説明

成型体、成型体の製造方法、接着剤、および木質ボード

【課題】 本発明の課題は、ウレタン樹脂廃材から製造される再生樹脂の強度高め、外観のよい成型体を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の成型体は、(1)ウレタン樹脂と、(2)ウレタン樹脂分解物と、(3)エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、無水カルボキシ基から選ばれる官能基を2つ以上有する化合物とを混合し、これを熱圧成形して得られる成型体である。このウレタン樹脂、ウレタン樹脂分解物、官能基を2以上有する化合物からなる組成物は、接着剤として用いることができ、特に木質ボードの接着剤として適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン樹脂のリサイクル技術に関し、詳しくはウレタン樹脂を化学的に分解して得られた分解物とウレタン樹脂を用いて製造される成型体、成型体の製造方法、接着剤、およびこの接着剤を用いて製造される木質ボードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウレタン樹脂を含む廃棄物の例として、冷蔵庫、建材、クッション材などが挙げられる。近年、このリサイクルに対する要望が高まっており、これらの廃棄物はそれぞれの分野において再利用が研究されている。しかし、ウレタン樹脂は3次元の網目構造を有する熱硬化性樹脂であるためリサイクルが困難であり、現状は埋め立てや焼却などの処分がされている。
【0003】
ウレタン樹脂をリサイクルする方法として、硬質ウレタンフォームを1mm以下に粉砕し、水乳化型イソシアネートと水をバインダーとして用いて熱圧成形し、圧縮成形部材としてリサイクルする方法が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、ウレタン樹脂はバインダー樹脂と物理的に接着しているだけに過ぎず、得られた成型体の強度もあまり高いものが得られないという欠点があった。
【特許文献1】特開2000−313021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、硬化しているウレタン粉砕物を、バインダーを添加して熱圧成形して得られる成型体の製造にあたり、従来のものよりも高い強度を持つ成型体を提供し、これによる簡便なウレタン樹脂のリサイクル方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
クレームと同様
第1の本発明は、(1)ウレタン樹脂と、(2)ウレタン樹脂を化学的に分解したウレタン分解物と、(3)エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、および無水カルボキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を2つ以上有する化合物とを混合し、反応させることによって得られる成型体である。
【0006】
第2の本発明は、(1)ウレタン樹脂と、(2)ウレタン樹脂を化学的に分解したウレタン分解物と、(3)エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、および無水カルボキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を2つ以上有する化合物とを混合する工程と、
この混合物を加熱加圧して成形する工程とからなる成型体の製造方法である。
【0007】
前記第2の発明において、熱圧成型条件が、温度150℃以上、圧力1MPa以上において、3分以上の成形時間で作られることが好ましい。
【0008】
第3の本発明は、(1)ウレタン樹脂、(2)ウレタン分解物、(3)エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、および無水カルボキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を2つ以上有する化合物を混合して得られる接着剤である。この接着剤は、木質ボード用接着剤として用いるのに適している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ウレタン樹脂を化学的に分解した分解物を接着剤に用い、硬化ウレタン樹脂を固めることによって、従来よりも高強度で外観のよい成型体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明者らは、硬化しているウレタン樹脂粉末をバインダーで接着した成型体または接着剤の製造に当たり、好ましい樹脂を検討した結果、(2)ウレタン樹脂分解物、及び(3)エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、無水カルボキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を2つ以上有する化合物を用いることにより、従来よりも高強度の成型体を得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。このような本発明によれば冷蔵庫、建材、クッション材などの産業資材として使用済みのウレタン樹脂を再利用することができ、廃棄物を減少させ環境に対する負荷を軽減することができるという点でも大変有用である。
