説明

振動片、振動子及び発振器

【課題】耐衝撃特性を向上させることが可能な振動片、この振動片を備えた振動子及びこの振動片を備えた発振器の提供。
【解決手段】水晶振動片1は、基部10と、基部10から延びる一対の振動腕11と、を備え、振動腕11が、基部10側に位置する腕部13と、腕部13より先端側に位置し腕部13より幅が広い錘部14と、互いに対向する両方の主面15,16に振動腕11の長手方向に沿って形成された溝部17と、を有し、平面視において、錘部14と腕部13との結合部18が、腕部13の幅が錘部14に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていると共に、平面視において、溝部17における錘部14側の端部17aの、長手方向に延びる長辺17bと、長辺17bに対して交差する方向に延びる短辺17cとの接続部17dが、曲線で形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動片、この振動片を備えた振動子及びこの振動片を備えた発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1と第2の平行な振動アーム(以下、振動腕という)が延びるベース(以下、基部という)と、各振動腕の自由端を形成するフリッパー形状をした拡大部分(以下、錘部という)と、各振動腕の正面と裏面の少なくとも一方に形成された溝(以下、溝部という)と、を有し、この溝部が振動腕の自由端(先端)の方向に、錘部の開始点を越えて延びているピエゾ電子同調フォーク型共振器(以下、振動片という)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−27711号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、上記振動片は、振動腕に形成された溝部が振動腕の先端の方向に、錘部の開始点を越えて延びていることから、衝撃時の溝部における応力が分散し、耐衝撃特性が向上するとされている。
しかしながら、上記振動片は、実施例の平面視(特許文献1の図1参照)において、錘部の開始点である錘部と腕部(振動腕の本体部分)との結合部が鋭角に形成されていると共に、溝部における錘部側の端部が角張って形成されている。
これらにより、上記振動片は、衝撃時において、錘部と腕部との結合部及び溝部における錘部側の端部に応力集中が発生し、上記各部分から破損する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる振動片は、基部と、前記基部から延びる少なくとも1本の振動腕と、を備え、前記振動腕は、前記基部側に位置する腕部と、前記腕部より先端側に位置し前記腕部より幅が広い錘部と、互いに対向する両方の主面の少なくとも一方に、前記振動腕の長手方向に沿って形成された溝部と、を有し、平面視において、前記錘部と前記腕部との結合部が、前記腕部の幅が前記錘部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていると共に、平面視において、前記溝部における前記錘部側の端部の、前記長手方向に延びる長辺と前記長辺に対して交差する方向に延びる短辺との接続部が、曲線で形成されていることを特徴とする。
【0007】
これによれば、振動片は、平面視において、錘部と腕部との結合部が、腕部の幅が錘部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていると共に、溝部における錘部側の端部の長辺と短辺との接続部が、曲線で形成されている。
この結果、振動片は、衝撃時に錘部と腕部との結合部及び溝部における錘部側の端部に応力集中が発生し難い(応力集中が緩和される)ことから、応力集中による上記部分の破損を低減することが可能となる。
したがって、振動片は、耐衝撃特性を向上させることができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる振動片において、前記溝部は、前記錘部側の端部が前記結合部にかかるように形成されていることが好ましい。
【0009】
これによれば、振動片は、溝部における錘部側の端部が、結合部にかかるように形成されている。
この結果、振動片は、結合部の曲線形状と溝部の端部の曲線形状との相乗効果によって、結合部周辺の応力集中がさらに発生し難い(応力集中が緩和される)ことから、応力集中に伴う上記部分の破損をさらに低減することが可能となる。
加えて、振動片は、上記溝部の端部が結合部にかかるように形成されていることから、上記溝部の端部が結合部を越えて錘部にかかる場合の錘部の慣性質量の減少によるQ値(振動の状態を現す無次元数であって、この値が大きいほど振動が安定であることを意味する)の低下と、上記溝部の端部が結合部に至らない場合(溝部の長さが短い場合)の熱弾性損失(屈曲振動する振動片の圧縮部と伸張部との間で発生する熱伝導により生じる振動エネルギーの損失)の増加と、を最も効率的に回避できる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる振動片において、前記錘部は、前記先端側から前記基部側へ向かうに連れて、側面の段差により幅が狭くなる狭幅部を有することが好ましい。
