接続ユニットおよび蓄電装置
【課題】 電気的に接続された複数の蓄電素子のうち、任意の蓄電素子を充放電時の電流経路から外すことができる接続ユニットを提供する。
【解決手段】 複数の蓄電素子(10)を電気的に接続するための接続ユニット(20)であって、第1通電ライン(41)と、第2通電ライン(41)と、導電部材(44)とを有する。第1通電ラインは、蓄電素子の正極端子(11)および負極端子(12)のうち、一方の端子と電気的に接続され、蓄電素子の充放電に用いられる。第2通電ラインは、正極端子および負極端子のうちの他方の端子と電気的に接続可能であり、蓄電素子の充放電に用いられる。導電部材は、正極端子および負極端子のうちの他方の端子と、第2通電ラインとを電気的に接続するために用いられる。また、導電部材は、軸部(44a)を中心として、他方の端子と接触する位置から一方の端子と接触する位置に回転可能である。
【解決手段】 複数の蓄電素子(10)を電気的に接続するための接続ユニット(20)であって、第1通電ライン(41)と、第2通電ライン(41)と、導電部材(44)とを有する。第1通電ラインは、蓄電素子の正極端子(11)および負極端子(12)のうち、一方の端子と電気的に接続され、蓄電素子の充放電に用いられる。第2通電ラインは、正極端子および負極端子のうちの他方の端子と電気的に接続可能であり、蓄電素子の充放電に用いられる。導電部材は、正極端子および負極端子のうちの他方の端子と、第2通電ラインとを電気的に接続するために用いられる。また、導電部材は、軸部(44a)を中心として、他方の端子と接触する位置から一方の端子と接触する位置に回転可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電素子が電気的に接続された構成において、任意の蓄電素子を電流経路から外すことができる蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の単電池を電気的に直列に接続して組電池を構成することがある。単電池として、いわゆる角型の単電池を用いる場合には、例えば、複数の単電池を一方向に並べておき、隣り合って配置された2つの単電池をバスバーによって電気的に直列に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−282799号公報
【特許文献2】特開平06−140022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
組電池では、単電池の劣化度合いにバラツキが生じることがあり、特定の単電池だけが他の単電池よりも劣化してしまうことがある。ここで、劣化の進行した単電池だけを交換すればよいが、単電池を交換するための作業が面倒となることがある。特に、複数の単電池が一対のエンドプレートによって挟まれている場合には、エンドプレートを外してから、単電池を交換する必要があり、単電池の交換作業が面倒となる。
【0005】
一方、劣化した単電池を含む組電池を交換することも考えられるが、この組電池には、劣化の進行していない単電池も含まれるため、この単電池を寿命まで使用できなくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の蓄電素子を電気的に接続するための接続ユニットであって、第1通電ラインと、第2通電ラインと、導電部材とを有する。第1通電ラインは、蓄電素子の正極端子および負極端子のうち、一方の端子と電気的に接続され、蓄電素子の充放電に用いられる。第2通電ラインは、正極端子および負極端子のうちの他方の端子と電気的に接続可能であり、蓄電素子の充放電に用いられる。導電部材は、正極端子および負極端子のうちの他方の端子と、第2通電ラインとを電気的に接続するために用いられる。また、導電部材は、軸部を中心として、他方の端子と接触する位置から一方の端子と接触する位置に回転可能である。
【0007】
正極端子および負極端子の間に、導電部材の軸部を配置することができる。また、導電部材には、他方の端子が貫通する開口部を設けることができる。ここで、導電部材の回転に応じて、開口部に一方の端子を進入させることができる。これにより、開口部を用いて、導電部材を正極端子や負極端子に接続することができる。
【0008】
第1通電ライン、第2通電ラインおよび導電部材を支持するケースを、絶縁材料で形成することができる。また、ケースを貫通した正極端子および負極端子と係合し、ケースを正極端子および負極端子に固定するための固定部材を用いることができる。
【0009】
導電部材を回転させるための動力を発生するモータと、モータの動力を導電部材に伝達して、導電部材を回転させる動力伝達機構とを設けることができる。これにより、モータの制御によって、導電部材を回転させることができる。
【0010】
複数の蓄電素子を一方向に並んで配置した場合には、複数の蓄電素子の配列方向において、複数の蓄電素子を挟んで拘束する拘束機構を設けることができる。拘束機構を用いた蓄電装置では、拘束機構による拘束力を、複数の蓄電素子に作用させたままの状態において、任意の蓄電素子を充放電時の電流経路から外すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、導電部材を他方の端子(正極端子又は負極端子)に接触させれば、蓄電素子の充放電を行うことができる。また、導電部材を回転させて一方の端子(負極端子又は正極端子)に接触させれば、充放電時の電流経路において、蓄電素子をバイパスすることができる。このように、導電部材を回転させるだけで、蓄電素子の充放電を許容したり、禁止したりすることができ、蓄電素子を蓄電装置から物理的に取り除く必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1である電池パックの一部の外観図である。
【図2】実施例1において、単電池および接続ユニットの外観図である。
【図3】実施例1における接続ユニットの一部の外観図である。
【図4】実施例1である電池パックの断面図である。
【図5】実施例1である電池パックの上面図である。
【図6】バイパス処理を行う前の電池パックと等価の回路構成を示す図である。
【図7】バイパス処理を行った後の電池パックと等価の回路構成を示す図である。
【図8】バスバーを回転させる駆動機構を示す概略図である。
【図9】実施例1である電池パックが搭載された車両におけるシステム構成を示す回路図である。
【図10】電池パックが搭載された車両において、単電池の劣化判定を示すフローチャートである。
【図11】実施例1の変形例において、単電池の劣化判定およびバイパス処理を示すフローチャートである。
【図12】電池パックが搭載された車両において、電池パックの充放電制御を示すフローチャートである。
【図13】実施例2である接続ユニットの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1である電池パック(蓄電装置に相当する)について、図1を用いて説明する。図1は、電池パックの一部の構成を示す外観図である。図1に示すX軸、Y軸およびZ軸は、互いに直交する軸であり、本実施例では、Z軸を鉛直方向に相当する軸としている。
【0015】
電池パック100は、X方向に並んで配置された複数の単電池(蓄電素子に相当する)10を有する。X方向で隣り合う2つの単電池10の間には、仕切り板101が配置されている。仕切り板101は、樹脂といった絶縁材料で形成することができる。仕切り板101は、この仕切り板101を挟む2つの単電池10のうち、一方の単電池10を保持するとともに、他方の単電池10と対向する面に突起部(不図示)を有する。なお、X方向における電池パック100の一端では、単電池10が、仕切り板101と、後述するエンドプレート102とによって挟まれている。
【0016】
仕切り板101の突起部が単電池10に接触することにより、単電池10および仕切り板101の間にスペースを形成することができる。このスペースは、単電池10の温度を調節するための熱交換媒体が移動するスペースとなる。熱交換媒体としては、空気などの気体や液体を用いることができる。液体を用いる場合には、例えば、密閉状態のケースに対して、電池パック100とともに、絶縁性を有する液体(例えば、フロリナート)を収容することができる。
【0017】
単電池10が充放電等によって発熱しているときには、上記スペースを利用して、冷却用の熱交換媒体を単電池10に接触させることにより、単電池10の温度上昇を抑制することができる。また、単電池10が過度に冷却されているときには、上記スペースを利用して、加温用の熱交換媒体を単電池10に接触させることにより、単電池10の温度低下を抑制することができる。
【0018】
X方向における電池パック100の両端には、一対のエンドプレート(拘束機構の一部)102が配置されている。エンドプレート102は、例えば、樹脂で形成することができる。一対のエンドプレート102には、X方向に延びる拘束バンド(拘束機構の一部)の両端が固定される。拘束バンドおよびエンドプレート102を用いて、単電池10に対して拘束力を与えることができる。拘束力は、X方向において単電池10を挟む力であり、単電池10の膨張を抑制することができる。
