説明

投射装置

【課題】簡単な操作で、被投射面に投射された画像のズームを行うことが可能な投射装置を提供する。
【解決手段】プロジェクタ装置10は、外部装置2000から入力された画像情報を元にスクリーン1100に投射する画像を形成する画像生成装置100と、画像生成装置100を介した光束が入射され、画像生成装置100で生成された画像の中間像を形成して最終段のミラー230で反射する投射光学系200と、ミラー230による反射光束の光路上でかつその反射光束が集光する集光位置の近傍に配置された平面鏡300と、平面鏡300をスクリーン1100に対して接近及び離間させる方向に駆動するとともに、この駆動量に応じて投射光学系200内の焦点位置調整用のレンズの位置を調整する調整機構400と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射装置に係り、更に詳しくは、被投射面に投射された画像のズームが可能な投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル等の画像形成素子上の画像をスクリーン等の被投射面に投射し、その投射された画像のサイズを変更する機能(いわゆるズーム機能)を備えるプロジェクタが商品化され広く普及している。
【0003】
例えば、特許文献1には、光源と、光源から発せられた光を映像信号に基づき変調して出力する変調装置と、屈折力を有する複数の光学素子を含むと共に物体に共役な像を被投射面に投射する投射光学系とを含む投射型画像表示装置が開示されている。この投射型画像表示装置は、投射光学系の位置をスクリーンに対して変化させることで、被投影面(スクリーン)に投射された画像のサイズを変更するように設計されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、光束が照射される第1光学系と、第1光学系から光束が入射する第2光学系と、パワーを有する反射光学系とを含むプロジェクタが開示されている。このプロジェクタは、投射光学系を構成する第2光学系と反射光学系との位置を、結像性能の低下が起こらない範囲で鏡筒と共にスクリーンに対して変化させることで、被投影面に投射された画像のサイズを変更するように設計されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、プロジェクタなどの画像表示装置の利用が一般化し、それに伴って、投射された画像のサイズが容易に変更でき、かつ狭い場所などスクリーンまでの距離が短くても大きな画像を表示できるような、換言すれば、一般のユーザでも容易にズーム操作が可能で、かつ大きな拡大率を有する画像表示装置に対する要求が高まってきた。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている投射型画像表示装置では、画像のズームのためには、スクリーンに対する投射型画像表示装置の位置を変化させる必要がある。また、特許文献2に開示されている装置では、十分な画像の拡大率を確保することが困難であった。
【0007】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その目的は、拡大率の向上と操作性の向上とを図ることができる投射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は、従来の投射光学系を用いて被投影面での投射画像の拡大・縮小を行うことに関して種々考察した結果、投射画像を拡大・縮小するには、投影画角を変更させる必要があり、そのため、投射光学系を構成するレンズ等の設計変更及び構成の複雑化が必要であることがわかった。そこで、発明者は、投影画角の変更を伴わず、投射画像の拡大・縮小を行う方法について考察した結果、平面ミラーを光学系の最終段に設けて、被投影面に接近及び離間させれば、投影画角を維持しつつ投射距離を変化させて、投射画像のサイズを変化させることができることに気がついた。本発明は、このような発明者の種々の考察の結果に基づいてなされたもので、以下のような構成を採用する。
【0009】
本発明は、画像生成部で生成された画像を被投射面に拡大投射する投射装置であって、光源を含む照明系と、光軸に沿って可動な焦点位置調整用の光学素子を含む複数の光学素子を有し、前記照明系から射出され前記画像生成部を経由した光を投射光として射出する投射光学系と、前記投射光学系から射出され前記被投射面に向かう前記投射光の光路上に配置され、少なくとも一部に平坦な反射面を有する反射光学部材と、前記反射面を前記被投射面に平行に維持した状態で、前記反射光学部材を前記被投射面に交差する所定方向に駆動し、これと連動して前記焦点位置調整用の光学素子を前記光軸に沿って駆動することにより、前記投射光の光路長の変化量に応じた投射画像の倍率変更と前記変化量に応じた焦点合わせとを同時に行う調整装置と、を備えることを特徴とする投射装置である。
【0010】
ここで、平坦な反射面は、実質的な平面を意味し、例えば、被投射面上に形成される画像の質に無視できないレベルを超える影響を与えなければその表面の微視的なレベルの凹凸及び/又は曲率があっても良い。また、反射光学部材は、投射光の光路を遮る又は反射面の反射方向と無関係な方向に光を偏向させるなどの不都合を生じさせなければ、その平坦な反射面の周囲の少なくとも一部に凸部及び/又は凹部などがあっても良い。
【0011】