【0011】
これによれば、振動片は、錘部が先端側から基部側へ向かうに連れて、側面の段差により幅が狭くなる狭幅部を有している。
この結果、振動片は、狭幅部がない場合と比較して、錘部(狭幅部)と腕部との幅の差を小さくできることから、結合部の曲線の曲率を大きくすることが容易となる。
したがって、振動片は、結合部に、より応力集中を発生し難くさせる(より応力集中を緩和させる)ことができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる振動片において、前記振動腕を複数本備え、前記複数本の振動腕と、前記基部とを含んで音叉を構成することが好ましい。
【0013】
これによれば、振動片は、振動腕を複数本備え、複数本の振動腕と、基部とを含んで音叉を構成することから、応力集中による破損を低減することが可能な音叉型振動片を提供できる。
【0014】
[適用例5]本適用例にかかる振動子は、適用例1ないし適用例4のいずれか一例に記載の振動片と、前記振動片を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
これによれば、振動子は、適用例1ないし適用例4のいずれか一例に記載の振動片を備えたことから、耐衝撃特性を向上させることができる。
【0016】
[適用例6]本適用例にかかる発振器は、適用例1ないし適用例4のいずれか一例に記載の振動片と、前記振動片を発振させる発振回路を有する回路素子と、前記振動片及び前記回路素子を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする。
【0017】
これによれば、発振器は、適用例1ないし適用例4のいずれか一例に記載の振動片を備えたことから、耐衝撃特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態の振動片の概略構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の断面図。
【図2】図1(a)のB部拡大図。
【図3】変形例の振動片の概略構成を示す模式平面図。
【図4】第2の実施形態の振動子の概略構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の断面図。
【図5】第3の実施形態の発振器の概略構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の振動片の概略構成を示す模式図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A線での断面図である。そして、図2は、図1(a)のB部拡大図である。
【0021】
図1、図2に示すように、振動片としての水晶振動片1は、水晶の原石などから所定の角度で切り出されたウエハー状の水晶基板を基材とし、外形形状がフォトリソグラフィ技術を用いたウエットエッチングなどによって形成されている。
【0022】
水晶振動片1は、略矩形状の基部10と、基部10から、互いに沿って延びる一対の振動腕11と、基部10を、振動腕11の延びる方向に対して交差する方向(ここでは、略直交する方向)に切り欠いた一対の切り欠き部12と、を備えている。
振動腕11は、基部10側に位置する腕部13と、腕部13より先端側に位置し腕部13より幅が広い錘部14と、互いに対向する両方の主面15,16に、振動腕11の長手方向(振動腕11の延びる方向)に沿って形成され、一対の振動腕11の並ぶ方向に沿って切断した振動腕11の断面形状(A−A線での断面形状)が、略H字状となる溝部17と、を有している。
【0023】
錘部14は、先端側から基部10側へ向かうに連れて、両側面に設けられた段差14aにより、先端側よりも幅が狭くなる狭幅部14bを有している。
なお、側面の段差14aは、平面視において、幅の広い先端側と狭幅部14bとを傾斜した直線で繋ぐように形成されているが、この直線に代えて曲線(例えば、円弧状の曲線)で形成されていてもよい。
【0024】
水晶振動片1は、平面視において、錘部14と腕部13との結合部18が、腕部13の幅が錘部14に近づくに連れて広がるように曲線(例えば、円弧状の曲線)で形成されている。
それと共に、水晶振動片1は、平面視において、溝部17における錘部14側の端部17aの、溝部17の長手方向に延びる長辺17bと長辺17bに対して交差する方向(ここでは、略直交する方向)に延びる短辺17cとの接続部17dが、角張らないように曲線(例えば、円弧状の曲線)で形成されている。
なお、短辺17cは、ここでは直線で表されているが、短辺17cより基部10側に中心が位置する円弧状の曲線でもよく、両方の接続部17dの曲線の曲率によっては、長さが略0となってもよい。