【0019】
単電池10は、電池ケースと、電池ケースに収容された発電要素とを有する。発電要素は、充放電を行うことができる要素であり、正極素子と、負極素子と、正極素子および負極素子の間に配置されるセパレータ(電解液を含む)とで構成することができる。正極素子は、集電板の表面に、正極活物質を含む層を形成したものである。負極素子は、集電板の表面に、負極活物質を含む層を形成したものである。
【0020】
単電池10としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることができる。本実施例では、複数の単電池10をX方向に並べているが、これに限るものではない。例えば、複数の単電池10を用いて1つの電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールをX方向に並べることもできる。
【0021】
単電池10の上面には、正極端子(電極端子ともいう)11および負極端子(電極端子ともいう)12が設けられている。正極端子11は、発電要素の正極素子と電気的に接続されており、負極端子12は、発電要素の負極素子と電気的に接続されている。複数の単電池10は、接続ユニットによって電気的に直列に接続される。
【0022】
次に、接続ユニットの構成について説明する。図1に示す電池パック100の上面には、図2に示す接続ユニット20が配置される。図2は、接続ユニット20の一部の外観を示している。接続ユニット20は、単電池10の正極端子11および負極端子12に対してナット(固定部材に相当する)30a,30bによって固定される。正極端子11および負極端子12の外周面には、ナット30a,30bと噛み合うネジ溝が形成されている。
【0023】
電池ケース13の上面には、安全弁14が設けられており、安全弁14は、電池ケース13の内部で発生したガスを電池ケース13の外部に放出させるために用いられる。安全弁14は、いわゆる破壊型又は復帰型の弁を用いることができる。破壊型の安全弁14は、閉じ状態から開き状態に不可逆的に変化する弁である。復帰型の安全弁14は、閉じ状態および開き状態の間で可逆的に変化する弁である。
【0024】
接続ユニット20は、安全弁14から離れた位置に配置される。ここで、図4に示すように、仕切り板101は、電池ケース13の上面よりも上方に突出しており、接続ユニット20は、仕切り板101の上端部に接触するようになっている。これにより、接続ユニット20および安全弁14の間には、スペースSが形成され、安全弁14から排出されるガスの移動経路を確保することができる。
【0025】
接続ユニット20は、樹脂などの絶縁材料で形成されたケース21を有している。ケース21の底面21aには、図3に示すように、配線41が固定されており、配線41は、ケース21の底面21aに沿って配置されている。ケース21の底面21aには、正極端子11および負極端子12を貫通させるための開口部21b,21cが形成されている。
【0026】
配線41の一端41aは、ケース21の底面21aを貫通した負極端子12と接触する。配線41の一端41aは、リング状に形成されており、負極端子12の外周に沿って配置されている。負極端子12には、ナット30aおよび座金31aが固定される。これにより、配線41の一端41aと負極端子12との間の電気的な接続を確保することができる。ここで、図3において、一端41aを有する配線41は、本発明の第1通電ラインに相当する。
【0027】
座金31aには、電圧検出線51aが取り付けられており、電圧検出線51aは、電圧検出回路52に接続されている。電圧検出回路52は、単電池10の電圧を検出し、検出電圧は、単電池10の充放電を制御するために用いられる。
【0028】
配線41は、X方向で隣り合う2つの単電池10を電気的に直列に接続するために用いられる。図3は、負極端子12に接続される配線41の一端41aだけを示しているが、この配線41の他端41bは、他の単電池10の正極端子11に対して、図3に示す構造と同じ構造によって接続されている。
【0029】
配線41の他端41bは、締結金具42と接続されている。締結金具42は、2つのボルト43a,43bによってケース21の底面21aに固定され、バスバー(導電部材)44の回転軸44aを押さえている。ボルト43aは、締結金具42および配線41の他端41bを接続するためにも用いられる。バスバー44は、締結金具42を介して、配線41と電気的に接続される。ここで、図3において、他端41bを有する配線41は、本発明の第2通電ラインに相当する。
【0030】
位置決め金具45は、バスバー44の回転軸44aを位置決めするために用いられ、ボルト43cによって、ケース21の底面21aに固定されている。締結金具42および位置決め金具45が、回転軸44aの両端を押さえることにより、バスバー44は、回転軸44aを中心として、矢印Dで示す方向に回転することができる。バスバー44は、開口部44cが形成されたプレート部44bを有する。
【0031】
開口部44cは、ケース21の開口部21bを貫通した正極端子11と接触する。すなわち、正極端子11は、ケース21の開口部21bを貫通するとともに、バスバー44の開口部44cを貫通する。この状態において、正極端子11には、ナット30bおよび座金31bが固定される。これにより、正極端子11は、バスバー44を介して、配線41と電気的に接続される。座金31bには、電圧検出線51bが取り付けられており、電圧検出線51bは、電圧検出回路52に接続されている。電圧検出回路52は、電圧検出線51a,51bを介して、単電池10の端子間電圧を検出することができる。
【0032】
図3に示す構造は、単電池10毎に設けられている。図5に示すように、すべてのバスバー44を、対応する正極端子11に接触させれば、X方向に並んで配置されたすべての単電池10を電気的に直列に接続することができる。
【0033】
なお、本実施例では、すべての単電池10を電気的に直列に接続しているが、これに限るものではない。電気的に並列に接続される複数の単電池10が含まれていてもよい。また、本実施例では、配線41の一端41aを負極端子12に接続し、バスバー44を正極端子11に接続しているが、これに限るものではない。具体的には、配線41の一端41aを正極端子11に接続し、バスバー44を負極端子12に接続することもできる。
【0034】
正極端子11からナット30bおよび座金31bを外すと、バスバー44を、回転軸44aの周りで回転させることができる。ここで、締結金具42や位置決め金具45による回転軸44aの押し付けを緩めれば、バスバー44を回転させ易くなる。バスバー44を図4の矢印D1の方向に回転させると、バスバー44を負極端子12に接続することができる。すなわち、負極端子12が、バスバー44の開口部44cを貫通することになる。
【0035】
バスバー44の開口部44cを貫通した負極端子12に対して、ナット30aおよび座金31aを取り付ければ、バスバー44を負極端子12に固定することができる。なお、ナット30bおよび座金31bは、バスバー44が外れた正極端子11に取り付けられる。本実施例では、バスバー44に開口部44cを形成しているが、これに限るものではない。すなわち、バスバー44を電極端子11,12に接続することができればよく、例えば、電極端子11,12の外周に沿った切り欠き部をバスバー44に形成することができる。
【0036】
バスバー44を負極端子12に接続すると、このバスバー44に対応した単電池10を、充放電の電流経路から外すことができる。本実施例では、この処理を、バイパス処理という。バイパス処理された単電池10については、電池パック100の充放電に用いられないことになる。これにより、任意の単電池10を電池パック100内に配置したままの状態において、この単電池10を電気的回路から取り除くことができる。
【0037】
一方、すべての電極端子11,12からナット30a,30bおよび座金31a,31bを取り外すと、すべての単電池10と接続ユニット20とを分離させることができる。ここで、すべてのバスバー44を負極端子12に接続しておけば、すべての単電池10の電気的な接続を遮断した状態において、接続ユニット20を取り外すことができる。これにより、使用済みの電池パック100を解体するときの安全性を向上させることができる。
【0038】
図4および図5に示すように、電池パック100の上面には、2つの拘束バンド61が配置されており、各拘束バンド61は、X方向に延びている。拘束バンド61の両端部61aは、ボルト63によって、エンドプレート102に固定される。2つの拘束バンド61は、Y方向において、接続ユニット20を挟む位置に配置されている。
【0039】