これによれば、調整装置により、反射面を被投射面に平行に維持した状態で、反射光学部材を被投射面に交差する所定方向に駆動し、これと連動して焦点位置調整用の光学素子を光軸に沿って駆動することにより、投射光の光路長の変化量に応じた投射画像の倍率変更と変化量に応じた焦点合わせとが、同時に行われる。従って、拡大率の向上と操作性の向上を両立させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロジェクタ装置の概略構成を説明するための図である。
【図2】図2(A)は図1のプロジェクタ装置の有する投射系レンズ部を示す図、図2(B)は図2(A)の投射系レンズ部が有するセル及びレンズ系の構成等を説明するための図である。
【図3】図2における投射系レンズ部の有するレンズ系の構成を説明するための図である。
【図4】図1のプロジェクタ装置が備える調整機構の構成を説明するための図である。
【図5】図4の調整機構の一部を構成する、フォーカスレバーの操作によってレンズ部筐体を駆動するための機構部を示す図である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、図4の調整機構の一部を構成する、ズームレバーの操作によってレンズ部筐体を駆動するための機構部を示す図であり、そのうち図6(A)は、ズームレバーの非使用状態、図6(B)は、ズームレバーの使用状態を示す。
【図7】図4の調整機構の一部を構成する、回転歯車Rg3、連結軸、円筒歯車及び回転歯車Rg4を含み、ズームレバーの操作によって平面鏡を駆動する機構部を示す図である。
【図8】図1のプロジェクタ装置において、平面鏡を移動させ投射距離を変化させたにも拘らず、焦点合わせが行われない場合のデフォーカスの状態を説明するための図である。
【図9】変形例に係るプロジェクタ装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るプロジェクタ装置10の概略構成が示されている。
【0014】
プロジェクタ装置10は、パソコン等の外部装置2000から送られてきた画像に関する情報に基づいて、被投射面としてのスクリーン1100に拡大像を表示する前方投射型のプロジェクタ装置である。
【0015】
プロジェクタ装置10は、水平面と平行な床面上又は床上に設置されたテーブル上面上に載置されている。プロジェクタ装置10は、一例として、筐体1000と、筐体1000内に収納され外部装置2000からの入力情報に基づいて画像を生成し照射する画像生成装置100と、画像生成装置100からの光束が入射される投射光学系200と、投射光学系200からの光束をスクリーン1100に反射する平面鏡300と、投射される画像サイズの変更等を行うため投射光学系200の一部と平面鏡300とを駆動する調整機構400とを備えている。ここで、平面鏡300は、その表面に平坦な反射面が形成されたものが用いられている。なお、裏面に反射面が形成された平面鏡を用いることもできる。以下、平面鏡300の反射面に直交する方向をZ軸方向、プロジェクタ装置10の載置面に直交する方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向として説明を行う。
【0016】
筐体1000は、上面(−Y側の面)のZ軸方向中央位置よりも幾分+Z側の位置に上方(−Y方向)に立ち上がった板状の立ち上がり部1010を有する中空の箱型部材であり、立ち上がり部1010の+Z側に光束が通過するための開口1020を有している。開口1020は、プロジェクタ装置10が未使用の際には、不図示の開口カバーによって覆われるようになっており、塵などが筐体1000内に侵入するのが防止されるようになっている。
【0017】
筐体1000には、画像生成装置100、投射光学系200、及び平面鏡300が収納されている。また、筐体1000の上面(−Y側の面)には、調整機構400の一部を構成する後述するフォーカスレバー410及びズームレバー420(いずれも図1では不図示、図4参照)のつまみを案内するX軸に平行な2本のガイド溝がZ軸方向に所定間隔隔てて形成されている。
【0018】
画像生成装置100は、一例として、光源を含む照明系102、照明系102からの照明光を画像情報に対応して変調する画像形成パネル(以下、適宜、パネルと略記する)104、照明系102及び画像形成パネル104を制御する制御部106及び入力部108などを有している。画像生成装置100は、入力部108を介して外部装置2000から受信した画像に関する情報に応じて、照明系102及び画像形成パネル104を制御部106によって制御することで、画像に対応する光を投射光学系200に送る。ここで、光源としては、例えばキセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプなどのランプ光源又は発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)、半導体レーザなどの固体光源を用いることができる。また、照明系102は、例えば光源からの光をパネル104上に導きながら、パネル104上に均一な照明を行う、いわゆるインテグレータ光学系とレンズ要素とで構成されたリレー光学系などで構成されている。また、画像形成パネル104としては、例えば液晶パネル又は微小な反射ミラーが画素ごとに配列された2次元ミラーアレイ表示素子などを用いることができる。
【0019】
投射光学系200は、投射系レンズ部210を構成するレンズ系と、投射系ミラー230とを有する光学系であり、画像生成装置100から送光された光束(変調された画像に対応する光束)を投射系レンズ部210のレンズ系にて焦点合わせを行い、投射系レンズ部210の+Z側位置において上下が反転した中間像(倒立像)を形成した後、投射系ミラー230にて平面鏡300に向けて反射する。
