説明

抗菌剤組成物

【課題】 化粧品等の抗菌剤として利用されるパラベン類に対して、アレルギー反応を起こす人が増加する中、パラベン類を配合しない製品の需要が高まっている。パラベン類と同等以上の抗菌性を持ち、人体に対しても安全な抗菌剤組成物を提供することにある。
【解決手段】 本発明の抗菌剤組成物は、抗菌性に優れたイソチアゾリノン類と、人体に対して安全性に優れたジオール類の2種類の抗菌剤を使用したものであり、その相乗効果によって、パラベン類と同等以上の抗菌性を発揮し、且つ人体に対して安全性が高いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌剤組成物及び抗菌剤組成物を含有する洗浄剤又は化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料(医薬部外品を含む)や洗浄剤などには、抗菌剤としてパラベン類等が用いられている。しかしながら、パラベン類は皮膚刺激性が高く安全性が低いために使用濃度範囲が制限されるという欠点を有している。そのため、パラベン類の使用制限濃度は1%とされている。また、パラベン類に対してアレルギー反応を起こす人が増加する傾向にあり、安全性に対する指向がより高まってパラベン類を全く配合していないか、或いはその配合量を低減させた化粧料の需要が高まっている。
【0003】
そこで、パラベン類とアルカンジオール類やアルキルグリセリルエーテル類を併用して、パラベン類の配合量を減少させることが知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。しかしながら、パラベン類とアルカンジオール類やアルキルグリセリルエーテル類を併用しても、その抗菌性は十分といえず、必要な抗菌性を確保するためにはパラベン類をあまり減らすことができなかった。
【0004】
【特許文献1】特開平11−310506号公報
【特許文献2】特開2002−322090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明が解決しようとする課題は、パラベン類を使用せずとも、従来の抗菌性組成物と同等以上の抗菌性組成物、及びこれを含有する洗浄剤、化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者等は鋭意検討し、パラベン類を使用しなくても、従来と同等以上の抗菌性を持つ組成物を見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、下記の一般式(1)
1―(O)―CH(OH)−CH−OH (1)
(式中、Rは炭素数4〜14のアルキル基又はアルケニル基を表わし、aは0又は1の数を表わす。)で表わされる化合物、及び下記の一般式(2)
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Rはアルキル基を表わし、Xは水素原子又は塩素原子を表わし、Yは水素原子又は.塩素原子を表わす。)で表わされる化合物を含有する抗菌剤組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果は、パラベン類を使用しなくとも、従来の抗菌性組成物と同等以上の抗菌性を持つ抗菌性組成物、及びこれを含有する洗浄剤、化粧料を提供したことにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
一般式(1)において、Rは炭素数4〜14のアルキル基又はアルケニル基を表わし、aは0又は1の数を表わす。炭素数4〜14のアルキル基としては、例えば、ブチル基、イソブチル基、2級ブチル基、ターシャリブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2級ペンチル基、ネオペンチル基、ターシャリペンチル基、ヘキシル基、2級ヘキシル基、ヘプチル基、2級ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、2級オクチル基、ノニル基、2級ノニル基、デシル基、2級デシル基、ウンデシル基、2級ウンデシル基、ドデシル基、2級ドデシル基等が挙げられる。又、炭素数4〜14のアルケニル基としては、例えば、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等が挙げられる。
【0011】
ここで、aが0の数の場合、Rは炭素数4〜10のアルキル基が好ましく、炭素数5〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数5〜7のアルキル基が更に好ましく、炭素数6のアルキル基が最も好ましい。また、分岐アルキルよりも直鎖アルキルの方が抗菌性が高く好ましい。
【0012】
aが1の数の場合、Rは炭素数5〜12のアルキル基が好ましく、炭素数6〜10のアルキル基がより好ましく、炭素数7〜9のアルキル基が更に好ましく、炭素数8のアルキル基が最も好ましい。また、直鎖アルキルよりも分岐アルキルの方が抗菌性が高く好ましい。分岐アルキルの中でも2位に分岐を有する分岐アルキルが好ましい。
【0013】
