説明

振動子デバイスの作製方法および振動子デバイス

【課題】基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを、効率よく作製する。
【解決手段】振動子デバイスを作製するとき、組立台に設けられた凸状の載置台に振動子が載置される。次に、枠で囲まれた開口部を有する振動子デバイス用枠部材が、前記開口部が前記載置台の位置にくるように位置決めして、前記組立台上に配置される。前記振動子デバイス用外枠部材が前記組立台に配置された状態で、前記振動子デバイス用外枠部材に設けられた電極パッドと、前記振動子に設けられた電極とがワイヤにより接続される。前記ワイヤの接続後、前記振動子デバイス用外枠部材が前記振動子とともに前記組立台から取り外される。最後に、前記振動子が接続された前記振動子デバイス用外枠部材が基板に接合されることにより、振動子が基板から浮上した振動子デバイスが作製される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを作製する方法および振動子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばパーソナルコンピュータや携帯電話機器等の各種の電子機器には、発振器やセンサーとして振動子を有する振動子デバイスが用いられている。この種の振動子デバイスとして、AT振動子、音叉型振動子あるいはH型振動子などの各種振動子を導電性接着剤で基体に支持するとともに電気的な接続を行った構造が一般的に用いられる。
導電性接着剤は、接着力が高いため、振動子が基体に固定されてしまい、各方向への自由度が拘束されて振動が規制され、振動子の出力周波数が不安定になり、また不発振になる等の不具合が生じる場合がある。
【0003】
これに対して、基体に支持された振動子を有する振動子デバイスであって、前記振動子は、ワイヤボンディングによって前記基体から延ばされたワイヤに接続されたことにより、前記基体に対して宙づり状態に支持され、前記振動子に設けられた接続端子部の一つに、複数の前記ワイヤの接続端が接続され、前記ワイヤは、少なくともその複数が前記振動子と電気的に接続する電気配線として機能していることを特徴とする振動子デバイスが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3864952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記振動子デバイスでは、振動子デバイスを製造する場合、まず、支持基板の中央部分に接着材が付着され、振動子が支持基板に接着される。次いで、ワイヤボンディングにより、支持基板の端子部と振動子の端子部とが、ワイヤにより接続され、その後、接着材が溶融されて除去される。これにより、支持基板に対して振動子が宙づり状態に支持された宙づり構造の振動子デバイスが得られる。
【0006】
しかし、振動子デバイスの振動子は、最終的には、支持基板と側面および天井面に囲まれた閉空間に設けられるため、上記接着材を用いる方法では、閉空間に接着材の異物が残存し、振動子の動作に影響を与える場合もある。また、接着材の基板への付着および接着材の溶融等の処理が煩雑になり、効率よく振動子デバイスを作製できない場合もある。
【0007】
そこで、本発明は、基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを、効率よく作製することができる振動子デバイスの作製方法、および振動子デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを作製する方法であって、
組立台に設けられた凸状の載置台に、電極が設けられた振動子を載置し、
枠で囲まれた開口部を有し、前記枠に電極パッドが設けられた振動子デバイス用枠部材を、前記開口部が前記載置台の位置にくるように位置決めして、前記組立台上に配置し、
前記振動子デバイス用枠部材が前記組立台に配置された状態で、前記振動子デバイス用枠部材に設けられた前記電極パッドと、前記載置台に載置した前記振動子に設けられた前記電極とをワイヤにより接続し、
前記ワイヤの接続後、前記振動子デバイス用枠部材を前記振動子とともに前記組立台から取り外し、
前記振動子が接続された前記振動子デバイス用枠部材を基板に接合することにより、振動子が基板から浮上した振動子デバイスを作製する。
【0009】
本発明の他の一態様は、基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを作製する方法であって、
組立台に設けられた凸状の複数の載置台のそれぞれに、電極が設けられた振動子を載置し、
枠で囲まれた開口部を有し前記枠に電極パッドが設けられた振動子デバイス用枠部材が連なった枠体を、前記開口部のそれぞれが前記載置台それぞれの位置にくるように位置決めして、前記組立台上に配置し、
前記枠体が前記組立台に配置された状態で、前記枠体に設けられた電極パッドと、前記載置台のそれぞれに載置された前記振動子の前記電極とをワイヤにより接続し、
前記ワイヤの接続後、前記枠体を前記振動子とともに前記組立台から取り外し、
前記振動子が接続された前記枠体を前記振動子デバイス用枠部材の単位で切断し、
切断された前記振動子デバイス用枠部材のそれぞれを基板に接合することにより、振動子が基板から浮上した複数の振動子デバイスを作製する。
【0010】
本発明の更に他の一態様は、基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを作製する方法であって、
吸引装置を用いて電極が設けられた振動子を吸引することにより、前記振動子を基板から引き上げた状態に保持し、
前記振動子を引き上げて保持した状態で、前記振動子に設けられた前記電極と、前記基板に設けられた電極パッドとをワイヤにより接続し、
前記ワイヤの接続後、前記吸着装置による吸引を解除する、ことにより、振動子が基板から浮上した振動子デバイスを作製する。
【0011】
本発明の更に他の一態様は、基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを作製する方法であって、
基板上に載置した昇華可能なスペーサの上に電極が設けられた振動子を載置し、
前記振動子が前記スペーサの上に載置された状態で、前記振動子に設けられた前記電極と、前記基板に設けられた電極パッドとをワイヤにより接続し、
前記ワイヤの接続後、前記スペーサを昇華させることにより、振動子が基板から浮上した振動子デバイスを作製する。
【0012】
本発明の更に他の一態様は、基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを作製する方法であって、
