説明

接着テープ

支持体と、支持体の少なくとも片面にコーティングされており、0.86〜0.89g/cmの間の密度と低くとも105℃の結晶融点を有するオレフィンポリマーおよび粘着樹脂から成る接着剤とから成る接着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着テープおよびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
接着テープは、一般的に天然ゴム、スチレンブロックコポリマー、またはアクリレートをベースとする接着剤を用いて製造される。
【0003】
ゴム接着剤は、一般的にエラストマー、粘着樹脂、軟化剤、およびフェノール系酸化防止剤から成る。最も頻繁に使用されるエラストマーは天然ゴムであり、一般に最もよく使われる合成エラストマーはスチレン−ジエン−ブロックコポリマー、特にスチレン−イソプレン−スチレン−ブロックコポリマーである。軟化剤としては一般的に鉱油が用いられ、たいていはホワイトオイルまたは比較的まれには芳香族油が用いられる。このような油は、いくつかの用途には望ましくなく、例えば表面保護製品(除去後の塗料上でのゴースティング)、自動車内部領域(フォギング)、または紙接着テープ(貯蔵後の紙支持体の油の浸透)には望ましくなく、これらの場合には、融点が10℃〜40℃の液状樹脂または軟質樹脂を使用し、この樹脂が配合物の最も高価な成分である。
【0004】
ゴム接着剤は、耐老化性および耐UV性が比較的低く、ワイヤ絶縁体との適合性が悪い。ここでは水素化スチレン−ジエン−ブロックコポリマーが改善策を提供するが、極めて高価であり、比較的低い接着力しか得られない。
【0005】
天然ゴム接着剤は溶剤を含有しており、耐老化性および耐UV性が低い。
【0006】
一般的にはスチレン−イソプレン−スチレン−ブロックコポリマーをベースとするスチレンブロックコポリマー接着剤は、溶剤なしで加工可能であるが、同様に耐老化性および耐UV性が低い。それだけでなくこの接着剤は非常に硬く、したがってこの接着テープは大きな繰出し音を伴ってしか加工できない。
【0007】
アクリレート接着剤は分散体であり、したがって溶剤を含んでおらず、かつ優れた耐老化性および耐UV性を有しているが、ただし比較的高い感水性およびとりわけ段ボールまたは紙に貼り付ける際の初期接着性(タック)が弱く、かつ非極性の下地への接着性が悪い。したがってこの接着剤は、多くの永続的使用に適していない。この接着剤は、非常に極性の高い下地、例えばアルミニウムまたはPVCからは再び除去することができず、したがってそのようなマスキング用途には適していない。アクリレート接着剤は安価ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2006/027389号
【特許文献2】ドイツ実用新案第9401037号
【特許文献3】米国特許出願公開第3,853,598号
【特許文献4】欧州特許出願公開第1548080号
【特許文献5】国際公開第03/097758号
【特許文献6】欧州特許出願公開第1074595号
【特許文献7】ドイツ特許出願公開第102005044942号
【特許文献8】ドイツ特許出願公開第1031213号
【特許文献9】ドイツ実用新案第29723454号
【特許文献10】ドイツ特許第4237252号
【特許文献11】欧州特許第0353972号
【特許文献12】ドイツ特許第4308649号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらすべての接着剤の良い特性、すなわち溶剤を含まないこと、耐水性、高い初期接着性、低エネルギー表面への高い接着性、天然ゴム接着剤のような繰出し挙動および再剥離性、ならびにアクリレート接着剤のような耐老化性および耐UV性を相互に組み合わせた接着剤を望む要望が長きにわたってある。
【0010】
本発明の課題は、このような接着剤を備えた接着テープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、独立請求項に記載されているような接着テープによって解決される。本発明の対象の有利な変形形態ならびに接着テープの使用は従属請求項から明らかである。
【0012】
これに基づき本発明は、支持体と、支持体の少なくとも片面にコーティングされており、0.86〜0.89g/cmの間の密度と低くとも105℃の結晶融点を有するオレフィンポリマーおよび粘着樹脂を含む接着テープに関する。
【0013】
当業者には、オレフィンポリマーはとりわけ原料の硬度または低い融点により接着剤には不向きと思われていた。それにもかかわらず、0.86〜0.89g/cmの間、好ましくは0.86〜0.88g/cmの間、特に好ましくは0.86〜0.87g/cmの間の密度と低くとも105℃、好ましくは低くとも115℃、特に好ましくは低くとも135℃の結晶融点を有するオレフィンポリマーからは、驚くべきことに優れた粘着特性、例えば高接着力、高タック、および高せん断強度を備えた接着テープ用接着剤を製造することができる。
【0014】
本発明によるオレフィンポリマーは、メルトインデックスが好ましくは8g/10分未満、特に好ましくは1.5g/10分未満である。このオレフィンポリマーの曲げ弾性率は、好ましくは50MPa未満、特に好ましくは26MPa未満、およびとりわけ好ましくは17MPa未満である。
【0015】
このオレフィンポリマーは、例えばポリプロピレン樹脂であり、例えばブロックコポリマーとして、グラフトポリマーとして、または異相ポリプロピレン(インパクトポリプロピレンまたは(完全には正しくないが慣例的に)ポリプロピレンブロックコポリマーとも言う)の場合のようないわゆる反応器ブレンドとして様々に形成することができる。好ましいポリプロピレン樹脂は、モノマーのプロピレンおよびさらなるオレフィン(例えばエチレンまたはブテン)を統計学的な分布で含んでいる従来の非異相ポリプロピレンランダムコポリマーではないことが好ましく、なぜならこれらのポリマーは、低いせん断強度、接着力、および耐熱性しか達成できないからである。ただし異相ポリプロピレンは、結晶融点がまだ本発明に基づく範囲内にあれば、結晶性成分中に少量のコモノマーを含んでいてもよい。
【0016】
オレフィンポリマーは、エチレンまたはプロピレンと、C〜C10オレフィン、好ましくはC〜C10αオレフィンから選択された少なくとも1種のさらなるコモノマーとを含むことが好ましい。特に適しているのは、エチレンおよびプロピレン、エチレンおよびブテン(1)、エチレンおよびオクテン(1)、プロピレンおよびブテン(1)から成るコポリマー、またはエチレン、プロピレン、およびブテン(1)から成るターポリマーである。
【0017】
ポリプロピレンまたはポリエチレンの密度はISO1183に従って測定され、g/cmで表される。メルトインデックスはISO1133に従って2.16kgに基づいて試験され、g/10分で表される。試験温度は、当業者には周知のようにプロピレンベースのポリオレフィンの場合は230℃、エチレンベースのポリマーの場合は190℃である。
【0018】
曲げ弾性率(flexural modulus)は、ASTM D790(2%伸長時のセカント係数)に従って測定することができる。
【0019】
結晶融点(Tcr)および溶融熱は、DSC(Mettler DSC822)を用い、ISO3146に従って加熱率10℃/分で測定され、複数の溶融ピークが生じた場合は最高温度での溶融ピークを選択する。なぜなら接着剤配合物においては100℃より上の溶融ピークだけが維持され続け、有効になり、逆に100℃よりかなり下の溶融ピークは維持されず、製品特性への影響を有さないからである。溶融熱は、一方では配合物の接着力およびタックを、他方では特に高温(つまり70℃以上)でのせん断強度を測定する。
【0020】
このためポリオレフィン樹脂の溶融熱は、接着技術的特性の最適化に関して重要な意味を持ち、ポリオレフィン樹脂の溶融熱は好ましくは3〜18J/gの間、特に好ましくは5〜15J/gの間である。
【0021】
同様に接着剤の溶融熱も、粘着技術的特性の最適な折合いに関して一定の役割を担っており、接着剤の溶融熱は好ましくは1〜6J/gの間、特に好ましくは2〜5J/gの間である。
【0022】
本発明によるオレフィンポリマーは、天然ゴムまたは合成ゴムのようなエラストマーと組み合わせることができる。不飽和エラストマー、例えば天然ゴム、SBR、NBR、または不飽和スチレンブロックコポリマーは好ましくは少量しか使用されず、または特に好ましくは全く使用されない。飽和主鎖をもつ合成ゴム、例えばポリイソブチレン、ブチルゴム、EPM、HNBR、EPDM、または水素化スチレンブロックコポリマーは、改変を所望する場合に好ましい。
【0023】
このオレフィンポリマーは接着剤にかなりの量(100phr超)の粘着樹脂を受容させることができ、それにより非常に優れた粘着挙動を達成し得ることが分かった。多分散度はモル質量分布の重量平均と数平均の比であり、ゲル浸透クロマトグラフィによって測定することができ、多分散度は特性に対して重要な役割を担う。したがって粘着樹脂としては、多分散度が2.1未満、好ましくは1.8未満、特に好ましくは1.6未満の粘着樹脂が用いられる。最も高いタックは、多分散度が1.0〜1.4の樹脂によって達成することができる。
【0024】
粘着樹脂としては、水素化されていない、一部または完全に水素化されている、ロジンをベースとする樹脂(例えばバルサム樹脂)またはロジン誘導体(例えば不均化、二量化、またはエステル化されたロジン)をベースとする樹脂が良く適していることが分かった。これらの樹脂は、すべての粘着樹脂の中で最も高いタック(粘着性、くっつき力)を有する。恐らく1.0〜1.2の低い多分散度であると推測される。テルペンフェノール樹脂は、水素化された樹脂のように、特に高い耐老化性を特色とする。
【0025】
同様に炭化水素樹脂も好ましく、炭化水素樹脂は恐らくその極性によって良好に適合すると推測される。これは例えば芳香族樹脂、例としてクマロンインデン樹脂またはスチレンもしくはα−メチルスチレンをベースとする樹脂、あるいはCモノマー、例えばピペリレン、またはクラッカーのCもしくはC留分、またはテルペン、例えばβピネンもしくはδリモネン、またはその組合せの重合による脂環式炭化水素樹脂(好ましくは一部または完全に水素化された)、および芳香族類含有の炭化水素樹脂もしくはシクロペンタジエンポリマーの水素化によって獲得された炭化水素樹脂である。
【0026】
さらに、好ましくは一部または完全に水素化されたポリテルペンをベースとする樹脂および/またはテルペンフェノール樹脂を使用することができる。
【0027】
粘着樹脂の量は、好ましくは130〜350phr、特に好ましくは200〜240phrである(phrは、100重量部の樹脂(Resin)またはゴム(Rubber)、つまりここではオレフィンポリマーに対する重量部という意味である)。
【0028】
接着剤は、所望の特性を調整するため、液状軟化剤、例えば脂肪族(パラフィン系または分枝状)および脂環式(ナフテン系)の鉱油、フタル酸、トリメリット酸、クエン酸、またはアジピン酸のエステル、ロウ、例えば羊毛ロウ、液体ゴム(例えば低分子のニトリルゴム、ブタジエンゴム、またはポリイソプレンゴム)、イソブテンホモポリマーおよび/またはイソブテンブテンコポリマーから成る液状重合体、特に上で挙げた粘着樹脂クラスの粘着樹脂の原料をベースとする融点が40℃未満の液状樹脂および軟質樹脂を含むことが好ましい。
【0029】
このうち特に好ましいのは、イソブテンおよび/またはブテンから成る液状重合体、ならびにフタル酸、トリメリット酸、クエン酸、またはアジピン酸のエステル、特にこれら酸と分枝状のオクタノールおよびノナノールとのエステルである。
【0030】
液状軟化剤の代わりに、非常に軟質でほとんど結晶性がないオレフィンポリマーを使用することもできる。このオレフィンポリマーは好ましくは、エチレン、プロピレン、ブテン(1)、ヘキセン(1)、および/またはオクテン(1)から成るコポリマーであり、これらは例えば商品名Exact(登録商標)、Engage(登録商標)、Versify(登録商標)、またはTafmer(登録商標)で知られており、あるいはエチレン、プロピレン、ブテン(1)、ヘキセン(1)、および/またはオクテン(1)から成るターポリマーであり、その際、曲げ弾性率は好ましくは10MPa未満であり、結晶融点は好ましくは50℃未満である。
【0031】
さらなる好ましいオレフィンポリマーは、場合によっては油を含まないEPMまたはEPDMであり、つまりエチレンおよびプロピレンおよび選択的にジエン、例えばエチリデンノルボルネンから成るコポリマーまたはターポリマーであり、好ましくは40〜70重量%のエチレン含有率、50未満のムーニー粘度(条件1+4、125℃)、および/または0.88g/cm未満、特に好ましくは0.87g/cm未満の密度を有する。このようなエチレンポリマーは、液状軟化剤に比べて非常に軟らかいので、その量は、本発明によるオレフィンポリマーに対する比率として、非常に高く、つまり100phrより明らかに高くすべきであろう。
【0032】
粘着樹脂の融点(DIN ISO4625に従い測定)も同様に重要な意味をもつ。通常はゴム接着剤(天然ゴムまたは合成ゴムをベースとする)の接着力は、粘着樹脂の融点と共に上昇する。本発明によるオレフィンポリマーの場合、これが逆に挙動するものと思われる。115℃〜140℃の高融点の粘着樹脂は、融点が105℃未満の粘着樹脂より明らかに不利であり、融点が105℃未満の粘着樹脂が好ましい。融点が85℃未満の樹脂は、フレークまたはタブレットが輸送および貯蔵の際に凝塊形成するので市販するのはほぼ不可能である。
【0033】
したがって本発明によれば、一般に使われている(例えば85℃〜105℃の範囲からの融点を有する)粘着樹脂を軟化剤と組み合わせることが好ましく、これにより事実上、樹脂融点が低下する。混合物融点は、粘着樹脂と軟化剤から成る均質化された混合物に関して測定され、その際、両方の成分は接着剤中と同じ比で存在している。融点は45℃〜95℃の範囲内にあるのが好ましい。
【0034】
エラストマー成分としての天然ゴムまたは不飽和スチレンブロックコポリマーをベースとする従来の接着剤は、ポリマー鎖内に二重結合を有するこのエラストマー成分の酸化分解を回避するため、通常はフェノール系酸化防止剤を含む。
【0035】
しかしながら本発明による接着剤は、酸化されやすい二重結合のないオレフィンポリマーを含んでおり、したがって酸化防止剤なしにすることができる。
【0036】
使用する自己接着剤は、特性を最適化するため、さらなる添加剤、例えば一次酸化防止剤または二次酸化防止剤、フィラー、難燃剤、顔料、UV吸収剤、オゾン劣化防止剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、光保護剤、例えばHALS、光開始剤、架橋剤、または架橋促進剤と混合することもできる。適切なフィラーおよび顔料は、例えばマイクロバルーン、酸化亜鉛、二酸化チタン、カーボンブラック、二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、ケイ酸塩、またはケイ酸である。
【0037】
マイクロバルーンは、熱可塑性ポリマーシェルを備えた弾性中空球である。この球は、低沸点の液体または液化ガスで満たされている。シェル材料としては、特にポリアクリルニトリル、PVDC、PVC、またはポリアクリレートが使用される。低沸点の液体としては、特に低級アルカンの炭化水素、例えばイソブタンまたはイソペンタンが適しており、この炭化水素は、加圧下でポリマーシェル内に液化ガスとして内包されている。
【0038】
マイクロバルーンへの作用、特に熱作用によって、一方では外側のポリマーシェルが軟化する。同時に、シェル内にある液状の燃料ガスがそのガス状態に移行する。その際、マイクロバルーンは不可逆的に膨張し、3次元に拡張する。この拡張は、内圧と外圧が釣り合うと終了する。ポリマーシェルは維持され続けるので、これにより独立気泡が達成される。
【0039】
多くのマイクロバルーンタイプが市場で入手可能であり、例えばAkzo Nobel社のExpancel DUタイプ(dry unexpanded)であり、これは基本的にその大きさ(未拡張状態で直径6〜45μm)および拡張に必要な開始温度(75℃〜220℃)について細分化されている。マイクロバルーンタイプまたは発泡温度が、接着剤のコンパウンド化に必要な温度プロファイルおよび機械パラメータに適応していれば、接着剤のコンパウンド化と発泡を同時に1つのステップ内で行うこともできる。
【0040】
さらに、未拡張のマイクロバルーンタイプは、固体またはマイクロバルーンの割合が約40〜45重量%の水性分散体としても入手可能であり、さらにポリマー結合したマイクロバルーン(マスターバッチ)としても、例えばエチルビニルアセテート中で約65重量%のマイクロバルーン濃度で入手可能である。
【0041】
好ましい一実施形態によれば、接着剤は、
− 好ましくは少なくとも2phr、特に好ましくは少なくとも6phrの量で、かつ/または立体阻害されたフェノール性基を有する一次酸化防止剤、および/または
− 0〜5phr、好ましくは0.5〜1phrの量で、かつ/または硫黄化合物のクラスもしくは亜リン酸塩のクラスに由来する二次酸化防止剤
を含む。
【0042】
本発明による接着剤は、特に後述する皮膚貼り付けに関する使用のために、吸収性フィラー、例としてセルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、ペクチン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、コラーゲン、アルギネートを、親水コロイドまたはヒドロゲルとして含むことができる。
【0043】
さらに本発明による接着剤は、これも特に後述する皮膚貼り付けに関する使用のために、殺菌作用を達成するため、および感染を予防するため、抗菌性添加剤、例えば銀塩、ヨウ素、クロラミン、クロロヘキシジン、または亜鉛塩をベースとする添加剤を含むことができる。
【0044】
特に有利なのは、支持体と、支持体の少なくとも片面に溶融状態でコーティングされ、基本的に鉱油を含まず、0.86〜0.89g/cmの間の密度と低くとも105℃の結晶融点を有するエチレンポリマーおよび粘着樹脂から成る接着剤とを備えた接着テープの一実施形態である。その際、軟化剤として鉱油は使用しない。
【0045】
鉱油は、確かに本発明によるエチレンポリマーを粘着性に調整するのに非常に良く適しているが、良好な、つまり例えば>60のフォギング値(DIN75201)を達成するには、あるいはゴースティング(マスキングテープおよび表面保護テープの場合の残留物)またはロールを高温貯蔵した際の紙支持体の油の浸透を回避するには揮発性が高すぎる。このため接着剤は基本的に鉱油を含まない。
【0046】
この感圧接着剤は耐老化性および耐UV性である。この感圧接着剤の場合、極性および非極性の下地に対する接着性を調節することができ、溶剤なしでも加工することができる。
【0047】
この接着テープは、天然ゴムまたは不飽和スチレンブロックコポリマーをベースとする類似の接着テープに比べ、ケーブル適合性での利点を有するだけでなく、自動車構造内のケーブルハーネスにおいて一般的なポリプロピレンおよびポリアミドから成る蛇管に対する適合性でも利点を有している。
【0048】
このエチレンポリマーは、メルトインデックスが好ましくは6g/10分未満、特に好ましくは1.5g/10分未満である。エチレンポリマーの曲げ弾性率は、好ましくは26MPa未満、特に好ましくは17MPa未満である。このエチレンポリマーは、C〜C10オレフィン、特に1−オクテンをコモノマーとして含むことが好ましい。このエチレンポリマーは、結晶性ポリエチレンブロックならびにエチレンおよびC〜C10オレフィンから成る基本的に非晶質のブロックから成る構造を有することが好ましい。
【0049】
テキスタイル支持体または紙支持体を備えた従来の接着テープは、貯蔵の際に一方では変形(突出部および空洞を形成)しがちであり、他方では接着剤の低温クリープにより繰出し力が次第に上昇し、使用者が繰り出すのが非常に難くなり、またはそれどころか繰り出そうとすると接着剤もしくは紙支持体が割裂する。したがってさらなる驚くべき利点は、本発明による接着テープロールの貯蔵安定性である。70℃で1ヶ月の貯蔵後でさえ、本発明の対象はまだ良好に繰り出すことができ、油のマイグレーションによる紙支持体への油の浸透はない。塗装用マスキングテープまたは表面保護テープは、数週間の屋外暴露後でも残留物なく除去することができる。
【0050】
粘着樹脂としては、好ましくは一部または完全に水素化された、ロジンをベースとする樹脂(例えばバルサム樹脂)またはロジン誘導体(例えば不均化、二量化、またはエステル化されたロジン)をベースとする樹脂が良く適していることが分かった。
【0051】
この接着剤は、詳述したような鉱油を含有しない液状軟化剤を含むのが好ましい。
【0052】
エラストマー成分としての天然ゴムまたは不飽和スチレンブロックコポリマーをベースとする従来の接着剤は、ポリマー鎖内に二重結合を有するこのエラストマー成分の酸化分解を回避するため、通常はフェノール系酸化防止剤を含む。しかしながら本発明による接着剤は、酸化されやすい二重結合を有さないエチレンポリマーを含んでおり、したがって酸化防止剤なしにするのがよい。驚くべきことだが、酸化防止剤が接着剤とワイヤ絶縁体の適合性を改善することが確認された。したがって好ましくは一次酸化防止剤を使用し、特に好ましくは二次酸化防止剤も使用する。
【0053】
接着剤塗布量(コーティング厚)は、この実施形態では好ましくは10〜120g/mの間、特に好ましくは20〜70g/mの間である。
【0054】
特に有利なのは、支持体と、支持体の少なくとも片面に溶融状態でコーティングされ、0.86〜0.89g/cmの間の密度と低くとも105℃の結晶融点を有するエチレンポリマーおよび粘着樹脂から成る接着剤とを備えた接着テープの本発明による実施形態は、低エネルギー表面に貼り付けるため、すなわち非極性の塗料もしくはオレフィンポリマーから成る被粘着下地に貼り付けるため、特に好ましくはポリオレフィン袋を閉じるもしくは締め付けるため、またはオレフィン系のプラスチックもしくはエラストマーから成る部品の固定のため、なかでも自動車での部品の固定のために適している。
【0055】
低エネルギー表面に貼り付けるための接着テープは、通常は天然ゴム、スチレンブロックコポリマー、およびアクリレートをベースとする接着剤を用いて作製される。両種のゴム接着剤は、低エネルギー表面での優れた接着性を有する。水素化スチレンブロックコポリマーをベースとする接着剤は非常に高価であり、他の下地への粘着性が悪い。同様にこの接着剤は100℃より明らかに低い温度でさえ軟化する。
【0056】
アクリレート接着剤は、優れた耐老化性および耐UV性を有しているが、非極性の、例えばオレフィン系のポリマーには、すべての従来の研究をもってしても付着しづらく、したがって貼り付けるべき表面を、溶剤含有のプライマで前処理しなければならない。
【0057】
シリコーン感圧接着剤は、優れた耐老化性および耐UV性ならびに低エネルギー表面での優れた接着性を有しているが、極端に高価であり、通常のシリコーン処理されたライナでは被覆することができない(またはそのようなライナから再剥離できない)。本発明による接着剤は、溶剤を含まず、低エネルギー表面での高い接着性を有し、アクリレート接着剤のような耐老化性および耐UV性を有する。
【0058】
