説明

折畳式コンテナの組み立て方法および組み立て装置

【課題】組み立て処理速度が早く実用性に優れた小型の折畳式コンテナの組み立て装置を提供する。
【解決手段】搬入路A上の段積みコンテナ群Cから分離した最下段コンテナC1を搬出路の上方に懸吊し、上方からコンテナの側板4を突き押し拡開して箱型に組み立てて下方の搬出路に移載する方法で、リフター110で持ち上げた段積みコンテナ群Cの最下段コンテナC1を除くコンテナ群をクランプ機構120でクランプして、最下段コンテナC1を分離するコンテナ分離装置100と、クランプおよびスライド動作するスライドクランプ機構210でコンテナC1の上側枠2をクランプして搬入路Aより箱型コンテナの高さ相当低い位置の搬出路の上方位置まで移動するコンテナ移載装置と、スライドクランプ機構210で搬出路の上方に懸吊支持したコンテナの側板4を突き押し機構で上方から突き押して拡開する側板拡開装置とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳式コンテナを折り畳まれている状態から箱型に組み立ててコンテナ搬送ラインに供給する折畳式コンテナの組み立て方法および組み立て装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配送センターなどでは、多種の商品を品種毎あるいは配送先毎に箱型容器であるコンテナに詰めて配送されるが、コンテナを回収したり保管したりする場合には、コンテナを嵩張らないコンパクトな形態にして回収したり保管したりすることが望ましいことから、図14(a),(b)に示すように、簡単に折り畳んだり組み立てたりすることができるプラスチック製の折畳式コンテナ1が利用されている。
【0003】
これは、矩形状の上側枠2に枢着されてコンテナ内方側で回動してコンテナ側面を構成する一対の前後側板4,4および上側枠2と底板5を伸縮自在に連結して他のコンテナ側面を構成する左右側板3,3から構成された折り畳み式コンテナとして構成されている。具体的には、水平に配置された上側枠2に対して、左右に対向する第1の側板3,3および前後に対向する第2の側板4,4の上辺がそれぞれ回動自在に設けられ、第1の側板3,3の下辺が底板5に対して回動自在に設けられるとともに、第1の側板3,3の内側に水平に延びる切り込み6,6が設けられた構造で、図14(a)に示すように、第1の側板3を切り込み6位置で横V字型に屈曲させることで、折り畳むことができる。即ち、第2の側板4,4を上方に跳ね上げた状態で、側板3,3を折り畳む。一方、組み立てる場合は、側板3,3を伸張させた後、側板4,4を揺動させるように拡開させて、側板4先端部と底板5間の凹凸ランス係合部4a,5aを係合させれば、箱型に保持される。
【0004】
この折畳式コンテナの組み立て方法,装置の従来技術としては、下記特許文献1,2,3がある。
【0005】
特許文献1に示すコンテナ組み立て装置は、図15に示すように、支点11周りに揺動可能な分離台10がコンテナ搬入路Aに設けられ、分離台10を挟んでベルト式下送り機構12が設けられ、分離台10の下方には前方に延びるコンテナ搬出路Bが設けられ、コンテナ搬出路B内の分離台10の真下とその前方に第1,第2のコンテナ支持台14,15が設けられ、分離台10の前方に第1の拡開機構13が設けられ、第2のコンテナ支持台15の上方に第2の拡開機構16が設けられて構成されている。
【0006】
そして、分離台10に搬入された段積みコンテナ群Cは、ベルト式下送り機構12により巾方向にクランプされる。分離台10が下方に揺動すると、下方が開放された最下段コンテナC1の側板3,3が自重で伸張するので、第1の拡開機構13が側板3,3を巾方向外側に押し拡げてコンテナC1を概略箱型にする。ベルト式下送り機構12がコンテナ群C全体を所定量(例えば、上側枠2の上下巾)だけ下方に送ることで、最下段コンテナC1が段積みコンテナ群Cから切り離されて第1のコンテナ支持台14に載置される。コンテナ支持台14が下降し、コンテナ搬出路BによりコンテナC1が前方に送られる。第2のコンテナ支持台15がコンテナC1を持ち上げるとともに、上方の第2の拡開機構16が下降して、コンテナC1の側板4,4を拡開して、側板4先端部と底板5間の凹凸ランス係合部4a,5aを係合させる。
【0007】
しかし、前記した特許文献1では、以下の問題があった。
【0008】
第1に、クランプ解除可能なベルト式下送り機構12がコンテナ群Cをクランプしたまま最下段コンテナC1の高さ相当だけ下方に下降させる構造であるため、最大慣性重量を想定したクランプ力や駆動力を備えたベルト式下送り機構12を設計する必要があり、それだけコストがかかる。
【0009】
第2に、コンテナの組み立ての進行によりコンテナ群Cの高さが徐々に低くなって、ベルト式下送り機構12に作用するコンテナ群Cの慣性重量が常に変化するため、コンテナ群Cを所定量だけ正確に下降させることが難しい。
【0010】
第3に、構造の異なる拡開機構を2箇所に設ける必要があり、それだけ装置構造が複雑である。
【0011】
そこで、前記問題点を解消するために、下記特許文献2,3が提案された。
【0012】
特許文献2,3では、コンテナ搬送ラインの所定位置に搬入された段積みコンテナの最上段のものを上方から吊り上げて搬出ラインに移載するまでの間に、吊り上げた際に自重で側板3,3や底板5がある程度伸張して拡がることを利用し、側板4,4を上方内側から1度だけ突き押しして拡開することで箱型に組み立てるようになっている。
【0013】
即ち、段積みコンテナの最上段のものを上方から吊り上げて移載するので、前記第1,第2の問題が発生しないし、吊り上げた状態のコンテナに対し拡開機構で上方から1度だけ側板4,4を突き押しすれば、前記第3の問題も発生しない。
【特許文献1】特開平7−2227号(第1,2,3,5,9図)
【特許文献2】特開平7−315338号(第1,3,5,8,11図)
【特許文献3】特開平8−58736号(第2,3,4,8図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、前記した従来技術では、以下の新たな問題点が指摘されている。
【0015】
第1に、折り畳まれて段積みされているコンテナの内側所定部位をフックや爪で引っ掛けて吊り下げるが、フックや爪を上手く所定の部位に係合させることが難しく、実用化に至っていない。
【0016】
第2に、コンテナを吊り上げて搬出ラインに移載するまでの移動距離が長いため、時間をとられ、コンテナの組み立て処理速度が遅い。
【0017】