基板に設けられた吸気・送風口の上に電極が設けられた振動子を載置し、前記吸気・送風口を吸気状態にすることにより前記振動子を前記基板に保持し、
前記振動子を保持した状態で、前記振動子に設けられた前記電極と、前記基板に設けられた電極パッドとをワイヤにより接続し、
前記ワイヤの接続後、前記吸気・送風口の吸気を終了することにより、振動子が基板から浮上した振動子デバイスを作製する。
【0013】
本発明の更に他の一態様は、基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスであって、
基板と、
前記基板上に突出するように設けられ、突出した面に電極パッドを備える突出部材と、
電極を有し、前記電極と前記突出部材の前記電極パッドとを電気的に接続するワイヤにより、前記基板の面から浮上した振動子と、
を備える。
【発明の効果】
【0014】
上述の態様の振動子デバイスの作製方法では、基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを効率よく作製することができる。また、上述の態様の振動子デバイスは、基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備えるように、効率よく作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は、第1実施形態である振動子デバイスの作製方法により作製される振動子デバイスの概略の構成を示す分解斜視図であり、(b)は、図1(a)に示す振動子デバイスの一断面を説明する図であり、(c)は、振動子デバイスが実装されるプリント配線板の例を示す図である。
【図2】第1実施形態である振動子デバイスの作製方法の一部の工程を説明する図である。
【図3】第1実施形態である振動子デバイスの作製方法の一部の工程を説明する図である。
【図4】第1実施形態である振動子デバイスの作製方法の一部の工程を説明する図である。
【図5】第1実施形態である振動子デバイスの作製方法のフローチャートである。
【図6】(a),(b)は、第2実施形態である振動子デバイスの作製方法の一部の工程を説明する図である。
【図7】第2実施形態である振動子デバイスの作製方法の一部の工程を説明する図である。
【図8】第2実施形態である振動子デバイスの作製方法の一部の工程を説明する図である。
【図9】第2実施形態である振動子デバイスの作製方法のフローチャートである。
【図10】第3実施形態である振動子デバイスの作製方法により作製される振動子デバイスの概略の構成を示す分解斜視図である。
【図11】(a)〜(d)は、第3実施形態である振動子デバイスの作製方法を説明する図である。
【図12】(a)〜(d)は、第3実施形態の変形例である振動子デバイスが作製される方法を説明する図である。
【図13】(a)〜(d)は、第4実施形態である振動子デバイスの作製方法のフローを説明する図である。
【図14】(a),(b)は、第5実施形態である振動子デバイスの作製方法で用いる筐体の例を示す図である。
【図15】(a)〜(d)は、第5実施形態である振動子デバイスの作製方法を説明する図である。
【図16】第5実施形態の変形例である振動子デバイスの作製方法で用いる筐体の例を示す図である。
【図17】(a)〜(e)は、第5実施形態の変形例である振動子デバイスの作製方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の振動子デバイスの作製方法について説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1(a)は、第1実施形態である振動子デバイスの作製方法により作製される振動子デバイスの概略の構成を示す分解斜視図である。図1(b)は、図1(a)に示す振動子デバイスの一断面を説明する図である。
図1(a)に示す振動子デバイス10は、振動子デバイス本体部(以降、本体部という)12と、筐体14と、天板17と、を有する。
【0018】
筐体14は、本体部12の周りを覆うように底部および壁部を有し、本体部12が筐体14の底部の所定の位置に接合されている。筐体14の底部は、本体部12が接合される支持基板である。
天板17は、筐体14の天井部分を閉じることにより、本体部12を閉空間に閉じ込める。筐体14および天板17は、例えばセラミック製材料が用いられる。
筐体14には、図1(b)に示すように、ビアホール22bと、ビアホール22bと接続される電極端子24が設けられている。電極端子24は、本体部12が設けられる支持基板(筐体14の底部)の面と反対側の面に設けられている。ビアホール22bは、図1(b)に示されるように、本体部12に設けられるビアホール22aと接続される。
【0019】
本体部12は、振動子15と、外枠部材16と、を主に有する。
振動子15は、例えば水晶振動子が用いられる。振動子15は、振動子ブランクと、振動子ブランクの2つの主表面に設けられた電極15a,15bを備える。振動子ブランクの大部分は電極15a,15bに挟まれている。電極15a,15bの端は、ワイヤ18と接続されている。
外枠部材16はロの字状を成し、中央部分に開口部を有し、支持基板上に設けられている。外枠部材16は、支持基板の面から突出し、この突出した面に電極パッド20を備える突出部材である。外枠部材16は筐体14の底部にあたる支持基板に接合されている。外枠部材16の電極パッド20は、ビアホール22aと接続される一方、振動子15の電極15a,15bに接続されたワイヤ18と電気的に接続されている。すなわち、ワイヤ18は、電極パッド20と振動子15の電極15a,15bを電気的に接続する接続線である。
振動子15は、外枠部材16から延びるワイヤ18の剛性によって、筐体14の底部にあたる支持基板から浮上している。外枠部材16は、筐体14の底部の支持基板と、接着剤等を用いて圧着あるいははんだにより接合されている。
【0020】
以上のように、振動子デバイス10では、支持基板の面から高い位置に電極パッド20が設けられ、電極パッド20から延びるワイヤ18により振動子15が外枠部材16と接続されている。このため、振動子デバイス10は、振動子15を支持基板から確実に浮上させることができる。したがって、振動子デバイス10は、基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備えるように効率よく作製され得る。
なお、外枠部材16は、振動子15の配置位置の周りを連続的に取り囲む枠形状のほか、枠の周上の一部が切り欠かれた形状であってもよい。支持基板には、外枠部材16のように、振動子15とワイヤ接続する電極パッド20の設けられる位置が支持基板の面から高い位置にあるように、支持基板から突出した部材が設けられるとよい。
