説明

振動式部品供給装置の制御装置

【課題】振動式部品供給装置の振幅フィードバック制御を行う制御装置において、微小な振幅目標値が設定されたときも安定して部品供給装置を駆動できるようにする。
【解決手段】振幅フィードバック制御を行う制御回路11の主要部を構成するCPU12内に、振幅目標値が基準値より大きい定常時振幅設定値から基準値以下の低速時振幅設定値に変更され、変更後の振幅目標値と振幅測定値との差が所定範囲内になったときに、振幅フィードバック制御を停止させる監視回路21を設けた。これにより、微小な低速時振幅設定値が振幅目標値とされても、振幅レベルの小さい領域でハンチングしやすい振幅フィードバック制御が停止するので、安定して部品供給装置を駆動することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動式部品供給装置の振動の振幅が目標値となるようにフィードバック制御を行う制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動式部品供給装置(パーツフィーダ)は、駆動部から部品搬送部材に付与される振動により、部品搬送部材上の部品を搬送しながら整列させて次工程に供給するものである。その一例としてのボウルフィーダを図5に示す。このボウルフィーダは、内面に螺旋状の搬送路(図示省略)が形成されたボウル(部品搬送部材)1と、ボウル1が取り付けられる上部振動体2と、床上に設置される基台5と、上部振動体2のカウンタウェイトとなる下部振動体3と、上部振動体2と下部振動体3とを連結する複数の板ばね4と、下部振動体3と基台5とを連結する防振部材6と、上部振動体2を振動させる駆動部(図示省略)とからなる。そして、板ばね4を利用した共振現象によって駆動部で発生させた振動の振幅を増幅し、この増幅された振動を上部振動体2を介してボウル1に付与することにより、ボウル1上の部品を搬送しながら整列させるようになっている。また、ボウル1には整列させた部品を次工程に送るシュート7の一端が接続され、次工程に送られる部品量を計測するカウンタのセンサ8がシュート7上に配されている。
【0003】
上記のようなパーツフィーダには、通常、その振動の振幅のフィードバック制御を行う制御装置が付設されている(例えば、特許文献1参照。)。このようなパーツフィーダ用制御装置の制御回路の一例を図6に示す。この制御回路51は、主要部をCPU52としたもので、設定器53で設定された定常時および低速時の振幅設定値をCPU52内のメモリ54に記憶して、当初は定常時振幅設定値を振幅目標値としておき、パーツフィーダの振動センサ55から信号増幅回路56とフィルタ57を通ってCPU52に入力された信号をA/D変換により振幅の大きさ(振幅測定値)に変換し、この振幅測定値と振幅目標値の差をなくすように出力設定回路58で駆動電圧の設定値を演算し、決定した駆動電圧の信号をパーツフィーダ駆動部59に送るようにしている。また、波形整形回路60とCPU52内のPLL(Phase-Locked Loop)61とにより、パーツフィーダの振動の周波数がその共振周波数となるように駆動電圧の周波数を補正する周波数フィードバック制御(共振点追尾制御)を行い、少ない電流で効率よく振幅制御を行えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3235858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、パーツフィーダから次工程へ供給する部品の個数や重量(部品量)が規定値に達してからパーツフィーダを停止させると、部品量の規定値を超えてしまう。そこで、上記の図6に示した例では、パーツフィーダと次工程とを接続するシュートに設けたカウンタ62に、前記部品量の規定値(第1既定値)とこれよりも若干小さい第2既定値を設定しておき、カウンタ62で部品量が第2既定値に達したことを検知するとカウンタ62から制御回路51に減速信号を送り、制御回路51が振幅目標値を低速時振幅設定値に変更して振幅フィードバック制御を行うことにより、部品搬送速度を定常時よりも遅くして部品を少量ずつ供給するようにし、カウンタ62で部品量が第1既定値に達したことを検知したときに、カウンタ62から制御回路51に停止信号を送ってパーツフィーダを停止させ、部品量をより正確に制御できるようにしている。
【0006】
しかしながら、一般に振動センサ55として使用される加速度センサは、部品がパーツフィーダに投入される際の落下時の衝撃や選別部で排除される際の落下時の振動等、振幅フィードバック制御で必要としない振動(ノイズ)も拾いやすい。このため、部品搬送速度が定常時よりもかなり遅くなったとき、すなわちパーツフィーダの振動の振幅が微小になったときには、振幅測定値に対するノイズの割合が大きくなることにより、振幅フィードバック制御が大きくハンチングして、部品が進んだり止まったりする不安定な状態が生じることがある。