この接着剤は、非常に多くの下地の上で優れた接着性を示し、特に低エネルギー表面、例えば非極性の塗料またはオレフィンポリマー上でも優れた優れた接着性を示す。
【0059】
この接着剤の組成は、エチレンポリマーを含み鉱油を含まない接着剤に関して記載した組成に従う。
【0060】
接着剤を塗布するためのコーティング方法としては、幅広スリットノズルを用いた押出コーティングおよびカレンダコーティングが好ましい。
【0061】
本発明による接着テープは、特に低エネルギー表面に貼り付けるために使用する場合は、両面粘着性であることが好ましい。
【0062】
多層の構造に関しては、共押出成形、ラミネート加工、またはコーティングによって複数の層を重ね合わせることができる。コーティングは、直接的に、またはライナもしくはプロセスライナ上に行うことができる。
【0063】
この感圧接着剤は、
− 支持体の片面で存在することができ、その際、他方の面には、本発明によらない好ましくはポリアクリレートをベースとする感圧接着剤または本発明によらないシーリング層が存在している、あるいは
− 支持体の両面に存在することができ、その際、両方の感圧接着剤が同じまたは異なる組成を有することができる。
【0064】
この接着テープは片面または両面をライナで覆われていることが好ましい。製品用ライナまたはプロセスライナは、例えば剥離紙または剥離フィルムであり、好ましくはシリコーンコーティングを備えている。支持体としては、例えばポリエステルもしくはポリプロピレンから成るフィルム、または分散体コーティングもしくはポリオレフィンコーティングを適用した、もしくは適用していないカレンダ加工された紙が考慮される。
【0065】
1つの層の接着剤塗布量(コーティング厚)は、好ましくは30〜200g/mの間、好ましくは50〜75g/mの間の層である。ライナなしでの接着テープの全体厚は、好ましくは600〜1500μm、特に好ましくは700〜5000μmである。
【0066】
好ましくは少なくとも1つの層、特に好ましくは本発明による層が架橋される。これは、高エネルギー放射線、好ましくは電子線を用いて、または過酸化物架橋もしくはシラン架橋によって行うことができる。
【0067】
本発明による接着テープは、支持体上に部分的または全面的に、好ましくは片面または場合によっては両面で接着剤が塗布されることによって形成される。コーティングは、縦方向(縦方向)の、場合によっては横方向の、1本または複数の筋の形で行うこともできるが、コーティングは特に全面的である。さらに接着剤をスクリーン印刷によって網点状に塗着することができ、その際、接着剤の小点は大きさおよび/または分布が様々であってもよく、あるいは縦および横方向でつながっている非画線部を有する凹版印刷によって、あるいは網版印刷によって、あるいはフレキソ印刷によって塗着することができる。接着剤は、ドーム(球冠)形状(スクリーン印刷によって製造)で、または他のパターン、例えば格子、縞、ジグザグ線でも存在することができる。さらに接着剤は、例えば吹き付けることもでき、これは多かれ少なかれ不規則な塗布模様を生じさせる。
【0068】
感圧接着剤の製造および加工は、溶液状態および溶融状態で行うことができる。好ましい製造方法および加工方法は溶融状態で行われる。溶融状態の場合に関し、適切な製造プロセスにはバッチ方式も連続方式も含まれる。特に好ましいのは、押出機によって感圧接着剤を連続的に製造し、続いてそれに対応して接着剤が高温の状態ですぐに、コーティングすべき土台上にコーティングすることである。コーティング方法としては、幅広スリットノズルを用いた押出コーティング、カレンダコーティング、噴霧コーティング、および溶融スクリーン印刷が好ましい。さらにコーティングは支持材料の両面に行うこともでき、これにより両面接着テープが得られる。
【0069】
接着剤は、支持材料上に均一に分布していてもよいが、製品のために機能的に相応しいように接着剤を面にわたって様々な厚さまたは密度で塗布してもよい。
【0070】
接着剤でコーティングされる面のパーセンテージは少なくとも20%にすべきであり、最高で95%に達してもよく、特殊な製品のためには40%〜60%ならびに70%〜95%にすることが好ましい。これは、場合によっては複数回の塗布によって達することができ、その際、場合によっては特性が異なる接着剤を使用してもよい。
【0071】
本発明の有利な一実施形態によれば、接着テープは支持体背面での接着力が少なくとも1.5N/cmであり、特に2.5N/cm〜5N/cmの間の接着力を有する。別の下地に対してはより高い接着力を達成することもある。
【0072】
自己接着剤は、支持材料およびその感温性に応じ、直接塗布してもよく、またはまずは補助支持体上に塗着し、それから最終的な支持体上に転写してもよい。
【0073】
支持材料としては、合成原料および天然原料から成るすべての剛性および弾性の平面形成物が適している。接着剤の塗布後に、機能的に相応しい包帯の特性を満たすように使用できる支持材料が好ましい。
【0074】
支持材料として、例えばテキスタイル製品、例として織物、ニット、スクリム、不織布、ラミネート、ネット、フィルム、紙、ティシュー、発泡体、および発泡フィルムを使用することができる。適切なフィルムは、ポリプロピレン、好ましくは配向ポリエステル、硬質PVCおよび軟質PVCから成り、好ましくは坪量が50g/m未満であり、接着テープの密着性が低くなりすぎないようにフィルムは好ましくは15μm未満である。特に好ましいのはポリオレフィン発泡体、ポリウレタン発泡体、EPDM、およびクロロプレン発泡体である。ポリオレフィンとは、ポリエチレンおよびポリプロピレンを意味し、その際、軟質なのでポリエチレンが好ましい。ポリエチレンという概念は、LDPEを包含し、さらにエチレンコポリマー、例えばLLDPEおよびEVAをも包含している。特に、架橋されたポリエチレン発泡体または粘弾性発泡体が適している。これは、好ましくはポリアクリレートから成り、特に好ましくはガラスまたはポリマーの中空体、例えばマイクロバルーンで満たされている。
【0075】
支持材料としては、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、そのコポリマー、これらポリマーの例えばポリエチレンビニルアセテートとのブレンド、またはアイオノマーから成るフィルム、ならびにポリ塩化ビニルまたはポリエステルから成るフィルムなどのプラスチックフィルムを使用することができる。伸長可能なフィルムは、補強材、好ましくはスクリムによって強化することができる。さらに、例えば押出コーティングまたはラミネート加工によって得られる紙−プラスチック複合体の使用が可能である。テキスタイル材料は、用途に応じて開孔してまたはテキスタイル−プラスチック複合体として、支持材料として使用することができる。使用するプラスチックは、例えば三酸化アンチモンなどの難燃剤または例えばSaytex(登録商標)8010などの臭素含有難燃剤を含むことができる。支持材料は、30〜150μmの間、好ましくは50〜100μmの間の厚さでよい。
【0076】
支持体は、(塗布面(コーティング面とも言う)を)接着剤と突き合わせる前に、例えば下塗りによって化学的に、またはコロナなどの物理的前処理によって、準備することができる。支持体の背面には、抗接着性の物理的処理またはコーティングを施すことができる。
【0077】
架橋されたポリエチレン発泡体は、この支持体が製造プロセスに基づきエルカ酸アミドなどの潤滑剤を含むことから、両面粘着性の接着テープのためには、この発泡体上でのアクリレート感圧接着剤の接着性が良くなるようには処理されず、処理をしてもあまり満足のいくものにはならない。
【0078】
したがって本発明による接着剤が、処理なしでさえもそのような発泡体上での付着に優れている、すなわち接着剤を無理に剥がし取ろうとすると発泡体が壊れることは驚くべきことである。
【0079】
さらに、この材料は前処理または後処理することができる。一般に行われている前処理はコロナおよび疎水化であり、周知の後処理はカレンダ加工、硬度調節、ラミネート加工、型抜き、および被覆である。
【0080】
支持体を、テキスタイル製品、発泡体、またはフィルムから成る少なくとも1つの追加層とラミネート加工することも有利と判明した。なぜならこれによって特別な種類の特性の組合せが生じるからである。発泡体は、ラミネート加工していない支持体より著しく高い緩衝特性を有する。フィルムは、例えば表面のシーリングに用いることができる。
【0081】
感圧接着剤の製造および加工は、溶液状態および溶融状態で行うことができる。感圧接着剤を溶融状態で加工する利点は、コーティング後に溶剤を除去しなくてよいので、非常に大きな層厚(接着剤塗布量)を非常に短時間で達成できる可能性にある。したがって好ましい製造方法および加工方法は溶融状態で行われる。溶融状態の場合に関し、適切な製造プロセスにはバッチ方式も連続方式も含まれる。特に好ましいのは、押出機によって感圧接着剤を連続的に製造し、続いてそれに対応して接着剤が高温の状態ですぐに、コーティングすべき土台または剥離紙もしくは剥離フィルム上にコーティングすることである。コーティング方法としては、幅広スリットノズルを用いた押出コーティングおよびカレンダコーティングが好ましい。
【0082】
接着剤塗布量(コーティング厚)は、好ましくは10または15〜300g/mの間、さらに好ましくは20〜250g/mの間、特に好ましくは70〜160g/mの間である。
【0083】
感圧接着テープとしての使用に関し、片面または両面感圧接着テープを1枚または2枚の剥離フィルムまたは剥離紙で覆うことができる。好ましい一形態では、シリコーン処理もしくはフッ素処理されたフィルム、または紙、例えばグラシン、HDPEもしくはLDPEをコートされた紙が用いられ、これらの紙もまたシリコーンもしくはフッ化ポリマーをベースとするリリース層を備えている。
【0084】
包括的な表現である「接着テープ」は、本発明の意味においてはすべての平面的な形成物、例えば2次元に延びたフィルムまたはフィルム切片、延びた長さおよび限られた幅を有するテープ、テープ切片、ダイカット、ラベル、およびその類似物を含む。
【0085】
接着テープはロールの形で、つまりアルキメデスの螺旋の形でそれ自体の上にロール状に巻けて製造することができる。
【0086】
以下に本発明をいくつかの例によってさらに詳しく説明するが、それによって本発明を制限する意図はない。
【発明を実施するための形態】
【0087】
例における原料
IN FUSE9107:エチレンおよびオクテン(1)から成るコポリマー、メルトインデックス1g/10分、密度0.866g/cm、曲げ弾性率15.5MPa、結晶融点121℃
IN FUSE9507:エチレンおよびオクテン(1)から成るコポリマー、メルトインデックス5g/10分、密度0.866g/cm、曲げ弾性率13.9MPa、結晶融点119℃
NOTIO PN−0040:プロピレンおよびブテン(1)から成るコポリマー(場合によっては少量のエチレンも含む)、メルトインデックス4g/10分、密度0.868g/cm、曲げ弾性率42MPa、結晶融点159℃、溶融熱5.2J/g
Softell CA02:プロピレンおよびエチレンから成るコポリマー、メルトインデックス0.6g/10分、密度0.870g/cm、曲げ弾性率20MPa、結晶融点142℃、溶融熱9.9J/g
Engage7467:エチレンおよびブテン(1)から成るコポリマー、メルトインデックス1.2g/10分、密度0.862g/cm、曲げ弾性率4MPa、結晶融点34℃
LD251:LDPE、メルトインデックス8g/10分、密度0.9155g/cm、曲げ弾性率180MPa、結晶融点104℃
PB0300M:ポリブテン、メルトインデックス4g/10分、密度0.915g/cm、曲げ弾性率450MPa、結晶融点116℃
Buna EP G3440:EPDM、密度0.86g/cm、ムーニー粘度28、エチレン48重量%、プロピレン48重量%、およびジエン4重量%
Ondina933:ホワイトオイル(パラフィン・ナフテン系鉱油)
Wingtack10:液状C−炭化水素樹脂
Escorez1310:非水素化C−炭化水素樹脂、融点94℃、多分散度1.5
Escorez1102:非水素化C−炭化水素樹脂、融点100℃、多分散度2.6
Escorez5400:完全水素化シクロペンタジエン樹脂、融点103℃、多分散度2.3
Wingtack extra:芳香族類改変C−炭化水素樹脂、融点97℃、多分散度1.6
Regalite R1100:水素化芳香族炭化水素樹脂、融点100℃、多分散度1.9
Eastotac C130L:完全水素化C−炭化水素樹脂(多分散度2.1の不完全水素化樹脂であるEastotac H130Rとは異なる)、融点130℃、多分散度2.0
Eastotac C115L:完全水素化C−炭化水素樹脂、融点115℃、多分散度1.9
Irganox1726:二次酸化防止剤の硫黄系官能基を備えたフェノール系酸化防止剤
Irganox1076:フェノール系酸化防止剤
Irganox PS802:硫黄系二次酸化防止剤
Oppanol B10:液状ポリイソブテン
Foral85:ロジンの完全水素化グリセリンエステル、融点85℃、多分散度1.2
PRO10493:非水素化C炭化水素樹脂、融点98℃、多分散度2.0
Tinuvin622:HALSをベースとするUV安定剤
TOTM:トリス(2−エチルヘキシル)トリメリテート
【0088】
検査法
測定は、別段の定めのない限り、23±1℃および相対湿度50±5%の検査雰囲気で実施する。
【0089】
繰出し力は、DIN EN1944に従い300mm/分で測定する。
【0090】
老化検査は、自動車規格LV312−1「自動車における導線ユニットのための保護システム、接着テープ;検査要綱」(02/2008)、Daimler社およびAudi社およびBMW社およびVolkswagen社の共通規格に基づいて実施する。
【0091】
接着力は、AFERA4001に従い180°の引き剥がし角度で、幅15mmのテスト細長片に関して測定する。このとき検査下地としては、AFERA規格に基づくスチール板または接着テープの背面を使用する。
【0092】
屋外使用のための織物支持体を備えた実施形態の場合の接着力の測定は、AFERA5001に倣って以下のように実施する。定義された被粘着下地として、スチール面、ポリエチレン面(PE)、および粒度150の紙やすりを用いる。調査すべき貼付可能な平面要素は、幅20mmおよび長さ約25cmに切断し、把持部を設け、その直後に4kgのスチールローラを用いてそれぞれ選択された被粘着下地に、10m/分の送りで5回押し付ける。貼り付けられた平面要素はその後すぐに、引張検査機(Zwick社)を用いて被粘着下地から180°の角度で引き剥がし、このために室温で必要な力を測定する。測定値(単位N/cm)は、3回の個々の測定からの平均値として得る。
【0093】
UV安定性(UVテスト)を測定するため、幅20mmおよび長さ25cmのサンプルを厚さ4mmのガラス板に貼り付け、2kgのローラで5回押し付ける。サンプルはガラス側を上にして、キセノンランプを備えたUVチャンバ内で照射強度300W/mで貯蔵する。毎日、例ごとにそれぞれ新たな細長片をUVチャンバから取り出し、1時間かけて室温へとコンディショニングした後、ガラス板から引き剥がす。
【0094】
その際、接着性を評価し、目立った変化、裂け目、またはガラス板上の接着剤残留物の有無を記録する。
【0095】
長期屋外暴露に代わる迅速なテストの形の暴露テストとして、ISO4892−2(2006)の方法Aに倣ったいわゆる「サンテスト」を実施する。これに関し、サンプルを硬質PVC、ガラス、およびPE上に貼り付け、765ワットのキセノンランプによるUV照射と一時的な給水の組合せを施す。2時間サイクルで、給水と照射の組合せを18分行った後、給水なしの照射を102分間行う。
【0096】
暴露期間後、細長片を室温へと再コンディショニングした後で視覚的に評価し、次いで90°および180°で引き剥がす。メーカーの報告(例えばAtlas社)によれば、1週間のサンテストは中欧での約3ヶ月の屋外暴露に相当する。
【0097】
引き剥がしたテスト細長片がそれを許容するなら、この細長片を使って貯蔵後の接着力を測定する。
【0098】
散発的に実施した実際の屋外条件下での長期テスト(屋外暴露)は、ハンブルクで、建物の屋上で、南向きで、傾斜角度45°で、同じ被粘着下地上で行われた。結果は上述の迅速なテストに匹敵した。
【0099】
ポリマーの密度はISO1183に従って測定し、g/cmで表示する。
【0100】
結晶融点(Tcr)は、MTM15902(Basell法)またはISO3146に従い、DSCを用いて測定する。
【0101】
厚さはDIN53370に従って測定し、その際、テスターは平坦である(アーチ状ではない)。ただし構造化されたフィルムの場合は、エンボス加工前の厚さに基づく。これは後からでも、坪量(DIN53352に従って測定)および密度との換算によって可能である。エンボス深度は、エンボス加工有りの厚さと無しの厚さの差である。
【0102】
建設用途のための実施形態の場合のスチール上での接着力の測定は、AFERA4001に倣って180°の引き剥がし角度で、(可能ならば)幅20mmのテスト細長片に関して測定する。このとき検査下地としては、AFERA規格に基づくスチール板を使用し、このスチール板上に検査すべき接着テープの細長片を付着させる。軟質の支持フィルムを備えた接着テープ、つまりスチール上での接着力より小さい力ではフィルムが歪む接着テープは、幅20mmの細長片tesa(登録商標)4224(ゴム接着剤を備えたPPフィルムをベースとする83μmの接着テープ、接着力は8.25N/25mm)で強化する。両面接着テープの検査の場合、検査しない側は、幅20mmで厚さ30μmの硬質PVCから成る細長片で覆う。検査はAFERA4001に基づいて行う。
【0103】
ポリエチレン上での接着力は、190μm厚のポリエチレンフィルムと接着テープの20mm幅での貼り付きに関し、事前の貯蔵なしで測定する。その際、フィルムは垂直に下に向かって固定されており、接着テープを垂直に上に向かって速度300mm/分で引き剥がす。軟質の支持フィルムを備えた接着テープまたは両面接着テープには、スチール上での接着力の測定の場合と同じやり方を適用する。
【0104】
耐老化性を測定するため、市販の防風材、水蒸気抑制材、または水蒸気遮断材への接着テープの貼り付きを検査する。ポリエチレン上での接着力を測定するための方法で述べた被検体を使用する。貯蔵は、65±1℃および相対湿度85±5%で20週間行う。
【0105】
フォギング値はDIN75201に従って測定する。
【0106】
タックは、接着力測定に関して述べたように試料をクラフト紙に貼り、すぐに試料を引き剥がすことによって測定する。少なくとも貼付面の少なくとも50%で紙繊維が引きちぎられるか、または紙が裂ければ、タックは良好である。
【0107】
引き続き本発明を複数の例によってさらに詳しく説明するが、これらの例は如何なる形でも限定するようなものではない。有利と認められた様々な利用可能性に関し、特にそれぞれの利用法に合わせてなされるさらなる例が示されているが、これらの例も同様に説明の役割をするにすぎない。
【0108】
例1
接着剤は下記の成分、すなわちIN FUSE9107 100phr、Engage7467 100phr、Escorez1310 425phr、Irganox1726 16phrから成る。
【0109】
接着剤は押出機内で連続的に製造し、ポリエステル織物上にノズルコーティングによって溶融状態で70g/mで塗布する。このフィラメント織物は、坪量が130g/mで、167dtexのポリエステル糸から成り、経糸方向には1cm当たり45本および横糸方向には1cm当たり25本の糸を有する。コーティングされた布地は切断によって幅19mmおよび全長10mのロールに仕立てられ、芯の内径は38mmである。
【0110】
スチール上での接着力は5N/cm、背面上での接着力は2.5N/cmである。
【0111】
70℃で1ヶ月のロール貯蔵:ロールは少し変形しており、良好に繰り出すことができる。
【0112】
適合性検査:出来上がった接着テープを、LV312に基づき、様々な絶縁材料を備えたワイヤ対の周りに巻き付け、対応する温度で貯蔵する。このような被検体を絶縁材料ごとに6つ作製する。500時間ごとにそれぞれ1つのサンプルをチェックし、接着テープを再び剥がし、ケーブルを直径2mmの心棒の周りに巻き付ける。絶縁体が損傷しているかどうか、および接着剤が感圧接着性を示しているかどうかを調査する。検査温度:PVC105℃および架橋されたPE上では125℃。すべてのワイヤ絶縁体が3000時間後にまだ損傷していない。105℃で3000時間後、接着剤は支持体内にほとんど浸入しておらず、まだ優れた感圧接着性を有する。125℃で3000時間後、接着剤は部分的に支持体内に浸入しているが、未だ感圧接着性を保持している。
【0113】
DIN75201に従ったフォギング値は85である。
【0114】
例2
接着剤は下記の成分、すなわちIN FUSE9107 100phr、Buna EP G3440 100phr、Regalite1100 425phr、Irganox1076 8phr、およびIrganox PS802 8phrから成る。コーティングは、既製の紙支持体SC/042P(Gessner、60g/m)上に40g/mで例1と同様に行う。
【0115】
接着テープを、自動車産業で広く使われているような2K−PU塗料を備えた板金に貼り付け、ハンブルクで屋外暴露を施し、4週間後、接着テープは残留物なしで再び引き剥がすことができる。ロールを70℃で4週間貯蔵した後、紙に油は浸透しておらず、ロールは僅かしか変形していない。
【0116】
例3
接着剤は下記の成分、すなわちIN FUSE9107 100phr、Buna EP G3440 100phr、Escorez1310 425phr、Irganox1076 8phr、およびIrganox PS802 8phrから成る。コーティングは68g/mで例1のように行う。接着剤は下記の支持体、すなわち50dtexのステッチ長1mmのポリエステル糸を用いた、約3.4dtexで繊維長約80mm、坪量72g/mで繊度F22のポリエステル繊維から成るマリワット・ステッチボンドニット(Maliwatt−Naehgewirke)上に塗着する。
【0117】
スチール上での接着力は6.2N/cm、背面上での接着力は2.4N/cmである。
【0118】
70℃で1ヶ月のロール貯蔵:ロールは少し変形しており、良好に繰り出すことができる。
【0119】
105℃でのPVC上での、ならびに125℃での架橋されたPEおよびPP上での適合性検査:
すべてのワイヤ絶縁体が3000時間後にまだ損傷していない。105℃で3000時間後、接着剤は支持体内にほとんど浸入しておらず、まだ優れた感圧接着性を有する。125℃で3000時間後、接着剤は部分的に支持体内に浸入しているが、未だ感圧接着性を保持している。
【0120】
例4
この実施形態は例1で述べたように行い、ただし接着剤はIN FUSE9507 100phr、Oppanol B10 140phr、Foral85 250phr、Irganox1076 8phr、およびTinuvin622 5phrから成る。コーティングは、支持フィルムのベース層上に15g/mで行う。この支持フィルムは、PPホモポリマー59.7重量部、LLDPE30重量部、無機コートされた二酸化チタン10重量部、およびHALS安定剤(Tinuvin622)0.3重量部から成る50μm厚のベース層と、PPホモポリマー30重量部およびLDPE(LD251)70重量部から成る15μm厚の上張層とから構成されている。