また、上記各曲線は、異なる曲率の複数の円弧や、スプライン曲線から構成されていてもよい。
【0025】
図2に示すように、水晶振動片1は、溝部17における錘部14側の端部17aが、結合部18にかかるように形成されている。
換言すれば、錘部14側の端部17aは、短辺17cが結合部18の範囲L(振動腕11の延びる方向における、結合部18を形成する曲線の始点から終点までの範囲)内に位置するように形成されている。
【0026】
また、水晶振動片1は、錘部14が狭幅部14bを有しているので、狭幅部14bの幅W1と腕部13の幅W2との差が、狭幅部14bが形成されない場合よりも小さくなっている。
これにより、結合部18を形成する曲線の曲率は、狭幅部14bの幅W1と腕部13の幅W2との差が大きい場合、つまり狭幅部14bが形成されない場合と比較して、結合部18の範囲Lが同じであれば大きくなる。
【0027】
図1(a)に戻って、水晶振動片1は、基部10と、一対(2本)の振動腕11とを含んで音叉を構成することで、音叉型振動片としての音叉型水晶振動片となっており、基部10の一対の切り欠き部12を挟んで振動腕11側に対して反対側となる部分(切り欠き部12より紙面下方の部分)が、パッケージなどの外部部材に、導電性接着剤などを用いて固定されるようになっている。
【0028】
そして、水晶振動片1は、一対の振動腕11に形成された図示しない励振電極に、基部10に形成された図示しないマウント電極を経由して外部から駆動信号が印加されることにより、一対の振動腕11が、所定の周波数(例えば、32kHz)で矢印C方向(一対の振動腕11が互いに離れる方向)及び矢印D方向(一対の振動腕11が互いに近づく方向)に交互に屈曲振動(共振)する。
【0029】
この際、水晶振動片1は、振動腕11に溝部17が形成されていることで、屈曲振動によって発生する熱が、溝部17によって拡散(熱伝導)し難くなるように構成されていることから、熱弾性損失を抑制できる。このとき、水晶振動片1は、溝部17が長いほど熱弾性損失をより抑制できる。
また、水晶振動片1は、振動腕11に錘部14が形成されていることで、錘部14の慣性質量の増加によるQ値の向上効果により、例えば、Q値を維持しながら振動腕を短くすることができる。つまり、水晶振動片1は、錘部14によってQ値を維持しつつ、小型化を図ることができる。
加えて、水晶振動片1は、基部10に一対の切り欠き部12を有することで、振動腕11の屈曲振動に伴う基部10の振動を吸収し、外部への振動漏れを低減することができる。
【0030】
上述したように、第1の実施形態の水晶振動片1は、平面視において、錘部14と腕部13との結合部18が、腕部13の幅が錘部14(狭幅部14b)に近づくに連れて広がるように曲線で形成されている。
それと共に、水晶振動片1は、平面視において、溝部17における錘部14側の端部17aの、溝部17の長手方向に延びる長辺17bと、長辺17bに対して交差する方向に延びる短辺17cとの接続部17dが、角張らないように曲線で形成されている。
【0031】
これによって、水晶振動片1は、落下、衝突などによる衝撃が加わった時に、錘部14と腕部13との結合部18及び溝部17における錘部14側の端部17aに応力集中が発生し難い(応力集中が緩和される)ことから、応力集中による上記部分の破損を低減することが可能となる。
したがって、水晶振動片1は、耐衝撃特性を向上させることができる。
【0032】
また、水晶振動片1は、溝部17における錘部14側の端部17aが、結合部18にかかるように形成されている。換言すれば、錘部14側の端部17aは、短辺17cが結合部18の範囲L内に位置するように形成されている。
【0033】
これにより、水晶振動片1は、結合部18の曲線形状と溝部17の端部17aの接続部17dの曲線形状との相乗効果によって、結合部18周辺の応力集中がさらに発生し難い(応力集中が緩和される)ことから、応力集中に伴う上記部分の破損をさらに低減することが可能となる。
【0034】
加えて、水晶振動片1は、溝部17における錘部14側の端部17aが、結合部18にかかるように形成されていることから、溝部17の錘部14側の端部17aが、結合部18を越えて錘部14(狭幅部14b)にかかる場合の錘部14の慣性質量の減少によるQ値の低下と、溝部17の錘部14側の端部17aが、結合部18に至らない場合(溝部17の長さが短い場合)の熱弾性損失の増加と、を最も効率的に回避できる。
【0035】
また、水晶振動片1は、錘部14が狭幅部14bを有しているので、狭幅部14bの幅W1と腕部13の幅W2との差が、狭幅部14bが形成されない場合よりも小さくなっている。
これにより、結合部18を形成する曲線の曲率は、狭幅部14bの幅W1と腕部13の幅W2との差が大きい場合、つまり狭幅部14bが形成されない場合と比較して、結合部18の範囲Lが同じであれば大きくなる。
この結果、水晶振動片1は、結合部18に、より応力集中を発生し難くさせる(より応力集中を緩和させる)ことができる。
