説明

成膜方法および発光装置の作製方法

【課題】所望の形状を有する膜を、生産性良く形成する成膜方法を提供することを目的とする。また、高精細な発光装置を、生産性良く作製することができる発光装置の作製方法を提供する。特に、大型の基板を用いた場合であっても、高精細な発光装置を作製する方法を提供する。
【解決手段】被成膜基板と、被成膜基板よりも小さい面積のシャドーマスクを用い、被成膜基板とシャドーマスクとの位置合わせを行い、被成膜基板の少なくとも一部に蒸着材料を成膜する工程を複数回行う。蒸着源としては、光吸収層と蒸着材料を有する支持基板を用いることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜方法に関する。また、発光装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機化合物は無機化合物に比べて、多様な構造をとることができ、適切な分子設計により様々な機能を有する材料を合成できる可能性がある。これらの利点から、近年、機能性有機材料を用いたフォトエレクトロニクスやエレクトロニクスに注目が集まっている。
【0003】
例えば、有機化合物を機能性有機材料として用いたエレクトロニクスデバイスの例として、太陽電池や発光素子、有機トランジスタ等が挙げられる。これらは有機化合物の電気物性および光物性を利用したデバイスであり、特に発光素子はめざましい発展を見せている。
【0004】
発光素子の発光機構は、一対の電極間にEL層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔がEL層の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に緩和する際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
【0005】
発光素子を構成するEL層は、少なくとも発光層を有する。また、EL層は、発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層などを有する積層構造とすることもできる。
【0006】
また、EL層を形成するEL材料は低分子系(モノマー系)材料と高分子系(ポリマー系)材料に大別される。一般に、低分子系材料は蒸着装置を用いて成膜され、高分子系材料はインクジェット法などを用いて成膜されることが多い。従来の蒸着装置は基板ホルダに基板を設置し、EL材料、つまり蒸着材料を封入したルツボ(または蒸着ボート)と、ルツボ内のEL材料を加熱するヒーターと、昇華するEL材料の拡散を防止するシャッターとを有している。そして、ヒーターにより加熱されたEL材料が昇華し、基板に成膜される。このとき、均一に成膜を行うために、被成膜基板を回転させ、さらに、300mm×360mmの大きさの基板でも、基板とルツボとの間の距離は1m程度離す必要がある。
【0007】
上記の方法で、赤、緑、青の発光素子を用いてフルカラーの表示装置を作製することを考えた場合、基板と蒸発源との間に、基板と接してシャドーマスクが設置され、このマスクを介して塗り分けが実現される。
【0008】
しかしながら、フルカラーの表示装置を作製するために用いるシャドーマスクは、開口部を精密に作製する必要があるため、非常に薄くなっている。よって、基板の大型化に従い、シャドーマスクを大型化すると、シャドーマスクがたわみ、開口部の大きさが変化するなどの問題が生じていた。また、シャドーマスクの画素部に対応する領域にシャドーマスクの強度を補強する手段を導入することは難しいため、大面積の表示領域を作製する場合には、補強手段の適用も困難となる。
【0009】
また、表示装置の高精細化(画素数の増大)に伴う各表示画素ピッチの微細化への要望はより高まっており、さらにシャドーマスクが薄くなる傾向にある。また、同時に生産性の向上や低コスト化の要求も高まっている。
【0010】
そこで、シャドーマスクを用いず、レーザ熱転写により、発光素子のEL層を形成する方法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、ドナーフィルム上に、光―熱変換層および転写層を有し、レーザ光を照射された転写層の一部が、光―熱変換層との接着力の変化により、離脱することが記載されている。そして、このようなレーザ転写層を用いることによりフルカラーの発光素子を作製している。
【0011】
また、光吸収層と転写層とを備えた転写用基板を用い、レーザ光を光吸収層に集中することにより、転写層の特定部分を転写させる方法が提案されている。(特許文献2参照)。
【0012】
また、レーザ熱転写を応用し、低反射層と高反射層から構成される光熱変換層と、転写層を有する転写用基板を用いて、レーザ光を照射し、所望のパターンを形成する方法も提案されている(特許文献3参照)。
【0013】
【特許文献1】特開2004−200170号公報
【特許文献2】特開2002−110350号公報
【特許文献3】特開2006−309995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1〜特許文献3の方法では、転写したい部分にのみレーザ光を照射するため、基板全体を処理するのに要する時間が長く、生産性が悪い。
【0015】
また、特許文献3の転写用基板では、転写用基板に、低反射層と高反射層を作り込む必要があるため、転写用基板を作製するための時間やコストが必要となる。また、特許文献3の図3に記載された構成では、[0041]段落にも記載されているように、低反射層と高反射層との間に隙間がないようにしなければならず、高精度のパターニングが必要となる。
【0016】
上記問題に鑑み、本発明は、所望の形状を有する膜を、生産性良く形成する成膜方法を提供することを目的とする。
【0017】
また、高精細な発光装置を、生産性良く作製することができる発光装置の作製方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の成膜方法は、被成膜基板と、被成膜基板よりも小さい面積のシャドーマスクを用いる。そして、複数回に分けて、被成膜基板に蒸着材料を成膜する。なお、本明細書において、シャドーマスクの面積とはシャドーマスク外形の縦横寸法の積である占有面積を示す。
【0019】
成膜する前には、被成膜基板とシャドーマスクとの位置合わせをする。つまり、被成膜基板とシャドーマスクとの位置合わせを行い、被成膜基板の少なくとも一部に蒸着材料を成膜する工程を複数回行う。
【0020】
成膜には、平面状の蒸着源を用いることが好ましい。特に、蒸着材料が設けられた支持基板(蒸着用基板)を用いることにより、蒸着源と被成膜基板との距離を小さくしても、膜厚のバラツキを抑制することができるため、成膜装置の小型化が可能となる。また、蒸着材料が設けられた支持基板を用いた場合、膜厚の制御が容易であるため、好ましい。さらに蒸着源と被成膜基板との距離を小さくできるため、材料利用効率も高く、好ましい。
【0021】
特に、蒸着源として、光吸収層と蒸着材料を有する支持基板を用いることが好ましい。支持基板に光源ユニットからの光を照射し、照射光を支持基板に設けられた光吸収層に吸収させることにより、支持基板に設けられた蒸着材料を加熱し、蒸着材料の少なくとも一部を気化させ、シャドーマスクの開口部を介して、被成膜基板の表面の少なくとも一部に、蒸着材料を成膜することができる。
【0022】
上記構成において、大型の被成膜基板に対応するために、シャドーマスクを移動させるときに、光源ユニットも移動させることが好ましい。
【0023】
また、上記構成において、光源ユニットから射出された光は、赤外光であることが好ましい。赤外光であることにより、光吸収層を効率良く加熱することができる。
【0024】
また、上記構成において、前記光吸収層は、前記光源ユニットから射出された光に対して、吸収率が40%以上であることが好ましい。
【0025】
また、上記構成において、光吸収層の膜厚は、200nm以上600nm以下であることが好ましい。
【0026】
また、上記構成において、光吸収層としては、窒化タンタル、チタン、カーボンなどを用いることができる。
【0027】
また、上記構成において、湿式法を用いて、支持基板に蒸着材料を付着させることが好ましい。湿式法は材料利用効率が高いため、湿式法を用いることにより、成膜する際のコストを低減することができる。
【0028】
また、上記構成において、蒸着材料としては有機化合物を用いることが好ましい。有機化合物は無機化合物に比べ、蒸着温度が低い材料が多いため、本発明の成膜方法に好適である。
【0029】
また、上述の成膜方法は、発光装置の作製に好適に用いることができる。よって、本発明の発光装置の作製方法の一は、第1の電極が形成された被成膜基板を用い、上述の成膜方法を用いて、前記第1の電極上に、蒸着材料を含む層を形成した後、第2の電極を形成することを特徴とする発光装置の作製方法である。
【0030】
また、上記構成において、蒸着材料としては有機化合物を用いることが好ましい。有機化合物は無機化合物に比べ、蒸着温度が低い材料が多いため、本発明の発光装置の作製方法に好適である。例えば、発光材料やキャリア輸送材料を用いることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明を適用することにより、所望の形状の膜を、生産性良く形成することができる。特に、精密な形状を有する膜を、精度良く形成することができる。
【0032】
また、本発明を適用することにより、高精細の発光装置を生産性良く作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の主旨及びその範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細を様々に変更しうることは、当業者であれば容易に可能である。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる場合がある。
【0034】
(実施の形態1)
本発明に係る成膜方法および発光装置の作製方法を、図1〜図4を用いて説明する。
【0035】
図1において、被成膜基板101と蒸着材料108が設けられた支持基板107の間にシャドーマスク104が配置されている。被成膜基板101とシャドーマスク104とは、アライメント手段により、位置合わせが行われる。そして、成膜ユニット121により、支持基板107に設けられた蒸着材料108が加熱され、気化した蒸着材料がシャドーマスク104の開口部を通って被成膜基板101に成膜される。
【0036】
被成膜基板101は、被成膜基板保持手段103により保持されている。被成膜基板保持手段103は、被成膜基板搬送手段の一部であってもよい。そして、被成膜基板101において、少なくとも成膜される領域は、平板102により平面が保たれていることが好ましい。よって、図2に示すように、平板102を被成膜基板101より大きくして、被成膜基板101全体を平面に保つようにしていてもよい。また、図1に示すように、被成膜基板101より小さくして、平板102を可動できるようにしていてもよい。また、平板102は磁力を有していてもよい。または、磁力を有する構造物を有していてもよい。
【0037】
シャドーマスク104は非常に薄いため、マスクフレーム105により、適切な形状の開口部を保つように保持されている。そして、シャドーマスク104およびマスクフレーム105は、シャドーマスク保持手段106により保持されている。シャドーマスク104が金属材料により構成されている場合、シャドーマスク104を磁力により保持することが可能である。