【0021】
このような振動子デバイス10は、図1(c)に示すように、電極端子24とプリント配線板32に設けられた搭載パッドとの接続により、半導体チップ等を含む半導体パッケージ30およびその他の電子部品とともにプリント配線板32に実装され、プリント配線板ユニットが作製される。作製されたプリント配線板ユニットは、パーソナルコンピュータ、携帯電話機器、GPS(Global Positioning System)機器,PDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器や携帯電子機器に組み込まれる。
【0022】
図2〜4は、第1実施形態である振動子デバイス10の作製方法を説明する図であり、図5は、振動子デバイス10の作製方法のフローチャートである。
まず、図2に示されるように、電極15a,15bが設けられた振動子15が組立台40の載置台42の上面に載置される(ステップS10)。振動子15の載置台42への載置は、図示されない搬送装置によって行われる。
載置台42は、組立台40に設けられた凸状の台であり、上面が平面になっている。組立台40には、金属製部材、セラミック製部材、あるいは、樹脂製部材等が用いられる。載置台42の上面の形状は、図2に示すような矩形形状であるほか、円、楕円、あるいは多角形形状等であってもよい。
【0023】
次に、図2に示されるように、載置台42の周りを取り巻くように、外枠で囲まれた開口部を有する、ロの字状を成した外枠部材16が、組立台40の上に配置される(ステップS20)。外枠部材16の配置は、図示されない搬送装置によって行われる。すなわち、外枠部材16の開口部が載置台42の位置にくるように位置決めされて枠が載置台42の周りを取り囲むように外枠部材16は組立台40上に配置される。外枠部材16は、外枠で囲まれた開口部を有するが、外枠の周上の一部が切りかかれてもよい。また、外枠部材16はロの字状以外の形状を成してもよく、外枠部材16には、載置台42の周りを取り巻くような形状の開口部が設けられていればよい。
外枠部材16の枠の上面の高さは、載置台42の高さに比べて低く設けられることが、後述する効率のよいワイヤボンディングをするために好ましい。つまり、載置台42に載せられた振動子15は、組立台40に配置された外枠部材16の上面よりも高くなっていることが好ましい。
なお、振動子15が載置台42へ載置された後、外枠部材16の組立台40への配置が行われるが、外枠部材16の組立台40への配置が行われた後、振動子15の載置台42への載置が行われてもよい。
【0024】
次に、図示されないワイヤボンダを用いて、ワイヤボンディングが行われる(ステップS30)。具体的には、外枠部材16および振動子15が載せられた組立台40がボンディングステージに載せられる。この後、ワイヤボンダにより、ワイヤ18を振動子15の電極15a,15bの端と、外枠部材16の枠の上面に設けられた電極パッド20との間が繋がれ、電極15a,15bと電極パッド20とが電気的に接続される。
ワイヤボンディングでは、最初に振動子15の電極15a,15bの端がワイヤ18と接続され、この後、外枠部材16の電極パッド20と接続される。外枠部材16の電極パッド20とワイヤ18の接続が先に行われ、この後、ワイヤ18が電極15a,15bに接続される場合、ワイヤボンダが電極パッド20に接続されたワイヤ18を把持しながら、ワイヤ18の先端を電極15a,15bに押し付けることになる。このときの押し付け力によって、ワイヤ18の先端が振動子15を破損する場合がある。このため、最初に振動子15の電極15a,15bの端からワイヤ18が接続され、この後、外枠部材16の電極パッド20と接続される。
上述したように、載置台42に載置された振動子15の電極15a,15bの組立台40からの高さは、外枠部材42の電極パッド20の組立台40からの高さに比べて高いことが好ましい。これは、ワイヤボンダがワイヤを把持しながら高い位置から低い位置に移動することで、ワイヤボンダによる移動を円滑に行わせるためである。このようにして、図3に示すように振動子15の角にある電極15a,15bの端が電極パッド20と接続される。本実施形態では、4本のワイヤ18で振動子15は外枠部材20と接続されるが、2本、3本あるいは5本等であってもよく、接続されるワイヤ18の本数は限定されない。
【0025】
次に、振動子15とワイヤボンディングされた外枠部材16は、組立台40から取り外される(ステップS40)。外枠部材16の組立台40からの取り外しは、図示されない搬送装置により行われる。こうして、図4に示すような、振動子15とワイヤボンディングされた外枠部材16が作製される。
次に、振動子15とワイヤボンディングされた外枠部材16の底面は、筐体14の底部である支持基板に対して、はんだにより、あるいは圧着により、接合される(ステップS50)。このとき、図1(b)に示すようにビアホール22aとビアホール22bが互いに接続されるように位置決めされて接合される。この後、筐体14の上側に天板17が接合され、本体部12が閉空間に閉じ込める。以上のように振動子デバイス10は作製される。
【0026】
このように、振動子15は外枠部材16の上面に設けられた電極パッド20から延びるワイヤ18によって電気的に接続される他、このワイヤ18によって吊られている。これにより振動子15は、筐体14の底部の支持基板の面から浮上した状態となる。
本実施形態では、載置台42の周りを取り巻くようにロの字状を成した外枠部材16が組立台40に配置され、組立台40に配置された外枠部材16に設けられた電極パッド20と、振動子15に設けられた電極15a,15bとがワイヤ18により接続され、この後、外枠部材16が組立台40から取り外される。このため、従来のように、振動子を接着剤により接着する工程とこの接着剤を溶融する工程等の煩雑な工程がないので、筐体14の底部の支持基板の面から浮上した振動子15を有する振動子デバイス10を容易に効率よく作製することができる。
また、従来のように接着剤が筐体14および天板17で囲まれた閉空間内に残存して、振動子15の動作に悪影響を与える不都合も生じない。
【0027】
(第2実施形態)
図6(a),(b)、図7、および図8は、第2実施形態である振動子デバイスの作製方法を説明する図である。図9は、第2実施形態の作製方法のフローチャートである。
第2実施形態の作製方法で作製される振動子デバイスは、図1(a),(b)に示される振動子デバイス10である。
具体的には、第2実施形態で作製される振動子デバイス10は、本体部12が筐体14内に設けられている。本体部12では、振動子15と外枠部材16が電気的接続のために用いるワイヤ18により接続されて、振動子15は外枠部材16から延びるワイヤ18により吊られている。これにより、振動子15は支持基板から浮上する。この振動子デバイス10を多量に効率よく作製する方法が第2実施形態の作製方法である。
