排出オーガ制御装置
【課題】排出オーガが収納位置にある場合における排出スイッチの誤操作の防止を損なうことなく、必要により排出オーガの稼動が可能となる排出オーガ制御装置を提供することにある。
【解決手段】排出オーガ制御装置は、排出オーガ22が所定の収納位置Aにある場合に限り、排出スイッチ33の信号を受けても排出オーガ22の稼動を規制する制御部31を備えて構成され、この制御部31は、搭載機器についての所定の特例条件の当否を判定する特例条件判定手段を備え、その該当判定下において受けた排出スイッチ33の信号に応じて排出オーガ22を稼動するように構成する。
【解決手段】排出オーガ制御装置は、排出オーガ22が所定の収納位置Aにある場合に限り、排出スイッチ33の信号を受けても排出オーガ22の稼動を規制する制御部31を備えて構成され、この制御部31は、搭載機器についての所定の特例条件の当否を判定する特例条件判定手段を備え、その該当判定下において受けた排出スイッチ33の信号に応じて排出オーガ22を稼動するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインのグレンタンクから収容穀粒を排出する排出オーガの稼動を制御する排出オーガ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインの排出オーガは、特許文献1に示されるように、旋回可能な縦オーガ部と、この縦オーガ部の頂部に連結され、昇降可能な横オーガ部とによって構成され、これら縦オーガ部および横オーガ部からなる排出オーガは、制御部により排出スイッチの操作に応じて断接動作するベルトクラッチ等を介してエンジン動力を受けることにより、オペレータの意に従ってグレンタンクの収容穀粒を機外に排出することができる。
【0003】
上記排出オーガの縦オーガ部の旋回動作によりその頂部の横オーガ部は、所定の収納位置からトラックの荷台等に排出口の位置を合わせ、排出スイッチの操作に応じて排出動作する。穀粒の排出動作が終了した時は横オーガ部を機体上の所定の収納位置に戻すように排出オーガ制御装置によって制御されるとともに、排出オーガが収納位置に戻された状態では排出スイッチが押されても排出動作が規制される。
【0004】
このように構成された排出オーガ制御装置は、排出オーガが収納位置にある場合に限り、排出スイッチからの排出信号を受けても排出オーガの稼動を規制することにより、各種のスイッチ類が配置された運転操作部における排出スイッチの誤操作等、オペレータが意図しない場合の排出オーガの稼動による籾の散乱等の不測の事態を回避することができる。
【0005】
しかし、グレンタンクの残留籾を全量排出するための排出オーガのカラ排出運転や、ベルトクラッチのテンション調整等の伝動系を含むメンテナンスのための試行排出運転を行う際は、コンバインを収納庫から屋外に移動した上で、排出オーガを収納位置から旋回させる作業を強いられることとなり、煩に耐えなかった。この問題は、コンバイン製造の組立調整ラインにおいても同様であった。
【特許文献1】特開平10−155350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、排出オーガが収納位置にある場合における排出スイッチの誤操作の防止を損なうことなく、必要により排出オーガの稼動が可能となる排出オーガ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、排出オーガが所定の収納位置にある場合に限り、排出スイッチからの排出信号を受けても排出オーガの稼動を規制する制御部を備える排出オーガ制御装置において、上記制御部は、搭載機器の状態を表す信号に基づいて所定の特例条件の当否を判定する特例条件判定手段を備え、その該当判定下において受けた排出スイッチからの排出信号に応じて排出オーガを稼動することを特徴とする。
【0008】
上記構成により、特例条件判定手段の判定に基づき、排出オーガが所定の収納位置にある場合において搭載機器が所定の特例条件に該当しない時は、排出スイッチを操作しても排出オーガの稼動が規制されて動作せず、その一方で、所定の特例条件を満たす場合に限り、排出スイッチの操作により排出オーガが稼動する。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記特例条件は、各機器センサをチェックするセンサチェックスイッチからの操作信号の検出を条件とすることを特徴とする。上記構成により、排出オーガが所定の収納位置にある場合においては、オペレータがセンサチェックスイッチを操作した場合に限って排出オーガの稼動が可能となる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1の構成において、前記特例条件は、所定の複数スイッチの操作信号の検出を条件とすることを特徴とする。上記構成により、排出オーガが所定の収納位置にある場合においては、オペレータが所定の複数スイッチを組み合わせて操作した場合に限って排出オーガの稼動が可能となる。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1の構成において、前記特例条件は、排出オーガのポジションセンサによるポジション異常の検出を条件とすることを特徴とする。上記構成により、排出オーガが所定の収納位置にある場合においては、ポジションセンサによりポジション異常が検出された時に限って排出オーガの稼動が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の排出オーガ制御装置は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明により、特例条件判定手段の判定に基づき、排出オーガが所定の収納位置にある場合において搭載機器が所定の特例条件に該当しない時は、排出スイッチを操作しても排出オーガの稼動が規制されて動作せず、その一方で、所定の特例条件を満たす場合においては、排出スイッチの操作により排出オーガが稼動する。
【0013】