【0011】
以下、本発明に係る樹脂組成物の各成分及びウレタン樹脂のリサイクル方法の実施形態について説明する。
(1)ウレタン樹脂
本実施形態で使用するウレタン樹脂は、硬化したウレタン樹脂であり、その材料、形態あるいは用途等において、特に限定されるものではない。具体的には、発泡硬質ウレタン(硬質フォーム)、発泡半硬質ウレタン(半硬質フォーム)、発泡軟質ウレタン(軟質フォーム)、ウレタンエラストマー、RIM成型体等の種類があり、その用途としては、断熱材、構造材、寝具、自動車シート、バンパー、などが上げられる。これらのウレタン樹脂を、あらかじめ5mm以下、好ましくは1mm以下に粉砕し、使用する。またフロンを含有するものは、あらかじめ除去しておくほうが好ましい。
【0012】
(2)ウレタン樹脂分解物
本実施形態におけるウレタン樹脂分解物とは、ウレタン樹脂を化学的に分解、すなわち低分子化させたものである。被分解物であるウレタン樹脂は、ウレタン結合またはウレア結合を構造中に有する高分子である。例えば、硬質ウレタン、軟質ウレタン、半硬質ウレタン、ウレタンエラストマーなどが挙げられる。ヌレート結合を持つイソシアヌレート材も含まれる。このウレタン樹脂分解物を製造する原料であるウレタン樹脂としては、前記(1)のウレタン樹脂と同一のものを用いるのが好ましい。しかしながら、ウレタン原料ポリオールの水酸基価が250mgKOH/g以上のもの使用したウレタン樹脂である硬質ウレタン樹脂を分解した分解物を用いた場合が、分解物中に含まれる官能基の数が多くなるため成型体の強度が向上し好ましい。ウレタン原料ポリオールの水酸基価上限は1024mgKOH/gである。より高い強度を得るためには、ウレタン原料ポリオールが350mgKOH/g以上のものを用いることが望ましい。
【0013】
ウレタン樹脂を化学的に分解すると、分解物中に主には原料に由来した、水酸基を構造中に有する化合物(ポリオール類)及びアミノ基を構造中に有する化合物(アミン類)が生成する。このアミノ基はウレタン原料イソシアネート成分のNCO基がNH基に置換されたものである。より強度の高い成型体を得るために、分解物のアミン価が50mgKOH/g以上250mgKOH/g以下になるよう分解した分解物である事が好ましい。また、分解物の水酸基価が300mgKOH/g以上750mgKOH/g以下、さらに好ましくは400mgKOH/g以上750mgKOH/g以下になるよう分解した分解物であることが望ましい。
【0014】
ウレタン樹脂を化学的に分解する方法は、分解物中に水酸基、アミノ基を生成するものであれば特に方法は問わない。具体的には熱及び分解剤の少なくとも一方を作用させて化学的に分解する方法が挙げられる。
【0015】
熱による分解を行う際には、例えば300℃〜500℃の温度で、常圧もしくは加圧状態下におくことにより行うことができる。このとき窒素置換か、無酸素雰囲気で行われることが望ましい。また、押出機などのスクリューフィーダや炉で行うことができる。
【0016】
また、分解剤を作用させて分解を行う方法について以下に述べる。
分解剤の例としては、アミン類分解剤、ポリオール類分解剤、あるいは加水分解触媒などが挙げられる。その中でも、アミン類分解剤が、分解物中に多くのアミノ基を含有するようになるので、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基およびその無水物との反応が良好になり、高い強度がでるので特に好ましい。
【0017】
前記アミン類分解剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、プロパンジアミン、2−エチルヘキシルアミン、イソプロパノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、エチルアミノエタノール、アミノブタノール、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、n−アミルアミン、イソブチルアミン、メチルジエチルアミン、シクロヘキシルアミン、ピペラジン、ピペリジン、アニリン、トルイジン、ベンジルアミン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、クロロアニリン、ピリジン、ピコリン、N−メチルモルフォリン、エチルモルフォリン、ピラゾールが挙げられる。これらの化合物を2種類以上混合して使用しても問題はない。
【0018】
また、必要に応じてアミン類分解剤に添加剤を加えても良い。添加剤の例としては、水、アルコールポリオールなどの希釈剤や、アルカリ金属、金属錯体などの反応補助剤、無機粒子や有機粒子などの充填材などアミン類分解剤の反応を極端に阻害しないものであれば添加することができる。
【0019】
アミン類分解剤を被分解物であるウレタン樹脂100重量部に対し5重量部以上、より好ましくは10重量部以上用いることが望ましい。上限はウレタン樹脂100重量部に対し100重量部以下、より好ましくは40重量部以下であることが望ましい。
【0020】