【0038】
また、支持基板107には、蒸着材料108が設けられている。蒸着材料108が設けられた支持基板107は、支持基板保持手段109により保持されている。支持基板107は、蒸着材料108以外の構造物が形成されていてもよい。例えば、熱源として光を用いる場合には、光吸収層が形成されていてもよい。また、支持基板107は、シャドーマスク104の開口部に対応している大きさ以上であればよく、図2に示すように、被成膜基板101とほぼ同じ大きさであってもよい。支持基板107が被成膜基板101とほぼ同じ大きさである場合、被成膜基板と対応した量の蒸着材料が支持基板107に設けられているため、支持基板107の交換(蒸着材料の供給)の回数を減らすことができる。
【0039】
なお、図1(A)では、支持基板保持手段109は、光源であるランプ124も保持する光源保持手段125と兼ねる構成となっている。支持基板保持手段109および光源保持手段125の一部には、窓123があり、被成膜基板101とシャドーマスク104との位置合わせを行うためのカメラ122が複数設けられている。カメラ122により、被成膜基板101およびシャドーマスク104に設けられたアライメントマーカーを読み取り、位置合わせを行う。
【0040】
そして、被成膜基板101とシャドーマスク104とが接するように配置する。平板102が磁力を有しており、シャドーマスク104が金属材料により構成されている場合には、平板102の磁力をオンにすることで、被成膜基板101とシャドーマスクが接するように配置することができる。被成膜基板101の表面に電極や絶縁物などの構造物が形成されている場合には、被成膜基板101に形成されている構造物の最表面とシャドーマスク104とが接するように配置する。被成膜基板101とシャドーマスク104との距離を小さくするほど、成膜される膜のパターンの精度は向上する。よって、被成膜基板101とシャドーマスク104との距離が小さくなるように配置することが好ましい。
【0041】
また、成膜するときは、支持基板107とシャドーマスク104との距離が小さいことが好ましい。距離が小さいことにより、装置の小型化が可能となる。また、被成膜基板101に成膜される膜のパターンの精度が向上する。
【0042】
成膜は、成膜ユニットにより、支持基板107に設けられた蒸着材料108を加熱することにより、蒸着材料を気化することで行う。図1(A)に示した成膜ユニット121は、ランプ124からの光を支持基板107に設けられた光吸収層に照射し、光吸収層が加熱されることにより、光吸収層と接するように設けられた蒸着材料が加熱される。そして、気化した蒸着材料がシャドーマスク104の開口を通って、被成膜基板101に所望のパターンで成膜される。
【0043】
なお、成膜ユニットは、図1(A)に示した構成に限られない。例えば、図1(B)に示すように、光源として、レーザ134を用いてミラーなどの光学系135を用いて、窓123を通して、支持基板107に照射する構成としてもよい。
【0044】
支持基板107に照射する光の光源としては、上述のようにランプやレーザなど、種々の光源を用いることができる。
【0045】
例えば、レーザ光の光源としては、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。また、レーザ媒体が固体である固体レーザを用いると、メンテナンスフリーの状態を長く保てるという利点や、出力が比較的に安定している利点を有している。
【0046】
また、レーザ光以外の光源としては、フラッシュランプ(キセノンフラッシュランプ、クリプトンフラッシュランプなど)、キセノンランプ、メタルハライドランプのような放電灯、ハロゲンランプ、タングステンランプのような発熱灯を用いることができる。フラッシュランプは短時間(0.1ミリ秒乃至10ミリ秒)で非常に強度の高い光を繰り返し、大面積に照射することができるため、支持基板の面積にかかわらず、効率よく均一に加熱することができる。また、発光させる時間の間隔を変えることによって支持基板の加熱の制御もできる。また、フラッシュランプは寿命が長く、発光待機時の消費電力が低いため、ランニングコストを低く抑えることができる。
【0047】
なお、照射する光としては、赤外光(波長800nm以上)であることが好ましい。赤外光であることにより、光吸収層が効率よく加熱され、蒸着材料を効率よく昇華させることができる。
【0048】
本実施の形態に示す成膜方法において、光源からの光を輻射熱ではなく、光吸収層を加熱させることが特徴である。また、光を照射する時間は、比較的短くてよい。例えば、ハロゲンランプを光源として用いた場合、500℃〜800℃を7〜15秒間程度保持することで、材料層を蒸着することができる。
【0049】
また、成膜は減圧雰囲気で行われることが好ましい。減圧雰囲気は、成膜室内を真空排気手段により真空度が5×10−3Pa以下、好ましくは10−4Pa乃至10−6Pa程度の範囲なるように真空排気することで得られる。なお、成膜室内をより高真空にすることが可能であれば、発光装置の信頼性を向上させるために、より高真空であることが好ましい。
【0050】
成膜を行った後は、被成膜基板101の未成膜領域にシャドーマスク104を配置する。この際、被成膜基板101を移動させてもよいし、シャドーマスク104および成膜ユニット121を移動させてもよい。被成膜基板101を移動させる場合には、成膜ユニット121を移動させる必要がないため、複雑な光学系を含む成膜ユニットの場合には好ましい。また、インライン方式で被成膜基板101を次々に成膜していく装置に適用させることができ、好ましい。また、シャドーマスク104および成膜ユニット121を移動させる場合には、被成膜基板101を移動させる必要がないため、装置の小型化が可能である。特に、大型の被成膜基板を用いる場合には、効果的である。
【0051】
また、支持基板107における、シャドーマスク104の開口部に対応した蒸着材料は気化しているため、シャドーマスク104の開口部に対応した領域に蒸着材料が供給されるよう、シャドーマスク104の開口部と支持基板107との位置合わせ行う。または、新たに蒸着材料が設けられた支持基板を用いる。
【0052】
そして、成膜ユニット121により、支持基板107に設けられた蒸着材料を加熱し、成膜を行う。
【0053】
このように、複数回成膜を行うことで、従来のシャドーマスクを用いて、大型の被成膜基板に成膜することが可能となる。図15(A)では、成膜を4回繰り返すことにより、被成膜基板101を成膜する場合について示した。図15(A)において、1回目の成膜で第1の成膜領域141を成膜し、2回目の成膜で第2の成膜領域142を成膜し、3回目の成膜で第3の成膜領域143を成膜し、4回目の成膜をする様子を図示した。また、被成膜基板を成膜する回数は複数回であればよく、図15(B)に示すように、より多くの領域に分割して成膜してもよい。多くの領域に分割して成膜を行う場合には、成膜ユニットを複数設け、それぞれの成膜ユニットにより成膜していくことが好ましい。成膜ユニットを複数用いることにより、タクトタイムを短くし、より生産性を高めることができる。
【0054】
また、図3に図1(A)の斜視図を模式化した図を示した。図3に示すように、被成膜基板101またはシャドーマスク104は、被成膜基板と平行な方向(X方向およびY方向)に移動可能である。また、シャドーマスク104を移動させる場合には、成膜ユニット121も移動させる必要があるため、被成膜基板と平行な方向(X方向およびY方向)に移動可能である必要がある。また、平板102も被成膜基板101よりも小さい場合には、移動可能である必要がある。
【0055】
また、被成膜基板101、シャドーマスク104、支持基板107は、それぞれの距離を変化させる必要があるため、被成膜基板に垂直な方向(X−Y平面に垂直なZ方向)に移動可能である。
【0056】
また、蒸着材料108が設けられた支持基板107は、蒸着材料を供給するために、外部から新たな支持基板を導入する必要があり、(X方向、Y方向およびZ方向)に、移動可能である。
【0057】
また、図1〜図3では、被成膜基板101の下側にシャドーマスク104および成膜ユニット121が配置されている様子を示したが、逆に、被成膜基板101の上側にシャドーマスク104および成膜ユニット121が配置されていてもよい。被成膜基板101を下側にすることにより、被成膜基板101を平らに保つことが容易になる。また、従来用いられてきたるつぼやボートに蒸着材料を保持させる場合と異なり、蒸着源として、面状の蒸着源を用いているため、逆さに配置しても蒸着材料がこぼれる心配がない。また、被成膜基板101を縦に配置してもよい。また、被成膜基板101を斜めに配置してもよい。斜めの場合も重力を利用して被成膜基板を平らに保つことが容易となる。
【0058】
このように、本発明を適用することにより、所望の形状を有する膜を精度良く、成膜することができる。また、生産性良く成膜することができる。特に、大型の基板を用いた場合、従来の方法では、シャドーマスクがたわみ、所望の形状を有する膜を精度良く成膜することが困難であったが、本発明を適用することにより、大型の基板を用いた場合であっても所望の形状を有する膜を精度良く形成することができる。よって、大型で、かつ、高精細の発光装置を容易に作成することができる。
【0059】
本発明を適用することにより、被成膜基板と、蒸着材料が設けられた支持基板との距離を小さくすることができ、所望の場所以外へ蒸着材料が付着することを抑制することができる。よって、材料利用効率が高くなり、成膜に要する製造コストを減らすことができる。
【0060】
(実施の形態2)
本実施の形態では、蒸着材料が設けられた支持基板および成膜方法について、より詳細に説明する。
【0061】
図4(A)は蒸着材料が設けられた支持基板および被成膜基板の一例を示している。図4(A)において、支持基板である第1の基板200の被成膜基板である第2の基板と対向する面には、光吸収層201が形成されている。また、光吸収層201上には蒸着材料が設けられている。図4(A)においては、蒸着材料が含まれる材料層202が形成されている。
【0062】
第1の基板200は、光吸収層、材料層などの支持基板であり、成膜工程において、蒸着材料を蒸着するために照射する光を透過する基板である。よって、第1の基板200は光の透過率が高い基板であることが好ましい。具体的には、蒸着材料を蒸着するためにランプ光やレーザ光を用いた場合、第1の基板200として、それらの光を透過する基板を用いることが好ましい。第1の基板200としては、例えば、ガラス基板、石英基板、無機材料を含むプラスチック基板などを用いることができる。
【0063】
光吸収層201は成膜工程において、蒸着材料を蒸着するために照射する光を吸収する層である。光吸収層は、照射される光に対して、反射率が低く、透過率が低く、吸収率が高いことが好ましい。具体的には、照射される光に対して、60%以下の反射率を示すことが好ましい。そして、照射される光に対して、40%以上の吸収率を示すことが好ましい。また、耐熱性に優れた材料であることが好ましい。例えば、波長800nmの光に対しては、モリブデン、窒化タンタル、チタン、タングステンなどを用いることが好ましい。また、波長1300nmの光に対しては、窒化タンタル、チタンなどを用いることが好ましい。このように、蒸着材料を蒸着するために照射する光の波長により、光吸収層201に好適な材料の種類は変化する。
【0064】
光吸収層201は、種々の方法を用いて形成することができる。例えば、スパッタリング法で、モリブデン、タンタル、チタン、タングステンなどのターゲット、またはこれらの合金を用いたターゲットを用い、光吸収層201を形成することができる。また、光吸収層は一層に限らず複数の層により構成されていてもよい。