【0007】
また、図7に示すように、パーツフィーダの振動の振幅が微小になると、定常時には問題とならないノイズ等の小さな信号変動に対して、波形整形回路60が誤った整形波形を出してしまいやすくなる。波形整形回路60の出力の立上がりまたは立下りのポイントはPLL61で共振点を見つける際の基準点になる部分であるので、ここで間違った情報が出力されると、周波数フィードバック制御が誤った周波数補正を行ってしまう。その後に正常な情報が出力されれば補正は元に戻るが、このように間違った補正の後に正常な補正を行うことを繰り返すことにより、周波数の変動による振幅の変動が生じて振幅フィードバック制御の動作が不安定になることがある。なお、図7ではノイズが1回だけ入った場合を示しているが、実際はこのようなノイズがランダムに繰り返し入ってくるため、単純なフィルタや平均化回路ではノイズを完全に除去することは困難であった。
【0008】
上記のようにパーツフィーダの振動の振幅が微小になったときに動作が不安定になる問題は、部品量を正確に制御しようとして部品搬送速度を遅くする場合のほか、作業者が誤って、あるいは調整のために部品搬送速度を遅くしようとして設定器53に微小な振幅設定値を設定した場合にも生じることがある。
【0009】
そこで、本発明は、振動式部品供給装置の振幅フィードバック制御を行う制御装置において、微小な振幅目標値が設定されたときも安定して部品供給装置を駆動できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明は、振動式部品供給装置の駆動部が発生させる振動の振幅の測定値が振幅目標値となるように、駆動部の駆動電圧を調整する振幅フィードバック制御を行う制御装置において、前記振幅目標値が基準値以下に変更され、変更後の振幅目標値と振幅測定値との差が所定範囲内になったときに、前記振幅フィードバック制御を停止させる監視回路を設けた構成を採用した。
【0011】
すなわち、監視回路で振幅の測定値が基準値以下の目標値に近づいたことを検知したときに、振幅レベルの小さい領域でハンチングしやすい振幅フィードバック制御を停止させることにより、制御動作が不安定にならないようにしたのである。
【0012】
上記の構成において、前記監視回路が前記振幅フィードバック制御を停止させた後は、前記駆動電圧をその測定値が一定の電圧目標値となるように調整する電圧フィードバック制御を行って、電源電圧の変動に対して安定した制御状態を維持できるようにすることが望ましい。
【0013】
このとき、前記電圧フィードバック制御の電圧目標値として、前記変更後の振幅目標値と振幅測定値との差が所定範囲内になったときの駆動電圧の測定値を用いるようにすれば、振幅フィードバック制御を行う状態(定振幅モード)から電圧フィードバック制御を行う状態(定電圧モード)への移行時に目標値のズレがなくなり、その移行をスムーズに行うことができる。
【0014】
あるいは、前記電圧フィードバック制御の電圧目標値として、予め設定された一定値を用いることもできる。この場合は、前記電圧フィードバック制御を開始したときに、前記駆動電圧が最初に電圧目標値に達するまでは駆動電圧を一定の速度で変化させることにより、定振幅モードで運転していたときの電圧設定値と定電圧モードでの電圧目標値の差が大きくても、定振幅モードから定電圧モードへスムーズに移行することができる。
【0015】
また、前記振幅フィードバック制御に加えて、前記駆動部の駆動周波数をその測定値が部品供給装置本体の共振周波数となるように調整する周波数フィードバック制御を行う場合は、前記振幅目標値が基準値以下に変更されたときに、前記監視回路が前記振幅フィードバック制御を停止させる前に、前記周波数フィードバック制御を停止させるようにすることが望ましい。周波数フィードバック制御を停止させないと、振幅レベルが小さくなったときに、ノイズ等の影響で周波数補正の動作が不安定になって振幅を変動させるだけでなく、振幅が小さくなるまでの過程でも、周波数を共振点に近づけようとすることによって振幅フィードバック制御の動作を不安定にしてしまいやすいからである。
【0016】
ここで、周波数フィードバック制御を行わない場合は、振幅を小さくするために駆動電圧を下げると共振周波数が上がること、および共振周波数付近でパーツフィーダを駆動すると振動が不安定になることが一般に知られている。そこで、前記周波数フィードバック制御を停止させるときに、前記駆動周波数をそのときの測定値から所定量離れた周波数に変更するようにすれば、駆動周波数を共振点から離すことになり、振幅が小さくなるまでの振幅フィードバック制御の動作をより安定させることができる。
【0017】