第3に、最上段のコンテナを上方から吊り上げて移載するため、装置フレームの上下高さが大きくなって、装置が大型化する。
【0018】
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、組み立て処理速度が早く実用性に優れた折畳式コンテナの組み立て方法を提供することにある。また、第2の目的は、組み立て処理速度が早く実用性に優れた小型の折畳式コンテナの組み立て装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記第1の目的を達成するために、請求項1に係る折畳式コンテナの組み立て方法においては、矩形状の上側枠に枢着されてコンテナ内方側で回動してコンテナ側面を構成する一対の前後側板および上側枠と底板を伸縮自在に連結して他のコンテナ側面を構成する左右側板から構成された折り畳み式コンテナを、折り畳まれた状態から箱型に組み立てる折畳式コンテナの組み立て方法において、
折り畳まれて段積みされた状態でコンテナ搬入路に搬入された段積みコンテナ群から最下段コンテナを分離し、分離した前記最下段コンテナの上側枠を支持して該コンテナを前方のコンテナ搬出路の上方に懸吊し、上方からコンテナの側板を突き押しし拡開させてコンテナを箱型に組み立てて下方のコンテナ搬出路に移載する方法であって、
搬入された段積みコンテナ群を昇降動作可能なリフターにより下方から所定量リフトアップし、少なくとも最下段コンテナに隣接するコンテナの上側枠をコンテナ搬入出路の巾方向に拡縮動作可能なクランプ機構によりクランプして最下段コンテナを除く段積みコンテナ群をリフトアップ位置に保持することで、段積みコンテナ群の最下段コンテナを分離するコンテナ分離工程と、
前後方向スライド動作および巾方向クランプ動作可能なスライドクランプ機構により、分離された前記最下段コンテナの上側枠をクランプして前記コンテナ搬入路に対し箱型コンテナの概略高さ相当だけ低い位置に設けたコンテナ搬出路の上方位置まで最下段コンテナを移動するコンテナ移載工程と、
前記スライドクランプ機構によってコンテナ搬出路の上方に懸吊保持された前記最下段コンテナに対し側板突き押し機構が該コンテナの側板を上方から突き押して拡開する側板拡開工程と、
を備えるように構成した。
【0020】
前記第2の目的を達成するために、請求項2に係る折畳式コンテナの組み立て装置においては、矩形状の上側枠に枢着されてコンテナ内方側で回動してコンテナ側面を構成する一対の前後側板および上側枠と底板を伸縮自在に連結して他のコンテナ側面を構成する左右側板から構成された折り畳み式コンテナを、折り畳まれた状態から箱型に組み立てる折畳式コンテナの組み立て装置において、
折り畳まれて段積みされた状態でコンテナ搬入路に搬入された段積みコンテナ群から最下段コンテナを分離し、分離した前記最下段コンテナの上側枠を支持して該コンテナを前方のコンテナ搬出路の上方に懸吊し、上方からコンテナの側板を突き押しし拡開させてコンテナを箱型に組み立てて下方のコンテナ搬出路に移載する装置であって、
搬入された段積みコンテナ群を昇降動作可能なリフターにより下方から所定量リフトアップし、少なくとも最下段コンテナに隣接するコンテナの上側枠をコンテナ搬入出路の巾方向に拡縮動作可能なクランプ機構によりクランプして最下段コンテナを除く段積みコンテナ群をリフトアップ位置に保持することで、段積みコンテナ群の最下段コンテナを分離するコンテナ分離手段と、
前後方向スライド動作および巾方向クランプ動作可能なスライドクランプ機構により、分離された前記最下段コンテナの上側枠をクランプして前記コンテナ搬入路に対し箱型コンテナの概略高さ相当だけ低い位置に設けたコンテナ搬出路の上方位置まで最下段コンテナを移動するコンテナ移載手段と、
前記スライドクランプ機構によってコンテナ搬出路の上方に懸吊保持された前記最下段コンテナに対し側板突き押し機構が該コンテナの側板を上方から突き押して拡開する側板拡開手段と、
を備えるように構成した。
(作用)昇降動作可能なリフターによりリフトアップされた段積みコンテナ群の少なくとも最下段コンテナに隣接するコンテナの上側枠をクランプ機構がクランプするコンテナ分離工程(コンテナ分離手段)により、コンテナ群に対し最下段コンテナだけが確実に分離された形態となる。そして、分離された最下段コンテナは、スライドクランプ機構によりその上側枠が巾方向にクランプされて前方のコンテナ搬出路まで移動するコンテナ移載工程(コンテナ移載手段)により、箱型コンテナの概略高さ相当だけ低いコンテナ搬出路の上方に懸吊された状態となって、コンテナの側板および底板が自重である程度拡開する。そして、側板突き押し機構により該コンテナの側板を上方から突き押しし拡開させる側板拡開工程(側板拡開手段)により、該コンテナは、底板に対し前後側板および左右側板が起立した箱型に組み立てられ、スライドクランプ機構による上側枠のクランプを解除することで、コンテナ搬出路に載置される。
【0021】
なお、スライドクランプ機構がコンテナ搬出路においてコンテナの上側枠のクランプを解除することで、コンテナ移載工程(スライドクランプ機構による最下段コンテナのクランプ・移載)が終了した時のコンテナ搬入路上では、既に次の最下段コンテナの分離工程が完了している。即ち、先の最下段コンテナの移載工程および側板拡開工程が行われている間に、リフターとクランプ機構が動作して、段積みコンテナ群から次の最下段コンテナが分離されている(次のコンテナ分離工程が行われている)ので、コンテナ搬入路に戻ったスライドクランプ機構は、次の最下段コンテナ(の上側枠)をクランプして前方のコンテナ搬出路に移載するコンテナ移載工程にすぐに移行できる。
【0022】
リフターとクランプ機構が動作するコンテナ分離工程(コンテナ分離手段)により、段積みコンテナ群からその最下段コンテナを確実に分離できるとともに、スライドクランプ機構が動作するコンテナ移載工程(コンテナ移載手段)により、分離された最下段コンテナをクランプして前方のコンテナ搬出路上方まで移動させることができるので、フックや爪で引っ掛けてコンテナを移載する従来方法や装置(特許文献1,2)に比べて、コンテナ搬出路までのコンテナの移載が確実かつスムーズとなる。
【0023】
また、分離台を揺動させる動作や段積みコンテナ群全体を下方に送る動作(特許文献1)がなく、コンテナを吊り上げて上昇させたり下降させたりする(特許文献2,3)動作もなく、スライドクランプ機構がスライド動作およびクランプ動作するコンテナ移載工程(コンテナ移載手段)により最下段コンテナをクランプして前方に移動するだけでよく、しかもその移動距離(コンテナ移動距離)は短いので、特許文献1,2,3に比べて、コンテナ搬出路にコンテナを移載するまでに要す時間が著しく短縮される。