【0121】
結果として生じた製品を、自動車に広く使われているような2K−PU塗料を備えた板金に貼り付け、UVによる老化を施す(1750時間のキセノテスト150、97kLyに相当)。その後の引き剥がしによって接着剤残留物は生じなかった。
【0122】
例5
接着剤は下記の成分、すなわちIN FUSE9107 100phr、Engage7467 100phr、Escorez1310 425phr、Irganox1726 16phrから成る。
【0123】
接着剤は押出機内で連続的に製造し、25g/mのティシュー上にノズルコーティングによって溶融状態で70g/mで両面に塗布する。この製品を、ポリエチレンコーティングされた剥離紙で被覆する。
【0124】
むきだしの面および被覆された面のスチール上での接着力はそれぞれ5N/cmである。ポリプロピレン板上での接着力はそれぞれ>10N/cmである。
【0125】
接着力は、AFERA4001に従い180°の引き剥がし角度で、幅15mmのテスト細長片に関して測定する。スチールまたはポリプロピレンに貼り付けられていない側は、接着力測定の前に25μm厚のエッチングされたポリエステルフィルムによってラミネートする。
【0126】
例6
製造は例5に倣って行い、接着剤は下記の成分、すなわちIN FUSE9107 100phr、Foral85 212phr、Ondina933 78phr、Irganox1726 2phrから成る。コーティングは、架橋されたポリエチレン発泡体Alveolith THL SR0701上に65g/mで行う。
【0127】
むきだしの面および被覆された面のスチール上での接着力はそれぞれ9N/cmである。ポリプロピレン板上での接着力はそれぞれ>10N/cmである。2つの製品積層体を、ポリエステルフィルムで強化せずに相互に貼り付け、1分後に結合を外そうとすると、発泡体に亀裂が生じる。
【0128】
例7
製造は例5に倣って行い、接着剤は下記の成分、すなわちIN FUSE9507 100phr、Regalite1100 250phr、Oppanol B10 140phr、Irganox1726 2phrから成る。
【0129】
コーティングは、ポリアクリレートから成る800μm厚の粘弾性支持体上に50g/mで行う。この支持体の組成および製造は、国際公開第2006/027389号(特許文献1)に、支持体例VT1として記載されている。他方の面にも同様に、(国際公開第2006/027389号(特許文献1)の例PA1に対応する)アクリレート溶剤系接着剤を50g/mでラミネートする。
【0130】
スチール上でのエチレンポリマー接着剤の接着力は11N/cm、アクリレート接着剤の接着力は15N/cmである。ポリプロピレン板上でのエチレンポリマー接着剤の接着力は>10N/cm、アクリレート接着剤の接着力は2N/cmである。
【0131】
比較例1
この実施形態は例1で述べたように行い、ただし接着剤は市販の配合物に対応してVector4113 100phr、Escorez1310 97phr、Ondina933 21phr、およびIrganox1726 1phrから成る。
【0132】
70℃で1ヶ月のロール貯蔵:ロールは強く変形しており、繰出しは非常に困難である。
【0133】
適合性検査:PVC絶縁体は最初の裂け目を500時間後に、PE絶縁体およびPP絶縁体は105℃で1000時間の貯蔵後に示す。感圧接着性は1000時間後には失われており、接着剤は支持体に吸収され、そこで固化している。
【0134】
フォギング値は35である。
【0135】
比較例2
この実施形態は例1で述べたように行い、ただし用いる接着剤はLD251 100phr、Ondina933 78.4phr、Eastotac H130R(非水素化C−炭化水素樹脂、多分散度2.1、融点130℃)212phr、Irganox1726 8phrから成る。コーティングは感圧接着性ではなく硬質であり、油性の表面を有する。
【0136】
比較例3
この実施形態は例1で述べたように行い、ただし用いる接着剤はEngage7467 100phr、Ondina933 78.4phr、Escorez1310 212phr、Irganox1726 8phrから成る。
【0137】
コーティングは、ハエ取りリボンのように非常に軟質で粘着性である。接着剤は、低い溶融粘性により支持体内に浸入している。繰出しの際に接着剤が割裂するので、コーティングされた布地をロールへと切断することはできなかった。この理由から接着力測定も同様に不可能である(凝集破壊)。フォギング値は37である。
【0138】
比較例4
この実施形態は例1で述べたように行い、ただし用いる接着剤はIN FUSE9107 100phr、Ondina933 78.4phr、Escorez1310 212phr、Irganox1076 8phrから成る。コーティングは、40g/mで例3と同様に行う。ロールを70℃で4週間貯蔵した後、紙には油が浸透しており、接着剤のタックはかなり低下しており、ロールは変形している(空洞)。コーティングは感圧接着性ではない。
【0139】
比較例5
この実施形態は例1で述べたように行い、ただし用いる接着剤はIN FUSE9107 100phr、PB0300M 78.4phr、Escorez1310 212phr、Irganox1076 8phrから成る。コーティングは例3と同様に行う。コーティングは感圧接着性ではない。
【0140】
比較例6
この実施形態は例5で述べたように行い、ただしIN FUSE9107ではなくLD251を用いる。コーティングは感圧接着性ではなく硬質であり、油性の表面を有する。
【0141】
比較例7
この実施形態は例5で述べたように行い、ただしIN FUSE9107ではなくEngage7467を用いる。コーティングは非常に軟質で粘着性である。接着力測定は凝集破壊により不可能である。
【0142】
比較例8
この実施形態は例5で述べたように行い、接着剤は下記の成分、すなわちN FUSE9107 100phr、PB0300M 78.4phr、Escorez5400 212phr、Irganox1076 8phrから成る。接着剤はほとんど感圧接着性でない。
【0143】
本発明による接着テープは、梱包用途、好ましくは特に型抜き部の領域内での紙箱の強化のため、開封帯として、運搬用ハンドルとして、パレット固定のため、物品の輸送保全材として、結束のため、および特に折り畳み式段ボール箱を閉じるために特にに適している。このような物品に関する例は、PCのプリンタまたは冷蔵庫である。
【0144】
接着剤は、溶剤なしで支持体上に塗着されることが好ましい。
【0145】
さらに、オレフィンポリマーがエチレンポリマーであるとき、梱包用接着テープとしての使用に有利であることが分かった。
【0146】
スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーをベースとするのが一般的なスチレンブロックコポリマー接着剤は、ポリプロピレンフィルム上でのみコーティング可能であり、硬質PVCフィルム上にはコーティングできない。
【0147】
アクリレート接着剤は再剥離性が悪いので、物品の輸送保全材には適していない。
【0148】
ここで、梱包用接着テープとしての接着テープの本発明に基づく使用が改善策を提供する。
【0149】
このエチレンポリマーは、メルトインデックスが好ましくは6g/10分未満、特に好ましくは1.5g/10分未満であり、曲げ弾性率が好ましくは26MPa未満、特に好ましくは17MPa未満であり、かつ/またはC〜C10オレフィン、好ましくは1−オクテンをモノマーとして含む。
【0150】
本発明によるエチレンポリマーは合成ゴムと組み合わせることができる。これは例えばポリイソブチレン、ブチルゴム、EPM、EPDM、不飽和もしくは水素化スチレンブロックコポリマーである。
【0151】
驚くべきことに、新規のポリエチレンベース接着剤の場合、従来のゴム接着剤とは違い粘着性(タック)および接着力が樹脂の多分散度に極端に依存することが分かった。
【0152】
粘着樹脂としては炭化水素樹脂が好ましい。既に挙げたもののほかにテルペンフェノール樹脂も適しているが、平凡なタックしか生じず、ただしその代わりに非常に良好なせん断強度および耐老化性が生じる。
【0153】
この接着剤は酸化防止剤なしでよい。これは、物品の輸送保全材として使用する際に、酸化防止剤が、貼り付いた物体上で変色を引き起こす可能性がないという利点を有する。さらに、本発明による接着テープは食料品との接触を伴う貼り付けに適している。接着剤の製造およびコーティングの際に非常に高い熱負荷がある場合は、フェノール系酸化防止剤の使用が推奨される。
【0154】
使用する軟化剤は、鉱油を含むのではなく、好ましくはイソブテンホモポリマーおよび/またはイソブテンブテンコポリマーから成る液状重合体、ならびにフタル酸、トリメリット酸、クエン酸、またはアジピン酸のエステル、特にこれら酸と分枝状のオクタノールおよびノナノールとのエステルの群から選択される。
【0155】
さらに好ましくは、接着剤が、エチレンおよびブテン(1)もしくはヘキセン(1)もしくはオクテン(1)から成るコポリマー、またはエチレン、プロピレン、およびブテン(1)もしくはヘキセン(1)もしくはオクテン(1)から成るターポリマーを含み、その際、コポリマーまたはターポリマーの曲げ弾性率は好ましくは10MPa未満であり、かつ結晶融点は好ましくは50℃未満であり、あるいは好ましくはエチレン含有率が40〜70重量%および/または密度が0.88g/cm未満、特に好ましくは0.87g/cm未満のEPMまたはEPDMを含み、その際、コポリマーまたはターポリマーの量は100phr超であることが好ましい。
【0156】
コーティング方法としては、幅広スリットノズルを用いた押出コーティングおよびカレンダコーティングが好ましい。特殊な一実施形態では、支持フィルムがポリオレフィンから成り、接着剤と共に共押出成形される。
【0157】
接着剤は、好ましくは15〜40g/mの間、特に好ましくは20〜30g/mの間で、支持体上に塗着する。
【0158】
支持体としては、硬質PVC(特にエマルジョンPVC)またはポリオレフィンから成るフィルムが好ましい。このフィルムは、特に好ましくは製造時に1軸もしくは2軸延伸され、かつ/または厚さが好ましくは25〜200μmの間、特に好ましくは30〜80μmの間である。
【0159】
フィルムを、ラミネート加工、エンボス加工、または放射線処理によって改変することができる。フィルムに表面処理を施すことができる。これは例えば付着仲介のためにはコロナ処理、火炎処理、フッ素処理、もしくはプラズマ処理であり、または剥離塗装に面していない側では溶液もしくは分散体もしくは液状で放射線硬化可能な材料のコーティングである。
【0160】
この接着テープは、支持体の接着剤とは反対側にある剥離塗装(リリースコーティング、抗接着性コーティング)を含むことが好ましく、この剥離塗装は例えばシリコーン、アクリレート(例えばPrimal(登録商標)205)、ステアリル化合物、例えばポリビニルステアリルカルバメートまたはクロムステアレート錯体(例えばQuilon(登録商標)C)または無水マレイン酸コポリマーとステアリルアミンからの反応生成物から成る。シリコーンは、溶剤なしで、または溶剤を含んで塗布することができ、かつ放射線、縮合反応、もしくは付加反応によって、または物理的に(例えばブロック構造によって)架橋することができる。剥離塗料は、ポリビニルステアリルカルバメートまたはシリコーンをベースとするのが好ましい。静かに繰出し得る梱包用接着テープのためには、剥離塗装を用いず、フィルム背面を処理しないか、またはコロナなどの物理的方法によって処理するのが好ましい。
【0161】
例A1
支持フィルムとしては、Kloeckner−Pentaplast、GendorfのフィルムR240(旧名称GA06)を使用する。この支持フィルムは、(繰出し力低減のため)エンボス441を有し、エンボス加工前の厚さは30μmであり、かつ無色である。この支持フィルムは、K値78のE−PVC、スズ安定剤約0.6重量%、およびモンタン酸エステルワックス約3重量%を含む。このフィルムはLuvitherm(登録商標)法で製造する。
【0162】
下面(ここではエンボスが浮き出していない)をコロナ処理し、天然ゴム、環化ゴム、および4,4’−ジイソシアナートジフェニルメタンから成るプライマを塗着する。
【0163】
接着剤は下記の成分、すなわち
100phr IN FUSE9107
78phr Ondina933
212phr PRO10394
2phr Irganox1076
から成り、溶融状態で25g/mで塗布される。
【0164】
スチール上での接着力は2.8N/cmである。
【0165】
この例のタックは良好である。
【0166】
例A2
支持フィルムは、長手方向に比率1:7で延伸された厚さ55μmの赤茶色に着色されたポリプロピレンコポリマーから成る。この支持フィルムの背面に縮合架橋性シリコーンをコーティングする。プライマは使用しない。
【0167】
接着剤は下記の成分、すなわち
100phr IN FUSE9507
140phr Oppanol B10
250phr Escorez1310
2phr Irganox1076
から成り、溶融状態で28g/mで塗布される。
【0168】
スチール上での接着力は6.5N/cmである。タックは良好である。
【0169】
例A3
支持フィルムは、2軸延伸ポリプロピレンホモポリマーから成るRadil TM、35μmである。この支持フィルムには、コロナ処理した面にポリビニルステアリルカルバメートをトルエン溶液の状態でコーティングし、表側に下記の組成のホットメルト感圧接着剤を28g/mでコーティングする。
100phr IN FUSE9107
78phr Ondina933
212phr Foral85
【0170】
スチール上での接着力は4.8N/cmである。タックは良好である。
【0171】
比較例A1
この実施形態は例A3で述べたように行い、ただし用いる接着剤は、
100phr LD251
78phr Ondina933
212phr Escorez1310
2phr Irganox1076
から成る。
【0172】
コーティングは感圧接着性ではなく硬質であり、油性の表面を有する。
【0173】
比較例A2
この実施形態は例A3で述べたように行い、ただし用いる接着剤は、
100phr IN FUSE9107
78phr PB0300M
212phr Escorez1310
2phr Irganox1076
から成る。
【0174】
コーティングは感圧接着性ではない。
【0175】
さらに本発明による接着テープは、塗装、サンドブラスト、モルタルでの上塗り、または輸送のために表面をカバーするため、特に屋外暴露を伴う用途のため、なかでも車両の塗装を保護するために特に適している。
【0176】
というのもゴム接着剤は、一般的に天然ゴム、粘着樹脂、軟化剤、およびフェノール系酸化防止剤から成り、耐老化性および耐UV性が比較的低い。
【0177】
アクリレート接着剤は、優れた耐老化性および耐UV性を有しているが、残念ながら非極性の下地への接着性が悪い。アクリレート接着剤は、非常に極性の高い下地、例えばアルミニウム、ガラス、またはPVCからは再び除去することができず、したがってそのようなマスキング用途には適していない。特に比較的長期間の暴露後には、ほぼすべての接着テープが、全く残留物なしでは除去できなくなっている。
【0178】
本発明によるカバー用接着テープは、耐老化性および耐UV性であり、極性および非極性の下地に対する接着性を調節することができ、溶剤なしでも加工することができる。
【0179】
接着剤は、溶融状態で少なくとも片面にコーティングされることが好ましい。
【0180】
さらに、オレフィンポリマーがエチレンポリマーであるとき、カバー用接着テープとしての使用に有利であることが分かった。
【0181】
このエチレンポリマーは、メルトインデックスが好ましくは6g/10分未満、特に好ましくは1.5g/10分未満であり、曲げ弾性率が好ましくは26MPa未満、特に好ましくは17MPa未満であり、かつ/またはC〜C10オレフィン、好ましくは1−オクテンをモノマーとして含む。
【0182】
このエチレンポリマーは、結晶性ポリエチレンブロック、ならびにエチレンおよびC〜C10オレフィンから成る基本的に非晶質のブロックから成る構造を有することが好ましい。
【0183】
本発明によるエチレンポリマーは、ゴム接着剤で既知のエラストマー、例えば天然ゴムまたは合成ゴムと組み合わせることができる。UV安定性のために、不飽和エラストマー、例えば天然ゴム、SBR、NBR、または不飽和スチレンブロックコポリマーは好ましくは少量しか使用されず、または特に好ましくは全く使用されない。飽和主鎖をもつ合成ゴム、例えばポリイソブチレン、ブチルゴム、EPM、EPDM、または水素化スチレンブロックコポリマーは、改変を所望する場合に好ましい。
【0184】
驚くべきことに、新規のポリエチレンベース接着剤の場合、従来のゴム接着剤とは違い粘着性(タック)および接着力が樹脂の多分散度に極端に依存することが分かった。
【0185】
好ましい一実施形態によれば、接着剤は、
− 好ましくは少なくとも2phr、特に好ましくは少なくとも6phrの量で、かつ/または立体阻害されたフェノール性基を有する一次酸化防止剤、
− 0〜5phr、好ましくは0.5〜1phrの量で、かつ/または硫黄化合物のクラスもしくは亜リン酸塩のクラスに由来する二次酸化防止剤、
− 光保護剤、好ましくはHALS、および/または
− UV吸収剤
を含む。
【0186】
粘着樹脂としては、好ましくは一部または完全に水素化された、ロジンをベースとする樹脂(例えばバルサム樹脂)またはロジン誘導体(例えば不均化、二量化、またはエステル化されたロジン)をベースとする樹脂が良く適していることが分かった。
【0187】
接着剤は、鉱油を含まない液状軟化剤、例えば、フタル酸、トリメリット酸、クエン酸、またはアジピン酸のエステル、羊毛ロウ、液体ゴム(例えば低分子のニトリルゴム、ブタジエンゴム、またはポリイソプレンゴム)、純粋なイソブテンまたはイソブテンブテンコポリマーから成る液状重合体、特に上で挙げた粘着樹脂クラスの粘着樹脂の原料をベースとする融点が40℃未満の液状樹脂および軟質樹脂を含むことが好ましい。特に好ましいのは、イソブテンから成る液状重合体ならびにとりわけイソブテンおよびブテンから成るコポリマーである。
【0188】
この接着剤は、上述した理由から基本的に鉱油を含まない。
【0189】
屋外使用のため、接着剤には例えば商品名ChimassorbおよびTinuvinで知られているような光保護剤および/またはUV吸収剤を添加することが好ましい。特に好ましいのは、当業者がHALSと呼ぶアミン系光保護剤である。
【0190】
支持体としては、紙、織物、ニット、ティシュー、またはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、もしくはPVCから成る非延伸もしくは延伸フィルムが好ましく、特に紙または非延伸ポリプロピレンフィルムが好ましい。
【0191】
感圧接着剤の製造および加工は、溶液状態および溶融状態で行うことができる。好ましい製造方法および加工方法は溶融状態で行われる。溶融状態の場合に関し、適切な製造プロセスにはバッチ方式も連続方式も含まれる。特に好ましいのは、押出機によって感圧接着剤を連続的に作製し、続いてそれに対応して接着剤が高温の状態ですぐに、コーティングすべき土台上にコーティングすることである。コーティング方法としては、幅広スリットノズルを用いた押出コーティングおよびカレンダコーティングが好ましい。
【0192】
接着剤塗布量(コーティング厚)は、好ましくは10〜120g/mの間、特に好ましくは20〜70g/mの間である。
【0193】
例B1
この用途のために好ましい接着テープは、例2に基づく接着テープである。
【0194】
例B2
この用途のために好ましい接着テープは、例4に基づく接着テープである。
【0195】
さらに本発明による接着テープは、空調設備の通気管もしくは通気導管、ワイヤ、またはケーブルの結束、保護、ラベリング、絶縁、または密封のための、ならびに好ましくは車両でのケーブルユニットおよび受像管用の磁場コイルを被覆するための巻き付けテープとして特に適している。
【0196】
一般的にケーブル巻き付けテープおよび絶縁テープは、片面に感圧接着剤コーティングを備えた軟化したPVCフィルムから成る。対応する欠点には、軟化剤の蒸発および高いハロゲン含有率が含まれる。軟質PVCフィルムをベースとする巻き付けテープは、自動車において電線をケーブルハーネスへと結束するために用いられる。技術開発の最初に、本来は絶縁テープとして開発されたこの巻き付けテープを使用する際の電気絶縁性の改善が極めて重要であった場合、このようなケーブルユニット用テープはその後、さらなる機能、例えば多数の個別ケーブルの安定なケーブルハーネスへの結束および永続的な固定、ならびに機械的、熱的、および化学的損傷に対する個別ケーブルおよびケーブルハーネス全体の保護などの機能を満たさなければならなくなる。
【0197】
軟質PVCフィルムの代わりに織物または不織布を使用するという努力がなされているが、織物または不織布から作られた製品は実際にはあまり用いられていない。なぜならこれらの製品は比較的高価であり、取扱い(例えば手での引裂性、弾性復元力)および使用条件(例えば作動液に対する耐性、電気的特性)において、通常の製品とは大きく異なっているからである。その際、以下に詳述するように、厚さが非常に重要になる。
【0198】
(特許)文献には、ポリオレフィンから成る支持体を備えた巻き付けテープも記載されている。この巻き付けテープはゴムまたはアクリレートから成る接着剤を備えている。
【0199】
ゴム接着剤は、粘着特性を良好に調整できるという利点を有する。ゴム接着剤は、エンジンルーム内での用途には適しておらず、ゴム接着剤は通常の検査条件下では、顧客の仕様に応じて105℃で3000時間後、125℃で3000時間後、または140℃で168時間後に、ポリエチレンおよびポリプロピレンから成るケーブル絶縁体、特にPVCから成るケーブル絶縁体の脆化を引き起こし、一部ではポリオレフィン支持体の脆化も引き起こす。
【0200】
アクリレート接着剤は、フィルム背面での接着性が低く、これにより繰出し力が小さくなり、詳しく言えば繰出し力は、25℃で少なくとも1ヶ月間貯蔵したロールの場合、300mm/分の繰出し速度で1N/cm未満であるが、この用途に関して繰出し力は、皺のない巻き付けのため、および作業者が疲れないように1.6〜3.0N/cmの間にすべきであろう。フィルム背面のコロナ処理によって繰出し力を上昇させることができるが、この場合、低いコロナ出力で既に繰出し力は約4N/cmであり、貯蔵期間が長くなればさらに上昇する。
【0201】
シリコーン感圧接着剤は、それが極端に高価でなく、溶剤なしでも入手可能であれば、改善策を提供できるであろう。
【0202】
感圧接着剤の分散体コーティングは、水の作用によって潜在的に危険にさらされており、これは接着力の喪失(巻き付け終端部の垂れ下がり)および電気的特性の悪化を招く。溶剤系接着剤はこれに関しては有利であるが、車両におけるVOC(VOC=volatile organic compounds)不使用という新たな要求には対応しておらず、労働衛生および労働安全性に関する近年の要件を満たしていない。
【0203】
このような巻き付けテープが、ポリオレフィンフィルムおよびポリオレフィン感圧接着層から製造可能であることは、当業者には驚くべきことであり、予測できないことである。
【0204】