【0065】
光吸収層の膜厚は、照射される光が透過しない膜厚であることが好ましい。材料によって異なるが、概ね100nm以上の膜厚であることが好ましい。特に、光吸収層201の膜厚を200nm以上600nm以下とすることで、照射される光を効率良く吸収して発熱させることができる。
【0066】
なお、光吸収層201は、蒸着材料の昇華温度まで発熱するのであれば、照射する光の一部が透過してもよい。ただし、一部が透過する場合には、光が照射しても分解しない材料を、蒸着材料として用いることが好ましい。
【0067】
材料層202は、蒸着材料を含み、昇華により転写される層である。蒸着材料としては、種々の材料が挙げられる。また、材料層202は複数の材料を含んでいてもよい。また、材料層202は、単層でもよいし、複数の層が積層されていてもよい。蒸着材料を含む層を複数積層することにより、共蒸着することが可能である。なお、蒸着材料を含む層を複数積層する場合には、第1の基板側に分解温度が低い蒸着材料を含むように積層されていることが好ましい。または、第1の基板側に蒸着温度が低い蒸着材料を含むように積層されていることが好ましい。このような構成とすることにより、蒸着材料を含む複数の層を効率良く昇華させることができ、蒸着することができる。なお、本明細書において「蒸着温度」とは、材料が昇華する温度を示す。また、「分解温度」とは、熱の作用によって、材料を示す化学式の少なくとも一部に変化が起こる温度を示す。
【0068】
材料層202は、種々の方法により形成される。例えば、乾式法である真空蒸着法、スパッタリング法等を用いることができる。また、湿式法であるスピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、又は印刷法等を用いることができる。これら湿式法を用いて材料層202を形成するには、所望の蒸着材料を溶媒に溶解あるいは分散させ、溶液あるいは分散液を調整すればよい。溶媒は、蒸着材料を溶解あるいは分散させることができ、且つ蒸着材料と反応しないものであれば特に限定されない。例えば、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、或いはクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、n−プロピルメチルケトン、或いはシクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、ベンゼン、トルエン、或いはキシレンなどの芳香族系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、或いは炭酸ジエチルなどのエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、或いはジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、或いはジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド、ヘキサン、又は水等を用いることができる。また、これらの溶媒複数種を混合して用いてもよい。湿式法を用いることにより、材料の利用効率を高めることができ、成膜に要するコストを低減することができる。
【0069】
なお、後の工程で被成膜基板である第2の基板206上に形成される蒸着材料を含む層211の膜厚および均一性は、支持基板である第1の基板上に形成された材料層202に依存する。従って、均一に材料層を形成することが重要となってくる。なお、蒸着材料を含む層の膜厚および均一性が保たれるのであれば、材料層は必ずしも均一の層である必要はない。例えば、微細な島状に形成されていてもよいし、凹凸を有する層状に形成されていてもよい。また、材料層の膜厚を制御することにより、容易に被成膜基板である第2の基板206上に形成される蒸着材料を含む層211の膜厚を制御することができる。
【0070】
なお、蒸着材料としては、有機化合物、無機化合物にかかわらず、種々の材料を用いることができる。特に、有機化合物は無機化合物に比べ、蒸着温度が低い材料が多いため、光の照射により蒸着することが容易であり、本発明の成膜方法に好適である。例えば、有機化合物としては、発光装置に用いられる発光材料、キャリア輸送材料などが挙げられる。また、無機化合物としては、発光装置のキャリア輸送層やキャリア注入層、電極などに用いられる金属酸化物、金属窒化物、ハロゲン化金属、金属単体などがあげられる。
【0071】
そして、図4(A)に示すように、第2の基板206の表面と接するように、シャドーマスク205を配置する。第2の基板206は、蒸着処理により所望の層が成膜される被成膜基板である。被成膜基板上に何らかの層(例えば、電極として機能する導電層や隔壁として機能する絶縁層等)が形成されている場合、シャドーマスク205の表面と、被成膜基板上に形成された層の表面とが接するように配置する。ただし、被成膜基板上に形成された層の表面に凹凸を有する場合は、シャドーマスク205の表面と、被成膜基板或いは被成膜基板上に形成された層の最表面との間の最も短い距離が0mmとなるように配置する。シャドーマスク205の表面と被成膜基板の表面との距離を小さくすることで、材料の利用効率を向上させることができる。また、被成膜基板に形成される層のパターン形成の精度を向上させることができる。
【0072】
シャドーマスク205は、所望のパターンの開口部を有する。材料層から気化した蒸着材料は、その開口部を通って、被成膜基板に成膜される。本発明に係る成膜方法を発光装置の作製に用いる場合、シャドーマスク205は、各発光素子に対応する開口部を有している。
【0073】
第1の基板200の、光吸収層201および材料層202が形成された面と、シャドーマスク205とが対向するように、第1の基板200を配置する。そして、第1の基板200とシャドーマスク205とを至近距離、具体的には、第1の基板200に設けられた材料層の表面とシャドーマスク205との距離dを、0mm以上0.05mm以下、好ましくは0mm以上0.03mm以下となるように近づけて近接させる。
【0074】
なお、距離dは、支持基板上に形成された材料層202の表面と、シャドーマスク205の表面との距離で定義する。ただし、支持基板上に形成された材料層202の表面に凹凸を有する場合は、距離dは、支持基板上の材料層202の表面と、シャドーマスク205の表面との間の最も短い距離で定義する。
【0075】
材料の利用効率を向上させるため、第1の基板とシャドーマスク205の基板間の距離は狭いほうが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0076】
図4において、第2の基板206は、第1の電極層207を有している。第1の電極層207の端部は絶縁物208で覆われていることが好ましい。本実施の形態において、第1の電極層は、発光素子の陽極あるいは陰極となる電極を示している。
【0077】
そして、第1の基板200の蒸着材料が設けられている面とは逆の面から光を照射する。光が照射された領域の光吸収層201は発熱し、その熱エネルギーを利用して蒸着材料を昇華させる。昇華した蒸着材料は、第1の電極層上に付着し、蒸着材料を含む層211が成膜される(図4(B))。
【0078】
照射する光の光源としては、種々の光源を用いることができる。
【0079】
例えば、レーザ光の光源としては、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。また、レーザ媒体が固体である固体レーザを用いると、メンテナンスフリーの状態を長く保てるという利点や、出力が比較的に安定している利点を有している。
【0080】
また、レーザ光以外の光源としては、フラッシュランプ(キセノンフラッシュランプ、クリプトンフラッシュランプなど)、キセノンランプ、メタルハライドランプのような放電灯、ハロゲンランプ、タングステンランプのような発熱灯を用いることができる。フラッシュランプは短時間(0.1ミリ秒乃至10ミリ秒)で非常に強度の高い光を繰り返し、大面積に照射することができるため、第1の基板の面積にかかわらず、効率よく均一に加熱することができる。また、発光させる時間の間隔を変えることによって第1の基板の加熱の制御もできる。また、フラッシュランプは寿命が長く、発光待機時の消費電力が低いため、ランニングコストを低く抑えることができる。
【0081】
なお、照射する光としては、赤外光(波長800nm以上)であることが好ましい。赤外光であることにより、光吸収層201が効率よく加熱され、蒸着材料を効率よく昇華させることができる。
【0082】
本実施の形態に示す成膜方法において、光源からの光を輻射熱ではなく、光吸収層を加熱させることが特徴である。また、光を照射する時間は、比較的短くてよい。例えば、ハロゲンランプを光源として用いた場合、500℃〜800℃を7〜15秒間程度保持することで、材料層を蒸着することができる。
【0083】
また、成膜は減圧雰囲気で行われることが好ましい。減圧雰囲気は、成膜室内を真空排気手段により真空度が5×10−3Pa以下、好ましくは10−4Pa乃至10−6Pa程度の範囲なるように真空排気することで得られる。なお、成膜室内をより高真空にすることが可能であれば、発光装置の信頼性を向上させるために、より高真空であることが好ましい。
【0084】
なお、図4では、光吸収層201が支持基板である第1の基板200の全面に形成されているが、それに限られない。例えば、光吸収層をシャドーマスクの開口部に対応するように設けてもよい。
【0085】
また、本実施の形態では、被成膜基板である第2の基板が、支持基板である第1の基板の下方に位置する場合を図示したが、本発明はこれに限定されない。基板の設置する向きは適宜設定することができる。
【0086】
本発明に係る発光装置に適用する成膜方法は、支持基板に形成した材料層の膜厚によって、蒸着処理により被成膜基板に成膜される蒸着材料を含む層の膜厚を制御することができる。つまり、支持基板に形成した材料層をそのまま蒸着すればよいため、膜厚モニターが不要である。よって、膜厚モニターを利用した蒸着速度の調節を使用者が行う必要がなく、成膜工程を全自動化することが可能である。そのため、生産性の向上を図ることができる。
【0087】
また、本発明に係る発光装置に適用する成膜方法は、材料層に含有される蒸着材料を均一に昇華させることができる。よって、成膜される膜の均一性に優れている。また、材料層が複数の蒸着材料を含む場合、材料層と同じ蒸着材料を略同じ重量比で含有する蒸着材料を含む層を被成膜基板に成膜することができる。このように、本発明に係る成膜方法は、蒸着温度の異なる複数の蒸着材料を用いて成膜する場合、共蒸着のようにそれぞれ蒸着レートを制御する必要がない。そのため、蒸着レート等の複雑な制御を行うことなく、所望の異なる蒸着材料を含む層を容易に精度良く成膜することができる。
【0088】
また、本発明を適用することで、平坦でムラのない膜を成膜することが可能となる。また、本発明を適用することで、発光層のパターン形成が容易となるため、発光装置の製造も簡便となる。また、微細なパターン形成が可能となるため、高精細な発光装置を得ることができる。また、本発明を適用することにより、光源として、レーザ光だけでなく、安価ではあるが熱量の大きなランプヒーター等を用いることができる。また、光源として、ランプヒーター等を用いることにより、大面積を一括して成膜することが可能となるため、タクト時間を短縮することができる。よって、発光装置の作製コストを削減することができる。
