説明

抗アレルギー剤

【課題】製造が容易で、摂取しやすい抗アレルギー作用のある薬剤を提供する。
【解決手段】抗アレルギー剤の有効成分として加熱処理した青大豆種子及び/又はその溶媒抽出物を用いる。加熱処理後の青大豆種子には極めて強いIgEの産生抑制作用作用があるので、抗アレルギー剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱処理した青大豆種子及び/又はその溶媒抽出物を含んでなる抗アレルギー剤、並びにそれらを含有する抗アレルギー用飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
先進国においてアレルギー性疾患は最も発症率の高い疾患の一つである。特に代表的なものとして、花粉症、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎等があり、その他にも、リュウマチ、炎症性腸疾患、食物アレルギー等が挙げられる。これらの中でも花粉症とアトピー性皮膚炎の患者数は、近年急激に増加しており、国際的に、特に先進国において、大きな社会問題になっている。
【0003】
アレルギー反応は大きく4つのタイプ(I〜IV型)に分類されているが、多くのアレルギー性疾患は、即時型アレルギー反応とも呼ばれるI型アレルギー反応によって引き起こされる。このタイプによるアレルギー反応は、B細胞から過剰産生され、放出されるアレルゲン特異的IgE抗体、肥満細胞(マスト細胞)や好塩基球から放出されるヒスタミンやロイコトリエン等のケミカルメディエーター、及びヘルパーT細胞のサブタイプであるTh1細胞とTh2細胞の機能バランス(以下、本明細書において「Th1−Th2バランス」とする)のTh2側への偏向等の複数の要因が複雑に絡み合って起こると言われている。具体的には、体内に進入したアレルゲンは、通常、抗原提示細胞に取り込まれて分解され、その一部の情報がT細胞に抗原提示される。
【0004】
抗原提示を受けたT細胞は、Th2細胞へと分化・活性化され、IL-4等のサイトカインを産生してB細胞を活性化させる。活性化したB細胞は、アレルゲンに特異的なIgE抗体を産生する。このIgE抗体が肥満細胞や好塩基球表面に存在するFc受容体に結合すると、当該細胞内からヒスタミン等が、さらに細胞表面ではロイコトリエン等が、大量に産生、放出される。これらのケミカルメディエーターは、血管透過性を亢進させて浮腫や鼻汁の過剰分泌を引き起こし、また平滑筋を収縮させて気道収縮を引き起こす。これが一般的なI型アレルギー反応の発症メカニズムである(非特許文献1)。昨今では、生活様式や食生活の変化等によりTh1−Th2バランスが慢性的にTh2側へ偏向し、アレルギー性疾患の増加傾向の一因となっていることが明らかになりつつある。
【0005】
アレルギー症状を改善する方法としては、現在、マスク、ゴーグル、空気清浄機等で花粉やハウスダスト等のアレルゲンとの接触機会を少なくする方法や、アレルゲンとなる食物を特定してその食物を摂取しないようにする等の物理的な方法、遊離したヒスタミンが受容体に結合するのを阻害する抗ヒスタミン剤、炎症反応を抑制するステロイド剤、細胞膜安定化作用を有する脱顆粒抑制剤又はロイコトリエン合成阻害剤等の抗アレルギー剤によってアレルギー反応を抑制する等の薬物的な方法がある。しかしながら、アレルゲンとの接触を完全に防ぐことは極めて困難であり、また、抗アレルギー剤には多くの場合副作用があり、日常的に長期にわたって使用するには限界がある。
【0006】
一方、これらの薬剤に代えて、抗アレルギー効果を示す食品を摂取することによってアレルギー症状を改善しようとする試みも行われており、例えば、甜茶、シソ、β−グルカン等を添加した食品が知られている。しかし、これらの食品は、医薬品に比べて副作用は少ないものの、アレルギー改善効果も限定的なため十分な効果があるとはいえず、抗アレルギー効果の点で満足できるものではなかった。
【0007】
したがって、日常的に服用が可能で、しかも効果的に花粉症等の症状を緩和できる抗アレルギー食品が望まれている。
【0008】
ところで、大豆は、豆腐、醤油、納豆等の原料としてよく知られ、大豆から機能性成分を得ようとする様々な試みが行われている。例えば、特許文献1には、イソフラボンと特定のサポニンを有効成分としたアレルギー症の予防/治療用組成物が開示されており、これらの成分は大豆から抽出できることが記載されている。しかしながら、大豆に含まれるイソフラボンやサポニンは量が少なく、大豆の中でも特に含有量が多いとされる胚軸部位から抽出を行い、さらに複雑な精製工程により濃縮する必要がある。しかもイソフラボンやサポニンは苦味が強くて呈味性が悪く、継続して摂取できない。さらに、イソフラボンは女性ホルモン様作用を有し、サポニンは界面活性作用を有するため、有害な効果を示す可能性がある成分であるため、摂取間隔や摂取量を緻密にコントロールしながら摂取する必要があり、効果を得るように摂取する事が困難であるという問題点があった。
