説明

搬送体分岐装置

【課題】隣接する搬送体に載置された農産物同士を互いに干渉させることなく、所定の向きに保ったまま搬送することができる搬送体分岐装置を提供する。
【解決手段】搬送コンベヤ2が所定の向きに保って搬送するトレーBに載置された長物農産物Aの所定項目を計測領域bの計測装置4で計測し、その計測情報に基づいて、判定装置5で確定した農産物Aの仕分け先情報をトレーBの固有情報と関連付けて記憶する。その仕分け先情報に基づいて、農産物Aが載置されたトレーBを、選別領域cの搬出装置6により所定の向きに保ったまま分岐コンベヤ7aに搬出し、所定の向きに保ったまま搬送する。分岐コンベヤ7aから連絡コンベヤ7cに搬送されたトレーBから農産物Aを取り出して箱詰めした後、空のトレーBを連絡コンベヤ7cから帰還コンベヤ7bに搬出し、所定の向きに保ったまま搬送して、トレーBが載置されていた搬送コンベヤ2の周回経路上の場所に搬入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば胡瓜、茄子、人参などの農産物等の物品を搬送する作業に用いられる搬送体分岐装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のような長物の農産物が載置されたトレーを循環搬送する選別装置で選別したことはなく、主流は、バケット式の選別装置で選別するが、排出時において、落差と転がり等が与えられるため、農産物が損傷する恐れがあった。また、特許文献1の物品載置体のような長丸兼用トレーもあるが、所定の向きで搬送するものであり、トレー側部に突出するような長さの農産物を載置した場合、隣接するトレーに載置された長尺の農産物同士が互いに干渉しあい、選別するための分岐が行えない。また、普通の選別装置のように、長尺の農産物が載置されたトレーを直交方向に分岐させると、隣接する農産物同士が互いに干渉して落下したり、農産物の載置位置がズレたりする。
【0003】
【特許文献1】特開2001−139131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は上記問題に鑑み、隣接する搬送体に載置された長物の農産物同士を互いに干渉させることなく、選別することができる搬送体分岐装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した発明の搬送体分岐装置は、物品を載置可能な搬送体と、載置される複数の搬送体を所定の向きに保って搬送する搬送コンベヤと、搬送コンベヤから搬送体を搬出する搬出手段と、搬送コンベヤから搬出された搬送体を搬送する分岐コンベヤと、を備えた搬送体分岐装置において、上記搬送体は、その幅方向において突出する長さの物品を載置可能であるとともに、その前面に幅方向に対する傾斜面を有し、上記分岐コンベヤは、搬送体の上記傾斜面にほぼ平行な方向で搬送コンベヤに接続されるとともに、上記傾斜面に係合して搬送体の搬送を案内するガイド手段を備え、搬出手段によって搬送コンベヤから分岐コンベヤへ搬送体を搬出する際に、隣接する搬送体に載置される物品同士が干渉しないように搬送コンベヤ上での搬送体の向きを保ったまま搬出することを特徴とする。
【0006】
この発明によると、物品の一例である長物を、搬送コンベヤが搬送する搬送体に対して幅方向に突出する状態に載置するとともに、搬送体を所定の向きに保ったまま搬送コンベヤで搬送する。長物が載置された搬送体を搬出手段によって搬送コンベヤから分岐コンベヤへ搬出する際に、分岐コンベヤのガイド手段を搬送体の傾斜面に係合して、隣接する搬送体に載置される長物同士が干渉しないように、搬送コンベヤ上での搬送体の向きを保ったまま搬送コンベヤから分岐コンベヤへ分岐して搬送する。
【0007】
上述の物品は、例えば胡瓜、茄子、人参などの長物、或いは、果実(林檎、梨、桃、トマト、柿等)、柑橘類などの丸物等で構成することができる。また、搬送体は、例えばトレー、パン、皿等の農産物が載置されるようなもので構成することができる。また、搬送コンベヤ、分岐コンベヤ、帰還コンベヤは、例えばベルトコンベヤ、ローラコンベヤ、スラストコンベヤ等で構成することができる。
【0008】
また、搬出手段は、例えば搬出装置及びトレー底面に形成した係合溝と、その係合溝に係合される係合ピンと、係合ピンを係合溝に対して係合される方向に移動するエアーシリンダ、ソレノイド、モータ等の駆動手段とで構成することができる。また、板状、棒状のプッシャと、そのプッシャを搬送体が搬出される方向に対して水平回動又は水平移動する駆動手段で構成することもできる。また、搬送体が搬出又は搬入される方向に常時回転するか、搬出時又は搬入時のみ回転するローラで構成することもできる。また、ガイド手段は、例えば搬送体の傾斜面に係合される板状、レール状等のガイド部材で構成することができる。
【0009】
請求項2に記載した発明の搬送体分岐装置は、上記請求項1に記載の構成と併せて、上記分岐コンベヤに搬出された搬送体を再び搬送コンベヤに戻す帰還コンベヤを該分岐コンベヤに接続し、帰還コンベヤは搬送体を搬送コンベヤ上を搬送される搬送体と同じ向きに保ったまま搬送コンベヤへ搬入することを特徴とする。
【0010】