【0028】
まず、図6(a)に示すような凸状の載置台52が複数設けられた組立台50が用意される。図6(b)に示されるように、この載置台52に、図1(b)に示すような電極15a,15bが設けられた振動子15が載置台52毎に載置される(ステップS60)。振動子15の載置台52への載置は、図示されない搬送装置によって行われる。載置台52は、組立台50に一定の間隔で組立台50の面上に一様に設けられている。組立台40に設けられた凸状の台である載置台52は、上面が平面になっている。組立台40には、金属製部材、セラミック製部材、あるいは、樹脂製部材等が用いられる。
【0029】
次に、図7に示されるように、載置台52それぞれの周りを取り巻くようにロの字状を成した外枠体54が、組立台50上に配置される(ステップS70)。外枠体54の配置は、図示されない搬送装置によって行われる。外枠体54は、外枠で囲まれた開口部を有する、ロの字状を成した外枠部材16が一様に連なった外枠部材16の集合体である。この外枠体54のそれぞれの開口部が載置台42のそれぞれの位置にくるように位置決めされて載置台52のそれぞれの周りを外枠体54の枠が取り囲むように、外枠体54は配置される。外枠体54の外枠部材16の枠の上面には、電極パッド56(図8参照))が設けられている。
外枠体54の枠の上面の高さは、載置台52の高さに比べて低く設けられることが、ワイヤボンディングの作業性の点で好ましい。つまり、載置台52に載せられた振動子15は、組立台50に配置された外枠体54の枠表面よりも高くなっていることが好ましい。
なお、振動子15が載置台52へ載置された後、外枠体54の組立台50への配置が行われるが、外枠体位54の組立台50への配置が行われた後、振動子15の載置台52への載置が行われてもよい。
【0030】
次に、図示されないワイヤボンダを用いて、振動子15それぞれに対してワイヤボンディングが行われる(ステップS80)。具体的には、外枠体54および振動子15が載せられた組立台50がボンディングステージに載せられる。この後、ワイヤボンダにより、図8に示すように、ワイヤ18を振動子15の電極15a,15bの端と、外枠体54の外枠部材に対応する表面に設けられた電極パッド56との間が繋がれ、電極15a,15bと電極パッド56とが電気的に接続される。電極パッド56は、図1(b),図3に示す電極パッド20に相当する。
ワイヤボンディングでは、第1実施形態と同様に、最初に振動子15の電極15a,15bの端からワイヤ18が接続され、この後、外枠部材16の電極パッド56と接続される。
【0031】
このようにして、図8に示すように振動子15の角にある電極の端が電極パッド56と接続される。第2実施形態では、振動子15のそれぞれは、4本のワイヤ18で外枠体54と接続されるが、2本、3本あるいは5本等であってもよく、ワイヤの本数は限定されない。
【0032】
次に、振動子15とワイヤボンディングされた外枠体54は、組立台50から取り外される(ステップS90)。外枠体54の取り外しは、図示されない搬送装置により行われる。
【0033】
次に、外枠体54は、搬送装置によりダイシング装置に搬送され、ダイシングソーにより、図8に示される破線の位置で切断される(ステップS100)。切断位置は、外枠体54の開口部の間であり、図4に示す1つの外枠部材16を単位とする外枠部材16の境界位置である。このようにして、外枠体54を切断することにより、図4に示すような、振動子15がワイヤ18により吊られた外枠部材16が複数作製される。
【0034】
次に、振動子15とワイヤボンディングされた外枠部材16の底面は、筐体12の底部である支持基板に対して、はんだにより、あるいは圧着により、接合される(ステップS110)。このとき、図1(b)に示すようにビアホール22aとビアホール22bが互いに接続されるように位置決めされて接合される。この後、筐体14の上側に天板17が接合され、本体部12が閉空間に閉じ込める。以上のように振動子デバイス10は作製される。
【0035】
第2実施形態では、第1実施形態に用いる外枠部材16を連ねた外枠体54と振動子15がワイヤボンディングされるので、大量の振動子デバイス10を効率よく作製することができる。また、従来のように、接着剤による接着および接着剤の溶融等の煩雑な工程がないので、支持基板の面から浮上した振動子15を備える振動子デバイス10を容易に効率よく作製することができる。また、従来のように接着剤が筐体14および天板17で囲まれた閉空間内に残存して、振動子15の動作に悪影響を与える不都合も生じない。
【0036】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態である振動子デバイスの作製方法により作製される振動子デバイス60の概略の構成を示す分解斜視図である。
図10に示される振動子デバイス60は、図1(a)に示される振動子デバイス10と異なり、外枠部材16が設けられず、筐体64の底部である支持基板に設けられた電極パッド62と振動子65の主表面に設けられた電極の端とがワイヤ68によって接続されている。ワイヤ68の剛性により、振動子65は筐体64の支持基板から浮上した状態となっている。つまり、振動子65は、電気的接続のために用いるワイヤ68により吊られている。筐体64の支持基板に設けられた電極パッド62は、図示されないビアホールを経由して、図1(b)に示す電極端子24のように、振動子65が設けられる面と反対側の面に設けられた電極と接続されている。また、筐体64の天井面は天板67と接合されて、振動子65が支持基板に浮上した状態で筐体64内に閉ざされて設けられる。
なお、図10では、振動子65の電極の図示は省略されている。
【0037】
図11(a)〜(d)は、振動子デバイス60の作製方法を簡略化して説明する図である。
まず、図11(a)に示すように、振動子ブランクの主表面に電極が設けられた振動子65が、筐体64の底部の支持基板に載置される。
この後、図11(b)に示すように、振動子65は、吸着装置70の吸着ノズル72から吸気による吸引力で上方に引き上げられ、この状態で保持される。吸着ノズル72は、図示されないスタンドによりその位置が保持される。
この状態が保持されているとき、図11(c)に示されるように、ワイヤボンダを用いて、ワイヤボンディングが行われる。ワイヤボンディングでは、振動子65の電極とワイヤ68の接続が行われた後、筐体64の支持基板に設けられた電極パッド62(図10参照)とワイヤ68の接続が行われる。振動子65の電極とワイヤ68の接続を、筐体64の支持基板とワイヤ68の接続の後に行うと、振動子65は、吸着ノズル72で引き上げ状態に保持されているだけなので、ワイヤ68の先端を、接続するために振動子65の電極に押し付ける作業が困難となる。