したがって、上記排出オーガ制御装置により、排出オーガが収納位置にある場合において、通常は、排出スイッチの誤操作があっても排出オーガが動作しないことから、穀粒を撒き散らすという不測の事態を防止することができる一方で、オペレータが所定の特例条件を整えることにより、または、関連機器について特例条件が整えられた場合に限り、収納位置のままで排出オーガを稼動して必要なカラ運転や機器の動作点検をすることができる。
【0014】
請求項2に係る発明により、排出オーガが所定の収納位置にある場合においては、オペレータがセンサチェックスイッチを操作した場合に限って排出オーガの稼動が可能となる。したがって、上記排出オーガ制御装置は、排出オーガを含めて機器の動作をチェックすることができる。
【0015】
請求項3に係る発明により、排出オーガが所定の収納位置にある場合においては、オペレータが所定の複数スイッチを組み合わせて操作した場合に限って排出オーガの稼動が可能となる。したがって、上記排出オーガ制御装置は、複数スイッチの特殊な組み合わせを設定することにより、オペレータの意に添って排出オーガを稼動することができる。
【0016】
請求項4に係る発明により、排出オーガが所定の収納位置にある場合においてポジションセンサによりポジション異常が検出された時に限って排出オーガの稼動が可能となる。したがって、上記排出オーガ制御装置は、ポジション異常の際に、オペレータの意に添って排出オーガを稼動して異状をチェックすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、以下に図面に基づいて詳細に説明する。
図1、図2は、そてぞれ、本発明の排出オーガ制御装置を備える汎用コンバインの左側面図および平面図である。図1及び図2において、コンバインは、刈刃装置1によって穀稈を刈取る刈取部A、受けた穀稈から籾を分離する脱穀部B、籾を収容するグレンタンクによる貯留部C、排出オーガによりグレンタンクから籾を搬出する搬出部D等の作業機器と、走行用の左右のクローラ等による走行支持部Eと、機体の前部で作業機動作および機体走行を操作するための運転操作部F等を備える。
【0018】
まず、汎用コンバインでは、図1及び図2に示すように、走行支持部Eとして左右に1対のクローラ11,11を装備した車体上に穀稈供給口12を前側にして脱穀装置6を搭載し、その前方に刈取前処理装置5を設けて、一連の刈取脱穀作業ができる構成としている。そして、脱穀装置6は、刈り取った穀稈の全部を扱室に投入する全稈投入式の構成であって、上側に扱室6aを、下側に選別室6bをそれぞれ配置した汎用コンバイン用脱穀装置に構成されている。
【0019】
つぎに、刈取前処理装置5は、図面に示すように、取付けのベースとなるテーブル13を低位置に横向きにして延長し、その左右両端に、上方に立ち上がった支持枠14,14を設け、該支持枠14,14と前記テーブル13とに各装置を取付けて支持した構成となっている。
【0020】
そこで、刈刃装置1は、図1及び図2に示すように、前記支持枠14,14の前部両側から前方に向けて延長して設けた分草杆15,15の間において、前記テーブル13の前縁に沿わせて設けた構成としている。そして、掻込みリール4は、前記左右両側の支持枠14,14の後部上側に、基部を上下自在に枢着して取付けたリール支持アーム16,16を油圧シリンダ17,17によって昇降自在に支持し、このリール支持アーム16,16を前方側に延長して先端部分に軸架して設けた構成としている。そして、掻込みオーガー2は、図面に示すように、前記刈刃装置1の刈幅と同等の長さに形成して横向きに設け、その両端を左右の支持枠14,14に横軸で軸受支持し、回転に伴って刈取穀稈を搬送螺旋18により掻き込みながら一側に集める構成としている。
【0021】
そして、搬送コンベア3は、図面から解るように、上記掻込みオーガ−2の一側の背後に搬送始端部を臨ませて設け、搬送終端部を前記脱穀装置6の穀稈供給口12に連通させて設け、前記掻込みオーガ−2が集めた刈取穀稈を脱穀装置6まで搬送して供給する構成としている。
【0022】
運転操作部Fは、図3の操作盤の機器配置俯瞰図に示すように、オペレータの前方と側方の2つのパネルブロックによる操作盤からなり、前部パネルには機体旋回と刈取昇降をワンレバーで操作できるいわゆるパワステレバーPを備え、側部パネルには、前後進無段変速用のHSTレバーQ、緩・標準・急のターン切替用の旋回モード切替レバーR、刈取脱穀用の刈脱レバーS等を中心に各種のレバー・スイッチ類を配置するとともに、コーナー位置に作業状態等を表示する表示手段としてメイン表示部(第一表示部)Tとサブ表示部(第二表示部)Uを備えることにより、機体走行と作業機の操作を一人のオペレータ操作によって可能とする。
【0023】
表示手段のメイン表示部Tとサブ表示部Uは、液晶表示器等によりそれぞれを別体に形成し、両方が同時にオペレータの視野に入る範囲内で、メイン表示部Tを操作盤面に、また、サブ表示部Uをその上方にキャビンピラーcによって固定支持する。このサブ表示部Uは、アーム106を介してキャビンピラーcに取付け、支持材101,102で固定バー100を取付けるとともに、その座103をキャビンピラーcに対してボルト104,105で共締め固定する。シート8sに着座、またはステップ8fに立った状態で刈取作業するときは、オペレータは刈取側と未刈側の境界である左斜め前方をよく見るが、この視線内に両表示部T,Uがあるので、作業中での両表示部T,Uの視認が容易となる。
【0024】
搬出部Dの排出オーガは、脱穀装置6で脱穀された籾を収容貯留するグレンタンクからなる貯留部Cと連通し、旋回可能な縦オーガ部21と、この縦オーガ部21の頂部に連結され、昇降可能な横オーガ部22とによって構成され、これら縦オーガ部21および横オーガ部22からなる排出オーガDは、制御装置により運転操作部Fの排出スイッチの操作に応じて断接動作するベルトクラッチ等を介してエンジン動力を受けることにより、オペレータのスイッチ操作に従ってグレンタンクの収容穀粒を機外に排出する。
【0025】