【0024】
また、特許文献2,3のように段積みコンテナ群の最上段コンテナを上方に吊り上げるのではなく、段積みコンテナ群の最下段コンテナを抜き出して前方に移動させるので、装置フレームを大きな高さに構成する必要もない。
【0025】
また、コンテナ分離工程(コンテナ分離手段)におけるクランプ機構は、段積みコンテナ群をクランプして保持する機能だけでよいため、特許文献1におけるベルト式下送り機構12のように慣性重量を考慮する必要がなく、それだけクランプ機構の構造が簡潔となる。
【0026】
請求項3においては、請求項2に記載の折畳式コンテナの組み立て装置において、前記コンテナ移載手段におけるスライドクランプ機構は、前記最下段コンテナの上側枠外側面の上部領域をクランプする上側スライドクランプ部と下部領域をクランプする下側スライドクランプ部とを備え、該上下のスライドクランプ部は、前記コンテナ搬入路からコンテナ搬出路にかけて配設されたベルトコンベアまたはチェーンコンベアの逆方向に走行する上下の平行なベルトまたはチェーンに等間隔にそれぞれ連結されて、上側スライドクランプ部と下側スライドクランプ部のいずれか一方がコンテナ搬入路上における最下段コンテナの上側枠をクランプして前方のコンテナ搬出路まで走行する時に、他方がコンテナ搬出路上において組み立てられたコンテナの上側枠のクランプを解除して後方のコンテナ搬入路まで走行するように構成した。
(作用)ベルトコンベア(チェーンコンベア)の正逆駆動により、上下の平行なベルト(チェーン)が前後方向に往復動作し、ベルト(チェーン)の上側,下側にそれぞれ連結されている上側スライドクランプ部,下側スライドクランプ部が互いに干渉することなく逆方向に走行する。上側スライドクランプ部と下側スライドクランプ部のいずれか一方がコンテナ搬入路上における最下段コンテナの上側枠をクランプして前方のコンテナ搬出路まで走行する時に、他方がコンテナ搬出路上における組み立て済みコンテナの上側枠のクランプを解除して後方コンテナ搬入路まで走行する(戻る)とともに、コンテナ搬入路では、既に次の最下段コンテナの分離工程が完了しているので、上側スライドクランプ部と下側スライドクランプ部のいずれか一方だけを使ってコンテナを移載する場合に比べて、コンテナ移載速度が倍となる。
【0027】
請求項4においては、請求項2または3のいずれかに記載の折畳式コンテナの組み立て装置において、前記コンテナ分離手段のリフターとクランプ機構とを、モータ駆動する単一の駆動軸に並設されたそれぞれの偏芯カムにより連係動作するように構成した。
(作用)コンテナ分離手段のリフターとクランプ機構は、単一の駆動軸に並設されたそれぞれの偏芯カムにより連係動作するので、コンテナ分離手段駆動用のモータが一個ですみ、偏芯カムにおける摺接部が摩滅しない限り、リフターとクランプ機構が正確に連係動作する。
【0028】
例えば、リフターは、リフター駆動用の偏芯カムに摺接するリンク機構を介して昇降動作し、クランプ機構は、クランプ機構駆動用の偏芯カムに摺接するリンク機構を介して拡縮(クランプ・アンクランプ)動作できるように構成されており、リフターの上方において段積みコンテナ群をクランプしているクランプ機構に対し、リフターがクランプ機構のクランプ位置に接近する所定位置まで上昇すると同時に、クランプ機構のクランプが解除されて、段積みコンテナ群がリフターに支持された形態となる。そして、リフターが最下段コンテナの概略高さ相当だけ下降すると、クランプ機構が段積みコンテナ群をクランプし、最下段コンテナを除いた段積みコンテナ群がクランプ機構によりクランプ位置に保持された形態となる。さらに、リフターが元の位置まで下降すると、コンテナ搬入路に載置された最下段コンテナは、上方の段積みコンテナ群に対し確実に分離された形態となる。そして、リフターおよびクランプ機構が前記した動作を繰り返すように、モータ駆動する偏芯カムの形状とリンク機構とが構成されている。
【0029】
なお、コンテナ搬入路に段積みコンテナ群を搬入する時だけは、クランプ機構を別途アンクランプ状態にした上で、コンテナ搬入路に段積みコンテナ群を搬入することが望ましい。
【発明の効果】
【0030】
請求項1に係る折畳式コンテナの組み立て方法,請求項2に係る折畳式コンテナの組み立て装置によれば、折り畳まれ段積みされているコンテナ群を1個づつ確実にしかもスピーディに順次箱型に組み立ててコンテナ搬出路に送り出すことができるので、実用化に最適な折畳式コンテナの組み立て方法および装置が提供される。
【0031】
また、請求項2に係る折畳式コンテナの組み立て装置によれば、装置フレームを大きな高さに構成する必要がないので、スペースのとられないコンパクトな折畳式コンテナの組み立て装置が提供される。
【0032】
請求項3によれば、上側スライドクランプ部と下側スライドクランプ部のいずれか一方がコンテナ搬入路にあるときに他方がコンテナ搬出路にあって、上側スライドクランプ部と下側スライドクランプ部とが交互に連続して最下段コンテナをクランプしてコンテナ搬出路に移載するので、コンテナを高速で組み立てることができる。
【0033】
請求項4によれば、コンテナ分離手段駆動用モータは一個ですみ、コンテナ分離手段の構造が簡潔となるので、コンテナ分離手段のリフターとクランプ機構の長期間にわたる正確な連係動作が保証される信頼性の高い安価な折畳式コンテナの組み立て装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0035】
図1〜図12は本発明の一実施例を示し、図1は本発明の第1の実施例である折畳式コンテナの組み立て装置全体の正面図、図2は同装置全体の平面図、図3は同装置全体の左側面図、図4はコンテナ分離機構を示す同装置の正面図、図5はコンテナ分離機構を示す同装置の平面図、図6はコンテナ分離機構を示す同装置の縦断面図(図5,8に示す線VI−VIに沿う断面図)、図7はコンテナ分離機構を示す同装置の縦断面図(図5,8に示す線VII−VIIに沿う断面図)、図8はコンテナ分離機構を構成するクランプ機構の要部であるクランプユニットの平面図、図9はスライドクランプ機構を示す同装置の正面図、図10はスライドクランプ機構を示す同装置の平面図、図11はスライドクランプ機構を示す同装置の右側面図、図12は同スライドクランプ機構の動作説明図、図13は同装置における側板拡開機構の正面図である。
【0036】