これらのアミン類分解剤とウレタン樹脂を分解装置に投入してウレタン分解物を得る。分解装置には、従来知られているどのような分解装置を用いることもできるが、特に加熱・混合・圧縮の同時にできる押出し機を用いるとウレタンを連続で分解できるため望ましい。釜のようなバッチ式で分解を行うと、ウレタンの熱伝導率が悪いため、ウレタンの分解開始時間に大きな差ができてしまう。このため、先に分解した部分はより低分子量に、後に分解したものが高分子量になるため、幅広い分子量を持つ分解物となってしまうのである。分解する際には温度は150℃〜300℃、分解時間はバッチ式で数十分〜数時間、連続式では1〜10分程度で行うことが望ましい。
【0021】
上記ウレタン樹脂分解物中には以下のような成分が含有される。
まず、ウレタン樹脂分解物中に含有されるアミン類としては、原料の4−4’ジフェニルメタンジイソシアネート及びそのポリマー由来のジアミノジフェニルメタン(MDA)及びそのポリマー、トルイレンジイソシアネート(TDI)由来のトルイレンジアミン(TDA)などが主なアミン類として挙げられる。これ以外にも、NDI(1,5−ナフタレンジイソシアネート)、TODI(トリジンジイソシアネート)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、XDI(キシリレンジイソシアネート)、H6XDA(水添MDI)、LDI(リジンジイソシアネート)、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニール)チオホスフェート、TMXDI(テトラメチルキシレンジイソシアネート)、リジンエステルトリイソシアネート、等のイソシアネート基がアミノ基に変換したアミン類や、ポリオールと反応させたプレポリマーの末端がアミノ基に変換したものも挙げられる。
【0022】
ウレタン樹脂分解物中ポリオール類としては、ウレタン樹脂原料として一般的に使用されているポリオールが挙げられ、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオールに大別される。エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトールエチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、スークロース、糖類などにプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド等を付加反応させたものが具体例として挙げられる。
【0023】
上記の化合物は室温で液体の状態のもの、室温で固体の状態のものがあるが、どちらでも使用可能である。室温で固形の化合物を用いる場合には、あらかじめ適度な大きさに粉砕しておく。その粉砕径は特に限定されないが、好ましくは200μm以下に粉砕したものを用いるのが良い。
【0024】
(3)エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基および無水カルボキシ基を含有する化合物
本実施の形態において、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基および無水カルボキシ基を含有する化合物とは、1つの化合物中に上記官能基の1種を2つ以上有する化合物である。この化合物としては、さらに他の官能基を含んでいても差し支えない。無水カルボキシ基とは、1分子中に存在する2つのカルボキシ基が脱水して環状化した基であり、この化合物は、本実施形態の成型体等を製造する際に、開環して2つのカルボキシ基を生成するため、無水カルボキシ基は1分子中に2つ存在する必要はない。以下、これらの各化合物について説明する。
【0025】
(エポキシ基を2つ以上含有する化合物)
本実施形態で使用されるエポキシ樹脂としては1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであればよく、特に限定されるものではない。その具体的例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、トリス−ヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、その他の多官能型エポキシ樹脂のほか、脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジールイソシアネートやヒダントインエポキシの如き含複素環エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、プロピレングリコールジグリシジルエーテルやペンタエリスリトール−ポリ−グリシジルエーテルなどの脂肪族系エポキシ樹脂、脂肪族もしくは芳香族カルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、オルソ−アリル−フェノールノボラック化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのそれぞれの水酸基のオルソ位にアリル基を有するジアリルビスフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などである。