上記排出オーガDの縦オーガ部21の旋回動作により、その頂部の横オーガ部22は所定の収納位置からトラックの荷台等に排出位置を合わせ、オペレータの排出スイッチの操作に応じて排出動作する。穀粒の排出動作が終了した時は横オーガ部22を機体上の所定の収納位置に戻すように排出オーガ制御装置によって制御されるとともに、排出オーガDが収納位置に戻された状態では排出スイッチが押されても排出動作が規制される。
【0026】
この排出規制の範囲は、図4のコンバインの排出オーガDの収納位置についての説明用平面図に示すように、収納位置A、即ち、機体の対角線を中心とするその近傍の所定角度範囲Aであり、この範囲内においては、所定の特例条件を満たす場合に限り、排出スイッチからの排出信号に応じて排出クラッチを制御することにより排出オーガDが排出動作するように排出オーガ制御装置を構成する。
【0027】
排出オーガ制御装置は、詳細には、図5の制御系統図に示すように、マイクロコンピュータによる制御部31について、オーガポジションセンサ32、排出スイッチ33、排出クラッチ切りセンサ34a、排出クラッチ入りセンサ34b、センサチェックスイッチ35、オーガ自動収納スイッチ36等から操作信号を受け、また、排出クラッチ切りリレー37a、排出クラッチ入りリレー37bを動作制御して排出クラッチを断接する。制御部31には搭載機器についての所定の特例条件の当否を判定する特例条件判定手段を備え、その特例条件に適合する場合に限り、受けた排出スイッチ33からの排出信号に応じて排出オーガDを稼動制御する。
【0028】
上記構成の排出オーガ制御装置により、特例条件判定手段の判定結果に基づき、排出オーガDが所定の収納位置Aにある場合において搭載機器が所定の特例条件に該当しない時は、排出スイッチ33を操作しても排出オーガDの稼動が規制されて動作せず、その一方で、所定の特例条件を満たす場合においては、排出スイッチ33の操作により排出オーガDが稼動する。したがって、上記排出オーガ制御装置により、排出オーガDが収納位置Aにある場合において、通常は、排出スイッチ33を誤操作しても排出オーガDが動作しないことから、穀粒を撒き散らすという不測の事態を防止することができる一方で、オペレータが所定の特例条件を整えることにより、または、関連機器について特例条件が整えられた場合に限り、収納位置Aのままで排出オーガDを稼動して必要なカラ運転や機器の動作点検をすることができる。
【0029】
上記特例条件について具体的に説明すると、センサチェックスイッチ35の操作信号を特例条件として構成した場合は、排出オーガDが所定の収納位置Aにある場合において、オペレータが各機器センサをチェックするためにセンサチェックスイッチを操作した場合に限って排出オーガDの稼動が可能となるので、排出オーガDを含めて機器動作をチェックすることができる。
【0030】
また、センサチェックスイッチ35の操作直後、例えば1秒以内に、オーガ収納スイッチ36を押した場合等、複数スイッチの組合わせを特例条件として構成した場合は、排出オーガDが所定の収納位置Aにある場合において、オペレータが所定の複数スイッチを組合わせて操作した場合に限って排出オーガDの稼動が可能となるので、特殊な組合わせを設定することにより、オペレータの意に添って排出オーガDを稼動することができる。
【0031】
また、排出オーガDのポジションセンサ32によりポジション異常の検出信号を特例条件として構成した場合は、排出オーガDが所定の収納位置Aにある場合においてポジションセンサ32によりポジション異常が検出された時に限って排出オーガDの稼動が可能となるので、オペレータの意に添って排出オーガDを稼動することができる。
【0032】
次に、信号線等のワイヤーハーネスについて説明すると、作業機の状態を表示する表示装置Tを運転操作部Fに設けたものにおいては、図6の機体後部のメンテナンス状態の斜視図に示すように、刈取脱穀系の各種作業機の制御装置を動作させるコントローラ41について、刈取・排ワラ等の詰まり異常や、グレンタンクの籾量センサの信号検出機能を持たせるとともに、このコントローラ41は、穀稈を裁断するカッター装置42を開放した際に、組立・整備・点検が可能な脱穀機の後方位置に配置する。
【0033】
従来構成では、作業機の異常、状態に関する信号が表示器の直接入力されていたことから、刈取脱穀系の制御装置を動作させるためのワイヤーハーネスが、運転操作部Fと作業機との間に跨ることとなり、そのワイヤーハーネスが運転操作部Fで肥大化する結果となっていたが、上記のように構成することにより、ワイヤーハーネスが分散化されて運転操作部Fにおけるワイヤーハーネスの肥大化を抑えることができるので、組立・整備・点検を犠牲にすることなく、省資源化により、コスト抑制が可能となる。
【0034】
この場合において、作業機の状態を表示する表示装置Tを運転操作部Fに設け、刈取・排ワラ等の詰まり異常や、グレンタンクの籾量センサの検出信号機能を有するコントローラ41の作業情報によりオペレータに情報表示する構成において、表示装置T近傍の人為入力装置の情報を一旦入力し、作業機や運転操作部コントローラ通信情報を中継入力するように構成する。
【0035】
従来構成では、運転操作部前部のスイッチ関係がコントローラに直接入力されていたことから迂回が大きくなり、その結果、コスト大、メンテナンスの複雑化を招いていたが、上記構成により、運転操作部前部の人為入力装置の情報を一旦表示装置Tに入力して中継させることにより、運転操作部Fでのワイヤーハーネスの肥大化を抑えることが可能となり、省資源化により、コスト抑制をしつつ、組立・整備・点検を犠牲にしないシステムを提供することができる。
【0036】
また、図7(a)の伝送系統図に示すように、作業機の各種人為操作を検出するコントローラ43を運転操作部Fの座席部8sに設け、同コントローラ43からの人為操作の検出情報を通信手段44により、刈取脱穀系の各種作業機の制御装置を動作させるコントローラ41に送るとともに、カッター装置42を開放した際に組立・整備・点検が可能な脱穀機の後方位置に同コントローラ41を配置する。
【0037】