巻き付けテープの好ましい一実施形態によれば、支持体はハロゲンを含まないポリオレフィン支持体から成り、さらに好ましくは接着剤が溶剤なしで塗布される。
【0205】
接着剤は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、または1−オクテンをベースとする少なくとも1種のポリオレフィンを含むことが好ましく、このようなポリオレフィンの少なくとも2種から成る混合物を含むことがさらに好ましい。
【0206】
この接着剤はさらに、非常に軟質でほとんど結晶性がないオレフィンポリマーを含むことが好ましい。このオレフィンポリマーは好ましくは、エチレン、プロピレン、ブテン(1)、ヘキセン(1)、および/またはオクテン(1)から成るコポリマーであり、これらは例えば商品名Exact(登録商標)、Engage(登録商標)、Versify(登録商標)、またはTafmer(登録商標)で知られており、あるいはエチレン、プロピレン、ブテン(1)、ヘキセン(1)、および/またはオクテン(1)から成るターポリマーであり、その際、曲げ弾性率は好ましくは20MPa未満であり、結晶融点は好ましくは50℃未満である。
【0207】
本発明に基づき、巻き付けテープに好ましい支持体は、酸化されやすい二重結合のないオレフィンポリマーを含んでおり、したがって酸化防止剤なしにするのがよい。しかし高い長期安定性のためには、好ましくは一次酸化防止剤を使用し、特に好ましくは二次酸化防止剤も使用する。この支持体は、好ましい実施形態では一次酸化防止剤を少なくとも2phr、特に好ましくは6phr含んでおり、または一次酸化防止剤と二次酸化防止剤から成る組合せを好ましくは少なくとも2phr、特に少なくとも6phr含んでおり、その際、一次酸化防止性官能基と二次酸化防止性官能基が異なる分子内に存在している必要はなく、1種の分子内にまとまっていてもよい。二次酸化防止剤の量は、好ましくは最高5phr、特に好ましくは0.5〜1phrである。驚くべきことに、一次酸化防止剤(例えば立体阻害フェノールまたはCラジカルスカベンジャー、例えばCAS181314−48−7)と二次酸化防止剤(例えば硫黄化合物、亜リン酸塩、または立体阻害アミン)の組合せが、適合性を改善させることが判明した。なかでも、一次酸化防止剤、好ましくは相対モル質量が500ダルトン超の立体阻害フェノールと、好ましくは相対モル質量が500ダルトン超の硫黄化合物のクラスまたは亜リン酸塩のクラスに由来する二次酸化防止剤との組合せが好ましく、その際、フェノール官能基、硫黄含有官能基、および亜リン酸塩官能基は、3種の異なる分子内に存在している必要はなく、複数の官能基が1種の分子内にまとまっていてもよい。
【0208】
巻き付けテープが比較的長時間にわたって光(例えば太陽放射)に曝される用途では、好ましくは光保護剤、特に好ましくはHALS、例えばTinuvin111、UV吸収剤、例えばTinuvin P、または不透明な顔料が用いられる。
【0209】
フィルムは、好ましくはエチレン、プロピレン、1−ブテン、または1−オクテンをベースとするポリオレフィン、特に好ましくはポリオレフィンの混合物を含む。
【0210】
フィルムは、カレンダ加工または押出成形、好ましくは共押出成形によって、例えばブロープロセスもしくはキャストプロセスにおいて製造することができる。しかも架橋により巻き付けテープは溶融しない。これは例えば電子線もしくはγ線などの電離放射線または過酸化物によって可能である。特に好ましいのは、支持層と感圧接着層の共押出成形の方法である。
【0211】
フィルムは、難燃剤、例えばポリリン酸塩、炭酸塩、およびアルミニウムもしくはカルシウムもしくはマグネシウムの水酸化物、ホウ酸塩、スズ酸塩、窒素ベースの難燃剤、例えばメラミンシアヌレート、ジシアンジアミド、赤リン、または立体阻害アミン、例えばHA(L)Sのクラス、またはハロゲン含有難燃剤、例えばデカブロモジフェニルオキシド、ヘキサブロムシクロドデカン、もしくはジブロムスチレンベースのポリマーを含むことができる。
【0212】
フィルムで一般的なさらなる添加剤、例えばフィラー、顔料、光保護剤または老化防止剤、核剤、衝撃改質剤、または潤滑剤などを、製造のために使用することができる。
【0213】
巻き付けテープの厚さは、好ましくは30〜180μm、より好ましくは50〜150μm、特に55〜100μmの範囲内にある。表面は構造化されていてもよく、または平滑であってもよい。表面は少し艶消し状に調整することが好ましい。これは、粒子サイズが十分に大きいフィラーを使用することで、またはローラ(例えばカレンダ機でのエンボスローラまたは艶消し状のチルロールまたは押出成形の際のエンボスローラ)によって達成することができる。
【0214】
本発明による巻き付けテープの機械的特性は、md(縦方向)において、好ましくは以下の範囲内である。
・ 1%伸長時の力、0.6〜4N/cm、特に好ましくは1〜3N/cm
・ 100%伸長時の力、5〜20N/cm、特に好ましくは8〜12N/cm
・ 引裂伸度、200〜1000%、特に好ましくは300〜400%
・ 引裂力、6〜40N/cm、特に好ましくは8〜15N/cmの範囲内
【0215】
データを測定するために、フィルムを鋭利な刃で切断する。
【0216】
本発明による巻き付けテープは、好ましくは少なくとも105℃、特に好ましくは少なくとも125℃の熱安定性を3000時間後に有しており、つまりこの貯蔵後にまだ少なくとも100%の破断伸び率が存在しており、かつ巻き付けられたワイヤは規格LV312に基づき脆化していない。
【0217】
繰出し力は、好ましくは1.0〜3.8N/cmの間、特に好ましくは1.6〜3.0N/cmの間である。
【0218】
巻き付けテープは、細長い物品、例えば磁場コイルまたは車両でのケーブルユニットに巻き付けるのに非常に適している。優れているのは高い耐老化性である。したがって巻き付けテープは同様に別の永続的用途、例えば空調設備での通気管のために適している。それだけでなく、巻き付けテープがケーブルハーネスを弾性によってきつく集結させることが望ましく、このためには繰出し力によって支持体を十分に伸長させる必要がある。この挙動は通気管の密封にも必要である。優れているのは高い耐老化性である。この特性は、本発明によるポリオレフィン接着剤をベースとする巻き付けテープによって達成することができる。
【0219】
例C1
支持フィルムを製造するため、ブローフィルムを押出成形する。このブローフィルムは、外側がNaイオンを有するエチレンコポリマー(Surlin1601−2、DuPont)から成り、コーティングすべき側はLDPE(LD251)から成る。
【0220】
得られたフィルムは、内側を片面でコロナ処理し、続いてその面にホットメルト感圧接着剤を20g/mでコーティングする。切断は、得られた棒状のものを回転刃(round blade)で幅15mmのロールに切り取ることによって行う。
【0221】
ホットメルト感圧接着剤の組成
100phr IN FUSE9107
50phr Wingtack10
180phr Foral85
8phr Irganox1726
【0222】
繰出し力は2.0N/cmであり、ケーブルハーネスに皺なく巻き付けることができ、125℃で3000時間の貯蔵後に支持フィルムもワイヤ絶縁体も脆化しておらず、接着剤は未だ感圧接着性を保持している。
【0223】
例C2
支持フィルムを製造するため、まず同方向2軸スクリュー押出機内で、Hifax CA10A 100phr、Vinnapas B10 10phr、Magnifin H5GV 165phr、ランプカーボンブラック101 10phr、Irganox1010 0.8phr、Irganox PS802 0.8phr、およびIrgafos168 0.3phrをコンパウンド化する。Magnifinは、ゾーン1、ゾーン3、およびゾーン5内で1/3ずつ添加する。このコンパウンドをフラットフィルム法で感圧接着剤と共に共押出成形し、棒状に巻き、続いてこれを切断する。支持層の厚さは100μmであり、粘着層の厚さは22g/mである。
【0224】
接着剤の組成
100phr Softell CA02A
70phr Oppanol B10
180phr Regalite R1100
8phr Irganox1726
【0225】
繰出し力は2.5N/cmであり、ケーブルハーネスを皺なく巻き付けることができ、105℃で3000時間の貯蔵後に支持フィルムもワイヤ絶縁体も脆化しておらず、接着剤は未だ感圧接着性を保持している。
【0226】
比較例C1
例C1と同様のフィルムに、アクリレート感圧接着剤を20g/mでコーティングし、乾燥させる。繰出し力は0.5N/cmであり、ケーブルハーネスには皺が寄った状態で巻き付いている。105℃または125℃で3000時間の老化後、支持フィルムならびにPP、PE、およびPVCから成るワイヤ絶縁体は問題ない。105℃で3000時間後、接着剤の粘着性(タック)は後の架橋により弱くなってしまっている。
【0227】
比較例C2
例C1と同様のフィルムに、ロジンエステルを有する天然ゴム溶剤系接着剤を20g/mでコーティングし、乾燥させる。繰出し力は2.5N/cmであり、ケーブルハーネスに良好に巻き付いている。105℃で3000時間の老化後、支持フィルムならびにPPおよびPEから成るワイヤ絶縁体は問題なく、PVCから成るワイヤ絶縁体は脆化している。125℃での3000時間の老化後、支持フィルムおよびすべてのワイヤ絶縁体が脆化している。105℃で3000時間後、接着剤は完全に脆化している。
【0228】
本発明による接着テープは、巻き付けテープとしての使用と共に、とりわけ有利にはケーブル被覆に適している。
【0229】
接着剤は、溶剤なしで支持体上に適用されるのが好ましい。
【0230】
さらに、オレフィンポリマーがエチレンポリマーであり、かつ/または支持体がテキスタイル支持体であるとき、ケーブル被覆用接着テープとしての使用に有利であることが分かった。
【0231】
電気部品および電気機械部品ならびに電線包被体は、ポリマー材料から成ることが多く、その際、ポリ塩化ビニル(PVC)は、歴史的に見ても、かつその入手可能性および優れた材料特性によっても、重要なプラスチックである。特に銅芯線の被覆体は、高温要件またはハロゲンを含まないといった大枠の条件によって代替策が強いられない限り、主としてPVCコンパウンドから成る。
【0232】
このようなケーブルの機械的保護および電気的保護のため、過去には、全般的に保護のため、および絶縁のため、ならびに電線および電気部品の結束のために非常に広範囲で用いられる自己接着テープが開発された。この自己接着テープは、接着テープとケーブル包被体の相互作用によってケーブルに損傷を生じさせることなく長期間結合していることができる。この自己接着テープは、現在、主に軟質PVCフィルムとゴム接着剤から成る。特殊な用途、例えば温度クラスT3(下記参照)においては、または蒸気処理が求められる場合には、テキスタイル支持体、例えばポリエステル織物またはレーヨンステープル織物を備えた接着テープが使用される。
【0233】
PVCの環境適合性についての議論において、この材料を代替物で置き替えようとする傾向がある。電気部品および補助部品ならびに銅ワイヤの被覆体にも、ますます別のプラスチックを用いるようになってきており、その際、比較的高い要求には、フッ素ポリマー、熱可塑性ポリエステル、ポリウレタン、ポリフェニレンオキシド、および架橋されたポリエチレンが使用される。温度要件が比較的低い安価な接着剤の範囲に関しては、ポリプロピレンベースの材料の使用が強化されている。
【0234】
車両でのケーブルユニットにも、このようなPVCを含まない導線を用いる傾向が強まっており、その一方で部品、例えば差込み接続部、スイッチ、蛇管などは既に、主にPVCを含まない材料から作製されている。以下では、検査に関し、ワイヤ絶縁体、被覆体、ケーブル、ケーブルユニット、および導線という名称を同義で使用する。
【0235】
自己接着テープで被覆された電線ハーネスまたは部品は、確実な機能を、製品全体の全寿命にわたって、例えば車両の寿命にわたって保証されなければならない。不適切な接着テープを選択した場合、製品寿命中に不適合性が生じる可能性があり、ケーブルの障害が極度の脆化にまで至る可能性がある。電気設備/電子機器全体が故障する危険性を伴う腐食および短絡が生じることもあり得る。特に、車両、例えば乗用車またはトラックの場合、適合性に関する要件は非常に厳しく、すなわち乗車空間ではピーク温度が最高80℃、エンジンルームではさらにもっと高い温度になる可能性がある。したがってケーブル巻き付けテープの使用範囲に関しては、自動車検査要綱LV312に記載されている3000時間超の長期テストが、標準的な検査として普及した。この要綱には、適合性検査が詳細に記載されている。
【0236】
サンプルケーブルユニットを検査温度で貯蔵し、規定された期間後、たいていは500時間ごとに、定義された直径を有する心棒の周りで曲げ、続いて損傷について調査する。このテストは、全体で3000時間にわたって行われる。検査温度は、ケーブルユニットの温度クラスに従って測定され、乗車空間またはエンジンルーム内でのケーブルハーネスの使用領域に応じて90℃〜150℃である。LV312規格は、温度範囲T2用の接着テープに関し、105℃で3000時間後に接着テープとワイヤ絶縁体の適合性が保証されていなければならないとしている。この温度範囲では、欧州では主としてPVC被覆体を備えたケーブルを使用するので、テストも、そのようなケーブル上での接着テープを用いて実施しなければならない。次に高い温度クラスT3では、テストのために、主としてポリプロピレンおよび放射線架橋されたポリエチレン(XPE)から成る絶縁体を備えたワイヤが使用される。その際、検査温度は105℃ではなく125℃である。LV312内で参照として規定された特定メーカーの導線に加え、原則的には、別の国際基準、例えば米国のSAE J1128−TXL規格またはSAE J1128−TWP規格を満たす導線に関しても同じテストを実施することができる。
【0237】
検査法LV312に基づき、以下に記載するようにサンプルケーブルユニットを製造する。導線断面が0.35mmの2本の同じ芯線を、撚り長さ約2cmでねじる。この導線束に、検査すべき接着テープ(幅19mm)を、約50%重畳させて螺旋状に巻き付ける。その際、105℃の検査温度では、導線としてPVC導線(メーカー識別記号Gebauer&Griller67218またはCoroplast46443)が使用される。
【0238】
125℃の検査温度では、Tyco社のPP導線(メーカー識別記号:AGP0219)およびAcome社のXPE導線(メーカー識別記号:T4104F)またはDraka社のXPE導線(メーカー識別記号:971130)が使用される。
【0239】
接着テープを巻き付けられた対応する参照導線から成る導線ユニット、およびこれに加えて巻き付けられていない対照試料が、3000時間にわたって105℃または125℃の炉内で、固定せずに懸架されて、自然の換気によって貯蔵される。500時間ごとにそれぞれ1つの被検体を取り出す。ケーブルユニットを検査雰囲気で少なくとも3時間、ただし最大48時間コンディショニングし、続いて以下のように検査する。
【0240】
導線ユニット切片を直径20mmの心棒の周りに巻き付け、視覚的に検査する。その後、被検体から接着テープを取り除き、ねじれを解く。その際、まず、導線に明らかな損傷を及ぼさすことなく巻き付けテープを剥がせなければならない。続いて個々の芯線を検査する。一方の個別芯線は、直径2mmの心棒の周りに少なくとも2回きつく巻き付け、他方の個別芯線は直径10mmの心棒の周りに巻き付け、視覚的に検査し、かつそれぞれ電圧検査を実施する。
【0241】
2mmの心棒の周りの個別芯線の検査では、ワイヤ絶縁体が如何なる裂け目、破断、または脆化も有さず、かつ膨潤または収縮してない場合、この接着テープをワイヤ絶縁体と適合していると見なす。導線の変色は許容される。ただし元の色がまだ認識可能でなければならない。
【0242】
このようなケーブル巻き付け用途のために知られているのは、軟質PVCフィルムまたは織物もしくはステッチ式不織布をベースとするテキスタイル製品から成るテープ状の支持体を備えた接着テープである。ステッチ式不織布支持体を備えたテープは、例えばドイツ実用新案第9401037号(特許文献2)に記載されている。粘着コーティングとしては、好ましくは、圧力に反応する感圧接着コーティングが用いられる。これまでテキスタイル支持体には、天然ゴムおよびスチレンブロックコポリマーをベースとする感圧接着剤を使用していた。これに関し、天然ゴムをベースとするこの接着剤は、実際には、LV312に基づく適合性テストの際に常に、PVCのケーブル被覆体についてもポリオレフィンのケーブル被覆体についても弱点を示している。天然ゴム接着剤は、溶液状態で加工されるので、この技術は将来性が低い。溶剤なしで溶融状態でも加工可能な不飽和スチレンブロックコポリマーをベースとする接着剤は、PVCワイヤ絶縁体を備えたケーブルのうち、いくつかの種類のものについてしか、温度範囲T2(105℃で3000時間のテスト)での適合性を達成しない。その際、用いられたケーブルは同様に温度クラスT2に従った仕様である。発生する損傷の範囲は、貯蔵後の脆化によるケーブル被覆体での僅かな裂け目の形成から、部品およびワイヤ包被体の崩壊による完全な故障にまで達する。温度クラスT3(125℃で3000時間のテスト)に対しては、これまで優れた感圧接着剤はなく、アクリレートは確かに温度安定性ではあるが、溶剤を含んでいるか、または分散体としてテキスタイル支持体上にコーティングすることができず、市販のアクリレートホットメルトは非常に高価であり、T2およびT3条件下で貯蔵すると後架橋によってその感圧接着性を失う。
【0243】
テキスタイル支持体および本発明による感圧接着剤から成る接着テープの好ましい実施形態は、天然ゴムまたは不飽和スチレンブロックコポリマーをベースとする類似の接着テープに比べ、ケーブル適合性での利点を有するだけでなく、自動車構造内のケーブルハーネスにおいて一般的なポリプロピレンおよびポリアミドから成る蛇管に対する適合性でも利点を有している。
【0244】
本発明によるエチレンポリマーは、メルトインデックスが好ましくは6g/10分未満、特に好ましくは1.5g/10分未満である。エチレンポリマーの曲げ弾性率は、好ましくは26MPa未満、特に好ましくは17MPa未満である。
【0245】
エチレンポリマーは、C〜C10オレフィン、特に1−オクテンをコモノマーとして含むことが好ましい。エチレンポリマーは、結晶性ポリエチレンブロックならびにエチレンおよびC〜C10オレフィンから成る基本的に非晶質のブロックから成る構造を有することが好ましい。
【0246】
従来のテキスタイル接着テープは、貯蔵の際に一方では変形(突出部および空洞を形成)しがちであり、他方では接着剤の低温クリープにより繰出し力が次第に上昇し、使用者が繰り出すのが非常に難くなり、またはそれどころか繰り出そうとすると接着剤が割裂する。したがって本発明による接着テープのさらなる驚くべき利点は、本発明による接着テープロールの貯蔵安定性である。70℃で1ヶ月の貯蔵後でさえ、本発明の対象はまだ良好に繰出すことができる。
【0247】
それだけでなく規格LV312は、感圧接着層が、適合性検査に倣った高温貯蔵後にまだ感圧接着性を有することを要求する。天然ゴムまたは不飽和スチレンブロックコポリマーをベースとする接着テープは、500〜1500時間後には既にその接着力を完全に失っている。テキスタイル支持体では、酸素透過性が、接着剤を強く酸化させるほど高いものと思われる。このような用途には高価すぎるだけでなく、基本的に接着力も低すぎる水素化スチレンブロックコポリマーの場合、接着力は同様にほぼ完全に減退する。これに関する原因は主に、この接着剤がテスト温度で溶融し、かつ溶融がテキスタイル支持体によって吸収され、したがって感圧接着剤が表面にはほとんど存在しなくなることにある。この効果は不飽和スチレンブロックコポリマーでも観察される。本発明による接着剤は、驚くべきことに105℃では僅かしかテキスタイル支持体内に浸入せず、良好に感圧接着性を維持し、適切な老化防止剤を使用する場合にはさらに優れた粘着技術的データを有する。
【0248】
本発明によるエチレンポリマーは、ゴム接着剤で既知のエラストマー、例えば天然ゴムまたは合成ゴムと組み合わせることができる。不飽和エラストマー、例えば天然ゴム、SBR、NBR、または不飽和スチレンブロックコポリマーは好ましくは少量しか使用されず、または特に好ましくは全く使用されない。飽和主鎖をもつ合成ゴム、例えばポリイソブチレン、ブチルゴム、EPM、HNBR、EPDM、または水素化スチレンブロックコポリマーは、改変を所望する場合に好ましい。
【0249】
接着剤は前述の軟化剤を含むのが好ましい。鉱油は、エチレンポリマーを粘着性に調整するのに非常に良く適しているが、良好な、つまり例えば>60のフォギング値(DIN75201)を達成するには揮発性が高すぎる。
【0250】
軟化剤としてDOPを含む従来のPVC接着テープはフォギング値が30〜35であり、本発明の対象はこれに関してできるだけPVC接着テープに勝っているべきである。それだけでなくトリメリット酸塩軟化剤(TOTM)または液状ポリイソブチレン(例えばOppanol(登録商標)B10)を含む接着剤は、125℃で3000時間の貯蔵後に、鉱油を使用する場合より明らかに粘着性が高い。したがって、前述の理由から、接着剤は基本的に鉱油を含まないことが好ましい。
【0251】
粘着樹脂の融点(DIN ISO4625に従い測定)は90℃未満であることが好ましい。
【0252】
しかしながら本発明による接着剤は、酸化されやすい二重結合のないエチレンポリマーを含んでおり、したがって酸化防止剤なしにするのがよい。驚くべきことだが、酸化防止剤が接着剤とワイヤ絶縁体の適合性を改善することが示された。
【0253】
したがって本発明によれば好ましくは一次酸化防止剤を使用し、特に好ましくは二次酸化防止剤も使用する。本発明による接着剤は、好ましい実施形態では一次酸化防止剤を少なくとも2phr、特に好ましくは6phr含んでおり、または一次酸化防止剤と二次酸化防止剤から成る組合せを好ましくは少なくとも2phr、特に少なくとも6phr含んでおり、その際、一次酸化防止性官能基と二次酸化防止性官能基が異なる分子内に存在している必要はなく、1種の分子内にまとまっていてもよい。
【0254】
この量の提示には、任意の安定剤、例えば金属不活性化剤または光保護剤は算入されていない。二次酸化防止剤の量は、好ましくは最高5phr、特に好ましくは0.5〜1phrである。驚くべきことに、一次酸化防止剤(例えば立体阻害フェノールまたはCラジカルスカベンジャー、例えばCAS181314−48−7)と二次酸化防止剤(例えば硫黄化合物、亜リン酸塩、または立体阻害アミン)の組合せが、適合性を改善させることが判明した。なかでも、一次酸化防止剤、好ましくは相対モル質量が500ダルトン超の立体阻害フェノールと、好ましくは相対モル質量が500ダルトン超の硫黄化合物のクラスまたは亜リン酸塩のクラスに由来する二次酸化防止剤との組合せが好ましく、その際、フェノール官能基、硫黄含有官能基、および亜リン酸塩官能基は、3種の異なる分子内に存在している必要はなく、複数の官能基が1種の分子内にまとまっていてもよい。
【0255】
感圧接着剤の製造および加工は、溶液状態および溶融状態で行うことができる。好ましい製造方法および加工方法は溶融状態で行われる。溶融状態の場合に関し、適切な製造プロセスにはバッチ方式も連続方式も含まれる。特に好ましいのは、押出機によって感圧接着剤を連続的に製造し、続いてそれに対応して接着剤が高温の状態ですぐに、コーティングすべき土台上にコーティングすることである。コーティング方法としては、幅広スリットノズルを用いた押出コーティングおよびカレンダコーティングが好ましい。