【0089】
また、本発明に係る成膜方法は、所望の蒸着材料を無駄にすることなく、被成膜基板に成膜することが可能である。よって、蒸着材料の利用効率が向上し、コスト削減を図ることができる。また、成膜室内壁に蒸着材料が付着することも防止でき、成膜装置のメンテナンスを簡便にすることができる。
【0090】
よって、本発明を適用することで、所望の異なる蒸着材料を含む層の成膜が容易になり、当該異なる蒸着材料を含む層を用いた発光装置等の製造における生産性を向上させることが可能となる。
【0091】
また、本発明に係る蒸着用基板を用いることにより、蒸着材料の利用効率良く成膜することが可能となり、コスト削減を測ることができる。また、本発明に係る蒸着用基板を用いることにより、精度良く、所望の形状の膜を形成することが可能となる。
【0092】
特に、赤、緑、青の発光素子を用いてフルカラーの発光装置を作製する場合において、本発明の成膜方法を適用することにより、精度良く各発光層の塗り分けることが可能となる。また、タクトタイムを短くすることが可能であるため、生産性良く発光装置を作製することができる。また、EL材料の利用効率を高めることによって、製造コストを削減することができる。
【0093】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0094】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1および実施の形態2で説明した成膜方法を用いてフルカラー表示装置を作製する方法について説明する。
【0095】
図4では、1回の成膜工程で、隣り合う第1の電極層207のそれぞれに成膜する例を示しているが、フルカラー表示装置を作製する場合には、複数回の成膜工程に分けて、発光色の異なる発光層をそれぞれ異なる領域に形成する。
【0096】
フルカラー表示可能な発光装置の作製例を以下に説明する。ここでは、3色の発光層を用いる発光装置の例を示す。
【0097】
図4(A)に示す蒸着材料が設けられた支持基板(蒸着用基板)を3枚用意する。それぞれの蒸着用基板には、それぞれ異なる蒸着材料を含む層を形成する。具体的には、赤色発光層用の材料層を設けた第1の蒸着用基板と、緑色発光層用の材料層を設けた第2の蒸着用基板と、青色発光層用の材料層を設けた第3の蒸着用基板とを用意する。
【0098】
また、第1の電極層が設けられた被成膜基板を1枚用意する。なお、隣り合う第1の電極層同士が短絡しないように、第1の電極層の端部を覆う隔壁となる絶縁物を設けることが好ましい。発光領域となる領域は、第1の電極層の一部、即ち絶縁物と重ならずに露呈している領域に相当する。
【0099】
そして、被成膜基板とシャドーマスクを重ね、位置合わせをする。位置合わせは、被成膜基板に設けた位置合わせ用のマーカーとシャドーマスクとのマーカーとを用いて行う。
【0100】
そして、第1の蒸着用基板の材料層が設けられている面をシャドーマスクと対向するように配置する。そして、第1の蒸着用基板の材料層が設けられている面と反対側から光を照射する。照射された光を光吸収層が吸収することで、光吸収層が発熱し、該光吸収層と接している赤色発光層用の材料層が昇華し、シャドーマスクの開口部を通って、被成膜基板に設けられている第1の電極層上に1回目の成膜が行われる。1回目の成膜を終えたら、第1の蒸着用基板は、被成膜基板と離れた場所へ移動させる。
【0101】
次いで、被成膜基板とシャドーマスクとを重ね、位置合わせをする。1回目の成膜時で形成された膜とは1画素分ずれるように、被成膜基板とシャドーマスクとの位置合わせをする。
【0102】
そして、第2の蒸着用基板の材料層が設けられている面をシャドーマスクと対向するように配置する。そして、第2の蒸着用基板の材料層が設けられている面と反対側から光を照射する。照射された光を光吸収層が吸収することで、光吸収層が発熱し、該光吸収層と接している緑色発光層用の材料層が昇華し、被成膜基板に設けられている第1の電極層上に2回目の成膜が行われる。2回目の成膜を終えたら、第2の蒸着層基板は、被成膜基板と離れた場所へ移動させる。
【0103】
次いで、被成膜基板とシャドーマスクとを重ね、位置合わせをする。1回目の成膜時で形成された膜とは2画素分ずれるように、被成膜基板とシャドーマスクとの位置合わせをする。
【0104】
そして、第3の蒸着用基板の材料層が設けられている面をシャドーマスクと対向するように配置する。そして、第3の蒸着用基板の材料層が設けられている面と反対側から光を照射して3回目の成膜を行う。この3回目の成膜を行う直前の様子が図5(A)の上面図に相当する。図5(A)において、シャドーマスク411は開口部412を有している。第3の蒸着用基板における開口部412に対応する領域には材料層および光吸収層が形成されている。また、被成膜基板における開口部412に対応する領域は、第1の電極層が絶縁物413で覆われておらず露出している領域である。なお、図5(A)中に点線で示した領域の下方には、既に1回目で成膜された第1の膜(R)421と2回目で成膜された第2の膜(G)422が位置している。
【0105】
そして、3回目の成膜により、第3の膜(B)423が形成される。照射された光を光吸収層が吸収することで、光吸収層が発熱し、該光吸収層と接している青色発光層用の材料層が昇華し、被成膜基板に設けられている第1の電極層上に3回目の成膜が行われる。3回目の成膜を終えたら、第3の蒸着層基板は、被成膜基板と離れた場所へ移動させる。
【0106】
こうして、第1の膜(R)421、第2の膜(G)422、第3の膜(B)423を一定の間隔をあけて選択的に形成する(図5(B))。そして、これらの膜上に第2の電極層を形成し、発光素子を形成する。
【0107】
以上の工程でフルカラー表示装置を作製することができる。
【0108】
図5では、シャドーマスクの開口部412の形状を矩形とした例を示したが、特に限定されず、ストライプ状の開口部としても良い。ストライプ状の開口部とした場合、同じ発光色となる発光領域の間にも成膜が行われるが、絶縁物413の上に形成されるため、絶縁物413と重なる部分は発光領域とはならない。
【0109】
また、画素の配列も特に限定されず、図6(B)に示すように、1つの画素形状を多角形、例えば六角形としてもよく、第1の膜(R)441、第2の膜(G)442、第3の膜(B)443を配置してフルカラー表示装置を実現してもよい。図6(B)に示す多角形の画素を形成するために、図6(A)に示す多角形の開口部432を有するシャドーマスク431を用いて、成膜すればよい。
【0110】
本発明を適用することで、発光素子を構成する蒸着材料を含む層を容易に形成することができ、当該発光素子を有する発光装置の製造も簡便になる。また、平坦でムラのない膜を成膜することが可能となる。また、本発明を適用することで、発光層のパターン形成が容易となり、タクトタイムを短くすることができるため、発光装置の生産性が向上する。また、微細なパターン形成が可能となるため、高精細な発光装置を得ることができる。特に、大型の基板を用いた場合、従来の方法では、シャドーマスクがたわみ、所望の形状を有する膜を精度良く成膜することが困難であったが、本発明を適用することにより、大型の基板を用いた場合であっても所望の形状を有する膜を精度良く形成することができる。よって、大型で、かつ、高精細の発光装置を容易に作成することができる。また、本発明を適用することにより、光源として、レーザ光だけでなく、安価ではあるが熱量の大きなランプヒーター等を用いることができる。よって、発光装置の作製コストを削減することができる。
【0111】
また、本発明を適用することにより、ホスト材料にドーパント材料が分散された発光層を形成する場合、共蒸着を適用する場合と比べ複雑な制御を必要としない。さらに、ドーパント材料の添加量等も制御し易いため、容易に精度良く成膜でき、所望の発光色も得られやすくなる。また、蒸着材料の利用効率も向上させることができるため、コスト削減を図ることもできる。
【0112】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0113】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明を適用して、発光素子および発光装置を作製する方法について説明する。
【0114】
例えば、図7(A)、(B)に示す発光素子を作製することができる。図7(A)に示す発光素子は、基板300上に第1の電極層302、発光層304として機能するEL層、第2の電極層306が順に積層して設けられている。第1の電極層302及び第2の電極層306のいずれか一方は陽極として機能し、他方は陰極として機能する。陽極から注入される正孔及び陰極から注入される電子が発光層304で再結合して、発光を得ることができる。本実施の形態において、第1の電極層302は陽極として機能する電極であり、第2の電極層306は陰極として機能する電極であるとする。
【0115】
また、図7(B)に示す発光素子は、上述の図7(A)に示す構成に加えて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層が設けられている。正孔輸送層は、陽極と発光層の間に設けられる。また、正孔注入層は陽極と正孔輸送層との間に設けられる。一方、電子輸送層は、陰極と発光層との間に設けられ、電子注入層は陰極と電子輸送層との間に設けられる。なお、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層は全ての層を設ける必要はなく、適宜求める機能等に応じて選択して設ければよい。図7(B)では、基板300上に、陽極として機能する第1の電極層302、正孔注入層322、正孔輸送層324、発光層304、電子輸送層326、電子注入層328、及び陰極として機能する第2の電極層306が順に積層して設けられているものとする。
【0116】
基板300は、絶縁表面を有する基板または絶縁基板を適用する。具体的には、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われる各種ガラス基板、石英基板、セラミック基板又はサファイヤ基板等を用いることができる。
【0117】
第1の電極層302又は第2の電極層306は、様々な金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。また、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、アルミニウムを含む合金(AlSi)等を用いることができる。また、仕事関数の小さい材料である、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(アルミニウム、マグネシウムと銀との合金、アルミニウムとリチウムの合金)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等を用いることもできる。アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金の膜は、真空蒸着法を用いて形成することができる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む合金はスパッタリング法により形成することも可能である。また、銀ペーストなどをインクジェット法などにより成膜することも可能である。また、第1の電極層302および第2の電極層306は、単層膜に限らず、積層膜で形成することもできる。