上記構成に対して、図7(b)に示す従来構成では、刈取脱穀系の制御装置を動作させるためのワイヤーハーネスが、運転操作部Fと作業機との間に跨ることとなり、そのワイヤーハーネス44qが運転操作部Fで肥大化する結果となっていたが、上記のように構成することにより、運転操作部Fでのワイヤーハーネスの肥大化を抑えることが可能となり、省資源化により、コスト抑制をしつつ、組立・整備・点検を犠牲にしないシステムを提供することができる。
【0038】
次に、個別機器の配線について説明する。
図8(a)に示すように、ボリューム型センサ51の信号線につき、コントローラ内部に抵抗52を介して電圧を供給し、その接続部の電圧を検知するように構成する。この構成においては、図9の電圧出力特性対比図の特性線Aに示すように、従来型の特性線Bより電圧出力範囲の低下となるが、A/Dコンバータ53の性能向上により補うことができるので、センサ51の変異を検知することができる。
【0039】
上記構成に対して、従来のボリューム型センサ51には、図8(b)に示すように、電源線とグランド線と信号線の3本が必要であったことから、複数のセンサを使用する場合に配線の本数が多くなる上に、電源線がショートするとすべてのセンサが影響を受けて検知できなるという問題があったが、上記のように構成することにより、配線が信号線およびグランド線のみで済み、その結果、配線の回路数の30%削減となり、また、センサの電源回路のショート等が発生しないことから安全性の向上を図ることができる。
【0040】
また、前記構成については、図10の例のように、前記抵抗52に代えてコントローラ内部に低電流ダイオード52aを介して電源電流を供給する構成とすることによっても、前記同様の効果を奏することができる。
【0041】
その他に、図11(a)の例は、バルブ駆動用のソレノイド回路を示し、ソレノイド61の一方の端子をボディーに接地して出力線のみを配線し、この配線に発熱によって電流をカットする過電流過熱保護素子等による過電流防止器62を介設することにより、従来構成を示す図11(b)の2本の配線とヒューズ63による従来の接続と対比して配線が1/2となり、また、電源線のヒューズ回路の削減による配線の単純化が可能となる。
【0042】
次に、エンジンのグロープラグの通電制御については、図12の制御系統図に示すように、マイクロコンピュータ71による制御部に入力されたエンジン回転センサ72の信号に基づいてグロープラグ73を通電制御するべく構成する。通電制御の詳細は、図13のタイミングチャートに示すように、キーオン時に一定時間グロープラグ73に通電するとともに、エンジンがかかった後、エンジン回転が一定回転数(図例は1000rpm)になるまでグロープラグ73への通電を継続する。
【0043】
上記通電制御のように、エンジン回転が一定回転以上になった時に通電を切ることにより、従来のアフターグロー、即ち、エンジンがかかった後、一定時間グロープラグに通電する従来の制御よりも、グロープラグの耐久性を増すことができる。
【0044】
次に、セカンドモニタを設けたコンバインにおける負荷表示については、図14の制御系統図に示すように、マイクロコンピュータ81による制御部に入力された脱穀クラッチスイッチ82、脱穀回転センサ83、表示切替スイッチ84の信号に基づいてセカンドモニタUに負荷表示するとともに、図15のモニタ表示画面(図例は負荷レベルが5の過負荷の場合)に示すように、表示が一定レベルを超えると過負荷警報ブザーを連動させてブザーを鳴らすように構成する。
【0045】
上記構成により、過負荷の状況をモニタ画面に表示し、一定レベルを超えると過負荷警報ブザーが鳴るので、従来のように急に過負荷ブザーが鳴ってオペレータが驚くという事態を回避でき、過負荷防止の対応操作を円滑に進めることができる。
この場合において、所定以上(図例は4以上)の負荷レベルで警報が鳴ることをそのレベルと対応する位置にマークMで表示することにより、オペレータのよりスムーズな対応操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】汎用コンバインの構成例を示す側面図である。
【図2】図1の汎用コンバインの平面図である。
【図3】図1の汎用コンバインの運転操作部操作盤の機器配置俯瞰図である。
【図4】排出オーガの収納位置についての説明用平面図である。
【図5】排出オーガ制御装置の制御系統図である。
【図6】機体後部のメンテナンス状態の斜視図である。
【図7】伝送系統図(a)と従来の構成図(b)である。
【図8】ボリューム型センサの接続図(a)と従来の接続図(b)である。
【図9】電圧出力特性対比図である。
【図10】別例のボリューム型センサの接続図(a)と従来の接続図(b)である。
【図11】ソレノイド回路の接続図(a)と従来の接続図(b)である。
【図12】グロープラグ制御の制御系統図である。
【図13】通電制御のタイミングチャートである。
【図14】負荷表示の制御系統図である。
【図15】モニタにおける負荷表示画面である。
【符号の説明】
【0047】
21 縦オーガ部(排出オーガ)
22 横オーガ部(排出オーガ)
31 制御部
32 オーガポジションセンサ
33 排出スイッチ
34a 排出クラッチ切りセンサ
34b 排出クラッチ入りセンサ
35 センサチェックスイッチ
36 オーガ自動収納スイッチ
37a 排出クラッチ切りリレー
37b 排出クラッチ入りリレー
A 所定角度範囲(収納位置)
C 貯留部
D 搬出部(排出オーガ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインのグレンタンクから収容穀粒を排出する排出オーガの稼動を制御する排出オーガ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインの排出オーガは、特許文献1に示されるように、旋回可能な縦オーガ部と、この縦オーガ部の頂部に連結され、昇降可能な横オーガ部とによって構成され、これら縦オーガ部および横オーガ部からなる排出オーガは、制御部により排出スイッチの操作に応じて断接動作するベルトクラッチ等を介してエンジン動力を受けることにより、オペレータの意に従ってグレンタンクの収容穀粒を機外に排出することができる。