【0256】
接着剤塗布量(コーティング厚)は、好ましくは30〜120g/mの間、特に好ましくは50〜70g/mの間である。
【0257】
支持材料として、すべての既知のテキスタイル支持体、例えばループパイル地、ベロア、スクリム、織物、ニット、特にPETフィラメント織物もしくはポリアミド織物、または不織布を用いることができ、ここで「不織布」とは、少なくともEN29092(1988)に基づくテキスタイル平面形成物ならびにステッチボンド不織布および類似の系を表すものとすることができる。
【0258】
同様にスペーサ織物およびスペーサニットを、ラミネート加工して使用することができる。スペーサ織物は、繊維不織布もしくはフィラメント不織布から成る上張層と、下敷層と、およびこれら層の間にある単一もしくは束の保持繊維とを備えたマット状の層体であり、保持繊維は層体の全面に分布し、粒子層を貫通して針縫いされており、上張層と下敷層を相互に結び付けている。粒子層を貫通して針縫いされた保持繊維は、上張層と下敷層を相互に間隔をあけて保持しており、保持繊維は上張層および下敷層と結合している。
【0259】
不織布としては、特に固定されたステープルファイバー不織布が考慮され、ただしフィラメント不織布、メルトブローン不織布、およびスパンボンド不織布も考慮され、これら不織布はたいてい、さらに固定することができる。不織布のための可能な固定法としては、機械的、熱的、および化学的な固定が知られている。機械的な固定において、たいていは個々の繊維が渦を巻くことによって、または繊維束の絡合によって、または追加の糸の縫い込みによって繊維が純粋に機械的に結びついている場合、熱的な方法によっても化学的な方法によっても、接着性(結合剤あり)または凝集性(結合剤なし)の繊維−繊維結合を達成することができる。適切に配合およびプロセス誘導すれば、この結合を専らまたは少なくともほぼ繊維の節点に限定することができ、したがって不織布内での目の粗い開放的な構造を維持しながら、それにもかかわらず安定的で3次元のネットワークが形成される。
【0260】
なかでも、別個の糸を用いたオーバーステッチによって、または絡合によって固定されている不織布が特に有利であることが分かった。
【0261】
このような固定された不織布は、例えばKarl Mayer社(旧Malimo社)の「マリフリース(Malivlies)」型のステッチボンディング機で製造され、とりわけNaue Fasertechnik und Techtex GmbH社から入手可能である。マリフリースは、横方向繊維不織布が、不織布の繊維から成る編目を形成することで固定されていることを特徴とする。
【0262】
支持体として、さらにクーニットフリース(Kunitvlies)型またはマルチニットフリース(Multiknitvlies)型の不織布を使用することができる。クーニットフリースは、縦に配向された繊維ウェブを、一方の面では編目を有し、他方の面では編目つなぎ部(Maschensteg)もしくはパイル繊維の折り目を有する平面形成物に加工することで製造されるが、糸も、予め作製される平面形成物も有さないことを特徴とする。このような不織布も、例えばKarl Mayer社の「クーニットフリース」型ステッチボンディング機で、既にずっと以前から製造されている。この不織布のさらなる特徴は、縦方向繊維不織布として縦方向の高い引張力を受容し得ることにある。マルチニットフリースはクーニットフリースに比べて、不織布が両面を針で差し通されることにより、上面でも下面でも固定されることを特徴とする。
【0263】
最後にステッチ式不織布も、接着テープを形成するための半製品として適している。ステッチ式不織布は、不織布材料が、多数の互いに平行に走るステッチを備えることで形成される。これらのステッチは、連続するテキスタイル糸による縫い込みまたは編み込みによって生じる。このタイプの不織布に関して、Karl Mayer社(旧Malimo社)の「マリワット」型のステッチボンディング機が知られている。
【0264】
さらに、Caliweb(登録商標)が特に適している。Caliweb(登録商標)は、外側にある2つの編目層および内側にある1つのパイル層を備えた、熱によって固定されたスペーサ不織布のマルチニットから成り、パイル層は編目層に垂直に配置されている。
【0265】
さらに特に有利なのはステープルファイバー不織布であり、この不織布は第1のステップで、機械的な処理によって予備固定され、または流体動力学的に敷きつめられた湿式不織布であり、その際、不織布の繊維の2重量%〜50重量%の間、特に不織布の繊維の5重量%〜40重量%の間が溶融繊維である。このような不織布は、繊維が湿式で敷きつめられる、あるいは例えばステープルファイバー不織布が、不織布の繊維から成る編目の形成によって、または針縫い、縫合、もしくは空気および/または水噴流処理によって予備固定されることを特徴とする。第2のステップでは熱固定が行われ、その際、溶融繊維の完全または部分的な溶融によって、不織布の強度が再度高められる。
【0266】
不織布支持体の固定は、結合剤なしで、または構造化されたローラを用いたホットエンボス加工によっても達成することができ、その際、圧力、温度、滞在時間、およびエンボス形状によって、特性、例えば強度、厚さ、密度、柔軟性などを制御することができる。
【0267】
テキスタイル支持体のための出発材料としては、特にポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ビスコース繊維、または木綿繊維が供給されている。しかし本発明は、上記の材料に限定されず、当業者には想定できるように、さらなる発明性を伴わずに、多数のさらなる繊維を不織布製造に用いることができる。特に耐摩耗性ポリマー、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、またはガラス繊維もしくは炭素繊維が使用される。
【0268】
支持材料としては、ラミネートから成る支持体も適しており、このラミネート内では少なくとも接着剤を担持する層はテキスタイル層である。この層の上に、任意の材料から成る1つまたはさらなる層、例えば紙(クレープ加工有りおよび/または無し)、フィルム(例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、1軸もしくは2軸配向ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、PAフィルム、PVCフィルム、およびその他のフィルム)、シート状の発泡材(例えばポリエチレンおよびポリウレタンから成る)、および前述のテキスタイル製品を適用することができる。
【0269】
塗布面(コーティング面)では、支持体の表面を化学的または物理的に前処理することができ、ならびに支持体の背面には、抗接着性の物理的処理またはコーティングを施すことができる。
【0270】
接着テープは、テキスタイル支持体上に部分的または全面的に、好ましくは片面または場合によっては両面で接着剤が塗布されることによって形成される。コーティングは、縦方向(縦方向)の、場合によっては横方向の、1本または複数の筋の形で行うこともできるが、コーティングは特に全面的である。さらに接着剤をスクリーン印刷によって網点状に施すことができ、その際、接着剤の小点は大きさおよび/または分布が様々であってもよく、あるいは縦および横方向でつながっている非画線部を有する凹版印刷によって、あるいは網版印刷によって、あるいはフレキソ印刷によって施すことができる。接着剤は、ドーム形状(スクリーン印刷によって製造)で、または他のパターン、例えば格子、縞、ジグザグ線でも存在することができる。さらに接着剤は、例えば吹き付けることもでき、これは多かれ少なかれ不規則な塗布模様を生じさせる。
【0271】
この接着テープは、特に、105℃で、またはそれどころか125℃でも、最高3000時間にわたって、PVCベースおよびポリオレフィンベースのワイヤ絶縁体と適合することを特色とする。一例では、架橋されたPEに対しT4条件(150℃で3000時間)下での適合性を達成することさえも成功した。
【0272】
例D1
接着剤は下記の成分、すなわち
100phr IN FUSE9107
78.4phr Ondina933
212phr Escorez1310
8phr Irganox1726
から成る。
【0273】
樹脂と軟化剤の混合物融点は54℃である。接着剤は押出機内で連続的に製造され、ポリエステル織物上にノズルコーティングによって溶融状態で70g/mで塗布される。フィラメント織物は、坪量が130g/mで、167dtexのポリエステル糸から成り、経糸方向には1cm当たり45本および横糸方向には1cm当たり25本の糸を有する。コーティングされた布地は切断によって幅19mmおよび全長10mのロールに仕立てられ、芯の内径は38mmである。
【0274】
スチール上での接着力6.6N/cm
背面上での接着力3.1N/cm
【0275】
70℃で1ヶ月のロール貯蔵:ロールは少し変形しており、良好に繰り出すことができる。
【0276】
適合性検査:出来上がった接着テープを、LV312に基づき、様々な絶縁材料を備えたワイヤ対の周りに巻き付け、対応する温度で貯蔵する。このような被検体を絶縁材料ごとに6つ作製する。500時間ごとにそれぞれ1つのサンプルをチェックし、接着テープを再び剥がし、ケーブルを直径10mmの心棒および直径2mmの心棒の周りに巻き付ける。絶縁体が損傷しているかどうか、および接着剤が感圧接着性を示しているかどうかを調査する。検査温度:PVC105℃および架橋されたPE上では125℃。すべてのワイヤ絶縁体が3000時間後にまだ損傷していない。105℃で3000時間後、接着剤は支持体内にほとんど浸入しておらず、まだ優れた感圧接着性を有する。125℃で3000時間後、接着剤は部分的に支持体内に浸入しているが、未だ感圧接着性を保持している。
【0277】
フォギング値は36である。
【0278】
例D2
例D1と同様の接着剤であり、ただしEscorez1310の代わりにEastotac C130L、ならびにIrganox1726 8phrの代わりにIrganox1076 5phrおよびIrganox PS802 3phrを用いる。コーティングは例D1と同様に、ただし60g/mで下記の支持体の上に適用する。すなわち繊度3.3dtexで繊維長60〜80mmのポリエステル繊維と、熱活性された微細な結合剤粉末(VINNEX TM LL2321)5重量%とから成る坪量が150g/mのマリフリース上に適用する。樹脂と軟化剤の混合物融点は90℃である。
【0279】
スチール上での接着力4.3N/cm
背面上での接着力1.3N/cm
【0280】
70℃で1ヶ月のロール貯蔵:ロールは少し変形しており、良好に繰り出すことができる。
【0281】
105℃でのPVC上での、ならびに125℃での架橋されたPEおよびPP上での適合性検査:
すべてのワイヤ絶縁体が3000時間後にまだ損傷していない。105℃で3000時間後、接着剤は支持体内にほとんど浸入しておらず、まだ優れた感圧接着性を有する。125℃で3000時間後、接着剤は部分的に支持体内に浸入しているが、未だ感圧接着性を保持している。
【0282】
例D3
例D1と同様の接着剤であり、ただしEscorez1310の代わりにEastotac C115Lを用い、コーティングは例D1と同様であり、68g/mで下記の支持体の上に適用する。すなわち50dtexのステッチ長1mmのポリエステル糸を用いた、約3.4dtexで繊維長約80mm、坪量72g/mで繊度F22のポリエステル繊維から成るマリワット・ステッチボンドニット上に適用する。樹脂と軟化剤の混合物融点は75℃である。
【0283】
スチール上での接着力4.2N/cm
背面上での接着力1.6N/cm
【0284】
70℃で1ヶ月のロール貯蔵:ロールは少し変形しており、良好に繰り出すことができる。
【0285】
105℃でのPVC上での、ならびに125℃での架橋されたPEおよびPP上での適合性検査:
すべてのワイヤ絶縁体が3000時間後にまだ損傷していない。105℃で3000時間後、接着剤は支持体内にほとんど浸入しておらず、まだ優れた感圧接着性を有する。125℃で3000時間後、接着剤は部分的に支持体内に浸入しているが、未だ感圧接着性を保持している。
【0286】
例D4
例D1と同様の接着剤であり、ただしEscorez1310の代わりにEscorez1102を用い、コーティングは例D1と同様に、70g/mで下記の支持体の上に適用する。すなわち坪量80g/mで繊度F18のポリプロピレンから成るマリフリース不織布上に適用する。樹脂と軟化剤の混合物融点は60℃である。
【0287】
スチール上での接着力は0.8N/cm、背面上での接着力は0.2N/cmである。
【0288】
室温で4週間の貯蔵後、接着剤はタック性がなくなっている。
【0289】
70℃で1ヶ月のロール貯蔵:ロールは少し変形しており、良好に繰り出すことができる。
【0290】
105℃でのPVCならびに架橋されたPEおよびPP上での適合性検査:
すべてのワイヤ絶縁体が105℃で3000時間後にまだ損傷していない。105℃で3000時間後、接着剤は支持体内にほとんど浸入しておらず、まだ優れた感圧接着性を有する。125℃で3000時間後、不織布支持体は脆化によって崩壊しており、したがってさらなる検査を行うことはできない。
【0291】
例D5
製造は例D1と同様に行い、接着剤は下記の成分、すなわち
100phr IN FUSE9107
100phr Engage7467
425phr Escorez1310
16phr Irganox1726
から成る。
【0292】
スチール上での接着力は5N/cm、背面上での接着力は2.5N/cmである。
【0293】
70℃で1ヶ月のロール貯蔵:ロールは少し変形しており、良好に繰り出すことができる。
【0294】
適合性検査:検査温度:PVC105℃ならびに架橋されたPE上では125℃および150℃。すべてのワイヤ絶縁体が3000時間後にまだ損傷していない。105℃で3000時間後、接着剤は支持体内にほとんど浸入しておらず、まだ優れた感圧接着性を有する。125℃で3000時間後、接着剤は部分的に支持体内に浸入しているが、未だ感圧接着性を保持している。
【0295】
フォギング値は85である。
【0296】
例D6
製造は例D1と同様に行い、接着剤は下記の成分、すなわち
100phr IN FUSE9507
250phr Regalite1100
140phr Oppanol B10
8phr Irganox1726
から成る。
【0297】
樹脂と軟化剤の混合物融点は67℃である。コーティングは70g/mで例D3と同様に支持体上に行う。
【0298】
スチール上での接着力は8.9N/cm、背面上での接着力は2.0N/cmである。
【0299】
適合性検査:検査温度:PVC105℃ならびに架橋されたPE上では125℃および150℃。すべてのワイヤ絶縁体が3000時間後にまだ損傷していない。105℃で3000時間後、接着剤はまだ優れた感圧接着性を有する。125℃で3000時間後、接着剤はまだ少し感圧接着性である。150℃で3000時間後、接着剤は明らかに分解しているが、ワイヤ絶縁体はまだ損傷していない。
【0300】
フォギング値は91である。
【0301】
例D7
製造は例D1と同様に行い、接着剤は下記の成分、すなわち
100phr IN FUSE9107
212phr Foral85
40phr TOTM
8phr Irganox1726
から成る。
【0302】
樹脂と軟化剤の混合物融点は67℃である。コーティングは70g/mで例D3と同様に支持体上に行う。
【0303】
スチール上での接着力は8.9N/cm、背面上での接着力は2.0N/cmである。
【0304】
適合性検査:検査温度:PVC105℃ならびに架橋されたPE上では125℃および150℃。すべてのワイヤ絶縁体が3000時間後にまだ損傷していない。105℃で3000時間後、接着剤はまだ優れた感圧接着性を有する。125℃で3000時間後、接着剤はまだ少し感圧接着性である。150℃で3000時間後、接着剤は明らかに分解しているが、ワイヤ絶縁体はまだ損傷していない。
【0305】
比較例D1
この実施形態は例D1で述べたように行い、ただし接着剤は市販の配合物に対応して
100phr Vector4113
97phr Escorez1310
21phr Ondina933
1phr Irganox1726
から成る。
【0306】
70℃で1ヶ月のロール貯蔵:ロールは強く変形しており、繰出しは非常に困難である。
【0307】
適合性検査:PVC絶縁体は最初の裂け目を500時間後に、PE絶縁体およびPP絶縁体は105℃で1000時間の貯蔵後に示す。感圧接着性は1000時間後には失われており、接着剤は支持体に吸収され、そこで固化している。
【0308】
比較例D2
この実施形態は例D1で述べたように行い、ただしIN FUSE9107の代わりにLD251を用いる。コーティングは感圧接着性ではなく硬質であり、油性の表面を有する。
【0309】
比較例D3
この実施形態は例D1で述べたように行い、ただしIN FUSE9107の代わりにEngage7467を用いる。コーティングは、ハエ取りリボンのように非常に軟質で粘着性である。接着剤は、低い溶融粘性により支持体内に浸入している。繰出しの際に接着剤が割裂するので、コーティングされた布地をロールへと切断することはできなかった。この理由から接着力測定も同様に不可能である(凝集破壊)。
【0310】
比較例D4
この実施形態は例D1と同様に行い、接着剤は下記の成分、すなわち
100phr IN FUSE9107
78.4phr PB0300M
212phr Escorez5400
8phr Irganox1076
から成る。
【0311】
接着剤はほとんど感圧接着性でない。
【0312】
さらに本発明による接着テープは、とりわけ有利には屋外使用に適しており、それも、本発明のさらなる有利な一実施形態に従って、接着テープが、坪量15〜150g/mのテキスタイル支持体を有しており、この支持体が上面では、押出コーティング、分散体コーティング、またはフィルムラミネート加工によって施された追加層を備えており、下面では、0.86〜0.89g/cmの間の密度と低くとも105℃の結晶融点を有するエチレンポリマーおよび粘着樹脂から成る接着剤を備えている場合に適している。
【0313】
支持材料としての織られたテキスタイル製品と片面に施された自己接着剤の層とから成る織物接着テープは、ロール品として自己粘着系の最も古い種類の一つに属する。織物接着テープは、最初は医療分野で用いられ、20世紀後半には一部が、自動車でのケーブルユニットの結束において軟質PVCから成る絶縁テープの代わりに使用されるようになった。
【0314】
柔軟性および密着性、高い機械的強度、それと同時に手で横方向に引き裂き得るという傑出した特性の組合せにより、使用範囲が大きく広がった。織物接着テープは、結束、修理、被覆、固定、マーキングなどのために使用することができ、かつハサミ、ナイフ、またはその他の補助手段を使わず手で適度な長さに短くすることができる。したがって織物接着テープは万能接着テープ(いわゆる「多目的(Multi Purpose)」または「汎用(General Purpose)」テープ)であり、このテープは、極性であろうと非極性であろうと、粗面状であろうと平滑であろうと多種の下地に粘着し、ほぼすべての考え得る用途に利用される。
【0315】
接着剤としては、ほぼ独占的に、天然ゴムまたは合成ゴムから成る配合物が使用される。歴史的な観点(最初に工業的に利用可能になった自己接着剤の主成分としての天然ゴム)だけでなく、特に、接着性、タック、および凝集性のバランスが取れており、かつこのような万能接着テープに最も良く適した粘着技術的特性がある。支持材料としては、好ましくは(改変された)天然繊維、例えば木綿、レーヨンステープル、ビスコースなどから成る密に織られたテキスタイル製品が用いられる。
【0316】
当初は、生機としての、または糸に染色が施された、コーティングされていない織物から成る織物接着テープが、片面だけに接着剤をコーティングされて製造された。しかしながら開放的な織物構造により、ゴム接着剤が背面で侵されやすく、つまり酸素、溶剤などの腐食性物質、UV放射または太陽放射などの侵入がほとんど阻止されない。
【0317】
これに対応するために、および織物自体を保護するためにも、接着テープの上面にプラスチックコーティングが施された。これに関しては、製品構造に基づき3タイプの織物接着テープに区別することができる。
・ 最高級の製品は、網目数(1インチ当たりの経糸方向および横糸方向の糸の合計)が100〜250inch−2の範囲内で、坪量が主に70〜150g/mの密な織物を利用しており、この織物が、PVC、アクリレート、ポリウレタン、または類似物から成るたいていは有色のプラスチックコーティングを備え、プラスチックコーティングは分散体またはオルガノゾルの状態で片面に施される。この製品の起源は中欧であり、製造も主にそこでなされている。このような「高級テープ(Premium Tape)」に関する例として、ここではtesa(登録商標)4651を挙げておく。
・ しいて言えばアジア起源である織物接着テープは、40〜100メッシュの比較的軽くて開放的なネット状の織物を備えており、この織物上に、50〜200μm厚のPEフィルムが押出成形されている。織物とフィルムはたいてい安定的で負荷に耐え得る複合体を構成している。この織物接着テープは、その価格および特性の水準から「中級(Midgrades)」とも呼ばれる。ここでは例としてtesa(登録商標)4688が当てはまる。
・ いわゆる「ダクトテープ」はもともと北米から世界的に広まった。これに関しては、25〜40メッシュで坪量が15〜40g/mの非常に開放的な織物、スクリム、またはニットが使用され、その上に、自己接着剤の一部を用いて、たいてい有色の不透明なPEフィルムがラミネートされている。フィルムとテキスタイル製品から成る支持複合体の耐久性は、接着剤の接着力および耐老化性によってのみ測定される。この種類の織物テープは、価格に関しては最も安いカテゴリーにあり、かつたいてい色に関しては銀色が用いられる。多数の市販のダクトテープから例としてここではtesa(登録商標)4662を挙げることができる。
【0318】
このような接着テープは、通常は200〜400μmの全体厚を有しており、その際、粘着層は約50〜250μmであり、構造から原則的には屋内使用のために考案されている。
【0319】
しかしこのような接着テープは、万能接着テープとして屋外用途にも用いられる。ただしその場合、光、直射日光、湿気、熱、微生物などの作用により、接着テープの損傷を引き起こしひいては接着テープを完全に使用不能にし得る弱点が露呈する。
・ エラストマー中に二重結合を有するゴム接着剤は、UV光、酸素、およびオゾンによって侵され、かつ損傷し、これによりゴム接着剤の元々の粘着特性を失う。
・ 木綿、ビスコース、レーヨンステープルなどから成る織物は微生物によって侵される。湿気、熱、および光の存在下では、接着テープの機械的な強度特性のために重要な成分が劣化する。
・ 糸の吸湿力による織物での吸水は、膨潤により、複合体の弱体化および強度損失を引き起こす。
【0320】
比較的長期間の屋外使用のための、いわゆる「アウトドアテープ(Outdoor Tapes)」として適切で高品質の万能織物接着テープを開発するというこれまでの試みは、これまでは成功していない、または制限付きでしか成功していない。
