説明

投写型映像表示装置

【課題】 光変調効率(光利用効率)を改善することを可能とする投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】 投写型映像表示装置100は、光源10から出射された光を投写ユニット80側に透過するように構成されており、複数の微小開口部71を有する透過型デジタル素子70と、光源10から出射される光を透過するとともに、光源10から出射される光を複数の微小開口部71のそれぞれに分配するように構成されたマイクロレンズ61とを備える。複数の微小開口部71のそれぞれは、開閉可能に構成されたシャッタ73を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から出射される光を変調するように構成された光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写するように構成された投写ユニットとを有する投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から出射される光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写ユニットとを備える投写型映像表示装置が知られている。
【0003】
ここで、光変調素子として、単板の液晶パネルを用いる投写型映像表示装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−160854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光変調素子として、単板の液晶パネルを用いる投写型映像表示装置では、液晶パネルが偏光依存性を有するため、光変調効率(光利用効率)が低下してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされてものであり、光変調効率(光利用効率)を改善することを可能とする投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の特徴に係る投写型映像表示装置は、光源(光源10)と、前記光源から出射される光を投写面に投写するように構成された投写ユニット(投写ユニット80)とを有する。投写型映像表示装置は、前記光源から出射された光を前記投写ユニット側に透過するように構成されており、複数の微小開口部(微小開口部71)を有する透過型デジタル素子(透過型デジタル素子70)と、前記光源から出射される光を透過するとともに、前記光源から出射される光を前記複数の微小開口部のそれぞれに分配するように構成された光学素子(マイクロレンズ61、回折素子161又はスキャン素子260)とを備える。前記複数の微小開口部のそれぞれは、開閉可能に構成されたシャッタ(シャッタ73)を有する。
【0008】
第1の特徴において、前記光学素子は、前記複数の微小開口部のそれぞれに対応する微小レンズを有するマイクロレンズである。
【0009】
第1の特徴において、前記光学素子は、前記光源から出射される光の回折によって、前記光源から出射される光を前記複数の微小開口部のそれぞれに分配するように構成された回折素子である。
【0010】
第1の特徴において、前記光学素子は、前記光源から出射される光の反射によって、前記複数の微小開口部のそれぞれを反射光でスキャンするように構成されたスキャン素子である。
【0011】
第2の特徴に係る投写型映像表示装置は、白色光源(白色光源310)と、前記白色光源から出射された光を複数色の色成分光に分光するように構成された分光素子(カラーホイール320)と、前記分光素子から出射される前記複数色の色成分光の反射によって前記複数色の色成分光を変調するように構成された光変調素子(DMD360)と、前記光変調素子から出射された光を投写するように構成された投写ユニット(投写ユニット370)とを備える。投写型映像表示装置は、前記白色光源から出射された光を前記投写ユニット側に透過するように構成されており、複数の微小開口部(微小開口332)を有する透過型デジタル素子(透過型デジタル素子330)を備える。前記複数の微小開口部のそれぞれは、開閉可能に構成されたシャッタ(シャッタ333)を有する。前記シャッタには、所定波長帯を有する光を透過するか否かを切替可能に構成された波長選択性膜(波長選択性膜334)が設けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光変調効率(光利用効率)を改善することを可能とする投写型映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る透過型デジタル素子70を説明するための図である。
【図3】第1実施形態に係る透過型デジタル素子70を説明するための図である。
【図4】変更例1に係る投写型映像表示装置100を示す図である。