ワイヤボンディングが終了すると、図11(d)に示すように、吸着装置70の吸引が解除される。吸引が解除されたとき、振動子65は、ワイヤ68の剛性により筐体64の支持基板から浮上し、ワイヤ68により吊られる。
【0038】
このように、本実施形態では、振動子65を筐体64の支持基板から引き上げて保持し、この保持状態で、振動子65の電極と支持基板上の電極パッド62(図10参照)とをワイヤボンディングする。このため、従来のように、接着剤による接着および接着剤の溶融等の煩雑な工程がないので、支持基板の面から浮上した振動子65を備える振動子デバイス60を容易に効率よく作製することができる。また、接着剤が筐体64および天板67で囲まれた閉空間内に残存して、振動子65の動作に悪影響を与える不都合も生じない。
【0039】
(第3実施形態の変形例)
上述の第3実施形態は、図10に示す振動子デバイス60を作製する際、振動子65を筐体64の底部の支持基板から引き上げて保持状態とするために吸気による吸引力を用いるが、本変形例は、磁石の引力を用いる。図12(a)〜(d)は、変形例の振動子デバイスの作製方法を説明する図である。
【0040】
まず、図12(a)に示すように、振動子ブランクの主表面に電極が設けられた振動子65が、筐体64の底部の支持基板に載置される。
この後、図12(b)に示すように、振動子65は、吸着コントローラ74を介して電磁石76が動作して、電磁石76が磁石の引力により振動子65が上方に引き上げられ、この状態で保持される。振動子65の主表面に設けられる電極にはニッケルと金の合金等の材料が用いられるが、このニッケルの強磁性体の特性により、電磁石76によって振動子65は引き上げられる。
この状態が保持されているとき、図12(c)に示されるように、ワイヤボンダを用いて、ワイヤボンディングが行われる。ワイヤボンディングでは、振動子65の電極とワイヤ68の接続が行われた後、筐体64の支持基板に設けられた電極パッド62(図10参照)とワイヤ68の接続が行われる。振動子65の電極とワイヤ68の接続を、筐体64の支持基板とワイヤ68の接続の後に行うと、振動子65は、吸着ノズル72で引き上げ状態に保持されているだけなので、ワイヤ68の先端を、接続のために振動子65の電極に押し付ける作業が困難となる。
ワイヤボンディングが終了すると、図12(d)に示すように、吸着コントローラ74は電磁石76の動作を解除する。吸引が解除されたとき、振動子65は、ワイヤ68の剛性により筐体64の支持基板から浮上する。
【0041】
このように、変形例においても、振動子65を筐体64の支持基板から引き上げて保持し、この保持状態で、振動子65の電極と支持基板上の電極パッド62とをワイヤボンディングする。このため、従来のように、接着剤による接着および接着剤の溶融等の煩雑な工程がないので、支持基板の面から浮上した振動子65を備える振動子デバイス60を容易に効率よく作製することができる。また、接着剤が筐体64および天板67で囲まれた閉空間内に残存して、振動子65の動作に悪影響を与える不都合も生じない。
【0042】
(第4実施形態)
第4実施形態の振動子デバイスの作製方法で作製される振動子デバイスは、図10に示される振動子デバイス60である。
この振動子デバイス60は、筐体64の底部である支持基板に設けられた電極パッド62と振動子65の主表面に設けられた電極の端とがワイヤ68によって接続されている。ワイヤ68の剛性により、振動子65は筐体64の支持基板から浮上した状態となっている。つまり、振動子65は、電気的接続のために用いるワイヤ68により吊られている。筐体64の支持基板に設けられた電極パッド62は、図示されないビアホールを経由して、図1(b)に示す電極端子24のように、振動子65が設けられる面と反対側の面に設けられた電極と接続されている。また、筐体64の天井面は天板67と接合されて、振動子65が支持基板に浮上した状態で筐体64内に閉ざされて設けられる。
【0043】
図13(a)〜(d)は、第4実施形態の振動子デバイスの作製方法のフローを説明する図である。
まず、図13(a)に示すように、スペーサ78が、搬送装置により、振動子65の載置予定位置に載置される。スペーサ78は、所定の形状に形成されたドライアイス等の昇華可能な材料が用いられる。
次に、図13(b)に示すように、振動子ブランクの主表面に電極が設けられた振動子65が、搬送装置によりスペーサ78に載置される。
この後、図13(c)に示されるように、ワイヤボンダを用いて、ワイヤボンディングが行われる。ワイヤボンディングでは、振動子65の電極とワイヤ68の接続が行われた後、電極パッド62とワイヤ68の接続が行われる。
ワイヤボンディングが終了すると、図13(d)に示すように、スペーサ78が昇華される。昇華方法は、スペーサ78の材質によって異なるが、例えばドライアイスを用いた場合、振動子65の特性に影響を与えない程度の加熱処理により昇華させることができる。スペーサ78の昇華により、スペーサ78は消滅するが、このとき、振動子65は、ワイヤ68の剛性により筐体64の支持基板から浮上する。
【0044】
このように、第4実施形態においても、振動子65を筐体65の支持基板から高い位置に保持した状態で、振動子65の電極と支持基板上の電極パッド62とをワイヤボンディングする。このため、従来のように、接着剤による接着および接着剤の溶融等の煩雑な工程がないので、支持基板の面から浮上した振動子65を備える振動子デバイス60を容易に効率よく作製することができる。また、スペーサ78は、昇華するので、接着剤が筐体64および天板67で囲まれた閉空間内に残存して、振動子65の動作に悪影響を与える不都合も生じない。
【0045】
(第5実施形態)
第5実施形態の振動子デバイスの作製方法で作製される振動子デバイスは、図10に示される振動子デバイス60である。
振動子デバイス60は、筐体64の底部である支持基板に設けられた電極パッド62と振動子65の主表面に設けられた電極の端とがワイヤ68によって接続されている。ワイヤ68の剛性により、振動子65は筐体64の支持基板から浮上した状態となっている。つまり、振動子65は、電気的接続のために用いるワイヤ68により吊られている。筐体64の支持基板に設けられた電極パッド62は、図示されないビアホールを経由して、図1(b)に示す電極端子24のように、振動子65が設けられる面と反対側の面に設けられた電極と接続されている。また、筐体64の天井面は天板67と接合されて、振動子65が支持基板に浮上した状態で筐体64内に閉ざされて設けられる。