【0321】
密な200〜250メッシュのビスコースアセテート織物を備えた高品質であるが高価な織物接着テープが、米国特許出願公開第3,853,598号(特許文献3)に記載されている。この織物は、ポリアクリレートプライマ層を備えており、このプライマ層上に、合成ゴムおよび天然ゴムから成る接着剤が適用されている。非常に高い網目数の織物およびポリアクリレートプライマでの織物加工により、この接着テープは、良好で非常に容易な手での引裂性を有する。ただしアウトドア適正についての言及は見られない。選択された接着剤、および特に、改変された天然繊維をベースとする上面が保護されていない織物も、アウトドア適正に対して不利である。明確には、医療用途、つまり屋内用途しか挙げられていない。
【0322】
特に建設分野のための工業的接着テープが、欧州特許出願公開第1548080号(特許文献4)に記載されている。確かに、テープ状の支持体上のUV架橋されたアクリレート接着剤によって、耐候性の接着剤が使用されているが、紙ならびにPE、PP、またはPETから成るフィルム、織物、または不織布を用いた支持体を選択していることから、アウトドア用途向けではないものと認識される。汎用テープには不可欠である手での容易な横方向引裂性は付与されていない。さらに、UV架橋可能なアクリレート接着剤の場合、製造中に不完全であり調整されていない架橋が、太陽光の作用下でさらに進行し、それによって粘着技術的特性が使用期間中に悪化するという潜在的なリスクがある。
【0323】
ASTM G155に従った暴露テストにおいて500時間後に接着剤残留物が10%未満という長期屋外使用のための特殊なテープが、国際公開第03/097758号(特許文献5)に記載されている。これに関して本質的なのは、最高35%の光保護添加剤を含んでいる上面の多層PEプラスチックフィルムである。さらなる接着テープ構成要素、例えば10〜90メッシュのスクリム(scrim)および自己接着剤に関して特別な特徴は記載されていない。したがって表面の多層フィルムにより、広い面で(UV)光に対する保護が達成されるが、周縁に酸素、オゾンなどが接触すると、接着テープ縁での接着剤の望ましくない変化が生じる可能性があると推測することができる。そのうえ50〜100μm厚の多層PEフィルムおよび10〜90メッシュのスクリムから成る記載された支持体構造の場合、ダクトテープで典型的な裂け目縁のほつれを覚悟しなければならず、このほつれは、高品質の織物接着テープには受け入れられない。さらに、高い割合の光保護添加剤および多層のフィルム構造は、それに応じて高い製造費が予想される。
【0324】
欧州特許出願公開第1074595号(特許文献6)では、ポリエステル織物テープが記載されており、この織物テープは、特殊な糸および定義された織物構造(単位長さ当たりの経糸の番手として最大2500dtex/cm)の選択によって、ならびに必要と記載されている接着剤コーティングによる経糸の固定によって、手で引き裂き可能になる。したがってここでは、少なくとも横方向で10N未満の引裂強度を達成するために特殊な条件を満たさなければならない。当業者にとって、糸パラメータおよび織物パラメータの記述は、100g/mよりもかなり低い軽い織物を示唆しており、この織物は、それほど驚くべきことではないが、坪量が減少すること自体だけで既に強度は低く、しかし粘着層によって初めて手で引き裂き可能になり、粘着層は、その場所で経糸を固定しなければならない。さらにここでは、10N未満の引裂伝播強度を手での引裂性の特性と結び付けているがこれは誤りである。実際には、簡単な手での引裂性には、上述の引裂伝播強度のほかに、支持体に最初の裂け目を入れるための力の重要性が大きく、ただしこの力は、さらなるパラメータ、例えば支持体の引張−伸長挙動、使用する切断技術、および使用する切断具などによって大きな影響を及ぼされるのであり、これらパラメータについてはこの特許公開公報中には情報がない。
【0325】
ドイツ特許出願公開第102005044942号(特許文献7)では、ポリエステルまたはポリアミドをベースとするコーティングされていないテキスタイル織物支持体を備えた横方向に引き裂き得る接着テープが記載されており、その際、繊維強度の低下、したがって手での引裂性は、糸を狙い通りに損傷させることによって(PETの場合はアルカリにより、ポリアミドの場合は酸により)生じる。さらにケイ酸塩など耐スリップ性化学物質を含浸させることにより、手での引裂性がさらに改善されると記載されている。しかし例えばPET織物のアルカリ化は、老化、熱負荷、曲げ負荷、および/または引張負荷に関して悪影響を示す顕著な強度損失を伴い、かつガスおよび蒸気透過性の上昇を伴う。医療用途では有利な後者の効果は、工業用途では逆に不利となる。なぜなら酸素、オゾン、ならびにこれに匹敵する腐食性のガスおよび液体が阻止されずに接着剤まで染み通る可能性があり、したがって未処理の織物またはさらにはコーティングされた織物の場合よりも接着剤が強く損傷するからである。
【0326】
工業分野でも医療分野でも一般消費者の分野でも多数の織物接着テープがあるにもかかわらず、比較的長期間の屋外使用のための手で引き裂き可能で耐候性のある万能織物テープは知られていない。
【0327】
織物支持体を備えた本発明による接着テープは下記の要求を解決する。
− 接着テープを容易に手で引き裂くことができる。
− 接着テープが、日常の使用において一般に使われる多種の下地に粘着し、粗面状および/または汚れた下地、例えば粗びきの木材、コンクリート、煉瓦、またはモルタルにも粘着する。
− 屋外領域(中欧)での少なくとも6ヶ月の比較的長期間の使用でも、接着テープがその接着機能を失わない。
【0328】
これに関して、重要な測定値、例えば縦方向の最高引張力および引裂伸度ならびにAFERA5001に基づくスチール上での接着力に関する最大50%の低下を判断基準とする。本発明により、外見の変化、例えば明らかに認識可能な破損または裂け目、目立った変色または退色、被粘着下地からの剥落も回避することができる。
【0329】
本発明の第1の有利な一実施形態によれば、接着テープは、25〜40メッシュの非常に開放的な織物、スクリム、またはニットから成る坪量が15〜40g/mのテキスタイル支持体を有する。上面には厚さ50〜200μmのUV安定化されたPEフィルムが存在し、このPEフィルムは、フィラーおよび色素顔料によって不透明であり、かつ特にUV不透過性であることが好ましい。追加的にPEフィルム中に組み込まれた有利なUV安定剤および老化防止剤によって、ならびにPEフィルムのUV不透過性によって、支持体の下の接着剤は光酸化作用に対してさらに保護される。
【0330】
この実施形態の場合、本来の支持体は、テキスタイル製品およびPEフィルムから成る特に接着剤コーティングプロセスの際にその場で生成されるラミネートである。加圧下で、接着剤のうちの少量が開放的なテキスタイル製品を通り抜け、ラミネート接着剤としての機能を果たす。少量の接着剤を備えたテキスタイル支持体の側は、PEフィルムとラミネートされる。こうしてフィルム、ラミネート接着剤、およびテキスタイル製品から成る複合体が生じる。
【0331】
必要であれば、容易な繰出しを保証するために、PEフィルムの接着剤に面していないむきだしの側に、予めインラインまたはオフラインでリリース剤を付与することができる。
【0332】
原理的には、フィルムからラミネートを前もって製造すること、すなわちフィルム上にラミネート接着剤を適用し、続いてこのフィルムをテキスタイル製品で覆い、その後、テキスタイル製品の反対側で接着剤コーティングを行うことで、匹敵する製品がもたらされる。
【0333】
ここで説明した実施形態は、上で既に述べた例えばtesa(登録商標)4662などダクトテープのカテゴリーのための支持体である。
【0334】
本発明のさらなる有利な一実施形態によれば、接着テープのテキスタイル支持体は、40〜100メッシュで坪量が20〜60g/mの開放的なネット状の織物から成り、この織物上に、50〜200μm厚のPEフィルムが押出成形される。織物とフィルムはたいてい安定的で負荷に耐え得る複合体を構成する。適切なUV安定化は、ここでもダクトテープの場合のように、UV安定剤、老化防止剤、および着色によって行うことができる。必要であれば、PEフィルムの接着剤に面していないむきだしの側にリリース加工を施すことができる。
【0335】
この種類の支持体は、さらに上で既に述べた例えばtesa(登録商標)4688など中級のカテゴリーである。
【0336】
本発明のさらなる有利な一実施形態によれば、接着テープのテキスタイル支持体は、坪量が50〜150g/mで80〜250メッシュのPET織物から成り、このPET織物の上面には、分散ペースト、特に水性アクリレートペーストが、15〜75g/mの塗布重量で適用されている。
【0337】
坪量が50〜150g/m、特に70〜130g/mの織物は、特別な構造によって少なくとも中程度の横方向(横糸方向またはCDとも言う)での手での引裂性および引裂切断性を有するように選択される。この織物は片面を、有色の水性アクリレートペーストまたはその類似物によって、15〜75g/m、特に25〜50g/mの塗布重量でコーティングされる。
【0338】
この織物支持体は、2種の異なる配合物を相次いで2度塗って着色性コーティングが施される場合に特に有利になる。主要部分は、着色性のベース塗りとして10〜60g/mで織物上に直に塗布される。ガラス転移点が0℃以下のアクリレート結合剤を使用することにより、軟質の弾性コーティングが達成され、このコーティングは、支持体の柔軟性および取扱い性を改善し、織物接着テープの密着した貼り付きを助成する。
【0339】
この時折少しブロッキングする(加圧下で粘着性の)着色コーティング上に、2度目の塗りにおいて、5〜20g/mの硬質で耐性のある上塗り塗料(トップコート)が施される。これにより接着テープ表面の抵抗力が、この接着テープ自体の接着剤に対しても(製造中、輸送中、および接着テープロールとしての貯蔵時の直接的な接触)、ならびに後の使用においてはすべてのあり得る影響、例えば機械的負荷、可視または赤外線または紫外線の放射、水、化学物質などに対しても増強される。
【0340】
いわゆるトップコートは、硬化性コモノマー、例えばスチレン、メタクリレート、アクリルニトリルが組込み重合されたアクリレート分散体から選択されるのが好ましい。
【0341】
PET織物と好ましいアクリレートコーティングから成る複合系としての本発明による支持体は、屋外使用に関連して生じるような非常に様々な負荷に対する非常に優れた耐性を有するだけでなく、取扱いも生機に比べて改善されている。切断工具の使用なしでの容易な横方向の引裂性および引裂切断性、ならびに輪郭に合わせて貼り付けるための柔軟性が生じる。
【0342】
この複合支持体によって、例えばtesa(登録商標)4651など高級織物接着テープが得られる。
【0343】
糸、織物構造、およびプロセスステップを適切に選択することにより、厚さが100〜250μm未満で、坪量が50〜150g/m、特に70〜130g/mの所期の範囲内で、満足できる手での引裂性および引裂伝播性を有するPET織物を製造することができる。ドイツ特許出願公開第102005044942号(特許文献7)に記載されている糸を損傷させる方法によって、強度が狙い通りに下げられ、これにより残った経糸方向最高引張力と横方向引裂性の調和のとれた比率を調整することができる。
【0344】
これに対する代替策として、後の織物において横方向引裂切断の際に分断されなければならない経糸が、非常に大きな力を加えなくても個々の経糸を分断し得るように選択されるよう、織物を構造化することができる。
【0345】
引裂切断が問題なくできる程度に糸断面を小さくするか、または経糸のための材料選択によって、受け入れ可能な分断挙動を調整する。後の織物の際の経糸方向(MD=machine direction)の全体強度を十分に達成するため、単位長さ当たりの糸の数は、最低で40N/cmおよび最高で100N/cmの所望の最高引張力MDが達成されるように選択することができる。理想的には、高級織物接着テープのために60〜80N/cmの最高引張力MDを目指すべきである。経糸には、例えば75denまたはそれよりも細い番手のPET糸が適切であるが、引裂過程でエネルギーをインパルス状にもたらす場合に経糸の破断を生じさせる脆性材料、すなわち適切なコモノマーもしくは結晶化を有するPET繊維、またはPA6.6をベースとする経糸も適切である。このような経糸の場合に、所期の手触りおよび外見を備えた織物を得るためには、それに対応して横糸をより太くかつより重く選択しなければならない。これにより一方では坪量が70g/m以上の範囲内に上昇し、他方では織物に関して所期の100〜250μmの厚さが達成される。さらにこの織物は、細い経糸にもかかわらず、より太い横糸が外見を測定するので高品質な印象を与える。150den以降のPET横糸が可能であるが、外見および手触りに関して特に有利なのは300denのPET糸である。
【0346】
類似のことが、糸のための材料としての、PETに代わる別の合成ポリマー、例えば別のタイプのポリエステル(PBT、PEN)、ポリアミド(PA)、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリプロピレンの使用に当てはまる。
【0347】
許容可能な横方向の引裂性および引裂切断性を有する本発明によるベース織物を生成するさらなる可能性は、特に経糸のために、繊維混合物から成る糸を使用することであり、その際、この繊維の少なくとも1種は可溶性であり、したがって後から除去することができる。これにより、紡績プロセスおよび織りプロセスのための十分な強度を備えた糸が存在するであろうし、後続のプロセスステップで初めて薄化および弱体化が行われ、この薄化および弱体化が結果的に、織物に関する横方向引裂性の所望の特性をもたらす。繊維混合物としては多種多様な組合せが考えられ、その際、例えばPET繊維などの永続的な経糸として耐性のあるポリマーを、ポリビニルアルコール、ポリラクテート、およびその類似物など、水溶性のまたは化学的もしくは酵素により分解可能な材料と組み合わせて使用することが提案される。混合の割合は、選択した繊維組合せに応じて、(経)糸の最終強度が目標範囲内にくるように選択することができる。
【0348】
このようなコーティングされていない織物を用いて自己接着テープを製造することができるとしても、高級万能織物テープは、高品質の片面のプラスチックコーティングを必要とし、これにより平滑で均質な表面が達成され、かつ織物が封じられ、その結果、腐食性化学物質が接着剤および被貼付下地に触れない。さらに、このコーティングによって安価で柔軟な着色が行われる。なぜなら織物自体の着色はより手間が掛かるからである。この既知の観点のほかに、驚くべきことに、本発明による着色コーティングが適切な配合の場合、生機の手での引裂性を明らかに改善させた。これにより手での引裂性に関する織物自体への要件を下げることができる。適切な着色ペーストによる上面の片面コーティングの場合、このコーティングの織物内への浸入は、表面が3次元に構造化していることにより少なくとも織物の厚さの半分である。プラスチック層の乾燥または硬化後、欧州特許出願公開第1074595号(特許文献6)において接着剤コーティングによって経糸に対し必然的に求められるように、経糸および横糸が幾何学的に固定される。
【0349】
プラスチックコーティングに関しては、その原理から多数の系、例えばオルガノゾル、放射線架橋可能なプレポリマー系、非粘着性ホットメルト、ポリマー溶液などが可能である。これに対して好ましく、かつ確立されているのは、費用、入手可能性、およびテキスタイル分野で存在する標準的な塗布技術の理由から水性分散体である。
【0350】
材料としては、例えばポリウレタン、(エチレン)ビニルアセテート系、PVC系、スチレンブタジエン系、またはアクリレート系を選択することができる。生態学、費用、入手可能性の理由から、および「屋外使用/耐候性」の要件に対し、アクリレートを推奨することができる。アクリレートは、存在するコーティング技術に応じて濃縮され、着色性の片面コーティングを生成するために対応する着色ペースト/着色顔料を分散させる。
【0351】
2度塗りコーティングが特に有利であることが分かった。すなわち、最終的な織物テープの良好な「取扱い性」、つまり快適なくっつき、密着性で柔軟な挙動を達成し、それによってアーチ状の平らでない面にも接着テープを良好に貼り付け得るようにするためには、着色性のベース塗りが軟質で柔軟性であるべきであろう。すなわち着色ペースト中の結合剤のガラス転移温度は、室温未満、特に0℃以下の範囲内にあるべきであろう。
【0352】
これに対し、接着テープの良好な抵抗力のためには、硬質で化学的耐性のある最終塗料が有利である。このようなトップコートは、その下の層を保護するだけでなく、適切に選択した場合には、後の接着テープロールの際にトップコートと直接接触する接着剤に対するバリア層としても作用する。接着剤成分のプラスチックコーティング内へのマイグレーションまたはその逆のような相互作用は、それぞれの特性の変化を引き起こし、極端な場合には接着剤とプラスチック表面の間の定義された境界面を消すので望ましくない。そうなると、接着剤の強い張り付き、したがって大きな繰出し力が生じる。ガラス転移温度が室温より高く、特に30〜50℃およびそれ以上の、特にアクリレートベースのトップコートが適しており、同様に、最終的なフィルム特性が同じ範囲内であれば化学的または熱的に架橋する系も適している。ただし、狭い半径の周りに貼り付ける際に湾曲またはキンクによってトップコート中に裂け目が生じないために、したがって封じられた塗料層が損傷されるために、トップコートは硬質になりすぎてもいけない。
【0353】
良好な着色、封じられた層、および均一な表面構造を達成するため、着色性プラスチックコーティングは、15〜75g/m、特に20〜50g/mで、全体的に適量することができる。2度塗り案の場合、ベース塗りが50〜95%で主要部分である。あまり複雑でないという理由から、ベース塗りを着色し、着色層として全体量の70〜95%で適用し、トップコートを無着色の透明な上塗り塗装として5〜30%で適用するのが有利であることが分かった。配合およびプロセスパラメータに関して注意すべきことは、一方では生機へのベース塗りの接着性が高いことであり、しかしもう他方ではベース塗りとトップコートの間の結合付着力も高いことであり、これにより後の接着テープで、例えばロールを繰り出す際に、着色性プラスチック層がちぎれることまたは剥落することがない。
【0354】
必要であれば、例えば接着テープロールのからの容易な繰出し性が望ましい場合には、上塗り塗料に1種または複数のリリース性添加剤を混入することができ、あるいは接着剤に面していないむきだしの側に、別のリリース塗装/リリース印刷を施すことができる。
【0355】
比較的長期間の屋外使用に対する適性を備えた本発明による万能織物テープは、以下の構造および製造を特徴とし、その記述は例示的と見なされるべきで、当業者により、本出願の保護権利範囲を外れることなく改変された形で利用され得る。平滑な、構造化された、および粗面状の下地への、屋内使用および屋外使用の際の確実な貼り付きを保証するため、上で有利なものとして記載した支持体の片面に、粘着層として耐UV性および耐湿性の自己接着剤を、50〜300g/m、特に70〜150g/mで適用する。
【0356】
ここで述べる接着テープの接着剤は、開示した酸化防止剤を含むことができ、一次酸化防止剤(例えば立体阻害フェノールまたはCラジカルスカベンジャー、例えばCAS181314−48−7)と二次酸化防止剤(例えば硫黄化合物、亜リン酸塩、または立体阻害アミン)の組合せを含むこともできる。
【0357】
取扱いの理由から、および高い接着力の故に、本発明による万能織物テープの場合、支持体の接着剤に面していない上面には抗接着性のリリース系を適用することが一般的である。当業者には既知であるように、シリコーン系が、少ない〜非常に少ない繰出し力のための選択肢となり、その一方で脂肪酸誘導体、例えばポリビニルステアリルカルバメートは、数N/cmの中程度といったところの繰出し力を生じる。織物テープの場合、2〜8N/cmの中程度の繰出し力が定着しているので、好ましくは、ポリビニルステアリルカルバメート、またはステアリルイソシアネートとポリエチレンイミンからの反応生成物のようなリリース剤による表面塗装または表面印刷を選択することができる。
【0358】
本発明による製品構造によって、様々な被粘着下地に良好かつ確実に粘着する織物接着テープが得られる。
【0359】
極性土台に関する標準的な被粘着下地としてのスチール上では、新品状態(最長で製造後1週間)で最小でも5N/cmの接着力が達成され、非極性土台としてのポリエチレン上では、新品状態で少なくとも4N/cmの接着力が達成され、この接着力は、要求通りに、6ヶ月間、少なくとも50%が維持され続ける。
【0360】
極性の表面でも非極性の表面でも高い接着力および強い張り付きの故に、本発明による接着テープは短期間後には既に強く付着しており、これにより接着テープはその後、当然のことながら特に最長でも6ヶ月の使用後には、もう残留物なしで除去することができない。ただし接着性およびその他の自己接着テープとしての機能性は、影響を及ぼされない、または少ししか及ぼされない。この理由から、このような接着テープは特に屋外領域での比較的長期の永続的な貼り付きのために提供される。
【0361】
本発明による万能織物テープは、横方向では、容易に、かつ裂いた縁がほつれずにまっすぐになるように手で切ることができる。これに対し縦方向では織物テープが十分な強度を有しており、したがって引張強度が重要な多くの結束用途および固定用途に用いることができる。たいていは、縁の引裂きには少し大きな初期力が必要とされ、その後の引裂切断は容易に、かつ均一に行うことができる。有利には、この少し大きな引裂力が、取扱いの際および最終的な使用において、意図しない引裂切断から織物テープを保護する。
【0362】
本発明による万能織物接着テープは、屋外使用において非常に安定していることが分かっており、少なくとも6ヶ月の長期的使用に適している。特に、これまで既知のダクトテープが、太陽光および雨が直接作用する場合に例外なく数週間後にはその構成要素に分かれてしまうのに対し、本発明による織物テープの場合、機能性および製品の完全な状態が維持され続ける。
・ 機械的負荷に対する十分な強度
・ 接着テープの多層構造の完全な状態の維持
・ 土台上での良好な永続的接着性
【0363】
このことは既知の天然ゴムおよび合成ゴムの織物テープでは得られない。なぜなら二重結合に対する作用によって骨格エラストマーが破壊され、一部では支持体成分も顕著に不可逆的に損傷されるからである。
【0364】
これまでに知られている織物テープが明らかな弱点を有する屋外使用への適性だけでなく、本発明による接着テープは万能接着テープとしてもちろん屋内使用にも適しており、これは当業者には別段に言及する必要はない。
【0365】
使用した接着剤の種類にほぼ関係なく、本発明による万能織物テープは、粗面状または構造化された被粘着下地、例えば木材、石、コンクリートなどにも確実に粘着するために、接着剤に関しある程度の層厚を必要とする。接着剤塗布量が50〜300g/m、特に70〜150g/mの場合に所期の粘着挙動が達成される。粘着技術的に有効な層厚の絶対量は、とりわけ織物の構造にも依存する。コーティングすべき面の粗度に応じて最高で50g/mの量が、織物における凹部を埋めるためだけに必要とされ、接着剤のこの部分は、「織物山脈の峰(Gipfel des Gewebegebirges)」から突き出ておらず、貼り付きには使えない。所期の粘着挙動の場合に必要な接着剤量に関する大まかな方向付けとしては、50〜150μmの「実効の」層厚を挙げることができる。