さらに柔軟性を付与させる目的で、低極性結合基を導入させたオリゴマー型変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂などがあり、さらに、難燃性を付与させる目的の臭素化したエポキシ樹脂なとも用いることができる。この中でも、室温における粘度が500ポアズ以下、さらには300ポアズ以下の室温で液状のエポキシ樹脂を用いると、取り扱いが容易で好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、たとえば、エピコート825,エピコート827,エピコート828,エピコート828EL,エピコート828XA,エピコート834,エピート801,エピコート801P,エピコート802,エピコート802XA,エピコート815,エピコート815XA,エピコート816A,エピコート819,エピコート806,エピコート806L,エピコート807(以上ジャパンエポキシレジン株式会社)、EP−4100,EP−4100G,EP−4100E,EP−4100W,EP−4100TX,EP−4300E,EP−4340,EP−4200,EP−4400,EP−4500A,EP−4510,EP−4520,EP−4520S,EP−4520TX,EP−4530,EP−4901,EP−4901E,EP−4950,EP−4000,EP−4005,EP−1307,EP−4004,Ep−4080E,EP−4012M,EP−4000S,EP−4000SS,EP−4003S,EP−4010S,EP−4088S,EP−4085S(以上旭電化工業)、EXA−4850−150,EXA−4850−1000,(以上大日本インキ化学工業、CEL−2021P(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、エポキシ当量128〜140、粘度200〜350cP/25℃)、CEL−2021A(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3’4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、エポキシ当量130〜145、粘度200〜450cP/25℃)、CEL−2000(1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン、1.5cP/25℃)、CEL−3000(1,2,8,9−ジエポキシリモネン、エポキシ当量93.5以下、粘度5〜20cP/25℃)(以上ダイセル化学工業製)や、デナコールEX−421、201(レゾルシンジグリシジルエーテル)、211(ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル)、911(プロピレングリコールジグリシジルエーテル)、701(アジピン酸ジグリシジルエステル)(以上ナガセ化成工業製)等を用いることができる。これらのエポキシ樹脂は粘度、耐熱性、接着性、表面硬度の点から、混合して使用することができる。
【0026】
(イソシアネート基を二つ以上もつ化合物)
本実施形態で使用されるイソシアネート樹脂としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば良く、特に限定されるものではない。その具体的例としては、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート,1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ピリジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物;ジメチレントリフェニルメタンテトライソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等の多官能イソシアネート化合物;グリセリンやトリメチロールプロパン等のポリオール類と上記ジイソシアネート化合物との付加反応物、等が挙げられる。これらのイソシアネートは、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0027】
(カルボキシ基を二つ以上有する化合物およびその無水物)
本実施形態で使用されるカルボキシ基を含有する樹脂としては、カルボキシ基を2つ以上持つものおよびその無水物であればよく、特に限定されるものではない。その具体例として、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタルサン、テトラクロロフタル酸、テトラブロモフタル酸、ニトロフタル酸、マロン酸、シュウ酸、グルタル酸、コハク酸、ピメリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノスベリン酸、1,12−ドデカン2酸、ハイミック酸、ヘット酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸、及びこれらの無水物が挙げられる。一般にエポキシ樹脂の硬化剤として使用されている酸無水物硬化剤を使用してもかまわない。これらの化合物を二種類以上混合して使用しても良い。
【0028】
(その他の添加剤)
