説明

抗糖尿病活性を有する縮合芳香族化合物を用いた治療法

式Iの縮合芳香族化合物は、PPARガンマアゴニスト又は部分アゴニストであり、2型糖尿病と関連する場合がある高血糖症、脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症及び肥満症を含む、2型糖尿病の治療又は抑制において週に1回投与するのに有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2型糖尿病、並びに肥満症及び脂質障害を含む、糖尿病に関連する場合がある病状の治療における縮合芳香族化合物を用いた治療法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、複数の原因から誘導される疾患であり、空腹状態における、又は経口グルコース負荷試験の際のグルコース投与後の上昇した血漿グルコースレベル(高血糖症)によって特徴づけられる。一般的に2種の認識される糖尿病の型がある。1型糖尿病又はインシュリン依存性糖尿病(IDDM)においては、患者は、グルコースの利用を調整するホルモンであるインシュリンを少量しか産生しないか又は産生しない。2型糖尿病又はインシュリン非依存性糖尿病(NIDDM)においては、身体中でインシュリンは産生されている。2型糖尿病を患っている患者は高インシュリン血症(血漿インシュリンレベルの上昇)の状態である場合がある;しかし、これらの患者はインシュリン抵抗性であり、これは、筋肉、肝臓及び脂肪組織である、主要なインシュリン感受性組織において、グルコース及び脂質代謝のインシュリンの効果に対して抵抗性を有することを意味する。糖尿病でないインシュリン抵抗性の患者は、血漿グルコースレベルが、2型糖尿病の判定基準を満たすのに十分なまでに上昇しないように、より多くのインシュリンを分泌することにより、インシュリン抵抗性を補っている。2型糖尿病を患っている患者においては、上昇した血漿インシュリンレベルが、宣告されたインシュリン抵抗性を克服するのに不十分である。
【0003】
糖尿病を併発する持続性又は非制御型高血糖症は、罹患率及び死亡率の上昇及び早期化と関連している。異常なグルコース恒常性は、肥満症、高血圧、並びに脂質、リポタンパク質及びアポリポタンパク質代謝、及び他の代謝の変化、並びに血行動態疾患と、直接的及び間接的に関連している。2型糖尿病を患っている患者は、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈障害、脳卒中、末梢血管疾患、高血圧症、腎障害、神経障害及び網膜症を含む大血管及び微少血管合併症の危険性が顕著に上昇している。従って、グルコース恒常性、脂質代謝、肥満症及び高血圧症の治療的制御は、糖尿病の臨床管理及び治療において非常に重要である。
【0004】
インシュリン抵抗性又は2型糖尿病を煩っている多くの患者は、X症候群又はメタボリックシンドロームとして言及される、さまざまな症状を有する場合がある。この症状を有する患者は、患者が糖尿病でもある場合に、2型糖尿病の特徴の範囲であり得る、以下の5種の症状、すなわち:(1)腹部肥満;(2)高トリグリセリド血症;(3)低高密度リポタンパク質コレステロール(HDL);(4)高血圧、及び(5)高空腹時血糖、から選択される3種以上の症状を有するとして特徴づけられる。これらの各症状は、最近発表されたThird Report of the National Cholesterol Education Program Expert Panel on Detection, Evaluation and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults(Adult Treatment Panel III,or ATP III),National Institutes of Health,2001,NIH Publication No.01−3670において定義されている。メタボリックシンドロームを患っている患者は、糖尿病が発症しているかいないにかかわらず、アテローム性動脈硬化症及び冠状動脈障害のような、2型糖尿病と併発する前述した大血管及び微小血管の合併症を発症する危険性が上昇している。
【0005】
2型糖尿病にはいくつかの利用可能な治療法があり、それぞれ独自の限界及び潜在的な危険性を有する。それらの中には、運動、カロリー摂取の低減、インシュリン分泌促進剤であるスルホニル尿素類(例えば、トルブタミド又はグリピシド)、メグリチニド(例えば、レパグリニド又はナテグリニド)、その2種が最もよく知られているフェンホルミン及びメトホルミンであるビグアニド類、ロシグリタゾン及びピオグリタゾンのようなグリタゾン類(すなわち、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン)、PPARアルファ、ガンマ及び/又はデルタのアゴニストのような新規PPARアゴニスト類、ムラグリタザル及びテサグリタザルのようなPPARアルファ/ガンマ二重アゴニスト、及びインシュリンのような、種々の抗糖尿病薬の投与が含まれる。
【0006】
PPARガンマアンタゴニスト又は部分アゴニストである化合物の報告がある。WO01/30343は、肥満症及び2型糖尿病の治療に有用なPPAR部分アゴニスト/アンタゴニストである特定の化合物を記載している。WO02/08188、WO2004/020408、WO2004/020409及びWO2004/019869は、インドール誘導体であり、体重及び心臓の重量増加に関連する副作用が軽減した2型糖尿病の治療において有用なPPARアゴニスト及び部分アゴニストのクラスを開示している。本発明で用いられる化合物は、2006年9月14日に公開されたWO2006/096564A1に開示されている。意外にも、本明細書に記載された化合物又は刊行物はいずれも、週1回の投与計画で使用される本明細書に記載された化合物の使用には関連していない。更に、前記化合物のいずれも、1週間の投与計画に従って使用した場合に、本明細書に記載される利益を示さない。従って、本発明の重要な一態様は、有意な体重を増加させることのない、本明細書に記載された化合物の週1回の投与計画に関する。これら及び他の利益は、本明細書に含まれる教示から明らかであろう。
【発明の概要】
【0007】
発明の要旨
本発明は、式I:
【0008】
【化1】