この発明によると、分岐コンベヤに搬出された搬送体を、帰還コンベヤによって搬送コンベヤ上を搬送される搬送体と同じ向きに保ったまま搬送コンベヤに戻すので、搬送体上での物品が載置される方向を、同一方向に整列して搬送することができる。
【0011】
請求項3に記載した発明の搬送体分岐装置は、上記請求項1又は2に記載の構成と併せて、上記搬出手段は、上記搬送体の底面に、前方が分岐コンベヤ側で後方が反分岐コンベヤ側となる係合溝と、上記搬送コンベヤと分岐コンベヤとの間に搬送体の載置面から上方に突出可能な係合ピンとを有し、上記係合ピンを、上記搬送体の溝に係合させることにより搬送コンベヤから搬送体を分岐コンベヤに搬出するようにしたことを特徴とする。
【0012】
この発明によると、搬出手段を構成する係合ピンを、搬送コンベヤと分岐コンベヤとの間の搬送体の載置面上に突出して、搬送体底面に形成した係合溝の前方側に係合するとともに、搬送コンベヤの搬送力を利用して、係合ピンに対する係合溝の当接位置を前方側から後方側に移動させ、搬送体を、搬送コンベヤ上を搬送される搬送体と同じ向きに保ったまま幅方向に水平移動させ、搬送コンベヤから分岐コンベヤに向けて搬出する。
【0013】
請求項4に記載した発明の搬送体分岐装置は、上記請求項1乃至3のいずれか一つに記載の構成と併せて、上記物品は農産物であり、上記搬送体は長物農産物と丸物農産物の両方を載置可能であることを特徴とする。この発明によると、例えば胡瓜、茄子、人参等の長尺農産物と、果実(林檎、梨、桃、トマト、柿等)、柑橘類等の丸物農産物を搬送する作業に兼用することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、農産物が載置された搬送体を、所定の向きに保ったまま搬送コンベヤから分岐コンベヤに搬出するので、搬送体に載置される農産物が長物農産物であっても、隣接する搬送体に載置された農産物同士が互いに干渉することをなくし、搬送体から農産物が落下することがなく、農産物の損傷を防ぐことができる。また、同一の周回経路を、長物及び丸物の農産物を選別する作業に共有することができるので、長物用選別装置と丸物用選別装置を設置及び製作する必要がなく、装置全体の製作費が安価となり、コストの低減を図ることができる。且つ、装置全体の設置スペースが狭くて済み、レイアウトが容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明は、隣接する搬送体に載置された農産物同士を互いに干渉させることなく、搬送コンベヤから分岐コンベヤへ農産物を載置した搬送体を分岐するという目的を、搬送体を搬出手段により所定の向きに保ったまま搬送コンベヤから分岐コンベヤに搬出するとともに、ガイド手段を搬送体の傾斜面に係合して所定の向きに保つことで達成した。
【実施例】
【0016】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は、本発明である搬送体分岐装置を、搬送体の一例であるトレーに載置された長物又は丸物の農産物を選別する農産物選別装置に適用したもので、図1及び図2に於いて、この農産物選別装置1は、長物又は丸物の農産物Aが載置されるフリーのトレーBを搬送コンベヤ2によって形成される周回経路上に多数配列して、ループ状の周回経路上に区分された供給領域aと、計測領域bと、選別情報(等級、階級等の情報)に応じて周回経路上に区分された複数の各選別領域c…とに周回搬送する。なお、最下流側に設定した最終の選別領域cは、格外品を選別する選別領域に設定している。
【0017】
また、トレーBを所定の載置位置に規制し、該トレーBの後側端面に対して後方から当接される押し部材2aを搬送コンベヤ2の載置面上に設けるとともに、搬送コンベヤ2の全長に対してトレーBが個々に載置される前後間隔に隔てて多数配列している。
【0018】
また、搬送コンベヤ2の周回経路両側部に配置した各ガイド部材2b,2bは、トレーBの底部Bb両側端面と当接する高さ位置に設けられ、各選別領域c…の各分岐コンベヤ7a…と対応する部分を除いて周回経路全長に架設している。
【0019】
上記トレーBは、図6乃至図9にも示すように、長物及び丸物の農産物Aを選別する作業に共有される兼用タイプであり、その上部が農産物Aの載置部Beとなっており、長尺の農産物AがトレーBの幅方向に対して左右に突出される水平姿勢に載置可能であるとともに、底部Bbと載置部Beとの間に中間部Baが設けられ、この中間部Baの前面に幅方向に対する傾斜面Bdを形成している。
【0020】
また、トレーBの底部Bbは下方から見て略正方形に形成され、底部Bbの一側端面又は両側端面を上記各ガイド部材2b,2bに当接することにより、トレーBを、長物の農産物Aが搬送コンベヤ2の周回経路と直交して幅方向に載置したまま搬送されるように規制する。
【0021】
また、底部Bbの底面側に形成した係合溝Bcは、図10にも示すように、後述する排出装置6の係合ピン6aが係合許容される深さ及び搬送コンベヤ2から分岐コンベヤ7aに乗り移りが許容される長さに形成され、底部Bbの一辺部を前部(搬送方向と対応する方向)とした場合、底部Bbの前方右側角隅部から後方左側角隅部に向けて対角線方向に形成され、係合溝Bcの前方側端部が後述する分岐コンベヤ7a側に位置し、係合溝Bcの後方側端部が反分岐コンベヤ7a側に位置するように形成している。
【0022】