本実施形態の成型体を製造するための樹脂組成物には、各種添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、無機質充填材、有機充填材、接着性付与剤、撥水剤、撥油剤、防虫剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、帯電防止剤、塗料定着剤、防シワ剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤、着色剤等を挙げることができる。このうち無機質充填材は成型体の熱膨張率を小さくするとともに成型体の弾性率を向上させる目的で添加するもので、その具体例としては、溶融シリカ、結晶性シリカ、ガラス、タルク、アルミナ、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マグネシア、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、雲母などが使用でき、これらのうち特に溶融シリカ、結晶性シリカが特に好ましい。また、無機質充填材の形状としては破砕状、球状、亜球状、繊維状、燐ペン状、のものが使用でき、特に、表面平滑性を考慮して、平均粒径10μm以下の球状、亜球状の充填剤が特に好ましい。また、耐クラック性の補強効果を狙って繊維状のものも使用できる。繊維状の充填剤としては、チタニア、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸カリウム、塩基性マグネシウム、酸化亜鉛、グラファイト、マグネシア、硫酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、二ホウ化チタン、α−アルミナ、クリソタイル、ワラストナイトなどのウィスカー類、また、Eガラス繊維、シリカアルミナ繊維、シリカガラス繊維などの非晶質繊維の他チラノ繊維、炭化ケイ素繊維、ジルコニア繊維、γアルミナ繊維、α−アルミナ繊維、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維などの結晶性繊維などがある。以上の繊維状充填材としては平均繊維径5μm以下、最大繊維長 10μm以下のものが塗膜表面の均一性の点で好ましい。本実施形態に用いる無機質充填剤は、樹脂組成物の総量に対して0.1重量%〜50重量%の範囲で使用できる。無機質充填剤が少ない場合、硬化物の熱膨張率が大きくなり、耐熱衝撃性が充分でなくなる。また、50重量%を越えると樹脂組成物の流動性が不十分となり、作業性が低下し、ボイドの発生原因になり、均一な成型体を形成することが困難となる。
【0029】
前記本実施の形態の樹脂組成物には、耐クラック性を向上させたり、成型体の弾性率を下げたりする目的で熱性熱可塑性樹脂、ゴム成分、各種オリゴマーなどの有機充填材を添加しても良い。熱可塑性樹脂の具体例としては、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、MBS樹脂、ABS樹脂また、シリコーンオイル、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどにより変性することができる。また、各種プラスチック粉末、各種エンジニアリングプラスチック粉末などを添加することができる。
【0030】
またこれらの他に、大鋸屑、古紙、樹脂屑、貝殻、砂、建材のコンクリートなどの廃材を混合して成型体を得ることができる。これらの廃材を組み合わせることにより社会全体の廃棄物の量を減らし、成型体の充填材として効果的に再利用できるのである。この中でも、木質材料のように原料中にリグニンやヘミセルロースを多く含有するものを用いる方がよい。リグニンやヘミセルロースは分解物中のアミンと適度に反応し、より強固な成型体を得ることができる。 木質材料の例としては、おがくず、籾殻、麦わら、古紙、ケナフなどの植物由来繊維などが挙げられる。これらの木質材料を、1mm〜50mm程度に粉砕されているものを用いるのが一般的である。配向性を持たせるため、細長く粉砕しても構わない。
【0031】
(成型体の製造方法)
以下に樹脂組成物の製造方法の実施形態について説明する。
本実施の形態の成型体は、(1)ウレタン樹脂をあらかじめ適度な大きさに粉砕し、これに(2)ウレタン分解物と(3)エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基または無水カルボキシ基を有する化合物とを分散させ、その後加圧加熱成形することにより得られる。ウレタン樹脂を粉砕して得られる粒状体の大きさとしては、5mm以下、好ましくは、1mm以下の範囲が適切である。粒状体の大きさがこの範囲を上回ると、得られる成型体の外観が劣ることとなる。また、発泡ウレタンを使用する場合には、発泡剤(例えばフロン)を粉砕や事前加熱などの方法で除去しておくことが好ましい。
【0032】
以下に本実施の形態の成型体の製造方法について、更に詳細に説明する。
まず、上記各成分を混合する。この際に、(1)ウレタン樹脂と、(2)ウレタン分解物と、(3)エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基または無水カルボキシ基を有する化合物との混合の割合は特に限定されるものではないが、前記化合物(1)と化合物(2)と化合物(3)の合計を100重量部としたとき、化合物(2)と化合物(3)の合計が5重量部以上70重量部以下、化合物(1)が30重量部以上95重量部以下の範囲にあることが望ましい。