【0003】
上記排出オーガの縦オーガ部の旋回動作によりその頂部の横オーガ部は、所定の収納位置からトラックの荷台等に排出口の位置を合わせ、排出スイッチの操作に応じて排出動作する。穀粒の排出動作が終了した時は横オーガ部を機体上の所定の収納位置に戻すように排出オーガ制御装置によって制御されるとともに、排出オーガが収納位置に戻された状態では排出スイッチが押されても排出動作が規制される。
【0004】
このように構成された排出オーガ制御装置は、排出オーガが収納位置にある場合に限り、排出スイッチからの排出信号を受けても排出オーガの稼動を規制することにより、各種のスイッチ類が配置された運転操作部における排出スイッチの誤操作等、オペレータが意図しない場合の排出オーガの稼動による籾の散乱等の不測の事態を回避することができる。
【0005】
しかし、グレンタンクの残留籾を全量排出するための排出オーガのカラ排出運転や、ベルトクラッチのテンション調整等の伝動系を含むメンテナンスのための試行排出運転を行う際は、コンバインを収納庫から屋外に移動した上で、排出オーガを収納位置から旋回させる作業を強いられることとなり、煩に耐えなかった。この問題は、コンバイン製造の組立調整ラインにおいても同様であった。
【特許文献1】特開平10−155350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、排出オーガが収納位置にある場合における排出スイッチの誤操作の防止を損なうことなく、必要により排出オーガの稼動が可能となる排出オーガ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、排出オーガが所定の収納位置にある場合に限り、排出スイッチからの排出信号を受けても排出オーガの稼動を規制する制御部を備える排出オーガ制御装置において、上記制御部は、搭載機器の状態を表す信号に基づいて所定の特例条件の当否を判定する特例条件判定手段を備え、その該当判定下において受けた排出スイッチからの排出信号に応じて排出オーガを稼動することを特徴とする。
【0008】
上記構成により、特例条件判定手段の判定に基づき、排出オーガが所定の収納位置にある場合において搭載機器が所定の特例条件に該当しない時は、排出スイッチを操作しても排出オーガの稼動が規制されて動作せず、その一方で、所定の特例条件を満たす場合に限り、排出スイッチの操作により排出オーガが稼動する。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記特例条件は、各機器センサをチェックするセンサチェックスイッチからの操作信号の検出を条件とすることを特徴とする。上記構成により、排出オーガが所定の収納位置にある場合においては、オペレータがセンサチェックスイッチを操作した場合に限って排出オーガの稼動が可能となる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1の構成において、前記特例条件は、所定の複数スイッチの操作信号の検出を条件とすることを特徴とする。上記構成により、排出オーガが所定の収納位置にある場合においては、オペレータが所定の複数スイッチを組み合わせて操作した場合に限って排出オーガの稼動が可能となる。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1の構成において、前記特例条件は、排出オーガのポジションセンサによるポジション異常の検出を条件とすることを特徴とする。上記構成により、排出オーガが所定の収納位置にある場合においては、ポジションセンサによりポジション異常が検出された時に限って排出オーガの稼動が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の排出オーガ制御装置は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明により、特例条件判定手段の判定に基づき、排出オーガが所定の収納位置にある場合において搭載機器が所定の特例条件に該当しない時は、排出スイッチを操作しても排出オーガの稼動が規制されて動作せず、その一方で、所定の特例条件を満たす場合においては、排出スイッチの操作により排出オーガが稼動する。
【0013】
したがって、上記排出オーガ制御装置により、排出オーガが収納位置にある場合において、通常は、排出スイッチの誤操作があっても排出オーガが動作しないことから、穀粒を撒き散らすという不測の事態を防止することができる一方で、オペレータが所定の特例条件を整えることにより、または、関連機器について特例条件が整えられた場合に限り、収納位置のままで排出オーガを稼動して必要なカラ運転や機器の動作点検をすることができる。
【0014】
請求項2に係る発明により、排出オーガが所定の収納位置にある場合においては、オペレータがセンサチェックスイッチを操作した場合に限って排出オーガの稼動が可能となる。したがって、上記排出オーガ制御装置は、排出オーガを含めて機器の動作をチェックすることができる。
【0015】
請求項3に係る発明により、排出オーガが所定の収納位置にある場合においては、オペレータが所定の複数スイッチを組み合わせて操作した場合に限って排出オーガの稼動が可能となる。したがって、上記排出オーガ制御装置は、複数スイッチの特殊な組み合わせを設定することにより、オペレータの意に添って排出オーガを稼動することができる。
【0016】
請求項4に係る発明により、排出オーガが所定の収納位置にある場合においてポジションセンサによりポジション異常が検出された時に限って排出オーガの稼動が可能となる。したがって、上記排出オーガ制御装置は、ポジション異常の際に、オペレータの意に添って排出オーガを稼動して異状をチェックすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、以下に図面に基づいて詳細に説明する。