これらの図において、本実施例における折畳式コンテナの組み立て装置(以下、本装置という)によって組み立てられる折畳式コンテナは、図14(a),(b)に示す従来の折畳式コンテナ1と全く同じもので、その重複した説明は省略する。
【0037】
本装置は、コンテナ搬入路Aに搬入された段積みコンテナ群Cを昇降動作可能なリフター110により下方から所定量リフトアップするとともに、最下段コンテナC1を除く段積みコンテナ群を拡縮動作可能なクランプ機構120により巾方向にクランプしてリフトアップ位置に保持することで、段積みコンテナ群Cの最下段コンテナC1を分離するコンテナ分離装置100(図1,4、6参照)と、
巾方向クランプ動作および前後方向スライド動作可能なスライドクランプ機構210により、分離された前記最下段コンテナC1の上側枠2を巾方向外側からクランプして、コンテナ搬入路Aに対し箱型コンテナの概略高さ相当だけ低い位置に設けられた前方のコンテナ搬出路Bの上方位置まで該最下段コンテナC1を移動させるコンテナ移載装置200(図1,9〜12参照)と、
スライドクランプ機構210によってコンテナ搬出路Bの上方に懸吊保持された最下段コンテナC1に対し上方の側板突き押し機構310が該コンテナC1の側板4,4を上方から突き押して拡開させる側板拡開装置300(図1,2,9,10,13参照)と、を備えて構成されている。
【0038】
符号20は、本装置の架台フレームで、架台フレーム20に支持されて前後(図1,2の左右方向)に延びる搬入ベルトコンベア22によって、コンテナの搬入路Aが構成されており、搬入ベルトコンベア22は、折り畳まれたコンテナ群(例えば20段段積みしたコンテナ群)Cをコンテナ搬入路Aの所定位置(コンテナ分離装置100が配置されている位置)まで搬入する。符号M1(図2,3参照)は、搬入ベルトコンベア22駆動用のモータである。コンテナ搬入路Aには、コンテナ群Cが全て処理されて払い出されたか否かを検出するセンサ(図示せず)が設けられており、コンテナ搬入路Aにおけるコンテナ全てがなくなった場合に、搬入ベルトコンベア22が駆動して、手前に待機している次のコンテナ群Cをコンテナ搬入路Aの所定位置(コンテナ分離装置100が配置されている位置)まで搬入する。
【0039】
コンテナ搬入路A内には、段積みコンテナ群C全体を下方からリフトアップするリフター110(図2,3参照)が配設されるとともに、リフター110を挟んだ左右位置には、搬入路Aに対し巾方向に揺動する一対のリンク式クランプアーム122,123で構成されたクランプ機構120((図7参照))が配設されている。
【0040】
リフター110は、図4,6に示すように、コンテナ群Cを下方から支持する天板部111を備えている。天板部111は、その両端側に設けられた一対のガイドロッド112がフレーム20に支持されたガイド部112a(図4参照)に上下方向移動可能に支持されるとともに、その長手方向中央部に一体化されている垂直基部プレート113の下端部に、架台フレーム20にピン連結されたリンク114の他端部がピン連結されている。リンク114は、コンテナ搬入路の前後方向に延在する駆動軸115に軸着された偏芯カム116に摺接するように配設されて、偏芯カム116の回動によりリンク114が揺動して、リフター110が昇降動作する。符号M2(図1,4参照)は、駆動軸115を駆動するモータである。図6符号114aは、リンク114と架台フレーム20側間に介装された引っ張コイルスプリングで、このスプリング114aのばね付勢力によってリンク114と偏芯カム116との摺接動作が確保されている。
【0041】
偏芯カム116の左右方向外側には、図4,6に示すように、同じく駆動軸115に軸着された偏芯カム126,127が設けられており、図7に示すように、リンク式クランプアーム122,123の第1リンク122a,123aがそれぞれ偏芯カム126,127に摺接するように配設されている。符号122a〜122c;123a〜123cは、クランプユニット130,130を拡縮動作させるクランプアーム122,123を構成するリンクで、クランプユニット130は、図8に示すように、架台フレーム20に設けられたブラケット21によって巾方向に摺動可能に支持されている。クランプユニット130,130は、それぞれ搬入路Aに沿って延びる前後に長い矩形状垂直挟持プレート128,128を備えており、挟持プレート128,128の対向する面には、段積みコンテナの側面(各コンテナの上側枠2)を挟持するゴムパッド128aが一体に形成されている。
【0042】
即ち、図8に示すように、挟持プレート128,128の背後両端側には2本の平行ロッド132が垂設され、平行ロッド132はブラケット21に固定されたボールブッシュ133に支持されるとともに、クランプアーム122(123)のリンク122c(123c)にコロ122d(123d)を介して係合する垂直プレート134のボールブッシュ135にも支持されている。そして、垂直プレート134の前面にエアシリンダ136が固着され、エアシリンダ136のシリンダロッド136aは、挟持プレート128にピン連結されるとともに、挟持プレート128とブラケット21間には圧縮コイルスプリング137が介装されている。
【0043】
図7において、符号124a〜124d;125a〜125dはピン支点で、ピン支点124a,124d;125a,125dは架台フレーム20に設けられている。また、リンク122a,123aは、架台フレーム20側との間にそれぞれ介装された引張りコイルスプリング122f,123f(図5,7参照)によって駆動軸115側にそれぞれ付勢されて、リンク122a,123aと偏芯カム126,127との摺接が確保されている。符号129は、ロッド状リンク122b,123bに設けられているリンク長さ調整用のナットで、対向する挟持プレート128,128間の間隔を微調整できる。
【0044】
そして、偏芯カム126,127の回動によりリンク122a,123a(一対のリンク式クランプアーム122,123)が揺動し、クランプユニット130,130(挟持プレート128,128)が拡縮動作し、挟持プレート128,128間隔が狭められた形態において段積みコンテナ群Cがクランプ状態となる。
【0045】