【0020】
投射系レンズ部210のレンズ系は、一例として、図3に示されるように、Z軸に平行な光軸Axに沿って配置された複数(例えば11枚)のレンズL1〜L11を含む屈折光学系である。レンズL1〜L11は、それぞれ投射系ミラー230に近い側(+Z側)からL1、L2、L3…L11としたとき、レンズL1は第1群S1、レンズL2〜L4は第2群S2、レンズL5は第3群S3、レンズL6〜L11は第4群S4を構成している。本実施形態では、第1群S1、第2群S2及び第3群S3は、光軸Axに沿って可動であり、第4群S4は、Z軸方向に関して位置が固定のレンズである。第1群S1、第2群S2、第3群S3、及び第4群S4は、図2(B)に示されるように、それぞれ円筒状部材から成るセルC1〜C4内に所定の間隔で保持されている。第1〜第3群S1〜S3(すなわち、セルC1〜C3)を駆動する機構等については後述する。なお、図3では、図面の錯綜を防止するためにレンズ(L1〜L11)を保持するためのレンズ部筐体212、投射系ミラー230及び平面鏡300を保持するための保持部材などは省略されている。
【0021】
投射系レンズ部210のレンズ部筐体212は、図2(A)に示されるように、円筒形状を有し、筐体1000内で不図示の支持機構によって光軸Axを回転軸として回転可能に支持されている。この場合、レンズ部筐体212は、画像生成装置100からレンズ系を介して投射系ミラー230に至る光束の光路を遮ることがないように、かつ後述する調整機構400によるレンズ部筐体212の回転動作を妨害することがないように、支持機構によって支持されている。レンズ部筐体212は、+X側の面に4つのガイド溝(+Z側からそれぞれガイド溝G1,G2,G3,G4とする)が、壁面を貫通して形成されている。ガイド溝G1〜G3は、それぞれ正面視(YZ平面視)で弓状の形状を有し、ガイド溝G4は、Y軸に平行な形状を有している。レンズ部筐体212の外周面のガイド溝G3とガイド溝G4とのZ軸方向に関する間の部分には、レンズ部筐体212外周に沿って歯部が形成された一対のギア部(+Z側からギア部Ge1,Ge2とする)が設けられている。ここで、ギア部Ge1,Ge2の歯部は、その歯のピッチ及び凹凸形状などが、両者で一致している必要がある。従って、ギア部Ge1,Ge2を2つに分けることなく、単一のギア部として設けても良い。
【0022】
セルC1〜C4は、レンズ部筐体212の内部に収容されている。セルC1〜C4のそれぞれの周面には、図2(A)及び図2(B)に示されるように、ピンP1〜P4が固定されており、ピンP1,P2,P3及びP4のそれぞれの先端が、ガイド溝G1、G2、G3及びG4を介してレンズ部筐体212の外部に露出している。ピンP1,P2,P3及びP4は、同一のZ軸に平行な直線上に配置されている。セルC1〜C4の動きは、ガイド溝G1〜G4によって設定される。レンズ部筐体212が光軸Ax回りに回転されると、セルC1〜C3がガイド溝G1〜G3に沿って、セルC1〜C3内に収納されたレンズ群(第1群S1〜第3群S3)と共にZ軸に平行に駆動される。ここで、ガイド溝G1〜G3は、弓状の溝であるのでレンズ群(第1群S1〜第3群S3)のZ軸方向の移動量は、必ずしもレンズ部筐体212の回転量に比例するとは限らない。また、ガイド溝G4は、Y軸に平行な溝であるためセルC4及びレンズ群S4は、レンズ部筐体212が光軸Ax回りに回転されても、Z軸方向に駆動されない。この場合、セルC1〜C4は、レンズ部筐体212が光軸Ax回りに回転されても、レンズ部筐体212と一体で光軸Ax回りに回転されず、Z軸方向にのみ案内されるようになっている。
【0023】
投射系ミラー230は、図1に示されるように、投射系レンズ部210のレンズ系から射出される光束の光路上に配置されている。投射系ミラー230の反射面の形状は、投射系レンズ部210のレンズ系から射出された光束を平面鏡300に向かって反射する、例えばアナモフィックな自由曲面(多項式自由曲面)形状を有する。
【0024】
平面鏡300は、投射系ミラー230で反射される光束の光路上に配置されている。平面鏡300は、投射系ミラー230で反射された光束をスクリーン1100に向けて反射する。平面鏡300は、Z軸に直交する(XY平面に平行な)平坦な反射面を一面の全面に有する、パワーを有しない(すなわち屈折力が零)のミラーであり、投射系ミラー230の図1における左斜め上(−Z側かつ−Y側)の位置に配置されている。ここで、平面鏡300の反射面は、例えば、被投射面上に形成される画像の質に無視できないレベルを超える影響を与えなければ、その表面の微視的なレベルの凹凸及び/又は曲率があっても良い。また、平面鏡300に代えて、その平坦な反射面の周囲の少なくとも一部に凸部及び/又は凹部などが存在する反射光学部材を用いても良い。この場合、反射光学部材の凸部、凹部などは、投射光の光路を遮ったり、反射面の反射方向と無関係な方向に光を偏向させたりしないことが条件となる。ただし、コストを考えれば、反射光学部材として平面鏡を用いることが現実的である。
【0025】
平面鏡300は、図4に示されるように、平面鏡保持部材310を介して、支持部材312に取り付けられている。すなわち、平面鏡300は、XY平面に平行でX軸方向を長手方向とする板状部材から成る平面鏡保持部材310の図4における右側面(+Z側面)に形成された溝部内に埋め込まれた状態で平面鏡保持部材310に固定されている。平面鏡保持部材310の下端(+Y側の端面)は、図4における右下がり(+Z端が−Z端より下方に位置する)の傾斜面となっている。平面鏡保持部材310の下端面に、板部材又は細長い直方体部材から成る支持部材312上面の+Z側の端部が固定(接続)されている。支持部材312の下面(+Y側の面)の−Z側半部には、調整機構400の一部を構成する後述するギア部Ge3が取り付けられている。ギア部Ge3及び支持部材312は、平面鏡保持部材310の下端面と同様に、図4における右下がりに傾斜している。この理由については後述する。
