説明

抗しわ剤およびADAM阻害剤

【課題】乾燥等によりバリア機能が低下した際に誘導されるしわ、特に小じわを改善する抗しわ剤およびADAM阻害剤を提供する。
【解決手段】下記一般式で示されるアルキルグルコシドまたはその塩を含ませる。


(式中、Rは、炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗しわ剤に関し、特に乾燥等によりバリア機能が低下する際に惹起される皮膚の肥厚を抑制して該バリア機能低下に起因するしわ、特に小じわを予防・改善する抗しわ剤に関するものである。また本発明は、新規なADAM阻害剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、中高年の女性における美容に対する関心の高まりから、加齢に伴う表皮角質層の保水能力の低下や表皮脂質の分泌低下による皮脂の減少によって顕在化する、目尻や口元に生じる小じわに対する関心が高まっている。小じわは、皮膚の乾燥が原因と考えられており、その発生メカニズムや、形態学的、組織学的、または生化学的変化等において、光老化によって生じる大じわとは大きく異なると考えられている。例えば、角質層水分量と小じわの程度に相関性があることがヒトにおいて検証されている(非特許文献1)。また、不飽和脂肪酸で継続的にバリア機能を破壊すると、表皮性のしわが生じることが報告されている(非特許文献2)。これまでこのような小じわの防止および改善は、グリセリン、ソルビトール、植物液エキス等の保湿剤やコラーゲン等を含む化粧料による皮膚の乾燥からの保護による対処に頼らざるを得なかった。しかしながら、保湿剤等による皮膚の乾燥からの保護のみでは、小じわを十分に防止・改善することはできず、より効果的に小じわを防止・改善することが強く望まれていた。
【0003】
ADAM(a disintegrin and metalloprotease)と呼ばれる一群の膜型メタロプロテアーゼは、マトリックスメタロプテアーゼ(matrix metalloprotease;MMP)と並び、ヘパリン結合性EGF様増殖因子(heparin-binding epidermal growth factor-like growth factor; HB−EGF)や腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor;TNF)などの各種増殖因子、サイトカインならびにその他の多くの膜タンパク質を細胞表面から切断して細胞外に遊離させ、それら増殖因子等による細胞の増殖や分化等に寄与することが知られてきている。例えば、細胞表面に発現したHB−EGFは、ADAM−9、10、12及び17によって切断されて細胞外に遊離することが報告されている(例えば、非特許文献3−7参照)。
【0004】
さらに、紫外線、酸化、浸透圧など種々の刺激により、皮膚細胞においてHB−EGF、TNF−α等の増殖因子やサイトカインの発現・細胞膜からの遊離が促進され、オートクライン、パラクラインの機構によって細胞に増殖、分化等のシグナルが伝わり皮膚の増殖および肥厚を生じさせるが、その際に皮膚細胞に存在するADAMの活性化が起きていることが知られてきている。
【0005】
【非特許文献1】芋川ら、Fragrance Journal; 1992(11) 29-42
【非特許文献2】正木仁 香料会誌;2001 Vol.25, No. 1, 34-38
【非特許文献3】Asakura, M., et al. 2002. Cardiac hypertrophy is inhibited by antagonism of ADAM12 processing of HB-EGF: metalloproteinase inhibitors as a new therapy. Nat. Med. 8:35-40
【非特許文献4】Izumi, Y., et al. 1998. A metalloprotease- disintegrin, MDC9/meltrin-_/ADAM9 and PKC_ are involved in TPA-induced ectodomain shedding of membrane-anchored heparin-binding EGF-like growth factor. EMBO J. 17:7260-7272.
【非特許文献5】Lemjabbar, H., and C. Basbaum. 2002. Platelet-activating factor receptor and ADAM10 mediate responses to Staphylococcus aureus in epithelial cells. Nat. Med. 8:41-46
【非特許文献6】Sunnarborg, S.W., et al. 2002. Tumor necrosis factor-alpha converting enzyme (TACE) regulates epidermal growth factor receptor ligand availability. J. Biol. Chem. 277: 12838-12845
【非特許文献7】Yan, Y., K. Shirakabe, and Z. Werb. 2002. The metalloprotease Kuzbanian (ADAM10) mediates the transactivation of EGF receptor by G protein-coupled receptors. J. Cell Biol. 158:221-226.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたもので、ADAM阻害作用を有し、しわ、特に小じわを効果的に防止または改善できる抗しわ剤およびADAM阻害剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、ヘアレスマウスにテープストリッピングを繰り返し施すことによる皮膚の継続バリア破壊によって、ヒトの皮膚における小じわと同様の表皮および真皮の変化がマウスの皮膚に生じることを見出し、小じわマウスモデルを作成することに成功した。さらに、かかる小じわマウスモデルにおいて、ADAM−9およびADAM−17等のADAM(a disintegrin and metalloprotease)ファミリーに属するタンパク質(以下、ADAMと称する)、ならびにそれらADAMによって細胞膜からの遊離および活性化がなされるHB−EGFおよびAmphiregulinの表皮における遺伝子発現が亢進していること、さらには皮膚におけるADAMを阻害することによって表皮および真皮の肥厚を抑制してしわ形成を防止し得ることを見出した。
【0008】
すなわち、ADAM−9、ADAM−10およびADAM−17等のADAMは、皮膚の細胞表面に存在し、皮膚においてHB−EGF、Amphiregulin、TNF−α、TGF−α等の増殖因子を細胞膜から遊離させ活性化させる酵素である。皮膚のバリア破壊によって、皮膚において、それらADAMが活性化されまたは発現亢進され、HB−EGF等の増殖因子の遊離・活性化を促進させ、表皮および真皮の肥厚を生じさせることが、小じわ形成の1つの重要な機構であると考えられる。したがって、皮膚におけるADAMの活性を抑制することによって、HB−EGF等の活性亢進を抑えることができ、表皮および真皮の肥厚を抑制して、しわ、特に小じわを防止または改善できると考えられる。図1に、皮膚におけるADAMの活性阻害によりしわを防止または改善する機構について説明した概略図を示す。
【0009】
上記した知見に基づいて本出願人は、ヒトまたは動物の皮膚、皮膚組織または細胞に被験物質を接触させ、前記皮膚、組織または細胞におけるADAMの酵素活性または遺伝子発現レベルを検出し、ADAMの酵素発生または遺伝子発現レベルを指標として被験物質の抗しわ効果を評価する方法をすでに見出している(特願2005−299524号、特願2005−296219号参照)。
【0010】
一方、ADAM阻害剤としてはTAPI-1{N-(R)-(2-(Hydroxyaminocarbonyl)methyl)-4-Methylpentanoyl-L-Nal-L-Alanine2-Aminoethyl amide(L-Nal:L-3-(2’-Naphthyl)alanine)}や、TAPI-2{N-(R)-(2-(Hydroxyaminocarbonyl)methyl)-4-Methylpentanoyl-L-t-Butyl-Glycyl-L-Alanine2-Aminoethyl amide}が知られているが、これらの物質のADAM阻害能は充分とは言えず、また皮膚外用剤としての安全性は確認されていない。そこで、より安全で効果の高い薬剤の開発が求められてきた。
【0011】
本発明者らは、ADAMを阻害し得る新規化合物を探索する中で、ある種のアルキルグルコシド及びその塩が高いADAM阻害活性を有し、さらにはしわ形成を顕著に阻害し得ることを発見し、本発明を達成するに至った。