図1、図2は、そてぞれ、本発明の排出オーガ制御装置を備える汎用コンバインの左側面図および平面図である。図1及び図2において、コンバインは、刈刃装置1によって穀稈を刈取る刈取部A、受けた穀稈から籾を分離する脱穀部B、籾を収容するグレンタンクによる貯留部C、排出オーガによりグレンタンクから籾を搬出する搬出部D等の作業機器と、走行用の左右のクローラ等による走行支持部Eと、機体の前部で作業機動作および機体走行を操作するための運転操作部F等を備える。
【0018】
まず、汎用コンバインでは、図1及び図2に示すように、走行支持部Eとして左右に1対のクローラ11,11を装備した車体上に穀稈供給口12を前側にして脱穀装置6を搭載し、その前方に刈取前処理装置5を設けて、一連の刈取脱穀作業ができる構成としている。そして、脱穀装置6は、刈り取った穀稈の全部を扱室に投入する全稈投入式の構成であって、上側に扱室6aを、下側に選別室6bをそれぞれ配置した汎用コンバイン用脱穀装置に構成されている。
【0019】
つぎに、刈取前処理装置5は、図面に示すように、取付けのベースとなるテーブル13を低位置に横向きにして延長し、その左右両端に、上方に立ち上がった支持枠14,14を設け、該支持枠14,14と前記テーブル13とに各装置を取付けて支持した構成となっている。
【0020】
そこで、刈刃装置1は、図1及び図2に示すように、前記支持枠14,14の前部両側から前方に向けて延長して設けた分草杆15,15の間において、前記テーブル13の前縁に沿わせて設けた構成としている。そして、掻込みリール4は、前記左右両側の支持枠14,14の後部上側に、基部を上下自在に枢着して取付けたリール支持アーム16,16を油圧シリンダ17,17によって昇降自在に支持し、このリール支持アーム16,16を前方側に延長して先端部分に軸架して設けた構成としている。そして、掻込みオーガー2は、図面に示すように、前記刈刃装置1の刈幅と同等の長さに形成して横向きに設け、その両端を左右の支持枠14,14に横軸で軸受支持し、回転に伴って刈取穀稈を搬送螺旋18により掻き込みながら一側に集める構成としている。
【0021】
そして、搬送コンベア3は、図面から解るように、上記掻込みオーガ−2の一側の背後に搬送始端部を臨ませて設け、搬送終端部を前記脱穀装置6の穀稈供給口12に連通させて設け、前記掻込みオーガ−2が集めた刈取穀稈を脱穀装置6まで搬送して供給する構成としている。
【0022】
運転操作部Fは、図3の操作盤の機器配置俯瞰図に示すように、オペレータの前方と側方の2つのパネルブロックによる操作盤からなり、前部パネルには機体旋回と刈取昇降をワンレバーで操作できるいわゆるパワステレバーPを備え、側部パネルには、前後進無段変速用のHSTレバーQ、緩・標準・急のターン切替用の旋回モード切替レバーR、刈取脱穀用の刈脱レバーS等を中心に各種のレバー・スイッチ類を配置するとともに、コーナー位置に作業状態等を表示する表示手段としてメイン表示部(第一表示部)Tとサブ表示部(第二表示部)Uを備えることにより、機体走行と作業機の操作を一人のオペレータ操作によって可能とする。
【0023】
表示手段のメイン表示部Tとサブ表示部Uは、液晶表示器等によりそれぞれを別体に形成し、両方が同時にオペレータの視野に入る範囲内で、メイン表示部Tを操作盤面に、また、サブ表示部Uをその上方にキャビンピラーcによって固定支持する。このサブ表示部Uは、アーム106を介してキャビンピラーcに取付け、支持材101,102で固定バー100を取付けるとともに、その座103をキャビンピラーcに対してボルト104,105で共締め固定する。シート8sに着座、またはステップ8fに立った状態で刈取作業するときは、オペレータは刈取側と未刈側の境界である左斜め前方をよく見るが、この視線内に両表示部T,Uがあるので、作業中での両表示部T,Uの視認が容易となる。
【0024】
搬出部Dの排出オーガは、脱穀装置6で脱穀された籾を収容貯留するグレンタンクからなる貯留部Cと連通し、旋回可能な縦オーガ部21と、この縦オーガ部21の頂部に連結され、昇降可能な横オーガ部22とによって構成され、これら縦オーガ部21および横オーガ部22からなる排出オーガDは、制御装置により運転操作部Fの排出スイッチの操作に応じて断接動作するベルトクラッチ等を介してエンジン動力を受けることにより、オペレータのスイッチ操作に従ってグレンタンクの収容穀粒を機外に排出する。
【0025】
上記排出オーガDの縦オーガ部21の旋回動作により、その頂部の横オーガ部22は所定の収納位置からトラックの荷台等に排出位置を合わせ、オペレータの排出スイッチの操作に応じて排出動作する。穀粒の排出動作が終了した時は横オーガ部22を機体上の所定の収納位置に戻すように排出オーガ制御装置によって制御されるとともに、排出オーガDが収納位置に戻された状態では排出スイッチが押されても排出動作が規制される。
【0026】
この排出規制の範囲は、図4のコンバインの排出オーガDの収納位置についての説明用平面図に示すように、収納位置A、即ち、機体の対角線を中心とするその近傍の所定角度範囲Aであり、この範囲内においては、所定の特例条件を満たす場合に限り、排出スイッチからの排出信号に応じて排出クラッチを制御することにより排出オーガDが排出動作するように排出オーガ制御装置を構成する。
【0027】
排出オーガ制御装置は、詳細には、図5の制御系統図に示すように、マイクロコンピュータによる制御部31について、オーガポジションセンサ32、排出スイッチ33、排出クラッチ切りセンサ34a、排出クラッチ入りセンサ34b、センサチェックスイッチ35、オーガ自動収納スイッチ36等から操作信号を受け、また、排出クラッチ切りリレー37a、排出クラッチ入りリレー37bを動作制御して排出クラッチを断接する。制御部31には搭載機器についての所定の特例条件の当否を判定する特例条件判定手段を備え、その特例条件に適合する場合に限り、受けた排出スイッチ33からの排出信号に応じて排出オーガDを稼動制御する。
【0028】