【0026】
調整機構400は、スクリーン1100に投射された画像のサイズ及びフォーカス等を調整するため、レンズ系の一部及び平面鏡300を駆動する機構であり、一例として、フォーカス(焦点位置)調整用のフォーカスレバー410、画像サイズ変更用のズームレバー420、ズームレバー420又はフォーカスレバー410のX軸方向(並進方向)の運動をギア部Ge1,Ge2を介してレンズ部筐体212の回転運動に変換するための回転歯車Rg1,Rg2、及びズームレバー420のX軸方向の運動を、平面鏡300のZ軸方向(より正確には、平面鏡保持部材310の下端面と平行な方向)の運動に変換するための機構(可動歯車430、回転歯車Rg3,Rg4及び円筒型歯車440)などを有している。なお、可動歯車430以外の上記各歯車は、その回転中心に設けられた軸部材を介して筐体1000の内部に設けられた支持部材に回転可能に支持されている。また、可動歯車430は、その回転軸が、上下動可能に不図示の支持部材によって支持されている。ただし、図4〜図7では、各歯車の支持部材などは、図面の錯綜を防止する観点からその図示が省略されている。
【0027】
フォーカスレバー410は、前述の如く、その一部(つまみ部413)が、筐体1000上面(−Y側の面)のX軸に平行な溝部を介して筐体1000から突出するように配置されている。フォーカスレバー410は、図5に示されるように、X軸方向を長手方向とする高さの低い矩形断面を有する棒状部材から成り、その下面(+Y側面)のほぼ全域にX軸方向をピッチ方向とする歯部412が延設されたスライド部材411と、スライド部材411の上面(−Y側の面)のX軸方向中央部に固定されたつまみ部413とを有する。
【0028】
ズームレバー420は、図4に示されるように、フォーカスレバー410の+Z側位置に配置されている。ズームレバー420は、フォーカスレバー410と同様に、筐体1000上面(−Y側の面)のX軸に平行な溝部を介して筐体1000から一部(つまみ部423)が突出するように配置されている。ズームレバー420は、図6(A)及び図6(B)に示されるように、X軸方向を長手方向とする高さの低い矩形断面を有する棒状部材から成り、その下面(−Y側面)のほぼ全域にX軸方向をピッチ方向とする歯部422が延設されたスライド部材421と、スライド部材421の上面(−Y側の面)のX軸方向中央部に固定されたつまみ部423とを有する。
【0029】
回転歯車Rg1は、図4及び図5に示されるように、フォーカスレバー410の下方(+Y側)に配置されている。回転歯車Rg1は、平歯車であり、フォーカスレバー410の歯部412と噛み合っている。ここで、フォーカスレバー410がX軸方向に駆動されると、フォーカスレバー410の下面に設けられた歯部412と噛み合った回転歯車Rg1がZ軸周りに回転される。すなわち、回転歯車Rg1とフォーカスレバー410の歯部412とによって、いわゆるラックアンドピニオン機構が構成されている。
【0030】
回転歯車Rg2は、平歯車であり、図4、図5及び図6(A)を総合すると分かるように、少なくともギア部Ge1の+Z側面からギア部Ge2の−Z側面までのZ軸方向長さを有する円柱状の歯車から成り、ギア部Ge1,Ge2の上に配置され、ギア部Ge1,Ge2と噛み合っている。また、回転歯車Rg2は、回転歯車Rg1と噛み合って回転歯車Rg1の下に配置されている。
【0031】
前述のズームレバー420のX軸方向の運動を、平面鏡300のZ軸方向(より正確には、平面鏡保持部材310の下端面と平行な方向)の運動に変換するための機構は、図4及び図6(A)に示される、可動歯車430、回転歯車Rg3,Rg4及び円筒型歯車440などを含む。可動歯車430は、平歯車であり、図6(A)に示されるように、ズームレバー420の下に配置され、歯部422と噛み合っている。可動歯車430は、その回転軸が回転可能に不図示の軸受部材に支持され、その軸受部材が、例えば不図示のばね部材などによって、常時、上方(−Y方向)に付勢されている。このため、通常、可動歯車430は、図6(A)に示されるように、回転歯車Rg2,Rg3から浮上している。ズームレバー420は、上記のばね部材の弾性力によって、可動歯車430を介して常時上方に付勢されている。
【0032】
一方、図6(B)に示されるように、ズームレバー420が、ばね部材の付勢力に抗して下方に押し下げられると、ズームレバー420を介して可動歯車430が押し下げられ、回転歯車Rg2及びRg3と噛み合う。ここで、ズームレバー420がX軸方向に駆動されると、ズームレバー420の下面に設けられた歯部422と噛み合った可動歯車430がZ軸周りに回転される。すなわち、可動歯車430とズームレバー420の歯部422とによって、いわゆるラックアンドピニオン機構が構成されている。
【0033】
回転歯車Rg3は、平歯車であり、可動歯車430の+Y側かつ回転歯車Rg2の+X側に配置されている。また、図7に示されるように、回転歯車Rg3の+Z側面の回転中心には、連結軸432を介して円筒型歯車440が接続されている。ここで、回転歯車Rg3、連結軸432及び円筒型歯車440は一体成型の部材でも良いし、別部材を接続したものでも良い。