一方、電池パック100の底面には、2つの拘束バンド62が配置されており、各拘束バンド62は、X方向に延びている。拘束バンド62の両端部62aは、ボルトによって、エンドプレート102に固定される。拘束バンド61,62を配置する位置は、図4および図5に示す位置に限るものではない。拘束バンド61,62の両端を、一対のエンドプレート102に接続して、単電池10の拘束力を発生させることができればよい。
【0040】
図6および図7は、電池パック100の一部と等価の回路構成を示す図である。図6は、バスバー44が正極端子11に接続された状態を示しており、単電池10のバイパス処理を行っていないときの回路構成である。図6に示す状態では、すべての単電池10が電気的に直列に接続されており、すべての単電池10に対して充放電が行われる。図6に示す矢印は、充電時に電流が流れる方向を示している。電圧検出回路52は、各単電池10の電圧を検出することができる。
【0041】
各単電池10に対応したバスバー44を回転させて、負極端子12に接続すると、図7に示す回路構成となる。図7に示す状態では、単電池10のバイパス処理が行われており、単電池10には、充放電電流が流れないようになっている。電圧検出回路52によって検出される各単電池10の電圧は、ゼロ[V]となる。
【0042】
バスバー44は、モータを含む駆動機構によって、自動的に回転させることもできる。図8は、バスバー44を駆動する機構を示す概略図であり、この機構は、接続ユニット20に設けることができる。モータ71は、バスバー44を回転させるための駆動源となる。モータ71の出力軸には、ウォームギヤ(動力伝達機構の一部)72が取り付けられており、ウォームギヤ72は、モータ71からの動力を受けて矢印Mの方向に回転する。ウォームギヤ72は、ウォームホイール(動力伝達機構の一部)73と噛み合っており、ウォームホイール73は、バスバー44の回転軸44aに固定されている。ウォームホイール73がモータ71からの駆動力を受けて回転することにより、バスバー44が矢印Dの方向に回転する。
【0043】
モータ71の駆動を制御することにより、正極端子11と接触する位置から負極端子12に接触する位置にバスバー44を回転させることができる。ここで、ナット30a,30bや座金31a,31bを用いているときには、バスバー44を回転させる前に、ナット30a,30bや座金31a,31bを電極端子11,12から外しておく必要がある。一方、モータ71の保持トルクを用いてバスバー44を電極端子11,12に接触させておくこともできる。この場合には、ナット30a,30bや座金31a,31bを省略することができる。
【0044】
本実施例の電池パック100は、車両に搭載することができる。この車両としては、ハイブリッド自動車や電気自動車がある。ハイブリッド自動車は、車両を走行させるための動力源として、電池パック100の他に、燃料電池又はエンジンなどを備えた車両である。電気自動車は、車両の動力源として、電池パック100だけを用いた車両である。
【0045】
図9には、ハイブリッド自動車の回路構成を示している。電池パック100は、リレー201a,201bを介して昇圧回路202に接続されている。昇圧回路202は、電池パック100からの出力電圧を上昇させて、インバータ203に供給する。インバータ203は、昇圧回路202からの出力電力(直流電力)を交流電力に変換して、モータ(三相交流モータ)204に供給する。モータ204で発生した運動エネルギを車輪205に伝達することにより、車両を走行させることができる。
【0046】
車両を減速させたり、停止させたりするとき、モータ204は、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギ(交流電力)に変換して、インバータ203に供給する。インバータ203は、モータ204からの交流電力を直流電力に変換して、昇圧回路202に供給する。昇圧回路202は、インバータ203からの出力電圧を低下させて、電池パック100に供給する。
【0047】
エンジン206で生成された運動エネルギは、車輪205を駆動するために用いられる。また、モータ204は、エンジン206で生成された運動エネルギを電気エネルギに変換して、電池パック100に供給する。図9に示す構成において、昇圧回路202を省略することができる。また、交流モータ204を用いないのであれば、インバータ203を省略することができる。
【0048】
電圧検出回路52は、各単電池10の電圧を検出し、この検出結果を電池ECU(Electronic Control Unit)210に出力する。電流センサ208は、充放電時の電流値を検出し、この検出結果を電池ECU210に出力する。温度センサ209は、電池パック100の温度を検出し、この検出結果を電池ECU210に出力する。電池ECU210は、電圧検出回路52、電流センサ208および温度センサ209の出力に基づいて、単電池10の状態を判別する。単電池10の状態としては、例えば、充電状態(SOC;State Of Charge)や劣化状態がある。
【0049】
HV−ECU(Hybrid Vehicle Electronic Control Unit)211は、電池ECU210との間で通信を行い、電池パック100の充放電を制御する。また、HV-ECU211は、昇圧回路202、インバータ203およびエンジン206の動作を制御する。表示部212は、HV−ECU211からの制御信号を受けて、特定の情報を表示する。表示部212としては、例えば、車両に搭載されたナビゲーションシステムで用いられるディスプレイや、車両の走行速度等を表示するためのディスプレイを用いることができる。
【0050】
電池パック100の制御動作について、図10を用いて説明する。図10に示す処理は、HV−ECU211によって行われる。
【0051】
ステップS101において、HV−ECU211は、イグニッションスイッチがオンに切り替わったか否かを判別し、イグニッションスイッチがオンになれば、ステップS102の処理を行う。ステップS102において、HV−ECU211は、電池パック100の充放電を制御しながら、車両を走行させる。例えば、充放電時の電力が予め設定された閾値を超えないように、電池パック100の充放電制御を行うことができる。また、電池パック100の電圧が上限電圧および下限電圧の範囲内に収まるように、電池パック100の充放電制御を行うことができる。
【0052】
電池パック100の充放電を行っている間、電池ECU210は、電圧検出回路52や温度センサ209の出力に基づいて、単電池10の電圧や温度を監視する(S103)。ステップS104において、HV−ECU211は、電池ECU210の監視結果に基づいて、劣化状態の単電池10が存在するか否かを判別する。
【0053】
単電池10の劣化状態は、例えば、単電池10の電圧値や温度に基づいて判別することができる。具体的には、単電池10の電圧値が、充放電制御で用いられる下限電圧よりも低いときには、単電池10が劣化状態にあると判別することができる。また、単電池10の劣化値を算出し、劣化値が閾値に到達したときに、単電池10が劣化状態にあると判別することができる。劣化値は、単電池10の内部抵抗によって特定される値である。例えば、単電池10の抵抗値を劣化値として用いたり、初期状態の単電池10の抵抗値と、現在の単電池10の抵抗値との比率を劣化値として用いたりすることができる。ここで、電池パック100の温度に基づいて、劣化値を補正することができる。
【0054】
劣化状態の推定方法については、様々な提案がされており、これらの推定方法を本実施例でも適用することができる。本実施例では、バイパス処理の対象となる単電池10を特定することができればよい。そして、単電池10が劣化状態であるか否かの判別条件は、適宜設定することができる。
【0055】
ステップS105において、HV−ECU211は、劣化状態の単電池10に関する情報を表示部212に表示させる。表示部212に表示させる情報は、特定の単電池10が劣化状態にあることを示す情報であればよく、例えば、文字や記号等を用いることができる。また、劣化状態の単電池10に関する情報を、表示部211に表示させるだけではなく、他の手段を用いてユーザ等に知らせることができる。他の手段として、例えば、音声を用いることができる。
【0056】
劣化状態の単電池10に関する情報をユーザ等に知らせれば、劣化状態の単電池10に対応したバスバー44を操作することにより、単電池10のバイパス処理を行うことができる。
【0057】
ここで、図8を用いて説明したように、モータ71の駆動を制御することにより、バスバー44を回転させることができる構成では、図10に示す処理の代わりに、図11に示す処理を行うことができる。図11に示す処理は、HV−ECU211によって行われる。図10で説明した処理と同じ処理については、同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
【0058】