一般式(2)において、Rはアルキル基を表わす。アルキル基としては、一般式(1)のRで挙げた炭素数4〜14のアルキル基の他に、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、トリデシル基、イソトリデシル基、2級トリデシル基、テトラデシル基、2級テトラデシル基、ヘキサデシル基、2級ヘキサデシル基、ステアリル基、エイコシル基、ドコシル基、テトラコシル基、トリアコンチル基、2−ブチルオクチル基、2−ブチルデシル基、2−ヘキシルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルデシル基、2−ヘキシルドデシル基、2−オクチルドデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−ヘキサデシルオクタデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、モノメチル分枝−イソステアリル基等が挙げられる。これらのアルキル基の中でも、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜2のアルキル基が更に好ましく、メチルが最も好ましい。
【0014】
一般式(2)において、Xは水素原子又は塩素原子を表わし、Yは水素原子又は塩素原子を表わす。X及びYは、ともに水素原子の場合に皮膚刺激性が低くなり好ましい。
【0015】
一般式(1)で表わされる化合物100質量部に対する一般式(2)で表わされる化合物の割合は、0.1〜100質量部であることが好ましく、0.3〜50質量部がより好ましく、0.5〜30質量部が更に好ましく、0.5〜10質量部が最も好ましい。0.1質量部未満の場合は十分な抗菌効果が得られない場合があり、100質量部を超えると刺激性が高くなる場合がある。
【0016】
本発明の抗菌剤組成物は、更に、炭素数1〜4の水溶性溶剤又は有機キレート剤と併用することにより抗菌性が更に向上する。従って、本発明の抗菌剤は、炭素数1〜4の水溶性溶剤及び/又は有機キレート剤と併用することが好ましく、炭素数1〜4の水溶性溶剤及び有機キレート剤と併用することが更に好ましい。
【0017】
炭素数1〜4の水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、2−メトキシ−2−プロパノール等のモノオール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,4−ブチンジオール、ジエチレングリコール等のジオール類;グリセリン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、エリスリトール等のポリオール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が挙げられる。
【0018】
これらの中でも、本発明の抗菌剤と併用することによる、抗菌作用の相乗効果の面から、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、2−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコール及びグリセリンが好ましく、エタノール及びプロピレングリコールが更に好ましく、エタノールが最も好ましい。又、上記のような抗菌作用の相乗効果に加えて、低臭気性を考慮した場合には、2−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール及びグリセリンが好ましく、2−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコール及びグリセリンがさらに好ましく、2−メトキシ−2−プロパノール及びプロピレングリコールが最も好ましい。
【0019】
一般式(1)及び(2)の合計量に対する水溶性溶剤の混合割合は、一般式(1)及び(2)の合計量に対して0.2〜1,000質量倍の範囲であることが好ましく、0.3〜500質量倍の範囲であることがより好ましく、0.5〜200質量倍の範囲であることが最も好ましい。この範囲以外では、水溶性溶剤との相乗効果が期待できず、十分な抗菌効果の相乗効果が得られない場合がある。
【0020】
又、有機キレート剤としては、例えば、アミノポリカルボン酸系キレート剤、芳香族カルボン酸系キレート剤、脂肪族カルボン酸系キレート剤、アミノ酸系キレート剤、エーテルポリカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、ヒドロキシカルボン酸系キレート剤、高分子電解質(オリゴマー電解質を含む)系キレート剤等が挙げられる。これらのキレート剤は、それぞれフリーの酸型であっても、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等の塩の形であってもよい。更に、それらは、加水分解可能なそれらのエステル誘導体の形であってもよい。
【0021】
アミノポリカルボン酸系キレート剤としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンジ酢酸、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸、ニトリロトリ酢酸、イミノジ酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノジ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミントリ酢酸、グリコールエーテルジアミンテトラ酢酸、グルタミン酸ジ酢酸、アスパラギン酸ジ酢酸及びこれらの塩類(Na塩、K塩等)が挙げられる。
【0022】