【0012】
本発明は、下記一般式で示されるアルキルグルコシドまたはその塩を含むことを特徴とする抗しわ剤である。
【化1】

【0013】
(式中、Rは、炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基を表す。)
また本発明は、下記一般式(1)で示されるアルキルグルコシドまたはその塩からなることを特徴とするADAM阻害剤である。
【化2】

【0014】
(式中、Rは、炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基を表す。)
さらに本発明は、上記ADAM阻害剤を皮膚に適用してしわを防止又は改善することを特徴とするしわ防止・改善方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の抗しわ剤およびADAM阻害剤は、皮膚に適用することによって、ADAM−9、ADAM−10、ADAM−17等の皮膚に存在するADAMの活性を阻害して、皮脂の減少や洗顔等の様々な要因によって生じる皮膚のバリア破壊によって誘起される表皮および真皮におけるHB−EGF等の増殖因子の遊離・活性化の亢進を抑制し、表皮や真皮の肥厚を抑えることができ、非常に効果的にしわ、特に小じわの形成を防止または改善することが可能である。
【0016】
本発明のしわ防止・改善方法によれば、抗しわ効果が今までに知られていなかった新規な化合物を用いてしわ、特に小じわの形成を防止または改善することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の最良の実施の形態について説明する。
本発明で用いるアルキルグルコシドまたはその塩は下記一般式(1)で表される。
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、Rは、炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基を表す。)
本発明化合物のアルキルグルコシド(1)中のRは、炭素数が1〜18の直鎖または分岐のアルキル基であり、好ましくは炭素数が10〜18の直鎖または分岐のアルキル基であり、より好ましくは炭素数が12〜14の直鎖または分岐のアルキル基である。かかる基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル等であり、好ましくは、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルであり、さらに好ましくは、ドデシル、トリデシル、テトラデシルである。
【0020】
また、本発明のアルキルグルコシドとして、例えば、メチルグルコシド、エチルグルコシド、プロピルグルコシド、イソプロピルグルコシド、ブチルグルコシド、イソブチルグルコシド、tert-ブチルグルコシド、ペンチルグルコシド、ヘキシルグルコシド、ヘプチルグルコシド、オクチルグルコシド、2-エチルヘキシルグルコシド、ノニルグルコシド、デシルグルコシド、ウンデシルグルコシド、ドデシルグルコシド、トリデシルグルコシド、テトラデシルグルコシド、ペンタデシルグルコシド、ヘキサデシルグルコシド、ヘプタデシルグルコシド、オクタデシルグルコシド等が挙げられる。
【0021】
本発明の化合物はα−グルコシド、β−グルコシドのどちらの異性体であってもよく、また、α、βの混合物であってもよい。また、グルコースはD−グルコース、L−グルコースのどちらの異性体であってもよく、D、Lの混合物であってもよい。
【0022】
本発明で用いられるアルキルグルコシドは、遊離酸以外にその医学的に許容される塩の形態も含む。これらの塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、メチルピペリジン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、リジン塩などのアミン塩、アンモニウム塩、あるいは塩基性アミノ酸塩などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
アルキルグルコシド及びその塩は、公知の製造方法に従い製造することが可能である。
【0024】
なお、本発明の抗しわ剤は、実質的にアルキルグルコシドまたはその塩からなるものであるが、他の成分を含んでいてもよい。この抗しわ剤が皮膚外用剤基剤に配合されて、皮膚外用剤が提供される。
【0025】
上記皮膚外用剤におけるアルキルグルコシドまたはその塩の配合量は、その使用態様や製品形態等によって異なり特に限定はされないが、例えば、皮膚外用剤全量に対して、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.005〜5質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%である。
【0026】
本明細書において、「皮膚外用剤」は、化粧料、医薬品、医薬部外品等を含む。また、その剤型も、水溶液系、可溶化系、乳化系、油液系、ゲル系、ペースト系、軟膏系、エアゾール系、水−油2層系、水−油−粉末3層など、任意の剤型を含む。また、シート状基剤に担持されたものも含む。
【0027】
また、皮膚外用剤の採り得る製品形態および用途も任意であり、例えば、化粧水、乳液、クリーム、パック等のフェーシャル、ボディまたは頭皮用の外用剤として用いることが可能である。
【0028】
皮膚外用剤は、上記のアルキルグルコシドまたはその塩の他に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の任意の成分を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤形に応じて常法により製造することが出来る。例えば、アルキルグルコシドまたはその塩と、下記成分の1種または2種以上とを配合して皮膚外用剤を調製できる。
【0029】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸(以下 PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAメチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤、ホモメンチル-N- アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5- ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2- エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p- メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ−β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート、トリメトキシ桂皮酸メチルビス(トリメチルシロキサン)シリルイソペンチル等の桂皮酸系紫外線吸収剤、3-(4'-メチルベンジリデン)-d,1-カンファー、3-ベンジリデン-d,1-カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、ジモルホリノピリダジノン等が挙げられ、任意の1種または2種以上を用いることができる。
【0030】
紫外線散乱剤としては、酸化チタン、微粒子酸化チタン、酸化亜鉛、微粒子酸化亜鉛、酸化鉄、微粒子酸化鉄、酸化セリウムなどの粉末が挙げられる。
【0031】
これら紫外線散乱剤は、通常、針状、紡錘状、球状、粒状の粉末が使用される。また、粒子径が0.1μm以下の微粒子粉末が好ましい。
【0032】
メチルハイドロジェンポリシロキサンやシランカップリング剤などのシリコーン処理;金属石鹸処理;パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩やパーフルオロアルキルシラン等のフッ素処理、デキストリン脂肪酸エステル処理等により、疎水化処理した紫外線散乱剤も好ましい。
【0033】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0034】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0035】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0036】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックス等が挙げられる。
【0037】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0038】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0039】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム重合体メチルエーテル等が挙げられる。