また、トレーBの中間部Baは、上方から見て水平方向の断面が六角形となるように形成され、中間部Baの傾斜面Bdを、後述するガイド部材7A,7Bに対して当接される高さ位置に形成するとともに、搬送方向と対応する傾斜面Bd前面に、120度の内角で接続される斜面Bd1,Bd2を形成し、中間部Ba後面に、同角度の内角で接続される斜面Bd3,Bd4を形成している。つまり、傾斜面Bdの斜面Bd2とBd3、斜面Bd1とBd4がそれぞれ平行に形成され、トレーBが分岐コンベヤ7a上を搬送される際には、分岐コンベヤ7aに沿って平行に設けられたガイド部材7A,7Aに傾斜面Bdの斜面Bd2,Bd3が当接することにより、トレーBが選別領域cにおける搬送コンベヤ2上での向きに規制され、トレーBが帰還コンベヤ7b上を搬送される際には、帰還コンベヤ7bのガイド部材7B,7Bに傾斜面Bdの斜面Bd1とBd4又は斜面Bd2とBd3が当接することにより、トレーBが選別領域cにおける搬送コンベヤ2上での向きに規制される。
【0023】
また、トレーBの中央上部に設けた載置部Beは、例えば合成ゴム等の柔軟性を有する弾性体により上方から見て略円形状に形成され、中央部に形成した孔部Bfを中心として、複数の切込み部Bg…を放射状に所定角度に隔てて形成し、様々な大きさ及び形状を有する丸物の農産物Aが安定した姿勢に載置される状態に変形可能に設けている。
【0024】
また、載置部Beの両側部に設けた左右一対の各受け部Bh,Bhは、側方から見て滑らかな凹面形状(例えば弧状、U字状等)又は曲面形状に形成され、農産物Aが載置部Beよりも上方に載置される高さに設けている。つまり、トレーBの底部Bb両側端面を上記各ガイド部材2b,2bに当接することにより、トレーBが、トレーBの各受け部Bh,Bhと搬送コンベヤ2の両側部とが対応する向きに規制される。
【0025】
なお、受け部Bhの受け面は、例えば合成ゴム等の柔軟性を有する弾性体で被覆又は形成しているが、受け部Bh自体を、農産物Aを支持するのに必要な復元力を有する弾性体で形成してもよい。また、トレーBを所定の向きに保つことが可能であれば、底部Bbを、中間部Baと同じ六角形や、それ以外の形状に形成してもよい。
【0026】
前記供給領域aに配置した作業者Dは、図2にも示すように、搬送コンベヤ2の供給領域a側部に併設した荷受コンベヤ3が搬送する各農産物A…を手で1個ずつ取り上げるとともに、農産物Aの外部項目(例えば大きさ、色合、形状、重量、糖度、軟化度、水化度、キズの有無等)を作業者Dの目で見て、個人的な判定基準に基づいて個々に判定する。
【0027】
且つ、供給領域aの周回経路上に区分された等階級別の各手乗せ領域に各トレーB…が搬送されたとき、作業者Dによる個人的な判定に基づいて、各手乗せ領域と対応する等階級の農産物Aを作業者Dの手で1個ずつ積載するとともに、長物の農産物Aの両端部がトレーBの両側縁部よりも外側に突出され、トレーBの幅方向に対して左右略均等に突出される状態に載置する。また、搬送コンベヤ2上に設定した幅方向の複数の載置位置に、農産物Aが載置されたトレーBの載置位置を幅方向にずらせて等階級別に載置してもよい。この場合、計測領域bの手前側に、トレーBを1列に整列するための整列手段を設ける。
【0028】
且つ、各手乗せ領域の各トレーB…に各農産物A…が載置されたとき、その載置と対応して、各手乗せ領域毎に設定された各選別情報を、各手乗せ領域に搬送された各トレーB…の固有情報と対応させて判定装置5に記憶する。
【0029】
また、荷受コンベヤ3が搬送する容器に収容された複数の各農産物A…を作業者Eの手で取出すか、例えば吸着パッド、アーム等の移載手段で保持する等して、搬送コンベヤ2が搬送する各トレーB…に移載してもよい。
【0030】
前記計測領域bに配置した計測装置4は、例えば上部周面、下部周面、側部周面等の農産物A外面を撮影カメラで撮影した外部計測情報と、農産物A内部を透過した透過光を撮影カメラで撮影した内部計測情報と、農産物Aを含むトレーB全体の重量をロードセルで計測して算出した農産物A自体の重量計測情報とを、各トレーB…の固有情報と対応させて判定装置5に記憶する。
【0031】
前記判定装置5は、供給領域aの作業者Dによる人為的選別情報と、計測領域bの計測装置4による電気的計測情報とに基づいて、農産物Aを格付けするのに必要な項目(例えば色相、損傷、大きさ、形状、高さ、幅、体積、偏平度、糖度、酸度、水分量、成熟度、腐り具合、空洞、格外等)を個々に判定し、各トレーB…に載置された各農産物A…の仕分け先を確定するとともに、各農産物A…の格付け及び仕分け先の情報を、各トレーB…の固有情報と関連付けて記憶する。
【0032】
また、判定装置5により判定された選別情報を、トレーB自体に付設された記録媒体に記録するか、トレーBと対応して移動する搬送コンベヤ2のトレー載置部に設定された番地情報と対応させて記憶するか、トレー載置部に付設された記録媒体に記録する等してもよい。
【0033】
且つ、供給領域aに搬送される各トレーB…の固有情報を読取るとき、各トレーB…の固有情報と対応して判定装置5に記憶された各種情報を消去するか、新しい情報を上書きする等して、初期状態にリセットする。
【0034】