芳香族カルボン酸系キレート剤及び脂肪族カルボン酸系キレート剤としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、イタコン酸、アコニット酸、ピルビン酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸、ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸(アントラニル酸を含む)、フタル酸、トリメリット酸、没食子酸、及びこれらの塩類(Na塩、K塩等)、メチルエステル類及びエチルエステル類が挙げられる。
【0023】
アミノ酸系キレート剤としては、例えば、グリシン、セリン、アラニン、リジン、シスチン、システイン、エチオニン、チロシン、メチオニン及びこれらの塩類及び誘導体が挙げられる。
【0024】
エーテルポリカルボン酸系キレート剤としては、例えば、2−オキサ−1、1−プロパントリカルボキシレート、2−オキサ−1,3,4−プロパントリカルボキシレート、及びこれらの塩類(Na塩、K塩等)が挙げられる。
【0025】
ホスホン酸系キレート剤としては、例えば、イミノジメチルホスホン酸、アルキルジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、及びこれらの塩類(Na塩、K塩等)が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸系キレート剤としては、例えば、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、ヘプトン酸、酒石酸、乳酸及びこれらの塩類(Na塩、K塩等)が挙げられる。
【0026】
高分子電解質(オリゴマー電解質を含む)系キレート剤としては、例えば、アクリル酸重合体、無水マレイン酸重合体、α−ヒドロキシアクリル酸重合体、イタコン酸重合体、これらの重合体の構成モノマー2種以上からなる共重合体及びエポキシコハク酸重合体が挙げられる。
【0027】
更に、有機キレート剤としては、ジメチルグリオキシム、アスコルビン酸、チオグリコール酸、フィチン酸、グリオキシル酸、グリオキサール酸アスコルビン酸、チオグリコール酸、フィチン酸、グリオキシル酸及びグリオキサール酸、並びにそれらの塩類(Na塩、K塩等)も好適に用いることができる。
【0028】
これらの有機キレート剤の中でも、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、イミノジ酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノジ酢酸、グルタミン酸ジ酢酸、アスパラギン酸ジ酢酸、コハク酸、サリチル酸、シュウ酸、乳酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及びそれらの塩(Na塩、K塩等)が好ましく、エチレンジアミンジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、イミノジ酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノジ酢酸、グルタミン酸ジ酢酸、アスパラギン酸ジ酢酸、コハク酸、乳酸、酒石酸及びそれらの塩(Na塩、K塩等)が更に好ましい。
【0029】
一般式(1)及び(2)の合計量に対する有機キレート剤の混合割合は、一般式(1)及び(2)の合計量に対して0.01〜10質量倍の範囲であることが好ましく、0.05〜5質量倍の範囲であることがより好ましく、0.1〜2質量倍の範囲であることが最も好ましい。この範囲以外では、有機キレート剤との相乗効果がでない場合があり、十分な抗菌効果が得られない場合がある。
【0030】
本発明の抗菌剤組成物の使用方法は特に限定されず、抗菌、殺菌、消毒、防黴等の目的で、公知の抗菌剤、殺菌剤、消毒剤、防黴剤と同様に使用することができる。例えば、抗菌処理を施したい対象物にスプレーする方法、塗布する方法、対象物に含浸させる方法、対象物を浸漬させる方法等、通常採用される方法をそのまま用いることができる。又、用途としては、医療器具類や患部の消毒洗浄を目的とする医療用洗浄剤、食器等を殺菌洗浄する家庭用洗浄剤、食品工業用洗浄剤、容器移送コンベア用潤滑剤、食品包装フィルム、繊維、合成樹脂、木材、日用品等を抗菌加工するための抗菌剤、シャンプー、リンス、ハンドソープ、ボディーソープ、クレンジングクリーム、化粧品、衣料用柔軟剤、水性若しくは非水性塗料、不織布等に含浸させたウェットティッシュや便座クリーナー、繊維用抗菌剤として使用する場合は、綿、ポリエステル、アクリル、ナイロン等のあらゆる繊維について、攪拌処理、浸漬処理、スプレー処理等の一般的方法で処理すればよい。又、木材、日用品等には、表面に塗布又は噴霧することもできる。更に、合成樹脂等について使用する場合は、成形後に塗布若しくは噴霧することにより表面に付着させてもよいし、抗菌効果を持続させるために成形加工時等に練り込むこともできる。
【0031】
本発明の抗菌剤組成物は、そのまま使用する場合もあるが、通常、上記のような水溶液の組成物の用途で使用する場合は、組成物全体に対して、好ましくは0.001〜2質量%、より好ましくは0.01〜0.0.5質量%程度添加することが好ましい。
【0032】