【0040】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0041】
その他には、例えば、ポリエチレングリコール,グリセリン、1,3-ブチレングリコール,エリスリトール,ソルビトール,キシリトール,マルチトール等の保湿剤;セルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,メチルセルロース,カルボキシメチルセルロース,クインスシード,カラギーナン,ペクチン,マンナン,カードラン,コンドロイチン硫酸,デンプン,ガラクタン,デルマタン硫酸,グリコーゲン,アラビアガム,ヘパラン硫酸,ヒアルロン酸,ヒアルロン酸ナトリウム,トラガントガム,ケラタン硫酸,コンドロイチン,キサンタンガム,ムコイチン硫酸,ヒドロキシエチルグアガム,カルボキシメチルグアガム,グアガム,デキストラン,ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン,カルボキシメチルキチン,寒天等の増粘剤、エタノール等の低級アルコール;ブチルヒドロキシトルエン,トコフェロール,フィチン等の酸化防止剤;安息香酸,サリチル酸,ソルビン酸,パラオキシ安息香酸アルキルエステル,ヘキサクロロフェン等の抗菌剤;アシルサルコシン酸(例えばラウロイルサルコシンナトリウム)、グルタチオン、クエン酸,リンゴ酸,酒石酸,乳酸等の有機酸;ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2及びその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、アスコルビン酸,アスコルビン酸硫酸エステル(塩),アスコルビン酸リン酸エステル(塩),アスコルビン酸ジパルミテート等のビタミンC類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,δ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類;ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸及びその誘導体、ヒノキチオール、ビサボロール、ユーカルプトーン、チモール、イノシトール、サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニン等のサポニン類、パントテニルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、トラネキサム酸、アルブチン、セファランチン、プラセンタエキス等の各種薬剤、ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラ、セイヨウサンザシエキス、セイヨウオトギリソウエキス、アイリス・インエキス、アセンヤクエキス、イチョウ葉エキス、イブキジャコウエキス、ウイキョウエキス、ウーロン茶エキス、ウオーターリリーエキス、エイジツエキス、エンメイソウエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、クチナシエキス、紅茶エキス、セイカリュウエキス、トルメンチラエキス、バラエキス、ヘチマエキス、ペパーミントエキス、ローズマリーエキス、ローヤルゼリーエキス等の植物の抽出物、色素、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキセチレンソルビタン、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコールジエーテル、ラウロイルジエタノールアマイド、脂肪酸イソプロパノールアマイド、マルチトールヒドロキシ脂肪酸エーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、シュガーエステル等の非イオン性活性剤、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン性界面活性剤、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル、ロート油、リニアドデシルベンゼン硫酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸、アシルメチルタウリン等のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、中和剤、δ−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、フェノキシエタノール、パラベン等の防腐剤が挙げられる。
【0042】
上記成分は例示であり、これらに限定されるものではない。またこれら成分は、所望する形態に応じた処方に従い、適宜組み合わせて配合することが可能である。
【0043】
本発明の抗しわ剤を配合した皮膚外用剤を使用することにより、しわ、特に小じわを防止・改善し、若々しくみずみずしい肌を提供することが可能である。
【0044】
本発明のしわを防止または改善する方法において、アルキルグルコシドまたはその塩は、皮膚への適用が可能でかつ本発明の目的を達成できる限り、任意の形態で皮膚に適用することができ、また単独で適用しても、あるいは他の任意の成分と共に配合して適用してもよい。また適用する皮膚の場所も限定されず、頭皮を含む体表面のあらゆる皮膚を含む。本発明の方法は、通常美容方法として用いられる。
【0045】
尚、本発明のアルキルグルコシドまたはその塩からなるADAM阻害剤の用途は、上述したしわの防止または改善に限定されず、ADAMの活性を阻害することによって効果を発揮できる任意の用途を含み、例えばADAMの活性化による皮膚細胞の増殖や分化により悪影響を受ける各種疾患の治療または予防にも用いることができる。
【0046】
本発明のADAM阻害剤は、ADAMの活性上昇に起因する病態の防止または改善を目的とした医薬品として用いることができる。
かかる用途において本発明のADAM阻害剤を製剤化するためには、通常の方法で、たとえば外用剤、散剤、顆粒、アンプル、注射液、等張液などとする。経口用固形製剤を調製する場合は、賦形剤さらに必要に応じて結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、矯味剤、矯臭剤などを加えたのち、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒、カプセル剤などとする。
【0047】
使用される賦形剤としては、例えば乳糖、ブドウ糖、ソルビット、コーンスターチ、マンニトールなどが、結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、アラビアゴム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが、崩壊剤としては炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、デンプン、ゼラチン末などが、滑沢剤としては、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、タルク、ポリエチレングリコールなどが、着色剤としては、ココア末、ハッカ芳香酸、ハッカ油などが挙げられる。これらの錠剤、顆粒剤には糖衣、ゼラチン衣、その他必要により適宜コーティングしてもよい。
【0048】
注射剤を製剤する場合には、必要によりpH調整剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解補助剤、溶剤、安定化剤、保存剤などを添加し、常法により皮下、筋肉内、静脈内用注射剤とする。
【実施例】
【0049】
次に実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれにより限定されるものではない。ここで、配合量は質量%である。
【0050】
1.新規なADAM阻害剤の探索
ADAM活性阻害効果は、ADAMの作用でヒトリンパ腫由来U937細胞の膜から切り出され、遊離されるTNF−αを指標とし、薬剤によるTNF−α遊離阻害効果を評価した。本法で各種化合物をスクリーニングして、新規なADAM阻害剤を探索した。
【0051】
ヒトリンパ腫由来U937細胞を48穴プレートに1 x 10^5 cells/0.25 mlとなるよう細胞数を調整して播種し、37℃で一晩培養した。アルキルグルコシドを30μg/ml含む培地を添加し、37℃で30分間インキュベートして前処置した。その後、10nM PMA(ホルボールエステル:12-0-tetradecanoylphorbol-acetate; Sigma P8139)を添加し、37℃で6時間培養した。処置終了後、培養上清を回収し、遠心して、細胞を含まない上清を−20℃にて凍結保存した。遊離されたhTNF−αのアッセイは、R&D社のhTNF−α Duo-Set ELISAキットを用いて実施し、各培養上清を培地で5倍希釈し、96穴プレートに100μlずつ加え、R&D社のプロトコールに従って測定した。測定キットは各ウェルの450〜570nmにおける吸光度を測定し、標準曲線から試料濃度を求めた。
