説明

抗シワ剤およびシワ形成防止用皮膚外用剤

【課題】
寒天由来の成分について新規な用途を見出し、これを利用した皮膚外用剤を提供すること。
【解決手段】
ネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースよりなる群から選ばれる糖類の少なくとも1種以上を有効成分として含有する抗シワ剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗シワ剤およびこれを利用したシワ形成防止用皮膚外用剤に関し、さらに詳しくは、寒天由来の成分を有効成分とし、老化にともない形成されるシワやたるみなど皮膚の老兆を抑制する効果に優れた安全性の高い抗シワ剤およびシワ形成防止用皮膚外用剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
寒天は、テングサ、オゴノリなどの紅藻類を熱水抽出し、冷却凝固させたものから凍結後水を流出させ乾燥させたものであり、3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースとD−ガラクトースからなり、これらが交互にβ−1,4結合とα−1,3結合を繰り返すアガロースを主成分とする。寒天はゲル化力が強く、食品のゲル化剤等に利用されてきた。
【0003】
一方、寒天は化粧料などの皮膚外用剤にも利用されており、例えば、寒天成分の分子を短く切断し、ゼリー強度を低下させた寒天を配合することによって、高濃度で使用しても流動性に優れる化粧品が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、寒天から3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースとD−ガラクトースがα−1,3結合したネオアガロビオースやこれを構成単位とする糖類を化粧料に用いることにより、使用感が改善されることが報告されている(特許文献2)。
【0005】
さらに、寒天由来の成分の機能についても研究されており、本出願人は既にネオアガロビオースが美白作用を有することを報告している(特許文献3)。寒天の分解糖であっても、3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースとD−ガラクトースがβ−1,4結合したアガロビオースを構成単位とする糖と比較して、このネオアガロビオースを構成単位とする糖は細胞毒性が低く安全性が高いため、ネオアガロビオース等の新たな用途への利用が望まれていた。
【0006】
【特許文献1】特開平6−56625号公報
【特許文献2】特許第3223038号公報
【特許文献3】特許第3505003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、寒天由来の成分について新規な用途を見出し、これを利用した皮膚外用剤を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願人は寒天由来成分の機能について鋭意研究を行った結果、ネオアガロビオースやこれを構成単位とする糖類が自然加齢マウスモデルにおいて有効にシワの形成を抑制し、さらに皮膚の弾力を維持するエラスチン線維を分解するエラスターゼの活性を阻害する作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、ネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースよりなる群から選ばれる糖類の少なくとも1種以上を有効成分として含有する抗シワ剤である。
【0010】
また本発明は、ネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースよりなる群から選ばれる糖類の少なくとも1種以上を有効成分として含有するシワ形成防止用皮膚外用剤である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の抗シワ剤は、皮膚の弾力性を維持するエラスチン線維を分解するエラスターゼの活性を有効に阻害し、また自然老化や光老化にともない形成されるシワを防止する効果に優れ、しかも安全性の高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の抗シワ剤は、ネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースからなる群から選ばれる糖類の少なくとも1種以上を有効成分として含有するものである。
【0013】
本発明に用いるネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースは、寒天またはアガロース(精製寒天)をβ―アガラーゼによって分解して得られる糖である。
【0014】
ネオアガロビオースは、3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースとD−ガラクトースがα−1,3結合した2糖類であり、ネオアガロテトラオース(4糖)およびネオアガロヘキサオース(6糖)も、同じ構成単位を有する。このような糖類は、3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースとD−ガラクトースがβ−1,4結合したアガロビオースを構成単位とする糖類と比べ細胞毒性が低く安全性に優れる。
【0015】