本発明の抗菌剤組成物に、界面活性剤を配合したものは、本発明の抗菌性洗浄剤として好適に使用することができる。従来、抗菌剤として使用されていた、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩型抗菌剤は、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤と併用すると、泡立ちを低下させ、特に、アニオン性界面活性剤と併用すると、難水溶性の沈殿を形成し、抗菌性の低下、洗浄性の低下等が起こり易く、洗浄剤用途には、あまり使用されなかった。本発明の抗菌剤組成物は、アニオン性界面活性剤との沈殿も発生し難く、泡立ちも良好なため、このような悪影響をうけず、アニオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤が配合された洗浄剤の用途にも好適に使用することができる。
【0033】
本発明の抗菌性洗浄剤に使用できる界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、本発明の抗菌性洗浄剤は、特に、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤と併用することが好ましい。
【0034】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、硫化オレフィン塩、高級アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、硫酸化脂肪酸塩、スルホン化脂肪酸塩、リン酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、グリセライド硫酸エステル塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、スルホコハク酸エステルの塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸塩、N−アシル−N−メチルタウリンの塩、N−アシルグルタミン酸又はその塩、アシルオキシエタンスルホン酸塩、アルコキシエタンスルホン酸塩、N−アシル−β−アラニン又はその塩、N−アシル−N−カルボキシエチルタウリン又はその塩、N−アシル−N−カルボキシメチルグリシン又はその塩、アシル乳酸塩、N−アシルサルコシン塩、及びアルキル又はアルケニルアミノカルボキシメチル硫酸塩等が挙げられる。このようなアニオン性界面活性剤の塩の対イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウム;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、モノイソプロパノールアンモニウム、ジイソプロパノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム等の有機アンモニウム等が挙げられる。
【0035】
上記高級脂肪酸塩としては、炭素数12〜18の脂肪酸の塩が好ましく、ヤシ油脂肪酸塩、ドデカン酸塩、テトラデカン酸塩、ヘキサデカン酸塩、オレイン酸塩が更に好ましい。同様に、高級アルキル硫酸エステル塩としては、アルキルが炭素数10〜18のものが好ましく、炭素数12〜16のものが更に好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、アルキルが炭素数10〜18のものが好ましく、炭素数12〜16のものが更に好ましい。又、ポリオキシエチレン基の平均重合度は、1〜12が好ましく、2〜10がよりに好ましく、3〜8が更に好ましい。
【0036】
これらのアニオン性界面活性剤の中でも、皮膚等への刺激性が少ないことから、高級脂肪酸塩、高級アルキル硫酸エステル塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、モノアルキルリン酸エステル塩が好ましく、高級脂肪酸塩、高級アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が更に好ましい。又、同様の理由から、アニオン性界面活性剤の塩の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウムが好ましい。
【0037】
又、本発明の抗菌剤組成物と好ましく併用することができるノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい。)、ポリエチレングリコールプロピレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル又はそのエチレンオキサイド付加物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸モノエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸−N−メチルモノエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸ジエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリセリンエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸メチルエステルエトキシレート、N−長鎖アルキルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0038】