0%阻害コントロール(PMAのみを含む培地)の吸光度をA0、100%阻害コントロール(培地のみ)の吸光度をA100、試料の吸光度をASとし、以下の式により阻害率(%)を算出した。
【0052】
阻害率(%)=(A0−AS)/(A0−A100)×100
【0053】
その結果、本発明のアルキルグルコシドに高いHB−EGF遊離抑制効果が認められ、ADAM活性を阻害することが示唆された。各アルキルグルコシドの遊離阻害率を表1に示す。また比較のために、下記の式(A)〜(E)で表されるグルコシド化合物についても試験を行い、遊離阻害率を求めた。その結果を表1に併せて示す。表1から、式(A)〜(E)で表されるグルコシド化合物については効果が認められないことから、アルキル基の存在が必要であることがわかる。
【0054】
【化4】

【0055】
【化5】

【0056】
【化6】

【0057】
【化7】

【0058】
【化8】

【0059】
【表1】

【0060】
2.アルキルグルコシドのしわ改善効果の評価
次に、バリア破壊しわマウスモデルを用いて、新規なADAM阻害化合物のうち、ドデシル β−D−グルコシド(GC12)、テトラデシル β−D−グルコシド(GC14)、及びヘキサデシル β−D−グルコシド(GC16)のしわ改善効果について検討した。
【0061】
ヘアレスマウス(HR-1, 雄6週齢、星野実験動物)の左側背部に経皮水分蒸散量(TEWL)(水分蒸散量測定装置MEECO;Meeco社、USAを用いて測定)が4−8mg/cm2/hになるようにテープストリッピングを週3回、4週間継続して行った。テープストリッピング処置直後に毎回、ドデシル β−D−グルコシド、テトラデシル β−D−グルコシド、及びヘキサデシル β−D−グルコシドを1%になるように50%エタノール水溶液に溶解させたものを、マウス左側背部に100μlずつ塗布し、また、陰性対象として50%エタノール水溶液(Vehicle)を同様に塗布した。n数は各群6から7とした。
【0062】
4週間後のしわの発生状況を視感判定によりスコア化した。しわの発生状況の評価基準は「しわなし;0」、「うすいしわ;1」、「明らかなしわ;2」、「深いしわ;3」とし、0.5刻みで点数化した。評点が大きいほどしわが深いことを示す。各群の平均値および標準偏差を算出し、結果を図2に示す。
【0063】
図2から明らかであるように、Vehicle塗布群のスコアの平均値が1.24であったのに対して、ドデシル β−D−グルコシド塗布群は0.58、テトラデシル β−D−グルコシド塗布群は0.63、及びヘキサデシル β−D−グルコシド塗布群は0.89と有意に低く、顕著なしわ抑制効果を示した。
【0064】
さらにマウス背部における試験開始前と開始後4週間目の経表皮水分蒸散量(TEWL)についても検討した。テープストリッピング処置を施し、ドデシル β−D−グルコシド、テトラデシル β−D−グルコシド、及びヘキサデシル β−D−グルコシドまたは50%エタノール水溶液(Vehicle)を塗布した左側背部、および何も処置を施していない右側背部におけるTEWL値を、Vapometer(Technologies Ltd, Kuopio, フィンランド)でそれぞれ2回ずつ測定した。各個体の右側のTEWL値を100とした時の左側のTEWL値の比率(相対的TEWL(%))を求め、各群毎の平均値を算出した。パーセンテージの値が高いほど肌荒れが亢進していることを示す。結果を図3に示す。
【0065】
図3から明らかであるように、Vehicle塗布群ではTEWLが186%まで上昇したのに対し、ドデシル β−D−グルコシド塗布群では141%、テトラデシル β−D−グルコシド塗布群では130%、及びヘキサデシル β−D−グルコシド塗布群では164%の上昇に留まっており、ドデシル β−D−グルコシドおよびテトラデシル β−D−グルコシドはテープストリッピングによるTEWLの上昇を有意に抑制した。ヘキサデシル β−D−グルコシドもVehicleと比較するとTEWLの上昇する割合は低かった。
【0066】
同様の方法を用いてオクタデシル β−D−グルコシド(GC18)のしわ抑制効果についても検討した。図4から明らかであるように、視感判定ではvehicle塗布群のしわスコアの平均値が1.55であったのに対し、オクタデシル β−D−グルコシド塗布群のしわスコアは0.54まで有意に抑制されていた。また、図5に示す通りVehicle塗布群ではTEWLが208%まで上昇したのに対し、オクタデシル β−D−グルコシド塗布群ではTEWLの上昇が124%に留まっており、オクタデシル β−D−グルコシドはテープストリッピングによるTEWLの上昇を有意に抑制した。
【0067】
これらの結果から、ドデシル β−D−グルコシド、テトラデシル β−D−グルコシド、ヘキサデシル β−D−グルコシド、及びオクタデシル β−D−グルコシドは、活性化したADAMを阻害することにより、TNF−αとともにADAMで遊離される表皮増殖因子(HB−EGF等)の遊離を抑制し、皮膚の増殖および肥厚を抑制してしわ形成を防止または改善し得ることが示唆された。
【0068】
3.ヒト目周りにおけるアルキルグルコシドの小じわ改善効果の評価
次に、新規なADAM阻害化合物のうち、バリア破壊しわマウスモデルにおいて高いしわ改善効果を示したドデシル β−D−グルコシド(GC12)のヒトに対するしわ改善効果をハーフフェイス、二重盲検法にて検討した。
【0069】
30代〜40代の成人男性16名(平均年齢42.2歳)に0.44%ドデシル β−D−グルコシド/30%エタノール水溶液を2ヶ月間連用塗布した。用量は1回30μlずつとし、片側の目尻および目の下に0.44%ドデシル β−D−グルコシド/30%エタノール水溶液、反対側の目尻および目の下にvehicleとして30%エタノール水溶液を1日2回塗布した。
試験開始前、開始後2ヶ月連用後に塗布前と塗布後の目の周囲の皮膚状態を調べるため、1回洗顔後、恒温恒湿室(23.5℃,湿度45%)にて馴化し、目の周囲の外観写真撮影(ニコンデジタル一眼レフカメラD-100)および角層水分量測定(Corneometer, Courage+Khazaka electronic GmbH, Germany)を行った。
【0070】
図6は角層水分量の経時変化を示す。値は試験開始前の各被験者の角層水分量の値を100とした時の2ヶ月連用後の目の角層水分量値の比率(相対的角層水分量(%))を求め、各群毎の平均値を算出した。Vehicle塗布群では角層水分量が開始前の値の95%にまで低下したのに対し、ドデシル β−D−グルコシド塗布群では角層水分量の低下が抑制された。
【0071】
次に判定者3名で視感判定を実施した。30代〜40代の成人男性16名による各被験者の開始前と開始後2ヶ月経過後の目の下の写真を用い、判定者3名の協議により、Vehicle塗布側よりもドデシル β−D−グルコシド塗布側の方で明らかに小じわの本数が減少、又は浅くなっているケースを「改善」、両側で明確な差が認められないものを「不変」、Vehicle塗布側よりもドデシル β−D−グルコシド塗布側の方で明らかに小じわの本数が増加、又は深くなっているケースを「悪化」とした。
各カテゴリの被験者数を合計し、ウィルコクソン符号付順位和検定を実施したところ、表2に示すようにドデシル β−D−グルコシドは有意に目の下の小じわを改善することが明らかとなった。
【0072】
【表2】

【0073】
以下に、本発明のアルキルグルコシド誘導体またはその塩を含有する皮膚外用剤の製剤例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、配合量は全て外用剤全量に対する質量%で表す。
【0074】
製剤例1:乳液
(処方) 質量%
ステアリン酸 2.5
セチルアルコール 1.5
ワセリン 5.0
流動パラフィン 5.0
ポリオキシエチレン(10モル)モノオレイン酸エステル 2.0
ポリエチレングリコール1500 3.0
トリエタノールアミン 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.05
デシル β−D−グルコシド 2.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.2
香料 適量
精製水 残余
(製法)
少量の精製水にカルボキシビニルポリマーを溶解する(A相)。残りの精製水にポリエチレングリコール1500とトリエタノールアミン、デシル β−D−グルコシドを加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、A相を加えホモミキサーで均一乳化し、乳化後よくかき混ぜながら30℃まで冷却し、乳液を得た。
【0075】
製剤例2:化粧水
(処方) 質量%
エタノール 5.0
カルボキシビニルポリマー 0.3