本発明に用いるネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平1−228465号公報に記載の方法によって精製されたβ−アガラーゼを用いて製造することができる。より具体的には、例えば、寒天またはアガロースを10mMトリス−塩酸緩衝溶液(pH7.5)又は精製水に1.0%濃度になるように加えて加熱溶解後、これに上記β−アガラーゼ50mU/ml以上の濃度になるように添加して、50℃にて4時間以上作用させる。この溶液を沸騰水中で5分間放置することにより反応を停止させ、4℃に冷却する。
【0016】
ここで、特に寒天を基質とした場合には不溶物の沈殿等が存在するため遠心分離により残渣を除去する。得られた上澄液に、ネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースが含まれるので、これを凍結乾燥することによりネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースの混合物を得ることができる。また、上記上澄液を公知の方法により、分離・精製して、それぞれの糖単独の精製物としてもよい。
【0017】
本発明の抗シワ剤は、このようにして得られるネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースを、そのまま、あるいは精製水、エタノールおよびこれらの混合液などの担体を用いて製剤化される。ネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースの含有量は特に限定されるものではないが、抗シワ剤全量に対して、0.001〜30質量%(以下、「%」で示す)、さらに、0.01〜1%とするのが好ましい。また、ネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースのうち、いずれか1種類以上を含有していればよいが、これらを全て含有していることが好ましく、その場合の各糖の構成比率は特に限定されるものではないが、例えば、ネオアガロビオース:ネオアガロテトラオース:ネオアガロヘキサオース=5:50:45〜20:40:40の範囲が好ましい。この構成比率は、下記条件での高速液体クロマトグラフィーによる各糖のピーク面積の比率である。
(条 件)
カラム:TSKgel Amide−80(東ソー株式会社製)
移動相:60%アセトニトリル水溶液
流速:0.7mL/min
検出:示差屈折率計
【0018】
上記抗シワ剤は、さらに医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等を製造する場合において通常用いられている任意成分を適宜配合し、経口剤、皮膚外用剤または食品等とすることができる。
【0019】
従来公知の抗シワ剤は、細胞レベルでの効果の確認にとどまるものがほとんどであり、実際の効果について疑問があるものが多かった。さらにin vivoの試験であっても、紫外線等の照射により老化を加速させる光加齢系がほとんどであり、自然加齢よるシワ形成防止効果が確認された成分は極めて少なかったが、本発明のネオアガロビオース等を有効成分とする抗シワ剤は、エラスターゼ活性阻害作用を有するとともに、自然加齢モデルマウスに対して優れた抗シワ効果を示すものである。
【0020】
本発明のシワ形成防止用皮膚外用剤は、上記ネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースの少なくとも1種以上を有効成分とするものである。その含有量は、特に限定されるものではないが、皮膚外用剤中、0.001〜30%、さらに、0.01〜1%とするのが好ましい。また、ネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースのうち、いずれか1種類以上を含有していればよいが、これらを全て含有していることが好ましく、その場合の各糖の構成比率は特に限定されるものではないが、ネオアガロビオース:ネオアガロテトラオース:ネオアガロヘキサオース=5:50:45〜20:40:40の範囲が好ましい。
【0021】
また本発明の皮膚外用剤に使用される任意成分としては、例えば、精製水、pH調製剤、低級アルコール、多価アルコール、油剤、粉体、界面活性剤、水溶性高分子、防腐剤、香料、緩衝液、色素、紫外線吸収剤、各種薬効成分等が例示できる。
【0022】
本発明の皮膚外用剤は、種々の形態とすることができ、例えば、洗顔又は洗浄料、化粧水、乳液、クリーム、パック料、マッサージ料、下地料、ファンデーション、美容液等の化粧用皮膚外用剤や、軟膏剤、クリーム剤、湿布剤等の医療用皮膚外用剤等の形態の皮膚外用剤を常法に従って製造することができる。
【実施例】
【0023】
次に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
【0024】
製 造 例 1
アガロース分解糖の製造
精製水に1.0%濃度になるようにアガロースを加え、これにβ−アガラーゼを50mU/mlの濃度になるように添加して、50℃にて4時間以上作用させた。この溶液を沸騰水中で5分間放置することにより反応を停止させ、4℃に冷却した。得られた上澄液を凍結乾燥することによりネオアガロオリゴ糖を得た。このネオアガロオリゴ糖は、ネオアガロビオース8%、ネオアガロテトラオース53%、ネオアガロヘキサオース39%の構成比率であった。
【0025】
試 験 例 1
自然加齢モデルマウスによるシワ形成防止試験