ステップS105において、劣化状態の単電池10に関する情報を表示部212に表示した後、ステップS106において、劣化状態の単電池10に対してバイパス処理を行うか否かを判別する。具体的には、HV−ECU211は、バイパス処理を行うか否かの選択情報を表示部212に表示させる。そして、ユーザは、バイパス処理を行うか否かの情報を入力することができる。例えば、表示部212をタッチパネルで構成して、バイパス処理を行うか否かの情報を入力することができる。HV−ECU211は、ユーザからの情報入力を受けて、バイパス処理を行うか否かを判別する。
【0059】
バイパス処理を行うときには、ステップS107に進み、バイパス処理を行わないときには、本処理を終了する。ステップS107において、HV−ECU211は、劣化状態の単電池10に対応したバスバー44を、動力源を用いて回転させる。動力源としては、例えば、モータ71を用いることができる。バスバー44を回転させることにより、劣化状態の単電池10を、充放電の電流経路から外すことができる。
【0060】
ステップS108において、HV−ECU211は、バイパス処理が正常に終了したか否かを判別する。具体的には、HV−ECU211は、電圧検出回路52の出力に基づいて、バイパス処理を行った単電池10の電圧を確認する。単電池10の電圧が0[V]であれば、HV−ECU211は、バイパス処理が正常に終了したと判別する。一方、単電池10の電圧が0[V]でなければ、HV−ECU211は、バイパス処理が正常に終了していないと判別する。
【0061】
バイパス処理が正常に終了しているときには、本処理を終了し、正常に終了していないときには、ステップS109に進む。ステップS109において、HV−ECU211は、バイパス処理にエラーが表示したことを表示部212に表示させる。これにより、バイパス処理にエラーが生じたことをユーザに知らせることができ、ユーザは、バイパス処理をチェックすることができる。ここで、作業者が目視することにより、バイパス処理をチェックすることができる。また、モータ71の駆動を制御することにより、バスバー44を元の位置に一旦戻した後に、バイパス処理を再び行うことにより、バイパス処理が正常に終了したか否かをチェックすることができる。
【0062】
次に、単電池10のバイパス処理を行った後の処理について、図12を用いて説明する。図12に示す処理は、HV−ECU211によって実行される。
【0063】
ステップS201において、HV−ECU211は、イグニッションスイッチがオンに切り替わったか否かを判別し、イグニッションスイッチがオンになれば、ステップS202の処理を行う。ステップS202において、HV−ECU211は、バイパス処理が行われた単電池10が存在するか否かを判別する。バイパス処理を行った単電池10については、電圧値が0[V]になるため、電圧値が0[V]となる単電池10が存在するか否かを判別すればよい。
【0064】
バイパス処理を行った単電池10がなければ、本処理を終了する。そして、図10で説明したように、電池パック100の充放電を制御しながら、車両を走行させることができる。一方、バイパス処理を行った単電池10があれば、ステップS203の処理に進む。ステップS203において、HV−ECU211は、バイパス処理が行われた単電池10の総数が、所定数よりも多いか否かを判別する。所定数は、図9に示すシステムで要求される出力に基づいて、予め設定された値であり、メモリに格納しておくことができる。バイパス処理が行われる単電池10の数が増えるほど、電池パック100の出力が低下するため、システムの要求出力との関係を考慮しながら、所定数を設定することができる。
【0065】
バイパス処理された単電池10の総数が所定数よりも多いときには、ステップS204において、HV−ECU211は、電池パック100を交換する必要があると判断する。このとき、HV−ECU211は、電池パック100を交換する必要があることを示す情報を、表示部212に表示させることができる。なお、電池パック100を交換する必要があることを示す情報は、音声等を用いてユーザ等に知らせることもできる。電池パック100を交換する必要があると判断したとき、HV−ECU211は、電池パック100の充放電を禁止する。
【0066】
バイパス処理された単電池10の総数が所定数よりも少ないとき、ステップS205において、HV−ECU211は、電池パック100の充放電で用いられる制御パラメータを変更する。制御パラメータとしては、例えば、単電池10の充放電制御で用いられる上限電圧/下限電圧や、単電池10の入出力の上限値がある。制御パラメータの変更例としては、バイパス処理された単電池10の数が増えるほど、上限電圧および下限電圧の範囲を狭くすることができる。例えば、バイパス処理された単電池10の数が増えるほど、上限電圧を小さくすることができる。一方、バイパス処理された単電池10の数が増えるほど、単電池10の入出力の上限値を小さくすることができる。
【0067】
バイパス処理された単電池10の総数と、制御パラメータとの対応関係を示すマップを予め用意しておけば、バイパス処理された単電池10の総数に応じて、制御パラメータを特定することができる。このマップは、メモリに格納しておくことができる。なお、バイパス処理された単電池10の総数に対応した制御パラメータを、演算によって求めることもできる。バイパス処理された単電池10の総数に応じて、制御パラメータを変更することにより、充放電に用いられる単電池10の数に適した充放電制御を行うことができる。
【実施例2】
【0068】
本発明の実施例2である電池パックについて、図13を用いて説明する。ここで、実施例1で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
【0069】
実施例1では、バスバー44の回転軸44aがX方向に延びているが、本実施例では、バスバー44の回転軸44aがZ方向に延びている。これにより、バスバー44のプレート部44bは、Z軸の周りで回転する。単電池10のバイパス処理を行わないときには、バスバー44のプレート部44bは、正極端子11の外周面に接触している。一方、単電池10のバイパス処理を行うときには、バスバー44を矢印D2の方向に回転させることにより、プレート部44bを負極端子12の外周面に接触させることができる。本実施例は、実施例1と比べて、バスバー44を回転させる方向を変更しただけであり、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0070】
100:電池パック(蓄電装置) 101:仕切り板
102:エンドプレート(拘束機構の一部) 10:単電池(蓄電素子)
11:正極端子 12:負極端子
13:電池ケース 14:安全弁
20:接続ユニット 21:ケース
21a:底面 30a,30b:ナット(固定部材)
31a,31b:座金
41:配線(第1通電ラインおよび第2通電ライン)
42:締結金具 43a〜43c:ボルト
44:バスバー(導電部材) 44a:回転軸
44b:プレート部 44c:開口部
45:位置決め金具
61,62:拘束バンド(拘束機構の一部)
71:モータ
72:ウォームギヤ(動力伝達機構の一部)
73:ウォームホイール(動力伝達機構の一部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電素子が電気的に接続された構成において、任意の蓄電素子を電流経路から外すことができる蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の単電池を電気的に直列に接続して組電池を構成することがある。単電池として、いわゆる角型の単電池を用いる場合には、例えば、複数の単電池を一方向に並べておき、隣り合って配置された2つの単電池をバスバーによって電気的に直列に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−282799号公報
【特許文献2】特開平06−140022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
組電池では、単電池の劣化度合いにバラツキが生じることがあり、特定の単電池だけが他の単電池よりも劣化してしまうことがある。ここで、劣化の進行した単電池だけを交換すればよいが、単電池を交換するための作業が面倒となることがある。特に、複数の単電池が一対のエンドプレートによって挟まれている場合には、エンドプレートを外してから、単電池を交換する必要があり、単電池の交換作業が面倒となる。
【0005】
一方、劣化した単電池を含む組電池を交換することも考えられるが、この組電池には、劣化の進行していない単電池も含まれるため、この単電池を寿命まで使用できなくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の蓄電素子を電気的に接続するための接続ユニットであって、第1通電ラインと、第2通電ラインと、導電部材とを有する。第1通電ラインは、蓄電素子の正極端子および負極端子のうち、一方の端子と電気的に接続され、蓄電素子の充放電に用いられる。第2通電ラインは、正極端子および負極端子のうちの他方の端子と電気的に接続可能であり、蓄電素子の充放電に用いられる。導電部材は、正極端子および負極端子のうちの他方の端子と、第2通電ラインとを電気的に接続するために用いられる。また、導電部材は、軸部を中心として、他方の端子と接触する位置から一方の端子と接触する位置に回転可能である。