【図5】変更例2に係る投写型映像表示装置100を示す図である。
【図6】変更例2に係るスキャン素子260を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る投写型映像表示装置100を示す図である。
【図8】第2実施形態に係る透過型デジタル素子330を説明するための図である。
【図9】第2実施形態に係る透過型デジタル素子330を説明するための図である。
【図10】第2実施形態に係る透過型デジタル素子330を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下において、本発明の実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0015】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0016】
[実施形態の概要]
第1に、実施形態に係る投写型映像表示装置は、光源と、光源から出射される光を投写面に投写するように構成された投写ユニットとを有する。投写型映像表示装置は、白色光源から出射された光を投写ユニット側に透過するように構成されており、複数の微小開口部を有する透過型デジタル素子と、光源から出射される光を透過するとともに、光源から出射される光を複数の微小開口部のそれぞれに分配するように構成された光学素子とを備える。複数の微小開口部のそれぞれは、開閉可能に構成されたシャッタを有する。
【0017】
かかる特徴によれば、透過型デジタル素子は、複数の微小開口部のそれぞれに設けられたシャッタの開閉によって、光学素子によって分配された光を透過するか否かを切り替える。すなわち、透過型デジタル素子は、複数の微小開口部のそれぞれを透過する光量を制御することによって光変調素子として機能する。
【0018】
ここで、光変調素子として機能する透過型デジタル素子は、偏光依存性を有していないため、光変調効率(光利用効率)を改善することができる。
【0019】
第2に、実施形態に係る投写型映像表示装置は、白色光源と、白色光源から出射された光を複数色の色成分光に分光するように構成された分光素子と、分光素子から出射される複数色の色成分光の反射によって複数色の色成分光を変調するように構成された光変調素子とを備える。投写型映像表示装置は、白色光源から出射された光を投写ユニット側に透過するように構成されており、複数の微小開口部を有する透過型デジタル素子を備える。透過型デジタル素子は、複数の微小開口部を有する。複数の微小開口部のそれぞれは、開閉可能に構成されたシャッタを有する。シャッタには、所定波長帯を有する光を透過するか否かを切替可能に構成された波長選択性膜が設けられる。
【0020】
かかる特徴によれば、光変調素子は、分光素子から出射される複数色の色成分光の反射によって複数色の色成分光を変調する。
【0021】
このように、光変調素子は、偏光依存性を有していないため、光変調効率(光利用効率)を改善することができる。
【0022】
また、複数の微小開口部のそれぞれに設けられたシャッタには、所定波長帯を有する光を透過するか否かを切替可能に構成された波長選択性膜が設けられる。従って、所定波長帯を有する光を映像に寄与させるか否かを切り替えることができる。言い換えると、色再現性を優先するモード(所定波長帯を有する光なし)と、映像輝度を優先するモード(所定波長帯を有する光あり)とを使い分けることができる。
【0023】
[第1実施形態]
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。
【0024】
図1に示すように、投写型映像表示装置100は、複数の光源10と、複数のレンズ20と、複数のレンズ30と、クロスダイクロイックプリズム40と、ロッドインテグレータ50と、1対のマイクロレンズ60と、透過型デジタル素子70と、投写ユニット80とを有する。
【0025】
光源10は、複数色の色成分光を個別に出射するように構成される。例えば、光源10は、光源10R、光源10G及び光源10Bによって構成される。
【0026】
光源10Rは、赤成分光Rを出射する光源であり、例えば、赤LED(Light Emitting Diode)や赤LD(Laser Diode)である。光源10Gは、緑成分光Gを出射する光源であり、例えば、緑LEDや緑LDである。光源10Bは、青成分光Bを出射する光源であり、例えば、青LEDや青LDである。
【0027】
レンズ20及びレンズ30は、光源10から出射される光を略平行光化するように構成される。レンズ20は、例えば、レンズ20R、レンズ20G及びレンズ20Bを含む。レンズ30は、例えば、レンズ30R、レンズ30G及びレンズ30Bを含む。
【0028】