【0009】
また、特許文献2には、スタキオースを有効成分とする抗アレルギー性組成物が開示されており、スタキオースは大豆から抽出できることが記載されている。しかしながら、大豆に含まれるスタキオースは量が少なく、単なる抽出操作では効果的な成分は得られない。したがって、クロマトグラフィー等の複雑な精製工程を行って98%以上の濃度に濃縮する必要がある。しかもスタキオースは、アレルギーの中でもIV型アレルギーにしか効果を示さないため、免疫細胞が関与する遅延型アレルギーには効果が期待できるものの、IgEが関連する即時型アレルギーには効果が期待できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007-197398号公報
【特許文献2】特開2003-321372号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】医系免疫学 改訂4版,中外医学社,1995年,p300〜309
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、安全・安価かつ簡便に日常的に継続して摂取することができ、かつ顕著な抗アレルギー作用を有し、種々の即時型アレルギー性疾患、特にI型アレルギー疾患、例えば、花粉症、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎等の予防及び/又は改善に有効な天然素材を開発し、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、青大豆種子の溶媒抽出物がその他の色の大豆種子に比べて強力なIgE低下作用を示すとともに、Th1−Th2バランスをTh1優位に改善し、様々なアレルギー性疾患の予防及び/又は改善に有用であることを見出した。そしてさらなる研究を重ねた結果、青大豆種子を加熱処理することによって、より一層強力なIgE低下作用を示す抗アレルギー剤を開発することに成功した。本発明は、当該研究結果に基づくものであり、すなわち、以下を提供する。
【0014】
(1)加熱処理をした青大豆の種子及び/又はその溶媒抽出物を含んでなる抗アレルギー剤。
(2)加熱処理における温度が105℃〜250℃及び/又は加熱時間が5分〜24時間である、(1)に記載の抗アレルギー剤。
(3)水溶液以外の熱伝導媒体を用いて加熱する、(1)又は(2)に記載の抗アレルギー剤。
(4)前記抽出溶媒が水、有機溶媒又はその組合せである(1)〜(3)のいずれかに記載の抗アレルギー剤。
(5)IgE産生を抑制する、(1)〜(4)のいずれかに記載の抗アレルギー剤。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の抗アレルギー剤を含有する、抗アレルギー用飲食品、飼料又は化粧料。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、安全・安価かつ簡便に日常的に継続して摂取することができ、かつ顕著な抗アレルギー作用を有し、種々のアレルギー性疾患の予防及び/又は改善に有効な抗アレルギー剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】OVA免疫マウス由来の脾臓細胞培養液中におけるOVA特異的IgE量に関する大豆種子水溶媒抽出物無添加サンプルに対する相対値を示す。
【図2】OVA免疫マウス由来の脾臓細胞培養液中におけるIL-4量に関する青大豆種子溶媒抽出物無添加サンプルに対する相対値を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について具体的に説明する。
【0018】
1.抗アレルギー剤
本発明の一の態様は、抗アレルギー剤である。本発明の抗アレルギー剤は、加熱処理をした青大豆の種子及び/又はその溶媒抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。
【0019】
1−1.定義
本発明において「抗アレルギー」とは、IgE抗体によって、肥満細胞等から分泌されるケミカルメディエーターが引き起こす、平滑筋の収縮、血管透過性の亢進、好中球の遊走及び血小板の凝集等、並びにそれらによって誘発される様々な症状を予防、治療、減少又は緩和させることをいう。「ケミカルメディエーター」とは、例えば、肥満細胞や好塩基球等から分泌されるヒスタミンやロイコトリエン等が該当する。
【0020】