【0007】
正極端子および負極端子の間に、導電部材の軸部を配置することができる。また、導電部材には、他方の端子が貫通する開口部を設けることができる。ここで、導電部材の回転に応じて、開口部に一方の端子を進入させることができる。これにより、開口部を用いて、導電部材を正極端子や負極端子に接続することができる。
【0008】
第1通電ライン、第2通電ラインおよび導電部材を支持するケースを、絶縁材料で形成することができる。また、ケースを貫通した正極端子および負極端子と係合し、ケースを正極端子および負極端子に固定するための固定部材を用いることができる。
【0009】
導電部材を回転させるための動力を発生するモータと、モータの動力を導電部材に伝達して、導電部材を回転させる動力伝達機構とを設けることができる。これにより、モータの制御によって、導電部材を回転させることができる。
【0010】
複数の蓄電素子を一方向に並んで配置した場合には、複数の蓄電素子の配列方向において、複数の蓄電素子を挟んで拘束する拘束機構を設けることができる。拘束機構を用いた蓄電装置では、拘束機構による拘束力を、複数の蓄電素子に作用させたままの状態において、任意の蓄電素子を充放電時の電流経路から外すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、導電部材を他方の端子(正極端子又は負極端子)に接触させれば、蓄電素子の充放電を行うことができる。また、導電部材を回転させて一方の端子(負極端子又は正極端子)に接触させれば、充放電時の電流経路において、蓄電素子をバイパスすることができる。このように、導電部材を回転させるだけで、蓄電素子の充放電を許容したり、禁止したりすることができ、蓄電素子を蓄電装置から物理的に取り除く必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1である電池パックの一部の外観図である。
【図2】実施例1において、単電池および接続ユニットの外観図である。
【図3】実施例1における接続ユニットの一部の外観図である。
【図4】実施例1である電池パックの断面図である。
【図5】実施例1である電池パックの上面図である。
【図6】バイパス処理を行う前の電池パックと等価の回路構成を示す図である。
【図7】バイパス処理を行った後の電池パックと等価の回路構成を示す図である。
【図8】バスバーを回転させる駆動機構を示す概略図である。
【図9】実施例1である電池パックが搭載された車両におけるシステム構成を示す回路図である。
【図10】電池パックが搭載された車両において、単電池の劣化判定を示すフローチャートである。
【図11】実施例1の変形例において、単電池の劣化判定およびバイパス処理を示すフローチャートである。
【図12】電池パックが搭載された車両において、電池パックの充放電制御を示すフローチャートである。
【図13】実施例2である接続ユニットの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1である電池パック(蓄電装置に相当する)について、図1を用いて説明する。図1は、電池パックの一部の構成を示す外観図である。図1に示すX軸、Y軸およびZ軸は、互いに直交する軸であり、本実施例では、Z軸を鉛直方向に相当する軸としている。
【0015】
電池パック100は、X方向に並んで配置された複数の単電池(蓄電素子に相当する)10を有する。X方向で隣り合う2つの単電池10の間には、仕切り板101が配置されている。仕切り板101は、樹脂といった絶縁材料で形成することができる。仕切り板101は、この仕切り板101を挟む2つの単電池10のうち、一方の単電池10を保持するとともに、他方の単電池10と対向する面に突起部(不図示)を有する。なお、X方向における電池パック100の一端では、単電池10が、仕切り板101と、後述するエンドプレート102とによって挟まれている。
【0016】
仕切り板101の突起部が単電池10に接触することにより、単電池10および仕切り板101の間にスペースを形成することができる。このスペースは、単電池10の温度を調節するための熱交換媒体が移動するスペースとなる。熱交換媒体としては、空気などの気体や液体を用いることができる。液体を用いる場合には、例えば、密閉状態のケースに対して、電池パック100とともに、絶縁性を有する液体(例えば、フロリナート)を収容することができる。
【0017】
単電池10が充放電等によって発熱しているときには、上記スペースを利用して、冷却用の熱交換媒体を単電池10に接触させることにより、単電池10の温度上昇を抑制することができる。また、単電池10が過度に冷却されているときには、上記スペースを利用して、加温用の熱交換媒体を単電池10に接触させることにより、単電池10の温度低下を抑制することができる。
【0018】
X方向における電池パック100の両端には、一対のエンドプレート(拘束機構の一部)102が配置されている。エンドプレート102は、例えば、樹脂で形成することができる。一対のエンドプレート102には、X方向に延びる拘束バンド(拘束機構の一部)の両端が固定される。拘束バンドおよびエンドプレート102を用いて、単電池10に対して拘束力を与えることができる。拘束力は、X方向において単電池10を挟む力であり、単電池10の膨張を抑制することができる。
【0019】
単電池10は、電池ケースと、電池ケースに収容された発電要素とを有する。発電要素は、充放電を行うことができる要素であり、正極素子と、負極素子と、正極素子および負極素子の間に配置されるセパレータ(電解液を含む)とで構成することができる。正極素子は、集電板の表面に、正極活物質を含む層を形成したものである。負極素子は、集電板の表面に、負極活物質を含む層を形成したものである。
【0020】
単電池10としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることができる。本実施例では、複数の単電池10をX方向に並べているが、これに限るものではない。例えば、複数の単電池10を用いて1つの電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールをX方向に並べることもできる。
【0021】
単電池10の上面には、正極端子(電極端子ともいう)11および負極端子(電極端子ともいう)12が設けられている。正極端子11は、発電要素の正極素子と電気的に接続されており、負極端子12は、発電要素の負極素子と電気的に接続されている。複数の単電池10は、接続ユニットによって電気的に直列に接続される。
【0022】
次に、接続ユニットの構成について説明する。図1に示す電池パック100の上面には、図2に示す接続ユニット20が配置される。図2は、接続ユニット20の一部の外観を示している。接続ユニット20は、単電池10の正極端子11および負極端子12に対してナット(固定部材に相当する)30a,30bによって固定される。正極端子11および負極端子12の外周面には、ナット30a,30bと噛み合うネジ溝が形成されている。
【0023】
電池ケース13の上面には、安全弁14が設けられており、安全弁14は、電池ケース13の内部で発生したガスを電池ケース13の外部に放出させるために用いられる。安全弁14は、いわゆる破壊型又は復帰型の弁を用いることができる。破壊型の安全弁14は、閉じ状態から開き状態に不可逆的に変化する弁である。復帰型の安全弁14は、閉じ状態および開き状態の間で可逆的に変化する弁である。
【0024】
接続ユニット20は、安全弁14から離れた位置に配置される。ここで、図4に示すように、仕切り板101は、電池ケース13の上面よりも上方に突出しており、接続ユニット20は、仕切り板101の上端部に接触するようになっている。これにより、接続ユニット20および安全弁14の間には、スペースSが形成され、安全弁14から排出されるガスの移動経路を確保することができる。
【0025】
接続ユニット20は、樹脂などの絶縁材料で形成されたケース21を有している。ケース21の底面21aには、図3に示すように、配線41が固定されており、配線41は、ケース21の底面21aに沿って配置されている。ケース21の底面21aには、正極端子11および負極端子12を貫通させるための開口部21b,21cが形成されている。
【0026】
配線41の一端41aは、ケース21の底面21aを貫通した負極端子12と接触する。配線41の一端41aは、リング状に形成されており、負極端子12の外周に沿って配置されている。負極端子12には、ナット30aおよび座金31aが固定される。これにより、配線41の一端41aと負極端子12との間の電気的な接続を確保することができる。ここで、図3において、一端41aを有する配線41は、本発明の第1通電ラインに相当する。