レンズ20R及びレンズ30Rは、赤成分光Rが透過型デジタル素子70に照射されるように、赤成分光Rを略平行光化するレンズである。レンズ20G及びレンズ30Gは、緑成分光Gが透過型デジタル素子70に照射されるように、緑成分光Gを略平行光化するレンズである。レンズ20B及びレンズ30Bは、青成分光Bが透過型デジタル素子70に照射されるように、青成分光Bを略平行光化するレンズである。
【0029】
クロスダイクロイックプリズム40は、光源10から出射される複数色の色成分光を合成する色合成部を構成する。クロスダイクロイックプリズム40から出射された光は、ロッドインテグレータ50に導かれる。
【0030】
ロッドインテグレータ50は、光入射面と、光出射面と、光入射面の外周から光出射面の外周に亘って設けられる光反射側面とを有する。ロッドインテグレータ50は、光反射側面で光を反射することによって、クロスダイクロイックプリズム40から出射される光を均一化する。
【0031】
マイクロレンズ60は、光源10(ロッドインテグレータ50)から出射される光を透過するように構成された光学素子である。マイクロレンズ60は、光源10(ロッドインテグレータ50)から出射される光を透過型デジタル素子70に設けられた複数の微小開口部のそれぞれに分配するように構成される。具体的には、マイクロレンズ60は、マイクロレンズ61及びマイクロレンズ62によって構成される。なお、マイクロレンズ61及びマイクロレンズ62の詳細については後述する(図2及び図3を参照)。
【0032】
透過型デジタル素子70は、光源10(ロッドインテグレータ50)から出射された光を投写ユニット80側に透過するように構成された素子(MEMS素子;Micro Electro Mechanical System device)である。透過型デジタル素子70は、後述するように、複数の微小開口部を有する。なお、透過型デジタル素子70の詳細については後述する(図2及び図3を参照)。
【0033】
投写ユニット80は、光源10から出射された光(映像光)を投写面(不図示)に投写する。具体的には、投写ユニット80は、透過型デジタル素子70から出射された映像光を投写面に投写する。
【0034】
(透過型デジタル素子の構成)
以下において、第1実施形態に係る透過型デジタル素子の構成について、図面を参照しながら説明する。図2及び図3は、第1実施形態に係る透過型デジタル素子70の周辺を示す図である。
【0035】
図2及び図3に示すように、透過型デジタル素子70は、マイクロレンズ61とマイクロレンズ62との間に挟まれるように配置される。
【0036】
具体的には、透過型デジタル素子70は、複数の微小開口部71を有する。ここでは、微小開口部71a〜微小開口部71dが例示されている。
【0037】
各微小開口部71は、微小開口72と、シャッタ73とを有する。ここでは、微小開口72として、微小開口72a〜微小開口72dが例示されている。シャッタ73として、シャッタ73a〜シャッタ73dが例示されている。
【0038】
ここで、シャッタ73は、電気的に開閉可能に構成される。すなわち、シャッタ73は、微小開口72を覆うか否かを電気的に制御可能に構成される。また、シャッタ73は、非光透過部材によって構成される。
【0039】
なお、1つの微小開口部71は、投写面上に投写される映像を構成する1つの画素を構成することに留意すべきである。従って、複数の微小開口部71は、水平方向及び垂直方向にアレイ状に配置される。
【0040】
マイクロレンズ61は、複数の微小開口部71のそれぞれに対応する微小レンズを有する。ここでは、微小レンズとして、微小レンズ61a〜微小レンズ61dが例示されている。
【0041】
マイクロレンズ61に設けられた微小レンズは、微小開口部71(微小開口72)に光を集光するように構成される。例えば、微小レンズ61aは、微小開口72aに光を集光する。
【0042】
すなわち、マイクロレンズ61は、複数の微小レンズによって、ロッドインテグレータ50から出射される光を透過型デジタル素子70に設けられた複数の微小開口部71(微小開口72)のそれぞれに分配するように構成される。
【0043】
マイクロレンズ62は、複数の微小開口部71のそれぞれに対応する微小レンズを有する。ここでは、微小レンズとして、微小レンズ62a〜微小レンズ62dが例示されている。
【0044】
マイクロレンズ62に設けられた微小レンズは、微小開口部71(微小開口72)を通った光を平行光化する。例えば、微小レンズ62aは、微小開口72aを通った光を平行光化する。
【0045】
なお、図2に示すように、マイクロレンズ61、マイクロレンズ62及び透過型デジタル素子70を冷却する冷却ファン77が設けられていてもよい。
【0046】
また、投写型映像表示装置100の光軸に沿った方向において、マイクロレンズ61と透過型デジタル素子70との間の距離aは、透過型デジタル素子70とマイクロレンズ62との間の距離b以上であることが好ましい(図3を参照)。距離aが距離b以上であることによって、互いに隣接する微小開口72aを通る光が混じることが抑制される。
【0047】