【0033】
さらに好ましくは化合物(2)と化合物(3)の合計が20重量部以上50重量部以下、さらに好ましくは30重量部以上50重量部以下であることが望ましい。これより化合物(2)と化合物(3)量が少なすぎると、十分に化合物(1)であるウレタン樹脂を接着しないので物性が悪くなり、一方これより化合物(2)と化合物(3)の量が多いと、ウレタン粉の量が少なくなりすぎて経済的にメリットがなくなる。
【0034】
混合の方法は特に限定されるものではなく、混合機、押出機、ヘンシェルミキサー、コンクリートミキサー、ロール、ミルなどが挙げられる。樹脂を添加する方法や順序も特に制限されないが、霧状に噴霧するか滴下するなどの方法で分散状態が良くなるように添加することが好ましい。また、このように添加した後に、ロールや押出機などで溶融混錬することが好ましい。
こうして得られた混合物を、ボードをはじめ所定の形に整え、プレス成型する。成型方法は特に限定されないが、単段プレス、多段プレス、連続プレス、などが挙げられる。また成型条件は特に限定されるものではないが、温度150℃以上230℃以下、成型圧力10kg/cm以上300kg/cm以下、成形時間5分以上25分以下で行うと、外観の良い成型体を得ることができる。
【0035】
(接着剤としての使用方法)
(1)ウレタン樹脂と、(2)ウレタン樹脂分解物と、(3)エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基または無水カルボキシ基を有する化合物とを混合し加熱硬化することにより接着剤としても使用できる。その用途としては、一般の接着剤が使用できるところであれば利用可能である。特に、セルロース、リグノセルロース、リグニンなどを含有する材料に使用すると、接着力が高くなるので好ましい。また、木のチップなどを集積してボードを製造する際の接着剤としても使用できる。
【0036】
接着剤の具体的な使用方法としては、上記化合物(1)、化合物(2)および化合物(3)を別々に被接着物表面に塗布するか、あらかじめ化合物(1)、化合物(2)、および化合物(3)を混合しておいて被接着剤表面に塗布し、加熱硬化する。好ましくはあらかじめ混合して使用するのがよく、この際にロールや押出機などで混錬しているとより好ましい。混錬する時の温度は室温でもかまわないが、50〜150℃程度の温度をかけた方が、均一に混ざるので好ましい。
【実施例】
【0037】
以下、実施例に基づき詳細に説明する。
<ウレタン樹脂分解物Aの作成>
ポリオール(三井武田ケミカル社製、ND450、水酸機価450mgKOH/g)とイソシアネート(三井武田ケミカル社製、コスモネートTP)を等量比で反応させて、ウレタン樹脂Aを合成した。合成されたウレタン樹脂A:ジエタノールアミン=15:1の混合比で250℃の1軸押出し機に投入してウレタン樹脂分解物Aを得た。JIS K 1557に基づき水酸基価を測定したところ約350mgKOH/gであり、JIS K 7237に基づきアミン価を測定したところ約150mgKOH/gであった。また軟化点は70℃であり、室温で完全な固体であった。
【0038】
<ウレタン樹脂分解物Bの作成>
ポリオール(三井武田ケミカル社製、POP−34/45、水酸機価42.5mgKOH/g)とイソシアネート(三井武田ケミカル社製、コスモネートT−80)を等量比で反応させて、ウレタン樹脂Bを合成した。合成されたウレタン樹脂B:ジエタノールアミン=10:1の混合比で250℃の1軸押出し機に投入して分解したところ、液体の上層と固体の下層に分かれた。これをろ過し、液体のウレタン樹脂分解物Bを得た。JIS K 1557に基づき水酸基価を測定したところ約200mgKOH/gであり、JIS K 7237に基づきアミン価を測定したところ約80mgKOH/gであった。
【0039】
<ウレタン樹脂分解物Cの作成>
建築材の廃材であるイソシアヌレート材(ウレタン樹脂C):ジエタノールアミン=7:1の混合比で250℃の1軸押出し機に投入して分解してウレタン樹脂分解物Cを得た。JIS K 1557に基づき水酸基価を測定したところ約450mgKOH/gであり、JIS K 7237に基づきアミン価を測定したところ約130mgKOH/gであった。
【0040】
<ウレタン樹脂分解物Dの作成>
ウレタン樹脂A:モノエタノールアミン=4:1の混合比で250℃の1軸押出し機に投入して分解してウレタン樹脂分解物Dを得た。JIS K 1557に基づき水酸基価を測定したところ約600mgKOH/gであり、JIS K 7237に基づきアミン価を測定したところ約190mgKOH/gであった。
【0041】
<ウレタン樹脂分解物Eの作成>
冷蔵庫の廃材として得られたウレタン樹脂:モノエタノールアミン=4:1の混合比で250℃の1軸押出し機に投入して分解してウレタン樹脂分解物Eを得た。JIS K 1557に基づき水酸基価を測定したところ約630mgKOH/gであり、JIS K 7237に基づきアミン価を測定したところ約220mgKOH/gであった。
【0042】
(実施例1)