6週齢の雄性ヘアレスマウス(HR−1;(株)星野試験動物飼育所)に、被験試料を1日2回、約100μlずつ水彩用の筆で塗布した(1群8匹)。経時的観察(0,3,6,9,13,15,18週)にて首、背、尾部背のシワの程度を下記表1に示す基準に従ってスコア化した。スコア判定は3名で行い、塗布試料名を伏せ(一重遮蔽)、各群についてコントロール群(基剤塗布)に対するスコアで判定した。基剤塗布群を「0」としてこれより皮膚老化度が促進された群を「+」、改善された群を「−」とした。基剤はポリエチレングリコール1000 50%と100%エタノール 50%の混合溶液を用いた。被験試料は、製造例1で得られたアガロース分解糖を基剤に溶解して1%濃度としたものを用いた。その他に、基剤と水を1:1で混合したものについて同様に試験を行った。結果を表2に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
アガロース分解糖は9週目以降、基剤と比較して明らかなシワ抑制効果を示し、18週目では顕著な効果を示した。
【0029】
試 験 例 2
エラスターゼ活性阻害試験
試料溶液として、製造例1で得られたアガロース分解糖の1%水溶液を調製した。
エラスターゼ活性抑制試験は、豚▲すい▼由来のエラスターゼ酵素液、及びN−Succinyl−Ala−Ala−Ala−p−nitroanilideを基質として用いて行った。具体的には、以下の通り行なった。酵素液は、0.05units/mL濃度に調整した。基質液は、基質をジメチルスルフォキサイド(DMSO)に溶解し、0.1mol/L濃度の溶液とした後、0.05mol/L Tris−HCL(pH8.8)緩衝液で希釈し、1mmol/L濃度の溶液として調製した。基質液100μLと、1%試料溶液50μLとを混合した後、酵素液50μLを添加し、37℃で30分間反応させた。その後、分光光度計により波長405nmの吸光度を測定し、生成したnitroaniline量を求め、エラスターゼ活性残存率を算出した。エラスターゼ活性残存率は以下の式により算出した。結果を表3に示す。
【0030】
エラスターゼ活性残存率={1−(A−B)/(C−D)}×100
A:基質液と試料溶液とを混合した後、酵素液を添加した時の混合液の波長40
5nmの吸光度
B:基質液と試料溶液とを混合した時の混合液の波長405nmの吸光度
C:試料溶液の代わりに、該溶液の溶媒を基質液と上記割合で混合した後、酵素
液を添加した時の混合液の波長405nmの吸光度
D:試料溶液も酵素液も添加していない、基質液の波長405nmの吸光度
【0031】
【表3】

【0032】
アガロース分解糖はエラスターゼ活性を79.6%まで低下させる効果を示した。
【0033】
実 施 例 1
クレンジングクリーム
以下の組成のクレンジングクリームを、以下の方法で調製した。
(成 分) (%)
(1)ステアリン酸 2.0
(2)ステアリルアルコール 3.0
(3)親油型モノステアリン酸グリセリル 2.0
(4)ミツロウ 1.5
(5)ワセリン 6.0
(6)流動パラフィン 40.0
(7)ジメチルポリシロキサン(100CS) 0.5
(8)セスキオレイン酸ソルビタン 1.0
(9)防腐剤 適 量
(10)トリエタノールアミン 1.0
(11)プロピレングリコール 10.0
(12)ポリエチレングリコール20000 0.5
(13)カルボキシビニルポリマー1%水溶液 5.0
(14)精製水 残 量
(15)アガロース分解糖液 *1 0.1
(16)香料 適 量
*1 製造例1で調製したアガロース分解糖の1%水溶液
【0034】
(製 法)
A.成分(1)〜(9)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.成分(10)〜(14)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.BにAを加え乳化する。
D.Cを冷却後、成分(15)及び(16)を加え混合し、クレンジングクリームを得た。
【0035】
調製したクレンジングクリームは、メイク汚れとのなじみが良く、すっきりとメイク汚れが落ち、肌には適度なうるおいとエモリエント感があり、べたつきがないとともに、連日使用によりシワを抑制又は改善するクレンジングクリームであった。
【0036】
実 施 例 2
洗顔料
以下の組成の洗顔料を以下の方法で製造した。
(成 分) (%)
(1)ラウリン酸 5.0
(2)ミリスチン酸 18.5
(3)ステアリン酸 6.0
(4)グリセリン 12.0
(5)ポリエチレングリコール1500 5.0
(6)水酸化カリウム 6.5
(7)精製水 残 量
(8)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5.0
(9)ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 1.8
(10)ポリオキシエチレン(7.5E.O.)ラウリル
エーテル 2.0
(11)ジステアリン酸エチレングリコール 1.0
(12)ヒドロキシプロピルメチルセルロース1%水溶液 5.0
(13)アガロース分解糖液 *1 0.1
(14)香料 適 量
【0037】
(製 法)
A.成分(1)〜(5)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.成分(6)及び(7)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.成分(8)〜(11)を加熱溶解し、70℃に保つ。
D.AにBを加え混合後、更にCを加え混合する。
E.Dを冷却後、成分(12)、(13)及び(14)を加え混合し、洗顔料を得た。