第1実施形態では、マイクロレンズ62が設けられているケースについて例示したが、マイクロレンズ62は省略されてもよい。なお、距離aが短いほど、透過型デジタル素子70への入射角度が大きくなるため、投写ユニット80のFナンバーが小さくなって、投写ユニット80の大型化を招く。従って、距離aが短い場合には、マイクロレンズ62が設けられることが好ましい。
【0048】
(作用及び効果)
第1実施形態によれば、透過型デジタル素子70は、複数の微小開口部71のそれぞれに設けられたシャッタ73の開閉によって、マイクロレンズ61によって分配された光を透過するか否かを切り替える。すなわち、透過型デジタル素子70は、複数の微小開口部71のそれぞれを透過する光量を制御することによって光変調素子として機能する。
【0049】
ここで、光変調素子として機能する透過型デジタル素子70は、偏光依存性を有していないため、光変調効率(光利用効率)を改善することができる。
【0050】
光変調素子として、DMD(Digital Micromirror Device)を用いなくてもよいため、DMDに入射する光の分散角の制限を気にしなくてもよい。従って、投写型映像表示装置100の構造を簡略化することができる。
【0051】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0052】
具体的には、第1実施形態では、透過型デジタル素子70に設けられた複数の微小開口部71(微小開口72)に光を分配する光学素子として、マイクロレンズ61が設けられる。
【0053】
これに対して、変更例1では、透過型デジタル素子70に設けられた複数の微小開口部71(微小開口72)に光を分配する光学素子として、回折素子が設けられる。
【0054】
回折素子は、光源10から出射される光の回折によって、光源10から出射される光を複数の微小開口部71(微小開口72)のそれぞれに分配するように構成される。
【0055】
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、変更例1に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。図4は、変更例1に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。
【0056】
図4に示すように、変更例1では、図1に示すマイクロレンズ60に代えて、回折素子160が設けられる。なお、図4では、図1に示す構成のうち、不要な構成(例えば、クロスダイクロイックプリズム40やロッドインテグレータ50など)が省略されていることに留意すべきである。
【0057】
変更例1では、光源10は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bを時分割で個別に出射するように構成される。例えば、光源10は、第1実施形態と同様に、光源10R、光源10G及び光源10Bによって構成される。
【0058】
回折素子160は、光源10から出射される光を透過型デジタル素子70に設けられた微小開口部71(微小開口72)のそれぞれに分配するように構成された素子(例えば、Hologram Diffuser)である。具体的には、回折素子160は、回折素子161及び回折素子162によって構成される。
【0059】
回折素子161は、光源10から出射される光の回折によって、光源10から出射される光を複数の微小開口部71(微小開口72)のそれぞれに分配するように構成される。
【0060】
言い換えると、回折素子161は、複数の微小開口部71(微小開口72)のそれぞれに光が集光されるように、透過型デジタル素子70上にパターン(干渉縞)を構成する。
【0061】
回折素子162は、微小開口部71(微小開口72)を通った光(回折光)を平行光化する。なお、回折素子162に代えて、微小開口部71(微小開口72)を通った光(回折光)を平行光化するマイクロレンズが設けられてもよい。
【0062】
変更例1では、回折素子162が設けられているケースについて例示したが、回折素子162は省略されてもよい。なお、投写型映像表示装置100の光軸に沿った方向において、回折素子161と透過型デジタル素子70との間の距離が短いほど、透過型デジタル素子70の外周に設けられた微小開口72aへの入射角度が大きくなるため、投写ユニット80のFナンバーが小さくなって、投写ユニット80の大型化を招く。従って、回折素子161と透過型デジタル素子70との間の距離が短い場合には、回折素子162が設けられることが好ましい。
【0063】
(作用及び効果)
変更例1によれば、透過型デジタル素子70に設けられた複数の微小開口部71(微小開口72)に光を分配する光学素子として回折素子を用いても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0064】
[変更例2]