【0027】
座金31aには、電圧検出線51aが取り付けられており、電圧検出線51aは、電圧検出回路52に接続されている。電圧検出回路52は、単電池10の電圧を検出し、検出電圧は、単電池10の充放電を制御するために用いられる。
【0028】
配線41は、X方向で隣り合う2つの単電池10を電気的に直列に接続するために用いられる。図3は、負極端子12に接続される配線41の一端41aだけを示しているが、この配線41の他端41bは、他の単電池10の正極端子11に対して、図3に示す構造と同じ構造によって接続されている。
【0029】
配線41の他端41bは、締結金具42と接続されている。締結金具42は、2つのボルト43a,43bによってケース21の底面21aに固定され、バスバー(導電部材)44の回転軸44aを押さえている。ボルト43aは、締結金具42および配線41の他端41bを接続するためにも用いられる。バスバー44は、締結金具42を介して、配線41と電気的に接続される。ここで、図3において、他端41bを有する配線41は、本発明の第2通電ラインに相当する。
【0030】
位置決め金具45は、バスバー44の回転軸44aを位置決めするために用いられ、ボルト43cによって、ケース21の底面21aに固定されている。締結金具42および位置決め金具45が、回転軸44aの両端を押さえることにより、バスバー44は、回転軸44aを中心として、矢印Dで示す方向に回転することができる。バスバー44は、開口部44cが形成されたプレート部44bを有する。
【0031】
開口部44cは、ケース21の開口部21bを貫通した正極端子11と接触する。すなわち、正極端子11は、ケース21の開口部21bを貫通するとともに、バスバー44の開口部44cを貫通する。この状態において、正極端子11には、ナット30bおよび座金31bが固定される。これにより、正極端子11は、バスバー44を介して、配線41と電気的に接続される。座金31bには、電圧検出線51bが取り付けられており、電圧検出線51bは、電圧検出回路52に接続されている。電圧検出回路52は、電圧検出線51a,51bを介して、単電池10の端子間電圧を検出することができる。
【0032】
図3に示す構造は、単電池10毎に設けられている。図5に示すように、すべてのバスバー44を、対応する正極端子11に接触させれば、X方向に並んで配置されたすべての単電池10を電気的に直列に接続することができる。
【0033】
なお、本実施例では、すべての単電池10を電気的に直列に接続しているが、これに限るものではない。電気的に並列に接続される複数の単電池10が含まれていてもよい。また、本実施例では、配線41の一端41aを負極端子12に接続し、バスバー44を正極端子11に接続しているが、これに限るものではない。具体的には、配線41の一端41aを正極端子11に接続し、バスバー44を負極端子12に接続することもできる。
【0034】
正極端子11からナット30bおよび座金31bを外すと、バスバー44を、回転軸44aの周りで回転させることができる。ここで、締結金具42や位置決め金具45による回転軸44aの押し付けを緩めれば、バスバー44を回転させ易くなる。バスバー44を図4の矢印D1の方向に回転させると、バスバー44を負極端子12に接続することができる。すなわち、負極端子12が、バスバー44の開口部44cを貫通することになる。
【0035】
バスバー44の開口部44cを貫通した負極端子12に対して、ナット30aおよび座金31aを取り付ければ、バスバー44を負極端子12に固定することができる。なお、ナット30bおよび座金31bは、バスバー44が外れた正極端子11に取り付けられる。本実施例では、バスバー44に開口部44cを形成しているが、これに限るものではない。すなわち、バスバー44を電極端子11,12に接続することができればよく、例えば、電極端子11,12の外周に沿った切り欠き部をバスバー44に形成することができる。
【0036】
バスバー44を負極端子12に接続すると、このバスバー44に対応した単電池10を、充放電の電流経路から外すことができる。本実施例では、この処理を、バイパス処理という。バイパス処理された単電池10については、電池パック100の充放電に用いられないことになる。これにより、任意の単電池10を電池パック100内に配置したままの状態において、この単電池10を電気的回路から取り除くことができる。
【0037】
一方、すべての電極端子11,12からナット30a,30bおよび座金31a,31bを取り外すと、すべての単電池10と接続ユニット20とを分離させることができる。ここで、すべてのバスバー44を負極端子12に接続しておけば、すべての単電池10の電気的な接続を遮断した状態において、接続ユニット20を取り外すことができる。これにより、使用済みの電池パック100を解体するときの安全性を向上させることができる。
【0038】
図4および図5に示すように、電池パック100の上面には、2つの拘束バンド61が配置されており、各拘束バンド61は、X方向に延びている。拘束バンド61の両端部61aは、ボルト63によって、エンドプレート102に固定される。2つの拘束バンド61は、Y方向において、接続ユニット20を挟む位置に配置されている。
【0039】
一方、電池パック100の底面には、2つの拘束バンド62が配置されており、各拘束バンド62は、X方向に延びている。拘束バンド62の両端部62aは、ボルトによって、エンドプレート102に固定される。拘束バンド61,62を配置する位置は、図4および図5に示す位置に限るものではない。拘束バンド61,62の両端を、一対のエンドプレート102に接続して、単電池10の拘束力を発生させることができればよい。
【0040】
図6および図7は、電池パック100の一部と等価の回路構成を示す図である。図6は、バスバー44が正極端子11に接続された状態を示しており、単電池10のバイパス処理を行っていないときの回路構成である。図6に示す状態では、すべての単電池10が電気的に直列に接続されており、すべての単電池10に対して充放電が行われる。図6に示す矢印は、充電時に電流が流れる方向を示している。電圧検出回路52は、各単電池10の電圧を検出することができる。
【0041】
各単電池10に対応したバスバー44を回転させて、負極端子12に接続すると、図7に示す回路構成となる。図7に示す状態では、単電池10のバイパス処理が行われており、単電池10には、充放電電流が流れないようになっている。電圧検出回路52によって検出される各単電池10の電圧は、ゼロ[V]となる。
【0042】
バスバー44は、モータを含む駆動機構によって、自動的に回転させることもできる。図8は、バスバー44を駆動する機構を示す概略図であり、この機構は、接続ユニット20に設けることができる。モータ71は、バスバー44を回転させるための駆動源となる。モータ71の出力軸には、ウォームギヤ(動力伝達機構の一部)72が取り付けられており、ウォームギヤ72は、モータ71からの動力を受けて矢印Mの方向に回転する。ウォームギヤ72は、ウォームホイール(動力伝達機構の一部)73と噛み合っており、ウォームホイール73は、バスバー44の回転軸44aに固定されている。ウォームホイール73がモータ71からの駆動力を受けて回転することにより、バスバー44が矢印Dの方向に回転する。
【0043】
モータ71の駆動を制御することにより、正極端子11と接触する位置から負極端子12に接触する位置にバスバー44を回転させることができる。ここで、ナット30a,30bや座金31a,31bを用いているときには、バスバー44を回転させる前に、ナット30a,30bや座金31a,31bを電極端子11,12から外しておく必要がある。一方、モータ71の保持トルクを用いてバスバー44を電極端子11,12に接触させておくこともできる。この場合には、ナット30a,30bや座金31a,31bを省略することができる。
【0044】
本実施例の電池パック100は、車両に搭載することができる。この車両としては、ハイブリッド自動車や電気自動車がある。ハイブリッド自動車は、車両を走行させるための動力源として、電池パック100の他に、燃料電池又はエンジンなどを備えた車両である。電気自動車は、車両の動力源として、電池パック100だけを用いた車両である。
【0045】
図9には、ハイブリッド自動車の回路構成を示している。電池パック100は、リレー201a,201bを介して昇圧回路202に接続されている。昇圧回路202は、電池パック100からの出力電圧を上昇させて、インバータ203に供給する。インバータ203は、昇圧回路202からの出力電力(直流電力)を交流電力に変換して、モータ(三相交流モータ)204に供給する。モータ204で発生した運動エネルギを車輪205に伝達することにより、車両を走行させることができる。
【0046】