本発明において「青大豆」とは、完熟状態の種子において種皮及び/又は胚の全部又は一部が緑色を呈するダイズ(Glycine max)品種の総称である。例えば、キヨミドリ、越後みどり(エチゴミドリ)、大袖振、音更大袖(振)、大袖の舞、早生緑、くらかけ、スズカリ、青丸くん、青目大豆、あきたみどり、秋試緑1号、岩手みどり、双青、青入道、黒神、あやみどり、信農青豆、秘伝、ひたし豆、天津青大豆、青仁大豆(Chinease green soybean)等の品種が該当する。一般に、青大豆には、あきたみどりのように、種皮及び胚が緑色を呈する品種と、大袖振のように種皮のみが緑色を呈する品種が知られているが、本発明の青大豆は、いずれの品種であってもよい。好ましくは種皮及び胚が緑色を呈する品種である。また、青大豆であっても「臍」の色は、品種により黄、緑、暗褐色、黒と様々であるが、特に制限しない。「完熟状態」とは、種子が発芽能力を有するまでに十分に成熟した状態をいう。一般に枝豆と称される未成熟な状態の大豆種子は、黄色大豆又は黒大豆であっても緑色を呈している。しかし、このような未成熟状態時のみに緑色を呈する品種は、本発明の青大豆には該当しない。また、ここでいう「緑色」とは、波長490nm〜570nmの反射光に基づいてヒトの目によって認識される色彩をいう。したがって、前記波長の範囲内であれば、その濃度を制限するものではなく、例えば、淡緑色、黄緑色、緑、青緑色、濃緑色及び黒緑色を包含する。
【0021】
前記「種子」は、種皮及び/又は胚を含み、胚は、子葉及び胚軸を含む。
1−2.加熱処理をした青大豆種子
一の実施形態において、本発明は、加熱処理をした青大豆の種子を含んでなる抗アレルギー剤である。
【0022】
本明細書において「加熱処理」とは、青大豆の種子に熱エネルギーを加える処理をいう。本処理における加熱温度は、加熱方法、加熱装置及び/又は加熱時の操作によっても異なるが、一般的に、1気圧下での水の沸点(100℃)よりも高い温度であって、また青大豆種子が熱によって焦げる温度よりも低い温度であればよい。具体的には、105℃〜250℃、好ましくは110℃〜240℃、120℃〜240℃又は120℃〜220℃である。加熱時間は、加熱温度、加熱手段によって変動するが通常5分〜24時間、好ましくは5分〜20時間又は5分〜10時間の範囲内であればよい。
【0023】
加熱方法は、食品等の加工における一般的な加熱方法であれば特に限定はしないが、水や食塩水のような水溶液以外の熱伝導媒体を用いて加熱する方法が好ましい。水溶液以外の熱伝導媒体としては、火(直火又は油、陶磁器若しくは金属等を介するものを含む)、電気、赤外線、ガス、蒸気、熱風、電磁波、高周波、マイクロ波、誘導電流、摩擦熱、又は酸化反応熱等の化学反応熱等が挙げられる。加熱装置には、例えば、ヒーター、コンロ、誘電加熱機(IH)、電子レンジ、蒸気調理器、焙煎機、又は蒸し器を用いればよい。
【0024】
加熱処理を行う際に使用する青大豆種子の成熟状態は、特に制限はしない。例えば、未成熟なもの(いわゆる枝豆状態)、成熟したもの(乾燥及び未乾燥状態を含む)、子葉が開き切る前までの発芽状態にあるもの(いわゆるスプラウト)又はそれらの組合せを使用することができる。また、種子を丸ごと全部の他、種皮のみ、又は胚のみを使用することもできる。好ましくは種子を丸ごと全部の使用である。加熱時の青大豆種子の形状は、特に問わない。例えば、莢から取り出したそのまま(種子そのもの)の状態、種子を断片化又は粉砕した状態又はそれらの組合せが挙げられる。好ましくは断片化又は粉砕した状態である。細かい粒子にするほど熱を全体に行き渡らせ易いからである。加熱処理する青大豆種子は、一又は二以上の品種を使用すればよい。
【0025】
加熱処理後の青大豆種子は、本発明の抗アレルギー剤として、さらに断片化若しくは粉砕、種皮と胚の分離等様々な加工を行うことができる。
【0026】
本発明の抗アレルギー剤は、通常、加熱処理した青大豆種子を乾燥質量基準として、成人1日当たり0.01〜100gの範囲で処方することが好ましい。経口投与の場合、一般的な1日当たりの使用量は、0.1〜50gであるが、該抽出物は、大豆に由来する安全性の高いものであるため、その使用量をさらに増やすこともできる。1日当たりの使用量は、1回で使用してもよいが、数回に分けて使用してもよい。
【0027】
1−3.加熱処理をした青大豆種子の溶媒抽出物
他の実施形態において、本発明は、加熱処理をした青大豆の種子の溶媒抽出物を含んでなる抗アレルギー剤であってもよい。
【0028】
本明細書において「溶媒抽出物」とは、加熱処理後の青大豆の種子から抗アレルギー作用を有する有効成分を溶媒中に溶出させた後の溶液又はその乾燥物(粉末又は固形物を問わない)をいう。本発明の溶媒抽出物は、抗アレルギー作用を有する有効成分が濃縮された結果、加熱処理後の青大豆種子そのものと比較して単位重量あたりの有効成分含有量が高くなっていることが好ましい。ただし、抗アレルギー作用を有する有効成分が高純度で精製されている必要はなく、他の成分が混在するクルードな状態であってもよい。
【0029】