また、挟持プレート128は、偏芯カム126,127の回動によりクランプユニット130,130とともに拡縮動作することは勿論であるが、クランプユニット130に設けられているエアシリンダ136の駆動によっても拡縮動作できるように構成されており、段積みコンテナ群Cをコンテナ搬入路Aに搬入する際、またはコンテナ搬入路Aのコンテナ群Cの全ての処理が終了した後に手前に待機している段積みコンテナ群Cをコンテナ搬入路Aに新たに搬入する際には、エアシリンダ136の駆動により挟持プレート128,128間隔を強制的に広げることで、コンテナ搬入路Aに段積みコンテナ群Cをスムーズに搬入することができる。即ち、コンテナ分離工程では、偏芯カム126,127の回動によりクランプユニット130,130を拡縮動作させるように構成されているが、段積みコンテナ群Cをコンテナ搬入路Aに搬入する時だけには、閉状態のクランプユニット130,130によって段積みコンテナ群Cの搬入が妨げられないように、エアシリンダ136の駆動により挟持プレート128,128間隔を強制的に広げるのである。
【0046】
なお、リフター110の昇降動作とクランプユニット130,130の拡縮動作(クランプアーム122,123の揺動動作)は、カム116,126,127の外周形状によって連係して動作するように設定されており、これらのカム116,126,127の摺接面が摩滅しない限り長期にわたる正確な動作が保証されている。
【0047】
具体的には、リフター110の上方において段積みコンテナ群Cをクランプしているクランプ機構120(クランプユニット130,130)に対し、リフター110がクランプ機構120(クランプユニット130,130)のクランプ位置に接近する所定位置まで上昇すると同時に、クランプ機構120(クランプユニット130,130)のクランプが解除されて、段積みコンテナ群Cがリフター110に支持された形態となる。そして、リフター110が最下段コンテナC1の概略高さ相当だけ下降すると、クランプ機構120(クランプユニット130,130)がC最下段コンテナC1に隣接するコンテナC2を含む上下三段のコンテナの上側枠2を巾方向にクランプし、最下段コンテナC1を除いた段積みコンテナ群がクランプ機構120(クランプユニット130,130)によりクランプ位置に保持された形態となる。リフター110が元の位置まで下降すると、クランプ機構120にクランプされている段積みコンテナ群はリフトアップ位置に保持されるのに対し、クランプ機構120にクランプされていない最下段コンテナC1は、リフター110に載置された形態のまま下降して搬入コンベア22上に載置され、段積みコンテナ群から確実に分離された図6に示す形態となる。そして、後述するスライドクランプ機構210により、最下段コンテナC1が前方にスライド走行すると、再びリフター110とクランプ機構120による前記した動作が繰り返されて、段積みコンテナ群の次の最下段コンテナが分離される。
【0048】
即ち、リフター110とクランプ機構120によって、段積みコンテナ群Cからその最下段コンテナC1を分離するコンテナ分離装置100が構成されている。
【0049】
コンテナ搬入路Aの前方には、ローラコンベア400で構成された前方に延びるコンテナ搬出路Bが設けられており、このコンテナ搬出路Bはコンテナ搬入路Aに対し箱型コンテナの概略高さH(図1参照)相当だけ低い位置に設けられ、コンテナ搬入路Aからコンテナ搬出路Bにわたる巾方向両側には、前後方向スライド動作および巾方向クランプ動作可能なスライドクランプ機構210を備えたコンテナ移載装置200が設けられている。
【0050】
スライドクランプ機構210は、図8〜図12に示すように、最下段コンテナC1の上側枠2の側面内の上部領域2a(図12参照)を巾方向にクランプする、巾方向に対設された上側クランプ部210Aと、下部領域2b(図12参照)を巾方向にクランプする、巾方向に対設された下側クランプ部210Bとを備え、コンテナ搬入路Aからコンテナ搬出路Bにかけて配設されたベルトコンベア240の互いに逆方向に走行する上下の平行なベルト242,242にそれぞれ連結されて、上側と下側のクランプ部210A,210Bのいずれか一方がコンテナ搬入路A上における最下段コンテナC1の上側枠2をクランプして前方のコンテナ搬出路Bまで走行する時に、他方がコンテナ搬出路B上における組み立て済み箱型コンテナの上側枠2のクランプを解除して後方のコンテナ搬入路Aまで走行する(戻る)ように構成されている。
【0051】
また、図7に示すように、コンテナ搬入路Aからコンテナ搬出路B間での領域を挟んで対向して設けられたコンテナ移載用ベルトコンベア240は、コンテナ搬入路A(を構成するベルトコンベア22)よりもコンテナC1(の上側枠2)の略高さ相当だけ上方に配設されるとともに、図7,12に示すように、上側のベルト242には上側スライドクランプ部210Aが、下側のベルト242には下側スライドクランプ部210Bがそれぞれ連結されている。図9,11における符号M3は、ベルトコンベア240駆動用のモータ(スライドクランプ機構210の前後走行用のモータ)で、ベルト244a,245およびコンテナ搬出路Bの上方に配設された伝達軸246両端のプーリ246a(図9,11参照)を介して、ベルトコンベア240のプーリ241に回転が伝達される。
【0052】
上下のスライドクランプ部210A,210Bの巾方向一方の側を図12に拡大して示すが、いずれも巾方向(図12左右方向)に摺動する、前面側にゴム層212aが形成された挟持プレート212A,212Bを備えている。挟持プレート212A,212Bは上下巾が狭く、挟持プレート212A,212Bから垂直後方に延出する前後一対のロッド214(図12参照)は、挟持プレート212A,212Bと平行に延びるスライドプレート216に設けたボールブッシュ217に支持されて、ロッド214(挟持プレート212A,212B)がスライドプレート216に対し突没動作できる。
【0053】
上下のスライドクランプ部210A,210Bに対応するスライドプレート216(のボールブッシュ217)は、ベルトコンベア240の上下平行な走行ベルト242にそれぞれ連結されるとともに、ベルト242と平行に延在するLMガイド215を介して架台フレーム20にも連結されており、これにより、スライドクランプ部210A,210Bは、ベルトコンベア240の走行ベルト242と一体に前後方向(図12紙面垂直方向)にスライド走行する。なお、上側スライドクランプ部210Aは上側ベルト242の下側に、下側スライドクランプ部210Bは下側ベルト242の上側であって、エンドレスなベルト242の周長等分位置に連結されている。
【0054】
また、スライドプレート216とローラフォロワ支持枠215a間には、圧縮コイルスプリング217が介装されて、ロッド214先端部に設けられたローラフォロワ215bが、LMガイド215と平行に設けられた上下一対の前後に長いレールプレート218A,218Bにそれぞれ付勢保持されている。
【0055】