【0366】
塗布面(コーティング面)では、支持体の表面を易接着性に加工することができ、例えば定着塗りによって、または例えばコロナ照射によって物理的に前処理される。ただし普通は、織物の粗面状の構造および接着剤の表面の親和力が十分な定着を付与するので、別のプロセスステップは省くことができる。
【0367】
接着剤の配合および粘性に応じてコーティング技術を選択するべきである。ここでは既知のシステム、例えばドクターブレード、ローラ、ノズルなどを利用することができる。適切な選択は当業者によって問題なく行うことができる。接着剤/コーティング技術の組合せは、多くの場合に、織物の凹部内への接着剤の十分な浸入、したがって支持体上での粘着層の良好な定着をもたらす一方で、粘着層がフィルムとしてもしくはノズルから引き出されて上に載せられるだけの場合には、さらに圧力および温度を使うことで、両層の間のより強力で永続的な接触を形成させなければならない。これは、後続の例えばカレンダステーションのような加圧工程および押圧工程によって達成することができる。ただしこれは、代替策として、支持体上での接着剤の接着性および定着を物理的/化学的に強化する支持体前処理、例えば追加のプライマ塗布によって達成することもできる。
【0368】
例E1
経糸が75den、横糸が300denで、糸数が経糸では31cm−1、横糸では22cm−1での平織りによる黒いPET織物は、ドイツ特許出願公開第102005044942号(特許文献7)に基づく連続的なアルカリ化によって、坪量100g/mの場合、70N/cmの経糸方向の最高引張力を有する。片面に、黒く着色されたアクリレート分散体を35g/mの塗布でコーティングする。分散体の低いT値の故に軟質でブロッキングしがちなコーティングは、続いてすぐに硬質アクリレート分散体をベースとする透明なトップコートにより10g/mの塗布量でカバーコーティングし、自己架橋性トップコートが硬化するように乾燥させる。
【0369】
縁から横糸方向への引裂伝播性および特に引裂性は、このコーティングによって明らかに改善される。この支持材料は「手で引き裂き可能」である。
【0370】
接着剤は押出機内で連続的に製造し、支持体上にノズルコーティングによって溶融状態で80g/mで塗布する。実験サンプルの製造および調査のため、リリース塗料を施与する代わりに接着剤をシリコーン処理された剥離紙で覆う。
【0371】
下記の配合での接着剤
100phr IN FUSE9107
78.4phr Ondina933
212phr Foral85
2phr Irganox1076
5phr Tinuvin111
【0372】
スチール上での接着力は9.8N/cmである。PEからは、1〜2時間の張り付け後にはもう、一部の接着剤がへばりついた状態でしか織物テープを引き剥がすことができない。
【0373】
UVテストでは7日後ならびにサンテストでは2週間後、僅かな見た目の変化が認識できるが、貼り付けられた接着テープは分解および剥落の示唆をほとんど有さず、その時点でもなお確実に、かつ固定的に粘着している。
【0374】
例E2
支持体として、PE押出成形された織物が選択される。支持体は、出来上がって、ポリビニルステアリルカルバメート塗装されたものを日本から取り寄せる。55メッシュのVIS/PET混合織物(30×25inch−2)と、それに固定的に結合した65g/mの黒く着色されたLDPEコーティングとから成る0.18mm厚の複合支持体である。
【0375】
接着剤製造および接着剤コーティングは例E1に倣って行い、下記の配合物、すなわち
100phr IN FUSE9507
140phr Oppanol B10
250phr Regalite R1100
2phr Irganox1076
5phr Tinuvin111
を用いる。
【0376】
接着剤塗布量が70g/mの場合、スチール上での接着力は9.0N/cmである。張り付き挙動、UVテストおよび暴露テストは、例E1で述べたように検査および実施し、その際、支持体の損傷が少ないという傾向を認識することができる。ここでは、有意義にかつ当業者には問題なく、PEフィルムのUV安定性をいくぶん強くすることができる。接着剤自体は損傷の示唆を有さない。
【0377】
反対例E1
反対例E1は、標準的な天然ゴム接着剤を備えたレーヨンステープルから成る市販の織物テープに対応している。
【0378】
上面に着色されたアクリレートコーティング(60g/m)および裏面に天然ゴムコーティング(110g/m、特殊なUV安定化なし)を備えた150メッシュのレーヨンステープル織物(約110g/mの生機、経糸および横糸にNm50の糸を用いた対称的な平織り)は、容易に引き裂くことができ、様々な下地に良好に粘着するが、UVテストおよび暴露テストでは、短時間の暴露の後に既に重大な欠陥を有する。特にサンテスターでは、被粘着下地からの明らかな剥落現象および接着剤の分解を認識することができる。この接着テープはその組成に基づき微生物によっても容易に侵され、かつ破損させられるので、この接着テープは屋外使用には非常に不適切である。
【0379】
反対例E2
反対例E2は、標準的な天然ゴム接着剤を備えた市販のダクトテープに対応している。
【0380】
30メッシュのPET/VISニット(20×10inch−2)および銀色の50μmPEフィルムが支持体構成要素であり、この支持体構成要素は、非常に軟質でタック性に調整された天然ゴム接着剤を全体で160g/m備えており、その際、約5〜10g/mがラミネート接着剤として機能する。
【0381】
このダクトテープは、様々な被粘着下地に良好に粘着し(例えばスチール上で5N/cm、PE上で2.5N/cm)、1〜2週間の屋外暴露後に最初の激しい分解現象が生じ、2ヶ月後には支持体がほぼ完全に層間剥離し、かつ接着剤が固化し、つまりもう自己粘着特性を有さない。UVテストおよび暴露テストでは、それに対応してこの効果がより早く、既に短い検査期間後に生じ、最初は強い皺が形成され、その後、ニットからPEフィルムが部分的に剥落する、またはもはや僅かな結合強度しかなくなる。
【0382】
このようなダクトテープは、比較的長く続く屋外使用には適していない。
【0383】
さらに本発明による接着テープは、とりわけ有利には建設産業における粗面状または汚れた下地に適しており、それも、本発明のさらなる有利な一実施形態に基づき接着テープが、支持体と、その少なくとも片面に溶融状態でコーティングされており、0.86〜0.89g/cmの間の密度と低くとも105℃の結晶融点を有するエチレンポリマーおよび粘着樹脂から成る接着剤とを備える場合に適している。
【0384】
住宅建築では、接着テープは多種多様な用途で、例えば継目のための封止用テープとして、モルタル塗装用テープとして、または防風材、水蒸気抑制材、および水蒸気遮断材を貼り付けるための組立用テープとして存在する。
【0385】
継目のための封止用テープは、継目を即座に気密に最適に密封するという目的をもつ。この封止用テープは、自己粘着性のテープとして形成されることが好ましく、建築部材を組み合わせた後に、壁の内側で継目を覆いながら継目の周縁に粘着する。モルタル塗装用テープは、プロフィル、ドア枠、窓枠、および窓台を保護するための外側カバーとして使用される。特に適しているのは、モルタルの塗布および掻き落しの際である。この接着テープは、損傷を受けやすい下地を、また特殊鋼およびアルマイト処理した金属を、機械的負荷および汚れから保護する。防風材、水蒸気抑制材、および水蒸気遮断材のための組立用テープは、住宅の内部改造の際に、壁、屋根面、およびその類似部に断熱材料を固定した後で、フィルムの形で存在する防風材、水蒸気抑制材、および水蒸気遮断材を貼り付けるために使用される。非常に様々な下地に固定するために、かつ対応する水蒸気抑制材、水蒸気遮断材、および防風材の、生じる重畳部位を貼り付けるために、片面または両面粘着性の組立用テープが用いられる。
【0386】
建設分野で使用されるすべての接着テープには、化学物質および水に対する抵抗性、粘着能力(特に0℃までの温度でも)、耐老化性、ならびに封止能力に対して高い要求がある。すべての用途に共通なのは、汚れたおよび/または粗面状の下地、例えばコンクリート表面または垂木への貼り付けが確実に保証されなければならないことである。なかでも防風材を貼り付けるための組立用テープに対する要求は、耐老化性およびPEフィルム上での良好な粘着特性である。
【0387】
ドイツ特許出願公開第1031213号(特許文献8)は、アクリレートベースの接着剤を備えた継目のための封止用テープを記載している。特別な要求として、低温加工性および耐老化性が挙げられる。
【0388】
市場で入手可能なモルタル塗装用テープは、たいていゴムから成る接着剤を含んでいる。この接着テープはしばしば非極性の保護フィルムを固定するために用いられるので、非極性の接着剤がここでは有利である。ただしゴム接着剤はその耐老化性に関しては限界がある。このためゴム接着剤は、屋外領域では遅くとも6週間後には再び除去すべきであろう。
【0389】
防風材、水蒸気抑制材、および水蒸気遮断材を貼り付けるための片面粘着性の組立用テープが、ドイツ実用新案第29723454号(特許文献9)に記載されている。この組立用テープは、フィルムおよび80g/m超の高い接着剤塗布量でのアクリレート接着剤から成る。実際には、接着テープは約200g/mの接着剤塗布量で提供される。この高い接着剤塗布量は、アクリレート接着剤溶液を乾燥した後に得られなければならないので、このような接着テープの製造は非常に時間が掛かり、したがって高価である。さらに、防風材の貼り付けに対してはメーカーによりしばしば少なくとも5年の耐老化性が保証され、したがって耐老化性接着剤の使用が非常に重要である。これに基づき、溶剤なしで製造可能なゴム接着剤の使用は考慮されていない。
【0390】
本発明による接着テープは、溶剤なしで製造可能であり、耐老化性であり、建設産業での粗面状または汚れた下地上で用いることができる。
【0391】
軟化剤を使用しない場合、粘着樹脂は90℃未満の融点を有するのが好ましい。
【0392】
粘着樹脂としては、好ましくは一部または完全に水素化された、ロジンをベースとする樹脂(例えばバルサム樹脂)またはロジン誘導体(例えば不均化、二量化、またはエステル化されたロジン)をベースとする樹脂が良く適していることが分かった。
【0393】
好ましくは、前述の量で、一次酸化防止剤を使用し、特に好ましくは二次酸化防止剤も使用する。
【0394】
感圧接着剤の製造および加工は、溶液状態および溶融状態で行うことができる。感圧接着剤を溶融状態で加工する利点は、コーティング後に溶剤を除去しなくてよいので、非常に大きな層厚(接着剤塗布量)を非常に短時間で達成できる可能性にある。したがって好ましい製造方法および加工方法は溶融状態で行われる。溶融状態の場合に関し、適切な製造プロセスにはバッチ方式も連続方式も含まれる。特に好ましいのは、押出機によって感圧接着剤を連続的に製造し、続いてそれに対応して接着剤が高温の状態ですぐに、コーティングすべき土台または剥離紙もしくは剥離フィルム上にコーティングすることである。コーティング方法としては、幅広スリットノズルを用いた押出コーティングおよびカレンダコーティングが好ましい。
【0395】
接着剤塗布量(コーティング厚)は、用途に応じて10〜300g/mの間、特に好ましくは20〜250g/mの間である。モルタル塗装用テープとしての使用に関しては、接着剤塗布量はこれらの値のうちの下のほうの範囲内である。継目のための封止用テープならびに防風材、水蒸気抑制材、および水蒸気遮断材のための組立用テープは、一般的に50〜250g/mの間の接着剤塗布量を有する。
【0396】
支持材料としては、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、そのコポリマー、これらポリマーと例えばポリエチレンビニルアセテートとのブレンド、またはアイオノマーから成るフィルム、ならびにポリ塩化ビニルまたはポリエステルから成るフィルムなどのプラスチックフィルムを使用することができる。伸長可能なフィルムは、補強材、好ましくはスクリムによって強化することができる。さらに、例えば押出コーティングまたはラミネート加工によって得られる紙−プラスチック複合体の使用が可能である。テキスタイル材料は、用途に応じて開孔してまたはテキスタイル−プラスチック複合体として、支持材料として使用することができる。使用するプラスチックは、例えば三酸化アンチモンのような難燃剤または例えばSaytex(登録商標)8010のような臭素含有難燃剤を含むことができる。支持材料は、30〜150μmの間、好ましくは50〜100μmの間の厚さにすることができる。
【0397】
塗布面(コーティング面)では、支持体の表面を化学的または物理的(例えばコロナ)に前処理することができ、ならびに支持体の背面には、抗接着性の物理的処理またはコーティングを施すことができる。
【0398】
感圧接着テープとしての使用に関し、片面または両面感圧接着テープを1枚または2枚の剥離フィルムまたは剥離紙で覆うことができる。好ましい一形態では、シリコーン処理もしくはフッ素処理されたフィルム、または紙、例えばグラシン、HPDEもしくはLDPEをコートされた紙が用いられ、これらの紙もまたシリコーンもしくはフッ化ポリマーをベースとするリリース層を備えている。
【0399】
接着テープのこの実施形態は、耐老化性接着テープとしての使用に適しており、特にコンクリート、モルタル、石、もしくは木材など粗面状の下地、およびポリエチレンフィルムなど非極性表面に貼り付けるために適している。この接着テープは、例えば継目のための封止用テープとして、モルタル塗装用テープとして、または防風材、水蒸気抑制材、もしくは水蒸気遮断材のための片面または両面粘着性の組立用テープとして用いることができる。接着剤の耐老化性に基づき、防風材、水蒸気抑制材、または水蒸気遮断材のための組立用テープとしての使用が好ましい。
【0400】
例F1
接着剤は下記の成分、すなわち
100phr IN FUSE9107
78.4phr Ondina933
212phr PRO10394
2phr Irganox1726
から成る。
【0401】
接着剤は押出機内で連続的に製造し、支持体上にノズルコーティングによって溶融状態で30g/mで塗布する。支持体は、PVC(K値65)100重量部、ポリマー軟化剤(Palamoll652)45重量部、フィラー(チョーク)15重量部、潤滑剤(ステアリン酸)0.2重量部、顔料(二酸化チタン)5重量部、および安定剤(カルシウム・亜鉛系)3重量部から成るフィルムであり、シリコーンPMMAコポリマーから成る背面コーティングを備えている。
【0402】
スチール上での接着力は8.1N/cmである。この接着テープは10℃でも石壁に貼り付けることができる。
【0403】
例F2
例F1と同様の接着剤であり、ただし下記の配合物、すなわち
100phr IN FUSE9507
78.4phr Ondina933
212phr Escorez1310
2phr Irganox1076
を用いる。
【0404】
接着剤は押出機内で連続的に製造し、剥離紙上にノズルコーティングによって溶融状態で200g/mで塗布する。支持フィルムは厚さ70μmで、ブロックコポリマーNovolen2309L(BASF、メルトインデックスは230℃および2.16kgで6g/10分、エチレン含有率は約6.5%(w/w))91.3%(w/w)、二酸化チタン8.4%(w/w)、およびHALS安定剤Tinuvin770 0.3%(w/w)から成る。支持フィルムはコーティング前に片面をコロナ処理する。接着剤塗布は、支持材料のコロナ処理した面に、コーティングされた剥離紙をラミネートすることによって行う。接着テープは、剥離紙を再び取り去らずに棒状に巻く。
【0405】
スチール上での接着力は14.2N/cmである。ポリエチレン上での接着力は7.9N/cmである。老化後、ポリエチレン上での接着力はまだ元の接着力の90%である。この接着テープは0℃でも石壁、粗びきの木材、ポリエチレンフィルム、またはポリアミドフィルムに貼り付けることができる。
【0406】
例F3
例F1と同様の接着剤であり、ただし下記の配合物、すなわち
100phr IN FUSE9107
78.4phr Ondina933
212phr Foral85
2phr Irganox1076
5phr Tinuvin111
を用いる。
【0407】
接着剤は例F2と同様にコーティングする。接着テープも同様に製造するが、ただし支持体の両面をコロナ処理し、接着剤でコーティングする。第2の転写コーティング後に第2の剥離紙を取り去り、接着テープを棒状に巻く。
【0408】
スチール上での接着力は16.9N/cmである。ポリエチレン上での接着力は10.5N/cmである。老化後、ポリエチレン上での接着力はまだ元の接着力の97%である。この接着テープは0℃でも石壁、粗びきの木材、ポリエチレンフィルム、またはポリアミドフィルムに貼り付けることができる。
【0409】
例F4
例F1と同様の接着剤であり、ただし下記の配合物、すなわち
100phr IN FUSE9107
78.4phr Ondina933
212phr Regalite R1100
2phr Irganox1076
を用いる。
【0410】
接着剤は例F2と同様にコーティングし、剥離紙を取り去らずに棒状に巻く。支持体のない両面粘着性の転写式テープとして、例えば粗びきの木材に防風材、水蒸気抑制材、および水蒸気遮断材を固定するために使用される。
【0411】
スチール上での接着力は15.0N/cmである。ポリエチレン上での接着力は8.1N/cmである。老化後、ポリエチレン上での接着力はまだ元の接着力の96%である。この接着テープは0℃でも石壁、粗びきの木材、ポリエチレンフィルム、またはポリアミドフィルムに貼り付けることができる。
【0412】
例F5
例F1と同様の接着剤であり、ただし下記の配合物、すなわち
100phr IN FUSE9107
78.4phr Ondina933
212phr Regalite R1100
2phr Irganox1076
を用いる。
【0413】
接着剤は例F2と同様に、ただし70g/mだけの接着剤塗布量でコーティングする。接着テープは、剥離紙を再び取り去らずに棒状に巻く。
【0414】
スチール上での接着力は9.4N/cmである。ポリエチレン上での接着力は5.3N/cmである。老化後、ポリエチレン上での接着力はまだ元の接着力の95%である。この接着テープは0℃でも石壁、粗びきの木材、ポリエチレンフィルム、またはポリアミドフィルムに貼り付けることができる。
【0415】
例F6
例F1と同様の接着剤であり、ただし下記の配合物、すなわち
100phr IN FUSE9107
78.4phr Ondina933
212phr Wingtack extra
2phr Irganox1076
を用いる。
【0416】
接着剤は押出機内で連続的に製造し、剥離紙上にノズルコーティングによって溶融状態で200g/mで塗布する。支持材料は厚さ100μmで、ポリエチレンでコーティングされたクラフト紙(ポリエチレン20g/m)から成る。接着剤塗布は、支持材料のクラフト紙から成る面に、コーティングされた剥離紙をラミネートすることによって行う。接着テープは、剥離紙を再び取り去らずに棒状に巻く。
【0417】
スチール上での接着力は16.3N/cmである。ポリエチレン上での接着力は10.1N/cmである。老化後、ポリエチレン上での接着力はまだ元の接着力の92%である。この接着テープは0℃でも石壁、粗びきの木材、ポリエチレンフィルム、またはポリアミドフィルムに貼り付けることができる。
【0418】
例F7
例F1と同様の接着剤であり、ただし下記の配合物、すなわち
100phr IN FUSE9107
78.4phr Wingtack10
212phr Wingtack extra
2phr Irganox1076
を用いる。
【0419】
接着剤は例F2と同様にコーティングし、接着テープも同様に製造する。
【0420】
スチール上での接着力は5.3N/cmである。ポリエチレン上での接着力は3.6N/cmである。老化後、ポリエチレン上での接着力はまだ元の接着力の89%である。この接着テープは0℃でも石壁、粗びきの木材、ポリエチレンフィルム、またはポリアミドフィルムに貼り付けることができる。
【0421】
比較例F1
この実施形態は例F1で述べたように行い、ただし接着剤は市販の配合物に対応して
100phr Vector4113
97phr Escorez1310
21phr Ondina933および
1phr Irganox1726
から成る。
【0422】
ポリエチレン上での接着力は8.1N/cmである。老化後、ポリエチレン上での接着力はもう元の接着力の74%であり、これは明らかな接着力低下および強い老化に相当する。
【0423】
比較例F2
この実施形態は例F1と同様に行われ、接着剤は下記の成分、すなわち
100phr IN FUSE9107
78.4phr PB0300M
212phr Escorez5400
8phr Irganox1076
から成る。
【0424】
この接着剤はほとんど接着性でない。
【0425】
比較例F3
接着剤として、Rohm and Haas社のPrimal PS83Dという名称の水性アクリレート分散体(固体含有率53重量%、アンモニア含有率<0.2重量%、pH値9.1〜9.8)を用いる。
【0426】
接着剤での剥離フィルムのコーティングはワイヤドクターによって行う。ワイヤドクターおよびコーティング速度は、コーティングしたフィルムを乾燥した後に約100g/mの接着剤塗布量が測定されるように調整する。コーティング速度および乾燥器出力は、乾燥後に、接着剤中で0.03〜0.13重量%の含水率が測定されるように調整する。例F2で述べたフィルムを片面でコロナ処理する。接着剤塗布は、コロナ処理した面に、コーティングされた剥離紙をラミネートすることによって行う。層厚100g/mの第1の塗布後に剥離紙を取り去り、第1の層上に第2の粘着層をラミネートし、これにより接着剤塗布量は約200g/mに達する。
【0427】
アクリレート分散体が乾燥し難いことにより、1つの作業工程で200g/mの層厚を製造することはコーティングの乾燥時間を不経済に長くするので、比較的大きなプロセス浪費を要する。接着剤が水に曝されると、接着剤が膨潤し、強度および接着力を失う。
【0428】
さらに本発明による接着テープは、とりわけ有利には、ロール状もしくは個別の絆創膏として、結腸瘻バッグもしくは電極を貼り付けるためのダイカットとして、作用物質絆創膏として、創傷被覆材として、整形外科用包帯もしくは静脈用包帯(phlebologische Bandage)として、または切開フィルムとして適しており、それも、本発明のさらなる有利な一実施形態に基づき接着テープが、支持体と、その少なくとも片面にコーティングされており、0.86〜0.89g/cmの間の密度と低くとも105℃の結晶融点を有するオレフィンポリマーおよび粘着樹脂から成る接着剤とを備える場合に適している。
【0429】
強力粘着性の整形外科用包帯およびその他の医療製品は、通常は全面的に亜鉛・ゴム接着剤でコーティングされる。このような製品の皮膚への貼り付きは、剥がし取る際に明らかな皮膚刺激および皮膚に対する機械的負荷を示す。この貼り付きは、補助剤なしでは痛みを伴ってしか剥がすことができない。これは場合によってはアレルギー反応を引き起こす。