ポリオキシエチレン(15モル)オレイルエーテル 0.8
1,3−ブチレングリコール 5.0
ウンデシル β−D−グルコシド 2.0
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.07
メチルパラベン 0.1
精製水 残余
(製法)
精製水に、クエン酸、クエン酸ナトリウム及びウンデシル β−D−グルコシドを溶解し、これを水相とした。他方、その他の成分を撹拌溶解し、これを水相に添加して均質にし、化粧水を得た。
【0076】
製剤例3:クリーム
(処方) 質量%
ステアリン酸 2.0
ステアリルアルコール 7.0
水添ラノリン 2.0
2−オクチルドデシルアルコール 6.0
ポリオキシエチレン(25モル)セチルアルコールエーテル 3.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
ドデシル β−D−グルコシド 2.0
ドデシル α−D−グルコシド 2.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
エデト酸3ナトリウム 0.1
グリチルレチン酸ナトリウム 0.1
ビタミンEアセテート 0.3
エチルパラベン 0.3
精製水 残余
(製法)
精製水にドデシル β−D−グルコシド、ドデシル α−D−グルコシド、1,3−ブチレングリコール、エデト酸3ナトリウム、グリチルレチン酸ナトリウムを加えて70℃に保ち、これを水相とした。他方、その他の成分を混合し、加熱融解し70℃に保ち、これを油相とした。水相に油相を加えて予備乳化を行ない、ホモミキサーで均一に乳化した後、30℃に冷却しクリームを得た。
【0077】
製剤例4 乳液
(処方) 質量%
ジメチルポリシロキサン 3.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 4.0
エタノール 5.0
グリセリン 6.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
テトラデシル β−D−グルコシド 0.5
ヘキサデシル β−D−グルコシド 0.5
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 3.0
ヒマワリ油 1.0
スクワラン 2.0
水酸化カリウム 0.1
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 0.1
4−メトキシサリチル酸カリウム 1.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
ビワ葉エキス 0.1
L−グルタミン酸ナトリウム 0.05
ウイキョウエキス 0.1
酵母エキス 0.1
ラベンダー油 0.1
ジオウエキス 0.1
ジモルホリノピリダジノン 0.1
キサンタンガム 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.1
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレンTR−1) 0.1
ベンガラ 適量
黄酸化鉄 適量
パラベン 適量
精製水 残余
【0078】
製剤例5 乳液
(処方) 質量%
ジメチルポリシロキサン 3.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 4.0
エタノール 5.0
グリセリン 6.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
オクタデシル β−D−グルコシド 1.0
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 3.0
ヒマワリ油 1.0
スクワラン 2.0
水酸化カリウム 0.1
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 0.1
4−メトキシサリチル酸カリウム 1.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
ビワ葉エキス 0.1
L−グルタミン酸ナトリウム 0.05
ウイキョウエキス 0.1
酵母エキス 0.1
ラベンダー油 0.1
ジオウエキス 0.1
ジモルホリノピリダジノン 0.1
キサンタンガム 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.1
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレンTR−1) 0.1
ベンガラ 適量
黄酸化鉄 適量
パラベン 適量
精製水 残余
【0079】
製剤例6 乳液
(処方) 質量%
ジメチルポリシロキサン 2.0
ベヘニルアルコール 1.0
バチルアルコール 0.5
グリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 7.0
ドデシル β−D−グルコシド 0.5
テトラデシル β−D−グルコシド 1.0
トラネキサム酸メチルアミド塩酸塩 0.7
エリスリトール 2.0
硬化油 3.0
スクワラン 6.0
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 2.0
イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 1.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1.0
水酸化カリウム 適量
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
フェノキシエタノール 適量
カルボキシビニルポリマー 0.1
精製水 残余
【0080】
製剤例7 乳液
(処方) 質量%
ジメチルポリシロキサン 2.0
ベヘニルアルコール 1.0
バチルアルコール 0.5
グリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 7.0
ヘキサデシル β−D−グルコシド 1.0
トラネキサム酸メチルアミド塩酸塩 0.7
エリスリトール 2.0
硬化油 3.0
スクワラン 6.0
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 2.0
イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 1.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1.0
水酸化カリウム 適量
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
フェノキシエタノール 適量
カルボキシビニルポリマー 0.1
精製水 残余
【0081】
製剤例8 乳液
(処方) 質量%
流動パラフィン 7.0
ワセリン 3.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 2.0
ベヘニルアルコール 0.5
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 7.0
オクタデシル β−D−グルコシド 1.0
ドデシル α−D−グルコシド 1.0
ポリエチレングリコール1500 2.0
ホホバ油 1.0
イソステアリン酸 0.5
ステアリン酸 0.5
ベヘニン酸 0.5
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 3.0
2−エチルヘキサン酸セチル 3.0
モノステアリン酸グリセリン 1.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1.0
水酸化カリウム 0.1
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
グリチルレチン酸ステアリル 0.05
L−アルギニン塩酸塩 0.1
ローヤルゼリーエキス 0.1
酵母エキス 0.1
ウコンエキス 0.1
酢酸トコフェロール 0.1
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
エデト酸三ナトリウム 0.05
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.1
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.15
パラベン 適量
精製水 残余
香料 適量
【0082】
製剤例9 乳液
(処方) 質量%
ワセリン 5.0
ベヘニルアルコール 0.5
バチルアルコール 0.5
グリセリン 7.0
1,3−ブチレングリコール 7.0
ドデシル β−D−グルコシド 1.0
ヘキサデシル β−D−グルコシド 1.0
1,2−ペンタンジオール 1.0
キシリット 3.0