上下一対のレールプレート218A,218Bは、図10,11に示すように、架台フレーム20に固定したレールブラケット250と、各レールプレート218A,218Bとの間に介装したLMガイド251(図11参照)を介して、コンテナ搬入出路A,Bの巾方向にスライドできるように支持されている。レールプレート218A,218Bの上下方向の対向面には、その間に設けられたピニオン218cを介して互いに噛み合う、巾方向に延びるラック218a,218bが対向して設けられて、上下一対のレールプレート218A,218Bが巾方向逆向きに摺動する。図9符号218dは、ピニオン軸を示す。また、下側のレールプレート218Bに設けられたローラフォロワ219は、モータM4(図9参照)により回動する溝カム236(図12参照)の偏芯溝236aに係合して、溝カム236の回動に連係して上下一対のレールプレート218A,218Bが巾方向逆向きに摺動する。図9符号M4は、溝カム236を回転させてレールプレート218A,218Bを巾方向逆向きに摺動させることで、左右一対のスライドクランプ部210A(210B)を拡縮動作させる駆動モータで、モータM4の回転は、ベルト222,減速ギヤ223,ベルト224を介して溝カム236に伝達される。
【0056】
そして、溝カム236の溝236a形状は、スライドクランプ部210A,210Bのうち、コンテナ搬出路B側のスライドクランプ部が後退(クランプ解除動作)し、かつコンテナ搬入路A側のスライドクランプ部が前進(クランプ動作)するように設定されている。
【0057】
そして、このラックアンドピニオン機構218a,218b,218cと偏芯溝カム機構236a,219により、左右一対のスライドクランプ部210A(210B)は、いずれもコンテナ搬入路AではコンテナC1(の上側枠2)をクランプする方向に動作し、コンテナ搬入路BではコンテナC1(の上側枠2)のクランプを解除する方向に動作するとともに、コンテナ搬入路Aからコンテナ搬入路Bまでスライド走行する間は、コンテナC1(の上側枠2)をクランプした動作形態に保持され、コンテナ搬出路Bからコンテナ搬入路Aまでスライド走行する間は、コンテナC1(の上側枠2)をアンクランプ(クランプを解除)した動作形態に保持される。
【0058】
なお、コンテナ搬入路Aにおけるスライドクランプ部210A(210B)のクランプ動作およびコンテナ搬出路Bにおけるスライドクランプ部210B(210A)のアンクランプ動作は、コンテナ搬入路Aにおけるコンテナ分離工程終了時およびコンテナ搬出路Bにおける側板拡開工程終了時であり、図10,12では、コンテナ搬入路Aに位置する上側スライドクランプ部210A(仮想線で示す)が次の最下段コンテナC1の上側枠2をクランプするとともに、コンテナ搬入路Bに位置する下側スライドクランプ部210B(実線で示す)が組み立てられた先の最下段コンテナの上側枠2のクランプを解除した状態を示す。
【0059】
また、ベルトコンベア240のベルト242にそれぞれ連結されて上下方向に接近配置されている上下の挟持プレート212A,212Bは、図12に拡大して示すように、上側枠2の上下巾の大きさに収まる大きさに形成されて、上下のスライドクランプ部210A(210B)のいずれの挟持プレート212A(212B)も、コンテナの上側枠2をクランプして前方のコンテナ搬出路Bに移載できるし、逆方向に走行する他の一方の挟持プレート212B(212A)と干渉することもない。
【0060】
また、コンテナ搬出路Bの上方には、図13に拡大して示すように、側板突き押し機構310を備えた拡開装置300が配置されている。側板突き押し機構310は、架台フレーム20に上下方向摺動可能に支持された上下スライダ312と、上下スライダ312に設けられた側板突き押しヘッド330で構成されている。
【0061】
上下スライダ312には、一対の平行なガイドロッド314,314が上方に延出し、ガイドロッド314,314は、架台フレーム20に固設されたブラケット316のボールブッシュ318,318に摺動可能に支持されている。上下スライダ312の上方には、フレーム20に設けられた回動支点320周りに垂直旋回する旋回アーム324が設けられ、アーム324と上下スライダ312とが駆動ロッド326を介して連結されている。アーム324はモータM5により旋回動作し、上下スライダ312はアーム324の旋回動作に連係して昇降動作する。
【0062】
側板突き押しヘッド330には、支点332周りに揺動可能で、揺動先端側にそれぞれローラ336を設けたT字型揺動部材334が前後方向および巾方向に対向して配置されている。T字型揺動部材334は、ピン連結された二つのリンク334a,334bで構成され、前後方向に隣接するリンク334a,334a間には、引張りコイルスプリング328が介装されている。
【0063】
このため、コンテナ搬入路B上において、例えばスライドクランプ部210Aで懸吊支持されたコンテナC1に対し、上下スライダ312と一体に下降した側板突き押しヘッド330がコンテナC1の前後の側板4,4を突き押しし、このときT字型揺動部材334(のリンク334a)は揺動しながら下降し側板4,4を拡開し、コンテナC1は側板4と底板5間の凹凸ランス係合部4a,5aが係合して抜け止めされた箱型に成形される。そして、スライドクランプ部210AによるコンテナC1(の上側枠2)のクランプが解除されると、成形されたコンテナC1は下方のコンテナ搬出路Bを構成するローラコンベア400上に載置され、ローラコンベア400により搬出される。
【0064】
次に、コンテナを組み立てる工程を説明する。
【0065】
具体的には、まず、最初にベルトコンベア22により段積みコンテナ群Cをコンテナ搬入路Aに搬入する。リフター110の昇降動作時以外は、クランプ機構120(クランプユニット130,130)がクランプ状態(閉状態)であるため、クランプ機構120(クランプユニット130,130)のエアシリンダ136を駆動し挟持プレート128,128間を強制的に拡開して、ベルトコンベア22により段積みコンテナ群Cをコンテナ搬入路Aに搬入する。そして、段積みコンテナ群C搬入直後の最下段コンテナC1の分離工程だけは、エアシリンダ136を駆動して挟持プレート128,128間を強制的に拡開させた状態で、コンテナ組み立て工程が開始される。
【0066】