ウレタン樹脂分解物Aを15重量部(180μm以下に粉砕したもの)に、エポキシ樹脂EP4100E(ジャパンエポキシレジン(株)製)15重量部、粉砕した硬化ウレタン樹脂A(フロン回収済み、1mmのメッシュを通過したもの)70重量部、ステアリン酸亜鉛0.2重量部をあらかじめヘンシェルミキサーで混合した後、2本ロールで溶融混錬した。溶融混錬した温度は80〜90℃で行った。その後金型に入れ、成型温度180℃、成型圧力20kg/cmで10分間プレスし、成型体を作成した。茶色の透明性のある成型体が得られ、硬化ウレタン樹脂はほとんど見えない状態になっていた。JIS K 6911に基づき曲げ強度を測定したところ、30.0MPaであった。
【0043】
(実施例2〜7)
実施例1と同様に、ウレタン樹脂分解物Aとエポキシ樹脂EP4100Eと粉砕した硬化ウレタン樹脂Aの混合比を変えたものを作成した。
【0044】
(比較例1)
ウレタン樹脂分解物Aとエポキシ樹脂EP4100Eの変わりにフェノール(PR−217,住友ベークライト社製)を用いたこと以外は実施例1と同様に成型体を作成した。ただし、PR−217の融点が高いため、ロールの温度を95〜100℃に設定した。
【0045】
(比較例2)
ウレタン樹脂分解物Aとエポキシ樹脂EP4100Eの変わりにイソシアネート(M−200,三井武田ケミカル社製)を用いたこと以外は実施例1と同様に成型体を作成した。
【0046】
実施例1〜7と比較例1,2の結果をまとめたものが表1である。曲げ強度は、50MPa以上のものを◎、30MPa以上のものを○、10MPa以上のものを△、10MPa未満のものを×とした。また外観は、透明性が高い成型体は◎、透明性がややあって均一な成型体を○、透明性があまりないものを△、透明性が無いものや不均一なものを×とした。この結果を見てみると、ウレタン樹脂分解物を用いた場合は、ウレタン樹脂の一部または全部が樹脂中に取り込まれて、透明性の高い成型体を得ることができた。しかし、それ以外の接着剤を用いた場合には、ウレタン樹脂が表面に現れて外観の悪いものになってしまった。また、成型体の強度は、ウレタン分解物を用いた場合に大きな値を示すことが確認された。ウレタン樹脂分解物以外の接着剤では、悪い結果となった。
【0047】
【表1】

【0048】
(実施例8〜11)
実施例1とウレタン分解物の種類を変えたこと以外は同様にして、成型体を作成した。実施例1及び8〜10の結果を表2にまとめる。この結果を見てみると、ウレタン樹脂Aを分解した分解物(実施例1、10)では外観が良くなったが、違うウレタンを分解したウレタン分解物を用いた場合は、若干外観が悪くなった。また、ウレタン分解物の水酸基価、アミン価が高いもの(実施例10,11)を用いた場合は、同一条件で成型体を作成した時に強度が高くなり、低いものを用いた場合(実施例8)では強度が低くなった。
【0049】
【表2】

【0050】
(実施例12〜15)
実施例1と成型温度を変えたこと以外は同一条件で成型体を作成した。ただし、成形温度を低くすると樹脂のゲルタイムも長くなるため、120℃では30分、150℃では20分の成形時間とした。実施例1及び12〜15を表3にまとめる。成型温度を変えることにより、150℃以上では成型体に透明感が出てきて外観が良くなる。しかし、240℃まで上げると、透明感があるものの色が黒っぽくなり外観が悪くなることがわかった。
【0051】
【表3】

【0052】
(実施例16〜21)
実施例1と成型圧力を変えたこと以外は同一条件で成型体を作成した。実施例1及び16〜21を表4にまとめる。成型圧力を変えることにより、10kg/cm以上では強度が高くなり、圧力を上げれば上げるほど強度と外観が良くなる傾向にあった。しかし、350kg/cmまで成型圧力を上げた場合は、樹脂内部に変形したと見られる白い筋が現れ、外観が悪くなった。
【0053】
【表4】

【0054】
(実施例22〜26)
実施例1と成型時間を変えたこと以外は同一条件で成型体を作成した。実施例1及び22〜26を表5にまとめる。成形時間が短い場合、樹脂の硬化時間が短く、成型体を得ることができなかったが、5分以上では外観の良い成型体を得ることができた。また30分成型したものについては、成型体がやや黒っぽくなってしまった。
【0055】
【表5】

【0056】
(実施例27〜32)
実施例1と混合方法を変えたこと以外は同一条件で成型体を作成した。実施例1及び27〜32を表6にまとめる。混合方法として、ロール、押出機などの温度がかかる装置で混錬すると、外観が良くなるので好ましいことがわかった。
【0057】
【表6】

【0058】
(実施例33)
ウレタン樹脂分解物Aを15重量部(180μm以下に粉砕したもの)に、エポキシ樹脂EP4100E(ジャパンエポキシレジン(株)製)15重量部、粉砕した硬化ウレタン樹脂A(フロン回収済み、1mmのメッシュを通過したもの)70重量部、ステアリン酸亜鉛0.2重量部をあらかじめヘンシェルミキサーで混合した後、2本ロールで溶融混錬した。溶融混錬した温度は80〜90℃で行った。室温に冷却したところ固体であった。この固形物を細かく粉砕した後、木材(赤松)表面に塗布し、他の木片と張り合わせ、150℃で10分加熱した。室温まで冷却後、木材同士はよく接着しているのが確認された。
【0059】
(実施例34)
