拡散型光ファイバ及びそれを用いた医療用光部品
【課題】レーザ光等の光を広範囲に均一に照射することができる拡散型光ファイバ及び医療用光部品を提供する。
【解決手段】本発明の拡散型ファイバ1は、コア部2と、該コア部2の外周を覆い該コア部2よりも屈折率が低いクラッド部3とを有する光ファイバ4と、前記光ファイバ4の一方の端部に設けられ、前記コア部2の屈折率と等しいか又は前記コア部2の屈折率よりも高い屈折率を有し、光透過性材料から成る球状或いは楕円体状の拡散体5とを備えている。前記光ファイバ4の一方の端部において前記コア部2は前記クラッド部3から突出し、この突出部分2Aが、前記拡散体5で覆われている。
【解決手段】本発明の拡散型ファイバ1は、コア部2と、該コア部2の外周を覆い該コア部2よりも屈折率が低いクラッド部3とを有する光ファイバ4と、前記光ファイバ4の一方の端部に設けられ、前記コア部2の屈折率と等しいか又は前記コア部2の屈折率よりも高い屈折率を有し、光透過性材料から成る球状或いは楕円体状の拡散体5とを備えている。前記光ファイバ4の一方の端部において前記コア部2は前記クラッド部3から突出し、この突出部分2Aが、前記拡散体5で覆われている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光等の光線を広い範囲に照射するための拡散型光ファイバ及びそれを用いた医療用光部品に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野においては、紫外域から近赤外域、赤外域にわたる種々のレーザ光が、生体組織の光化学治療、生体組織の溶着、心血管の経皮的冠状動脈形成術後の再狭窄防止、不整脈の治療のための心筋組織のアブレーションといった様々な治療に用いられている。それらのレーザ光を生体組織へ照射する方法として、光ファイバを用いた方法が検討されている。しかし、光ファイバから出射した光は指向性が強く、生体組織の狭い範囲にしか照射することができない。そこで、光ファイバの先端に光を拡散させるための構造を設けることで、生体組織の広範囲に均一な光を照射できるようにした医療用光ファイバが提案されている(特許文献1〜7参照)。
【0003】
なお、医療以外の分野でもレーザ光や発光ダイオードの光を拡散させる光拡散板が開発され、デイスプレイや看板、LCDバックライト、自動車用ライト等に適用されている。このような光拡散板の例として、マイクロレンズアレイやホログラフィーを利用したもの、表面を荒削りしたスリガラス、球状の無機微粒子を含んだポリマ板、ガラス板面に乳白色膜を形成したもの、拡散機能とレンズ機能を組み合わせた拡散レンズからなる光拡散板等が挙げられ、これらは多くの企業から提案され、製品化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7-36101号公報
【特許文献2】特開2000-193894号公報
【特許文献3】特開2001-204831号公報
【特許文献4】特開2009-247629号公報
【特許文献5】特開平6-273678号公報
【特許文献6】特開2003-111789号公報
【特許文献7】特開平9-51882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前述の特許文献1〜7に記載の医療用光ファイバには次のような問題がある。
特許文献1には、光ファイバの先端に中空状のポリエチレン製拡散体を装着した医療用光ファイバが記載されている。特許文献1の医療用光ファイバでは、拡散体の中空部に光ファイバの先端部が配置されており、当該先端部からの反射戻り光による光量の減衰があるため、生体に十分な光量を照射することが難しい。
【0006】
特許文献2には、ライトガイドファイバの出射端側(生体側)に光学部材を配置し、この光学部材の生体側の面を除く少なくとも一面に光拡散面を形成した医療用光ファイバが記載されている。しかし、特許得文献2の医療用光ファイバにおいても、光学部材の出射端面からの反射戻り光に加えて生体からの反射戻り光による光量の減衰があり、やはり生体に十分な光量を照射することが難しい。
【0007】
特許文献3に記載の医療用光ファイバは、ファイバの先端から突出するコアガラスの周側面に所定パターンの凹溝構造を備える。しかし、コアガラスのように直径が非常に小さい部材の周側面に凹溝構造を形成することはきわめて難しく、また、形成できたとしても生体面に向かって光量を均一に拡散させることは難しい。
【0008】
特許文献4に記載の医療用光ファイバは、光ファイバの出射端に金属線材から成るコイル状光拡散体が装着されているが、このコイル状光拡散体での光の減衰が大きいため、生体面に十分な光量を照射することが難しい。
【0009】
特許文献5には、光学繊維束から成るライトガイドの先端部に凹レンズを設け、当該凹レンズの凹面曲率を多重構造にして光を拡散させる医療用の照明光学系が記載されている。しかし、微小サイズの凹レンズの凹面曲率を多重構造に形成することは現実的に難しく、低価格で製造することに課題がある。
【0010】
特許文献6には、光ファイバの先端部を弾丸状(楕円体状)に加工することによって出射光を拡散させることが記載されている。しかし、光ファイバの先端を弾丸状にすることによる光の拡散効果は十分ではない。
【0011】
特許文献7には、複数の光ファイバと複数の投光素子からなる投光ブロックと複数の拡散素子から構成された視覚刺激装置が記載されている。この視覚刺激装置では、光ファイバの本数分だけ拡散素子を必要とする上、光ファイバの本数以上の十分に広い範囲に光を拡散させることが難しい。
【0012】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、広範囲に十分な光量を均一に照射することができる拡散型光ファイバ及び医療用光部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために成された本願の第1発明は、
コア部と、該コア部の外周を覆い該コア部よりも屈折率が低いクラッド部とを有する光ファイバと、
前記光ファイバの一方の端部に設けられ、前記コア部の屈折率と等しいか又は前記コア部の屈折率よりも高い屈折率を有する、光透過性材料から成る球状或いは楕円体状の拡散体とを備えた拡散型ファイバであって、
前記光ファイバの一方の端部において、前記コア部は前記クラッド部から前記拡散体内に突出していることを特徴とする。
【0014】
第1の発明においては、前記光ファイバは、前記コア部よりも屈折率が低い保護層内に配置されていると良い。
この場合、前記光ファイバは、前記保護層内に所定の間隔を置いて複数配置されていると良く、特に、複数個の光ファイバは、少なくとも1μmの間隔をおいて前記保護層内に配置されていると良い。
【0015】
また、前記拡散体の外径寸法は、前記光ファイバの外径寸法の1〜4倍の大きさであることが好ましく、前記光ファイバが保護層内に配置されている場合は、前記拡散体の外径寸法は、前記保護層の外径寸法の1〜4倍の大きさであることが好ましい。
【0016】
コア部がクラッド部から突出する部分の長さは、0.5mmよりも長く、6mmよりも短いことが好ましい。また、前記突出部分は、先細り形状に加工されていることが好ましい。
【0017】
前記拡散体は、透明又は乳白色のガラス材料、高分子材料から構成すると良い。また、前記拡散体に、光散乱部材を混入したり、拡散体の表面に粗面加工を施したり、多数の凹部を網目状、或いは蜂の巣状に形成したりすると良い。このような構成によれば、光ファイバを伝搬してきた光をより広い範囲に拡散して放射することができる。
【0018】
本願の第2発明は医療用光部品であって、上記した拡散型ファイバと、前記拡散型ファイバの他端部に光を入射させる光源とを備えることを特徴とする。
この場合、複数の光源から、波長が異なる複数のレーザ光を前記拡散型ファイバに入射させるように構成すると、より多くの病変部の探知や治療などに適用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光ファイバの他端部から入射したレーザ光は該光ファイバ内を拡散体に向けて伝搬し、コア部の突出部分から拡散体内に出射する。そして、拡散体内に出射されたレーザ光は、拡散体から広い範囲に拡散して放射される。このとき、突出部分からの光は拡散体内に直接出射するため、反射戻り光による光量の減衰がない。従って、本発明の拡散型ファイバを用いることにより、生体組織の広い領域に十分な光量のレーザ光を照射することができ、内視鏡用照明光学部品としても利用できる。また、このように広い範囲にレーザ光を照射することができるため、本発明の拡散型ファイバやこれを用いた医療用光部品は、生体組織の光化学治療、生体組織の溶着、心血管の経皮的冠状動脈形成術後の再狭窄防止、不静脈などの治療のための心筋組織のアブレーション等に関する治療 、生体組織の酸素化状態の探知、生体組織(腫瘍組織や癌などの生体組織)の加熱装置としても利用できるようになる。この場合、上記レーザ光として1つの波長か複数波長の光源を用いることによって、より多くの病変部の探知や治療などに適用することができる。
【0020】
具体的には、本発明では、コア部の一方の端部が、該コア部の屈折率と等しいか又は前記コア部よりも高い屈折率を有した、光透過性材料から成る拡散体で覆われているので、光ファイバのコア部内を伝搬してきた光は前記拡散体内で放射され、当該拡散体の形状である球状又は楕円体状に拡がり、拡散体の外側に一様に拡散、放射される。つまり、レーザ光や発光ダイオードの光を上記光ファイバ内に入射、伝搬させるとその出射光は拡散体によって球状か楕円体状に一様に広がり、生体に照射される。従って、第1発明の拡散型光ファイバを用いて、生体組織の病変部を探知、あるいは治療することができる。
【0021】
また、本発明の構成では、反射戻り光による光の減衰はほとんど無く、光ファイバ内を伝送させてその光ファイバの出射端で上記光を一様に拡散させて生体組織に広く照射することができる。
また、拡散体を構成する光透過性材料は、その透過率が光ファイバ内を伝送する光信号について、少なくとも50%よりも高く100%に近い値のものを用いることができる。
【0022】