抽出に用いる溶媒は、水又は有機溶媒が好ましい。水は、純水、蒸留水、水道水、酸性水、アルカリ水、中性水等のいずれであってもよい。また、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等の低級アルコール、及び1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンのように多価アルコールのうち室温で液体であるアルコール;ジエチルエーテル、プロピルエーテル等のエーテル;酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル;アセトン、エチルメチルケトン等のケトン;ヘキサン;並びにクロロホルム等を挙げることができる。室温で液体であるアルコール、例えば、炭素原子数1〜4の低級アルコールを用いるのが操作性や環境性の点で好ましい。特に、抗アレルギー剤を医薬組成物、食品若しくは飼料又は化粧品等に用いるのであれば、残留溶媒による安全性の観点からはエタノールが好ましい。有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、有機溶媒は、水性成分を含む含水有機溶媒であってもよい。抽出効率を高く保持する観点から、上記含水有機溶媒中の水性成分の含有量は、通常80体積%以下、好ましくは65体積%以下、より好ましくは50体積%以下であるのが望ましい。含水有機溶媒としては、水性成分を含む低級アルコールのような含水アルコールが好ましく、含水エタノールは特に好ましい。
【0030】
抽出方法は、特に制限しないが、例えば、加熱処理した青大豆種子を溶媒中に浸漬、攪拌又は還流等する方法、あるいは超臨界流体抽出法等の公知の方法を挙げることができる。
【0031】
具体的な抽出方法としては、加熱処理後の青大豆種子を減圧、常圧若しくは加圧下で、室温若しくは加温した溶媒中に加え、浸漬若しくは攪拌しながら抽出する方法、又は溶媒中で還流しながら抽出する方法等が挙げられる。その際、抽出温度は5℃から溶媒の沸点以下の温度とするのが適切である。抽出時間は、使用する溶媒の種類(含水有機溶媒の場合にはさらに水性成分含有量)や抽出条件によっても異なるが、通常、30分〜72時間程度とするのが適当である。還流操作により抽出を行う場合は、青大豆種子の抽出物が変性や熱分解を起こさないように低沸点の溶媒を用いるのが好ましい。また、二酸化炭素等を用いる超臨界流体抽出法により抽出操作を実施することもできる。
【0032】
抽出液は、溶媒中に加熱処理した青大豆種子が混在する状態で本願抗アレルギー剤として用いることができるが、必要に応じて濾過あるいは遠心分離等に供し、残渣である固形成分を除去することもできる。なお、除去した固形成分を再度、抽出操作に供してもよく、さらにこの操作を何回か繰り返してもよい。
【0033】
このようにして得られた抽出液をそのまま本発明の抗アレルギー剤として用いてもよく、さらに必要に応じて、濃縮あるいは凍結乾燥やスプレードライ等の方法により、乾燥、粉末化したものとして使用してもよい。
【0034】
抽出液を乾燥する場合、具体的な乾燥方法は、青大豆種子の溶媒抽出物が変性や熱分解を起こさない条件下で行い得る方法あれば、いずれの方法でもよく、例えば、必要に応じて賦形剤を添加し、濾過、遠心分離、遠心濾過、スプレードライ、スプレークール、ドラムドライ、真空乾燥、凍結乾燥等の方法が挙げられ、これらの方法を単独で又は組み合わせて採用できる。
【0035】
溶媒抽出する際の青大豆種子の形状は、特に限定はしないが、好ましくは種子を断片化又は粉砕した状態、圧搾抽出した搾汁状態又はそれらの組合せが挙げられる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、青大豆以外の大豆(例えば、黄色大豆、黒大豆)種子を溶媒抽出物に含むこともできる。
【0036】
本発明の抗アレルギー剤は、加熱処理した青大豆種子の溶媒抽出物を乾燥質量基準として、成人1日当たり0.01〜100gの範囲で処方することが好ましい。経口投与の場合、一般的な1日当たりの使用量は、0.1〜50gであるが、該抽出物は、大豆に由来する安全性の高いものであるため、その使用量をさらに増やすこともできる。1日当たりの使用量を1回で使用してもよいが、数回に分けて使用することもできる。
【0037】
他の実施形態において、本発明の抗アレルギー剤は、加熱処理した青大豆種子又はその溶媒抽出物を含んでなるものであってもよい。
【0038】
1−4.医薬組成物
本発明の抗アレルギー剤は、加熱処理した青大豆種子及び/又はその溶媒抽出物を有効成分として含有する様々な形態の医薬組成物に加工して使用することができる。
【0039】
医薬組成物は、本発明の抗アレルギー剤の効果を阻害しない範囲において、例えば、後述する添加剤、他の公知の免疫賦活物質及び/又は免疫調節物質と組み合わせて、包含することができる。医薬組成物として用いる場合の剤型には、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、液剤、懸濁剤等の経口剤、吸入剤、坐剤等の経腸製剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤等の皮膚外用剤、点滴剤、注射剤等が挙げられる。これらのうち、経口剤が特に好ましい。