一方、各選別領域c…において、トレーBの固有情報を、例えば非接触型通信装置等の読取り手段で読取るとともに、そのトレーBの固有情報と対応して記憶された農産物Aの格付け及び仕分け先の情報と、各選別領域c…毎に設定された等階級別の各選別情報とを判定装置5で比較して、同一の選別情報であるか否かを判定する。
【0035】
前記各選別領域c…上流側端部の周回経路下部に配置した搬出装置6は、図3、図5にも示すように、搬送コンベヤ2の周回経路右側部に配置した回帰経路を構成する分岐コンベヤ7aと対応して設けられ、搬送コンベヤ2と分岐コンベヤ7aとの間のトレーBが載置された載置面上に突出するとともに、トレーB底面の係合溝Bcに対して係合される係合ピン6aを、経路下部に配置した出没用シリンダ6bの昇降動作により、搬送コンベヤ2が搬送するトレーBの係合溝Bcに対して係合される上昇位置と、トレーBの係合溝Bcに対して係合が回避される降下位置とに上下動する。
【0036】
つまり、上記判定装置5によりトレーBに載置された農産物Aの選別情報と、選別領域cに設定された選別情報とが異なると判定された場合、搬出装置6を駆動せず、係合ピン6aを、搬送コンベヤ2が搬送するトレーBの係合溝Bcに対して係合が回避される降下位置に待機させる。
【0037】
一方、トレーBに載置された農産物Aの選別情報と、選別領域cの選別情報とが一致すると判定された場合、出没用シリンダ6bを上昇動作して、係合ピン6aを、トレーBの係合溝Bcに対して係合される上昇位置に移動させ、搬送コンベヤ2が搬送するトレーBの前方側係合溝Bcに係合する。トレーBは、搬送コンベヤ2の搬送力により搬送方向に直進しようとするが、係合ピン6aに対する係合溝Bcの当接位置が前方側端部から後方側端部に向けて斜め方向に移動するため、図5の(a)、(b)、(c)に示すように、トレーBは搬送コンベヤ2上での搬送時の向きに保ったまま幅方向に水平移動し、搬送コンベヤ2から分岐コンベヤ7aに向けて搬出される。
【0038】
また、トレーBが分岐コンベヤ7aに乗り移るとき、中間部Baの幅方向に対する一つの傾斜面Bdの斜面Bd2が分岐コンベヤ7aのガイド部材7Aに当接し、トレーBが搬送コンベヤ2上での搬送時の向きに規制される。
【0039】
また、係合ピン6aに対する係合溝Bcの当接位置が後方側端部に到達する直前において、出没用シリンダ6bを降下動作して、係合ピン6aを、トレーBの係合溝Bcから抜き取り、トレーBを、搬送コンベヤ2上での向きに保ったまま搬送コンベヤ2から分岐コンベヤ7aに乗り移らせる。
【0040】
また、格外の選別領域cに配置した搬出装置6は、判定装置5による判定に基づいて、格外の農産物Aが載置されたトレーBを、搬送コンベヤ2の周回経路右側部に配置した分岐コンベヤ7aに移載する。格外の選別領域cに配置した作業者Eは、トレーB上の農産物Aを手で取り上げて回収又は除去する。また、農産物Aが取出されたトレーBは、搬送コンベヤ2上のトレーBが載置されていた番地と対応する場所に搬入(又は返還)する。
【0041】
且つ、搬出装置6の上流側に配置した検出センサS1は、判定装置5による判定と対応する等階級の農産物Aを載置したトレーBが搬送されたか否かを検出し、選別領域cの選別情報と対応する農産物Aを載置したトレーBが搬送されたことを検出したとき、搬出装置6を駆動して、農産物Aが載置されたトレーBを、搬送コンベヤ2から分岐コンベヤ7aに搬出する。
【0042】
且つ、分岐コンベヤ7aの上流側端部に配置した検出センサS2は、搬送コンベヤ2から分岐コンベヤ7aにトレーBが搬出されたか否かを検出し、分岐コンベヤ7aにトレーBが搬出されたことを検出(又は確認)する。
【0043】
なお、農産物Aが載置されたトレーBを、例えばプッシャ、振分け部材等の搬出手段により搬送コンベヤ2から分岐コンベヤ7aに搬送コンベヤ2上での向きに保ったまま搬出してもよい。
【0044】
回帰コンベヤ7は、分岐コンベヤ7aと、帰還コンベヤ7bと、連絡コンベヤ7cとから構成され、図2、図3、図4にも示すように、農産物Aが載置されたトレーBを貯留する分岐コンベヤ7aは、搬送コンベヤ2上に設定した選別領域c上流側端部の周回経路右側部に対して右側斜め前方に向けて配置され、トレーBの傾斜面Bdの斜面Bd2又はBd3にほぼ平行な方向で搬送コンベヤ2に接続されるとともに、その斜面Bd2又はBd3に係合してトレーBを所定の向きに保つガイド部材7Aを備えている。
【0045】
また、農産物Aが載置されていない空のトレーBを貯留する帰還コンベヤ7bは、選別領域c下流側端部の周回経路右側部に対して分岐コンベヤ7aと平行して配置され、帰還コンベヤ7bの帰還側端部を搬送コンベヤ2に対して右側斜め後方から左側斜め前方に向けて接続されるとともに、トレーBの傾斜面Bdの斜面Bd2,Bd3又は、傾斜面Bdの斜面Bd1,Bd4に係合してトレーBを所定の向きに保つガイド部材7Bを備えている。
【0046】
また、分岐コンベヤ7aの端部と、帰還コンベヤ7bの端部との間を、回帰コンベヤ7の回帰経路上に設定した取出し領域dと対応する連絡コンベヤ7cで接続して、搬送コンベヤ2の周回経路から分岐して取出し領域dを経て再び周回経路に連絡している。このように、回帰経路は、回帰コンベヤ7で構成している。
【0047】
また、分岐コンベヤ7aの回帰経路両側部に配置した左右一対の各ガイド部材7A,7Aと、帰還コンベヤ7bの回帰経路両側部に配置した左右一対の各ガイド部材7B,7Bは、トレーBの傾斜面Bdと当接する高さ位置に設けている。