[式中、環Aは、5又は6員環の芳香族環又はO、S及びNから独立して選択される1〜2個のヘテロ原子を有する芳香族複素環であり、ここで、環Aは、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になってナフタレン又はベンゾ芳香族複素環を形成し;
Ar及びArは、それぞれ、フェニル、ナフチル、ピリジニル、ピラジニル及びピリミジニルからなる群から独立して選択される炭素環式又は複素環式芳香族基であり、前記芳香族基は、ハロゲン、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−OC−Cアルキル、−OC−Cアルケニル、−C(=O)C−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−OC−Cシクロアルキル、−NO及び−CNから独立して選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく、ここで、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−OC−Cアルキル、−OC−Cアルケニル、−C(=O)C−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、C−Cシクロアルキル及び−OC−Cシクロアルキルは、それぞれ、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
Bは、−O−、−S(O)−、−N(R)−、−C(=O)−、−C(R−及び−C3−6シクロアルキリデン−からなる群から選択され;
−WZは、−O−C(R)(R)−Z、−S(O)−C(R)(R)−Z及び−CH−C(R)(R)−Zからなる群から選択され;
Zは、−CO及びテトラゾールからなる群から選択され;
及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−C(=O)C−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル及びC3−6シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−C(=O)C−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル及びC3−6シクロアルキルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
は、H及びC−Cアルキルからなる群から選択され;
は、それぞれ独立して、H、ハロゲン及び−C−Cアルキルからなる群から選択され、ここで−C−Cアルキルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−OC−Cアルケニル、C3−6シクロアルキル、−(CHフェニル及び−O(CHフェニルからなる群から選択され、ここで、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−C−Cアルケニル及び−OC−Cアルケニルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく、ここで、C3−6シクロアルキル、並びに−(CHフェニル及び−O(CHフェニルのフェニルは、ハロゲン、C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく、前記C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;若しくはR及びRは、一緒になって、C−Cシクロアルキル基を形成してもよく、前記C−Cシクロアルキル基は、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
は、H及び−C−Cアルキルからなる群から選択され、ここでC−Cアルキルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
mは、それぞれの場合、0〜2の整数であり;
nは、それぞれの場合、0〜2の整数であり;
pは0〜3の整数であり;そして
qは、0〜3の整数である]の化合物又は薬学的に許容されるその塩又は溶媒和物を、週に1回の頻度で患者に投与することを含む、このような治療を必要とする哺乳動物患者における2型糖尿病の治療に関する。
【0009】
発明の詳細な記載
以下の定義に関連し、本発明を記載する。
【0010】
「Ac」はCHC(O)−であるアセチルである。
【0011】
「アルキル」は、炭素鎖を別に定義しない限りは、直鎖又は分岐鎖又はそれらの組み合わせであってもよい飽和炭素鎖を意味する。アルコキシ及びアルカノイルのような、接頭辞「alk」を有する他の置換基は、炭素鎖を別に定義しない限り、直鎖又は分岐鎖又はそれらの組み合わせであってもよい。アルキル基の具体例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル等が含まれる。
【0012】
「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含み、直鎖状又は分枝状又はそれらの組み合わせであってもよい炭素鎖を意味する。アルケニルの具体例には、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル等が含まれる。
【0013】
「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含み、直鎖状又は分枝状又はそれらの組み合わせであってもよい炭素鎖を意味する。アルキニルの具体例には、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−へプチニル等が含まれる。
【0014】
「シクロアルキル」は、特定数の環及び特定の環サイズを有する飽和炭素環式環システムを意味する(例えば、単環式の3ないし7員環)。シクロアルキルはアリール基に縮合していてもよい。シクロアルキルの具体例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が含まれる。芳香環に縮合したシクロアルキルは、例えば、インダン環又はテトラヒドロナフタレン環であってもよい。
【0015】
シクロアルキリデン基は、両方の結合が同じ炭素においてである二価のシクロアルカン基である。例えば、1,1−ジメチルシクロプロパンのシクロプロピル基はシクロプロピリデン基である。
【0016】
構造中の置換基又は基を記述するために用いられる場合、「アリール」(及び「アリーレン」)は、特定数の環及び特定の環サイズを有する芳香族炭素環システム、例えば、5ないし7員環の単環式又は二環式芳香族系を意味する。代表的なアリール基にはフェニル及びナフチルが含まれる。一般に、フェニルは最も好ましい芳香族基である。アリール基は、シクロアルキル又は複素環に縮合することができる。「複素環式」及び「複素環」は、特定数のヘテロ原子、特定数の環及び特定の環サイズを含む、完全又は部分飽和環システムを意味する(例えば、複素環式単環は、N、S及びOから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、環のそれぞれが5〜7個の原子を有する)。複素環基と縮合したアリール環の具体例には、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾピラニル等が含まれる。単環式複素環の具体例には、テトラヒドロフラン、ピペラジン及びモルホリンが含まれる。
【0017】
「縮合した」は、有機化学において通常に用いられる意味を有する。ベンゾヘテロアリール及びアリールの定義において例示されるような、通常の側を共有する場合、2個の炭素環式及び/又は複素環式環は縮合する。
【0018】
「ヘテロアリール」又は「複素環式芳香族」は、特定数のヘテロ原子、特定数の環及び特定数の環サイズを含む単環又は多環式芳香族環システムを意味する(例えば、単環式環は、N、O及びS(−S(O)−及び−S(O)−を含む)から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、各環は5〜6個の原子を含む)。単環式ヘテロアリールの具体例には、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジニル、ピリダジニル及びピラジニルが含まれる。
【0019】
「ベンゾヘテロアリール」又は「ベンゾ芳香族複素環」は、単環式芳香族複素環に縮合しているフェニル環を含む二環式の環を意味する。ベンゾヘテロアリールの具体例には、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル(S−酸化物及び二酸化物を含む)、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、インドリル等が含まれる。
【0020】
「ハロゲン」には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれる。
【0021】
「Me」はメチルを表す。
【0022】
式Iの環A中の「C」が炭素原子を表すことに注意しなさい。
【0023】
医薬組成物中のような「組成物」なる用語は、活性成分及び担体を構成する不活性成分を含む生成物を包含し、並びに任意の2種以上の成分の組み合わせ、錯化若しくは凝集、又は1種以上の成分の解離、又は1つ以上の成分の他の種類の反応若しくは相互作用により、直接的又は間接的にもたらされるあらゆる生成物を包含することを意味する。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物を薬学的に許容される担体と混合して製造される任意の組成物を包含する。
【0024】
置換基「テトラゾール」は、2H−テトラゾール−5−イル置換基及びその互変異性体を意味する。
【0025】
本発明で用いられる化合物は、PPAR−ガンマアゴニスト及び部分アゴニストである。この化合物は、PPARガンマ核内受容体の有力なリガンドである。化合物のクラスには、PPARγ部分的アゴニストである多くの化合物が含まれ、PPARγ完全アゴニスト及び/又はPPARγアンタゴニストが含まれる。ある化合物は、PPARγ活性に加えPPARアルファ活性を有していてもよい。化合物は、高血糖症及びインシュリン抵抗性の治療及び抑制のために、週に1回の頻度の投与計画において有用である。この化合物は、ヒト及び他の哺乳動物患者におけるインシュリン非依存性糖尿病(NIDDM)の治療、特に高血糖症の治療において、並びに高脂血症、脂質異常症、肥満症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、血管再狭窄、炎症性疾患及び他のPPARが媒介する疾患、障害及び病状を含む、NIDDMに関連する病状の治療において有効である。
【0026】
前記化合物は、前糖尿病状態の治療のために有用であり、1型糖尿病の治療にも有用である。
【0027】
前記化合物は、混合性又は糖尿病性脂質異常症、LDL−C及び/又は非HDL−Cの上昇により発症する場合がある単独高コレステロール血症、高アポBリポタンパク血症、高トリグリセリド血症、トリグリセリドリッチリポタンパク質増加及び低HDLコレステロール濃度を含む、1つ以上の脂質障害の治療にも有用であり得る。これらは、アテローム性動脈硬化症、肥満症、血管再狭窄、炎症性疾患、乾癬、多嚢胞性卵巣症候群、並びに他のPPARが媒介する疾患、障害及び症状の治療又は回復にも有用であり得る。
【0028】
本発明は、以下に説明するように、多数の実施態様を有する。
【0029】
化合物が週に1回の頻度で投与される本発明の1つのサブセットにおいては、環Aは、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になって、ナフタレン環又はキノリル、イソキノリル、ベンゾイソオキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾフリル及びベンゾチエニルからなる群から選択されるベンゾ芳香族複素環を形成する。
【0030】
本明細書に記載される方法の他のサブセットにおいては、式I:
【0031】
【化2】

の化合物又は薬学的に許容されるその塩又は溶媒和物において、
環Aは、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になって、ナフタレン環又はキノリル、ベンゾイソオキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾフリル及びベンゾチエニルからなる群から選択されるベンゾ芳香族複素環を形成し;
Arは、フェニル、ピリミジニル及びピリジニルからなる群から選択され、そしてArは、フェニル及びピリジニルからなる群から選択され、ここで、Ar及びArは、それぞれ、ハロゲン、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、−NO及び−CNからなる群から独立して選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく、ここで、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル及び−S(O)−Cアルキルは、それぞれ1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
Bは、−O−及び−C(=O)−から選択され;
−WZは−O−C(R)(R)−COであり;
及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン、−OH、−CN、−NO、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群から選択され、ここで、−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン及び−C−Cアルキルからなる群から選択され、ここで−C−Cアルキルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
は、H及びC−Cアルキルからなる群から選択され、ここでC−Cアルキルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
nは0〜2の整数であり;
pは0〜2の整数であり;そして
qは0〜2の整数である。
【0032】
他のサブセットにおいては、本発明において用いられる化合物において、環Aは、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になって、ナフタレン環又はベンゾイソオキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾフリル及びベンゾチエニルからなる群から選択されるベンゾ芳香族複素環を形成する。
【0033】
他のサブセットにおいては、本発明において用いられる化合物において、Ar及びArは、それぞれ独立して、フェニル及びピリジニルからなる群から選択され、それぞれはハロゲン、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、−NO及び−CNから独立して選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく、ここで、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル及び−S(O)−Cアルキルは、それぞれ1〜3個のハロゲンで置換されていてもよい。
【0034】
他のサブセットにおいては、本発明において用いられる化合物において、環Aは、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になって、ナフタレン環又はベンゾイソオキサゾリル、インダゾリル及びベンゾフリルからなる群から選択されるベンゾ芳香族複素環を形成する。
【0035】
他のサブセットにおいては、本発明において用いられる化合物において、Arは、フェニル及びピリジニルからなる群から選択され、これはC−Cアルキルから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく、ここでC−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよい。
【0036】
他のサブセットにおいては、本発明において用いられる化合物において、Arは、ハロゲン、−CN、−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、ここで、−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよい。
【0037】
他のサブセットにおいては、本発明において用いられる化合物において、Bは−O−である。式Iの化合物のサブセットにおいては、Bは−C(=O)−である。式Iの化合物のサブセットにおいては、Bは−C(=O)−又は−O−である。
【0038】
他のサブセットにおいては、本発明において用いられる化合物において、−WZは−O−C(R)(R)−COHである。
【0039】
他のサブセットにおいては、本発明において用いられる化合物において、Rは、それぞれ独立して、ハロゲン、−C−Cアルキル及び−OHからなる群から選択され、ここで、−C−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよい。
【0040】
他のサブセットにおいては、本発明において用いられる化合物において、Rは、それぞれ独立して、−C−Cアルキル、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群から選択され、ここで、−C−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよい。
【0041】
他のサブセットにおいては、本発明において用いられる化合物において、R及びRは、それぞれ、H又は−C−Cアルキルである。
【0042】
他のサブセットにおいては、本発明において用いられる化合物において、q及びpは、それぞれ独立して0〜2の整数である。他のサブセットにおいては、本発明において用いられる化合物において、qは0又は1の整数である。他のサブセットにおいては、本発明において用いられる化合物において、pは0又は1の整数である。
【0043】
本発明の好ましい態様は、
式II:
【0044】
【化3】