【0034】
回転歯車Rg4は、円筒型歯車440の歯部と噛み合った状態で円筒型歯車440上に配置されている。また、回転歯車Rg4は、支持部材312の下方に配置され、支持部材312の下面に設けられたギア部Ge3と噛み合っている。ここで、回転歯車Rg3、連結軸432、円筒型歯車440及び回転歯車Rg4によって、回転歯車Rg3、連結軸432、及び円筒型歯車440のZ軸周りのトルク(回転運動)が、回転歯車Rg4のX軸周りのトルク(回転運動)に変換される。すなわち円筒型歯車440と回転歯車Rg4とによって、いわゆるウォームギアが構成されている。
【0035】
上述のようにして構成された調整機構400の作用について説明する。図6(B)に示されるように、ズームレバー420が下方(+Y方向)に押し下げられた状態で、例えば+X方向に駆動されると、可動歯車430が−Z方向から+Z方向に見て右回り(以下、Z軸に関して時計回りと言う)に回転され、可動歯車430と噛み合った回転歯車Rg3、連結軸432及び円筒型歯車440が、Z軸に関して反時計回りに回転される。円筒型歯車440がZ軸に関して反時計回りに回転されると、図7に示されるように円筒型歯車440と共にウォームギアを構成している回転歯車Rg4は、+X方向から−X方向に見て左回り(X軸に関して反時計回りと言う)に回転される。回転歯車Rg4がX軸に関して反時計回りに回転されると、図4からわかるように、回転歯車Rg4と噛み合ったギア部Ge3を介して、支持部材312及び平面鏡保持部材310(及び平面鏡300)が−Z方向(正確には、平面鏡保持部材310の下端面と平行な面に沿って左斜め上方向)に駆動される。
【0036】
上述のように、ズームレバー420が+X方向に駆動されると、平面鏡300が−Z方向に駆動されると同時に、可動歯車430と噛み合った回転歯車Rg2がZ軸に関して反時計回りに回転される。回転歯車Rg2が、Z軸に関して反時計回りに回転されると、図4から分かるように、回転歯車Rg2と噛み合ったギア部Ge1,Ge2を介してレンズ部筐体212が光軸Ax回りを−Z方向から+Z方向に見て右回り(以下、光軸Axに関して時計回りと言う)に回転される。
【0037】
一方、フォーカスレバー410が、X軸方向に駆動されると、回転歯車Rg1,Rg2及びギア部Ge2を介してレンズ部筐体212が光軸Ax回りに回転される。
【0038】
次に、一例として、スクリーン1100に投射された画像を拡大し、焦点合わせを行う際の動作を説明する。なお、以下では、図1に示されるように、投射系ミラー230の有効反射面の上端から平面鏡300で反射し、スクリーン1100に至るまでの光路長のZ軸方向距離を足したものを「投射距離」と称する。また、投射系ミラー230の反射面の上端から平面鏡300までの距離を「a」、平面鏡300からスクリーン1100までの距離を「b」とする。また、プロジェクタ装置10の+Z側端面からスクリーン1100までの距離を設置距離「D」とする。
【0039】
外部装置2000から入力された画像情報を元に、画像生成装置100にて生成された画像に対応する光束(画像情報を元に変調された光)は、投射光学系200に取り込まれ、投射系レンズ部210のレンズ系によって倒立像である中間像が形成される。その中間像形成後の発散光が投射系ミラー230にて反射され、平面鏡300で更に折り返された後、スクリーン1100に投射される。
【0040】
ここで、プロジェクタ装置10は、平面鏡300が点線で示される位置、すなわちPos.Aにあるときに、焦点合わせが行われているものとする。この平面鏡300がPos.Aに位置しているとき、投射距離は、a+bとなっている。
【0041】
次に、スクリーン1100に投射された画像を拡大するために、例えばユーザが、ズームレバー420を下方に押し下げて+X方向に駆動することで、前述したように平面鏡保持部材310に保持された平面鏡300が−Z方向(正確には、平面鏡保持部材310の下端面と平行な面に沿って左斜め上方向)に駆動される。これにより、平面鏡300の位置が、図1中に点線で示される位置から実線で示される位置、すなわちPos.AからPos.Bまで変化したとする。このときの、平面鏡保持部材310の移動量のZ軸方向成分を「c」とすると、ズームレバー420駆動後の投射距離は、a+b+2cとなる。すなわち、平面鏡300の位置を、Pos.AからPos.Bに変化させ、Z軸方向に関して距離cだけ変位させることで投射距離は、2c変化する。なお、平面鏡300をPos.AからPos.Bに移動させた前後において、設置距離Dは相対的にも、絶対的にも変化しない。
【0042】
ここで、仮に平面鏡300を移動させ投射距離を変化させたにも拘らず、焦点合わせが行われない場合を考えると、投射距離が変化した分に応じて焦点位置がずれる(デフォーカスが発生する)ことになる。図8には、この場合のデフォーカスの状態が示されている。図8に示されるように、平面鏡300をPos.AからPos.Bまでcだけ−Z方向に移動させた場合、焦点位置は、スクリーン1100から2cだけ−Z方向にずれる。
【0043】
一方、本実施形態に係るプロジェクタ装置10では、例えばユーザが、ズームレバー420を+X方向に駆動すると、前述の如く、平面鏡300が−Z方向に駆動されると同時に、レンズ部筐体212が光軸Axに関して時計回りに回転される。レンズ部筐体212が、光軸Axに関して時計回りに回転されると、図2(A)に示されるようにレンズ部筐体212内に収納されたセルC1〜C4は、ピンP1〜P4を介してガイド溝G1〜G4に沿って駆動されるため、セルC1〜C4のそれぞれに保持されているレンズ群S1〜S4は、図2(B)中の白抜き矢印の方向(±Z軸方向)に駆動される。