【0036】
また、水晶振動片1は、基部10と、一対(2本)の振動腕11とを含んで音叉を構成することから、応力集中による破損を低減することが可能な音叉型振動片としての音叉型水晶振動片を提供できる。
【0037】
(変形例)
ここで、第1の実施形態の変形例について説明する。
図3は、変形例の振動片の概略構成を示す模式平面図である。なお、第1の実施形態との共通部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0038】
図3に示すように、変形例の振動片としての水晶振動片2は、錘部114が、各腕部13に対して腕部13同士が対向する側の反対側に偏って形成されている。
そして、水晶振動片2は、一対の振動腕11において、腕部13同士が対向する側の、腕部13の側面と錘部114の側面とが、狭幅部114bの側面を含めて段差の無い一体化された平面状に形成されている。
これにより、結合部18は、腕部13と錘部114との、腕部13同士が対向する側の反対側のみに形成されることになる。
【0039】
上述したように、水晶振動片2は、錘部114が、各腕部13に対して腕部13同士が対向する側の反対側に偏って形成され、一対の振動腕11の間隔が広がることから、振動腕11同士の振動時の干渉を容易に回避することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態として、上記で説明した水晶振動片を備えた振動子について説明する。
図4は、第2の実施形態の振動子の概略構成を示す模式図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は、図4(a)のE−E線での断面図である。
【0041】
図4に示すように、振動子としての水晶振動子5は、第1の実施形態の水晶振動片1と、水晶振動片1を収容するパッケージ80と、を備えている。
パッケージ80は、パッケージベース81、シームリング82、蓋体85などから構成されている。
パッケージベース81は、水晶振動片1を収容できるように凹部が形成され、その凹部に水晶振動片1の図示しないマウント電極と接続される接続パッド88が設けられている。
接続パッド88は、パッケージベース81内の配線に接続され、パッケージベース81の外周部に設けられた外部接続端子83と導通可能に構成されている。
【0042】
パッケージベース81の凹部の周囲には、シームリング82が設けられている。さらに、パッケージベース81の底部には、貫通穴86が設けられている。
水晶振動片1は、パッケージベース81の接続パッド88に導電性接着剤84を介して接着固定されている。そして、パッケージ80は、パッケージベース81の凹部を覆う蓋体85とシームリング82とがシーム溶接されている。
パッケージベース81の貫通穴86には、金属材料などからなる封止材87が充填されている。この封止材87は、減圧雰囲気内で溶融後固化され、パッケージベース81内が減圧状態を保持できるように、貫通穴86を気密に封止している。
水晶振動子5は、外部接続端子83を介した外部からの駆動信号により水晶振動片1が励振され、所定の周波数(例えば、32kHz)で発振(共振)する。
【0043】
上述したように、水晶振動子5は、耐衝撃特性が向上した水晶振動片1を備えていることから、耐衝撃特性を向上させることができる。
なお、水晶振動子5は、水晶振動片1に代えて水晶振動片2を用いても、同様の効果を奏することができる。
【0044】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態として、上記で説明した水晶振動片を備えた発振器について説明する。
図5は、第3の実施形態の発振器の概略構成を示す模式図であり、図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)のF−F線での断面図である。
【0045】
発振器としての水晶発振器6は、上記水晶振動子5の構成に回路素子をさらに備えた構成となっている。なお、水晶振動子5との共通部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図5に示すように、水晶発振器6は、第1の実施形態の水晶振動片1と、水晶振動片1を発振させる発振回路を有する回路素子としてのICチップ91と、水晶振動片1及びICチップ91を収容するパッケージ80と、を備えている。
ICチップ91は、パッケージベース81の底部に固着され、Au、Alなどの金属ワイヤー92により他の配線と接続されている。
水晶発振器6は、ICチップ91の発振回路からの駆動信号により水晶振動片1が励振され、所定の周波数(例えば、32kHz)で発振(共振)する。
【0046】
上述したように、水晶発振器6は、耐衝撃特性が向上した水晶振動片1を備えていることから、耐衝撃特性を向上させることができる。
なお、水晶発振器6は、水晶振動片1に代えて水晶振動片2を用いても、同様の効果を奏することができる。