[式中、X−Yは−O−N=、−N(R)−N=、−O−C(R)=、−S−C(R)=又は−N(R)−(CR)=であり、他の置換基は既に記載した通りである]の化合物又は薬学的に許容されるその塩又は溶媒和物の、週に1回の頻度の投与に関する。
【0045】
本発明の多くのサブセットにおいて、週に1回の頻度で投与される式IIの化合物において、
Arは、フェニル、ピリミジニル及びピリジニルからなる群から選択され、これはC−Cアルキルから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく、ここで、C−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
Arは、ハロゲン、−CN、−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、ここで、−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
Bは、−O−及び−C(=O)−から選択され;
−WZは−O−C(R)(R)−COであり;
は、それぞれ独立して、ハロゲン、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル及び−OHからなる群から選択され、ここで、−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
は、それぞれ独立して、H、−C−Cアルキル、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群から選択され、ここで−C−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
及びRは、それぞれ独立して、H及び−C−Cアルキルからなる群から選択され、ここで−C−Cアルキルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
は、H又は−C−Cアルキルであり;
pは0〜2の整数である。
【0046】
他のサブセットにおいては、本発明において用いられる化合物において、Arは、フェニル及びピリジニルからなる群から選択され、これはC−Cアルキルから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく、ここでC−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよい。
【0047】
本発明の他のサブセットにおいては、週に1回の頻度で投与される化合物は、式III:
【0048】
【化4】

[式中、X−Yは、−O−N=、−N(R)−N=及び−O−C(R)=からなる群から選択され;
Arは、フェニル、ピリミジニル及びピリジニルからなる群から選択され、ここでArは、1〜3個のFで置換されていてもよい−C−Cアルキル基で置換されていてもよく;
は、それぞれ独立して、ハロゲン、CH、−CF、−OH、−OCH及び−OCFからなる群から選択され;
は、H、−C−Cアルキル、−CF、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群から選択され;
は、H又は−C−Cアルキルであり;そして
はC−Cアルキルである]の化合物である。
【0049】
本発明の他のサブセットにおいては、週に1回の頻度で投与される化合物は、Arがフェニル又はピリジニルであり、ここで、Arは、1〜3個のFで置換されていてもよい−C−Cアルキル基で置換されていてもよく、又は既に定義された置換基である、式IIIの化合物である。
【0050】
本発明の他のサブセットにおいては、週に1回の頻度で投与される化合物は:Arが、フェニル、ピリミジニル及びピリジニルからなる群から選択され、ここで、ピリジニルは、Arが結合している環Aの3位においてC原子に結合しており、ピリミジニルは、Arが結合している環Aの5位においてC原子に結合しており、Arは、1個の−C−Cアルキル基で置換されている、式I、II又はIIIの化合物である。
【0051】
本発明の他のサブセットにおいては、週に1回の頻度で投与される化合物は:Arが、ハロゲン、−CN、−C−Cアルキル、−CF、−OCH及び−OCFから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルである、式I、II又はIIIの化合物である。
【0052】
本発明の他のサブセットにおいては、週に1回の頻度で投与される化合物は:Bが−O−である、式I、II又はIIIの化合物である。
【0053】
本発明の他のサブセットにおいては、週1回の頻度で投与される化合物は、Rが、それぞれ独立して、ハロゲン、CH、−CF及び−OHからなる群から選択される、式I、II又はIIIの化合物である。
【0054】
本発明の他のサブセットにおいては、週1回の頻度で投与される化合物は、Rが、H、−CH、−CF、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群から選択される、式I、II又はIIIの化合物である。
【0055】
本発明の他のサブセットにおいては、週1回の頻度で投与される化合物は、RがH又は−CHである、式I、II又はIIIの化合物である。
【0056】
本発明の他のサブセットにおいては、週1回の頻度で投与される化合物は、Rが−C−Cアルキルである、式I、II又はIIIの化合物である。
【0057】
本発明の他のサブセットにおいては、週1回の頻度で投与される化合物は:Arが、フェニル及びピリジニルからなる群から選択され、ここで、ピリジニルが、Arが結合している環Aの3位においてC原子に結合しており、そしてArは、1〜3個のFで置換されていてもよい1個の−C−Cアルキルで置換されている、式I、II又はIIIの化合物であり、又、他のサブセットにおいては、Arは更には置換されない1個の−C−Cアルキルで置換され;他のサブセットにおいては、Arは1個の置換基n−プロピルで置換されている。
【0058】
本発明の他のサブセットにおいては、週1回の頻度で投与される化合物は、式IV:
【0059】
【化5】

【0060】
[式中、D及びEは、それぞれ独立して、−CH=及び−N=から選択され;
は、1〜3個のFで置換されていてもよい−C−Cアルキルである]の化合物である。他の置換基は、前述した定義のいずれかを有していてもよい。
【0061】
本発明の他のサブセットにおいては、週に1回の頻度で投与される化合物は、Rが、更には置換されていない−C−Cアルキルである、式IVの化合物である。他のサブセットにおいては、Rはn−プロピルである。
【0062】
本発明の他のサブセットにおいては、週に1回の頻度で投与される化合物は、式V:
【0063】
【化6】

[式中、Dは−CH=又は−N=であり;そして
は、1〜3個のFで置換されていてもよい−C−Cアルキルである]の化合物である。
【0064】
他のサブセットは、薬学的に許容される塩が含まれる、以下の式VIを有する化合物を含む。
【0065】
【化7】

【0066】
本発明の他のサブセットにおいては、週に1回の頻度で投与される化合物は:
Dが−CH=又は−N=であり;
が、H、−CH又は−S(O)CFであり(VIにRは存在しないことに注意);
がC−Cアルキルである、式VIの化合物である。
【0067】
本発明の他のサブセットにおいては、週1回の頻度で投与される化合物は:X−Yが−O−N=であり、そしてDが−CH=である、式IV、V又はVIの化合物である。
【0068】
本発明の他のサブセットにおいては、週1回の頻度で投与される化合物は:X−Yが−O−N=であり、そしてDが−N=である、式IV、V又はVIの化合物である。
【0069】
本発明の他の態様においては、これらの化合物の薬学的に許容される塩、これらの化合物のプロドラッグを含む、式I、II、III、IV、V又はVIの化合物が、前記化合物を薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物の形態で、週に1回の頻度で患者に投与される。式Iの化合物又は式Iの化合物と関連する本明細書の開示は、式II、III、IV、V及びVI、並びに本明細書に開示される特定の化合物を含む、式Iの全てのサブセットをも含むことを意味する。
【0070】
週に1回の頻度で投与される化合物の具体例を以下に記載する。用いられる特定の化合物は、薬学的に許容されるその塩をも含む。
【0071】
【表1−1】

【0072】
【表1−2】

【0073】
【表1−3】

【0074】
【表1−4】

【0075】
【表1−5】

【0076】
【表1−6】

【0077】
表2は、薬学的に許容される塩を含む、追加の特定の化合物を提供し、有機合成化学の分野における熟練者によって、本願明細書の手段を用いて、容易に製造することができる。
【0078】
【表2−1】

【0079】
【表2−2】

【0080】
【表2−3】

【0081】
本発明の化合物は、この化合物又は薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体と、任意に1種以上の付加的な他の活性医薬成分とを含む医薬組成物に用いることができる。本発明の化合物は、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩が唯一の活性成分である医薬組成物に用いることができる。
【0082】
本発明の化合物及び薬学的に許容されるその塩は、ヒト又は他の哺乳動物患者における2型糖尿病の治療のための薬剤の製造における使用、及びこの化合物により治療される以下に記載される他の疾患のための薬剤の製造における使用に適している。好ましい患者はヒトである。
【0083】
前述の化合物は、式Iの化合物の、特定の疾患のための治療的有効量を週に1回の頻度で患者に投与することにより、哺乳動物患者、特にヒトにおいて、以下の疾患を治療又は抑制する方法、並びに下記に記載されていない他の疾患を治療する方法のいずれかにおいて用いることができる。
(1)インシュリン依存性(1型糖尿病)及び非依存性糖尿病(2型糖尿病);
(2)前糖尿病状態(インシュリン抵抗性)、
(3)高血糖症;
(4)メタボリックシンドローム;
(5)肥満症;
(6)高コレステロール血症;
(7)高トリグリセリド血症;及び/又は
(8)混合性又は糖尿病性脂質異常症、低HDLコレステロール、高LDLコレステロール、高脂血症、高コレステロール血症及び高トリグリセリド血症を含む1種以上の脂質障害。
【0084】
この化合物は、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を週に1回の頻度で患者に投与することを含む、治療を必要とするヒト又は他の哺乳動物患者におけるメタボリックシンドロームに関連する有害な後遺症の危険性を低減する方法にも用いることができる。
【0085】
この化合物は、式Iの化合物の治療的有効量を週に1回の頻度で患者に投与することを含む、治療を必要とする又はアテローム性動脈硬化症若しくはアテローム性動脈硬化症の後遺症を発症する危険性のあるヒト又は哺乳類患者において、アテローム性動脈硬化症を治療し、アテローム性動脈硬化症の発症の危険性を低減し、アテローム性動脈硬化症の発症を遅延し、及び/又はアテローム性動脈硬化症の後遺症の危険性を低減するためにも用いることができる。アテローム性動脈硬化症の後遺症には、例えば、アンギナ、跛行、心臓発作、卒中等が含まれる。
【0086】
この化合物は、化合物又は薬学的に許容されるその塩の(特定の疾患についての)治療的有効量を、治療を必要とする患者に週に1回の頻度で投与することによって、以下の疾患の治療に特に有用である。
(1)2型糖尿病、特に2型糖尿病によりもたらされる高血糖症;
(2)メタボリックシンドローム;
(3)肥満症;及び
(4)高コレステロール血症。
【0087】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異性体
式Iの化合物は、1個以上の不斉中心を有し、従って、ラセミ化合物及びラセミ混合物、1つの鏡像異性体、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在し得る。本発明は、式Iの化合物のこのような全ての異性形態を包含することを意味する。
【0088】
本明細書に記載された化合物のいくつかはオレフィン二重結合を含み、特に明記しない限り、E及びZの両方の幾何異性体を包含することを意味する。
【0089】
本明細書に記載された化合物のいくつかは、互変異性体と呼ばれる、水素の異なる連結点を有して存在してもよい。具体例は、ケト−エノール互変異性体として知られる、ケトン及びそのエノール形態である。個々の互変異性体及びその混合物は、式Iの化合物に包含される。
【0090】
1個以上の不斉中心を有する式Iの化合物は、当該技術分野において周知の方法によって、ジアステレオ異性体、鏡像異性体等に分離され得る。
【0091】
また、キラル中心を有する鏡像異性体及び他の化合物は、光学的に純粋な、及び/又は公知の立体配置を有する出発原料及び/又は試薬を用いて立体特異的合成により合成することができる。
【0092】