上記構成において、前記光ファイバを前記コア部よりも屈折率が低い保護層内に所望の間隔を置いて複数個配置し、前記保護層の一端及び光ファイバの一端から突出するコア部を前記拡散体で覆うようにした、いわゆるマルチコアファイバ構造とすれば、より広い容積に一様にレーザ光を拡散させて生体組織に照射することができる。例えば、9個のコア部を備えたマルチコアファイバの場合には、コア部が1つの場合に比して少なくとも9倍の容積全体に光を拡散させることが可能となる。このようにコア部が多いほど生体組織のより広い範囲に光を拡散させて照射させることができる。
【0023】
例えば、マルチコアファイバは、例えば屈折率の低いガラスの保護層内に孔を開けて該孔に光ファイバを挿入することで容易に実現することができる。この場合、隣接する光ファイバの間隔が少なくとも1μmとなるように該光ファイバを保護層内に配置することが望ましい。また、マルチコアファイバに用いる光ファイバとしては、ガラス材料、プラスチック材料からなる光ファイバ、シングルモードファイバ、マルチモードファイバなど、適宜のものを用いることができる。
【0024】
拡散体の外径寸法を光ファイバのクラッド部又は保護層の外径寸法の1〜4倍の大きさにすると、生体内に挿入する際に不都合が生じることなく生体組織の極めて広い範囲にレーザ光を拡散させて照射することができる。ただし、拡散体の外径寸法があまり大きいと生体内に挿入する際に不都合を生じるので、外径寸法が125μmの光ファイバを用いることが好ましい。この場合の拡散体の外径寸法は、125μm〜0.5mmとなる。マルチコアファイバ構造の光ファイバの外径寸法は250μm程度となるため拡散体の外径寸法が大きくなり、250μm〜1mm程度になる。また、光ファイバの外周にプラスチックの被覆材を被覆した場合でも当該光ファイバの外径は250μm程度になり、この場合も、拡散体の外径寸法は250μm〜1mm程度になる。したがって拡散体の外径寸法が1mm程度であれば、生体内挿入する上で特に問題にならない。
【0025】
また、コア部がクラッド部から突出する部分の長さを0.5mmよりも長く、6mmよりも短くすると、クラッド部から突出するコア部を前記拡散体で確実に覆うことができる。クラッド部から突出するコア部の長さが長い場合は、拡散体の形状は球状ではなく先端方向に細長く伸びた楕円体状にすることが好ましい。このようにすることによって、光ファイバ内を伝搬してきたレーザ光を上記拡散体内に球状又は楕円体状に放射させることができ、前記拡散体から出た後は拡散されて生体組織の広い領域に照射することができるようになる。
【0026】
前記クラッド部から突出するコア部の形状は先細り形状に加工することによって、レーザ光が当該コア部の先鋭形状方向に伝搬するに伴ってより大きい角度で前面に放射されるため、拡散体内に球状か楕円体状により一様に放射させることができ、さらに、拡散体内に放射された光は該拡散体を出た後もほぼ一様に極めて広い範囲に拡散されて生体組織の広い領域に照射することができるようになる。コア部の突出部分を先細り形状に加工する方法としては、光ファイバが例えばガラス材料から成る場合にはフッ酸かフッ酸の水溶液の中に入れてエッチング処理する方法が挙げられる。
【0027】
前記拡散体は、透明又は乳白色のガラス材料か高分子材料で構成すれば、光ファイバの先端部に容易に製作可能である。また、生体内に挿入しても害が無く、また長期的に使用することが可能となる。上記ガラス材料としては、例えば水ガラスとしてケイ酸カリウム(K2SiO3)の水溶液、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)の水溶液、ケイ酸リチウム(Li2SiO3)の水溶液、アンモニウムシリケートの水溶液を硬化させたガラスを用いることができ、高分子材料としてポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸イソブチルなどを用いることができる。
【0028】
前記拡散体には、光散乱部材を混入させることによって該拡散体内で光散乱を積極的に起こさせて光をより広い範囲に拡散させることができ、この結果、生体組織の更に広い領域に光を照射することができる。光散乱部材の材料として、屈折率の異なる微粒子か金属微粒子が好ましい。これらの微粒子のサイズは1μmから50μmの範囲が好ましい。上記微粒子のサイズが小さい場合にはその数量を多くし、サイズが大きい場合には少なくするのがよい。ここで、上記微粒子の数量は、光ファイバ内を伝送する光信号に対する拡散体の透過率が50%よりも高く、100%に近い値になるような範囲で決めると良い。
【0029】
また、上記拡散体の表面部に多数の凹凸を有する粗面加工すると、その表面部からの光の拡散を更に広い範囲に広げることができるようになる。拡散体の表面部に形成する凹凸は0.1μmから5μm程度の深さであることが好ましい。
【0030】
さらに、上記拡散体の表面部に、多数の小さな四角形状の凹部から成る蜂の巣状に加工することによっても、その表面部からの光を拡がりをもって広い範囲に拡散させて放射することができる。小さな四角形状の凹部は、その平面形状の面積が小さいほど光の拡散は大きくなり、その面積は10μm2から200μm2の範囲が好ましい。
【0031】
更にまた、拡散型ファイバは、その外周全体を補強部材としての高分子材料の樹脂層(例えば、シリコン樹脂、UV樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂など)、あるいは金属層(Al、Cuなど)で覆うようにすると、強度が増し、生体内に挿入したときに破損したり破壊したりすることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例1に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図2】本発明の実施例2に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図3】本発明の実施例3に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図4】本発明の実施例4に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図5】本発明の実施例5に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図6】本発明の実施例6に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図7】本発明の実施例7に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図8】本発明の実施例8に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図9】本発明の実施例9に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図10】本発明の実施例10に係る拡散型ファイバの外観斜視図。
【図11】本発明の実施例11に係る拡散型ファイバの外観斜視図。
【図12】本発明の実施例12に係る医療用光部品の概略構成図。
【図13】本発明の実施例13に係る医療用光部品の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0034】
図1は、本発明の実施例1に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例1の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX1-X1線に沿う縦断面図である。実施例1の拡散型ファイバ1は、高屈折率のコア部2と該コア部2の外周を覆う前記コア部2よりも低屈折率のクラッド部3から成る光ファイバ4と、この光ファイバ4の一方の端部に設けられた球状の拡散体5とから構成されている。
【0035】
図1の(c)に示すように、光ファイバ4の一方の端部においてコア部2の一端部はクラッド部3の一端部から長さLだけ突出しており、この突出部(以下、「突出部2A」という)を覆うように拡散体5が光ファイバ4の一端部に取り付けられている。
前記突出部2Aは、コア部2の外周全体をクラッド部3で被覆した後、クラッド部3の一部を除去し、コア部2の一端部をむき出しにすることで形成することができる。クラッド部3の一部を除去する方法としては、例えばクラッド部3がガラス材料から成る場合には、フッ酸、或いはフッ酸水溶液に光ファイバを入れ、クラッド部3を部分的にエッチングする方法がある。この場合、コア部2の一端部(つまり、突出部2A)の外周から完全にクラッド部3が除去されていなくても良く、クラッド部3の一部が突出部2Aの外周に残っていても良い。
また、コア部2の一方の端部を除く部分の外周にのみクラッド部3を形成することで、コア部2の突出部2Aを形成しても良い。
【0036】
前記拡散体5は、コア部2の屈折率と等しいかそれよりも高い値の屈折率を有する光透過性材料からなる中実の部材で、その光透過性材料からなる中実の部材の屈折率の上限値は、それに用いる材料で選定することができる。すなわち、コア部及びクラッド部を容易に覆い、接着性の良い材料を重要視して選ぶことができる。コア部にガラス材料を用いた場合にはその光透過性材料からなる中実の部材の屈折率の上限値は1.5程度、高分子材料を用いた場合には1.6程度まで高い値の材料を選定することができる。また、拡散体5は、光ファイバ4内を伝送される光信号に対して50%よりも大きく、100%に近い透過率となるように材料を選定すると良い。
【0037】
前記拡散体5の材料としては、例えば水ガラスや高分子材料などを用いることができる。水ガラスとしては例えばケイ酸カリウム(K2SiO3)の水溶液、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)の水溶液、ケイ酸リチウム(Li2SiO3)の水溶液、アンモニウムシリケートの水溶液を硬化させたガラスを用いることができる。高分子材料としては、例えばポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸イソブチルを用いることができる。上記拡散体5は、広い範囲に光を放射・拡散させる必要性から、クラッド部3の外径と同程度から4倍程度の外径であることが好ましい。