また、前記監視回路が前記振幅目標値の比較対象とする基準値は、最大振幅に対する比率で記憶しておき、前記最大振幅を外部から設定可能としたり、前記最大振幅に対する比率を外部から変更可能としたりすれば、部品供給装置本体の特性等に応じた基準値の設定ができるようになり、好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の振動式部品供給装置の制御装置は、上述したように、監視回路で振幅が基準値以下の目標値に近づいたことを検知したときに、振幅レベルの小さい領域で不安定になりやすい振幅フィードバック制御を停止させるようにしたものであるから、微小な振幅目標値が設定されたときも安定して部品供給装置を駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態の制御装置の制御回路のブロック線図
【図2】図1の制御回路における振幅目標値変更後の電圧制御の変形例を説明するグラフ
【図3】第2実施形態の制御装置の制御回路のブロック線図
【図4】図3の制御回路の動作のフローチャート
【図5】一般的なパーツフィーダ(ボウルフィーダ)の正面図
【図6】従来の制御装置の制御回路のブロック線図
【図7】周波数フィードバック制御におけるノイズの影響を説明するグラフ
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。第1の実施形態の制御装置は、図5に示した振動式部品供給装置(パーツフィーダ)としてのボウルフィーダに組み込まれ、図1に示す制御回路11により、ボウルフィーダに取り付けた振動センサ(振動検出器)15から送られる信号に基づいてボウルフィーダの駆動部19への印加電圧を制御するものである。ここで、ボウルフィーダの構成は前述の通りであるので、説明を省略する。
【0021】
前記制御回路11の基本的な構成は、図6に示した従来の制御回路51から波形整形回路60とCPU52内のPLL61を除いて、周波数フィードバック制御(共振点追尾制御)を行わないようにしたものと同じである。すなわち、この制御回路11は、図1に示すように、主要部をCPU12としたもので、設定器13で設定された定常時および低速時の振幅設定値をCPU12内のメモリ14に記憶して、当初は定常時振幅設定値を振幅目標値としておき、パーツフィーダの振動センサ15から信号増幅回路16とフィルタ17を通ってCPU12に入力された信号をA/D変換により振幅の大きさ(振幅測定値)に変換し、この振幅測定値と振幅目標値の差をなくすように出力設定回路18で駆動電圧の設定値を演算し、決定した駆動電圧の信号をパーツフィーダ駆動部19に送ることにより、振幅フィードバック制御を行っている。なお、振動センサ15には加速度センサを用いているが、それ以外のものを用いることもできる。
【0022】
そして、パーツフィーダと次工程とを接続するシュート(図示省略)に設けたカウンタ20に、次工程に供給する部品量(個数または重量)の規定値(第1既定値)とこれよりも若干小さい第2既定値を設定しておき、カウンタ20で部品量が第2既定値に達したことを検知するとカウンタ20から制御回路11に減速信号を送り、制御回路11が振幅目標値を低速時振幅設定値に変更して振幅フィードバック制御を行うことにより、部品搬送速度を定常時よりも遅くして部品を少量ずつ供給するようにし、カウンタ20で部品量が第1既定値に達したことを検知したときに、カウンタ20から制御回路11に停止信号を送ってパーツフィーダを停止させるようになっている。なお、カウンタ20は、部品の個数をカウントする計測器に限らず、部品の質量を測る機器を用いてもよい。
【0023】
この制御回路11の従来(図6の例)と異なる点は、前述のように周波数フィードバック制御を行わないことと、振幅目標値が基準値以下になったかどうかを監視する監視回路21をCPU12内に設けたことである。その監視回路21が振幅目標値の比較対象とする基準値は、予め設定器13で定常時振幅設定値と低速時振幅設定値の中間の値に設定され、CPU12内のメモリ14に記憶されている。
【0024】
前記監視回路21は、カウンタ20の減速信号により振幅目標値が低速時振幅設定値に変更されて基準値以下となった後は、振幅測定値が変更後の振幅目標値(低速時振幅設定値)に近づいたかどうかを監視する。そして、変更後の振幅目標値と振幅測定値との差が所定範囲内になった(目標値と測定値が同じになった場合を含む)ことを検知すると、振幅フィードバック制御を停止させると同時に、このときの駆動電圧の測定値を記憶し、記憶した電圧値を電圧目標値とする電圧フィードバック制御を開始する。具体的には、出力設定回路18において、振幅測定値と振幅目標値の差を無視し、駆動電圧をその測定値が電圧目標値となるように調整する。電圧フィードバック制御は、振動センサ15の信号に比べて十分に電圧値の大きい駆動電圧を検出して制御を行うので、振幅フィードバック制御に比べて振動レベルの低い領域でもノイズに強く動作が安定している。
【0025】