「薬学的に許容される塩」なる用語は、無機又は有機塩基、並びに無機又は有機酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から製造される塩を意味する。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等が含まれる。特に好ましくは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。固体形状中の塩は、2種以上の結晶構造で存在し得、水和物の形態でも存在し得る。薬学的に許容される有機の非毒性塩基から誘導される塩には、一級、二級及び三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン塩が含まれる。
【0093】
本発明の化合物が塩基性であるか、構造中に塩基性基を有する場合、塩は、無機及び有機酸を含む医薬的に許容される非毒性の酸から製造される。このような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコ酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が含まれる。好ましい酸には、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、酒石酸、トルエンスルホン酸(トシレート)、メタンスルホン酸(メシレート)及びベンゼンスルホン酸(ベシレート)が含まれ、最も好ましくはベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸及びメタンスルホン酸塩である。場合によっては、本発明の化合物は両性イオン形態で存在し得る。
【0094】
本明細書で用いられる場合、式Iの化合物への言及は、薬学的に許容される塩を含むこともまた意味することが理解されるであろう。
【0095】
代謝物−プロドラッグ
それ自体が特許請求発明の範囲内にある特許請求の範囲に記載の化合物の代謝物も、本発明の化合物である。患者に投与されている際又は患者に投与された後で特許請求の範囲に記載の化合物に変化する化合物であるプロドラッグも、本発明の化合物として考慮することができる。
【0096】
有用性
本発明の化合物は、種々のペルオキシソーム増殖因子活性化受容体のサブタイプの1種以上、特にPPARγに対して、アゴニスト、部分アゴニスト又はアンタゴニスト活性を有する強力なリガンドである。この化合物は、PPARαサブタイプ並びにPPARγサブタイプのリガンド、アゴニスト、部分アゴニスト又はアンタゴニストでもあり得、混合PPARα/γアゴニズムをもたらす。いくつかの化合物もPPARδリガンドであり得、他のPPAR活性に加えてPPARδ活性を有する。本発明の化合物は、個々のPPARサブタイプ(例えば、γ又はα)又はPPARサブタイプの組み合わせ(例えば、α/γ)の1種以上のリガンドにより媒介される疾患、障害又は病状を治療又は抑制するのに有用である。本発明の一態様は、PPARアゴニスト又は部分アゴニスト、特にPPARγアゴニスト又は部分アゴニストの投与により媒介され得る疾患、例えば2型糖尿病の治療及び抑制のための方法を提供する。本発明の一態様は、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において1種以上のPPARサブタイプにより媒介される疾患、障害又は病状の治療及び抑制のための方法を提供する。本発明の化合物は、(1)糖尿病、特にインシュリン非依存性糖尿病(NIDDM)、(2)高血糖症、(3)低グルコース耐性、(4)前糖尿病状態又はインシュリン抵抗性、(5)肥満症、(6)脂質障害、(7)脂質異常症、(8)高脂血症、(9)高トリグリセリド血症、(10)高コレステロール血症、(11)低HDLレベル、(12)高LDLレベル、(13)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(14)血管再狭窄、(15)過敏性腸症候群、(16)クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患、(17)他の炎症性疾患、(18)膵炎、(19)腹部肥満、(20)アルツハイマー病、多発性硬化症、パーキンソン病等のような神経変性疾患、(21)網膜症、(22)乾癬、(23)メタボリックシンドローム、(24)卵巣アンドロゲン過剰症(多嚢胞性卵巣症候群)及びインシュリン抵抗性が要素である他の疾患が含まれるが、これらに限定されない、多くのPPARが媒介する疾患及び病状を治療又は抑制するのに有用である。これらは、高血圧、腫瘍性症状、脂肪細胞腫瘍、脂肪細胞癌、例えば脂肪肉腫、前立腺癌及び胃癌、乳癌、膀胱癌及び大腸癌を含む他の癌、並びに血管新生の治療において有効性を有し得る。
【0097】
化合物は、喘息のような呼吸状態の治療のためにも用いることができる。
【0098】
本発明の化合物は、式Iを有する化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を治療を必要とする患者に投与することによって、グルコース耐性障害を有する及び/又は前糖尿病状態である非糖尿病の患者において、グルコース、脂質及びインシュリンを低下するために用いることができる。
【0099】
本発明の化合物は、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療有効量を患者に投与することによって、治療を必要とする患者における肥満症の治療に用いることができる。
【0100】
本発明の化合物は、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療有効量を患者に投与することによって、治療を必要とする患者におけるアテローム性動脈硬化症を治療し、又は発症する危険性を低減するために用いることができる。
【0101】
本発明の化合物は、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療有効量を患者に投与することによって、治療を必要とする糖尿病患者における高血糖症を治療又は低減するために用いることができる。
【0102】
化合物は、骨粗鬆症の治療に有用性を有し得る。本発明の化合物は、骨粗鬆症を有し、又は骨粗鬆症を発症する危険性のある患者において、骨密度の損失を遅延又は停止することによって、骨粗鬆症の治療又は骨粗鬆症を発症する危険性を低減するために用いることができる。本発明の化合物は、既に骨質量を失い始めている患者において、骨質量の損失を逆転することもできる。特に、この化合物は、週に1回、1週おき、3週に1回、月に1回又はそれより少なく、単独で、又は他の薬剤と組み合わせて用いることができる。式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩と一緒に用いる本明細書に有用な典型的な抗骨粗鬆症薬には、アレンドロネート、リセドロネート、ゾレドロン酸のようなビスホスフォネート類;エクセナチド、リラグルチドのようなカテプシンK阻害剤;カルシトニン及び他の薬剤が含まれる。
【0103】
本発明の一態様は、式Iを有する化合物の治療的有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、混合性又は糖尿病性脂質異常症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症及び/又は高トリグリセリド血症の治療及び抑制のための方法を提供する。この化合物は、単独で用いることができ、又は有利にはコレステロール生合成阻害剤、特にロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン又はZD−4522のようなHMG−CoAレダクターゼ阻害剤と一緒に投与することができる。この化合物は、コレステロール吸収阻害剤(例えば、スタノールエステル、チクェシドのようなステロールグリコシド及びエゼミチブのようなアゼチジノン類)、ACAT阻害剤(例えば、アバシミベ)、CETP阻害剤(例えば、トルセトラピブ)、ナイアシン、ナイアシン受容体アゴニスト、胆汁酸金属捕捉剤、ミクロソームトリグリセリド輸送阻害剤及び胆汁酸再取込み阻害剤のような他の脂質低下薬と組み合わせて有利に用いることもできる。これらの併用治療は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、高トリグリセリド血症、脂質異常症、高LDL及び低HDLからなる群から選択される1種以上の関連する病状の治療又は抑制に有効である。
【0104】
興味のある本発明の他の態様は、式Iを有する化合物の治療的有効量を、DPP−4アンタゴニスト;グルカゴン受容体アンタゴニスト;グルコキナーゼ活性化因子;GPR119アゴニスト;GPR40調節因子;GPR120アゴニスト;インシュリン増感剤;スルホニル尿素又は他のインシュリン分泌促進因子;WO2006/099077A1に記載されている化合物のようなSPPARγM;α−グルコシダーゼ阻害剤;GLP−1、GLP−1類似体又は模倣体又はGLP−1受容体アゴニスト;GIP、GIP模倣体又はGIP受容体アゴニスト;PACAP、PACAP模倣体又はPACAP受容体アゴニスト;HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤;胆汁酸金属捕捉剤;ニコチン酸又はニコチニルアルコール;PPARαアゴニスト;PPARα/γ二重アゴニスト;コレステロール吸収阻害剤;アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤;抗酸化剤;PPARδアゴニスト;NPY1又はNPY5アンタゴニスト、CB1受容体インバースアゴニスト、回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤のような抗肥満薬;アスピリン、NSAIDs、グルココルチコイド、アザルフィジン、選択的COX−2阻害剤;ACE阻害剤のような降圧薬、AII受容体阻害剤、ベータ遮断薬及びカルシウムチャンネル遮断薬;11β−HSD−1の阻害剤、CETPの阻害剤及びフルクトース1,6−ビスホスファターゼの阻害剤からなる群から選択される化合物と一緒に、治療を必要とする患者に投与することを含む、混合性又は糖尿病性脂質異常症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症及び/又は高トリグリセリド血症、2型糖尿病、高血糖症、インシュリン抵抗性及び関連病状の1種以上の治療又は抑制のための方法に関する。
【0105】
本発明の他の態様は、本発明の化合物の治療的有効量を治療を必要とする患者に投与することによって、炎症性腸疾患、クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む炎症性疾患を治療する方法を提供する。本発明により治療され得る追加の炎症性疾患には、痛風、リウマチ様関節炎、骨関節症、多発性硬化症、喘息、ARDS、乾癬、血管炎、虚血/再潅流障害、凍傷及び関連する疾患が含まれる。
【0106】
投与及び用量範囲
任意の適切な投与経路を用いて、哺乳動物、特にヒトに本発明の化合物の有効用量を提供することができる。例えば、経口、直腸内、局所、非経口、眼球、肺、経鼻等を用いることができる。剤形には、錠剤、トローチ剤、分散剤、懸濁剤、液剤、カプセル、クリーム剤、軟膏、エアゾール剤等が含まれる。好ましくは、式Iの化合物は経口投与される。
【0107】
用いられる活性成分の有効投与量は、用いられる特定の化合物、投与経路、治療される病状及び治療される症状の重症度に依存して変えることができる。そのような投与量は、当業者にとって容易に確認することができる。
【0108】
糖尿病及び/又は高血糖症若しくは高トリグリセリド血症、又は式Iの化合物が指示される他の疾患を治療又は抑制する場合、本発明の化合物は、動物の体重1kgあたり約0.05ミリグラム〜約100ミリグラムの週1回の投与量が、好ましくは週1回として、又は持続放出形態で投与される場合に、一般的に満足な結果が得られる。ヒト(例えば、70kgの成人)を含む最も大きい哺乳動物のためには、週に1回投与される1週間の全投与量は、約0.1ミリグラム〜約1000ミリグラムであり、約0.5ミリグラム〜約350ミリグラムであり得、約1ミリグラム〜約50ミリグラムの場合もある。特定の強力な化合物については、成人のヒトに対する投与量は、最小0.1mgであり得る。70kgの成人のヒトに対する1週間の投与量の具体例は、1日あたり0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、350mg及び500mgである。投与計画は、最適な治療反応をもたらすために、前記範囲内で調整してもよく、又はこれらの範囲外であってもよい。
【0109】
経口投与は、通常は錠剤を用いて実施されるであろう。1週間に1回投与される錠剤中の用量の具体例には、約0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、350mg及び500mgが含まれる。他の経口形態(例えば、カプセル又は懸濁液)も、同じサイズを有する用量において投与することができる。
【0110】
医薬組成物
本発明の他の態様は、式Iの化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、活性成分として式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩を含み、また、薬学的に許容される担体、場合により他の治療薬を含む。「薬学的に許容される塩」なる用語は、無機塩基又は酸、並びに有機塩基又は酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から製造される塩を意味する。プロドラッグが投与される場合、医薬組成物には、プロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩が含まれる。
【0111】
組成物には、経口投与、直腸投与、局所投与、非経口投与(皮下注射、筋肉内注射及び静脈注射を含む)、眼内投与(眼科用)、経肺投与(経鼻又は経頬投与)、又は経鼻投与が含まれるが、任意の所定のケースにおける最も適切な経路は、治療される病状の性質及び重症度、並びに活性成分の性質に依存するであろう。それらは、単位投与形態中に都合よく存在しており、薬学の分野において周知の任意の方法により製造される。一般に、経口投与に適した組成物が好ましい。
【0112】
実践的な使用においては、式Iの化合物は、従来の薬剤混合技術に従い、医薬担体と念入りに混合した活性成分として混合することができる。担体は、投与に望ましい製剤、例えば、経口又は非経口(静脈注射を含む)の形態に依存し、種々の形態をとり得る。経口投与形態のための組成物の製造においては、通常の医薬媒体、例えば、懸濁液、エリキシル剤及び液剤のような経口液剤の場合には、例えば、水、グリコール類、油類、アルコール類、調味料、保存剤、着色剤等を、又は例えば、粉末、硬及び軟カプセル及び錠剤等のような経口固形製剤の場合には、例えば、デンプン、糖類、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、バインダー、崩壊剤のような担体を用いることができ、固形経口製剤が、液状製剤より好ましい。
【0113】