【0038】
調製した洗顔料は、豊かでコクのある泡立ちで、汚れ落ちも良く、すっきりと洗いあがり、肌にうるおいが残るとともに、連日使用によりシワを抑制又は改善する洗顔料であった。
【0039】
実 施 例 3
化粧水1(溶解型)
以下の組成の化粧水を以下の方法で調製した。
(成 分) (%)
(1)クエン酸 0.05
(2)クエン酸ナトリウム 0.2
(3)ピロリドンカルボン酸ナトリウム(50%)水溶液 0.5
(4)アガロース分解糖液 *1 0.05
(5)グリセリン 3.0
(6)1,3−ブチレングリコール 8.0
(7)精製水 残 量
(8)エチルアルコール 10.0
(9)香料 適 量
(10)防腐剤 適 量
(11)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
【0040】
(製 法)
A.成分(1)〜(7)を混合溶解する。
B.成分(8)〜(11)を混合溶解する。
C.AにBを加え混合し、化粧水を得た。
【0041】
調製した化粧水は、みずみずしい使用感があり、肌のうるおいに優れ、連日、肌に適用することにより、キメを整え、つややはり、弾力のある美しい肌とすることができるとともに、連日使用によりシワを抑制又は改善する化粧水であった。
【0042】
実 施 例 4
化粧水2(油可溶化型)
以下の組成物の化粧水を以下の方法で調製した。
(成 分) (%)
(1)メドウホーム油 0.05
(2)ホホバ油 0.05
(3)香料 適 量
(4)防腐剤 適 量
(5)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
(6)イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化
ヒマシ油(50E.O.) 1.0
(7)エチルアルコール 8.0
(8)グリセリン 5.0
(9)1,3−ブチレングリコール 5.0
(10)ポリエチレングリコール1500 0.1
(11)アガロース分解糖液 *1 0.2
(12)精製水 残 量
【0043】
(製 法)
A.成分(1)〜(7)を混合溶解する。
B.成分(8)〜(12)を混合溶解する。
C.BにAを加え混合し、化粧水を得る。
【0044】
調製した化粧水は、なめらかな使用感があり、肌のうるおいに優れ、連日、肌に適用することにより、キメを整え、つややはり、弾力のある美しい肌とすることができるとともに、連日使用によりシワを抑制又は改善する化粧水であった。
【0045】
実 施 例 5
化粧水3(乳化型)
以下の組成の化粧水を以下の方法で調製した。
(成 分) (%)
(1)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.08
(2)スクワラン 0.02
(3)セスキオレイン酸ソルビタン 0.05
(4)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.05
(5)ポリオキシエチレン(8E.O.)アルキル(12〜15)
エーテルリン酸 0.1
(6)防腐剤 適 量
(7)香料 適 量
(8)エチルアルコール 8.0
(9)ジプロプレングリコール 8.0
(10)グリセリン 4.0
(11)アガロース分解糖液 *1 1.0
(12)精製水 残 量
【0046】
(製 法)
A.成分(1)〜(8)を混合溶解する。
B.成分(9)〜(12)を混合溶解する。
C.BにAを加え乳化し、化粧水を得る。
【0047】
調製した化粧水は、みずみずしくすっきりとした使用感があり、肌のうるおいに優れ、連日、肌に適用することのより、キメを整え、つややはり、弾力のある美しい肌にすることができるとともに、連日使用によりシワを抑制又は改善する化粧水であった。
【0048】
実 施 例 6
乳液
以下の組成の乳液を以下の方法により調製した。
(成 分) (%)
(1)ステアリン酸 1.0
(2)セタノール 0.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 0.5
(4)流動パラフィン 2.0
(5)スクワラン 3.0
(6)ホホバ油 3.0
(7)パルミチン酸セチル 0.2
(8)防腐剤 適 量
(9)モノステアリン酸ソルビタン 0.3
(10)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
(11)トリエタノールアミン 0.5
(12)1,3−ブチレングリコール 15.0
(13)グリセリン 3.0
(14)ポリエチレングリコール6000 0.5
(15)精製水 残 量
(16)カルボキシビニルポリマー1%水溶液 8.0
(17)アガロース分解糖液 *1 5.0
(18)香料 適 量
【0049】
(製 法)
A.成分(1)〜(10)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.成分(11)〜(15)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化し、更に成分(16)を加え混合する。
D.Cを冷却し、成分(17)及び(18)を加え混合し、乳液を得る。
【0050】
調製した乳液は、みずみずしくなめらかな使用感があり、肌のうるおいとエモリエンと感に優れ、連日、肌に適用することにより、キメを整え、つややはり、弾力のある美しい肌にすることができるとともに、連日使用によりシワを抑制又は改善する乳液であった。
【0051】
実 施 例 7
クリーム
以下の組成のクレームを以下の方法で調製した。