なお、次工程に第1既定値の部品量が供給されてパーツフィーダが停止した後は、カウンタ20がリセットされて減速信号および停止信号を出さない状態となるので、次回運転開始時には、制御回路11が振幅目標値を定常時振幅設定値に戻して振幅フィードバック制御を行うことになる。
【0026】
この制御装置は、上述したように、監視回路21で振幅が基準値以下の目標値に近づいたことを検知したときに、振幅フィードバック制御を停止させると同時に、このときの駆動電圧の測定値を目標値とする電圧フィードバック制御を開始するようにしたので、振幅目標値が基準値以下の低速時振幅設定値に変更されても、振幅フィードバック制御を行う状態(定振幅モード)から電圧フィードバック制御を行う状態(定電圧モード)にスムーズに移行して安定した部品供給を行うことができる。
【0027】
すなわち、一般に、振幅フィードバック制御を行っているときは、振幅目標値が一定でもパーツフィーダ内の部品量等によって駆動電圧が変わってくるので、電圧フィードバック制御に移行したときに、予め設定された振幅と駆動電圧の関係に基づいて振幅目標値に対応する駆動電圧を出力すると、駆動電圧および振幅が急激に変化する場合がある。これに対して、この制御装置では、監視回路21で振幅が目標値に近づいたあるいは目標値と同じになったときの駆動電圧を電圧フィードバック制御の目標値としているので、振幅を一定に保ったまま制御の移行を行うことができる。
【0028】
上述した実施形態では電圧フィードバック制御の電圧目標値を振幅フィードバック制御停止時の電圧測定値としたが、定電圧モードでは予め設定した一定の電圧目標値を使用するようにしてもよい。この場合は、図2に示すように、電圧フィードバック制御を開始したときに、駆動電圧が最初に電圧目標値に達するまでは駆動電圧を一定の速度で変化させるとよい。このようにすれば、定振幅モードで運転していたときの電圧設定値と定電圧モードでの電圧目標値の差が大きくても、駆動電圧が急激に変化することなく、定振幅モードから定電圧モードへスムーズに移行することができる。
【0029】
また、監視回路21が振幅目標値の比較対象とする基準値は、設定器13で最大振幅に対する比率で記憶しておき、その最大振幅を外部から設定可能としたり、最大振幅に対する比率を外部から変更可能としたりすれば、パーツフィーダ本体の特性等に応じた適切な設定ができるようになる。すなわち、振幅目標値はパーツフィーダ本体ごとに異なってくるので、その比較対象とする基準値は、固定とするよりも可変とした方が使用範囲が広くなって好ましい。
【0030】
図3は第2の実施形態を示す。この実施形態は、図1に示した第1実施形態の制御回路11に波形整形回路22とCPU12内のPLL23を加えて、図6に示した従来のものと同様に振幅フィードバック制御および周波数フィードバック制御(共振点追尾制御)を行うようにし、それに応じて監視回路21の役割を後述するように変更したものである。
【0031】
次に、この第2実施形態の制御回路11の動作を図4に基づいて説明する。なお、図中のFB制御とはフィードバック制御のことである。
【0032】
まず、パーツフィーダの運転開始時に、制御モードを共振点追尾モード(振幅フィードバック制御と共振点追尾制御が行われる状態)に設定しておく(S1)。このとき、振幅目標値は基準値よりも大きい定常時振幅設定値となっている。
【0033】
運転開始から振幅目標値が基準値以下になるまでは、運転開始時に設定された共振点追尾モードで制御を続け(S2〜S5)、監視回路21で振幅目標値が基準値以下に変更されたことを検知すると、駆動周波数をそのときの測定値から所定量α(Hz)だけ高い周波数に変更し、共振点追尾制御を停止させて定振幅モードに移行する(S4、S6〜S8)。
【0034】
そして、定振幅モードでの制御中に、監視回路21で振幅測定値と変更後の振幅目標値(低速時振幅設定値)との差が所定範囲±β(%)内になったことを検知すると、そのときの駆動電圧の測定値を定電圧モードの電圧目標値として記憶し、振幅フィードバック制御を停止させて定電圧モードに移行する(S9〜S12)。
【0035】
その後、振幅目標値が基準値より大きい値に再変更された場合は、電圧フィードバック制御を停止させて共振点追尾モードに戻る(S4、S5、S13)。
【0036】
この第2実施形態では、上述したように、振幅目標値が定常時振幅設定値とされている間は、共振点追尾モードで振幅フィードバック制御と共振点追尾制御が行われるので、第1実施形態よりも少ない電流で効率よく振幅制御を行える。そして、振幅目標値が基準値以下の低速時振幅設定値に変更されたときには、監視回路21が振幅フィードバック制御を停止させる前に、駆動周波数をそのときの測定値から所定量離れた周波数に変更したうえで、共振点追尾制御を停止させて一旦定振幅モードに移行するので、定振幅モードでは駆動周波数を共振点から離した状態で振幅フィードバック制御を行うことになり、安定して振幅を変更後の振幅目標値に近づけていくことができる。また、定振幅モードから定電圧モードへの移行をスムーズに行える点は、第1実施形態と同じである。