即ち、リフター110がコンテナ搬入路Aの下方からクランプ位置に接近する所定位置まで一旦上昇した後、最下段コンテナC1の概略高さ相当だけ下降するが、挟持プレート128,128間が強制的拡開状態であるため、段積みコンテナ群Cはリフター110で一旦持ち上げられた後に下降し、最下段コンテナを除く2〜4段目のコンテナが挟持プレート128,128でクランプされることになる。なお、リフター110が一旦上昇すると、偏芯カム126,127に連係するクランプ機構120(クランプユニット130,130)がクランプ解除動作をするが、エアシリンダ136により強制的に拡開されている挟持プレート128,128間がさらに拡がるだけで、段積みコンテナ群を載置したリフター110の昇降動作が妨げられることはない。そして、リフター110が最下段コンテナC1の概略高さ相当だけ下降した段階で、エアシリンダ136の駆動による挟持プレート128,128間の強制的拡開状態が解除されるとともに、偏芯カム126,127に連係するクランプ機構120(クランプユニット130,130)が段積みコンテナ群Cの下から2〜4段目のコンテナ(の上側枠2)をクランプして支持する。そして、リフター110が元の位置まで下降し、段積みコンテナ群Cに対し分離された最下段コンテナC1が搬入コンベアア22に載置された形態となる(コンテナ分離装置100によるコンテナ分離工程)。
【0067】
ついで、スライドクランプ機構210(の例えば上側スライドクランプ部210A)が搬入コンベア22上の最下段コンテナC1の上側枠2をクランプして、ベルトコンベア240の駆動により前方のコンテナ搬出路Bまでスライド走行することで、最下段コンテナC1は、スライドクランプ機構210(の上側スライドクランプ部210A)によって搬出コンベアB上方に懸吊保持される(コンテナ移載工程)。コンテナ搬出路Bは、コンテナ搬入路Aよりも箱型コンテナの概略高さH相当だけ低いため、コンテナの前後側板3,3および底板5が自重である程度拡開する。
【0068】
ついで、上方に配置されている側板拡開装置300の側板突き押し機構310が該コンテナC1の前後側板4,4を上方から突き押しし拡開させ、底板5に対し前後側板4,4および左右側板3,3が起立した箱型に組み立てられる(側板拡開工程)。
【0069】
ついで、スライドクランプ機構210(の上側スライドクランプ部210A)による箱型コンテナ(の上側枠2)のクランプを解除し、箱型コンテナがコンテナ搬出路B(のローラコンベア400)上に載置され、ローラコンベア400により搬出される。コンテナ搬出路BにおいてコンテナC1の上側枠2のクランプを解除したスライドクランプ機構210(の上側スライドクランプ部210A)は、ベルトコンベア240の逆方向駆動により元のコンテナ搬入路A位置まで戻る。
【0070】
また、スライドクランプ機構210(の上側スライドクランプ部210A)によるコンテナ移載工程が行われ、コンテナ搬出路Bにおいてコンテナの側板拡開工程が遂行されている間に、コンテナ搬出路Bに位置したスライドクランプ機構210(の下側スライドクランプ部210B)がコンテナ搬入路Aに戻るとともに、コンテナ搬入路Aでは、リフター110が所定量上昇し、クランプ機構120が段積みコンテナ群のクランプを解除し、リフター110が所定量下降し、クランプ機構120が段積みコンテナ群Cの下から2〜4段目のコンテナ(の上側枠2)をクランプした後、リフター110が下降して最下段コンテナC1だけが搬入コンベア22上に載置されるという、コンテナ分離装置100による次のコンテナ分離工程が行われている。コンテナ搬入路A上におけるスライドクランプ機構210(の上側クランプ部210A)による最下段コンテナC1のクランプおよび前方へのスライド走行と、コンテナ搬出路Bにおけるスライドクランプ機構210(の下側クランプ部210B)の箱型コンテナのクランプ解除および後方へのスライド走行とは同時に行われる。
【0071】
即ち、スライドクランプ機構210(の上側クランプ部210A)による先のコンテナの移載工程,側板拡開工程および成形したコンテナ搬出路Bへの載置が行われているときに、コンテナ搬入路Aでは、リフター110とクランプ機構120による次の最下段コンテナの分離工程およびコンテナ搬出路Bからコンテナ搬入路Aに戻ったスライドクランプ機構210(の下側クランプ部210B)による次の最下段コンテナのクランプが行われている。
【0072】
このように、コンテナ搬入路A上では、コンテナ移載工程(例えば、上側スライドクランプ部210Aによる最下段コンテナのクランプ・移載)が終了すると同時に、リフター110が上昇して、クランプ機構120によるクランプが解除された段積みコンテナ群を支持し、リフター110の所定量の下降とクランプ機構120の再クランプにより、段積みコンテナ群から次の最下段コンテナを分離するコンテナ分離工程が行われて、既にコンテナ搬出路Bから戻ってきている下側スライドクランプ部210Bがすぐにコンテナ移載工程(下側スライドクランプ部210Bによる最下段コンテナのクランプ・移載)に移行する。
【0073】
このため、コンテナ移載工程では、上側スライドクランプ部210Aによる最下段コンテナのクランプ・移載と、下側スライドクランプ部210Bによる最下段コンテナのクランプ・移載とが交互に連続して行われて、本実施例方法,装置のコンテナの組み立て処理速度が、従来方法,装置の処理速度の約2倍の高速処理を達成できた。
【0074】
なお、前記した実施例では、ベルトコンベア240によってスライドプレート216(スライドクランプ機構210)を前後に走行させるように構成されているが、スライドクランプ機構210をスライド走行させる手段としては、ベルトコンベア240に代えてチェーンコンベアで構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施例である折畳式コンテナの組み立て装置全体の正面図である。
【図2】同装置全体の平面図である。
【図3】同装置全体の左側面図である。
【図4】コンテナ分離機構を示す同装置の正面図である。
【図5】コンテナ分離機構を示す同装置の平面図である。
【図6】コンテナ分離機構を示す同装置の縦断面図(図5,8に示す線VI−VIに沿う断面図)である。
【図7】コンテナ分離機構を示す同装置の縦断面図(図5,8に示す線VII−VIIに沿う断面図)である。
【図8】コンテナ分離機構を構成するクランプ機構の要部であるクランプユニットの平面図である。
【図9】スライドクランプ機構を示す同装置の正面図である。
【図10】スライドクランプ機構を示す同装置の平面図である。
【図11】スライドクランプ機構を示す同装置の右側面図である。
【図12】同スライドクランプ機構の動作説明図である。
【図13】同装置における側板拡開機構の正面図である。
【図14】(a),(b)折畳式コンテナの斜視図である。