(成 分) (%)
(1)ステアリン酸 2.5
(2)セタノール 2.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)ワセリン 2.0
(5)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル*2 2.0
(6)ミリスチン酸イソトリデシル 5.O
(7)流動パラフィン 8.0
(8)スクワラン 5.0
(9)ミツロウ 1.0
(10)パルミチン酸セチル 2.0
(11)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 1.5
(13)防腐剤 適 量
(14)トリエタノールアミン 1.2
(15)1,3−ブチレングリコール 8.0
(16)グリセリン 2.0
(17)ポリエチレングリコール20000 0.5
(18)精製水 残 量
(19)カルボキシビニルポリマー1%水溶液 5.0
(20)アガロース分解糖液 *1 10
(21)香料 適 量
*2:コスモール168AR(日清オイリオグループ社製)
【0052】
(製 法)
A.成分(1)〜(13)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.成分(14)〜(18)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化し、更に成分(19)を加え混合する。
D.Cを冷却し、成分(20)及び(21)を加え混合し、乳液を得る。
【0053】
調製したクリームは、コクのあるなめらかな使用感があり、肌のエモリエント感に優れ、連日肌に適用すると、キメを整え、つややはり、弾力のある美しい肌にすることができるとともに、連日使用によりシワを抑制又は改善するクリームであった。
【0054】
実 施 例 8
美容液(可溶化型)
以下の組成の美容液を以下の方法で調製した。
(成 分) (%)
(1)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.1
(2)メドウホーム油 0.05
(3)ホホバ油 0.05
(4)防腐剤 適 量
(5)香料 適 量
(6)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
(7)イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化
ヒマシ油(50E.O.) 1.5
(8)エチルアルコール 5.0
(9)グリセリン 4.0
(10)ジプロピレングリコール 8.0
(11)1,3−ブチレングリコール 8.0
(12)乳酸ナトリウム 0.5
(13)ピロリドンカルボン酸ナトリウム(50%)水溶液 0.5
(14)ヒドロキシエチルセルロース 0.08
(15)アルギン酸ナトリウム 0.05
(16)アガロース分解糖液 *1 1.0
(17)精製水 残 量
*1 製造例1で調製したネオアガロ糖
【0055】
(製 法)
A.成分(1)〜(8)を混合溶解する。
B.成分(9)〜(17)を混合溶解する。
C.BにAを加え混合し、美容液を得た。
【0056】
調製した美容液は、みずみずしくもなめらかでマイルドな使用感があり、肌のうるおいやエモリエント感に優れ、連日肌に適用することにより、キメを整え、つややはり、弾力のある美しい肌にするとともに、連日使用によりシワを抑制又は改善する美容液であった。
【0057】
実 施 例 9
パック(ピールオフ型)
以下の組成のパックを、以下の方法で調製した。
(成 分) (%)
(1)ポリビニルアルコール 12.0
(2)メチルセルロース 0.1
(3)グリセリン 3.0
(4)1,3−ブチレングリコール 5.0
(5)精製水 残 量
(6)香料 適 量
(7)防腐剤 適 量
(8)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.1
(9)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 1.0
(10)エチルアルコール 13.0
(11)アガロース分解糖液 *1 0.1
【0058】
(製 法)
A.成分(1)〜(5)を加熱溶解し、80℃に保つ。
B.成分(6)〜(10)を混合溶解する。
C.Aを冷却後、B及び(11)を加え混合し、パックを得た。
【0059】
調製したパックは、伸びひろがりが良く、肌に適度な緊張感を付与し、パックを剥がした後の肌にはべたつきはなく、高いうるおいとはりがでるとともに、連日使用によりシワを抑制又は改善するパックであった。
【0060】
実 施 例 10
マッサージクリーム
以下の組成のマッサージクリームを、以下の方法で調製した。
(成 分) (%)
(1)ステアリン酸 2.0
(2)ステアリルアルコール 2.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)セスキオレイン酸ソルビタン 1.0
(5)パルミチン酸セチル 1.0
(6)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル*2 4.0
(7)ワセリン 20.0
(8)流動パラフィン 28.0
(9)メチルポリシロキサン(100CS) 0.5
(10)水酸化ナトリウム 0.1
(11)ジプロピレングリコール 7.0
(12)カルボキシビニルポリマー1%水溶液 5.0
(13)精製水 残 量
(14)アガロース分解糖液 *1 0.2
(15)香料 適 量