る。
【0038】
本実施例に係る拡散型ファイバ1が石英ガラス系のシングルモードファイバである場合、クラッド部3の外径は125μm、コア部2の直径は10μmにすると良い。また、突出部2Aの長さLは、光ファイバ4の製作性を考慮すると最小でも0.5mm程度に、生体内での拡散領域を考慮すると最大でも6mm程度にすると良い。さらに、コア部2とクラッド部3の比屈折率差Δ(=[(コア部2の屈折率nc−クラッド部3の屈折率ncl)/コア部2の屈折率nc]×100(%))が0.5%となるように、コア部2及びクラッド部3の材料を選定すると良い。
【0039】
上記構成の拡散型ファイバ1において、拡散体5が取り付けられた側とは反対側の光ファイバ4の端面からレーザ光Laを入射させると、当該レーザ光Laはコア部2内を伝搬して前記拡散体5に向かう。そして、拡散体5の内部に突出した突出部2Aから拡散体5の内部に放射され、拡散体5の表面全体から一様に広がり放射される。また、実施例1の拡散型ファイバ1では、突出部2Aを中実状の拡散体5の内部に配置して突出部2Aからの光が直接拡散体5の内部に放射されるようにしたため、反射戻り光による光の減衰をほとんどなくすことができる。従って、拡散型ファイバ1を医療用光ファイバとして用いた場合に、生体内の広い範囲に十分な光量の光を照射することができる。
【0040】
なお、上記拡散型ファイバ1を生体内に挿入して使用する場合は、当該拡散型ファイバ1の外周部全体を補強部材で被覆するとよい。補強用材料としては、高分子材料の樹脂層(例えば、シリコン樹脂、UV樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂など)、あるいは金属層(Al、Cuなど)を用いることができる。
【実施例2】
【0041】
図2は本発明の実施例2に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例2の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX2-X2線に沿う縦断面図である。実施例2の拡散型ファイバ7は、突出部2Aの先端が丸く加工されている点が実施例1の拡散型ファイバ1と異なる。突出部2Aの先端を丸くすることで、突出部2Aからの光を拡散体5内全体に一様に放射させることができる。
【0042】
突出部2Aを丸く加工する方法としては、バーナ等の加熱源で前記突出部2Aを加熱したり、炭酸ガスレーザを前記突出部2Aに照射したりする方法を用いることができる。
【実施例3】
【0043】
図3は本発明の実施例3に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例3の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX3-X3線に沿う縦断面図である。実施例3の拡散型ファイバ8は、保護層10内に所定の間隔を置いて配置された複数本(図3に示す例では5本)の光ファイバ4と、前記該保護層10の一端部に設けられた球状の拡散体5とを有する。各光ファイバ4は、実施例1の光ファイバ4と同様の構造を有しており、高屈折率のコア部2と該コア部2の外周を覆う低屈折率のクラッド部3から成る。コア部2の一端部はクラッド部3から長さLだけ突出する突出部2Aとなっている。突出部2Aを形成する方法は実施例1に示したとおりである。
【0044】
光ファイバ4は、コア部2及びクラッド部3の一端部が保護層10の一端部から突出した状態で該保護層10内に配置されている。従って、実施例3の拡散型ファイバ8では、コア部2の突出部2Aだけでなく、保護層10から突出するクラッド部3の一部も拡散体5内に位置する。前記拡散体5は、実施例1と同様、コア部2の屈折率と等しいかそれよりも高い屈折率を有する光透過性材料で形成されている。
【0045】
保護層10内に配置された光ファイバ4の間隔は、拡散型ファイバ8の他端から入射されるレーザ光Laが光ファイバ4と効率良く結合するような長さが選ばれ、最小でも1μm程度、最大でも10μm程度であることが好ましい。
また、保護層10の材料としては、光ファイバ4のコア部2の屈折率よりも低い屈折率のガラス材料や高分子材料が用いられる。
【0046】
なお、保護層10の屈折率は光ファイバ4のクラッド部3の屈折率と同程度かそれよりも低い値が好ましいが、わずかに高い値でも問題はない。
また、上記光ファイバ4は、シングルモードファイバ、マルチモードファイバのいずれでも良い。光ファイバ4がマルチモードファイバであるとき、その外径は125μmにすると良い。レーザ光Laと拡散型ファイバ8の結合効率を考えると、上記光ファイバ4のクラッド部3は薄い方が好ましい。
【0047】
図3に示す例では、拡散型ファイバ8は5本の光ファイバ4を用いているので、5本のレーザ光Laを5本の光ファイバ4内にそれぞれ入射させ、拡散体5から放射させることになる。従って、1本の光ファイバを用いた場合に比べて5倍以上の容積に光を拡散して放射することができる。
【実施例4】
【0048】
図4は本発明の実施例4に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例4の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX4-X4線に沿う縦断面図である。この実施例4の拡散型ファイバ12では、コア部2の突出部2Aが先細り形状(テーパ状)に加工されている。コア部2の先端形状の加工方法としては、光ファイバ4がガラス材料から成る場合には該光ファイバ4の先端をフッ酸かフッ酸の水溶液の中に入れてエッチング処理する方法が挙げられる。また、光ファイバ4がプラスチック材料から成る場合には、機械的に削り取ることによって先端をテーパ状に加工する方法がある。この場合、突出部2Aの最先端は先鋭状でなくても良く、例えば楕円体状や球状であっても良い。
【0049】
突出部2Aを先細り形状にすることで、突出部2Aからの光は前方に強く放射される。従って、拡散体5の前方に位置する物体により強く光を照射することができる。尚、突出部2Aの先細り形状の傾斜角度は一定でも良く、先端に向かって徐々に傾斜角度を大きくしたり、小さくしたりしても良い。
【実施例5】
【0050】
図5は本発明の実施例5に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例5の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX5-X5線に沿う縦断面図である。この実施例5の拡散型ファイバ14は、拡散体15の内部に光散乱部材が混入させた点が上記実施例4と異なる。拡散体15は、コア部2の屈折率と等しいかそれよりも高い屈折率を有する光透過性材料から形成され、例えば透明、あるいは乳白色のガラス材料や高分子材料を用いることができる。
【0051】
光散乱部材としては、拡散体15とは屈折率の異なる無機あるいは有機の微粒子、金属微粒子が好ましい。光散乱部材となる微粒子のサイズは1μmから50μmの範囲が好ましい。微粒子のサイズが小さい場合にはその数量を多くし、サイズが大きい場合には少なくするのがよい。光拡散部材の数量は、拡散体15の透過率が、光ファイバ4内を伝送される光信号に対して50%よりも大きく、100%に近い値となる範囲で決めると良い。拡散体15を透明、あるいは乳白色のガラス材料や高分子材料で形成すれば、その中に光散乱部材を容易に混入させることができる。
【0052】
このような拡散体24を得る方法として、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)の水溶液内に粒径が数μmから数十μmの範囲のSiO2粒子を分散させた溶液を、クラッド部3から突出するコア部2の一端部に被覆した後、加熱し、硬化させる方法がある。
別の方法として、ポリシランをキシレンに溶かした溶液内にSiO2粒子を分散させ、その溶液をクラッド部3から突出するコア部2の一端部に被覆後、加熱し、硬化させる方法もある。
【0053】
このような構成の拡散型ファイバ14を用いれば、光ファイバ1の他端部から入射してコア部2内を伝播してきたレーザ光を、拡散体15内で積極的に散乱させることができるため、より広い範囲にレーザ光を拡散させることができる。従って、拡散型ファイバ14を生体内に挿入して使用したときに、生体組織の更に広い領域にレーザ光を照射することができる。
【実施例6】
【0054】
図6は本発明の実施例6に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例6の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX6-X6線に沿う縦断面図である。この実施例6の拡散型ファイバ16は、拡散体17の表面を粗面加工した点が実施例4と異なる。粗面加工することで、拡散体17の表面には多数の小さな凹凸が形成されるため、突出部2Aから拡散体17内に出射した光を、拡散体17の表面からより一層広い範囲に放射することができる。
【0055】
本実施例6では、拡散体17の材料としてガラス材料、プラスチック材料、ガラスとプラスチックの混合材料等を用いることができる。また、拡散体17表面の粗面構造は、深さが0.1μmから5μm程度の多数の凹凸から構成されていると良い。多数の凹凸を形成する方法としては、例えばサンドペーパーで拡散体17の表面を荒削りする方法がある。
【実施例7】
【0056】
図7は本発明の実施例7に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例7の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX7-X7線に沿う縦断面図である。この実施例7はマルチファイバ構造の例を示すものであり、拡散型ファイバ18は、複数(図7では5)のコア部2がクラッド部3内に埋め込まれて成る光ファイバ4と、光ファイバ4の一端部に設けられた拡散体5を有している。前記コア部2は、クラッド部3よりも高い屈折率を有しており、その一端部である突出部2Aは長さLだけクラッド部3の一端部から拡散体5内に突出している。実施例7のクラッド部3は、実施例3の保護層10を兼ねている。