【0048】
各ガイド部材7A,7Aは、トレーBを搬送コンベヤ2から分岐コンベヤ7aに搬出した際に、トレーBの傾斜面Bdの斜面Bd2,Bd3に当接され、分岐コンベヤ7aが搬送するトレーBを、搬送コンベヤ2による搬送時と同一の向きに規制したまま、回帰経路上に設定した取出し領域dと対応する連絡コンベヤ7cに搬送ガイドする。
【0049】
各ガイド部材7B,7Bは、トレーBを連絡コンベヤ7cから帰還コンベヤ7bに搬出した際に、トレーBの傾斜面Bdの斜面Bd2,Bd3に当接され、また、トレーBを帰還コンベヤ7bの湾曲部分を経て帰還側端部に搬送する際に、トレーBの傾斜面Bdの斜面Bd1,Bd4に当接され、帰還コンベヤ7bが搬送するトレーBを、搬送コンベヤ2による搬送時と同一の向きに規制したまま、トレーBが載置されていた搬送コンベヤ2の周回経路上の場所に搬入ガイドする。
【0050】
上記搬送コンベヤ2と分岐コンベヤ7aとの間に配置した各引込み用ローラ10a…は、搬送コンベヤ2から分岐コンベヤ7aに向けてトレーBが搬出される方向に常時回転するが、搬出装置6の搬出動作と連動して、搬出時のみ回転してもよい。また、搬送コンベヤ2と帰還コンベヤ7bとの間に配置した各繰出し用ローラ10b…は、帰還コンベヤ7bから搬送コンベヤ2に向けて空のトレーBが搬入される方向に常時回転し、帰還コンベヤ7bの湾曲部分に配置した搬送用ローラ10c,10cは、空のトレーBが所定の向きに保ったまま搬送されるように常時回転するが、繰出し用ローラ10b及び搬送用ローラ10cを搬入時のみ回転してもよい。なお、回帰経路内のトレーBは、すべて搬送コンベヤ2上の向きと同じ向きに保たれるようになっている。
【0051】
また、分岐コンベヤ7a及び帰還コンベヤ7bは、搬送コンベヤ2の搬送方向と同じ方向の速度成分が搬送コンベヤ2の搬送速度とほぼ等しいか又はそれよりも高速となるようにトレーBを搬送する。また、引込み用ローラ10a、繰出し用ローラ10b、搬送用ローラ10cは、分岐コンベヤ7a、帰還コンベヤ7bと同じ搬送速度に設定され、搬送コンベヤ2との間に速度差を設定することで、農産物A同士の干渉を回避するようにしている。なお、連絡コンベヤ7cは、トレーBを分岐コンベヤ7aや帰還コンベヤ7bよりも遅く搬送する。
【0052】
分岐コンベヤ7aの取出し側端部に配置したストッパ11aは、連絡コンベヤ7c上から全トレーB…が搬出されるか、存在しないことをセンサで検出したとき、経路側部に配置した前後用シリンダ11AによりトレーBに対して当接回避される位置に退避され、農産物Aが載置された3個の各トレーB…を、分岐コンベヤ7aから連絡コンベヤ7cに乗り移らせ、連絡コンベヤ7c上の取出し領域dにストッパ11bで停留する。連絡コンベヤ7c上に3個の各トレーB…が載置された場合、後続の各トレーB…を、トレーBに対して当接される位置に移動させたストッパ11aで停留する。
【0053】
連絡コンベヤ7cは選別領域cの搬送コンベヤ2と平行に設けられる。連絡コンベヤ7cの始端側端部と終端側端部との間に配置した検出センサS3は、連絡コンベヤ7cの帰還側端部に配置したストッパ11bで停留された各トレーB…に農産物Aが夫々載置されているか否かを検出し、トレーBに載置された農産物Aが作業者Eの手で取出され、トレーB上に農産物Aが存在しないことを検出したとき、ストッパ11bを、経路側部に配置した前後用シリンダ11BによりトレーBに対して当接回避される位置に退避させ、農産物Aが取出された空のトレーBを、連絡コンベヤ7cから帰還コンベヤ7bに搬送する。なお、帰還コンベヤ7b上には、農産物Aが載置されていない空のトレーBを適宜数、予め供給又は停留している。
【0054】
選別領域cの下流側端部に配置した検出センサS4は、回帰経路の分岐コンベヤ7aにトレーBが搬出されたことを検出(又は確認)する信号が検出センサS2から出力されたとき、搬送コンベヤ2上にトレーBが載置されているか否かを検出し、搬送コンベヤ2上のトレーBが載置されていた番地と対応する空き場所(又は載置面)が到来することを検出したとき、帰還コンベヤ7bの回帰経路端部に配置したストッパ11cを、経路側部に配置した前後用シリンダ11CによりトレーBに対して当接回避される位置に退避させ、帰還コンベヤ7b上に停留された空のトレーBを、搬送コンベヤ2上のトレーBが載置されていた番地と対応する空き場所にすぐに搬入する。次のトレーBは、トレーBに対して当接される位置に移動させたストッパ11cで停留させる。
【0055】
前記各取出し領域d…に配置した作業者Eは、前記判定装置5による判定に基づいて、回帰経路の連絡コンベヤ7cに停留された各トレーB…上の各農産物A…を手で取り上げ、取出し領域d側部に配置した搬入コンベヤ8により供給される容器Cに整列して箱詰めする。且つ、所定数の各農産物A…が箱詰めされた容器Cを箱詰め部から搬出するときストッパで一旦停止させて、後述する搬出コンベヤ9が搬送する他の容器Cと合流させる。
【0056】
実施例では、各選別領域c,cの各回帰経路に搬出された各トレーB…上の各農産物A…を1人で箱詰め処理するが、対象となる農産物Aの数量が多くなった場合、一つの選別領域cにおいて、1種類の農産物Aを1人で箱詰め処理する。また、1人の処理能力よりも農産物Aの数量が多くなった場合、複数の各選別領域c…において同一等階級の農産物Aを箱詰め処理するので、農産物Aの等階級別出現頻度に応じて作業内容を変更することができる。