ポリエチレングリコール20000 2.0
硬化油 2.0
ホホバ油 2.0
スクワラン 5.0
イソステアリン酸 0.5
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 2.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.4
水酸化カリウム 適量
ピロ亜硫酸ナトリウム 0.01
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
トリメチルグリシン 3.0
アルブチン 3.0
イチヤクソウエキス 0.1
オドリコソウエキス 0.1
ルンプヤンエキス 0.1
酵母エキス 0.1
酢酸トコフェロール 0.1
チオタウリン 0.1
クララエキス 0.1
ベンガラ 適量
クインスシードエキス 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.2
フェノキシエタノール 適量
精製水 残余
【0083】
製剤例10 乳液
(処方) 質量%
ワセリン 5.0
ジメチルポリシロキサン 2.0
ベヘニルアルコール 0.6
バチルアルコール 0.5
ジプロピレングリコール 2.0
1,3−ブチレングリコール 4.0
ドデシル β−D−グルコシド 10.0
オクタデシル β−D−グルコシド 3.0
キシリット 1.0
ポリエチレングリコール1500 1.0
スクワラン 5.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
酢酸レチノール 0.03
レチノール(150万単位) 0.01
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
トラネキサム酸メチルアミド塩酸塩 0.7
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
2−O−エチル−L−アスコルビン酸 0.1
酵母エキス 0.1
アセンヤクエキス 0.1
シャクヤクエキス 0.1
ヒオウギ抽出液 0.1
HEDTA 3ナトリウム 0.05
キサンタンガム 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.15
精製水 残量
香料 適量
【0084】
製剤例11 化粧水
(処方) 質量%
エチルアルコール 5.0
グリセリン 1.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ドデシル β−D−グルコシド 3.0
デシル β−D−グルコシド 10.0
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル 0.2
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.03
トリメチルグリシン 1.0
ポリアスパラギン酸ナトリウム 0.1
α−トコフェロール2−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム 0.1
2−O−エチル−L−アスコルビン酸 0.1
緑茶エキス 0.1
ブナエキス 0.1
トウニンエキス 0.1
西洋ハッカエキス 0.1
イリス根エキス 0.1
HEDTA3ナトリウム 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.05
水酸化カリウム 0.02
フェノキシエタノール 適量
精製水 残余
香料 適量
【0085】
製剤例12 化粧水
(処方) 質量%
グリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール 4.0
ウンデシル β−D−グルコシド 1.0
ドデシル β−D−グルコシド 1.0
エリスリトール 1.0
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
L−アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
キシリトール 0.1
クエン酸 0.02
クエン酸ナトリウム 0.08
フェノキシエタノール 適量
N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル
・DL−ピロリドンカルボン酸 0.1
精製水 残余
【0086】
製剤例13 化粧水
(処方) 質量%
グリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール 4.0
ドデシル α−D−グルコシド 1.0
テトラデシル β−D−グルコシド 1.0
エリスリトール 1.0
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
L−アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
キシリトール 0.1
クエン酸 0.02
クエン酸ナトリウム 0.08
フェノキシエタノール 適量
N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル
・DL−ピロリドンカルボン酸 0.1
精製水 残余
【0087】
製剤例14 化粧水
(処方) 質量%
エタノール 10.0
ジプロピレングリコール 1.0
ヘキサデシル β−D−グルコシド 1.0
オクタデシル β−D−グルコシド 1.0
ポリエチレングリコール1000 1.0
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1.0
ホホバ油 0.01
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.1
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2
ジイソステアリン酸ポリグリセリル 0.15
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.2
水酸化カリウム 0.4
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
塩酸アルギニン 0.1
L−アスコルビン酸 2−グルコシド 2.0
オウゴンエキス 0.1
ユキノシタエキス 0.1
オドリコソウエキス 0.1
タイムエキス 0.1
マヨナラエキス 0.1
トラネキサム酸 1.0
エデト酸三ナトリウム 0.05
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 0.01
ジブチルヒドロキシトルエン 適量
パラベン 適量
海洋深層水 3.0
精製水 残余
香料 適量
【0088】
製剤例15 化粧水
(処方) 質量%
ジメチルポリシロキサン 1.0
エタノール 3.0
ベヘニルアルコール 0.3
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 5.0
ドデシル β−D−グルコシド 0.1
テトラデシル β−D−グルコシド 0.1
エリスリトール 1.0
ポリエチレングリコール4000 1.0
スクワラン 0.4
2−エチルヘキサン酸セチル 0.1
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 0.2
塩化マグネシウム 0.1
塩化アルギニン 0.1
ヒポタウリン 0.1
エデト酸三ナトリウム 0.1
パラベン 適量
精製水 残余
香料 適量
【0089】
製剤例16 化粧水
(処方) 質量%
エタノール 40.0
ジプロピレングリコール 1.0
ウンデシル β−D−グルコシド 0.1
ドデシル β−D−グルコシド 0.1
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル 0.1
無水ケイ酸 1.0
サリチル酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.2
パラフェノールスルホン酸亜鉛 0.2
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
塩酸ピリドキシン 0.1
L−セリン 0.1
L−メントール 0.05
HEDTA3ナトリウム 0.05
セルロース粉末 1.0
ベントナイト 0.8
精製水 残余
【0090】
製剤例17 化粧水
(処方) 質量%
エタノール 40.0
ジプロピレングリコール 1.0
ドデシル β−D−グルコシド 0.1
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル 0.1
無水ケイ酸 1.0
サリチル酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.2
パラフェノールスルホン酸亜鉛 0.2
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