投与の容易さのため、錠剤及びカプセルは、最も好都合な経口投与単位形態であり、この場合においては、固形の医薬担体が使用される。所望であれば、錠剤を、標準的な水性又は非水性技術によりコーティングしてもよい。このような組成物及び製剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含むべきである。これらの組成物中の活性化合物の割合は、当然に変化し得、単位重量の約2%〜約60%が都合がよい。このような治療的に有用な組成物中の活性化合物の量は、効果的な投与量が得られる量である。活性化合物は、例えば、液滴又は噴霧により鼻腔内投与することもできる。
【0114】
錠剤、丸剤、カプセル等は、トラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチ又はゼラチンのようなバインダー;第二リン酸カルシウムのような賦形剤;コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤;ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤を含んでもよい。投与単位形態がカプセルである場合、前記タイプの材料に加え、脂肪油のような液状担体を含んでもよい。
【0115】
種々の他の材料はコーティングとして、又は投与単位の物理的形態を修飾するために存在してもよい。例えば、錠剤は、セラック、糖又は両者でコーティングされていてもよい。シロップ剤又はエリキシル剤は、活性成分に加え、甘味剤としてショ糖、保存剤としてメチル及びプロピルパラベン、チェリーフレーバー又はオレンジフレーバーのような染料及び香味料を含んでもよい。
【0116】
式Iの化合物は非経口的に投与されてもよい。これらの活性化合物の液剤又は懸濁剤は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混合される水中で製造することができる。分散剤は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及び油中のそれらの混合物中で製造することもできる。保存及び使用の通常の条件下で、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するための保存料を含む。
【0117】
注射に使用するために適した医薬製剤は、無菌注射用液剤又は分散剤を即時に製造するための無菌水溶液又は分散剤及び無菌粉末を含む。全てのケースにおいて、製剤は無菌であり、容易に注射可能である範囲で液体でなければならない。製造及び保存条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌のような微生物の混入作用に対して保存されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、それらの安定な混合物及び植物油を含む、溶媒又は分散媒であってもよい。
【0118】
併用療法
式Iの化合物は、式Iの化合物が有用である1種以上の疾患又は病状の治療又は改善に有用であり得る他の薬剤と併用することができる。このような他の薬剤は、一般に使用される経路及び量で、式Iの化合物と同時に(同時投与によるような)、又は連続して投与することができる。式Iの化合物を1種類以上の他の薬剤と同時に用いる場合には、このような他の薬剤と式Iの化合物とを含む単位投与形態における医薬組成物が好ましい。しかし、併用療法は、式Iの化合物と1種類以上の他の薬剤とを異なる重複スケジュールで投与する療法をも含む。また、1種類以上の他の活性成分と併用する場合には、本発明の化合物と他の活性成分とをそれぞれ単体で使用する場合よりも低い用量で用いることができると考えられる。従って、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物に加えて1種類以上の他の活性成分を含む医薬組成物を含む。
【0119】
式Iの化合物と組み合わせて投与することができ、別々に又は同じ医薬組成物として投与することができる他の活性成分の具体例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない。
【0120】
(a)グリタゾン(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾン、ネトグリタゾン等)のような、他のPPARガンマアゴニスト及び部分アゴニスト、並びにグリタゾン構造を有しないPPARガンマアゴニスト及び部分アゴニスト(例えば、K−111、INT−131、MBX−102[メタグリダセン]、MBX−2044、SPPARγM GSK−376501を含むFK614等);
(b)メトホルミン及びフェンホルミンのようなビグアニド;
(c)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(d)シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチンを含むジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−4)阻害剤、並びに下記公開特許及び出願:米国特許第6,699,871号;WO02/076450(2002年10月3日);WO03/004498(2003年1月16日);WO03/004496(2003年1月16日);EP1258476(2002年11月20日);WO02/083128(2002年10月24日);WO02/062764(2002年8月15日);WO03/000250(2003年1月3日);WO03/002530(2003年1月9日);WO03/002531(2003年1月9日);WO03/002553(2003年1月9日);WO03/002593(2003年1月9日);WO03/000180(2003年1月3日);WO03/082817(2003年10月9日);WO03/000181(2003年1月3日);WO04/007468(2004年1月22日);WO04/032836(2004年4月24日);WO04/037169(2004年5月6日);及びWO04/043940(2004年5月27日)に開示された化合物。特定のDPP−4阻害剤化合物には、イソロイシンチアゾリジド(P32/98);NVP−DPP−728;ビルダグリプチン(LAF237);P93/01;及びサクサグリプチン(BMS477118)が含まれる;
(e)例えば、皮下注射、皮内注射又は筋肉注射、経口、経皮、鼻腔内、肺内等の任意の従来の経路により投与される、即効性インシュリン、通常のインシュリン、持続性インシュリン、複合型インシュリン等を含む、インシュリン又はインシュリン模倣物;
(f)スルホニル尿素(例えば、トルブタミド、グリメピリド及びグリピジド)及びメグリチニド(例えば、レパグリニド及びナテグリニド)のようなインシュリン分泌促進剤;
(g)α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース及びミグリトールのような);
(h)患者の脂質プロファイルを改善する以下の薬剤、(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522及び他のスタチン類)、(ii)胆汁酸金属捕捉剤(コレスチラミン、コレスチポール及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)ナイアシン受容体アゴニスト、(v)フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)のようなPPARαアゴニスト、(vi)例えば、エゼチミブのようなコレステロール吸収阻害剤、(vii)アバシミブのようなアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、(viii)トルセトラピブ、JTT−705のようなCETP阻害剤、並びにWO2005/100298、WO2006/014357及びWO2006/014413に開示された化合物、及び(ix)プロブコールのようなフェノール系抗酸化剤;
(i)フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンチラミン、シブトラミン、オーリスタット、ニューロペプチドY5阻害剤、Mc4rアゴニスト、カンナビノイド受容体1(CB−1)アンタゴニスト/インバースアゴニスト及びβアドレナリン受容体作動物質のような抗肥満化合物;
(j)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;
(k)アスピリン、非ステロイド系抗炎症剤、グルココルチコイド、アザルフィジン及びシクロオキシゲナーゼ2選択的阻害剤のような、炎症性病状に用いることを意図した薬剤;
(l)グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(m)GLP−1;
(n)GIP−1;及び
(o)エクセナチドを含むエキセンディンのようなGLP−1類似体;
(p)WO97/28149に開示された化合物のようなPPARδアゴニスト;及び
(q)ヒドロクロロチアジド、フロセミド等の利尿薬;プロプラノロール、メタプロロールのようなベータアドレナリン遮断薬;エナラプリル、リシノプリル、ラミプリル、キナプリルのようなACE阻害剤;ロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、カンデサルタンのようなARBs;及びアムロジピン、ジルチアゼム及びベラパミルのようなカルシウムチャンネル遮断薬のような降圧剤。
【0121】
前記組合せは、本発明の化合物と、1種の他の活性化合物との組合せだけでなく、2種以上の他の活性化合物との組合せをも含む。非限定的な具体例には、式Iの化合物と、ビグアナイド、スルホニル尿素、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、他のPPARアゴニスト、PTP−1B阻害剤、DPP−4阻害剤及び抗肥満化合物から選択される2種以上の活性化合物との組合せが含まれる。
【0122】
請求の範囲に記載されているものは、更なるPPARアルファ、ガンマ又はデルタ選択的アゴニスト、PPARアルファ/ガンマ、ガンマ/デルタ、アルファ/デルタ二重アゴニスト、又はPPARアルファ/ガンマ/デルタパンアゴニストの、週に1回の頻度による使用でもある。これらの薬剤は、糖尿病、脂質異常症及び体重減少の治療に有用である。このような薬剤の具体例には、以下のもの:ネトグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン、バラグリタゾン、CS204、AZD6610、ZYH1、GFT505、LY−465608、DRF−2519、DRF−11605、DRF−2725、GW−626019、GW−625019、CS038、ONO−5129、アレグリタザル、ムラグリタザル、ソルデグリタザル、テセグリタザル、ナベグリタザル、ファルグリタザル、KRP−297、AVE0897、AVE0847、LBM642、PPM263、PPM202、PPM201、PPM204、PLX−204、GW−677954、NN0606、AVE8134、NS−220、SAR35034、KD3010、GW−501516、FK614、K−111、メタグリダセン、MBX−2044、INT−131、KD3010、KR−62980、SVT002149、AVE8134、AVE5378、AVE0897、SAR35034、AVE5376、MBX2130、PAT−5A、GW−501516、GW−1262570、GW677954、GW590735、R−483及びBAY−54−9801が含まれるが、これらに限定されない。
【0123】
本発明の化合物(すなわち、式Iを有する化合物)は、請求項1の化合物の治療的有効量を、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤と組み合わせて、治療を必要とする患者に投与することにより、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症から選択される1種以上の疾患又は病状を治療するために用いることができる。スタチン類は、この併用療法に用いるための好ましいHMG−CoAレダクターゼ阻害剤である。好ましいスタチン類には、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522、リバスタチン及びロスバスタチンが含まれる。この併用量法は、アテローム性動脈硬化症を治療し、発症の危険性を低減するのに特に望ましい。このような組み合わせは、CETP阻害剤(例えば、トルセトラピブ)又はコレステロール吸収阻害剤(例えば、エゼチミブ)のような第三の医薬活性成分を含む場合もある。
【0124】
本発明において用いられる化合物を製造する方法は、一般に、2006年9月14日に公開された、WO2006/096564A1に記載されている。
【0125】
生物学的アッセイ
A)PPAR結合アッセイ
組換え型ヒトPPARγ、PPARδ及びPPARαの調製について:ヒトPPARγ、ヒトPPARδ及びヒトPPARαは、大腸菌(E.coli.)中でgst−融合タンパク質として発現された。PPARγ用の完全長ヒトcDNAをpGEX−2T発現ベクター(Pharmacia)にサブクローニングした。PPARδ及びPPARα用の完全長ヒトcDNAをpGEX−KT発現ベクター(Pharmacia)にサブクローニングした。それぞれのプラスミドを含む大腸菌を増殖させ、誘導し、遠心分離によって収集した。再懸濁させた沈殿物をフレンチプレスによって破砕し、破片を12,000×gで遠心分離して除去した。組換え型ヒトPPAR受容体を、グルタチオンセファロースを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。カラムにかけ、1回洗浄した後、受容体をグルタチオンで溶出させた。グリセロール(10%)を加え、受容体を安定化し、一定分量を−80℃で保存した。
【0126】
PPARγと結合させるために、Bergerら(Novel peroxisome proliferator−activated receptor(PPARγ) and PPARδ ligands produce distinct biological effects.J.Biol.Chem.(1999),274:6718−6725に記載されたように、一定分量の受容体を、0.1%脱脂粉乳及び10nM[]AD5075(21Ci/ミリモル)、±試験化合物を含むTEGM(10mM Tris、pH7.2、1mM EDTA、10%グリセロール、7μL/100mL β−メルカプトエタノール、10mMモリブデン酸Na、1mMジチオスレイトール、5μg/mLアプロチニン、2μg/mLロイペプチン、2μg/mLベンズアミジン及び0.5mM PMSF)中でインキュベートした。アッセイを最終容量150μLで4℃で約16時間インキュベートした。デキストラン/ゼラチンコーティングチャコール100μLと一緒に氷上で約10分間インキュベートして、結合していないリガンドを除去した。3000rpm、4℃で10分間遠心分離後、上清画分50μLをTopcountで計数した。
【0127】
