相の信号により電気的に強度変調して出力し、合波光出射手段が前記測定光変調手段からの2波の光及び前記参照光変調手段からの2波の光のうちそれぞれ逆位相同士の2波の光を合波して2つの光を出射し、音波検出手段が前記合波光出射手段からの2つの光のうち一方の光を照射される標準試料から発生する音波、及び前記合波光出射手段からの2つの光のうち他方の光を照射される被検体又は被測定物から発生する音波を、前記標準試料、及び前記光を照射される前記被検体又は前記被測定物に対して同一の位置で検出する第2音波検出手順を備える成分濃度測定方法。
【請求項14】
前記測定光変調手段が同一波長の2波の光を同一周波数で逆位相の信号により電気的に強度変調して出力し、前記参照光変調手段が前記測定変調手段の前記同一波長の2波の光と異なる波長の2波の光を前記測定光変調手段での強度変調する周波数と同一の周波数で逆位相の信号により電気的に強度変調して出力し、前記合波光出射手段が前記測定光変調手段からの2波の光及び前記参照光変調手段からの2波の光のうちそれぞれ逆位相同士の2波の光を合波して2つの光をそれぞれ水に出射し、前記測定光変調手段及び前記参照光変調手段における前記2波の光の波長をそれぞれ調整する波長調整手段が前記水から発生する音波の大きさが零となるように前記2波の光の波長を調整する波長調整手順を前記第2音波検出手順の前にさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の成分濃度測定方法。
【請求項15】
前記第2音波検出手順の後に、前記第2音波検出手順における前記標準試料と同一の標準試料、及び前記第2音波検出手順における前記被検体又は前記被測定物と同一の被検体又は被測定物について、前記第2音波検出手順を1度以上行うことを特徴とする請求項13又は14に記載の成分濃度測定方法。
【請求項16】
前記第2波検出手順の後に、前記第2音波検出手順における前記標準試料と異なる標準試料及び前記第2音波検出手順における前記被検体又は前記被測定物と同一の被検体又は被測定物について、前記第2音波検出手順を1度以上行うことを特徴とする請求項13又は14に記載の成分濃度測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−259913(P2007−259913A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85615(P2006−85615)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(000102739)エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 (265)
【Fターム(参考)】