塩酸ピリドキシン 0.1
L−セリン 0.1
L−メントール 0.05
HEDTA3ナトリウム 0.05
セルロース粉末 1.0
ベントナイト 0.8
精製水 残余
【0091】
製剤例18 ジェル
(処方) 質量%
ジメチルポリシロキサン 5.0
グリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ドデシル β−D−グルコシド 0.1
ドデシル α−D−グルコシド 0.1
ポリエチレングリコール1500 3.0
ポリエチレングリコール20000 3.0
オクタン酸セチル 3.0
クエン酸 0.01
クエン酸ナトリウム 0.1
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
L−アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム 0.1
酢酸トコフェロール 0.1
オウゴンエキス 0.1
タイムエキス 0.1
ユキノシタエキス 0.1
エデト酸三ナトリウム 0.1
キサンタンガム 0.3
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレンTR−2) 0.05
寒天末 1.5
フェノキシエタノール 適量
ジブチルヒドロキシトルエン 適量
精製水 残余
【0092】
製剤例19 パック
(処方) 質量%
エタノール 10.0
1,3−ブチレングリコール 6.0
ドデシル β−D−グルコシド 1.0
テトラデシル β−D−グルコシド 1.0
ポリエチレングリコール4000 2.0
オリーブ油 1.0
マカデミアナッツ油 1.0
ヒドロキシステアリン酸フィトステリル 0.05
乳酸 0.05
乳酸ナトリウム 0.1
L−アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム 0.1
α−トコフェロール2−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム 0.1
ビタミンEアセテート 0.1
魚コラーゲン 0.1
コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.1
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.2
ポリビニルアルコール 12.0
パラオキシ安息香酸エステル 適量
精製水 残余
香料 適量
【0093】
製剤例20 パック
(処方) 質量%
エタノール 3.0
グリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 6.0
ヘキサデシル β−D−グルコシド 1.0
オクタデシル β−D−グルコシド 1.0
ポリエチレングリコール1500 5.0
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 2.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
ビワ葉エキス 0.1
L−グルタミン酸ナトリウム 0.1
ウイキョウエキス 0.1
ハマメリスエキス 0.1
オウバクエキス 0.1
ジオウエキス 0.1
ユーカリ油 0.05
ジモルホリノピリダジノン 0.1
キサンタンガム 0.05
カルボキシビニルポリマー 0.5
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレンTR−1) 0.05
水酸化カリウム 0.05
フェノキシエタノール 適量
精製水 残余
【0094】
製剤例21 パック
(処方) 質量%
エタノール 3.0
グリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 6.0
ドデシル β−D−グルコシド 1.0
ポリエチレングリコール1500 5.0
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 2.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
ビワ葉エキス 0.1
L−グルタミン酸ナトリウム 0.1
ウイキョウエキス 0.1
ハマメリスエキス 0.1
オウバクエキス 0.1
ジオウエキス 0.1
ユーカリ油 0.05
ジモルホリノピリダジノン 0.1
キサンタンガム 0.05
カルボキシビニルポリマー 0.5
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレンTR−1) 0.05
水酸化カリウム 0.05
フェノキシエタノール 適量
精製水 残余
【0095】
製剤例22 クリーム
(処方) 質量%
流動パラフィン 3.0
ワセリン 1.0
ジメチルポリシロキサン 1.0
ステアリルアルコール 1.8
ベヘニルアルコール 1.6
グリセリン 8.0
ジプロピレングリコール 5.0
ドデシル β−D−グルコシド 5.0
オクタデシル β−D−グルコシド 5.0
マカデミアナッツ油 2.0
硬化油 3.0
スクワラン 6.0
ステアリン酸 2.0
ヒドロキシステアリン酸コレステリル 0.5
2−エチルヘキサン酸セチル 4.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 3.0
水酸化カリウム 0.15
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
トリメチルグリシン 2.0
α−トコフェロール2−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム 1.0
酢酸トコフェロール 0.1
甜茶エキス 0.1
パラベン 適量
エデト酸3ナトリウム 0.05
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.05
ジパラメトキシ桂皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.05
色剤 適量
カルボキシビニルポリマー 0.05
精製水 残余
【0096】
製剤例23 クリーム
(処方) 質量%
流動パラフィン 8.0
ワセリン 3.0
ジメチルポリシロキサン 2.0
ステアリルアルコール 3.0
ベヘニルアルコール 2.0
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 4.0
ドデシル β−D−グルコシド 3.0
テトラデシル β−D−グルコシド 3.0
トレハロース 1.0
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 4.0
モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 2.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1.0
親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.05
水酸化カリウム 0.015
油溶性甘草エキス 0.1
レチノールパルミテート(100万単位) 0.25
酢酸トコフェロール 0.1
パラオキシ安息香酸エステル 適量
フェノキシエタノール 適量
ジブチルヒドロキシトルエン 適量
エデト酸三ナトリウム 0.05
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.01
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 0.1
β−カロチン 0.01
ポリビニルアルコール 0.5
ヒドロキシエチルセルロース 0.5
カルボキシビニルポリマー 0.05
精製水 残余
香料 適量
【0097】
製剤例24 クリーム
(処方) 質量%
流動パラフィン 8.0
ワセリン 3.0
ジメチルポリシロキサン 2.0
ステアリルアルコール 3.0
ベヘニルアルコール 2.0
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 4.0
ドデシル β−D−グルコシド 3.0
トレハロース 1.0
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 4.0
モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 2.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1.0
親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.05
水酸化カリウム 0.015
油溶性甘草エキス 0.1
レチノールパルミテート(100万単位) 0.25
酢酸トコフェロール 0.1
パラオキシ安息香酸エステル 適量