このような振動子デバイス60ではあるが、第4の実施形態で作製される振動子デバイス60では、図14(a),(b)に示すような吸気・送風口80を有する筐体64が用いられる。吸気・送風口80は、筐体64の底部である支持基板84上の、振動子65の載置予定位置に設けられている。すなわち、吸気・送風口80は、4つの電極パッド62の略中心位置に設けられている。
筐体64の吸気・送風口80は、筐体64の側壁を成す縁部上面に設けられた開口82と接続されるように、筐体64の支持基板84およびこの支持基板84の縁部86を通る管路88が設けられている。開口82は、筐体64の側壁を成す縁部上面に設けられことに限定されない。開口82は、後述するノズル92が接続できる位置であれば筐体64のどの位置に設けられてもよい。
【0046】
図15(a)〜(d)は、第5実施形態の振動子デバイス60が作製される方法を説明する図である。
まず、図15(a)に示すように、振動子ブランクの主表面に電極が設けられた振動子65が、筐体64の底部の支持基板84に載置される。振動子65は、吸気・送風口80を上方から覆うように支持基板84に載置される。さらに、吸引・送風装置90のノズル92が開口82に接続されて、開口82を通して、吸気・送風口80を吸気状態にする。これにより、振動子65が支持基板84に吸着されて保持される。
【0047】
この状態が保持されているとき、図15(b)に示すように、ワイヤボンダを用いて、ワイヤボンディングが行われる。ワイヤボンディングでは、振動子65の電極とワイヤ68の接続が行われた後、筐体64の支持基板84の電極パッド62とワイヤ68の接続が行われる。振動子65の電極とワイヤ68の接続を、筐体64の支持基板とワイヤ68の接続の後に行うと、ワイヤ68を把持したワイヤボンダが、ワイヤ68の先端を振動子65に押し当てるとき、振動子65が破損するおそれがある。このため、振動子65の電極とワイヤ68の接続が行われた後、筐体64の支持基板の電極パッド62とワイヤ68の接続が行われる。
【0048】
ワイヤボンディングが終了した後、吸引・送風装置90は、吸気・送風口80の吸気状態を解除して、図15(c)に示すように、吸気・送風口80を送風状態にする。このように吸気・送風口80を送風状態にするのは、振動子65が支持基板84に吸着した状態でワイヤボンディングされたので、吸気・送風口80の吸気状態の解除後、ワイヤ68の剛性により振動子65が支持基板84から浮上しない場合があるからである。このため、吸気・送風口80を送風状態にすることにより、図15(d)に示すように、振動子65は支持基板84から確実に浮上される。本実施形態では、図15(c)に示すように、最後に吸気・送風口80を送風状態にするが、振動子65が支持基板84から浮上する場合、必ずしも送風状態にしなくてもよい。しかし、振動子65が支持基板84から確実に浮上するためには、吸気・送風口80を送風状態にすることが好ましい。
【0049】
このように、第5実施形態では、支持基板84の吸気・送風口80の上に振動子65を載置し、吸気・送風口80を吸気状態にした状態で振動子65を保持し、振動子65が保持された状態で、ワイヤボンディングが行われる。この後吸気・送風口80の吸気を終了する。このため、従来のように、接着剤による接着および接着剤の溶融等の煩雑な工程がないので、筐体64の底部の支持基板の面から浮上した振動子65を備える振動子デバイス60を容易に効率よく作製することができる。また、接着剤が筐体64および天板67で囲まれた閉空間内に残存して、振動子65の動作に悪影響を与える不都合も生じない。
さらに、吸気・送風口80の吸気状態を終了した後、送風状態にすることで、振動子65を支持基板84から確実に浮上させることができる。
【0050】
(第5実施形態の変形例)
上述の第5実施形態では、図14(a),(b)に示す筐体64を用いて図10に示すような振動子デバイス60が作製されるが、本変形例では、図16に示すような筐体64が用いられて図10に示すような振動子デバイス60が作製される。図16は、本変形例の筐体64の外観を示す斜視図である。
本変形例で用いる筐体64の支持基板84に設けられる吸気・送風口94は、一方向に長いスリット状の開口である。吸気・送風口94は、支持基板84を貫通する孔の開口ではなく、さらに、図14(b)に示すような他の開口に接続するような管路88の開口でもない。吸気・送風口94は、凹状のスリット溝の開口部分である。
振動子65は、後述するように、吸気・送風口94の一部分の上に載置され、吸気・送風口94の残りの部分には、吸引・送風装置のノズルが配される。
【0051】
図17(a)〜(e)は、第5実施形態の変形例の振動子デバイス60が作製される方法を説明する図である。
まず、図17(a)に示すように、振動子ブランクの主表面に電極が設けられた振動子65が、筐体64の底部の支持基板84(図16参照)に載置される。振動子65は、一方向に長いスリット状の吸気・送風口94の一部を上方から覆うように支持基板84に載置される。
この後、図17(b)に示すように、吸気・送風口94の残りの部分は、吸引・送風装置90のノズル96が配されて塞がれる。この状態で、吸引・送風装置90のノズル96の吸気により、吸気・送風口94は吸気状態となる。これにより、振動子65が支持基板84に吸着して保持される。
【0052】
この状態が保持されているとき、図17(c)に示すように、ワイヤボンダを用いて、ワイヤボンディングが行われる。ワイヤボンディングでは、振動子65の電極とワイヤ68の接続が行われた後、筐体64の支持基板84の電極パッド62とワイヤ68の接続が行われる。
【0053】
ワイヤボンディングが終了した後、図17(d)に示すように、吸引・送風装置90は、吸気・送風口94の吸気状態を解除して、吸気・送風口94を送風状態にする。このように吸気・送風口94を送風状態にするのは、振動子65が支持基板84に吸着した状態でワイヤボンディングされたので、吸気・送風口80の吸気状態の解除後、ワイヤ68により振動子65が支持基板84から浮上しない場合があるからである。このため、吸気・送風口94を送風状態にすることで、図17(e)に示すように、振動子65は支持基板84から確実に浮上される。本変形例では、図17(d)に示すように、最後に吸気・送風口94を送風状態にするが、振動子65が支持基板84から浮上する場合、必ずしも送風状態にしなくてもよい。しかし、振動子65が支持基板84から確実に浮上するためには、吸気・送風口94を送風状態にすることが好ましい。
【0054】
このように、本変形例では、支持基板84の吸気・送風口94の上に振動子65を載置し、吸気・送風口94を吸気状態にした状態で振動子65を保持し、振動子65が保持された状態で、ワイヤボンディングが行われる。この後吸気・送風口94の吸気を終了する。このため、従来のように、接着剤による接着および接着剤の溶融等の煩雑な工程がないので、筐体64の底部の支持基板の面から浮上した振動子65を備える振動子デバイス60を容易に効率よく作製することができる。また、接着剤が筐体64および天板67で囲まれた閉空間内に残存して、振動子65の動作に悪影響を与える不都合も生じない。