【0057】
拡散型ファイバ18を生体内に挿入して用いること、拡散体5から放射される光の範囲を広くすることを考慮すると、クラッド部3におけるコア部2の間隔は5〜150μmの範囲が好ましい。一方、拡散型ファイバ18の他端から入射されるレーザ光Laと当該ファイバ18の結合効率を高くすることを考慮すると、コア部2の間隔は1μm程度にすることが好ましく、拡散体5からできるだけ広い範囲に光を拡散して放射することを考えるならコア部2の間隔は10μmまで広げると良い。
【実施例8】
【0058】
図8は本発明の実施例8に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例8の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX8-X8線に沿う縦断面図である。この実施例8はマルチモードファイバの例を示し、拡散型ファイバ21のコア部2の直径は30μm以上100μm以下、クラッド部3の直径は125μm程度である。このような構成の拡散型ファイバ21においても、実施例1と同様の作用・効果を得ることができる。
【実施例9】
【0059】
図9は本発明の実施例9に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例9の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX9-X9線に沿う縦断面図である。この実施例9の拡散型ファイバ23は、拡散体24が楕円体状である点及び、拡散体24内に光散乱部材が混入されている点が実施例1と異なる。上記光散乱部材としては、実施例5と同様、拡散体24とは屈折率が異なる無機或いは有機の微粒子か金属微粒子を用いることができる。
【0060】
実施例5と同様、本実施例に係る拡散体24も、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)の水溶液内に粒径が数μmから数十μmの範囲のSiO2粒子を分散させた溶液を、クラッド部3から突出するコア部2の一端部に被覆した後、加熱し、硬化させる方法、或いは、ポリシランをキシレンに溶かした溶液内にSiO2粒子を分散させ、その溶液をクラッド部3から突出するコア部2の一端部に被覆後、加熱し、硬化させる方法により得ることができる。
【実施例10】
【0061】
図10は本発明の実施例10に係る拡散型ファイバの外観斜視図を示す。この実施例10の拡散型ファイバ25は、拡散体26の表面に多数の小さな四角形状の凹部を蜂の巣状に形成した点が実施例1と異なる。
【0062】
蜂の巣構造は、球状の拡散体をポリマ溶液で形成した後、蜂の巣構造に対応する内面構造を有する金属容器(金型)内に前記拡散体を入れて加熱、硬化させ、その後、金属容器から球状拡散体を取り出すことで形成することができる。
前記拡散型ファイバ25の他端部からレーザ光Laを入射させると、そのレーザ光Laはコア部2内を伝搬して突出部2Aから拡散体26内に放射される。拡散体26内に放射されたレーザ光は、拡散体26表面の蜂の巣状面に伝搬して蜂の巣状面に垂直な方向に強く直進するように放射され、その結果、広い範囲に放射される。
【0063】
このように、拡散体26表面を蜂の巣状に加工することによって、拡散体26内に放射されたレーザ光を小さな面積の四角い平面形状部分で拡がりをもって広い範囲に拡散・放射させることができる。拡散体26の表面での光の拡散は、蜂の巣構造を構成する多数の四角い凹部の平面形状の面積が小さいほど大きくなり、拡散体26の表面積や生体内の照射領域の大きさ等を考慮すると平面形状の面積は10μm2から200μm2の範囲が好ましい。
【実施例11】
【0064】
図11は本発明の実施例11に係る拡散型ファイバの外観斜視図を示す。この実施例11の拡散型ファイバ28は、クラッド部3の外周が被覆材29で覆われている点が実施例1と異なる。被覆材29は高分子材料或いは金属材料から成る。このような構成により、拡散型ファイバ28を補強することができ、生体内に挿入したときに光ファイバ4が破断して生体を傷つけてしまうことを避けることができる。
【実施例12】
【0065】
図12は本発明の実施例12に係る医療用光部品の概略構成図を示す。実施例12の医療用光部品30は、例えば実施例11に示す拡散型ファイバ28と、この拡散型ファイバ28の拡散体とは反対側の端面から波長λ1のレーザ光を入射させる光源31と、光源31と拡散型ファイバ28の間に配置されたレンズ32からなる。光源31からのレーザ光Laは、レンズ32によって集光され、拡散型ファイバ28に入射される。レーザ光の波長λ1としては、可視域の波長、例えば0.81μmを用いる。
【0066】
医療用光部品30では、長さは50cm程度から100cm程度の拡散型ファイバ28を用いることが好ましい。
また、医療用光部品30に用いる拡散型ファイバ28の比屈折率差Δ(=〔(コア部の屈折率―クラッド部の屈折率)/コア部の屈折率〕×100(%))は、0.1%から7%の範囲が好ましい。
【実施例13】
【0067】
図13は本発明の実施例13に係る医療用光部品の概略構成図を示す。実施例13に係る医療用光部品40は、波長λ1のレーザ光La1と波長λ2のレーザ光La2を合波器41で合波し、拡散型ファイバ28の端面から入射させた点が実施例12と異なる。
光源31aから出射した波長λ1のレーザ光La1は、集光レンズ32aを通って合波器41に入射する。一方、光源31bから出射した波長λ2のレーザ光La2は、集光レンズ32bを通って合波器41に入力される。ここで、レーザ光La2の波長λ2としては可視域の波長、たとえば0.63μmを用いると良い。
【0068】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではない。
例えば、実施例13においては波長が異なる2本のレーザ光を合波して拡散型ファイバ内に入射させたが、波長が異なる3本以上のレーザ光を合波して拡散型ファイバ内に入射させても良い。この場合、レーザ光の波長帯として、半導体レーザの波長帯(0.8μm帯)、He-Neレーザ(波長0.63μm帯)、アルゴンガスレーザ(0.47μm帯)、Er:YAGレーザ(2.94μm帯)などを用いることができる。
拡散型ファイバは1本だけで用いる他、複数本を束ねて用いることができる。
図7に示す実施例7の拡散型ファイバにおいては、複数の微細なコアがバンドル状に構成されたコア部を用いることができる。
図8に示す実施例8の拡散型ファイバにおいては、コア部の代わりにバンドルファイバを用いることができる。
【符号の説明】
【0069】
1,7,8,12,14,16,18,21,23,25,28…拡散型ファイバ
2…コア部
2A…突出部
3…クラッド部
4…光ファイバ
5,15,17,24,26…拡散体
10…保護層
29…被覆材
30,40…医療用光部品
31,31a,31b…光源
32,32a,32b…レンズ
41…合波器
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光等の光線を広い範囲に照射するための拡散型光ファイバ及びそれを用いた医療用光部品に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野においては、紫外域から近赤外域、赤外域にわたる種々のレーザ光が、生体組織の光化学治療、生体組織の溶着、心血管の経皮的冠状動脈形成術後の再狭窄防止、不整脈の治療のための心筋組織のアブレーションといった様々な治療に用いられている。それらのレーザ光を生体組織へ照射する方法として、光ファイバを用いた方法が検討されている。しかし、光ファイバから出射した光は指向性が強く、生体組織の狭い範囲にしか照射することができない。そこで、光ファイバの先端に光を拡散させるための構造を設けることで、生体組織の広範囲に均一な光を照射できるようにした医療用光ファイバが提案されている(特許文献1〜7参照)。
【0003】
なお、医療以外の分野でもレーザ光や発光ダイオードの光を拡散させる光拡散板が開発され、デイスプレイや看板、LCDバックライト、自動車用ライト等に適用されている。このような光拡散板の例として、マイクロレンズアレイやホログラフィーを利用したもの、表面を荒削りしたスリガラス、球状の無機微粒子を含んだポリマ板、ガラス板面に乳白色膜を形成したもの、拡散機能とレンズ機能を組み合わせた拡散レンズからなる光拡散板等が挙げられ、これらは多くの企業から提案され、製品化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7-36101号公報
【特許文献2】特開2000-193894号公報
【特許文献3】特開2001-204831号公報
【特許文献4】特開2009-247629号公報
【特許文献5】特開平6-273678号公報
【特許文献6】特開2003-111789号公報
【特許文献7】特開平9-51882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前述の特許文献1〜7に記載の医療用光ファイバには次のような問題がある。
特許文献1には、光ファイバの先端に中空状のポリエチレン製拡散体を装着した医療用光ファイバが記載されている。特許文献1の医療用光ファイバでは、拡散体の中空部に光ファイバの先端部が配置されており、当該先端部からの反射戻り光による光量の減衰があるため、生体に十分な光量を照射することが難しい。
【0006】
特許文献2には、ライトガイドファイバの出射端側(生体側)に光学部材を配置し、この光学部材の生体側の面を除く少なくとも一面に光拡散面を形成した医療用光ファイバが記載されている。しかし、特許得文献2の医療用光ファイバにおいても、光学部材の出射端面からの反射戻り光に加えて生体からの反射戻り光による光量の減衰があり、やはり生体に十分な光量を照射することが難しい。
【0007】