このようなノニオン性界面活性剤の中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテルや脂肪酸ジエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物が好ましく、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイドの平均付加モル数は4〜18が好ましい。)アルキル(炭素数12〜16が好ましい)エーテルや、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物がより好ましい。
本発明の抗菌性洗浄剤は、上述した界面活性剤成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で他の成分、例えば、シリコーン油、粘剤、油剤、粉体(顔料、色素、樹脂)、その他の抗菌剤、香料、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、パール化剤、中和剤、pH調整剤、酵素等の成分を適宜配合することができる。
粘剤としては、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、セルロース又はその誘導体、ケラチン及びコラーゲン又はそれらの誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グアーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、β−グルカン、ジェランガム、デキストラン等が挙げられる。
【0039】
油剤は、通常化粧料に用いられる揮発性及び不揮発性の油剤、溶剤及び樹脂が挙げられ、常温で液体、ペースト、固体であっても構わないが、ハンドリングに優れる液体が好ましい。油剤としては、例えば、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等の脂肪酸、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸へキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル等のエステル類、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素、ラノリン、還元ラノリン、カルナバロウ等のロウ、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油等の油脂等が挙げられる。
【0040】
粉体としては、例えば、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号Alレーキ、黄色203号Baレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、シリコーンパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)に特に制限はない。
【0041】
これらの粉体は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N−アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アミノ酸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等によって事前に表面処理されていても構わない。
その他の抗菌剤としては、例えば、チアベンダゾール、2−ベンツイミダゾリルカルバミン酸メチルプリベントール等のイミダゾール系抗菌剤;トリクロロカルバニリド、クロフルカルバン等のカーバニリド系抗菌剤;ベンゾチアゾール等のチアゾール系抗菌剤;デブコナゾール、カビノン等のトリアジン系抗菌剤;ヒノキチオール等の天然系抗菌剤;クロルヘキシジン塩酸塩、ポリヘキサメチレンビグアナイド等のビグアナイド系抗菌剤等が挙げられる。
保湿剤としては、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ソルビトール、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜等の生体高分子、アミノ酸、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ等が挙げられる。
溶媒としては、例えば、精製水、エタノール、軽質流動イソパラフィン、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N−メチルピロリドン、フルオロアルコール、次世代フロン等が挙げられる。
本発明の抗菌性洗浄剤の使用方法は特に限定されず、洗浄剤としては、例えば、台所用洗浄剤、トイレ用洗浄剤、風呂用洗浄剤等の家庭用洗浄剤;シャンプー、ハンドソープ、ボディーソープ等の身体洗浄剤を挙げることができる。
本発明の抗菌性洗浄剤における抗菌剤組成物の好ましい配合量は、洗浄剤組成物全量に対して、台所用洗浄剤、トイレ用洗浄剤、風呂用洗浄剤等の家庭用洗浄剤では0.01〜1質量%程度、シャンプー、ハンドソープ、ボディーソープ等の身体洗浄剤では、0.05〜2質量%程度である。
【0042】