【0040】
このような剤型は、有効成分である加熱処理した青大豆種子及び/又はその溶媒抽出物に、慣用される添加剤、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料等をその剤型に応じて配合し、常法に従って製造することができる。なお、液剤、懸濁剤等の液体製剤は、服用直前に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形であってもよく、また錠剤、顆粒剤の場合には周知の方法でその表面を糖等でコーティングしてもよい。
【0041】
医薬組成物における加熱処理した青大豆種子及び/又はその溶媒抽出物の含有量は、その剤型により異なるが、経口剤であれば乾燥質量を基準として、通常は、0.001〜99質量%、好ましくは0.01〜80質量%の範囲であり、上述した成人1日当たりの使用量を遵守できるよう、1日当たりの使用量が管理できる形にすることが望ましい。
【0042】
1−5.効果
本態様の効果として、本発明の抗アレルギー剤は、加熱処理した青大豆種子及び/又はその溶媒抽出物をそのまま単独で、あるいは医薬組成物として継続的に使用すると、IL-4産生量及びIgE産生量が低下するため、I型アレルギーに由来する各種症状、例えば、花粉症、アトピー症、自己免疫疾患、腫瘍によって起こる免疫抑制、抗癌剤治療や放射線治療によって起こる免疫能低下、後天性免疫不全症候群(AIDS)、各種細菌による感染症、及び加齢や病態に伴う免疫能低下等の様々な障害・疾患の予防及び/又は改善、健康の増進、滋養強壮の促進に有用である。
【0043】
また、本発明の抗アレルギー剤は、食品として使用される青大豆種子を原料としているため、安全性が高く、また青大豆は元来、非常に風味がよいことから、そのまま単独でも充分に経口摂取することが可能であり、長期間の日常的な継続的投与が可能である。さらに様々な医薬品、食品、飼料の形態として長期間の継続的摂取も容易である。しかも本発明の抗アレルギー剤の有効成分は、青大豆種子から溶媒抽出のみの操作で簡便に取り出すことができる上、効果が高いため、経済的にも優れている。
【0044】
2.抗アレルギー用飲食品、飼料及び化粧料
本発明の他の態様は、抗アレルギー用飲食品、飼料又は化粧料である。本発明の抗アレルギー用飲食品、飼料又は化粧料は、前記態様の抗アレルギー剤を含有することを特徴とする。以下、各組成物について説明をする。
【0045】
2−1.飲食品及び飼料
本発明の抗アレルギー用飲食品及び飼料(以下「本発明の抗アレルギー用飲食品等」とする)は、本発明の抗アレルギー剤を有効成分として含有する飲食品及び飼料である。飲食品等として調製する場合、その形態は特に制限されず、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、あるいは家畜、競走馬若しくは鑑賞動物等の飼料又はペットフード等の他、本発明の抗アレルギー剤を配合できる全ての飲食品又は飼料が含まれる。より具体的には、錠剤、チュアブル錠、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、ドリンク剤、経管経腸栄養剤等の流動食等の各種製剤形態が挙げられる製剤形態の飲食品等は、前記医薬組成物と同様の方法で製造することができる。さらに飲食品は、緑茶、ウーロン茶や紅茶等の茶飲料、清涼飲料、ゼリー飲料、スポーツ飲料、乳飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、発酵乳飲料、粉末飲料、ココア飲料、精製水等の飲料、バター、ジャム、ふりかけ、マーガリン等のスプレッド類、マヨネーズ、ショートニング、カスタードクリーム、ドレッシング類、パン類、米飯類、麺類、パスタ、味噌汁、豆腐、牛乳、ヨーグルト、スープ又はソース類、菓子(例えばビスケットやクッキー類、チョコレート、キャンディ、ケーキ、アイスクリーム、チューインガム、タブレット)等として調製してもよい。
【0046】
また、本発明の飼料は、本発明の前記飲食品とほぼ同様の組成・形態で利用できることから、本明細書における飲食品に関する記載を飼料についても同様に当てはめることが出来る。
【0047】
食品は、さらに、食品の製造に用いられる他の食品素材、各種栄養素、各種ビタミン、ミネラル、アミノ酸、各種油脂、種々の添加剤(例えば呈味成分、甘味料、有機酸等の酸味料、界面活性剤、pH調整剤、安定剤、酸化防止剤、色素、フレーバー)等を配合して、常法に従って製造することができる。また、通常食されている食品に本発明の剤を配合することにより、本発明に係る食品を製造することもできる。
【0048】