【0057】
また、トレーBに載置された農産物Aに関する情報(等級、階級、生産者番号等)を表示する表示器(例えばモニター、電光掲示盤等)を、取出し領域dに待機する作業者Eの目で読取るのに適した場所に設けてもよく、トレーサビリティシステムにも対応することができる。
【0058】
且つ、取出し領域dの容器搬入側に配置した搬入コンベヤ8は、所定数の農産物Aが整列収容される大きさ及び形状に形成したコンテナ型の容器Cを供給する。また、容器Cに代わるものとして、例えば段ボール製の箱、合成樹脂製又は金属製の容器を用いてもよい。一方、取出し領域dの容器搬出側に配置した搬出コンベヤ9は、所定数の各農産物A…が箱詰めされた容器Cを、次工程(例えば出荷工程、保管工程等)に搬送する。
【0059】
また、計測装置4による計測ミスが発生した場合、仕分けの対象とせず、トレーBに載置された取り残し分の農産物Aを、格外選別領域cと供給領域aとの間に配置した取り残しセンサS5で検出し、その検出に基づいて、次回又は次週において計測される農産物Aの計測結果を無効とし、1回目の計測時に確定した生産者情報、人為的選別情報を有効とする。
【0060】
なお、長物用容器C及び丸物用容器Cには、例えば長物、丸物の農産物Aに対応して、農産物Aが個々に収容される大きさ及び形状に形成した凹部を、容器C内部に敷設した柔軟性を有する緩衝部材の上面全体に対して所定間隔に隔てて複数配列している。
【0061】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、農産物選別装置1による選別動作を説明する。
【0062】
先ず、図1、図2にも示すように、搬送コンベヤ2が搬送するトレーBの底部Bb両側端面を各ガイド部材2b,2bに当接して、全トレーB…を所定の向きに規制したまま周回経路に沿って搬送する。供給領域aにおいて、荷受コンベヤ3が搬送する多数の各農産物A…を作業者Dの手で1個ずつ取り上げ、農産物Aの外部項目を作業者Dの目で見て個々に判定するとともに、各手乗せ領域と対応する等階級の各農産物A…を、搬送コンベヤ2が搬送する各トレーB…の幅方向に対して各農産物A…の両端部が左右略均等に突出される状態に1個ずつ載置する。且つ、各手乗せ領域毎に設定した等階級と対応する各選別情報を、各手乗せ領域に搬送された各トレーB…の固有情報と対応させて判定装置5に記憶する。
【0063】
次に、計測領域bにおいて、各トレーB…に載置された各農産物A…を格付けするのに必要な項目を計測装置4で計測し、その計測した農産物Aの計測情報を、各トレーB…の固有情報と対応させて判定装置5に記憶する。
【0064】
判定装置5は、供給領域aの作業者Dによる人為的選別情報と、計測領域bの計測装置4による電気的計測情報とに基づいて、各農産物A…の等階級を個々に判定し、各トレーB…に載置された各農産物A…の仕分け先を確定するとともに、各農産物A…の格付け及び仕分け先の情報を、各トレーB…の固有情報と関連付けて記憶する。
【0065】
次に、各選別領域c…に配置した搬出装置6の上流側において、各トレーB…の固有情報を非接触型通信装置等の読取り手段で読取り、その各トレーB…の固有情報と対応して記憶された各農産物A…の格付け及び仕分け先の情報と、各選別領域c…毎に設定された等階級別の各選別情報とを判定装置5で比較して、同一の選別情報であるか否かを判定する。
【0066】
トレーBに載置された農産物Aの選別情報と、選別領域cに設定された選別情報とが異なると判定された場合、また、トレーB上に農産物Aが無いと判定された場合、搬出装置6を駆動せず、農産物Aが載置されたトレーBを搬送コンベヤ2上に載置したまま下流側の各選別領域c…に搬送する。
【0067】
トレーBに載置された農産物Aの選別情報と、選別領域cの選別情報とが一致すると判定され、農産物Aを載置したトレーBが搬送されたことを検出センサS1で検出した場合、図3、図5にも示すように、搬出装置6を駆動して、係合ピン6aを、搬送コンベヤ2が搬送するトレーBの係合溝Bcの前方側端部に係合させ、係合ピン6aと係合溝Bcとの当接により、農産物Aが載置されたトレーBを、隣接するトレーBに載置される農産物A同士が干渉しないように搬送コンベヤ2上での向きに保ったまま幅方向に水平移動させて、搬送コンベヤ2の周回経路右側部に配置した回帰経路の分岐コンベヤ7aに移載するとともに、係合ピン6aが係合溝Bcの後方側端部に到達する直前において、係合ピン6aを、トレーBの係合溝Bcから抜き取る。
【0068】
移載時において、トレーBの傾斜面Bdの斜面Bd2を分岐コンベヤ7aのガイド部材7Aに当接するとともに、トレーBを搬送コンベヤ2上での向きに保ったまま分岐コンベヤ7aで搬送コンベヤ2よりも速く搬送し、搬出時において、前後に隣接する農産物A同士が互いに干渉(接触、当接等)するのを回避する。また、各トレーB…の各斜面Bd2…を下流側ガイド部材7Aに当接するとともに、前後に載置された各トレーB…の側面を互い当接して、各トレーB…に載置された各農産物A…を互いの干渉が回避される所定間隔に保つ。