さらに、吸気・送風口94の吸気状態を終了した後、送風状態にすることで、振動子65を支持基板84から確実に浮上させることができる。
【0055】
上記実施形態は、以下に示す内容を開示する。
(付記1)
基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを作製する方法であって、
組立台に設けられた凸状の載置台に、電極が設けられた振動子を載置し、
枠で囲まれた開口部を有し、前記枠に電極パッドが設けられた振動子デバイス用枠部材を、前記開口部が前記載置台の位置にくるように位置決めして、前記組立台上に配置し、
前記振動子デバイス用枠部材が前記組立台に配置された状態で、前記振動子デバイス用枠部材に設けられた前記電極パッドと、前記載置台に載置した前記振動子に設けられた前記電極とをワイヤにより接続し、
前記ワイヤの接続後、前記振動子デバイス用枠部材を前記振動子とともに前記組立台から取り外し、
前記振動子が接続された前記振動子デバイス用枠部材を基板に接合することにより、振動子が基板から浮上した振動子デバイスを作製することを特徴とする振動子デバイスの作製方法。
【0056】
(付記2)
前記振動子デバイス用枠部材が前記組立台に配置されたとき、前記載置台に載置された前記振動子の電極の前記組立台からの高さは、前記振動子用枠部材の前記電極パッドの前記組立台からの高さに比べて高い、付記1に記載の振動子デバイスの作製方法。
【0057】
(付記3)
基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを作製する方法であって、
組立台に設けられた凸状の複数の載置台のそれぞれに、電極が設けられた振動子を載置し、
枠で囲まれた開口部を有し前記枠に電極パッドが設けられた振動子デバイス用枠部材が連なった枠体を、前記開口部のそれぞれが前記載置台それぞれの位置にくるように位置決めして、前記組立台上に配置し、
前記枠体が前記組立台に配置された状態で、前記枠体に設けられた電極パッドと、前記載置台のそれぞれに載置された前記振動子の前記電極とをワイヤにより接続し、
前記ワイヤの接続後、前記枠体を前記振動子とともに前記組立台から取り外し、
前記振動子が接続された前記枠体を前記振動子デバイス用枠部材の単位で切断し、
切断された前記振動子デバイス用枠部材のそれぞれを基板に接合することにより、振動子が基板から浮上した複数の振動子デバイスを作製することを特徴とする振動子デバイスの作製方法。
【0058】
(付記4)
前記振動子デバイス用枠部材が前記組立台に配置されたとき、前記載置台のそれぞれに載置された前記振動子の電極の前記組立台からの高さは、前記枠体の前記電極パッドの前記組立台からの高さに比べて高い、付記3に記載の振動子デバイスの作製方法。
【0059】
(付記5)
基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを作製する方法であって、
吸引装置を用いて電極が設けられた振動子を吸引することにより、前記振動子を基板から引き上げた状態に保持し、
前記振動子を引き上げて保持した状態で、前記振動子に設けられた前記電極と、前記基板に設けられた電極パッドとをワイヤにより接続し、
前記ワイヤの接続後、前記吸着装置による吸引を解除する、ことにより、振動子が基板から浮上した振動子デバイスを作製することを特徴とする振動子デバイスの作製方法。
【0060】
(付記6)
前記吸引装置は、前記振動子を吸気による吸引力により保持する、あるいは、前記振動子の前記電極を磁石の引力により保持する、付記5に記載の振動子デバイスの作製方法。
【0061】
(付記7)
基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを作製する方法であって、
基板上に載置した昇華可能なスペーサの上に電極が設けられた振動子を載置し、
前記振動子が前記スペーサの上に載置された状態で、前記振動子に設けられた前記電極と、前記基板に設けられた電極パッドとをワイヤにより接続し、
前記ワイヤの接続後、前記スペーサを昇華させることにより、振動子が基板から浮上した振動子デバイスを作製することを特徴とする振動子デバイスの作製方法。
【0062】
(付記8)
基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを作製する方法であって、
基板に設けられた吸気・送風口の上に電極が設けられた振動子を載置し、前記吸気・送風口を吸気状態にすることにより前記振動子を前記基板に保持し、
前記振動子を保持した状態で、前記振動子に設けられた前記電極と、前記基板に設けられた電極パッドとをワイヤにより接続し、
前記ワイヤの接続後、前記吸気・送風口の吸気を終了することにより、振動子が基板から浮上した振動子デバイスを作製することを特徴とする振動子デバイスの作製方法。
【0063】
(付記9)
前記ワイヤの接続後、前記吸気・送風口の吸気を終了した後、さらに、前記吸気・送風口を送風状態にすることにより、振動子が基板から浮上した振動子デバイスを作製することを付記8に記載の振動子デバイスの作製方法。
【0064】
(付記10)
前記吸気・送風口は、前記基板を通る管路を通して、吸引・送風装置のノズルに接続されている、付記8または9に記載の振動子デバイスの作製方法。
【0065】
(付記11)
前記吸気・送風口は、前記基板に設けられたスリット状の開口部であり、前記振動子は、前記開口部の一部分の上に載置され、前記開口部の残りの部分は、吸引・送風装置のノズルに接続されている、付記8または9に記載の振動子デバイスの作製方法。
【0066】
(付記12)
基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスであって、
基板と、
前記基板上に突出するように設けられ、突出した面に電極パッドを備える突出部材と、
電極を有し、前記電極と前記突出部材の前記電極パッドとを接続するワイヤにより、前記基板の面から浮上した振動子と、
を備えることを特徴とする振動子デバイス。
【0067】
(付記13)
前記突出部材は、前記振動子の配置位置の周りを囲む外枠部材である、付記12に記載の振動子デバイス。
【0068】
以上、本発明の振動子デバイスの作製方法および振動子デバイスについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0069】
10,60 振動子デバイス