食品中における本発明の抗アレルギー剤の含有量は、その形態により異なるが、乾燥質量を基準として、通常は0.001〜80質量%、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは1〜50質量%の範囲である。上述した成人1日当たりの摂取量を飲食できるように、1日当たりの摂取量が管理できる形状にするのが好ましい。
【0049】
2−2.化粧料
本発明の抗アレルギー剤は、化粧料としても用いることができる。化粧料を調製する場合、加熱処理した青大豆種子の例えば粉砕物及び/又はその溶媒抽出物をそのまま化粧料として利用してもよく、又は加熱処理した青大豆種子の例えば粉砕物及び/又はその溶媒抽出物を汎用の方法で配合した、乳液、化粧液、クリーム、ローション、エッセンス、パック及びシート、ファンデーション、おしろい、頬紅、口紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、洗顔料、皮膚洗浄料、ゲル剤、ジェル剤、美肌剤、ボディシャンプー等の洗浄料、シャンプー、リンス等の毛髪化粧料、頭髪料、ヘアートリートメント、養毛剤、浴用剤、軟膏、医薬部外品、あぶら取り紙等の形態として調製してもよい。
【0050】
化粧料は、加熱処理した青大豆種子及び/又はその溶媒抽出物のほかに、所望する剤型に応じて従来公知の賦形剤や香料を初め、油脂類、界面活性剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子、増粘剤、顔料等の粉末成分、紫外線防御剤、保湿剤、酸化防止剤、pH調節剤、洗浄剤、乾燥剤、乳化剤等を適宜配合して、常法に従って製造することができる。
【0051】
化粧料における本発明の抗アレルギー剤の含有量は、特に限定されないが、乾燥質量を基準として、通常は0.001〜80質量%、好ましくは0.01〜50質量%の範囲内である。
【0052】
さらに本発明の抗アレルギー剤を含有する食品、飼料及び化粧料には、上記以外にも例えば、共役リノール酸、タウリン、グルタチオン、カルニチン、クレアチン、コエンザイムQ、グルクロン酸、グルクロノラクトン、トウガラシエキス、ショウガエキス、カカオエキス、ガラナエキス、ガルシニアエキス、テアニン、γ−アミノ酪酸、カプサイシン、カプシエイト、各種有機酸、フラボノイド類、ポリフェノール類、カテキン類、キサンチン誘導体、フラクトオリゴ糖等の難消化性オリゴ糖、ポリビニルピロリドン等を配合してもよい。
【0053】
これら添加剤の配合量は、組成物の形態、添加剤の種類及び所望すべき摂取量に応じて適宜決められるが、本発明の剤、食品、飼料及び化粧料中、0.01〜70質量%の範囲内であり、好ましくは0.1〜50質量%の範囲内である。
【0054】
2−3.効果
本発明の食品、飼料又は化粧料は、前記態様の本発明の抗アレルギー剤を含有することから、継続的に使用すると、前記抗アレルギー剤と同様の効果を得ることができる。すなわち、IL-4産生量及びIgE産生量が低下するため、I型アレルギーに由来する各種症状、例えば、花粉症、アトピー症、自己免疫疾患等の様々な障害・疾患の予防及び/又は改善をすることができる。また、本発明の剤は、食品として使用される青大豆種子を原料としているため、安全性が高く、また風味もよいことから、そのまま単独でも充分に経口摂取したり、化粧料として使用することが可能であり、食品、飼料の形態として長期間の継続的摂取も容易である。
【実施例】
【0055】
<実施例1> 抗アレルギー剤の製造とその効果
(加熱処理大豆種子の含水メタノール抽出物の調製)
(1)大豆種子の加熱処理
各色大豆における抗アレルギー作用を検証するため、それぞれの完熟乾燥種子を同一条件で加熱処理した。具体的には、青大豆(中国産青大豆)種子及び黄大豆種子をそれぞれ40g焙煎機に投入し、180℃で15分間加熱処理した。
【0056】
(2)含水メタノール抽出物の製造
(1)で加熱処理した青大豆種子を破砕処理し、破砕物10gに99%含水メタノール100mLを加え、室温にて120分間100rpmで振盪して抽出した。抽出液を濾過して不溶物を除去した後、溶媒を蒸発させて抗アレルギー剤として抽出粉末1.1gを得た。
【0057】
加熱処理済黄大豆種子、未加熱処理青大豆種子及び未加熱処理黄大豆種子についても前記と同様にメタノールを用いて溶媒抽出を行い、それぞれ10gから0.9g、1.1g、1.2gの抽出粉末を得た。
【0058】
(OVA感作マウスの作製)
1μgの卵白アルブミン(以下、OVAという)と2mgのアジュバント(水酸化アルミニウム)の懸濁液から成る抗原溶液100μLを、マウス(Balb/c、♂、7週齢)の腹腔内に投与し(感作1回目)、2週間後に再度100μLの上記抗原溶液を腹腔内に投与した(感作2回目)。感作1回目から21日後にマウスの脾臓を摘出した。
【0059】
(試験例1:IgE低下作用の検証)