【0044】
ここで、上述したように、ガイド溝G1〜G3は、正面視(+X方向から見て)弓状の形状を有しているため、レンズ部筐体212の回転量と、セルC1〜C3(すなわちレンズ群S1〜S3)の移動量とは、必ずしも比例の関係ではない。本実施形態では、ガイド溝G1〜G3の形状と、調整機構400及びレンズ部筐体212にそれぞれ設けられた歯車及びギア部のギア比とが、光学設計に応じて設定され、これにより、投射画像の拡大縮小に応じて常に被投射面の位置にて焦点が合うように設定されている。なお、レンズ群S4は、ガイド溝G4がY軸に平行に設けられているため、Z軸方向に関しては駆動されない。
【0045】
ここで、ズームレバー420の駆動に伴う投射距離の変化量は、平面鏡300の移動量の一次関数で表わすことができる。また、平面鏡300の移動量は、ズームレバー420の移動量に比例する。このため、ズームレバー420の駆動量と、投射画像の画像サイズとの関係は、常に線形となる。
【0046】
また、例えばユーザが、ズームレバー420を−X方向に駆動すると、平面鏡300が+Z方向(正確には、平面鏡保持部材310の下端面と平行な面に沿って図1及び図4における右斜め下方向)に駆動される。これと同時に、レンズ部筐体212が光軸Axに関して反時計回りに回転され、セルC1〜C4のそれぞれに保持されているレンズ群S1〜S4は、図2(B)中の白抜き矢印と反対方向に駆動される。
【0047】
すなわち、ユーザが、ズームレバー420を押し下げた状態でX軸方向に駆動することで、投射画像の拡大・縮小と投射画像の焦点合わせとが、同時に行われる。
【0048】
ここで、例えば本実施形態におけるプロジェクタ装置10のユーザが、該プロジェクタ装置10の設置位置を変更した際など、投射画像の大きさは変更せずに焦点合わせのみ行う場合が想定される。そのような場合、前述のごとく、ユーザは、フォーカスレバー410をX軸方向に駆動することで投射画像の大きさを変更することなく、投射画像の焦点合わせを行うことができる。フォーカスレバー410を用いて焦点合わせを行う際(すなわちズームレバー420不使用時)には、図6(A)に示されるように可動歯車430は、不図示のばね部材によって回転歯車Rg2,Rg3から浮上した状態で支持されているからである。
【0049】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、調整機構400、ギア部Ge1、Ge2、レンズ部筐体212、セルC1〜C4、及びピンP1〜P4を含んで、本発明に係る調整装置が構成されている。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係るプロジェクタ装置10は、光源を含む照明系102と、光軸Axに沿って可動な焦点位置調整用の第1〜第3レンズ群S1〜S3を含む複数の光学素子(レンズL1〜L11(第1〜第4レンズ群S1〜S4))を有し、照明系102から射出されパネル104を経由した光を投射光として射出する投射光学系200と、投射光学系200から射出されスクリーン1100に向かう投射光の光路上に配置された平面鏡300と、平面鏡300の反射面をスクリーン1100に平行に維持した状態で、平面鏡300をスクリーン1100に交差する所定方向に駆動し、これと連動して焦点位置調整用の第1〜第3レンズ群S1〜S3を光軸Axに沿って駆動することにより、投射光の光路長の変化量に応じた投射画像の倍率変更と前記変化量に応じた焦点合わせとを同時に行う調整装置(調整機構400、ギア部Ge1、Ge2、レンズ部筐体212、セルC1〜C4、及びピンP1〜P4)とを備えている。
【0051】
本実施形態に係るプロジェクタ装置10によると、ユーザにより、ズームレバー420が押し下げられた状態でX軸方向に駆動されると、調整装置により、反射面をスクリーン1100に平行に維持した状態で、平面鏡300がスクリーン1100に交差する所定方向に駆動され、これと連動して焦点位置調整用の第1〜第3レンズ群S1〜S3が光軸Axに沿って駆動される。これにより、投射光の光路長の変化量に応じた投射画像の倍率変更と変化量に応じた焦点合わせとが、同時に行われる。従って、拡大率の向上と操作性の向上を両立させることが可能になる。
【0052】
この場合、ユーザは、ズームレバー420を±X方向に駆動するだけで、ピント調整を要せずに被投射面に写し出された画像を所定の大きさまで拡大・縮小することができ、操作性良く、常に適切な投影画像を得ることができる。
【0053】
また、平面鏡300をZ軸方向に駆動させることで画像の拡大を行うため、プロジェクタ装置10とスクリーン1100との距離を変えることなく投射距離を効率良く伸ばすことができ、投射画像の拡大のために投射光学系200ごと駆動させる方法に比べプロジェクタ装置10を小型化することができる。
【0054】
また、調整機構400を含む本実施形態に係る調整装置は、従来から存在する焦点調整機能を有する投射光学系に、平面鏡300を新たに設け、これら両者の駆動を同一の操作レバー(ズームレバー420)で行う機構を加えるという簡単な手法によって実現できる。従って、従来のプロジェクタ装置の構成部品をそのまま使うことができるという利点もある。また、投射画像の拡大・縮小と焦点合わせとを単一の投射光学系で実現する場合に比べて、投射系レンズ部210のレンズ系の構成を簡単にすることができるとともに、小型化することが可能である。また、投射光学系200を小型化することで、プロジェクタ装置10本体もより小型化することができ、重量削減、材料削減、コスト低減などを実現することができる。