12 振動子デバイス本体部
14,64 筐体
15,65 振動子
15a,15b 電極
16 外枠部材
17,67 天板
18,68 ワイヤ
20,56,62 電極パッド
22a,22b ビアホール
24 電極端子
30 半導体パッケージ
32 プリント配線板
40,50 組立台
42,52 載置台
54 外枠体
70 吸着装置
72 吸着ノズル
74 吸着コントローラ
76 電磁石
78 スペーサ
80,94 吸気・送風口
82 開口
84 支持基板
86 縁部
88 管路
90 吸引・送風装置
92,96 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを作製する方法であって、
組立台に設けられた凸状の載置台に、電極が設けられた振動子を載置し、
枠で囲まれた開口部を有し、前記枠に電極パッドが設けられた振動子デバイス用枠部材を、前記開口部が前記載置台の位置にくるように位置決めして、前記組立台上に配置し、
前記振動子デバイス用枠部材が前記組立台に配置された状態で、前記振動子デバイス用枠部材に設けられた前記電極パッドと、前記載置台に載置した前記振動子に設けられた前記電極とをワイヤにより接続し、
前記ワイヤの接続後、前記振動子デバイス用枠部材を前記振動子とともに前記組立台から取り外し、
前記振動子が接続された前記振動子デバイス用枠部材を基板に接合することにより、振動子が基板から浮上した振動子デバイスを作製することを特徴とする振動子デバイスの作製方法。
【請求項2】
前記振動子デバイス用枠部材が前記組立台に配置されたとき、前記載置台に載置された前記振動子の電極の前記組立台からの高さは、前記振動子用枠部材の前記電極パッドの前記組立台からの高さに比べて高い、請求項1に記載の振動子デバイスの作製方法。
【請求項3】
基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを作製する方法であって、
組立台に設けられた凸状の複数の載置台のそれぞれに、電極が設けられた振動子を載置し、
枠で囲まれた開口部を有し前記枠に電極パッドが設けられた振動子デバイス用枠部材が連なった枠体を、前記開口部のそれぞれが前記載置台それぞれの位置にくるように位置決めして、前記組立台上に配置し、
前記枠体が前記組立台に配置された状態で、前記枠体に設けられた電極パッドと、前記載置台のそれぞれに載置された前記振動子の前記電極とをワイヤにより接続し、
前記ワイヤの接続後、前記枠体を前記振動子とともに前記組立台から取り外し、
前記振動子が接続された前記枠体を前記振動子デバイス用枠部材の単位で切断し、
切断された前記振動子デバイス用枠部材のそれぞれを基板に接合することにより、振動子が基板から浮上した複数の振動子デバイスを作製することを特徴とする振動子デバイスの作製方法。
【請求項4】
前記振動子デバイス用枠部材が前記組立台に配置されたとき、前記載置台のそれぞれに載置された前記振動子の電極の前記組立台からの高さは、前記枠体の前記電極パッドの前記組立台からの高さに比べて高い、請求項3に記載の振動子デバイスの作製方法。
【請求項5】
基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを作製する方法であって、
吸引装置を用いて電極が設けられた振動子を吸引することにより、前記振動子を基板から引き上げた状態に保持し、
前記振動子を引き上げて保持した状態で、前記振動子に設けられた前記電極と、前記基板に設けられた電極パッドとをワイヤにより接続し、
前記ワイヤの接続後、前記吸着装置による吸引を解除する、ことにより、振動子が基板から浮上した振動子デバイスを作製することを特徴とする振動子デバイスの作製方法。
【請求項6】
前記吸引装置は、前記振動子を吸気による吸引力により保持する、あるいは、前記振動子の前記電極を磁石の引力により保持する、請求項5に記載の振動子デバイスの作製方法。
【請求項7】
基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを作製する方法であって、
基板上に載置した昇華可能なスペーサの上に電極が設けられた振動子を載置し、
前記振動子が前記スペーサの上に載置された状態で、前記振動子に設けられた前記電極と、前記基板に設けられた電極パッドとをワイヤにより接続し、
前記ワイヤの接続後、前記スペーサを昇華させることにより、振動子が基板から浮上した振動子デバイスを作製することを特徴とする振動子デバイスの作製方法。
【請求項8】
基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスを作製する方法であって、
基板に設けられた吸気・送風口の上に電極が設けられた振動子を載置し、前記吸気・送風口を吸気状態にすることにより前記振動子を前記基板に保持し、
前記振動子を保持した状態で、前記振動子に設けられた前記電極と、前記基板に設けられた電極パッドとをワイヤにより接続し、
前記ワイヤの接続後、前記吸気・送風口の吸気を終了することにより、振動子が基板から浮上した振動子デバイスを作製することを特徴とする振動子デバイスの作製方法。
【請求項9】
前記ワイヤの接続後、前記吸気・送風口の吸気を終了した後、さらに、前記吸気・送風口を送風状態にすることにより、振動子が基板から浮上した振動子デバイスを作製する、請求項8に記載の振動子デバイスの作製方法。
【請求項10】
前記吸気・送風口は、前記基板を通る管路を通して、吸引・送風装置のノズルに接続されている、請求項8または9に記載の振動子デバイスの作製方法。
【請求項11】
前記吸気・送風口は、前記基板に設けられたスリット状の開口部であり、前記振動子は、前記開口部の一部分の上に載置され、前記開口部の残りの部分は、吸引・送風装置のノズルに接続されている、請求項8または9に記載の振動子デバイスの作製方法。
【請求項12】
基板からワイヤを用いて浮上した振動子を備える振動子デバイスであって、
基板と、
前記基板上に突出するように設けられ、突出した面に電極パッドを備える突出部材と、
電極を有し、前記電極と前記突出部材の前記電極パッドとを接続するワイヤにより、前記基板の面から浮上した振動子と、
を備えることを特徴とする振動子デバイス。
【請求項13】
前記突出部材は、前記振動子の配置位置の周りを囲む外枠部材である、請求項12に記載の振動子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−4625(P2012−4625A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134906(P2010−134906)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】