上記構成の排出オーガ制御装置により、特例条件判定手段の判定結果に基づき、排出オーガDが所定の収納位置Aにある場合において搭載機器が所定の特例条件に該当しない時は、排出スイッチ33を操作しても排出オーガDの稼動が規制されて動作せず、その一方で、所定の特例条件を満たす場合においては、排出スイッチ33の操作により排出オーガDが稼動する。したがって、上記排出オーガ制御装置により、排出オーガDが収納位置Aにある場合において、通常は、排出スイッチ33を誤操作しても排出オーガDが動作しないことから、穀粒を撒き散らすという不測の事態を防止することができる一方で、オペレータが所定の特例条件を整えることにより、または、関連機器について特例条件が整えられた場合に限り、収納位置Aのままで排出オーガDを稼動して必要なカラ運転や機器の動作点検をすることができる。
【0029】
上記特例条件について具体的に説明すると、センサチェックスイッチ35の操作信号を特例条件として構成した場合は、排出オーガDが所定の収納位置Aにある場合において、オペレータが各機器センサをチェックするためにセンサチェックスイッチを操作した場合に限って排出オーガDの稼動が可能となるので、排出オーガDを含めて機器動作をチェックすることができる。
【0030】
また、センサチェックスイッチ35の操作直後、例えば1秒以内に、オーガ収納スイッチ36を押した場合等、複数スイッチの組合わせを特例条件として構成した場合は、排出オーガDが所定の収納位置Aにある場合において、オペレータが所定の複数スイッチを組合わせて操作した場合に限って排出オーガDの稼動が可能となるので、特殊な組合わせを設定することにより、オペレータの意に添って排出オーガDを稼動することができる。
【0031】
また、排出オーガDのポジションセンサ32によりポジション異常の検出信号を特例条件として構成した場合は、排出オーガDが所定の収納位置Aにある場合においてポジションセンサ32によりポジション異常が検出された時に限って排出オーガDの稼動が可能となるので、オペレータの意に添って排出オーガDを稼動することができる。
【0032】
次に、信号線等のワイヤーハーネスについて説明すると、作業機の状態を表示する表示装置Tを運転操作部Fに設けたものにおいては、図6の機体後部のメンテナンス状態の斜視図に示すように、刈取脱穀系の各種作業機の制御装置を動作させるコントローラ41について、刈取・排ワラ等の詰まり異常や、グレンタンクの籾量センサの信号検出機能を持たせるとともに、このコントローラ41は、穀稈を裁断するカッター装置42を開放した際に、組立・整備・点検が可能な脱穀機の後方位置に配置する。
【0033】
従来構成では、作業機の異常、状態に関する信号が表示器の直接入力されていたことから、刈取脱穀系の制御装置を動作させるためのワイヤーハーネスが、運転操作部Fと作業機との間に跨ることとなり、そのワイヤーハーネスが運転操作部Fで肥大化する結果となっていたが、上記のように構成することにより、ワイヤーハーネスが分散化されて運転操作部Fにおけるワイヤーハーネスの肥大化を抑えることができるので、組立・整備・点検を犠牲にすることなく、省資源化により、コスト抑制が可能となる。
【0034】
この場合において、作業機の状態を表示する表示装置Tを運転操作部Fに設け、刈取・排ワラ等の詰まり異常や、グレンタンクの籾量センサの検出信号機能を有するコントローラ41の作業情報によりオペレータに情報表示する構成において、表示装置T近傍の人為入力装置の情報を一旦入力し、作業機や運転操作部コントローラ通信情報を中継入力するように構成する。
【0035】
従来構成では、運転操作部前部のスイッチ関係がコントローラに直接入力されていたことから迂回が大きくなり、その結果、コスト大、メンテナンスの複雑化を招いていたが、上記構成により、運転操作部前部の人為入力装置の情報を一旦表示装置Tに入力して中継させることにより、運転操作部Fでのワイヤーハーネスの肥大化を抑えることが可能となり、省資源化により、コスト抑制をしつつ、組立・整備・点検を犠牲にしないシステムを提供することができる。
【0036】
また、図7(a)の伝送系統図に示すように、作業機の各種人為操作を検出するコントローラ43を運転操作部Fの座席部8sに設け、同コントローラ43からの人為操作の検出情報を通信手段44により、刈取脱穀系の各種作業機の制御装置を動作させるコントローラ41に送るとともに、カッター装置42を開放した際に組立・整備・点検が可能な脱穀機の後方位置に同コントローラ41を配置する。
【0037】
上記構成に対して、図7(b)に示す従来構成では、刈取脱穀系の制御装置を動作させるためのワイヤーハーネスが、運転操作部Fと作業機との間に跨ることとなり、そのワイヤーハーネス44qが運転操作部Fで肥大化する結果となっていたが、上記のように構成することにより、運転操作部Fでのワイヤーハーネスの肥大化を抑えることが可能となり、省資源化により、コスト抑制をしつつ、組立・整備・点検を犠牲にしないシステムを提供することができる。
【0038】
次に、個別機器の配線について説明する。
図8(a)に示すように、ボリューム型センサ51の信号線につき、コントローラ内部に抵抗52を介して電圧を供給し、その接続部の電圧を検知するように構成する。この構成においては、図9の電圧出力特性対比図の特性線Aに示すように、従来型の特性線Bより電圧出力範囲の低下となるが、A/Dコンバータ53の性能向上により補うことができるので、センサ51の変異を検知することができる。
【0039】
上記構成に対して、従来のボリューム型センサ51には、図8(b)に示すように、電源線とグランド線と信号線の3本が必要であったことから、複数のセンサを使用する場合に配線の本数が多くなる上に、電源線がショートするとすべてのセンサが影響を受けて検知できなるという問題があったが、上記のように構成することにより、配線が信号線およびグランド線のみで済み、その結果、配線の回路数の30%削減となり、また、センサの電源回路のショート等が発生しないことから安全性の向上を図ることができる。
【0040】
また、前記構成については、図10の例のように、前記抵抗52に代えてコントローラ内部に低電流ダイオード52aを介して電源電流を供給する構成とすることによっても、前記同様の効果を奏することができる。
【0041】