車両を減速させたり、停止させたりするとき、モータ204は、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギ(交流電力)に変換して、インバータ203に供給する。インバータ203は、モータ204からの交流電力を直流電力に変換して、昇圧回路202に供給する。昇圧回路202は、インバータ203からの出力電圧を低下させて、電池パック100に供給する。
【0047】
エンジン206で生成された運動エネルギは、車輪205を駆動するために用いられる。また、モータ204は、エンジン206で生成された運動エネルギを電気エネルギに変換して、電池パック100に供給する。図9に示す構成において、昇圧回路202を省略することができる。また、交流モータ204を用いないのであれば、インバータ203を省略することができる。
【0048】
電圧検出回路52は、各単電池10の電圧を検出し、この検出結果を電池ECU(Electronic Control Unit)210に出力する。電流センサ208は、充放電時の電流値を検出し、この検出結果を電池ECU210に出力する。温度センサ209は、電池パック100の温度を検出し、この検出結果を電池ECU210に出力する。電池ECU210は、電圧検出回路52、電流センサ208および温度センサ209の出力に基づいて、単電池10の状態を判別する。単電池10の状態としては、例えば、充電状態(SOC;State Of Charge)や劣化状態がある。
【0049】
HV−ECU(Hybrid Vehicle Electronic Control Unit)211は、電池ECU210との間で通信を行い、電池パック100の充放電を制御する。また、HV-ECU211は、昇圧回路202、インバータ203およびエンジン206の動作を制御する。表示部212は、HV−ECU211からの制御信号を受けて、特定の情報を表示する。表示部212としては、例えば、車両に搭載されたナビゲーションシステムで用いられるディスプレイや、車両の走行速度等を表示するためのディスプレイを用いることができる。
【0050】
電池パック100の制御動作について、図10を用いて説明する。図10に示す処理は、HV−ECU211によって行われる。
【0051】
ステップS101において、HV−ECU211は、イグニッションスイッチがオンに切り替わったか否かを判別し、イグニッションスイッチがオンになれば、ステップS102の処理を行う。ステップS102において、HV−ECU211は、電池パック100の充放電を制御しながら、車両を走行させる。例えば、充放電時の電力が予め設定された閾値を超えないように、電池パック100の充放電制御を行うことができる。また、電池パック100の電圧が上限電圧および下限電圧の範囲内に収まるように、電池パック100の充放電制御を行うことができる。
【0052】
電池パック100の充放電を行っている間、電池ECU210は、電圧検出回路52や温度センサ209の出力に基づいて、単電池10の電圧や温度を監視する(S103)。ステップS104において、HV−ECU211は、電池ECU210の監視結果に基づいて、劣化状態の単電池10が存在するか否かを判別する。
【0053】
単電池10の劣化状態は、例えば、単電池10の電圧値や温度に基づいて判別することができる。具体的には、単電池10の電圧値が、充放電制御で用いられる下限電圧よりも低いときには、単電池10が劣化状態にあると判別することができる。また、単電池10の劣化値を算出し、劣化値が閾値に到達したときに、単電池10が劣化状態にあると判別することができる。劣化値は、単電池10の内部抵抗によって特定される値である。例えば、単電池10の抵抗値を劣化値として用いたり、初期状態の単電池10の抵抗値と、現在の単電池10の抵抗値との比率を劣化値として用いたりすることができる。ここで、電池パック100の温度に基づいて、劣化値を補正することができる。
【0054】
劣化状態の推定方法については、様々な提案がされており、これらの推定方法を本実施例でも適用することができる。本実施例では、バイパス処理の対象となる単電池10を特定することができればよい。そして、単電池10が劣化状態であるか否かの判別条件は、適宜設定することができる。
【0055】
ステップS105において、HV−ECU211は、劣化状態の単電池10に関する情報を表示部212に表示させる。表示部212に表示させる情報は、特定の単電池10が劣化状態にあることを示す情報であればよく、例えば、文字や記号等を用いることができる。また、劣化状態の単電池10に関する情報を、表示部211に表示させるだけではなく、他の手段を用いてユーザ等に知らせることができる。他の手段として、例えば、音声を用いることができる。
【0056】
劣化状態の単電池10に関する情報をユーザ等に知らせれば、劣化状態の単電池10に対応したバスバー44を操作することにより、単電池10のバイパス処理を行うことができる。
【0057】
ここで、図8を用いて説明したように、モータ71の駆動を制御することにより、バスバー44を回転させることができる構成では、図10に示す処理の代わりに、図11に示す処理を行うことができる。図11に示す処理は、HV−ECU211によって行われる。図10で説明した処理と同じ処理については、同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
【0058】
ステップS105において、劣化状態の単電池10に関する情報を表示部212に表示した後、ステップS106において、劣化状態の単電池10に対してバイパス処理を行うか否かを判別する。具体的には、HV−ECU211は、バイパス処理を行うか否かの選択情報を表示部212に表示させる。そして、ユーザは、バイパス処理を行うか否かの情報を入力することができる。例えば、表示部212をタッチパネルで構成して、バイパス処理を行うか否かの情報を入力することができる。HV−ECU211は、ユーザからの情報入力を受けて、バイパス処理を行うか否かを判別する。
【0059】
バイパス処理を行うときには、ステップS107に進み、バイパス処理を行わないときには、本処理を終了する。ステップS107において、HV−ECU211は、劣化状態の単電池10に対応したバスバー44を、動力源を用いて回転させる。動力源としては、例えば、モータ71を用いることができる。バスバー44を回転させることにより、劣化状態の単電池10を、充放電の電流経路から外すことができる。
【0060】
ステップS108において、HV−ECU211は、バイパス処理が正常に終了したか否かを判別する。具体的には、HV−ECU211は、電圧検出回路52の出力に基づいて、バイパス処理を行った単電池10の電圧を確認する。単電池10の電圧が0[V]であれば、HV−ECU211は、バイパス処理が正常に終了したと判別する。一方、単電池10の電圧が0[V]でなければ、HV−ECU211は、バイパス処理が正常に終了していないと判別する。
【0061】
バイパス処理が正常に終了しているときには、本処理を終了し、正常に終了していないときには、ステップS109に進む。ステップS109において、HV−ECU211は、バイパス処理にエラーが表示したことを表示部212に表示させる。これにより、バイパス処理にエラーが生じたことをユーザに知らせることができ、ユーザは、バイパス処理をチェックすることができる。ここで、作業者が目視することにより、バイパス処理をチェックすることができる。また、モータ71の駆動を制御することにより、バスバー44を元の位置に一旦戻した後に、バイパス処理を再び行うことにより、バイパス処理が正常に終了したか否かをチェックすることができる。
【0062】
次に、単電池10のバイパス処理を行った後の処理について、図12を用いて説明する。図12に示す処理は、HV−ECU211によって実行される。
【0063】
ステップS201において、HV−ECU211は、イグニッションスイッチがオンに切り替わったか否かを判別し、イグニッションスイッチがオンになれば、ステップS202の処理を行う。ステップS202において、HV−ECU211は、バイパス処理が行われた単電池10が存在するか否かを判別する。バイパス処理を行った単電池10については、電圧値が0[V]になるため、電圧値が0[V]となる単電池10が存在するか否かを判別すればよい。
【0064】
バイパス処理を行った単電池10がなければ、本処理を終了する。そして、図10で説明したように、電池パック100の充放電を制御しながら、車両を走行させることができる。一方、バイパス処理を行った単電池10があれば、ステップS203の処理に進む。ステップS203において、HV−ECU211は、バイパス処理が行われた単電池10の総数が、所定数よりも多いか否かを判別する。所定数は、図9に示すシステムで要求される出力に基づいて、予め設定された値であり、メモリに格納しておくことができる。バイパス処理が行われる単電池10の数が増えるほど、電池パック100の出力が低下するため、システムの要求出力との関係を考慮しながら、所定数を設定することができる。