【0118】
なお、発光層304で発光する光を外部に取り出すため、第1の電極層302又は第2の電極層306のいずれか一方或いは両方は、発光を通過させるように形成する。例えば、インジウム錫酸化物等の透光性を有する導電材料を用いて形成するか、或いは、銀、アルミニウム等を数nm乃至数十nmの厚さとなるように形成する。また、膜厚を薄くした銀、アルミニウムなどの金属薄膜と、ITO膜等の透光性を有する導電材料を用いた薄膜との積層構造とすることもできる。なお、第1の電極層302又は第2の電極層306は、種々の方法を用いて形成すればよい。
【0119】
発光層304、正孔注入層322、正孔輸送層324、電子輸送層326又は電子注入層328は、上記実施の形態1〜実施の形態3で示した成膜方法を適用して形成することができる。また、電極層を上記実施の形態1〜実施の形態3で示した成膜方法を適用して形成することもできる。
【0120】
例えば、図7(A)に示す発光素子を形成する場合、支持基板には光吸収層および発光層を形成する蒸着源となる第1の蒸着材料を含む層を形成し、当該支持基板を被成膜基板に近接させて配置する。光を照射することにより、支持基板上に形成された第1の蒸着材料を含む層を加熱して昇華させ、被成膜基板上に発光層304を形成する。そして、発光層304上に第2の電極層306を形成する。被成膜基板は、ここでは基板300である。なお、被成膜基板上には、予め第1の電極層302を形成しておく。
【0121】
発光層304としては種々の材料を用いることができる。例えば、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
【0122】
発光層に用いることのできる燐光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス[2−(3’,5’ビストリフルオロメチルフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、ビス(1,2−ジフェニル−1H−ベンゾイミダゾラト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pbi)(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)(acac))などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))などが挙げられる。また、橙色系の発光材料として、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq))、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)(acac))などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)等の有機金属錯体が挙げられる。また、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen))、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))等の希土類金属錯体は、希土類金属イオンからの発光(異なる多重度間の電子遷移)であるため、燐光性化合物として用いることができる。
【0123】
発光層に用いることのできる蛍光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,13−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)などが挙げられる。
【0124】
また、発光層304として、発光性の高い物質(ドーパント材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成を用いることもできる。発光性の高い物質(ドーパント材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成を用いるにより、発光層の結晶化を抑制することができる。また、発光性の高い物質の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
【0125】
発光性の高い物質を分散させる物質としては、発光性の高い物質が蛍光性化合物の場合には、蛍光性化合物よりも一重項励起エネルギー(基底状態と一重項励起状態とのエネルギー差)が大きい物質を用いることが好ましい。また、発光性の高い物質が燐光性化合物の場合には、燐光性化合物よりも三重項励起エネルギー(基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差)が大きい物質を用いることが好ましい。
【0126】
発光層に用いるホスト材料としては、例えば4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)などの他、4,4’−ジ(9−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)などが挙げられる。
【0127】
また、ドーパント材料としては、上述した燐光性化合物や蛍光性化合物を用いることができる。
【0128】
発光層として、発光性の高い物質(ドーパント材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成を用いる場合には、蒸着源となる第1の蒸着材料を含む層として、ホスト材料とゲスト材料とを混合した層を形成すればよい。または、蒸着源となる第1の蒸着材料を含む層として、ホスト材料を含む層とドーパント材料を含む層とが積層した構成としてもよい。このような構成の蒸着源を用いて発光層を形成することにより、発光層304は発光材料を分散させる物質(ホスト材料)と発光性の高い物質(ドーパント材料)とを含み、発光材料を分散させる物質(ホスト材料)に発光性の高い物質(ドーパント材料)が分散された構成となる。なお、発光層として、2種類以上のホスト材料とドーパント材料を用いてもよいし、2種類以上のドーパント材料とホスト材料を用いてもよい。また、2種類以上のホスト材料及び2種類以上のドーパント材料を用いてもよい。
【0129】
また、図7(B)に示す各種機能層が積層した発光素子を形成する場合は、支持基板上に蒸着材料を含む層を形成し、当該支持基板を被成膜基板に近接させて配置し、支持基板上に形成された蒸着材料を含む層を加熱して昇華させ、被成膜基板上に機能層を形成する手順を繰り返せばよい。例えば、支持基板上に正孔注入層を形成する蒸着源となる材料層を形成し、当該支持基板を被成膜基板に近接させて配置した後、支持基板上に形成された材料層を加熱して昇華させ、被成膜基板上に正孔注入層322を形成する。被成膜基板はここでは基板300であり、予め第1の電極層302が設けられている。続けて、支持基板上に正孔輸送層を形成する蒸着源となる材料層を形成し、当該支持基板を被成膜基板に近接させて配置した後、支持基板上に形成された材料層を加熱して昇華させ、被成膜基板上の正孔注入層322上に正孔輸送層324を形成する。この後、同様に発光層304、電子輸送層326、電子注入層328を順に積層して形成した後、第2の電極層306を形成する。
【0130】
正孔注入層322、正孔輸送層324、電子輸送層326又は電子注入層328は、種々のEL材料を用いて形成すればよい。各層を形成する材料は1種類としてもよいし、複数種類の複合材料としてもよい。複合材料を用いて形成する場合は、上述したように、複数の蒸着材料を含む材料層を形成すればよい。または、蒸着材料を含む複数の層を積層して材料層を形成すればよい。1種類の材料を用いて形成する場合も、実施の形態1〜実施の形態3で示した成膜方法を適用することができる。また、正孔注入層322、正孔輸送層324、電子輸送層326又は電子注入層328は、それぞれ単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。例えば、正孔輸送層324を、第1の正孔輸送層及び第2の正孔輸送層からなる積層構造としてもよい。また、電極層についても上記実施の形態1〜実施の形態3で示した成膜方法を適用することができる。
【0131】
例えば、正孔注入層322としては、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層を形成することができる。
【0132】
また、正孔注入層322として、正孔輸送性の高い物質と電子受容性を示す物質を含む層を用いることができる。正孔輸送性の高い物質と電子受容性を示す物質とを含む層は、キャリア密度が高く、正孔注入性に優れている。また、正孔輸送性の高い物質と電子受容性を示す物質とを含む層を、陽極として機能する電極に接する正孔注入層として用いることにより、陽極として機能する電極材料の仕事関数の大小に関わらず、様々な金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。
【0133】
正孔輸送性の高い物質と電子受容性を示す物質を含む層は、例えば、正孔輸送性の高い物質を含む層と電子受容性を示す物質を含む層を積層したものを蒸着源として用いることにより形成することができる。
【0134】
正孔注入層に用いる電子受容性を示す物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0135】
正孔注入層に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、正孔注入層に用いる正孔輸送性の高い物質としては、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、正孔注入層に用いることのできる正孔の輸送性の高い物質を具体的に列挙する。
【0136】
例えば、正孔注入層に用いることのできる芳香族アミン化合物としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)等を用いることができる。また、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
【0137】
正孔注入層に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
【0138】
また、正孔注入層に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
【0139】
また、正孔注入層に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert−ブチル−アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
【0140】
なお、正孔注入層に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0141】
これら正孔輸送性の高い物質を含む層と、電子受容性を示す物質を含む層を積層した蒸着源を用いることで、正孔注入層を形成することができる。電子受容性を示す物質として金属酸化物を用いた場合には、第1の基板上に正孔輸送性の高い物質を含む層を形成した後、金属酸化物を含む層を形成することが好ましい。金属酸化物は、正孔輸送性の高い物質よりも分解温度または蒸着温度が高い場合が多いためである。このような構成の蒸着源とすることにより、正孔輸送性の高い物質と金属酸化物とを効率良く昇華させることができる。また、蒸着して形成した膜において局所的な濃度の偏りを抑制することができる。また、正孔輸送性の高い物質と金属酸化物の両方を溶解させるまたは分散させる溶媒は種類が少なく、混合溶液を形成しにくい。よって、湿式法を用いて混合層を直接形成することは困難である。しかし、本発明の成膜方法を用いることにより、正孔輸送性の高い物質と金属酸化物とを含む混合層を容易に形成することができる。