特許文献3に記載の医療用光ファイバは、ファイバの先端から突出するコアガラスの周側面に所定パターンの凹溝構造を備える。しかし、コアガラスのように直径が非常に小さい部材の周側面に凹溝構造を形成することはきわめて難しく、また、形成できたとしても生体面に向かって光量を均一に拡散させることは難しい。
【0008】
特許文献4に記載の医療用光ファイバは、光ファイバの出射端に金属線材から成るコイル状光拡散体が装着されているが、このコイル状光拡散体での光の減衰が大きいため、生体面に十分な光量を照射することが難しい。
【0009】
特許文献5には、光学繊維束から成るライトガイドの先端部に凹レンズを設け、当該凹レンズの凹面曲率を多重構造にして光を拡散させる医療用の照明光学系が記載されている。しかし、微小サイズの凹レンズの凹面曲率を多重構造に形成することは現実的に難しく、低価格で製造することに課題がある。
【0010】
特許文献6には、光ファイバの先端部を弾丸状(楕円体状)に加工することによって出射光を拡散させることが記載されている。しかし、光ファイバの先端を弾丸状にすることによる光の拡散効果は十分ではない。
【0011】
特許文献7には、複数の光ファイバと複数の投光素子からなる投光ブロックと複数の拡散素子から構成された視覚刺激装置が記載されている。この視覚刺激装置では、光ファイバの本数分だけ拡散素子を必要とする上、光ファイバの本数以上の十分に広い範囲に光を拡散させることが難しい。
【0012】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、広範囲に十分な光量を均一に照射することができる拡散型光ファイバ及び医療用光部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために成された本願の第1発明は、
コア部と、該コア部の外周を覆い該コア部よりも屈折率が低いクラッド部とを有する光ファイバと、
前記光ファイバの一方の端部に設けられ、前記コア部の屈折率と等しいか又は前記コア部の屈折率よりも高い屈折率を有する、光透過性材料から成る球状或いは楕円体状の拡散体とを備えた拡散型ファイバであって、
前記光ファイバの一方の端部において、前記コア部は前記クラッド部から前記拡散体内に突出していることを特徴とする。
【0014】
第1の発明においては、前記光ファイバは、前記コア部よりも屈折率が低い保護層内に配置されていると良い。
この場合、前記光ファイバは、前記保護層内に所定の間隔を置いて複数配置されていると良く、特に、複数個の光ファイバは、少なくとも1μmの間隔をおいて前記保護層内に配置されていると良い。
【0015】
また、前記拡散体の外径寸法は、前記光ファイバの外径寸法の1〜4倍の大きさであることが好ましく、前記光ファイバが保護層内に配置されている場合は、前記拡散体の外径寸法は、前記保護層の外径寸法の1〜4倍の大きさであることが好ましい。
【0016】
コア部がクラッド部から突出する部分の長さは、0.5mmよりも長く、6mmよりも短いことが好ましい。また、前記突出部分は、先細り形状に加工されていることが好ましい。
【0017】
前記拡散体は、透明又は乳白色のガラス材料、高分子材料から構成すると良い。また、前記拡散体に、光散乱部材を混入したり、拡散体の表面に粗面加工を施したり、多数の凹部を網目状、或いは蜂の巣状に形成したりすると良い。このような構成によれば、光ファイバを伝搬してきた光をより広い範囲に拡散して放射することができる。
【0018】
本願の第2発明は医療用光部品であって、上記した拡散型ファイバと、前記拡散型ファイバの他端部に光を入射させる光源とを備えることを特徴とする。
この場合、複数の光源から、波長が異なる複数のレーザ光を前記拡散型ファイバに入射させるように構成すると、より多くの病変部の探知や治療などに適用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光ファイバの他端部から入射したレーザ光は該光ファイバ内を拡散体に向けて伝搬し、コア部の突出部分から拡散体内に出射する。そして、拡散体内に出射されたレーザ光は、拡散体から広い範囲に拡散して放射される。このとき、突出部分からの光は拡散体内に直接出射するため、反射戻り光による光量の減衰がない。従って、本発明の拡散型ファイバを用いることにより、生体組織の広い領域に十分な光量のレーザ光を照射することができ、内視鏡用照明光学部品としても利用できる。また、このように広い範囲にレーザ光を照射することができるため、本発明の拡散型ファイバやこれを用いた医療用光部品は、生体組織の光化学治療、生体組織の溶着、心血管の経皮的冠状動脈形成術後の再狭窄防止、不静脈などの治療のための心筋組織のアブレーション等に関する治療 、生体組織の酸素化状態の探知、生体組織(腫瘍組織や癌などの生体組織)の加熱装置としても利用できるようになる。この場合、上記レーザ光として1つの波長か複数波長の光源を用いることによって、より多くの病変部の探知や治療などに適用することができる。
【0020】
具体的には、本発明では、コア部の一方の端部が、該コア部の屈折率と等しいか又は前記コア部よりも高い屈折率を有した、光透過性材料から成る拡散体で覆われているので、光ファイバのコア部内を伝搬してきた光は前記拡散体内で放射され、当該拡散体の形状である球状又は楕円体状に拡がり、拡散体の外側に一様に拡散、放射される。つまり、レーザ光や発光ダイオードの光を上記光ファイバ内に入射、伝搬させるとその出射光は拡散体によって球状か楕円体状に一様に広がり、生体に照射される。従って、第1発明の拡散型光ファイバを用いて、生体組織の病変部を探知、あるいは治療することができる。
【0021】
また、本発明の構成では、反射戻り光による光の減衰はほとんど無く、光ファイバ内を伝送させてその光ファイバの出射端で上記光を一様に拡散させて生体組織に広く照射することができる。
また、拡散体を構成する光透過性材料は、その透過率が光ファイバ内を伝送する光信号について、少なくとも50%よりも高く100%に近い値のものを用いることができる。
【0022】
上記構成において、前記光ファイバを前記コア部よりも屈折率が低い保護層内に所望の間隔を置いて複数個配置し、前記保護層の一端及び光ファイバの一端から突出するコア部を前記拡散体で覆うようにした、いわゆるマルチコアファイバ構造とすれば、より広い容積に一様にレーザ光を拡散させて生体組織に照射することができる。例えば、9個のコア部を備えたマルチコアファイバの場合には、コア部が1つの場合に比して少なくとも9倍の容積全体に光を拡散させることが可能となる。このようにコア部が多いほど生体組織のより広い範囲に光を拡散させて照射させることができる。
【0023】
例えば、マルチコアファイバは、例えば屈折率の低いガラスの保護層内に孔を開けて該孔に光ファイバを挿入することで容易に実現することができる。この場合、隣接する光ファイバの間隔が少なくとも1μmとなるように該光ファイバを保護層内に配置することが望ましい。また、マルチコアファイバに用いる光ファイバとしては、ガラス材料、プラスチック材料からなる光ファイバ、シングルモードファイバ、マルチモードファイバなど、適宜のものを用いることができる。
【0024】
拡散体の外径寸法を光ファイバのクラッド部又は保護層の外径寸法の1〜4倍の大きさにすると、生体内に挿入する際に不都合が生じることなく生体組織の極めて広い範囲にレーザ光を拡散させて照射することができる。ただし、拡散体の外径寸法があまり大きいと生体内に挿入する際に不都合を生じるので、外径寸法が125μmの光ファイバを用いることが好ましい。この場合の拡散体の外径寸法は、125μm〜0.5mmとなる。マルチコアファイバ構造の光ファイバの外径寸法は250μm程度となるため拡散体の外径寸法が大きくなり、250μm〜1mm程度になる。また、光ファイバの外周にプラスチックの被覆材を被覆した場合でも当該光ファイバの外径は250μm程度になり、この場合も、拡散体の外径寸法は250μm〜1mm程度になる。したがって拡散体の外径寸法が1mm程度であれば、生体内挿入する上で特に問題にならない。
【0025】
また、コア部がクラッド部から突出する部分の長さを0.5mmよりも長く、6mmよりも短くすると、クラッド部から突出するコア部を前記拡散体で確実に覆うことができる。クラッド部から突出するコア部の長さが長い場合は、拡散体の形状は球状ではなく先端方向に細長く伸びた楕円体状にすることが好ましい。このようにすることによって、光ファイバ内を伝搬してきたレーザ光を上記拡散体内に球状又は楕円体状に放射させることができ、前記拡散体から出た後は拡散されて生体組織の広い領域に照射することができるようになる。
【0026】
前記クラッド部から突出するコア部の形状は先細り形状に加工することによって、レーザ光が当該コア部の先鋭形状方向に伝搬するに伴ってより大きい角度で前面に放射されるため、拡散体内に球状か楕円体状により一様に放射させることができ、さらに、拡散体内に放射された光は該拡散体を出た後もほぼ一様に極めて広い範囲に拡散されて生体組織の広い領域に照射することができるようになる。コア部の突出部分を先細り形状に加工する方法としては、光ファイバが例えばガラス材料から成る場合にはフッ酸かフッ酸の水溶液の中に入れてエッチング処理する方法が挙げられる。
【0027】
前記拡散体は、透明又は乳白色のガラス材料か高分子材料で構成すれば、光ファイバの先端部に容易に製作可能である。また、生体内に挿入しても害が無く、また長期的に使用することが可能となる。上記ガラス材料としては、例えば水ガラスとしてケイ酸カリウム(K2SiO3)の水溶液、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)の水溶液、ケイ酸リチウム(Li2SiO3)の水溶液、アンモニウムシリケートの水溶液を硬化させたガラスを用いることができ、高分子材料としてポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸イソブチルなどを用いることができる。
【0028】