【0069】
且つ、分岐コンベヤ7aにトレーBが搬出されたことを検出センサS2で確実に検出(又は確認)する。また、同一格付け情報、異なる格付け情報を持つ農産物Aを、各分岐コンベヤ7a,7a上に貯留されるトレーBの個数が略同等数となるように振分け供給してもよい。
【0070】
次に、図2、図4にも示すように、連絡コンベヤ7c上からトレーBが搬出されるか、存在しない場合、ストッパ11aを後退させて、農産物Aが載置された3個の各トレーB…を、分岐コンベヤ7aから連絡コンベヤ7cに乗り移らせて取出し領域dにストッパ11bで停留させ、後続の各トレーB…をストッパ11aで停留させた後、取出し領域dの各トレーB…に載置された各農産物A…を作業者Eの手で取り上げ、搬入コンベヤ8により供給された容器Cに1個ずつ箱詰めする。且つ、1人の作業者Eが隣り合う各選別領域c,cに移動して、各連絡コンベヤ7c,7cの取出し領域dに貯留された各トレーB…上の各農産物A…を1人で箱詰めする。
【0071】
全トレーB…から農産物Aを作業者Eの手で取り除くと、トレーB上に農産物Aが存在しないことを検出センサS3が検出し、その検出に基づいて、ストッパ11bを後退させ、各農産物A…が取出された空の各トレーB…を、連絡コンベヤ7cから高速の帰還コンベヤ7bに乗り移らせて搬送するとともに、トレーBの傾斜面Bdの斜面Bd2,Bd3を帰還コンベヤ7bの各ガイド部材7B,7Bに当接して搬送コンベヤ2上での向きに保ったまま搬送する。
【0072】
また、前後に載置された各トレーB…の側面を互いに当接して所定の向きに保ったまま帰還コンベヤ7bで搬送するとともに、帰還コンベヤ7bの湾曲部分まで搬送する際には、トレーBの傾斜面Bdの斜面Bd2,Bd3を帰還コンベヤ7bの両側部に設けた各ガイド部材7B,7Bに当接して、帰還コンベヤ7bが搬送するトレーBを、搬送コンベヤ2による搬送時と同一の向きに規制し、湾曲部分から帰還側端部まで搬送する際には、トレーBの傾斜面Bdの斜面Bd1,Bd4を各ガイド部材7B,7Bに当接して、帰還コンベヤ7bが搬送するトレーBを、搬送コンベヤ2による搬送時と同一の向きに規制して搬送する。また、空となった連絡コンベヤ7c上の各トレーB…を帰還コンベヤ7bに搬出すると、次の各トレーB…が分岐コンベヤ7aから連絡コンベヤ7cに搬送され、ストッパ11bで停留される。
【0073】
次に、分岐コンベヤ7aにトレーBが搬出されたことを検出する信号が検出センサS2から出力されたとき、搬送コンベヤ2上にトレーBが載置されているか否かを検出センサS4で検出し、搬送コンベヤ2上のトレーBが載置されていた番地と対応する空き場所が到来することを検出したとき、帰還コンベヤ7bのストッパ11cが後退し、帰還コンベヤ7b上に予め供給又は停留された空のトレーBを、トレーBが載置されていた番地と対応する搬送コンベヤ2の周回経路上の場所にすぐに搬入する。また、空のトレーBを搬入すると、次のトレーBがストッパ11cで停留される。
【0074】
また、分岐コンベヤ7a上が多数の各トレーB…で満杯になるか、帰還コンベヤ7b上に貯留されるトレーBが無くなった場合、選別領域cと対応する農産物Aが載置されたトレーBであっても、その選別領域cの分岐コンベヤ7aには搬出せず、搬送コンベヤ2上を周回させて次回又は次週において排出処理する。且つ、取り残しセンサS5による農産物Aの検出に基づいて、次回又は次週において計測される農産物Aの計測結果を無効とし、1回目の計測時に確定した計測結果を保持する。
【0075】
次に、所定数の各農産物A…が箱詰めされた容器Cを取出し領域dから搬出するときストッパで一旦停止させ、搬出コンベヤ9が搬送する他の容器Cと合流させて次工程(例えば出荷工程、保管工程等)に搬送する。
【0076】
また、等階級の異なる2種類の農産物Aを選別する場合、一方の種類の農産物Aが載置されたトレーBと、他方の種類の農産物Aが載置されたトレーBとを、回帰経路の各分岐コンベヤ7a,7aに対して等階級別に振分け供給する。各連絡コンベヤ7c,7cに振分けられた各トレーB…から各農産物A…を取出して、一方の種類の農産物Aを、取出し領域dに供給された一方の容器Cに箱詰めするとともに、他方の種類の農産物Aを、他方の容器Cに箱詰めする。
【0077】
以下同様にして、各選別領域c…において、判定装置5による判定に基づいて、搬送コンベヤ2が搬送する各トレーB…に載置された各農産物A…を等階級別に選別する作業を継続して行う。また、最終の格外選別領域cに搬送された格外の農産物Aは、作業者Eの手で取り上げて回収又は除去する。
【0078】
以上のように、長物の農産物Aが幅方向に載置された各トレーB…を、所定の向きに保ったまま搬送コンベヤ2から分岐コンベヤ7aに搬出するので、隣接する各トレーB…に載置された農産物A同士が互いに干渉することをなくし、トレーBから農産物Aが落下することがなく、農産物Aの損傷を防ぐことができる。また、同一の周回経路を、長物及び丸物の農産物Aを選別する作業に共有することができるので、長物用選別装置と丸物用選別装置を設置及び製作する必要がなく、装置全体の製作費が安価となり、コストの低減を図ることができる。且つ、装置全体の設置スペースが狭くて済み、レイアウトが容易に行える。
【0079】