【0142】
また、正孔輸送性の高い物質と電子受容性を示す物質とを含む層は、正孔注入性だけでなく、正孔輸送性も優れているため、上述した正孔注入層を正孔輸送層として用いてもよい。
【0143】
また、正孔輸送層324は、正孔輸送性の高い物質を含む層であり、正孔輸送性の高い物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0144】
電子輸送層326は、電子輸送性の高い物質を含む層であり、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ01)バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0145】
また、電子注入層328としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属化合物、又はアルカリ土類金属化合物を用いることができる。さらに、電子輸送性を有する物質とアルカリ金属又はアルカリ土類金属が組み合わされた層も使用できる。例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたものを用いることができる。なお、電子注入層として、電子輸送性を有する物質とアルカリ金属又はアルカリ土類金属を組み合わせた層を用いることは、第2の電極層306からの電子注入が効率良く起こるためより好ましい。
【0146】
なお、EL層308は、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質等を含む層と、発光層とを適宜組み合わせて構成すればよい。
【0147】
発光は、第1の電極層302または第2の電極層306のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極層302または第2の電極層306のいずれか一方または両方は、透光性を有する電極である。第1の電極層302のみが透光性を有する電極である場合、光は第1の電極層302を通って基板300側から取り出される。また、第2の電極層306のみが透光性を有する電極である場合、光は第2の電極層306を通って基板300と逆側から取り出される。第1の電極層302および第2の電極層306がいずれも透光性を有する電極である場合、光は第1の電極層302および第2の電極層306を通って、基板300側および基板300側と逆側の両方から取り出される。
【0148】
なお、図7では、陽極として機能する第1の電極層302を基板300側に設けた構成について示したが、陰極として機能する第2の電極層306を基板300側に設けてもよい。図8では、基板300上に、陰極として機能する第2の電極層306、EL層308、陽極として機能する第1の電極層302とが順に積層された構成となっている。図8(B)に示すEL層308は、図7(B)に示す構成とは逆の順序に積層されている。
【0149】
また、EL層の形成方法としては、実施の形態1〜実施の形態3で示した成膜方法を用いていればよく、他の成膜方法と組み合わせてもよい。また、各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。乾式法としては、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。また、湿式法としては、インクジェット法またはスピンコート法などが挙げられる。
【0150】
以上で、発光素子を作製することができる。本実施の形態に係る発光素子は、本発明を適用することで、発光層をはじめとする各種機能層を容易に形成することができる。そして、このような発光素子を適用して、発光装置を作製することができる。例えば、本発明を適用して作製したパッシブマトリクス型の発光装置の例を図9、図10、及び図11を用いて説明する。
【0151】
パッシブマトリクス型(単純マトリクス型ともいう)発光装置は、ストライプ状(帯状)に並列された複数の陽極と、ストライプ状に並列された複数の陰極とが互いに直交するように設けられており、その交差部に発光層が挟まれた構造となっている。従って、選択された(電圧が印加された)陽極と選択された陰極との交点にあたる画素が点灯することになる。
【0152】
図9(A)は、封止前における画素部の上面図を示す図であり、図9(A)中の鎖線A−A’で切断した断面図が図9(B)であり、鎖線B−B’で切断した断面図が図9(C)である。
【0153】
基板1501上には、下地絶縁層として絶縁層1504を形成する。なお、下地絶縁層が必要でなければ特に形成しなくともよい。絶縁層1504上には、ストライプ状に複数の第1の電極層1513が等間隔で配置されている。また、第1の電極層1513上には、各画素に対応する開口部を有する隔壁1514が設けられ、開口部を有する隔壁1514は絶縁材料(感光性または非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)、またはSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜))で構成されている。なお、各画素に対応する開口部が発光領域1521となる。
【0154】
開口部を有する隔壁1514上に、第1の電極層1513と交差する互いに平行な複数の逆テーパ状の隔壁1522が設けられる。逆テーパ状の隔壁1522はフォトリソグラフィ法に従い、未露光部分がパターンとして残るポジ型感光性樹脂を用い、パターンの下部がより多くエッチングされるように露光量または現像時間を調節することによって形成する。
【0155】
また、平行な複数の逆テーパ状の隔壁1522を形成した直後における斜視図を図10に示す。なお、図9と同一の部分には同一の符号を用いている。
【0156】
開口部を有する隔壁1514及び逆テーパ状の隔壁1522を合わせた高さは、発光層を含むEL層及び第2の電極層となる導電層の膜厚より大きくなるように設定する。図10に示す構成を有する基板に対して発光層を含むEL層と、導電層とを積層形成すると、図9に示すように複数の領域に分離された、発光層を含むEL層1515R、EL層1515G、EL層1515Bと、第2の電極層1516とが形成される。なお、複数に分離された領域は、それぞれ電気的に独立している。第2の電極層1516は、第1の電極層1513と交差する方向に伸長する互いに平行なストライプ状の電極である。なお、逆テーパ状の隔壁1522上にも発光層を含むEL層及び導電層が形成されるが、発光層を含むEL層1515R、1515G、1515B及び第2の電極層1516とは分断されている。なお、本実施の形態において、EL層とは少なくとも発光層を含む層であって、該発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、又は電子注入層等を含んでいてもよい。
【0157】
ここでは、発光層を含むEL層1515R、1515G、1515Bを選択的に形成し、3種類(R、G、B)の発光が得られるフルカラー表示可能な発光装置を形成する例を示している。発光層を含むEL層1515R、1515G、1515Bはそれぞれ互いに平行なストライプパターンで形成されている。これらのEL層を形成するには、上記実施の形態1〜実施の形態3に示す成膜方法を適用すればよい。例えば、赤色の発光が得られる発光層の蒸着源を形成した第1の支持基板、緑色の発光が得られる発光層の蒸着源を形成した第2の支持基板、青色の発光が得られる発光層の蒸着源を形成した第3の支持基板をそれぞれ準備する。また、被成膜基板として第1の電極層1513が設けられた基板を準備する。そして、第1支持基板、第2支持基板、又は第3支持基板を、被成膜基板と適宜対向して配置し、支持基板に形成された蒸着源を加熱して昇華させ、被成膜基板に発光層を含むEL層を形成する。なお、所望の場所に選択的にEL層を形成するため、適宜マスク等を用いる。
【0158】
また、必要であれば、封止缶や封止のためのガラス基板などの封止材を用いて封止する。ここでは、封止基板としてガラス基板を用い、シール材などの接着材を用いて基板と封止基板とを貼り合わせ、シール材などの接着材で囲まれた空間を密閉なものとしている。密閉された空間には、充填材や、乾燥した不活性ガスを充填する。また、発光装置の信頼性を向上させるために、基板と封止材との間に乾燥材などを封入してもよい。乾燥材によって水分が除去され、十分乾燥される。また、乾燥材としては、酸化カルシウムや酸化バリウムなどのようなアルカリ土類金属の酸化物のような化学吸着によって水分を吸収する物質を用いることが可能である。なお、他の乾燥材として、ゼオライトやシリカゲル等の物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。
【0159】
ただし、発光素子を覆って接する封止材が設けられ、十分に外気と遮断されている場合には、乾燥材は、特に設けなくともよい。
【0160】
次いで、FPCなどを実装した発光モジュールの上面図を図11に示す。図11には基板1601上に画素部が形成されている。
【0161】
なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、発光装置にコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子が形成された基板にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【0162】
図11に示すように画像表示を構成する画素部は、走査線群とデータ線群が互いに直交するように交差している。
【0163】
図9における第1の電極層1513が図11の走査線1603に相当し、第2の電極層1516がデータ線1602に相当し、逆テーパ状の隔壁1522が隔壁1604に相当する。データ線1602と走査線1603の間には発光層を含むEL層が挟まれており、領域1605で示される交差部が画素1つ分となる。
【0164】
なお、走査線1603は配線端で接続配線1608と電気的に接続され、接続配線1608が入力端子1607を介してFPC1609bに接続される。また、データ線は入力端子1606を介してFPC1609aに接続される。
【0165】
また、必要であれば、射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0166】
以上でパッシブマトリクス型の発光装置を作製できる。本発明を適用することで、発光素子を構成する蒸着材料を含む層を容易に形成することができ、当該発光素子を有する発光装置の製造も簡便になる。また、ホスト材料にドーパント材料が分散された発光層を形成する場合、共蒸着を適用する場合と比べ複雑な制御を必要としない。さらに、ドーパント材料の添加量等も制御し易いため、容易に精度良く成膜でき、所望の発光色も得られやすくなる。また、蒸着材料の利用効率も向上させることができるため、コスト削減を図ることもできる。
【0167】
また、本発明を適用することで、平坦でムラのない膜を成膜することが可能となる。また、本発明を適用することで、発光層のパターン形成が容易となるため、発光装置の製造も簡便となる。また、微細なパターン形成が可能となるため、高精細な発光装置を得ることができる。また、本発明を適用することにより、光源として、レーザ光だけでなく、安価ではあるが熱量の大きなランプヒーター等を用いることができる。よって、発光装置の作製コストを削減することができる。