以下において、第1実施形態の変更例2について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0065】
具体的には、第1実施形態では、透過型デジタル素子70に設けられた複数の微小開口部71(微小開口72)に光を分配する光学素子として、マイクロレンズ61が設けられる。
【0066】
これに対して、変更例2では、透過型デジタル素子70に設けられた複数の微小開口部71(微小開口72)に光を分配する光学素子として、スキャン素子が設けられる。
【0067】
スキャン素子は、光源10から出射される光の反射によって、光源10から出射される光を複数の微小開口部71(微小開口72)のそれぞれに分配するように構成される。
【0068】
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、変更例2に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。図5は、変更例2に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。
【0069】
図5に示すように、変更例2では、図1に示すマイクロレンズ60に代えて、スキャン素子260が設けられる。なお、図5では、図1に示す構成のうち、不要な構成(例えば、クロスダイクロイックプリズム40やロッドインテグレータ50など)が省略されていることに留意すべきである。
【0070】
変更例2では、光源10は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bを時分割で個別に出射するように構成される。例えば、光源10は、第1実施形態と同様に、光源10R、光源10G及び光源10Bによって構成される。
【0071】
なお、光源10は、スキャン素子260によって微小開口部71(微小開口72)がスキャンされているときに、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bを時分割でパルス的に出射することが好ましい。
【0072】
スキャン素子260は、光源10から出射される光の反射によって、透過型デジタル素子70に設けられた複数の微小開口部71(微小開口72)のそれぞれを反射光でスキャンするように構成される。
【0073】
図6に示すように、スキャン素子260は、1対のマグネット261と、1対のマグネット262と、配線263と、配線264と、1対のアーム265と、1対のアーム266と、ミラー267とを有する。
【0074】
スキャン素子260では、ミラー267は、1対のアーム265によって支持されており、1対のアーム265を支持する枠体は、1対のアーム266によって支持される。
【0075】
ここで、配線263に電流を流すと、1対のマグネット261によって生じる磁界の作用によって、1対のアーム265が回動する。同様に、配線264に電流を流すと、1対のマグネット262によって生じる磁界の作用によって、1対のアーム266が回動する。
【0076】
このように、配線263及び配線264に流す電流を制御することによって、ミラー267の角度を2軸で制御することができる。これによって、スキャン素子260は、複数の微小開口部71(微小開口72)を2次元的に反射光でスキャンすることができる。
【0077】
(作用及び効果)
変更例1によれば、透過型デジタル素子70に設けられた複数の微小開口部71(微小開口72)に光を分配する光学素子としてスキャン素子を用いても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0078】
[第2実施形態]
以下において、第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0079】
具体的には、第1実施形態では、透過型デジタル素子70は、光源10から出射される光を変調する光変調素子として用いられる。
【0080】
これに対して、第2実施形態では、透過型デジタル素子は、光源10から出射される光のうち、所定波長帯を有する光を透過するか否かを切替可能に構成されている。
【0081】
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第2実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。図7は、第2実施形態に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。
【0082】
図7に示すように、投写型映像表示装置100は、白色光源310と、カラーホイール320と、透過型デジタル素子330と、ロッドインテグレータ340と、レンズ350と、DMD360と、投写ユニット370とを有する。
【0083】
白色光源310は、白色光を出射するように構成された光源である。白色光源310は、例えば、UHPランプやキセノンランプである。