本発明の化粧料とは、本発明の抗菌剤組成物を配合した化粧料である。化粧料としては、例えば、洗願クリーム、洗願フォーム、クレンジングクリーム、クレンジングミルク、クレンジングローション、マッサージクリーム、コールドクリーム、モイスチュアクリーム、日焼け止めクリーム、養毛剤、ヘアクリーム、ヘアリキッド、セットローション、ヘアブリーチ、カラーリンス、パーマネントウェーブ液、ハンドクリーム、口紅、各種パック、ファンデーション、化粧水、化粧液、乳液、オーデコロン、爪用化粧品等が挙げられる。本発明の抗菌性組成物の好ましい配合量は、0.01〜2質量%程度である。
【実施例】
【0043】
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。尚、以下の実施例等において%及びppmは特に記載が無い限り質量基準である。
<一般式(1)で表わされる化合物:化合物1>
A−1:1,2−オクタンジオール
A−2:2−エチルヘキシルグリセリルエーテル
<一般式(2)で表わされる化合物:化合物2>
B−2:メチルイソチアゾリノン
B−3:メチルクロロイソチアゾリノン
<水溶性アルコール>
C−1:エタノール
C−2:グリセリン
<キレート剤>
D−1:グルタミン酸ジ酢酸4ナトリウム塩
D−2:クエン酸

表1に示した配合で、実施例1〜9及び比較例1〜5の抗菌剤組成物を調整し、それぞれを用いて以下に示す抗菌性試験、皮膚刺激性試験を行った。結果を表2に示す。
<試験方法>
1.抗菌性試験
表1に示した配合の抗菌剤組成物を、5120〜0.625μg/mLとなるように2倍希釈系列で希釈し、それぞれの希釈溶液を用意した。これらの抗菌剤水溶液0.03mLをマイクロプレートに分注し、ここに供試菌を約10cfu/mL含むよう調製した感受性測定培地(Mueller−HintonBroth,DIFCO)を0.27mL添加し、37℃で18時間静置培養して菌の発育を確認した。菌の発育が肉眼的に認められないウェルの最小の薬剤濃度をもって最小育成阻止濃度(MIC)とした。尚、供試菌として、以下の菌を用いた。
菌1:Escherichia coli ATCC 14948(大腸菌)
菌2:Staphylococcus aureus IFO13276(黄色ブドウ球菌)
菌3:Pseudomonas aeruginosa IFO13736(緑膿菌)
菌4:Bacillus subtilis IFO3134(枯草菌)
2.皮膚刺激性試験
実施例1〜9及び比較例1〜5の殺菌消毒剤について、皮膚刺激性をパッチテストにより評価した。即ち、抗菌剤100mgをパッチテスト用絆創膏のガーゼ部に塗布し、上腕部裏側に貼付した。48時間後、絆創膏を剥がし、3時間放置した後、目視で紅斑の有無を観察した。試験は40人について行い、以下の基準で評価を行った。
(評価基準)
◎:紅斑が出た人がいなかった。
○:紅斑が出た人が1〜3人いた。
△:紅斑が出た人が4〜7人いた。
×:紅斑が出た人が8人以上いた。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
<シャンプー及び化粧水>
以下の配合で、シャンプー及び化粧水を製造した。
シャンプーの組成
ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 25.0質量%
ラウリルアミンオキシド 3.0質量%
ラウリルアミンプロピルベタイン 18.0質量%
プロピレングリコール 3.2質量%
ヒドロキシエチルセルロース 0.5質量%
実施例1の抗菌剤組成物 0.1質量%
精製水 残分

化粧水の組成
グリセリン 3.0質量%
トリメチルグリシン 1.0質量%
ジプロピレングリコール 3.0質量%
酒粕エキス 5.0質量%
実施例1の抗菌剤組成物 0.05質量%
pH調整剤 適量
水 残分

上記配合のシャンプー及び化粧水を被験者10人に使用してもらったところ、シャンプー及び化粧水として問題なく使用でき、更に、刺激性についての官能試験を行ったところ、刺激があると自覚した人間は一人もなく、10人全員が問題なく使用できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)
1―(O)―CH(OH)−CH−OH (1)
(式中、Rは炭素数4〜14のアルキル基又はアルケニル基を表わし、aは0又は1の数を表わす。)で表わされる化合物、及び下記の一般式(2)
【化1】

(式中、Rはアルキル基を表わし、Xは水素原子又は塩素原子を表わし、Yは水素原子又は塩素原子を表わす。)で表わされる化合物を含有する抗菌剤組成物。
【請求項2】
一般式(1)で表わされる化合物100質量部に対する一般式(2)で表わされる化合物の割合が0.1〜100質量部であることを特徴とする、請求項1に記載の抗菌剤組成物。
【請求項3】
更に、炭素数1〜4の水溶性溶剤及び/又は有機キレート剤を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の抗菌剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗菌剤組成物、及び界面活性剤を含有することを特徴とする抗菌性洗浄剤。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗菌剤組成物を含有する化粧料。


【公開番号】特開2006−273719(P2006−273719A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90489(P2005−90489)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】