図11は、回帰経路上に設定した取出し領域dにおいて、トレーBに載置された農産物Aを箱詰め装置12により機械的に箱詰めする他の例を示し、箱詰め装置12は、例えば吸気ブロワ、真空ポンプ等の負圧発生装置(図示省略)に接続された複数(又は単数)の吸着パッド13を吸着ユニット14に上下移動自在に垂設し、吸着ユニット14全体を、回帰経路上に設定した取出し領域d内の吸着位置と、回帰経路側部に設定した収容位置とに往復移動自在に設けている。
【0080】
つまり、農産物Aが載置された3個の各トレーB…を連絡コンベヤ7c上に設定した吸着位置にストッパ11bで停留させた後、トレーBに載置された農産物Aを、吸着位置上部に待機する吸着ユニット14の吸着パッド13で吸着保持して水平回転(略90度)させ、連絡コンベヤ7c側部の収容位置に供給された容器Cに対して1本(又は3本)ずつ収容する。農産物Aを収容する動作が完了した後、吸着パッド13による吸着保持を解除して、吸着ユニット14を吸着位置上部に復帰移動させる。
【0081】
以下、上述と同様にして、吸着ユニット14を往復移動させて、所定数の各農産物A…を容器Cに整列収容するので、農産物Aを箱詰めする作業が機械的に行え、人為的な作業が不要となり、作業の省力化及び能率アップを図ることができる。また、吸着パッド13で吸着保持した農産物Aを水平回転することなく、取出し領域dに整列された状態のまま容器Cに収容してもよい。
【0082】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の物品は、農産物Aに対応し、
以下同様に、
搬送体は、トレーBに対応し、
搬送体の溝は、トレーBの係合溝Bcに対応し、
搬出手段は、搬出装置6の係合ピン6aに対応し、
ガイド手段は、ガイド部材7Aに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】農産物選別装置の全体構成を示す平面図。
【図2】分岐コンベヤによるトレーの分岐動作を示す平面図。
【図3】トレーを搬送コンベヤから搬出する動作を示す平面図。
【図4】トレーを搬送コンベヤに搬入する動作を示す平面図。
【図5】搬出装置によるトレーの搬出動作を示す平面図。
【図6】トレーの外観を示す斜視図。
【図7】農産物をトレーに載置した状態を示す側面図。
【図8】農産物をトレーに載置した状態を示す正面図。
【図9】農産物をトレーに載置した状態を示す平面図。
【図10】トレーの底面に形成した係合溝を示す底面図。
【図11】箱詰め装置による農産物の箱詰め動作を示す側面図。
【符号の説明】
【0084】
A…農産物
B…トレー
Bc…係合溝
Bd…傾斜面
Bh…受け部
C…容器
1…農産物選別装置
2…搬送コンベヤ
4…計測装置
5…判定装置
6…搬出装置
6a…係合ピン
7…回帰コンベヤ
7a…分岐コンベヤ
7b…帰還コンベヤ
7c…連絡コンベヤ
7A…ガイド部材
12…箱詰め装置
13…吸着パッド
14…吸着ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置可能な搬送体と、
載置される複数の搬送体を所定の向きに保って搬送する搬送コンベヤと、
搬送コンベヤから搬送体を搬出する搬出手段と、
搬送コンベヤから搬出された搬送体を搬送する分岐コンベヤと、
を備えた搬送体分岐装置において、
上記搬送体は、その幅方向において突出する長さの物品を載置可能であるとともに、その前面に幅方向に対する傾斜面を有し、
上記分岐コンベヤは、搬送体の上記傾斜面にほぼ平行な方向で搬送コンベヤに接続されるとともに、上記傾斜面に係合して搬送体の搬送を案内するガイド手段を備え、搬出手段によって搬送コンベヤから分岐コンベヤへ搬送体を搬出する際に、
隣接する搬送体に載置される物品同士が干渉しないように搬送コンベヤ上での搬送体の向きを保ったまま搬出することを特徴とする
搬送体分岐装置。
【請求項2】
上記分岐コンベヤに搬出された搬送体を再び搬送コンベヤに戻す帰還コンベヤを該分岐コンベヤに接続し、帰還コンベヤは搬送体を搬送コンベヤ上を搬送される搬送体と同じ向きに保ったまま搬送コンベヤへ搬入する
請求項1に記載の搬送体分岐装置。
【請求項3】
上記搬出手段は、
上記搬送体の底面に、前方が分岐コンベヤ側で後方が反分岐コンベヤ側となる溝と、
上記搬送コンベヤと分岐コンベヤとの間に搬送体が載置された載置面から上方に突出可能な係合ピンとを有し、
上記係合ピンを、上記搬送体の溝に係合させることにより搬送コンベヤから搬送体を分岐コンベヤに搬出するようにした
請求項1又は2に記載の搬送体分岐装置。
【請求項4】
上記物品は農産物であり、上記搬送体は長物農産物と丸物農産物の両方を載置可能である
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の搬送体分岐装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−50971(P2007−50971A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237307(P2005−237307)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(390008305)エスアイ精工株式会社 (39)
【Fターム(参考)】