【0430】
それだけでなく、使用した接着剤はしばしば接着剤転写、つまり接着剤が皮膚にへばりつく。
【0431】
アクリレート接着剤など肌に優しい接着剤の使用は、せん断安定性および接触粘着性が低いことにより検討に値しない。後処理、特に架橋による改善は可能であるが、その結果は全体的には不満が残る。さらに、このような系の支持体背面への接着力は、環状に巻かれた多層の包帯の場合、安定的で機能的な包帯としては十分でない。固有受容性作用は、亜鉛・ゴム接着剤を備えた系に比べて低い。
【0432】
従来のブロックコポリマーをベースとするその他の既知の粘着系は、一方では、高い安定剤添加量によって肌に優しくなく、または高い凝集性によってこれまでは工業的な用途例に対する適性しか示さず、他方では、強い皮膚粘着性および皮膚接着性に調整することができない。
【0433】
部分的なコーティングの場合、接着剤塗布が限定的にしか可能でないため、特に重い支持材料の場合に、接着力が低すぎる。
【0434】
上述の接着剤は感圧性自己接着剤であり、接着剤は、加工のために担体マトリクス中に存在することができる。担体マトリクスとは、一般に使われる有機または無機の溶剤または分散剤を意味する。
【0435】
担体マトリクスのない系は100%系と呼ばれており、同様に既知である。100%系は熱可塑性状態で加工される。一般に使われる加工法は溶融である。
【0436】
このようなホットメルト感圧接着剤も、従来技術において既に述べられている。このようなホットメルト感圧接着剤は、天然ゴムまたは合成ゴムおよび/またはその他の合成ポリマーをベースとする。このような100%系に関してはその高い硬度に基づき、皮膚接着性には問題がある。
【0437】
さらに、このような自己接着剤を全面的に適用することだけではなく、例えばスクリーン印刷によって網点状に施すことが知られており(ドイツ特許第4237252号(特許文献10))、その際、接着剤の小点は大きさおよび/または分布が様々であってもよく(欧州特許第0353972号(特許文献11))、あるいは縦および横方向に理路整然と並んだドテによる凹版印刷によって施すことが知られている(ドイツ特許第4308649号(特許文献12))。網目状の塗布の利点は、粘着材料が、それに対応して多孔質の支持材料の場合には空気および水蒸気透過性であること、ならびに一般的には容易に再剥離し得ることである。
【0438】
しかしながらこの製品の欠点は、それ自体は不透過性である粘着層の面被覆率が高すぎる場合に、これに対応して空気および水蒸気透過性が低下し、かつ接着剤消費量が上昇し、粘着層の面被覆率が小さい場合には、粘着特性が損なわれ、つまり製品が、特に重いテキスタイル支持材料の場合に下地から外れやすすぎることにある。
【0439】
医療製品、例えば整形外科用包帯には、粘着特性に対する高い要求がある。理想的な使用のため、自己接着剤は高い接触粘着性を有するべきであろう。皮膚および支持体背面での機能的に適応した接着力が存在するべきであろう。さらに、位置がずれないように、自己接着剤の高いせん断強度が必要である。
【0440】
本発明による接着剤は、皮膚への優れた粘着特性を示す。
【0441】
粘着樹脂としては、好ましくは一部または完全に水素化された、ロジンをベースとする樹脂(例えばバルサム樹脂)またはロジン誘導体(例えば不均化、二量化、またはエステル化されたロジン)をベースとする樹脂が良く適していることが分かった。
【0442】
さらに、特に医療製品での使用には、ホットメルト感圧接着剤が、例えば網版印刷、熱スクリーン印刷、または凹版印刷によって支持材料に部分的に塗布されている場合が有利である。なぜなら全面塗布では、自己粘着性に加工された支持材料が、貼着の際に機械的な皮膚刺激を引き起こす可能性があるからである。
【0443】
特に、空気および水蒸気透過性の支持材料を使用する場合、部分的な塗布は、経皮水分損失が規定された通路を通って排出されることを可能にし、発汗時の皮膚からの蒸発を改善させる。これにより、体液がせき止められることで引き起こされる浸軟などの皮膚刺激が回避される。多層の包帯を使用する場合でも、排出通路を当接させることで導出が可能になる。
【0444】
多幾何学的(polygeometrisch)なドーム、とりわけ直径と高さの比が5:1未満のドームの形の塗布が好ましい。さらに、支持材料に別の形状およびパターン、例えば英数字の記号組合せあるいは格子、縞、およびジグザグ線などのパターンの形の印刷模様を上刷りすることも可能である。
【0445】
さらに接着剤は、例えば吹き付けることもでき、これは多かれ少なかれ不規則な塗布模様を生じさせる。
【0446】
接着剤は、支持材料上に均一に分布していてもよいが、製品のために機能的に相応しいように接着剤を面にわたって様々な厚さまたは密度で塗布してもよい。
【0447】
ホットメルト自己接着剤は、熱スクリーン印刷で施すことができる。熱スクリーン印刷の原理は、回転しながら加熱される継目のないドラム状で孔の開いた環状型板の使用にあり、この環状型板にはノズルを介してホットメルト感圧接着剤が送り込まれる。特殊に成形されたノズルリップ(円形または四角形のドクターブレード)が、管路を介して供給される自己接着剤を型板壁の孔に通し、その傍に案内されている支持体シートに押し付ける。支持体シートは、回転するスクリーンドラムの回転速度に相応する速度で、逆圧ローラにより、加熱されたスクリーンドラムの外被に向かって案内される。
【0448】
その際、小さな接着剤ドームの形成が下記のメカニズムによって起こる:
ノズルドクターブレードの圧力が自己接着剤をスクリーンの孔に通して支持材料の表面に運ぶ。形成されるドームの大きさは、スクリーンの孔の直径によって予め定められる。支持体シートの搬送速度(スクリーンドラムの回転速度)に対応して、スクリーンが支持体から持ち上げられる。自己接着剤の高い接着性およびホットメルトの内部凝集性に基づき、支持体に既に付着しているドームの底面によって、孔内に画定されて溜まったホットメルト感圧接着剤が、鋭い輪郭で引き剥がされる、またはドクターブレードの圧力によって支持体に運ばれる。
【0449】
この転写の終了後、ホットメルト感圧接着剤のレオロジーに応じて、予め与えられた底面の上方に、多かれ少なかれ強く湾曲したドーム表面が成形される。ドームの高さと底辺の比は、スクリーンドラムの孔の直径と壁厚の比ならびに自己接着剤の物理的特性(流動挙動、表面張力、および支持材料上での濡れ角)に依存する。
【0450】
熱スクリーン印刷におけるスクリーン型板の場合、ドテ/孔比は2:1未満、好ましくは1:1以下にすることができる。
【0451】
ドームの上述の形成メカニズムは、好ましくは吸収力のある、または少なくともホットメルト感圧接着剤によって濡らすことができる支持材料を必要とする。濡れない支持体表面は、化学的または物理的な方法によって前処理しなければならない。これは、追加の措置、例えばコロナ放電または濡れ性を改善する物質でのコーティングによって行うことができる。
【0452】
上記の印刷方法を用い、ドームの大きさおよび形状を定義的に規定することができる。使用のために重要であり、生成された製品の品質を測定する接着力値は、適切なコーティングの場合、非常に狭い許容誤差内にある。ドームの底面の直径は10μm〜5000μm、ドームの高さは20μm〜約2000μm、好ましくは50μm〜1000μmで選択することができ、その際、小さい直径の範囲は平滑な支持体のために、より大きな直径およびより大きなドーム高さでの範囲は、粗面状または多孔性の高い支持材料のために企図されている。
【0453】
支持体上でのドームの位置決めは、広い範囲内で変えることができる塗布具の形状、例えば彫込み形状またはスクリーン形状によって定義的に規定される。上記のパラメータを用い、調整可能な変数によって、コーティングの所望の特性プロファイルを様々な支持材料および用途に合わせて非常に正確に調整することができる。
【0454】
支持体は、2m/分超、好ましくは20〜100m/分の速度でコーティングされることが好ましく、その際、コーティング温度は軟化温度より高く選択されなければならない。
【0455】
ホットメルト感圧接着剤によってコーティングされる面のパーセンテージは、既に言及したように少なくとも20%にすべきであり、最高で95%に達してもよく、特殊な製品のためには40%〜60%ならびに70%〜95%にすることが好ましい。これは、場合によっては複数回の塗布によって達することができ、その際、場合によっては特性が異なる接着剤を使用してもよい。
【0456】
本発明の有利な一実施形態によれば、接着テープは支持体背面での接着力が少なくとも1.5N/cmであり、特に2.5N/cm〜5N/cmの間の接着力を有する。別の下地に対してはより高い接着力を達成することもある。
【0457】
自己接着剤と部分コーティングの組合せは、一方では特に医療製品の皮膚への確実な貼り付きを保証し、他方では、使用が数日間に及ぶ場合でも、少なくとも視覚的に認識できるアレルギー性のまたは機械的な皮膚刺激を引き起こさない。
【0458】
対応する体の部位の脱毛および皮膚への接着剤転写は、接着剤の高い凝集性に基づき無視することができる。というのもこの接着剤は、皮膚および毛髪には定着せず、反対に接着剤の支持材料への定着は最高12N/cm(試料幅)で、特に医療用途のために非常に良いからである。
【0459】
コーティングにおいて成形された規定破断部により、剥がし取る際に皮膚位置が一緒にまたは相互に変位されなくなる。皮膚位置が変位しないことおよび比較的少ない脱毛は、このような強力粘着性の系ではこれまで知られていなかった無痛度合いをもたらす。さらに、接着テープの接着力を明らかに低下させる個別の生体力学的な接着力制御が、剥離性を補助する。当てがわれた包帯は、良好な固有受容性作用を示す。
【0460】
自己接着剤は、支持材料およびその感温性に応じ、直接塗布してもよく、または最初に補助支持体上に適用し、それから最終的な支持体上に転写してもよい。
【0461】
支持材料としては、合成原料および天然原料から成るすべての剛性および弾性の平面形成物が適している。接着剤の塗布後に、機能的に相応しい包帯の特性を満たすように使用できる支持材料が好ましい。例としては、テキスタイル製品、例えば織物、ニット、スクリム、不織布、ラミネート、ネット、フィルム、発泡体、および紙が挙げられる。
【0462】
この接着テープは、空気透過性を1cm/(cm2*s)超、好ましくは15cm/(cm2*s)超、とりわけ好ましくは70cm/(cm2*s)超、さらに水蒸気透過性が500g/(m2*24h)超、好ましくは1000g/(m2*24h)超、とりわけ好ましくは2000g/(m2*24h)超にすることができる。
【0463】
それだけでなくこの接着テープは、積層複合体でもまだ1g/(m2*24h)の空気透過性および500g/(m2*24h)の水蒸気透過性を有することができる。
【0464】
最後に、この接着テープは貼着後に被覆保護することができ、または創傷被覆材、クッションを備えることができる。
【0465】
この接着テープは、接着剤のポリマーが架橋し易い二重結合を含まないので、滅菌可能であり、特に放射線滅菌可能であることが特に有利である。
【0466】
さらに支持体は、接着剤でコーティングされた面とは反対側に、水または汗と接触した場合に急速に染み渡るのを阻止する撥水層または防水加工部を有することができる。これは、既知の防水加工のほかに、フィルム、有利には水蒸気透過性フィルムの縫い付けによって行うこともできる。
【0467】
それだけでなく支持体は、接着剤の接着力を低下させるリリース層もしくはリリース加工部および/または塗装を有することができる。この場合も、既知のリリース材料のほかに、フィルム、有利には水蒸気透過性フィルムを使用することができる。
【0468】
本発明による接着テープは、人の皮膚上での使用に特に適しており、その例は、ロール状および個別の絆創膏、結腸瘻バッグおよび電極を貼り付けるためのダイカット、作用物質絆創膏(経皮絆創膏)、創傷被覆材、ならびに整形外科用包帯もしくは静脈用包帯、切開フィルムである。この適性は粘着特性から得られ、しかしまた、皮膚炎症性もしくは皮膚刺激性の物質または別の化学的に作用する物質、例えば酸化防止剤を回避できることからも得られる。本発明による接着剤は、皮膚への接着性と、使用後の皮膚刺激のない皮膚からの容易な剥がし取り性との間に優れたバランスを有している。
【0469】
例G1
接着剤は下記の成分、すなわち
100phr IN FUSE9107
78.4phr Ondina933
212phr Wingtack extra
から成る。
【0470】
接着剤は押出機内で連続的に製造し、支持体上にノズルコーティングによって溶融状態で70g/mで塗布する。支持体は、ポリエチレンおよびポリプロピレンから成る肌色フィルムであり、このフィルムには、下面(コーティング面)にポリプロピレン不織布をラミネートしてある。接着剤は、支持体上に適用された後、創傷被覆材料を設け、かつシリコーン紙から成るライナで覆う。こうして出来たものから、空気孔を備えた個々の絆創膏を型抜きする。スチール上での接着力は9N/cmである。この接着テープ(絆創膏)は、皮膚からの可逆的な剥がし取りならびに優れた空気および水蒸気透過性を示した。絆創膏を取った後、皮膚刺激は観察されず、無視し得る程度の僅かな脱毛が観察される。
【0471】
例G2
この実施形態は例G1で述べたように行い、ただし下記の配合物、すなわち
100phr NOTIO PN−0040
78.4phr Wingtack10
212phr Escorez1310および
1phr Irganox1076
を用いる。
【0472】
接着剤を、溶融スクリーン印刷(スクリーン厚300μm、網目数25)において木綿織物(最高引張力60N/cm、破断伸び10%)上に塗布する。接着剤塗布量は120g/mである。スチール上での接着力は11N/cmである。接着テープ(包帯)は、皮膚からの可逆的な剥がし取りならびに優れた空気および水蒸気透過性を示した。絆創膏を取った後、皮膚刺激は観察されず、無視し得る程度の僅かな脱毛が観察される。
【0473】
例G3
この実施形態は例G1で述べたように行い、ただし下記の配合物、すなわち
100phr Softell CA02
50phr Ondina933
212phr Regalite R1100および
20phr サリチル酸
を用いる。
【0474】
接着剤を、セルロースアセテート織物上に70g/mで塗布する。これはイボ用絆創膏として適している。
【0475】
比較例G1
この実施形態は例G1で述べたように行い、ただしIN FUSE9107の代わりにLD251を用いる。コーティングは感圧接着性ではなく硬質であり、油性の表面を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体及び接着剤とを含む接着テープであって、前記接着剤が、前記支持体の少なくとも片面にコーティングされており、0.86〜0.89g/cmの間の密度と少なくとも105℃の結晶融点を有するオレフィンポリマーおよび粘着樹脂を含む接着テープ。
【請求項2】
オレフィンポリマーの密度が、0.86〜0.88g/cmの間、好ましくは0.86〜0.87g/cmの間であり、かつ/またはオレフィンポリマーが、低くとも105℃、好ましくは低くとも115℃、特に好ましくは低くとも135℃の結晶融点を有することを特徴とする請求項1に記載の接着テープ。
【請求項3】
オレフィンポリマーが、8g/10分未満、好ましくは1.5g/10分未満のメルトインデックスを有し、かつ/または
50MPa未満、好ましくは26MPa未満、および特に好ましくは17MPa未満の曲げ弾性率を有することを特徴とする請求項1または2に記載の接着テープ。
【請求項4】
オレフィンポリマーが、エチレンまたはプロピレンと、C〜C10オレフィン、好ましくはC〜C10αオレフィンから選択された少なくとも1種のさらなるコモノマーとを含み、特に好ましくはエチレンおよびプロピレン、エチレンおよびブテン(1)、エチレンおよびオクテン(1)、プロピレンおよびブテン(1)からのコポリマー、またはエチレン、プロピレン、およびブテン(1)からのターポリマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項5】
オレフィンポリマーが、ポリプロピレンをベースとするブロックコポリマー、グラフトポリマー、または異相ポリマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項6】
接着剤が、好ましくは多分散度が2.1未満、好ましくは1.8未満、特に好ましくは1.6未満、とりわけ好ましくは1.0〜1.4の間の粘着樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項7】
粘着樹脂が、
− 好ましくは一部または完全に水素化されているロジンまたはロジン誘導体をベースとする樹脂、
− 好ましくは一部または完全に水素化されているC−モノマーをベースとする炭化水素樹脂、
− 芳香族類含有炭化水素樹脂の水素化による炭化水素樹脂、
− 水素化されたシクロペンタジエンポリマーをベースとする炭化水素樹脂、および/または、
− 好ましくは一部または完全に水素化されているポリテルペンをベースとする樹脂、および/または
− テルペンフェノール樹脂
からなる群から選択されており、接着剤中の粘着樹脂の量が、好ましくは130〜350phr、特に好ましくは200〜240phrであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項8】
接着剤が、鉱油、イソブテンホモポリマーおよび/またはイソブテンブテンコポリマーから成る液状重合体の群から選択された軟化剤を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項9】
接着剤が、エチレン、プロピレン、ブテン(1)、ヘキセン(1)、および/またはオクテン(1)からのコポリマーまたはターポリマーを含み、前記コポリマーまたはターポリマーの曲げ弾性率が好ましくは10MPa未満であり、かつ結晶融点が好ましくは50℃未満であり、あるいは好ましくはエチレン含有率が40〜70重量%および/または密度が0.88g/cm未満、特に好ましくは0.87g/cm未満のEPMまたはEPDMを含み、前記コポリマーまたはターポリマーの量が好ましくは100phr超であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項10】
接着剤が、
i.好ましくは少なくとも2phr、特に好ましくは少なくとも6phrの量で、かつ/または立体阻害されたフェノール性基を有する一次酸化防止剤、
ii.0〜5phr、好ましくは0.5〜1phrの量で、かつ/または硫黄化合物のクラスもしくは亜リン酸塩のクラスに由来する二次酸化防止剤、
iii.光保護剤、好ましくはHALS、および/または
iv.UV吸収剤
を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項11】
接着剤が、実質的に鉱油を含まないこと、特に、鉱油を含まない軟化剤の使用を特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項12】
接着剤が、10〜300g/m、好ましくは70〜160g/mで支持体上に適用されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項13】
ロール状の絆創膏もしくは個別の絆創膏、結腸瘻バッグもしくは電極を貼り付けるためのダイカット、作用物質絆創膏、創傷被覆材、または整形外科用包帯もしくは静脈用包帯、切開フィルムとしての、請求項1〜12のいずれか一つに記載の接着テープの使用。
【請求項14】
梱包用途、好ましくは特に型抜き部の領域内での紙箱の強化のため、開封帯として、運搬用ハンドルとして、パレット固定のため、物品の輸送保全材として、結束のため、および特に折り畳み式段ボール箱を閉じるための、請求項1〜12のいずれか一つに記載の接着テープの使用。
【請求項15】
接着剤が、溶剤なしで支持体上に適用されていることを特徴とする請求項14に記載の使用。
【請求項16】
オレフィンポリマーがエチレンポリマーであることを特徴とする請求項14または15に記載の使用。
【請求項17】
通気管またはワイヤまたはケーブルの結束、保護、ラベリング、絶縁、または密封のための、および好ましくは車両でのケーブルユニットを被覆するための巻き付けテープとしての、請求項1〜12のいずれか一つに記載の接着テープの使用。
【請求項18】
支持体が、
好ましくは少なくとも2phr、特に好ましくは少なくとも6phrの量の一次酸化防止剤、および/または
0〜5phr、好ましくは0.5〜1phrの量の二次酸化防止剤
を含むことを特徴とする請求項17に記載の使用。
【請求項19】
ケーブル結束テープとしての、請求項1〜12のいずれか一つに記載の接着テープの使用。
【請求項20】
接着剤が、溶剤なしで支持体上に適用されていることを特徴とする請求項19に記載の使用。
【請求項21】
オレフィンポリマーがエチレンポリマーであることを特徴とする請求項19または20に記載の使用。
【請求項22】
支持体がテキスタイル支持体であることを特徴とする請求項19〜21のいずれか一つに記載の使用。
【請求項23】
屋外使用のための、請求項1〜12のいずれか一つに記載の接着テープの使用であって、前記接着テープが、坪量15〜150g/mのテキスタイル支持体を有しており、この支持体が上面では、押出コーティング、分散体コーティング、またはフィルムラミネート加工によって施された追加層を備えており、下面では、0.86〜0.89g/cmの間の密度と低くとも105℃の結晶融点を有するエチレンポリマーおよび粘着樹脂を含む接着剤を備えている使用。
【請求項24】
粗面状および/または汚れた表面に貼り付けるための、好ましくは継目密封のための、モルタル塗装用テープとしての、請求項1〜12のいずれか一つに記載の接着テープの使用であって、前記接着テープが、支持体と接着剤を含み、前記接着剤が前記支持体の少なくとも片面に溶融状態でコーティングされており、0.86〜0.89g/cmの間の密度と低くとも105℃の結晶融点を有するエチレンポリマーおよび粘着樹脂を含む使用。
【請求項25】
防風材、水蒸気抑制材、および水蒸気遮断材のための片面または両面粘着性の組立用テープとしての請求項24に記載の使用。
【請求項26】
ロール状もしくは個別の絆創膏として、結腸瘻バッグもしくは電極を貼り付けるためのダイカットとして、作用物質絆創膏として、創傷被覆材として、整形外科用包帯もしくは静脈用包帯として、または切開フィルムとしての、請求項1〜12のいずれか一つに記載の接着テープの使用であって、前記接着テープが、支持体と接着剤を備え、前記接着剤が前記支持体の少なくとも片面にコーティングされており、0.86〜0.89g/cmの間の密度と低くとも105℃の結晶融点を有するオレフィンポリマーおよび粘着樹脂を含む使用。

【公表番号】特表2011−519989(P2011−519989A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506722(P2011−506722)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055275
【国際公開番号】WO2009/133175
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(509120403)テーザ・ソシエタス・ヨーロピア (118)
【Fターム(参考)】