【0084】
カラーホイール320は、回転可能に構成されており、円盤形状の盤面を有する。円盤形状の盤面には、赤透過領域と、緑透過領域と、青透過領域とを含む。赤透過領域は、赤成分光Rを透過し、他の光を遮光する領域である。緑透過領域は、緑成分光Gを透過し、他の光を遮光する領域である。青透過領域は、青成分光Bを透過し、他の光を遮光する領域である。
【0085】
透過型デジタル素子330は、光源10(ロッドインテグレータ50)から出射された光を投写ユニット80側に透過するように構成された素子(MEMS素子;Micro Electro Mechanical System device)である。透過型デジタル素子330は、後述するように、複数の微小開口部を有する。なお、透過型デジタル素子330の詳細については後述する(図8及び図9を参照)。
【0086】
ロッドインテグレータ340は、光入射面と、光出射面と、光入射面の外周から光出射面の外周に亘って設けられる光反射側面とを有する。ロッドインテグレータ340は、光反射側面で光を反射することによって、透過型デジタル素子330を透過した光を均一化する。
【0087】
レンズ350は、ロッドインテグレータ340から出射された光の拡大を抑制しながら、DMD360上に光を結像するためのレンズである。
【0088】
DMD360は、複数の微少ミラーによって構成されており、複数の微少ミラーは可動式である。各微少ミラーは、基本的に1画素に相当する。DMD360は、各微少ミラーの角度を変更することによって、投写ユニット370側に光を反射するか否かを切り替える。
【0089】
投写ユニット370は、DMD360で反射された光(映像光)を投写面(不図示)に投写する。
【0090】
(透過型デジタル素子の構成)
以下において、第1実施形態に係る透過型デジタル素子の構成について、図面を参照しながら説明する。図8及び図9は、第1実施形態に係る透過型デジタル素子330の周辺を示す図である。
【0091】
図8に示すように、透過型デジタル素子330の光入射側には、第1実施形態と同様に、マイクロレンズ61が設けられる。なお、マイクロレンズ61は、第1実施形態と同様の構成を有するため、マイクロレンズ61の説明については省略する。
【0092】
図9に示すように、透過型デジタル素子330は、複数の微小開口部331を有する。ここでは、微小開口部331a〜微小開口部331bが例示されている。
【0093】
なお、透過型デジタル素子330に設けられた微小開口部331(微小開口332)の数は、DMD360に設けられた微小ミラーの数よりも少ないことが好ましい。
【0094】
各微小開口部331は、微小開口332と、シャッタ333とを有する。ここでは、微小開口332として、微小開口332a〜微小開口332bが例示されている。シャッタ333として、シャッタ333a〜シャッタ333bが例示されている。
【0095】
ここで、シャッタ333は、電気的に開閉可能に構成される。すなわち、シャッタ333は、微小開口332を覆うか否かを電気的に制御可能に構成される。
【0096】
第2実施形態では、シャッタ333は、光透過部材(例えば、ガラスなど)によって構成される。また、シャッタ333には、所定波長帯を有する光を透過するか否かを切替可能に構成された波長選択性膜334が設けられる。ここでは、波長選択性膜334として、波長選択性膜334a〜波長選択性膜334bが例示されている。
【0097】
波長選択性膜334は、例えば、ノッチフィルタ又はエッジフィルタである。第2実施形態では、波長選択性膜334がYe及びCyの波長帯を選択的に透過するケースについて説明する。
【0098】
例えば、微小開口部331aのように、シャッタ333aが微小開口332aを覆っていない場合には、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bに加えて、黄成分光Ye及びシアン成分光Cyが微小開口332aを透過する。一方で、微小開口部331bのように、シャッタ333bが微小開口332bを覆っている場合には、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bが微小開口332bを透過するが、黄成分光Ye及びシアン成分光Cyは、シャッタ333bに設けられた波長選択性膜334bで遮光される。なお、黄成分光Ye及びシアン成分光Cyの重畳量は、映像入力信号の解析によって決定される。黄成分光Ye及びシアン成分光Cyは、例えば、緑成分光Gに重畳される。
【0099】
このようなケースにおいて、波長選択性膜334は、例えば、2つのノッチフィルタを重ね合わせた2層構造を有する。図10に示すように、2つのノッチフィルタのうち、一方のノッチフィルタは、575nm付近の波長帯を有する光(すなわち、黄成分光Ye)の透過/遮光を切り替える。他方のノッチフィルタは、500nm付近の波長帯を有する光(すなわち、シアン成分光Cy)の透過/遮光を切り替える。これによって、透過型デジタル素子330を透過する緑成分光Gの波長帯が制御される。