PPARδと結合させるために、Berger等(Novel peroxisome proliferator−activated receptorγ(PPARγ) and PPARδ ligands produce distinct biological effects.1999 J Biol Chem 274:6718−6725)に記載されているように、一定分量の受容体を、0.1%脱脂粉乳及び2.5nM[]L−783483(17Ci/ミリモル)、±試験化合物を含むTEGM(10mM Tris、pH7.2、1mM EDTA、10%グリセロール、7μL/100mLβ−メルカプトエタノール、10mMモリブデン酸Na、1mMジチオスレイトール、5μg/mLアプロチニン、2μg/mLロイペプチン、2μg/mLベンズアミド及び0.5mM PMSF)中でインキュベートした(L−783483は、3−クロロ−4−(3−(7−プロピル−3−トリフルオロメチル−6−ベンズ−[4,5]−イソオキサゾロキシ)プロピルチオ)フェニル酢酸、WO97/28137の実施例20である)。アッセイを最終容量150μLで4℃で約16時間インキュベートした。デキストラン/ゼラチンコーティングチャコール100μLと一緒に氷上で約10分間インキュベートして、結合していないリガンドを除去した。3000rpm、4℃で10分間遠心分離後、上清画分50μLをTopcountで計数した。
【0128】
PPARαと結合させるために、一定分量の受容体を、0.1%脱脂粉乳及び5.0nM[]L−797773(34Ci/ミリモル)、±試験化合物を含むTEGM(10mM Tris、pH7.2、1mM EDTA、10%グリセロール、7μL/100mLβ−メルカプトエタノール、10mMモリブデン酸Na、1mMジチオスレイトール、5μg/mLアプロチニン、2μg/mLロイペプチン、2μg/mLベンズアミド及び0.5mM PMSF)中でインキュベートした(L−797733は、(3−(4−(3−フェニル−7−プロピル−6−ベンゾ−[4,5]−イソオキサゾロキシ)ブチルオキシ))フェニル酢酸、WO97/28137の実施例62である)。アッセイを最終容量150μL、4℃で約16時間インキュベートした。デキストラン/ゼラチンコーティングャコール100μLと一緒に氷上で約10分間インキュベートして、結合していないリガンドを除去した。3000rpmで4℃で10分間遠心分離後、上清画分50μLをTopcountで計数した。
【0129】
B)Gal−4hPPARトランス活性化アッセイ
キメラ受容体発現構築体、pcDNA3−hPPARγ/GAL4、pcDNA3−hPPARδ/GAL4、pcDNA3−hPPARα/GAL4を、それぞれhPPARγ、hPPARδ、hPPARαのリガンド結合ドメイン(LBDs)に隣接して酵母GAL4転写因子DBDを挿入することによって調製した。レポーター構築体、pUAS(5X)−tk−lucを、GAL4応答エレメントの5コピーをヘルペスウイルス最小チミジンキナーゼプロモーター及びルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流に挿入することによって作製した。pCMV−lacZは、サイトメガロウイルスプロモーターの調節下にあるガラクトシダーゼZ遺伝子を含む。COS−1細胞を、96ウェル細胞培養プレート中で、10%チャコール調製ウシ胎児血清(Gemini Bio−Products、Calabasas,CA)、非必須アミノ酸、100単位/mLペニシリンG及び100mg/mL硫酸ストレプトマイシンを含む高グルコースダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中に12×10細胞/ウェルで、10%COの加湿雰囲気中で37℃で播種した。24時間後、Lipofectamine(GIBCO BRL,Gaithersburg,MD)を用いて製造者の指示に従ってトランスフェクションを実施した。手短に言うと、各ウェルのトランスフェクション混合物は、Lipofectamine 0.48μL、pcDNA3−PPAR/GAL4発現ベクター0.00075μg、pUAS(5X)−tk−lucレポーターベクター0.045μg及びトランス活性化効率の内部標準としてpCMV−lacZ0.0002μgを含んでいた。細胞をトランスフェクション混合物中で、10%CO雰囲気中37℃で5時間インキュベートした。次いで、細胞を、5%チャコール調製ウシ胎児血清、非必須アミノ酸、100単位/mLペニシリンG及び100mg/mL硫酸ストレプトマイシン±漸増濃度の試験化合物を含む新しい高グルコースDMEM中で約48時間インキュベートした。化合物はDMSOに可溶化されるので、コントロール細胞を等濃度のDMSOと一緒にインキュベートした。最終DMSO濃度は≦0.1%であり、この濃度は、トランス活性化活性に影響を及ぼさないことが判明した。Reporter Lysis Buffer(Promega,Madison,WI)を製造者の指示に従って用いて、細胞溶解物を製造した。細胞抽出物におけるルシフェラーゼ活性を、Luciferase Assay Buffer(Promega,Madison,WI)を用いてML3000照度計(Dynatech Laboratories,Chantilly,VA)によって求めた。β−ガラクトシダーゼ活性を、β−D−ガラクトピラノシド(Calbiochem,San Diego,CA)を用いて求めた。
【0130】
ロシグリタゾンのような、完全PPARアゴニストと最大トランス活性化活性を比較することによってアゴニズムを求めた。一般に、トランス活性化の最大刺激が、完全作動物質を用いて認められる効果の50%未満である場合には、化合物は部分アゴニストと呼ばれる。トランス活性化の最大刺激が、完全作動物質を用いて認められる効果の50%を超える場合には、化合物は完全アゴニストと呼ばれる。本発明の化合物は、1nM〜3000nMの範囲のEC50値を有する。
【0131】
C)生体内での試験
オスのdb/dbマウス(10〜11週齢のC57B1/KFJ,Jackson Labs,Bar Harbor,ME)を5匹/ケージで飼育し、粉末のPurinaげっ歯類固形飼料及び水を自由に接種できるようにする。動物及びその食物を2日毎に計量し、賦形剤(0.5%カルボキシメチルセルロース)±示した用量の試験化合物を胃管栄養法によって毎日与える。薬物懸濁液を毎日調製する。血漿グルコース及びトリグリセリド濃度を、試験期間中3〜5日間隔で尾部から採血した血液から測定する。グルコース及びトリグリセリドの測定は、Boehringer Mannheim Hitachi911自動分析器(Boehringer Mannheim,Indianapolis,IN)によって、等張食塩溶液で1:6(v/v)希釈されたヘパリンで処理した血漿を用いて実施する。やせた動物は、同様に維持された同齢のヘテロ接合体マウスである。
【0132】
意外にも、式Iの化合物を週に1回の頻度で患者に投与した場合、これらの化合物を毎日投与する場合に通常観察される体重増加は観察されない。このことは、週1回の投与計画が、1日1回の投与よりも予想外に有用となるという驚くべき発見を構成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、環Aは、5又は6員環の芳香族環又はO、S及びNから独立して選択される1〜2個のヘテロ原子を有する芳香族複素環であり、ここで、環Aは、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になってナフタレン又はベンゾ芳香族複素環を形成し;
Ar及びArは、それぞれ、フェニル、ナフチル、ピリジニル、ピラジニル及びピリミジニルからなる群から独立して選択される炭素環式又は複素環式芳香族基であり、前記芳香族基は、ハロゲン、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−OC−Cアルキル、−OC−Cアルケニル、−C(=O)C−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−OC−Cシクロアルキル、−NO及び−CNから独立して選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく、ここで、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−OC−Cアルキル、−OC−Cアルケニル、−C(=O)C−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、C−Cシクロアルキル及び−OC−Cシクロアルキルは、それぞれ、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
Bは、−O−、−S(O)−、−N(R)−、−C(=O)−、−C(R−及び−C3−6シクロアルキリデン−からなる群から選択され;
−WZは、−O−C(R)(R)−Z、−S(O)−C(R)(R)−Z及び−CH−C(R)(R)−Zからなる群から選択され;
Zは、−CO及びテトラゾールからなる群から選択され;
及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−C(=O)C−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル及びC3−6シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−C(=O)C−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル及びC3−6シクロアルキルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
は、H及びC−Cアルキルからなる群から選択され;
各Rは、それぞれ独立して、H、ハロゲン及び−C−Cアルキルからなる群から選択され、ここで−C−Cアルキルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−OC−Cアルケニル、C3−6シクロアルキル、−(CHフェニル及び−O(CHフェニルからなる群から選択され、ここで、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−C−Cアルケニル及び−OC−Cアルケニルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく、そしてここで、C3−6シクロアルキル、並びに−(CHフェニル及び−O(CHフェニルのフェニルは、ハロゲン、C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく、前記C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;若しくはR及びRは、一緒になって、C−Cシクロアルキル基を形成してもよく、前記C−Cシクロアルキル基は、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
は、H及び−C−Cアルキルからなる群から選択され、ここでC−Cアルキルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
mは、それぞれの場合、0〜2の整数であり;
nは、それぞれの場合、0〜2の整数であり;
pは0〜3の整数であり;そして
qは、0〜3の整数である]の化合物又は薬学的に許容されるその塩を、週に1回の頻度で、治療を必要とする患者に投与することを含む、2型糖尿病の治療方法。
【請求項2】
環Aが、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になって、ナフタレン環又はキノリル、イソキノリル、ベンゾイソオキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾフリル及びベンゾチエニルからなる群から選択されるベンゾ芳香族複素環を形成する、請求項1記載の2型糖尿病の治療方法。
【請求項3】
環Aが、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になって、ナフタレン環又はキノリル、ベンゾイソオキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾフリル及びベンゾチエニルからなる群から選択されるベンゾ芳香族複素環を形成し;
Arが、フェニル、ピリミジニル及びピリジニルからなる群から選択され、Arが、フェニル及びピリジニルからなる群から選択され、ここで、Ar及びArは、それぞれ、ハロゲン、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、−NO及び−CNからなる群から独立して選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく、ここで、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル及び−S(O)−Cアルキルは、それぞれ1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
Bが、−O−及び−C(=O)−から選択され;
−WZが−O−C(R)(R)−COであり;
及びRが、それぞれ独立して、ハロゲン、−OH、−CN、−NO、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群から選択され、ここで、−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
及びRが、それぞれ独立して、H、ハロゲン及び−C−Cアルキルからなる群から選択され、ここで−C−Cアルキルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
が、H及びC−Cアルキルからなる群から選択され、ここでC−Cアルキルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
nが0〜2の整数であり;
pが0〜2の整数であり;そして
qが0〜2の整数である、請求項2記載の2型糖尿病の治療方法。
【請求項4】
環Aが、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になって、ナフタレン環又はベンゾイソオキサゾリル、インダゾリル及びベンゾフリルからなる群から選択されるベンゾ芳香族複素環を形成し;
Arが、フェニル及びピリジニルからなる群から選択され、該基はC−Cアルキルから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく、ここでC−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
Arが、ハロゲン、−CN、−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、ここで、−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
Bが−O−であり;
−WZが−O−C(R)(R)−COHであり;
が、それぞれ独立して、ハロゲン、−C−Cアルキル及び−OHからなる群から選択され、ここで、−C−Cアルキルが、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
が、それぞれ独立して、−C−Cアルキル、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群から選択され、ここで、−C−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
及びRが、それぞれ独立して、H又は−C−Cアルキルであり;
pが0〜2の整数であり;そして
qが0〜2の整数である、請求項3記載の2型糖尿病の治療方法。
【請求項5】
前記化合物が、式II:
【化2】