【図15】従来の折畳式コンテナの組み立て装置の要部正面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 折畳式コンテナ
2 矩形状の上側枠
2a 上側枠外側面の上部領域
2b 上側枠外側面の下部領域
3 左右側板
4 前後側板
5 底板
20 架台フレーム
22 搬入ベルトコンベア
C 段積みコンテナ群
C1 最下段コンテナ
C2 最下段コンテナに隣接するコンテナ
A コンテナ搬入路
B コンテナ搬出路
100 コンテナ分離装置
110 リフター
116 リフター駆動用の偏芯カム
120 クランプ機構
122,123 クランプアーム
126,127 クランプユニット駆動用の偏芯カム
128 挟持プレート
130 クランプユニット
136 挟持プレート拡開用のエアシリンダ
200 コンテナ移載装置
210 スライドクランプ機構
210A 上側スライドクランプ部
210B 下側スライドクランプ部
212A,212B 帯状挟持プレート
218A 上側レールプレート
218B 下側レールプレート
240 コンテナ移載用ベルトコンベア
242 走行ベルト
300 側板拡開装置
310 側板突き押し機構
400 コンテナ搬出用ローラコンベア
M1 コンテナ搬入用のベルトコンベア駆動用モータ
M2 クランプ機構およびリフター駆動用のモータ
M3 スライドクランプ機構走行駆動用のモータ
M4 スライドクランプ機構クランプ動作用のモータ
M5 側板突き押し機構駆動用のモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の上側枠に枢着されてコンテナ内方側で回動してコンテナ側面を構成する一対の前後側板および上側枠と底板を伸縮自在に連結して他のコンテナ側面を構成する左右側板から構成された折り畳み式コンテナを、折り畳まれた状態から箱型に組み立てる折畳式コンテナの組み立て方法において、
折り畳まれて段積みされた状態でコンテナ搬入路に搬入された段積みコンテナ群から最下段コンテナを分離し、分離した前記最下段コンテナの上側枠を支持して該コンテナを前方のコンテナ搬出路の上方に懸吊し、上方からコンテナの側板を突き押しし拡開させてコンテナを箱型に組み立てて下方のコンテナ搬出路に移載する方法であって、
搬入された段積みコンテナ群を昇降動作可能なリフターにより下方から所定量リフトアップし、少なくとも最下段コンテナに隣接するコンテナの上側枠をコンテナ搬入出路の巾方向に拡縮動作可能なクランプ機構によりクランプして最下段コンテナを除く段積みコンテナ群をリフトアップ位置に保持することで、段積みコンテナ群の最下段コンテナを分離するコンテナ分離工程と、
前後方向スライド動作および巾方向クランプ動作可能なスライドクランプ機構により、分離された前記最下段コンテナの上側枠をクランプして前記コンテナ搬入路に対し箱型コンテナの概略高さ相当だけ低い位置に設けたコンテナ搬出路の上方位置まで最下段コンテナを移動するコンテナ移載工程と、
前記スライドクランプ機構によってコンテナ搬出路の上方に懸吊保持された前記最下段コンテナに対し側板突き押し機構が該コンテナの側板を上方から突き押して拡開する側板拡開工程と、
を備えたことを特徴とする折畳式コンテナの組み立て方法。
【請求項2】
矩形状の上側枠に枢着されてコンテナ内方側で回動してコンテナ側面を構成する一対の前後側板および上側枠と底板を伸縮自在に連結して他のコンテナ側面を構成する左右側板から構成された折り畳み式コンテナを、折り畳まれた状態から箱型に組み立てる折畳式コンテナの組み立て装置において、
折り畳まれて段積みされた状態でコンテナ搬入路に搬入された段積みコンテナ群から最下段コンテナを分離し、分離した前記最下段コンテナの上側枠を支持して該コンテナを前方のコンテナ搬出路の上方に懸吊し、上方からコンテナの側板を突き押しし拡開させてコンテナを箱型に組み立てて下方のコンテナ搬出路に移載する装置であって、
搬入された段積みコンテナ群を昇降動作可能なリフターにより下方から所定量リフトアップし、少なくとも最下段コンテナに隣接するコンテナの上側枠をコンテナ搬入出路の巾方向に拡縮動作可能なクランプ機構によりクランプして最下段コンテナを除く段積みコンテナ群をリフトアップ位置に保持することで、段積みコンテナ群の最下段コンテナを分離するコンテナ分離手段と、
前後方向スライド動作および巾方向クランプ動作可能なスライドクランプ機構により、分離された前記最下段コンテナの上側枠をクランプして前記コンテナ搬入路に対し箱型コンテナの概略高さ相当だけ低い位置に設けたコンテナ搬出路の上方位置まで最下段コンテナを移動するコンテナ移載手段と、
前記スライドクランプ機構によってコンテナ搬出路の上方に懸吊保持された前記最下段コンテナに対し側板突き押し機構が該コンテナの側板を上方から突き押して拡開する側板拡開手段と、
を備えたことを特徴とする折畳式コンテナの組み立て装置。
【請求項3】
前記コンテナ移載手段におけるスライドクランプ機構は、前記最下段コンテナの上側枠外側面の上部領域をクランプする上側スライドクランプ部と下部領域をクランプする下側スライドクランプ部とを備え、該上下のスライドクランプ部は、前記コンテナ搬入路からコンテナ搬出路にかけて配設されたベルトコンベアまたはチェーンコンベアの逆方向に走行する上下の平行なベルトまたはチェーンに等間隔にそれぞれ連結されて、上側スライドクランプ部と下側スライドクランプ部のいずれか一方がコンテナ搬入路上における最下段コンテナの上側枠をクランプして前方のコンテナ搬出路まで走行する時に、他方がコンテナ搬出路上において組み立てられたコンテナの上側枠のクランプを解除して後方のコンテナ搬入路まで走行するように構成されたことを特徴とする請求項2に記載の折畳式コンテナの組み立て装置。
【請求項4】
前記コンテナ分離手段のリフターとクランプ機構とは、モータ駆動する単一の駆動軸に並設されたそれぞれの偏芯カムにより連係動作するように構成されたことを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の折畳式コンテナの組み立て装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2006−182414(P2006−182414A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379085(P2004−379085)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000128876)オリイメック株式会社 (16)
【Fターム(参考)】