【0100】
(作用及び効果)
第2実施形態では、DMD360は、カラーホイール320から出射される複数色の色成分光の反射によって複数色の色成分光を変調する。
【0101】
このように、DMD360は、偏光依存性を有していないため、光変調効率(光利用効率)を改善することができる。
【0102】
また、透過型デジタル素子330の微小開口部331に設けられたシャッタ333には、所定波長帯を有する光を透過するか否かを切替可能に構成された波長選択性膜334が設けられる。従って、所定波長帯を有する光を映像に寄与させるか否かを切り替えることができる。言い換えると、色再現性を優先するモード(所定波長帯を有する光なし)と、映像輝度を優先するモード(所定波長帯を有する光あり)とを使い分けることができる。
【0103】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0104】
上述した実施形態では、単板式の投写型映像表示装置について主として説明したが、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、3板式の投写型映像表示装置に実施形態を適用してもよい。
【符号の説明】
【0105】
10…光源、20…レンズ、30…レンズ、40…クロスダイクロイックプリズム、50…ロッドインテグレータ、60…マイクロレンズ、61…マイクロレンズ、62…マイクロレンズ、70…透過型デジタル素子、71…微小開口部、72…微小開口、73…シャッタ、77…冷却ファン、80…投写ユニット、160…回折素子、161…回折素子、162…回折素子、260…スキャン素子、261,262…マグネット、263,264…配線、265,266…アーム、267…ミラー、310…白色光源、320…カラーホイール、330…透過型デジタル素子、331…微小開口部、332…微小開口、333…シャッタ、334…波長選択性膜、340…ロッドインテグレータ、350…レンズ、360…DMD、370…投写ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源から出射される光を投写面に投写するように構成された投写ユニットとを有する投写型映像表示装置であって、
前記光源から出射された光を前記投写ユニット側に透過するように構成されており、複数の微小開口部を有する透過型デジタル素子と、
前記光源から出射される光を透過するとともに、前記光源から出射される光を前記複数の微小開口部のそれぞれに分配するように構成された光学素子とを備え、
前記複数の微小開口部のそれぞれは、開閉可能に構成されたシャッタを有することを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記光学素子は、前記複数の微小開口部のそれぞれに対応する複数の微小レンズを有するマイクロレンズであることを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記光学素子は、前記光源から出射される光の回折によって、前記光源から出射される光を前記複数の微小開口部のそれぞれに分配するように構成された回折素子であることを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記光学素子は、前記光源から出射される光の反射によって、前記複数の微小開口部のそれぞれを反射光でスキャンするように構成されたスキャン素子であることを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項5】
白色光源と、前記白色光源から出射された光を複数色の色成分光に分光するように構成された分光素子と、前記分光素子から出射される前記複数色の色成分光の反射によって前記複数色の色成分光を変調するように構成された光変調素子と、前記光変調素子から出射された光を投写するように構成された投写ユニットとを備える投写型映像表示装置であって、
前記白色光源から出射された光を前記光変調素子側に透過するように構成されており、複数の微小開口部を有する透過型デジタル素子を備え、
前記複数の微小開口部のそれぞれは、開閉可能に構成されたシャッタを有しており、
前記シャッタには、所定波長帯を有する光を透過するか否かを切替可能に構成された波長選択性膜が設けられることを特徴とする投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−112849(P2011−112849A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268877(P2009−268877)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】