【0037】
上述した各実施形態では、振幅の測定値として、振動センサ15から信号増幅回路16とフィルタ17を通ってCPU12に入力された信号をA/D変換したものを用いたが、電流や電圧の測定値から演算によって導き出したものを用いてもよい。
【0038】
また、振幅測定値が基準値以下の振幅目標値に近づくと、振幅フィードバック制御を停止させると同時に電圧フィードバック制御を開始するようにしたが、振幅フィードバック制御を停止させるだけ(電圧フィードバック制御を行わず、そのときの電圧設定値を維持するだけ)でも、従来よりは安定した部品供給を行うことができる。
【0039】
そのほか、図1および図3では監視回路21がメモリ14に接続されているように図示されているが、監視回路はCPU内で振幅設定値や振動センサの信号が入力されるようになっていればよい。また、図3ではPLL23で周波数フィードバック制御を行っているが、振幅目標値の変更に応じて振幅フィードバック制御への移行ができれば、PLL23に代えて別の回路方式を採用しても構わない。
【0040】
また、本発明によれば、各実施形態のように次工程へ供給する部品量を正確に制御するために運転の終盤で部品搬送速度を遅くしようとする場合だけでなく、作業者が誤って振幅設定値を下げてしまった場合や、調整のために部品搬送速度を遅くしようとして微小な振幅設定値を設定した場合にも、安定して部品供給装置を駆動することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ボウル
2 上部振動体
3 下部振動体
4 板ばね
5 基台
6 防振部材
11 制御回路
21 監視回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動式部品供給装置の駆動部が発生させる振動の振幅の測定値が振幅目標値となるように、駆動部の駆動電圧を調整する振幅フィードバック制御を行う制御装置において、前記振幅目標値が基準値以下に変更され、変更後の振幅目標値と振幅測定値との差が所定範囲内になったときに、前記振幅フィードバック制御を停止させる監視回路を設けたことを特徴とする振動式部品供給装置の制御装置。
【請求項2】
前記監視回路が前記振幅フィードバック制御を停止させた後、前記駆動電圧をその測定値が一定の電圧目標値となるように調整する電圧フィードバック制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の振動式部品供給装置の制御装置。
【請求項3】
前記電圧フィードバック制御の電圧目標値として、前記変更後の振幅目標値と振幅測定値との差が所定範囲内になったときの駆動電圧の測定値を用いることを特徴とする請求項2に記載の振動式部品供給装置の制御装置。
【請求項4】
前記電圧フィードバック制御の電圧目標値として、予め設定された一定値を用いることを特徴とする請求項2に記載の振動式部品供給装置の制御装置。
【請求項5】
前記電圧フィードバック制御を開始したときに、前記駆動電圧が最初に電圧目標値に達するまでは駆動電圧を一定の速度で変化させることを特徴とする請求項4に記載の振動式部品供給装置の制御装置。
【請求項6】
前記振幅フィードバック制御に加えて、前記駆動部の駆動周波数をその測定値が部品供給装置本体の共振周波数となるように調整する周波数フィードバック制御を行うものであり、前記振幅目標値が基準値以下に変更されたときに、前記監視回路が前記振幅フィードバック制御を停止させる前に、前記周波数フィードバック制御を停止させるようにしたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の振動式部品供給装置の制御装置。
【請求項7】
前記周波数フィードバック制御を停止させるときに、前記駆動周波数をそのときの測定値から所定量離れた周波数に変更することを特徴とする請求項6に記載の振動式部品供給装置の制御装置。
【請求項8】
前記監視回路が前記振幅目標値の比較対象とする基準値を最大振幅に対する比率で記憶しておき、前記最大振幅を外部から設定可能としたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の振動式部品供給装置の制御装置。
【請求項9】
前記最大振幅に対する比率を外部から変更可能としたことを特徴とする請求項8に記載の振動式部品供給装置の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−112429(P2013−112429A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257265(P2011−257265)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】