前記拡散体には、光散乱部材を混入させることによって該拡散体内で光散乱を積極的に起こさせて光をより広い範囲に拡散させることができ、この結果、生体組織の更に広い領域に光を照射することができる。光散乱部材の材料として、屈折率の異なる微粒子か金属微粒子が好ましい。これらの微粒子のサイズは1μmから50μmの範囲が好ましい。上記微粒子のサイズが小さい場合にはその数量を多くし、サイズが大きい場合には少なくするのがよい。ここで、上記微粒子の数量は、光ファイバ内を伝送する光信号に対する拡散体の透過率が50%よりも高く、100%に近い値になるような範囲で決めると良い。
【0029】
また、上記拡散体の表面部に多数の凹凸を有する粗面加工すると、その表面部からの光の拡散を更に広い範囲に広げることができるようになる。拡散体の表面部に形成する凹凸は0.1μmから5μm程度の深さであることが好ましい。
【0030】
さらに、上記拡散体の表面部に、多数の小さな四角形状の凹部から成る蜂の巣状に加工することによっても、その表面部からの光を拡がりをもって広い範囲に拡散させて放射することができる。小さな四角形状の凹部は、その平面形状の面積が小さいほど光の拡散は大きくなり、その面積は10μm2から200μm2の範囲が好ましい。
【0031】
更にまた、拡散型ファイバは、その外周全体を補強部材としての高分子材料の樹脂層(例えば、シリコン樹脂、UV樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂など)、あるいは金属層(Al、Cuなど)で覆うようにすると、強度が増し、生体内に挿入したときに破損したり破壊したりすることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例1に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図2】本発明の実施例2に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図3】本発明の実施例3に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図4】本発明の実施例4に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図5】本発明の実施例5に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図6】本発明の実施例6に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図7】本発明の実施例7に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図8】本発明の実施例8に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図9】本発明の実施例9に係る拡散型ファイバの概略構成図であり、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図。
【図10】本発明の実施例10に係る拡散型ファイバの外観斜視図。
【図11】本発明の実施例11に係る拡散型ファイバの外観斜視図。
【図12】本発明の実施例12に係る医療用光部品の概略構成図。
【図13】本発明の実施例13に係る医療用光部品の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0034】
図1は、本発明の実施例1に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例1の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX1-X1線に沿う縦断面図である。実施例1の拡散型ファイバ1は、高屈折率のコア部2と該コア部2の外周を覆う前記コア部2よりも低屈折率のクラッド部3から成る光ファイバ4と、この光ファイバ4の一方の端部に設けられた球状の拡散体5とから構成されている。
【0035】
図1の(c)に示すように、光ファイバ4の一方の端部においてコア部2の一端部はクラッド部3の一端部から長さLだけ突出しており、この突出部(以下、「突出部2A」という)を覆うように拡散体5が光ファイバ4の一端部に取り付けられている。
前記突出部2Aは、コア部2の外周全体をクラッド部3で被覆した後、クラッド部3の一部を除去し、コア部2の一端部をむき出しにすることで形成することができる。クラッド部3の一部を除去する方法としては、例えばクラッド部3がガラス材料から成る場合には、フッ酸、或いはフッ酸水溶液に光ファイバを入れ、クラッド部3を部分的にエッチングする方法がある。この場合、コア部2の一端部(つまり、突出部2A)の外周から完全にクラッド部3が除去されていなくても良く、クラッド部3の一部が突出部2Aの外周に残っていても良い。
また、コア部2の一方の端部を除く部分の外周にのみクラッド部3を形成することで、コア部2の突出部2Aを形成しても良い。
【0036】
前記拡散体5は、コア部2の屈折率と等しいかそれよりも高い値の屈折率を有する光透過性材料からなる中実の部材で、その光透過性材料からなる中実の部材の屈折率の上限値は、それに用いる材料で選定することができる。すなわち、コア部及びクラッド部を容易に覆い、接着性の良い材料を重要視して選ぶことができる。コア部にガラス材料を用いた場合にはその光透過性材料からなる中実の部材の屈折率の上限値は1.5程度、高分子材料を用いた場合には1.6程度まで高い値の材料を選定することができる。また、拡散体5は、光ファイバ4内を伝送される光信号に対して50%よりも大きく、100%に近い透過率となるように材料を選定すると良い。
【0037】
前記拡散体5の材料としては、例えば水ガラスや高分子材料などを用いることができる。水ガラスとしては例えばケイ酸カリウム(K2SiO3)の水溶液、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)の水溶液、ケイ酸リチウム(Li2SiO3)の水溶液、アンモニウムシリケートの水溶液を硬化させたガラスを用いることができる。高分子材料としては、例えばポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸イソブチルを用いることができる。上記拡散体5は、広い範囲に光を放射・拡散させる必要性から、クラッド部3の外径と同程度から4倍程度の外径であることが好ましい。
る。
【0038】
本実施例に係る拡散型ファイバ1が石英ガラス系のシングルモードファイバである場合、クラッド部3の外径は125μm、コア部2の直径は10μmにすると良い。また、突出部2Aの長さLは、光ファイバ4の製作性を考慮すると最小でも0.5mm程度に、生体内での拡散領域を考慮すると最大でも6mm程度にすると良い。さらに、コア部2とクラッド部3の比屈折率差Δ(=[(コア部2の屈折率nc−クラッド部3の屈折率ncl)/コア部2の屈折率nc]×100(%))が0.5%となるように、コア部2及びクラッド部3の材料を選定すると良い。
【0039】
上記構成の拡散型ファイバ1において、拡散体5が取り付けられた側とは反対側の光ファイバ4の端面からレーザ光Laを入射させると、当該レーザ光Laはコア部2内を伝搬して前記拡散体5に向かう。そして、拡散体5の内部に突出した突出部2Aから拡散体5の内部に放射され、拡散体5の表面全体から一様に広がり放射される。また、実施例1の拡散型ファイバ1では、突出部2Aを中実状の拡散体5の内部に配置して突出部2Aからの光が直接拡散体5の内部に放射されるようにしたため、反射戻り光による光の減衰をほとんどなくすことができる。従って、拡散型ファイバ1を医療用光ファイバとして用いた場合に、生体内の広い範囲に十分な光量の光を照射することができる。
【0040】
なお、上記拡散型ファイバ1を生体内に挿入して使用する場合は、当該拡散型ファイバ1の外周部全体を補強部材で被覆するとよい。補強用材料としては、高分子材料の樹脂層(例えば、シリコン樹脂、UV樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂など)、あるいは金属層(Al、Cuなど)を用いることができる。
【実施例2】
【0041】
図2は本発明の実施例2に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例2の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX2-X2線に沿う縦断面図である。実施例2の拡散型ファイバ7は、突出部2Aの先端が丸く加工されている点が実施例1の拡散型ファイバ1と異なる。突出部2Aの先端を丸くすることで、突出部2Aからの光を拡散体5内全体に一様に放射させることができる。
【0042】
突出部2Aを丸く加工する方法としては、バーナ等の加熱源で前記突出部2Aを加熱したり、炭酸ガスレーザを前記突出部2Aに照射したりする方法を用いることができる。
【実施例3】
【0043】
図3は本発明の実施例3に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例3の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX3-X3線に沿う縦断面図である。実施例3の拡散型ファイバ8は、保護層10内に所定の間隔を置いて配置された複数本(図3に示す例では5本)の光ファイバ4と、前記該保護層10の一端部に設けられた球状の拡散体5とを有する。各光ファイバ4は、実施例1の光ファイバ4と同様の構造を有しており、高屈折率のコア部2と該コア部2の外周を覆う低屈折率のクラッド部3から成る。コア部2の一端部はクラッド部3から長さLだけ突出する突出部2Aとなっている。突出部2Aを形成する方法は実施例1に示したとおりである。
【0044】
光ファイバ4は、コア部2及びクラッド部3の一端部が保護層10の一端部から突出した状態で該保護層10内に配置されている。従って、実施例3の拡散型ファイバ8では、コア部2の突出部2Aだけでなく、保護層10から突出するクラッド部3の一部も拡散体5内に位置する。前記拡散体5は、実施例1と同様、コア部2の屈折率と等しいかそれよりも高い屈折率を有する光透過性材料で形成されている。
【0045】