前記摘出した脾臓細胞を、10%FBSを添加したRPMI1640培地(SIGMA社製)で37℃、5%CO2の条件下で培養を行った。細胞数6×105個/mLになるよう培養液で希釈し、これを24ウェルプレートに各ウェル1mLで分注した。培養液に前記で調製した各種大豆種子大の含水メタノール抽出物を終濃度100μg/mLとなるように添加し、9日間培養した。培養終了後、培養上清中のOVA特異的IgE量(μg/mL)を酵素抗体法による測定キット(DSマウスIgE ELISA(OVA);大日本住友製薬製)を用いて測定した。
【0060】
結果を図1に示す。この図では、無添加の脾臓細胞培養液上清中におけるIgE量に対する、各種大豆種子の含水メタノール抽出物を添加した脾臓細胞培養液上清中におけるIgE量の相対値を示している。
【0061】
図1からも明らかなように、加熱処理をした青大豆種子の含水メタノール抽出物は、未加熱処理の青大豆種子に比べて顕著にIgE量が低下した。一方黄大豆種子では、加熱、未加熱にかかわらず含水メタノール抽出物は、青大豆種子のそれよりもIgE量が高く、また、青大豆種子とは逆に加熱処理によってIgE量が増加した。したがって、加熱処理した青大豆種子の含水メタノール抽出物は、未加熱処理の青大豆種子に比べて強いIgE産生抑制作用を有することが実証された。
【0062】
(試験例2:IL-4低下作用の検証)
前記摘出した脾臓細胞を、10%FBSを添加したRPMI1640培地(SIGMA社製)で37℃、5%CO2の条件下で培養を行った。細胞数2×105個/mLになるよう培養液で希釈し、これを24ウェルプレートに各ウェル1mLで分注し、さらにTPA 0.5 ng/mL、A23187 0.5 μMを添加した。培養液に前記で調製した各種大豆種子の含水メタノール抽出物を終濃度200μg/mLとなるように添加し、24時間培養した。培養終了後、培養上清中のIL-4量(pg/mL)を酵素抗体法による測定キット(マウスIL-4 ELISA Kit;Thermo SCIENTIFIC社製)を用いて測定した。
【0063】
結果を図2に示す。この図では、無添加の脾臓細胞培養液上清中におけるIL-4量に対する、各含水メタノール抽出物を添加した脾臓細胞培養液上清中におけるIL-4量の相対値を示している。この結果からも明らかなように、青大豆種子の加熱処理物では、未処理の青大豆種子に比べてIL-4量が低下した。したがって、加熱処理した青大豆種子の含水メタノール抽出物は、未加熱処理の青大豆種子に比べて強いIL-4産生抑制作用を有することが実証された。
【0064】
<実施例2> 錠剤の製造
実施例1と同様の方法で、溶媒を含水エタノールに替えて得られた加熱処理後の青大豆種子の含水エタノール抽出物84g、結晶セルロース(旭化成)10g及びポリビニルピロリドン(BASF)5gを混合し、これにエタノール30mLを添加して、湿式法により常法に従って顆粒を製造した。この顆粒を乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて打錠用顆粒末とし、打錠機を用いて打錠し、1錠が1gの錠剤100個を製造した。
【0065】
<実施例3> 顆粒剤の製造
実施例1と同様の方法で、溶媒を含水エタノールに替えて得られた加熱処理後の青大豆種子の含水エタノール抽出物100g、乳糖(DMV)100g及び結晶セルロース(旭化成)40gを混合し、これにエタノール130mLを練合機に添加し、通常の方法により5分間練合した。練合終了後、10メッシュで篩過し、乾燥機中にて50℃で乾燥した。乾燥後、整粒し、顆粒剤240gを得た。
【0066】
<実施例4> シロップ剤の製造
精製水400gを煮沸し、これをかき混ぜながら、白糖750g及び実施例1と同様にして得られた加熱処理後の青大豆種子の含水エタノール抽出物100gを加えて溶解し、熱時に布ごしし、これに精製水を加えて全量を1000mLとしてシロップ剤を製造した。
【0067】
<実施例5> 流動食の製造
約65℃の純水700gにカゼインナトリウム(DMV)40g、マルトデキストリン(三和デンプン)160g及び実施例2と同様にして得られた加熱処理後の青大豆種子の含水エタノール抽出物50gを添加して溶解させ、ついでビタミンミックス及び微量ミネラルの各成分混合液を添加した。得られた混合液をホモミキサーに投入し、約8,000rpmにて15分間粗乳化した。得られた乳化液を約20℃に冷却し、香料を添加後、最終メスアップを行い、この液をパウチへ本液230g充填後、窒素置換を行いながらパウチを密封し、121℃で15分間殺菌を行って流動食を得た。
【0068】
<実施例6> パンの製造
小麦粉(強力粉)160gとドライイースト2gを混合した。これとは別に、実施例1と同様にして得られた加熱処理後の青大豆種子の含水エタノール抽出物5g、砂糖25g、食塩3g、脱脂粉乳6gを温湯70gに溶かし、鶏卵1個を添加してよく混合した。これを上記の小麦粉とドライイーストの混合物に加え、よく手でこねた後、バター約40gを加えてさらによくこね、20個のロールパン生地を作り、次いで、これらのパン生地を発酵させた後、表面に溶き卵を塗り、オーブンにて180℃で約15分焼き、ロールパンを作成した。