【0065】
バイパス処理された単電池10の総数が所定数よりも多いときには、ステップS204において、HV−ECU211は、電池パック100を交換する必要があると判断する。このとき、HV−ECU211は、電池パック100を交換する必要があることを示す情報を、表示部212に表示させることができる。なお、電池パック100を交換する必要があることを示す情報は、音声等を用いてユーザ等に知らせることもできる。電池パック100を交換する必要があると判断したとき、HV−ECU211は、電池パック100の充放電を禁止する。
【0066】
バイパス処理された単電池10の総数が所定数よりも少ないとき、ステップS205において、HV−ECU211は、電池パック100の充放電で用いられる制御パラメータを変更する。制御パラメータとしては、例えば、単電池10の充放電制御で用いられる上限電圧/下限電圧や、単電池10の入出力の上限値がある。制御パラメータの変更例としては、バイパス処理された単電池10の数が増えるほど、上限電圧および下限電圧の範囲を狭くすることができる。例えば、バイパス処理された単電池10の数が増えるほど、上限電圧を小さくすることができる。一方、バイパス処理された単電池10の数が増えるほど、単電池10の入出力の上限値を小さくすることができる。
【0067】
バイパス処理された単電池10の総数と、制御パラメータとの対応関係を示すマップを予め用意しておけば、バイパス処理された単電池10の総数に応じて、制御パラメータを特定することができる。このマップは、メモリに格納しておくことができる。なお、バイパス処理された単電池10の総数に対応した制御パラメータを、演算によって求めることもできる。バイパス処理された単電池10の総数に応じて、制御パラメータを変更することにより、充放電に用いられる単電池10の数に適した充放電制御を行うことができる。
【実施例2】
【0068】
本発明の実施例2である電池パックについて、図13を用いて説明する。ここで、実施例1で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
【0069】
実施例1では、バスバー44の回転軸44aがX方向に延びているが、本実施例では、バスバー44の回転軸44aがZ方向に延びている。これにより、バスバー44のプレート部44bは、Z軸の周りで回転する。単電池10のバイパス処理を行わないときには、バスバー44のプレート部44bは、正極端子11の外周面に接触している。一方、単電池10のバイパス処理を行うときには、バスバー44を矢印D2の方向に回転させることにより、プレート部44bを負極端子12の外周面に接触させることができる。本実施例は、実施例1と比べて、バスバー44を回転させる方向を変更しただけであり、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0070】
100:電池パック(蓄電装置) 101:仕切り板
102:エンドプレート(拘束機構の一部) 10:単電池(蓄電素子)
11:正極端子 12:負極端子
13:電池ケース 14:安全弁
20:接続ユニット 21:ケース
21a:底面 30a,30b:ナット(固定部材)
31a,31b:座金
41:配線(第1通電ラインおよび第2通電ライン)
42:締結金具 43a〜43c:ボルト
44:バスバー(導電部材) 44a:回転軸
44b:プレート部 44c:開口部
45:位置決め金具
61,62:拘束バンド(拘束機構の一部)
71:モータ
72:ウォームギヤ(動力伝達機構の一部)
73:ウォームホイール(動力伝達機構の一部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電素子を電気的に接続するための接続ユニットであって、
前記蓄電素子の正極端子および負極端子のうち、一方の端子と電気的に接続され、前記蓄電素子の充放電に用いられる第1通電ラインと、
前記正極端子および前記負極端子のうちの他方の端子と電気的に接続可能であり、前記蓄電素子の充放電に用いられる第2通電ラインと、
前記他方の端子と、前記第2通電ラインとを電気的に接続するための導電部材と、を有し、
前記導電部材は、軸部を中心として、前記他方の端子と接触する位置から前記一方の端子と接触する位置に回転可能であることを特徴とする接続ユニット。
【請求項2】
前記軸部は、前記正極端子および前記負極端子の間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項3】
前記導電部材は、前記他方の端子が貫通する開口部を有しており、前記導電部材の回転に応じて、前記開口部に前記一方の端子が進入することを特徴とする請求項1又は2に記載の接続ユニット。
【請求項4】
前記第1通電ライン、前記第2通電ラインおよび前記導電部材を支持し、絶縁材料で形成されたケースを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の接続ユニット。
【請求項5】
前記ケースを貫通した前記正極端子および前記負極端子と係合し、前記ケースを前記正極端子および前記負極端子に固定するための固定部材を有することを特徴とする請求項4に記載の接続ユニット。
【請求項6】
前記導電部材を回転させるための動力を発生するモータと、
前記モータの動力を前記導電部材に伝達して、前記導電部材を回転させる動力伝達機構と、
を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の接続ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の接続ユニットと、
前記接続ユニットによって電気的に接続される複数の蓄電素子と、
を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項8】
前記複数の蓄電素子は、一方向に並んで配置されており、
前記複数の蓄電素子の配列方向において、前記複数の蓄電素子を挟んで拘束する拘束機構を有することを特徴とする請求項7に記載の蓄電装置。
【請求項1】
複数の蓄電素子を電気的に接続するための接続ユニットであって、
前記蓄電素子の正極端子および負極端子のうち、一方の端子と電気的に接続され、前記蓄電素子の充放電に用いられる第1通電ラインと、
前記正極端子および前記負極端子のうちの他方の端子と電気的に接続可能であり、前記蓄電素子の充放電に用いられる第2通電ラインと、
前記他方の端子と、前記第2通電ラインとを電気的に接続するための導電部材と、を有し、
前記導電部材は、軸部を中心として、前記他方の端子と接触する位置から前記一方の端子と接触する位置に回転可能であることを特徴とする接続ユニット。
【請求項2】
前記軸部は、前記正極端子および前記負極端子の間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項3】
前記導電部材は、前記他方の端子が貫通する開口部を有しており、前記導電部材の回転に応じて、前記開口部に前記一方の端子が進入することを特徴とする請求項1又は2に記載の接続ユニット。
【請求項4】
前記第1通電ライン、前記第2通電ラインおよび前記導電部材を支持し、絶縁材料で形成されたケースを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の接続ユニット。
【請求項5】
前記ケースを貫通した前記正極端子および前記負極端子と係合し、前記ケースを前記正極端子および前記負極端子に固定するための固定部材を有することを特徴とする請求項4に記載の接続ユニット。
【請求項6】
前記導電部材を回転させるための動力を発生するモータと、
前記モータの動力を前記導電部材に伝達して、前記導電部材を回転させる動力伝達機構と、
を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の接続ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の接続ユニットと、
前記接続ユニットによって電気的に接続される複数の蓄電素子と、
を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項8】
前記複数の蓄電素子は、一方向に並んで配置されており、
前記複数の蓄電素子の配列方向において、前記複数の蓄電素子を挟んで拘束する拘束機構を有することを特徴とする請求項7に記載の蓄電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−69406(P2012−69406A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213820(P2010−213820)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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