フェノキシエタノール 適量
ジブチルヒドロキシトルエン 適量
エデト酸三ナトリウム 0.05
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.01
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 0.1
β−カロチン 0.01
ポリビニルアルコール 0.5
ヒドロキシエチルセルロース 0.5
カルボキシビニルポリマー 0.05
精製水 残余
香料 適量
【0098】
製剤例25 クリーム
(処方) 質量%
ワセリン 2.0
ジメチルポリシロキサン 2.0
エタノール 5.0
ベヘニルアルコール 0.5
バチルアルコール 0.2
グリセリン 7.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ドデシル β−D−グルコシド 1.0
デシル β−D−グルコシド 1.0
ポリエチレングリコール20000 0.5
ホホバ油 3.0
スクワラン 2.0
ヒドロキシステアリン酸フィトステリル 0.5
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
水酸化カリウム 0.1
ピロ亜硫酸ナトリウム 0.01
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
グリチルレチン酸ステアリル 0.1
パントテニルエチルエーテル 0.1
アルブチン 7.0
トラネキサム酸 1.0
酢酸トコフェロール 0.1
ヒアルロン酸ナトリウム 0.05
パラオキシ安息香酸エステル 適量
エデト酸三ナトリウム 0.05
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.1
ジパラメトキシ桂皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.1
黄酸化鉄 適量
キサンタンガム 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.2
精製水 残余
【0099】
製剤例26 クリーム
(処方) 質量%
流動パラフィン 10.0
ジメチルポリシロキサン 2.0
グリセリン 10.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
ウンデシル β−D−グルコシド 1.0
ドデシル β−D−グルコシド 1.0
エリスリトール 1.0
ポリエチレングリコール1500 5.0
スクワラン 15.0
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 5.0
水酸化カリウム 0.1
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
酢酸トコフェロール 0.05
パラオキシ安息香酸エステル 適量
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.3
ポリビニルアルコール 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.2
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレンTR−2) 0.1
精製水 残余
【0100】
製剤例27 クリーム
(処方) 質量%
流動パラフィン 10.0
ジメチルポリシロキサン 2.0
グリセリン 10.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
ドデシル β−D−グルコシド 1.0
エリスリトール 1.0
ポリエチレングリコール1500 5.0
スクワラン 15.0
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 5.0
水酸化カリウム 0.1
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
酢酸トコフェロール 0.05
パラオキシ安息香酸エステル 適量
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.3
ポリビニルアルコール 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.2
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレンTR−2) 0.1
精製水 残余
【0101】
製剤例28 二層タイプクリーム
(処方) 質量%
ジメチルポリシロキサン 5.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 25.0
トリメチルシロキシケイ酸 5.0
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 2.0
ジプロピレングリコール 5.0
ドデシル β−D−グルコシド 0.01
テトラデシル β−D−グルコシド 0.01
パルミチン酸デキストリン被覆微粒子酸化亜鉛(60nm) 15.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.02
グルタチオン 1.0
チオタウリン 0.05
クララエキス 1.0
パラベン 適量
フェノキシエタノール 適量
エデト酸三ナトリウム 適量
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 7.5
ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 0.5
球状ポリアクリル酸アルキル粉末 5.0
ブチルエチルプロパンジオール 0.5
精製水 残余
香料 適量
【0102】
上記の製剤例1〜28の皮膚外用剤はいずれも高いしわ防止・改善効果を有するものであった。
【0103】
製剤例29 注射剤
(処方)
テトラデシル β−D−グルコシド 100mg
クロロホルム 5ml
Tween−80 100mg
無菌蒸留水 10ml
(製法)
テトラデシル β−D−グルコシド100mgをクロロホルム5mlに溶解し、Tween−80を10mg加えて混和し、ミリポアフィルタでろ過滅菌した後無菌エバポレータにて蒸発乾固させた。無菌蒸留水10mlを加え、はげしく混和後、超音波処理してアンプルに封入し、注射剤を調製した。
上記の製剤例29の注射剤は高いADAM阻害効果を有するものであった。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】表皮におけるADAMの活性阻害によりしわを防止または改善する機構について説明した概略図である。
【図2】視感判定でのアルキルグルコシドのしわ改善効果を示すグラフである。
【図3】アルキルグルコシドの経表皮水分蒸散量(Transepidermal Water Loss;TEWL)上昇抑制効果を示すグラフである。
【図4】視感判定でのオクタデシル β−D−グルコシド(GC18)のしわ改善効果を示すグラフである。
【図5】オクタデシル β−D−グルコシド(GC18)の経表皮水分蒸散量(Transepidermal Water Loss;TEWL)上昇抑制効果を示すグラフである。
【図6】ドデシル β−D−グルコシド(GC12)の角層水分量の経時変化を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式で示されるアルキルグルコシドまたはその塩を含むことを特徴とする抗しわ剤。
【化1】


(式中、Rは、炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基を表す。)
【請求項2】
Rが炭素数10〜18の直鎖または分岐のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の抗しわ剤。
【請求項3】
下記一般式(1)で示されるアルキルグルコシドまたはその塩からなることを特徴とするADAM阻害剤。
【化2】


(式中、Rは、炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基を表す。)
【請求項4】
Rが炭素数10〜18の直鎖または分岐のアルキル基であることを特徴とする請求項3に記載のADAM阻害剤。
【請求項5】
請求項3または4に記載のADAM阻害剤を皮膚に適用してしわを防止又は改善することを特徴とするしわ防止・改善方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−201772(P2008−201772A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−290513(P2007−290513)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】