【0168】
また、図11では、駆動回路を基板上に設けていない例を示したが、本発明は特に限定されず、基板に駆動回路を有するICチップを実装させてもよい。
【0169】
ICチップを実装させる場合、画素部の周辺(外側)の領域に、画素部へ各信号を伝送する駆動回路が形成されたデータ線側IC、走査線側ICをCOG方式によりそれぞれ実装する。COG方式以外の実装技術としてTCPやワイヤボンディング方式を用いて実装してもよい。TCPはTABテープにICを実装したものであり、TABテープを素子形成基板上の配線に接続してICを実装する。データ線側IC、および走査線側ICは、シリコン基板を用いたものであってもよいし、ガラス基板、石英基板もしくはプラスチック基板上にTFTで駆動回路を形成したものであってもよい。また、片側に一つのICを設けた例を説明しているが、片側に複数個に分割して設けても構わない。
【0170】
次に、本発明を適用して作製したアクティブマトリクス型の発光装置の例について、図12を用いて説明する。なお、図12(A)は発光装置を示す上面図であり、図12(B)は図12(A)を鎖線A−A’で切断した断面図である。本実施の形態に係るアクティブマトリクス型の発光装置は、素子基板1710上に設けられた画素部1702と、駆動回路部(ソース側駆動回路)1701と、駆動回路部(ゲート側駆動回路)1703と、を有する。画素部1702、駆動回路部1701、及び駆動回路部1703は、シール材1705によって、素子基板1710と封止基板1704との間に封止されている。
【0171】
また、素子基板1710上には、駆動回路部1701、及び駆動回路部1703に外部からの信号(例えば、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、又はリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き回し配線1708が設けられる。ここでは、外部入力端子としてFPC(フレキシブルプリントサーキット)1709を設ける例を示している。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0172】
次に、断面構造について図12(B)を用いて説明する。素子基板1710上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、ソース側駆動回路である駆動回路部1701と、画素部1702が示されている。
【0173】
駆動回路部1701はnチャネル型TFT1723とpチャネル型TFT1724とを組み合わせたCMOS回路が形成される例を示している。なお、駆動回路部を形成する回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、画素部が形成された基板と同一の基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、画素部が形成された基板上ではなく外部に駆動回路を形成することもできる。
【0174】
また、画素部1702はスイッチング用TFT1711と、電流制御用TFT1712と当該電流制御用TFT1712の配線(ソース電極又はドレイン電極)に電気的に接続された第1の電極層1713とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極層1713の端部を覆って絶縁物1714が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂を用いることにより形成する。
【0175】
また、上層に積層形成される膜の被覆性を良好なものとするため、絶縁物1714の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにするのが好ましい。例えば、絶縁物1714の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、絶縁物1714の上端部に曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物1714として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができ、有機化合物に限らず無機化合物、例えば、酸化シリコン、酸窒化シリコン等、の両者を使用することができる。
【0176】
第1の電極層1713上には、発光層を含むEL層1700及び第2の電極層1716が積層形成されている。第1の電極層1713は上述の第1の電極層302に相当し、第2の電極層1716は第2の電極層306に相当する。なお、第1の電極層1713をITO膜とし、第1の電極層1713と接続する電流制御用TFT1712の配線として窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層膜、或いは窒化チタン膜、アルミニウムを主成分とする膜、窒化チタン膜との積層膜を適用すると、配線としての抵抗も低く、ITO膜との良好なオーミックコンタクトがとれる。なお、図12(A)(B)では図示しないが、第2の電極層1716は外部入力端子であるFPC1709に電気的に接続されている。
【0177】
EL層1700は、少なくとも発光層が設けられており、発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層又は電子注入層を適宜設ける構成とする。第1の電極層1713、EL層1700及び第2の電極層1716との積層構造で、発光素子1715が形成されている。
【0178】
また、図12(B)に示す断面図では発光素子1715を1つのみ図示しているが、画素部1702において、複数の発光素子がマトリクス状に配置されているものとする。画素部1702には、3種類(R、G、B)の発光が得られる発光素子をそれぞれ選択的に形成し、フルカラー表示可能な発光装置を形成することができる。また、カラーフィルタと組み合わせることによってフルカラー表示可能な発光装置としてもよい。
【0179】
さらにシール材1705で封止基板1704を素子基板1710と貼り合わせることにより、素子基板1710、封止基板1704、およびシール材1705で囲まれた空間1707に発光素子1715が備えられた構造になっている。なお、空間1707には、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材1705で充填される構成も含むものとする。
【0180】
なお、シール材1705にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板1704に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0181】
以上のようにして、本発明を適用して発光装置を得ることができる。アクティブマトリクス型の発光装置は、TFTを作製するため、1枚あたりの製造コストが高くなりやすいが、本発明を適用することで、発光素子を形成する際の材料のロスを大幅に削減することが可能である。よって、コスト削減を図ることができる。
【0182】
また、本発明を適用することで、発光素子を構成する蒸着材料を含む層を容易に形成することができ、当該発光素子を有する発光装置の製造も簡便になる。また、平坦でムラのない膜を成膜することが可能となる。また、本発明を適用することで、発光層のパターン形成が容易となるため、発光装置の製造も簡便となる。また、微細なパターン形成が可能となるため、高精細な発光装置を得ることができる。また、本発明を適用することにより、光源として、レーザ光だけでなく、安価ではあるが熱量の大きなランプヒーター等を用いることができる。よって、発光装置の作製コストを削減することができる。
【0183】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0184】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明を適用して作製した発光装置を用いて完成させた様々な電子機器について、図13を用いて説明する。
【0185】
本発明に係る発光装置を適用した電子機器として、テレビジョン、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはデジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)、照明器具などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図13に示す。
【0186】
図13(A)は表示装置であり、筐体8001、支持台8002、表示部8003、スピーカー部8004、ビデオ入力端子8005等を含む。本発明を用いて形成される発光装置をその表示部8003に用いることにより作製される。なお、表示装置は、コンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用装置が含まれる。本発明を適用することでスループットを向上できるため、表示装置の製造における生産性を向上させることができる。また、表示装置の製造における材料のロスを削減できるため、製造コストの低減を図ることができ、安価な表示装置を提供することができる。
【0187】
図13(B)はコンピュータであり、本体8101、筐体8102、表示部8103、キーボード8104、外部接続ポート8105、ポインティングデバイス8106等を含む。本発明を用いて形成される発光装置をその表示部8103に用いることにより作製される。本発明を適用することでスループットを向上できるため、表示装置の製造における生産性を向上させることができる。また、表示装置の製造における材料のロスを削減できるため、製造コストの低減を図ることができ、安価なコンピュータを提供することができる。
【0188】
図13(C)はビデオカメラであり、本体8201、表示部8202、筐体8203、外部接続ポート8204、リモコン受信部8205、受像部8206、バッテリー8207、音声入力部8208、操作キー8209、接眼部8210等を含む。本発明を用いて形成される発光装置をその表示部8202に用いることにより作製される。本発明を適用することでスループットを向上できるため、表示装置の製造における生産性を向上させることができる。また、表示装置の製造における材料のロスを削減できるため、製造コストの低減を図ることができ、安価なビデオカメラを提供することができる。
【0189】
図13(D)は卓上照明器具であり、照明部8301、傘8302、可変アーム8303、支柱8304、台8305、電源スイッチ8306を含む。本発明を用いて形成される発光装置を照明部8301に用いることにより作製される。なお、照明器具には天井固定型の照明器具または壁掛け型の照明器具なども含まれる。本発明を適用することでスループットを向上できるため、表示装置の製造における生産性を向上させることができる。また、表示装置の製造における材料のロスを削減できるため、製造コストの低減を図ることができ、安価な卓上照明器具を提供することができる。
【0190】
図13(E)は携帯電話であり、本体8401、筐体8402、表示部8403、音声入力部8404、音声出力部8405、操作キー8406、外部接続ポート8407、アンテナ8408等を含む。本発明を用いて形成される発光装置をその表示部8403に用いることにより作製される。本発明を適用することでスループットを向上できるため、表示装置の製造における生産性を向上させることができる。また、表示装置の製造における材料のロスを削減できるため、製造コストの低減を図ることができ、安価な携帯電話を提供することができる。