【0055】
また、前述のごとく、投射距離の変化量は平面鏡300の移動量の一次関数かつ平面鏡300の移動量はズームレバーの移動量に比例するため、ズームレバー420の可動範囲においてズームレバー420を駆動することで急激に投射画像が拡大される可動範囲、又はズームレバー420を駆動しても投射画像サイズがほとんど変わらない可動範囲は存在しない。すなわち、ズームレバー420を駆動することで、投射画像を線形な変化で拡大・縮小することができる。
【0056】
また、平面鏡300は、投射系ミラー230で反射された投射光が集光する集光位置の近傍に配置されているので、平面鏡300を小さくすることができる。その意味では、投射系ミラー230からの反射光の集光位置を挟むように平面鏡300の移動が行われることが好ましい。平面鏡を最も小さくできるからである。また、平面鏡300を小さくすることで、筐体1000及びプロジェクタ装置10をより小さくすることができる
【0057】
また、平面鏡300を、平面鏡保持部材310の下端面と平行な面に沿って駆動、すなわちZ軸方向のみでなく、Y軸方向にも駆動させるため、平面鏡300をZ軸方向のみに駆動させる場合と比べ、可動範囲(ストローク)を大きくすることができ、投射画像の拡大率を大きくすることができる。このように、Z軸方向のみでなく、Y軸方向にも駆動できるようにするために、ギア部Ge3及び支持部材312、並びに平面鏡保持部材310の下端面は、図4における右下がりに傾斜させているのである。勿論、プロジェクタ装置10において、平面鏡300をZ軸方向に駆動するように構成しても良い。
【0058】
なお、上記実施形態において、図9に示されるように、前述の回転歯車Rg3、連結軸432の代わりに、円筒型歯車440を駆動するモータ460を設けても良い。この場合、例えばズームレバー420のX軸方向駆動量を、変位センサ450を用いて検出し、この変位センサ450の出力を不図示の変換部においてモータ460に対する駆動電圧に変換(又はマイクロコンピュータ等によりモータ460に対する駆動電圧を演算)し、該駆動電圧によりモータ460を駆動することで、平面鏡300を駆動しても良い。このようにしても、上記実施形態と同様に、ズームレバー420の駆動量に応じて平面鏡300を駆動することができ、投射画像のサイズをリニアに変更することができる。なお、変位センサ450によるズームレバー420の変位量検出及びモータ460の駆動による平面鏡300の駆動は、ズームレバー420が下方に押し下げられ、可動歯車430と回転歯車Rg2とが噛み合わさった状態でのみ行われる。
【0059】
この場合において、図9に示される変位センサ450でフォーカスレバー410のX軸方向駆動量を検出するように構成するとともに、ズームレバー420に代えて、変位センサ450をオンオフするスイッチを設けても良い。この場合、スイッチをオンにした場合にのみ、変位センサ450によって検出されたフォーカスレバー410の変位量に応じたモータ460の駆動、すなわち平面鏡300の駆動が行われる。この場合には、可動歯車430及び該可動歯車430を上下動可能に支持する支持機構、並びに回転歯車Rg3、ギア部Ge1なども不要になる。
【0060】
また、上記実施形態及び変形例において、平面鏡300の駆動量に応じた焦点合わせを行う手段として、上述のメカニカルな機構を採用したが、これに限らず、投射距離に応じた投射光学系200内のレンズL1〜L11の焦点合わせ位置をあらかじめメモリ装置に記憶させ、平面鏡300の位置変位量から所望の位置へレンズを駆動させる、いわゆる電動フォーカス装置を用いても良い。
【0061】
また、上記実施形態及び変形例において、レンズ部筐体212及び平面鏡300の駆動方法として複数の歯車を用いたが、これに限らず、例えば各歯車の代わりにゴムローラ、ベルトなどを用いても良い。また、レンズ部筐体212内に収納されたレンズ群S1〜S4の駆動方法として、レンズ部筐体212が有するガイド溝G1〜G4を用いる方法について説明したが、これに限らず、例えばリンク機構などを用いて、セルC1〜C4の有するピンP1〜P4を直接Z軸方向に駆動させることで各レンズ群S1〜S4を駆動させても良い。
【0062】
また、上記実施形態及び変形例において示される、スクリーン1100に投射される画像のズームと同時に行う焦点合わせのためのレンズ群S1〜S4の駆動は、一例であって、ズーム前後においてスクリーン1100に投射される画像の焦点が合うように光学設計が行われていれば良く、例えば投射画像の拡大時は各レンズ群S1〜S4が全て+Z方向に駆動されるようにしても良い。
【0063】
また、上記実施形態及び変形例において、本発明が、投射系レンズ部210と投射系ミラー230とを有するプロジェクタ装置10に適用された場合について例示したが、これに限らず、例えば投射系レンズ部から照射された光束を直接平面鏡300に反射させる光学系を備えた投射装置に本発明を適することもできる。
【0064】
また、Z軸方向に駆動される平面鏡300で反射した後にスクリーン1100に投影されるものとしたが、これに限らず、平面鏡300で反射された後に、更に別の光学部材(例えば平面ミラーなど)を介してスクリーン1100に投射されても良い。平面鏡300とスクリーンとの間に平面鏡300からの反射光を殆ど屈折させることがない薄い板ガラスを配置しても良い。
【0065】
また、ギア部Ge1,Ge2は,レンズ部筐体212の全周に設ける必要はなく、ピンP1〜P4をガイド溝G1〜G4の一端から他端まで移動させるレンズ部筐体212の回転量を確保できれば良い。