保護層10内に配置された光ファイバ4の間隔は、拡散型ファイバ8の他端から入射されるレーザ光Laが光ファイバ4と効率良く結合するような長さが選ばれ、最小でも1μm程度、最大でも10μm程度であることが好ましい。
また、保護層10の材料としては、光ファイバ4のコア部2の屈折率よりも低い屈折率のガラス材料や高分子材料が用いられる。
【0046】
なお、保護層10の屈折率は光ファイバ4のクラッド部3の屈折率と同程度かそれよりも低い値が好ましいが、わずかに高い値でも問題はない。
また、上記光ファイバ4は、シングルモードファイバ、マルチモードファイバのいずれでも良い。光ファイバ4がマルチモードファイバであるとき、その外径は125μmにすると良い。レーザ光Laと拡散型ファイバ8の結合効率を考えると、上記光ファイバ4のクラッド部3は薄い方が好ましい。
【0047】
図3に示す例では、拡散型ファイバ8は5本の光ファイバ4を用いているので、5本のレーザ光Laを5本の光ファイバ4内にそれぞれ入射させ、拡散体5から放射させることになる。従って、1本の光ファイバを用いた場合に比べて5倍以上の容積に光を拡散して放射することができる。
【実施例4】
【0048】
図4は本発明の実施例4に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例4の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX4-X4線に沿う縦断面図である。この実施例4の拡散型ファイバ12では、コア部2の突出部2Aが先細り形状(テーパ状)に加工されている。コア部2の先端形状の加工方法としては、光ファイバ4がガラス材料から成る場合には該光ファイバ4の先端をフッ酸かフッ酸の水溶液の中に入れてエッチング処理する方法が挙げられる。また、光ファイバ4がプラスチック材料から成る場合には、機械的に削り取ることによって先端をテーパ状に加工する方法がある。この場合、突出部2Aの最先端は先鋭状でなくても良く、例えば楕円体状や球状であっても良い。
【0049】
突出部2Aを先細り形状にすることで、突出部2Aからの光は前方に強く放射される。従って、拡散体5の前方に位置する物体により強く光を照射することができる。尚、突出部2Aの先細り形状の傾斜角度は一定でも良く、先端に向かって徐々に傾斜角度を大きくしたり、小さくしたりしても良い。
【実施例5】
【0050】
図5は本発明の実施例5に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例5の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX5-X5線に沿う縦断面図である。この実施例5の拡散型ファイバ14は、拡散体15の内部に光散乱部材が混入させた点が上記実施例4と異なる。拡散体15は、コア部2の屈折率と等しいかそれよりも高い屈折率を有する光透過性材料から形成され、例えば透明、あるいは乳白色のガラス材料や高分子材料を用いることができる。
【0051】
光散乱部材としては、拡散体15とは屈折率の異なる無機あるいは有機の微粒子、金属微粒子が好ましい。光散乱部材となる微粒子のサイズは1μmから50μmの範囲が好ましい。微粒子のサイズが小さい場合にはその数量を多くし、サイズが大きい場合には少なくするのがよい。光拡散部材の数量は、拡散体15の透過率が、光ファイバ4内を伝送される光信号に対して50%よりも大きく、100%に近い値となる範囲で決めると良い。拡散体15を透明、あるいは乳白色のガラス材料や高分子材料で形成すれば、その中に光散乱部材を容易に混入させることができる。
【0052】
このような拡散体24を得る方法として、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)の水溶液内に粒径が数μmから数十μmの範囲のSiO2粒子を分散させた溶液を、クラッド部3から突出するコア部2の一端部に被覆した後、加熱し、硬化させる方法がある。
別の方法として、ポリシランをキシレンに溶かした溶液内にSiO2粒子を分散させ、その溶液をクラッド部3から突出するコア部2の一端部に被覆後、加熱し、硬化させる方法もある。
【0053】
このような構成の拡散型ファイバ14を用いれば、光ファイバ1の他端部から入射してコア部2内を伝播してきたレーザ光を、拡散体15内で積極的に散乱させることができるため、より広い範囲にレーザ光を拡散させることができる。従って、拡散型ファイバ14を生体内に挿入して使用したときに、生体組織の更に広い領域にレーザ光を照射することができる。
【実施例6】
【0054】
図6は本発明の実施例6に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例6の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX6-X6線に沿う縦断面図である。この実施例6の拡散型ファイバ16は、拡散体17の表面を粗面加工した点が実施例4と異なる。粗面加工することで、拡散体17の表面には多数の小さな凹凸が形成されるため、突出部2Aから拡散体17内に出射した光を、拡散体17の表面からより一層広い範囲に放射することができる。
【0055】
本実施例6では、拡散体17の材料としてガラス材料、プラスチック材料、ガラスとプラスチックの混合材料等を用いることができる。また、拡散体17表面の粗面構造は、深さが0.1μmから5μm程度の多数の凹凸から構成されていると良い。多数の凹凸を形成する方法としては、例えばサンドペーパーで拡散体17の表面を荒削りする方法がある。
【実施例7】
【0056】
図7は本発明の実施例7に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例7の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX7-X7線に沿う縦断面図である。この実施例7はマルチファイバ構造の例を示すものであり、拡散型ファイバ18は、複数(図7では5)のコア部2がクラッド部3内に埋め込まれて成る光ファイバ4と、光ファイバ4の一端部に設けられた拡散体5を有している。前記コア部2は、クラッド部3よりも高い屈折率を有しており、その一端部である突出部2Aは長さLだけクラッド部3の一端部から拡散体5内に突出している。実施例7のクラッド部3は、実施例3の保護層10を兼ねている。
【0057】
拡散型ファイバ18を生体内に挿入して用いること、拡散体5から放射される光の範囲を広くすることを考慮すると、クラッド部3におけるコア部2の間隔は5〜150μmの範囲が好ましい。一方、拡散型ファイバ18の他端から入射されるレーザ光Laと当該ファイバ18の結合効率を高くすることを考慮すると、コア部2の間隔は1μm程度にすることが好ましく、拡散体5からできるだけ広い範囲に光を拡散して放射することを考えるならコア部2の間隔は10μmまで広げると良い。
【実施例8】
【0058】
図8は本発明の実施例8に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例8の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX8-X8線に沿う縦断面図である。この実施例8はマルチモードファイバの例を示し、拡散型ファイバ21のコア部2の直径は30μm以上100μm以下、クラッド部3の直径は125μm程度である。このような構成の拡散型ファイバ21においても、実施例1と同様の作用・効果を得ることができる。
【実施例9】
【0059】
図9は本発明の実施例9に係る拡散型ファイバを示す。同図(a)は実施例9の拡散型ファイバの外観図、同図(b)は横断面図、同図(c)はX9-X9線に沿う縦断面図である。この実施例9の拡散型ファイバ23は、拡散体24が楕円体状である点及び、拡散体24内に光散乱部材が混入されている点が実施例1と異なる。上記光散乱部材としては、実施例5と同様、拡散体24とは屈折率が異なる無機或いは有機の微粒子か金属微粒子を用いることができる。
【0060】
実施例5と同様、本実施例に係る拡散体24も、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)の水溶液内に粒径が数μmから数十μmの範囲のSiO2粒子を分散させた溶液を、クラッド部3から突出するコア部2の一端部に被覆した後、加熱し、硬化させる方法、或いは、ポリシランをキシレンに溶かした溶液内にSiO2粒子を分散させ、その溶液をクラッド部3から突出するコア部2の一端部に被覆後、加熱し、硬化させる方法により得ることができる。
【実施例10】
【0061】
図10は本発明の実施例10に係る拡散型ファイバの外観斜視図を示す。この実施例10の拡散型ファイバ25は、拡散体26の表面に多数の小さな四角形状の凹部を蜂の巣状に形成した点が実施例1と異なる。
【0062】
蜂の巣構造は、球状の拡散体をポリマ溶液で形成した後、蜂の巣構造に対応する内面構造を有する金属容器(金型)内に前記拡散体を入れて加熱、硬化させ、その後、金属容器から球状拡散体を取り出すことで形成することができる。
前記拡散型ファイバ25の他端部からレーザ光Laを入射させると、そのレーザ光Laはコア部2内を伝搬して突出部2Aから拡散体26内に放射される。拡散体26内に放射されたレーザ光は、拡散体26表面の蜂の巣状面に伝搬して蜂の巣状面に垂直な方向に強く直進するように放射され、その結果、広い範囲に放射される。
【0063】
このように、拡散体26表面を蜂の巣状に加工することによって、拡散体26内に放射されたレーザ光を小さな面積の四角い平面形状部分で拡がりをもって広い範囲に拡散・放射させることができる。拡散体26の表面での光の拡散は、蜂の巣構造を構成する多数の四角い凹部の平面形状の面積が小さいほど大きくなり、拡散体26の表面積や生体内の照射領域の大きさ等を考慮すると平面形状の面積は10μm2から200μm2の範囲が好ましい。
【実施例11】
【0064】
図11は本発明の実施例11に係る拡散型ファイバの外観斜視図を示す。この実施例11の拡散型ファイバ28は、クラッド部3の外周が被覆材29で覆われている点が実施例1と異なる。被覆材29は高分子材料或いは金属材料から成る。このような構成により、拡散型ファイバ28を補強することができ、生体内に挿入したときに光ファイバ4が破断して生体を傷つけてしまうことを避けることができる。