[式中、X−Yは、−O−N=、−N(R)−N=、−O−C(R)=、−S−C(R)=及び−N(R)−(CR)=からなる群から選択される]の化合物である、請求項1記載の2型糖尿病の治療方法。
【請求項6】
Arが、フェニル、ピリミジニル及びピリジニルからなる群から選択され、該基はC−Cアルキルから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく、ここで、C−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
Arが、ハロゲン、−CN、−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、ここで、−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
Bが、−O−及び−C(=O)−から選択され;
−WZが−O−C(R)(R)−COであり;
が、それぞれ独立して、ハロゲン、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル及び−OHからなる群から選択され、ここで−C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
が、それぞれ独立して、H、−C−Cアルキル、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群から選択され、ここで−C−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
及びRが、それぞれ独立して、H及び−C−Cアルキルからなる群から選択され、ここで−C−Cアルキルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
が、H又は−C−Cアルキルであり;そして
pが0〜2の整数である、請求項5記載の2型糖尿病の治療方法。
【請求項7】
前記化合物が、式III:
【化3】

[式中、X−Yが、−O−N=、−N(R)−N=及び−O−C(R)=からなる群から選択され;
Arは、フェニル、ピリミジニル及びピリジニルからなる群から選択され、ここでArは、1〜3個のFで置換されていてもよい−C−Cアルキル基で置換されていてもよく;
は、それぞれ独立して、ハロゲン、CH、−CF、−OH、−OCH及び−OCFからなる群から選択され;
は、H、−C−Cアルキル、−CF、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群から選択され;
は、H又は−C−Cアルキルであり;そして
はC−Cアルキルである]の化合物である、請求項1記載の2型糖尿病の治療方法。
【請求項8】
Arが、フェニル、ピリミジニル及びピリジニルからなる群から選択され、ここでピリジニルが、Arが結合している環Aの3位においてC原子に結合しており、ピリミジニルが、Arが結合している環Aの5位においてC原子に結合しており、Arは、1〜3個のFで置換されていてもよい1個の−C−Cアルキルで置換されており;
Arが、ハロゲン、−CN、−C−Cアルキル、−CF、−OCH及び−OCFから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;
Bが−O−であり;
が、それぞれ独立して、ハロゲン、−CH、−CF及び−OHからなる群から選択され;
が、H、−CH、−CF、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群から選択され;
が、H又は−CHであり;そして
が−C−Cアルキルである、請求項7記載の2型糖尿病の治療方法。
【請求項9】
前記化合物が、式IV:
【化4】