その他に、図11(a)の例は、バルブ駆動用のソレノイド回路を示し、ソレノイド61の一方の端子をボディーに接地して出力線のみを配線し、この配線に発熱によって電流をカットする過電流過熱保護素子等による過電流防止器62を介設することにより、従来構成を示す図11(b)の2本の配線とヒューズ63による従来の接続と対比して配線が1/2となり、また、電源線のヒューズ回路の削減による配線の単純化が可能となる。
【0042】
次に、エンジンのグロープラグの通電制御については、図12の制御系統図に示すように、マイクロコンピュータ71による制御部に入力されたエンジン回転センサ72の信号に基づいてグロープラグ73を通電制御するべく構成する。通電制御の詳細は、図13のタイミングチャートに示すように、キーオン時に一定時間グロープラグ73に通電するとともに、エンジンがかかった後、エンジン回転が一定回転数(図例は1000rpm)になるまでグロープラグ73への通電を継続する。
【0043】
上記通電制御のように、エンジン回転が一定回転以上になった時に通電を切ることにより、従来のアフターグロー、即ち、エンジンがかかった後、一定時間グロープラグに通電する従来の制御よりも、グロープラグの耐久性を増すことができる。
【0044】
次に、セカンドモニタを設けたコンバインにおける負荷表示については、図14の制御系統図に示すように、マイクロコンピュータ81による制御部に入力された脱穀クラッチスイッチ82、脱穀回転センサ83、表示切替スイッチ84の信号に基づいてセカンドモニタUに負荷表示するとともに、図15のモニタ表示画面(図例は負荷レベルが5の過負荷の場合)に示すように、表示が一定レベルを超えると過負荷警報ブザーを連動させてブザーを鳴らすように構成する。
【0045】
上記構成により、過負荷の状況をモニタ画面に表示し、一定レベルを超えると過負荷警報ブザーが鳴るので、従来のように急に過負荷ブザーが鳴ってオペレータが驚くという事態を回避でき、過負荷防止の対応操作を円滑に進めることができる。
この場合において、所定以上(図例は4以上)の負荷レベルで警報が鳴ることをそのレベルと対応する位置にマークMで表示することにより、オペレータのよりスムーズな対応操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】汎用コンバインの構成例を示す側面図である。
【図2】図1の汎用コンバインの平面図である。
【図3】図1の汎用コンバインの運転操作部操作盤の機器配置俯瞰図である。
【図4】排出オーガの収納位置についての説明用平面図である。
【図5】排出オーガ制御装置の制御系統図である。
【図6】機体後部のメンテナンス状態の斜視図である。
【図7】伝送系統図(a)と従来の構成図(b)である。
【図8】ボリューム型センサの接続図(a)と従来の接続図(b)である。
【図9】電圧出力特性対比図である。
【図10】別例のボリューム型センサの接続図(a)と従来の接続図(b)である。
【図11】ソレノイド回路の接続図(a)と従来の接続図(b)である。
【図12】グロープラグ制御の制御系統図である。
【図13】通電制御のタイミングチャートである。
【図14】負荷表示の制御系統図である。
【図15】モニタにおける負荷表示画面である。
【符号の説明】
【0047】
21 縦オーガ部(排出オーガ)
22 横オーガ部(排出オーガ)
31 制御部
32 オーガポジションセンサ
33 排出スイッチ
34a 排出クラッチ切りセンサ
34b 排出クラッチ入りセンサ
35 センサチェックスイッチ
36 オーガ自動収納スイッチ
37a 排出クラッチ切りリレー
37b 排出クラッチ入りリレー
A 所定角度範囲(収納位置)
C 貯留部
D 搬出部(排出オーガ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出オーガが所定の収納位置にある場合に限り、排出スイッチからの排出信号を受けても排出オーガの稼動を規制する制御部を備える排出オーガ制御装置において、
上記制御部は、搭載機器の状態を表す信号に基づいて所定の特例条件の当否を判定する特例条件判定手段を備え、その該当判定下において受けた排出スイッチからの排出信号に応じて排出オーガを稼動することを特徴とする排出オーガ制御装置。
【請求項2】
前記特例条件は、各機器センサをチェックするセンサチェックスイッチからの操作信号の検出を条件とすることを特徴とする請求項1記載の排出オーガ制御装置。
【請求項3】
前記特例条件は、所定の複数スイッチの操作信号の検出を条件とすることを特徴とする請求項1記載の排出オーガ制御装置。
【請求項4】
前記特例条件は、排出オーガのポジションセンサによるポジション異常の検出を条件とすることを特徴とする請求項1記載の排出オーガ制御装置。
【請求項1】
排出オーガが所定の収納位置にある場合に限り、排出スイッチからの排出信号を受けても排出オーガの稼動を規制する制御部を備える排出オーガ制御装置において、
上記制御部は、搭載機器の状態を表す信号に基づいて所定の特例条件の当否を判定する特例条件判定手段を備え、その該当判定下において受けた排出スイッチからの排出信号に応じて排出オーガを稼動することを特徴とする排出オーガ制御装置。
【請求項2】
前記特例条件は、各機器センサをチェックするセンサチェックスイッチからの操作信号の検出を条件とすることを特徴とする請求項1記載の排出オーガ制御装置。
【請求項3】
前記特例条件は、所定の複数スイッチの操作信号の検出を条件とすることを特徴とする請求項1記載の排出オーガ制御装置。
【請求項4】
前記特例条件は、排出オーガのポジションセンサによるポジション異常の検出を条件とすることを特徴とする請求項1記載の排出オーガ制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−129818(P2006−129818A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324557(P2004−324557)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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