【実施例12】
【0065】
図12は本発明の実施例12に係る医療用光部品の概略構成図を示す。実施例12の医療用光部品30は、例えば実施例11に示す拡散型ファイバ28と、この拡散型ファイバ28の拡散体とは反対側の端面から波長λ1のレーザ光を入射させる光源31と、光源31と拡散型ファイバ28の間に配置されたレンズ32からなる。光源31からのレーザ光Laは、レンズ32によって集光され、拡散型ファイバ28に入射される。レーザ光の波長λ1としては、可視域の波長、例えば0.81μmを用いる。
【0066】
医療用光部品30では、長さは50cm程度から100cm程度の拡散型ファイバ28を用いることが好ましい。
また、医療用光部品30に用いる拡散型ファイバ28の比屈折率差Δ(=〔(コア部の屈折率―クラッド部の屈折率)/コア部の屈折率〕×100(%))は、0.1%から7%の範囲が好ましい。
【実施例13】
【0067】
図13は本発明の実施例13に係る医療用光部品の概略構成図を示す。実施例13に係る医療用光部品40は、波長λ1のレーザ光La1と波長λ2のレーザ光La2を合波器41で合波し、拡散型ファイバ28の端面から入射させた点が実施例12と異なる。
光源31aから出射した波長λ1のレーザ光La1は、集光レンズ32aを通って合波器41に入射する。一方、光源31bから出射した波長λ2のレーザ光La2は、集光レンズ32bを通って合波器41に入力される。ここで、レーザ光La2の波長λ2としては可視域の波長、たとえば0.63μmを用いると良い。
【0068】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではない。
例えば、実施例13においては波長が異なる2本のレーザ光を合波して拡散型ファイバ内に入射させたが、波長が異なる3本以上のレーザ光を合波して拡散型ファイバ内に入射させても良い。この場合、レーザ光の波長帯として、半導体レーザの波長帯(0.8μm帯)、He-Neレーザ(波長0.63μm帯)、アルゴンガスレーザ(0.47μm帯)、Er:YAGレーザ(2.94μm帯)などを用いることができる。
拡散型ファイバは1本だけで用いる他、複数本を束ねて用いることができる。
図7に示す実施例7の拡散型ファイバにおいては、複数の微細なコアがバンドル状に構成されたコア部を用いることができる。
図8に示す実施例8の拡散型ファイバにおいては、コア部の代わりにバンドルファイバを用いることができる。
【符号の説明】
【0069】
1,7,8,12,14,16,18,21,23,25,28…拡散型ファイバ
2…コア部
2A…突出部
3…クラッド部
4…光ファイバ
5,15,17,24,26…拡散体
10…保護層
29…被覆材
30,40…医療用光部品
31,31a,31b…光源
32,32a,32b…レンズ
41…合波器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア部と、該コア部の外周を覆い該コア部よりも屈折率が低いクラッド部とを有する光ファイバと、
前記光ファイバの一方の端部に設けられ、前記コア部の屈折率と等しいか又は前記コア部の屈折率よりも高い屈折率を有する、光透過性材料から成る球状或いは楕円体状の拡散体とを備え、
前記光ファイバの一方の端部において、前記コア部は前記クラッド部から前記拡散体内に突出していることを特徴とする拡散型光ファイバ。
【請求項2】
前記光ファイバは、前記コア部よりも屈折率が低い保護層内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の拡散型ファイバ。
【請求項3】
前記光ファイバは、前記保護層内に所定の間隔を置いて複数配置されていることを特徴とする請求項2に記載の拡散型ファイバ。
【請求項4】
複数個の光ファイバは、少なくとも1μmの間隔をおいて前記保護層内に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の拡散型ファイバ。
【請求項5】
前記拡散体の外径寸法は、前記光ファイバの外径寸法の1〜4倍の大きさであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項6】
前記拡散体の外径寸法は、前記保護層の外径寸法の1〜4倍の大きさであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項7】
突出部分の長さは、0.5mmよりも長く、6mmよりも短いことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項8】
前記突出部分は、先細り形状に加工されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項9】
前記拡散体は、透明又は乳白色のガラス材料、高分子材料からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項10】
前記拡散体には、光散乱部材が混入されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項11】
前記拡散体は、その表面に粗面加工が施されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項12】
前記拡散体の表面には、多数の凹部が網目状、或いは蜂の巣状に形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項13】
全体の外周が、樹脂層或いは金属層で覆われていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の拡散型ファイバと、
前記拡散型ファイバの他端部に光を入射させる光源とを備えることを特徴とする医療用光部品。
【請求項15】
複数の光源を備え、前記複数の光源は、前記拡散型ファイバの他端部から波長が異なる複数のレーザ光を入射させることを特徴とする請求項14に記載の医療用光部品。
【請求項1】
コア部と、該コア部の外周を覆い該コア部よりも屈折率が低いクラッド部とを有する光ファイバと、
前記光ファイバの一方の端部に設けられ、前記コア部の屈折率と等しいか又は前記コア部の屈折率よりも高い屈折率を有する、光透過性材料から成る球状或いは楕円体状の拡散体とを備え、
前記光ファイバの一方の端部において、前記コア部は前記クラッド部から前記拡散体内に突出していることを特徴とする拡散型光ファイバ。
【請求項2】
前記光ファイバは、前記コア部よりも屈折率が低い保護層内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の拡散型ファイバ。
【請求項3】
前記光ファイバは、前記保護層内に所定の間隔を置いて複数配置されていることを特徴とする請求項2に記載の拡散型ファイバ。
【請求項4】
複数個の光ファイバは、少なくとも1μmの間隔をおいて前記保護層内に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の拡散型ファイバ。
【請求項5】
前記拡散体の外径寸法は、前記光ファイバの外径寸法の1〜4倍の大きさであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項6】
前記拡散体の外径寸法は、前記保護層の外径寸法の1〜4倍の大きさであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項7】
突出部分の長さは、0.5mmよりも長く、6mmよりも短いことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項8】
前記突出部分は、先細り形状に加工されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項9】
前記拡散体は、透明又は乳白色のガラス材料、高分子材料からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項10】
前記拡散体には、光散乱部材が混入されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項11】
前記拡散体は、その表面に粗面加工が施されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項12】
前記拡散体の表面には、多数の凹部が網目状、或いは蜂の巣状に形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項13】
全体の外周が、樹脂層或いは金属層で覆われていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の拡散型ファイバ。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の拡散型ファイバと、
前記拡散型ファイバの他端部に光を入射させる光源とを備えることを特徴とする医療用光部品。
【請求項15】
複数の光源を備え、前記複数の光源は、前記拡散型ファイバの他端部から波長が異なる複数のレーザ光を入射させることを特徴とする請求項14に記載の医療用光部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−248022(P2011−248022A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119783(P2010−119783)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(392017004)湖北工業株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(392017004)湖北工業株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
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