【0191】
図14には、図13(E)とは異なる構成の携帯電話の一例を示した。図14(A)が正面図、図14(B)が背面図、図14(C)が展開図である。図14に示す携帯電話は、電話と携帯情報端末の双方の機能を備えており、コンピュータを内蔵し、音声通話以外にも様々なデータ処理が可能な所謂スマートフォンである。
【0192】
図14に示す携帯電話は、筐体1001及び1002二つの筐体で構成されている。筐体1001には、表示部1101、スピーカー1102、マイクロフォン1103、操作キー1104、ポインティングデバイス1105、カメラ用レンズ1106、外部接続端子1107、イヤホン端子1108等を備え、筐体1002には、キーボード1201、外部メモリスロット1202、カメラ用レンズ1203、ライト1204等を備えている。また、アンテナは筐体1001内部に内蔵されている。
【0193】
また、上記構成に加えて、非接触ICチップ、小型記録装置等を内蔵していてもよい。
【0194】
表示部1101には、実施の形態4で示した発光装置を組み込むことが可能であり、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。表示部1101と同一面上にカメラ用レンズ1106を備えているため、テレビ電話が可能である。また、表示部1101をファインダーとしカメラ用レンズ1203及びライト1204で静止画及び動画の撮影が可能である。スピーカー1102及びマイクロフォン1103は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生等が可能である。操作キー1104では、電話の発着信、電子メール等の簡単な情報入力、画面のスクロール、カーソル移動等が可能である。更に、重なり合った筐体1001と筐体1002(図14(A))は、スライドし図14(C)のように展開し、携帯情報端末として使用できる。この場合、キーボード1201、ポインティングデバイス1105を用い円滑な操作が可能である。外部接続端子1107はACアダプタ及びUSBケーブル等の各種ケーブルと接続可能であり、充電及びコンピュータ等とのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット1202に記録媒体を挿入しより大量のデータ保存及び移動に対応できる。
【0195】
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能等を備えたものであってもよい。
【0196】
本発明を適用することでスループットを向上できるため、表示装置の製造における生産性を向上させることができる。また、表示装置の製造における材料のロスを削減できるため、製造コストの低減を図ることができ、安価な携帯電話を提供することができる。
【0197】
以上のようにして、本発明に係る発光装置を適用して電子機器や照明器具を得ることができる。本発明に係る発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0198】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】本発明に係る成膜工程を説明する図。
【図2】本発明に係る成膜工程を説明する図。
【図3】本発明に係る成膜工程を説明する図。
【図4】本発明に係る成膜工程を説明する図。
【図5】本発明に係る成膜工程を説明する図。
【図6】本発明に係る成膜工程を説明する図。
【図7】発光素子の例を示す図。
【図8】発光素子の例を示す図。
【図9】パッシブマトリクス型発光装置の上面図および断面図の例。
【図10】パッシブマトリクス型発光装置の斜視図の一例。
【図11】パッシブマトリクス型発光装置の上面図の一例。
【図12】アクティブマトリクス型発光装置の上面図および断面図の一例。
【図13】電子機器の例を示す図。
【図14】電子機器の例を示す図。
【図15】本発明に係る成膜工程を説明する図。
【符号の説明】
【0200】
101 被成膜基板
102 平板
103 被成膜基板保持手段
104 シャドーマスク
105 マスクフレーム
106 シャドーマスク保持手段
107 支持基板
108 蒸着材料
109 支持基板保持手段
121 成膜ユニット
122 カメラ
123 窓
124 ランプ
125 光源保持手段
134 レーザ
135 光学系
141 第1の成膜領域
142 第2の成膜領域
143 第3の成膜領域
200 第1の基板
201 光吸収層
202 材料層
205 シャドーマスク
206 第2の基板
207 第1の電極層
208 絶縁物
211 蒸着材料を含む層
300 基板
302 第1の電極層
304 発光層
306 第2の電極層
308 EL層
322 正孔注入層
324 正孔輸送層
326 電子輸送層
328 電子注入層
411 シャドーマスク
412 開口部
413 絶縁物
421 第1の膜(R)
422 第2の膜(G)
423 第3の膜(B)
431 シャドーマスク
432 開口部
441 第1の膜(R)
442 第2の膜(G)
443 第3の膜(B)
1001 筐体
1002 筐体
1101 表示部
1102 スピーカー
1103 マイクロフォン
1104 操作キー
1105 ポインティングデバイス
1106 カメラ用レンズ
1107 外部接続端子
1108 イヤホン端子
1201 キーボード
1202 外部メモリスロット
1203 カメラ用レンズ
1204 ライト
1501 基板
1504 絶縁層
1513 第1の電極層
1514 隔壁
1516 第2の電極層
1515B EL層
1515G EL層
1515R EL層
1521 発光領域
1522 隔壁
1601 基板
1602 データ線
1603 走査線
1604 隔壁
1605 領域
1606 入力端子
1607 入力端子
1608 接続配線
1609a FPC
1609b FPC
1700 EL層
1701 駆動回路部(ソース側駆動回路)
1702 画素部
1703 駆動回路部(ゲート側駆動回路)
1704 封止基板
1705 シール材
1707 空間
1708 配線
1709 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
1710 素子基板
1711 スイッチング用TFT
1712 電流制御用TFT
1713 第1の電極層
1714 絶縁物
1715 発光素子
1716 第2の電極層
1723 nチャネル型TFT
1724 pチャネル型TFT
8001 筐体
8002 支持台
8003 表示部
8004 スピーカー部
8005 ビデオ入力端子
8101 本体
8102 筐体
8103 表示部
8104 キーボード
8105 外部接続ポート
8106 ポインティングデバイス
8201 本体
8202 表示部
8203 筐体
8204 外部接続ポート
8205 リモコン受信部
8206 受像部
8207 バッテリー
8208 音声入力部
8209 操作キー
8210 接眼部
8301 照明部
8302 傘
8303 可変アーム
8304 支柱
8305 台
8306 電源スイッチ
8401 本体
8402 筐体
8403 表示部
8404 音声入力部
8405 音声出力部
8406 操作キー
8407 外部接続ポート
8408 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被成膜基板を少なくとも2つの領域に分け、
前記被成膜基板より小さい面積のシャドーマスクを用い、
第1の領域に対してシャドーマスクの位置合わせを行い、前記第1の領域に蒸着材料を成膜し、
第2の領域に対してシャドーマスクの位置合わせを行い、前記第2の領域に蒸着材料を成膜する成膜方法。
【請求項2】
被成膜基板と、前記被成膜基板より小さい面積のシャドーマスクを用い、
被成膜基板を2以上の領域に分け、1つの領域に対して前記シャドーマスクとの位置合わせを行い、前記1つの領域に蒸着材料を成膜し、未成膜領域にシャドーマスクを移動する工程を複数回行うことを特徴とする成膜方法。
【請求項3】
被成膜基板と、前記被成膜基板より小さい面積のシャドーマスクと、平面状の蒸着源とを用い、
前記被成膜基板と前記シャドーマスクとの位置合わせを行い、平面状の蒸着源から蒸着材料を気化し、前記被成膜基板の少なくとも一部に前記蒸着材料を成膜する工程を複数回行うことを特徴とする成膜方法。
【請求項4】
被成膜基板と、前記被成膜基板より小さい面積のシャドーマスクと、支持基板とを用い、
前記被成膜基板と前記シャドーマスクとの位置合わせを行い、
光源ユニットからの光を前記支持基板に照射し、照射光を前記支持基板に設けられた光吸収層に吸収させることにより、前記支持基板に設けられた蒸着材料を加熱し、前記蒸着材料の少なくとも一部を気化させ、前記シャドーマスクの開口部を介して、前記被成膜基板の表面の少なくとも一部に、前記蒸着材料を成膜し、
前記被成膜基板または前記シャドーマスクを移動する工程を複数回行うことを特徴とする成膜方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記シャドーマスクを移動させるときに、前記光源ユニットも移動させることを特徴とする成膜方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5において、
前記光源ユニットから射出された光は、赤外光であることを特徴する成膜方法。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項において、
前記光吸収層は、前記光源ユニットから射出された光に対して、吸収率が40%以上であることを特徴とする成膜方法。
【請求項8】
請求項4乃至請求項7のいずれか一項において、
前記光吸収層の膜厚は、200nm以上600nm以下であることを特徴とする成膜方法。
【請求項9】
請求項4乃至請求項8のいずれか一項において、
前記光吸収層は、窒化タンタル、チタン、カーボンのいずれかを含むことを特徴とする成膜方法。
【請求項10】
請求項4乃至請求項9のいずれか一項において、
湿式法を用いて、支持基板に蒸着材料を付着させることを特徴とする成膜方法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項において、
前記蒸着材料は有機化合物であることを特徴とする成膜方法。
【請求項12】
第1の電極が形成された被成膜基板を用い、
請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の成膜方法を用いて、前記第1の電極上に、蒸着材料を含む層を形成した後、第2の電極を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項13】
請求項12において、
前記蒸着材料は、発光材料またはキャリア輸送材料であることを特徴とする発光装置の作製方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−120946(P2009−120946A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271476(P2008−271476)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】