【0047】
なお、上記各実施形態及び変形例において、水晶振動片1,2の溝部17は、両主面15,16に形成されているが、両主面15,16の少なくとも一方に形成されていればよい。
また、水晶振動片1,2の振動腕11の数は、2本としたが、これに限定するものではなく、1本、または3本以上でもよい。
また、一対の切り欠き部12は、なくてもよい。
また、水晶振動片1,2は、基部10から延びる外部接続用の保持腕を備えていてもよい。
【0048】
なお、狭幅部14b,114bは、側面の段差14aが1段であることにより、各振動腕11に1つとなっているが、側面の段差14aを複数段にして、各振動腕11に複数設けてもよく、なくてもよい。
また、溝部17における錘部14,114側の端部17aは、結合部18に至らなくてもよい(短辺17cが結合部18の範囲Lより基部10側に位置していてもよい)。
【0049】
なお、溝部17における基部10側の端部は、上記の錘部14,114側の端部17aと同様の形状で形成されていることが好ましいが、この形状に限定するものではない。
また、腕部13と基部10との結合部は、錘部14,114と腕部13との結合部18と同様に、腕部13の幅が基部10に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていることが好ましいが、この形状に限定するものではなく、直線でテーパー状に形成されていてもよい。
【0050】
なお、上記各実施形態及び変形例では、振動片を水晶としたが、これに限定するものではなく、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li247)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体、または酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体を被膜として備えたシリコンなどであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1,2…振動片としての水晶振動片、5…振動子としての水晶振動子、6…発振器としての水晶発振器、10…基部、11…振動腕、12…切り欠き部、13…腕部、14…錘部、14a…段差、14b…狭幅部、15,16…主面、17…溝部、17a…端部、17b…長辺、17c…短辺、17d…接続部、18…結合部、80…パッケージ、81…パッケージベース、82…シームリング、83…外部接続端子、84…導電性接着剤、85…蓋体、86…貫通穴、87…封止材、88…接続パッド、91…回路素子としてのICチップ、92…金属ワイヤー、114…錘部、114b…狭幅部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部から延びる少なくとも1本の振動腕と、を備え、
前記振動腕は、前記基部側に位置する腕部と、前記腕部より先端側に位置し前記腕部より幅が広い錘部と、互いに対向する両方の主面の少なくとも一方に、前記振動腕の長手方向に沿って形成された溝部と、を有し、
平面視において、前記錘部と前記腕部との結合部が、前記腕部の幅が前記錘部に近づくに連れて広がるように曲線で形成されていると共に、
平面視において、前記溝部における前記錘部側の端部の、前記長手方向に延びる長辺と前記長辺に対して交差する方向に延びる短辺との接続部が、曲線で形成されていることを特徴とする振動片。
【請求項2】
請求項1に記載の振動片において、前記溝部は、前記錘部側の端部が前記結合部にかかるように形成されていることを特徴とする振動片。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の振動片において、前記錘部は、前記先端側から前記基部側へ向かうに連れて、側面の段差により幅が狭くなる狭幅部を有することを特徴とする振動片。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の振動片において、前記振動腕を複数本備え、前記複数本の振動腕と、前記基部とを含んで音叉を構成することを特徴とする振動片。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする振動子。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片を発振させる発振回路を有する回路素子と、
前記振動片及び前記回路素子を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−239133(P2011−239133A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107982(P2010−107982)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】