ウレタン樹脂分解物Aを15重量部(180μm以下に粉砕したもの)に、エポキシ樹脂EP4100E(ジャパンエポキシレジン(株)製)15重量部、粉砕した硬化ウレタン樹脂A(フロン回収済み、1mmのメッシュを通過したもの)70重量部、ステアリン酸亜鉛0.2重量部をあらかじめヘンシェルミキサーで混合した後、2本ロールで溶融混錬した。溶融混錬した温度は80〜90℃で行った。室温に冷却したところ固体であった。この固形物を細かく粉砕した後、最大径5mmに粉砕した大鋸屑(赤松)と、固形物/大鋸屑=20/80で混合して型に入れ、180℃、10分、20kg/cmでプレス成型したところ、外観の良いパーティクルボードを得た。
【0060】
(実施例35)
ウレタン樹脂分解物Aを7.5重量部(180μm以下に粉砕したもの)に、エポキシ樹脂EP4100E(ジャパンエポキシレジン(株)製)7.5重量部、粉砕した硬化ウレタン樹脂A(フロン回収済み、1mmのメッシュを通過したもの)17重量部、ステアリン酸亜鉛0.2重量部、最大径5mmに粉砕した大鋸屑(赤松)68重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、型に入れて、180℃、10分、20kg/cmでプレス成型したところ、パーティクルボードを得た。JIS K 6911に基づきこのボードの強度を測定したところ、33.5MPaであった。
【0061】
(比較例3)
硬化ウレタン樹脂Aの代わりに最大径5mmに粉砕した大鋸屑(赤松)を使用したこと以外は実施例35と同様にパーティクルボードを作成した。得られたボードの強度は26.2MPaであり、実施例35よりも値が低かった。
【0062】
(実施例36)
ウレタン樹脂分解物Aを7.5重量部(180μm以下に粉砕したもの)に、イソシアネートM−200(三井武田ケミカル(株)製)7.5重量部、粉砕した硬化ウレタン樹脂A(フロン回収済み、1mmのメッシュを通過したもの)17重量部、ステアリン酸亜鉛0.2重量部、最大径5mmに粉砕した大鋸屑(赤松)68重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、型に入れて、180℃、10分、20kg/cmでプレス成型したところ、パーティクルボードを得た。
【0063】
(実施例37)
ウレタン樹脂分解物Aを7.5重量部(180μm以下に粉砕したもの)に、無水マレイン酸7.5重量部、粉砕した硬化ウレタン樹脂A(フロン回収済み、1mmのメッシュを通過したもの)17重量部、ステアリン酸亜鉛0.2重量部、最大径5mmに粉砕した大鋸屑(赤松)68重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、型に入れて、180℃、10分、20kg/cmでプレス成型したところ、パーティクルボードを得た。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)第1のウレタン樹脂と、(2)第2のウレタン樹脂を化学的に分解したウレタン分解物と、(3)エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、および無水カルボキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を2つ以上有する化合物とを混合し反応させてなる成型体。
【請求項2】
前記ウレタン分解物の水酸基価が300〜750mgKOH/gの範囲であり、かつアミン価の値が50〜250mgKOHであることを特徴とする請求項1に記載の成型体。
【請求項3】
(1)第1のウレタン樹脂と、(2)第2のウレタン樹脂を化学的に分解したウレタン分解物と、(3)エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、および無水カルボキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を2つ以上有する化合物とを混合する工程と、
この混合物を加熱加圧して成形する工程とからなる成型体の製造方法。
【請求項4】
前記加熱加圧して成形する工程における成型条件が、温度150℃以上、圧力1MPa以上であることを特徴とする請求項3に記載の成型体の製造方法。
【請求項5】
(1)第1のウレタン樹脂と、(2)第2のウレタン樹脂を化学的に分解したウレタン分解物と、(3)エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、および、無水カルボキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を2つ以上有する化合物とを混合し、加熱硬化して得られる接着剤。
【請求項6】
(1)第1のウレタン樹脂と、(2)第2のウレタン樹脂を化学的に分解したウレタン分解物と、(3)エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、および、無水カルボキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を2つ以上有する化合物とを混合し、加熱硬化して得られる接着剤を用いて木質材料を集積して成形した木質ボード。


【公開番号】特開2006−274042(P2006−274042A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−95234(P2005−95234)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】