【0069】
<実施例7> 菓子の製造
マーガリンと砂糖を混合してミキサーを用いてよく攪拌し、ホイップを調製した。これに半量の全卵を添加してクリーム状とした。これに実施例1で得られた加熱処理後の青大豆種子の含水エタノール抽出物を加え、軽い混合をして生地を作製した。生地を成形し、オーブンで150℃にて25分間焼成し、菓子を作成した。
【0070】
<実施例8> 菓子の製造
全卵を泡立て器でほぐし、砂糖90g分の甘味料を入れてよく混合した。これに実施例1で得られた加熱処理後の青大豆種子の含水エタノール抽出物10g、小麦粉40gとベーキングパウダーを加え、攪拌混合し、さらにバター及びラム酒を加えてよく混合し、生地を作成した。生地を型に入れ、オーブンで170℃にて15分間焼成し、菓子を作成した。
【0071】
<実施例9> レトルトご飯の製造
お米2合を用いて一般的な水量に対し、実施例1で得られた加熱処理後の青大豆種子の含水エタノール抽出物2gを加えて炊飯し、これを慣用の方法に従ってレトルト用パックに充填した後、窒素置換を行いながら密封し、121℃で15分間殺菌を行ってレトルトご飯を得た。
【0072】
<実施例10> パスタ用ソースの製造
パスタ用のミートソース一人前(150g)を鍋に入れ、これに実施例1と同様にして得られた加熱処理後の青大豆種子の含水エタノール抽出物1gを加えて加温混合した。このソースをパウチへ充填した後、窒素置換を行いながらパウチを密封し、121℃で15分間殺菌を行って、パスタ用ミートソースを得た。
【0073】
<実施例11> 野菜ジュースの製造
市販の野菜ジュースに実施例1と同様にして得られた加熱処理後の青大豆種子の含水エタノール抽出物を5質量%になるよう添加・混合し、野菜ジュースを調製した。
【0074】
<実施例12> コンソメスープの製造
タマネギ100g、ニンジン100g、長ネギ100g、セロリ50g、及びトマト100gの各スライスを鍋に入れ、ここに牛の挽き肉500g、卵の白味2個分、ビーフブイヨン1kgを加え、火にかけて沸騰したら火を弱め、表面に浮いてきたアクや脂肪分を除去しながら弱火で1時間煮て、実施例1と同様にして得られた加熱処理後の青大豆種子の含水エタノール抽出物を加えてさらに30分間煮て、布でこし、コンソメスープを得た。
【0075】
<実施例13> 軟膏剤の製造(質量%)
A液.
・実施例2で得られた青大豆種子の含水エタノール抽出物:1
・プロピレングリコール: 5
・パラオキシ安息香酸メチル: 0.2
・カルボキシビニルポリマー: 0.5
B液.
・アジピン酸ジイソプロピル: 10
・セタノール: 2
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60: 2
・モノステアリン酸ポリエチレングリコール: 1
・パラオキシ安息香酸ブチル: 0.1
C液.
・精製水:100質量%まで適量
【0076】
B液を70℃で加熱溶解しながら混合し油相とする。A液を70℃で加熱溶解しながら混合し、これにB液の油相を加えて混合乳化し、その後C液を加えながら冷却処理をしてよく混合し、軟膏を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱処理をした青大豆の種子及び/又はその溶媒抽出物を含んでなる抗アレルギー剤。
【請求項2】
加熱処理における温度が105℃〜250℃及び/又は加熱時間が5分〜24時間である、請求項1に記載の抗アレルギー剤。
【請求項3】
水溶液以外の熱伝導媒体を用いて加熱する、請求項1又は2に記載の抗アレルギー剤。
【請求項4】
前記抽出溶媒が水、有機溶媒又はその組合せである請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗アレルギー剤。
【請求項5】
IgE産生を抑制する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗アレルギー剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗アレルギー剤を含有する、抗アレルギー用飲食品、飼料又は化粧料。




【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−153086(P2011−153086A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14468(P2010−14468)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(301049744)日清ファルマ株式会社 (61)
【Fターム(参考)】