【0061】
(製 法)
A.成分(1)〜(9)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.成分(10)〜(13)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.BにAを加え乳化する。
D.Cを冷却後、成分(14)及び(15)を加え混合し、マッサージクリームを得た。
【0062】
調製したマッサージクリームは、なめらかでコクのある使用感があり、マッサージ効果に優れ、肌のたるみやはり、弾力性の低下を防ぐ効果が高いとともに、連日使用によりシワを抑制又は改善するマッサージクリームであった。
【0063】
実 施 例 11
クリームファンデーション(W/O型)
以下の組成のクリームファンデーションを、以下の方法で調製した。
(成 分) (%)
(1)セリサイト 8.0
(2)酸化チタン 10.0
(3)ベンガラ 1.0
(4)黄色酸化鉄 2.2
(5)雲母チタン 2.0
(6)黒酸化鉄 0.1
(7)有機変成べントナイト*3 0.5
(8)長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性
オルガノポリシロキサン*4 2.0
(9)ポリオキシアルキレン含有オルガノポリシロキサン*5 2.0
(10)デカメチルシクロペンタシロキサン 12.0
(11)オクタメチルシクロテトラシロキサン 10.0
(12)トリメチルシロキシケイ酸のシリコーン溶液*6 3.0
(13)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5.0
(14)1,3−ブチレングリコール 5.0
(15)ジグリセリン 2.0
(16)グリセリン 2.0
(17)キサンタンガム 0.2
(18)塩化ナトリウム 0.2
(19)精製水 残 量
(20)アガロース分解糖液 *1 0.1
(21)香料 適 量
*3:ベントン38(NLエンダストリー社製)
*4:アビルEM−90(ゴールドシュミット社製)
*5:シリコーンKF6017(信越化学工業社製)
*6:シリコーンKF7312J(信越化学工業社製)
【0064】
(製 法)
A:成分(8)〜(13)を混合する。
B:成分(14)〜(19)を混合する。
C:Aに成分(1)〜(7)を添加し混合分散する。
D:CにBを撹拌しながら添加混合し、乳化する。
E:Dに成分(20)、(21)を加えクリームファンデーション(W/O型)を得た。
【0065】
調製したクリームファンデーションは、べたつき感のないなめらかな使用感があり、肌への付着性に優れ、美しい仕上がりとなり、また、連日肌に適用すると、肌にエモリエント感を付与し、つややはり、弾力のある美しい肌にすることができるとともに、連日使用によりシワを抑制又は改善するクリームファンデーションであった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のネオアガロビオース等を有効成分とする抗シワ剤およびシワ形成防止用皮膚外用剤は、エラスターゼ活性阻害作用を有し、また自然加齢モデルマウスに対して優れた抗シワ効果を示すものである。
【0067】
従って、本発明の抗シワ剤およびシワ形成防止用皮膚外用剤は、自然老化や光老化によるシワ形成防止用途に、極めて有用なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースよりなる群から選ばれる糖類の少なくとも1種以上を有効成分として含有することを特徴とする抗シワ剤。
【請求項2】
ネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースを含有し、ネオアガロビオース:ネオアガロテトラオース:ネオアガロヘキサオースの構成比率が5:50:45〜20:40:40である請求項1記載の抗シワ剤。
【請求項3】
エラスターゼ活性阻害作用を有するものである請求項1または2に記載の抗シワ剤。
【請求項4】
ネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースよりなる群から選ばれる糖類の少なくとも1種以上を有効成分として含有することを特徴とするシワ形成防止用皮膚外用剤。
【請求項5】
ネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースを含有し、ネオアガロビオース:ネオアガロテトラオース:ネオアガロヘキサオースの構成比率が5:50:45〜20:40:40である請求項4記載のシワ形成防止用皮膚外用剤。
【請求項6】
エラスターゼ活性阻害作用を有するものである請求項4または5に記載のシワ形成防止用皮膚外用剤。
【請求項7】
ネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースよりなる群から選ばれる糖類の含有量が0.001〜30質量%である請求項4〜6の何れかの項に記載のシワ形成防止用皮膚外用剤。
【請求項8】
ネオアガロビオース、ネオアガロテトラオースおよびネオアガロヘキサオースよりなる群から選ばれる糖類の少なくとも1種以上を含有することを特徴とするエラスターゼ活性阻害剤。


【公開番号】特開2009−102279(P2009−102279A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277423(P2007−277423)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】