【0066】
また、上記実施形態において、筐体1000の立ち上がり部1010を平面鏡300と一体で開閉可能な構成にして、立ち上がり部1010を、筐体1000の開口1020を開閉する蓋部として兼用するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上説明したように、本発明の投射装置は、投射画像の倍率変更を行うのに適している。
【符号の説明】
【0068】
Ge1〜Ge3…ギア部、L1〜L11…レンズ、Rg1〜Rg4…回転歯車、S1〜S4…レンズ群、10…プロジェクタ装置、100…画像生成装置、200…投射光学系、210…投射系レンズ部、212…レンズ部筐体、230…投射系ミラー、300…平面鏡、310…平面鏡保持部材、312…支持部材、400…調整機構、410…フォーカスレバー、420…ズームレバー、430…可動歯車、440…円筒型歯車、1100…スクリーン。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2008−116688号公報
【特許文献2】特開2010−085973号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像生成部で生成された画像を被投射面に拡大投射する投射装置であって、
光源を含む照明系と、
光軸に沿って可動な焦点位置調整用の光学素子を含む複数の光学素子を有し、前記照明系から射出され前記画像生成部を経由した光を投射光として射出する投射光学系と、
前記投射光学系から射出され前記被投射面に向かう前記投射光の光路上に配置され、少なくとも一部に平坦な反射面を有する反射光学部材と、
前記反射面を前記被投射面に平行に維持した状態で、前記反射光学部材を前記被投射面に交差する所定方向に駆動し、これと連動して前記焦点位置調整用の光学素子を前記光軸に沿って駆動することにより、前記投射光の光路長の変化量に応じた投射画像の倍率変更と前記変化量に応じた焦点合わせとを同時に行う調整装置と、を備えることを特徴とする投射装置。
【請求項2】
前記調整装置は、前記焦点位置調整用の光学素子を駆動することにより、前記投射画像の倍率変更とは独立して前記焦点合わせを行うことを特徴とする請求項1に記載の投射装置。
【請求項3】
前記所定方向は、前記被投射面に直交する方向であることを特徴とする請求項1又は2に記載の投射装置。
【請求項4】
前記調整装置は、前記投射光学系から射出された光束が集光する集光位置の光路後方の第1位置を前記被投射面から離れた側の移動限界位置とする所定ストローク範囲で前記反射光学部材を駆動することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の投射装置。
【請求項5】
前記反射光学部材の前記被投射面に近い側の移動限界位置は、前記集光位置の光路前方に設定されることを特徴とする請求項4に記載の投射装置。
【請求項6】
前記投射光学系は、その最終段の光学素子として、前記投射光を前記反射光学部材に向けて反射する反射光学素子を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の投射装置。
【請求項7】
前記調整装置は、前記反射光学部材と前記焦点位置調整用の光学素子とを連動して駆動するメカニカルな駆動機構を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の投射装置。
【請求項8】
前記調整装置は、
前記投射画像の倍率調整用の操作部材と、
前記操作部材の駆動量を検出するセンサと、該センサによって検出された前記操作部材の駆動量に応じて前記反射光学部材を駆動するモータと、を含む第1の駆動系と、
前記操作部材の駆動量又は前記反射光学部材の変位量に応じて前記焦点位置調整用の光学素子を駆動する第2の駆動系と、を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の投射装置。
【請求項9】
前記調整装置は、焦点位置調整用の操作部材をさらに含み、
前記第2の駆動系は、前記焦点位置調整用の操作部材の駆動量に応じて前記焦点位置調整用の光学素子を駆動することを特徴とする請求項8に記載の投射装置。
【請求項10】
前記操作部材は、焦点位置調整用の操作部材を兼ねており、
前記第1の駆動系は、前記センサをオンオフするスイッチをさらに含み、該スイッチがオンのときのみ、前記操作部材の駆動量に応じた前記モータによる前記反射光学部材の駆動を行うことを特徴とする請求項8に記載の投射装置。
【請求項11】
前記第2の駆動系は、複数の歯車を有する歯車機構を含むことを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の投射装置。
【請求項12】
前記第2の駆動系は、前記前記反射光学部材の変位量に応じて前記焦点位置調整用の光学素子を駆動する電動フォーカス装置を含むことを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の投射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−168482(P2012−168482A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31537(P2011−31537)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】