[式中、D及びEは、それぞれ独立して、−CH=及び−N=から選択され;そして
は、1〜3個のFで置換されていてもよい−C−Cアルキルである]の化合物である、請求項8記載の2型糖尿病の治療方法。
【請求項10】
前記化合物が、式V:
【化5】

[式中、Dは、−CH=及び−N=から選択され;そして
は−C−Cアルキルである]の化合物である、請求項9記載の2型糖尿病の治療方法。
【請求項11】
がn−プロピルであり;
が、H、−CH又は−S(O)CHであり;そして
がC−Cアルキルである、請求項10記載の2型糖尿病の治療方法。
【請求項12】
X−Yが−O−N=を表わし;そして
Dが−N=を表わす、請求項11記載の2型糖尿病の治療方法。
【請求項13】
週に1回の頻度で投与される化合物が、
【化6−1】

【化6−2】

【化6−3】

【化6−4】

【化6−5】

又は薬学的に許容されるその塩又は溶媒和物からなる群から選択される、請求項1記載の2型糖尿病の治療方法。
【請求項14】
(1)インシュリン依存性及びインシュリン非依存性糖尿病、(2)高血糖症、(3)低グルコース耐性、(4)インシュリン抵抗性、(5)肥満症、(6)脂質障害、(7)脂質異常症、(8)高脂血症、(9)高トリグリセリド血症、(10)高コレステロール血症、(11)低HDLレベル、(12)高LDLレベル、(13)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(14)血管再狭窄、(15)過敏性大腸症候群、(16)炎症性大腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、(17)他の炎症性疾患、(18)膵炎、(19)腹部肥満症、(20)神経変性疾患、(21)網膜症、(22)乾癬、(23)メタボリックシンドローム、(24)卵巣アンドロゲン過剰症(多嚢胞性卵巣症候群)及びインシュリン抵抗性が要素である障害、(24)高血圧、(25)腫瘍性病状、脂肪細胞腫瘍、脂肪細胞癌、脂肪肉腫、前立腺癌、並びに胃癌、乳癌、膀胱癌及び大腸癌を含む他の癌、(26)血管新生、及び(27)バーキンソン病、並びに(28)アルツハイマー病からなる群から選択される疾患、障害又は病状の治療方法であって、
式I:
【化7】

[式中、環Aは、5又は6員環の芳香族環又はO、S及びNから独立して選択される1〜2個のヘテロ原子を有する芳香族複素環であり、ここで、環Aは、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になってナフタレン又はベンゾ芳香族複素環を形成し;
Ar及びArは、それぞれ、フェニル、ナフチル、ピリジニル、ピラジニル及びピリミジニルからなる群から独立して選択される炭素環式又は複素環式芳香族基であり、前記芳香族基は、ハロゲン、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−OC−Cアルキル、−OC−Cアルケニル、−C(=O)C−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−OC−Cシクロアルキル、−NO及び−CNから独立して選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく、ここで、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−OC−Cアルキル、−OC−Cアルケニル、−C(=O)C−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、C−Cシクロアルキル及び−OC−Cシクロアルキルは、それぞれ、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
Bは、−O−、−S(O)−、−N(R)−、−C(=O)−、−C(R−及び−C3−6シクロアルキリデン−からなる群から選択され;
−WZは、−O−C(R)(R)−Z、−S(O)−C(R)(R)−Z及び−CH−C(R)(R)−Zからなる群から選択され;
Zは、−CO及びテトラゾールからなる群から選択され;
及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−C(=O)C−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル及びC3−6シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−C(=O)C−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル及びC3−6シクロアルキルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
は、H及びC−Cアルキルからなる群から選択され;
は、それぞれ独立して、H、ハロゲン及び−C−Cアルキルからなる群から選択され、ここで−C−Cアルキルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−OC−Cアルケニル、C3−6シクロアルキル、−(CHフェニル及び−O(CHフェニルからなる群から選択され、ここで、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−C−Cアルケニル及び−OC−Cアルケニルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく、そしてここで、C3−6シクロアルキル、並びに−(CHフェニル及び−O(CHフェニルのフェニルは、ハロゲン、C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく、前記C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;若しくはR及びRは、一緒になって、C−Cシクロアルキル基を形成してもよく、前記C−Cシクロアルキル基は、1〜3個のハロゲンで置換されていてもよく;
は、H及び−C−Cアルキルからなる群から選択され、ここでC−Cアルキルは、1〜5個のハロゲンで置換されていてもよく;
mは、それぞれの場合、0〜2の整数であり;
nは、それぞれの場合、0〜2の整数であり;
pは0〜3の整数であり;そして
qは、0〜3の整数である]の化合物又は薬学的に許容されるその塩を、週に1回の頻度で、治療を必要とする患者に投与することを含む方法。

【公表番号】特表2010−526807(P2010−526807A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507419(P2010−507419)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/005726
【国際公開番号】WO2008/137105
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】